JP2022018194A - 光走査装置及びそれを備えた画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板上の熱を放熱するべく固定板上に基板が積層された光走査装置において、簡易な構造をなし、画像不良を抑制可能なものを提供する。【解決手段】光走査装置は、筐体と、筐体内に設けられた光源と、筐体内に設けられた、筐体よりも熱伝導率の高い固定板と、固定板上に積層された基板と、固定板に設けられ、光源から射出された光ビームを偏向する偏向器と、筐体内に設けられ、偏向器により偏向されて主走査方向に走査される光ビームを、被走査面の有効露光領域に結像する走査レンズと、筐体内の温度を検出する温度センサーと、を備える。基板は、固定板に対して積層方向に当接する当接部と、固定板に対して積層方向に当接しない非当接部と、を有する。温度センサーは、非当接部に配置されている。【選択図】図3

Description

本発明は、デジタル複写機、レーザープリンター、レーザーファクシミリ等の画像形成装置に用いられる光走査装置及びそれを備えた画像形成装置に関する。
一般に、光走査装置は、レーザー発光部(LD)を有するLDユニット(ビーム光源装置)から射出されたレーザービーム(光ビーム)を、表面が一様に帯電された感光体に走査させる。光走査装置の筐体内には、LDユニット、コリメーターレンズ、シリンドリカルレンズ、ポリゴンミラー等の偏向器、駆動モーター、基板、および走査レンズが設けられている。偏向器は、各面に鏡面状の偏向面をもった多角柱状の回転体を有する。回転体は、基板上に設けられた駆動モーターに接続されている。駆動モーターは制御部に接続されており、制御部の指示を受けて、回転体を所定の速度で等速回転させることができる。
LDユニットから射出されたレーザービームは、コリメーターレンズ、シリンドリカルレンズを通過し、回転体の偏向面に入射して偏向反射される。偏向反射されたレーザービームは、ビームスポットとして感光体の被走査面上に結像される。このとき、レーザービームは、回転体の回転によって、感光体の被走査面上を主走査方向に等速走査される。
ところで、上記の光走査装置は、駆動モーターや制御部の発熱によって筐体内の温度が上昇することがある。筐体は樹脂で形成されているため、内部の温度が上昇すると、変形してしまう恐れがある。筐体が変形すると、筐体の内部に配置された各光学部品の位置関係が変化する恐れがある。特に、設置位置のずれや変形によって走査レンズが変位すると、感光体の被走査面上の集光位置がずれ、画像劣化を生じさせる恐れがある。特に、カラー機のように各色の現像装置を備えた画像形成装置においては、各現像装置に対応する各光走査装置において集光位置にずれが生じ、各色のトナー像が設定された箇所で重ならない、いわゆる色ずれと呼ばれる画像不良が生じる恐れがある。
このような問題に対して、特許文献1には、光走査装置の筐体内部の温度を検出し、検出温度に基づいて光源の発光タイミングを制御することで、集光位置のずれを補正し、画像不良を抑制する光走査装置が開示されている。特許文献1の光走査装置は、筐体内部の温度を検出するために、駆動モーターの制御用電線にサーミスタを結束させ、このサーミスタによって筐体内の温度を検出している。サーミスタは、基板に設けられた制御部に接続されている。この制御部は、サーミスタや駆動モーターだけでなく、LDユニットにも接続されており、サーミスタの検出温度に応じて、光源の発光タイミングや駆動モーターの回転数を制御することで、画像不良を抑制することができる。
また、基板に設けられた各光学部品(駆動モーターや制御部等)から生じる熱を放熱するため、基板を、金属等の比較的熱伝導率の高い材料から形成された板状体(以下、固定板と称する)の上に固定する構成を採用したものが知られている(例えば特許文献2)。
特開2019-84793号公報 特開2019-208345号公報
特許文献1のサーミスタは、筐体内の基板上には配置されず、駆動モーターの制御用電線に直接結束されている。このため、サーミスタを筐体に対して位置決めしたり、固定したりするための構造が必要であり、製造コストが増加してしまう。
また、特許文献2のような光走査装置において、上述の画像不良を抑制するために筐体内にサーミスタを配置する場合、仮に、サーミスタの位置決めや固定を簡易なものとするべく、基板上に配置されるチップサーミスタを採用すると、サーミスタと固定板との距離が近くなり、サーミスタが固定板の放熱の影響を受けてしまう。このため、筐体内の温度を正確に測定することが困難なものとなり、被走査面上の集光位置のずれを的確に補正することができなくなって、画像不良を引き起こす恐れがある。
そこで、上記問題点に鑑みて、本発明は、基板上の熱を放熱するべく固定板上に基板が積層された光走査装置において、簡易な構造をなし、画像不良を抑制可能なものを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、筐体と、固定板と、基板と、偏向器と、走査レンズと、温度センサーと、を備える光走査装置である。光源は、筐体内に設けられている。固定板は、筐体内に設けられ、筐体よりも熱伝導率が高い。基板は、固定板上に積層される。基板は、固定板に対して積層方向に当接する当接部と、固定板に対して積層方向に当接しない非当接部と、を有する。偏向器は筐体内に設けられ、光源から射出された光ビームを偏向する。走査レンズは、筐体内に設けられ、偏向器により偏向されて主走査方向に走査される光ビームを、被走査面の有効露光領域に結像する。温度センサーは、筐体内に設けられ、筐体内の温度を検出する。温度センサーは、非当接部に配置されている。
本発明の第1の構成によれば、温度センサーは、基板に設けられるため、筐体内に位置決めしたり固定したりするための構造が不要となる。また、温度センサーが基板上の非当接部に配置されているため、固定板と積層方向に重ならないものとなる。これにより、温度センサーと固定板との距離が遠くなり、温度センサーが放熱の影響を受けにくくなる。このため、より正確に筐体内の温度を検出し、画像不良を抑制することができる。従って、固定板上に基板が積層された光走査装置において、簡易な構造をなし、画像不良を抑制可能なものを提供することができる。
本発明の光走査装置19が搭載された画像形成装置100の概略断面図 光走査装置19の筐体39内の構成を概略的に示す主走査断面図 第1実施形態にかかる光走査装置19の、固定板43と、固定板43上に設けられた基板44と、基板44に配置されたポリゴンミラー45、サーミスタ47および制御部48とを示す平面図(図3(a))、及び図3(a)を側方から視た側面図(図3(b)) 第2実施形態にかかる光走査装置19の、筐体39内の構成を概略的に示す主走査断面図 第3実施形態にかかる光走査装置19の、固定板43上に設けられた基板44と、基板44に配置されたポリゴンミラー45、制御部48、およびサーミスタ47と、を示す平面図 第1実施形態、および第2実施形態にかかる光走査装置19の変形例を示す側面図 各実施形態にかかる光走査装置19の変形例を示す側面図
まず、図1を参照しながら本発明の光走査装置19を備える画像形成装置100について説明する。図1は、本発明の光走査装置19を備えた画像形成装置100の全体構成を示す概略図であり、右側を画像形成装置100の前方側として図示している。図1に示すように、画像形成装置100(ここではモノクロプリンター)は、装置本体1の下部に積載された用紙を収容する給紙カセット2が備えられている。この給紙カセット2の上方には、装置本体1の前方から後方へ略水平に延び、更に上方へ延びて装置本体1の上面に形成された排紙部3に至る用紙搬送路4が形成されており、この用紙搬送路4に沿って上流側から順に、ピックアップローラー5、フィードローラー6、中間搬送ローラー7、レジストローラー対8、画像形成部9、定着装置10及び排出ローラー対11が配置されている。更に、画像形成装置100内には、上記の各ローラー、画像形成部9、定着装置10、光走査装置19等の動作を制御するCPU30が配置されている。
給紙カセット2には、用紙搬送方向後端部に設けられた回動支点12aによって、給紙カセット2に対して回動自在に支持された用紙積載板12が備えられており、用紙積載板12上に積載された用紙(記録媒体)がピックアップローラー5に押圧されるようになっている。また、給紙カセット2の前方側には、フィードローラー6に圧接するようにリタードローラー13が配設されており、ピックアップローラー5によって複数枚の用紙が同時に給送された場合には、これらフィードローラー6とリタードローラー13とによって用紙が捌かれ、最上位の1枚のみが搬送されるよう構成されている。
そして、フィードローラー6とリタードローラー13とによって捌かれた用紙は、中間搬送ローラー7によって搬送方向を装置後方へと変えられてレジストローラー対8へと搬送され、レジストローラー対8によってタイミングを調整されて画像形成部9へと供給される。
画像形成部9は、電子写真プロセスによって用紙に所定のトナー像を形成するものであり、図1において時計回り方向に回転可能に軸支された像担持体である感光体ドラム14と、この感光体ドラム14の周囲に配置される帯電装置15、現像装置16、クリーニング装置17、用紙搬送路4を挟んで感光体ドラム14に対向するように配置される転写ローラー18及び感光体ドラム14の上方に配置される光走査装置(LSU)19から構成されている。現像装置16の上方には、現像装置16へトナーを補給するトナーコンテナ20が配置されている。
本実施形態では、感光体ドラム14はアモルファスシリコン(a-Si)感光体であり、アルミニウム等の導電性基板(筒体)上に、感光層としてa-Si系の光導電層を形成し、その上面にa-Si系のSiC、SiN、SiO、SiON、SiCNなどの無機絶縁体または無機半導体から成る表面保護層が積層されている。
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電装置15によって感光体ドラム14の表面を一様に帯電させる。次いで、光走査装置(LSU)19からのレーザービームにより感光体ドラム14上に入力された画像データに基づく静電潜像が形成される。さらに、現像装置16により静電潜像にトナーが付着されて感光体ドラム14の表面にトナー像が形成される。感光体ドラム14の表面に形成されたトナー像は、転写ローラー18により感光体ドラム14と転写ローラー18とのニップ部(転写位置)に供給された用紙へと転写される。
画像形成部9においてトナー像が転写された用紙は、感光体ドラム14から分離されて定着装置10に向けて搬送される。この定着装置10は、画像形成部9の用紙搬送方向の下流側に配置されており、トナー像が転写された用紙は、定着装置10に備えられた加熱ローラー22、及びこの加熱ローラー22に圧接される加圧ローラー23によって加熱、加圧され、用紙に転写されたトナー像が定着される。そして、画像形成部9及び定着装置10において画像形成がなされた用紙は、排出ローラー対11によって排紙部3に排出される。
転写後に感光体ドラム14表面の残留トナーはクリーニング装置17により除去され、感光体ドラム14表面の残留電荷は除電装置(不図示)により除電される。そして、感光体ドラム14は帯電装置15によって再び帯電され、以下同様にして画像形成が行われる。
次に、本発明の第1実施形態にかかる光走査装置19について、図2、図3を参照しながら詳細に説明する。図2は、光走査装置19の筐体39内の構成を概略的に示す主走査断面図である。図2に示すように、光走査装置19は、筐体39と、筐体39に収容されるLDユニット40、コリメーターレンズ41、シリンドリカルレンズ42、固定板43、基板44、ポリゴンミラー45(偏向器)、駆動モーター46、サーミスタ47(温度センサー)、制御部48、走査レンズ49a、49b、BDミラー70、およびBDセンサー71と、を備えている。筐体39は、樹脂で形成された箱状体である。
LDユニット40と、コリメーターレンズ41と、シリンドリカルレンズ42は、直線状に並んで配置されている。LDユニット40は、光源としてのレーザーダイオード(LD)を備えており、画像信号に基づき光変調したレーザービーム(光ビーム)Bを射出する。コリメーターレンズ41は、LDユニット40から射出したレーザービームBを略平行の光束(平行光束)にする。シリンドリカルレンズ42は、レーザービームBの副走査方向にのみ所定の屈折力を有する。
図3(a)は、固定板43と、固定板43上に設けられた基板44と、基板44に配置されたポリゴンミラー45、サーミスタ47、および制御部48と、を示す図であり、図3(b)は図3(a)を側方から視た側面図である。図3(a)、図3(b)に示す通り、固定板43は、筐体39の底面52に固定された矩形状の板状体である。固定板43は、筐体39よりも熱伝導率の高い材料(例えば、鉄やステンレス等の金属材料)によって形成されている。
固定板43は、その厚み方向にそれぞれ貫通する逃がし孔53、複数の貫通孔54、およびねじ孔60が形成されている。固定板43の裏面は筐体39の底面52と対向している。固定板43は、筐体39の底面52からその面方向に突出する複数のボス部66の上に配置されている。固定板43に形成された各貫通孔54は、各ボス部66にそれぞれ重なっている。ねじ部材59が、各貫通孔54を通るように、ボス部66にねじ込まれている。固定板43は、このねじ部材59の締め付けによって、筐体39に固定されている。固定板43に形成されたねじ孔60は、内周面に雌ねじが形成され、基板44を固定するためのねじ部材61をねじ込むことが可能になっている。
固定板43の表面には、基板44が積層されている。基板44が固定板43に積層される方向(筐体39の底面52の面方向(図3(a)に示す平面視方向))を、積層方向とする。基板44の裏面は、固定板43を間に挟んで、積層方向に筐体39の底面52に対向する。
基板44は、樹脂材料(例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、BT樹脂等)等で形成された矩形板状のプリント基板を採用することができる。図3(a)、図3(b)に示すように、基板44は、固定板43の縁部よりも内側に配置されている。基板44は、固定板43に対して、積層方向に当接している部分(当接部56)と、積層方向に当接していない部分(非当接部57)とを有する。非当接部57は、基板44の、固定板43に形成された逃がし孔53と積層方向に重なる部分である。すなわち、当接部56と非当接部57との境界は、逃がし孔53の孔縁と積層方向に重なっている。基板44の、固定板43のねじ孔60に重なる部分に、貫通孔55が形成されている。ねじ部材61が、基板44の貫通孔55を通って、固定板43に形成されたねじ孔60にねじ込まれている。このねじ部材61の締め付けによって、基板44は、固定板43に固定されている。
図3(a)、(b)に示すように、ポリゴンミラー45は、基板44の表面側に配置されている。ポリゴンミラー45は、基板44の表面側に配置された回転体50と、固定板43、および基板44を積層方向に貫通する回転軸51と、を有する。回転体50は、側面に複数の偏向面62をもつ正多角形(ここでは正六角形)状をなす。各偏向面62は、筐体39の底面52に対して垂直をなし、LDユニット40から発光されたレーザービームBを反射可能な鏡面となっている。回転軸51の一端は、回転体50の回転中心に固定されている。回転軸51は、軸心を中心に回転可能なように、駆動モーター46に支持されている。
駆動モーター46は、基板44の表面側に配置されている。駆動モーター46は、回転軸51を介して、回転体50を回転軸51中心に等速回転させる。駆動モーター46は、回転体50を回転させているときに、発熱する。
サーミスタ47は、基板44の、非当接部57の表面上、すなわち、逃がし孔53と積層方向に重なる位置に配置されている。サーミスタ47とポリゴンミラー45との間には、所定の間隔L1が設けられている。サーミスタ47は、基板44の表面上に位置する本体部67と、本体部67から筐体39の底面52に向かって延びる脚部68と、を有する。脚部68は、基板44を貫通し、基板44の裏面側で、半田等によって基板44に固定される。従って、脚部68の先端は、逃がし孔53の内側に位置しており、サーミスタ47は、固定板43に対して接触せず、離れている。
制御部48は、基板44に設けられたICドライバー58を有する。ICドライバー58は、基板44の当接部56の表面上に配置されている。ICドライバー58は、サーミスタ47とポリゴンミラー45との間に位置している。ICドライバー58とサーミスタ47との間には、所定の間隔L2が設けられている。ICドライバー58とサーミスタ47との間の間隔L2は、サーミスタ47とポリゴンミラー45との間の間隔L1よりも小さい。
ICドライバー58は、LDユニット40と、サーミスタ47に接続されている。サーミスタ47によって検出された温度に応じてLDユニット40に信号を送信し、LDユニット40の発光タイミングを制御する。また、ICドライバー58は、駆動モーター46にも接続され、サーミスタ47の検出温度に応じて、回転体50の回転を制御することも可能である。サーミスタ47の検出温度に応じて、LDユニット40の発光タイミングの制御や、回転体50の回転制御を行うことで、色ずれ等を補正し、画像不良を抑制することができる。ICドライバー58は、稼働中に発熱する。稼働時のICドライバー58の発熱量は、稼働時のポリゴンミラー45の発熱量よりも小さい。
ここで、上述の通り、基板44は、固定板43に積層方向に当接しており、固定板43は筐体39よりも熱伝導率の高い材料によって形成されている。このため、ICドライバー58や駆動モーター46から生じた基板44上の熱を効率的に放熱することができる。これにより、基板44上の、駆動モーター46やICドライバー58等の電子部品が、オーバーヒートして機能不全に陥ることを、抑制することができる。
そして、上述の通り、サーミスタ47が、基板44の、非当接部57上、すなわち逃がし孔53と積層方向に重なる位置に配置されるため、サーミスタ47と固定板43とが接触せず、離れたものとなる。これにより、サーミスタ47が、固定板43の放熱の影響を受けにくくなり、より正確に筐体39内の温度を検出することができる。従って、光走査装置19は、筐体39内の温度をより正確に検出し、走査レンズ49aの変位等を予測して、色ずれの補正を効果的に行うことが可能になる。従って、画像不良を抑制することが可能になる。
図2に戻って、走査レンズ49a、49bはfθ特性を有するレンズである。走査レンズ49a、49bは、感光体ドラム14と、ポリゴンミラー45との間に、直線状に並ぶように配置されている。走査レンズ49a、49bのうちの、ポリゴンミラー45に近い方の走査レンズ49aは、サーミスタ47と積層方向に重なっている。
LDユニット40から射出されたレーザービームBは、コリメーターレンズ41を通過してシリンドリカルレンズ42に入射する。シリンドリカルレンズ42に入射したレーザービームBは、主走査断面においてはそのまま平行光束の状態で、副走査方向においては収束して射出され、回転体50の偏向面62に線像として結像する。偏向面62に結像されたレーザービームBは、走査レンズ49a、49bを通過して、感光体ドラム14上に所定の大きさのスポット径で結像される。この時、回転体50は駆動モーター46によって、図示時計回り方向に等速回転している。このため、レーザービームBは、感光体ドラム14の被走査面に、走査方向(図示下方から上方にかけての方向)に等速走査される。
ここで、感光体ドラム14の被走査面の、主走査方向の走査開始側(図2の下側)端部から、走査終了側(図2の上側)端部にかけて、レーザービームBが走査される領域(図中の二点鎖線で囲まれた領域)を、有効露光領域Rとする。走査レンズ49a、49bは、有効露光領域Rに重なるように配置されている。
この有効露光領域R外の、走査終了側にはBDセンサー71(同期検知センサー)が配置され、走査開始側にはBDミラー70が配置されている。レーザービームBは、感光体ドラム14への光走査開始のタイミングよりも前に、まず、走査レンズ49aの端部を通過してBDミラー70に入射する。そして、レーザービームBは、BDミラー70の反射面で反射して、BDセンサー71へと導かれる。BDセンサー71は、ICドライバー58に接続されており、レーザービームBの検出結果に基づいて書き込みクロックを変化させ、レーザービームBの主走査方向の走査開始タイミングを補正する。なお、BDセンサー71としては、フォトダイオード、フォトトランジスター、フォトIC等の各種の光センサーを使用することができる。
サーミスタ47は、走査レンズ49a、49bのうちのポリゴンミラー45に近い方の走査レンズ49aの、有効露光領域Rと重なる部分に対して、積層方向に重なっている。このため、サーミスタ47は、この走査レンズ49aの、有効露光領域Rに重なる部分の周辺の温度を検出することができる。
走査レンズ49a、49bのうちの、ポリゴンミラー45に近い方の走査レンズ49aは、制御部48や、駆動モーター46等の発熱源に比較的近いため、固定板43による放熱の影響を受けやすい。この走査レンズ49aが熱によって変形したり設置位置がずれたりすると、この走査レンズ49aのレーザービームBの通過する部分が変位してしまい、倍率のずれや結像位置のずれが生じて色ずれ等の画像不良が生じる恐れがある。
ここで、本発明の光走査装置19は、上述のように、サーミスタ47が、この走査レンズ49aの、有効露光領域Rに重なる部分の周辺の温度を検出できるため、走査レンズ49aのレーザービームBの通過する部分の変位や変形をより正確に予測し、色ずれや倍率のずれに対する補正を効果的に行って、画像不良を抑制することができる。
次に、本発明の第2実施形態にかかる光走査装置19について、図4を参照しながら説明する。図4に示すように、サーミスタ47は、有効露光領域Rの外に位置で、走査レンズ49aの端部に重なるように配置されている。サーミスタ47と重なっている走査レンズ49aの部分は、BDセンサー71にレーザービームBが入射するときにレーザービームBが通過する部分である。
ここで、従来の光走査装置では、筐体内の温度が上昇し、走査レンズの位置がずれた場合、レーザービームのBDセンサーへの入射タイミングがずれたり、レーザービームがBDセンサーに入射しなかったりするなど、レーザービームがBDセンサーに適切に入射しなくなる恐れがある。レーザービームがBDセンサーに適切に入射しないと、レーザービームの主走査方向の走査開始タイミングを、適切に補正することが困難になってしまう。このため、画像不良を引き起こす恐れがあった。
本実施形態の光走査装置19では、上述の通り、走査レンズ49aの、BDセンサー71にレーザービームBが入射するときにレーザービームBが通過する部分と、サーミスタ47とが、積層方向に重なっている。このため、筐体39内の温度が上昇した場合に、走査レンズ49aの上記部分の温度をより正確に検出することが可能になっている。これにより、レーザービームBの出射を適切に補正し、レーザービームBがBDセンサー71に適切に入射しなくなることを抑制することができる。
次に、本発明の第3実施形態に係る光走査装置19について、図5を参照しながら説明する。基板44は、当接部56から、固定板43の縁部の外側に向かって延びる突出部64を有する。突出部64は、固定板43の縁部よりも外側にあるため、固定板43に対して積層方向に当接していない。すなわち、突出部64が、非当接部57となっている。サーミスタ47は、突出部64上に配置されている。
ここで、基板44は、基板44の幅方向(突出部64の突出方向(図5の左右方向))の、突出部64の設けられた端縁と反対側の端縁から、基板44の内側に向かって切り欠かれた切欠き部69を有する構成を採用することができる。切欠き部69は、突出部64と同一形状に切り欠かれている。このようにすると、基板44は、比較的大きな板状体から、複数枚切り出されるように形成されるため、上記板状体上に左右方向に効率よく並べることが可能になり、基板44の製造コストを抑えることが可能になる。
すなわち、基板44は、比較的大きな板状体上から、上下方向、左右方向に等間隔に複数並ぶように切り出される。このときに、上記構成を採用すると、突出部64が左右方向の隣の基板44の切欠き部69に入り込むようにして、上記板状体から切り出すことが可能になる。そのため、左右方向に隣り合う基板44同士の距離を近づけるようにして、より多くの基板44を上記板状体から切り出すことが可能になり、基板44のロス(廃棄部分)を少なくして製造コストを低下させることが可能になる。
その他、本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、第1実施形態、および第2実施形態にかかる光走査装置19においては、図6に示すように、逃がし孔53は、周方向の一部が、固定板43の縁部にかかるように形成された切り欠き形状とすることができる。この逃がし孔53は、固定板43の縁部から、固定板43の幅方向の内側に向かって窪むように形成される。この逃がし孔53の内周面は、固定板43の縁部の側端面に連続する面となっている。このようにすると、非当接部57の位置が、固定板43の縁部に近いものとなり、固定板43の熱が、より、サーミスタ47に直接伝わりにくくなる。
また、第3実施形態にかかる光走査装置19においては、第2実施形態同様に、サーミスタ47は、有効露光領域Rの外であって、走査レンズ49aの、BDセンサー71にレーザービームBが入射するときに通過する部分と、積層方向に重なる位置に配置することができる。また、第3実施形態のサーミスタ47は、第1実施形態と同様に、有効露光領域Rの内側に配置してもよい。
また、上記各実施形態の光走査装置19は、サーミスタ47を、基板44の裏面側に配置する構成を採用することができる(図7参照)。ポリゴンミラー45の回転体50は、基板44の表面上で高速で回転している。この回転体50の回転により、筐体39内の、基板44の表面より上方は、気流が発生している。サーミスタ47がこの気流にさらされると、走査レンズ49a近傍の温度を正確に測定しにくくなる。そこで、上記のようにサーミスタ47を基板44の裏面側に配置すると、サーミスタ47は、上記の気流にさらされにくくなる。このため、より正確に筐体39内の、走査レンズ49aの近傍の温度を測定することが可能になる。
また、上記各実施形態では、稼働時のICドライバー58の発熱量が、稼働時のポリゴンミラー45の発熱量よりも小さいとしたが、稼働時のICドライバー58の発熱量よりも、稼働時のポリゴンミラー45の熱量の方が大きい構成を採用することもできる。この場合には、この場合、サーミスタ47は、ポリゴンミラー45を挟んでICドライバー58の反対側に配置することができる。従って、サーミスタ47とポリゴンミラー45との間の間隔L1は、サーミスタ47とICドライバー58の間の間隔L2よりも小さいものとなる。つまり、上記各実施形態において、ICドライバー58とポリゴンミラー45のうちの発熱量が大きい方と、サーミスタ47との間の間隔は、ICドライバー58とポリゴンミラー45のうちの発熱量が小さい方と、サーミスタ47との間の間隔よりも大きくなる構成を採用することができる。
また、上記各実施形態は、駆動モーター46が、3900~39500rpmの回転数で回転し、サーミスタ47とポリゴンミラー45との間の間隔L1は、34.5mm以上(好ましくは40~43mm、より好ましくは41~42mm)であり、ICドライバー58とサーミスタ47との間の間隔L2は、10mm以上(好ましくは16~19mm、より好ましくは17~18mm)である構成を採用することができる。このようにすると、サーミスタ47は、発熱源であるICドライバー58、ポリゴンミラー45の発熱の影響を受けにくくなり、筐体39内の温度をより正確に測定することができる。
また、上記各実施形態の光走査装置19は、走査レンズ49a、49bの2つの走査レンズを備えるとしているが、走査レンズ49a、49bに換えて、1つの走査レンズ(いわゆる単玉レンズ)を備える構成とすることもできる。
また、本発明の光走査装置19は、図1に示したようなモノクロプリンターに限らず、モノクロ及びカラー複写機、カラープリンター、デジタル複合機、ファクシミリ等の、光走査装置を用いる他の画像形成装置にも適用可能である。
本発明は、基板上の熱を放熱するべく固定板上に基板が積層された光走査装置に利用可能である。本発明の利用により、基板上に設けられたサーミスタを用いて筐体内の温度を検出して画像不良を抑制可能であり、かつ簡易な構造によって構成された光走査装置となる。
1 装置本体
19 光走査装置
39 筐体
40 LDユニット(光源)
43 固定板
44 基板
45 ポリゴンミラー(偏向器)
46 駆動モーター
47 サーミスタ(温度センサー)
49a 走査レンズ
50 回転体
51 回転軸
52 筐体の底面
53 逃がし孔
56 当接部
57 非当接部
58 ICドライバー
62 偏向面
64 突出部
69 切欠き部
70 BDミラー
71 BDセンサー
100 画像形成装置
B レーザービーム(光ビーム)
L1 間隔
L2 間隔

Claims (12)

  1. 筐体と、
    前記筐体内に設けられた光源と、
    前記筐体内に設けられた、前記筐体よりも熱伝導率の高い固定板と、
    前記固定板上に積層された基板と、
    前記固定板に設けられ、前記光源から射出された光ビームを偏向する偏向器と、
    前記筐体内に設けられ、前記偏向器により偏向されて主走査方向に走査される前記光ビームを、被走査面の有効露光領域に結像する走査レンズと、
    前記筐体内の温度を検出する温度センサーと、
    を備える光走査装置において、
    前記基板は、前記固定板に対して積層方向に当接する当接部と、前記固定板に対して積層方向に当接しない非当接部と、を有し、
    前記温度センサーは、前記非当接部に配置されていることを特徴とする光走査装置。
  2. 前記非当接部は、前記固定板に形成された前記積層方向に貫通する逃がし孔に対して、前記積層方向に重なることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
  3. 前記逃がし孔は、周方向の一部が前記固定板の縁部にかかるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の光走査装置。
  4. 前記非当接部は、前記当接部から、前記固定板の縁部より外側に向かって延びる突出部であることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
  5. 前記基板は、前記突出部と反対側の端縁に前記突出部と同一形状の切り欠き部を有することを特徴とする請求項4に記載の光走査装置。
  6. 前記偏向器を駆動する駆動モーターと、
    前記基板に設けられ、前記駆動モーターを制御するICドライバーと、を有し、
    前記偏向器と前記ICドライバーのうちの発熱量の大きい方と、前記温度センサーとの間隔は、前記偏向器と前記ICドライバーのうちの発熱量の小さい方と、前記温度センサーとの間隔よりも大きいことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の光走査装置。
  7. 前記偏向器と前記ICドライバーのうちの発熱量の小さい方は、前記偏向器と前記ICドライバーのうちの発熱量の大きい方と前記温度センサーとの間に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の光走査装置。
  8. 前記偏向器は、前記積層方向に前記基板を貫通する回転軸と、前記基板上に配置された、前記回転軸を中心に回転可能な回転体と、を有し、
    前記温度センサーは、前記基板の、前記回転体の配置された側の面とは反対側の面上に配置されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の光走査装置。
  9. 前記走査レンズは、前記温度センサーと前記積層方向に重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の光走査装置。
  10. 前記偏向器によって偏向された前記光ビームは、前記走査レンズの、前記温度センサーと前記積層方向に重なる部分を通過することを特徴とする請求項9に記載の光走査装置。
  11. 前記筐体に収容された、前記偏向器によって偏向された前記光ビームによる被走査面への走査開始タイミングを検知するBDセンサーと、
    前記筐体に収容された、前記偏向器によって偏向された前記光ビームを反射させて前記BDセンサーに導く反射面を有するBDミラーと、
    を備え、
    前記温度センサーは、前記走査レンズの、前記BDセンサーに前記光ビームが入射するときに前記光ビームが通過する部分と、積層方向に重なっていることを特徴とする請求項10に記載の光走査装置。
  12. 請求項1から11のいずれかに記載の光走査装置を備える画像形成装置。
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