JP2003147607A - カップ部を有する衣類 - Google Patents

カップ部を有する衣類

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JP2003147607A JP2001339904A JP2001339904A JP2003147607A JP 2003147607 A JP2003147607 A JP 2003147607A JP 2001339904 A JP2001339904 A JP 2001339904A JP 2001339904 A JP2001339904 A JP 2001339904A JP 2003147607 A JP2003147607 A JP 2003147607A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 通気性、通水性、速乾性がよく、汗をかいて
も蒸れがなく、かつ、クッション性を持たせる。 【解決手段】 表編地と裏編地の間を連結糸により連結
したダブルニットを丸編機により編成し、該丸編ダブル
ニットの上記連結糸として、捲縮加工されていない長繊
維糸(フィラメント糸)を用いており、該丸編ダブルニ
ットをカップ部の少なくとも一部あるいは/およびカッ
プ脇布に用いている。表編地の表糸と裏編地の裏糸は捲
縮加工を施したポリエステルあるいはナイロンを用いて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブラジャー等のカ
ップ部を有する衣類に関し、特に、カップ部を厚くクッ
ション性が良く、かつ、通気性および通水性があると共
に速乾性を有する編地で形成して、カップ内部に濡れを
発生させず、着用感を高めているものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ブラジャーやブラスリップ等で
は、バストを覆うカップ部は、薄着をした場合に外部に
乳頭の輪郭が見えないようにするため、および、肌当た
りを柔らかくしながらバスト部の重量を支えるために、
表布の裏面に、カバー布がラミネートされた不織布やウ
レタン材等の弾性材からなるパッドを配置した構成とし
たものが多い。この種のカップ部を形成する表布や裏布
としては通常編地からなる布が用いられ、弾性材からな
るパット材を上下カップ部に分け、これらを縫着するこ
とによりバストに沿うように膨出させている。
【0003】編地を用いるものとして、特開昭56−3
02号等にはポリウレタン不織布あるいは熱融着性繊維
よりなる繊維マットと編物との接合シートを熱成形した
ブラジャーのカップが提案されている。さらに、特開平
4−240252号では表編地と裏編地を熱バインダー
複合繊維からなる連結糸で連結したダブルニットの編地
を用い、該編地を熱処理してカップ部の成形体としても
のが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ブラジャー等のカップ
部を有する肌着を着用した際、カップ部で覆われたバス
トは、夏季や運動時においては汗をかきやすいが、上記
のようにパッドはラミネートされて通気性や通水性がな
く、また、パット材が吸水し、保水するため、汗をため
て蒸れやすく問題がある。
【0005】また、編地からなるものでは、前記特開昭
56−302号のカップでは、熱成形で硬い感じとな
り、触感、風合い等が悪くなる問題がある。また、後記
の特開平4−240252号のダブルニット編地からな
るものも、中間連結糸として熱バインダー複合繊維を用
いているため、カップ成形体として熱処理した時に、熱
バインダー複合繊維が硬化して肌当たりが悪くなり、か
つ、バストへの追従性が悪くなると共に、通水性や速乾
性の機能も優れない問題がある。
【0006】本発明は上記した問題、特に、特開平4−
240252号の問題に鑑みてなされたもので、ダブル
ニットの編地から形成した場合に、特に、通気性および
通水性、速乾性の点において優れ、かつ、熱処理して成
形した場合においても硬くならず、柔らかさや風合いが
損なわれず、着用感のよいカップ部を有する衣類を提供
することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、表編地と裏編地の間を連結糸により連結
したダブルニットを丸編機により編成し、該丸編ダブル
ニットの上記連結糸として、捲縮加工されていない糸で
且つ長繊維糸(フィラメント糸)を用いており、該丸編
ダブルニット編地を少なくとも一部に用いていることを
特徴とするカップ部を有する衣類を提供している。
【0008】上記のように、本発明では、丸編ダブルニ
ット編地において、表編地と裏編地の間に挿入し、表編
地と裏編地を連結する連結糸として、紡糸の口金より引
き出されて整然とした状態のままで、捲縮加工されてい
ない糸(所謂、生糸)で、かつ、長繊維糸(フィラメン
ト糸)を用いていることを特徴としている。この生糸の
フィラメント糸では、捲縮加工を行っておらず且つ糸表
面にもバルキー加工等によって凹凸をつけておらず、糸
表面は平滑でケバ立ちがないため、保水を行わず、通水
性がよくなる、よって、カップ部の内部やカップ脇布で
覆われた部位に汗をかいた場合に、浸透した汗が滑らか
な糸の表面を伝って拡散しやすい。このように、連結糸
により構成される中間繊維層で保水せず、通水性および
速乾性にも優れたものとなる。また、この連結糸として
は、フィラメント数の少ない糸、あるいは細い(10フ
ィラメント以下の)モノフィラメント糸が通水性がよ
く、また、カップ用編地を編む糸として、肌への刺激が
少ないため好ましい。
【0009】上記丸編ダブルニット編地をカップ部の少
なくとも一部あるいは/および脇布の少なくも一部に用
いている。上記カップ部とは乳房(バスト)を覆う箇所
を指し、バストが発達していないジュニア用のカップ部
を有する衣類では、バストに密着せずにバスト部分を単
に覆う部分をカップ部と称す。
【0010】上記ダブルニット編地の厚さは1〜5mm
程度の範囲で調節可能で、比較的厚い編地であるため、
該ダブルニット編地で乳頭をカバーすると、乳頭が外部
に透けないようにすることができる。特に、連結糸から
なる中間組織を高密度とすると、厚さ3mm〜5mmの
弾力性のある厚い編地とすることが出来る。また、編物
であることから、不織布やポリウレタン等のように表面
に別布を接着する必要がない。よって、一枚のダブルニ
ット編地のみでカップ部を形成することができる。な
お、カップ部や脇布以外にも、用途に応じて好適に用い
られる。
【0011】上記連結糸としては、ナイロン糸、ポリエ
ステル糸、ポリエステル糸もしくはナイロン糸と綿等の
天然糸との混紡糸、あるいは弾性糸を綿等の天然糸でカ
バーリングした糸で、且つ、5デニールの1本の糸(モ
ノフィラメント)またはフィラメント数が少ない糸を用
いている。丸編ダブルニット編地でカップ部を形成し、
バストに沿った形状に熱処理する場合には、融点が高く
熱成形性の良いポリエステル糸が好適に用いられる。な
お、熱処理温度を低下させるとナイロン糸を用いること
もできる。また、ポリウレタン糸に綿糸をカバーリング
した糸を用いると伸縮性を有するため、バストへの追従
性を高めることができる。
【0012】上記連結糸はモノフィラメントまたは表編
地用の表糸あるいは/および裏編地用の裏糸よりもフィ
ラメント数が少ない糸を用いることが好ましい。言い換
えれば、表糸あるいは/および裏糸のフィラメント数を
連結糸のフィラメント数より多くすることが好ましい。
特に、フィラメント数を多くすると、フィランメト間を
毛細管現象により、フィラメントの表面に沿って水が伝
い易くなるため、透湿拡散性が良く乾きが早くなる。よ
って、肌に触れない表編地を構成する表糸のフィラメン
ト数を連結糸のフィラメント数より多くすると、裏編地
側で吸湿した汗は中間繊維層を通り表編地側のフィラメ
ント表面で拡散するため蒸発しやすく、素早く乾くこと
ができる。
【0013】上記表編地の表糸と裏編地の裏糸の両方あ
るいは一方は捲縮加工を施したナイロン糸(ウーリーナ
イロン糸)や捲縮加工したポリエステル糸を用いること
が好ましい。さらに、表編地の表糸と裏編地の裏糸とし
て、ナイロン系と綿糸の混紡あるいはポリエステル糸と
綿糸の混紡で、捲縮加工を施したものも好適に用いられ
る。このように捲縮加工して伸縮機能を持たせている
と、ふんわりとした風合と弾性を備え、特に、肌に当た
る側の裏糸に用いると触感がよく、かつ、肌へのフィッ
ト性を良好とすることができる。また、外表面となる表
編地の表糸としてブライト糸を用いた場合は装飾機能を
高めることができる。
【0014】ダブルニット編地からなるカップ部をバス
トに沿う形状に熱処理(200℃〜230℃で30〜6
0秒程度加熱)する場合、上記表糸、裏糸、連結糸の9
0%以上がポリエステル糸を用い、加熱成形でバストに
沿う形状とし、カップ部の全面に使用している。
【0015】丸編ダブルニット編地を厚さ3mm〜5m
m程度に厚くする場合には、連結糸を表編地と裏編地の
全編目に連結して編成し、該連結糸よりなる中間繊維層
を高密度とする方法がある。このように、丸編ダブルニ
ットを厚い編地とすると、該丸編ダブルニットのみでカ
ップ部を形成し、該カップ部を熱処理してバストに沿う
形状に成形しやすく、また、形状保持性が良い。編物で
あるため、表面に更に別の布を接着する必要がなく、カ
ップ部を1枚のダブルニット編地のみで形成でき、シン
プルな構成とすることができる。また、所要の厚みがあ
ると、丸編ダブルニット1枚でカップ部を形成しても透
けることがない。なお、装飾用の表布を取り付けても良
いことは言うまでもない。
【0016】一方、丸編ダブルニット編地を厚さ1mm
〜3mm未満と薄くする場合には、連結糸を表編地と裏
編地の編目に対して所要数の編目(通常、1目)を飛ば
して連結して編成し、該連結糸よりなる中間編地を粗密
度としている。丸編ダブルニットを薄い編み地とした場
合、カップ表布の裏面側で少なくとも乳頭をカバーする
位置に部分的に配置し、布が2重となった場合でも厚く
なりすぎない。よって、バストが小さく、カップ部を殆
ど膨出させる必要がないジュニア用ブラジャーにおい
て、全体を薄い布で形成し、乳頭を覆う位置のみ丸編ダ
ブルニットで裏打ちをしていてもよく、シンプルな構成
とすることができる。また、カップ部を軽くできる。
【0017】なお、丸編ダブルニット編地でカップ部を
形成する場合、左右のカップ部をそれぞれ1枚のダブル
ニット編地で構成し、これらダブルニット編地を熱処理
してバスト形状に沿う形状に膨出させて成形しても良い
が、左右のカップ部に当たる部分を連続した横長なダブ
ルニット編地で形成して、左右のカップ部をそれぞれ熱
処理して膨出させてもよい。また、熱処理する方法に代
えて、ダブルニット編地で上下カップ部を裁断し、これ
ら上下カップ部を縫着することによって立体形状を作っ
てもよい。さらに、上下カップ部のうち、下カップ部の
み、あるいは上カップ部のみをダブルニット編地で構成
し、他の上カップ部あるいは下カップ部は通常の布より
形成して、これらを縫着してもよい。さらにまた、バス
ト脇布、下部支持布をカップ部と一体に、あるいは、別
個独立してダブルニット編地で形成してもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して説明する。図1は第1実施形態のブラジャーを
示し、左右のカップ部1(1A、1B)は夫々一枚布か
らなる丸編ダブルニット編地(以下、ダブルニット編地
と略す)10のみから形成されており、これらカップ部
1の上部は肩紐2との連結位置まで延長させている。以
下、図中、ダブルニット編地は縦斜線で示す。
【0019】左右のカップ部1Aと1Bとの前側端は中
央連結布3で連結し、夫々脇側には脇布4、背面側に伸
びる背面布5を連結し、背面布5の先端を留具で着脱自
在に開閉するタイプとしている。上記中央連結布3、脇
布4はマーキジット、背面布5はパワーネットで形成し
ている。
【0020】また、ブラジャーの下端縁および脇側端縁
から背面布の上縁、左右カップ部1A、1Bの上端縁に
はそれぞれテープ布6を縫着し、かつ、左右カップ部1
A、1Bの下側円弧端縁のバージスラインに沿った部分
にはワイヤー(図示せず)をテープ布7にくるんで封入
している。
【0021】上記カップ部1を構成するダブルニット編
地10は図2に示す構成からなる。該ダブルニット編地
10は丸編機により編成しており、表糸11からなる表
編地12と、裏糸13からなる裏編地14と、連結糸1
5からなる中間繊維層16とからなり、連結糸15で表
編地12の表糸11と裏編地14の裏糸13とを連結し
ている。上記裏編地14を肌側とし、表編地12は外表
面側とする。
【0022】上記表糸11は167dtex/36フィラメ
ントの捲縮加工したポリエステルの異形断面(略三角形
状態)のブライト糸、裏糸12は167dtex/30フィ
ラメントの捲縮加工したポリエステルの断面円形のダル
糸を用いている。上記連結糸15は、110dtex/12
フィラメントの捲縮加工していないポリエステルの長繊
維の糸を用い、編地全体をポリエステル100%として
いる。
【0023】上記ダブルニット編地10の編み組織を図
3に示す。表糸11、裏糸13、連結糸15とも2本の
糸条を用い、図3中(A)(D)は2本の連結糸15
A、15Bの編み組織を示し、表裏対向する針20と2
1の全てに連結糸15A、15Bを引っかけてタックを
作り、表糸11と裏糸13に連結して、中間繊維層16
を形成している。図3(B)(E)は2本の表糸11
A、11Bの編み組織を示し、表糸11Aと11Bは表
側の針20にウエール方向に1つ飛びに編んでループを
形成し、これら表糸11Aと11Bとで天竺編みの表編
地12を形成している。図3(C)(F)は2本の裏糸
13A、13Bの編み組織を示し、裏糸13Aと13B
は裏側の針21にウエール方向に1つ飛びに編んでルー
プを形成し、これら裏糸13Aと13Bとで天竺編みの
裏編地14を形成している。
【0024】上記ダブルニット編地10は連結糸15を
表糸側の針20と裏糸側の針21の全てに引っ掛けてタ
ックしているため高密度になる。よって、表編地12と
裏編地14との間の連結糸15からなる中間繊維層16
は厚くなるため、ダブルニット編地10自体が厚さ約3
mm程度の厚い編地となる。
【0025】さらに、表糸11A、11Bおよび裏糸1
3A、13Bをいずれも捲縮加工したポリステル糸とし
ているため、風合いがあり、かつ伸縮性も有するため、
肌に柔らかくフィットするものとなる。
【0026】上記ダブルニット編地10を左右のカップ
部1A、1Bの素材とし、該ダブルニット編地を金型内
に挿入し、熱処理(200℃〜230℃で30〜60
秒)して、バストに沿って膨出する形状に熱成形してい
る。
【0027】この熱成形時において、連結糸15として
前記従来例のような熱硬化性のバインダー複合繊維を用
いていないため、成形後の状態においてカップ部1A、
1Bは硬くならず、肌当たりが柔らかで且つ弾力性を有
し、バストに追従させることができ、着用感の良いもの
とすることができる。
【0028】上記ダブルニット編地10により左右カッ
プ部1A、1Bを設けたブラジャーにおいては、ダブル
ニット編地10が厚くクッション性が良いため、従来用
いられていた不織布等のパッド材を不要とできる。ま
た、このダブルニット編地10のみからカップ部1A、
1Bを形成しても、編地が厚いため、乳頭が外衣へと現
出せず、表面に別の布を接着する必要もなく、1枚でカ
ップ部を形成できる。かつ、バストをカップ内に保持し
ながらバストの挙動に追従することができる。
【0029】また、ダブルニット編地10のみからな
り、かつ、連結糸15として長繊維糸を用いると共に表
糸11として連結糸よりフィラメント数の多い糸を用い
ているため、蒸気発散性、通気性、通水性が良い。よっ
て、従来の表面布を不織布やポリウレタンにラミネート
したパッド材を用いている場合と比較して、カップ部1
A、1Bの内部に蒸れを発生させず、肌にベタつきがせ
ず、着用感をさわやかなものとすることできる。特に、
連結糸15としてケバ立ちのない捲縮加工を行っていな
い糸を用いているため、カップ部1A、1Bの内部に汗
をかいた時に、平滑な糸表面に沿って汗が流れ、速乾性
に優れている。
【0030】図4は第2実施形態を示す。ブラジャーの
左右カップ部1A、1Bを第1実施形態と同様に厚いダ
ブルニット編地10で形成している点は同一であるが、
熱成形により立体形状をつくるのではなく、上下カップ
布1A−1と1A−2、1B−1と1B−2とに裁断
し、これらを縫着Hを行って接ぎ合わせることで立体形
状を作っている。
【0031】第2実施形態では、ダブルニット編地10
を熱加工を行わないため、表糸と裏糸として融点がポリ
エステルよりも低いウーリーナイロンを用いている。こ
のウーリーナイロンを用いた場合においても、ナイロン
糸が捲縮加工されているため、生地表面は柔らかく風合
いが良く、ポリエステルの生糸からなる連結糸を介して
ダブルニット編地としているため弾力性を有する厚さ約
3mm程度の厚い布とすることができる。透湿拡散性、
通気性、通水性が良いため、蒸れを発生させず、かつ、
汗を素早く吸収して速乾させる機能を有することは第1
実施例と同様である。
【0032】なお、前記第2実施形態は、カップ部肌側
はダブルニット編地のみで形成しているが、外表面側に
レース布等の装飾布を取り付けても良い。
【0033】図5(A)は第2実施形態の第1変形例を
示し、前記第2実施形態では、肩紐にダブルニット編地
を延在させているが、第1変形例では、肩紐の部分まで
は延在させていない。
【0034】図5(B)は第2実施形態の第2変形例を
示し、カップ部1A、1Bの下カップ部1A−2、1B
−2のみをダブルニット編地10で形成している。上カ
ップ部1A−1’、1B−1’はダブルニット編地10
ではないトリコットで形成しており、上下カップ部を縫
着している。上カップ部を2枚接ぎとしている。下カッ
プ部のみをダブルニット編地10で構成する場合、乳頭
は下カップ部で覆われるようにしている。このように、
下カップ部のみをダブルニット編地10で構成すると、
バストの下部を厚く弾力性を有するダブルニット編地1
0で保持できる。図示していないが、カップ表面にはレ
ース等の装飾性を有する布を付している。
【0035】図5(C)は第2実施形態の第3変形例を
示し、上下カップ部1A−1’と1A−2’、1B−
1’と1B−2’とは薄い不織布を接ぎ合わせて形成
し、乳頭を含み乳房下方に当たる肌側に、ダブルニット
編地10からなる上辺が湾曲した裏当布9A、9Bを当
接して付している。
【0036】図6は第3実施形態を示し、左右カップ部
の下カップ部1A−2と1B−2とはダブルニット編地
10で形成すると共に、中央連結布3、左右脇布4もダ
ブルニット編地10で形成している。このように、中央
連結布3および左右脇布4も厚く弾力性のあるダブルニ
ット編地10で形成すると、肌に触れる箇所のクッショ
ン性を良くすることができ、肌側面の段差を少なくで
き、着用感をソフトなものとすることができる。
【0037】図7は第4実施形態を示し、第2実施形態
と同様なカップ部を備えたブラキャミソールからなる。
即ち、カップ部1A、1Bはダブルニット編地10から
なる上下カップ部を縫着して接ぎ合わせで立体形状を作
っている。
【0038】図8および図9は第5実施形態を示す。第
5実施形態はジュニア用のブラジャーからなる。ジュニ
ア用のブラジャーでは、バストの膨出は少ないが、乳頭
が外部に透けないようにする必要があり、そのため、乳
頭をカバーする部分に、厚さ1.5mm程度の比較的薄
いダブルニット編地10’からなる縦長な裏打布9を表
面布8の裏面に縫着している。
【0039】上記裏内布9として用いるダブルニット編
地10’は前記図2および図3に示すダブルニット編地
10よりは薄いものとしている。即ち、図9(A)に示
す連結糸15Aは、表側針20とおよび裏側針21にそ
れぞれ一つ飛びにタックする一方、図8(D)に示す連
結糸15Bは、連結糸15Aが連結されていない表側針
20、裏側針21にそれぞれ一つ飛びにタックしてい
る。よって、前記図3の編地と比較して、連結糸15
A、15Bからなる中間繊維層16’が底密度となり、
ダブルニット編地10’を薄く且つ軽くすることができ
る。
【0040】上記ダブルニット編地10’では、表編地
12の表糸11A、11Bは167dtex/36フィラメ
ントの捲縮加工したポリエステルの異形断面のブライト
糸、裏編地14の裏糸13A、13Bは167dtex/3
0フィラメントの捲縮加工したポリエステルの断面円形
のダル糸、連結糸15は167dtex/30フィラメント
の捲縮加工していないポリエステル糸を用い、編地全体
をポリエステル100%としている。なお、フィラメン
ト数の多い糸からなる方を肌に触れない外側(表編地
側)に配置すると通気性、透湿拡散性を向上させること
ができる。
【0041】図10(A)(B)(C)は第5実施形態
の変形例を示す。図10(A)の第1変形例では前身頃
の中央を横断して乳頭をカバーする位置にダブルニット
編地10’からなる裏打布9を表面布8の裏面に縫着し
ている。図10(B)の第2変形例では、前身頃の左右
両側にダブルニット編地10’からなる裏打布9を表面
布8の裏面に縫着している。
【0042】図10(C)の第3変形例では前身頃の肌
に触れる側をダブルニット編地10’で形成し、左右両
側部50、51と中央部52との3つに分割し、これら
を互いに縫着Hして、乳頭に沿う部分に小さな膨らみを
持たせている。前身頃表面には別途布を設けている。背
面布5は通常用いられいる編地で形成している。
【0043】上記ジュニア用ブラジャーでは、前身頃全
体をダブルニット編地10’のみから形成しているた
め、膨らみ途上の乳房にも当たりが柔らかく、ジュニア
が初めて着用するブラジャーとして好適なものとなる。
さらに、通気性、透湿拡散性に優れているため、活発な
運動で汗をかいた時の着用感を優れたものとすることが
できる。
【0044】図11は第6実施形態を示し、被りタイプ
のジュニア用ブラジャー全体をダブルニット編地10’
で形成している。さらに、表面に別布を付してもよい。
前身頃の中央部分52と、左右脇部から背面部まで連続
する部分53とを分割し、これらを前身頃の左右両側で
縫着Hしている。この変形例のブラジャーも第6実施形
態と同様な作用効果を有すると共に、背面側中央で留具
を着脱する必要がないため、ジュニアにとって着易いも
のとなる。
【0045】なお、本発明のカップ部を有する衣類はブ
ラジャー、ブラキャミソールに限定されず、ブラスリッ
プ、カップ付きランジェ、カップ付きティディ等、カッ
プ部を有する衣類に適用できる。
【0046】
【発明の効果】以上の説明よりあきらなように、本発明
によれば、カップ部の少なくとも一部を丸編ダブルニッ
ト編地より形成し、この丸編ダブルニット編地は、表編
地と裏編地の間に挿入して表編地と裏編地を連結する連
結糸として、捲縮加工していない長繊維(フィラメント
糸)を用いているため、糸の表面にケバ立ちがないた
め、水分を保水せず、通気性、通水性が優れ、カップ部
の内部やカップ脇布で覆われた部位に汗をかいた場合
に、この汗がカップに保水されることなく蒸発、拡散さ
せて、蒸れを生じさせないようにすることできる。
【0047】また、ダブルニット編地であるため厚くで
き、該ダブルニット編地1枚で乳頭をカバーしても乳頭
を外部に透けないようにすることができる。よって、編
物であることから、従来必要とされた不織布やポリウレ
タン等のように表面に別布を樹脂で取り付ける必要がな
くなる。このように、1枚のダブルニット編地のみでカ
ップ部を形成することができ、この点からも、蒸れを生
じさせず、着用感をさわやかなものとする特有の作用効
果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態のブラジャーを肌側の裏面から
見た斜視図である。
【図2】 ダブルニット編地の構成を示す概略図であ
る。
【図3】 (A)乃至(F)はダブルニット編地の組織
図である。
【図4】 第2実施形態のブラジャーを肌側の裏面側か
ら見た斜視図である。
【図5】 (A)乃至(C)は第2実施形態の変形例を
示すブラジャーを肌側の裏面から見た斜視図である。
【図6】 第3実施形態のブラジャーを肌側の裏面から
見た斜視図である。
【図7】 第4実施形態のブラスリップを肌側の裏面か
ら見た斜視図である。
【図8】 第5実施形態のブラジャーを肌側の裏面から
見た斜視図である。
【図9】 薄いダブルニット編地の組織図である。
【図10】 (A)(B)(C)は第5実施形態の変形
例のブラジャーを肌側の裏面から見た斜視図である。
【図11】 第6実施形態のブラジャーを肌側の裏面か
ら見た斜視図である。
【符号の説明】
1(1A、1B) カップ部 4 脇布 10 丸編ダブルニット編地 11(11A、11B) 表糸 12 表編地 13(13A、13B) 裏糸 14 裏編地 15 連結糸 16 中間繊維層 20,21 針
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西岡 弘 和歌山県和歌山市西田井367番地 坂本繊 維工業株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表編地と裏編地の間を連結糸により連結
    したダブルニットを丸編機により編成し、該丸編ダブル
    ニットの上記連結糸として、捲縮加工されていない糸で
    且つ長繊維糸(フィラメント糸)を用いており、該丸編
    ダブルニット編地を少なくとも一部に用いていることを
    特徴とするカップ部を有する衣類。
  2. 【請求項2】 上記丸編ダニルニット編地をカップ部の
    少なくとも一部あるいは/および脇布の少なくも一部に
    用いている請求項1に記載のカップ部を有する衣類。
  3. 【請求項3】 上記連結糸は、ナイロン糸、ポリエステ
    ル糸、ポリエステル糸もしくはナイロン糸を含んだ混紡
    糸、あるいは弾性糸をカバーリングした糸を用いている
    請求項1または請求項2に記載のカップ部を有する衣
    類。
  4. 【請求項4】 上記連結糸はモノフィラメントまたは表
    編地用の表糸あるいは/および裏編地用の裏糸よりもフ
    ィラメント数が少ない糸を用いている請求項1乃至請求
    項3のいずれか1項に記載のカップ部を有する衣類。
  5. 【請求項5】 上記表編地の表糸と裏編地の裏糸の両方
    あるいは一方は捲縮加工されたナイロン糸あるいは捲縮
    加工されたポリエステル糸からなる請求項1乃至請求項
    4のいずれか1項に記載のカップ部を有する衣類。
  6. 【請求項6】 上記表編地の表糸と裏編地の裏糸は、ナ
    イロン糸と綿糸の混紡あるいはポリエステル糸と綿糸の
    混紡で、捲縮加工を施したものからなる請求項1乃至請
    求項4のいずれか1項に記載のカップ部を有する衣類。
  7. 【請求項7】 上記連結糸を表編地と裏編地の全編目に
    連結して編成し、該連結糸よりなる中間編地を高密度と
    して丸編ダブルニットを厚い編地とし、該丸編ダブルニ
    ットのみでカップ部を形成している請求項1乃至請求項
    6のいずれか1項に記載のカップを有する衣類。
  8. 【請求項8】 上記表糸、裏糸、連結糸の90%以上が
    ポリエステル糸からなる上記丸編ダブルニットを加熱成
    形により、バストに沿う形状とし、カップ部の全面に使
    用している請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載
    のカップ部を有する衣類。
  9. 【請求項9】 上記連結糸を表編地と裏編地の編目に対
    して所要数の編目を飛ばして連結して編成し、該連結糸
    よりなる中間編地を粗密度として丸編ダブルニットを薄
    い編み地としている請求項1乃至請求項6のいずれか1
    項に記載のカップ部を有する衣類。
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