JP2022023656A - コネクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】ハウジングの端子収容室への端子の挿入性に優れたコネクタを提供すること。【解決手段】コネクタ1は、端子収容室12を有するハウジング2と、端子収容室12に収容される端子3と、ハウジング2に組み付けられるフロントホルダ4と、を備える。フロントホルダ4は、端子収容室12に連通するように配置されて端子3を受け入れる内部空間36を有する。端子収容室12の内壁面16及び内部空間36の内壁面38は、端子3の挿入方向において一方が他方に向けて突出する凸部16aを有し且つ他方が一方に対して窪む凹部38aを有する凹凸嵌め合い構造を有する。中途挿入位置に端子3があるとき、凸部16aの突出端と凹部38aの開口端とが近接配置され、正規挿入位置に端子3があるとき、凸部16aと凹部38aとが嵌め合わされる。【選択図】図6

Description

本発明は、ハウジングと、ハウジングの端子収容室に収容される端子と、ハウジングに組み付けられるフロントホルダと、を備えるコネクタに関する。
従来から、ハウジングの端子収容室に端子が収容されたコネクタが提案されている。例えば、従来のコネクタの一つは、端子収容室に挿入された端子を正規挿入位置に係止する係止片(いわゆるランス)をハウジングに設け、この係止片で端子を係止することで、端子収容室内に端子を固定するようになっている。更に、この従来のコネクタは、ハウジングに組み付けられるフロントホルダにより、端子を係止した係止片が意図せず端子から離れることを抑制するようになっている(例えば、特許文献1を参照)。
特許第6164433号公報
ところで、上述した従来のコネクタでは、端子が正規挿入位置に至るまでの中途挿入位置にあるとき、フロントホルダは、ハウジングへの完全な組み付け状態(いわゆる本係止状態)に至る前段階である仮の組み付け状態(いわゆる仮係止状態)にある。この仮係止状態では、ハウジングとフロントホルダとの間に若干の隙間があり、端子収容室に挿入さている途中の中途挿入位置にある端子が、この隙間に入り込む場合がある。このような隙間への端子の入り込みが生じると、端子を正規挿入位置まで進めることが困難になり、端子を端子収容室から一旦抜き出して再度挿入する作業が求められる可能性がある。端子収容室に端子を挿入する作業の作業性を高める観点からは、このような隙間への端子の入り込みを出来る限り抑制することが望ましい。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的はハウジングの端子収容室への端子の挿入性に優れたコネクタを提供することにある。
前述した目的を達成するために、本発明に係るコネクタは、下記[1]~[3]を特徴としている。
[1]
端子収容室を有するハウジングと、前記端子収容室に収容される端子と、前記ハウジングに組み付けられるフロントホルダと、を備えるコネクタであって、
前記ハウジングは、
前記端子を正規挿入位置に係止する係止片を有し、
前記フロントホルダは、
前記端子収容室に連通するように配置されて前記端子を受け入れる内部空間を有するとともに、前記端子が前記正規挿入位置にあるときには前記係止片に干渉することなく前記ハウジングへの組み付けが可能であり且つ前記端子が前記正規挿入位置に至るまでの中途挿入位置にあるときには前記係止片に干渉して前記ハウジングへの組み付けが妨げられる、ように構成され、
前記端子収容室の内壁面及び前記内部空間の内壁面は、
前記端子の挿入方向において一方が他方に向けて突出する凸部を有し且つ他方が一方に対して窪む凹部を有する凹凸嵌め合い構造を有するとともに、前記中途挿入位置に前記端子があるとき、前記凸部の突出端と前記凹部の開口端とが近接配置され、前記正規挿入位置に前記端子があるとき、前記凸部と前記凹部とが嵌め合わされる、ことが可能に構成される、
コネクタであること。
[2]
上記[1]に記載のコネクタにおいて、
前記端子収容室の内壁面及び前記内部空間の内壁面は、
前記中途挿入位置に前記端子があるとき、前記凸部の前記突出端と前記凹部の前記開口端とが前記挿入方向において同位置に配置される又は前記凸部の前記突出端が前記凹部の溝内に入るように配置される、ことが可能に構成される、
コネクタであること。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載のコネクタにおいて、
前記ハウジングは、
前記係止片に向かい合う前記端子収容室の前記内壁面に、前記凸部及び前記凹部の一方を有し、
前記フロントホルダは、
前記係止片に向かい合う前記内部空間の前記内壁面に、前記凸部及び前記凹部の他方を有する、
コネクタであること。
上記[1]の構成のコネクタによれば、ハウジングの端子収容室に挿入される端子は、端子収容室を経て、端子収容室に連通するフロントホルダの内部空間に入り込むように移動する。ここで、端子が中途挿入位置にあるとき、端子収容室の内壁面及び内部空間の内壁面が有する凸部及び凹部は、凹凸嵌め合い構造(いわゆるインロー構造)を有し、凸部の突出端と凹部の開口端とが近接配置されるようになっている。これにより、上述した従来のコネクタに比べ、ハウジングとフロントホルダとの間の隙間が実質的に小さくなり、その隙間に端子が入り込むことが抑制される。更に、端子が正規挿入位置に到達した後、凸部と凹部とが嵌め合わされながらハウジングとフロントホルダとが組み付けられるため、凸部及び凹部がハウジングとフロントホルダとの組み付けを妨げることはない。したがって、本構成のコネクタは、ハウジングの端子収容室への端子の挿入性に優れている。
上記[2]の構成のコネクタによれば、端子を端子収容室に収容する途中段階(すなわち、端子が中途挿入位置にあるとき)において、凸部の突出端と凹部の開口端との間の隙間を実質的に無くすことができる。よって、その隙間に端子が入り込むことをより確実に抑制できる。したがって、本構成のコネクタは、ハウジングの端子収容室への端子の挿入性に更に優れている。
上記[3]の構成のコネクタによれば、ハウジングの係止片(例えば、いわゆるランス)に向かい合う位置に、上述した凸部と凹部との凹凸嵌め合い構造が構成される。これにより、端子と係止片との係止の際、係止片から離れる向きの力が係止片から端子に及ぼされたとしても、ハウジングとフロントホルダとの間の隙間に入り込むことが抑制される。したがって、本構成のコネクタは、ハウジングの端子収容室への端子の挿入性を更に向上できる。
本発明によれば、ハウジングの端子収容室への端子の挿入性に優れたコネクタを提供できる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
図1は、相手側コネクタとの嵌合途中の状態にある本発明の実施形態に係るコネクタを示す斜視図である。 図2は、図1に示すコネクタの斜視図である。 図3は、図1に示すコネクタの分解斜視図である。 図4は、図3に示すハウジング及びフロントホルダが分離した状態を示す斜視図(一部は断面図)である。 図5は、ハウジングに対してフロントホルダが本係止位置に係止された状態を示す図4に対応する図である。 図6(a)は、フロントホルダが仮係止位置にあるときの凹凸嵌め合い構造の周囲を拡大して示す斜視図であり、図6(b)は、フロントホルダが本係止位置にあるときにおける図6(a)に対応する図である。 図7(a)は、フロントホルダが仮係止位置にあり且つ端子が挿入途中の状態における図3に示すハウジングの主要縦断面図であり、図7(b)は、図7(a)に示す状態から端子を正規挿入位置まで挿入した状態における図7(a)に対応する図であり、図7(c)は、図7(b)に示す状態からフロントホルダを本係止位置に移動した状態における図7(b)に対応する図である。
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、図1~図3に示す本発明の実施形態に係るコネクタ1について説明する。以下、説明の便宜上、以下、説明の便宜上、図1に示すように、「前後方向」、「幅方向」、「上下方向」、「前」、「後」、「上」及び「下」を定義する。「前後方向」、「幅方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。前後方向は、コネクタ1と相手側コネクタ5(図1参照)との嵌合方向と一致しており、相手側コネクタ5が嵌合する嵌合方向の正面側(図1において左側)が前側とされ、その反対の嵌合方向の背面側(図1において右側)が後側とされている。
図3に示すように、コネクタ1は、ハウジング2と、ハウジング2に後側から収容される端子3と、ハウジング2に前側から装着されるフロントホルダ4、とを含む。以下、コネクタ1を構成する各部品の構成について順に説明する。
先ず、端子3について説明する。図3に示すように、端子3は、前後方向に延びる形状を有する金属製の端子(メス端子)であり、前後方向に延びる矩形箱状の箱部21と、箱部21の後側に位置する加締め部22と、を一体に有する。箱部21には、相手側コネクタ5の前後方向に延びる相手側端子(オス端子)43(図1参照)が挿入されることになる。加締め部22には、電線(図示省略)の端末が加締め固定されている。
次いで、ハウジング2について説明する。図3に示すように、樹脂製のハウジング2は、略矩形筒状のハウジング本体11を備える。ハウジング本体11が相手側コネクタ5の相手側ハウジング41が有する矩形筒状のフード部42(図1参照)に内挿されることで、ハウジング2と相手側ハウジング41とが(即ち、コネクタ1と相手側コネクタ5とが)嵌合するようになっている。
ハウジング本体11の内部には、図3~図5に示すように、端子3を収容するための複数の端子収容室12が前後方向に延びるように形成されている。本例では、複数の端子収容室12が上下2段で幅方向に並ぶように設けられている。各端子収容室12は、前後方向に延び且つ断面略矩形状の空間である。
端子3は、後側から端子収容室12に挿入される(図7(a)参照)。コネクタ1と相手側コネクタ5との嵌合時、端子収容室12に収容されている端子3の箱部21に相手側コネクタ5の相手側端子43が挿入されることで、端子3と相手側端子43とが電気的に接続されることになる。
本例では、各端子収容室12について、前後方向において、端子収容室12を区画する上内壁の前端部の位置と、端子収容室12を区画する下内壁の前端部の位置とが、ほぼ一致している(図4、図5及び図7参照)。上段の端子収容室12を区画する下内壁は、下段の端子収容室12を区画する上内壁を兼ねている。
各端子収容室12には、図4、図5及び図7に示すように、片持ち梁状の係止片であるランス14が、端子収容室12を区画する上内壁の前端部から、前方へ延びるように設けられている。ランス14は、端子収容室12の上内壁面13(前後方向に延びる平面)から下側(端子収容室12の内側)に向けて斜めに延びている。
ランス14の上側には隙間15が確保されている。このため、ランス14は、弾性変形していない正規の姿勢(図4、図5及び図7に示す姿勢)から、隙間15を狭めるように上側に弾性変形可能となっている。ランス14は、端子収容室12に収容されている端子3の後方側への抜けを防止する等の機能を発揮する(詳細は後述する)。
各端子収容室12について、端子収容室12を区画する下内壁の前端面には、図4~図6に示すように、当該前端面の幅方向中央部にて前方に突出する直方体状の突出部17が形成されている。この結果、端子収容室12の下内壁面16の前端縁には、当該前端縁の幅方向中央部にて前方に突出する矩形状の凸部16aが形成されている(図6参照)。凸部16aは、フロントホルダ4の後述する凹部38aとで、凹凸嵌め合い構造(いわゆるインロー構造)を構成している。この点について、詳細は後述する。
ハウジング本体11の上端面の幅方向中央部には、図3に示すように、片持ち梁状のロックアーム18が、後方へ延びるように設けられている。ロックアーム18にはロック突起19が設けられている。コネクタ1と相手側コネクタ5との嵌合時、ロック突起19は、相手側ハウジング41のフード部42に設けられたロック部(図示省略)と係合することで、コネクタ1と相手側コネクタ5との嵌合状態を維持する機能を果たす。
次いで、フロントホルダ4について説明する。フロントホルダ4は、ハウジング本体11に前側から挿入されて、端子3の中途挿入を検知する等の機能を発揮する部材である。樹脂製のフロントホルダ4は、図3に示すように、上下方向及び幅方向に延びる略矩形平板状の前壁部31と、前壁部31の幅方向両端部から後方に延び且つ幅方向に対向する一対の略矩形平板状の側壁部32と、を一体に備える。
フロントホルダ4は、更に、図4、図5及び図7に示すように、一対の側壁部32間にて上下方向に同じ間隔を空けて並ぶように前壁部31から後方に延びる3つの略矩形平板状の隔壁部33、を一体に備える。以下、3つの隔壁部33を区別する必要がある場合、上から順に、隔壁部33a、隔壁部33b、隔壁部33cと呼ぶ。
3つの隔壁部33の間には、上下2段で幅方向に並ぶように配置された複数の端子収容室12に対応して、図4、図5及び図7に示すように、上下2段で幅方向及び前後方向に延びる2つの保持室36が形成されている。各保持室36は、端子3を受け入れて保持する機能を果たす空間である。各保持室36を区画する上内壁面37と下内壁面38との上下方向の間隔(即ち、保持室36の高さ)は、端子3の箱部21の高さと略一致している。
各保持室36について、保持室36を区画する下内壁の後端面には、図4~図6に示すように、当該後端面の幅方向中央部にて前方に窪む直方体状の窪み部39が形成されている。この結果、保持室36の下内壁面38の後端縁には、当該後端縁の幅方向中央部にて前方に窪む矩形状の凹部38aが形成されている(図6参照)。
前壁部31には、図2、図3及び図7に示すように、上下2段で幅方向に並ぶように配置された複数の端子収容室12に対応して、前後方向に貫通する複数の挿通孔34が、上下2段で幅方向に並ぶように形成されている。コネクタ1と相手側コネクタ5との嵌合時、挿通孔34には、相手側コネクタ5の相手側端子43(図1参照)が挿通されることになる。
一対の側壁部32の各々には、図3に示すように、係止突起35が形成されている。一対の係止突起35は、ハウジング本体11に装着されたフロントホルダ4を、ハウジング本体11が有する係止部(図示省略)との協働によって、仮係止位置(図7(a)及び図7(b)参照)と、仮係止位置より後方の本係止位置(図7(c)、図2及び図5参照)と、に選択的に係止する機能を果たす。以上、コネクタ1を構成する各部品の構成について説明した。
次いで、コネクタ1を組み付ける際の手順について説明する。先ず、フロントホルダ4を、前側から、ハウジング2のハウジング本体11の前端開口を介してハウジング本体11の内部に挿入し、図7(a)に示すように、仮係止位置に係止する。
フロントホルダ4が仮係止位置にある状態では、隔壁部33aの後端部が上段の端子収容室12を区画する上内壁の前端部と前後方向に対向配置され、隔壁部33bの後端部が上段の端子収容室12を区画する下内壁(=下段の端子収容室12を区画する上内壁)の前端部と前後方向に近接配置され、隔壁部33cの後端部が下段の端子収容室12を区画する下内壁の前端部と前後方向に近接配置されている。
この結果、上下2段の端子収容室12と上下2段の保持室36とがそれぞれ、前後方向に連通している。加えて、図6(a)に示すように、各保持室36の下内壁面38の凹部38aの開口端と、対応する端子収容室12の下内壁面16の凸部16aの突出端とが、近接配置されている。より具体的には、図6(a)に示すように、凹部38aの開口端と凸部16aの突出端とは、端子3の挿入方向において、端子3の先端部が入り込むことが困難な程度の僅かな隙間を開けて配置されている。このため、このような凸部16aと凹部38aとからなる凹凸嵌め合い構造を有さない場合と比べて、保持室36の下内壁面38と端子収容室12の下内壁面16との境界部に形成される隙間が実質的に小さくなっている。
更に、フロントホルダ4が仮係止位置にあるとき、ランス14と隔壁部33a,33bの後端部との干渉が生じない状態で、フロントホルダ4を図6(a)に示す位置よりも更にハウジング2に近づけるように配置することも可能である。具体的には、フロントホルダ4は、凸部16aの突出端と凹部38aの開口端とが端子3の挿入方向において同位置に配置される程度にハウジング2に近づけることも可能であるし、凸部16aの突出端が凹部38aの溝(窪み部39)内に入るように配置される程度にハウジング2に近づけることも可能である。これにより、保持室36の下内壁面38と端子収容室12の下内壁面16との境界部に形成される隙間を更に小さくすることができる。
次いで、電線(図示省略)が加締め部22に接続された端子3を、後側から、端子収容室12に挿入する(図7(a)参照)。挿入された端子3の箱部21は、端子収容室12の下内壁面16上を擦動しながら前方へ移動し、上記境界部に到達する(図7(a)参照)。このとき、上述したように、上記境界部に形成される隙間が小さいので、この隙間に端子3の箱部21が入り込むことが抑制される。端子3の箱部21は、上記境界部に到達した後、上記境界部上を擦動しながら前方へ移動して、保持室36に進入する。
保持室36に進入した端子3が、正規挿入位置に至るまでの中途挿入位置にあるとき(箱部21がランス14の下側にあるとき)、箱部21がランス14を上側に押し上げることで、ランス14は上側に弾性変形した姿勢(隙間15が狭められた状態)に維持される。
保持室36内を前方に移動する端子3が、図7(b)に示すように、正規挿入位置に到達したとき(箱部21がランス14の下側を通り過ぎたとき)、ランス14が端子3の角部(具体的には、箱部21の後上角部)に入り込むことで、ランス14が下向きに弾性復帰して正規の姿勢(図7(b)に示す姿勢)に維持される。この結果、ランス14は、端子3の角部を係止することで、端子3の後方側への抜け止め機能を発揮する。
このように、正規挿入位置にある端子3の箱部21は、保持室36内にて、保持室36の上内壁面37と下内壁面38とによって上下方向に挟まれた状態で保持されている。この結果、端子収容室12内での端子3の位置ズレ(いわゆるガタつき)が抑制され得る。
所望の個数の端子3が、順に、ハウジング2の対応する端子収容室12に挿入されて正規挿入位置に収容されていく。所望の個数の端子3の正規挿入位置への収容が完了すると、仮係止位置にあるフロントホルダ4を本係止位置に向けてハウジング2に対して後方に押し込む。
ここで、端子収容室12に挿入された全ての端子3が正常に正規挿入位置にある場合、複数の端子収容室12の全てのランス14が、正規の姿勢(図7(b)に示す姿勢)に維持されている。このため、フロントホルダ4の上下2つの隔壁部33a,33bの後端部が、上下2段のランス14と干渉することなく上下2段の隙間15にそれぞれ進入可能となっている。よって、この場合、上下2つの隔壁部33a,33bの後端部が上下2段の隙間15にそれぞれ進入することで、フロントホルダ4が、仮係止位置から本係止位置に移動し、本係止位置にて係止される(図7(c)参照)。これにより、コネクタ1の組み付けが完了する(図2参照)。
フロントホルダ4が本係止位置にある状態では、隔壁部33が隙間15に進入していることで、ランス14の上側(端子3から離れる側)への移動が規制される。これにより、ランス14と端子3との係止に関して所謂2重係止が達成されて、端子3の後方側への抜けがより確実に防止され得る。加えて、図6(b)に示すように、各保持室36の下内壁面38の凹部38aに、対応する端子収容室12の下内壁面16の凸部16aが進入することで、凸部16aと凹部38aとが嵌め合わされる。このため、凸部16a及び凹部38aがフロントホルダ4の仮係止位置から本係止位置への移動を妨げることはない。
一方、端子収容室12に挿入された端子3のうちの一部が中途挿入位置にある場合、中途挿入位置にある端子3を収容する端子収容室12(以下、中途挿入端子収容室12と呼ぶ)のランス14が、上側に弾性変形した姿勢(隙間15が狭められた状態)に維持される。このため、中途挿入端子収容室12のランス14の先端部が対応する隔壁部33の後端部と干渉して、対応する隔壁部33が中途挿入端子収容室12のランス14に対応する隙間15に進入不能となる。この結果、フロントホルダ4は、仮係止位置から本係止位置に移動できない。このように、フロントホルダ4が仮係止位置から本係止位置に移動不能であることで、端子3の中途挿入を検知することができる。
組み付けが完了したコネクタ1は、図1に示すように、相手側コネクタ5と嵌合される。コネクタ1と相手側コネクタ5との嵌合が完了した状態では、端子収容室12に収容されている端子3の箱部21に相手側コネクタ5の相手側端子43が挿入されることで、端子3と相手側端子43とが電気的に接続される。加えて、ハウジング2のロック突起19と相手側ハウジング41のロック部(図示省略)とが係合することで、コネクタ1と相手側コネクタ5との嵌合状態が維持される。
<作用・効果>
以上、本実施形態に係るコネクタ1によれば、ハウジング2の端子収容室12に挿入される端子3は、端子収容室12を経て、端子収容室12に連通するフロントホルダ4の保持室36に入り込むように移動する。ここで、端子3が中途挿入位置にあるとき、端子収容室12の下内壁面16及び保持室36の下内壁面38が有する凸部16a及び凹部38aは、凹凸嵌め合い構造(いわゆるインロー構造)を有し、凸部16aの突出端と凹部38aの開口端とが近接配置されるようになっている。これにより、上述した従来のコネクタに比べ、保持室36の下内壁面38と端子収容室12の下内壁面16との境界部の隙間が実質的に小さくなり、その隙間に端子3が入り込むことが抑制される。更に、端子3が正規挿入位置に到達した後、凸部16aと凹部38aとが嵌め合わされながらハウジング2とフロントホルダ4とが組み付けられるため、凸部16a及び凹部38aがハウジング2とフロントホルダ4との組み付けを妨げることはない。したがって、本実施形態に係るコネクタ1は、ハウジング2の端子収容室12への端子3の挿入性に優れている。
更に、本実施形態に係るコネクタ1によれば、ハウジング2のランス14に向かい合う位置に、凸部16aと凹部38aとの凹凸嵌め合い構造が構成される。これにより、端子3とランス14との係止の際、ランス14から離れる向きの力(下向きの力)がランス14から端子3に及ぼされたとしても、端子3が上記境界部の隙間に入り込むことが抑制される。したがって、本実施形態に係るコネクタ1は、ハウジング2の端子収容室12への端子3の挿入性を更に向上できる。
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
上記実施形態では、端子収容室12の下内壁面16が有する凸部16aと、保持室36の下内壁面38が有する凹部38aとにより凹凸嵌め合い構造が形成されている。これに対し、端子収容室12の下内壁面16が有する凹部と、保持室36の下内壁面38が有する凸部とにより凹凸嵌め合い構造が形成されていてもよい。
ここで、上述した本発明に係るコネクタ1の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[3]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
端子収容室(12)を有するハウジング(2)と、前記端子収容室(12)に収容される端子(3)と、前記ハウジング(2)に組み付けられるフロントホルダ(4)と、を備えるコネクタ(1)であって、
前記ハウジング(2)は、
前記端子(3)を正規挿入位置に係止する係止片(14)を有し、
前記フロントホルダ(4)は、
前記端子収容室(12)に連通するように配置されて前記端子(3)を受け入れる内部空間(36)を有するとともに、前記端子(3)が前記正規挿入位置にあるときには前記係止片(14)に干渉することなく前記ハウジング(2)への組み付けが可能であり且つ前記端子(3)が前記正規挿入位置に至るまでの中途挿入位置にあるときには前記係止片(14)に干渉して前記ハウジング(2)への組み付けが妨げられる、ように構成され、
前記端子収容室(12)の内壁面(16)及び前記内部空間(36)の内壁面(38)は、
前記端子(3)の挿入方向において一方が他方に向けて突出する凸部(16a)を有し且つ他方が一方に対して窪む凹部(38a)を有する凹凸嵌め合い構造を有するとともに、前記中途挿入位置に前記端子(3)があるとき、前記凸部(16a)の突出端と前記凹部(38a)の開口端とが近接配置され、前記正規挿入位置に前記端子(3)があるとき、前記凸部(16a)と前記凹部(38a)とが嵌め合わされる、ように構成される、
コネクタ(1)。
[2]
上記[1]に記載のコネクタにおいて、
前記端子収容室(12)の内壁面及び前記内部空間(36)の内壁面は、
前記中途挿入位置に前記端子(3)があるとき、前記凸部(16a)の前記突出端と前記凹部(38a)の前記開口端とが前記挿入方向において同位置に配置される又は前記凸部(16a)の前記突出端が前記凹部(38a)の溝内に入るように配置される、ことが可能に構成される、
コネクタ(1)。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載のコネクタ(1)において、
前記ハウジング(2)は、
前記係止片(14)に向かい合う前記端子収容室(12)の前記内壁面(16)に、前記凸部及び前記凹部の一方(16a)を有し、
前記フロントホルダ(4)は、
前記係止片(14)に向かい合う前記内部空間(36)の前記内壁面(38)に、前記凸部及び前記凹部の他方(38a)を有する、
コネクタ(1)。
1 コネクタ
2 ハウジング
3 端子
4 フロントホルダ
12 端子収容室
14 ランス(係止片)
16 下内壁面(内壁面)
16a 凸部
36 保持室
38 下内壁面(内壁面)
38a 凹部

Claims (3)

  1. 端子収容室を有するハウジングと、前記端子収容室に収容される端子と、前記ハウジングに組み付けられるフロントホルダと、を備えるコネクタであって、
    前記ハウジングは、
    前記端子を正規挿入位置に係止する係止片を有し、
    前記フロントホルダは、
    前記端子収容室に連通するように配置されて前記端子を受け入れる内部空間を有するとともに、前記端子が前記正規挿入位置にあるときには前記係止片に干渉することなく前記ハウジングへの組み付けが可能であり且つ前記端子が前記正規挿入位置に至るまでの中途挿入位置にあるときには前記係止片に干渉して前記ハウジングへの組み付けが妨げられる、ように構成され、
    前記端子収容室の内壁面及び前記内部空間の内壁面は、
    前記端子の挿入方向において一方が他方に向けて突出する凸部を有し且つ他方が一方に対して窪む凹部を有する凹凸嵌め合い構造を有するとともに、前記中途挿入位置に前記端子があるとき、前記凸部の突出端と前記凹部の開口端とが近接配置され、前記正規挿入位置に前記端子があるとき、前記凸部と前記凹部とが嵌め合わされる、ことが可能に構成される、
    コネクタ。
  2. 請求項1に記載のコネクタにおいて、
    前記端子収容室の内壁面及び前記内部空間の内壁面は、
    前記中途挿入位置に前記端子があるとき、前記凸部の前記突出端と前記凹部の前記開口端とが前記挿入方向において同位置に配置される又は前記凸部の前記突出端が前記凹部の溝内に入るように配置される、ことが可能に構成される、
    コネクタ。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のコネクタにおいて、
    前記ハウジングは、
    前記係止片に向かい合う前記端子収容室の前記内壁面に、前記凸部及び前記凹部の一方を有し、
    前記フロントホルダは、
    前記係止片に向かい合う前記内部空間の前記内壁面に、前記凸部及び前記凹部の他方を有する、
    コネクタ。
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