JP2022027578A - 熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法ならびに成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】特別な処理を行わなくても、ポリオレフィン樹脂との接着性を向上させることが可能な熱可塑性樹脂組成物及び製造方法ならびに成形体を提供する。【解決手段】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、粉粒状の熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)及び粉粒状の酸変性ポリオレフィン(Y)を含み、酸変性ポリオレフィン(Y)の含有量が熱可塑性樹脂組成物の重量に基づき1~50重量%である。酸変性ポリオレフィン(Y)の含有量は熱可塑性樹脂組成物の重量に基づき3~15重量%であることが好ましく、酸変性ポリオレフィン(Y)が無水マレイン酸で変性されたポリオレフィンであることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法ならびに成形体に関する。
ポリオレフィン樹脂は、安価で軽量のため、例えば車両用材料等の種々の用途において近年使用量が増加している。しかしながら、ポリオレフィン樹脂は表面自由エネルギーが低く、接着性の低い樹脂であるため、接着性の改良が求められている。
ポリオレフィン樹脂との接着性を向上させる技術としては、例えば、ポリウレタン樹脂を水に分散させた水系ポリウレタンエマルジョンを接着剤として用いる技術が知られている(例えば特許文献1を参照)。
特開平11-106733号公報
特許文献1に記載の技術によれば、種々の基材との接着性及び密着性に優れた水系接着剤を提供することができるが、ポリオレフィン樹脂からなる基材に対して充分な接着性を得るためには、当該基材にコロナ放電処理等の処理を行う必要がある。このような処理には、多大な労力が必要であり、改善が求められている。
本発明の課題は、特別な処理を行わなくても、ポリオレフィン樹脂との接着性を向上させることが可能な熱可塑性樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち本発明は、粉粒状の熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)及び粉粒状の酸変性ポリオレフィン(Y)を含む熱可塑性樹脂組成物であって、酸変性ポリオレフィン(Y)の含有量が熱可塑性樹脂組成物の重量に基づき1~50重量%である熱可塑性樹脂組成物;前記熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、粉粒状の熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)と粉粒状の酸変性ポリオレフィン(Y)とを混合する工程を含む熱可塑性樹脂組成物の製造方法;及び前記熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体である。
本発明によれば、特別な処理を行わなくても、ポリオレフィン樹脂との接着性を向上させることが可能な熱可塑性樹脂組成物及び製造方法ならびに成形体を提供することができる。
[熱可塑性樹脂組成物]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、粉粒状の熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)及び粉粒状の酸変性ポリオレフィン(Y)を含む。
本発明において「粉粒」とは、体積平均粒子径が10000μm以下の固形物をいい、「粉粒状」のものには、ペレット状、顆粒状および粉末状のものが含まれる。
[熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)]
熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)としては、例えば数平均分子量が300~3000の高分子ジオール(a)、モノオール(c)、及び有機ジイソシアネート(e)を反応させて得られる樹脂が挙げられる。熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)は、高分子ジオール(a)、モノオール(c)、及び有機ジイソシアネート(e)とともに、必要により低分子ジオール(b)及びジアミン(d)から選ばれる化合物を反応させて得られる樹脂であってもよい。
高分子ジオール(a)の数平均分子量(「Mn」)はJISK1557-1(プラスチック-ポリウレタン原料ポリオール試験方法-第1部:水酸基価の求め方)に準拠する方法により測定される、ジオールの水酸基価から算出することができる。
高分子ジオール(a)としては、ポリエステルジオール(a1)、ポリカーボネートジオール(a2)、ラクトンモノマーより合成されるポリエステルジオール(a3)、ポリエーテルジオール(a4)、ポリエーテルエステルジオール(a5)及びポリアルカンジエンジオール(a6)が挙げられる。
ポリエステルジオール(a1)としては、2官能アルコール(a11)と2官能カルボン酸(a12)との縮合によって得られるものが挙げられる。また、2官能カルボン酸(a12)は、エステル形成性誘導体であってもよく、酸無水物(例えば、無水フタル酸)、低級アルキルエステル(例えば、ジメチルテレフタレート)及び酸ハライド(例えば、フタル酸クロライド)等であってもよい。
2官能アルコール(a11)としては、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、スピログリコール、ジオキサングリコール、アダマンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、メチルオクタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2-メチルプロパンジオール、1,3,3-メチルペンタンジオール、1,5-ヘキサメチレングリコール、オクチレングリコール、9-ノナンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,4-ポリイソプレンジオール、1,4-ポリブタジエンジオール、1,2-ポリブタジエンジオール、1,4-もしくは1,2-ポリブタジエンジオールの水素添加物といったヒドロキシル基末端ポリアルカンジエンジオール類等が挙げられる。
2官能カルボン酸(a12)としては、シュウ酸 、マロン酸、コハク酸、グルタル酸 、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t-ブチルイソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、及び4,4’-ビフェニルジカルボン酸等が挙げられる。
ポリカーボネートジオール(a2)としては、前記2官能アルコール(a11)と、低分子カーボネート化合物(例えば、アルキル基の炭素数1~6のジアルキルカーボネート、炭素数2~6のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート及び炭素数6~9のアリール基を有するジアリールカーボネート等)とを、脱アルコール反応させながら縮合させることによって製造されるポリカーボネートポリオール等が挙げられる。前記2官能アルコール(a11)及び低分子カーボネート化合物はそれぞれ2種以上併用してもよい。
ポリカーボネートポリオールの具体例としては、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリテトラメチレンカーボネートジオール及びポリ(ペンタメチレン/ヘキサメチレン)カーボネートジオール(例えば1,5-ペンタンジオールと1,6-ヘキサンジオールをジアルキルカーボネートと脱アルコール反応させながら縮合させて得られるジオール)等が挙げられる。
ラクトンモノマーより合成されるポリエステルジオール(a3)としては、ラクトンモノマー[炭素数4~12のラクトン(たとえばγ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン)及びこれらの2種以上の混合物]を重合させて得られるポリエステルジオール等が挙げられる。
ポリエーテルジオール(a4)としては、2個の水酸基含有化合物(たとえば2官能アルコール(a11)及び2価のフェノール類等)にアルキレンオキサイドが付加した化合物が挙げられる。上記2価のフェノール類としてはビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)、単環フェノール類(カテコール、ハイドロキノン等)等が挙げられる。
ポリエーテルエステルジオール(a5)としては、前記ポリエステルジオールにおける原料の2官能アルコール(a11)に代えて上記ポリエーテルジオールを用いたもの、例えば上記ポリエーテルジオールの1種以上と、前記ポリエステルジオールの原料として例示したジカルボン酸の1種以上とを縮重合させて得られるものが挙げられる。上記ポリエーテルジオールとしては、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
ポリアルカンジエンジオール(a6)としては1,4-ポリイソプレンジオール、1,4-ポリブタジエンジオール、1,2-ポリブタジエンジオール、1,4-もしくは1,2-ポリブタジエンジオールの水素添加物といったヒドロキシル基末端ポリアルカンジエンジオール類等が挙げられる。
これらのうち耐熱性の観点から高分子ジオール(a)としては、ポリエステルジオール(a1)及びポリカーボネートジオール(a2)が好ましい。
また、ポリエステルジオール(a1)として好ましいのは、炭素数2~6の脂肪族2官能アルコールと、オルトフタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸から選ばれる少なくとも1種以上の2官能カルボン酸とから得られるポリエステルジオール、炭素数2~6の脂肪族2官能アルコールと炭素数2~6の脂肪族2官能カルボン酸とから得られるポリエステルジオールである。
(a1)~(a6)は単独で使用しても良いし2種以上を組み合わせて使用しても良い。
成形体の引張強度及び伸びの観点から、高分子ジオール(a)の数平均分子量(Mn)として好ましいのは、500~3,000であり、特に好ましいのは、800~2,300である。
低分子ジオール(b)としては数平均分子量が300未満のジオールを用いうる。低分子ジオール(b)としては、二官能アルコール(a11)で例示したアルコールが挙げられる。低分子ジオール(b)としては、好ましくは、1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールであり、前記成形体の強度の観点からより好ましいのは1,4-ブタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールである。低分子ジオール(b)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
モノオール(c)としては、炭素数1~8の脂肪族モノオール類[直鎖モノオール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール及びオクタノール等)及び分岐鎖を有するモノオール(イソプロピルアルコール、ネオペンチルアルコール、3-メチル-ペンタノール及び2-エチルヘキサノール)等];炭素数6~10の環状基を有するモノオール類[脂環式モノオール(シクロヘキサノール等)及び炭素数7~12の芳香族モノオール(ベンジルアルコール及びナフチルエタノール等)等];これらの2種以上の混合物が挙げられる。また、ポリエステルモノオール、ポリエーテルモノオール及びポリエーテルエステルモノオール等の高分子モノオールもモノオール(c)として使用できる。これらの内で好ましいのは炭素数6~10の脂肪族モノオール及び炭素数7~12の芳香族モノオールである。
ジアミン(d)としては、炭素数6~10の脂環式ジアミン(4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジアミノシクロヘキサン及びイソホロンジアミン等);炭素数2~10の脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等);炭素数8~10の芳香脂肪族ジアミン(キシリレンジアミン等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらの内で好ましいのは脂環式ジアミン及び脂肪族ジアミンであり、特に好ましいのはイソホロンジアミン及びヘキサメチレンジアミンである。
有機ジイソシアネート(e)としては、以下のものが挙げられる。
(i)炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)2~18の脂肪族ジイソシアネート[エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと略記)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2-イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2-イソシアナトエチル)カーボネート及び2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエート等];
(ii)炭素数4~15の脂環式ジイソシアネート[イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略記)、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(以下、水添MDIと略記)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート及びビス(2-イソシアナトエチル)-4-シクロへキセン等];
(iii)炭素数8~15の芳香脂肪族ジイソシアネート[m-又はp-キシリレンジイソシアネート及びα,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等];
(iv)芳香族ジイソシアネート[1,3-又は1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート(以下、TDIと略記)、粗製TDI、2,4’-又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略記)、4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、粗製MDI及び1,5-ナフチレンジイソシアネート等];
(v)これらのジイソシアネートの変性物(カーボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトイミン基又はウレア基等を有するジイソシアネート変性物)。
これらのうち、耐候性の観点から好ましいのは脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートであり、更に好ましいのはHDI、IPDI及び水添MDIである。
有機ジイソシアネート(e)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明において、熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)は粉粒状である。粉粒状の熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)は、真球状でも非真球状でもよい。熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)の体積平均粒子径は、好ましくは50~5000μm、より好ましくは100~1000μm、更に好ましくは150~500μmである。本発明において、熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)の体積平均粒子径は、レーザー回折式粒子径分布測定装置を用いて測定した相対累積粒子径分布曲線(体積基準)において、累積量が50%のときの粒子径(d50)である。
熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)のMnは、好ましくは10,000~40,000、更に好ましくは20,000~30,000である。熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)のMnは実施例に記載の方法で測定しうる。
熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)の製造方法としては以下の方法等が挙げられる。以下においては低分子ジオール(b)およびジアミン(d)を用いた場合の製造方法について説明しているが、熱可塑性ウレタン樹脂(X)の製造方法は当該方法に限定されない。
(1)有機溶媒の存在下又は非存在下であらかじめ高分子ジオール(a)と低分子ジオール(b)とモノオール(c)の混合物と有機ジイソシアネート(e)を、上記混合物中の水酸基と有機ジイソシアネート(e)のイソシアネート基のモル比が、1:1.2~1:4.0となるように反応させ、得られた末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(Up)を、水及び分散安定剤存在下で、ジアミン(d)で伸長反応させる方法。尚、ジアミンはブロックされた直鎖脂肪族ジアミン(例えばケチミン化合物)等を使用することができる。
(2)上記ウレタンプレポリマー(Up)を、非極性有機溶媒及び分散安定剤存在下で、ジアミン(d)で伸長反応させる方法。

(3)高分子ジオール(a)、低分子ジオール(b)、モノオール(c)、ジアミン(d)及び有機ジイソシアネート(e)をワンショットで反応させる方法。
熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)の製造に用いる有機溶媒としては、炭素数3~9のケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びジエチルケトン等)、炭素数4~8のエーテル(テトラヒドロフラン等)及び炭素数3~6のエステル(酢酸メチル及び酢酸エチル等)等が挙げられる。有機溶媒は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)の製造に用いる分散安定剤としては、水溶性高分子(メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸塩類、ポリビニルピロリドン及びジイソブチレンとマレイン酸との共重合体のNa塩等)、無機粉末(炭酸カルシウム粉末、リン酸カルシウム粉末、ハイドロキシアパタイト粉末及びシリカ粉末等)、並びに界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びラウリル硫酸ナトリウム等)等が挙げられる。分散安定剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ウレタンプレポリマー(Up)を製造する際の反応温度は、ウレタン化を行う際に採用される温度と同じでよく、有機溶媒を使用する場合は好ましくは20℃~100℃であり、有機溶媒を使用しない場合は好ましくは20℃~140℃、より好ましくは80℃~130℃である。
上記ウレタン化反応において、反応を促進するために必要によりポリウレタンに用いられる触媒を使用することができる。触媒としては、例えばアミン系触媒(トリエチルアミン、N-エチルモルホリン及びトリエチレンジアミン等)並びに錫系触媒(トリメチルチンラウレート、ジブチルチンジラウレート及びジブチルチンマレート等)等が挙げられる。
粉粒状の熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)を得る方法としては、熱可塑性ウレタンウレア樹脂が水又は水と有機溶媒との混合物に分散された分散体を得た後、分散媒を除去する方法(方法1)、前記分散媒を除去後に得られる樹脂を粉砕する方法(方法2)、塊状又はペレット状の熱可塑性ウレタンウレア樹脂を得て粉砕する方法(方法3)、および、前記方法1~3のいずれかを行った後、さらに分級を行う方法(方法4)等が挙げられる。
熱可塑性ウレタンウレア樹脂を分散体として得る方法としては、特に限定されず、例えば前記ウレタンウレア樹脂(X)の製造方法における(1)の方法、国際公開第2011/070784号や国際公開第2013/018747号に記載の方法等が挙げられる。
熱可塑性ウレタンウレア樹脂の分散体の製造に用いる乳化・分散装置としては、乳化機、分散機として市販されているものであれば特に限定されず、例えば、ホモジナイザー(IKA社製)、ウルトラディスパーザー(ヤマト科学(株)製)、ポリトロン(キネマティカ社製)及びTKオートホモミキサー(プライミクス社製)等のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(荏原製作所社製)、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサー(プライミクス社製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(日本コークス工業社製)、キャピトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工社製)等の連続式乳化機、マイクロフルイダイザー(みずほ工業社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)及びAPVガウリン(ガウリン社製)等の高圧乳化機、膜乳化機(冷化工業社製)等の膜乳化機及びバイブロミキサー(冷化工業社製)等の振動式乳化機並びに超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)等の超音波乳化機等が挙げられる。この内、粒子径分布の観点で好ましいのは、APVガウリン、ホモジナイザー、ウルトラディスパーザー、TKオートホモミキサー、エバラマイルダー、TKフィルミックス及びTKパイプラインホモミキサーである。
塊状又はペレット状の熱可塑性ウレタンウレア樹脂の製造方法としては、例えばニーダー等のバッチ式混練機及びサイドフィーダーが付属したスクリュー式押出機等が使用できる。このような方法により得られた塊状またはペレット状の熱可塑性ウレタンウレア樹脂を液体窒素等によって冷却し、ターボミル等の衝撃式粉砕機で粉砕することにより、粉粒状の熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)を得ることができる。
前記方法4における分級方法は特に限定されず、公知の分級装置を用いて行うことができる。
[酸変性ポリオレフィン(Y)]
酸変性ポリオレフィン(Y)は粉粒状である。粉粒状の酸変性ポリオレフィン(Y)は、真球状でも非真球状でもよい。酸変性ポリオレフィン(Y)の体積平均粒子径は、好ましくは50μm~5000μm、より好ましくは100μm~1000μm、更に好ましくは150~500μmである。本発明において、酸変性ポリオレフィン(Y)の体積平均粒子径は、レーザー回折式粒子径分布測定装置を用いて測定した相対累積粒子径分布曲線において、累積量が50%のときの粒子径(d50)である。
酸変性ポリオフィン(Y)の含有量は、熱可塑性樹脂組成物の重量に基づき、1~50重量%である。熱可塑性樹脂組成物中の酸変性ポリオレフィン(Y)の含有量が1重量%以上であることにより、特別な処理を行わなくても、ポリオレフィン樹脂との接着性を向上させることができる。また酸変性ポリオレフィン(Y)の含有量が50重量%以下であることにより、熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体の強度を維持することができる。熱可塑性樹脂組成物中の酸変性ポリオレフィン(Y)の含有量が1重量%未満であると、ポリオレフィン樹脂との接着性の向上効果が不十分であることがあり、酸変性ポリオレフィン(Y)の含有量が50重量%を超えると、前記成形体の強度が低下するおそれがある。酸変性ポリオレフィン(Y)の含有量は、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。
酸変性ポリオレフィン(Y)は、好ましくは、ポリオレフィン(Y1)と不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(Y2)とを構成単位とする化合物である。
[ポリオレフィン(Y1)]
本発明におけるポリオレフィン(Y1)は、原料となるポリオレフィン(Y0)(詳細は後述)を熱的減成法(以下において「熱減成法」ということがあり、例えば特公昭43-9368号公報、特公昭44-29742号公報、特公平6-70094号公報に記載の製造方法)により熱減成して得られた熱減成物であることが好ましい。
ポリオレフィン(Y1)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン/プロピレン共重合体、及びブテン/プロピレン共重合体が挙げられる。ポリオレフィン(Y1)がエチレン/プロピレン共重合体の場合、(エチレン単位)と(プロピレン単位)の重量比[(エチレン単位)/(プロピレン単位)]は、前記成形体の成形性の観点から、好ましくは1/99~10/90、さらに好ましくは、2/98~8/92である。
熱減成法としては、前記ポリオレフィン(Y0)を窒素通気下で、有機過酸化物不存在下、好ましくは300~450℃で0.5~10時間、熱減成する方法が挙げられる。
ポリオレフィン(Y1)のMnは、前記成形体の機械的強度が良好であるという観点から、好ましくは800~20,000、さらに好ましくは1,000~18,000である。
ポリオレフィン(Y1)のMnは、例えば以下の条件により測定することができる。
<測定条件>
装置:高温ゲルパーミエイションクロマトグラフ
[「Alliance GPC V2000」、Waters(株)製]
検出装置:屈折率検出器
溶媒:オルトジクロロベンゼン
基準物質:ポリスチレン
試料濃度:3mg/ml
カラム固定相:PLgel 10μm、MIXED-B 2本直列
[ポリマーラボラトリーズ(株)製]
カラム温度:135℃
ポリオレフィン(Y1)は、後述の不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(Y2)との反応性の観点から分子末端に二重結合を有することが好ましい。
ポリオレフィン(Y1)の炭素1,000個(炭素数1,000個ともいう)当たりの該分子末端の二重結合数は、(Y1)と(Y2)との反応性等の観点から、好ましくは0.5~20個、より好ましくは1.0~18個、さらに好ましくは1.2~15個である。ここにおいて、該二重結合数は、(Y1)の1H-NMR(核磁気共鳴)分光法のスペクトルから求めることができる。
すなわち、該スペクトル中のピークを帰属し、(Y1)の4.5~6ppmにおける二重結合由来の積分値および(Y1)由来の積分値から、(Y1)の二重結合数と(Y1)の炭素数の相対値を求め、(Y1)の炭素1,000個当たりの該分子末端の二重結合数を算出することができる。後述の実施例における末端二重結合数は該方法に従った。
[ポリオレフィン(Y0)]
ポリオレフィン(Y1)の原料となるポリオレフィン(Y0)は、メタロセン触媒を使用して重合されたエチレン/プロピレン共重合体であることが好ましい。ポリオレフィン(Y0)が、エチレン/プロピレン共重合体である場合、(エチレン単位)と(プロピレン単位)の重量比[(エチレン単位)/(プロピレン単位)]が、成形性の観点から、好ましくは1/99~10/90、さらに好ましくは、2/98~8/92である。
また、ポリオレフィン(Y0)のMnは、ポリオレフィン(Y1)の生産性および工業的な観点から、好ましくは30,000~400,000、さらに好ましくは50,000~200,000である。
[不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(Y2)]
不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(Y2)は、重合性不飽和基を1個有する炭素数3~30の(ポリ)カルボン酸(無水物)である。なお、本発明において不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)は、不飽和モノカルボン酸、不飽和ポリカルボン酸および/または不飽和ポリカルボン酸無水物を意味する。
不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(Y2)のうち、不飽和モノカルボン酸としては、炭素数3~24の脂肪族モノカルボン酸(例えばアクリル酸、メタクリル酸、α-エチルアクリル酸、クロトン酸、及びイソクロトン酸等)ならびに、炭素数6~24の脂環含有モノカルボン酸(例えばシクロヘキセンカルボン酸等)等が挙げられる。不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(Y2)のうち、不飽和ポリ(2~3またはそれ以上)カルボン酸(無水物)としては、不飽和ジカルボン酸(無水物)[炭素数4~24の脂肪族ジカルボン酸(無水物)(例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、およびこれらの無水物)、炭素数8~24の脂環含有ジカルボン酸(無水物)(例えばシクロへキセンジカルボン酸、シクロヘプテンジカルボン酸、ビシクロヘプテンジカルボン酸、メチルテトラヒドロフタル酸、およびこれらの無水物)等]等が挙げられる。不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(Y2)は1種単独でも、2種以上併用してもいずれでもよい。
上記不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(Y2)のうち、ポリオレフィン(Y1)との反応性の点から好ましいのは不飽和ジカルボン酸無水物、さらに好ましいのは無水マレイン酸である。
ポリオレフィン(Y1)と不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(Y2)との重量比[(Y1)/(Y2)]は、好ましくは90/10~99.5/0.5、さらに好ましくは92/8~99/1である。
酸変性ポリオフィン(Y)としては、無水マレイン酸で変性されたポリオレフィンが好ましい。
酸変性ポリオレフィン(Y)は、好ましくは、前記ポリオレフィン(Y1)と不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(Y2)とを、ラジカル開始剤の存在下または不存在下で反応させることにより製造することができる。
ラジカル開始剤を使用する場合、ラジカル開始剤としては、有機過酸化物及びアゾ化合物等が挙げられる。有機過酸化物としては、単官能過酸化物(分子内にパーオキシド基を1個有するもので、具体的にはベンゾイルパーオキシド、ジ-t-ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド及びジクミルパーオキシド等)及び多官能過酸化物[分子内にパーオキシド基を2個以上有するもので、具体的には2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ-t-ブチルパーオキシへキサヒドロテレフタレート及びジアリルパーオキシジカーボネート等]等が挙げられる。
アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビスシクロヘキサン-1-カルボニトリル、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)及び2,2’-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)等が挙げられる。
これらのうち共重合性の観点から好ましいのは有機過酸化物であり、更に好ましいのは単官能過酸化物であり、特に好ましいのはジ-t-ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド及びジクミルパーオキシドである。
ポリオレフィン(Y1)と不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(Y2)との反応においては、必要により有機溶媒を用いうる。このような有機溶媒としては、例えば、炭素数3~18の炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素(ジ-、トリ-、およびテトラクロロエタン、ジクロロブタン等)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、ジ-t-ブチルケトン等)、エーテル(エチル-n-プロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジ-t-ブチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。
酸変性ポリオフィンを製造する際の反応温度はポリオレフィン(Y1)と不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(Y2)との反応性および生産性の観点から、好ましくは100~270℃、さらに好ましくは120~250℃、とくに好ましくは130~240℃である。
粉粒状の酸変性ポリオレフィン(Y)は、上述のような方法により得られた酸変性ポリオレフィンを、遠心噴霧アトマイザーを用いる方法、機械的に粉砕する方法(ターボミル等の衝撃式粉砕機で粉砕する方法)等により製造することができる。
酸変性ポリオレフィン(Y)の酸価は、ポリオレフィン樹脂との接着性が良好であるという観点から、好ましくは1~60mgKOH/g(以下数値のみを示す)、より好ましくは3~50である。ここにおける酸価はJIS K0070に準じて測定される値である。
酸変性ポリオレフィン(Y)のMnは、好ましくは1,000~40,000、より好ましくは1,500~35,000、さらに好ましくは2,000~30,000である。Mnが1,000~40,000であると、前記成形体の機械的強度を優れたものとしうる。酸変性ポリオレフィンのMnは、ポリオレフィン(Y1)と同様の方法により測定することができる。
[添加剤(Z)]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)及び酸変性ポリオレフィン(Y)以外の成分[以下「添加剤(Z)」ともいう]を含有していてもよい。添加剤(Z)は任意の成分である。
添加剤(Z)としては無機フィラー、顔料、可塑剤、離型剤、安定剤及びブロッキング防止剤(粉体流動性向上剤)等が挙げられる。添加剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
無機フィラーとしては、カオリン、タルク、シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、ベントナイト、マイカ、セリサイト、ガラスフレーク、ガラス繊維、黒鉛、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、硫酸バリウム、ホウ酸亜鉛、アルミナ、マグネシア、ウォラストナイト、ゾノトライト、ウィスカー及び金属粉末等が挙げられる。これらのうち、カオリン、タルク、シリカ、酸化チタン及び炭酸カルシウムが好ましく、更に好ましくはカオリン及びタルクである。
無機フィラーの体積平均粒子径は、熱可塑性樹脂組成物中への分散性の観点から、0.1~30μmが好ましく、更に好ましくは1~20μm、特に好ましくは5~10μmである。
無機フィラーの添加量は、熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)100重量部に対して、0~40重量部が好ましく、1~20重量部が更に好ましい。
顔料としては特に限定されず、公知の有機顔料及び無機顔料を使用することができる。有機顔料としては、不溶性又は溶性アゾ顔料、銅フタロシアニン系顔料及びキナクリドン系顔料等が挙げられ、無機系顔料としては、クロム酸塩、フェロシアン化合物、金属酸化物(酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛及び酸化アルミニウム等)、金属塩類[硫酸塩(硫酸バリウム等)、珪酸塩(珪酸カルシウム及び珪酸マグネシウム等)、炭酸塩(炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム等)、燐酸塩(燐酸カルシウム及び燐酸マグネシウム等)等]、金属粉末(アルミ粉末、鉄粉末、ニッケル粉末及び銅粉末等)及びカーボンブラック等が挙げられる。顔料の平均粒子径については特に限定はないが、好ましくは0.2~5.0μm、より好ましくは0.5~1μmである。
顔料の添加量は、熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)100重量部に対して、好ましくは10重量部以下、より好ましくは0.01~5重量部、更に好ましくは1~3重量部である。
可塑剤としては、フタル酸エステル(フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチルベンジル及びフタル酸ジイソデシル等);安息香酸エステル(ポリエチレングリコールジ安息香酸エステル等);脂肪族2塩基酸エステル(アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル及びセバシン酸-2-エチルヘキシル等);トリメリット酸エステル(トリメリット酸トリ-2-エチルヘキシル及びトリメリット酸トリオクチル等);脂肪酸エステル(オレイン酸ブチル等);脂肪族リン酸エステル(トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルフォスフェート、トリ-2-エチルヘキシルホスフェート及びトリブトキシホスフェート等);芳香族リン酸エステル[トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート及びトリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフェート等];ハロゲン脂肪族リン酸エステル[トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(βークロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート及びトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート等];並びにこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
可塑剤の添加量は、熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)100重量部に対して、好ましくは0~50重量部、更に好ましくは5~20重量部である。
離型剤としては公知の離型剤等が使用でき、フッ素化合物型離型剤[リン酸トリパーフルオロアルキル(炭素数8~20)エステル(トリパーフルオロオクチルホスフェート及びトリパーフルオロドデシルホスフェート等)];シリコーン化合物型離型剤(ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン及びカルボキシル変性ジメチルポリシロキサン等);脂肪酸エステル型離型剤[炭素数10~24の脂肪酸のモノ又は多価アルコールエステル(ブチルステアレート、硬化ひまし油及びエチレングリコールモノステアレート等)等];脂肪族酸アミド型離型剤[炭素数8~24の脂肪酸のモノ又はビスアミド(オレイン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド及びエチレンジアミン等のジステアリン酸アミド等)等];金属石鹸(ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸亜鉛等);天然又は合成ワックス(パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス及びポリブロピレンワックス等);及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
離型剤の添加量は、熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)100重量部に対して、好ましくは0~1重量部、更に好ましくは0.05~0.5重量部である。
安定剤としては、紫外線吸収剤や酸化防止剤及び加水分解防止剤の他、分子中に炭素-炭素二重結合(置換基を有していてもよいエチレン結合等)(但し芳香環中の二重結合は除く)又は炭素-炭素三重結合(置換基を有していてもよいアセチレン結合)を有する化合物等が使用できる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系[2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン及び2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン等];ベンゾトリアゾール系[2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等];サリチル酸系[フェニルサリシレート等];並びにヒンダードアミン系[ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、及びビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート等]等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系[2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール及びブチル化ヒドロキシアニソール等];ビスフェノール系[2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)等];並びにリン系[トリフェニルフォスファイト及びジフェニルイソデシルフォスファイト等]等が挙げられる。
加水分解防止剤としては、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に有するものが挙げられる。カルボキシル基と反応する官能基としてはカルボジイミド基、オキサゾリン基、エポキシ基、シクロカーボネート基及びアジリジン基等が挙げられる。
分子中に炭素-炭素二重結合又は炭素-炭素三重結合を有する化合物としては、例えば(メタ)アクリル酸と2~10価の多価アルコール(2~10価の多価アルコール、以下同様)とのエステル[エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等];(メタ)アリルアルコールと2~6価の多価カルボン酸とのエステル[ジアリルフタレート及びトリメリット酸トリアリルエステル等];多価アルコールのポリ(メタ)アリルエーテル[ペンタエリスリトール(メタ)アリルエーテル等)];多価アルコールのポリビニルエーテル(エチレングリコールジビニルエーテル等);多価アルコールのポリプロペニルエーテル(エチレングリコールジプロペニルエーテル等);ポリビニルベンゼン(ジビニルベンゼン等)及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。これらの内、安定性(ラジカル重合速度)の観点から、(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステルが好ましく、更に好ましくはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートである。
安定剤の添加量は、熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)100重量部に対して、好ましくは0~20重量部、更に好ましくは1~15重量部である。
ブロッキング防止剤(粉体流動性向上剤)としては、公知の無機系ブロッキング防止剤及び有機系ブロッキング防止剤等を使用することができる。無機系ブロッキング防止剤としてはシリカ、タルク、酸化チタン及び炭酸カルシウム等が挙げられる。有機系ブロッキング防止剤としては粒子径10μm以下の熱硬化性樹脂(熱硬化性ポリウレタン樹脂、グアナミン系樹脂及びエポキシ系樹脂等)及び粒子径10μm以下の熱可塑性樹脂[熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂及びポリ(メタ)アクリレート樹脂等]等が挙げられる。
ブロッキング防止剤(流動性向上剤)の添加量は、熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)100重量部に対して、好ましくは0~5重量部、更に好ましくは0.5~1重量部である。
添加剤(Z)の添加量の合計値は、熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)100重量部に対して、0.01~50重量部が好ましく、更に好ましくは1~30重量部である。
[熱可塑性樹脂組成物の製造方法]
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、粉粒状の熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)と粉粒状の酸変性ポリオレフィン(Y)とを混合する工程(以下「混合工程」ともいう)を含む。
混合工程は、(1)粉粒状の熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)、粉粒状の酸変性ポリオレフィン(Y)、および必要により添加成分(Z)を一括混合する方法(一括法);(2)(X)の一部、(Y)の全量、および必要により(Z)の一部もしくは全量を混合して高濃度の(X)を含有するマスターバッチ組成物を一旦作成し、その後残りの(X)および必要により(Z)の残りを加えて混合する方法(マスターバッチ法)などにより行いうる。
熱可塑性樹脂組成物が添加剤(Z)を含む場合、添加剤(Z)は、熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)を製造する前の原料中、ウレタンプレポリマー(Up)製造後、熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)製造後のいずれの段階で添加してもよいが、添加剤(Z)が可塑剤、離型剤又はブロッキング防止剤(粉体流動性向上剤)である場合は熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)製造後に添加することが好ましい。
混合工程において用いる混合装置としては、公知の粉体混合装置を使用でき、容器回転型混合機、固定容器型混合機及び流体運動型混合機のいずれも使用できる。例えば固定容器型混合機としては高速流動型混合機、複軸パドル型混合機、高速剪断混合装置[ヘンシエルミキサ(登録商標)等]、低速混合装置(プラネタリーミキサー等)及び円錐型スクリュー混合機[ナウタミキサ(登録商標、以下省略)等]が挙げられ、これらの中で好ましいのは、複軸パドル型混合機、低速混合装置(プラネタリーミキサー等)及び円錐型スクリュー混合機(ナウタミキサ等)である。
[成形体]
本発明の成形体は本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる。上述したように本発明の熱可塑性樹脂組成物は組成物の重量に基づき1~50重量%の酸変性ポリオレフィンを含んでいるので、当該組成物を成形してなる成形体はポリオレフィン樹脂との接着性に優れる。
成形体の成形方法としては、射出成形、圧縮成形、カレンダ成形、スラッシュ成形、回転成形、押出成形、ブロー成形及びフィルム成形(キャスト法、テンター法及びインフレーション法等)等が挙げられ、目的に応じて単層成形、多層成形あるいは発泡成形等の手段も取り入れた任意の方法で成形できる。成形体の形態としては、板状、シート状、フィルム及び繊維(不織布等も含む)等が挙げられる。
本発明の成形体は、塗装及び印刷のいずれか一方または両方が施されていても良い。
成形体を塗装する方法としては、例えばエアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、静電スプレー塗装、浸漬塗装、ローラー塗装及び刷毛塗り等が挙げられる。
塗料としては、例えば、ポリエステルメラミン樹脂塗料、エポキシメラミン樹脂塗料、アクリルメラミン樹脂塗料及びアクリルウレタン樹脂塗料等のプラスチックの塗装に用いられる塗料が挙げられ、これらのいわゆる極性の比較的高い塗料でも、また極性の低い塗料(オレフィン系等)でも使用することができる。
塗装膜厚(乾燥膜厚)は、目的に応じて適宜選択することができるが、好ましくは10~50μmである。
成形体または塗装を施した成形体にさらに印刷する方法としては、プラスチックの印刷に用いられている印刷法であればいずれも用いることができ、例えばグラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、ドライオフセット印刷およびオフセット印刷等が挙げられる。
印刷インキとしてはプラスチックの印刷に用いられるもの、例えばグラビアインキ、フレキソインキ、スクリーンインキ、パッドインキ、ドライオフセットインキおよびオフセットインキが使用できる。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中の部は重量部、%は重量%を表す。
<評価方法>
[熱可塑性ウレタンウレア樹脂のMnの測定方法]
熱可塑性ウレタンウレア樹脂のMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて以下の条件で測定した。
・装置:「HLC-8320」[東ソー(株)製]
・カラム:「TSKgel Guardcolumn α」、「TSKgel α-M」[東ソー(株)製]
・測定温度:40℃
・試料溶液:0.125重量%のN,N-ジメチルホルムアミド溶液
・溶液注入量:100μl
・検出装置:屈折率検出器
・基準物質:標準ポリスチレン(TSKstandardPOLYSTYRENE)12点(分子量589、1,050、2,630、5,970、9,100、19,500、37,900、96,400、190,000、427,000、1,090,000、2,110,000)[東ソー(株)製]
尚、Mnの測定には、試料をN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液として用いた。
[ポリオレフィンおよび酸変性ポリオレフィンのMnの測定方法]
ポリオレフィン及び酸変性ポリオレフィンのMnは、高温ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて以下の条件で測定した。
・装置:「AllianceGPCV2000」[Waters(株)製]
・カラム固定相:PLgel 10μm、MIXED-B 2本直列[ポリマーラボラトリーズ(株)製]
・カラム温度:135℃
・検出装置:屈折率検出器
・溶媒:オルトジクロロベンゼン
・基準物質:ポリスチレン
・試料濃度:3mg/ml
[体積平均粒子径の測定方法]
熱可塑性ウレタンウレア樹脂および酸変性ポリオレフィンの体積平均粒子径は以下の方法により測定した。
レーザー回折式粒子径分布測定装置[日機装(株)製「MicrotracMT3000II」]を用いて測定を行い、得られた相対累積粒子径分布曲線において累積量が50%のときの粒子径(d50)を体積平均粒子径とした。
[ポリオレフィン樹脂との接着力の測定]
(測定用の試料の作製)
(i)ポリオレフィン樹脂としてポリプロピレン製のプレート[日本テストパネル(株)製のPP標準試験板(幅25mm、長さ100mm、厚み2mm)、以下「PPプレート」という]を準備した。実施例および比較例で作製したシート(スペーサを使用して成形したもの)を幅25mm、長さ100mmの長方形状に切り出して、測定用試料の作製に用いるシート片とした。
(ii)PPプレートを200℃の鉄板に置き、当該PPプレートの上に1.5kgの鉄製のおもりを置き、20分間加熱した後、おもりを取り除いた。
(iii)シート片を、PPプレートの、当該PPプレートを長手方向において二分する領域(つまり幅25mm長さ50mmの長方形状の領域)の上に重ねて積層体を得た。当該積層体において、シート片はPPプレートと幅25mm長さ50mmの長方形状の領域で重なっているが、残りの領域では重なっていない。同様にPPプレートはシート片と幅25mm長さ50mmの長方形状の領域で重なっているが、残りの領域では重なっていない。
(iv)積層体を2枚の鉄板で挟み1MPaの圧力を10秒間かけた。このとき、上側(シート片側)の鉄板として、100℃の鉄板を用い、下側(PPプレート側)に200℃の鉄板を用いた。
(v)積層体にかけていた圧力を開放し、積層体を取り出して、室温となるまで室温下で冷却し測定用の試料を得た。測定用の試料の長手方向の中央の領域は、PPプレートとシート片とが重なり合う領域であり、当該領域においては、PPプレートとシート片とが接着している。当該中央領域(接着部分)を挟む2つの領域、すなわち、測定用の試料の長手方向の端部を含む2つの領域は、PPプレートのみの領域(PPプレート領域)と、シート片のみの領域(シート片領域)である。測定用の試料は、実施例および比較例ごとに3つずつ作製した。
(接着力の測定)
プッシュプルゲージを用い、以下の手順に従い、各例のシートとPPプレートとの接着力を測定した。
測定用の試料を、PPプレートよりもシート片が上側となるように配置し、測定用の試料の長手方向の端部であってシート片領域の端部にホフマンピンチコックを取り付けた。測定用の試料の温度を25±5℃の状態に調整し、プッシュプルゲージのフックをホフマンピンチコックに引っ掛けた。次に、引張速度約600mm/分で、シート片の上面と、PPプレートの上面とのなす角度が135°となるように、プッシュプルゲージを引っ張り、接着部分の中央部(測定用試料の長手方向における中央部)を離型しているときのプッシュプルゲージの値を読み取った。実施例および比較例ごとに、3つの測定用試料の測定を行い、平均値を算出して各例のシートとポリオレフィンの接着力とした。なお、接着力の測定中にシートの破断が発生したときは、破断が発生したときのプッシュプルゲージの接着力とした。結果を表1に示す。
[引張強度]
実施例および比較例で作製したシート(スペーサを使用しないで成形したもの)について、1号ダンベルを用いて、試験速度200mm/分で破断するまで引っ張り、破断した時の強度を測定した。結果を表1に示す。
[伸びの測定]
上述の引張試験を行った時の破断時の最大伸び率を測定した。結果を表1に示す。
[製造例1:熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X-1)の製造]
温度計、撹拌機及び窒素吹込み管を備えた反応容器に、ポリエステルジオール(a1)としてのMnが2300ポリエチレンイソフタレート282.9部及びポリエステルジオール(a1)としてのMnが1,000のポリブチレンアジペート424.4部、モノオール(c)としてのベンジルアルコール9.34部並びに低分子ジオール(b)としての1,4-ブタンジオール5.88部を仕込み、窒素置換した後、撹拌しながら110℃に加熱して溶融させ、50℃まで冷却した。続いて、有機溶媒としてのメチルエチルケトン150.0部及び有機ジイソシアネート(e)としてのヘキサメチレンジイソシアネート132.0部を投入し、90℃で6時間反応させた。次いで、70℃に冷却した後、安定剤としてのイルガノックス1010[チバスペシャリティーケミカルズ(株)社製]1.4部を加え、均一に混合してウレタンプレポリマー(Up-1)の溶液を得た。得られたプレポリマー溶液のイソシアネート基含有量は、1.63%であった。続いて、反応容器に、分散安定剤としてのサンスパールPS-8[三洋化成工業(株)製]5.9部を水152部に溶解した水溶液157.9部と有機溶媒としてのメチルエチルケトン37.1部を加えて20℃で均一に撹拌後、ウルトラディスパーサー[ヤマト科学(株)製]を用いて周速23m/s(回転数:10,000rpm)の攪拌下にジアミン(d)としてのヘキサメチレンジアミン1.7部を加え1分間混合した。続いて、75℃に温調したプレポリマー(Up-1)の溶液103.3部を投入し、周速23m/sで2分間混合し後、混合物を温度計、撹拌機及び窒素吹込み管を備えた反応容器に移し、窒素置換し、撹拌しながら50℃で10時間反応させた。反応終了後、濾別及び乾燥を行い、熱可塑性ウレタンウレア樹脂(U-1)を得た。
得られた熱可塑性ウレタンウレア樹脂(U-1)は粉粒状であり、その体積平均粒子径は205μm、Mnは25000であった。
[製造例2:酸変性ポリオレフィン(Y-1)の製造]
(P2-1)ポリオレフィン(Y1-1)の製造
反応容器に、プロピレン、エチレンを構成単位[重量比(エチレン単位)/(プロピレン単位)が3/97]とするメタロセン触媒を使用したポリオレフィン(Y0-1)[商品名「ウインテックWFX6」、日本ポリプロ(株)製、Mn:130,000]100部を仕込み、気相部分に窒素を通気しながら、マントルヒーターにて加熱溶融し、撹拌しながら360℃で20分間熱減成を行い、ポリオレフィン(Y1-1)を得た。(Y1-1)は、炭素1,000個当たりの分子末端の二重結合数は3.5個、Mnは4,000であった。
(P2-2)酸変性ポリオレフィンの製造
反応容器に(Y1-1)100部、無水マレイン酸(Y2-1)3部を仕込み、窒素置換後、窒素通気下に180℃まで加熱昇温して均一に溶解させた。ここにラジカル開始剤[ジクミルパーオキサイド、商品名「パークミルD」、日油(株)製](E-1)0.5部をキシレン5部に溶解させた溶液を5分間で滴下した後、キシレン還流下1時間撹拌を続けた。その後、減圧下(1.5kPa、以下同じ。)で未反応の無水マレイン酸を留去して、酸変性ポリオレフィンを得た。酸変性ポリオレフィンの酸価は17、Mnは10,000であった。
(P2-3)粉粒状の酸変性ポリオレフィンの製造
(P2-2)で製造した酸変性ポリオレフィンを、遠心噴霧アトマイザーを用いて、噴霧樹脂温度230℃、噴霧盤回転数8500RPMの条件で、粉粒状とした。得られた粉粒状の酸変性ポリオレフィン(Y-1)の体積平均粒子径は200μmであった。
[実施例1]
(1-1)熱可塑性樹脂組成物の製造
製造例1で得た粉粒状の熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X-1)95部と、製造例2で得た粉粒状の酸変性ポリオレフィン(Y-1)5部とをポリ袋内に入れて、袋を手でもむことにより混合し、熱可塑性樹脂組成物を得た。
(1-2)成形体の製造
(1-1)で製造した、熱可塑性樹脂組成物を180℃、60秒、5MPaの条件で、1mmのスペーサーを使用してプレス成型し、シート状の成形体(シート)を得た。得られたシートについて、ポリオレフィン樹脂との接着力の評価を行った。
また、(1-1)で製造した、熱可塑性樹脂組成物を180℃、60秒、5MPaの条件で、スペーサーを使用せずプレス成型し、シート状の成形体(シート)を得た。得られたシートについて、引張強度、伸びの評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例2~7]
実施例1の(1-1)において、熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X-1)の量及び酸変性ポリオレフィン(Y-1)の量を表1に記載の量にしたこと以外は実施例1と同じ操作を行って熱可塑性樹脂組成物を製造し、当該組成物を用いてシートを得た。得られたシートについて、ポリオレフィン樹脂との接着力、引張強度、伸びの評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1の(1-1)において、熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X-1)を100部用い、酸変性ポリオレフィン(Y-1)を用いなかったこと以外は実施例1と同じ操作を行って、熱可塑性ウレタンウレア樹脂のみからなるシートを得た。得られたシートについて、ポリオレフィン樹脂との接着力、引張強度、伸びの評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2022027578000001
表1に示すように、酸変性ポリオレフィンを5重量%以上含む熱可塑性樹脂組成物を用いた実施例1~7のシートは、比較例1よりもポリオレフィン樹脂との接着性に優れるという結果が得られた。この結果から、本発明によれば、特別な処理を行わなくても、ポリオレフィン樹脂との接着性を向上させることができるということがわかった。

Claims (7)

  1. 粉粒状の熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)及び粉粒状の酸変性ポリオレフィン(Y)を含む熱可塑性樹脂組成物であって、
    酸変性ポリオレフィン(Y)の含有量が熱可塑性樹脂組成物の重量に基づき1~50重量%である熱可塑性樹脂組成物。
  2. 酸変性ポリオレフィン(Y)の含有量が熱可塑性樹脂組成物の重量に基づき3~15重量%である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 酸変性ポリオレフィン(Y)が無水マレイン酸で変性されたポリオレフィンである請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)の体積平均粒子径が50μm~5000μmである請求項1~3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 酸変性ポリオレフィン(Y)の体積平均粒子径が50μm~5000μmである請求項1~4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、
    粉粒状の熱可塑性ウレタンウレア樹脂(X)と粉粒状の酸変性ポリオレフィン(Y)とを混合する工程を含む熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  7. 請求項1~5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。
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