JP2021533736A - 細胞培養基材 - Google Patents

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Abstract

本発明は、細胞接着性および抗血栓性をバランスよく両立できる手段を提供する。高分子基材の少なくとも一方の面に、5〜65モル%の式(1)のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位(1)および95〜35モル%の式(2)のフルフリル(メタ)アクリレート由来の構成単位(2)を有する共重合体(構成単位(1)および構成単位(2)の合計は100モル%である)を含む被覆層を有する、細胞培養基材が提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、細胞接着性に優れる細胞培養基材ならびに当該細胞培養基材を用いるバイオリアクターおよび幹細胞の培養方法に関する。
近年、再生医療や創薬の開発に際し、細胞培養技術が用いられている。特に幹細胞の使用に注目が集まっており、ドナー細胞から増殖した幹細胞を用いることにより、損傷や欠陥のある組織を修復・置換する技術が盛んに研究されている。ヒトを含め動物の細胞のほとんどは、浮遊状態では生存できず、何かに接着した状態で生存する接着(足場依存)性細胞である。このため、接着(足場依存)性細胞を高密度に培養して、生体組織と類似した培養組織を得るための機能的な培養基材の開発が様々行われている。
細胞培養基材としては、従来、プラスチック(例:ポリスチレン)やガラスの容器が使用されてきたが、これらの細胞容器の表面にプラズマ処理などを施すことが報告されている。当該処理がなされた基材は、細胞との接着性に優れ、細胞の増殖および機能維持を行うことができる。
一方、細胞培養基材(細胞培養容器)の構造は、従来の平面な皿(プレート)構造以外に、バッグ内に培養足場として多孔体を挿入した構造、中空糸(ホローファイバー)構造、スポンジ構造、綿状(ガラスウール)構造、複数のディッシュを積層した構造など、多様化が進んでいる。このように構造が多様化・複雑化した培養容器に対しては、プラズマ照射を行うことが困難もしくは不可能である。
そこで、細胞との接着性(細胞接着性)、および細胞の増殖を促す性質(細胞増殖性)を有する高分子を用いる技術が提案されている。例えば、非特許文献1には、テトラヒドロフルフリルアクリレートのホモポリマー(PTHFA;ポリテトラヒドロフルフリルアクリレート)やメトキシエチルアクリレートのホモポリマー(PMEA;ポリメトキシエチルアクリレート)で被覆したPET基材が臍静脈内皮細胞や大動脈内皮細胞に対して細胞接着性を有するが、血小板に対しては接着しないことが開示されている。
Colloids and Surfaces B; Biointerfaces 145 (2016) 586-596
非特許文献1に開示されたように、ポリメトキシエチルアクリレート(PMEA)やポリテトラヒドロフルフリルアクリレート(PTHFA)は、ポリマーを被覆しないPET基材に比べると、細胞培養基材に細胞接着性および抗血栓性を付与することができる。そして、このような高分子は、塗布操作性に優れることから、上記のような複雑化した構造を有する細胞培養基材であっても、細胞接着性を付与することができる。
一方、近年、幹細胞の培養や人工血管の開発において、より高い細胞接着性や抗血栓性が求められており、上記したような高分子では双方の特性を同時に満足しきれない。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、高分子を用いて細胞培養基材(細胞培養容器)を被覆する技術において、細胞接着性および抗血栓性をバランスよく両立できる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、特定の組成および構造を有するアルコキシアルキル(メタ)アクリレート−フルフリル(メタ)アクリレート共重合体を用いて細胞培養基材(高分子基材)表面を被覆することによって、上記課題を解決できることを知得した。本発明は、上記知見に基づいて完成した。
すなわち、上記諸目的は、高分子基材の少なくとも一方の面に、5〜65モル%の下記式(1)のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位(1)および95〜35モル%の下記式(2)のフルフリル(メタ)アクリレート由来の構成単位(2)を有する共重合体(構成単位(1)および構成単位(2)の合計は100モル%である)を含む被覆層を有する、細胞培養基材によって達成できる。
Figure 2021533736
式(1)中、Rは、水素原子またはメチル基であり、Rは、炭素原子数2〜3のアルキレン基であり、Rは、炭素原子数1〜3のアルキル基である;
Figure 2021533736
式(2)中、Rは、水素原子またはメチル基であり、Rは、下記式(2−1)または下記式(2−2):
Figure 2021533736
式(2−1)および式(2−2)中、Rは、炭素原子数1〜3のアルキレン基である;
で表される基である。
図1は、本発明のバイオリアクター(中空糸型バイオリアクター)の一実施形態を示す部分側面図である。 図2は、図1のバイオリアクターの一部切欠側面図である。
本発明の細胞培養基材は、高分子基材の少なくとも一方の面に、5〜65モル%の下記式(1)のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位(1)および95〜35モル%の下記式(2)のフルフリル(メタ)アクリレート由来の構成単位(2)を有する共重合体(構成単位(1)および構成単位(2)の合計は100モル%である)を含む被覆層を有する。
Figure 2021533736
ただし、Rは、水素原子またはメチル基であり、Rは、炭素原子数2〜3のアルキレン基であり、Rは、炭素原子数1〜3のアルキル基である;
Figure 2021533736
ただし、Rは、水素原子またはメチル基であり、Rは、下記式(2−1)または下記式(2−2):
Figure 2021533736
ただし、Rは、炭素原子数1〜3のアルキレン基である;
で表される基である。
本発明に係る共重合体によれば、細胞接着性および抗血栓性双方をバランスよく有する細胞培養基材(細胞培養容器)を提供できる。
本明細書において、上記式(1)のアルコキシアルキル(メタ)アクリレートを単に「アルコキシアルキル(メタ)アクリレート」とも称する。また、上記式(1)のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位(1)を単に「アルコキシアルキル(メタ)アクリレート構成単位」または「構成単位(1)」とも称する。また、上記式(2)のフルフリル(メタ)アクリレートを単に「フルフリル(メタ)アクリレート」とも称する。また、上記式(2)のフルフリル(メタ)アクリレート由来の構成単位(2)を単に「フルフリル(メタ)アクリレート構成単位」または「構成単位(2)」とも称する。さらに、構成単位(1)及び構成単位(2)を有する共重合体を単に「共重合体」または「本発明に係る共重合体」とも称する。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートの双方を包含する。同様にして、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタクリル酸の双方を包含し、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイルおよびメタクリロイルの双方を包含する。
本発明の細胞培養基材は、本発明に係る共重合体を含む被覆層が高分子基材の少なくとも一方の面に形成されてなることを特徴とする。上記共重合体を用いて形成される被膜(被覆層)は、細胞接着性および抗血栓性を優れたバランスで有する。また、上記共重合体を用いて形成される被膜(被覆層)は、細胞増殖性(細胞伸展性)にも優れる。ここで、本発明の構成による上記作用効果の発揮のメカニズムは以下のように推測される。なお、本発明は下記推測に限定されるものではない。
従来、細胞接着性を付与する手段としては、フィブロネクチン、ラミニン、コラーゲン等の細胞接着因子を基材に塗布する方法、プラズマ、ガンマ線、電子による処理を基材に施す方法などがある。これらのうち、前者の方法は、細胞接着因子が高価である、天然物質であるため再使用することが通常できない等の問題がある。また、後者の方法は、プラズマ処理は特に優れた細胞接着性を基材に付与することが可能である。一方、近年、バッグ内に培養足場として多孔体を挿入した構造、中空糸(ホローファイバー)構造、スポンジ構造、綿状(ガラスウール)構造、複数のディッシュを積層した構造が好適な培養足場として使用される。しかし、後者の方法は、このように多様化・複雑化した構造に対しては、適用が困難もしくは不可能であるという問題がある。現在、これらの複雑な構造は、培養足場として優れているという観点から、かような培養足場にプラズマ処理と同等またはそれを超える細胞接着性を付与する手段が求められる。
ここで、非特許文献1によると、ポリテトラヒドロフルフリルアクリレート(PTHFA)またはポリメトキシエチルアクリレート(PMEA)の被膜は細胞接着性および抗血栓性を有することが開示される。ポリテトラヒドロフルフリルアクリレート(PTHFA)の被膜は確かに細胞接着性に優れている。しかしながら、所望の細胞をより効率よく回収したいとの要望に応えるためには、より高い細胞接着性が求められている。また、本発明者らが検討したところ、ポリテトラヒドロフルフリルアクリレート(PTHFA)の被膜は用途(例えば、バイオリアクター、人工血管)によっては十分な抗血栓性を有しているとは言い難い。また、ポリメトキシエチルアクリレート(PMEA)の被膜は、確かに優れた抗血栓性を有するものの、細胞接着性はポリテトラヒドロフルフリルアクリレート(PTHFA)に比べるとかなり劣り、用途(例えば、バイオリアクター、人工血管)によっては十分な細胞接着性を有しているとは言い難い。このように、細胞接着性および抗血栓性にバランスよく優れる高分子の開発は希求されているものの、現実にはこのような高分子が得られていない。
上記事情をかんがみて、本発明者らは、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとフルフリル(メタ)アクリレートとの共重合体の細胞接着性および抗血栓性を評価したところ、特定組成において、細胞接着性および抗血栓性をバランスよく発揮できることを初めて見出した。また、本発明者らは、これらの共重合体が細胞増殖性(細胞伸展性)に優れることをも見出した。
この詳細なメカニズムは不明であるものの、以下のように推測される。すなわち、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位は、基材に優れた抗血栓性を付与することはできるものの、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートのホモポリマーの被膜は、細胞は接着するものの、伸展、増殖しにくいため、基材に優れた細胞接着・増殖性を付与する効果に劣る。これに対して、フルフリル(メタ)アクリレートのホモポリマーの被膜は、接着した細胞が伸展、増殖しやすいため、基材に優れた細胞接着・増殖性を付与することができるものの、抗血栓性に劣る。しかし、フルフリル(メタ)アクリレート由来の構成単位の組成を95〜35モル%とすることで、細胞と基材との接触面を増加させ、接着した細胞の伸展、増殖を促進させる一方、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の組成を5〜65モル%とすることで、基材に適度な抗血栓性(血小板の粘着/付着の抑制・防止効果、および血小板の活性化の抑制・防止効果)を付与し、本発明に係る共重合体で形成される被膜(被覆層)は、細胞接着性(さらには細胞増殖性)と抗血栓性とのバランスに優れるのではないかと推測される。その結果、本発明に係る共重合体を含む被覆層は、適度な抗血栓性(血小板の粘着/付着の抑制・防止効果、および血小板の活性化の抑制・防止効果)、特に血小板の粘着/付着の抑制・防止効果を発揮しつつ、優れた細胞接着性さらには細胞増殖性(細胞伸展性)を発揮できる。なお、下記実施例において、メトキシエチルアクリレートのホモポリマーの被膜がテトラヒドロフルフリルアクリレートのホモポリマーの被膜の5割強の細胞接着性しかないが示されている(下記表1中の比較例6と比較例9との比較)。一方、本発明に係る共重合体の一例であるテトラヒドロフルフリルアクリレートとメトキシエチルアクリレートとの共重合体の被膜は、テトラヒドロフルフリルアクリレートのホモポリマーの被膜に比して、細胞接着性が有意に向上できることが示されている(下記表1中の実施例5〜8と比較例6との比較)。ある単量体Aと細胞接着性に劣る単量体Bとの共重合体の被膜は単量体Aのホモポリマーの被膜に比して細胞接着性が低下すると一般的に考えられることをかんがみると、上記結果は非常に驚くべきものである。
さらに、本発明によれば、共重合体を溶媒に溶解した溶液を高分子基材表面に塗布することにより被覆層を形成できる。このため、様々な形状・設計の細胞培養基材(細胞培養容器)対しても被覆層(細胞接着層)を容易に形成できる。
したがって、本発明の細胞培養基材は、血液成分を含むサンプルを用いた場合であっても、血液成分(特に血小板)の粘着/付着を抑制・防止し、所望の細胞(特に幹細胞)を選択的に接着・培養できる。
以下、本発明の好ましい実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は、XおよびYを含み、「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で測定する。
<細胞培養基材>
本発明の細胞培養基材は、高分子基材の少なくとも一方の面に、上記共重合体を含む被覆層が形成されてなる。本発明に係る共重合体を含む被覆層は、細胞接着性および抗血栓性をバランスよく発揮できる。また、本発明に係る共重合体を含む被覆層は、細胞伸展性(細胞増殖性)にも優れる。加えて、被覆層は、共重合体を溶媒に溶解し、この溶液を高分子基材表面に塗布することによって簡便に形成できる。このため、本発明に係る共重合体を使用することにより、細胞培養基材(細胞培養容器)の形状・設計によらず、基材表面に抗血栓性および細胞接着性(さらには細胞増殖性)をバランスよく付与する被覆層(細胞接着層)を形成できる。
[共重合体]
本発明に係る共重合体は、5〜65モル%の式(1)で表されるアルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位(1)および95〜35モル%の式(2)で表されるフルフリル(メタ)アクリレート由来の構成単位(2)を有する。ここで、構成単位(1)および構成単位(2)の合計は100モル%である。
共重合体は、構成単位(1)および構成単位(2)、ならびに必要であれば下記に詳述する他のモノマー由来の構成単位を有する。ここで、各構成単位の配置は、特に制限されず、ブロック状(ブロック共重合体)でもよいしランダム状(ランダム共重合体)でもよいし交互状(交互共重合体)でもよい。
アルコキシアルキル(メタ)アクリレート(構成単位(1))は、基材に抗血栓性を付与する。また、フルフリル(メタ)アクリレート(構成単位(2))は、基材に細胞接着性を付与する。加えて、フルフリル(メタ)アクリレート(構成単位(2))は、細胞伸展(細胞増殖)性を基材に付与すると推測される。特にアルコキシアルキル(メタ)アクリレート(構成単位(1))とフルフリル(メタ)アクリレート(構成単位(2))とを特定比率で組み合わせることによって、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートのホモポリマーまたはフルフリル(メタ)アクリレートのホモポリマーに比して、細胞接着性が有意に向上できる(相乗効果がある)。上記に加えて、共重合体の溶液を高分子基材表面に塗布することによって、様々な形状の基材に対しても被覆層を簡便に形成できる。このため、本発明に係る共重合体であれば、様々な形状・設計の細胞培養基材(細胞培養容器)対して、抗血栓性および細胞接着性(さらには細胞増殖性)に優れた被覆層(細胞接着層)を形成できる。
本発明に係る共重合体を構成する構成単位(1)は、構成単位(1)および構成単位(2)の合計(100モル%)に対して、5〜65モル%であり、構成単位(2)は、構成単位(1)および構成単位(2)の合計(100モル%)に対して、95〜35モル%である。ここで、構成単位(1)の組成が5モル%未満であると、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート(構成単位(1))による効果(抗血栓性)が発揮されない(下記表2中の比較例16参照)。他方、構成単位(1)の組成が65モル%を超えると、フルフリル(メタ)アクリレート(構成単位(2))による効果(細胞接着性促進(向上)効果、さらには細胞増殖性付与効果)が発揮されず、フルフリル(メタ)アクリレートのホモポリマーより細胞接着性が低下してしまう(下記表1中の比較例7〜9参照)。
細胞接着性(さらには細胞増殖性)と抗血栓性とのバランスのさらなる向上などの観点から、構成単位(1)は、構成単位(1)および構成単位(2)の合計に対して、10〜60モル%であり、かつ構成単位(2)は、構成単位(1)および構成単位(2)の合計に対して、90〜40モル%であることが好ましい。より好ましくは、構成単位(1)は、構成単位(1)および構成単位(2)の合計に対して、30〜60モル%であり、かつ構成単位(2)は、構成単位(1)および構成単位(2)の合計に対して、70〜40モル%である。特に好ましくは、構成単位(1)は、構成単位(1)および構成単位(2)の合計に対して、40〜60モル%であり、かつ構成単位(2)は、構成単位(1)および構成単位(2)の合計に対して、60〜40モル%である。すなわち、本発明の好ましい形態によると、共重合体が、10〜60モル%の式(1)のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位(1)および90〜40モル%の式(2)のフルフリル(メタ)アクリレート由来の構成単位(2)を有する共重合体(構成単位(1)および構成単位(2)の合計は100モル%である)である。本発明のより好ましい形態によると、共重合体が、30〜60モル%の式(1)のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位(1)および70〜40モル%の式(2)のフルフリル(メタ)アクリレート由来の構成単位(2)を有する共重合体(構成単位(1)および構成単位(2)の合計は100モル%である)である。本発明の特に好ましい形態によると、共重合体が、40〜60モル%の式(1)のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位(1)および60〜40モル%の式(2)のフルフリル(メタ)アクリレート由来の構成単位(2)を有する共重合体(構成単位(1)および構成単位(2)の合計は100モル%である)である。
本発明に係る共重合体は、構成単位(1)及び構成単位(2)を必須に含むが、構成単位(1)及び構成単位(2)に加えて、他のモノマーに由来する構成単位をさらに有していてもよい。ここで、他のモノマーは、所望の特性(抗血栓性、細胞接着性および/または細胞増殖性)を阻害しないものであれば特に制限されない。具体的には、他のモノマーとしては、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、エチレン、プロピレン、N−ビニルアセトアミド、N−イソプロペニルアセトアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン等がある。共重合体が他のモノマーに由来する構成単位をさらに有する場合の他のモノマーに由来する構成単位の組成は、所望の特性(抗血栓性、細胞接着性、細胞増殖性)を阻害しないものであれば特に制限されないが、構成単位(1)及び構成単位(2)の合計に対して、0モル%を超えて10モル%未満であることが好ましく、3〜8モル%程度であることがより好ましい。
抗血栓性、細胞接着性(さらには細胞増殖性)を向上させる目的から、共重合体は、他のモノマーに由来する構成単位を含まない、すなわち、本発明に係る共重合体が構成単位(1)及び構成単位(2)のみから構成されることが好ましい。すなわち、本発明の好ましい形態によると、共重合体は、前記構成単位(1)および前記構成単位(2)から構成される。したがって、本発明のより好ましい形態によると、共重合体は、構成単位(1)は、10〜60モル%の前記構成単位(1)および90〜40モル%の前記構成単位(2)からなる共重合体(前記構成単位(1)および前記構成単位(2)の合計は100モル%である)である。このような組成の共重合体の被膜は、抗血栓性および細胞接着性(さらには細胞増殖性)をより良好なバランスで有する。本発明のさらにより好ましい形態によると、共重合体は、構成単位(1)は、30〜60モル%の前記構成単位(1)および70〜40モル%の前記構成単位(2)からなる共重合体(前記構成単位(1)および前記構成単位(2)の合計は100モル%である)である。このような組成の共重合体の被膜は、抗血栓性および細胞接着性(さらには細胞増殖性)をさらにより良好なバランスを有する。本発明の特に好ましい形態によると、共重合体は、構成単位(1)は、40〜60モル%の前記構成単位(1)および60〜40モル%の前記構成単位(2)からなる共重合体(前記構成単位(1)および前記構成単位(2)の合計は100モル%である)である。このような組成の共重合体の被膜は、抗血栓性をさらに向上できる。
構成単位(1)は、下記式(1)のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来である。なお、共重合体を構成する構成単位(1)は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。すなわち、構成単位(1)は、1種単独の下記式(1)のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位のみから構成されても、あるいは下記式(1)のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の2種以上の構成単位から構成されてもよい。なお、後者の場合、各構成単位は、ブロック状に存在しても、ランダム状に存在してもよい。また、構成単位(1)が下記式(1)のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の2種以上の構成単位から構成される場合には、上記構成単位(1)の組成は、構成単位(1)および構成単位(2)の合計に対する、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の合計の割合(モル比(モル%))である。
Figure 2021533736
上記式(1)中、Rは、水素原子またはメチル基である。Rは、炭素原子数2〜3のアルキレン基である。ここで、炭素原子数2〜3のアルキレン基としては、エチレン基(−CHCH−)、トリメチレン基(−CHCHCH−)、及びプロピレン基(−CH(CH)CH−または−CHCH(CH)−)がある。これらのうち、抗血栓性のさらなる向上、抗血栓性と細胞接着性(さらには細胞増殖性)とのより良好なバランスなどの観点から、Rは、エチレン基(−CHCH−)、プロピレン基が好ましく、エチレン基(−CHCH−)がより好ましい。また、Rは、炭素原子数1〜3のアルキル基である。ここで、炭素原子数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、及びイソプロピル基がある。これらのうち、抗血栓性と細胞接着性(さらには細胞増殖性)とのより良好なバランスなどの観点から、Rは、メチル基、エチル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
すなわち、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、メトキシメチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、メトキシプロピルアクリレート、エトキシメチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、エトキシプロピルアクリレート、エトキシブチルアクリレート、プロポキシメチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、メトキシブチルアクリレート、メトキシメチルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、エトキシメチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、プロポキシメチルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート等がある。これらのうち、細胞接着性(さらには細胞増殖性)のさらなる向上などの観点から、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレートであることが好ましく、メトキシエチル(メタ)アクリレートであることがより好ましく、メトキシエチルアクリレート(MEA)であることが特に好ましい。
構成単位(2)は、下記式(2)のフルフリル(メタ)アクリレート由来である。なお、共重合体を構成する構成単位(2)は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。すなわち、構成単位(2)は、1種単独の下記式(2)のフルフリル(メタ)アクリレート由来の構成単位のみから構成されても、あるいは下記式(2)のフルフリル(メタ)アクリレート由来の2種以上の構成単位から構成されてもよい。なお、後者の場合、各構成単位は、ブロック状に存在しても、ランダム状に存在してもよい。また、構成単位(2)が下記式(2)のフルフリル(メタ)アクリレート由来の2種以上の構成単位から構成される場合には、上記構成単位(2)の組成は、構成単位(1)および構成単位(2)の合計に対する、フルフリル(メタ)アクリレート由来の構成単位の合計の割合(モル比(モル%))である。
Figure 2021533736
上記式(2)中、Rは、水素原子またはメチル基である。
また、Rは、下記式(2−1)または下記式(2−2):
Figure 2021533736
で表される基である。これらのうち、細胞接着性(さらには細胞増殖性)のさらなる向上、抗血栓性と細胞接着性(さらには細胞増殖性)とのより良好なバランスなどの観点から、上記式(2−1)で表される基であることが好ましい。
上記式(2−1)および式(2−2)中、Rは、炭素原子数1〜3のアルキレン基である。ここで、炭素原子数1〜3のアルキレン基としては、メチレン基(−CH−)、エチレン基(−CHCH−)、トリメチレン基(−CHCHCH−)、及びプロピレン基(−CH(CH)CH−または−CHCH(CH)−)がある。これらのうち、細胞接着性(さらには細胞増殖性)のさらなる向上、抗血栓性と細胞接着性(さらには細胞増殖性)とのより良好なバランスなどの観点から、Rは、メチレン基(−CH−)、エチレン基(−CHCH−)が好ましく、メチレン基(−CH−)がより好ましい。
すなわち、フルフリル(メタ)アクリレートとしては、テトラヒドロフルフリルアクリレート、5−[2−(アクリロイルオキシ)エチル]テトラヒドロフラン、アクリル酸2−フリルメチル、5−[2−(アクリロイルオキシ)エチル]フラン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、5−[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]テトラヒドロフラン、メタクリル酸2−フリルメチル、5−[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]フラン等がある。これらのうち、細胞接着性(さらには細胞増殖性)のさらなる向上などの観点から、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートであることが好ましく、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)であることがより好ましい。
本発明に係る共重合体の重量平均分子量(Mw)は、特に制限されないが、好ましくは50,000〜1,000,000である。上記範囲内であれば、共重合体の溶媒に対する溶解性が向上し、基材への塗布を均一に行いやすくなる。共重合体の重量平均分子量は、塗膜形成性を向上させるという観点から、より好ましくは100,000〜500,000、特に好ましくは250,000〜400,000である。本明細書において、「重量平均分子量(Mw)」は、標準物質としてポリスチレンを、移動相としてテトラヒドロフラン(THF)をそれぞれ使用するゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography、GPC)により測定した値を採用するものとする。具体的には、共重合体をテトラヒドロフラン(THF)に10mg/mlの濃度となるように溶解し、試料を調製する。このようにして調製された試料について、GPCシステムLC−20((株)島津製作所製)にGPCカラムLF−804(昭和電工(株)製)を取り付け、移動相としてTHFを流し、標準物質としてポリスチレンを用いて、共重合体のGPCを測定する。標準ポリスチレンで較正曲線を作製した後、この曲線に基づいて共重合体の重量平均分子量(Mw)を算出する。
本発明に係る共重合体は、特に制限されず、例えば、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、リビングラジカル重合法、マクロ開始剤を用いた重合法、重縮合法等など、従来公知の重合法を適用して作製可能である。具体的には、例えば、本発明に係る共重合体がブロック共重合体である場合には、リビングラジカル重合法またはマクロ開始剤を用いた重合法が好ましく使用される。リビングラジカル重合法としては、特に制限されないが、例えば特開平11−263819号公報、特開2002−145971号公報、特開2006−316169号公報等に記載される方法、ならびに原子移動ラジカル重合(ATRP)法などが、同様にしてあるいは適宜修飾して適用できる。
または、例えば、本発明に係る共重合体がランダム共重合体である場合には、上記式(1)のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート及び上記式(2)のフルフリル(メタ)アクリレートならびに必要であればこれらと共重合し得る単量体(他のモノマー、共重合性単量体)の一種または二種以上とを重合溶媒中で重合開始剤と共に撹拌して、単量体溶液を調製し、上記単量体溶液を加熱することにより、共重合させる方法が好ましく使用される。上記方法において、単量体溶液の調製で使用できる重合溶媒は、上記使用される単量体を溶解できるものであれば特に制限されない。例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール、ポリエチレングリコール類などの水性溶媒;トルエン、キシレン、テトラリン等の芳香族系溶媒;及びクロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒などが挙げられる。これらのうち、単量体の溶解しやすさなどを考慮すると、メタノールが好ましい。また、単量体溶液中の単量体濃度は、特に制限されないが、単量体溶液中の単量体濃度は、通常15〜60重量%であり、より好ましくは20〜50重量%であり、特に好ましくは25〜45重量%である。なお、上記単量体濃度は、上記式(1)のアルコキシアルキル(メタ)アクリレートおよび上記式(2)のフルフリル(メタ)アクリレートならびに使用する際にはこれらと共重合し得る単量体(他のモノマー、共重合性単量体)の合計濃度を意味する。
重合開始剤は特に制限されず、公知のものを使用すればよい。好ましくは、重合安定性に優れる点で、ラジカル重合開始剤であり、具体的には、過硫酸カリウム(KPS)、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;過酸化水素、t−ブチルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジスルフェートジハイドレート、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン)]ハイドレート、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−アミルパーオキシネオデカノエート、t−アミルパーオキシピバレート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(セカンダリーブチル)パーオキシジカーボネート、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ化合物が挙げられる。また、例えば、上記ラジカル重合開始剤に、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸等の還元剤を組み合わせてレドックス系開始剤として用いてもよい。重合開始剤の配合量は、単量体合計量1モルに対して、0.0005〜0.005モルが好ましい。このような重合開始剤の配合量であれば、各単量体の共重合が効率よく進行する。
上記重合開始剤は、上記式(1)のアルコキシアルキル(メタ)アクリレートおよび上記式(2)のフルフリル(メタ)アクリレートならびに使用する際にはこれらと共重合し得る単量体(他のモノマー、共重合性単量体;以下、同様)と、重合溶媒とそのまま混合されてもよいが、予め他の溶媒に溶解した溶液の形態で単量体及び重合溶媒と混合されてもよい。後者の場合、他の溶媒としては、重合開始剤を溶解できるものであれば特に制限されないが、上記重合溶媒と同様の溶媒が例示できる。また、他の溶媒は、上記重合溶媒と同じであってもまたは異なってもよいが、重合の制御のしやすさなどを考慮すると、上記重合溶媒と同じ溶媒であることが好ましい。また、この場合の他の溶媒における重合開始剤の濃度は、特に制限されないが、混合のしやすさなどを考慮すると、重合開始剤の添加量が、他の溶媒100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。
また、重合開始剤を溶液の形態で使用する場合には、単量体(アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート及び必要に応じて用いられる共重合性単量体)を重合溶媒に溶解した溶液を、重合開始剤溶液の添加前に予め脱気処理を行ってもよい。脱気処理は、例えば、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスにて、上記溶液を0.5〜5時間程度バブリングすればよい。脱気処理の際は、上記溶液を30℃〜80℃程度、好ましくは下記の重合工程における重合温度に調温してもよい。
次に、上記単量体溶液を加熱することにより、各単量体を共重合する。ここで、共重合方法は、例えば、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などの公知の重合方法が採用でき、好ましくは製造が容易なラジカル重合を使用する。
重合条件は、上記式(1)のアルコキシアルキル(メタ)アクリレートおよび上記式(2)のフルフリル(メタ)アクリレートならびに使用する際にはこれらと共重合し得る単量体(他のモノマー、共重合性単量体)が共重合できる条件であれば特に制限されない。具体的には、共重合温度は、好ましくは30〜80℃であり、より好ましくは40℃〜55℃である。また、共重合時間は、好ましくは1〜24時間であり、好ましくは5〜12時間である。上記したような条件であれば、各単量体の共重合が効率よく進行する。また、重合工程におけるゲル化を有効に抑制・防止すると共に、高い製造効率を達成できる。
また、必要に応じて、連鎖移動剤、重合速度調整剤、界面活性剤、およびその他の添加剤を、重合の際に適宜使用してもよい。
重合反応を行う雰囲気は特に制限されるものではなく、大気雰囲気下、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気等で行うこともできる。また、重合反応中は、反応液を攪拌してもよい。
重合後の重合体は、再沈澱法(析出法)、透析法、限外濾過法、抽出法など一般的な精製法により精製することができる。
精製後の重合体は、凍結乾燥、減圧乾燥、噴霧乾燥、または加熱乾燥等、任意の方法によって乾燥することもできるが、重合体の物性に与える影響が小さいという観点から、凍結乾燥または減圧乾燥が好ましい。
[高分子基材]
本発明では、高分子基材の少なくとも一方の面に、本発明に係る共重合体を含む被覆層が形成される。ここで、被覆層は、高分子基材の細胞が接触する(例えば、細胞を含む液を流す、細胞を培養する)側の面に少なくとも形成される。また、被覆層は高分子基材表面全体に形成される必要はない。被覆層は、細胞が接触する(例えば、細胞を含む液を流す、細胞を培養する)高分子基材表面部分(一部)に形成されればよいが、細胞接着性(さらには細胞増殖性)のさらなる向上効果、および(特に血液サンプルを使用する場合には)抗血栓性の観点から、被覆層が、細胞が接触する(例えば、細胞を含む液を流す、細胞を培養する)側の高分子基材表面全体に形成されることが好ましい。
ここで、高分子基材の構造は、限定されず、平面構造に加えて、多孔体を挿入した構造、中空糸構造、多孔質膜構造、スポンジ構造、綿状(ガラスウール)構造など様々な構造(形状)に設計することが可能である。後述するように、本発明の細胞培養基材はバイオリアクター、特に中空糸型バイオリアクターに好適に使用できる。このため、高分子基材は中空糸を有することが好ましく、複数の中空糸から構成される多孔質膜であることがより好ましい。すなわち、本発明の好ましい形態によると、高分子基材は多孔質膜である。高分子基材が多孔質膜である際の多孔質膜を構成する中空糸の内径(直径)は、特に制限されないが、好ましくは50〜1,000μm、より好ましくは100〜500μm、特に好ましくは150〜350μm程度である。多孔質膜を構成する中空糸の外径(直径)は、特に制限されないが、好ましくは100〜1,200μm、より好ましくは150〜700μm、特に好ましくは200〜500μm程度である。高分子基材が多孔質膜である際の多孔質膜を構成する中空糸の長さは、特に制限されないが、好ましくは50〜900mm、より好ましくは100〜700mm、特に好ましくは150〜500mm程度である。高分子基材が多孔質膜である際の多孔質膜を構成する中空糸の数は、特に制限されないが、例えば、約1,000〜100,000本、より好ましくは3,000〜50,000本、特に好ましくは5,000〜25,000本程度である。一実施形態においては、高分子基材は、平均長約295mm、平均内径215μm、平均外径315μmの中空糸約9000本から構成される。ここで、被覆層は、中空糸膜の内面または外面に形成されてもよいが、内面(内腔)表面に形成されることが好ましい。
中空糸および多孔質膜の製造方法は、特に制限されず、公知の製造方法が同様にしてあるいは適宜修飾して適用できる。例えば、中空糸は、延伸法または固液相分離法により壁に微細孔が形成されてなることが好ましい。
高分子基材を構成する材料もまた特に限定されない。具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリテロラフルオロエチレン、セルロースアセテート等の疎水性高分子材料などが挙げられる。また、高分子基材は、ポリアミドとポリアリールエーテルスルホンとポリビニルピロリドンの混合物(PA/PAES/PVP)等の半透過性の生体適合性ポリマー材料から作製されてもよい。このような半透過性膜によって、栄養、廃棄物、溶存ガスは膜を通じて中空糸の毛細管外側(EC空間)と中空糸の毛細管内側(IC空間)との間で移動可能となる。中空糸膜の分子移動特性は、代謝廃棄生成物が膜を通じて中空糸内腔側に拡散して取り出されるようにすると同時に、細胞成長に必要とされる高価な試薬(成長因子、サイトカイン等)の中空糸からの損失を最小限にするように選択してもよい。高分子基材がPA/PAES/PVPから形成される中空糸である場合には、中空糸の外側層は一定の表面粗さを有する開孔構造を有していてもよい。細孔の開口(直径)は、特に制限されないが、約0.5〜約3μmの範囲であり、中空糸の外側表面の細孔数は1平方ミリメートル(1mm)当たり約10,000から約150,000の範囲であってもよい。ここで、中空糸の外側層の厚みは、特に制限されないが、例えば、約1〜約10μmの範囲である。中空糸は、外側に次の層(第2層)を有していてもよく、この際、次の層(第2層)は、約1〜約15μmの厚さのスポンジ構造を有することが好ましい。このような構造を有する第2層は、前記外側層の支持体として機能できる。また、本形態において、中空糸は、上記第2層の外側にさらに次の層(第3層)を有していてもよく、この際、さらなる次の層(第3層)は、指状構造を有することが好ましい。このような構造を有する第3層であれば、機械的安定性が得られる。また、分子の膜移動抵抗が低くなるような高い空隙容量を提供できる。本形態において、使用中は、指状空隙は流体で満たされ、該流体によって、拡散及び対流における抵抗は、空隙容量が小さいスポンジ充填(sponge-filled)構造を有するマトリックスの場合よりも、低くなる。この第3層は、好ましくは約20〜約60μmの厚さを有する。
または、高分子基材は、約65重量%から約95重量%の少なくとも一種の疎水性ポリマーと、約5重量%から約35重量%の少なくとも一種の親水性ポリマーと、を有してもよい。この際、疎水性ポリマーと親水性ポリマーとの合計量は、100重量%である。ここで、疎水性ポリマーとしては、特に制限されないが、例えば、ポリアミド(PA)、ポリアラミド(PAA)、ポリアリールエーテルスルホン(PAES)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PSU)、ポリアリールスルホン(PASU)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテル、ポリウレタン(PUR)、ポリエーテルイミド及びポリエーテルスルホン;ならびにポリアリールエーテルスルホンとポリアミドとの混合物などがある。これらの疎水性ポリマーは、1種単独であっても、2種以上の混合物の形態であってもよい。また、親水性ポリマーとしては、特に制限されないが、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリグリコールモノエステル(polyglycolmonoester)、水溶性セルロース誘導体、ポリソルベート、ポリエチレン−ポリプロピレンオキサイド共重合体などがある。これらの親水性ポリマーは、1種単独であっても、2種以上の混合物の形態であってもよい。
高分子基材表面に本発明に係る共重合体を含む被覆層を形成する方法は特に制限されない。例えば、高分子基材の表面が平面な皿(プレート)構造を有する場合には、本発明に係る共重合体を溶解させた共重合体含有溶液を所定の面に塗布(例えば、ウェルに添加)した後、乾燥する方法が使用できる。また、例えば、高分子基材が中空糸または多孔質膜である場合には、本発明に係る共重合体を溶解させた共重合体含有溶液を中空糸の細胞接触部に接触させた(例えば、中空糸内表面(内腔)または外表面に流通させた)後、乾燥する方法が使用できる。なお、高分子基材が複数の中空糸からなる多孔質膜である場合には、共重合体含有溶液による被覆は、1本の中空糸に対して行った後中空糸を束ねても、または複数の中空糸を束ねて多孔質膜を作製した後に行ってもよい。
ここで、本発明に係る共重合体を溶解させる溶媒は、本発明に係る共重合体を溶解できるものであれば特に制限されない。共重合体の溶解性などの観点から、例えば、水、メタノール、プロパノール等のアルコール、ポリエチレングリコール類などの水性溶媒;アセトン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン等のフラン系溶媒などが挙げられる。上記溶媒は、1種単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。これらのうち、本発明に係る共重合体のさらなる溶解性の向上を考慮すると、メタノールであることが好ましい。また、共重合体含有溶液中の共重合体の濃度は、特に制限されない。基材への塗布しやすさ、コートむらの低減効果などを考慮すると、好ましくは0.0001〜5重量%、より好ましくは0.001〜1重量%である。
また、共重合体の被覆方法は、特に制限されないが、充填、ディップコーティング(浸漬法)、噴霧、スピンコーティング、滴下、ドクターブレード、刷毛塗り、ロールコーター、エアーナイフコート、カーテンコート、ワイヤーバーコート、グラビアコート、混合溶液含浸スポンジコート等、従来公知の方法を適用することができる。
また、共重合体の塗膜の形成条件は、特に制限されない。例えば、共重合体含有溶液と高分子基材との接触時間(例えば、共重合体含有溶液の中空糸内腔または外表面に流通させる時間)は、塗膜(ゆえに被覆層)の形成しやすさ、コートむらの低減効果などを考慮すると、1〜5分が好ましく、1〜3分がより好ましい。また、共重合体含有溶液と高分子基材との接触温度(例えば、共重合体含有溶液の中空糸内腔または外表面に流通させる温度)は、塗膜(ゆえに被覆層)の形成しやすさ、コートむらの低減効果などを考慮すると、5〜40℃が好ましく、15〜30℃がより好ましい。
共重合体含有溶液の高分子基材表面への塗布量は、特に制限されないが、乾燥後の被覆層の厚みが5nm〜20μm程度となるような量であるであることが好ましい。なお、1回の接触(塗布)にて上記厚みが得られない場合には、接触(塗布)工程を所望の厚みが得られるまで、塗布工程(または塗布工程及び下記乾燥工程)を繰り返してもよい。
次に、高分子基材と共重合体含有溶液との接触後に、塗膜を乾燥させることによって、本発明に係る共重合体による被覆層(被膜)が高分子基材表面に形成される。ここで、乾燥条件は、本発明に係る共重合体による被覆層(被膜)形成できる条件であれば特に制限されない。具体的には、乾燥温度は、5〜50℃が好ましく、15〜40℃がより好ましい。上記乾燥工程は、単一の条件で行われても、または異なる条件で段階的に行ってもよい。また、乾燥時間は、60〜480分が好ましく、120〜360分がより好ましい。また、高分子基材が多孔質膜(中空糸膜)である場合には、5〜40℃、より好ましくは15〜30℃のガスを中空糸の共重合体含有溶液塗布面に連続してまたは段階的に流通させることによって、塗膜を乾燥させてもよい。ここで、ガスの種類は、塗膜(被覆層)に何ら影響を及ぼさず、塗膜を乾燥できるものであれば特に制限されない。具体的には、空気、および窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスなどが挙げられる。また、ガスの流通量は、塗膜を十分乾燥できる量であれば特に制限されないが、ガスの流通量が好ましく5〜150L/分であり、より好ましく30〜100L/分となるような量である。
このような方法によれば、本発明に係る共重合体を高分子基材に効率よく形成できる。なお、接着させる細胞のタイプに応じて、高分子基材を、フィブロネクチン、ラミニン、コラーゲン等の細胞接着因子によってさらに処理してもよい。このような処理により、細胞の基材表面への接着や細胞の成長をさらに促進できる。なお、高分子基材が複数の中空糸からなる多孔質膜である場合には、細胞接着因子による処理は、1本の中空糸に対して行った後中空糸を束ねても、または複数の中空糸を束ねて多孔質膜を作製した後に行ってもよい。また、細胞接着因子による処理は、本発明に係る共重合体を含む被覆層を形成した後であっても、または本発明に係る共重合体を含む被覆層を形成する前であっても、または本発明に係る共重合体を含む被覆層を形成するのと同時であってもよい。
<バイオリアクター>
本発明の細胞培養基材は、バランスよく細胞接着性および抗血栓性を発揮する。また、本発明の細胞培養基材は、細胞増殖性を有する。このため、本発明の細胞培養基材は、バイオリアクター、特に生体試料(特に血液サンプル)を用いて細胞を培養するためのバイオリアクターに好適に使用できる。すなわち、本発明は、本発明の細胞培養基材を有するバイオリアクターを提供する。また、本発明の好ましい形態によると、本発明は、生体試料(特に血液サンプル)を用いて細胞を培養するためのバイオリアクターを提供する。ここで、バイオリアクターは、平面型バイオリアクターであっても中空糸型バイオリアクターであってもよいが、中空糸型バイオリアクターが特に好ましい。このため、以下では、好ましい実施形態として、中空糸型バイオリアクターについて説明するが、本発明のバイオリアクターは平面型バイオリアクターであってもよく、この場合でも下記実施の形態を適宜変更することによって適用できる。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
本発明の細胞培養基材が好適に使用できるバイオリアクターは、特に制限されないが、本発明の細胞培養基材およびバイオリアクターを、例えば、特表2010−523118号公報(特許第5524824号)(WO 2008/124229 A2)、特表2013−524854号公報(特許第6039547号)(WO 2011/140231 A1)、特表2013−507143号公報(特許第5819835号)(WO 2011/045644 A1)、特開2013−176377号公報(WO 2008/109674)、特表2015−526093号公報(WO 2014/031666 A1)、特表2016−537001号公報(WO 2015/073918 A1)、及び特表2017−509344号公報(WO 2015/148704 A1)などに記載される細胞培養/増殖システム;さらにはテルモBCT株式会社製のQuantum細胞増殖システムに適用することができる。従来、細胞培養では、インキュベーター、安全キャビネット、クリーンルーム等の設備が別々に必要であるが、上記したような培養システムはこれらの機能を全て備えているため、設備を非常に簡略化できる。また、上記したようなシステムを用いて細胞培養中の温度やガスを制御することで、機能的にクローズドなシステムを確保でき、細胞培養をクローズドな環境でかつ自動的に行うことができる。
以下に、本発明のバイオリアクターの一実施形態を図面を参照しながら説明するが、本発明は下記形態に限定されない。
図1は、本発明のバイオリアクター(中空糸型バイオリアクター)の一実施形態を示す部分側面図である。また、図2は、図1のバイオリアクターの一部切欠側面図である。図1および図2において、バイオリアクター1は、本発明の細胞培養基材2が細胞培養チャンバー3内に収納されてなる。細胞培養チャンバー3は、4つの開口部すなわち4つのポート(入口ポート4、出口ポート6、入口ポート8、出口ポート10)を有する。ここで、細胞を含む培地が、入口ポート4を介して、細胞培養チャンバー3内の細胞培養基材2の中空糸の毛細管内側(IC)空間に流されて、出口ポート6から排出される。これにより、細胞が効率よく中空糸内腔表面に接着(付着)・培養する。一方、培地やガス(酸素、二酸化炭素等)は、入口ポート8を介して、細胞培養チャンバー3内の細胞培養基材2の中空糸の毛細管外側(EC)と接触するように流され、出口ポート10から排出される。これにより、細胞培養チャンバー3内で培地成分等の小分子が中空糸内に流入するまたは不要成分が中空糸内から排出され、中空糸表面に接着した細胞が培養される。また、所定時間培養した後は、トリプシンを含む液(例えば、PBS)を、入口ポート4を介して細胞培養チャンバー3内の細胞培養基材2の中空糸の毛細管内側(IC)空間に導入し、所定時間(例えば、5〜10分程度)保持する。次に、培地やPBS等の等張液を、入口ポート4を介して細胞培養チャンバー3内の細胞培養基材2の中空糸の毛細管内側(IC)空間に流して細胞にせん断力を付加することによって、細胞を中空糸内壁から剥離し、バイオリアクターから細胞を出口ポート6を介して回収する。なお、上記形態では、細胞が中空糸の毛細管内側(IC)に接着したが、本発明は上記形態に限定されず、細胞を含む培地を入口ポート8から出口ポート10に流して、細胞を効率よく中空糸外表面に接着(付着)させ、培地を入口ポート4から出口ポート6に中空糸内腔に流して、細胞を培養させてもよい。また、入口ポート4から出口ポート6への流体の流れは、入口ポート8から出口ポート10への流体の流れに対して、並流方向または逆流方向のいずれであってもよい。
[バイオリアクターの用途]
上述したように、本発明のバイオリアクターは、細胞接着性(さらには細胞増殖性)に優れる細胞培養基材を備えている。ここで、本発明のバイオリアクターで培養できる細胞は、接着(足場依存)性細胞、非接着性細胞、またはこれらの任意の組み合わせのいずれであってもよいが、優れた細胞接着性(さらには細胞増殖性)を考慮すると、本発明のバイオリアクターは、接着(足場依存)性細胞の培養に特に好適に使用できる。ここで、接着(足場依存)性細胞としては、間葉系幹細胞(MSC)等の幹細胞、線維芽細胞などの、動物の細胞などがある。上述したように、幹細胞が再生医療や創薬の開発にあたって注目が集めている。このため、本発明のバイオリアクターは、幹細胞の培養に好適に使用できる。すなわち、本発明は、本発明のバイオリアクターを用いて幹細胞を培養する、幹細胞の培養方法を提供する。ここで、幹細胞の培養方法は、特に制限されず、通常の培養方法が同様にしてあるいは適宜修飾して適用できる。
また、上述したように、本発明のバイオリアクターは、抗血栓性に優れる細胞培養基材を備えている。このため、本発明のバイオリアクターは、生体試料(特に血液サンプル)を用いて細胞を培養する際に特に好適に使用できる。当該形態によれば、生体試料中の不要な成分(例えば、血小板)を基材に接着させることなく、目的とする細胞を選択的にかつ効率よく培養することができる。
<その他の用途>
本発明の細胞培養基材は、バランスよく細胞接着性および抗血栓性を発揮する。また、本発明の細胞培養基材は、細胞増殖性を有する。このため、本発明の細胞培養基材は、生体管腔グラフト基材、特に血液中に長期間(場合によっては、半永久的に)留置されるインプラント(例えば、人工血管)基材として好適に使用できる。すなわち、本発明は、本発明の細胞培養基材を備える生体管腔グラフトを提供する。本発明の好ましい形態では、本発明の細胞培養基材を備える人工血管を提供する。本態様において、生体管腔グラフトは、本発明の細胞培養基材に加えて他の構成を有していても(例えば、下記のように、ステントをさらに有していても)または本発明の細胞培養基材であって(本発明の細胞培養基材から構成されて)もよい。また、本発明の好ましい形態によると、本発明は、本発明の細胞培養基材を備える人工血管を提供する。当該構成によれば、人工血管を血液中に長期間(場合によっては、半永久的に)留置しても、血栓形成(血小板の粘着/付着)を有効に抑制・防止すると共に、内膜形成を効果的に促進できる。ここで、人工血管としては、以下に制限されないが、従来公知の人工血管基材に本発明に係る共重合体を塗布または含浸させたものがある。また、生体管腔グラフトは、人工血管にステントといわれるバネ状の金属(ステント部分)を取り付けてもよい。
本発明の生体管腔グラフト基材は、公知の生体管腔グラフトのグラフト基材(人工血管部分)の代わりに適用できる。例えば、特表2008−505713号公報(WO 2006/014592 A1)のグラフトファブリック、特表2008−514309号公報(WO 2006/037084 A1)の環状薄膜/薄膜チューブ、特開2010−269161号公報(WO 2004/002370 A1)、特開2007−125415号公報(WO 98/53761 A1)の管腔状グラフト、WO2015/005105(US 2016/0135944 A1)の生体管腔グラフト基材などの代わりに適用されてもよい。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「重量%」および「重量部」を意味する。
製造例1:共重合体(1)の合成
20ml容量のガラス製耐圧試験管に、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)0.9g(0.0058mol)、メトキシエチルアクリレート1.1g(MEA)(0.0085mol)およびメタノール3gを加えた後、窒素ガスを10秒間バブリングして、モノマー溶液(1)を調製した。このモノマー溶液(1)に、重合開始剤として、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(2,2'-Azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile))0.004g(0.013mmol)を加えた後、45℃に設定したヒートブロックで6時間加熱して、重合反応を行い、重合液(1)を得た。この重合液(1)をヘキサン50mlに加え、析出したポリマー成分を回収、減圧乾燥し、テトラヒドロフルフリルアクリレートとメトキシエチルアクリレートとの共重合体(THFA:MEA=40:60(モル比))(共重合体(1))を得た。この共重合体(1)の重量平均分子量(Mw)を測定したところ、350,000であった。
製造例2:共重合体(2)の合成
20ml容量のガラス製耐圧試験管に、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)1.3g(0.0083mol)、メトキシエチルアクリレート(MEA)0.7g(0.0054mol)およびメタノール3gを加えた後、窒素ガスを10秒間バブリングして、モノマー溶液(2)を調製した。このモノマー溶液(2)に、重合開始剤として、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(2,2'-Azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile))0.004g(0.013mmol)を加えた後、45℃に設定したヒートブロックで6時間加熱して、重合反応を行い、重合液(2)を得た。この重合液(2)をヘキサン50mlに加え、析出したポリマー成分を回収、減圧乾燥し、テトラヒドロフルフリルアクリレートとメトキシエチルアクリレートとの共重合体(THFA:MEA=60:40(モル比))(共重合体(2))を得た。この共重合体(2)の重量平均分子量(Mw)を測定したところ、320,000であった。
製造例3:共重合体(3)の合成
20ml容量のガラス製耐圧試験管に、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)1.65g(0.0106mol)、メトキシエチルアクリレート(MEA)0.35g(0.0027mol)およびメタノール3gを加えた後、窒素ガスを10秒間バブリングして、モノマー溶液(3)を調製した。このモノマー溶液(3)に、重合開始剤として、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(2,2'-Azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile))0.004g(0.013mmol)を加えた後、45℃に設定したヒートブロックで6時間加熱して、重合反応を行い、重合液(3)を得た。この重合液(3)をヘキサン50mlに加え、析出したポリマー成分を回収、減圧乾燥し、テトラヒドロフルフリルアクリレートとメトキシエチルアクリレートとの共重合体(THFA:MEA=80:20(モル比))(共重合体(3))を得た。この共重合体(3)の重量平均分子量(Mw)を測定したところ、300,000であった。
製造例4:共重合体(4)の合成
20ml容量のガラス製耐圧試験管に、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)1.83g(0.0117mol)、メトキシエチルアクリレート(MEA)0.17g(0.0013mol)およびメタノール3gを加えた後、窒素ガスを10秒間バブリングして、モノマー溶液(4)を調製した。このモノマー溶液(4)に、重合開始剤として、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(2,2'-Azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile))0.004g(0.013mmol)を加えた後、45℃に設定したヒートブロックで6時間加熱して、重合反応を行い、重合液(4)を得た。この重合液(4)をヘキサン50mlに加え、析出したポリマー成分を回収、減圧乾燥し、テトラヒドロフルフリルアクリレートとメトキシエチルアクリレートとの共重合体(THFA:MEA=90:10(モル比))(共重合体(4))を得た。この共重合体(4)の重量平均分子量(Mw)を測定したところ、310,000であった。
製造例5:THFA重合体(5)の合成
20ml容量のガラス製耐圧試験管に、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)2.00g(0.0128mol)およびメタノール3gを加えた後、窒素ガスを10秒間バブリングして、モノマー溶液(5)を調製した。このモノマー溶液(5)に、重合開始剤として、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(2,2'-Azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile))0.004g(0.013mmol)を加えた後、45℃に設定したヒートブロックで6時間加熱して、重合反応を行い、重合液(5)を得た。この重合液(5)をヘキサン50mlに加え、析出したポリマー成分を回収、減圧乾燥し、テトラヒドロフルフリルアクリレートのホモポリマー(THFA重合体(5))を得た。このTHFA重合体(5)の重量平均分子量(Mw)を測定したところ、290,000であった。
製造例6:共重合体(6)の合成
20ml容量のガラス製耐圧試験管に、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)0.24g(0.0015mol)、メトキシエチルアクリレート(MEA)1.76g(0.0135mol)およびメタノール3gを加えた後、窒素ガスを10秒間バブリングして、モノマー溶液(6)を調製した。このモノマー溶液(6)に、重合開始剤として、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(2,2'-Azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile))0.004g(0.013mmol)を加えた後、45℃に設定したヒートブロックで6時間加熱して、重合反応を行い、重合液(6)を得た。この重合液(6)をヘキサン50mlに加え、析出したポリマー成分を回収、減圧乾燥し、テトラヒドロフルフリルアクリレートとメトキシエチルアクリレートとの共重合体(THFA:MEA=10:90(モル比))(共重合体(6))を得た。この共重合体(6)の重量平均分子量(Mw)を測定したところ、370,000であった。
製造例7:共重合体(7)の合成
20ml容量のガラス製耐圧試験管に、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)0.46g(0.0029mol)、メトキシエチルアクリレート(MEA)1.54g(0.0118mol)およびメタノール3gを加えた後、窒素ガスを10秒間バブリングして、モノマー溶液(7)を調製した。このモノマー溶液(7)に、重合開始剤として、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(2,2'-Azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile))0.004g(0.013mmol)を加えた後、45℃に設定したヒートブロックで6時間加熱した。重合液をヘキサン50mlに加え、析出したポリマー成分を回収、減圧乾燥し、テトラヒドロフルフリルアクリレートとメトキシエチルアクリレートとの共重合体(THFA:MEA=20:80(モル比))(共重合体(7))を得た。この共重合体(7)の重量平均分子量(Mw)を測定したところ、375,000であった。
製造例8:MEA重合体(8)の合成
20ml容量のガラス製耐圧試験管に、メトキシエチルアクリレート(MEA)2.0g(0.0154mol)およびメタノール3gを加えた後、窒素ガスを10秒間バブリングして、モノマー溶液(8)を調製した。このモノマー溶液(8)に、重合開始剤として、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(2,2'-Azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile))0.004g(0.013mmol)を加えた後、45℃に設定したヒートブロックで6時間加熱して、重合反応を行い、重合液(8)を得た。この重合液(8)をヘキサン50mlに加え、析出したポリマー成分を回収、減圧乾燥し、メトキシエチルアクリレートのホモポリマー(MEA重合体(8))を得た。このMEA重合体(8)の重量平均分子量(Mw)を測定したところ、380,000であった。
実施例1:細胞培養皿へのコーティング
上記製造例1で得られた共重合体(1)をメタノールに0.05重量%濃度となるように溶解して、コーティング液(1)を作製した。このコーティング液(1)25μLを、市販の96穴組織培養用ポリスチレンディッシュ(プラズマ処理無し、FALCON社製、商品名:Non-Tissue Culture Treated Plate, 96Well, Flat Bottom with Low Evaporation Lid)の各ウェルに添加し、20℃で300分間乾燥し、ウェル表面にポリマー被膜(乾燥時の厚み:0.3μm)を作製して、細胞培養皿(1)を得た。
実施例2〜4:細胞培養皿へのコーティング
実施例1において、共重合体(1)の代わりに、共重合体(2)〜(4)をそれぞれ使用する以外は、実施例1と同様の方法に従って、ウェル表面にポリマー被膜を作製して、細胞培養皿(2)〜(4)を得た。
比較例1〜5:細胞培養皿へのコーティング
実施例1において、共重合体(1)の代わりに、THFA重合体(5)、共重合体(6)〜(7)およびMEA重合体(8)をそれぞれ使用する以外は、実施例1と同様の方法に従って、ウェル表面にポリマー被膜を作製して、比較細胞培養皿(1)〜(4)を得た。また、市販の96穴組織培養用ポリスチレンディッシュ(プラズマ処理及びポリマー被膜無し、FALCON社製、商品名:Non-Tissue Culture Treated Plate, 96Well, Flat Bottom with Low Evaporation Lid)を比較細胞培養皿(5)として準備した。
実施例5〜8および比較例6〜10:細胞培養および接着活性の測定
上記実施例1〜4および比較例1〜5で得られた細胞培養皿(1)〜(4)および比較細胞培養皿(1)〜(5)を用いて、下記に従って、細胞を培養し、細胞接着活性(細胞接着性)を評価した。なお、細胞は、ヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞(ロンザ、ウォーカーズビル、メリーランド州、アメリカ合衆国)を使用した。ドナーは22歳男性で、CD13、CD29、CD44、CD73、CD90、CD105、SD166≧90%、CD14、CD31、CD45≦5%であった。
細胞培養皿(1)〜(5)および比較細胞培養皿(1)〜(5)の各ウェルに、上記ヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞を2×10細胞/ウェルとなるように播種した後、37℃にて、加湿、5% CO存在下で、インキュベーターで、Mesenchymal Stem Cell Growth Medium 2(プロモセル、ベッドフォード、マサチューセッツ州、アメリカ合衆国)で1日培養した。培養終了後、培養液を、10%WST-1(Premix WST-1 Cell Proliferation Assay System、タカラバイオ株式会社、滋賀、日本)を含むMesenchymal Stem Cell Growth Medium 2に交換した後、加湿、常圧下(37℃、5%CO)で約4時間インキュベートした。この培養液の吸光度(450nm、対照600nm)を、マイクロプレートリーダーで測定して、細胞接着活性とした。結果を下記表1に示す。なお、下記表1において、比較細胞培養皿(1)(比較例6)で培養した培養液の吸光度を「1.00」とした場合の各培養皿で培養した培養液の吸光度の比率を接着活性の比率として示す。
Figure 2021533736
上記表1の比較例6と比較例9との比較から、MEA重合体(8)を用いてポリマー被膜を形成した比較細胞培養皿(4)はTHFA重合体(5)を用いてポリマー被膜を形成した比較細胞培養皿(1)に比して5割強の細胞接着活性しか持たないことが分かる。これに対して、THFAとMEAとを特定組成で有する本発明に係る共重合体(1)〜(4)を用いてポリマー被膜を形成した細胞培養皿(1)〜(4)では、THFA重合体(5)を用いてポリマー被膜を形成した比較細胞培養皿(1)より細胞接着性に有意に優れる。ここで、テトラヒドロフルフリルアクリレートを細胞接着性に劣るメトキシエチルアクリレートと共重合させた共重合体の被膜はテトラヒドロフルフリルアクリレートのホモポリマーの被膜に比して細胞接着性が低下すると一般的に考えられることをかんがみると、上記結果は非常に驚くべきである。
実施例9:ポリマーコート試験片の作製
上記製造例1で得られた共重合体(1)をメタノールに0.5重量%濃度となるように溶解して、コーティング液(5)を作製した。このコーティング液(5)に、ポリエチレンテレフタレートのシート(幅1cm×長さ10cm×厚み100μm)を25℃で2分間浸漬(ディップコート)した後、25℃で360分間乾燥し、ポリマーコート試験片(1)(乾燥時のポリマー被膜の厚み:0.5μm)を作製した。
実施例10〜12:ポリマーコート試験片の作製
実施例9において、共重合体(1)の代わりに、共重合体(2)〜(4)をそれぞれ使用する以外は、実施例9と同様の方法に従って、ポリマーコート試験片(2)〜(4)を作製した。
比較例11〜15:ポリマーコート試験片の作製
実施例9において、共重合体(1)の代わりに、THFA重合体(5)、共重合体(6)〜(7)およびMEA重合体(8)をそれぞれ使用する以外は、実施例9と同様の方法に従って、比較ポリマーコート試験片(1)〜(4)を作製した。また、ポリエチレンテレフタレートのシート(幅1cm×長さ10cm×厚み100μm、ポリマー被膜無し)を比較試験片(5)として準備した。
実施例13〜16および比較例16〜20:血小板粘着試験(抗血栓性評価)
上記実施例9〜12および比較例11〜15で得られたポリマーコート試験片(1)〜(4)および比較ポリマーコート試験片(1)〜(5)を用いて、下記に従って、血小板粘着試験を行い、抗血栓性を評価した。3.8(w/v)%クエン酸ナトリウム(抗凝固剤)水溶液をブタ新鮮血に添加して、抗凝固したブタ新鮮血を得た。この際、血液とクエン酸ナトリウム水溶液との混合比(体積比)が9:1となるように混合した。抗凝固したブタ新鮮血を22℃で10分間遠心分離(1500rpm)して、多血小板血漿(PRP)を分取した。このPRPを、ポリマーコート試験片(1)〜(4)ならびに比較ポリマーコート試験片(1)〜(4)および比較試験片(5)を底面に貼り付けた円筒容器にそれぞれ満たし、室温(25℃)で5時間静置した。所定時間経過後、各試験片を生理食塩水で洗浄後、1(w/v)%グルタルアルデヒド生理食塩水溶液で固定した。室温(25℃)で10時間静置した後、蒸留水で洗浄した。各試験片を減圧乾燥、白金蒸着した後、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察および写真撮影(1000倍、5視野)を行った。その写真から、各試験片表面に付着(粘着)した血小板数を計測した。結果を下記表2に示す。なお、下記表2において、血小板数は、1000倍5視野の合計を算出した。
Figure 2021533736
上記表2の結果から、製造例1〜4の共重合体(1)〜(4)を用いてポリマー被膜を形成したポリマーコート試験片(1)〜(4)は、抗血栓性に優れるMEA重合体(8)ならびに本発明に係る組成から外れるTHFA−MEA共重合体(6)、(7)を用いてポリマー被膜を形成した比較ポリマーコート試験片(4)、(2)、(3)に比べると、血小板付着数が若干多く、抗血栓性にやや劣ることが分かる。一方、上述したように、上記表1に示されるように、本発明に係る細胞培養皿(1)〜(4)が上記MEA重合体(8)ならびにTHFA−MEA共重合体(6)、(7)を用いてポリマー被膜を形成した比較細胞培養皿(4)、(2)、(3)に比して、細胞接着性に有意に優れる。これらの結果を合わせて考えると、本発明の細胞培養基材は、細胞接着性に優れるTHFA重合体、抗血栓性に優れるMEA重合体および本発明に係る組成から外れるTHFA−MEA共重合体に比して、細胞接着性および抗血栓性をバランスよく両立できることが考察される。
1…バイオリアクター、
2…細胞培養基材、
3…細胞培養チャンバー、
4,8…入口ポート、
6,10…出口ポート。

Claims (6)

  1. 高分子基材の少なくとも一方の面に、5〜65モル%の下記式(1)のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位(1)および95〜35モル%の下記式(2)のフルフリル(メタ)アクリレート由来の構成単位(2)を有する共重合体(構成単位(1)および構成単位(2)の合計は100モル%である)を含む被覆層を有する、細胞培養基材:
    Figure 2021533736

    ただし、Rは、水素原子またはメチル基であり、Rは、炭素原子数2〜3のアルキレン基であり、Rは、炭素原子数1〜3のアルキル基である;
    Figure 2021533736

    ただし、Rは、水素原子またはメチル基であり、Rは、下記式(2−1)または下記式(2−2):
    Figure 2021533736

    ただし、Rは、炭素原子数1〜3のアルキレン基である、
    で表される基である。
  2. 前記共重合体が、10〜60モル%の前記式(1)のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位(1)および40〜90モル%の前記式(2)のフルフリル(メタ)アクリレート由来の構成単位(2)を有する共重合体(構成単位(1)および構成単位(2)の合計は100モル%である)である、請求項1に記載の細胞培養基材。
  3. 前記共重合体が、前記構成単位(1)および前記構成単位(2)から構成される、請求項1または2に記載の細胞培養基材。
  4. 前記高分子基材が多孔質膜である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の細胞培養基材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の細胞培養基材を有する、バイオリアクター。
  6. 請求項5に記載のバイオリアクターを用いて幹細胞を培養する、幹細胞の培養方法。
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