JP5298096B2 - 光走査装置,画像形成装置 - Google Patents
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Description
従来から,このように構成された光走査装置では,ポリゴンモータの駆動による発熱に起因して筐体が変形し,ポリゴンミラーや光学機器,BDセンサなどの位置関係がずれて,レーザ光の照射位置の精度などの光学性能が悪化することが課題となっている。これに対し,例えば特許文献1では,筐体におけるポリゴンモータと光学機器との間に開口部を設けることでポリゴンモータから光学機器への熱伝達を抑制することが提案されている。また,特許文献2では,ポリゴンモータと光学機器との間に,ポリゴンモータで発生する熱を帯びた風を遮るための風防部材を設けることが提案されている。
図5(a)に示す光走査装置Yでは,ポリゴンミラー101に連結されたポリゴンモータ102は長方形の基板103に搭載されている。そして,その基板103が四隅でネジ201〜204によって筐体100に締結固定されている。なお,筐体100には,ポリゴンミラー101で走査される光を感光体上で結像させるfθレンズ301〜304や,ポリゴンミラー101で走査されて反射ミラー401a,402aで反射した光を所定位置で検出するBDセンサ401,402なども設けられている。
前記光走査装置Yでは,ポリゴンモータ102の駆動時の発熱によって基板103や筐体100に熱膨張が生じるおそれがある。そして,その熱膨張による基板103と筐体100との変形量が異なれば,基板103に応力(歪み)が生じてポリゴンミラー102の位置や向きにズレが生じるおそれがある。ここに,図5(b)は,その状態を便宜上顕著に表したものである。筐体100の熱膨張による変形量よりも,基板103の熱膨張による変形量が多い場合には,図5(b)に示すように,基板103と筐体100との締結箇所が外側に移動できなくなり,該基板103に反りが生じてポリゴンミラー101が傾くことになる。特に,光走査装置の筐体100が樹脂製であるのに対し,ポリゴンモータ102が搭載される基板103には金属基板が用いられることが多く,熱膨張係数に差があるため,熱膨張による変形量に差が生じやすい。
しかしながら,前記特許文献1,2に記載された発明は,ポリゴンモータから光学機器の設置箇所への熱伝達を抑制することを目的としたものであって,ポリゴンモータの発熱に起因する該ポリゴンモータの搭載基板の熱変形を考慮したものではない。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,ポリゴンモータが搭載された基板の熱変形に起因するポリゴンミラーの位置変動を防止して光学性能を安定させることのできる光走査装置,画像形成装置を提供することにある。
本発明によれば,前記駆動モータの発熱により前記基板が変形するときに,その変形量が前記筐体の前記開口部の変形によって吸収される。従って,前記基板と前記筐体との変形量が異なる場合であっても,該基板に生じる応力(歪み)が抑制されて前記回転多面鏡の位置ズレを防止することができ,光学性能を安定させることができる。
特に,前記基板及び前記筐体の材質が異なるものである場合には,前記基板と前記筐体との熱膨張係数が異なり,熱膨張変化量の差が大きくなって基板に生じる応力(歪み)が大きくなるため,本発明が好適である。例えば,前記基板が金属製であって,前記筐体が樹脂製であることが考えられる。もちろん,前記基板と前記筐体との材質が同じであれば熱膨張係数も同じであるが,各々の変形量はその大きさや形状によって異なるため,本発明の効果を奏することは明らかである。
ここに,前記基板が該基板の四隅で前記筐体に締結固定されている場合,前記開口部は,前記基板の短手方向の両端部の締結箇所の間に対応する範囲を超える領域に亘って形成されたものであることが望ましい。これにより,前記筐体の前記締結箇所が前記開口部の開口内側に変形しやすく前記基板の応力(歪み)の抑制に好適である。なお,前記開口部は一又は複数の貫通孔(丸穴)であってもよい。
ところで,前記回転多面鏡によって所定の位置に照射された光を検出する光検出手段を更に備えてなる構成では,前記光検出手段又は該光検出手段に前記回転多面鏡からの光を反射させる反射ミラーが,前記駆動モータとの間に前記開口部が介在する位置に配置されてなることが望ましい。これにより,前記駆動モータから前記光検出手段や前記反射ミラーの設置箇所への熱伝達が前記開口部によって抑制されるため,前記光検出手段による光検出タイミングのズレを防止することができる。
なお,本発明は,前記光走査装置を一つ又は複数備えてなる画像形成装置の発明として捉えてもよい。
まず,図1を参照しつつ,本発明の実施の形態に係る画像形成装置Zの概略構成について説明する。前記画像形成装置Zは,プリンタ装置や複写機,ファクシミリ装置,これらの機能を有する複合機などの電子写真方式の画像形成装置であって,後述の光走査装置Xを一つ又は複数備えるものである。
図1に示すように,前記画像形成装置Zは,4つの画像形成ユニット51,2つの前記光走査装置X1,X2,中間転写ベルト52,二次転写装置53,給紙装置54,定着装置55,及び排紙部56などを備えて構成されている。
ここで,4つの前記画像形成ユニット51は,それぞれブラック,イエロー,シアン,マゼンダの4色のトナー像を中間転写ベルト52へ転写する画像形成プロセスを実行するものであり,図1の右(中間転写ベルト52の移動方向下流側)からブラック,イエロー,シアン,マゼンダの順で配置されている。
前記画像形成ユニット51各々は,一般的な画像形成装置に搭載される画像形成ユニットであって,トナー像を担持する感光体ドラム59の他,その感光体ドラム59の表面を帯電させる帯電装置や,帯電した感光体ドラム59の表面にレーザ光の照射(露光)により書き込まれた静電潜像をトナーにより現像する現像装置,現像されて感光体ドラム59上に形成されたトナー像を中間転写ベルト52に転写する一次転写装置,感光体ドラム59上に残留するトナーを除去するクリーニング装置などを備えている。
2つの前記光走査装置X1,X2は,それぞれが二つの前記画像形成ユニット51に対応しており,該画像形成ユニット51各々の下方に並べて配置されている。具体的に,一方の前記光走査装置X1は,右から二つの前記画像形成ユニット51に対応し,ブラック用及びイエロー用の感光体ドラム59に静電潜像書込み用のレーザ光を出力するものである。また,他方の前記光走査装置X2は,左から二つの前記画像形成ユニット51に対応し,シアン用及びマゼンダ用の感光体ドラム59に静電潜像書込み用のレーザ光を出力するものである。ここに,前記光走査装置X1,X2は同様に構成されているため,以下では光走査装置Xと総称して説明する。なお,前記画像形成ユニット51ごとに対応して一つの光走査装置が設けられる構成や,或いは四つの前記画像形成ユニット51に対応して一つの光走査装置が設けられる構成も本発明に係る画像形成装置の他の実施例として考えられる。
前記中間転写ベルト52は,例えばゴムやウレタン等の素材からなる無端状のベルトであり,駆動ローラ57と従動ローラ58とで張架されて支持されている。そして,前記駆動ローラ57に駆動によって前記中間転写ベルト52が回転駆動されると,該中間転写ベルト52が前記感光体ドラム59と前記一次転写装置との間を通過することにより該感光体ドラム59各々のトナー像が該中間転写ベルト52に順次重ね合わせて転写される。
前記二次転写装置53は,前記中間転写ベルト52上に形成されたフルカラーのトナー像を,前記給紙装置54から1枚ずつ送られる記録紙に転写するものである。前記定着装置55は,前記二次転写装置53で転写された後の記録紙にそのトナー像を溶融定着するものである。そして,画像が形成された記録紙は前記排紙部56へ排出される。
このように構成された前記画像形成装置Zは,前記光走査装置Xの構成に特徴を有している。以下,前記光走査装置Xの構成について説明する。
このように構成された前記光走査装置Xでは,前記ポリゴンミラー11と,前記fθレンズ21〜24と,前記BDセンサ31,32との位置精度が,高い光学性能を得るために重要である。本実施の形態に係る前記光走査装置Xは,その高い位置精度を維持することにより高い光学性能を得ることのできる構成に特徴を有している。
前記基板13には,前記ポリゴンモータ12が搭載されており,該ポリゴンモータ12の駆動による発熱で熱変形が生じるおそれがある。そこで,前記光走査装置Xでは,前記筐体1が,前記基板13と前記筐体1との締結箇所(前記ネジ41〜44の螺合箇所)の近傍であって,前記基板13の長手方向の外側に形成された開口部2,3を有している。具体的に,前記開口部2,3各々は,図2(a)に示すように,前記基板13の短手方向を長手方向とする長尺状の開口であって,前記基板13の短手方向の両端部の締結箇所の間に対応する範囲を超える領域に亘って形成されたものである。
これにより,前記駆動モータ12の発熱に起因して前記基板13が熱膨張により長手方向に伸びた場合であっても,その変形量が前記筐体1の前記開口部2,3の変形によって吸収される。具体的には,図2(b)に示すように,前記ネジ41〜44の締結箇所が,前記開口部2,3の変形により該開口部2,3の内側に向けて移動することが可能である。なお,図2(b)は,図2(a)におけるA−A矢視断面図である。このとき,前記筐体1において前記開口部2,3は,例えば内側に湾曲するように変形する。
このように,前記光走査装置Xにおいては前記開口部2,3によって前記基板13に生じる応力(歪み)が低減される。特に,前記開口部2,3各々は,前記基板13の短手方向の両端の前記締結箇所の間隔よりも長く形成されたものであるため,該基板13の長手方向の変形を吸収しやすくなっており,該基板13の応力(歪み)の抑制に好適である。
もちろん,前記基板13と前記筐体1との締結箇所の近傍であって前記基板13の短手方向の外側にも開口部が更に形成されていることも考えられる。また,前記開口部2,3各々は,一つの開口に限らず一つ又は複数の開口や切り欠きによって構成されたものであってもよい。なお,図2において,前記ポリゴンミラー11及び前記ポリゴンモータ12は,前記基板13の長手方向の中心よりも右側の位置に配置されているが,これに限らない。例えば,前記ポリゴンミラー11及び前記ポリゴンモータ12が前記基板13の中央に設けられる構成であってもよい。
なお,前記開口部2,3によって熱伝達が抑制されているため,前記BDセンサ31,32を前記ポリゴンモータ12に近づけて,前記光走査装置Xのサイズをコンパクトにすることも可能である。
また,図2(c)に示すように,前記ポリゴンミラー11から前記fθレンズ23,24の近傍の反射ミラー31a,32aで反射されたレーザ光をさらに前記BDセンサ31,32に向けて反射させる反射ミラー31b,32bが前記ポリゴンモータ12の近くに配置される構成も考えられる。この場合には,図2(c)に示すように前記反射ミラー31b,32bと前記ポリゴンモータ12との間に前記開口部2,3が介在するように該反射ミラー31b,32bを配置して該反射ミラー31b,32bに対する熱の影響を抑制することが望ましい。
本発明は,このような構成に適用することも可能であって,具体的には,前記基板13が固定された前記金属板14と前記筐体1との締結箇所の近傍であって前記金属板14の長手方向の外側に前記開口部2,3が形成されていればよい。これにより,前記ポリゴンモータ12からの熱による前記金属板14の変形時に,前記筐体1の変形が前記開口部2,3で吸収され,前記金属板14の反りなどを防止することができる。
なお,前記実施の形態や本実施例では,図2,図3に示したように前記開口部2,3が矩形状に形成された一連の開口である場合について説明したが,例えば図4に示すように,前記開口部2,3各々が複数の貫通孔(丸穴)を有する構成であることも考えられる。もちろん,前記開口部2,3各々が一つの貫通孔であってもよい。
2,3:開口部
11:ポリゴンミラー
12:ポリゴンモータ
13:基板
14:金属板
21〜24:fθレンズ
31,32:BDセンサ
41〜48:ネジ
X :光走査装置
Claims (7)
- 光源から照射された光を走査させる回転多面鏡を回転駆動させる駆動モータと,前記駆動モータが搭載される略長方形の基板と,前記回転多面鏡によって所定の位置に照射された光を検出する光検出手段とを備えてなり,前記基板が少なくとも該基板の長手方向の両端部で筐体に締結固定されてなる光走査装置であって,
前記筐体が,前記基板と前記筐体との締結箇所の近傍であって前記基板の長手方向の外側に形成された開口部を有し,
前記光検出手段に前記回転多面鏡からの光を反射させる反射ミラーが,前記駆動モータとの間に前記開口部が介在する位置に配置されていることを特徴とする光走査装置。 - 二つの前記光検出手段と,前記回転多面鏡からの光を二つの前記光検出手段にそれぞれ反射させる二つの前記反射ミラーと,を備え,
前記開口部が,前記基板の長手方向の両外側に形成されており,
前記反射ミラーが,前記基板の長手方向の両外側に配置されている請求項1に記載の光走査装置。 - 前記基板及び前記筐体の材質が異なるものである請求項1又は2に記載の光走査装置。
- 前記基板が金属製であって,前記筐体が樹脂製である請求項3に記載の光走査装置。
- 前記基板が該基板の四隅で前記筐体に締結固定されてなり,
前記開口部が,前記基板の短手方向の両端部の締結箇所の間に対応する範囲を超える領域に亘って形成されたものである請求項1〜4のいずれかに記載の光走査装置。 - 前記開口部が,一又は複数の貫通孔である請求項1〜4のいずれかに記載の光走査装置。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の光走査装置を一つ又は複数備えてなる画像形成装置。
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