JP2022014442A - 重合体組成物およびイオン交換膜 - Google Patents

重合体組成物およびイオン交換膜 Download PDF

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Abstract

【課題】成膜時の発泡や積層膜の剥離を抑制できる重合体組成物及びイオン交換膜を提供する。【解決手段】イオン性基を有する側鎖を持つパーフルオロビニル化合物に由来する単位(a)と、フルオロオレフィンに由来する単位(b)とを含む含フッ素共重合体と、-COOX(Xは、H、NH4又は1価の金属イオンである。)で表される官能基を有する低分子化合物(a)と、を含む重合体組成物であって、前記低分子化合物(a)の含有量が、前記重合体組成物の質量基準で、600ppm以下である、重合体組成物。【選択図】なし

Description

本発明は重合体組成物およびイオン交換膜に関する。
イオン交換膜を電解質とする各種電気化学装置としては、アルカリ金属塩電解槽、水電解槽、塩酸電解槽、或いは、燃料電池などがある。そのうち工業プロセスとして成熟し、幅広く利用されているものとしてアルカリ金属塩電解槽を用いた電解が挙げられる。従来からアルカリ金属塩、特に、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の水溶液を電解して、塩素等のハロゲンガスと苛性アルカリ及び水素を製造する工業的方法はよく知られている。そのうちでイオン交換膜を隔膜として使用するイオン交換膜法電解技術が、電力消費量を最も少なくし、省エネルギー化のために最も有利なプロセスとして、世界的に工業化がなされている。
海水等の塩化アルカリ水溶液を電解し、水酸化アルカリと塩素とを製造する塩化アルカリ電解法に用いられるイオン交換膜としては、カルボン酸型官能基またはスルホン酸型官能基を有する含フッ素共重合体からなる膜が知られている。含フッ素共重合体は、カルボン酸型官能基またはスルホン酸型官能基を有する含フッ素モノマーと、含フッ素オレフィンとを共重合させることにより得られる。
重合法としては、乳化重合、溶液重合、懸濁重合、バルク重合法などがある。これらの重合法ではポリマー中に分子量の低い低重合体(オリゴマー)が残存する。かかるオリゴマーを低減するために、含フッ素共重合体に含まれる低重合体を低減する方法として、含フッ素共重合体を洗浄することが知られている(特許文献1,2)。
国際公開第2012/157714号 国際公開第2012/000851号
特許文献1,2のいずれにおいても、特にどのオリゴマーを対象としてどの程度の洗浄を行うべきかについて十分に検討されていない。具体的には、次のとおりである。
特許文献1に記載の方法では、フッ素系の溶媒のみで洗浄しているため、ポリマー自体のロスも大きく収率の低下を引き起こしたり、ポリマーが一部ゲル化し濾過性が非常に悪くなり、生産性が低下する問題がある。結果として、特許文献1に記載の方法によれば、所望とするポリマーに同伴するオリゴマー量を十分に低減することは困難である。また、特許文献2に記載の重合体では、乳化重合で得られたポリマーをフッ素系溶媒で洗浄するために、水洗後にポリマーを一度乾燥させ、ペレット化する必要があり、手間とコストがかかってしまうばかりか、オリゴマー量を十分に低減することは困難である。
なお、本発明者らの検討によれば、含フッ素共重合体に特定の低分子化合物が同伴する場合、含フッ素共重合体を加熱製膜した際に発泡が起こったり、含フッ素共重合体の膜を他の膜と積層した際や電解時に界面で剥離が起ることが判明している。また、上記低分子化合物がイオン性基を有する場合、溶融成形時に熱分解により着色したり、吸湿された空気中の水分により更なる発泡を引き起こすことも判明している。
本発明は上記した従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、成膜時の発泡や積層膜の剥離を抑制できる重合体組成物及びイオン交換膜を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、含フッ素共重合体を含む重合体組成物中における特定の低分子化合物の含有量を十分に低減することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、以下の態様を包含する。
[1]
イオン性基を有する側鎖を持つパーフルオロビニル化合物に由来する単位(a)と、フルオロオレフィンに由来する単位(b)とを含む含フッ素共重合体と、
-COOX(Xは、H、NH4又は1価の金属イオンである。)で表される官能基を有する低分子化合物(a)と、
を含む重合体組成物であって、
前記低分子化合物(a)の含有量が、前記重合体組成物の質量基準で、600ppm以下である、重合体組成物。
[2]
-COOX(Xは、H、NH4又は1価の金属イオンである。)で表される官能基を有しない低分子化合物(b)を更に含み、
前記低分子化合物(b)の含有量が、前記重合体組成物の質量基準で、50ppm以下である、[1]に記載の重合体組成物。
[3]
前記低分子化合物(a)の含有量が、20~300ppmである、[1]又は[2]に記載の重合体組成物。
[4]
前記低分子化合物(a)の数平均分子量が、300~4000である、[1]~[3]のいずれかに記載の重合体組成物。
[5]
前記パーフルオロビニル化合物が、下記(I)式で表される、[1]~[4]のいずれかに記載の重合体組成物。
CF2=CF-(OCF2CYF)a-O-(CF2b-SO2M (I)
(式(I)中、aは0~2の整数を表し、bは1~4の整数を表し、Yは-F又は-CF3を表し、Mは-F又は-Clを表す。)
[6]
[1]~[5]のいずれかに記載の重合体組成物の製造方法であって、
前記フルオロオレフィンと、前記パーフルオロビニル化合物と、を乳化重合して前記含フッ素共重合体を得る工程を有する、重合体組成物の製造方法。
[7]
[1]~[5]のいずれかに記載の重合体組成物を含む、イオン交換膜。
本発明によれば、成膜時の発泡や積層膜の剥離を抑制できる重合体組成物及びイオン交換膜が得られる。
図1は、HSP値の3次元空間座標を例示する説明図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
以下の用語の定義は、本明細書及び特許請求の範囲にわたって適用される。
モノマーとは、重合反応性の炭素-炭素二重結合を有する化合物を意味する。
イオン性基とは、イオン性の官能基そのもの、又は加水分解若しくは中和によってスルホン酸又はカルボン酸に変換し得る官能基を意味する。
スルホン酸型官能基とは、スルホン酸基(-SO3H)そのもの、又は加水分解若しくは中和によってスルホン酸基に変換し得る官能基を意味する。
カルボン酸型官能基とは、カルボキシル基(-COOH)そのもの、又は加水分解若しくは中和によってカルボキシル基に変換し得る官能基を意味する。
低分子化合物とは、重合体を構成するモノマー単位の数が比較的少ない(重合度が比較的小さい)、いわゆるオリゴマーを意味する。低分子化合物は、得られる含フッ素共重合体の特性に影響を与える成分であり、その分子量(重合度)は、含フッ素共重合体の用途(必要とされる特性)によって異なる。
<重合体組成物>
本実施形態の重合体組成物は、イオン性基を有する側鎖を持つパーフルオロビニル化合物に由来する単位(a)と、フルオロオレフィンに由来する単位(b)とを含む含フッ素共重合体と、-COOX(Xは、H、NH4又は1価の金属イオンである。)で表される官能基を有する低分子化合物(a)と、を含む重合体組成物であって、前記低分子化合物(a)の含有量が、前記重合体組成物の質量基準で、600ppm以下である。本実施形態の重合体組成物は、このように構成されているため、成膜時の発泡や積層膜の剥離を抑制することができる。また、本実施形態の重合体組成物は、このように構成されているため、成膜時の着色の抑制も期待できる。
(含フッ素共重合体)
本実施形態の重合体組成物は、その主成分として、含フッ素共重合体を含むものである。本実施形態における含フッ素共重合体は、イオン性基を有する側鎖を持つパーフルオロビニル化合物に由来する単位(a)と、フルオロオレフィンに由来する単位(b)とを含むものである。
(単位(a))
単位(a)は、イオン性基を有する側鎖を持つパーフルオロビニル化合物に由来する。当該パーフルオロビニル化合物としては、スルホン酸型官能基を有するもの又はカルボン酸型官能基を有するものが挙げられる。
スルホン酸型官能基を有するパーフルオロビニル化合物(以下、「化合物(m1)」ともいう。)としては、分子中に1個以上のフッ素原子を有し、かつスルホン酸型官能基を有するビニルモノマーであれば、特に限定されず、従来から公知のものを用いることができる。
ここで、スルホン酸型官能基は、スルホン酸基(-SO3H)そのもの、又は加水分解若しくは中和によってスルホン酸基に変換し得る官能基である。
スルホン酸基に変換し得る官能基としては、-SO3M(ただし、Mはアルカリ金属又は第4級アンモニウム塩基である。)、-SO2F、-SO2Cl、-SO2Br等が挙げられる。
化合物(m1)としては、モノマーの製造コスト、他のモノマーとの反応性、得られる含フッ素共重合体の特性に優れる点から、化合物(m2)又は化合物(m3)が好ましい。
CF2=CF-O-Rf2-A2 ・・・(m2)、
CF2=CF-Rf2-A2 ・・・(m3)。
f2は、炭素数1~20のペルフルオロアルキレン基であり、エーテル性の酸素原子を含んでいてもよく、直鎖状又は分岐状のいずれでもよい。
2は、スルホン酸型官能基である。
化合物(m2)としては、具体的には下記の化合物が好ましい。
CF2=CF-O-(CF218-SO2F、
CF2=CF-O-CF2CF(CF3)O(CF218-SO2F、
CF2=CF[OCF2CF(CF3)]15SO2F。
化合物(m3)としては、具体的には下記の化合物が好ましい。
CF2=CF(CF208-SO2F、
CF2=CF-CF2-O-(CF218-SO2F。
スルホン酸型官能基を有するパーフルオロビニル化合物としては、工業的な合成が容易である点から、下記の化合物がより好ましい。
CF2=CFOCF2CF2SO2F、
CF2=CFOCF2CF2CF2SO2F、
CF2=CFOCF2CF2CF2CF2SO2F、
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2F、
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CF2SO2F、
CF2=CFOCF2CF(CF3)SO2F、
CF2=CFCF2CF2SO2F、
CF2=CFCF2CF2CF2SO2F、
CF2=CFCF2CF2CF2CF2SO2F、
CF2=CF-CF2-O-CF2CF2-SO2F。
本実施形態において、スルホン酸型官能基を有するパーフルオロビニル化合物としては、下記式(I)で表されるパーフルオロビニルエーテルが好ましく、さらに式(I)においてMはFであることがより好ましい。
CF2=CF-(OCF2CYF)a-O-(CF2b-SO2M (I)
(式(I)中、aは0~2の整数を表し、bは1~4の整数を表し、Yは-F又は-CF3を表し、Mは-F又は-Clを表す。)
本実施形態におけるパーフルオロビニル化合物としては、上述したものの中から1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カルボン酸型官能基を有するパーフルオロビニル化合物としては、分子中に1個以上のフッ素原子を有し、かつカルボン酸型の官能基を有するパーフルオロビニル化合物モノマーであれば、特に限定されず、従来から公知のものを用いることができる。
カルボン酸型官能基を有する含パーフルオロビニル化合物としては、工業的生産性の点から、下式(1)で表わされるパーフルオロビニル化合物が好ましい。
CF2=CF-(O)p-(CF2q-(CF2CFX)r-(O)s-(CF2t-(CF2CFX')u-A ・・・(1)
pは、0又は1であり、qは、0又は1であり、rは、0~3の整数であり、sは、0又は1であり、tは、0~12の整数であり、uは、0~3の整数である。ただし、r及びuが同時に0になることはない。すなわち、1≦r+uである。
Xは、フッ素原子またはトリフルオロメチル基である。また、X'は、フッ素原子またはトリフルオロメチル基である。1分子中にXおよびX'の両方が存在する場合、それぞれは同一であってもよく、異なっていてもよい。
Aは、カルボン酸型官能基である。カルボン酸型官能基は、カルボン酸基(-COOH)そのもの、または加水分解または中和によりカルボン酸基に変換し得る官能基をいう。カルボン酸基に変換し得る官能基としては、-CN、-COF、-COOR1(ただし、R1は炭素原子数1~10のアルキル基である。)、-COOM(ただし、Mはアルカリ金属または第4級アンモニウム塩基である。)、-COONR23(ただし、R2およびR3は、水素原子または炭素原子数1~10のアルキル基であり、R2およびR3は、同一であってもよく、異なっていてもよい。)等が挙げられる。
pは、0または1であり、qは、0~12の整数であり、rは、0~3の整数であり、sは、0または1であり、tは、0~12の整数であり、uは、0~3の整数である。ただし、pおよびsが同時に0になることはなく、rおよびuが同時に0になることはない。すなわち、1≦p+sであり、1≦r+uである。
式(1)で表わされるパーフルオロビニル化合物の具体例としては、下記の化合物が挙げられ、製造が容易である点から、p=1、q=0、r=1、s=0~1、t=1~3、u=0~1である化合物が好ましい。
CF2=CF-O-CF2CF2-COOCH3
CF2=CF-O-CF2CF2-CF2-COOCH3
CF2=CF-O-CF2CF2-CF2CF2-COOCH3
CF2=CF-O-CF2CF2-O-CF2CF2-COOCH3
CF2=CF-O-CF2CF2-O-CF2CF2-CF2-COOCH3
CF2=CF-O-CF2CF2-O-CF2CF2-CF2CF2-COOCH3
CF2=CF-O-CF2-CF2CF2-O-CF2CF2-COOCH3
CF2=CF-O-CF2CF(CF3)-O-CF2CF2-COOCH3
CF2=CF-O-CF2CF(CF3)-O-CF2-CF2CF2-COOCH3
(単位(b))
単位(b)は、フルオロオレフィンに由来する。フルオロオレフィンとしては、分子中に1個以上のフッ素原子を有する炭素原子数が2~3のオレフィンが用いられる。フルオロオレフィンの具体例としては、テトラフルオロエチレン(CF2=CF2;以下、「TFE」ともいう。)、クロロトリフルオロエチレン(CF2=CFCl)、フッ化ビニリデン(CF2=CH2)、フッ化ビニル(CH2=CHF)、ヘキサフルオロプロピレン(CF2=CFCF3)等が挙げられる。モノマーの製造コスト、他のモノマーとの反応性、得られる含フッ素共重合体の特性に優れる点から、TFEが特に好ましい。フルオロオレフィンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(他のモノマー)
本実施形態においては、前述したパーフルオロビニル化合物及びフルオロオレフィンに加えて、さらに他のモノマーを共重合させてもよい。他のモノマーとしては、パーフルオロビニル化合物及びフルオロオレフィンに該当しないものであって、CF2=CF-Rf(ただし、Rfは途中にエーテル性の酸素原子を含む炭素原子数1~10のペルフルオロアルキル基である。)、CF2=CF-ORf1(ただし、Rf1は炭素原子数1~10のペルフルオロアルキル基であり、途中にエーテル性の酸素原子を含んでもよい。)、CF2=CFO(CF2vCF=CF2(ただし、vは1~3の整数である。)等が挙げられる。他のモノマーを共重合させることによって、イオン交換膜の可撓性や機械的強度を向上できる。他のモノマーの割合は、イオン交換性能の維持の点から、全モノマー(100質量%)のうち30質量%以下が好ましく、1~20質量%がより好ましい。
本実施形態の重合体組成物は、-COOX(Xは、H、NH4又は1価の金属イオンである。)で表される官能基を有する低分子化合物(a)を含み、当該低分子化合物(a)の含有量が、前記重合体組成物の質量基準で、600ppm以下である。上記含有量が600ppm以下であると、成膜時の発泡や積層膜の剥離を抑制することができる。同様の観点から、好ましくは500ppm以下であり、より好ましくは300ppm以下である。また、上記含有量の下限値としては特に限定されず、例えば1ppm程度であってもよい。本実施形態においては、積層膜の接着性を向上させる観点から、上記含有量は、20ppm以上であることが好ましい。上記含有量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。また、上記含有量は、後述する好ましい製造方法を採用する等により、上記した範囲に調整することができる。
(低分子化合物(a))
低分子化合物(a)は、主鎖の少なくとも片末端に-COOX基(Xは、H、NH4又は1価の金属イオンである。)を有するものであり、下記式(A)や式(B)などの構造が挙げられる。下記式(A)は主鎖構造はTFEユニットのみからなり、下記式(B)はスルホン酸型モノマーユニットとTFEユニットの共重オリゴマーである。
Figure 2022014442000001
Figure 2022014442000002
CF2=CFOCF2CF2SO2FとTFEとの共重合体の場合は上記の2種類のオリゴマーなどが生成し得る(m、n≧0、k≧1の整数)。またそれぞれの-SO2F基は一部加水分解し、-SO3M(MはH、NH4、1価の金属イオン)になっているものも存在する。
低分子化合物(a)は、そのイオン性基に由来して、水を吸着しやすい構造であり、脱炭酸しやすいため、溶融成型時の発泡に影響する。
(低分子化合物(b))
本実施形態の重合体組成物は、さらに、-COOX(Xは、H、NH4又は1価の金属イオンである。)で表される官能基を有しない低分子化合物(b)を含みうる。すなわち、低分子化合物(b)は、主鎖のいずれの末端にもカルボキシル基を有しない低分子化合物である。本実施形態においては、積層膜の電解時の剥離(いわゆるデラミと呼ばれる現象)を防止し、電解性能の低下を防止する観点から、低分子化合物(b)の含有量は、前記重合体組成物の質量基準で、50ppm以下が好ましい。上記含有量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。また、上記含有量は、後述する好ましい製造方法を採用する等により、上記した範囲に調整することができる。
低分子化合物(a)に関しては生成メカニズム上(分子構造上)、300以下の分子量のものはほとんど生成しないと考えられる。分子量が4,000以下の低分子オリゴマーは加熱時に主鎖の切断分解反応などが生じ、さらなる低分子化に伴い揮発しやすくなり、溶融成型時の発泡、着色に与える影響が大きいため、低分子化合物(a)の数平均分子量は、好ましくは300以上4,000以下であり、より好ましくは300以上2,000以下である。上記数平均分子量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。また、上記数平均分子量は、後述する好ましい製造方法を採用する等により、上記した範囲に調整することができる。
低分子化合物(b)の数平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは2,000以上8,000以下である。上記数平均分子量は、低分子化合物(a)と同様の方法により測定することができる。また、上記数平均分子量は、後述する好ましい製造方法を採用する等により、上記した範囲に調整することができる。
<重合体組成物の製造方法>
本実施形態の重合体組成物を製造するための方法(以下、「本実施形態の製法」ともいう。)としては、前記フルオロオレフィンと、前記パーフルオロビニル化合物と、を重合して前記含フッ素共重合体を得る工程を有するものが挙げられる。重合方法としては、バルク重合法、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等が挙げられ、重合槽の容積効率が高く、重合中の徐熱や攪拌時のトルクが低く、幅広いイオン交換基容量の含フッ素共重合体を製造できる点から、乳化重合が好ましい。なお、例えば、溶液重合を採用する場合、重合体組成物中の低分子化合物(b)含有量が増加する傾向にある。したがって、本実施形態の重合体組成物を溶液重合により製造する場合、低分子化合物(b)の含有量を十分に低減するべく、後述する第2の洗浄工程において、良溶媒/貧溶媒の組み合わせで、3回以上洗浄することが好ましく、5回以上洗浄することがより好ましい。
溶液重合法における重合媒体としては、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロカーボン、クロロカーボン、アルコール等が挙げられる。
懸濁重合法における重合媒体としては、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、クロロカーボン、ハイドロカーボン等を一種以上含む媒体に水を加えたものが挙げられる。
乳化重合法における重合媒体としては、水が挙げられ、溶液重合法で用いる重合媒体と同様の重合媒体を併用してもよい。
重合圧力は、0.05MPaG(ゲージ圧)以上が好ましい。圧力が低すぎると、重合反応の速度を実用上満足し得る速さに維持することが難しく、高分子量の含フッ素共重合体を得ることが難しい。また、重合圧力は、2.0MPaG以下が好ましく、安全性の面から0.7MPaG以下がさらに好ましい。
重合圧力以外の他の条件や操作は、特に限定されることなく、広い範囲の反応条件を採用できる。たとえば、重合温度は、モノマーの種類や反応モル比等により最適値が選定され得るが、極端な高温や低温での反応は工業的実施に不利となるため、20~90℃が好ましく、30~80℃がより好ましい。
重合の開始は、電離性放射線の照射によって行ってもよいが、上述の好適な反応温度(20~90℃)において高い活性を示すアゾ化合物、ペルオキシ化合物等の重合開始剤を用いる方が、工業的実施には有利である。
重合開始剤としては、ジアシルペルオキシド類(ジコハク酸ペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ペルフルオロ-ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ビス(ペンタフルオロプロピオニル)ペルオキシド等)、アゾ化合物(2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)塩酸類、4,4'-アゾビス(4-シアノバレリアン酸)、ジメチル2,2'-アゾビスイソブチレート、アゾビスイソブチロニトリル等)、ペルオキシエステル類(t-ブチルペルオキシイソブチレート、t-ブチルペルオキシピバレート等)、ペルオキシジカーボネート類(ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ビス(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート等)、ハイドロペルオキシド類(ジイソプロピルベンゼンハイドロペルオキシド、t-ブチルハイドロペルオキシド等)、ジアルキルペルオキシド(ジ-t-ブチルペルオキシド、パーフルオロ-ジ-t-ブチルペルオキシド)、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等が挙げられる。
重合開始剤の添加量は、モノマーの100質量部に対して、0.0001~3質量部が好ましく、0.0001~2質量部がより好ましい。重合開始剤の添加量を下げることによって、含フッ素共重合体の分子量を高めることができる。重合開始剤の他に、通常の溶液重合において用いられる分子量調節剤(連鎖移動剤)等を添加してもよい。
各モノマーは、一括で仕込んでもよく、逐次的または連続的に仕込んでもよい。反応系内のモノマーの濃度を一定にして、生成する含フッ素共重合体の組成を均一化させるという点からは、例えば、フルオロオレフィンおよびカルボン酸型官能基を有するパーフルオロビニル化合物を、重合媒体であるハイドロフルオロカーボンを含む重合系中に逐次的に添加して連続的に、反応させることが好ましい。
逐次添加は、重合初期と重合後期とで各モノマーの添加割合を変化させて行ってもよく、重合によって消費された各モノマーを補って重合系中の各モノマーの濃度を一定にするように行ってもよく、得られる含フッ素共重合体の組成を均一にするという点からは、後者が好ましい。具体的には、重合圧力が一定となるようにフルオロオレフィンを逐次導入し、フルオロオレフィンの導入量に比例してイオン性官能基を有するパーフルオロビニル化合物を逐次添加することが好ましい。
溶媒で洗浄する工程で用いる含フッ素共重合体の形態は、粉体であってもよく、ペレットであってもよい。また、完全に乾燥された状態であってもよく、溶媒を含んだ状態であってもよい。ペレットを用いた場合は、濾過性に優れ、粉体を用いた場合は、洗浄性に優れる。本実施形態においては、生産性(工数削減)と洗浄性を重視することから、溶媒を含んだ状態が好ましい。
本実施形態の製法においては、重合終了後のスラリーの水洗が終了した後に、乾燥や更なるペレット化を行わずに、2段階の有機溶媒による洗浄を実施することが好ましい。このようにすることで、生産性良く、かつ収率の低下を抑制し、加熱溶融時の発泡、着色などを抑制できる傾向にある。すなわち、本実施形態の製法は、第1の洗浄工程と第2の洗浄工程をこの順に含むことが好ましい。
(第1の洗浄工程)
第1の洗浄工程で洗浄のために使用できる第1の洗浄溶媒としてはメタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、などの水と親和性のある極性溶媒が挙げられる。その中でもメタノールが好ましい。これら溶媒による第1の洗浄の主な効果は下記である。
(i)加水分解モノマーや乳化剤などの低分子極性化合物(発泡性物質)の除去。
(ii)水置換による加水分解の抑制。
(iii)第2の洗浄溶媒であるフッ素系溶媒での連続洗浄を可能にする。
加熱成膜時に発泡を引き起こす物質として前述した低分子化合物以外に、加水分解モノマーや乳化剤などの低分子極性化合物がある。これらはフッ素系溶媒に対する溶解度が低いため、フッ素溶媒単独での洗浄は困難である。またこれら低分子極性化合物をあらかじめ除去することにより、低分子化合物(a)の除去も促進される。またメタノールなどの親水性溶媒で洗浄することにより、ポリマー中の水分を置換することができ、洗浄工程や乾燥工程での側鎖官能基の加水分解を低減させることができ、結果として加熱成膜時の発泡や着色を抑制することができる。そしてフッ素系溶媒によるポリマーからのオリゴマー洗浄を容易にできる。水洗後、フッ素系溶媒による洗浄を実施するには、一度ポリマーを乾燥させ水を除去するか、さらにペレット化の工程が必要になる。しかし、メタノール洗浄を第1の洗浄として実施することにより、フッ素系溶媒での連続洗浄が可能になり、工数削減により生産性が向上する。ポリマー水洗後に、直接フッ素系溶媒で洗浄しようとすると、クリーミングという現象を引き起こし、系全体がクリーム状となり、分離精製が困難となる。
(第2の洗浄工程)
第2の洗浄工程で洗浄のために使用できる第2の洗浄溶媒としては良溶媒と貧溶媒の混合溶媒、又は良溶媒と貧溶媒のいずれかだけを用いることができるが、洗浄性、濾過性を考慮して、含フッ素共重合体の膨潤率をある程度コントロールできる混合溶媒が好ましい。第2の洗浄溶媒中における含フッ素共重合体の膨潤率としては、5~400%が好ましく、10~100%がより好ましい。膨潤率は、例えば、次の方法に基づいて測定することができる。すなわち、100mLメスシリンダーに含フッ素共重合体を20mLとなるように入れ、その後に溶媒を100mLまで入れて含フッ素共重合体の容積変化を目視で測定し、膨潤後の容積増加率を膨潤率とする。例えば、溶媒添加後に含フッ素共重合体の容積が25mLまで増えたとすると、増加分は5mLであるため、(5mL/20mL)×100=25%と算出される。
本実施形態において、良溶媒とは、含フッ素共重合体と親和性が高い溶媒であり、例えば、ハンセンの溶解度パラメーターであるHSP値が含フッ素共重合体と近いものを選択してもよい。また、貧溶媒とは、含フッ素共重合体と親和性が低い溶媒であり、例えば、HSP値が含フッ素共重合体と遠いものを選択してもよい。
HSP値(δ)とは、凝集エネルギー密度の平方根で定義される物性値であり、分散力項(δd)、極性項(δp)、水素結合項(δh)の3成分に展開したパラメータである(δ2=δd 2+δp 2+δh 2)。
ここで、HSP値(δd,δp,δh)を三次元空間座標と考えたとき、対象物質のHSP値と溶媒のHSP値が近いほど、溶解しやすい、あるいは親和性が高い傾向がある(図1参照)。目安として、溶質のHSP値と溶媒のHSP値の差(ベクトル終点間距離)が11以上であれば溶媒の親和性が低く、HSP値の観点からは貧溶媒と位置付けられる(表1参照)。HSP値はHSPiP計算ソフト(関西大学 山本秀樹教授開発)においてY-MB法により算出することができる。
本実施形態において、前述のとおり種々の含フッ素共重合体を採用し得るため、その含フッ素共重合体に応じて良溶媒及び貧溶媒を決定すればよいが、良溶媒の典型例としては、以下に限定されないが、CClF2CF2CClFH、C4925、C613CH2CH3、C81725、C613H、HC612H、HC48H、C614、C716、CF3CFHCFHCF2CF3、(CF32CFCFHCFHCF3、C66、CH3CCl2F、CF3CH2OCF2CF2H、C49OCH3、C49OC25、CF3CF2CF2OCH3、(CF32CFOCH3、CHF2CH2CF3、CF3CH2CF2CH3、F3C-C(F)=CH2、CF3CH2OH等のフッ素系溶媒が挙げられ、CF3CFHCFHCF2CF3、C49OC25、CF3CH2OHが好ましい。上記したものの他、採用し得る良溶媒としては、以下に限定されないが、例えば、オルトギ酸トリメチル、オルト酢酸トリエチル、1,2-ジメトキシエタン、酢酸イソプロピル、亜硫酸ジメチル、ホウ酸トリメチル等が挙げられる。
また、貧溶媒の典型例としては、以下に限定されないが、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノ-ル、n-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、アセトン、アセトニトリル、シクロペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン等が挙げられ、メタノールが好ましい。
以下、含フッ素共重合体に対する良溶媒及び貧溶媒を決定方法について具体例を挙げて説明する。
例えば、CF2=CFOCF2CF2SO2FとTFEとをモル比1:4.3で共重合した含フッ素共重合体(Sn=0ポリマー)のHSP値は、HSPiP計算ソフト(Y-MB法)により、δd=14.0、δp=12.2、δh=5.8と算出される。
また、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2FとTFEとをモル比1:5で共重合した含フッ素共重合体(Sn=1ポリマー)のHSP値は、上記と同要領にてδd=12.6、δp=9.8、δh=4.1と算出される。
次いで、前述した貧溶媒のうちメタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、n-ヘキサン、シクロヘキサン及びヘプタンを、前述した良溶媒のうちオルトギ酸トリメチル、酢酸イソプロピル、亜硫酸ジメチル及びホウ酸トリメチルを、それぞれ選択し、上記と同要領にてHSP値を算出した結果を表1に示す。
Sn=0ポリマー及びSn=1ポリマーの各々に対する各溶媒のHSP値の差(空間距離Δn=0、Δn=1)は表1のとおりであり、貧溶媒はいずれも11以上となっており、ポリマーに対する親和性が低く、貧溶媒として機能し得ることがわかる。
Figure 2022014442000003
メタノールはポリマーに対しては貧溶媒(親和性が低い)であるが、低分子化合物(a)(主鎖末端にイオン性基である-COOX基を有するオリゴマー)はフッ素系溶媒単独よりも極性溶媒であるメタノール/フッ素系溶媒の混媒の方が溶けやすく、より効率的に洗浄・抽出される。さらに、洗浄後のポリマーから溶媒を蒸発乾固させる工程で、メタノールが存在するとポリマー主鎖末端の-COOX(カルボキシル基)が一部エステル化された安定構造となるため、溶融成型時の主鎖末端の加熱時脱炭酸分解による発泡を抑制する効果もある。
良溶媒となる洗浄用溶媒としては、多くのフッ素系溶媒が使用できる。フッ素系溶媒としては、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ペルフルオロカーボン、ペルフルオロエーテル、ハイドロフルオロエーテル等が挙げられる。ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテルが好ましく、オゾン層破壊係数がないハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテルがより好ましい。また、フッ素系溶媒のみを単独で用いてもよく、フッ素系溶媒の2種以上を混合して用いてもよく、フッ素系溶媒と他の溶媒とを混合して用いてもよい。良溶媒/貧溶媒の組み合わせでの使用が好ましい。
洗浄用溶媒の量は、含フッ素共重合体に対して1~100倍質量が好ましく、3~50倍質量がより好ましい。洗浄用溶媒の量が少ないと充分に洗浄できず、洗浄用溶媒の量が多いと洗浄後の処理に時間がかかり、洗浄設備としても大きな設備を必要となり、生産性が低下する。
また、洗浄回数は洗浄用溶媒の量と関係があり、洗浄用溶媒の量が多ければ洗浄回数は少なくてもよく、洗浄用溶媒の量が少ないと洗浄回数が多くなる。洗浄回数が1回だと膨潤したポリマーの中にオリゴマーなどの低分子成分を含んだ溶媒が残ってしまい、洗浄が不十分となってしまう。洗浄回数としては3回以上が好ましく、5回以上がさらに好ましい。
洗浄温度は、室温から150℃が好ましい。洗浄温度が低すぎると低分子量成分の抽出量が少なく、150℃を超えると含フッ素共重合体の分解が始まる。また加熱しすぎると残存する水分による側鎖官能基の加水分解が進行する可能性があるため、溶媒の沸点以下が好ましい。
洗浄時間は、5分~12時間が好ましく、20分~6時間がより好ましい。洗浄温度が高いと洗浄時間は短くなる。
洗浄後の分離処理は、上記洗浄の際の加熱温度のままで行ってもよく、冷却してから行ってもよい。また、洗浄後そのまま濾過を行ってもよく、貧溶媒を加えて沈殿させてから濾過を行ってもよい。また、濾過以外にも遠心分離等、他の方法を用いてもよい。
洗浄により除去される低分子化合物(a)及び低分子化合物(b)の総量は、洗浄前の含フッ素共重合体の100質量%に対して、10質量%以下が好ましい。除去される低分子量成分の量が10質量%を超えると、高価な含フッ素共重合体の収率が低下し、経済的に不利となる傾向にある。
<イオン交換膜>
本実施形態のイオン交換膜は、本実施形態の重合体組成物から得ることができる。すなわち、本実施形態のイオン交換膜は、本実施形態の重合体組成物を含むものである。イオン交換膜の製造方法は、重合体組成物としての含フッ素共重合体を製膜する工程、含フッ素共重合体のスルホン酸官能基またはカルボン酸型官能基を加水分解によりスルホン酸またはカルボン酸に転換する工程を有するものが挙げられる。製膜工程と転換工程は、どちらを先に行ってもよいが、製膜工程後に転換工程を行う方が好ましい。
本実施形態のイオン交換膜は、本実施形態の重合体組成物を含む層を複数有し、各層における含フッ素共重合体のイオン交換容量がそれぞれ異なる積層体であってもよく;本実施形態の重合体組成物を含む層と、カルボン酸型官能基を有する含フッ素共重合体を含む層とを有する積層体であってもよく;補強材を有する積層体であってもよい。
補強材としては、織布(クロス)、繊維、不織布等が挙げられる。
本実施形態のイオン交換膜にあっては、本実施形態の重合体組成物を含むため、溶融成型時の発泡、着色が抑制され、剥離耐性が向上する。
以下、実施例及び比較例により本実施形態を詳細に説明するが、本実施形態はこれらの例によって何ら限定されるものでない。
(低分子化合物(a)の定量方法)
メタノールとCF3CHFCHFCF2CF3(以下、「溶媒A」ともいう。)とを、体積比としてメタノール/CF3CHFCHFCF2CF3=2/1となるように混合した混合溶媒Aを、重合体組成物(質量:W1)に対して5倍質量加え、50℃で1時間還流した。吸引濾過で回収したろ液をエバポレーターで減圧濃縮し、真空乾燥して得られた乾固物の質量(W2)から、下記の式に基づいて抽出された低分子化合物(a)を定量した。
低分子化合物(a)の含有量(ppm)=W2/W1
(低分子化合物(b)の定量方法)
上記混合溶媒を、ヘキサンと溶媒Aとの混合溶媒(体積比として1/1)に変更した以外は、上記低分子化合物(a)の定量と同様の操作を行い、低分子化合物(b)を定量した。
(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(以下、「GPC」ともいう。)による低分子化合物(a)の分子量測定)
上記(低分子化合物(a)の定量方法)で得られた乾固物をメタノール/溶媒Aの混合溶媒(1/1(体積比))に溶解させ、下記GPC装置にてGPC分析を行った。分子量換算用に、標準試料ポリメタクリル酸メチルを使用した。得られた解析結果より、低分子化合物(a)の数平均分子量を求めた。
GPC本体装置:東ソー製 HLC-8320GPC
検出器:島津 ELSD-LTII
(GPC分析条件)
注入量100μL
測定時間30min
流量1mL/min
測定温度:常温
溶離液:メタノール/溶媒A(1/1(体積比))
Sampleカラムα-M×2本、ガードカラム(東ソー製)
ReferenceカラムH-RC×2本(東ソー製)
D.tube 温度35℃
(イオン交換膜の発泡性評価)
後述する各例で得られた重合体組成物を270℃、3MPaで4分間静置(予熱)、13MPaで1分間ヒートプレスして厚さが約1mmのイオン交換膜を作製した。イオン交換膜を目視にて観察し、下記の基準にて評価した。
○:発泡が全くない(気泡数0個)。
△:発泡が微かに確認された(気泡数10個未満)。
×:発泡が多く確認された(気泡数10個以上)。
(イオン交換膜の剥離性評価)
後述する実施例、比較例におけるイオン交換膜の剥離耐性を下記のようにして評価した。
剥離耐性は、電解を行った後のイオン交換膜を観測し、層間の剥離が生じている部分の面積率を測定し、評価した。
先ず、電解に用いる電解槽としては、陽極と陰極との間にイオン交換膜を配置した構造であり、電解液を強制的に循環させる型(強制循環型)の電解セルを4個直列に並べたものを用いた。
電解セルにおける陽極と陰極との間の距離は、1.5mmとした。
陰極として、ニッケルのエキスパンドメタルに、触媒として酸化ニッケルが塗布された電極を用いた。
陽極としては、チタンのエキスパンドメタルに、触媒としてルテニウム、イリジウム及びチタンが塗布された電極を用いた。
陽極側には、23g/Lの濃度を維持するように塩水を供給し、陰極側には、25質量%濃度の苛性ソーダを供給した。
なお、電解中は、陰極側に水の供給は行わなかった。
塩水の温度を90℃に設定して、4kA/m2の電流密度で、電解槽の陰極側の液圧が陽極側の液圧よりも5.3kPa高い条件で電解を40時間行った。
電解を行った後のイオン交換膜の通電部分の面積をx(cm2)、剥離が生じた部分の面積をy(cm2)とし、以下の式で表わされる剥離部分の面積率Aを算出した。
A=y/x×100(%)
なお、面積yは、画像解析ソフト(SCALAR CORPORATION製 UMO2-SUZ-01)を用いて測定した。
剥離耐性評価は、剥離部分の面積率Aが5%未満のときを○、5%~25%のときを△、25%以上のときを×とした。
上記評価用のイオン交換膜(積層膜)は、次のようにして作製した。
まず、原料モノマーとして、次のモノマーA~Cを準備した。
モノマーA:TFE
モノマーB:CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CO2CH3
モノマーC:CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2
次いで、第一層の原料(第一層用重合体組成物)として、モノマーA:モノマーBを11:1の比で共重合し、含フッ素共重合体(カルボン酸型官能基を有する含フッ素共重合体)を含む重合体組成物を調製した。
また、第二層の原料(第二層用重合体組成物)として、モノマーA:モノマーBの質量比を6.5:1の比で共重合して得られた含フッ素共重合体(カルボン酸型官能基を有する含フッ素共重合体)と、モノマーA:モノマーCの質量比を5.8:1の比で共重合して得られた含フッ素共重合体(スルホン酸型官能基を有する含フッ素共重合体)との混合物を調製した。
さらに、第三層の原料(第三層用重合体組成物)として、実施例1~6及び比較例1~2で得られた重合体組成物を使用した。
2台の押し出し機、2層用の共押し出し用Tダイ、及び引き取り機を備えた装置により、第一層用重合体組成物と第二層用重合体組成物とを用いて共押し出しを行い、厚み70μmの2層フィルム(a)を得た。当該フィルムの断面を観察した結果、第一層の厚みが16.5μm、第二層の厚みが53.5μmであった。
更に、第三層用重合体組成物を用い、単層Tダイにより、厚み50μmの単層(第三層)フィルム(b)を得た。
また、補強材として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製100デニールのテープヤーンに900回/mの撚りをかけ糸状とした強化糸と、犠牲糸の経糸として30デニール、6フィラメントのポリエチレンテレフタレート(PET)製の糸を200回/mの撚りをかけたもの、緯糸として35デニール、8フィラメントのPET製の糸に10回/mの撚りをかけたものを準備し、これらの糸をPTFE糸が24本/インチ、犠牲糸がPTFEに対して4倍の64本/インチとなるよう交互配列で平織りして厚み100μmの織布を得た。得られた織布を加熱された金属ロールで圧着し織布の厚みを70μmに調整した。このとき、PTFE糸のみの開口率は75%であった。
内部に加熱源及び真空源を有し、表面に多数の微細孔を有するドラム上に、透気性のある耐熱離型紙、フィルム(b)、織布、第二層が織布側に面するようにフィルム(a)を順番に積層し、230℃の温度及び-650mmHgの減圧下で、各材料間の空気を排除しながら一体化し、積層膜を得た。
この複合膜をジメチルスルフォキシド(DMSO)5.0質量%、6.5規定(N)のKOHを含む水溶液中で95℃の温度で30分加水分解し、その後、90℃の条件下、0.5規定(N)のNaOH溶液を用いて平衡処理を行った。水洗後0.1N苛性ソーダ水溶液中で90℃の温度で平衡処理を行った。
水とエタノールの50/50質量部の混合溶液に、等量重量が910のCF2=CF2とCF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF22SO2Fとの共重合体を加水分解してなるスルホン酸基を有する重合体組成物を10質量%溶解させた。その溶液に一次粒子径0.02μmの酸化ジルコニウム40質量%加えボールミルにて均一に分散させた懸濁液を得た。この懸濁液を前記平衡処理後の膜の両面にスプレー法により塗布し乾燥させることにより、コーティング層を形成し、上記評価用のイオン交換膜を得た。
(着色(YI)の評価)
上記で作製した約1mmの厚さのイオン交換膜を用いて、測色色差計ZE6000(日本電色工業株式会社製)で黄色度指数(YI)を計3回測定し、その平均値をYI値とした。得られたYI値より、下記の基準にて評価した。
○:YI値が5以下
△:YI値が5超9未満
×:YI値が9以上
(電解性能評価)
下記の条件で電解を行い、電解電圧、電流効率に基づいて、1tのNaOHを作製するのに必要な電力消費量PC(kWh)で電解性能を評価した。なお、電力消費量PCの値は、次式にて算出した。
PC=670×(電解電圧/電流効率)
◎:PCが2050kWh以下
〇:PCが2050kWh超2100kWh未満
△:PCが2100kWh以上
[電解電圧の測定]
電解に用いる電解槽としては、陽極と陰極との間にイオン交換膜を配置した構造であり、自然循環型のゼロギャップ電解セルを4個直列に並べたものを用いた。陰極としては、触媒として酸化セリウム、酸化ルテニウムが塗布された直径0.15mmのニッケルの細線を50メッシュの目開きで編んだウーブンメッシュを用いた。陰極とイオン交換膜を密着させるため、ニッケル製のエキスパンドメタルからなる集電体と陰極との間に、ニッケル細線で編んだマットを配置した。陽極としては、触媒としてルテニウム酸化物、イリジウム酸化物及びチタン酸化物が塗布されたチタン製のエキスパンドメタルを用いた。上記電解槽を用いて、陽極側に205g/Lの濃度になるように調整しつつ塩水を供給し、陰極側の苛性ソーダ濃度を32質量%に保ちつつ水を供給した。電解槽の温度を85℃に設定して、6kA/m2の電流密度で、電解槽の陰極側の液圧が陽極側の液圧よりも5.3kPa高い条件で電解を行った。電解槽の陽陰極間の対間電圧を、KEYENCE社製電圧計TR-V1000で毎日測定し、7日間の平均値を電解電圧として求めた。
[電流効率の測定]
電流効率は、生成された苛性ソーダの質量、濃度を測定し、一定時間に生成された苛性ソーダのモル数を、その間に流れた電流の電子のモル数で除することで求めた。
[実施例1]
(工程I:プレ乳化液の調製工程)
水9.6kg、パーフルオロビニル化合物としてCF2=CFOCF2CF2SO2Fを2.4kg、85%リン酸水溶液4.25g、リン酸二水素ナトリウム40.7g、CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COONH428.8gを混合し、ホモジナイザーを用いて乳化液を調製した。
(工程II:重合工程)
内容積が22L(リットル)のステンレス鋼製反応器(オートクレーブ)に水2.5kg、85%リン酸水溶液1.16g、リン酸二水素ナトリウム11.1g、CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COONH4 31.6gを仕込み、反応器内部を十分に窒素置換、TFE置換した後、反応器の内温が50℃になるまで昇温した。 次いで、プレ乳化液を863g、開始剤として過硫酸アンモニウム水溶液(4.2質量%)200gを仕込み、TFEを反応器の内圧が0.5MPaGになるまで仕込み、重合を開始した。重合反応中は、圧力が0.5MPaGに保持されるようにTFEを連続的に添加した。反応開始からのTFE導入量が36gとなった時点で、過硫酸アンモニウム水溶液(8.4質量%)200gを仕込み、プレ乳化液の連続添加(28.6g/min)を開始した。反応開始からプレ乳化液の導入量が11.0kgとなった時点でプレ乳化液の導入を停止し、反応器を25℃まで冷却した後、未反応のTFEを系外に放出して重合を終了させた。
(工程III:塩析工程)
上記で得られた重合液1.59kgを蒸留水1.59kgで希釈し、これを攪拌しながら35℃に加温した。この溶液に、1.41M硫安水1.35kgを1時間かけて滴下し、滴下終了後35℃で2時間攪拌して、塩析スラリーを得た。
この塩析スラリーを濾過し、ポリマー換算で3倍量の蒸留水を加え、室温で10分攪拌し、N2加圧濾過(0.2MPaG)を実施。この操作を7回繰り返した。
(工程IV:第1溶媒洗浄工程)
その後、ポリマー量の3倍重量のメタノールを加え、室温で20分攪拌後、N2加圧濾過(0.2MPaG)を実施した。このメタノール洗浄は繰り返し行った(合計10回)。
(工程V:第2溶媒洗浄工程)
その後、メタノール/溶媒A(2/1(体積比))をポリマー量の3倍重量加え、室温で30分攪拌した。その後、N2加圧濾過(0.2MPaG)を実施した。この操作を繰り返し行った(合計10回)。
(工程(VI):乾燥工程)
工程Vの後、得られたwetポリマーをN2ブローで粗乾燥し、さらに棚段乾燥機で加熱真空乾燥(100℃、0.1kPa、5時間)し、乾燥ポリマー(重合体組成物)を回収した。
得られた乾燥ポリマーに対し、前述した定量・測定を行った。さらに、当該乾燥ポリマーから得られたイオン交換膜に対し、前述した評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例2]
工程(V)において、洗浄回数を1回とした以外は実施例1と同様の操作で乾燥ポリマーを取得した。
得られた乾燥ポリマーに対し、前述した定量・測定を行った。さらに、当該乾燥ポリマーから得られたイオン交換膜に対し、前述した評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例3]
工程(V)において、溶媒Aの代わりにトリフルオロエタノール(以下、「溶媒B」ともいう。)を使用した以外は実施例1と同様の操作で乾燥ポリマーを取得した。
得られた乾燥ポリマーに対し、前述した定量・測定を行った。さらに、当該乾燥ポリマーから得られたイオン交換膜に対し、前述した評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例4]
工程(V)において、メタノール/溶媒A(2/1(体積比))をメタノール/C49OC25(以下、「溶媒C」ともいう。)(4/1(体積比))に変更した以外は実施例1と同様の操作で乾燥ポリマーを取得した。
得られた乾燥ポリマーに対し、前述した定量・測定を行った。さらに、当該乾燥ポリマーから得られたイオン交換膜に対し、前述した評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例5]
工程(V)において、メタノールの代わりにn-ヘキサンを使用した以外は実施例1と同様の操作で乾燥ポリマーを取得した。
得られた乾燥ポリマーに対し、前述した定量・測定を行った。さらに、当該乾燥ポリマーから得られたイオン交換膜に対し、前述した評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例6]
工程(IV)を実施しなかった以外は実施例1と同様の操作で乾燥ポリマーを取得した。
得られた乾燥ポリマーに対し、前述した定量・測定を行った。さらに、当該乾燥ポリマーから得られたイオン交換膜に対し、前述した評価を行った。結果を表2に示す。
[比較例1]
実施例1において、工程(V)を実施しなかった以外は実施例1と同様の操作を行い、乾燥ポリマーを取得した。
得られた乾燥ポリマーに対し、前述した定量・測定を行った。さらに、当該乾燥ポリマーから得られたイオン交換膜に対し、前述した評価を行った。結果を表2に示す。
[比較例2]
実施例1の工程(IV)を実施せず、工程(V)のメタノール/溶媒A(2/1(体積比))を溶媒Aのみに変更し、洗浄/濾過の回数を3回に減らした以外は実施例1と同様の操作を行い、乾燥ポリマーを取得した。
得られた乾燥ポリマーに対し、前述した定量・測定を行った。さらに、当該乾燥ポリマーから得られたイオン交換膜に対し、前述した評価を行った。結果を表2に示す。
[比較例3]
実施例1の工程(IV)、(V)を実施せず、工程(VI)においてN2ブローで粗乾燥せずに、棚段乾燥機で加熱真空乾燥した以外は実施例1と同様の操作を行い、乾燥ポリマーを取得した。
得られた乾燥ポリマーに対し、前述した定量・測定を行った。さらに、当該乾燥ポリマーから得られたイオン交換膜に対し、前述した評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2022014442000004
なお溶媒A~CのHSP値をHSPiP計算ソフト(Y-MB法)により算出した結果は次のとおりであった。
溶媒A:δd=12.3, δp=1.4, δh=1.1
溶媒B:δd=14.9, δp=7.8, δh=14.0
溶媒C:δd=13.1, δp=2.8, δh=2.1
本発明に係る重合体組成物は、食塩電解の分野で好適に利用できる。

Claims (7)

  1. イオン性基を有する側鎖を持つパーフルオロビニル化合物に由来する単位(a)と、フルオロオレフィンに由来する単位(b)とを含む含フッ素共重合体と、
    -COOX(Xは、H、NH4又は1価の金属イオンである。)で表される官能基を有する低分子化合物(a)と、
    を含む重合体組成物であって、
    前記低分子化合物(a)の含有量が、前記重合体組成物の質量基準で、600ppm以下である、重合体組成物。
  2. -COOX(Xは、H、NH4又は1価の金属イオンである。)で表される官能基を有しない低分子化合物(b)を更に含み、
    前記低分子化合物(b)の含有量が、前記重合体組成物の質量基準で、50ppm以下である、請求項1に記載の重合体組成物。
  3. 前記低分子化合物(a)の含有量が、20~300ppmである、請求項1又は2に記載の重合体組成物。
  4. 前記低分子化合物(a)の数平均分子量が、300~4000である、請求項1~3のいずれか一項に記載の重合体組成物。
  5. 前記パーフルオロビニル化合物が、下記(I)式で表される、請求項1~4のいずれか一項に記載の重合体組成物。
    CF2=CF-(OCF2CYF)a-O-(CF2b-SO2M (I)
    (式(I)中、aは0~2の整数を表し、bは1~4の整数を表し、Yは-F又は-CF3を表し、Mは-F又は-Clを表す。)
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の重合体組成物の製造方法であって、
    前記フルオロオレフィンと、前記パーフルオロビニル化合物と、を乳化重合して前記含フッ素共重合体を得る工程を有する、重合体組成物の製造方法。
  7. 請求項1~5のいずれか一項に記載の重合体組成物を含む、イオン交換膜。
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