実施の形態1.
実施の形態1に係る加熱調理器について図1~図10を用いて説明する。図1は、実施の形態1に係る加熱調理器の外観構造の一例を示す斜視図である。図2は、実施の形態1に係る加熱調理器が設置される厨房家具100の外観構造の一例を示す斜視図である。図3は、図1の加熱調理器を図2の厨房家具100に設置する工程を示す概略図である。図4は、厨房家具100に設置された状態の加熱調理器の外観構造の一例を示す斜視図である。図5は、加熱庫扉4が開かれた状態の図4の加熱調理器を示す斜視図である。図6は、図4の加熱調理器の上面図である。図7は、図6のU-U断面を示す断面図である。図8は、図6のV-V断面を示す断面図である。図9は、図6のW-W断面を示す断面図である。図10は、実施の形態1に係る加熱調理器の内部の風路を概略的に示したブロック図である。本実施の形態1に係る加熱調理器は、システムキッチン等で用いられるビルトイン型の加熱調理器であり、実施の形態1では、ビルトイン型の加熱調理器の一例として、ビルトイン型の誘導加熱調理器1を例示する。
なお、図1を含む以下の図面では各構成部材の寸法の関係及び形状が、実際のものとは異なる場合がある。また、以下の図面では、同一の部材若しくは部分又は同一の機能を有する部材若しくは部分には、同一の符号を付すか、あるいは符号を付すことを省略している。また、誘導加熱調理器1の前後、左右、若しくは上下の位置関係、又は誘導加熱調理器1の各々の構成部材同士の前後、左右、若しくは上下の位置関係は、原則として、誘導加熱調理器1を使用可能な状態に設置したときの位置関係とする。
誘導加熱調理器1は、トッププレート2と、トッププレート2が載置される箱状の本体3と、本体3の前面に設けられ、加熱庫扉4とを備えている。なお、図1では、加熱庫扉4からハンドル5を外した状態の誘導加熱調理器1が示されている。誘導加熱調理器1は、図1の状態で厨房家具100に収容される。
なお、以降の説明において、本体3の「前面」又は「正面」とは、本体3の外部の前側の表面を指すものとし、外郭を構成する面が平らであっても凹凸を有していてもよい。誘導加熱調理器1、厨房家具100、若しくは厨房家具100の構成要素の「前面」若しくは「正面」、又は誘導加熱調理器1を構成する他の構成要素、例えば、加熱庫扉4の「前面」若しくは「正面」についても同様とする。また、誘導加熱調理器1、厨房家具100、又は誘導加熱調理器1若しくは厨房家具100の構成要素の「上面」若しくは「天面」、「下面」若しくは「底面」、「背面」若しくは「後面」、「右面」、又は「左面」についても同様とする。また、図1の矢印に示すように、上、下、前、後、左、及び右の方向を定義する。
厨房家具100には、誘導加熱調理器1が収容される第1収容空間110と、厨房道具等の収納用の収納箱120が収容される第2収容空間130が設けられている。収納箱120は、スライド式の容器であり、収納箱120の前面には、収納箱120を前方に引き出すための取っ手140が設けられている。厨房家具100では、厨房家具100の第1収容空間110と厨房家具100の第2収容空間130との間が仕切板150によって仕切られている。図2に示すように、仕切板150の平板面は、上下に起立して奥行き方向に延びている。
厨房家具100の上面には、第1収容空間110と厨房家具100の上側の外部空間とを連通させ、誘導加熱調理器1が挿入される収容口110aが設けられている。また、厨房家具100の前面には、第1収容空間110と厨房家具100の前側の外部空間とを連通させ、誘導加熱調理器1の加熱庫扉4の前面を、厨房家具100の前側の外部空間に露出させる挿通口110bが設けられている。
図3に示すように、誘導加熱調理器1は、収容口110aを介して、加熱庫扉4を先頭にして第1収容空間110に収容される。加熱庫扉4が挿通口110bに挿通された後に、本体3が第1収容空間110に収容され、トッププレート2が厨房家具100の上面に載置される。本体3が第1収容空間110に収容された状態において、加熱庫扉4の前面は、収納箱120の前面と同一位置となるように、本体3の収容位置が調整される。また、本体3が第1収容空間110に収容された状態において、トッププレート2は、厨房家具100の上面から露出している。
ハンドル5は、加熱庫扉4の後面が本体3から離れ、本体3の内部に収容された加熱庫6の開口6aが外部空間と連通した開放状態で取り付けられる。例えば、ハンドル5に、加熱庫扉4の上面から内部に挿入される支持部材を設け、加熱庫扉4の後面からネジ等の締結部材で支持部材を締結することにより、ハンドル5は加熱庫扉4の上面に取り付けられる。また、加熱庫扉4の後面には、ネジ等の締結部材を収容する貫通穴4aが設けられており、当該締結部材を目隠しするキャップ4bが貫通穴4aに収容されている。貫通穴4aにキャップ4bを収容することにより、加熱庫扉4が加熱庫6の開口6aを開放した状態でも、加熱庫扉4の後面から締結部材が目視できなくなるため、加熱庫扉4の意匠性を向上させることができる。
加熱庫扉4と厨房家具100との間の隙間には、化粧パネル7が配置される。化粧パネル7により、加熱庫扉4と厨房家具100との間の隙間から見える本体3の前面及び仕切板150の前面が目隠しされるため、誘導加熱調理器1の意匠性を向上させることができる。化粧パネル7は、加熱庫扉4と厨房家具100との間の上側の隙間に配置された第1パネル70を有している。また、化粧パネル7は、加熱庫扉4と厨房家具100との間の左右の隙間に配置された第2パネル72を有している。
次に、誘導加熱調理器1の詳細な構成について説明する。
トッププレート2は、天板2aと、天板2aの外縁に配置されたフレーム2bとを有している。天板2aとしては、例えば、耐熱性のガラス板が用いられる。天板2aの上面には、被調理物を調理するための鍋又はフライパン等の被加熱物を載置する目安となる複数の円形のマーク2a1、2a2、2a3が印刷等により示されている。
天板2aの複数の円形のマーク2a1、2a2、2a3の下方、かつ本体3の内部には、天板2aの上面に載置された被加熱物を天板2aを介して加熱する複数の加熱コイル30が配置されている。加熱コイル30は、誘導加熱コイルとして構成されている。なお、円形のマーク2a3の下方に配置された加熱コイル30は、商用周波数の交流電力が供給されることによる赤外線の輻射熱で被加熱物を加熱するラジエントヒータとしてもよい。
誘導加熱コイルは、電磁誘導の原理を利用して、被加熱物を加熱させる電気回路素子である。誘導加熱調理器1において、誘導加熱コイルに高周波交流電流、例えば20~90kHzの交流電流を流すと、誘導加熱コイルの周りに磁力線が発生し、誘導加熱コイルの周囲に磁界が発生する。磁界である磁力線が鍋又はフライパン等の被加熱物の導体内部に侵入すると、被加熱物の内部において磁束変化を妨げる磁界が発生するように、被加熱物に渦電流が流れる。したがって、誘導加熱コイルに交流電流を連続的に流すと、交流電流の電流値の変化に応じて、被加熱物の内部において、磁束変化を妨げる磁界が継続して発生するように、被加熱物には渦電流が連続して流れることとなる。被加熱物に渦電流が流れると、被加熱物の電気抵抗と、被加熱物を流れる渦電流とにより、被加熱物にジュール熱が発生する。以上のように、誘導加熱調理器1の誘導加熱コイルでは、電磁誘導の原理を利用することにより、被加熱物を加熱させることができる。
フレーム2bは、例えば金属板を折曲加工した補強板として形成される。フレーム2bは、天板2aの外縁の破損を防ぐべく、天板2aの外縁を狭持して補強している。後方のフレーム2bには、本体3の内部と連通する複数の排気口2b1が形成されている。後方のフレーム2bには、それぞれの排気口2b1を覆う排気口カバー2cが設けられている。排気口カバー2cとしては、パンチングメタル又は格子状の金属部材が用いられ、通気性を有し、かつ通気抵抗が少なくなるように形成される。例えば、排気口カバー2cの開口2c1の形状はスリット状とすることができ、例えば、排気口カバー2cの開口2c1の幅は、排気口カバー2cの幅と同じかやや小さい幅とすることができる。誘導加熱調理器1からの排気は、排気口カバー2cを通過して誘導加熱調理器1の外へ流出する。
フレーム2bの下面には、複数の緩衝材2dが取り付けられている。緩衝材2dとしては、例えばシリコーンゴム等の断熱性のゴムが用いられる。緩衝材2dは、トッププレート2が厨房家具100の上面に載置された際に、厨房家具100の上面に接触する。緩衝材2dを設けることにより、トッププレート2上に被加熱物が載置された場合の衝撃を吸収し、天板2aの破損を抑制することができる。
天板2aのマーク2a1、2a2、2a3の前方には、操作パネル20が設けられている。操作パネル20の上側には出力インタフェースとして、統合表示部21a、第1表示部21b、及び第2表示部21cが設けられている。統合表示部21aは、操作パネル20の後方中央に配置されている。第1表示部21bは、操作パネル20の後方右側に配置されている。第2表示部21cは、操作パネル20の後方左側に配置されている。
本体3には、統合表示部21a、第1表示部21b、及び第2表示部21cのそれぞれに、誘導加熱調理器1に関する各種情報を表示する薄膜トランジスタ液晶モジュール等の出力デバイス31aを搭載した表示基板31が設けられている。表示基板31は、これらの入力インタフェースの下方にそれぞれ配置されている。
第1表示部21bには、天板2aのマーク2a1の下方に配置された加熱コイル30の動作に関する情報が表示される。また、第2表示部21cには、天板2aのマーク2a2の下方に配置された加熱コイル30の動作に関する情報が表示される。例えば、第1表示部21bでは、天板2aのマーク2a1の下方に配置された加熱コイル30におけるタイマー調理の設定時間、予熱温度、又は経過時間等の各種情報が表示される。また、第2表示部21cでも、第1表示部21bと同様に、天板2aのマーク2a2の下方に配置された加熱コイル30におけるタイマー調理の設定時間、予熱温度、又は経過時間等の各種情報が表示される。
統合表示部21aには、第1表示部21b及び第2表示部21cに表示される情報以外の全ての誘導加熱調理器1に関する情報が表示される。例えば、統合表示部21aには、天板2aのマーク2a3の下方に配置された加熱コイル30におけるタイマー調理の設定時間、予熱温度、又は経過時間等の各種情報が表示される。また、統合表示部21aには、加熱庫6における加熱動作等のタイマー設定時間、予熱温度、又は経過時間等の各種情報が表示される。また、統合表示部21aには、誘導加熱調理器1の共通的な情報又は警報が表示される。例えば、統合表示部21aには、誘導加熱調理器1の加熱源の選択情報、又は加熱源の動作状態を示す注意情報若しくは警告情報が表示される。
また、統合表示部21aには、チャイルドロック設定等の誘導加熱調理器1の機能設定情報が表示される。また、統合表示部21aの下方に配置された表示基板31は、統合表示部21aの複数のエリアに異なる各種情報を表示できるように構成できる。例えば、統合表示部21aの下方に配置された表示基板31は、左右方向に3つのエリアに分割し、それぞれに誘導加熱調理器1の各種情報を表示できるように構成できる。
操作パネル20の第1表示部21bと統合表示部21aとの間には、出力インタフェースとして、複数の透過窓を有する第1火力表示部22aが設けられている。第1火力表示部22aでは、天板2aのマーク2a1の下方に配置された加熱コイル30の火力情報が、透過窓からの光の点灯数によって表示される。例えば、本体3には、第1火力表示部22aの透過窓の数に応じた複数の発光ダイオードを有する回路基板が設けられている。回路基板の複数の発光ダイオードは、第1火力表示部22aの透過窓の下方にそれぞれ配置されている。また、第1火力表示部22aには、火力を表示する透過窓とは別に、保温状態を表示する透過窓を設けることができる。なお、この回路基板は、表示基板31と同一基板であってもよいし、別個の基板であってもよい。
操作パネル20の第2表示部21cと統合表示部21aとの間には、出力インタフェースとして、複数の透過窓を有する第2火力表示部22bが設けられている。第2火力表示部22bでは、天板2aのマーク2a2の下方に配置された加熱コイル30の火力情報が、透過窓からの光の点灯数によって表示される。本体3には、第2火力表示部22bの透過窓の数に応じた複数の発光ダイオードを有する回路基板が設けられている。回路基板の複数の発光ダイオードは、第2火力表示部22bの透過窓の下方にそれぞれ配置されている。また、第2火力表示部22bには、火力を表示する透過窓とは別に、保温状態を表示する透過窓を設けることができる。なお、この回路基板は、表示基板31と同一基板であってもよいし、別個の基板であってもよい。
なお、第1火力表示部22a及び第2火力表示部22bは、同様の火力情報が統合表示部21a、第1表示部21b、及び第2表示部21cのいずれかに表示される場合は、省略できる。
操作パネル20の前方には、入力インタフェースとして、第1入力部23、第2入力部24、第3入力部25、及び第4入力部26が設けられている。本体3には、第1入力部23、第2入力部24、第3入力部25、及び第4入力部26に設けられた入力ボタンの総数に対応した数の静電容量式のタッチセンサを有する操作基板32が設けられている。操作基板32は、これらの入力インタフェースの下方に配置されている。
第1入力部23は、操作パネル20の前方中央に設けられている。誘導加熱調理器1では、第1入力部23で入力された情報は、統合表示部21aでの表示内容に反映される。第1入力部23には、機能設定ボタン23a、調理モード選択ボタン23b、第1入力選択ボタン23c1、第2入力選択ボタン23c2、第3入力選択ボタン23c3、入力確定ボタン23d、及び入力取消ボタン23eが設けられている。
第1入力部23の左端には、機能設定ボタン23aが設けられている。機能設定ボタン23aは、チャイルドロック設定等の誘導加熱調理器1の機能設定画面を統合表示部21aに表示し、機能設定を行うために用いられる。
機能設定ボタン23aの右側には、調理モード選択ボタン23bが設けられている。調理モード選択ボタン23bは、例えば、誘導加熱調理器1における複数の加熱源を用いて調理を行う「連携調理モード」又は加熱庫6における各種調理モードを選択し、統合表示部21aに関連情報を表示させるために用いられる。
調理モード選択ボタン23bの右側には、第1入力選択ボタン23c1、第2入力選択ボタン23c2、及び第3入力選択ボタン23c3が順に設けられている。第1入力選択ボタン23c1、第2入力選択ボタン23c2、及び第3入力選択ボタン23c3は、それぞれ一対の入力ボタンを有しており、統合表示部21aに表示される情報を選択するために用いられる。例えば、統合表示部21aでの表示エリアが、左右方向に3つのエリアに分割され、それぞれに異なる設定内容が表示されている場合、第1入力選択ボタン23c1は、左のエリアに表示された設定内容を選択するために用いられる。また、第2入力選択ボタン23c2は、中央のエリアに表示された設定内容を選択するために用いられる。第3入力選択ボタン23c3は、右のエリアに表示された設定内容を選択するために用いられる。
第3入力選択ボタン23c3の右側には、入力確定ボタン23dが設けられている。入力確定ボタン23dは、天板2aのマーク2a3の下方に配置された加熱コイル30での調理を開始する場合に用いられる。また、入力確定ボタン23dは、加熱庫6での調理を開始する場合に用いられる。また、入力確定ボタン23dは、第1入力選択ボタン23c1、第2入力選択ボタン23c2、又は第3入力選択ボタン23c3で選択した内容を確定する場合に用いられる。
入力確定ボタン23dの右側には、入力取消ボタン23eが設けられている。入力取消ボタン23eは、天板2aのマーク2a3の下方に配置された加熱コイル30での調理を停止する場合に用いられる。また、入力取消ボタン23eは、加熱庫6での調理を停止する場合に用いられる。また、入力取消ボタン23eは、第1入力選択ボタン23c1、第2入力選択ボタン23c2、又は第3入力選択ボタン23c3で選択した内容を取り消す場合に用いられる。
第2入力部24は、操作パネル20の前方左側に設けられている。誘導加熱調理器1では、第2入力部24で入力された情報は、第1表示部21b又は第1火力表示部22aに表示される。第2入力部24には、第1調理時間選択ボタン24a、第1制御モード選択ボタン24b、第1切替ボタン24c、及び第1火力選択ボタン24dが設けられている。
第2入力部24の左端には、第1調理時間選択ボタン24aが設けられている。第1調理時間選択ボタン24aでは、天板2aのマーク2a1の下方に配置された加熱コイル30での誘導加熱調理の設定時間、すなわちタイマー調理の設定時間を選択するために用いられる。第1調理時間選択ボタン24aで選択したタイマー調理の設定時間は、第1表示部21bに表示される。
第1調理時間選択ボタン24aの右側には、第1制御モード選択ボタン24bが設けられている。例えば、第1制御モード選択ボタン24bでは、制御モードとして、湯沸しモード、煮込みモード、又は揚げ物モード等の自動調理モードが選択される。選択した制御モードは、第1表示部21bに表示される。
第1制御モード選択ボタン24bの右側には、第1切替ボタン24cが設けられている。第1切替ボタン24cは、天板2aのマーク2a1の下方に配置された加熱コイル30の調理の開始及び停止を切り替えるために用いられる。加熱コイル30の調理の開始及び停止は、第1切替ボタン24cの押下ごとに順次切り替えられる。加熱コイル30の調理の開始及び停止は、第1表示部21bに表示される。
第1切替ボタン24cの右側には、第1火力選択ボタン24dが設けられている。一対の第1火力選択ボタン24dは、一対のボタンを有しており、天板2aのマーク2a1の下方に配置された加熱コイル30での火力、すなわち消費電力を調整するために用いられる。一対の第1火力選択ボタン24dでの火力の選択結果は、第1火力表示部22aの点灯数で表される。
第3入力部25は、操作パネル20の前方右側に設けられている。誘導加熱調理器1では、第3入力部25で入力された情報は、第2表示部21c又は第2火力表示部22bに表示される。第3入力部25には、第2切替ボタン25a、第2火力選択ボタン25b、第2制御モード選択ボタン25c、及び第2調理時間選択ボタン25dが設けられている。
第3入力部25の左端には、第2切替ボタン25aが設けられている。第2切替ボタン25aは、天板2aのマーク2a2の下方に配置された加熱コイル30の調理の開始及び停止を切り替えるために用いられる。加熱コイル30の調理の開始及び停止は、第2切替ボタン25aの押下ごとに順次切り替えられる。加熱コイル30の調理の開始及び停止は、第2表示部21cに表示される。
第2切替ボタン25aの右側には、第2火力選択ボタン25bが設けられている。第2火力選択ボタン25bは、一対のボタンを有しており、天板2aのマーク2a2の下方に配置された加熱コイル30での火力、すなわち消費電力を調整するために用いられる。第2火力選択ボタン25bでの火力の選択結果は、第2火力表示部22bの点灯数で表される。
第2火力選択ボタン25bの右側には、第2制御モード選択ボタン25cが設けられている。例えば、第2制御モード選択ボタン25cでは、制御モードとして、湯沸しモード、煮込みモード、又は揚げ物モード等の自動調理モードが選択される。選択した制御モードは、第2表示部21cに表示される。
第2制御モード選択ボタン25cの右側には、第2調理時間選択ボタン25dが設けられている。第2調理時間選択ボタン25dでは、天板2aのマーク2a2の下方に配置された加熱コイル30での誘導加熱調理の設定時間、すなわちタイマー調理の設定時間を選択するために用いられる。第2調理時間選択ボタン25dで選択したタイマー調理の設定時間は、第2表示部21cに表示される。
第4入力部26は、第3入力部25の右側に設けられ、誘導加熱調理器1の稼働及び停止を入力する主電源ボタンである。誘導加熱調理器1の稼働及び停止は、第4入力部26の押下ごとに順次切り替えられる。
また、第1入力部23、第2入力部24、第3入力部25、及び第4入力部26の上述した各種ボタンの上方には、それぞれのボタンでの入力が有効か無効かを示す複数の通知窓27が設けられている。本体3には、通知窓27の数に応じた複数の発光ダイオードを有する回路基板が設けられている。回路基板の複数の発光ダイオードは、通知窓27の下方にそれぞれ配置されている。なお、この回路基板は、表示基板31及び操作基板32のいずれかと同一基板であってもよいし、別個の基板であってもよい。
例えば、誘導加熱調理器1での調理が実行状態にある場合、主電源ボタンである第4入力部26での入力動作を無効とすることができる。通知窓27を介した発光ダイオードの点灯で第4入力部26での入力が有効であることを示す場合、発光ダイオードの消灯で第4入力部26での入力が無効であることを示すことができる。また、発光ダイオードの点滅で第4入力部26での入力が無効であることを示してもよいし、入力が有効である場合と異なる色で点灯し、第4入力部26での入力が無効であることを示してもよい。
本体3の内側には、上面が開口した筐体50が配置されている。筐体50は、上面が開口した箱体50aと、箱体50aの上縁に設けられたフランジ50bとを有している。筐体50によって、本体3の内部空間は、トッププレート2での加熱処理に係る電気部品等を収容する第1領域200と、加熱庫6での加熱処理に係る電気部品等を収容する第2領域300とに区画される。第1領域200及び第2領域300は、フレーム2bに設けられた複数の排気口2b1と連通している。
本体3の第1領域200には、前述した加熱コイル30、表示基板31、及び操作基板32の他、フィルタ回路基板33、第1インバータ回路基板34、及び1以上の第1冷却ファン35が収容されている。
筐体50のフランジ50bには、表示基板31及び操作基板32が取り付けられたケースの一部が支持されている。操作基板32は、天板2aの下面に接触するように、フランジ50bと天板2aとの間に配置されている。ケースは、天板2aの下面と間隔をあけて、フランジ50bに一部支持されている。
筐体50の箱体50aには、加熱コイル30、フィルタ回路基板33、第1インバータ回路基板34、及び1以上の第1冷却ファン35が収容されている。
加熱コイル30は、第1インバータ回路基板34の上方に配置されている。加熱コイル30は、例えば、箱体50aの底面に設けられた支持脚から、バネ等の弾性体によって天板2a側に付勢されている。
フィルタ回路基板33は、商用電源から供給される交流電力におけるノイズを除去して、第1インバータ回路基板34等に供給するとともに、第1インバータ回路基板34等で発生するノイズの商用電源への逆流を抑制する電気回路基板である。フィルタ回路基板33は、抵抗、チョークコイル等のインダクタ、コンデンサー、リレー回路、及び電流ヒューズ等の電気部品を実装している。
第1インバータ回路基板34は、フィルタ回路基板33でノイズ除去された商用電源の交流電力を高周波の交流電力に変換し、加熱コイル30に供給する電気回路基板である。第1インバータ回路基板34には、放熱フィン36aを有するヒートシンク36が取り付けられている。また、ヒートシンク36には、インバータ回路の一部を構成する複数のスイッチング素子34aが取り付けられている。
ヒートシンク36は、放熱フィン36aを通過する空気によって、第1インバータ回路基板34及びスイッチング素子34aで発生する熱を冷却する放熱部材である。ヒートシンク36は、例えばアルミニウム等の熱伝導性の高い材料で形成される。
スイッチング素子34aは、インバータ回路の電力制御に用いられる半導体素子である。スイッチング素子34aは、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタとして形成される。なお、スイッチング素子34aは、第1インバータ回路基板34に実装してもよい。
第1インバータ回路基板34は、ヒートシンク36及びスイッチング素子34aとともに、保護部材37によって覆われている。保護部材37は、例えば、金属製の薄板又はプラスチック製の板で形成されている。保護部材37では、ヒートシンク36を通過する空気流が通過できるように、左面及び右面が開口されている。なお、誘導加熱調理器1では、複数の加熱コイル30の各々に別個に高周波電力を供給するために、複数の第1インバータ回路基板34を設けることができる。
第1冷却ファン35は、箱体50aの底面に設けられた通気口50a1を通過した空気を、箱体50aの内部に誘引する回転機械である。第1冷却ファン35としては、例えば、シロッコファン等の遠心ファンが用いられる。第1冷却ファン35の回転によって、通気口50a1を通過した空気が箱体50aの底面に沿った方向に吹き出される。第1冷却ファン35は、誘導加熱調理器1の機能等に応じて、複数個設けることができる。
通気口50a1は、例えば、箱体50aの底面にパンチング孔を穿孔することにより形成される。また、通気口50a1を通過する空気流の吸入口として、例えば、本体3の左面に第1吸気口3a1を設けることができる。第1吸気口3a1も通気口50a1と同様、例えば、本体3の左面にパンチング孔を穿孔することにより形成される。また、図9に示すように、本体3の内部に第1吸気口3a1と通気口50a1とを連通させる第1吸気ダクト38を設けることにより、第1冷却ファン35の回転により、第1吸気口3a1から吸入された本体3の外部の空気のみを、箱体50aの内部に誘引できる。
誘導加熱調理器1の加熱コイル30の駆動時の、本体3の第1領域200における空気の流れを図9及び図10を用いて説明する。図9では、空気の流れをブロック矢印で示している。また、図10における実線の矢印は、空気の主流を示しており、点線の矢印は主流よりも流量の少ない支流を示している。また、誘導加熱調理器1において、第1冷却ファン35が2つ設けられている場合について説明する。
第1冷却ファン35の回転により、第1吸気口3a1から吸入された空気は、第1吸気ダクト38及び通気口50a1を経て、第1領域200に誘引される。第1領域200に誘引された空気は、第1冷却ファン35により、加熱コイル30、表示基板31、操作基板32、フィルタ回路基板33、及び第1インバータ回路基板34に供給される。
本体3の第1領域200においては、第1インバータ回路基板34における発熱量が大きいので、実装部品の温度上昇が大きくなる。そこで、2つの第1冷却ファン35のうちの一方については、第1冷却ファン35の吹出口を保護部材37の開口に連通させて、優先的に第1インバータ回路基板34に空気を供給させている。この構成によれば、第1インバータ回路基板34の温度上昇を効率的に抑制できるため、加熱コイル30を安定して駆動させることができる。
加熱コイル30、表示基板31、操作基板32、フィルタ回路基板33を冷却した空気は、大部分が加熱コイル30に供給される。加熱コイル30を冷却した空気は、排気口2b1及び排気口カバー2cの開口2c1を介して、誘導加熱調理器1から排気される。
本体3の第2領域300には、加熱庫6の他、第1ヒータ60a、第2ヒータ60b、及び赤外線温度センサ61が収容されている。本体3の第2領域300には、第2領域300とトッププレート2の左側の排気口2b1とを連通させる第1排気ダクト3b1と、第2領域300とトッププレート2の右側の排気口2b1とを連通させる第2排気ダクト3b2とが設けられている。第1排気ダクト3b1及び第2排気ダクト3b2は、筐体50の底面を貫通して本体3の内部に配置されている。
加熱庫6は、本体3の内部に設けられ、前面が開口した矩形形状の内箱である。加熱庫6には、加熱庫6の内部に収容され、加熱される被調理物を載置する調理皿6bが収容されている。調理皿6bは、例えば、被調理物の加熱時に発生する液体を収容する受け皿6b1と、加熱される被調理物を載置するプレート6b2とを有している。また、加熱庫6の内部は、第1排気ダクト3b1の内部と連通している。
第1ヒータ60a及び第2ヒータ60bは、加熱庫6の内部に収容される被調理物を加熱する加熱源の1つである。第1ヒータ60a及び第2ヒータ60bとしては、例えば、シーズヒータ等の電気輻射式のヒータが用いられる。第1ヒータ60aは、加熱庫6の上面に配置されている。第2ヒータ60bは、加熱庫6の下面に配置されている。第1ヒータ60a及び第2ヒータ60bは、第1ヒータ60a及び第2ヒータ60bの熱損失を抑制するため遮熱部材で覆われている。
赤外線温度センサ61は、加熱庫6の内部の被調理物から発せられる赤外線を受光して、温度情報に変換する非接触型の温度センサである。赤外線温度センサ61としては、例えば、多結晶シリコン製の熱電対センサが用いられる。赤外線温度センサ61は、加熱庫6の右面に配置され、赤外線素子が被調理物の方を向くように下斜め方向に向けて配置される。
加熱庫6の背面には、マイクロ波加熱源62が設けられている。マイクロ波加熱源62は、加熱庫6の内部に収容される被調理物を加熱する加熱源の1つである。
加熱庫6では、第1ヒータ60a、第2ヒータ60b、及びマイクロ波加熱源62を用いることによって、少なくとも3種類の調理モードを実行できる。例えば、加熱庫6では、マイクロ波加熱源62のみを用いた「レンジモード」を実行できる。また、加熱庫6では、第1ヒータ60a及び第2ヒータ60bの少なくとも一方を用いた「グリルモード」を実行できる。加熱庫6では、「レンジモード」と「グリルモード」とを組み合わせた「レンジグリルモード」を実行できる。
マイクロ波加熱源62は、マイクロ波発振装置62aと、導波管62bと、アンテナ62cと、アンテナカバー62c1と、モータ62dと、マイクロ波透過板62eとを備えている。
マイクロ波発振装置62aは、マイクロ波の発生源である。ここで、マイクロ波とは、2450MHz±50MHzの高周波電波のことをいう。
マイクロ波発振装置62aは、発振器であるマグネトロン62a1と、マイクロ波発振装置62aで発生する熱を冷却する放熱素子62a2とを有している。マイクロ波発振装置62aは、放熱素子62a2が第2排気ダクト3b2の内部に位置するように、第2排気ダクト3b2に固定されている。マグネトロン62a1は、第2排気ダクト3b2の外部に配置され、導波管62bに包囲されている。
導波管62bは、マグネトロン62a1の発振により発生したマイクロ波の伝播を拘束し、マイクロ波を加熱庫6の内部方向に誘導する配管部材である。導波管62bは、例えば金属製の導管として形成される。
導波管62bの外部には、アンテナ62cを駆動するためのモータ62dが設けられている。モータ62dとしては、例えばブラシレスモータ等の直流モータが用いられる。
アンテナ62cは、導波管62bと加熱庫6の背面とを接続するアンテナカバー62c1に収容されている。アンテナ62cは、アンテナ62cに伝播されたマイクロ波を回転により攪拌して、加熱庫6の内部にマイクロ波を伝播させる回動部材である。アンテナ62cは、例えば、円形状の金属製の板状部材として形成される。
アンテナカバー62c1は、アンテナ62cの回転により、加熱庫6の内部にマイクロ波が均等に伝播するように形成された配管部材である。アンテナカバー62c1は、例えば、導波管62bと同一材料の金属製の導管として形成される。
マイクロ波透過板62eは、加熱庫6の背面に設けられたマイクロ波透過孔6cを加熱庫6の外側から閉塞する板状部材である。マイクロ波透過板62eは、例えば、マイクロ
波を透過させる耐熱性プラスチック又は耐熱性ガラスで形成される。
マグネトロン62a1の発振により発生したマイクロ波は、導波管62bを介してアンテナ62cに伝播される。モータ62dが駆動されアンテナ62cが回動することにより、アンテナ62cに伝播されたマイクロ波は、マイクロ波透過板62eを介して、加熱庫6の内部に拡散して伝搬される。これにより、加熱庫6に収容される被調理物の加熱ムラが改善される。
また、本体3の第2領域300には、第2インバータ回路基板63、マイクロ波制御用電源回路基板64、第2冷却ファン65a、及び第3冷却ファン65bが収容されている。
第2インバータ回路基板63は、商用電源の交流電力を高周波の交流電力に変換し、マイクロ波発振装置62aに供給する電気回路基板である。また、第2インバータ回路基板63には、放熱部材を設け、第2インバータ回路基板63から発生する熱を冷却できるように形成できる。また、第2インバータ回路基板63は、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタで形成されたスイッチング素子を有していてもよい。また、第2インバータ回路基板63に供給される商用電力は、フィルタ回路基板33でノイズ除去された商用電源の交流電力であってもよい。
マイクロ波制御用電源回路基板64は、マイクロ波発振装置62aと、アンテナ62cと、モータ62dと、第2インバータ回路基板63と、第2冷却ファン65aと、第3冷却ファン65bとに電力を供給するマイクロ波制御専用の電気回路基板である。マイクロ波制御用電源回路基板64は、マイクロ波発振装置62a等に供給される電力を制御し、マイクロ波発振装置62a等の動作の開始及び停止又は動作条件等を制御するものである。
第2冷却ファン65aは、本体3の底面右側中央に設けられた第2吸気口3a2を通過した空気を、本体3の第2領域300の内部に誘引する回転機械である。第2冷却ファン65aとしては、例えば、プロペラファン等の軸流ファンが用いられる。第2冷却ファン65aの回転によって、第2吸気口3a2を通過した空気が本体3の底面から上方向に吹き出される。なお、第2吸気口3a2は、例えば、本体3の底面にパンチング孔を穿孔することにより形成される。なお、本体3の右面側内部には、加熱庫6の上部に形成された連通路3c1と第2吸気口3a2との間を連通させる第2吸気ダクト66が設けられており、第2吸気ダクト66の内部に第2インバータ回路基板63が配置されている。
第3冷却ファン65bは、本体3の底面右側後方に設けられた第3吸気口3a3を通過した空気を、本体3の第2領域300の内部に誘引する回転機械である。第3冷却ファン65bとしては、例えば、プロペラファン等の軸流ファンが用いられる。第3冷却ファン65bの回転によって、第3吸気口3a3を通過した空気が本体3の底面から上方向に吹き出される。なお、第3吸気口3a3は、例えば、本体3の底面にパンチング孔を穿孔することにより形成される。
誘導加熱調理器1の加熱庫6の駆動時の、本体3の第2領域300における空気の流れを図9及び図10を用いて説明する。前述したとおり、図9では、空気の流れをブロック矢印で示している。また、図10における実線の矢印は、空気の主流を示しており、点線の矢印は主流よりも流量の少ない支流を示している。また、誘導加熱調理器1でマイクロ波加熱源62が用いられていること、すなわち、「レンジモード」又は「レンジグリルモード」のいずれかが実行されていることとして、説明する。
第2冷却ファン65aの回転により、第2吸気口3a2から吸入された空気は、第2吸気ダクト66に誘引される。第2吸気ダクト66では、第2吸気ダクト66に誘引された空気により、第2インバータ回路基板63が冷却される。第2吸気ダクト66に、風向板66aを設け、第2インバータ回路基板63のスイッチング素子等に空気を偏向させてもよい。
また、第2吸気ダクト66に誘引された空気の一部は、第2吸気ダクト66から分岐した分岐管66bを介して、赤外線温度センサ61に供給される。赤外線温度センサ61に供給された空気により、赤外線温度センサ61が冷却される。赤外線温度センサ61を冷却した空気は、その一部が加熱庫6の内部に流入する。
第2インバータ回路基板63を冷却した空気は、第2吸気ダクト66から連通路3c1に流入する。連通路3c1に流入した空気は、第2排気ダクト3b2に設けられた連通口3c2を介して第1排気ダクト3b1に流入する。第1排気ダクト3b1に流入した空気は、加熱庫6から流出した空気に誘引されて、トッププレート2の左側の排気口2b1及び排気口カバー2cの開口2c1を介して、誘導加熱調理器1から排気される。
第3冷却ファン65bの回転により、第3吸気口3a3から吸入された空気は、第2排気ダクト3b2に誘引される。第2排気ダクト3b2に誘引された空気は、マイクロ波加熱源62のマイクロ波発振装置62aの放熱素子62a2を通過する。マイクロ波加熱源62のマイクロ波発振装置62aの放熱素子62a2を通過した空気により、マイクロ波発振装置62aは冷却される。マイクロ波発振装置62aを冷却した空気は、第2排気ダクト3b2、並びにトッププレート2の右側の排気口2b1及び排気口カバー2cの開口2c1を介して、誘導加熱調理器1から排気される。
加熱庫扉4は、前方下向きに回動するように、アーム40a及びヒンジ40bを介して加熱庫6にヒンジ接続されている。また、加熱庫扉4には、加熱庫6の開口6aを閉止した際に、加熱庫6の内部の状況を視認するための窓4cが設けられている。また、本体3の下面前端には、加熱庫扉4の後面及び加熱庫6内部に付着し、下方に流れる水分を受ける受液容器8が配置されている。
上述したように、加熱庫6では、加熱源としてマイクロ波加熱源62が採用しているため、加熱庫扉4は、加熱庫扉4でマイクロ波が遮断されるように形成されている。また、加熱庫6には、加熱庫扉4の閉止状態において、加熱庫6からのマイクロ波の漏洩を防ぐとともに、加熱庫扉4の開放状態において、マイクロ波加熱源62の稼働を防止する加熱庫扉開閉検知装置67が設けられている。
加熱庫扉開閉検知装置67は、加熱庫扉4の開放状態又は加熱庫扉4の閉止が不十分な状態において、例えば、第2インバータ回路基板63の駆動を停止する安全装置である。加熱庫扉開閉検知装置67は、第1接点スイッチ67aと第2接点スイッチ67bとを有している。加熱庫扉開閉検知装置67は、加熱庫6の内部に収容され、かつ加熱庫6の外側に配置されており、例えば、本体3の前面右側の内部に収容されている。第1接点スイッチ67aは、第2接点スイッチ67bの上側に配置されている。第1接点スイッチ67aは、第1連動棒67a1を有しており、第1連動棒67a1が一定の位置まで押下された場合に、第1接点スイッチ67aが起動状態とされる。第2接点スイッチ67bは、第2連動棒67b1を有しており、第2連動棒67b1が一定の位置まで押下された場合に、第2接点スイッチ67bが起動状態とされる。なお、図示しないが、加熱庫扉開閉検知装置67には、第1接点スイッチ67a及び第2接点スイッチ67bの少なくとも一方が、異常によって停止状態とならない場合に、第2インバータ回路基板63への電力供給を遮断するモニタスイッチが設けられている。
また、加熱庫扉4の後面右側には、第1突起4d1及び第2突起4d2が設けられている。第1突起4d1は、加熱庫扉4の閉止時において、第1接点スイッチ67aの第1連動棒67a1を押下し、第1接点スイッチ67aを起動状態とするように配置されている。第2突起4d2は、加熱庫扉4の閉止時において、第2接点スイッチ67bの第2連動棒67b1を押下し、第2接点スイッチ67bを起動状態とするように配置されている。
加熱庫扉開閉検知装置67は、第1接点スイッチ67a及び第2接点スイッチ67bの双方が起動状態である場合に限り、マイクロ波加熱源62を駆動できるように構成される。一方、第1接点スイッチ67a及び第2接点スイッチ67bのいずれか一方でも停止状態である場合には、第2インバータ回路基板63の駆動を停止し、マイクロ波加熱源62の駆動がされないように構成される。また、マイクロ波加熱源62の駆動中に加熱庫扉4が開放された場合には、直ちに、マイクロ波加熱源62に電力を供給する第2インバータ回路基板63の駆動を停止するように構成される。この構成によれば、加熱庫扉4が完全に閉止されていない状態、すなわち半開きの状態、又はマイクロ波加熱源62の稼働中に加熱庫扉4が開放された場合であっても、マイクロ波の外部への漏洩を防止できるため、安全性を向上させることができる。
次に、化粧パネル7について、図11~図15を用いて説明する。図11は、実施の形態1の第1パネル70の構成を示した斜視図である。図12は、実施の形態1の第2パネル72の構成を示した正面図である。図13は、第1パネル70及び第2パネル72が、本体3の前面に取り付けられた状態を概略的に示す正面図である。図14は、図13のX-X断面を示す断面図である。図15は、図13のY-Y断面を示す断面図である。
第1パネル70は、化粧パネル7の意匠面を構成する第1蓋体70aを備えている。第1蓋体70aは、加熱庫扉4の上側において、本体3の前面を覆っている。第1蓋体70aは、例えば、図14に示すように、鋼板等の板金で形成され、鋼板の一対の長辺を同一面方向に折り曲げる密着曲げ加工により形成される。密着曲げ加工をすることにより、第1蓋体70aの前縁及び後縁が曲面となるため、第1パネル70を本体3に取り付ける際の安全性を向上させることができる。また、第1蓋体70aの左端及び右端には、サイドキャップ70a1を被せることができる。第1蓋体70aが板金で形成された場合、第1蓋体70aの左右端をサイドキャップ70a1で覆うことにより、本体3に第1パネル70を取り付ける際の安全性を更に向上させることができる。
第1蓋体70aは、本体3の前面と間隔をあけて配置されている。すなわち、第1蓋体70aの後面は、加熱庫扉4と本体3との接触位置よりも前方に配置されている。第1パネル70には、第1蓋体70aを本体3の前面と間隔をあけて配置するために、一対の脚70bを設けている。一対の脚70bは、第2パネル72の上部及び本体3の前面に取り付けられている。
一対の脚70bは、第1蓋体70aの後面に連結され、互いに間隔をあけて配置されている。一対の脚70bは、本体3に取り付けられる支持脚であり、例えば、板金部材を切断加工することにより形成される。一対の脚70bは、第1蓋体70aの板金と一体形成されたものでもよいし、別個の板金で形成し、はんだ付け等で連結して形成してもよい。
図11に示すように、一対の脚70bには、第1蓋体70aに連結される第1支持面70b1と、第1支持面70b1の後端に連結される第2支持面70b2とを設けている。第1支持面70b1の左右方向の幅は、前後方向において同一幅に形成されている。第2支持面70b2の左右方向の幅も、第1支持面70b1と同様に、前後方向において同一幅に形成されている。第2支持面70b2の左右方向の幅は、第1支持面70b1の左右方向の幅よりも小さくなるように形成されている。第2支持面70b2の左右方向の幅を第1支持面70b1の左右方向の幅よりも小さくすることにより、第1パネル70の取り付けが容易になる。
なお、一対の脚70bは、第1支持面70b1のみを有していてもよい。一対の脚70bが第1支持面70b1のみを有する場合の第1支持面70b1の左右方向の幅は、第1蓋体70aから離れるにつれて、第1支持面70b1の左右方向の幅が小さくなるテーパ形状としてもよいし、同一幅としてもよい。
また、一対の脚70bの前後方向の長さは、第1蓋体70aの前面が、加熱庫扉4の前面、収納箱120の前面、及び第2パネル72の前面と連続した滑らかな同一面を形成するように調整されている。この構成によれば、誘導加熱調理器1の意匠性を向上させることができる。
また、一対の脚70bの間隔は、加熱庫6の開口6aの左右方向の幅よりも大きく形成されている。一対の脚70bの間隔は、加熱庫6の開口6aの左右方向の幅よりも大きく形成することにより、加熱庫扉4の開放時に、加熱庫6の開口6aから発生する蒸気又は煙の流れを抑制しない風路を、一対の脚70bの間に確保することができる。
また、一対の脚70bには、下方向に突出したリブ70b3が形成されている。リブ70b3は、例えば一対の脚70bにビード加工を行うことによって形成される。リブ70b3を形成することにより、一対の脚70bは、第2パネル72の上面とリブ70b3で接触し、第1パネル70は、第2パネル72と間隔をあけて配置されることとなり、第1パネル70と加熱庫扉4との間にも間隔が生じることとなる。したがって、リブ70b3を形成することにより、加熱庫扉4が開閉される際に、加熱庫扉4が第1パネル70に干渉することを抑制することができる。また、リブ70b3を形成することにより、一対の脚70bが、本体3とリブ70b3で接触することとなるため、本体3から第1パネル70への熱伝導を抑制することができる。また、リブ70b3を形成することにより、一対の脚70bの強度を向上させることができる。
第2パネル72は、化粧パネル7の意匠面を構成する第2蓋体72aを備えている。第2蓋体72aは、例えば、耐熱性のあるプラスチックにより形成される。
第2蓋体72aは、加熱庫扉4の右側及び左側において、本体3の前面及び仕切板150の前面を覆っている。また、第2蓋体72aは、化粧パネル7の意匠面である前面と、前面の周縁から後側に延び、化粧パネル7の外側面を形成する上面、下面、右面、及び左面とを有している。
第2蓋体72aの上面、下面、右面、及び左面の前後方向の長さは、それぞれ、第2蓋体72aの前面が、加熱庫扉4の前面、収納箱120の前面、及び第1蓋体70aの前面と連続した滑らかな同一面を形成するように調整されている。また、第2蓋体72aの上面は、加熱庫扉4の上面と上下方向において同一位置にあるように形成されている。すなわち、第2蓋体72aの上面は、加熱庫扉4の上面と連続した滑らかな同一面を形成するように調整されている。上述の構成によれば、誘導加熱調理器1の意匠性を向上させることができる。
第2パネル72は、第2蓋体72aの上面に設けられた誘導部材72bを有している。誘導部材72bは、例えば、耐熱性のあるプラスチックで第2蓋体72aと一体形成される。
誘導部材72bは、第1パネル70の一対の脚70bを貫通させる貫通穴72b1を有している。なお、貫通穴72b1は、図15に示すように、一対の脚70bの第1支持面70b1を貫通させる穴であってもよいし、一対の脚70bの第2支持面70b2の一部のみを貫通させ、第1支持面70b1を係止させる穴としてもよい。誘導部材72bが、第1パネル70の一対の脚70bを貫通させる貫通穴72b1を有することにより、第1パネル70の左右方向の動作が規制されるため、第1パネル70を安定させた状態で本体3に取り付けることができる。また、誘導部材72bが、一対の脚70bの中心付近を支持することとなるため、第1パネル70の設置後の安定性を確保することができる。また、誘導部材72bが、第1パネル70の一対の脚70bを貫通させる貫通穴72b1を有することにより、第2パネル72の移動も規制できるため、第2パネル72の脱離を抑制できる。
また、第2パネル72は、第2蓋体72aの上面に設けられた突条体72cを有している。突条体72cは、例えば、耐熱性のあるプラスチックで第2蓋体72aと一体形成される。
突条体72cは、誘導部材72bの前側に配置されている。また、突条体72cの上下方向の長さは、誘導部材72bの貫通穴72b1の上下方向の長さよりも小さく形成されている。突条体72cを誘導部材72bの前側に設けることにより、第1パネル70の一対の脚70bは、突条体72cに接触した状態で誘導部材72bの貫通穴72b1に挿入される。そのため、第1パネル70は、第2パネル72と間隔をあけて配置されることとなり、第1パネル70と加熱庫扉4との間にも間隔が生じることとなる。したがって、突条体72cを誘導部材72bの前側に設けることにより、加熱庫扉4が開閉される際に、加熱庫扉4が第1パネル70に干渉することを抑制することができる。また、第1パネル70と加熱庫扉4との間にも間隔が生じることにより、加熱庫6の熱が第1パネル70に伝導することを抑制できる。
なお、図12では、突条体72cの形状は、前側から見て、矩形形状の突起としているが、第1パネル70の一対の脚70bを安定して載置できるものであれば他の形状とすることもできる。例えば、突条体72cは、台形形状の突起であってもよいし、半円形状の突起を複数設けて形成してもよいし、三角形状の突起を複数設けて形成してもよい。
また、図12に示すように、誘導部材72b及び突条体72cは、第2蓋体72aの上面と下面の両方に形成してもよい。誘導部材72bを第2蓋体72aの上面と下面の両方に形成すれば、加熱庫扉4の右側及び左側で同一の第2パネル72を用いることができるため、第2パネル72の製造にかかる費用を削減できる。
本体3には、一対の脚70bを係止する係止部材3dが設けられている。係止部材3dによって、一対の脚70bは誘導加熱調理器1の本体3に接続され、第1蓋体70aの前面の位置を位置決めできる。係止部材3dは、例えば、本体3と同一の板金で形成され、ろう付け等により本体3に固定される。
係止部材3dは、本体3の前面に形成される。係止部材3dは、図14及び図15に示すように本体3の前面の段部分に設けることができるが、これに限られない。例えば、係止部材3dを本体3の内部に設け、本体3の前面から本体3の内部に一対の脚70bを挿入して係止できるようにしてもよい。
係止部材3dにおいては、一対の脚70bが挿入される挿入口3d1が加熱庫6の開口6aよりも外側に配置されている。挿入口3d1を、加熱庫6の開口6aよりも外側に配置することにより、加熱庫扉4の開放時に、一対の脚70bが、加熱庫6の開口6aから発生する蒸気又は煙の流れに干渉することを抑制できる。
なお、図14及び図15において、係止部材3dは、一対の脚70bの位置に応じて本体3に2つ設けられているが、これらの係止部材3dは一体形成したものであってもよい。
図14及び図15に示すように、第1蓋体70aは、本体3の前面と間隔をあけて配置されている。このことにより、加熱庫扉4が開放されたとき、加熱庫6内部から流出する水蒸気又は煙は、第1蓋体70aの下方と、第1蓋体70aと本体3の前面との間の隙間とに分散されて外部に放出される。したがって、加熱庫6内部から流出する水蒸気又は煙が、第1蓋体70aの下方から前方に吹き出すことを抑制できるため、誘導加熱調理器1の使用者の快適性を向上させることができる。
実施の形態2.
実施の形態2では、第2パネル72の変形例について、図16~図20を用いて説明する。図16は、実施の形態2に係る第2パネル72を後面側から見た斜視図である。図17は、実施の形態2に係る第2パネル72の概略的な背面図である。図18は、化粧パネル7を脱離した状態における、実施の形態2に係る誘導加熱調理器1の正面図である。図19は、図18の領域Aの拡大図である。図20は、図13のZ-Z断面における、実施の形態2に係る第2パネル72と本体3との取り付け状態を示す概略図である。なお、実施の形態2では、第2パネル72及び本体3以外の構造については、上述の実施の形態1と同一であるため、説明を省略する。また、第2パネル72及び本体3の構造のうち、実施の形態1で既に説明した内容と同一のものについては説明を省略する。
第2パネル72の第2蓋体72aは、第2蓋体72aの前面を形成する前壁72a1と、第2蓋体72aの上面及び下面を形成する一対の第1側壁72a2とを有している。一対の第1側壁72a2には、誘導部材72b及び突条体72cがそれぞれ設けられている。
第2パネル72の第2蓋体72aは、第2蓋体72aの左面及び右面の一方を形成する第2側壁72a3と、第2蓋体72aの左面及び右面の他の一方を形成する第3側壁72a4とを有している。また、第2パネル72の第2蓋体72aは、第2側壁72a3と第3側壁72a4との間に配置され、前壁72a1と第1側壁72a2とに連結される第4側壁72a5を有している。第2側壁72a3及び第4側壁72a5は、本体3の前面に配置される。第3側壁72a4は、仕切板150の前面に配置されている。また、第2側壁72a3は、加熱庫扉4の右側面及び左側面のいずれかの面に対向して配置される。
また、第2側壁72a3と第4側壁72a5との間には、第2側壁72a3と第4側壁72a5と前壁72a1とを連結し、第2蓋体72aの強度を補強する梁72a6が設けられている。また、第3側壁72a4と第4側壁72a5との間にも同様に、第3側壁72a4と第4側壁72a5と前壁72a1とを連結する梁72a6が設けられている。
また、第2側壁72a3の後端には、本体3の前面に挿入され、本体3の前面の裏側で係止される複数の第1係止爪72dが設けられている。第1係止爪72dは、L字形状の係止爪として形成され、第2側壁72a3の後端から後方に延在する第1挿入部72d1と、第1挿入部72d1の先端から第4側壁72a5の方向に延在する第1係止部72d2とを有している。
また、第4側壁72a5の後端には、本体3の前面に挿入され、本体3の前面の裏側で係止される複数の第2係止爪72eが設けられている。第2係止爪72eは、L字形状の係止爪として形成され、第4側壁72a5の後端から後方に延在する第2挿入部72e1と、第2挿入部72e1の先端から第3側壁72a4の方向に延在する第2係止部72e2とを有している。なお、第2係止部72e2については、第2挿入部72e1の先端から第2側壁72a3の方向に延在するものであってもよい。また、第2係止部72e2の各々が同一方向を向いていることも要しない。
第1係止爪72d及び第2係止爪72eは、それぞれ2個ずつ設けることにより、第2パネル72を取り付けた後の第2パネル72の移動を抑制できるため、第2パネル72の脱離を防ぐことができる。第1係止爪72d及び第2係止爪72eは、それぞれ複数個設けられていれば、同様の効果を得ることができる。
また、第2側壁72a3の後端には、第2側壁72a3の後端から後方に延在する第1矯正部材72fが設けられている。第1矯正部材72fは、本体3の前面に挿入されるものであり、例えば第2側壁72a3と等幅の板状部材として形成される。第1矯正部材72fは、複数の第1係止爪72dに挟まれた位置に形成される。
また、第4側壁72a5の後端には、第4側壁72a5の後端から後方に延在する第2矯正部材72gが設けられている。第2矯正部材72gは、本体3の前面に挿入されるものであり、例えば第4側壁72a5と等幅の板状部材として形成される。第2矯正部材72gは、複数の第2係止爪72eに挟まれた位置に形成される。
なお、第1係止爪72d、第2係止爪72e、第1矯正部材72f、及び第2矯正部材72gは、例えば、第2蓋体72aと同様に耐熱性のあるプラスチックで、第2蓋体72aと一体形成することができるが、これに限られない。例えば、第1係止爪72d、第2係止爪72e、第1矯正部材72f、及び第2矯正部材72gは、第2蓋体72aと別個の材料を用いて、第2蓋体72aと別個に成型し、第2蓋体72aに固定したものであってもよい。
加熱庫扉4の右側及び左側の本体3の前面には、第1係止爪72dを係止させる複数の第1孔3e、第2係止爪72eを係止させる複数の第2孔3f、第1矯正部材72fを貫通させる第3孔3g、及び第2矯正部材72gを貫通させる第4孔3hが設けられている。
第1孔3eは、第1係止部72d2が通過可能な第1挿入孔3e1と、第1係止部72d2が係止される第1係止孔3e2とを有している。第1挿入孔3e1及び第1係止孔3e2は矩形形状の孔として形成され、第1挿入孔3e1は第1係止孔3e2の上側に配置されて、互いに連通している。また、複数の第1孔3eにおいて、第1孔3eの加熱庫扉4側の境界3e3は、図19において、直線Bで示すように、直線状に一列に整列するように形成されている。
第2孔3fは、第2係止部72e2が通過可能な第2挿入孔3f1と、第2係止部72e2が係止される第2係止孔3f2とを有している。第2挿入孔3f1及び第2係止孔3f2は矩形形状の孔として形成され、第2挿入孔3f1は第2係止孔3f2の上側に配置されて、互いに連通している。
第3孔3gは、第1矯正部材72fを通過させる第1係合孔3g1と、第1係合孔3g1の下方に配置された第1矯正孔3g2とを有している。第1係合孔3g1及び第1矯正孔3g2は矩形形状の孔として形成され、互いに連通している。第1矯正孔3g2の左右方向の幅は、第1係合孔3g1の左右方向の幅よりも小さくなっている。また、第3孔3gの加熱庫扉4側の境界3g3は、図19において、直線Bで示すように、複数の第1孔3eの境界3e3と直線状に一列に整列するように形成されている。
第4孔3hは、第2矯正部材72gを通過させる第2係合孔3h1と、第2係合孔3h1の下方に配置された第2矯正孔3h2とを有している。第2係合孔3h1及び第2矯正孔3h2は矩形形状の孔として形成され、互いに連通している。第2矯正孔3h2の左右方向の幅は、第2係合孔3h1の左右方向の幅よりも小さくなっている。また、加熱庫扉4から離れた方向にある第4孔3hの境界3h3は、直線状に形成されている。
次に、第2パネル72の本体3への取り付けについて説明する。ここでは、説明の簡略化のために、第1係止爪72d及び第2係止爪72eは、同一の寸法及び形状であるものとする。また、第1矯正部材72fと第2矯正部材72g又は第1孔3eと第2孔3fについても、同一の寸法及び形状であるものとして説明する。
第2パネル72では、第1係止爪72d、第2係止爪72e、第1矯正部材72f、及び第2矯正部材72gが、第1挿入孔3e1、第2挿入孔3f1、第1係合孔3g1、及び第2係合孔3h1にそれぞれ挿入される。その後、第2パネル72を下方向にスライドさせることにより、第1係止爪72d、第2係止爪72e、第1矯正部材72f、及び第2矯正部材72gは、第1係止孔3e2、第2係止孔3f2、第1矯正孔3g2、第2矯正孔3h2にそれぞれ移動する。
第1孔3eの加熱庫扉4側の境界3e3及び第3孔3gの加熱庫扉4側の境界3g3は、図19において、直線Bで示すように、直線状に一列に整列するように形成されている。そのため、第2パネル72の第1係止部72d2を第4側壁72a5側に延在するように形成すれば、本体3の第1挿入孔3e1が第4側壁72a5の側に位置するように第2パネル72を取り付けることができる。すなわち、図20に示すように、本体3の第1孔3eが第2パネル72の第2側壁72a3よりも第4側壁72a5側に位置するため、第2パネル72を本体3に取り付けることで、第1孔3eが隠れることになる。また、第3孔3gは、第1孔3eと整列しており、第2パネル72を本体3に取り付けることで第2パネル72の第2側壁72a3よりも第4側壁72a5側に位置することになるため、第3孔3gも第2パネル72によって隠されることになる。したがって、加熱庫扉4を開放した場合であっても、第1孔3e及び第3孔3gが目視されないため、誘導加熱調理器1の意匠性を向上させることができる。
次に、第2パネル72の本体3への取り付けが可能となる条件について説明する。
第1係止部72d2の上下方向の長さを変数H1とする。また、第1挿入孔3e1の上下方向の長さを変数H2とする。第1係止部72d2の左右方向の幅を変数L1とする。また、第1挿入孔3e1の左右方向の長さを変数L2とする。この場合、第1係止部72d2の変数H1及び変数L1並びに第1挿入孔3e1の変数H2及びL2が、H1<H2かつL1<L2との関係を満たす場合に、第1係止部72d2が第1挿入孔3e1に干渉することを抑制できる。したがって、上述の条件を満たすように第1係止爪72d及び第1孔3eを形成すれば、第1係止爪72dの破損又は変形を抑制できる。
また、第1係止孔3e2の左右方向の長さを変数L3とした場合、第1係止部72d2の変数L1との関係が、L3<L1の関係を満たす場合に、第1係止部72d2は、本体3から第1係止部72d2が脱離されなくなる。
次に、第2パネル72の上端と、第2パネル72の第1係止部72d2の上端との間の上下方向における長さを変数H3とする。また、加熱庫扉4の上面と第1孔3eの上側境界3e4との間の距離を変数H4とする。また、加熱庫扉4の上面と厨房家具100との間の隙間の上下方向の長さを変数H5とする。第2パネル72は、H3-H4<H5の関係を満たす場合に、第2パネル72の上端、すなわち、誘導部材72bが厨房家具100に干渉しないため、第2パネル72の誘導部材72bの破損又は変形を抑制できる。
なお、第2パネル72の下端と、第2パネル72の別の第1係止部72d2の下端との間の上下方向における長さを変数H6とした場合、H3=H6の関係を満たせば、第2パネル72は、加熱庫扉4の左側及び右側のいずれでも使用することが可能となる。したがって、この条件を満たすように、第2パネル72を設計すれば、第2パネル72の製造に係る工数を低減できる。
次に、第1矯正部材72f及び第2矯正部材72gを第2パネル72に設けることによる効果について説明する。
第3孔3gの第1係合孔3g1と第4孔3hの第2係合孔3h1との間の本体3の面部分の幅を変数L4とし、第3孔3gの第1矯正孔3g2と第4孔3hの第2矯正孔3h2との間の本体3の面の幅を変数L5とする。図19に示すように、変数L4と変数L5との関係は、L4<L5の関係を満たしている。すなわち、第1係合孔3g1と第2係合孔3h1との間の長さは、第1矯正孔3g2と第2矯正孔3h2との間の長さよりも短くなっている。
また、図17に示すように、耐熱性のあるプラスチック等の樹脂で第2パネル72を形成した場合、成形により、第2パネル72の第2側壁72a3及び第4側壁72a5が内側に反る場合がある。本来の第2側壁72a3と第4側壁72a5との間の距離を変数L6、成形による反りが生じた後の第2側壁72a3と第4側壁72a5との間の距離を変数L7とした場合、L7<L6の関係となる。すなわち、第2側壁72a3と第4側壁72a5との間の距離が、成形による反りによって従来の距離よりも短くなることがある。
この場合、変数L4と変数L7と間の関係が、L4<L7を満たすように、第1係合孔3g1と第2係合孔3h1との間の幅を調整すれば、第2パネル72の前壁72a1が屈曲した場合であっても、第2パネル72を本体3に取り付けることが可能となる。また、変数L5と変数L6との間の関係が、L5=L6を満たすように、第1矯正孔3g2と第2矯正孔3h2との間の幅を調整すれば、第2側壁72a3と第4側壁72a5との間の距離が本来の距離に戻される。したがって、第1矯正部材72f及び第2矯正部材72gを第2パネル72に設けることにより、第2側壁72a3と第4側壁72a5との間の距離が本来の距離に戻されるため、第2パネル72の前壁72a1の屈曲を矯正できる。
なお、上述の説明においては、第1係止爪72d及び第2係止爪72e、第1矯正部材72f及び第2矯正部材72g、並びに第1孔3e及び第2孔3fについて、同一の形状であることを前提としている。しかしながら、上述の条件を逸脱しない限り、上述の説明においては、第1係止爪72d及び第2係止爪72e、第1矯正部材72f及び第2矯正部材72g、並びに第1孔3e及び第2孔3fは、異なる形状とすることができる。
その他の実施の形態.
上述の実施の形態は、上述した要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。例えば、上述の実施の形態の誘導加熱調理器1は、ヒンジ式の加熱庫扉4を有する構成としたが、引出式の加熱庫扉4を有する構成としてもよい。
また、上述の各実施の形態の記載内容は、組み合わせて実施することが可能である。