JP2022001521A - 糸パッケージ及び糸パッケージの製造方法 - Google Patents

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知喜 関田
Tomoki Sekida
陸 澤井
Riku SAWAI
和憲 黒澤
Kazunori Kurosawa
哲也 林
Tetsuya Hayashi
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Abstract

【課題】 解舒張力のばらつきの低減に寄与する、糸パッケージに関する技術を提供することを主な課題とする。【解決手段】 ボビンと、該ボビンの軸方向に綾振りされて巻かれた糸と、を含み、前記糸が前記ボビンの軸方向に解舒される、糸パッケージであって、前記綾振りの半周期間において、前記糸が巻かれた巻き糸部Aと、前記糸が前記巻き糸部Aよりも前記糸の解舒方向側に巻かれた巻き糸部Bを、を含み、巻き糸部Bにおける前記糸の巻き取りピッチが前記巻き糸部Aにおける前記糸の巻き取りピッチよりも大きい部分を含む、糸パッケージ。【選択図】 図5

Description

本発明は、糸パッケージ及び糸パッケージの製造方法に関する。
従来、糸パッケージとして、ボビンの巻き取り部の表面に、該巻き取り部の表面の下端から上端方向に、かつ上端から下端方向にガラスヤーンが繰り返し巻き取られたヤーンパッケージであって、下端から上端方向に巻き取る際のガラスヤーンの巻き取りピッチ(a)が0.4〜0.6mmであり、かつ上端から下端方向に巻き取る際の巻き取りピッチ(b)が0.8〜1.2mmであるヤーンパッケージが知られている(例えば、特許文献1参照。)。該ヤーンパッケージによれば、ガラスクロスの製織に際し、経糸および緯糸の何れに用いても糸切れや毛羽の発生がなく、そのうえ緯糸としての飛走性が安定しており、ショートピックや毛羽などによる織欠点が発生しないヤーンパッケージおよびその製造方法を提供することができるとされている。
また、糸巻層をボビンに沿って往復形成してパーンを形成するに際して、前記糸巻層は、糸の巻密度が粗の巻層と密の巻層とを交互に重層して形成するパーンの成形方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。該成形方法によれば、巻密度が粗の糸巻層が最上層に露出する側に向けて糸を引き出すようにして、このパーンを解舒すれば、輪抜けや綾ずれ等の解舒トラブルの発生のおそれを有効に排除することができるとされている。
また、ガラス糸パッケージとして、ボビンの底部から上部及びボビンの上部から底部へのガラスヤーンの巻き取り工程を交互に繰り返すことによって作製させるガラスヤーンパッケージにおいて、少なくとも片方の巻き取り工程における巻き取りピッチ比a/R(aは巻き取りピッチ、Rは巻き直径で、両者とも単位はmm)が、5.0×10−3〜16.0×10−3であることを特徴とするガラスヤーンパッケージが知られている(例えば、特許文献3参照。)。該ヤーンパッケージによれば、巻き取りピッチ比が適切であるため、ガラスヤーンの撚糸速度やガラスクロスの製織時におけるガラスヤーンの解舒速度がアップしても、ガラスクロス製織時の作業性が低下することなく、ガラスクロスの品質の低下を防止できるとされている。
特開2004−155588号公報 特開昭64−68528号公報 特開2003−54837号公報
本発明者等が検討したところ、特許文献1〜3のような糸パッケージでは、ボビン軸方向から解舒する際の解舒張力がばらつき、これに起因して織物等布帛にしたときの品位が低下するという問題があった。
そこで、本発明は、上記問題を解決し、解舒張力のばらつきの低減に寄与する、糸パッケージに関する技術を提供することを主な課題とする。
本発明者等は、上記問題を解決すべく、巻き取りピッチに着目した。なお、本発明において、「巻き取りピッチ」とは、ボビンの巻き取り部の表面における隣接する糸同士の間隔、すなわち、糸の太さは種々あるが、糸の太さに拘らず、隣接している2本の糸の太さ(幅)の中心線間隔であり、単位はmmである。なお、巻き取りピッチは、次のような測定方法で測定することができる。すなわち、図2を参照し、糸パッケージ1において、糸2が巻かれている位置Xにマークし、そこから糸パッケージ周方向10周分糸を解舒し、位置Xからボビン軸方向に平行な箇所Yにマークする。そして、位置Xと位置Yの距離(mm)を測定し、当該距離(mm)を10(周)で除することにより、巻き取りピッチ(mm/周)を求める。
図1は、前述した特許文献1の図3を引用し、符号を付けなおした図である。例えば、特許文献1では、ヤーンパッケージを製造する方法として、次のように記載されている。すなわち、ケーキ4を撚糸機にセットし、ストランド5を引き出して、初めに該ストランド5の先端をボビン3の巻き取り部の下端に固定して複数回巻き、該ボビン3をスピンドル10にセットし、撚糸前の準備状態とする。この状態により撚糸を開始し、ストランド5に撚りをかけてヤーン2として、上端方向にヤーンを巻き取る(実線表示)際の巻き取りピッチ(a)を0.4〜0.6mmとし、上端から下端方向にヤーンを巻き取る(点線表示)際の巻き取りピッチ(b)を0.8〜1.2mmの巻き取りピッチでボビンの巻き取り部の表面から巻き始めて最内層部分とし、その後に本巻き層を形成し、所定量を巻き取ってヤーンパッケージを得る、と記載されている。
図1において、巻き取りピッチの調整手段としては、リング9の昇降速度を調整することが挙げられる。すなわち、図1において、リング9の昇降により綾振りし、ヤーンパッケージ1のテーパー部やストレート部をビルディングしていくところ、当該リング9の昇降速度を速めれば巻き取りピッチを大きくすることができ、当該リング9の昇降速度を遅くすれば巻き取りピッチを小さくすることができる。
特許文献1の実施例1では、上端方向にヤーンを巻き取る際の巻き取りピッチ(a)を0.49mm、下端方向にヤーンを巻き取る際の巻き取りピッチ(b)を0.98mmとしている。すなわち、綾振りの半周期間(ここで、図1においては、綾振りの1周期は、リング9が上昇を始めたときから、リング9の上昇が下降に転じ、リング9の下降が終わり、再び上昇に転じるまでをいい、半周期とは、リング9が昇降を始めたときからリング9の上昇が下降に転じるまで、又は、リング9が下降を始めたときからリング9の下降が終わり、上昇に転じるまでをいう。)においては、巻き取りピッチは一定である。換言すれば、上端方向にヤーンを巻き取る際、及び下端方向にヤーンを巻き取る際の、リング9の昇降速度は、それぞれ一定である。
図3は、糸パッケージから糸をボビン軸方向に解舒する様子を示す側面模式図である。図3において、糸パッケージを用いて製織等を行う際、糸2は、ボビン軸方向(図3における矢印方向)に解舒される。この際、糸2は、所謂バルーニングをしながら解舒される。通常、バルーニングを抑えるため、糸道には糸ガイドが配置される。ここで、バルーニングは、解舒される糸の張力に影響する。例えば、図3に示すように、糸2がボビン3の下端から解舒される場合は、糸2がボビン3の上端から解舒される場合に比して、解舒される位置から糸ガイドまでの距離が大きくなってバルーニングが大きくなり、糸2の解舒張力も大きくなる。
本発明者等は、特許文献1のヤーンパッケージの解舒張力のばらつきが、ヤーンパッケージの上部(解舒方向側の部分)における糸解舒の張力と、下部(解舒方向とは反対側の部分)における糸解舒の張力との差から生じていることを突き止めた。ここで、本発明者等は、鋭意検討し、糸をボビン軸方向に解舒する場合に、糸パッケージを、綾振りの半周期間において、前記糸が巻かれた巻き糸部Aと、前記糸が前記巻き糸部Aよりも前記糸の解舒方向側に巻かれた巻き糸部Bを、を含み、巻き糸部Bにおける前記糸の巻き取りピッチが前記巻き糸部Aにおける前記糸の巻き取りピッチよりも大きい部分を含むようにすることにより、解舒張力のばらつきが低減できることを見出した。具体的には、上記巻き糸部Bは、バルーニングが巻き糸部Aよりも小さくなる部分であり、巻き糸部Bの巻き取りピッチを、例えば綾振りの半周期間においてリングの昇降速度を変化させ、巻き糸部Aの巻き取りピッチよりも大きくすることにより、綾振りの半周期間において巻き糸部Bに巻かれる糸長さが相対的に短くなり、巻き糸部Aに巻かれる糸長さが相対的に長くなることによって、解舒張力の波形が安定し、解舒張力のばらつきの低減に寄与できることを突き止めた。本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1.ボビンと、該ボビンの軸方向に綾振りされて巻かれた糸と、を含み、前記糸が前記ボビンの軸方向に解舒される、糸パッケージであって、前記綾振りの半周期間において、前記糸が巻かれた巻き糸部Aと、前記糸が前記巻き糸部Aよりも前記糸の解舒方向側に巻かれた巻き糸部Bを、を含み、巻き糸部Bにおける前記糸の巻き取りピッチが前記巻き糸部Aにおける前記糸の巻き取りピッチよりも大きい部分を含む、糸パッケージ。
項2.前記巻き糸部Aから巻き糸部Bに向かうにつれて前記糸の巻き取りピッチが漸増している、項1に記載の糸パッケージ。
項3.前記巻き糸部Aにおける前記糸の巻き取りピッチと前記巻き糸部Bにおける前記糸の巻き取りピッチの比(巻き糸部Bにおける巻き取りピッチ/巻き糸部Aにおける巻き取りピッチ)が1.5〜10である、項1又は2に記載の糸パッケージ。
項4.前記巻き糸部Aにおける巻き径が、前記巻き糸部Bにおける巻き径よりも大きい、項1〜3のいずれか1項に記載の糸パッケージ。
項5.糸パッケージにおける糸が巻かれた巻き糸部において、前記糸の解舒方向に対して逆円錐台形状となる部分を含まない、項1〜4のいずれか1項に記載の糸パッケージ。
項6.前記糸がガラス糸である、項1〜5のいずれか1項に記載の糸パッケージ。
項7.糸がボビンの軸方向に解舒される糸パッケージの製造方法であって、綾振り手段により前記ボビンに前記糸を巻く工程を備え、前記綾振り手段が、前記ボビンの軸方向に往復移動することで綾振りをおこない、前記綾振りの半周期間において、前記糸が巻かれた巻き糸部Aと、前記糸が前記巻き糸部Aよりも前記糸の解舒方向側に巻かれた巻き糸部Bを、を形成し、前記巻き糸部Bにおける前記綾振り手段の移動速度が前記巻き糸部Aにおける前記綾振り手段の移動速度より速い、糸パッケージの製造方法。
本発明の糸パッケージによれば、ボビンと、該ボビンの軸方向に綾振りされて巻かれた糸と、を含み、前記糸が前記ボビンの軸方向に解舒される、糸パッケージであって、前記綾振りの半周期間において、前記糸が巻かれた巻き糸部Aと、前記糸が前記巻き糸部Aよりも前記糸の解舒方向側に巻かれた巻き糸部Bを、を含み、巻き糸部Bにおける前記糸の巻き取りピッチが前記巻き糸部Aにおける前記糸の巻き取りピッチよりも大きい部分を含むことから、解舒張力のばらつきの低減に寄与することができる。
特許文献1の図3を引用し、符号を付けなおした図であり、糸パッケージの製造方法の一例を示す模式図である。 巻き取りピッチの測定方法について説明する側面模式図である。 糸パッケージから糸をボビン軸方向に解舒する様子を示す側面模式図である。 本発明の糸パッケージに含まれるボビンの一例を示す側面模式図である。 図5は、本発明の糸パッケージの、綾振りの半周期間における巻き取りピッチについて説明する側面模式図であり、図5(1)は従来技術の糸パッケージの、綾振りの半周期間における巻き取りピッチを説明する側面模式図、図5(2)は本発明の糸パッケージの、綾振りの半周期間における巻き取りピッチを説明する側面模式図である。 綾振りの方式の一例を説明する図である。 本発明の糸パッケージの巻き形状の一例を示す側面模式図である。 解舒張力のばらつきの測定について説明する模式図である。 実施例1の外層における解舒張力のばらつきの測定グラフである。 実施例3の外層における解舒張力のばらつきの測定グラフである。 比較例1の外層における解舒張力のばらつきの測定グラフである。 実施例1の中層における解舒張力のばらつきの測定グラフである。 実施例3の中層における解舒張力のばらつきの測定グラフである。 比較例1の中層における解舒張力のばらつきの測定グラフである。 実施例1の内層における解舒張力のばらつきの測定グラフである。 実施例3の内層における解舒張力のばらつきの測定グラフである。 比較例1の内層における解舒張力のばらつきの測定グラフである。
本発明の糸パッケージは、ボビンと、該ボビンの軸方向に綾振りされて巻かれた糸と、を含み、前記糸が前記ボビンの軸方向に解舒される、糸パッケージであって、前記綾振りの半周期間において、前記糸が巻かれた巻き糸部Aと、前記糸が前記巻き糸部Aよりも前記糸の解舒方向側に巻かれた巻き糸部Bを、を含み、巻き糸部Bにおける前記糸の巻き取りピッチが前記巻き糸部Aにおける前記糸の巻き取りピッチよりも大きい部分を含む。以下、本発明について詳細に説明する。
<ボビン>
本発明の糸パッケージは、糸を巻くボビンを含む。図4は、本発明の糸パッケージに含まれるボビンの一例を示す側面模式図である。図4において、ボビン3は、円筒状であり、内部に円柱状の空洞部を有する。図4において、矢印の方向がボビン3の軸方向である。図4に示すボビン3は、フランジ部31と、フランジ部31から糸の解舒方向へ伸びる糸巻き用芯部32と、該糸巻き用芯部から糸の解舒方向に配置される頂部33と、からなる。図4に示すボビン3では、フランジ部31から頂部33に向かう方向(紙面の上方向)に糸が解舒される。また、例えば、図1に示すリング撚糸機により糸パッケージを製造する際、該空洞部をリング撚糸機のスピンドルに挿入し、ボビン軸方向にリング撚糸機のリングの昇降(トラバース)を繰り返し、ボビン軸方向に綾振りを繰り返して糸パッケージを製造することができる。
図4に示すように、本発明の糸パッケージに含まれるボビン3は、糸巻き用芯部32に環状凸部321を設けることができる。また、糸巻き用芯部32は、各種表面加工を施すことができ、例えば、梨地加工、鏡面加工等を施すことができる。また、図4に示すように、本発明の糸パッケージに含まれるボビン3の頂部33は、肩部332と、つかみ部331を含むものとすることができる。そして、当該肩部332は、面取りされた形状とすることができる。
ボビンの素材としては、例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等の樹脂、紙等を挙げることができる。
ボビン3の寸法としては特に制限されないが、例えば、フランジ部31の高さとしては10〜20mm、フランジ部31の外径としては120〜180mm、フランジ部31の内径としては 50〜80mmが挙げられる。また、例えば、糸巻き用芯部32の高さとしては200〜400mm、糸巻き用芯部32の外径としては60〜90mm、糸巻き用芯部32の内径としては50〜80mmが挙げられる。また、例えば、頂部33の高さとしては50〜80mm等が挙げられる。
<糸>
本発明の糸パッケージ1は、ボビン3の軸方向に綾振りされて巻かれた糸を含む。
本発明の糸パッケージ1に含まれる糸2としては、特に制限されないが、本発明の効果がより一層発揮しやすくなるという観点から、伸び率が5%以下の糸が好ましく、とりわけガラス糸が好ましい。伸び率が低い糸は、伸び率が高い糸に比して、一旦解舒張力のばらつきにより生じた織物等布帛の外観不良等の欠点を修正しにくい。従って、伸度の低い糸は、整経や緯入れ等における解舒張力のばらつきをより低減する必要があり、本発明の糸パッケージとする意義がより一層高まる。なお、伸び率は、JIS R 3420:2013に準じて測定されるものである。
本発明の糸パッケージ1に含まれる糸2の形態としては特に制限されないが、複数の単繊維により構成されるマルチフィラメントとすることができる。ガラス糸の場合は、ガラスヤーンとすることができる。また、上記糸2は、撚り糸とすることができ、撚り数としては0.1〜1.5回/25mmが挙げられる。撚り数は、JIS R 3420:2013により測定されるものである。
本発明の糸パッケージ1に含まれる糸2の番手としては限定されないが、例えば、0.5〜100texが挙げられ、0.5〜5texが好ましく挙げられる。また、本発明の糸パッケージ1に含まれる糸2の長さとしては限定されないが、例えば、1〜1000kmが挙げられ、1〜500kmが挙げられる。
<綾振りの半周期間における巻き取りピッチ>
本発明の糸パッケージ1は、綾振りの半周期間において、糸2が巻かれた巻き糸部Aと、糸が巻き糸部Aよりも糸の解舒方向側に巻かれた巻き糸部Bを、を含み、巻き糸部Bにおける糸の巻き取りピッチが巻き糸部Aにおける糸の巻き取りピッチよりも大きい部分を含む。
図5は、本発明の糸パッケージ1の、綾振りの半周期間における巻き取りピッチについて説明する側面模式図であり、図5(1)は従来技術の糸パッケージ1の、綾振りの半周期間における巻き取りピッチを説明する側面模式図、図5(2)は本発明の糸パッケージ1の、綾振りの半周期間における巻き取りピッチを説明する側面模式図である。
図5(1)及び図5(2)において、それぞれ矢印の方向が糸の解舒方向であり、糸2が巻かれた巻き糸部Aと、糸2が巻き糸部Aよりも糸2の解舒方向側に巻かれた巻き糸部Bとを含む(例えば、それぞれ点線で囲った部分)。また、糸2は、それぞれ綾振りの半周期間に巻かれたものである。
図5(1)を参照し、従来技術の糸パッケージ1は、綾振りの半周期間におけるリフティング速度(トラバース速度)が一定であることから、綾振りの半周期間における、巻き糸部Bにおける糸2の巻き取りピッチと、巻き糸部Aにおける糸2の巻き取りピッチとは等しい。一方、図5(2)を参照し、本発明の糸パッケージ1は、綾振りの半周期間における、巻き糸部Bにおける糸2の巻き取りピッチが巻き糸部Aにおける糸2の巻き取りピッチよりも大きい。これにより、綾振りの半周期間において巻き糸部Bに巻かれる糸長さが相対的に短くなり、巻き糸部Aに巻かれる糸長さが相対的に長くなることによって、解舒張力の波形が安定し、解舒張力のばらつきの低減に寄与できる。
巻き糸部Aのボビン軸方向における位置としては、特に制限されないが、例えば、ボビン3に糸2が巻かれた巻き糸部全体(21)の中心位置よりも糸2の解舒方向とは反対側(図5ではフランジ31側)に位置することが挙げられ、ボビン3に糸2が巻かれた巻き糸部全体の中心位置から糸2の解舒方向とは反対側の巻き糸部端部までの距離に対して、当該端部から測定して10%〜50%の距離の範囲とすることが挙げられる。また、巻き糸部Bのボビン軸方向における位置としては、巻き糸部Aよりも糸2の解舒方向側であれば特に制限されないが、例えば、ボビン3に糸2が巻かれた巻き糸部全体の中心位置よりも糸2の解舒方向側(図5では頂部側)に位置することが挙げられ、ボビン3に糸2が巻かれた巻き糸部全体の中心位置から糸2の解舒方向側の巻き糸部端部までの距離に対して、当該端部から測定して10%〜50%の距離の範囲とすることが挙げられる。
また、巻き糸部Bにおける糸2の巻き取りピッチが巻き糸部Aにおける糸2の巻き取りピッチよりも大きい関係にある、巻き糸部Aと巻き糸部Bを含む綾振りの半周期、が存在する、糸長さ中の位置としては特に制限されない。例えば、糸パッケージ1に巻かれる糸2の全長に対し、糸2の巻き始め(糸パッケージ最内層側)から測定して5〜20%の長さの範囲であり得るし、糸2の巻き始めから測定して20〜40%の長さの範囲であり得るし、糸2の巻き始めから測定して40〜60%の長さの範囲であり得るし、糸2の巻き始めから測定して60〜80%の長さの範囲であり得るし、糸2の巻き始めから測定して80〜100%の長さの範囲であり得る。中でも、巻き糸部Bにおける糸2の巻き取りピッチが巻き糸部Aにおける糸2の巻き取りピッチよりも大きい関係にある、巻き糸部Aと巻き糸部Bを含む綾振りの半周期、が存在する、糸長さ方向の位置としては、糸パッケージ1に巻かれる糸2の全長に対し、糸2の巻き始め(糸パッケージ最内層側)から測定して5〜20%の長さの範囲に存在することが好ましく、5〜20%の長さの範囲と40〜60%又は80〜100%の長さの範囲との両方に存在することがより好ましく、5〜20%の長さの範囲と40〜60%の長さの範囲と80〜100%の長さの範囲とのいずれにおいても存在することが特に好ましく、糸パッケージ1に巻かれる糸2の全長のいずれにおいても常に存在することが一層好ましい。また、巻き糸部Bにおける糸2の巻き取りピッチが巻き糸部Aにおける糸2の巻き取りピッチよりも大きい関係にある、巻き糸部Aと巻き糸部Bを含む綾振りの半周期、が存在する、糸長さ中の位置としては、より具体的には、巻き始め(内層側)から1〜10kmの範囲内に位置することができるし、50km〜60kmの範囲内に位置することができるし、100km〜110kmの範囲内に位置することができるし、巻き終わり(外層側)から1〜10kmの範囲内に位置することができる。また、巻き糸部Bにおける糸2の巻き取りピッチが巻き糸部Aにおける糸2の巻き取りピッチよりも大きい関係にある、巻き糸部Aと巻き糸部Bを含む綾振りの半周期、の方向としては、解舒方向側の当該綾振りの端部(綾振りの解舒方向側のターン地点)から他方側の端部(綾振りの解舒方向側とは反対側のターン地点)へ向かう方向、解舒方向とは反対側の当該綾振りの端部(綾振りの解舒方向側とは反対側のターン地点)から解舒方向側の当該綾振りの端部へ向かう方向、の少なくとも一方であればよく、その両方とすることが好ましい。
本発明の糸パッケージ1は、綾振りの半周期間において、糸2が巻かれた巻き糸部Aと、糸が巻き糸部Aよりも糸の解舒方向側に巻かれた巻き糸部B、とに加え、ボビン3軸方向において巻き糸部Aと巻き糸部Bとの間に配置される巻き糸部Cをさらに含み、当該巻き糸部Cにおける糸2の巻き取りピッチが、巻き糸部Aにおける糸の巻き取りピッチより大きく、かつ、巻き糸部Bにおける糸の巻き取りピッチより小さいものであることが好ましい。巻き糸部Cのボビン3軸方向における位置としては、特に制限されないが、例えば、ボビン3に糸2が巻かれた巻き糸部全体の中心位置とすることが挙げられる。
本発明の糸パッケージ1において、巻き糸部Aにおける巻き取りピッチとしては、巻き糸部Bにおける巻き糸ピッチよりも小さければ特に制限されないが、例えば、0.1〜1.0mm程度が挙げられ、0.1〜0.8mm程度が好ましく挙げられる。また、本発明の糸パッケージ1において、巻き糸部Bにおける巻き取りピッチとしては、巻き糸部Aにおける巻き糸ピッチよりも大きければ特に制限されないが、例えば、1.0〜3.0mm程度が挙げられ、1.3〜2.5mm程度が好ましく挙げられる。また、本発明の糸パッケージ1において、巻き糸部Cにおける巻き取りピッチとしては、例えば、0.6〜1.8mm程度が挙げられ、0.9〜1.2mm程度が好ましく挙げられる。また、巻き糸部Aにおける巻き取りピッチと、巻き糸部Bにおける巻き取りピッチとの比(巻き糸部Bにおける巻き取りピッチ/巻き糸部Aにおける巻き取りピッチ)としては、例えば、1.5〜10が好ましく、4〜8がより好ましく、5〜6がさらに好ましい。
また、図5(2)に示すように、本発明の糸パッケージ1は、巻き糸部Aから巻き糸部Bに向かうにつれて糸の巻き取りピッチが漸増しているものとすることができる。
また、本発明の糸パッケージ1は、ボビン軸方向において同位置における、糸2の解舒方向に巻かれている巻き取りピッチ(図1においてはリング9が上昇するときに巻かれる巻き取りピッチに相当)と、糸2の解舒方向とは反対方向に巻かれている巻き取りピッチ(図1においてはリング9が下降するときに巻かれる巻き取りピッチに相当)との比は、特に制限されない。ボビン軸方向において同位置における、当該比(=糸の解舒方向とは反対側に巻かれている巻き取りピッチ/糸の解舒方向に巻かれている巻き取りピッチ)としては、例えば、1/3〜3/1が挙げられ、解舒張力のばらつきの低減の観点からは、1/2〜2/1が好ましく挙げられ、糸の解舒方向とは反対側に巻かれている巻き取りピッチ/糸の解舒方向に巻かれている巻き取りピッチが0.8〜1.2であることがより好ましく挙げられる。
<綾振り>
本発明の糸パッケージ1は、糸2がボビン3の軸方向に綾振りされて巻かれている。綾振りの方式としては特に限定されない。図6は、綾振りの方式の一例を説明する図である。図6中、太線は綾振りの幅の1周期あたりの長さ(図1においてはリング9の昇降量に相当)を示す。綾振りの方式としては、例えば図6(1)に示す、綾振りの1周期あたりの長さが漸増し、当該長さが一定の長さになれば漸減に転じ、これが繰り返されるテーパートップ巻き(テーパートップワインド)方式、図6(2)に示す、綾振りの1周期当たりの長さが漸増又は漸減し、当該長さが一定になれば再び最初の長さに戻り、これが繰り返されるテーパートップ巻き、図6(3)に示す、綾振りの1周期あたりの長さが一定であるストレート巻き(ストレートワインド)方式、図6(4)に示す、綾振りの1周期あたりの長さが漸減していくワープワインド方式、図6(5)に示す、綾振りの1周期あたりの長さは一定のまま、綾振りの中心位置が変化していくディファレンシャルワインド方式が挙げられる。解舒張力のばらつきの低減の観点からは、綾振りの方式はテーパートップ巻きが好ましい。
<巻き形状>
本発明の糸パッケージ1の巻き形状は特に限定されない。図7は、本発明の糸パッケージの巻き形状の一例を示す側面模式図である。本発明の糸パッケージの巻き形状としては、例えば、図7(1)〜(3)に示すように、糸2が巻かれた巻き糸部21がテーパー部を含むものが挙げられ、解舒方向側に向かうにつれて巻き径が細くなるテーパー部を含むものとすることができる。また、巻き糸部Aにおける巻き径が、巻き糸部Bにおける巻き径よりも大きいことが好ましい。また、図7(1)及び(3)に示すように、糸2が巻かれた巻き糸部21がテーパー部のみのものとすることができるし、図7(2)に示すように、糸2が巻かれた巻き糸部21がテーパー部及びストレート部を含むものとすることができる。また、糸パッケージ1における糸2が巻かれた巻き糸部21において、前記糸2の解舒方向に対して逆円錐台形状となる部分を含まないことが好ましい。また、図7(3)に示すように、テーパー部は、コンケーブ形状とすることができる。とりわけ、解舒張力のばらつきの低減の観点からは、本発明の糸パッケージ1の巻き形状としては、図7(3)に例示する、巻き糸部21がテーパー部のみからなり、該テーパー部がコンケーブ形状であるものとすることが好ましい。
<糸パッケージの製造方法>
本発明の糸パッケージ1の製造方法としては特に限定されない。例えば、本発明の糸パッケージ1の製造方法としては、糸2がボビン3の軸方向に解舒される糸パッケージ1の製造方法であって、綾振り手段により前記ボビン3に前記糸2を巻く工程を備え、前記綾振り手段が、前記ボビン3の軸方向に往復移動することで綾振りをおこない、前記綾振りの半周期間において、前記糸2が巻かれた巻き糸部Aと、前記糸2が前記巻き糸部Aよりも前記糸2の解舒方向側に巻かれた巻き糸部Bを、を形成し、前記巻き糸部Bにおける前記綾振り手段の移動速度が前記巻き糸部Aにおける前記綾振り手段の移動速度より速い、糸パッケージ1の製造方法とすることが挙げられる。以下、図1を参照し、糸パッケージ1を製造する例を説明する。
図1は、特許文献1の図3を引用し、符号を付けなおした図であり、糸パッケージの製造方法の一例を示す模式図である。図1に示すリング撚糸機は、紡糸ケーク4をセットするクリール(図示しない)、ガイド6及び7、ボビン3の軸方向に往復移動する綾振り手段であるリング9、リング9に旋回自在に保持されたトラベラー8、ボビン3の空間部に挿入しボビン3を固定して回転させるスピンドル10を備える。まず、ガラスストランド5を巻き取った紡糸ケーク4を準備する。そして、紡糸ケーク4をリング撚糸機のクリールにセットする。クリールは回転速度を制御することができ、当該回転速度を調整することにより紡糸ケーク4からのガラスストランド5の送り出し速度を調整することができる。また、ボビン3をスピンドル10にセットする。クリールにセットされたケーク4から送り出されたストランド5を、撚糸時のバルーニングの高さを調整するガイド7を通過させ、さらにトラベラー8に通して、ボビン3に巻き付ける。スピンドル10にセットされたボビン3が回転することで糸2(ガラスヤーン)をボビン3に巻き取りつつ、トラベラー8もリング9の周りを旋回してストランド5に撚りをかけてガラスヤーン2とすることができる。
巻き取りピッチは、主に紡糸ケーク4からの糸5(ガラスストランド)の送り出し速度とリング9の移動速度(昇降速度)を制御することにより調整できる。例えば、本発明の糸パッケージ1において、巻き糸部Bにおける糸の巻き取りピッチが巻き糸部Aにおける糸の巻き取りピッチよりも大きい部分を設けるには、糸の送り出し速度を一定にし、巻き糸部Bにおけるリング9の昇降速度が、巻き糸部Aにおけるリング9の昇降速度よりも速くなるように制御することにより可能となる。
<本発明の糸パッケージの用途>
本発明の糸パッケージ1の用途としては特に限定されない。とりわけ、本発明の糸パッケージ1をガラスヤーンパッケージとし、これをプリント配線板用ガラスクロスの経糸及び緯糸として用いた場合、均一な品質のガラスクロスをより一層製造しやすくなるので好ましい。具体的には、ガラスクロスは、製織した後、ガラスクロスを平滑なものとするために開繊加工が施される。このとき、経糸及び緯糸において解舒張力のばらつきが大きいと、開繊されにくい部分とされやすい部分とが含まれやすくなり、結果、ガラスクロスの平滑性が不均一なものとなりやすい。一方、本発明の糸パッケージ1によれば、解舒張力のばらつきの低減に寄与することができることから、ガラスクロスの平滑性をより均一なものとすることに寄与することとなる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
1.原糸
糸パッケージ1とする原糸として、繊維径が4μm、フィラメント本数が50本のガラスストランド5(1.7tex、糸長210km)を円筒形チューブに巻いた紡糸ケーク4を準備した。
2.巻き取り装置
上記原糸を加工して巻き取る装置として、図1に例示する、リング撚糸機を準備した。なお、リング撚糸機は、綾振りの半周期間においてリング9の昇降速度を制御することができるものを準備した。
3.ボビン
糸パッケージ1に含まれるボビン3として、図4に例示するボビン3(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂製)を準備した。該ボビン3の、糸巻き用芯部32の外径は127mm、糸巻き用芯部32の高さは210mmであった。
[実施例1]
準備した紡糸ケーク4をリング撚糸機のクリールにセットし、該紡糸ケーク4から引き出したガラスストランド5をガイド、トラベラー8に通して、ボビン3に2、3周巻きつけて、ボビン3をスピンドル10にセットした。そして、運転条件を表1に記載のように設定して撚糸をおこない、糸2の長さが200kmである本発明の糸パッケージ1を得た。なお、綾振りの方式としては、図6(2)に示す、テーパートップ巻き方式とした。ここで、リング9の半周期間における昇降速度としては、巻き糸部21の最下端(ボビン軸方向における糸の解舒方向の逆側の最端部)の速度LV(m/min)と、巻き糸部21の最上端(ボビン軸方向における糸の解舒方向の最端部)の速度HV(m/min)との比(HV/LV)が7.50(すなわち、巻き糸部21において最上端の速度HVが最下端の速度LVの7.5倍)となるようにした。そして、リング9が上昇するときは、巻き糸部21の最下端から最上端までの各位置における速度が、上記最下端の速度LVm/minから上記最上端の速度HVm/minまで、巻き糸部21の軸方向長さに比例した値となるようにして、漸増させ、リング9が下降するときは、巻き糸部21の最上端から最下端までの各位置における速度が、上記最上端の速度HVm/minから上記最下端の速度LVm/minまで、巻き糸部21の軸方向長さに比例した値となるようにして、漸減させた。また、得られた糸パッケージ1の巻き糸部21の形状は、図7(3)に例示する、テーパー部のみからなり、該テーパー部がコンケーブ形状であるものであった。また、得られた糸パッケージ1に含まれるガラス糸2は、番手が1.7tex、撚り数が0.52回/25mmであった。
[実施例2]
リング9の1周期間における昇降速度を次のようにする他は、実施例1と同様におこない、本発明の糸パッケージ1を得た。すなわち、リング9の半周期間における昇降速度としては、巻き糸部21の最下端(ボビン軸方向における糸の解舒方向の逆側の最端部)の速度LV(m/min)と、巻き糸部21の最上端(ボビン軸方向における糸の解舒方向の最端部)の速度HV(m/min)との比(HV/LV)が5.83(すなわち、巻き糸部21において最上端の速度HVが最下端の速度LVの5.8倍)となるようにした。そして、リング9が上昇するときは、巻き糸部21の最下端から最上端までの各位置における速度が、上記最下端の速度LVm/minから上記最上端の速度HVm/minまで、巻き糸部21の軸方向長さに比例した値となるようにして、漸増させ、リング9が下降するときは、巻き糸部21の最上端から最下端までの各位置における速度が、上記最上端の速度HVm/minから上記最下端の速度LVm/minまで、巻き糸部21の軸方向長さに比例した値となるようにして、漸減させた。また、得られた糸パッケージ1の巻き糸部21の形状は、図7(3)に例示する、テーパー部のみからなり、該テーパー部がコンケーブ形状であるものであった。また、得られた糸パッケージ1に含まれるガラス糸2は、番手が1.7tex、撚り数が0.52回/25mmであった。
[実施例3]
リング9の1周期間における昇降速度を次のようにする他は、実施例1と同様におこない、本発明の糸パッケージ1を得た。すなわち、リング9の半周期間における昇降速度としては、巻き糸部21の最下端(ボビン軸方向における糸の解舒方向の逆側の最端部)の速度LV(m/min)と、巻き糸部21の最上端(ボビン軸方向における糸の解舒方向の最端部)の速度HV(m/min)との比(HV/LV)が3.75(すなわち、巻き糸部21において最上端の速度HVが最下端の速度LVの3.75倍)となるようにした。そして、リング9が上昇するときは、巻き糸部21の最下端から最上端までの各位置における速度が、上記最下端の速度LVm/minから上記最上端の速度HVm/minまで、巻き糸部21の軸方向長さに比例した値となるようにして、漸増させ、リング9が下降するときは、巻き糸部21の最上端から最下端までの各位置における速度が、上記最上端の速度HVm/minから上記最下端の速度LVm/minまで、巻き糸部21の軸方向長さに比例した値となるようにして、漸減させた。また、得られた糸パッケージ1の巻き糸部21の形状は、図7(3)に例示する、テーパー部のみからなり、該テーパー部がコンケーブ形状であるものであった。また、得られた糸パッケージ1に含まれるガラス糸2は、番手が1.7tex、撚り数が0.52回/25mmであった。
[比較例1]
準備した紡糸ケーク4をリング撚糸機のクリールにセットし、該紡糸ケーク4から引き出したガラスストランド5をガイド、トラベラー8に通して、ボビン3に2、3周巻きつけて、ボビン3をスピンドル10にセットした。そして、運転条件を表1に記載のように設定して撚糸をおこない、糸2の長さが200kmである比較例の糸パッケージ1を得た。なお、綾振りの方式としては、図6(1)に示す、テーパートップ巻き方式とした。ここで、リング9の半周期間における昇降速度としては、巻き糸部21の最下端(ボビン軸方向における糸の解舒方向の逆側の最端部)の速度LV(m/min)と、巻き糸部21の最上端(ボビン軸方向における糸の解舒方向の最端部)の速度HV(m/min)との比(HV/LV)が1.00(すなわち、巻き糸部21において最上端の速度HVと最下端の速度LVとが一定)となるようにした。そして、リング9が上昇するときの速度とリング9が下降するときの速度との比(リング9が下降するときの速度/リング9が上昇するときの速度)が2となるようにした。また、得られた糸パッケージ1の巻き糸部21の形状は、図7(2)に例示する、糸が巻かれた巻き糸部21がテーパー部及びストレート部を含むものであった。また、得られた糸パッケージ1に含まれるガラス糸2は、番手が1.7tex、撚り数が0.52回/25mmであった。
(4)巻き取りピッチの測定
実施例1〜3及び比較例1の糸パッケージ1について、該糸パッケージ1の最外層から測長して糸2の長さが1km程度の地点(外層)、100km程度の地点(中層)、200km程度の地点(内層)において、巻き糸部A及び巻き糸部Bにおける巻き取りピッチを測定した。巻き糸部Aのボビン軸方向における位置(巻き糸部Aにおける巻き取りピッチのボビン軸方向測定位置)としては、巻き糸部の最下端(糸2の解舒方向とは反対側の端部)から40mmの地点とした。また、巻き糸部Bのボビン軸方向における位置(巻き糸部Bにおける巻き取りピッチのボビン軸方向測定位置)としては、巻き糸部の最上端(糸2の解舒方向側の端部)から40mmの地点とした。巻き取りピッチの測定方法としては、前述のようにおこなった。
(5)解舒張力のばらつきの測定
実施例1〜3及び比較例1の糸パッケージについて、該糸パッケージ1の最外層から測長して糸の長さが1km程度の地点(外層)、100km程度の地点(中層)、190km程度の地点(内層)において、解舒張力のばらつきを測定した。図8は、解舒張力のばらつきの測定について説明する模式図である。具体的に、糸パッケージ1から糸2を引き出し、張力測定器(湯浅糸道工業株式会社製、商品名「テンション・アナライザー」)のピックアップ13に糸2をセットし、糸2を巻き取りローラー14を用いて糸速600m/minで走行させ、そのときの張力を、サンプリング周期100mSec、サンプリング時間180秒として測定した。そして、得られた測定データの変動係数(CV)を算出し、当該CV値により解舒張力のばらつきを評価した。なお、図8において、ガイド12は、糸2がピックアップ13から外れないようにするために設けられており、糸パッケージ1の頂部先端からガイド12までの距離は230mmとした。
実施例1〜3、及び比較例1の物性等について表1に示す。また、実施例1の外層における解舒張力のばらつきの測定グラフを図9に、実施例3の外層における解舒張力のばらつきの測定グラフを図10に、比較例1の外層における解舒張力のばらつきの測定グラフを図11に、実施例1の中層における解舒張力のばらつきの測定グラフを図12に、実施例3の中層における解舒張力のばらつきの測定グラフを図13に、比較例1の中層における解舒張力のばらつきの測定グラフを図14に、実施例1の内層における解舒張力のばらつきの測定グラフを図15に、実施例3の内層における解舒張力のばらつきの測定グラフを図16に、比較例1の内層における解舒張力のばらつきの測定グラフを図17に示す。
Figure 2022001521
実施例1〜3の糸パッケージは、ボビンと、該ボビンの軸方向に綾振りされて巻かれた糸と、を含み、前記糸が前記ボビンの軸方向に解舒される、糸パッケージであって、前記綾振りの半周期間において、前記糸が巻かれた巻き糸部Aと、前記糸が前記巻き糸部Aよりも前記糸の解舒方向側に巻かれた巻き糸部Bを、を含み、巻き糸部Bにおける前記糸の巻き取りピッチが前記巻き糸部Aにおける前記糸の巻き取りピッチよりも大きい部分を含むものであったことから、綾振りの半周期間において、巻き取りピッチが一定であった比較例1と比較して解舒張力のばらつきが低減されるものであった。
1 糸パッケージ
2 糸
21 巻き糸部
3 ボビン
31 フランジ部
32 糸巻き用芯部
321 環状凸部
33 頂部
331 つかみ部
332 肩部
4 紡糸ケーク
5 ガラスストランド
6、7 ガイド
8 トラベラー
9 リング
10 スピンドル
11 駆動ベルトまたはモーター駆動
12 ガイド
13 ピックアップ
14 巻き取りローラー

Claims (7)

  1. ボビンと、該ボビンの軸方向に綾振りされて巻かれた糸と、を含み、前記糸が前記ボビンの軸方向に解舒される、糸パッケージであって、
    前記綾振りの半周期間において、前記糸が巻かれた巻き糸部Aと、前記糸が前記巻き糸部Aよりも前記糸の解舒方向側に巻かれた巻き糸部Bを、を含み、巻き糸部Bにおける前記糸の巻き取りピッチが前記巻き糸部Aにおける前記糸の巻き取りピッチよりも大きい部分を含む、糸パッケージ。
  2. 前記巻き糸部Aから巻き糸部Bに向かうにつれて前記糸の巻き取りピッチが漸増している、請求項1に記載の糸パッケージ。
  3. 前記巻き糸部Aにおける前記糸の巻き取りピッチと前記巻き糸部Bにおける前記糸の巻き取りピッチの比(巻き糸部Bにおける巻き取りピッチ/巻き糸部Aにおける巻き取りピッチ)が1.5〜10である、請求項1又は2に記載の糸パッケージ。
  4. 前記巻き糸部Aにおける巻き径が、前記巻き糸部Bにおける巻き径よりも大きい、請求項1〜3のいずれか1項に記載の糸パッケージ。
  5. 糸パッケージにおける糸が巻かれた巻き糸部において、前記糸の解舒方向に対して逆円錐台形状となる部分を含まない、請求項1〜4のいずれか1項に記載の糸パッケージ。
  6. 前記糸がガラス糸である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の糸パッケージ。
  7. 糸がボビンの軸方向に解舒される糸パッケージの製造方法であって、
    綾振り手段により前記ボビンに前記糸を巻く工程を備え、
    前記綾振り手段が、前記ボビンの軸方向に往復移動することで綾振りをおこない、
    前記綾振りの半周期間において、前記糸が巻かれた巻き糸部Aと、前記糸が前記巻き糸部Aよりも前記糸の解舒方向側に巻かれた巻き糸部Bを、を形成し、
    前記巻き糸部Bにおける前記綾振り手段の移動速度が前記巻き糸部Aにおける前記綾振り手段の移動速度より速い、糸パッケージの製造方法。
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