実施の形態1.
実施の形態1に係る加熱調理器について図1~図12を用いて説明する。図1は、実施の形態1に係る加熱調理器の外観構造の一例を示す斜め上方からの斜視図である。図2は、実施の形態1に係る加熱調理器の外観構造の一例を示す斜め下方からの斜視図である。図3は、実施の形態1に係る加熱調理器が設置される厨房家具100の外観構造の一例を示す斜視図である。図4は、図1の加熱調理器を図2の厨房家具100に設置する工程を示す概略図である。図5は、厨房家具100に設置された状態の加熱調理器の外観構造の一例を示す斜視図である。図6は、加熱庫扉体4が開かれた状態の図4の加熱調理器を示す斜視図である。図7は、図5の加熱調理器の上面図である。図8は、図7のU-U断面を示す断面図である。図9は、図7のV-V断面を示す断面図である。図10は、図7のW-W断面を示す断面図である。図11は、図9に示す第2の冷却ファン装置を通るように前面方向から見て切断した断面を示す要部断面図である。図12は、実施の形態1に係る加熱調理器の内部の風路を概略的に示したブロック図である。本実施の形態1に係る加熱調理器は、システムキッチン等で用いられるビルトイン型の加熱調理器であり、実施の形態1では、ビルトイン型の加熱調理器の一例として、ビルトイン型の誘導加熱調理器1を例示する。
なお、図1を含む以下の図面では各構成部材の寸法の関係及び形状が、実際のものとは異なる場合がある。また、以下の図面では、同一の部材若しくは部分又は同一の機能を有する部材若しくは部分には、同一の符号を付すか、あるいは符号を付すことを省略している。また、加熱調理器1の前後、左右、若しくは上下の位置関係、又は加熱調理器1の各々の構成部材同士の前後、左右、若しくは上下の位置関係は、原則として、加熱調理器1を使用可能な状態に設置したときの位置関係とする。
加熱調理器1は、トッププレート2と、トッププレート2が載置される箱状の本体3と、本体3の前面に設けられた加熱庫扉体4(以降扉体と称する)とを備えている。なお、図1では、扉体4からハンドル5を外した状態の加熱調理器1が示されている。加熱調理器1は、図1の状態で厨房家具100に収容される。
なお、以降の説明において、本体3の「前面」又は「正面」とは、本体3の外部の前側の表面を指すものとし、外郭を構成する面が平らであっても凹凸を有していてもよい。加熱調理器1、厨房家具100、若しくは厨房家具100の構成要素の「前面」若しくは「正面」、又は加熱調理器1を構成する他の構成要素、例えば、扉体4の「前面」若しくは「正面」についても同様とする。また、加熱調理器1、厨房家具100、又は加熱調理器1若しくは厨房家具100の構成要素の「上面」若しくは「天面」、「下面」若しくは「底面」、「背面」若しくは「後面」、「右面」、又は「左面」についても同様とする。また、図1の矢印に示すように、上、下、前、後、左、及び右の方向を定義する。
厨房家具100には、加熱調理器1が収容される第1収容空間110と、厨房道具等の収納用の収納箱120が収容される第2収容空間130が設けられている。収納箱120は、スライド式の容器であり、収納箱120の前面には、収納箱120を前方に引き出すための取っ手140が設けられている。厨房家具100では、厨房家具100の第1収容空間110と厨房家具100の第2収容空間130との間が仕切板150によって仕切られている。図3に示すように、仕切板150の平板面は、上下に起立して奥行き方向に延びている。
厨房家具100の上面には、第1収容空間110と厨房家具100の上側の外部とを連通させ、加熱調理器1が挿入される収容口110aが設けられている。また、厨房家具100の前面には、第1収容空間110と厨房家具100の前側の外部とを連通させ、加熱調理器1の扉体4の前面を、厨房家具100の前側の外部に露出させる挿通口110bが設けられている。
図4に示すように、加熱調理器1は、収容口110aを介して、扉体4を先頭にして第1収容空間110に収容される。扉体4が挿通口110bに挿通された後に、本体3が第1収容空間110に収容され、トッププレート2が厨房家具100の上面に載置される。本体3が第1収容空間110に収容された状態において、扉体4の前面は、収納箱120の前面と同一位置となるように、本体3の収容位置が調整される。また、本体3が第1収容空間110に収容された状態において、トッププレート2は、厨房家具100の上面から露出している。
ハンドル5は、扉体4の後面が本体3から離れ、本体3の内部に収容された加熱庫6の開口6aが外部と連通した開放状態で取り付けられる。例えば、ハンドル5に、扉体4の上面から内部に挿入される支持部材を設け、扉体4の後面からネジ等の締結部材で支持部材を締結することにより、ハンドル5は扉体4の上面に取り付けられる。
扉体4と厨房家具100との間の隙間には、化粧パネル7が配置される。化粧パネル7により、扉体4と厨房家具100との間の隙間から見える本体3の前面及び仕切板150の前面が目隠しされるため、誘導加熱調理器1の意匠性を向上させることができる。化粧パネル7は、扉体4と厨房家具100との間の上側の隙間に配置された第1パネル70を有している。また、化粧パネル7は、扉体4と厨房家具100との間の左右の隙間に配置された第2パネル72を有している。
次に、加熱調理器1の詳細な構成について説明する。
トッププレート2は、天板2aと、天板2aの外縁に配置されたフレーム2bとを有している。天板2aとしては、例えば、耐熱性のガラス板が用いられる。天板2aの上面には、被調理物を調理するための鍋又はフライパン等の被加熱物を載置する目安となる複数の円形のマーク2a1、2a2、2a3が印刷等により示されている。
天板2aの複数の円形のマーク2a1、2a2、2a3の下方、かつ本体3の内部には、天板2aの上面に載置された被加熱物を、天板2aを介して加熱する複数の加熱コイル30が配置されている。加熱コイル30は、誘導加熱コイルとして構成されている。なお、円形のマーク2a3の下方に配置された加熱コイル30は、商用周波数の交流電力が供給されることによる赤外線の輻射熱で被加熱物を加熱するラジエントヒータとしてもよい。
誘導加熱コイルは、電磁誘導の原理を利用して、被加熱物を加熱させる電気回路素子である。加熱調理器1において、誘導加熱コイルに高周波交流電流、例えば20~90kHzの交流電流を流すと、誘導加熱コイルの周りに磁力線が発生し、誘導加熱コイルの周囲に磁界が発生する。磁界である磁力線が鍋又はフライパン等の被加熱物の導体内部に侵入すると、被加熱物の内部において磁束変化を妨げる磁界が発生するように、被加熱物に渦電流が流れる。したがって、誘導加熱コイルに交流電流を連続的に流すと、交流電流の電流値の変化に応じて、被加熱物の内部において、磁束変化を妨げる磁界が継続して発生するように、被加熱物には渦電流が連続して流れることとなる。被加熱物に渦電流が流れると、被加熱物の電気抵抗と、被加熱物を流れる渦電流とにより、被加熱物にジュール熱が発生する。以上のように、加熱調理器1の誘導加熱コイルでは、電磁誘導の原理を利用することにより、被加熱物を加熱させることができる。
フレーム2bは、例えば金属板を折曲加工した補強板として形成される。フレーム2bは、天板2aの外縁の破損を防ぐべく、天板2aの外縁を狭持して補強している。後方のフレーム2bには、本体3の内部と連通する複数の排気口2b1が形成されている。後方のフレーム2bには、それぞれの排気口2b1を覆う排気口カバー2cが設けられている。排気口カバー2cとしては、パンチングメタル又は格子状の金属部材が用いられ、通気性を有し、かつ通気抵抗が少なくなるように形成される。例えば、排気口カバー2cの開口2c1の形状はスリット状とすることができ、例えば、排気口カバー2cの開口2c1の幅は、排気口カバー2cの幅と同じかやや小さい幅とすることができる。加熱調理器1からの排気は、排気口カバー2cを通過して加熱調理器1の外へ流出する。
フレーム2bの下面には、複数の緩衝材2dが取り付けられている。緩衝材2dとしては、例えばシリコーンゴム等のゴムが用いられる。緩衝材2dは、トッププレート2が厨房家具100の上面に載置された際に、厨房家具100の上面に接触する。緩衝材2dを設けることにより、トッププレート2上に被加熱物が載置された場合の衝撃を吸収し、天板2aの破損を抑制することができる。
天板2aのマーク2a1、2a2、2a3の前方には、操作パネル20が設けられている。操作パネル20の上側には出力インタフェースとして、統合表示部21a、第1表示部21b、及び第2表示部21cが設けられている。統合表示部21aは、操作パネル20の後方中央に配置されている。第1表示部21bは、操作パネル20の後方左側に配置されている。第2表示部21cは、操作パネル20の後方右側に配置されている。
本体3には、統合表示部21a、第1表示部21b、及び第2表示部21cのそれぞれに、加熱調理器1に関する各種情報を表示する薄膜トランジスタ液晶モジュール等の出力デバイス31aを搭載した表示基板31が設けられている。表示基板31は、これらの入力インタフェースの下方にそれぞれ配置されている。
第1表示部21bには、天板2aのマーク2a1の下方に配置された加熱コイル30の動作に関する情報が表示される。また、第2表示部21cには、天板2aのマーク2a2の下方に配置された加熱コイル30の動作に関する情報が表示される。例えば、第1表示部21bでは、天板2aのマーク2a1の下方に配置された加熱コイル30におけるタイマー調理の設定時間、予熱温度、又は経過時間等の各種情報が表示される。また、第2表示部21cでも、第1表示部21bと同様に、天板2aのマーク2a2の下方に配置された加熱コイル30におけるタイマー調理の設定時間、予熱温度、又は経過時間等の各種情報が表示される。
統合表示部21aには、第1表示部21b及び第2表示部21cに表示される情報以外の全ての加熱調理器1に関する情報が表示される。例えば、統合表示部21aには、天板2aのマーク2a3の下方に配置された加熱コイル30におけるタイマー調理の設定時間、予熱温度、又は経過時間等の各種情報が表示される。また、統合表示部21aには、加熱庫6における加熱動作等のタイマー設定時間、予熱温度、又は経過時間等の各種情報が表示される。また、統合表示部21aには、加熱調理器1の共通的な情報又は警報が表示される。例えば、統合表示部21aには、加熱調理器1の加熱源の選択情報、又は加熱源の動作状態を示す注意情報若しくは警告情報が表示される。
また、統合表示部21aには、チャイルドロック設定等の加熱調理器1の機能設定情報が表示される。また、統合表示部21aの下方に配置された表示基板31は、統合表示部21aの複数のエリアに異なる各種情報を表示できるように構成できる。例えば、統合表示部21aの下方に配置された表示基板31は、左右方向に3つのエリアに分割し、それぞれに加熱調理器1の各種情報を表示できるように構成できる。
操作パネル20の第1表示部21bと統合表示部21aとの間には、出力インタフェースとして、複数の透過窓を有する第1火力表示部22aが設けられている。第1火力表示部22aでは、天板2aのマーク2a1の下方に配置された加熱コイル30の火力情報が、透過窓からの光の点灯数によって表示される。例えば、本体3には、第1火力表示部22aの透過窓の数に応じた複数の発光ダイオードを有する回路基板が設けられている。回路基板の複数の発光ダイオードは、第1火力表示部22aの透過窓の下方にそれぞれ配置されている。また、第1火力表示部22aには、火力を表示する透過窓とは別に、保温状態を表示する透過窓を設けることができる。なお、この回路基板は、表示基板31と同一基板であってもよいし、別個の基板であってもよい。
操作パネル20の第2表示部21cと統合表示部21aとの間には、出力インタフェースとして、複数の透過窓を有する第2火力表示部22bが設けられている。第2火力表示部22bでは、天板2aのマーク2a2の下方に配置された加熱コイル30の火力情報が、透過窓からの光の点灯数によって表示される。本体3には、第2火力表示部22bの透過窓の数に応じた複数の発光ダイオードを有する回路基板が設けられている。回路基板の複数の発光ダイオードは、第2火力表示部22bの透過窓の下方にそれぞれ配置されている。また、第2火力表示部22bには、火力を表示する透過窓とは別に、保温状態を表示する透過窓を設けることができる。なお、この回路基板は、表示基板31と同一基板であってもよいし、別個の基板であってもよい。
なお、第1火力表示部22a及び第2火力表示部22bは、同様の火力情報が統合表示部21a、第1表示部21b、及び第2表示部21cのいずれかに表示される場合は、省略できる。
操作パネル20の前方には、入力インタフェースとして、第1入力部23、第2入力部24、第3入力部25、及び第4入力部26が設けられている。本体3には、第1入力部23、第2入力部24、第3入力部25、及び第4入力部26に設けられた入力ボタンの総数に対応した数の静電容量式のタッチセンサを有する操作基板32が設けられている。操作基板32は、これらの入力インタフェースの下方に配置されている。
第1入力部23は、操作パネル20の前方中央に設けられている。加熱調理器1では、第1入力部23で入力された情報は、統合表示部21aでの表示内容に反映される。第1入力部23には、機能設定ボタン23a、調理モード選択ボタン23b、第1入力選択ボタン23c1、第2入力選択ボタン23c2、第3入力選択ボタン23c3、入力確定ボタン23d、及び入力取消ボタン23eが設けられている。
第1入力部23の左端には、機能設定ボタン23aが設けられている。機能設定ボタン23aは、チャイルドロック設定等の加熱調理器1の機能設定画面を統合表示部21aに表示し、機能設定を行うために用いられる。
機能設定ボタン23aの右側には、調理モード選択ボタン23bが設けられている。調理モード選択ボタン23bは、例えば、加熱調理器1における複数の加熱源を用いて調理を行う「連携調理モード」又は加熱庫6における各種調理モードを選択し、統合表示部21aに関連情報を表示させるために用いられる。
調理モード選択ボタン23bの右側には、第1入力選択ボタン23c1、第2入力選択ボタン23c2、及び第3入力選択ボタン23c3が順に設けられている。第1入力選択ボタン23c1、第2入力選択ボタン23c2、及び第3入力選択ボタン23c3は、それぞれ一対の入力ボタンを有しており、統合表示部21aに表示される情報を選択するために用いられる。例えば、統合表示部21aでの表示エリアが、左右方向に3つのエリアに分割され、それぞれに異なる設定内容が表示されている場合、第1入力選択ボタン23c1は、左のエリアに表示された設定内容を選択するために用いられる。また、第2入力選択ボタン23c2は、中央のエリアに表示された設定内容を選択するために用いられる。第3入力選択ボタン23c3は、右のエリアに表示された設定内容を選択するために用いられる。
第3入力選択ボタン23c3の右側には、入力確定ボタン23dが設けられている。入力確定ボタン23dは、天板2aのマーク2a3の下方に配置された加熱コイル30での調理を開始する場合に用いられる。また、入力確定ボタン23dは、加熱庫6での調理を開始する場合に用いられる。また、入力確定ボタン23dは、第1入力選択ボタン23c1、第2入力選択ボタン23c2、又は第3入力選択ボタン23c3で選択した内容を確定する場合に用いられる。
入力確定ボタン23dの右側には、入力取消ボタン23eが設けられている。入力取消ボタン23eは、天板2aのマーク2a3の下方に配置された加熱コイル30での調理を停止する場合に用いられる。また、入力取消ボタン23eは、加熱庫6での調理を停止する場合に用いられる。また、入力取消ボタン23eは、第1入力選択ボタン23c1、第2入力選択ボタン23c2、又は第3入力選択ボタン23c3で選択した内容を取り消す場合に用いられる。
第2入力部24は、操作パネル20の前方左側に設けられている。加熱調理器1では、第2入力部24で入力された情報は、第1表示部21b又は第1火力表示部22aに表示される。第2入力部24には、第1調理時間選択ボタン24a、第1制御モード選択ボタン24b、第1切替ボタン24c、及び第1火力選択ボタン24dが設けられている。
第2入力部24の左端には、第1調理時間選択ボタン24aが設けられている。第1調理時間選択ボタン24aでは、天板2aのマーク2a1の下方に配置された加熱コイル30での誘導加熱調理の設定時間、すなわちタイマー調理の設定時間を選択するために用いられる。第1調理時間選択ボタン24aで選択したタイマー調理の設定時間は、第1表示部21bに表示される。
第1調理時間選択ボタン24aの右側には、第1制御モード選択ボタン24bが設けられている。例えば、第1制御モード選択ボタン24bでは、制御モードとして、湯沸しモード、煮込みモード、又は揚げ物モード等の自動調理モードが選択される。選択した制御モードは、第1表示部21bに表示される。
第1制御モード選択ボタン24bの右側には、第1切替ボタン24cが設けられている。第1切替ボタン24cは、天板2aのマーク2a1の下方に配置された加熱コイル30の調理の開始及び停止を切り替えるために用いられる。加熱コイル30の調理の開始及び停止は、第1切替ボタン24cの押下ごとに順次切り替えられる。加熱コイル30の調理の開始及び停止は、第1表示部21bに表示される。
第1切替ボタン24cの右側には、第1火力選択ボタン24dが設けられている。一対の第1火力選択ボタン24dは、一対のボタンを有しており、天板2aのマーク2a1の下方に配置された加熱コイル30での火力、すなわち消費電力を調整するために用いられる。一対の第1火力選択ボタン24dでの火力の選択結果は、第1火力表示部22aの点灯数で表される。
第3入力部25は、操作パネル20の前方右側に設けられている。加熱調理器1では、第3入力部25で入力された情報は、第2表示部21c又は第2火力表示部22bに表示される。第3入力部25には、第2切替ボタン25a、第2火力選択ボタン25b、第2制御モード選択ボタン25c、及び第2調理時間選択ボタン25dが設けられている。
第3入力部25の左端には、第2切替ボタン25aが設けられている。第2切替ボタン25aは、天板2aのマーク2a2の下方に配置された加熱コイル30の調理の開始及び停止を切り替えるために用いられる。加熱コイル30の調理の開始及び停止は、第2切替ボタン25aの押下ごとに順次切り替えられる。加熱コイル30の調理の開始及び停止は、第2表示部21cに表示される。
第2切替ボタン25aの右側には、第2火力選択ボタン25bが設けられている。第2火力選択ボタン25bは、一対のボタンを有しており、天板2aのマーク2a2の下方に配置された加熱コイル30での火力、すなわち消費電力を調整するために用いられる。第2火力選択ボタン25bでの火力の選択結果は、第2火力表示部22bの点灯数で表される。
第2火力選択ボタン25bの右側には、第2制御モード選択ボタン25cが設けられている。例えば、第2制御モード選択ボタン25cでは、制御モードとして、湯沸しモード、煮込みモード、又は揚げ物モード等の自動調理モードが選択される。選択した制御モードは、第2表示部21cに表示される。
第2制御モード選択ボタン25cの右側には、第2調理時間選択ボタン25dが設けられている。第2調理時間選択ボタン25dでは、天板2aのマーク2a2の下方に配置された加熱コイル30での誘導加熱調理の設定時間、すなわちタイマー調理の設定時間を選択するために用いられる。第2調理時間選択ボタン25dで選択したタイマー調理の設定時間は、第2表示部21cに表示される。
第4入力部26は、第3入力部25の右側に設けられ、加熱調理器1の稼働及び停止を入力する主電源ボタンである。加熱調理器1の稼働及び停止は、第4入力部26の押下ごとに順次切り替えられる。
また、第1入力部23、第2入力部24、第3入力部25、及び第4入力部26の上述した各種ボタンの上方には、それぞれのボタンでの入力が有効か無効かを示す複数の通知窓27が設けられている。本体3には、通知窓27の数に応じた複数の発光ダイオードを有する回路基板が設けられている。回路基板の複数の発光ダイオードは、通知窓27の下方にそれぞれ配置されている。なお、この回路基板は、表示基板31及び操作基板32のいずれかと同一基板であってもよいし、別個の基板であってもよい。
例えば、加熱調理器1での調理が実行状態にある場合、主電源ボタンである第4入力部26での入力動作を無効とすることができる。通知窓27を介した発光ダイオードの点灯で第4入力部26での入力が有効であることを示す場合、発光ダイオードの消灯で第4入力部26での入力が無効であることを示すことができる。また、発光ダイオードの点滅で第4入力部26での入力が無効であることを示してもよいし、入力が有効である場合と異なる色で点灯し、第4入力部26での入力が無効であることを示してもよい。
本体3の内側には、上面が開口した筐体50が配置されている。筐体50は、上面が開口した箱体50aと、箱体50aの上縁に設けられたフランジ50bとを有している。筐体50によって、本体3の内部空間は、トッププレート2での加熱処理に係る電気部品等を収容する第1領域200と、加熱庫6での加熱処理に係る電気部品等を収容する第2領域300とに区画される。第1領域200及び第2領域300は、フレーム2bに設けられた複数の排気口2b1と連通している。本体3の下面前端には、扉体4の後面及び加熱庫6内部に付着し、下方に流れる水分を受ける受液容器8が配置されている。
本体3の第1領域200には、前述した加熱コイル30、表示基板31、及び操作基板32の他、フィルタ回路基板33、第1インバータ回路基板34、及び1以上の上部冷却ファン装置35が収容されている。
筐体50のフランジ50bには、表示基板31及び操作基板32が取り付けられたケースの一部が支持されている。操作基板32は、天板2aの下面に接触するように、フランジ50bと天板2aとの間に配置されている。ケースは、天板2aの下面と間隔をあけて、フランジ50bに一部支持されている。
筐体50の箱体50aには、加熱コイル30、フィルタ回路基板33、第1インバータ回路基板34、及び1以上の上部冷却ファン装置35が収容されている。
加熱コイル30は、第1インバータ回路基板34の上方に配置されている。加熱コイル30は、例えば、箱体50aの底面に設けられた図示しない支持脚から、バネ等の図示しない弾性体によって天板2a側に付勢されている。
フィルタ回路基板33は、商用電源から供給される交流電力におけるノイズを除去して、第1インバータ回路基板34等に供給するとともに、第1インバータ回路基板34等で発生するノイズの商用電源への逆流を抑制する電気回路基板である。フィルタ回路基板33は、抵抗、チョークコイル等のインダクタ、コンデンサー、リレー回路、及び電流ヒューズ等の電気部品を実装している。
第1インバータ回路基板34は、フィルタ回路基板33でノイズ除去された商用電源の交流電力を高周波の交流電力に変換し、加熱コイル30に供給する電気回路基板である。第1インバータ回路基板34には、放熱フィン36aを有するヒートシンク36が取り付けられている。また、ヒートシンク36には、インバータ回路の一部を構成する複数のスイッチング素子34aが取り付けられている。
ヒートシンク36は、放熱フィン36aを通過する空気によって、第1インバータ回路基板34及びスイッチング素子34aで発生する熱を冷却する放熱部材である。ヒートシンク36は、例えばアルミニウム等の熱伝導性の高い材料で形成される。
スイッチング素子34aは、インバータ回路の電力制御に用いられる半導体素子である。スイッチング素子34aは、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタとして形成される。なお、スイッチング素子34aは、第1インバータ回路基板34に実装してもよい。
第1インバータ回路基板34は、ヒートシンク36及びスイッチング素子34aとともに、保護部材37によって覆われている。保護部材37は、例えば、金属製の薄板又はプラスチック製の板で形成されている。保護部材37では、ヒートシンク36を通過する空気流が通過できるように、左面及び右面が開口されている。なお、加熱調理器1では、複数の加熱コイル30の各々に別個に高周波電力を供給するために、複数の第1インバータ回路基板34を設けることができる。
図10に示す上部冷却ファン装置35は、箱体50aの底面に設けられた通気口50a1を通過した空気を、箱体50aの内部に誘引する回転機械である。上部冷却ファン装置35としては、例えば、シロッコファン等の遠心ファンが用いられる。上部冷却ファン装置35の回転によって、通気口50a1を通過した空気が箱体50aの底面に沿った方向に吹き出される。上部冷却ファン装置35は、加熱調理器1の機能等に応じて、複数個設けることができる。
通気口50a1は、例えば、箱体50aの底面にパンチング孔を穿孔することにより形成される。また、通気口50a1を通過する空気流の吸入口として、例えば、本体3の左面に第1吸気口3a1を設けることができる。第1吸気口3a1も通気口50a1と同様、例えば、本体3の左面にパンチング孔を穿孔することにより形成される。また、図10に示すように、本体3の内部に第1吸気口3a1と通気口50a1とを連通させる第1吸気ダクト38を設けることにより、上部冷却ファン装置35の回転により、第1吸気口3a1から吸入された本体3の外部の空気のみを、箱体50aの内部に誘引できる。
加熱調理器1の加熱コイル30の駆動時の、本体3の第1領域200における空気の流れを図8から図12を用いて説明する。図10では、空気の流れをブロック矢印で示している。また、図12における実線の矢印は、空気の主流を示しており、点線の矢印は主流よりも流量の少ない支流を示している。また、加熱調理器1において、上部冷却ファン装置35が2つ設けられている場合について説明する。
上部冷却ファン装置35の回転により、第1吸気口3a1から吸入された空気は、第1吸気ダクト38及び通気口50a1を経て、第1領域200(図10参照)に誘引される。第1領域200に誘引された空気は、上部冷却ファン装置35により、加熱コイル30、表示基板31、操作基板32、フィルタ回路基板33、及び第1インバータ回路基板34に供給される。
本体3の第1領域200においては、第1インバータ回路基板34における発熱量が大きいので、実装部品の温度上昇が大きくなる。そこで、2つの上部冷却ファン装置35のうちの一方については、上部冷却ファン装置35の吹出口を保護部材37の開口に連通させて、優先的に第1インバータ回路基板34に空気を供給させている。この構成によれば、第1インバータ回路基板34の温度上昇を効率的に抑制できるため、加熱コイル30を安定して駆動させることができる。
加熱コイル30、表示基板31、操作基板32、フィルタ回路基板33を冷却した空気は、大部分が加熱コイル30に供給される。加熱コイル30を冷却した空気は、排気口2b1及び排気口カバー2cの開口2c1を介して、加熱調理器1から排気される。
本体3の第2領域300には、加熱庫6の他、第1ヒータ60a(本開示の第1の加熱手段)、第2ヒータ60b(本開示の第2の加熱手段)、及び赤外線温度センサ61が収容されている。本体3の第2領域300には、第2領域300とトッププレート2の左側の排気口2b1とを連通させる第1排気ダクト3b1(図8参照)と、第2領域300とトッププレート2の右側の排気口2b1とを連通させる第2排気ダクト3b2(図9参照)とが設けられている。第1排気ダクト3b1及び第2排気ダクト3b2は、筐体50の底面を貫通して本体3の内部に配置されている。
図8に示すように、加熱庫6は本体3の内部に設けられ、前面が開口した金属板で矩形形状に形成された内箱である。加熱庫6の内部は、第1排気ダクト3b1の内部と連通している。また、加熱庫6には、加熱庫6の内部に収容され、加熱される被調理物を載置する受け皿6bが収容されている。受け皿6bは、例えばセラミックスのような絶縁体で形成されている。受け皿6bは、調理容器9を載置して加熱庫6に収容することができる。
調理容器9は、金属材で形成されており、少なくとも底面外側には磁性の金属材を有し、加熱コイル30で誘導加熱可能に構成されていて、加熱コイル30による誘導加熱での加熱、後述する加熱庫6内での電気輻射式のヒータによる加熱、マイクロ波加熱源による高周波加熱の何れの加熱にも使用される。調理容器9については、後段でさらに説明する。
第1ヒータ60a(本開示の第1の加熱手段)及び第2ヒータ60b(本開示の第2の加熱手段)は、加熱庫6の内部に収容される被調理物を加熱する加熱源の1つである。第1ヒータ60a及び第2ヒータ60bとしては、例えば、マイカ板に電熱線を巻回したマイカヒータ等の電気輻射式のヒータが用いられる。第1ヒータ60aは、加熱庫6の上面に配置されている。第2ヒータ60bは、加熱庫6の下面に配置されている。第1ヒータ60a及び第2ヒータ60bは、第1ヒータ60a及び第2ヒータ60bの熱損失を抑制するため遮熱部材で覆われている。
赤外線温度センサ61は、加熱庫6の内部の被調理物から発せられる赤外線を受光して、温度情報に変換する非接触型の温度センサである。赤外線温度センサ61としては、例えば、多結晶シリコン製の熱電対センサが用いられる。赤外線温度センサ61は、加熱庫6の右面に配置され、赤外線素子が被調理物の方を向くように下斜め方向に向けて配置される。それから、第1排気ダクト3b1内に加熱庫6内から排出された空気の温度から加熱庫6内の温度を検出する、例えばサーミスタである温度検出手段3dも備えている(図8参照)。
加熱庫6の背面には、マイクロ波加熱源62が設けられている。マイクロ波加熱源62は、加熱庫6の内部に収容される被調理物を加熱する加熱源の1つである。
加熱庫6では、第1ヒータ60a、第2ヒータ60b、及びマイクロ波加熱源62を用いることによって、少なくとも3種類の調理モードを実行できる。例えば、加熱庫6では、マイクロ波加熱源62のみを用いた「レンジモード」を実行できる。また、加熱庫6では、第1ヒータ60a及び第2ヒータ60bの少なくとも一方を用いた「グリルモード」を実行できる。加熱庫6では、「レンジモード」と「グリルモード」とを組み合わせた「レンジグリルモード」を実行できる。
「レンジグリルモード」を更に詳しく説明すると、マイクロ波加熱源62による高周波加熱と、第1ヒータ60a及び第2ヒータ60bによる輻射式の加熱の異なる加熱方式による加熱調理のモードである。「レンジグリルモード」は、被調理物に応じて加熱源の駆動パターンが複数設定可能である。
例えば、第1ヒータ60aと第2ヒータ60bを交互に駆動しながらマイクロ波加熱源62を駆動する、第1ヒータ60aと第2ヒータ60bとマイクロ波加熱源62を同時に駆動する、第1ヒータ60aと第2ヒータ60bを同時に駆動しマイクロ波加熱源62と交互に駆動する、のように駆動パターンが設定できる。
この「レンジグリルモード」は、第1ヒータ60a及び第2ヒータ60bにより被調理物の表面に焼き色を付けながら、被調理物の内部をマイクロ波加熱源62により加熱することができるので、調理時間の短縮を図ることができる。
本開示のマイクロ波給電部であるマイクロ波加熱源62は、マイクロ波発振装置62aと、導波管62bと、アンテナ62cと、アンテナカバー62c1と、モータ62dと、絶縁体である強化ガラスなどで形成されたマイクロ波透過板62e(本開示の第2の絶縁体)とを備えている。
マイクロ波発振装置62aは、マイクロ波の発生源である。ここで、マイクロ波とは、2450MHz±50MHzの高周波電波のことをいう。
マイクロ波発振装置62aは、発振器であるマグネトロン62a1と、マイクロ波発振装置62aで発生する熱を冷却する放熱素子62a2とを有している。マイクロ波発振装置62aは、放熱素子62a2が第2排気ダクト3b2の内部に位置するように、第2排気ダクト3b2に固定されている。マグネトロン62a1は、第2排気ダクト3b2の外部に配置され、導波管62bに包囲されている。
導波管62bは、マグネトロン62a1の発振により発生したマイクロ波の伝播を拘束し、マイクロ波を加熱庫6の内部方向に誘導する配管部材である。導波管62bは、例えば金属製の導管として形成される。
導波管62bの外部には、アンテナ62cを駆動するためのモータ62dが設けられている。モータ62dとしては、例えばブラシレスモータ等の直流モータが用いられる。
アンテナ62cは、導波管62bと加熱庫6の背面とを接続するアンテナカバー62c1に収容されている。アンテナ62cは、アンテナ62cに伝播されたマイクロ波を回転により攪拌して、加熱庫6の内部にマイクロ波を伝播させる回動部材である。アンテナ62cは、例えば、円形状の金属製の板状部材として形成される。
アンテナカバー62c1は、アンテナ62cの回転により、加熱庫6の内部にマイクロ波が均等に伝播するように形成された配管部材である。アンテナカバー62c1は、例えば、導波管62bと同一材料の金属製の導管として形成される。
マイクロ波透過板62eは、加熱庫6の背面に設けられたマイクロ波透過孔6cを加熱庫6の外側から閉塞する板状部材である。本開示の第2の絶縁体であるマイクロ波透過板62eは、例えば、マイクロ波を透過させる耐熱性プラスチック又は耐熱性ガラスで形成される。
マグネトロン62a1の発振により発生したマイクロ波は、導波管62bを介してアンテナ62cに伝播される。モータ62dが駆動されアンテナ62cが回動することにより、アンテナ62cに伝播されたマイクロ波は、マイクロ波透過板62eを介して、加熱庫6の内部に拡散して伝播される。これにより、加熱庫6に収容される被調理物の加熱ムラが改善される。そして、このように加熱庫6の背面側から加熱庫6の内部にマイクロ波が伝播されるので、後述する金属材で形成された調理容器9を加熱庫6の内部に収容して調理を行うときにも、図8に示すように金属材の調理容器9の高さより高い位置からのマイクロ波は、遮られることなく図示しない調理容器9内の被調理物に伝播される。
また、本体3の第2領域300には、第2インバータ回路基板63、マイクロ波制御用電源回路基板64、第1の冷却ファン装置65a、及び第2の冷却ファン装置65bが収容されている。
第2インバータ回路基板63は、商用電源の交流電力を高周波の交流電力に変換し、マイクロ波発振装置62aに供給する電気回路基板である。また、第2インバータ回路基板63には、放熱部材を設け、第2インバータ回路基板63から発生する熱を冷却できるように形成できる。また、第2インバータ回路基板63は、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタで形成されたスイッチング素子を有していてもよい。また、第2インバータ回路基板63に供給される商用電力は、フィルタ回路基板33でノイズ除去された商用電源の交流電力であってもよい。
マイクロ波制御用電源回路基板64は、マイクロ波発振装置62aと、アンテナ62cと、モータ62dと、第2インバータ回路基板63と、第1の冷却ファン装置65aと、第2の冷却ファン装置65bとに電力を供給するマイクロ波制御専用の電気回路基板である。マイクロ波制御用電源回路基板64は、マイクロ波発振装置62a等に供給される電力を制御し、マイクロ波発振装置62a等の動作の開始及び停止又は動作条件等を制御するものである。
第1の冷却ファン装置65aは、本体3の底面3eの右側に設けられた第2吸気口3a2を通過した空気を、本体3の第2領域300の内部に誘引する回転機械である。第1の冷却ファン装置65aとしては、例えば、プロペラファン等の軸流ファンが用いられる。第1の冷却ファン装置65aの回転によって、第2吸気口3a2を通過した空気が本体3の底面3eから上方向に吹き出される。なお、第2吸気口3a2は、例えば、本体3の底面3eにパンチング孔を穿孔することにより形成される。なお、本体3の右面側内部には、加熱庫6の上部に形成された連通路3c1と第2吸気口3a2との間を連通させる第2吸気ダクト66が設けられており、第2吸気ダクト66の内部に第2インバータ回路基板63が配置されている。
第2の冷却ファン装置65bは、本体3の底面3eの右側に設けられた第3吸気口3a3を通過した空気を、本体3の第2領域300の内部に誘引する回転機械である。第2の冷却ファン装置65bとしては、例えば、プロペラファン等の軸流ファンが用いられる。第2の冷却ファン装置65bの回転によって、第3吸気口3a3を通過した空気が本体3の底面3eから上方向に吹き出される。なお、第3吸気口3a3は、例えば、本体3の底面3eにパンチング孔を穿孔することにより形成される。
加熱調理器1の加熱庫6の駆動時の、本体3の第2領域300における空気の流れを図8から図10を用いて説明する。前述したとおり、図9では、空気の流れをブロック矢印で示している。また、図10における実線の矢印は、空気の主流を示しており、点線の矢印は主流よりも流量の少ない支流を示している。また、加熱調理器1でマイクロ波加熱源62が用いられていること、すなわち、「レンジモード」又は「レンジグリルモード」のいずれかが実行されていることとして、説明する。
第1の冷却ファン装置65aの回転により、第2吸気口3a2から吸引された空気は、第2吸気ダクト66に誘引される。第2吸気ダクト66では第2吸気ダクト66に誘引された空気により、第2インバータ回路基板63が冷却される。第2吸気ダクト66に風向板66aを設け、第2インバータ回路基板63のスイッチング素子等に空気を偏向させてもよい。
また、第2吸気ダクト66に誘引された空気の一部は、第2吸気ダクト66から分岐した分岐管66bを介して、赤外線温度センサ61に供給される。赤外線温度センサ61に供給された空気により、赤外線温度センサ61が冷却される。赤外線温度センサ61を冷却した空気は、その一部が加熱庫6の内部に流入する。
第2インバータ回路基板63を冷却した空気は、第2吸気ダクト66から連通路3c1に流入する。連通路3c1に流入した空気は、第2排気ダクト3b2に設けられた連通口3c2を介して第1排気ダクト3b1に流入する。第1排気ダクト3b1に流入した空気は、加熱庫6から流出した空気を誘引して、トッププレート2の左側の排気口2b1及び排気口カバー2cの開口2c1を介して、加熱調理器1から排気される。
第2の冷却ファン装置65bの回転により、第3吸気口3a3から吸引された空気は、第2排気ダクト3b2に誘引される。第2排気ダクト3b2に誘引された空気は、マイクロ波加熱源62のマイクロ波発振装置62aの放熱素子62a2を通過する。マイクロ波加熱源62のマイクロ波発振装置62aの放熱素子62a2を通過した空気により、マイクロ波発振装置62aは冷却される。マイクロ波発振装置62aを冷却した空気は、第2排気ダクト3b2、並びにトッププレート2の右側の排気口2b1及び排気口カバー2cの開口2c1を介して、加熱調理器1から排気される。
上述したように、加熱庫6では、加熱源としてマイクロ波加熱源62を採用している。また、加熱庫6には、扉体4の閉止状態において、加熱庫6からのマイクロ波の漏洩を防ぐとともに、扉体4の開放状態において、マイクロ波加熱源62の稼働を防止する加熱庫扉体開閉検知装置67が設けられている。
加熱庫扉体開閉検知装置67は、扉体4の開放状態又は扉体4の閉止が不十分な状態において、例えば、第2インバータ回路基板63の駆動を停止する安全装置である。加熱庫扉体開閉検知装置67は、第1接点スイッチ67aと第2接点スイッチ67bとを有している。加熱庫扉体開閉検知装置67は、加熱庫6の内部に収容され、かつ加熱庫6の外側に配置されており、例えば、本体3の前面右側の内部に収容されている。第1接点スイッチ67aは、第2接点スイッチ67bの上側に配置されている。第1接点スイッチ67aは、第1連動棒67a1を有しており、第1連動棒67a1が一定の位置まで押下された場合に、第1接点スイッチ67aが起動状態とされる。第2接点スイッチ67bは、第2連動棒67b1を有しており、第2連動棒67b1が一定の位置まで押下された場合に、第2接点スイッチ67bが起動状態とされる。なお、図示しないが、加熱庫扉体開閉検知装置67には、第1接点スイッチ67a及び第2接点スイッチ67bの少なくとも一方が、異常によって停止状態とならない場合に、第2インバータ回路基板63への電力供給を遮断するモニタスイッチが設けられている。
また、扉体4の後面右側には、第1突起4f1及び第2突起4f2が設けられている。第1突起4f1は、扉体4の閉止時において、第1接点スイッチ67aの第1連動棒67a1を押下し、第1接点スイッチ67aを起動状態とするように配置されている。第2突起4f2は、扉体4の閉止時において、第2接点スイッチ67bの第2連動棒67b1を押下し、第2接点スイッチ67bを起動状態とするように配置されている。
加熱庫扉体開閉検知装置67は、第1接点スイッチ67a及び第2接点スイッチ67bの双方が起動状態である場合に限り、マイクロ波加熱源62を駆動できるように構成される。一方、第1接点スイッチ67a及び第2接点スイッチ67bのいずれか一方でも停止状態である場合には、第2インバータ回路基板63の駆動をロックし、マイクロ波加熱源62の駆動がされないように構成される。また、マイクロ波加熱源62の駆動中に扉体4が開放された場合には、直ちに、マイクロ波加熱源62に電力を供給する第2インバータ回路基板63の駆動を停止するように構成される。この構成によれば、扉体4が完全に閉止されていない状態、すなわち半開きの状態、又はマイクロ波加熱源62の稼働中に扉体4が開放された場合であっても、マイクロ波の外部への漏洩を防止できるため、安全性を向上させることができる。
次に、第1の冷却ファン装置65a、第2の冷却ファン装置65bの配置構成、吸引する空気の流れ、第2の冷却ファン装置65bの動作について図2、図9から図11、図19を用いて説明する。図19は第2の冷却ファン装置の駆動タイミングチャートである。
図9に示すように、第1の冷却ファン装置65aは、第2の冷却ファン装置65bよりも前後方向で前面寄りに配置されている。第1の冷却ファン装置65aは、図2に示す本体3の底面3e右側に設けられた複数のパンチング孔から成る第2吸気口3a2から外部の空気を吸引しており、基本的に前後左右から吸引しているが、後述のように奥側に第2の冷却ファン装置65bがあり、奥側からの空気は第2の冷却ファン装置65bが吸引することと、前面側が開放空間であることから空気を吸引し易く、斜め前面方向からも吸引しているが、主に前面方向から供給される空気を吸引している。
第2の冷却ファン装置65bは、図2に示す本体3の底面3e右側で前面側から見て第2吸気口3a2よりも奥側に設けられた複数のパンチング孔から成る第3吸気口3a3から外部の空気を吸引しており、基本的に前後左右から吸引しているが、前述のように前面方向からの空気は主に第1の冷却ファン装置65aが吸引しており、本体3の右側側面と厨房家具100の仕切板150との隙間は小さく、加熱調理器1が収容されている厨房家具100の第1収容空間110の後方の空間も大きくないため、斜め前面方向からも吸引しているが、主に左方向から供給される空気を吸引している。
本開示の加熱調理器1は、前段で図10を用いて説明している通り、本体3の上部に設けられた筐体50内部に加熱コイル30を有し誘導加熱可能な加熱調理器である。加熱コイル30及び加熱コイル30を駆動する第1インバータ回路基板34は、上部冷却ファン装置35により冷却風が供給される。上部冷却ファン装置35は、本体3に設けられた第1吸気口3a1から筐体50に設けられた通気口50a1を経由して本体3外部の空気を吸引している。
図10に示すように、上部冷却ファン装置35が外部の空気を吸引するための第1吸気口3a1は、本体3の左側壁の中央部付近に設けられていて、第1の冷却ファン装置65aが外部の空気を吸引するための第2吸気口3a2は本体3の底面3eの右側に設けられている(図10に示されていないが、第2の冷却ファン装置65bが外部の空気を吸引するための第3吸気口3a3も同様)いる。
本開示の加熱調理器1は、前述のように加熱コイル30による誘導加熱が行え、加熱庫6内では第1ヒータ60a及び第2ヒータ60bによる輻射式加熱、マイクロ波加熱源62による高周波加熱が行え、それぞれの加熱を同時に行うことも可能である。そのとき、上部冷却ファン装置35が外部の空気を吸引するための第1吸気口3a1は本体3の左側壁の中央部付近に、第1の冷却ファン装置65aが外部の空気を吸引するための第2吸気口3a2及び第2の冷却ファン装置65bが外部の空気を吸引するための第3吸気口3a3は本体3の底面3eの右側に離れて設けられているので、それぞれの吸気に及ぼす影響を最小限に抑えられるようになっている。
第1の冷却ファン装置65aおよび第2の冷却ファン装置65bは、本体3の底面3eの内側の面に、ファン装置受け部材11を介して取付けられている。第1の冷却ファン装置65a、あるいは第2の冷却ファン装置65bを面で受けると、底面3eに第1の冷却ファン装置65a、あるいは第2の冷却ファン装置65bの駆動時の振動が伝わりやすく使用者に不快な音が発生する可能性があるため、ファン装置受け部材11で部分的に受けるようにすることで、駆動時の振動を伝わり難くして不快な音が発生しないようにしている。
また、第1の冷却ファン装置65aおよび第2の冷却ファン装置65bは、本体3の底面3eの内側の面に、ファン装置受け部材11を介して隙間Sを設けて取付けられている。隙間Sは例えば3mm乃至10mmの隙間である。本体3の底面3eの内側の面と隙間Sを設けて取付けることで、第1の冷却ファン装置65aおよび第2の冷却ファン装置65bは、本体外から空気を吸引するだけでなく、図10および図11に示すように本体3の底面3eと加熱庫6の底面の間の空間111からの空気も吸引できるようになっている。
加熱庫6は本開示の第1の加熱手段である第1ヒータ60aと第2の加熱手段である第2ヒータ60bを有する。図10に示すように第1ヒータ60aは、加熱庫6の上面庫外に設けられている。また、第2ヒータ60bは加熱庫6の庫内側底面6eの庫外に設けられている。
本開示の加熱調理器1が収容される厨房家具100については、住宅産業及び建材・住宅設備等関連産業に係わる部材の共通化・標準化及び共通化・標準化を目的とした長期使用住宅部材標準化推進協議会(略称:長住協)により、IHクッキングヒーター(本開示の加熱調理器1)(ビルトイン)に関する長期使用対応部材基準書に、加熱調理器1の本体3を収容する高さ寸法が規定されており、その規定によれば、IHクッキングヒーターが収容される箇所の高さ寸法は225mm以上となっている。
よって、厨房家具100のカウンタートップ100a(図4参照)の上端から下への高さ寸法は最小で225mmに設定されることがあるので、加熱調理器1の高さ方向の寸法は、カウンタートップ100aの上端から225mmよりも小さく、厨房家具100の第1収容空間110に収容できる寸法であればよく、自由に設定可能であるが、余裕を持って設定しすぎると加熱庫6内の有効高さが低くなり収容物の制限が大きくなるので、加熱庫6内の有効高さを、図示しないが例えば一例として120mm確保するようにして、図15に示すように本体3の底面3eの外側までの寸法を、例えば一例として217mmに設定している。
前述のような加熱調理器では、図10に示す本開示の加熱調理器1のように、第1収容空間底板110cと本体3の底面3eとの間の空間112の高さ寸法は、前述の寸法関係から一例として例えば8mmであり、空間としてはそれほど広く確保できていない。また、本体3の底面3eと加熱庫外底面6jとの間の空間111の高さ寸法は、例えば一例として6mmであり、やはり空間としてはそれほど広く確保できていない。
さらに、加熱庫外底面6jと遮熱版6hとの間の空間114の高さ寸法は、例えば一例として7mmであり、同様に空間としてはそれほど広く確保できていない。それから、遮熱版6hと第2ヒータ60bとの間の空間113の高さ寸法は、例えば一例として6mmであり、これも同様に空間としてはそれほど広く確保できていない。なお、図10は本開示の加熱調理器1の構成の概略を示す断面図であり、スケールは実際の物と異なる。
本開示の加熱調理器1では、1実施例として空間113と空間114には空気の流れが生じない。よって、コストに余裕があれば、空間113と空間114には断熱材を挟むようにすれば、本体3から外へ伝わる熱をより抑制することができる。
本開示の加熱調理器1のように、高さ方向の空間が確保できない場合、空間の断熱としての効果は期待できないため、本体3の底面3eから空間112を介して第1収容空間底板110cへ伝わる熱を抑制する構成が必要となる。
そこで、本開示の加熱調理器1では、本体3の底面3eから空間112を介して第1収容空間底板110cへ伝わる熱を遮るよう、図10、図11に示すように、第1の冷却ファン装置65aおよび第2の冷却ファン装置65bの吸引により第1収容空間底板110cと本体3の底面3eとの間の空間112に本体3外から吸引される空気を流すようにしている。このようにすることで、空間112の高さ方向の距離が確保できない場合であっても、本体3の底面3eから空間112を介して第1収容空間底板110cへ伝わる熱を抑制することができる。
また、本開示の加熱調理器1では、加熱庫外底面6jから空間111を介して本体3の底面3eへ伝わる熱を遮るよう、図10、図11に示すように、第1の冷却ファン装置65aおよび第2の冷却ファン装置65bの吸引により加熱庫外底面6jと本体3の底面3eとの間の空間111に本体3内から吸引される空気を流すようにしている。このようにすることで、空間111の高さ方向の距離が確保できない場合であっても、加熱庫外底面6jから空間111を介して本体3の底面3eへ伝わる熱を抑制することができる。
本開示の加熱調理器1では、前述のように空気の流れを吸引、つまり引く方向になるようにしている。空気の流れを送風、つまり送る方向にすると、前述のように高さ方向の確保できていない空間111に送風方向の空気を流そうとすると、加熱庫6の加熱庫外底面6jや遮熱壁6dに空気を当てることになり、加熱庫6の外側が冷やされることで加熱庫6内の温度が低下し、調理の出来具合に影響を及ぼす虞がある。
本開示の加熱調理器1では、吸引により空気の流れをつくることで、加熱庫6の加熱庫外底面6jや遮熱壁6dに空気が当たることによる調理の出来具合への影響を及ぼすことなく、加熱庫外底面6jから空間111を介して本体3の底面3eへ伝わる熱を抑制することができる。
前述のように、第1の冷却ファン装置65aの回転により、第2吸気口3a2から吸引された空気は、第2吸気ダクト66に誘引される。第2吸気ダクト66では、第2吸気ダクト66に誘引された空気により、第2インバータ回路基板63が冷却される。
第2インバータ回路基板63を冷却した空気は、第2吸気ダクト66から連通路3c1に流入する。連通路3c1に流入した空気は、第2排気ダクト3b2に設けられた連通口3c2を介して第1排気ダクト3b1に流入する。
第1排気ダクト3b1に流入した空気は、加熱庫6から流出した空気を誘引して、トッププレート2の左側の排気口2b1及び排気口カバー2cの開口2c1を介して、加熱調理器1の本体3から排気される。このように第1の冷却ファン装置65aは加熱庫6から流出した空気を誘引する誘引ファンとしても機能している。
また、前述のように第2の冷却ファン装置65bの回転により、第3吸気口3a3から吸引された空気は、第2排気ダクト3b2に誘引される。第2排気ダクト3b2に誘引された空気は、マイクロ波加熱源62のマイクロ波発振装置62aの放熱素子62a2を通過する。
マイクロ波加熱源62のマイクロ波発振装置62aの放熱素子62a2を通過した空気により、マイクロ波発振装置62aは冷却される。マイクロ波発振装置62aを冷却した空気は、第2排気ダクト3b2、並びにトッププレート2の右側の排気口2b1及び排気口カバー2cの開口2c1を介して、加熱調理器1の本体3から排気される。
このように、第1の冷却ファン装置65aと第2の冷却ファン装置65bで、それぞれ吸引された空気は異なる経路を通り、加熱調理器1の本体3から排気されるので、お互いの空気の流れが阻害されることなく、吸気から排気を行うことができ、本体3の底面3eから空間112を介して第1収容空間底板110cへ伝わる熱の抑制、加熱庫外底面6jから空間111を介して本体3の底面3eへ伝わる熱の抑制、本体3内の各部の冷却が安定して行える。
次に、第1の冷却ファン装置および第2の冷却ファン装置の駆動について、図19を用いて説明する。図19(a)は、実施の形態1に係る加熱調理器の第2の冷却ファン装置の駆動タイミングチャートの一例、図19(b)は、実施の形態1に係る加熱調理器の第2の冷却ファン装置の駆動タイミングチャートの他の一例、図19(c)は、実施の形態1に係る加熱調理器の第1の冷却ファン装置及び第2の冷却ファン装置の駆動タイミングチャートの一例である。
第2の冷却ファン装置65bは、マイクロ波加熱源62のマイクロ波発振装置62aを主に冷却するために駆動されるため、図19(a)に示すように本開示のマイクロ波給電部であるマイクロ波加熱源62が駆動しているとき、ファンの回転速度が最大である第1の回転速度で駆動しているが、本開示の第1の加熱手段である第1ヒータ60a及び第2の加熱手段である第2ヒータ60bが駆動しているときにも、第1の回転速度よりも遅い第2の回転速度で駆動している。第1の回転速度は、例えば一例として1分間に3500回転する3500rpmである。第1の回転速度よりも遅い第2の回転速度は、例えば一例として1分間に2000回転する2000rpmである。
これは、マイクロ波加熱源62が駆動しているときには、第2の冷却ファン装置65bが最大の回転速度である第1の回転速度で駆動していても駆動音があまり気にならないが、マイクロ波加熱源62が駆動していないときには、第2の冷却ファン装置65bが第1の回転速度で駆動していると、使用者が騒音と捉えてしまう虞があるためで、第1ヒータ60a及び第2ヒータ60bが駆動しているときは、第1の回転速度よりも遅い第2の回転速度で駆動して使用者への影響を低減している。そして、本開示の第1の加熱手段である第1ヒータ60a及び第2の加熱手段である第2ヒータ60bが駆動しているときに第2の冷却ファン装置65bを駆動させることで、本体3の底面3eから空間112を介して第1収容空間底板110cへ伝わる熱、加熱庫外底面6jから空間111を介して本体3の底面3eへ伝わる熱を抑制している。
また、第2の冷却ファン装置65bの駆動の他の一例として、図19(b)に示すように本開示のマイクロ波給電部であるマイクロ波加熱源62が駆動しているとき、ファンの回転速度が最大である第1の回転速度で駆動しているが、本開示の第1の加熱手段である第1ヒータ60a及び第2の加熱手段である第2ヒータ60bが駆動しているときは、第1の回転速度で間欠駆動させるようにしてもよい。間欠駆動させて停止時間を設けることで消費電力を抑えることができる。
さらに、第1の冷却ファン装置65a及び第2の冷却ファン装置65bの駆動の一例として、図19(c)に示すように、本開示の第1の加熱手段である第1ヒータ60a及び第2の加熱手段である第2ヒータ60bが駆動しているとき、前述のように第1の冷却ファン装置65aは、商用電源の交流電力を高周波の交流電力に変換し、マイクロ波発振装置62aに供給する第2インバータ回路基板63を冷却する他に、加熱庫6から流出した空気を誘引する誘引ファンとしても用いられているので、加熱庫6内から排出される空気を誘引するために第1の回転速度で駆動している。
それと同時に、第2の冷却ファン装置65bは、第2の回転速度で駆動して本体3の底面3eから空間112を介して第1収容空間底板110cへ伝わる熱、加熱庫外底面6jから空間111を介して本体3の底面3eへ伝わる熱を抑制している。このとき、第2の冷却ファン装置65bを第2の回転速度で駆動しているのは、第1の冷却ファン装置65a及び第2の冷却ファン装置65bを共に第1の回転速度で駆動させると、使用者が騒音と捉えてしまう影響を抑制するためである。
このように、第1の冷却ファン装置65a及び第2の冷却ファン装置65bの駆動時の回転速度を変更して、使用者への影響を低減しながら本体3の底面3eから空間112を介して第1収容空間底板110cへ伝わる熱、加熱庫外底面6jから空間111を介して本体3の底面3eへ伝わる熱を抑制し、第1収容空間底板110cに熱による悪影響を及ぼし難くして厨房家具100を保護している。
次に、調理容器9の構成、調理容器9を受け皿6bに載置し加熱庫6に収容した状態について図8、図10、図13~図18を用いて説明する。図13(a)は実施の形態1に係る加熱調理器で使用する調理容器を上面からみた概略図、図13(b)は図13(a)に示す切断線Z-Zで切断した断面を示す断面図、図14は実施の形態1に係る加熱調理器の天板上に調理容器を載置した状態の上面図、図15実施の形態1に係る加熱調理器が厨房家具に設置された状態を正面から見た図、図16は図15に示す切断線Y-Yで切断した断面を示す断面図、図17は調理容器を加熱庫内に収容しているときに図15に示す切断線Y-Yで切断した断面を示す断面図、図18は調理容器を受け皿に載置した状態で受け皿の突出部の中央部で切断した左右方向の概略断面図である。
図15に示すように、加熱調理器1を正面から見ると、扉体4が左右方向の中央部にあり、その上に厨房家具100と加熱調理器1との隙間を隠す化粧部品である第1パネル70が取付けられている。また、扉体4の両側に前面の化粧部品である第2パネル72が取付けられている。扉体4の奥側には加熱庫6が配置されているので、加熱庫6は左右方向の中央部に設けられていることが分かる。
図13(a)、(b)に示すように、調理容器9は開口側の大きさに比べて底面側が小さい浅い円形の形状をしている。調理容器9は前述のように金属材で形成されており、少なくとも底面外側には磁性の金属材を有し、加熱コイル30で誘導加熱可能に構成されている。
調理容器9は持ち手として着脱可能なハンドル10が取付け可能であり、ハンドル10を取付けることで使用者がハンドルを持って調理を行える、例えばフライパンのような調理器具として使用可能で、図14に示すように天板2a上(図14では調理容器9に隠れて見えないが図7に示す被加熱物の載置位置を示すマーク2a1上)に載置することで、天板2a下に設けられた加熱コイル30により誘導加熱できるようになっている。
ここでの調理容器9である被加熱物の載置位置を示す天板上のマーク2a1、2a2、2a3はあくまでも載置位置の目安であり、円形に限らない。また、円形の場合、その外周が必ず被加熱物の寸法を表している訳ではなく、加熱コイル30で誘導加熱できる被加熱物の底面の直径は、例えば最大径φdmaxはφ300mm、最小径φdminはφ120mmであり、つまり底面の直径がφ300mmからφ120mmの間の被加熱物であれば誘導加熱が可能である。なお、底面の直径とは、調理容器9の底面外側の平坦部の直径のことである。
図13(b)に示すように、本開示の調理容器9の底面外側の平坦部9aの直径φdは、本開示の一例として200mmであり、加熱コイル30で誘導加熱できる被加熱物の底面外側の平坦部の直径がφ300mmからφ120mmの間に入っており、調理容器9は加熱コイル30で誘導加熱可能である。また、調理容器9の底面から調理容器9の最大高さまでの高さ寸法T1は、本開示の一例として55mm程度である。
また、ハンドル10は着脱可能であるので、調理容器9を受け皿6bに載置して加熱庫6内で調理を行う場合は、図15に示す切断線Y-Yで切断した断面を示した図16に示すように、ハンドル10を外して調理容器9のみを受け皿6bに載置して加熱庫6内に収容し、調理容器9内の被調理物を調理することが可能である。
受け皿6bは、図16に示すように左右方向の両端部寄りの受け皿壁面6b3に、それぞれ突出部6b1が設けられている。突出部6b1は、受け皿6bの前後方向のおおよそ中心となる位置に最も突出する位置がくるように配置されている。受け皿壁面6b3は受け皿6bの底面内側から上方へ向かって広がる方向に傾斜している。突出部6b1は上方から見ると円弧状をしており、受け皿6bの内側に向かって最大に突出している箇所の幅の寸法はw2である。w2は例えば240mm程度である。
突出部6b1は、調理容器9を受け皿6bに載置したときの左右方向への動きを規制するためのものである。また、受け皿6bの突出部6b1の外側(調理容器9の裏側)は、図18に示す手掛け部6b5としても機能するようになっている。この手掛け部6b5には素手で手を掛けることができるが、加熱後で温度が高い場合はミトンなどを付けて手を掛けることもできる。
前述のように突出部6b1は、受け皿6bの左右方向の両端部寄りの受け皿壁面6b3で、受け皿6bの前後方向のおおよそ中心となる位置に最も突出する位置がくるように配置されているので、突出部6b1の外側(調理容器9の裏側)の手掛け部6b5も受け皿6bの前後方向のおおよそ中心となる位置に配置されていることになる。このように受け皿6bの左右方向で、前後方向のおおよそ中心となる位置に手掛け部を設けることで、使用者が受け皿6bをバランスよく安全に持ち運ぶことができる。
調理容器9は前述のように底面外側の平坦部の直径はφdで本開示の一例として200mmであり、最大径φDが本開示の一例として260mmである。図18に示すように、調理容器9の底面外側の最大直径はφd3で、平坦部の直径φdよりも大きい。φd3は本開示の一例として210mm程度である。但し、210mmは調理容器9の底面9a外側と壁面9eとがR局面で結ばれる前の仮の交点の寸法となる。
前述のように受け皿6bの内側に向かって最大に突出している箇所の幅の寸法w2は例えば240mm程度で、調理容器9の底面外側の最大寸法φd3は210mm程度であるので、調理容器9の底面は受け皿6bの左右の突出部6b1の間に収容可能である。
受け皿6bの左右方向の両端部寄りの受け皿壁面6b3に、それぞれ設けられた突出部6b1の受け皿底面6b2(調理容器の載置面)からの最大高さT3は、本開示の一例として13mm程度である。この最大高さT3の左右の幅の寸法w1は、本開示の一例として250mm程度である。
壁面9eは緩やかな局面で、開口9b側に拡がるように傾斜している。受け皿6bに載置したときの調理容器9の壁面9eのT3と同じ高さの壁面9eの外周の直径φd2は、本開示の一例としてφ220mm程度である。そのため、調理容器9と突出部6b1の最大高さの位置との左右何れか片側の間隔は15mmとなり、15mmは移動できるがそれ以上は左右への移動はできなくなっている。
受け皿6bの左右方向の幅の最大寸法はW3で、本開示の一例として304mm程度である。調理容器9の最大径φDは、本開示の一例として260mmであるので、受け皿6bの左右方向の端部と調理容器9の最大径位置での左右何れか片側の間隔は22mmとなる。よって、前述のように調理容器9が片側に最大15mm寄ったとしても、受け皿6bの左右方向の何れかの端部までは7mmの余裕がある。受け皿6bは加熱庫6内に収容されるため、加熱庫6の左右方向の幅寸法は、少なくとも受け皿6bの左右方向の幅の最大寸法W3と同じかそれ以上の寸法となる。そのため、調理容器9が片側に最大15mm寄ったとしても、調理容器9の端部9dが加熱庫内側の左右の側壁6f、6gに接触することがない。
調理容器9を載置した受け皿6bを収容する加熱庫6は前述のように金属板で形成されているので、内側の左右の側壁6f、6gも金属である。加熱庫6は前述のように、マイクロ波加熱源62による高周波加熱による調理も行えるように構成されている。よって、金属の調理容器9の端部9dと金属である加熱庫6の内側の左右の側壁6f、6gが接触した状態で高周波加熱が行われてしまうとスパークが発生してしまい、金属製の調理容器9の端部9dが破損したり、側壁6f、6gが破損したりすることや、加熱庫6内に耐熱塗装などの塗装が施されているものであれば塗装が損傷したりする可能性がある。また、使用者に不安を与えてしまう可能性がある。
本開示の加熱調理器1は、前述のように構成し調理容器9の端部9dが加熱庫内側の左右の側壁6f、6gに接触することがないので、高周波加熱による調理中に調理容器9と加熱庫6の内側の左右の側壁6f、6gでスパークが発生することがなく、使用者が安心して加熱調理器1を使用することができる。
受け皿6の前側と奥側方向には突出部6b1は形成されていない。図8に示す加熱庫6の庫内側底面6eから調理容器9の最大高さまでの高さ寸法T2は、本開示の一例として60mm程度である。加熱庫6の奥側の面の加熱庫6の庫内側底面6eから調理容器9の最大高さまでの高さ寸法T2と同じ高さの位置には、マイクロ波を透過させる耐熱性プラスチック又は耐熱性ガラスで形成されたマイクロ波透過板62e(本開示の第2の絶縁体)が設けられている。よって、調理容器9の端部9dが接触しても絶縁体であるのでスパークが発生しない。そのため、受け皿6の奥側方向には突出部6b1は形成されていない。
また、加熱庫6の前側の面は開口しており、扉体4で閉塞している。扉体4の内側面の加熱庫6の庫内側底面6eから調理容器9の最大高さまでの高さ寸法T2と同じ高さの位置には、マイクロ波を透過させる絶縁体である耐熱性プラスチック又は耐熱性ガラスで形成された窓4c(本開示の第1の絶縁体)が設けられている。よって、調理容器9の端部9dが接触しても絶縁体であるのでスパークが発生しない。そのため、受け皿6の前側方向には突出部6b1は形成されていない。さらに、受け皿6の前後方向に手を掛けて受け皿6を運ぶことはバランスが悪く危険であり、また、加熱庫6庫内の奥まで手を入れることもできないので、使用者が受け皿6の前後方向に手を掛けて受け皿6を運ぶことが無いよう、受け皿6の前側と奥側方向には手掛け部6b5を形成していない。
本開示の加熱調理器1は、前述のように構成し調理容器9の端部9dが加熱庫6の前側の窓部4c、奥側の面のマイクロ波透過板62eと接触しても絶縁体であるので、高周波加熱による調理中に調理容器9と加熱庫6の前側の窓部4c、奥側の面のマイクロ波透過板62eとでスパークが発生することがなく、使用者が安心して加熱調理器1を使用することができる。