JP2022006357A - 床用化粧シート - Google Patents

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Abstract

【課題】土足用床材として必要な耐傷性,耐摩耗性,耐キャスタ性,耐衝撃性及び加工性を十分に有する床用化粧シートを提供する。【解決手段】基材シート11の一方面上に、絵柄模様層12,第一接着剤層13,第一樹脂層14,第二接着剤層15,第二樹脂層16,保護層17、がこの順に積層され、基材シート11は、厚さが50μm以上150μm以下であり、第一接着剤層13は、ヒートシール剤であり、第一樹脂層14は、厚さが70μm以上250μm以下であり、第二樹脂層16は、熱可塑性樹脂であり、厚さが70μm以上250μm以下であると共に、エンボス10aが形成され、保護層17は、電離放射線硬化型樹脂を含有すると共に、単層の外膜を具備したベシクルにナノサイズの造核剤を内包する造核剤ベシクルが添加されて形成された床用化粧シート10とした。【選択図】図1

Description

本発明は、床用化粧シートに関する。
木質系基材からなる板張り用の床用化粧材としては、合板に突き板を貼り、木工機械にて溝加工して、溝部を着色した後、紫外線硬化型塗料を塗布して硬化させたものが知られている。しかしながら、突き板が天然木のため、色にバラツキを生じ、壁や天井や家具等と色調を調和することが難しかった。その他、木質系基材の表面に凹状溝を設け、表面に導管着色用合成樹脂塗料を塗布し、凹状溝以外の塗料を除去した後、木目柄の導管凹部を形成し、凹状溝以外の木質系基材表面に透明合成樹脂塗料を塗布する方法も知られている。
また、木質系基材上に、着色熱可塑性樹脂層,絵柄模様層,透明熱可塑性樹脂層をこの順に設けた熱可塑性樹脂化粧シートを積層した床用化粧材も知られている。この床用化粧材は、主に居室用に使用され、素足や靴下やスリッパ等での歩行を想定したものである。そのため、上記床用化粧材を、靴やヒール等での歩行を想定した土足用として使用すると、土足用床材として必要な性能(耐傷性,耐摩耗性,耐キャスタ性,耐衝撃性等)が十分でないため、床用化粧材が損傷し易かった。
そこで、硬さ性能を高めるように透明熱可塑性樹脂層及び着色熱可塑性樹脂層の厚さをそれぞれ厚くしてしまうと、化粧シートと木質系基材とを連続的にラミネートして接合するときにライン上でシートカットすることが難しくなり易く、加工性の低下を引き起こし易かった。なお、床用化粧材に関する技術としては、例えば、特許文献1に記載した技術がある。
特開2014-188941号公報
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、土足用床材として必要な耐傷性,耐摩耗性,耐キャスタ性,耐衝撃性及び加工性を十分に有する床用化粧シートを提供することである。
前述した課題を解決するための、本発明に係る床用化粧シートは、基材シートの一方面上に、絵柄模様層,光透過性を有する第一接着剤層,光透過性を有する第一樹脂層,光透過性を有する第二接着剤層,光透過性を有する第二樹脂層,光透過性を有する保護層、がこの順に積層され、前記基材シートは、厚さが50μm以上150μm以下であり、前記第一接着剤層は、ヒートシール剤であり、前記第一樹脂層は、厚さが70μm以上250μm以下であり、前記第二樹脂層は、熱可塑性樹脂であり、厚さが70μm以上250μm以下であると共に、エンボスが形成され、前記保護層は、電離放射線硬化型樹脂を含有すると共に、単層の外膜を具備したベシクルにナノサイズの造核剤を内包する造核剤ベシクルが添加されて形成されたものであることを特徴とする。
本発明に係る床用化粧シートによれば、土足用床材として必要な耐傷性,耐摩耗性,耐キャスタ性,耐衝撃性及び加工性を十分に有することができる。
本発明に係る床用化粧シートの主な実施形態の概略構成を表す断面図である。
本発明に係る床用化粧シートの実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は図面に基づいて説明する以下の実施形態のみに限定されるものではない。
[主な実施形態]
本発明に係る床用化粧シートの主な実施形態を図1に基づいて説明する。
〈床用化粧シート10〉
図1に示すように、本実施形態に係る床用化粧シート10は、基材シート11の一方面(図1中、上方面)上に、絵柄模様層12、光透過性を有する第一接着剤層13、光透過性を有する第一樹脂層14、光透過性を有する第二接着剤層15、光透過性を有する第二樹脂層16、光透過性を有する保護層17がこの順に積層され、基材シート11の他方面(図1中、下方面)上にプライマ層18が設けられている。
〈基材シート11〉
基材シート11は、熱可塑性樹脂に対して、着色顔料,充填剤,安定剤等を添加して分散均一化されて着色され、シート状に成形することにより得られる。基材シート11の樹脂材料としては、塩化ビニル樹脂以外の種々の材質を適用することができる。
具体的には、例えば、ポリエチレン樹脂,ポリプロピレン樹脂,ポリプテン樹脂,ポリメチルペンテン樹脂等のポリオレフィン系樹脂や、エチレン-酢酸ビニル共重合体またはその鹸化物,エチレン-(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体等のポリオレフィン系共重合体樹脂や、ポリエチレンテレフタレート樹脂,ポリブチレンテレフタレート樹脂,ポリエチレンナフタレート樹脂,ポリアリレート樹脂,ポリカーボネート樹脂,共重合ポリエステル樹脂(代表的には1,4-シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂である通称PET-G)等のポリエステル系樹脂や、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂や、6-ナイロン、6,6-ナイロン、6,10-ナイロン、12-ナイロン等のポリアミド系樹脂や、ポリスチレン,AS樹脂,ABS樹脂等のスチレン系樹脂や、セルロースアセテート,ニトロセルロース等の繊維素系樹脂や、ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン等の含塩素系樹脂や、ポリフッ化ビニル,ポリフッ化ビニリデン,ポリテトラフルオロエチレン,エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂、またはこれらから選ばれる2種または3種以上の共重合体や混合物を挙げることができる。特に、無公害性,価格,性能,着色の容易さ等の点から考慮すると、充填剤と着色顔料とを添加したポリオレフィン系材料が好適である。
基材シート11は、厚さが、50μm以上150μm以下となっている。特に、50μm以上100μm以下であると好ましく、更に、55μm以上70μm以下であるとより好ましい。基材シート1は、厚さが上記範囲内であると、土足用の床用化粧シートとして必要な耐傷性,耐摩耗性,耐キャスタ性,耐衝撃性及び加工性を十分に発現できるようになる。
〈絵柄模様層12〉
基材シート11の一方面(図1中、上方面)上には、任意の絵柄の模様を印刷された絵柄模様層12が設けられている。絵柄模様層12は、その絵柄の種類を特に限定されることはなく、例えば、木目柄,石目柄,布目柄,砂目柄,抽象柄,幾何学図形,文字又は記号,或いはそれらの組み合わせ等を挙げることができる。
絵柄模様層12の印刷方法としては、例えば、グラビア印刷,インクジェット印刷,フレキソ印刷,スクリーン印刷等を適用することができる。絵柄模様層12は、その形成に使用される印刷インキの種類も特に限定されることはなく、床用化粧シートの絵柄模様層の形成に一般に使用されてそれぞれの印刷法に適した公知の印刷インキであれば適用することができる。
具体的には、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂系,塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂系,ブチラール系,アクリル系,ウレタン系,ポリエステル系,エポキシ系,アルキド系,ポリアミド系等のバインダ樹脂に対して、有機又は無機の染料又は顔料や、体質顔料,充填剤,粘着付与剤,分散剤,消泡剤,安定剤,その他の添加剤等を必要に応じて適宜添加し、それぞれの印刷法等に対応した適切な粘度となるように希釈溶剤等で調整することにより、得ることができる。
〈第一接着剤層13〉
絵柄模様層12の一方面(図1中、上方面)上には、光透過性を有する無色透明な第一接着剤層13が設けられている。第一接着剤層13としては、ヒートシール剤が適用される。ヒートシール剤としては、例えば、アクリル樹脂-ポリエステル樹脂-塩化酢酸ビニル系樹脂,熱硬化性ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
〈第一樹脂層14〉
第一接着剤層13の一方面(図1中、上方面)上には、光透過性を有する無色透明な第一樹脂層14が設けられている。第一樹脂層14の材料としては、例えば、ポリエチレン樹脂,ポリプロピレン樹脂,ポリプテン樹脂,ポリメチルペンテン樹脂等のポリオレフィン系樹脂や、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂等を挙げることができる。また、密着性を向上させるため、例えば、コロナ処理等を施すことも可能である。
第一樹脂層14は、厚さが、70μm以上250μm以下となっている。特に、80μm以上230μm以下であると好ましく、更に、100μm以上200μm以下であるとより好ましい。第一樹脂層14は、厚さが上記範囲内であると、土足用の床用化粧シートとして必要な耐傷性,耐摩耗性,耐キャスタ性,耐衝撃性及び加工性を十分に発現できるようになる。
〈第二接着剤層15〉
第一樹脂層14の一方面(図1中、上方面)上には、光透過性を有する無色透明な第二接着剤層15が設けられている。第二接着剤層15は、第一樹脂層14上に、第二接着剤層15を形成するための組成物を塗布して形成することが可能である。第二接着剤層15に含まれる接着剤としては、第二樹脂層16に含まれる透明熱可塑性樹脂の組み合わせに応じて、例えば、ウレタン系,アクリル系,ポリエステル系等の中から任意に選択して適用することができる。
〈第二樹脂層16〉
第二接着剤層15の一方面(図1中、上方面)上には、光透過性を有する無色透明な第二樹脂層16が設けられている。第二樹脂層16は、エンボス10aが形成されている。第二樹脂層16に形成されるエンボス10aは、絵柄模様層12が木目の場合、自然木の持つ導管を凹みで表現すると好ましく、木目以外の場合でも砂目や幾何学模様の凹凸で意匠性を高めることも可能である。このように、エンボス10aを形成することにより、床用化粧シート10の表面に立体感を与え、意匠性を向上させることができる。また、エンボス10aは、第二樹脂層16のみに留まらず、他の層に及ぶことも可能である。
エンボス10aを形成する方法としては、各層を貼り合せた後に全体を加熱してエンボスロールを押し当てる後エンボス法や、第二樹脂層16をTダイから押し出してエンボスロールに押し当てる押し出し同時エンボス法等を適用することができる。このようなエンボス10aは、保護層17を設ける前に形成したり、保護層17を設けた後に形成したりすることができる。
第二樹脂層16は、厚さが、70μm以上250μm以下となっている。特に、80μm以上200μm以下であると好ましく、更に、90μm以上140μm以下であるとより好ましい。第二樹脂層16は、厚さが上記範囲内であると、エンボス10aの凹凸を問題なく形成できると共に、意匠性の面において、絵柄模様層12と相俟って、深みや奥行きをより感じさせることができる。なお、第二樹脂層16は、厚さが70μm未満であると、耐傷性,耐摩耗性,耐キャスタ性,耐衝撃性を十分に得ることが難しくなってしまう。他方、第二樹脂層16の厚さが250μmを超えると、製造時の加工性が低下し、高コスト化してしまう。
また、第二樹脂層16と第一樹脂層14との厚さの合計値が150μm以上300μm以下の範囲内であると、床用化粧シート10としての可撓性と機械的強度との両方を損なうことがなく、且つ、インラインでのロールラミネート等による化粧板への加工性や、さらに化粧板としての加工性等に支障をきたすことがなく、使い勝手を向上させることができるので、好ましい。
また、第二樹脂層16は、例えば、複数の層を重ねたシート状とすることも可能である。第二樹脂層16は、層の数が4層以上も可能だが、押し出し機の構造が複雑化して作業の煩雑さが大きくなるため、3層までが好ましい。もちろん、2層とすることも可能であり、1層とすることも可能である。
第二樹脂層16を構成する各層は、絵柄模様層12の絵柄を視認できるように、例えば無色透明な熱可塑性樹脂で形成される。第二樹脂層16に含まれる熱可塑性樹脂は、例えば、塩化ビニル樹脂以外の種々の樹脂を適用することが可能である。第二樹脂層16を構成する各層の樹脂材料の組み合わせは、目的とする特性により、様々な組み合せが可能である。
具体的には、例えば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE),高密度ポリエチレン樹脂(HDPE),直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE),ポリプロピレン樹脂(PP),ポリオレフィン系エラストマ等のポリオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET),ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT),ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)等のポリエステル系樹脂や、ポリメチルメタアクリレート樹脂(PMMA)や、エチレン-酢酸ビニル系共重合樹脂(EVA)や、アイオノマ樹脂や、ポリブテン系樹脂や、ポリアクリロニトリル系樹脂や、6-ナイロン,66-ナイロン等のポリアミド系樹脂や、ポリスチレン系樹脂(PS)や、ポリカーボネート樹脂(PC)や、フッ素系樹脂や、ウレタン系樹脂や、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)や、ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)等の合成樹脂が挙げられ、特に、透明ポリプロピレン樹脂であると非常に好ましい。
《ポリプロピレン樹脂》
第二樹脂層16に適用されるポリプロピレン樹脂としては、例えば、柔軟性の高い、エチレンコンテンツを含有するランダムポリプロピレン樹脂や、ランダムポリプロピレン樹脂や高結晶性ホモポリプロピレン樹脂に公知の非晶性ポリプロピレン樹脂を混合したものが挙げられる。曲げ加工などの加工性をより重視する用途においては、高結晶性ホモポリプロピレン樹脂に対し、例えば、エチレンコンテンツを所定の範囲内で有するランダムポリプロピレン樹脂や公知の非晶性ポリプロピレン樹脂を混合することができる。
また、第二樹脂層16に適用されるポリプロピレン樹脂としては、例えば、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)が95%以上のプロピレン単重合体である高結晶性ホモポリプロピレン樹脂を、全ポリプロピレン樹脂の質量に対して30質量%以上100質量%以下の範囲内で含むものが挙げられる。ここで、高結晶性ホモポリプロピレン樹脂が30質量%未満であると、結晶性が不足し、十分な強度を得られないことがあるため、好ましくない。
なお、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)とは、質量数13の炭素C(核種)を用いた13C-NMR(核磁気共鳴)測定法により、樹脂材料を所定の共鳴周波数にて共鳴させて得られる電磁波吸収率の数値から算出されるものであり、樹脂材料中の原子配置,電子構造,分子の微細構造等を規定するものである。
そして、結晶性ポリプロピレン樹脂のペンタッド分率とは、13C-NMRにより求めたプロピレン単位が5つ並んだ割合のことであって、結晶化度あるいは立体規則性の尺度として用いられる。ペンタッド分率は、主に表面の耐傷性を決定付ける重要な要因の一つであり、基本的にはペンタッド分率が高いほど結晶化度が高いことを表す。
また、第二樹脂層16に適用されるポリプロピレン樹脂としては、例えば、自由末端長鎖分岐を付与したポリプロピレン樹脂(a)と、自由末端長鎖分岐を付与していないポリプロピレン樹脂(b)との混合物で、その混合物の質量平均分子量/数平均分子量として定義される分子量分布Mw/Mnが1以上5以下の範囲内にあり、かつ、そのポリプロピレン樹脂(a)とポリプロピレン樹脂(b)との混合樹脂の、沸騰ヘプタン可溶残分率として規定されるアイソタクチック指数が、1%以上90%以下の範囲内にあるものが挙げられる。このようなポリプロピレン樹脂を第二樹脂層16に適用すると、床用化粧シート10が折り曲げ加工されたときの白化や割れを抑制することができる。
ここで、分子量分布は、分子量Miの分子がNi個存在する場合に、数平均分子量Mn=Σ(Mi×Ni)/ΣNi、質量平均分子量Mw=Σ(Ni×Mi2)/Σ(Ni×Mi)の比、Mw/Mnとして定義される値である。1に近いほど分子量の分布が狭く、均一性が高くなる。
この分子量分布が5以下になるようにすると、分子量を必要十分な大きさに揃えることができ、白化や割れの抑制に寄与できるようになる。一般的には、分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定することができる。
また、沸騰ヘプタン可溶残分率として規定されるアイソタクチック指数は、ポリプロピレン樹脂中の結晶化度を調べる指標として有用である。具体的には、試料を沸騰n-ヘプタンで一定時間抽出を行い、抽出されない部分の質量(%)を求めてアイソタクチックインデックスを算出する。
詳しくは、円筒濾紙を110±5℃で2時間乾燥し、恒温恒湿の室内で2時間以上放置してから、円筒濾紙中に試料(粉体またはフレーク状)8g以上10g以下を入れ、秤量カップ及びピンセットを用いて精秤する。これをヘプタン約80ccの入った抽出器の上部にセットし、抽出器に冷却器を組み立てる。これをオイルバスまたは電気ヒータで加熱し、12時間抽出する。加熱は、冷却器からの滴下数が1分間当たり130滴以上となるように調節する。
続いて、抽出残分の入った円筒濾紙を取り出して真空乾燥器に入れ、80℃,100mmHg以下の真空度で5時間乾燥する。乾燥後、恒温恒湿中に2時間放置した後、精秤し、(P/Po)×100によりアイソタクチック指数を算出する。ただし、Poは抽出前の試料質量(g)、Pは抽出後の試料質量(g)である。
アイソタクチック指数を90%以下にすることで、ポリプロピレン結晶起因によるシート剛性を抑制することができる。アイソタクチック指数を下げる方法としては、例えば、非晶質ポリプロピレン成分(例えば、シンジオタクチックポリプロピレン,アダクチックポリプロピレン等)を一部に使う方法や、エチレンやα-オレフィン等のオレフィンモノマを1種類以上ランダム共重合させる方法や、各種ゴム成分(例えば、エチレン-プロピレンゴム(EPR),エチレンープロピレンージエンゴム(EPDM),スチレン-ブタジエンゴム(SBR),アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR),ブタジエンゴム(BR),イソプレンゴム(IR)等の成分)を添加する方法等が挙げられる。
また、ポリプロピレン樹脂(a)とポリプロピレン樹脂(b)との混合樹脂の溶融張力は、100mN以上500mN以下の範囲内にあると好ましく、300mN以上400mN以下の範囲内にあるとより好ましい。500mNを超えると、溶融粘度が高くなり過ぎて、安定して成膜することが難しくなってしまう。100mN未満であると、長鎖分岐成分が不十分になり易く、所望の性能を得難くなってしまう。なお、上記溶融張力は、2.0mm径のノズルキャピラリレオメータを用いて、230℃の温度において、60mm/分で押し出して、2mm/分で引き取るときの張力である。
また、ポリプロピレン樹脂(a)とポリプロピレン樹脂(b)との混合物の、日本工業規格「JIS K6760」で規定されている、230℃におけるメルトフローレートが5g/10min以上50g/10min以下の範囲内であると、分子量をある一定値以上で、かつ安定的な製膜状態を保持することができるので好ましい。より好ましくは、10g/10min以上30g/10min以下の範囲内であり、更に好ましくは、10g/10min以上25g/10min以下の範囲内である。
メルトフローレートが50g/10minを超えると、Tダイによる溶融押し出し時に、Tダイから溶融押し出しされた樹脂が、中央に集まろうとする効果(ネックイン)が大きくなり、Tダイから溶融押し出しされた樹脂の端部厚さが増大してしまう。端部の厚さ増大は冷却効率の低下と幅方向の厚さ安定性に影響を与えるため、安定した製膜がし辛くなってしまう。他方、5g/10min未満であると、溶融樹脂のドローレゾナンスが悪くなり、Tダイから出た直後の溶融樹脂の速度(初速)と冷却ロールに触れた直後の樹脂の速度とのギャップに溶融樹脂が対応できなくなってしまい、安定した製膜がし辛くなってしまう。
そして、本実施形態において、第二樹脂層16は、第二接着剤層15側(図1中、下側)に設けられて、透明マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を含有する基底樹脂層16aと、基底樹脂層16a上に設けられて、基底樹脂層16aと異なる透明ポリプロピレン樹脂を含有する包囲樹脂層16bとを有している。
基底樹脂層16aは、厚さが、例えば、10μm以上であると好ましく(より好ましくは50μm以上)、第二樹脂層16の全体の厚さの20%以下であると好ましい(より好ましくは10%以下)。基底樹脂層16aの厚さが10μm未満であると、密着安定性が低下してしまい、好ましくない。基底樹脂層16aの厚さが第二樹脂層16の全体の厚さの20%を超えると、床用化粧シート10の全体の表面強度が低下してしまい、好ましくない。つまり、基底樹脂層16aは、厚さが10μm以上であると同時に、第二樹脂層16の全体の厚さの20%以下であると、高い密着安定性を発現しつつ、床用化粧シート10の全体の表面強度を高めて耐傷性を向上させることができる。
基底樹脂層16aは、透明マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂の含有率(質量%)が、包囲樹脂層16bの透明ポリプロピレン樹脂の含有率(質量%)よりも大きくすることが可能である。具体的には、基底樹脂層16aは、透明マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂の含有率(質量%)を80質量%以上とすることが可能である。このような基底樹脂層16aであっても、高い密着安定性を発現しつつ、床用化粧シート10の全体の表面強度を高めて耐傷性を向上させることができる。
基底樹脂層16a及び包囲樹脂層16bを有する第二樹脂層16においては、基底樹脂層16aが透明マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を含有していることから、層間の接着性を向上させることができると共に、包囲樹脂層16bが透明ポリプロピレン樹脂を含有していることから、脆化を低減することができる。
なお、基底樹脂層16a及び包囲樹脂層16bの2層を有する第二樹脂層16は、2軸押し出し機を使用して、基底樹脂層16aと包囲樹脂層16bとの2層を同時に押し出して貼り合わせることにより形成する方法であると容易に作製できて好ましい。
また、第二樹脂層16は、単層の外膜を具備したベシクルにナノサイズの造核剤を内包する造核剤ベシクルが添加されたポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹脂から形成されたものであると好ましい。
《造核剤ベシクル》
造核剤ベシクルは、単層の外膜を具備するベシクルにナノサイズの造核剤が内包されたものであり、ポリプロピレン樹脂(熱可塑性樹脂)に添加されて使用される。第二樹脂層16は、造核剤を含有することにより、結晶化度を向上させることができ、床用化粧シート10の耐傷性,耐衝撃性,耐キャスタ性等を向上させることができる。なお、造核剤は、その一部をベシクルの外膜から露出させた状態でベシクルに内包されていても問題はない。
ナノサイズの造核剤は、平均粒径が可視光の波長領域の1/2以下であると好ましい。具体的には、可視光の波長領域が400nm以上750nm以下の範囲内であるので、平均粒径が375nm以下であると好ましい。
ナノサイズの造核剤は、粒径が極めて小さいことから、単位体積当たりに存在する数と表面積とが粒子直径の三乗に反比例して増加するので、その粒子間の距離を小さくして粒子を近接することができる。
そのため、ポリプロピレン樹脂に添加された一つの造核剤の粒子の表面から結晶成長を生じたときに、成長している結晶の端部が、この造核剤の粒子に隣り合う他の造核剤の粒子の表面から成長している結晶の端部とすぐに接触して、互いに結晶の端部の成長を阻害し、各結晶の成長がすぐに止まるので、結晶性ポリプロピレン樹脂の結晶部における、球晶の平均粒径を小さく(例えば1μm以下)することができる。
その結果、高結晶化して硬度を高めることができると共に、曲げ加工時に生じる球晶間の応力集中を効率的に分散することができ、曲げ加工時の割れや白化を抑制したポリプロピレンフィルムとすることができる。
なお、造核剤を単純添加すると、ポリプロピレン樹脂中の造核剤が二次凝集して、造核剤の粒径が大きくなり、造核剤をベシクルにして添加した場合よりも、造核剤の添加量に対する結晶核の数が大幅に少なくなってしまい、ポリプロピレン樹脂の結晶部における球晶の平均粒径が大きくなり易くなってしまう。その結果、曲げ加工時の割れや白化を十分に抑制することが難しくなり、結晶化度を高めることによる弾性率向上と加工性との両立が困難となってしまう。
造核剤は、樹脂が結晶化する際に結晶化の起点となる物質であれば特に限定されるものではない。造核剤としては、例えば、リン酸エステル金属塩,安息香酸金属塩,ピメリン酸金属塩,ロジン金属塩,ベンジリデンソルビトール,キナクリドン,シアニンブルー及びタルク等を挙げることができる。
特に、ナノ化処理の効果を最大限に得るべく、非溶融型で良好な透明性を期待できる、リン酸エステル金属塩,安息香酸金属塩,ピメリン酸金属塩,ロジン金属塩等であると好ましいが、ナノ化処理によって材料自体が透明化できる場合には、有色のキナクリドン,シアニンブルー,タルク等を適用することも可能である。また、非溶融型の造核剤に対しては、溶融型のベンジリデンソルビトール等を混合することにより、適用することができる。
造核剤ベシクルは、ポリプロピレン樹脂等の樹脂材料100質量部に対して造核剤添加量に換算して0.05質量部以上0.5質量部以下の範囲内で添加されていると好ましく、0.1質量部以上0.3質量部以下の範囲内で添加されているとより好ましい。造核剤ベシクルの添加量が0.05質量部未満であると、結晶化度を十分に得ることが難しくなってしまい、弾性率(硬度)を十分に得ることが難しくなってしまう。他方、造核剤ベシクルの添加量が0.5質量部を超えると、結晶核が過多となって球晶成長が逆に阻害され、結果的に結晶化度を十分に得ることが難しくなってしまい、弾性率(硬度)を十分に得ることが難しくなってしまう。
また、基底樹脂層16a及び包囲樹脂層16bの2層を有する第二樹脂層16のときには、基底樹脂層16a及び包囲樹脂層16bのうちの少なくとも一方に造核剤ベシクルを含有させる。このとき、基底樹脂層16aは、透明マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂等の樹脂材料100質量部に対して造核剤添加量に換算して0.05質量部以上0.5質量部以下の範囲内で造核剤ベシクルが添加されていると好ましく、0.1質量部以上0.3質量部以下の範囲内で造核剤ベシクルが添加されているとより好ましい。他方、包囲樹脂層16bは、透明ポリプロピレン樹脂等の樹脂材料100質量部に対して造核剤添加量に換算して0.05質量部以上0.5質量部以下の範囲内で造核剤ベシクルが添加されていると好ましく、0.1質量部以上0.3質量部以下の範囲内で造核剤ベシクルが添加されているとより好ましい。
造核剤をナノ化する手法としては、例えば、造核剤に対して主に機械的な粉砕を行ってナノサイズの粒子を得る固相法や、造核剤を溶解させた溶液中でナノサイズの粒子の合成や結晶化を行う液相法や、造核剤を気化させたガスや蒸気からナノサイズの粒子の合成や結晶化を行う気相法等を適宜用いることができる。
固相法としては、例えば、ボールミル,ビーズミル,ロッドミル,コロイドミル,コニカルミル,ディスクミル,ハンマミル,ジェットミル等を挙げることができる。液相法としては、例えば、晶析法,共沈法,ゾルゲル法,液相還元法,水熱合成法等を挙げることができる。気相法としては、例えば、電気炉法,化学炎法,レーザ法,熱プラズマ法等を挙げることができる。
また、造核剤ベシクルは、例えば、Bangham法,エクストルージョン法,水和法,界面活性剤透析法,逆相蒸発法,凍結融解法,超臨界逆相蒸発法等により、調製することができる。特に、造核剤をナノ化する手法としては、超臨界逆相蒸発法であると好ましい。
超臨界逆相蒸発法とは、超臨界状態又は臨界点以上の温度条件下又は圧力条件下の二酸化炭素を用いて対象物質を内包したカプセル(ナノサイズのベシクル)を作製する方法である。超臨界状態の二酸化炭素とは、臨界温度(30.98℃)及び臨界圧力(7.3773±0.0030MPa)以上の超臨界状態にある二酸化炭素を意味し、臨界点以上の温度条件下又は圧力条件下の二酸化炭素とは、温度だけ又は圧力だけが臨界条件を超えた条件下の二酸化炭素を意味する。
具体的には、超臨界二酸化炭素と、外膜を形成する物質と、内包物質となる造核剤とを混合した流体中に水相を注入して攪拌することにより、超臨界二酸化炭素と水相とのエマルジョンを生成させる。そして、減圧すると、二酸化炭素が膨張して蒸発し転相することにより、造核剤の粒子の表面を単層の外膜で覆ったナノベシクル(ナノカプセル)が得られる。
このような超臨界逆相蒸発法を利用することにより、造核剤の粒子を単層の外膜で覆ったカプセルとすることが容易にできるので、造核剤の粒子の表面を多重層の外膜で覆ってしまう従来のカプセル化方法と異なり、より小径なカプセルとすることができる。
造核剤ベシクルを構成する外膜は、単層の膜から構成される。ベシクルの外膜を形成する物質としては、例えば、ノニオン系界面活性剤や、これとコレステロール類もしくはトリアシルグリセロールとの混合物等の分散剤や、リン脂質等を挙げることができる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリグリセリンエーテル,ジアルキルグリセリン,ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油,ポリオキシエチレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル,ソルビタン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマ,ポリブタジエン-ポリオキシエチレン共重合体,ポリブタジエン-ポリ2-ビニルピリジン,ポリスチレン-ポリアクリル酸共重合体,ポリエチレンオキシド-ポリエチルエチレン共重合体,ポリオキシエチレン-ポリカプロラクタム共重合体等の1種又は2種以上を適用することができる。
コレステロール類としては、例えば、コレステロール,α-コレスタノール,β-コレスタノール,コレスタン,デスモステロール(5,24-コレスタジエン-3β-オール),コール酸ナトリウム又はコレカルシフェロール等を適用することができる。
造核剤ベシクルを構成する外膜は、リン脂質等の生体脂質を含む物質であると好ましい。リン脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン,ホスファチジルエタノールアミン,ホスファチジルセリン,ホスファチジン酸,ホスファチジルグリセロール,ホスファチジルイノシトール,カルジオピン,黄卵レシチン,水添黄卵レシチン,大豆レシチン,水添大豆レシチン等のグリセロリン脂質、スフィンゴミエリン,セラミドホスホリルエタノールアミン,セラミドホスホリルグリセロール等のスフィンゴリン脂質等を挙げることができる。
なお、本実施形態では、外膜がリン脂質のような生体脂質を含む物質から構成される造核剤ベシクルを、「造核剤リポソーム」という。また、造核剤リポソームの外膜は、リン脂質と分散剤との混合物から形成することも可能である。本実施形態に係る床用化粧シート10においては、造核剤ベシクルを、リン脂質を含む外膜を具備したラジカル捕捉剤リポソームとすることが好ましく、外膜をリン脂質で構成することによって、第二樹脂層16の樹脂成分との相溶性を良好なものとすることができる。
《他の添加剤》
さらに、第二樹脂層16は、包囲樹脂層16bが紫外線吸収剤,光安定剤,熱安定剤,難燃剤,ブロッキング防止剤等を含有していると好ましい。
紫外線吸収剤は、所望の耐候性に応じて添加量が適宜選定されるものであり、例えば、樹脂固形分に対して0.1質量%以上50質量%以下の範囲内の添加量であると好ましく、特に1質量%以上30質量%以下の範囲内の添加量であるとさらに好ましい。紫外線吸収剤は、水酸基を有していると、イソシアネート添加に伴う架橋による樹脂成分との結合を生じ易くなるため、特に好適である。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系,トリアジン系,ベンゾフェノン系等を適用することができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール,2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール,2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール,2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール,2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール,2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール,2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール,2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等や、これらの混合物,変性物,重合物,誘導体等を適用することができる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール,2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン,2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン,2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-イソ-オクチルオキシフェニル)-s-トリアジン等や、これらの混合物,変性物,重合物,誘導体等を適用することができる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、オクタベンゾンや、その変性物,重合物,誘導体等を適用することができる。
光安定剤としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドリキシフェニル]メチル]ブチルマロネート,ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート,メチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ポペリジニル)セバケート,デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステル等や、これらの混合物,変性物,重合物,誘導体等を適用することができる。
熱安定剤としては、例えば、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3、5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)]-プロピオネート,2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン,オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート,1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン,1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌル酸等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール),2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト等に代表される燐系酸化防止剤等や、これらの混合物,つまり、2種以上を組み合わせたもの等を適用することができる。
難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム,水酸化マグネシウム,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム等の無機系化合物や、燐酸エステル系の難燃剤等を適用することができる。
ブロッキング防止剤としては、例えば、珪酸アルミニウム,酸化珪素,ハイドロタルサイト,炭酸カルシウム等の無機系ブロッキング防止剤や、脂肪酸アミド等の有機系ブロッキング防止剤等を適用することができる。
〈保護層17〉
第二樹脂層16の一方面(図1中、上方面)上には、光透過性を有する無色透明な保護層17が設けられている。保護層17は、床用化粧シート10において、最表面にあって、直接の外力、例えば、物が衝突したり、移動の際に擦ったりというような外力から保護するものである。つまり、保護層17は、床用化粧シート10において、表面物性を向上させるものであり、耐傷性,耐汚染性,滑り性等を表面に付与すると共に、表面の艶や触感等に影響を与えるものである。
保護層17は、紫外線(UV)硬化型樹脂等の電離放射線硬化型樹脂を含むものである。具体的には、保護層17は、例えば、熱硬化型樹脂と紫外線硬化型樹脂との混合物(ブレンド樹脂)等であると好ましい。このような熱硬化型樹脂と紫外線硬化型樹脂とを混合した保護層17は、硬度が高い樹脂を含むため、表面を覆うことによって、耐傷性を向上することができる。なお、溶剤には、酢酸エチル,酢酸nブチル等を用いることができる。
熱硬化型樹脂としては、例えば、耐傷性,耐衝撃性,耐キャスタ性等を考慮すると、ウレタン結合を有するポリウレタン系樹脂等を適用すると好ましい。ポリウレタン系樹脂としては、例えば、ポリオールを主体とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とする2液硬化型ウレタン樹脂等を挙げることができる。
ポリオールとしては、分子中に2つ以上の水酸基を有するものであって、例えば、ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコール,アクリルポリオール,ポリエステルポリオール,ポリエーテルポリオール,ポリカーボネートポリオール,ポリウレタンポリオール等を挙げることができる。
イソシアネートとしては、分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート等を適用することができる。多価イソシアネートとしては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート,キシレンジイソシアネート,4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族系イソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート,イソホロンジイソシアネート,水素添加トリレンジイソシアネート,水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族系(又は脂環式)イソシアネート、これらの付加体又は多量体(例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネートの3量体(トリマ))等を挙げることができる。特に、脂肪族系(又は脂環式)イソシアネート(例えば、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート等)は、耐候性,耐熱黄変性等に対しても良好であるため、非常に好ましい。
紫外線硬化型樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂,シリコーン系樹脂,ポリエステル系樹脂,ウレタン系樹脂,アミド系樹脂,エポキシ系樹脂等を挙げることができる。
保護層17は、単層の外膜を具備するベシクルにナノサイズの造核剤を内包させた造核剤ベシクルが樹脂材料に添加されて形成されたものである。造核剤ベシクルは、第二樹脂層16に適用するものと同じであって、樹脂材料100質量部に対して造核剤添加量に換算して0.05質量部以上0.5質量部以下の範囲内で添加されていると好ましく、0.1質量部以上0.3質量部以下の範囲内で添加されているとより好ましい。
造核剤ベシクルの添加量が0.05質量部未満であると、結晶化度を十分に得ることが難しくなってしまい、弾性率(硬度)を十分に得ることが難しくなってしまうおそれがある。他方、造核剤ベシクルの添加量が0.5質量部を超えると、結晶核が過多となって球晶成長が逆に阻害され、結果的に結晶化度を十分に得ることが難しくなってしまい、弾性率(硬度)を十分に得ることが難しくなってしまう。
〈プライマ層18〉
基材シート11の他方面(図1中、下方面)上に設けられるプライマ層18としては、例えば、ポリエステル系樹脂,ポリウレタン系樹脂,これらの混合物等を適用することができる。特に、ポリウレタン系樹脂として、ポリオールとイソシアネートとの2液硬化型を適用すると、基材シート11との密着性を向上させることができると共に、プライマ層18自体の凝集力を向上させることができるので、非常に好ましい。
ポリオールとしては、例えば、アクリルポリオール,ポリエステルポリオール等を挙げることができ、反応性の早さや、耐熱性の観点から、芳香族系であると特に好ましい。イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート,キシレンジイソシアネート,4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族系イソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート,イソホロンジイソシアネート等の脂肪族系イソシアネート等を挙げることができる。
プライマ層18は、厚さが、1μm以上10μm以下であると好ましい。プライマ層18は、厚さが1μm未満であると、接着剤の溶剤種によっては溶解して消失し、密着性を向上させることができなくなるおそれがあるため、好ましくない。他方、厚さが10μmを超えると、高コスト化してしまうため、好ましくない。
〈床用化粧シート10の製造方法〉
上述したような床用化粧シート10の製造方法の主な実施形態を次に説明する。
まず、基材シート11の一方面側(図1中、上面側)に絵柄模様を印刷法によって印刷することにより絵柄模様層12を形成する。次に、絵柄模様層12上にヒートシール剤を塗布して第一接着剤層13を形成した後、コロナ処理を予め施したアクリル系樹脂やオレフィン系樹脂のフィルムを第一接着剤層13上に設けて熱ラミネートすることにより、第一樹脂層14を形成する。
続いて、第一樹脂層14上にウレタン系樹脂の接着剤を塗布して温風乾燥して第二接着剤層15を形成する。そして、造核剤ベシクルを添加した透明マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂と、造核剤ベシクルを添加した透明ポリプロピレン樹脂とを多軸エクストルーダからTダイによりそれぞれ溶融押出しして基底樹脂層16aと包囲樹脂層16bとを第二接着剤層15上に積層することにより、第二樹脂層16を形成する。
これと同時に、基材シート11,絵柄模様層12,第一接着剤層13,第一樹脂層14,第二接着剤層15,第二樹脂層16をエンボス版ロールとゴムロールとの間に挟んで走行移動させることにより、ラミネート加工しながらエンボス加工を施す。そして、エンボス10aを形成された第二樹脂層16に対して表面処理を施した後、造核剤ベシクルを添加した紫外線硬化型樹脂をグラビアコート法等で第二樹脂層16上に塗布して硬化させることにより、保護層17を形成する。
更に、基材シート11の他方面に対して表面処理を施した後、プライマ塗工液をグラビアコート法等で基材シート11の他方面上に塗布することにより、プライマ層18を形成する。これにより、床用化粧シート10を得ることができる。
〈床用化粧シート10の効果〉
このような本実施形態に係る床用化粧シート10によれば、基材シート11が厚さ50μm以上150μm以下であり、第一樹脂層14が厚さ70μm以上250μm以下であり、第二樹脂層16が厚さ70μm以上250μm以下であることから、土足用床材として必要な耐傷性,耐摩耗性,耐キャスタ性,耐衝撃性及び加工性をそれぞれ十分に発現することができると共に、木質系基材と連続的にラミネートして接合するときにライン上でシートカットすることが容易にでき、加工性を向上させることができるので、ロールtoロールで容易に加工することができ、生産性を向上させることができる。
また、保護層17が、紫外線硬化型樹脂を含有すると共に、造核剤ベシクルを添加されて形成されたものであるだけでなく、第二樹脂層16が、造核剤ベシクルを添加された透明ポリプロピレン樹脂から形成されたものであることから、土足用床材として必要な耐傷性,耐摩耗性,耐キャスタ性,耐衝撃性及び加工性をより向上させることができる。
また、第一接着剤層13がヒートシール剤であることから、第一樹脂層14を熱ラミネートして接着することができるので、例えば、ドライラミネート等のような養生期間を不要として、製造工程の簡便化を図ることができると共に、層間の密着性を向上させることができる。
また、第二樹脂層16が、透明マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を含有する基底樹脂層16aと、透明マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂と異なる透明ポリプロピレン樹脂を含有する包囲樹脂層16bとを有していることから、層間の接着性を向上させることができると共に、脆化を低減することができる。
本発明に係る床用化粧シートの実施例を具体的に説明するが、本発明は具体的に説明する以下の実施例のみに限定されるものではない。
[試験体及び比較体の作製]
〈実施例1〉
厚さ55μmのポリオレフィン系無機充填シートからなる基材シート11の一方面上に木目模様をグラビア印刷法によって印刷して絵柄模様層12を形成した後、アクリル樹脂-ポリエステル樹脂-塩化酢酸ビニル系樹脂からなるヒートシール剤を絵柄模様層12の上に塗布して第一接着剤層13を形成し、コロナ処理を予め施した厚さ100μmのアクリル樹脂系フィルムを第一接着剤層13上に設けてフィルム表面温度120℃で熱ラミネートすることにより、第一樹脂層14を形成した。
次に、第一樹脂層14上にウレタン系樹脂の接着剤を塗布して温風乾燥することにより第二接着剤層15を形成した。そして、透明マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂100質量部に造核剤ベシクルを0.05質量部添加した基底樹脂層16a用の材料と、透明ポリプロピレン樹脂100質量部にフェノール系酸化防止剤を0.2質量部,ヒンダードアミン系光安定剤を0.3質量部,ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.5質量部,造核剤ベシクルを0.05質量部添加した包囲樹脂層16b用の材料とを、多軸エクストルーダからTダイによりそれぞれ溶融押し出しすることにより、基底樹脂層16aと包囲樹脂層16bとを第二接着剤層15上に積層して第二樹脂層16を形成した。
これと同時に、基材シート11,絵柄模様層12,第一接着剤層13,第一樹脂層14,第二接着剤層15,第二樹脂層16を導管模様のエンボス版ロールとゴムロールとの間に挟んで走行移動させることにより、ラミネート加工しながらエンボス加工を施した。このとき、第二樹脂層16の厚さを100μm(基底樹脂層16a:15μm、包囲樹脂層16b:85μm)となるように調整した。
続いて、第二樹脂層16のエンボス加工面に表面処理を施した後、ウレタン系樹脂100質量部に硬化剤を10質量部,ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.5質量部,ヒンダードアミン系光安定剤を1質量部,造核剤ベシクルを0.05質量部添加した材料を乾燥後の塗布量が7g/mとなるようにグラビア印刷法によって第二樹脂層16上に塗布して、紫外線(UV)を照射して硬化させることにより、保護層17を形成した。
更に、基材シート11の他方面に対して表面処理を施した後、ポリオール100質量部にシリカを10質量部,イソシアネートを3質量部添加したプライマ塗工液を乾燥後の塗布量が3g/mとなるようにグラビア印刷法によって基材シート11の他方面上に塗布することにより、プライマ層18を形成した。これにより、実施例1の床用化粧シート10の試験体1Aを得た。
そして、上記床用化粧シート10のプライマ層18に2液水性エマルジョン接着剤(ジャパンコーティングレジン株式会社製「リカボンド(登録商標)」の「BA-10L(品番)」と「BA-11B(品番)」とを100対5の割合で混合したもの)を2g/mとなるように塗布して、厚さ3mmの中密度繊維板(MDF)をラミネータで貼り付けた後、12時間養生した。これにより、実施例1の床用化粧材の試験体1Bを得た。なお、後述する耐衝撃性試験については、試験体1Bにさらに厚さ12mmのラワン材を貼り付けた試験体1Cを使用した。
〈実施例2〉
基材シート11の厚さを150μm、第一樹脂層14の厚さを250μm、第二樹脂層16の厚さを250μm(基底樹脂層16a:37.5μm、包囲樹脂層16b:212.5μm)とした以外は、実施例1と同様にして作製することにより、実施例2の床用化粧シート10の試験体2A及び床用化粧材の試験体2B並びに試験体2Cを得た。
〈実施例3〉
基材シート11の厚さを50μm、第一樹脂層14の厚さを70μm、第二樹脂層16の厚さを70μm(基底樹脂層16a:12.5μm、包囲樹脂層16b:57.5μm)とした以外は、実施例1と同様にして作製することにより、実施例3の床用化粧シート10の試験体3A及び床用化粧材の試験体3B並びに試験体3Cを得た。
〈実施例4〉
第二樹脂層16中の造核剤ベシクルの添加量を0.5質量部、保護層17中の造核剤ベシクルの添加量を0.5質量部とした以外は、実施例1と同様にして作製することにより、実施例4の床用化粧シート10の試験体4A及び床用化粧材の試験体4B並びに試験体4Cを得た。
〈実施例5〉
第二樹脂層16中の造核剤ベシクルの添加量を0.5質量部、保護層17中の造核剤ベシクルの添加量を0.5質量部とした以外は、実施例2と同様にして作製することにより、実施例5の床用化粧シート10の試験体5A及び床用化粧材の試験体5B並びに試験体5Cを得た。
〈実施例6〉
第二樹脂層16中の造核剤ベシクルの添加量を0.5質量部、保護層17中の造核剤ベシクルの添加量を0.5質量部とした以外は、実施例3と同様にして作製することにより、実施例6の床用化粧シート10の試験体6A及び床用化粧材の試験体6B並びに試験体6Cを得た。
〈実施例7〉
第二樹脂層16に対する造核剤ベシクルの添加をなしとした以外は、実施例1と同様にして作製することにより、実施例7の床用化粧シート10の試験体7A及び床用化粧材の試験体7B並びに試験体7Cを得た。
〈実施例8〉
第二樹脂層16に対する造核剤ベシクルの添加をなしとした以外は、実施例2と同様にして作製することにより、実施例8の床用化粧シート10の試験体8A及び床用化粧材の試験体8B並びに試験体8Cを得た。
〈実施例9〉
第二樹脂層16に対する造核剤ベシクルの添加をなしとした以外は、実施例3と同様にして作製することにより、実施例9の床用化粧シート10の試験体9A及び床用化粧材の試験体9B並びに試験体9Cを得た。
〈実施例10〉
第二樹脂層16に対する造核剤ベシクルの添加をなしとした以外は、実施例4と同様にして作製することにより、実施例10の床用化粧シート10の試験体10A及び床用化粧材の試験体10B並びに試験体10Cを得た。
〈実施例11〉
第二樹脂層16に対する造核剤ベシクルの添加をなしとした以外は、実施例5と同様にして作製することにより、実施例11の床用化粧シート10の試験体11A及び床用化粧材の試験体11B並びに試験体11Cを得た。
〈実施例12〉
第二樹脂層16に対する造核剤ベシクルの添加をなしとした以外は、実施例6と同様にして作製することにより、実施例12の床用化粧シート10の試験体12A及び床用化粧材の試験体12B並びに試験体12Cを得た。
〈比較例1〉
第二樹脂層及び保護層に対する造核剤ベシクルの添加をそれぞれなしとした以外は、実施例1と同様にして作製することにより、比較例1の床用化粧シートの比較体1A及び床用化粧材の比較体1B並びに比較体1Cを得た。
〈比較例2〉
第一接着剤層13のヒートシール剤による熱ラミネートに代えて、熱硬化型ウレタン系接着剤を第一接着剤層に適用してドライラミネートした以外は、実施例1と同様にして作製することにより、比較例2の床用化粧シートの比較体2A及び床用化粧材の比較体2B並びに比較体2Cを得た。
Figure 2022006357000002
[試験方法]
〈耐傷性〉
試験体1B~12B,比較体1B,2Bに対して、日本工業規格(JIS)「K 5600」で規定されている鉛筆硬度試験を行い、傷の付き方を確認した。その結果を表2に示す。
ただし、表2において、「◎」は、5H以上で傷なし、「○」は、2H~4Hで傷なし、「△」は、HB~Hで傷なし、「×」は、Bより軟らかいレベルで傷あり、を示している。なお、「△」以上ならば、実用可能なレベルであるため、「合格」とした。
〈耐摩耗性〉
試験体1B~12B,比較体1B,2Bに対して、フローリングの日本農林規格(JAS)で規定されている摩耗試験機により摩耗試験を行い、絵柄模様が消失され始めるまでの回転数を確認した。なお、1000回転毎に研磨紙を新規品に交換した。その結果を表2に示す。
ただし、表2において、「◎」は、3000回転以上、「○」は、2500回転以上3000回転未満、「△」は、2000回転以上2500回転未満、「×」は、2000回転未満、を示している。なお、「△」以上ならば、実用可能なレベルであるため、「合格」とした。
〈耐キャスタ性〉
試験体1B~12B及び比較体1B,2Bの上にポリカーボネート製のダブルキャスタ(直径40mm、1輪の幅9mm、2輪間の幅18mm)を載せ、キャスタに重り(25kg)を載せて荷重(約245N)を加え、キャスタを往復移動させて(ストローク長20cm以上、速度20cm/秒、5千往復(1万回))、その後の痕について観察した。その結果を表2に示す。
ただし、表2において、「◎」は、著しい変化なし、「○」は、わずかに艶変化あり、「△」は、わずかに艶変化あると共に傷あり、「×」は、著しい艶変化あると共に傷あり、を示している。なお、「△」以上ならば、実用可能なレベルであるため、「合格」とした。
〈耐衝撃性〉
試験体1C~12C及び比較体1C,2Cに対して、日本工業規格(JIS)「K 5600」で規定されているデュポン式落球試験に準拠した試験を行った。すなわち、試験体1C~12C及び比較体1C,2C上に300mmの高さから500gの重りを落下させて、試験体1C~12C及び比較体1C,2Cに生じた凹み量を測定すると共に、表面を観察した。その結果を表2に示す。
ただし、表2において、「◎」は、凹み量が2.0mm以下で表面に割れなし、「○」は、凹み量が2.0mm以下で表面にわずかな割れあり、「△」は、凹み量が2.0mm以下で表面に割れあり、「×」は、凹み量が2.0mm以上又は表面に著しい割れあり、を示している。なお、「△」以上ならば、実用可能なレベルであるため、「合格」とした。
〈加工性〉
試験体1A~12A及び比較体1A,2Aから試験体1B~12B及び比較体1B,2Bを作製する際に適用可能な加工方法の確認を行った。その結果を表1に示す。
ただし、表2において、「◎」は、インラインでのロールラミネートが可能、「○」は、インラインでのロールラミネートが可能であるものの、加工に慎重性をやや要する、「△」は、インラインでのロールラミネートが可能であるものの、加工に慎重性をかなり要する、「×」は、ロールラミネートが不可であり、枚葉での貼り合せのみが可能、を示している。なお、「△」以上ならば、実用可能なレベルであるため、「合格」とした。
Figure 2022006357000003
[試験結果]
表2からわかるように、比較例1(造核剤ベシクル添加なし)においては、耐傷性が実用可能なレベルにまで至らなかった。また、比較例2(ドライラミネート)においては、耐傷性,耐摩耗性,耐キャスタ性,耐衝撃性及び加工性が実用可能なレベルにまで至ったものの、第一接着剤層の養生に時間を要してしまい、製造に手間がかかってしまった。これに対し、実施例1~12においては、耐傷性,耐摩耗性,耐キャスタ性,耐衝撃性及び加工性が実用可能なレベルにまで至ると同時に、第一接着剤層を養生する必要がなく、製造を簡便に実施することができた。
本発明に係る床用化粧シートは、土足用床材として必要な耐傷性,耐摩耗性,耐キャスタ性,耐衝撃性及び加工性を十分に有することができるので、建設産業等において、極めて有益に利用することができる。
10 床用化粧シート
10a エンボス
11 基材シート
12 絵柄模様層
13 第一接着剤層
14 第一樹脂層
15 第二接着剤層
16 第二樹脂層
16a 基底樹脂層
16b 包囲樹脂層
17 保護層
18 プライマ層

Claims (8)

  1. 基材シートの一方面上に、絵柄模様層,光透過性を有する第一接着剤層,光透過性を有する第一樹脂層,光透過性を有する第二接着剤層,光透過性を有する第二樹脂層,光透過性を有する保護層、がこの順に積層され、
    前記基材シートは、厚さが50μm以上150μm以下であり、
    前記第一接着剤層は、ヒートシール剤であり、
    前記第一樹脂層は、厚さが70μm以上250μm以下であり、
    前記第二樹脂層は、熱可塑性樹脂であり、厚さが70μm以上250μm以下であると共に、エンボスが形成され、
    前記保護層は、電離放射線硬化型樹脂を含有すると共に、単層の外膜を具備したベシクルにナノサイズの造核剤を内包する造核剤ベシクルが添加されて形成されたものである
    ことを特徴とする床用化粧シート。
  2. 前記保護層中の前記造核剤ベシクルの添加量は、樹脂材料100質量部に対し、前記造核剤ベシクル中の前記造核剤に換算して0.05質量部以上0.5質量部以下の範囲内である
    ことを特徴とする請求項1に記載の床用化粧シート。
  3. 前記第二樹脂層は、単層の外膜を具備したベシクルにナノサイズの造核剤を内包する造核剤ベシクルが添加された透明ポリプロピレン樹脂から形成されたものである
    ことを特徴とする請求項1に記載の床用化粧シート。
  4. 前記第二樹脂層は、
    前記第二接着剤層側に設けられて、透明マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を含有する基底樹脂層と、
    前記基底樹脂層上に設けられて、前記基底樹脂層と異なる透明ポリプロピレン樹脂を含有する包囲樹脂層と、
    を有していることを特徴とする請求項3に記載の床用化粧シート。
  5. 前記第二樹脂層中の前記造核剤ベシクルの添加量は、樹脂材料100質量部に対し、前記造核剤ベシクル中の前記造核剤に換算して0.05質量部以上0.5質量部以下の範囲内である
    ことを特徴とする請求項3に記載の床用化粧シート。
  6. 前記造核剤ベシクルは、リン脂質の前記外膜を備える造核剤リポソームである
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の床用化粧シート。
  7. 前記造核剤ベシクルは、超臨界逆相蒸発法によって前記造核剤が前記ベシクルに内包されたものである
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の床用化粧シート。
  8. 前記基材シートの他方面にプライマ層が設けられている
    ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の床用化粧シート。
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