JP2706935B2 - パーンの成形方法 - Google Patents
パーンの成形方法Info
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- D—TEXTILES; PAPER
- D01—NATURAL OR MAN-MADE THREADS OR FIBRES; SPINNING
- D01H—SPINNING OR TWISTING
- D01H1/00—Spinning or twisting machines in which the product is wound-up continuously
- D01H1/14—Details
- D01H1/36—Package-shaping arrangements, e.g. building motions, e.g. control for the traversing stroke of ring rails; Stopping ring rails in a predetermined position
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- Textile Engineering (AREA)
- Filamentary Materials, Packages, And Safety Devices Therefor (AREA)
- Spinning Or Twisting Of Yarns (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野
この発明は、糸をパーン形式に巻き取る繊維機械にお
いて、解舒の際に、いわゆる肩崩れや輪抜け、綾ずれ等
の解舒トラブルの発生を最少にすることができるパーン
の成形方法に関する。 従来技術 パーンワインダ・ドローツイスタ等の繊維機械は、ボ
ビンに対して所定量の長さの糸をパーン形式に巻き上
げ、次工程に供給する。 このようにして巻き上げられるパーンは、ドッフィン
グの際や、検査工程、あるいは、次工程への搬送途中に
おけるハンドリング等の際に、簡単に肩崩れや綾ずれ等
の損傷を受けることがないように、また、次工程におけ
る解舒が安定に行なわれるように、種々の成形方法が工
夫され、実用化されている。すなわち、巻形状について
は、円筒形(いわゆるシリンドリカルパーン)・片側円
錐形・両側円錐形(いわゆるコニカルパーン)があり、
パーンの巻形成方式については、ワープ巻・フィリング
巻・コンパウンド巻・コンビネーション巻等がある。ま
た、パーンの成形途中における糸張力を適宜変更調節す
ることも、いわゆる菊巻きを防止するために有効であ
る。 このようなパーンの成形上の諸因子は、糸の材質、特
に強伸度特性・太さ・断面形状・撚りの有無とその大小
等によって最適に選定しなければならない。そこで、こ
の種の繊維機械のトラバース装置は、これらのパーンの
成形上の諸因子を最適に選択設定することができるよう
に設計するのが普通である。 発明が解決しようとする問題点 かかる従来技術によるときは、パーンは、巻形状や巻
形式を如何に選定しても、なお解舒時の輪抜けや綾ずれ
等の解舒トラブルを完全に防止することができない場合
があるという問題があった。ただし、輪抜けとは、糸が
円形のまま、1条または数条単位でパーンの軸方向に抜
け出ることをいい、綾ずれとは、パーンの表面から解舒
される糸端に連れ立って、パーンを形成している糸がパ
ーンの軸方向に移動してしまう現象をいうものとし、い
ずれも、解舒時における糸切れの原因となる。 かかる解舒トラブルは、パーンを形成する各糸巻層に
おける糸の巻密度(パーンの軸方向の単位長さ当りにあ
る糸の巻数をいう、以下同じ)が小さく、また、下撚り
の入った諸撚糸や、スパンデックスフィラメント糸の表
面に他の糸を巻き付けたカバリング糸、断面円形のモノ
フィラメント糸等であるときに発生し易い。さらに、糸
の断面が円形に近く、糸トルクが強大で、びりの生じ易
い糸であるときは、殊に顕著に見られるものである。 そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に
鑑み、糸巻層の巻密度が粗の巻層と密の巻層とを交互に
重層することによって、最上層にあって解舒されつつあ
る糸巻層と、最上層の糸が解舒されることによって露出
する次の糸巻層との間における巻密度を異ならせ、輪抜
けや綾ずれ等の解舒トラブルの発生を極少にすることが
できるパーンの成形方法を提供することにある。 問題点を解決するための手段 かかる目的を達成するためのこの発明の構成は、糸巻
層をボビンに沿って往復形成してパーンを形成するに際
し、糸巻層は、それぞれ最小糸ピッチ以上の糸ピッチに
より多数回の螺旋状に形成するとともに、糸が解舒され
る方向に巻くときは巻密度を密にし、逆方向に巻くとき
は疎にすることをその要旨とする。 いま、図示しないスピンドルに対してボビンBを挿立
し(第1図)、ボビンBを回転駆動しつつ、ボビンBの
軸芯の延長上に固定するヤーンガイドG1と、ボビンBか
ら離れ、ボビンBと平行にトラバースするヤーンガイド
G2とを介して糸Tを供給すれば、糸Tは、ボビンB上に
パーンPとして巻き取ることができる。そこで、パーン
Pが巻き太るに従ってヤーンガイドG2のトラバーススト
ロークを直線的に漸減させれば、ボビンB上には、巻長
ストロークdがパーンPの半径方向に漸減する糸巻層1
a、1b…が往復形成され、ワープ巻のパーンPを形成す
ることができる。 また、ヤーンガイドG2のトラバース速度を、上昇スト
ロークと下降ストロークとにおいて交互に変更すれば、
このときの糸巻層1a、1b…は、巻密度が異なる巻層を交
互に重層させることができる。ただし、一般に、供給さ
れる糸Tの糸速は常に等速であり、また、ボビンBの回
転速度は、ボビンB上における糸張力がほぼ等しくなる
ように、パーンPが巻き太るに従って漸減させるのが普
通であるから、ヤーンガイドG2のトラバース速度は、パ
ーンPの巻きサイズの如何によらず、各糸巻層1a、1bを
形成するための上昇ストロークと下降ストロークとに対
し、それぞれ異なる一定値にすればよい。また、この場
合の各糸巻層1a、1bは、ボビンBの軸方向に、巻径の増
大に従って巻密度が一様に粗くなるような多数回の螺旋
状に形成されている。 ヤーンガイドG2に対し、かかるトラバース運動を実現
させるためのトラバース装置は、周知の油圧方式による
他、純然たる機械方式によっても構成することができる
(第2図)。 すなわち、平歯車11a、11bを介して、一方向に回転す
る駆動モータ11の回転を傘歯車12に伝達する。傘歯車12
には、補助軸13に回転自在に装着する一対のベベルギヤ
14a,15aが噛合している。ただし、ベベルギヤ14a、15a
には、それぞれ電磁クラッチ14b、15bが付設されてお
り、電磁クラッチ14bは、ベベルギヤ14aを補助軸13に機
械的に連結することができ、電磁クラッチ15bは、ベベ
ルギヤ15aを補助軸13に連結することができる。 補助軸13には、平歯車16a、17aが装着されている。平
歯車16a、17aには、それぞれ電磁クラッチ16b、17bが付
設されており、電磁クラッチ16b、17bは、それぞれ平歯
車16a、17aを補助軸13に連結することができる。 平歯車16a、17aは、それぞれ、ボールねじ軸18の一端
に固定する平歯車18a、18bに噛合している。一方、ボー
ルねじ軸18には、ボールねじブラケット19aが螺合して
おり、ボールねじブラケット19aには、連結フレーム19b
を介し、ヤーンガイドG2に直結するドラバース軸19が連
結されている。 いま、駆動モータ11を運転して電磁クラッチ14b、15b
の一方を投入すると、補助軸13は、傘歯車12と、投入さ
れた側の電磁クラッチ14b、15bの一方に対応するベベル
ギヤ14a、15aの一方とを介して回転する。すなわち、補
助軸13は、電磁クラッチ14b、15bを選択することによ
り、回転方向を切り換えて反転させることができる。一
方、互いに噛合する平歯車16a、18aと平歯車17a、18bと
の各歯数比を異ならせておき、電磁クラッチ14b、15bの
選択に合わせて電磁クラッチ16b、17bの一方を選択投入
すると、ボールねじ軸18は、一方の回転時に遅く回転
し、他方の回転時に速く回転する。したがって、ヤーン
ガイドG2は、ボールねじブラケット19a、連結フレーム1
9b、トラバース軸19を介し、たとえば、上昇ストローク
において遅く、下降ストロークにおいて速くなるように
トラバース運動をすることができる。 また、このようにして形成されるパーンPは、糸Tが
下方から上方に巻き進む糸巻層1a、1a…は、糸Tの巻密
度が密となり、逆に糸Tが上方から下方に巻き進む糸巻
装置1b、1b…は、巻密度が粗となっており、これらの糸
巻層1a、1b…が交互に重層して形成されている(第1
図)。 かかるパーンPは、ボビンBを垂直に保持して固定
し、上方のヤーンガイドG3によってバルーンを形成しな
がら上方に解舒(第3図)。なお、パーンPの上下方向
は、パーンPを形成したときと同一にしておく。このと
き、下方から上方に巻き進み、糸密度が密である糸巻層
1aは、上方から下方に巻きほどかれ(同図(A))、逆
に、上方から下方に巻き進み、糸密度が粗である糸巻層
1bは、下方から上方に巻きほどかれる(同図(B))。 いま、第3図(A)に着目すると、糸巻層1aは、上方
から下方に巻きほどかれるので、解舒される糸Tは、糸
巻層1aに接触するおそれがなく、したがって、糸巻層1a
において綾ずれは起こり得ない。また、仮に、糸Tがパ
ーンPの上方の肩部P1に接触したとしても、ここに露出
している糸巻層1bの巻密度が粗いので、肩部P1における
綾角θbは大きく、したがって、肩崩れや輪抜けが生じ
るおそれも極めて少ない。さらに、糸巻層1bにおける綾
角θbが大きいので、糸Tの解舒に伴って糸Tが糸巻層
1bに摺接したとしても、糸巻層1bにおける綾ずれのおそ
れも殆んどない。 一方、同図(B)に着目すると、解舒されつつある糸
巻層1bにおける綾角θbが大きいので、肩部P1における
肩崩れや輪抜けのおそれは極めて少なく、また、解舒中
の糸Tが糸巻層1bに摺接したとしても、糸巻層1bにおい
て綾ずれが生じるおそれも極めて少ない。また、下層の
糸巻層1aにおける綾角θaは、糸巻層1bにおける綾角θ
bに対してθa<θbであるから、糸巻層1aにおいて綾
ずれを生じるおそれもない。 よって、パーンPは、解舒トラブルが発生するおそれ
が殆んどなく、しかも、このことは、垂直に保持したパ
ーンPを上方に解舒するときのみならず、巻密度の粗い
糸巻層1bが最上層に現われる側に向けて糸Tを引き出す
ときに常に成立する。すなわち、パーンPは、この条件
を満たす限り、水平方向を含む任意の方向に向けて、軸
方向に円滑に解舒することができる。 なお、ヤーンガイドG2のトラバース速度の最低値は、
糸巻層1a、1bにおける糸ピッチ(巻密度の逆数をいう、
以下同じ)が1〜3mm程度の最小糸ピッチ以上になるよ
うにし、同一の糸巻層1a、1b内において糸Tの重なりが
生じないように定めるべきである。一方、トラバース速
度の最高値は、糸ピッチが大きくなり過ぎてパーンPの
巻量が不足するようなことがなく、しかも、トラバース
装置内の各機構部材が円滑に運動し得るように定めれば
よい。 以上の説明において、パーンPの巻形式は、ワープ巻
に代えて、他の任意の巻形式であってもよい。 発明の効果 以上説明したように、この発明によれば、パーンを形
成するに際し、糸が解舒される方向に巻くときは巻密度
を密にし、逆方向に巻くときは疎にすることによって、
巻密度が粗の糸巻層が最上層に露出する側に向けて糸を
引き出してパーンを解舒すれば、肩崩れや輪抜け、綾ず
れ等の解舒トラブルの発生を有効に排除することができ
るという優れた効果がある。 加えて、このときの解舒トラブルの防止効果は、主と
して巻密度が粗の巻層における綾角が大きいことによっ
ているから、糸の性質の如何に拘らず有効であり、しか
も、各糸巻層の巻密度を設定するに当り、一方の巻密度
を粗にした分だけ他方の巻密度を密にすれば、総巻量に
影響を及ぼすことがなく、あやゆる糸種に対し、解舒性
に優れたパーンを簡単に得ることができるという効果も
ある。 実施例 以下、実施例を示すが、この発明は、これらの実施例
に限定されるものではない。 実施例1 エステルフィラメントの50d双糸からなる諸撚糸(下
撚1000T/m)を糸速250m/minで巻き取り、巻始め時と巻
終り時との各巻径を42mm、100mmとするとき、上昇スト
ロークに対して55mm/sec、下降ストロークに対して90mm
/secのトラバース速度を適用することにより、次の巻密
度を得た。 巻始め 巻終り 上昇ストローク(Pu) 1.74 4.15 下降ストローク(Pd) 2.85 6.78 Pd/Pu 1.6 1.6 ただし、巻密度は、パーンPの糸巻層1a、1bにおける
糸ピッチ(mm)によって表わされている。 このパーンPは、解舒の際に、有害な解舒トラブルが
全くみられなかった。 実施例2 エステルフィラメント糸75d(24フィラメント)から
なるローカウント糸について、糸速400m/min、巻始め時
の巻径42mm、巻終り時の巻径100mm、上昇ストロークに
おけるトラバース速度60mm/sec、下降ストロークにおけ
るトラバース速度100mm/secとするとき、上昇ストロー
ク時、下降ストローク時の糸ピッチは、それぞれ1.19〜
2.83mm、1.98〜4.71mmであった。このパーンPについて
も、解舒トラブルが全く生じなかった。 実施例3 エステルフィラメント糸37d(12フィラメント)を使
用し、前実施例と同一条件により巻き上げたパーンP
も、解舒トラブルが発生しなかった。 実施例4 ナイロン40dカバリング糸について、糸速550m/min、
最小巻径51mm、最大巻径120mm、上昇ストローク、下降
ストロークにおけるトラバース速度をそれぞれ60mm/se
c、120mm/secとし、両者に対応する糸ピッチとして、1.
05〜2.465mm、2.10〜4.93mmを得た。このパーンPも、
解舒結果が良好であった。
いて、解舒の際に、いわゆる肩崩れや輪抜け、綾ずれ等
の解舒トラブルの発生を最少にすることができるパーン
の成形方法に関する。 従来技術 パーンワインダ・ドローツイスタ等の繊維機械は、ボ
ビンに対して所定量の長さの糸をパーン形式に巻き上
げ、次工程に供給する。 このようにして巻き上げられるパーンは、ドッフィン
グの際や、検査工程、あるいは、次工程への搬送途中に
おけるハンドリング等の際に、簡単に肩崩れや綾ずれ等
の損傷を受けることがないように、また、次工程におけ
る解舒が安定に行なわれるように、種々の成形方法が工
夫され、実用化されている。すなわち、巻形状について
は、円筒形(いわゆるシリンドリカルパーン)・片側円
錐形・両側円錐形(いわゆるコニカルパーン)があり、
パーンの巻形成方式については、ワープ巻・フィリング
巻・コンパウンド巻・コンビネーション巻等がある。ま
た、パーンの成形途中における糸張力を適宜変更調節す
ることも、いわゆる菊巻きを防止するために有効であ
る。 このようなパーンの成形上の諸因子は、糸の材質、特
に強伸度特性・太さ・断面形状・撚りの有無とその大小
等によって最適に選定しなければならない。そこで、こ
の種の繊維機械のトラバース装置は、これらのパーンの
成形上の諸因子を最適に選択設定することができるよう
に設計するのが普通である。 発明が解決しようとする問題点 かかる従来技術によるときは、パーンは、巻形状や巻
形式を如何に選定しても、なお解舒時の輪抜けや綾ずれ
等の解舒トラブルを完全に防止することができない場合
があるという問題があった。ただし、輪抜けとは、糸が
円形のまま、1条または数条単位でパーンの軸方向に抜
け出ることをいい、綾ずれとは、パーンの表面から解舒
される糸端に連れ立って、パーンを形成している糸がパ
ーンの軸方向に移動してしまう現象をいうものとし、い
ずれも、解舒時における糸切れの原因となる。 かかる解舒トラブルは、パーンを形成する各糸巻層に
おける糸の巻密度(パーンの軸方向の単位長さ当りにあ
る糸の巻数をいう、以下同じ)が小さく、また、下撚り
の入った諸撚糸や、スパンデックスフィラメント糸の表
面に他の糸を巻き付けたカバリング糸、断面円形のモノ
フィラメント糸等であるときに発生し易い。さらに、糸
の断面が円形に近く、糸トルクが強大で、びりの生じ易
い糸であるときは、殊に顕著に見られるものである。 そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に
鑑み、糸巻層の巻密度が粗の巻層と密の巻層とを交互に
重層することによって、最上層にあって解舒されつつあ
る糸巻層と、最上層の糸が解舒されることによって露出
する次の糸巻層との間における巻密度を異ならせ、輪抜
けや綾ずれ等の解舒トラブルの発生を極少にすることが
できるパーンの成形方法を提供することにある。 問題点を解決するための手段 かかる目的を達成するためのこの発明の構成は、糸巻
層をボビンに沿って往復形成してパーンを形成するに際
し、糸巻層は、それぞれ最小糸ピッチ以上の糸ピッチに
より多数回の螺旋状に形成するとともに、糸が解舒され
る方向に巻くときは巻密度を密にし、逆方向に巻くとき
は疎にすることをその要旨とする。 いま、図示しないスピンドルに対してボビンBを挿立
し(第1図)、ボビンBを回転駆動しつつ、ボビンBの
軸芯の延長上に固定するヤーンガイドG1と、ボビンBか
ら離れ、ボビンBと平行にトラバースするヤーンガイド
G2とを介して糸Tを供給すれば、糸Tは、ボビンB上に
パーンPとして巻き取ることができる。そこで、パーン
Pが巻き太るに従ってヤーンガイドG2のトラバーススト
ロークを直線的に漸減させれば、ボビンB上には、巻長
ストロークdがパーンPの半径方向に漸減する糸巻層1
a、1b…が往復形成され、ワープ巻のパーンPを形成す
ることができる。 また、ヤーンガイドG2のトラバース速度を、上昇スト
ロークと下降ストロークとにおいて交互に変更すれば、
このときの糸巻層1a、1b…は、巻密度が異なる巻層を交
互に重層させることができる。ただし、一般に、供給さ
れる糸Tの糸速は常に等速であり、また、ボビンBの回
転速度は、ボビンB上における糸張力がほぼ等しくなる
ように、パーンPが巻き太るに従って漸減させるのが普
通であるから、ヤーンガイドG2のトラバース速度は、パ
ーンPの巻きサイズの如何によらず、各糸巻層1a、1bを
形成するための上昇ストロークと下降ストロークとに対
し、それぞれ異なる一定値にすればよい。また、この場
合の各糸巻層1a、1bは、ボビンBの軸方向に、巻径の増
大に従って巻密度が一様に粗くなるような多数回の螺旋
状に形成されている。 ヤーンガイドG2に対し、かかるトラバース運動を実現
させるためのトラバース装置は、周知の油圧方式による
他、純然たる機械方式によっても構成することができる
(第2図)。 すなわち、平歯車11a、11bを介して、一方向に回転す
る駆動モータ11の回転を傘歯車12に伝達する。傘歯車12
には、補助軸13に回転自在に装着する一対のベベルギヤ
14a,15aが噛合している。ただし、ベベルギヤ14a、15a
には、それぞれ電磁クラッチ14b、15bが付設されてお
り、電磁クラッチ14bは、ベベルギヤ14aを補助軸13に機
械的に連結することができ、電磁クラッチ15bは、ベベ
ルギヤ15aを補助軸13に連結することができる。 補助軸13には、平歯車16a、17aが装着されている。平
歯車16a、17aには、それぞれ電磁クラッチ16b、17bが付
設されており、電磁クラッチ16b、17bは、それぞれ平歯
車16a、17aを補助軸13に連結することができる。 平歯車16a、17aは、それぞれ、ボールねじ軸18の一端
に固定する平歯車18a、18bに噛合している。一方、ボー
ルねじ軸18には、ボールねじブラケット19aが螺合して
おり、ボールねじブラケット19aには、連結フレーム19b
を介し、ヤーンガイドG2に直結するドラバース軸19が連
結されている。 いま、駆動モータ11を運転して電磁クラッチ14b、15b
の一方を投入すると、補助軸13は、傘歯車12と、投入さ
れた側の電磁クラッチ14b、15bの一方に対応するベベル
ギヤ14a、15aの一方とを介して回転する。すなわち、補
助軸13は、電磁クラッチ14b、15bを選択することによ
り、回転方向を切り換えて反転させることができる。一
方、互いに噛合する平歯車16a、18aと平歯車17a、18bと
の各歯数比を異ならせておき、電磁クラッチ14b、15bの
選択に合わせて電磁クラッチ16b、17bの一方を選択投入
すると、ボールねじ軸18は、一方の回転時に遅く回転
し、他方の回転時に速く回転する。したがって、ヤーン
ガイドG2は、ボールねじブラケット19a、連結フレーム1
9b、トラバース軸19を介し、たとえば、上昇ストローク
において遅く、下降ストロークにおいて速くなるように
トラバース運動をすることができる。 また、このようにして形成されるパーンPは、糸Tが
下方から上方に巻き進む糸巻層1a、1a…は、糸Tの巻密
度が密となり、逆に糸Tが上方から下方に巻き進む糸巻
装置1b、1b…は、巻密度が粗となっており、これらの糸
巻層1a、1b…が交互に重層して形成されている(第1
図)。 かかるパーンPは、ボビンBを垂直に保持して固定
し、上方のヤーンガイドG3によってバルーンを形成しな
がら上方に解舒(第3図)。なお、パーンPの上下方向
は、パーンPを形成したときと同一にしておく。このと
き、下方から上方に巻き進み、糸密度が密である糸巻層
1aは、上方から下方に巻きほどかれ(同図(A))、逆
に、上方から下方に巻き進み、糸密度が粗である糸巻層
1bは、下方から上方に巻きほどかれる(同図(B))。 いま、第3図(A)に着目すると、糸巻層1aは、上方
から下方に巻きほどかれるので、解舒される糸Tは、糸
巻層1aに接触するおそれがなく、したがって、糸巻層1a
において綾ずれは起こり得ない。また、仮に、糸Tがパ
ーンPの上方の肩部P1に接触したとしても、ここに露出
している糸巻層1bの巻密度が粗いので、肩部P1における
綾角θbは大きく、したがって、肩崩れや輪抜けが生じ
るおそれも極めて少ない。さらに、糸巻層1bにおける綾
角θbが大きいので、糸Tの解舒に伴って糸Tが糸巻層
1bに摺接したとしても、糸巻層1bにおける綾ずれのおそ
れも殆んどない。 一方、同図(B)に着目すると、解舒されつつある糸
巻層1bにおける綾角θbが大きいので、肩部P1における
肩崩れや輪抜けのおそれは極めて少なく、また、解舒中
の糸Tが糸巻層1bに摺接したとしても、糸巻層1bにおい
て綾ずれが生じるおそれも極めて少ない。また、下層の
糸巻層1aにおける綾角θaは、糸巻層1bにおける綾角θ
bに対してθa<θbであるから、糸巻層1aにおいて綾
ずれを生じるおそれもない。 よって、パーンPは、解舒トラブルが発生するおそれ
が殆んどなく、しかも、このことは、垂直に保持したパ
ーンPを上方に解舒するときのみならず、巻密度の粗い
糸巻層1bが最上層に現われる側に向けて糸Tを引き出す
ときに常に成立する。すなわち、パーンPは、この条件
を満たす限り、水平方向を含む任意の方向に向けて、軸
方向に円滑に解舒することができる。 なお、ヤーンガイドG2のトラバース速度の最低値は、
糸巻層1a、1bにおける糸ピッチ(巻密度の逆数をいう、
以下同じ)が1〜3mm程度の最小糸ピッチ以上になるよ
うにし、同一の糸巻層1a、1b内において糸Tの重なりが
生じないように定めるべきである。一方、トラバース速
度の最高値は、糸ピッチが大きくなり過ぎてパーンPの
巻量が不足するようなことがなく、しかも、トラバース
装置内の各機構部材が円滑に運動し得るように定めれば
よい。 以上の説明において、パーンPの巻形式は、ワープ巻
に代えて、他の任意の巻形式であってもよい。 発明の効果 以上説明したように、この発明によれば、パーンを形
成するに際し、糸が解舒される方向に巻くときは巻密度
を密にし、逆方向に巻くときは疎にすることによって、
巻密度が粗の糸巻層が最上層に露出する側に向けて糸を
引き出してパーンを解舒すれば、肩崩れや輪抜け、綾ず
れ等の解舒トラブルの発生を有効に排除することができ
るという優れた効果がある。 加えて、このときの解舒トラブルの防止効果は、主と
して巻密度が粗の巻層における綾角が大きいことによっ
ているから、糸の性質の如何に拘らず有効であり、しか
も、各糸巻層の巻密度を設定するに当り、一方の巻密度
を粗にした分だけ他方の巻密度を密にすれば、総巻量に
影響を及ぼすことがなく、あやゆる糸種に対し、解舒性
に優れたパーンを簡単に得ることができるという効果も
ある。 実施例 以下、実施例を示すが、この発明は、これらの実施例
に限定されるものではない。 実施例1 エステルフィラメントの50d双糸からなる諸撚糸(下
撚1000T/m)を糸速250m/minで巻き取り、巻始め時と巻
終り時との各巻径を42mm、100mmとするとき、上昇スト
ロークに対して55mm/sec、下降ストロークに対して90mm
/secのトラバース速度を適用することにより、次の巻密
度を得た。 巻始め 巻終り 上昇ストローク(Pu) 1.74 4.15 下降ストローク(Pd) 2.85 6.78 Pd/Pu 1.6 1.6 ただし、巻密度は、パーンPの糸巻層1a、1bにおける
糸ピッチ(mm)によって表わされている。 このパーンPは、解舒の際に、有害な解舒トラブルが
全くみられなかった。 実施例2 エステルフィラメント糸75d(24フィラメント)から
なるローカウント糸について、糸速400m/min、巻始め時
の巻径42mm、巻終り時の巻径100mm、上昇ストロークに
おけるトラバース速度60mm/sec、下降ストロークにおけ
るトラバース速度100mm/secとするとき、上昇ストロー
ク時、下降ストローク時の糸ピッチは、それぞれ1.19〜
2.83mm、1.98〜4.71mmであった。このパーンPについて
も、解舒トラブルが全く生じなかった。 実施例3 エステルフィラメント糸37d(12フィラメント)を使
用し、前実施例と同一条件により巻き上げたパーンP
も、解舒トラブルが発生しなかった。 実施例4 ナイロン40dカバリング糸について、糸速550m/min、
最小巻径51mm、最大巻径120mm、上昇ストローク、下降
ストロークにおけるトラバース速度をそれぞれ60mm/se
c、120mm/secとし、両者に対応する糸ピッチとして、1.
05〜2.465mm、2.10〜4.93mmを得た。このパーンPも、
解舒結果が良好であった。
【図面の簡単な説明】
第1図はパーンの形成時の態様を示す模式図、第2図は
トラバース装置の構成説明図、第3図(A)、(B)
は、パーンの解舒時の態様を示す模式図である。 P……パーン B……ボビン T……糸 1a、1b……糸巻層
トラバース装置の構成説明図、第3図(A)、(B)
は、パーンの解舒時の態様を示す模式図である。 P……パーン B……ボビン T……糸 1a、1b……糸巻層
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.糸巻層をボビンに沿って往復形成してパーンを形成
するに際し、前記糸巻層は、それぞれ最小糸ピッチ以上
の糸ピッチにより多数回の螺旋状に形成するとともに、
糸が解舒される方向に巻くときは巻密度を密にし、逆方
向に巻くときは疎にすることを特徴とするパーンの成形
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62225847A JP2706935B2 (ja) | 1987-09-09 | 1987-09-09 | パーンの成形方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62225847A JP2706935B2 (ja) | 1987-09-09 | 1987-09-09 | パーンの成形方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6468528A JPS6468528A (en) | 1989-03-14 |
JP2706935B2 true JP2706935B2 (ja) | 1998-01-28 |
Family
ID=16835767
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62225847A Expired - Lifetime JP2706935B2 (ja) | 1987-09-09 | 1987-09-09 | パーンの成形方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2706935B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6078754B2 (ja) * | 2012-10-30 | 2017-02-15 | 東レ・モノフィラメント株式会社 | パーンパッケージおよびその製造方法 |
JP6436751B2 (ja) * | 2014-12-04 | 2018-12-12 | Tmtマシナリー株式会社 | 糸条巻取装置 |
-
1987
- 1987-09-09 JP JP62225847A patent/JP2706935B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6468528A (en) | 1989-03-14 |
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