JP2022000635A - 新型コロナウイルス感染者の重症化リスクの検査方法、その検査キット、コンパニオン診断薬及びその重症化リスクマーカー - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、尿を検体として使用可能なCOVID−19感染者の重症化リスクを検査する方法、その検査キット、コンパニオン診断薬及びその重症化リスクマーカーを提供することである。【解決手段】本発明は、被験者から採取した尿中の肝型脂肪酸結合タンパク質を定量する工程を含み、前記定量の結果に基づき、SARS−CoV−2感染症(COVID−19)の重症化リスクを検査する方法である。【選択図】図1
Description
本発明は、新型コロナウイルス(例えば、SARS−CoV−2)感染者の重症化リスクを検査する方法、その検査キット、コンパニオン診断薬及びその重症化リスクマーカーに関する。
新型コロナウイルス(以下、単に「SARS−CoV−2」ともいう。)の感染有無についてはPCR、抗体検査、抗原検査と選択肢が増えつつある。一方、陽性患者の経過観察中に急激な重症化を経験することが待機的処置を困難にしており、早期の重症化予測に資する煩雑な操作を要しない検査方法が望まれている。
一方、肝型脂肪酸結合タンパク質(L−type Fatty Acid Binding Protein;以下、単に「L−FABP」ともいう。)は肝臓、腎臓等の近位尿細管の細胞質等に存在している。腎臓では尿細管障害による虚血ないし酸化ストレスに応答して尿中への排泄量が増加する(例えば、非特許文献1)。そのため尿中の腎臓組織由来L−FABP蛋白質の総量の検出に基づく腎疾患の検査が可能である(例えば、特許文献1、2)。
L−FABPは微小血行動態と相関する生理学的特徴を有し、従来、尿中L−FABPは、急性腎疾患(AKI)等の腎尿細管障害の指標として知られている(例えば、非特許文献2〜5)。
L−FABPは微小血行動態と相関する生理学的特徴を有し、従来、尿中L−FABPは、急性腎疾患(AKI)等の腎尿細管障害の指標として知られている(例えば、非特許文献2〜5)。
Kamijo,A.et al.:J Lab Clin Med,143:23−30,2004
Doi K,et al.:Evaluation of new acute kidney injury biomarkers in a mixed intensive care unit. Crit Care Med.39(11):2464−2469,2011
Doi K,et al.:Lung injury following acute kidney injury:kidney−lung crosstalk.Clin Exp Nephrol.15(4):464−470,2011
Ishii T,et al.:Neutrophil elastase contributes to acute lung injury induced by bilateral nephrectomy.Am J Pathol.177(4):1665−1673,2010
Doi K,et al.:Urinary L−type fatty acid−binding protein as a new renal biomarker in critical care. Curr Opin Crit Care.16(6):545−459,2010
COVID−19の重症化に関しては、全身の細小血管内皮における炎症と、虚血、血栓、壊死病変等との関連が報告されている。しかし、このCOVID−19重症化の起点となる病態が事前に反映され、しかも、SARS−CoV−2を含んだ飛沫を浴びずに採取可能な検体中に検出可能なマーカーは知られていない。
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、尿を検体として使用可能なCOVID−19感染者の重症化リスクを検査する方法、その検査キット、コンパニオン診断薬及びその重症化リスクマーカーを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、尿中L−FABP濃度は将来的な重症化リスクが高いほどに高値となり得ること、腎障害とは無関係に、COVID−19の重症化リスクの鑑別に適用できることを見出した。
本発明は、上記知見に基づき完成されるに至ったものである。
すなわち本発明は以下の通りである。
本発明は、上記知見に基づき完成されるに至ったものである。
すなわち本発明は以下の通りである。
<1>被験者から採取した尿中の肝型脂肪酸結合タンパク質を定量する工程を含み、
前記定量の結果に基づき、SARS−CoV−2感染症(COVID−19)の重症化リスクを検査する方法。
<2>前記定量は、所定日数間隔で少なくとも2回行われる、<1>に記載の方法。
<3>肝型脂肪酸結合タンパク質を定量し得る物質を含む、<1>又は<2>に記載の方法に用いるCOVID−19重症化リスク検査キット。
<4>前記肝型脂肪酸結合タンパク質を定量し得る物質は抗L−FABP抗体である<3>に記載のCOVID−19重症化リスク検査キット。
<5>肝型脂肪酸結合タンパク質を定量し得る物質を含み、<1>又は<2>に記載の方法を用いてCOVID−19に対する治療薬又は予防薬を選定するためのコンパニオン診断薬。
<6>肝型脂肪酸結合タンパク質からなり、<1>又は<2>に記載の方法における定量対象として用いられるCOVID−19重症化リスクマーカー。
前記定量の結果に基づき、SARS−CoV−2感染症(COVID−19)の重症化リスクを検査する方法。
<2>前記定量は、所定日数間隔で少なくとも2回行われる、<1>に記載の方法。
<3>肝型脂肪酸結合タンパク質を定量し得る物質を含む、<1>又は<2>に記載の方法に用いるCOVID−19重症化リスク検査キット。
<4>前記肝型脂肪酸結合タンパク質を定量し得る物質は抗L−FABP抗体である<3>に記載のCOVID−19重症化リスク検査キット。
<5>肝型脂肪酸結合タンパク質を定量し得る物質を含み、<1>又は<2>に記載の方法を用いてCOVID−19に対する治療薬又は予防薬を選定するためのコンパニオン診断薬。
<6>肝型脂肪酸結合タンパク質からなり、<1>又は<2>に記載の方法における定量対象として用いられるCOVID−19重症化リスクマーカー。
本発明によれば、SARS−CoV−2を含んだ飛沫を浴びずに採取可能な尿を検体として使用可能であり、かつ非侵襲的な手法によりCOVID−19の重症化リスクを早期に検査することができる。
また、例えば、SARS−CoV−2陽性患者を待機的に観察する場合など、重症化リスクを早期にトリアージ(リスク分類)できる。
また、本発明によれば、重症化リスクの高い患者のみを鑑別する精度に優れたL−FABPのポイントオブケア(POC)キットとすることができ、陽性待機患者の急変に対応した適切なタイミングでの集中治療室(ICU)転送準備という医療資源の最適化に貢献できる。
また、本発明によれば、退院待ち患者(近隣施設で2週間程度待機後帰宅する症例含む。)の帰宅後に再発するリスクを評価することができる。
また、例えば、SARS−CoV−2陽性患者を待機的に観察する場合など、重症化リスクを早期にトリアージ(リスク分類)できる。
また、本発明によれば、重症化リスクの高い患者のみを鑑別する精度に優れたL−FABPのポイントオブケア(POC)キットとすることができ、陽性待機患者の急変に対応した適切なタイミングでの集中治療室(ICU)転送準備という医療資源の最適化に貢献できる。
また、本発明によれば、退院待ち患者(近隣施設で2週間程度待機後帰宅する症例含む。)の帰宅後に再発するリスクを評価することができる。
以下、本発明の実施態様について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施態様に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
(L−FABP)
L−FABPのアミノ酸配列や遺伝子配列は既に報告されている(Veerkamp and Maatman, Prog. Lipid Res.,34:17−52,1995)。配列番号1は、野生型ヒトL−FABPのアミノ酸配列を表す。
配列表の配列番号1に記載した野生型ヒト肝型脂肪酸結合タンパク質のアミノ酸配列上の置換、挿入、欠失等による変異タンパク質であっても、その変異が野生型ヒト肝型脂肪酸結合タンパク質の3次元構造において保存性が高い変異であれば、これらは全て肝型脂肪酸結合タンパク質の範囲内に属し得る。
タンパク質の構成要素となるアミノ酸の側鎖は、疎水性、電荷、大きさなどにおいてそれぞれ異なるものである。実質的にタンパク質全体の3次元構造(立体構造とも言う)に影響を与えないという意味で保存性の高い幾つかの関係が、経験的にまた物理化学的な実測により知られている。例えば、アミノ酸残基の置換については、グリシン(Gly)とプロリン(Pro)、Glyとアラニン(Ala)又はバリン(Val)、ロイシン(Leu)とイソロイシン(Ile)、グルタミン酸(Glu)とグルタミン(Gln)、アスパラギン酸(Asp)とアスパラギン(Asn)、システイン(Cys)とスレオニン(Thr)、Thrとセリン(Ser)又はAla、リジン(Lys)とアルギニン(Arg)等が挙げられる。
L−FABPのアミノ酸配列や遺伝子配列は既に報告されている(Veerkamp and Maatman, Prog. Lipid Res.,34:17−52,1995)。配列番号1は、野生型ヒトL−FABPのアミノ酸配列を表す。
配列表の配列番号1に記載した野生型ヒト肝型脂肪酸結合タンパク質のアミノ酸配列上の置換、挿入、欠失等による変異タンパク質であっても、その変異が野生型ヒト肝型脂肪酸結合タンパク質の3次元構造において保存性が高い変異であれば、これらは全て肝型脂肪酸結合タンパク質の範囲内に属し得る。
タンパク質の構成要素となるアミノ酸の側鎖は、疎水性、電荷、大きさなどにおいてそれぞれ異なるものである。実質的にタンパク質全体の3次元構造(立体構造とも言う)に影響を与えないという意味で保存性の高い幾つかの関係が、経験的にまた物理化学的な実測により知られている。例えば、アミノ酸残基の置換については、グリシン(Gly)とプロリン(Pro)、Glyとアラニン(Ala)又はバリン(Val)、ロイシン(Leu)とイソロイシン(Ile)、グルタミン酸(Glu)とグルタミン(Gln)、アスパラギン酸(Asp)とアスパラギン(Asn)、システイン(Cys)とスレオニン(Thr)、Thrとセリン(Ser)又はAla、リジン(Lys)とアルギニン(Arg)等が挙げられる。
上記L−FABPの取得方法については特に制限はなく、化学合成により合成したタンパク質でもよいし、遺伝子組み換え技術による作製した組み換え(リコンビナント)タンパク質でもよい。
≪COVID−19の重症化リスクを検査する方法(以下、単に「第1の態様に係る検査方法」ともいう。)≫
本発明の第1の態様は、被験者(例えば、患者)から採取した尿中のL−FABPを定量する工程を含み、上記定量の結果に基づき、将来的なCOVID−19の重症化リスクを検査する方法である。
後述の実施例に示すように、尿中L−FABP濃度は、腎障害による尿マーカー増加とは無関係に若しくは腎障害による尿マーカー増加量を著しく超える程度に、将来的な重症化リスクが高いほどに高値となり得る。
上記被験者は、SARS−CoV−2の感染又はCOVID−19の罹患が確認済みであってよい。また、上記被験者は、COVID−19の重症化前の被験者(つまり、軽症(無症状を含む。)又は中等症者であり、好ましくは軽症者)であることが好ましい。
上記定量される被験者は、発症から20日以内であることが好ましく、発症から14日以内であることがより好ましく、発症から12日以内であることが更に好ましく、発症から10日以内であることが特に好ましい。
発症からの日数の下限としては特に制限はなく、発症当日でもよく、発症から1日以降でもよく、発症から2日以降でもよい。また、発症前であってもなくてもよい。
ここで、発症とは、病状が現れることをいい、下記(1)〜(8)の8段階の基準に準じて分類される軽症、中等症、重症等の病状が現れることが挙げられる。
本発明の第1の態様は、被験者(例えば、患者)から採取した尿中のL−FABPを定量する工程を含み、上記定量の結果に基づき、将来的なCOVID−19の重症化リスクを検査する方法である。
後述の実施例に示すように、尿中L−FABP濃度は、腎障害による尿マーカー増加とは無関係に若しくは腎障害による尿マーカー増加量を著しく超える程度に、将来的な重症化リスクが高いほどに高値となり得る。
上記被験者は、SARS−CoV−2の感染又はCOVID−19の罹患が確認済みであってよい。また、上記被験者は、COVID−19の重症化前の被験者(つまり、軽症(無症状を含む。)又は中等症者であり、好ましくは軽症者)であることが好ましい。
上記定量される被験者は、発症から20日以内であることが好ましく、発症から14日以内であることがより好ましく、発症から12日以内であることが更に好ましく、発症から10日以内であることが特に好ましい。
発症からの日数の下限としては特に制限はなく、発症当日でもよく、発症から1日以降でもよく、発症から2日以降でもよい。また、発症前であってもなくてもよい。
ここで、発症とは、病状が現れることをいい、下記(1)〜(8)の8段階の基準に準じて分類される軽症、中等症、重症等の病状が現れることが挙げられる。
COVID−19の重症度としては、軽症、中等症、重症等が挙げられ、重症化としては、軽症から中等症又は重症への重症化、中等症から重症への重症化が挙げられる。
本明細書及び本特許請求の範囲において、軽症、中等症、重症等の重症度は、Cao B,Wang Y,Wen D,et al.A Trial of Lopinavir−Ritonavir in Adults Hospitalized with Severe Covid−19.N Engl J Med.2020.に記載の下記(1)〜(8)の8段階の基準に準じて分類される。
(1)通常の活動の再開により入院していない。
(2)入院していないが、通常の活動を再開できていない。
(3)入院しており、酸素補給を必要としない。
(4)入院しており、酸素補給を必要とする。
(5)入院しており、高流量鼻カニュラ酸素療法、非侵襲的人工呼吸器、又はその両方を必要とする。
(6)侵襲的な人工呼吸器を必要とする。
(7)人工呼吸器及び体外式膜型人工肺(ECMO)を必要とする。及び
(8)死亡。
すなわち、本明細書及び本特許請求の範囲において、軽症は上記(1)〜(3)の段階をいい、中等症は上記(4)及び(5)の段階をいい、重症は上記(6)〜(8)の段階をいう。
本明細書及び本特許請求の範囲において、軽症、中等症、重症等の重症度は、Cao B,Wang Y,Wen D,et al.A Trial of Lopinavir−Ritonavir in Adults Hospitalized with Severe Covid−19.N Engl J Med.2020.に記載の下記(1)〜(8)の8段階の基準に準じて分類される。
(1)通常の活動の再開により入院していない。
(2)入院していないが、通常の活動を再開できていない。
(3)入院しており、酸素補給を必要としない。
(4)入院しており、酸素補給を必要とする。
(5)入院しており、高流量鼻カニュラ酸素療法、非侵襲的人工呼吸器、又はその両方を必要とする。
(6)侵襲的な人工呼吸器を必要とする。
(7)人工呼吸器及び体外式膜型人工肺(ECMO)を必要とする。及び
(8)死亡。
すなわち、本明細書及び本特許請求の範囲において、軽症は上記(1)〜(3)の段階をいい、中等症は上記(4)及び(5)の段階をいい、重症は上記(6)〜(8)の段階をいう。
尿中L−FABP濃度(ng/ml)が、所定の値(カットオフ値:病態識別値)以上である場合、将来的な重症化リスクが存在する若しくは高いと鑑別することができる。上記尿中L−FABP濃度は、尿中クレアチニン濃度で補正した尿中L−FABP濃度(μg/gCre)であってもなくてもよい。
本発明によれば、尿中クレアチニン濃度で補正しない場合、尿中L−FABP濃度のみに基づき、簡便にCOVID−19の重症化リスクを検査することができ、POCキット等簡便なツールにより検査し得る。
尿の濃淡により尿中成分濃度が大きく変動し得る。
本発明において、尿中クレアチニン濃度で補正した尿中L−FABP濃度(μg/gCre)を使用することにより、尿の濃淡の影響を排除してCOVID−19の重症化リスクを、更に精度よく検査することができる。
検査精度の観点から、軽症者又は中等症者が将来的に重症に重症化するリスクが存在する若しくは高いと鑑別する上記カットオフ値(病態識別値)としては、35ng/ml〜40ng/mlの範囲にあることが好ましく、36ng/ml〜39ng/mlの範囲にあることがより好ましく、37ng/ml〜38ng/mlの範囲にあることが更に好ましい。
また、尿中クレアチニン濃度で補正した尿中L−FABP濃度(μg/gCre)の場合の上記カットオフ値としては、18μg/gCre〜25μg/gCreの範囲にあることが好ましく、20μg/gCre〜24μg/gCreの範囲にあることがより好ましく、21μg/gCre〜23μg/gCreの範囲にあることが更に好ましい。
上記カットオフ値が上記下限値より低いと、偽陽性が増加し、上記上限値より高いと重症に重症化するリスクのある患者を取りこぼすリスクがある。
本発明によれば、尿中クレアチニン濃度で補正しない場合、尿中L−FABP濃度のみに基づき、簡便にCOVID−19の重症化リスクを検査することができ、POCキット等簡便なツールにより検査し得る。
尿の濃淡により尿中成分濃度が大きく変動し得る。
本発明において、尿中クレアチニン濃度で補正した尿中L−FABP濃度(μg/gCre)を使用することにより、尿の濃淡の影響を排除してCOVID−19の重症化リスクを、更に精度よく検査することができる。
検査精度の観点から、軽症者又は中等症者が将来的に重症に重症化するリスクが存在する若しくは高いと鑑別する上記カットオフ値(病態識別値)としては、35ng/ml〜40ng/mlの範囲にあることが好ましく、36ng/ml〜39ng/mlの範囲にあることがより好ましく、37ng/ml〜38ng/mlの範囲にあることが更に好ましい。
また、尿中クレアチニン濃度で補正した尿中L−FABP濃度(μg/gCre)の場合の上記カットオフ値としては、18μg/gCre〜25μg/gCreの範囲にあることが好ましく、20μg/gCre〜24μg/gCreの範囲にあることがより好ましく、21μg/gCre〜23μg/gCreの範囲にあることが更に好ましい。
上記カットオフ値が上記下限値より低いと、偽陽性が増加し、上記上限値より高いと重症に重症化するリスクのある患者を取りこぼすリスクがある。
一方、尿中L−FABP濃度(ng/ml)が、所定の値(カットオフ値)以下である場合、軽症者が将来的な重症化リスクが存在しない若しくは低いと鑑別することができる。上記尿中L−FABP濃度は、尿中クレアチニン濃度で補正した尿中L−FABP濃度(μg/gCre)であってもなくてもよい。
軽症者が軽症にとどまり将来的な重症化リスクが存在しない若しくは低いと鑑別する上記カットオフ値としては、例えば、35ng/ml〜30ng/mlの範囲にあることが挙げられ、34ng/ml〜31ng/mlの範囲にあることが好ましく、33ng/ml〜32ng/mlの範囲にあることがより好ましい。
また、尿中クレアチニン濃度で補正した尿中L−FABP濃度(μg/gCre)の場合の上記カットオフ値としては、12μg/gCre〜7μg/gCreの範囲にあることが挙げられ、11μg/gCre〜8μg/gCreの範囲にあることが好ましく、10μg/gCre〜9μg/gCreの範囲にあることがより好ましい。
上記カットオフ値が上記上限値より高いと重症化する患者をとりこぼすおそれが増し、上記下限値より低いと重症化しない患者を取りこぼすおそれが増す。
軽症者が軽症にとどまり将来的な重症化リスクが存在しない若しくは低いと鑑別する上記カットオフ値としては、例えば、35ng/ml〜30ng/mlの範囲にあることが挙げられ、34ng/ml〜31ng/mlの範囲にあることが好ましく、33ng/ml〜32ng/mlの範囲にあることがより好ましい。
また、尿中クレアチニン濃度で補正した尿中L−FABP濃度(μg/gCre)の場合の上記カットオフ値としては、12μg/gCre〜7μg/gCreの範囲にあることが挙げられ、11μg/gCre〜8μg/gCreの範囲にあることが好ましく、10μg/gCre〜9μg/gCreの範囲にあることがより好ましい。
上記カットオフ値が上記上限値より高いと重症化する患者をとりこぼすおそれが増し、上記下限値より低いと重症化しない患者を取りこぼすおそれが増す。
また、軽症者が将来的に中等症又は重症へ重症化するリスクが存在する若しくは高いと鑑別するカットオフ値としては、30ng/ml〜35ng/mlの範囲にあることが好ましく、31ng/ml〜34ng/mlの範囲にあることがより好ましく、32ng/ml〜33ng/mlの範囲にあることが更に好ましい。
また、尿中クレアチニン濃度で補正した尿中L−FABP濃度(μg/gCre)の場合の上記カットオフ値としては、9μg/gCre〜14μg/gCreの範囲にあることが好ましく、10μg/gCre〜13μg/gCreの範囲にあることがより好ましく、11μg/gCre〜12μg/gCreの範囲にあることが更に好ましい。
上記カットオフ値が上記下限値より低いと、偽陽性が増加し、上記上限値より高いと中等症又は重症に重症化するリスクのある患者を取りこぼすリスクがある。
また、尿中クレアチニン濃度で補正した尿中L−FABP濃度(μg/gCre)の場合の上記カットオフ値としては、9μg/gCre〜14μg/gCreの範囲にあることが好ましく、10μg/gCre〜13μg/gCreの範囲にあることがより好ましく、11μg/gCre〜12μg/gCreの範囲にあることが更に好ましい。
上記カットオフ値が上記下限値より低いと、偽陽性が増加し、上記上限値より高いと中等症又は重症に重症化するリスクのある患者を取りこぼすリスクがある。
一方、軽症者が将来的に中等症又は重症へ重症化するリスクが存在しない若しくは低いと鑑別するカットオフ値としては、例えば、34ng/ml〜30ng/mlの範囲にあることが挙げられ、33ng/ml〜31ng/mlの範囲にあることが好ましく、32.5ng/ml〜31.5ng/mlの範囲にあることがより好ましい。
また、尿中クレアチニン濃度で補正した尿中L−FABP濃度(μg/gCre)の場合の上記カットオフ値としては、14μg/gCre〜9μg/gCreの範囲にあることが挙げられ、12μg/gCre〜10μg/gCreの範囲にあることが好ましく、11.5μg/gCre〜10.5μg/gCreの範囲にあることがより好ましい。
上記カットオフ値が上記上限値より高いと偽陰性が増加し、上記下限値より低いと重症化しない患者を取りこぼすリスクがある。
また、尿中クレアチニン濃度で補正した尿中L−FABP濃度(μg/gCre)の場合の上記カットオフ値としては、14μg/gCre〜9μg/gCreの範囲にあることが挙げられ、12μg/gCre〜10μg/gCreの範囲にあることが好ましく、11.5μg/gCre〜10.5μg/gCreの範囲にあることがより好ましい。
上記カットオフ値が上記上限値より高いと偽陰性が増加し、上記下限値より低いと重症化しない患者を取りこぼすリスクがある。
上記重症化リスクを予測し得る日数の程度としては、COVID−19による重症化リスクを予測し得る限り特に制限はなく、例えば、上記定量から1日以上先の重症化リスクを予測することができ、より先の将来を予測し得る観点から、上記定量から2日以上先(より好ましくは3日以上先、更に好ましくは4日以上先、特に好ましくは5日以上先、とりわけ好ましくは6日以上先、最も好ましくは7日以上先)の重症化リスクを予測し得る点で好ましい。
上記予測の程度の上限としては特に制限はないが、例えば、30日以下、20日以下、15日以下である。
上記予測の程度の上限としては特に制限はないが、例えば、30日以下、20日以下、15日以下である。
上述のように、上記被験者は、病態進展、経過監視ないし重症化進行のモニタリングの観点から、軽症者であることが好ましい。
上記定量は、病態進展、経過監視ないし重症化進行のモニタリングの観点から、所定日数間隔で複数回(好ましくは少なくとも2回、より好ましくは3回以上、更に好ましくは、4回以上)行われることが好ましい。上記定量の回数の上限としては特に制限はないが、例えば、15回以下又は10回以下が挙げられる。
上記定量を複数回行う場合の日数間隔としては、特に制限はないが、3日以上(に1回定量)が挙げられ、4日以上が好ましく、5日以上が更に好ましく、7日以上が特に好ましい。
上記定量を複数行う場合の日数間隔の上限値としては特に制限はないが、例えば、3週間に1回、2週間に1回等が挙げられる。
上記定量は、病態進展、経過監視ないし重症化進行のモニタリングの観点から、所定日数間隔で複数回(好ましくは少なくとも2回、より好ましくは3回以上、更に好ましくは、4回以上)行われることが好ましい。上記定量の回数の上限としては特に制限はないが、例えば、15回以下又は10回以下が挙げられる。
上記定量を複数回行う場合の日数間隔としては、特に制限はないが、3日以上(に1回定量)が挙げられ、4日以上が好ましく、5日以上が更に好ましく、7日以上が特に好ましい。
上記定量を複数行う場合の日数間隔の上限値としては特に制限はないが、例えば、3週間に1回、2週間に1回等が挙げられる。
第1の態様に係るCOVID−19の重症化リスクを検査する方法は、被験者から尿を採取する工程を含んでいても含んでいなくてもよい。第1の態様に係る検査方法は、尿中のL−FABPを検出する工程を含んでいても含んでいなくてもよい。
第1の態様に係る検査方法において、L−FABPの検出ないし定量等の測定方法としては、酵素免疫測定法(EIA,ELISA)、蛍光酵素免疫測定法(FLEIA)、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)、化学発光免疫測定法(CLIA)、電気化学発光測免疫測定法(ECLIA)、蛍光抗体法(FA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ウェスタンブロット法(WB)、イムノブロット法などを採用したアッセイ法が挙げられる。L−FABPの検出ないし定量等の測定方法としては、抗L−FABP抗体を用いた測定であることが好ましい。
第1の態様に係る検査方法において、L−FABPの検出ないし定量等の測定方法としては、酵素免疫測定法(EIA,ELISA)、蛍光酵素免疫測定法(FLEIA)、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)、化学発光免疫測定法(CLIA)、電気化学発光測免疫測定法(ECLIA)、蛍光抗体法(FA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ウェスタンブロット法(WB)、イムノブロット法などを採用したアッセイ法が挙げられる。L−FABPの検出ないし定量等の測定方法としては、抗L−FABP抗体を用いた測定であることが好ましい。
用いる抗L−FABP抗体としては、L−FABPを認識し得る限り特に制限はなく、公知の抗体であってもよく、今後開発される抗体であってもよい。例えば、下記変性処理により外部へ曝露される部位を認識する抗体が挙げられる。
抗L−FABP抗体により定量を行なう場合、上記血液中のL−FABPを界面活性剤による変性処理により形成された条件にて定量を行なってもよい。これにより、L−FABPの一次構造を維持した状態で水素結合、ジスルフィド結合等を切断することによりその立体構造を変性させることができ、抗体がL−FABP分子の内部領域と結合する場合であってもL−FABPの酸化状態に影響されることなく、高感度かつ特異的にL−FABPを検出ないし定量することができる。
上記界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が好ましい。
上記変性処理としては、室温(例えば、25℃)もしくは加温条件下(例えば、37℃)にて適切な濃度(例えば、0.2質量/体積%(w/v%)〜10質量/体積%、好ましくは0.4質量/体積%(w/v%)以上、0.5質量/体積%(w/v%)以上、又は0.7質量/体積%(w/v%)以上であってよい。)の界面活性剤により適切な時間(例えば、5〜60分間)処理する方法が挙げられる。
典型的には、1w/v%のSDSにて25℃10分間変性処理することが挙げられる。
上記界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が好ましい。
上記変性処理としては、室温(例えば、25℃)もしくは加温条件下(例えば、37℃)にて適切な濃度(例えば、0.2質量/体積%(w/v%)〜10質量/体積%、好ましくは0.4質量/体積%(w/v%)以上、0.5質量/体積%(w/v%)以上、又は0.7質量/体積%(w/v%)以上であってよい。)の界面活性剤により適切な時間(例えば、5〜60分間)処理する方法が挙げられる。
典型的には、1w/v%のSDSにて25℃10分間変性処理することが挙げられる。
上記測定方法として、より詳細には、抗原(L−FABP)に対する認識部位が異なる2種類の抗体を組み合わせて用いるサンドイッチELISA法であることが好ましい。
認識部位が異なる2種類の抗体としては、一方を、マイクロプレートのウェル中の表面に結合させた固相化抗体として用い、他方を、検出ないし定量のための標識抗体として用いることが好ましい。上記標識抗体における標識としては特に制限はなく、例えば、パーオキシダーゼ標識等の酵素標識、蛍光標識、紫外線標識、放射線標識等が挙げられる。
認識部位が異なる2種類の抗体としては、一方を、マイクロプレートのウェル中の表面に結合させた固相化抗体として用い、他方を、検出ないし定量のための標識抗体として用いることが好ましい。上記標識抗体における標識としては特に制限はなく、例えば、パーオキシダーゼ標識等の酵素標識、蛍光標識、紫外線標識、放射線標識等が挙げられる。
抗原(L−FABP)に対する認識部位が異なる抗体としては、抗L−FABP抗体クローン1、クローン2、クローンL及びクローンFよりなる群から選択される抗体を含む抗体が挙げられ(例えば、特許第6174778号公報、特許第6218983号公報、特許第6059388号公報)、抗L−FABP抗体クローンLを含む組み合わせ、又は抗L−FABP抗体クローン2を含む組み合わせであることが好ましく、抗L−FABP抗体クローンLを含む組み合わせであることがより好ましく、抗L−FABP抗体クローンLを固相化抗体として用い、任意の抗L−FABP抗体を標識抗体として用いることが更に好ましく、抗L−FABP抗体クローンLを固相化抗体として用い、抗L−FABP抗体クローン2を標識抗体として用いることが特に好ましい。
サンドイッチELISA法を利用したL−FABP測定キットの市販品としては、「レナプロ L−FABP テストTMB」(シミックホールディングス社製)、「レナプロ L−FABP テストHS(高感度)」(シミックホールディングス社製)等が挙げられる。
サンドイッチELISA法を利用したL−FABP測定キットの市販品としては、「レナプロ L−FABP テストTMB」(シミックホールディングス社製)、「レナプロ L−FABP テストHS(高感度)」(シミックホールディングス社製)等が挙げられる。
第1の態様に係る検査方法において、上記定量は、測定される標識の強度(例えば、吸光度、酵素標識強度、蛍光強度、紫外線強度、放射線強度等)と、L−FABPの量(例えば、濃度)との関係に基づき検量線を作成し、上記検量線に基づき(例えば、対比して)定量してもしなくてもよい。
第1の態様に係る検査方法は、検査精度の観点から、ROC(受信者動作特性)解析結果として、曲線下面積(AUC)が70%以上(0.70以上)で検査し得ることが好ましく、80%以上(0.80以上)で検査し得ることがより好ましく、85%以上(0.85以上)で検査し得ることが更に好ましい。
第1の態様に係る検査方法は、COVID−19の重症化リスクの診断方法を含んでいてもいなくてもよい。
また、本発明は、第1の態様に係るCOVID−19の重症化リスクの検査方法と、
当該方法で決定した重症化リスク(好ましくは、所定日数以降の重症化リスク)に応じた処置を被験者に施す工程、及び
当該方法で決定した重症化リスク(好ましくは、所定日数以降の重症化リスク)に応じたCOVID−19に対する治療薬又は予防薬を被験者に投与する工程よりなる群から選択される少なくとも1つの工程と
を含むCOVID−19の治療又は予防方法に関するものであっても、上記に関するものでなくてもよい。
また、本発明は、第1の態様に係るCOVID−19の重症化リスクの検査方法と、
当該方法で決定した重症化リスク(好ましくは、所定日数以降の重症化リスク)に応じた処置を被験者に施す工程、及び
当該方法で決定した重症化リスク(好ましくは、所定日数以降の重症化リスク)に応じたCOVID−19に対する治療薬又は予防薬を被験者に投与する工程よりなる群から選択される少なくとも1つの工程と
を含むCOVID−19の治療又は予防方法に関するものであっても、上記に関するものでなくてもよい。
上記方法により被験者の重症化リスクが低いと決定された場合(例えば、被験者が軽症者であって、所定日数以降も軽症にとどまると、上記方法で決定された場合)、被験者に施す上記処置としては、経過観察(待機的観察、監視等)、隔離(例えば、自宅療養、在宅ケア、宿泊療養等)、市販の風邪薬(例えば、総合感冒薬、消炎鎮痛剤)投与、水分補給等が挙げられる。
上記方法により被験者の重症化リスクが高いと決定された場合(例えば、軽症から中等症又は重症への所定日数以内に重症化するリスク、中等症から重症への所定日数以内に重症化するリスクがあると、上記方法で決定された場合)、被験者に施す上記処置としては、入院、ICU転送、細菌感染併発の観点からの抗菌薬投与、酸素補給、高流量鼻カニュラ酸素療法、非侵襲的又は侵襲的人工呼吸器装着、ECMO装着、急性血液浄化法、血液吸着療法等が挙げられる。
上記COVID−19治療薬又は予防薬としては、抗ウイルス薬(例えば、レムデシビル、ファビピラビル、シクレソニド、イベルメクチン)、サイトカインストーム改善若しくは急性呼吸窮迫症候群(ARDS)改善薬(例えば、トシリズマブ、サリルマブ)、ワクチン及び抗体(例えば、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体、好ましくはSARS−CoV−2に結合する抗体、より好ましくはSARS−CoV−2に選択的に結合する抗体、更に好ましくはSARS−CoV−2に特異的に結合する抗体)よりなる群から選択される少なくとも1種の薬が挙げられる。
≪検査キット、コンパニオン診断薬及びCOVID−19重症化リスクマーカー≫
本発明の第2の態様は、L−FABPを定量し得る物質を含むCOVID−19重症化リスク検査キットであり、第1の態様に係る検査方法に用いる検査キットであることが好ましく、POCキットであることがより好ましい。
本発明の第3の態様は、肝型脂肪酸結合タンパク質の量を定量し得る物質を含むコンパニオン診断薬であり、第1の態様に係る検査方法で決定した重症化リスク(好ましくは、所定日数以降の重症化リスク)に応じた処置を選定するため、及び/又は上記重症化リスクに応じたCOVID−19に対する治療薬又は予防薬を選定するためのコンパニオン診断薬であることが好ましい。
本発明の第4の態様は、肝型脂肪酸結合タンパク質からなり、第1の態様に係る方法における定量対象として用いられるCOVID−19重症化リスクマーカーである。
本明細書及び特許請求の範囲において、「コンパニオン診断薬」は、上記決定した重症化リスクに応じた個々のCOVID−19患者に対して、行う処置の効果ないしリスク、投与する医薬品(治療薬、予防薬等)の効果、副作用のリスク、適切な投薬量を予測するために、実際に処置、投薬等を開始する前に行う検査で使用される診断薬をいう。
本発明の第2の態様は、L−FABPを定量し得る物質を含むCOVID−19重症化リスク検査キットであり、第1の態様に係る検査方法に用いる検査キットであることが好ましく、POCキットであることがより好ましい。
本発明の第3の態様は、肝型脂肪酸結合タンパク質の量を定量し得る物質を含むコンパニオン診断薬であり、第1の態様に係る検査方法で決定した重症化リスク(好ましくは、所定日数以降の重症化リスク)に応じた処置を選定するため、及び/又は上記重症化リスクに応じたCOVID−19に対する治療薬又は予防薬を選定するためのコンパニオン診断薬であることが好ましい。
本発明の第4の態様は、肝型脂肪酸結合タンパク質からなり、第1の態様に係る方法における定量対象として用いられるCOVID−19重症化リスクマーカーである。
本明細書及び特許請求の範囲において、「コンパニオン診断薬」は、上記決定した重症化リスクに応じた個々のCOVID−19患者に対して、行う処置の効果ないしリスク、投与する医薬品(治療薬、予防薬等)の効果、副作用のリスク、適切な投薬量を予測するために、実際に処置、投薬等を開始する前に行う検査で使用される診断薬をいう。
上記決定した重症化リスクに応じた個々のCOVID−19患者に対して行う処置としては上述の通りである。
COVID−19治療薬又は予防薬としては上述の通りである。
第3の態様に係るコンパニオン診断薬において、COVID−19重症化リスクの予測、COVID−19発症リスクの予測及びCOVID−19重症化進行のモニタリングよりなる群から選択される少なくとも1種のコンパニオン診断薬がより好ましい。
第2の態様に係る検査キット及び第3の態様に係るコンパニオン診断薬において、L−FABPを定量し得る物質としては、酵素免疫測定法(EIA,ELISA)、蛍光酵素免疫測定法(FLEIA)、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)、化学発光免疫測定法(CLIA)、電気化学発光測免疫測定法(ECLIA)、ラテックス免疫比濁法(latex−enhanced immunoturbidimetric assay;LTIA)、イムノクロマト法、蛍光抗体法(FA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ウェスタンブロット法(WB)、イムノブロット法などに基づいてL−FABP又は酸化型L−FABPを定量する物質が挙げられ、具体的には、抗L−FABP抗体が好ましい。
COVID−19治療薬又は予防薬としては上述の通りである。
第3の態様に係るコンパニオン診断薬において、COVID−19重症化リスクの予測、COVID−19発症リスクの予測及びCOVID−19重症化進行のモニタリングよりなる群から選択される少なくとも1種のコンパニオン診断薬がより好ましい。
第2の態様に係る検査キット及び第3の態様に係るコンパニオン診断薬において、L−FABPを定量し得る物質としては、酵素免疫測定法(EIA,ELISA)、蛍光酵素免疫測定法(FLEIA)、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)、化学発光免疫測定法(CLIA)、電気化学発光測免疫測定法(ECLIA)、ラテックス免疫比濁法(latex−enhanced immunoturbidimetric assay;LTIA)、イムノクロマト法、蛍光抗体法(FA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ウェスタンブロット法(WB)、イムノブロット法などに基づいてL−FABP又は酸化型L−FABPを定量する物質が挙げられ、具体的には、抗L−FABP抗体が好ましい。
用いる抗L−FABP抗体としては、L−FABPを認識し得る限り特に制限はなく、公知の抗体であってもよく、今後開発される抗体であってもよい。例えば、上記変性処理、上記メチオニンの酸化等により外部へ曝露される部位を認識する抗体が挙げられる。
上記定量手段として、より詳細には、抗原(L−FABP)に対する認識部位が異なる2種類の抗体を組み合わせて用いるサンドイッチELISA法を採用したアッセイ系が好ましい。
認識部位が異なる2種類の抗体については≪COVID−19の重症化リスクを検査する方法≫において上述した通りである。
認識部位が異なる2種類の抗体については≪COVID−19の重症化リスクを検査する方法≫において上述した通りである。
上記定量手段としては、試薬として上記抗L−FABP抗体を含むことが好ましく、標識抗L−FABP抗体を更に含むことがより好ましく、必要に応じて吸着防止剤(ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン、スキムミルク、ポリエチレングリコール等)、前処理液(任意の界面活性剤、任意の緩衝液等)、反応緩衝液(任意の緩衝液等)、発色基質(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、過酸化水素水等)等を含んでいてもよい。
上記定量手段における吸着防止剤の含有量としては本発明の効果を損なわない限りにおいて特に制限はないが、0.05〜10質量%であることが好ましい。
上記定量手段における吸着防止剤の含有量としては本発明の効果を損なわない限りにおいて特に制限はないが、0.05〜10質量%であることが好ましい。
上記定量手段として、抗原に対する認識部位が異なる2種類の抗体を組み合わせて用いるサンドイッチELISA法を用いたキットであることが好ましく、固相に抗L−FABP抗体クローンL、標識抗体に抗L−FABP抗体クローン2を使用しているキットであることがより好ましい。
第2の態様に係る検査キット及び第3の態様に係るコンパニオン診断薬は、抗L−FABP抗体により定量を行なう場合、定量に先だって、界面活性剤によりL−FABPを変性する手段を備えることが好ましい。
第2の態様に係る検査キットは、上記尿中のL−FABPを界面活性剤により変性処理する手段、及び
上記変性処理後のL−FABPを定量する手段を更に備えていてもいなくてもよい。
上記界面活性剤としては、上述の通りである。
上記変性手段としては、室温(例えば、25℃)もしくは加温条件下(例えば、37℃)にて任意の濃度(例えば、0.2質量/体積%〜10質量/体積%)の界面活性剤により処理する手段(例えば、上記界面活性剤、任意の緩衝液等を含む変性処理液)が挙げられる。
第2の態様に係る検査キットは、上記尿中のL−FABPを界面活性剤により変性処理する手段、及び
上記変性処理後のL−FABPを定量する手段を更に備えていてもいなくてもよい。
上記界面活性剤としては、上述の通りである。
上記変性手段としては、室温(例えば、25℃)もしくは加温条件下(例えば、37℃)にて任意の濃度(例えば、0.2質量/体積%〜10質量/体積%)の界面活性剤により処理する手段(例えば、上記界面活性剤、任意の緩衝液等を含む変性処理液)が挙げられる。
第2の態様に係る検査キット及び第3の態様に係るコンパニオン診断薬が、サンドイッチELISA法を用いたキットである場合の具体的態様としては、例えば、下記(1)〜(10)を含むキットが挙げられる。
(1)L−FABP抗体固相化マイクロプレート……抗ヒトL−FABPマウスモノクローナル抗体結合ウェル例えば、クローンL産生細胞株由来)
(2)変性処理液(例えば、任意の界面活性剤)
(3)反応緩衝液
(4)酵素標識抗体……パーオキシダーゼ標識抗ヒトL−FABPマウスモノクローナル抗体(例えば、クローン2産生細胞株由来)
(5)酵素基質液
(6)洗浄剤(任意の緩衝液、界面活性剤等)
(7)反応停止液(1N硫酸等)
(8)標準緩衝液(任意の緩衝液等)
(9)肝型脂肪酸結合タンパク質標品
(10)肝型脂肪酸結合タンパク質標品の濃度としては特に制限はなく、例えば、10〜10000ng/mLが挙げられ、50〜5000ng/mLが好ましく、100〜1000ng/mLがより好ましく、200〜800ng/mLが更に好ましく、300〜600ng/mLが特に好ましい。
(1)L−FABP抗体固相化マイクロプレート……抗ヒトL−FABPマウスモノクローナル抗体結合ウェル例えば、クローンL産生細胞株由来)
(2)変性処理液(例えば、任意の界面活性剤)
(3)反応緩衝液
(4)酵素標識抗体……パーオキシダーゼ標識抗ヒトL−FABPマウスモノクローナル抗体(例えば、クローン2産生細胞株由来)
(5)酵素基質液
(6)洗浄剤(任意の緩衝液、界面活性剤等)
(7)反応停止液(1N硫酸等)
(8)標準緩衝液(任意の緩衝液等)
(9)肝型脂肪酸結合タンパク質標品
(10)肝型脂肪酸結合タンパク質標品の濃度としては特に制限はなく、例えば、10〜10000ng/mLが挙げられ、50〜5000ng/mLが好ましく、100〜1000ng/mLがより好ましく、200〜800ng/mLが更に好ましく、300〜600ng/mLが特に好ましい。
第2の態様に係る検査キット及び第3の態様に係るコンパニオン診断薬は、タンパク吸着防止を目的としてBSAを含有するタンパク質保存緩衝液を含むことが好ましい。例えば、下記タンパク質保存緩衝液が挙げられる。
(タンパク質保存緩衝液)
10mMリン酸バッファー(pH7.2)、150mM NaCl、1.0%BSA、0.1%NaN3
(タンパク質保存緩衝液)
10mMリン酸バッファー(pH7.2)、150mM NaCl、1.0%BSA、0.1%NaN3
以下に本発明の実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
<実施例1>
58例のSARS−CoV−2陽性患者のうち軽症者21例、中等症者(酸素吸入)25例、重症者(人工呼吸器装着)12例を対象に、入院時に尿中L−FABP濃度(ng/ml)及び血清クレアチニン濃度(mg/dL)を測定し、入院から1週間後の重症度の鑑別性についてROC解析を行なった。
血清クレアチニン濃度は常法に従って測定した。血清クレアチニン濃度は一般的に腎組織の傷害の指標とされ、糸球体の濾過機能が低下すると血清クレアチニン濃度が増加する。
尿中L−FABP濃度(ng/ml)は以下のようにして測定した。
各々の患者の尿検体を用いて、1w/v%のSDSにて25℃10分間変性処理した後、「レナプロ L−FABP テスト HS(高感度)」(シミックホールディングス株式会社製)の抗体を使用してELISA測定を実施し、標識抗体の発色強度(OD450nm)を測定した。上記検査用キットの使用方法は通常添付されている添付文書に従った測定方法に準じて行った。尿中L−FABP濃度(ng/ml)を測定した。
結果を図1(a)〜(d)に示す。
58例のSARS−CoV−2陽性患者のうち軽症者21例、中等症者(酸素吸入)25例、重症者(人工呼吸器装着)12例を対象に、入院時に尿中L−FABP濃度(ng/ml)及び血清クレアチニン濃度(mg/dL)を測定し、入院から1週間後の重症度の鑑別性についてROC解析を行なった。
血清クレアチニン濃度は常法に従って測定した。血清クレアチニン濃度は一般的に腎組織の傷害の指標とされ、糸球体の濾過機能が低下すると血清クレアチニン濃度が増加する。
尿中L−FABP濃度(ng/ml)は以下のようにして測定した。
各々の患者の尿検体を用いて、1w/v%のSDSにて25℃10分間変性処理した後、「レナプロ L−FABP テスト HS(高感度)」(シミックホールディングス株式会社製)の抗体を使用してELISA測定を実施し、標識抗体の発色強度(OD450nm)を測定した。上記検査用キットの使用方法は通常添付されている添付文書に従った測定方法に準じて行った。尿中L−FABP濃度(ng/ml)を測定した。
結果を図1(a)〜(d)に示す。
図1(a)は、「入院から1週間後に中等症又は軽症である患者」に対する「入院から1週間後に重症である患者」の入院時血清クレアチニン濃度(mg/dL)のROC解析結果を示す図である。
図1(a)に示したROC解析結果から明らかなように、「入院から1週間後に重症である患者」の入院時血清クレアチニン濃度のカットオフポイント値(病態識別値)0.92(mg/dL)が得られ、そのときの特異度は69.2%、感度は55.6%であり、また、AUCは60.5%であった。
図1(a)に示したROC解析結果から明らかなように、「入院から1週間後に重症である患者」の入院時血清クレアチニン濃度のカットオフポイント値(病態識別値)0.92(mg/dL)が得られ、そのときの特異度は69.2%、感度は55.6%であり、また、AUCは60.5%であった。
図1(b)は、「入院から1週間後に重症又は中等症である患者」に対する「入院から1週間後に軽症である患者」の入院時血清クレアチニン濃度(mg/dL)のROC解析結果を示す図である。
図1(b)に示したROC解析結果から明らかなように、「入院から1週間後に軽症である患者」の入院時血清クレアチニン濃度のカットオフポイント値0.8(mg/dL)が得られ、そのときの特異度は50%、感度は87.5%であり、また、AUCは62.1%であった。
図1(b)に示したROC解析結果から明らかなように、「入院から1週間後に軽症である患者」の入院時血清クレアチニン濃度のカットオフポイント値0.8(mg/dL)が得られ、そのときの特異度は50%、感度は87.5%であり、また、AUCは62.1%であった。
図1(c)は、「入院から1週間後に中等症又は軽症である患者」に対する「入院から1週間後に重症である患者」の入院時尿中L−FABP濃度(ng/ml)のROC解析結果を示す図である。
図1(c)に示したROC解析結果から明らかなように、「入院から1週間後に重症である患者」の入院時尿中L−FABP濃度(ng/ml)のカットオフポイント値38(ng/ml)が得られ、そのときの特異度は76.9%、感度は88.9%であり、また、AUCは87%であった。
図1(c)に示したROC解析結果から明らかなように、「入院から1週間後に重症である患者」の入院時尿中L−FABP濃度(ng/ml)のカットオフポイント値38(ng/ml)が得られ、そのときの特異度は76.9%、感度は88.9%であり、また、AUCは87%であった。
図1(d)は、「入院から1週間後に重症又は中等症である患者」に対する「入院から1週間後に軽症である患者」の入院時尿中L−FABP濃度(ng/ml)のROC解析結果を示す図である。
図1(d)に示したROC解析結果から明らかなように、「入院から1週間後に軽症である患者」の入院時尿中L−FABP濃度(ng/ml)のカットオフポイント値33(ng/ml)が得られ、そのときの特異度は87.5%、感度は87.5%であり、また、AUCは87.4%であった。
図1(d)に示したROC解析結果から明らかなように、「入院から1週間後に軽症である患者」の入院時尿中L−FABP濃度(ng/ml)のカットオフポイント値33(ng/ml)が得られ、そのときの特異度は87.5%、感度は87.5%であり、また、AUCは87.4%であった。
以上の結果から、SARS−CoV−2陽性患者のうち、重症化する患者及び重症化しない患者(軽症等にとどまる患者)の鑑別いずれについても、入院時血清クレアチニン濃度よりも、入院時尿中L−FABP濃度の方が、AUCが大きく、精度が高く、感度及び特異度も高いことが分かる。
また、尿中L−FABP濃度は、腎障害による尿マーカー増加とは無関係に若しくは腎障害による尿マーカー増加量を著しく超える程度に、将来的な重症化リスクが高いほどに高値となるということができ、腎障害による尿マーカー増加による影響を排除して将来的な重症化リスクを検査することができるといえる。このことは、ウイルス感染症の重症化と腎障害との関係性が既知であることを踏まえると、予想外であった。
重症化する患者のみを鑑別する精度は特に有用であり、入院(つまり、L−FABP測定時)経過10日間のAKI発症2例を除いても、L−FABP濃度の持続的高値がAKIに関連しないCovid−19重症化の新たな指標として有用であることが分かる。
また、尿中L−FABP濃度は、腎障害による尿マーカー増加とは無関係に若しくは腎障害による尿マーカー増加量を著しく超える程度に、将来的な重症化リスクが高いほどに高値となるということができ、腎障害による尿マーカー増加による影響を排除して将来的な重症化リスクを検査することができるといえる。このことは、ウイルス感染症の重症化と腎障害との関係性が既知であることを踏まえると、予想外であった。
重症化する患者のみを鑑別する精度は特に有用であり、入院(つまり、L−FABP測定時)経過10日間のAKI発症2例を除いても、L−FABP濃度の持続的高値がAKIに関連しないCovid−19重症化の新たな指標として有用であることが分かる。
図1(e)は、上記58例のSARS−CoV−2陽性患者の入院時の血清クレアチニン濃度(mg/dL)を示す図であり、左(入院時)のプロット及び右(1週間後)のプロットの同一の血清クレアチニン濃度のプロットは同一の陽性患者を示す。
また、図1(e)中、同一の陽性患者に係る左(入院時)のプロット及び右(1週間後)のプロットのいずれに対しても、入院時から1週間後の重症度のプロット形(重症:〇、中等症:□、軽症:▽)を付している。
また、図1(e)中、入院時(左)及び入院から1週間後(右)の各時点における重症度をハッチング(模様)で区別している。同一の陽性患者に係る左(入院時)のプロット及び右(1週間後)のプロットの同一濃度のプロットにおけるハッチング(模様)を比較することにより入院時から1週間後の重症度の変化が分かる。
また、図1(e)中、カットオフポイント値(重症ケース)は、図1(a)から得られた0.92(mg/dL)であり、カットオフポイント値(軽症ケース)は、図1(b)から得られた0.8(mg/dL)である。
図1(e)に示した結果から明らかなように、入院時の血清クレアチニン濃度と、SARS−CoV−2の重症化に相関があるとはいえないことが分かる。
また、図1(e)中、同一の陽性患者に係る左(入院時)のプロット及び右(1週間後)のプロットのいずれに対しても、入院時から1週間後の重症度のプロット形(重症:〇、中等症:□、軽症:▽)を付している。
また、図1(e)中、入院時(左)及び入院から1週間後(右)の各時点における重症度をハッチング(模様)で区別している。同一の陽性患者に係る左(入院時)のプロット及び右(1週間後)のプロットの同一濃度のプロットにおけるハッチング(模様)を比較することにより入院時から1週間後の重症度の変化が分かる。
また、図1(e)中、カットオフポイント値(重症ケース)は、図1(a)から得られた0.92(mg/dL)であり、カットオフポイント値(軽症ケース)は、図1(b)から得られた0.8(mg/dL)である。
図1(e)に示した結果から明らかなように、入院時の血清クレアチニン濃度と、SARS−CoV−2の重症化に相関があるとはいえないことが分かる。
図1(f)は、上記58例のSARS−CoV−2陽性患者の入院時の尿中L−FABP濃度(ng/ml)を示す図であり、左(入院時)のプロット及び右(1週間後)のプロットの同一の尿中L−FABP濃度のプロットは同一の陽性患者を示す。
また、図1(f)中、同一の陽性患者に係る左(入院時)のプロット及び右(1週間後)のプロットのいずれに対しても、入院時から1週間後の重症度のプロット形(重症:〇、中等症:□、軽症:▽)を付している。
また、図1(f)中、入院時(左)及び入院から1週間後(右)の各時点における重症度をハッチング(模様)で区別している。同一の陽性患者に係る左(入院時)のプロット及び右(1週間後)のプロットの同一濃度のプロットにおけるハッチング(模様)を比較することにより入院から1週間後の重症度の変化が分かる。
また、図1(f)中、カットオフポイント値(重症ケース)は、図1(c)から得られた38(ng/ml)であり、カットオフポイント値(軽症ケース)は、図1(d)から得られた33(ng/ml)である。
図1(f)に示した結果から明らかなように、入院時の尿中L−FABP濃度が、カットオフポイント値38ng/ml以上のプロット(患者)は、1週間後に、軽症から中等症又は重症への重症化する傾向、中等症から重症への重症化する傾向が著しく強いことが分かる。
一方、カットオフポイント値33ng/ml以下のプロット(患者)は、一部の例外を除き、入院時も軽症であり、かつ1週間後も軽症にとどまり、重症化しない又は重症化リスクが低いといえる。
また、図1(f)中、同一の陽性患者に係る左(入院時)のプロット及び右(1週間後)のプロットのいずれに対しても、入院時から1週間後の重症度のプロット形(重症:〇、中等症:□、軽症:▽)を付している。
また、図1(f)中、入院時(左)及び入院から1週間後(右)の各時点における重症度をハッチング(模様)で区別している。同一の陽性患者に係る左(入院時)のプロット及び右(1週間後)のプロットの同一濃度のプロットにおけるハッチング(模様)を比較することにより入院から1週間後の重症度の変化が分かる。
また、図1(f)中、カットオフポイント値(重症ケース)は、図1(c)から得られた38(ng/ml)であり、カットオフポイント値(軽症ケース)は、図1(d)から得られた33(ng/ml)である。
図1(f)に示した結果から明らかなように、入院時の尿中L−FABP濃度が、カットオフポイント値38ng/ml以上のプロット(患者)は、1週間後に、軽症から中等症又は重症への重症化する傾向、中等症から重症への重症化する傾向が著しく強いことが分かる。
一方、カットオフポイント値33ng/ml以下のプロット(患者)は、一部の例外を除き、入院時も軽症であり、かつ1週間後も軽症にとどまり、重症化しない又は重症化リスクが低いといえる。
次に、上記58例のSARS−CoV−2陽性患者の入院時の尿中L−FABP濃度のプロットであって、入院から1週間後における重症度のプロット形及びハッチングを付したプロット(図1(f)の右のプロットに相当)を縦軸に、上記58例のSARS−CoV−2陽性患者の入院時の血清クレアチニン濃度のプロットであって、入院から1週間後における重症度の形及びハッチングを付したプロット(図1(e)の右のプロットに相当)を横軸に、2次元プロットした。これにより、SARS−CoV−2重症化リスクとの相関を尿中L−FABP濃度と血清クレアチニン濃度との間での比較を更に明確化した。結果を図2に示す。
図2に示した結果から明らかなように、入院時の尿中L−FABP濃度が、カットオフポイント値38ng/ml以上のプロット(患者)は、1週間後には重症化する傾向が著しく強いことが分かる。
一方、カットオフポイント値0.92mg/dL以上であろうとなかろうと、入院時の血清クレアチニン濃度と重症化との相関は見られないことが分かる。
一方、カットオフポイント値0.92mg/dL以上であろうとなかろうと、入院時の血清クレアチニン濃度と重症化との相関は見られないことが分かる。
<実施例2>
尿の濃淡の影響を排除すべく、上記実施例1で得られた58例のSARS−CoV−2陽性患者の尿中L−FABP濃度のROC解析結果及び入院時の尿中L−FABP濃度を尿中クレアチニン濃度で補正した。尿中クレアチニン濃度は常法に従って測定した。
結果を図3(c)、(d)及び(f)に示す。
比較参考として、血清クレアチニン濃度(mg/dL)のROC解析結果を示す図1(a)及び(b)を図3(a)及び(b)として、入院時の血清クレアチニン濃度(mg/dL)及び重症度の進行を示す図1(e)を図3(e)としてそれぞれ転記する。
すなわち、図1(a)、(b)及び(e)と、図3(a)、(b)及び(e)とはそれぞれ同一である。
尿の濃淡の影響を排除すべく、上記実施例1で得られた58例のSARS−CoV−2陽性患者の尿中L−FABP濃度のROC解析結果及び入院時の尿中L−FABP濃度を尿中クレアチニン濃度で補正した。尿中クレアチニン濃度は常法に従って測定した。
結果を図3(c)、(d)及び(f)に示す。
比較参考として、血清クレアチニン濃度(mg/dL)のROC解析結果を示す図1(a)及び(b)を図3(a)及び(b)として、入院時の血清クレアチニン濃度(mg/dL)及び重症度の進行を示す図1(e)を図3(e)としてそれぞれ転記する。
すなわち、図1(a)、(b)及び(e)と、図3(a)、(b)及び(e)とはそれぞれ同一である。
図3(c)は、「入院から1週間後に中等症又は軽症である患者」に対する「入院から1週間後に重症である患者」の鑑別性について、尿中クレアチニン濃度で補正した入院時尿中L−FABP濃度(μg/gCre)のROC解析結果を示す図である。
図3(c)に示したROC解析結果から明らかなように、「入院から1週間後に重症である患者」の尿中クレアチニン濃度で補正した入院時尿中L−FABP濃度(μg/gCre)のカットオフポイント値22(μg/gCre)が得られ、そのときの特異度は84.6%、感度は88.9%であり、また、AUCは92.6%であった。
図3(c)に示したROC解析結果から明らかなように、「入院から1週間後に重症である患者」の尿中クレアチニン濃度で補正した入院時尿中L−FABP濃度(μg/gCre)のカットオフポイント値22(μg/gCre)が得られ、そのときの特異度は84.6%、感度は88.9%であり、また、AUCは92.6%であった。
図3(d)は、「入院から1週間後に重症又は中等症である患者」に対する「入院から1週間後に軽症である患者」の尿中クレアチニン濃度で補正した入院時尿中L−FABP濃度(μg/gCre)のROC解析結果を示す図である。
図3(d)に示したROC解析結果から明らかなように、「入院から1週間後に軽症である患者」の尿中クレアチニン濃度で補正した入院時尿中L−FABP濃度(μg/gCre)のカットオフポイント値9(μg/gCre)が得られ、そのときの特異度は84.4%、感度は93.8%であり、また、AUCは88.3%であった。
図3(d)に示したROC解析結果から明らかなように、「入院から1週間後に軽症である患者」の尿中クレアチニン濃度で補正した入院時尿中L−FABP濃度(μg/gCre)のカットオフポイント値9(μg/gCre)が得られ、そのときの特異度は84.4%、感度は93.8%であり、また、AUCは88.3%であった。
以上の結果から、SARS−CoV−2陽性患者のうち、重症化する患者及び重症化しない患者(軽症等にとどまる患者)の鑑別いずれについても、尿中クレアチニン濃度で補正した入院時尿中L−FABP濃度についても、図1(c)及び(d)に示した尿中クレアチニン濃度で補正しない入院時尿中L−FABP濃度のROC解析結果と同様に、AUCが大きく、精度が高く、感度及び特異度も高いことが分かる。
すなわち、尿中クレアチニン濃度で濃度補正してもしなくても(すなわち、尿の濃淡の影響を排除してもしなくても)、尿中L−FABP濃度により、精度高く、感度及び特異度も高く、COVID−19の重症化リスクを検査することができるといえる。
すなわち、尿中クレアチニン濃度で濃度補正してもしなくても(すなわち、尿の濃淡の影響を排除してもしなくても)、尿中L−FABP濃度により、精度高く、感度及び特異度も高く、COVID−19の重症化リスクを検査することができるといえる。
図3(f)は、上記58例のSARS−CoV−2陽性患者の入院時の尿中クレアチニン濃度で補正した尿中L−FABP濃度(μg/gCre)を示す図であり、左(入院時)のプロット及び右(1週間後)のプロットの同一の尿中L−FABP濃度のプロットは同一の陽性患者を示す。
また、図3(f)中、同一の陽性患者に係る左(入院時)のプロット及び右(1週間後)のプロットのいずれに対しても、入院時から1週間後の重症度の形(重症:〇、中等症:□、軽症:▽)を付している。
また、図3(f)中、入院時(左)及び入院から1週間後(右)の各時点における重症度をハッチング(模様)で区別している。同一の陽性患者に係る左(入院時)のプロット及び右(1週間後)のプロットの同一濃度のプロットにおけるハッチング(模様)を比較することにより入院時から1週間後の重症度の変化が分かる。
また、図3(f)中、カットオフポイント値(重症ケース)は、図3(c)から得られた22(μg/gCre)であり、カットオフポイント値(軽症ケース)は、図3(d)から得られた9(μg/gCre)である。
図3(f)に示した結果から明らかなように、尿中クレアチニン濃度で補正した入院時の尿中L−FABP濃度がカットオフポイント値22μg/gCre以上のプロット(患者)は、1週間後に、軽症から中等症又は重症への重症化する傾向、中等症から重症への重症化する傾向が著しく強いことが分かる。
一方、カットオフポイント値9μg/gCre以下のプロット(患者)は、一部の例外を除き、入院時も軽症であり、かつ1週間後も軽症にとどまり、重症化しない又は重症化リスクが低いといえる。
すなわち、図1(f)に示した尿中クレアチニン濃度で補正しない尿中L−FABP濃度の結果と同様の結果が得られ、尿中クレアチニン濃度で濃度補正してもしなくても、尿中L−FABP濃度により、COVID−19の重症化リスクを検査することができるといえる。
また、図3(f)中、同一の陽性患者に係る左(入院時)のプロット及び右(1週間後)のプロットのいずれに対しても、入院時から1週間後の重症度の形(重症:〇、中等症:□、軽症:▽)を付している。
また、図3(f)中、入院時(左)及び入院から1週間後(右)の各時点における重症度をハッチング(模様)で区別している。同一の陽性患者に係る左(入院時)のプロット及び右(1週間後)のプロットの同一濃度のプロットにおけるハッチング(模様)を比較することにより入院時から1週間後の重症度の変化が分かる。
また、図3(f)中、カットオフポイント値(重症ケース)は、図3(c)から得られた22(μg/gCre)であり、カットオフポイント値(軽症ケース)は、図3(d)から得られた9(μg/gCre)である。
図3(f)に示した結果から明らかなように、尿中クレアチニン濃度で補正した入院時の尿中L−FABP濃度がカットオフポイント値22μg/gCre以上のプロット(患者)は、1週間後に、軽症から中等症又は重症への重症化する傾向、中等症から重症への重症化する傾向が著しく強いことが分かる。
一方、カットオフポイント値9μg/gCre以下のプロット(患者)は、一部の例外を除き、入院時も軽症であり、かつ1週間後も軽症にとどまり、重症化しない又は重症化リスクが低いといえる。
すなわち、図1(f)に示した尿中クレアチニン濃度で補正しない尿中L−FABP濃度の結果と同様の結果が得られ、尿中クレアチニン濃度で濃度補正してもしなくても、尿中L−FABP濃度により、COVID−19の重症化リスクを検査することができるといえる。
次に、上記58例のSARS−CoV−2陽性患者の入院時の尿中クレアチニン濃度で補正した尿中L−FABP濃度のプロットであって、入院から1週間後における重症度の形及びハッチングを付したプロット(図3(f)の右のプロットに相当)を縦軸に、上記58例のSARS−CoV−2陽性患者の入院時の血清クレアチニン濃度のプロットであって、入院から1週間後における重症度の形及びハッチングを付したプロット(図1(e)又は3(e)の右のプロットに相当)を横軸に、2次元プロットした。これにより、SARS−CoV−2重症化リスクとの相関を尿中L−FABP濃度(尿中クレアチニン濃度で補正した濃度)と血清クレアチニン濃度との間での比較を更に明確化した。結果を図4に示す。
図4に示した結果から明らかなように、入院時の尿中クレアチニン濃度で補正した尿中L−FABP濃度が、カットオフポイント値22μg/gCre以上のプロット(患者)は、1週間後には重症化する傾向が著しく強いことが分かる。
一方、カットオフポイント値0.92mg/dL以上であろうとなかろうと、入院時の血清クレアチニン濃度と重症化との相関は見られないことが分かる。
一方、カットオフポイント値0.92mg/dL以上であろうとなかろうと、入院時の血清クレアチニン濃度と重症化との相関は見られないことが分かる。
<実施例3>
上記58例のSARS−CoV−2陽性患者について、発症してから入院するまで(濃度測定するまで)の日数(日)に対して、入院時の血清クレアチニン濃度(mg/dL)、尿中NAG(N−アセチル−β−D−グルコサミニダーゼ)濃度(U/L)及び尿中クレアチニン濃度で補正した尿中L−FABP濃度(μg/gCre)を、それぞれ、プロットした。
NAGは腎組織細胞中に存在するマーカー酵素であり、尿中NAG濃度(mg/dL)は一般的に腎組織の傷害の指標とされる。尿中のNAG濃度は、文献(日本臨床、第43巻、秋季臨時増刊号、第234-236頁、1985年)記載の方法に準じて測定した。
結果を図5(a)〜(c)に示す。
図中、各プロット(各患者)について入院から1週間後における重症度の形(重症:〇、中等症:□、軽症:▽)及びハッチングを付している。
上記58例のSARS−CoV−2陽性患者について、発症してから入院するまで(濃度測定するまで)の日数(日)に対して、入院時の血清クレアチニン濃度(mg/dL)、尿中NAG(N−アセチル−β−D−グルコサミニダーゼ)濃度(U/L)及び尿中クレアチニン濃度で補正した尿中L−FABP濃度(μg/gCre)を、それぞれ、プロットした。
NAGは腎組織細胞中に存在するマーカー酵素であり、尿中NAG濃度(mg/dL)は一般的に腎組織の傷害の指標とされる。尿中のNAG濃度は、文献(日本臨床、第43巻、秋季臨時増刊号、第234-236頁、1985年)記載の方法に準じて測定した。
結果を図5(a)〜(c)に示す。
図中、各プロット(各患者)について入院から1週間後における重症度の形(重症:〇、中等症:□、軽症:▽)及びハッチングを付している。
図5(a)に示した結果から明らかなように、入院時の血清クレアチニン濃度と、重症化との相関はみられないことがわかる。
同様に、図5(b)に示した結果から明らかなように、入院時の尿中NAG濃度と、重症化との相関はみられないことがわかる。
一方、図5(c)に示した結果から明らかなように、発症してから2〜10日以内においては尿中L−FABP濃度を測定するタイミングに依存せず、測定1週間後の重症化リスクを検査し得ることがわかる。
同様に、図5(b)に示した結果から明らかなように、入院時の尿中NAG濃度と、重症化との相関はみられないことがわかる。
一方、図5(c)に示した結果から明らかなように、発症してから2〜10日以内においては尿中L−FABP濃度を測定するタイミングに依存せず、測定1週間後の重症化リスクを検査し得ることがわかる。
<実施例4>
SARS−CoV−2陽性軽症者41名を対象に、入院時に、尿中L−FABPクレアチニン補正値(μg/gCre)、尿中L−FABP濃度(ng/ml)及び血清クレアチニン濃度(mg/dL)を上記と同様に測定した。また、上記軽症者41名の入院から1週間後の重症度(軽症、中等症、及び重症)を鑑別した。
結果を図6(a)〜(c)に示す。
SARS−CoV−2陽性軽症者41名を対象に、入院時に、尿中L−FABPクレアチニン補正値(μg/gCre)、尿中L−FABP濃度(ng/ml)及び血清クレアチニン濃度(mg/dL)を上記と同様に測定した。また、上記軽症者41名の入院から1週間後の重症度(軽症、中等症、及び重症)を鑑別した。
結果を図6(a)〜(c)に示す。
図6は、入院時軽症者41名の入院時尿マーカー測定値、及び、1週間後の病態進展の相関を示す図である。
図6中、入院時軽症者41名のうち1週間後も軽症である患者を「mild−mild」と付す。
また、入院時軽症者41名のうち1週間後には中等症になった患者を「mild−moderate」と付す。
また、入院時軽症者41名のうち1週間後には重症になった患者を「mild−severe」と付す。
図6中、入院時軽症者41名のうち1週間後も軽症である患者を「mild−mild」と付す。
また、入院時軽症者41名のうち1週間後には中等症になった患者を「mild−moderate」と付す。
また、入院時軽症者41名のうち1週間後には重症になった患者を「mild−severe」と付す。
図6に示した結果から明らかなように、入院時軽症者41名のうち1週間後も軽症である患者(mild−mild)は32名であった。
また、入院時軽症者41名のうち1週間後には中等症になった患者(mild−moderate)は7名であった。
また、入院時軽症者41名のうち1週間後には重症になった患者(mild−severe)は2名であった。
また、入院時軽症者41名のうち1週間後には中等症になった患者(mild−moderate)は7名であった。
また、入院時軽症者41名のうち1週間後には重症になった患者(mild−severe)は2名であった。
図6(a)は、上記「mild−mild」の患者32名の入院時の尿中L−FABPクレアチニン補正値の平均値、並びに、上記「mild−moderate」及び「mild−severe」の患者合計9名の入院時の尿中L−FABPクレアチニン補正値の平均値を示す図である。
図6(a)に示した結果から明らかなように、上記「mild−mild」の患者の尿中L−FABPクレアチニン補正値の平均値は12.8μg/gCreであるのに対し、上記「mild−moderate」及び「mild−severe」の患者の尿中L−FABPクレアチニン補正値の平均値は50.9μg/gCreであった。
この結果から、1週間後に中等症又は重症に転じる入院時軽症者の尿中L−FABPクレアチニン補正値は、1週間後も軽症にとどまる入院時軽症者の尿中L−FABPクレアチニン補正値に対して、p値<0.01で有意に高いことが分かる。
図6(a)に示した結果から明らかなように、上記「mild−mild」の患者の尿中L−FABPクレアチニン補正値の平均値は12.8μg/gCreであるのに対し、上記「mild−moderate」及び「mild−severe」の患者の尿中L−FABPクレアチニン補正値の平均値は50.9μg/gCreであった。
この結果から、1週間後に中等症又は重症に転じる入院時軽症者の尿中L−FABPクレアチニン補正値は、1週間後も軽症にとどまる入院時軽症者の尿中L−FABPクレアチニン補正値に対して、p値<0.01で有意に高いことが分かる。
図6(b)は、上記「mild−mild」の患者32名の入院時の尿中L−FABP濃度の平均値、並びに、上記「mild−moderate」及び「mild−severe」の患者合計9名の入院時の尿中L−FABP濃度の平均値を示す図である。
図6(b)に示した結果から明らかなように、上記「mild−mild」の患者の尿中L−FABP濃度の平均値は37.9ng/mlであるのに対し、上記「mild−moderate」及び「mild−severe」の患者の尿中L−FABP濃度の平均値は149.7ng/mlであった。
この結果から、1週間後に中等症又は重症に転じる入院時軽症者の尿中L−FABP濃度は、1週間後も軽症にとどまる入院時軽症者の尿中L−FABP濃度に対して、p値<0.01で有意に高いことが分かる。
図6(b)に示した結果から明らかなように、上記「mild−mild」の患者の尿中L−FABP濃度の平均値は37.9ng/mlであるのに対し、上記「mild−moderate」及び「mild−severe」の患者の尿中L−FABP濃度の平均値は149.7ng/mlであった。
この結果から、1週間後に中等症又は重症に転じる入院時軽症者の尿中L−FABP濃度は、1週間後も軽症にとどまる入院時軽症者の尿中L−FABP濃度に対して、p値<0.01で有意に高いことが分かる。
図6(c)は、上記「mild−mild」の患者32名の入院時の血清クレアチニン濃度(mg/dL)の平均値、並びに、上記「mild−moderate」及び「mild−severe」の患者合計9名の入院時の血清クレアチニン濃度(mg/dL)の平均値を示す図である。
図6(c)に示した結果から明らかなように、上記「mild−mild」の患者の血清クレアチニン濃度の平均値は0.84mg/dLであるのに対し、上記「mild−moderate」及び「mild−severe」の患者の血清クレアチニン濃度の平均値は0.91mg/dLであった。
この結果から、1週間後に中等症又は重症に転じる入院時軽症者の血清クレアチニン濃度と、1週間後も軽症にとどまる入院時軽症者の血清クレアチニン濃度との間に有意差はないことが分かる。
図6(c)に示した結果から明らかなように、上記「mild−mild」の患者の血清クレアチニン濃度の平均値は0.84mg/dLであるのに対し、上記「mild−moderate」及び「mild−severe」の患者の血清クレアチニン濃度の平均値は0.91mg/dLであった。
この結果から、1週間後に中等症又は重症に転じる入院時軽症者の血清クレアチニン濃度と、1週間後も軽症にとどまる入院時軽症者の血清クレアチニン濃度との間に有意差はないことが分かる。
<実施例5>
上記「mild−mild」(32名;対照群)に対して、上記「mild−moderate」及び「mild−severe」(9名;被判別群)の鑑別性に関し、入院時尿中L−FABPクレアチニン補正値(及び比較としての血清クレアチニン濃度)についてROC解析を行なった。結果を図7(a)及び(b)に示す。
上記「mild−mild」(32名;対照群)に対して、上記「mild−moderate」及び「mild−severe」(9名;被判別群)の鑑別性に関し、入院時尿中L−FABPクレアチニン補正値(及び比較としての血清クレアチニン濃度)についてROC解析を行なった。結果を図7(a)及び(b)に示す。
図7(a)及び(b)は、上記「mild−mild」に対する上記「mild−moderate」及び「mild−severe」の入院時尿中L−FABPクレアチニン補正値(及び比較としての血清クレアチニン濃度)のROC解析結果を示す図である。
図7(a)及び(b)に示したROC解析結果から明らかなように、上記「mild−moderate」及び「mild−severe」の入院時尿中L−FABPクレアチニン補正値のカットオフ値(感度=特異度となる値)11.228(μg/gCre)が得られ、また、AUCは0.82986(82.986%)と大きいことが分かる。
一方、血清クレアチニンでは、AUCは0.63889(63.889%)にとどまった。
すなわち、入院時に軽症であっても、1週間後には中等症又は重症に重症化するリスクを有する患者を、入院時に尿中L−FABPクレアチニン補正値を測定することにより精度高く、鑑別し得るといえる。
図7(a)及び(b)に示したROC解析結果から明らかなように、上記「mild−moderate」及び「mild−severe」の入院時尿中L−FABPクレアチニン補正値のカットオフ値(感度=特異度となる値)11.228(μg/gCre)が得られ、また、AUCは0.82986(82.986%)と大きいことが分かる。
一方、血清クレアチニンでは、AUCは0.63889(63.889%)にとどまった。
すなわち、入院時に軽症であっても、1週間後には中等症又は重症に重症化するリスクを有する患者を、入院時に尿中L−FABPクレアチニン補正値を測定することにより精度高く、鑑別し得るといえる。
<実施例6>
上記「mild−mild」(32名;対照群)に対して、上記「mild−moderate」及び「mild−severe」(9名;被判別群)の鑑別性に関し、入院時尿中L−FABP濃度(及び比較としての血清クレアチニン濃度)についてROC解析を行なった。結果を図8(a)及び(b)に示す。
上記「mild−mild」(32名;対照群)に対して、上記「mild−moderate」及び「mild−severe」(9名;被判別群)の鑑別性に関し、入院時尿中L−FABP濃度(及び比較としての血清クレアチニン濃度)についてROC解析を行なった。結果を図8(a)及び(b)に示す。
図8(a)及び(b)は、上記「mild−mild」に対する上記「mild−moderate」及び「mild−severe」の入院時尿中L−FABP濃度(及び比較としての血清クレアチニン濃度)のROC解析結果を示す図である。
図8(a)及び(b)に示したROC解析結果から明らかなように、上記「mild−moderate」及び「mild−severe」の入院時尿中L−FABP濃度のカットオフ値(感度=特異度となる値)32.50ng/mlが得られ、また、AUCは0.84896(84.896%)と大きいことが分かる。
一方、血清クレアチニンでは、AUCは0.63889(63.889%)にとどまった。
すなわち、入院時に軽症であっても、1週間後には中等症又は重症に重症化するリスクを有する軽症患者を、入院時に尿中L−FABP濃度を測定することにより精度高く、鑑別し得るといえる。
図8(a)及び(b)に示したROC解析結果から明らかなように、上記「mild−moderate」及び「mild−severe」の入院時尿中L−FABP濃度のカットオフ値(感度=特異度となる値)32.50ng/mlが得られ、また、AUCは0.84896(84.896%)と大きいことが分かる。
一方、血清クレアチニンでは、AUCは0.63889(63.889%)にとどまった。
すなわち、入院時に軽症であっても、1週間後には中等症又は重症に重症化するリスクを有する軽症患者を、入院時に尿中L−FABP濃度を測定することにより精度高く、鑑別し得るといえる。
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