JP2021524775A - 磁気共鳴結像システム用のb0磁石の機器および方法 - Google Patents

磁気共鳴結像システム用のb0磁石の機器および方法 Download PDF

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Abstract

磁気共鳴結像システム用のB0磁場を提供する機器が提供される。当該機器は、前記磁気共鳴結像システム用のB0磁場に寄与する第1の磁場を発生するように構成された、少なくとも一つの第1のB0磁石を有し、前記少なくとも一つの第1のB0磁石は、第1の複数の永久磁石リングを有し、該第1の複数の永久磁石リングは、それぞれが異なる高さの少なくとも2つのリングを有する。

Description

本願は、2018年5月21日に出願された「磁気共鳴結像システム用のB0磁石の機器および方法」という名称の米国仮出願第62/674,482、および2018年7月2日に出願された「磁気共鳴結像システム用のB0磁石の機器および方法」という名称の米国仮出願第62/693,044の優先権を主張する出願である。これらは、本願の参照として取り入れられている。
磁気共鳴結像(MRI)法は、多くの用途の重要なモダリティを提供し、人体の内部の画像を生成するための臨床的および研究環境において、広く使用されている。一般に、MRIは、印加電磁場により生じる状態変化に応答して原子から放射される電磁波である、電磁共鳴(MR)信号の検出に基づく。例えば、核磁気共鳴(NMR)技術は、被結像対象内の原子(例えば、人体の組織内の原子)の核スピンの再配列または緩和の際に、励起された原子の核から放出されるMR信号を検出することを含む。検出されたMR信号は、画像を生成するために処理され、これは、医療用途において、診断、治療および/または研究目的のための、体内の内部構造および/または生物学的プロセスの調査を可能にする。
MRIは、他のモダリティ(診断法)の安全性を懸念することなく、比較的高い解像度およびコントラストを有する非侵襲的画像を生成できるため、生物学的結像に魅力的な結像モダリティを提供する(例えば、X線のようなイオン化放射線に対象を暴露させたり、人体に放射性物質を導入したりする必要はない)。また、MRIは、軟組織コントラストの提供に、特に適する。これは、他の画像診断法では十分な画像化ができないような対象を画像化することに利用できる。また、MR技術は、他の診断法では取得できない構造および/または生物学的プロセスに関する情報を取得することができる。しかしながら、MRIには、所与の結像用途に向けて多くの欠点があり、これには、機器の比較的高いコスト、限られた利用可能性、および/または臨床MRIスキャナに対するアクセスの困難性、および/または画像取得プロセスの長さが含まれる。
臨床MRIは、MRIスキャナのフィールド強度を高め、スキャン時間、画像解像度、および画像コントラストの1または2を改善する傾向が続いており、これにより、コストが上昇し続けている。導入されているMRIスキャナの大部分は、1.5または3テスラ(T)で動作し、これは、主要な磁場B0の磁場強度を表す。臨床MRIスキャナの概算コストは、1テスラ当たり約100万ドルである。これには、そのようなMRIスキャナの操作に含まれる、実質的な操作、サービス、およびメンテナンスコストが考慮されていない。
また、従来の高磁場MRIシステムは、通常、対象(例えば、患者)が画像化される、強力で均一な静止磁場(B0)を形成する、大きな超伝導磁石および関連する電子機器を必要とする。そのようなシステムのサイズは、磁石、電子機器、熱管理システム、および制御コンソール領域用の複数の部屋を含む一般的なMRIの設置では、相応のものとなる。一般に、MRIシステムのサイズおよび費用は、これらの使用を、病院および学術研究センターなど、購入と保守に十分な空間およびリソースを備えた施設に制限する。高磁場MRIシステムの高コストで相当の空間の要求のため、MRIスキャナの利用性は制限される。そのため、後述するように、MRI走査が有益ではあるものの、前述の1または2以上の制限のため、これが現実的ではなく、または不可能になるという臨床状況が頻繁に生じる。
ある実施形態は、磁気共鳴結像システム用のB0磁場を提供する機器を含む。当該機器は、
前記磁気共鳴結像システム用のB0磁場に寄与する第1の磁場を発生するように構成された、少なくとも一つの第1のB0磁石を有し、
前記少なくとも一つの第1のB0磁石は、それぞれが異なる高さの少なくとも2つのリングを含む、第1の複数の永久磁石リングを有する。
ある実施形態は、磁気共鳴結像システム用のB0磁場を提供する機器を含む。当該機器は、
前記磁気共鳴結像システム用の前記B0磁場に寄与する第1の磁場を発生するように構成された、少なくとも一つの第1のB0磁石と、
前記磁気共鳴結像システム用の前記B0磁場に寄与する第2の磁場を発生するように構成された、少なくとも一つの第2のB0磁石であって、前記少なくとも一つの第1のB0磁石および前記少なくとも一つの第2のB0磁石は、両者の間に結像領域が提供されるように、相互に対して配置される、少なくとも一つの第2のB0磁石と、
前記少なくとも一つの第1のB0磁石および前記少なくとも一つの第2のB0磁石により生じた少なくとも一部の磁束を捕獲し、誘導するように構成され、前記結像領域内の前記磁束密度を高めるヨークと、
を有し、
前記ヨークは、
強磁性材料を含み、前記少なくとも一つの第1のB0磁石に結合された第1のプレートと、
強磁性材料を含み、前記少なくとも一つの第2のB0磁石に結合された第2のプレートと、
強磁性材料を有し、前記第1のプレートおよび前記第2のプレートに結合されたフレームと、
前記第1のプレートに結合され、前記第1のプレートに誘導される磁気飽和を補償する、第1の追加の強磁性材料と、
前記第2のプレートに結合され、前記第2のプレートに誘導される磁気飽和を補償する、第2の追加の強磁性材料と、
を有する。
ある実施形態は、磁気共鳴結像システム用のB0磁場を提供する機器を含む。当該機器は、
前記磁気共鳴結像システム用の前記B0磁場に寄与する第1の磁場を発生するように構成された、少なくとも一つの第1のB0磁石と、
前記磁気共鳴結像システム用の前記B0磁場に寄与する第2の磁場を発生するように構成された、少なくとも一つの第2のB0磁石であって、前記少なくとも一つの第1のB0磁石および前記少なくとも一つの第2のB0磁石は、両者の間に結像領域が提供されるように、相互に対して配置される、少なくとも一つの第2のB0磁石と、
前記少なくとも一つの第1のB0磁石および前記少なくとも一つの第2のB0磁石により生じた少なくとも一部の磁束を捕獲し、誘導するように構成され、前記結像領域内の前記磁束密度を高めるヨークと、
を有し、
前記ヨークは、
強磁性材料を含み、前記少なくとも一つの第1のB0磁石に結合された第1のプレートであって、第1の組の1または2以上の孔を有し、前記第1のプレートに誘導される磁気飽和が補償される、第1のプレートと、
強磁性材料を含み、前記少なくとも一つの第2のB0磁石に結合された第2のプレートであって、第2の組の1または2以上の孔を有し、前記第2のプレートに誘導される磁気飽和が補償される、第2のプレートと、
強磁性材料を有し、前記第1のプレートおよび前記第2のプレートに結合されたフレームと、
を有する。
ある実施形態は、磁気共鳴結像システム用のB0磁場を提供する機器を含む。当該域は、
前記磁気共鳴結像システム用の前記B0磁場に寄与する第1の磁場を発生するように構成された、少なくとも一つの第1のB0磁石と、
前記磁気共鳴結像システム用の前記B0磁場に寄与する第2の磁場を発生するように構成された、少なくとも一つの第2のB0磁石であって、前記少なくとも一つの第1のB0磁石および前記少なくとも一つの第2のB0磁石は、両者の間に結像領域が提供されるように、相互に対して配置される、少なくとも一つの第2のB0磁石と、
前記少なくとも一つの第1のB0磁石および前記少なくとも一つの第2のB0磁石により生じた少なくとも一部の磁束を捕獲し、誘導するように構成され、前記結像領域内の前記磁束密度を高めるヨークと、
を有し、
前記ヨークは、
強磁性材料を含み、前記少なくとも一つの第1のB0磁石に結合された第1のプレートであって、変化する厚さを有し、前記第1のプレートに誘導される磁気飽和が補償される、第1のプレートと、
強磁性材料を含み、前記少なくとも一つの第2のB0磁石に結合された第2のプレートであって、変化する厚さを有し、前記第2のプレートに誘導される磁気飽和が補償される、第2のプレートと、
強磁性材料を有し、前記第1のプレートおよび前記第2のプレートに結合されたフレームと、
を有する。
以下、図面を参照して、本開示技術の各種態様および実施例について説明する。図面には必ずしもスケールは示されていないことを理解する必要がある。
本開示技術のある実施形態による、磁気共鳴結像システムの一部材を示したである。 本開示技術のある実施形態による、複数の同心永久磁石リングを有するB0磁石を示した図である。各リングは、永久磁石セグメントを有する。 本開示技術のある実施形態による、図2に示したB0磁石の一部を形成する永久磁石リングの一構成例の上面図を示した図である。 本開示技術のある実施形態による、均一な高さを有する複数の永久磁石リングを有する永久B0磁石を示した図である。 本開示技術のある実施形態による、永久B0磁石およびヨークの側断面を示した図である。B0磁石は、均一な高さを有する複数の永久磁石を有する。 本開示技術のある実施形態による、永久B0磁石およびヨークの側断面を示した図である。永久B0磁石を形成する永久磁石リングの高さは変化する。 本開示技術のある実施形態による、永久B0磁石の側断面図である。 本開示技術のある実施形態による、永久B0磁石の上面図である。 本開示技術のある実施形態による、永久B0磁石の等角図である。 本開示技術のある実施形態による、図6A乃至6Cに示した4リングの永久B0磁石の最も内側の側断面図である。 本開示技術のある実施形態による、図6A乃至6Cに示した4リングの永久B0磁石の最も内側の上面図である。 本開示技術のある実施形態による、図6A乃至6Cに示した4リングの永久B0磁石の最も内側の等角図である。 本開示技術のある実施形態による、図6A乃至6Cに示した4リングの永久B0磁石の中心に2番目に近いリングの側断面図である。 本開示技術のある実施形態による、図6A乃至6Cに示した4リングの永久B0磁石の中心に2番目に近いリングの上面図である。 本開示技術のある実施形態による、図6A乃至6Cに示した4リングの永久B0磁石の中心に2番目に近いリングの等角図である。 本開示技術のある実施形態による、図6A乃至6Cに示した4リングの永久B0磁石の中心に3番目に近いリングの側断面図である。 本開示技術のある実施形態による、図6A乃至6Cに示した4リングの永久B0磁石の中心に3番目に近いリングの上面図である。 本開示技術のある実施形態による、図6A乃至6Cに示した4リングの永久B0磁石の中心に3番目に近いリングの等角図である。 本開示技術のある実施形態による、図6A乃至6Cに示した4リングの永久B0磁石の最も外側のリングの側断面図である。 本開示技術のある実施形態による、図6A乃至6Cに示した4リングの永久B0磁石の最も外側のリングの上面図である。 本開示技術のある実施形態による、図6A乃至6Cに示した4リングの永久B0磁石の最も外側のリングの等角図である。 本開示技術のある実施形態による、それぞれの複数の永久磁石リングを有する、第1および第2のB0磁石と、第1および第2のプレートならびに第1および第2の追加強磁性材料を有するヨークと、を有する機器を示した図である。第1および第2のプレートにおいて誘導された磁気飽和が補償される。 本開示技術のある実施形態による、プレートに誘導された磁気飽和を補償するため、プレートに結合された追加の強磁性材料を概略的に示した図である。 本開示技術のある実施形態による、磁気飽和に及ぼす追加強磁性材料の影響を示した図である。その結果、透磁率の不均一性が生じている。 本開示技術のある実施形態による、磁気飽和に及ぼす追加強磁性材料の影響を示した図である。その結果、透磁率の不均一性が生じている。 本開示技術のある実施形態による、運搬式低磁場MRIシステムを示した図である。 本開示技術のある実施形態による、運搬式MRIシステムのB0磁石の永久磁石シムを示した図である。 本開示技術のある実施形態による、運搬式MRIシステムの勾配コイルの振動マウントを示した図である。 本開示技術のある実施形態による、運搬式MRIシステムの勾配コイルの振動マウントを示した図である。 本開示技術のある実施形態による、図11Bおよび図11Cに示した振動マウントに固定された勾配コイルを有する積層パネルを示した図である。 本開示技術のある実施形態による、運搬式MRIシステムのB0磁石のシムの例を示した図である。 本開示技術のある実施形態による、運搬式MRIシステムを示した図である。 本開示技術のある実施形態による、運搬式MRIシステムを示した図である。 本開示技術のある実施形態による、運搬式MRIシステムを示した図である。 本開示技術のある実施形態による、別の運搬式MRIシステムの例を示した図である。 本開示技術のある実施形態による、頭のスキャンを実施する運搬式MRIシステムを示した図である。
特に医療用または臨床用のMRI用途向けのMRIスキャナの市場は、高磁場システムにより大きく支配されている。前述のように、医療用結像における一般的な傾向は、次第に大きくなりつつある磁場強度を備えたMRIスキャナを製造することであり、臨床用MRIスキャナの大部分は、1.5Tまたは3Tで動作し、研究環境では、7Tおよび9Tのより高い磁場強度が使用されている。ここで、「高磁場」と言う用語は、通常、臨床設定において現在使用されている、MRIシステムを表し、特に、1.5T以上の主要磁場(すなわちB0磁場)で動作するMRIシステムを表す。ただし、0.5Tと1.5Tの間で作動する臨床用システムも、しばしば、「高磁場」と称される。約0.2Tと0.5Tの間の磁場強度は、「中磁場」に特徴化されるが、高磁場の領域における磁場強度の継続的な上昇のため、0.5Tと1Tの間の磁場強度も、中磁場として特徴化される。一方、「低磁場」は、通常、約0.2T以下のB0磁場で作動するMRIシステムを表す。ただし、0.2Tと約0.3Tの間のB0磁場を有するシステムは、高磁場領域のハイエンド側での上昇する磁場強度の結果として、時折、低磁場として特徴付けられる。本願では、低磁場領域内において、0.1T未満のB0磁場で作動する低磁場MRIシステムは、「非常低磁場」と称され、10mT未満のB0磁場で作動する低磁場MRIシステムは、「超低磁場」と称される。
本願発明者らは、運搬式の低磁場、低電力、および/または低コストのMRIシステムが可能になる技術を開発した。これにより、病院および研究施設での現在のMRI機器を超える各種環境において、MRI技術の幅広い展開が可能となる。その結果、緊急室、小さな診療所、医者のオフィス、モバイルユニット等にMRIを配置することが可能となり、患者(例えばベッドサイド)に対して、幅広い結像手順およびプロトコルを実施することができる。ある実施形態は、非常低磁場のMRIシステム(例えば、0.1T、50mT、20mTなど)を含み、これは、運搬、低コスト、低電力のMRIを容易にし、臨床設定におけるMRIの利用可能性を大きく増加させる。
低磁場領域における臨床用MRIシステムを開発するには、多くの問題がある。本願に使用される臨床MRIシステムという用語は、臨床的に有用な画像を生成するMRIシステムを表し、これは、特定の結像用途の意図する目的のため、医師または臨床医に有益となる、十分な解像度および適切な取得時間を有する画像を意味する。従って、臨床的に有益な画像の解像度/取得時間は、画像が取得される目的に依存する。低磁場領域において、臨床的に有益な画像を得る際の多くの問題の中には、比較的SNRが低いことがある。特に、SNRとB0磁場強度の間の関係は、0.2T超の磁場強度では、近似的にB0 5/4であり、0.1T未満の磁場強度では、近似的にB0 3/2である。従って、磁場強度の低下とともに、SNRは実質的に低下し、非常低磁場強度では、SNRはより大きく低下する。磁場強度の減少によって生じるこのSNRの相応の低下は、非常低磁場領域における臨床用MRIシステムの開発を妨げる、大きな因子となる。特に、非常低磁場強度での低SNRの問題は、非常低磁場領域で作動する臨床用MRIシステムの開発を妨げる。その結果、低磁場強度での動作が要求される臨床用MRIシステムでは、これまで、約0.2Tまたはそれ以上の範囲の磁場強度が得られている。これらのMRIシステムは、依然として、大型高重量で、高コストであり、通常、一定の専用空間(またはシールドテント)および専用の電源が必要となる。
本願発明者らは、臨床的に有益な画像を生成できる、低磁場で非常低磁場のMRIシステムを開発した。これは、従来の技術では達成し得ない、運搬式の設置が可能で、低コストで、MRIシステムを容易に使用できる。ある実施形態では、MRIシステムは、患者まで搬送することができ、通常、場所および時間の制約なく、幅広い診断的、外科的、モニタリング的、および/または治療手順が提供できる。
低磁場および非常低磁場のMRIシステムの開発において、本願発明者らは、一部には、B0磁場により生じるB0磁場の均一性を改善することにより、低磁場領域の比較的低いSNR特性に対応した。
ある実施形態では、本願発明者らにより開発された低磁場および非常低磁場のMRIシステムは、B0磁場を生成する永久B0磁石を有する。ある実施形態では、例えば図2に示すように、永久B0磁石は、1または2以上の同心永久磁石リングの組を有してもよい。本願発明者らは、そのような実施形態において、B0磁石により生じるB0磁場の均一性は、永久磁石リングを同じ高さに維持する代わりに、永久磁石リングの高さを変化させることにより高められることに気付いた。特に、本願発明者らは、永久磁石リングの高さは、二平面形状において永久磁石の組の間に提供される結像領域における視野と同じ磁場に対して、視野における磁場強度の均一性が高められるように選定されることに気付いた。一定の視野の磁場に対して、好適に変化する永久磁石の高さは、永久磁石リングの高さが等しい構成に比べて、一桁(例えば、2倍、3倍、5倍、10倍、20倍など)、磁場の均一性を高め得る。非限定的な例を示すと、20cmの直径を有する視野の球状磁場の場合、視野の磁場におけるB0磁場の均一性は、リングが均一な高さを有する場合、500から1000ppmの範囲であるが、リングの高さが変化する場合、250から500ppmとなる。
また、本願発明者らは、永久磁石リングを同じ高さに維持する代わりに、永久磁石リングの高さを変化させることにより、(所与の均一性の)視野の磁場のサイズが、増加することに気付いた。特に、本願発明者らは、永久磁石リングの高さは、二平面形状の永久磁石の組の間に提供された結像領域において、視野の体積が、等しい高さを有する永久磁石リングを用いて得られる同じ均一性の視野の体積に比べて、増加するように選定され得ることに気付いた。非限定的な例では、500乃至1000ppmの一定レベルの磁場均一性の場合、リングの高さを等しく維持する代わりに、永久磁石リングの高さを変化させることにより、視野の体積は、少なくとも10%増加し得る。
磁場の均一性を高めるため(および/または視野のサイズを高めるため)、変化する永久磁石リング高さを用いることは、磁場の均一性を改善する従来の技術とは異なり、磁場の均一性がより改善される。磁場の均一性を改善する従来の技術では、1または2以上の金属の強磁性ピース(時折、「ポールピース」と称される)を追加することが含まれ、磁場の均一性を高めるため、磁石により生成される磁束が収束される。しかしながら、本方法では、ポールピース金属の追加により、磁石組立体に相応の重量が追加される。本願発明者らにより開発された方法には、新たな強磁性材料を組立体に導入することは含まれない。代わりに、永久磁石リングの高さの変化により、永久磁石自体が変更され、磁場の均一性が高められる。
ある実施形態では、永久磁石リングの高さは、永久磁石リングの各々が、異なるそれぞれの高さを有するようにすることにより、変化させてもよい。ある実施形態では、高さの組は、少なくとも1%、5%、10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、または1乃至100%の範囲における任意の他の量だけ、相互に異なってもよい。例えば、図7A乃至7Lに示すように、永久磁石は、4つのリングを有し、それぞれの高さは、22mm、26mm、30mm、および34mmであってもよい。ただし、ある実施形態では、一部または全ての永久磁石リングは、それぞれ異なる高さを有することが理解される必要がある。例えば、ある実施形態では、永久磁石リングのうちの2つは、同じ高さを有し、永久磁石リングの2つは、異なる高さを有してもよい。
従って、ある実施形態は、磁気共鳴結像システムのB0磁場を提供する機器を含む。機器は、第1のB0磁石を有し、これは、磁気共鳴結像システムのB0磁場に寄与する、第1の磁場を生成するように構成されてもよい。第1のB0磁石は、複数の永久磁石リングを有し、その少なくとも2つは、異なる高さを有してもよい。ある実施形態では、第1のB0磁石の全ての永久磁石リングは、それぞれ異なる高さを有してもよい。
ある実施形態では、第1のB0磁石は、複数のB0磁石の一つであり、各々は、それぞれの磁場を生成し、MRIシステムのB0磁場に寄与してもよい。例えば、第1のB0磁石は、二平面形状における2つの永久磁石の一つであり、各々がそれぞれの磁場を形成し、ヨークの形態(例えば図2に示す)とともに、機器の少なくとも一部がMRIシステムのB0磁場を提供してもよい。
従って、ある実施形態では、磁気共鳴結像システムのB0磁場を提供する機器は、さらに、第2のB0磁石を有し、これは、MRIシステムのB0磁場に寄与する第2の磁場を生成するように構成される。第2のB0磁石は、複数の永久磁石リングを有し、この少なくとも2つは、異なる高さを有する。ある実施形態では、第2のB0磁石における全ての永久磁石リングが、それぞれ異なる高さを有してもよい。
ある実施形態では、第1および第2のB0磁石は、両者の間に結像領域が形成されるように、相互に対して配置されてもよい。ある実施形態では、第1および第2のB0磁石において、永久磁石リングの異なる高さが選定され、永久磁石リングが等しい高さである場合に得られる磁場に比べて、結像領域内の一定の視野の場合、より均一な磁場が得られる。例えば、17乃至23cmの範囲(例えば20cm)の直径を有する、視野の球状磁場の場合、第1および第2のB0磁石における永久磁石リングの高さは、永久磁石リングの高さが同じである場合に得られる視野の球状磁場における均一性のレベルよりも少なくとも2桁(または3桁、または4桁、または5桁等)小さい均一性レベルを有する磁場が得られるように選定されてもよい。
ある実施形態では、第1および第2のB0磁石における永久磁石リングの異なる高さは、磁場均一性の所与のレベル(例えば500乃至1000ppmの範囲におけるレベル、例えば700ppm)において、等しい高さの永久磁石リングを用いて得られる磁場均一性の同じ所与のレベルの視野の磁場体積よりも、大きな体積(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも50%等)を有する視野が得られるように選定されてもよい。均一性のレベルは、ppmの偏差で測定されてもよい。均一性のレベルが小さくなると、磁場はより均一となる。同様に、均一性のレベルが大きくなると、磁場はより不均一となる。
ある実施形態では、第1のB0磁石の永久磁石リングは、共通の中心に対して同心状である。ある実施形態では、永久磁石リングの高さは、最も内側のリングから最も外側のリングまで、単調に増加する。例えば、第1の複数のリングは、順番に配置された第1、第2、第3、および第4のリングを有し、第1のリングは、共通の中心に対して最も内側のリングであり、第4のリングは、最も外側のリングであってもよい。この例では、第4のリングの高さは、最大であり、第3のリングの高さは、2番目に大きく、第2のリングの高さは、3番目に大きく、第1のリング(中心に孔のないディスクであってもよい)の高さは、最も低い。第1のB0磁石における永久磁石リングの数は、4リングに限定されるものではなく、いかなる好適な数のリングであってもよいことが理解される必要がある(例えば、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15)。
ある実施形態では、永久磁石リングの各々は、複数の永久セグメントを有してもよい。ある実施形態では、特定の永久磁石リングのセグメントの複数(例えば全て)は、同じ高さであってもよい。ある実施形態では、永久磁石リングの永久磁石セグメントは、円弧状セグメントを有してもよい。ある実施形態では、永久磁石リングの永久磁石セグメントは、矩形ブロックを有してもよい。ある実施形態では、永久磁石リングの永久磁石セグメントは、台形ブロックを含んでもよい。
ある実施形態では、第2のB0磁石における永久磁石リングは、第1のB0磁石の永久磁石リングと同じ高さを有するように設計されてもよい。この方法では、第1のB0磁石における各永久磁石リングは、第2のB0磁石と対応する永久磁石リングを有し、対応する永久磁石リングの各組は、同じ高さの永久磁石セグメントを有する。
ある実施形態では、第1および第2のB0磁石は、MRIシステムのB0磁場に寄与し、B0磁場は、約0.2T以下であって、約0.1T以上の磁場強度を有する。
ある実施形態では、第1および第2のB0磁石は、MRIシステムのB0磁場に寄与し、B0磁場は、約0.1T以下であって、約50mT以上の磁場強度を有する。
ある実施形態では、第1および第2のB0磁石は、MRIシステムのB0磁場に寄与し、B0磁場は、約50mT以下であって、約20mT以上の磁場強度を有する。
記載の技術は、いかなる特定の実施方法にも限定されず、技術は、多くの任意の方法で実施されてもよいことが理解される必要がある。実施形態の詳細な例は、単なる説明目的で提供される。また、記載の技術の態様は、任意の特定の技術または技術の組み合わせの使用に限定されるものではなく、記載の技術は、個々に、または任意の好適な組み合わせで、実施されてもよい。
図1には、MRIシステム100の典型的な部材のブロック図を示す。図1の例では、MRIシステム100は、コンピュータデバイス104、制御器106、パルスシーケンスストア108、電力管理システム110、および磁石部材120を有する。システム100は、一例であり、MRIシステムは、図1に示した部材の代わりに、またはこれに加えて、任意の好適な種類の1または2以上の他の部材を有してもよいことが理解される必要がある。ただし、特定のMRIシステムでは、これらの部材の使用は、大きく異なってもよいが、通常、MRIシステムは、これらの高レベルの部材を有する。
図1に示すように、磁石部材120は、B0磁石122、シムコイル124、RF送受信コイル126、および勾配コイル128を有する。磁石122を使用して、主要磁場B0が生成されてもよい。磁石122は、所望の主要磁場B0を発生できる、いかなる好適な種類であってもよく、あるいは磁石部材の組み合わせであってもよい。前述のように、高磁場領域では、B0磁石は、通常、ソレノイド形状で提供される、超伝導材料を用いて形成される。これには、B0磁石を超伝導状態に保つため、極低温冷却システムが必要となる。従って、高磁場B0磁石は、高価で、複雑で、電力量の消費が激しく(例えば、極低温冷却システムには、B0磁石を超伝導状態に維持するために必要となる極低温を維持するため、多量の電力が必要)、大きな専用空間、および特殊な専用電源接続が必要となる(例えば、パワーグリッドに対する専用の3相電源接続)。また、従来の低磁場B0磁石(例えば、0.2Tで作動するB0磁石)は、しばしば、超伝導材料を用いて実施され、従って、これらの同じ一般要求が必要となる。他の従来の低磁場B0磁石は、従来の低磁場システムでは限界のある磁場強度(低磁場強度では、有益な画像を取得できないため、例えば、0.2Tと0.3Tの間)を発生する、永久磁石を用いて実施され、これには、極めて大きな磁石重量、5乃至20トンが必要となる。従って、従来のMRIシステムのB0磁石単独では、運搬性およびコストが妨げられる。
勾配コイル128は、勾配磁場を提供するように配置され、例えば、3つの実質的に直交する方向(X、Y、Z)にB0磁場の勾配を発生するように配置されてもよい。勾配コイル128は、システム的にB0磁場(磁石122および/またはシムコイル124により生じたB0磁場)を変化させることにより、放射MR信号をエンコードするように構成されてもよく、周波数または位相の関数として、受信MR信号の空間配置がエンコードされる。例えば、勾配コイル128は、特定の方向に沿った空間配置の一次関数として、周波数または位相を変化させるように構成されてもよい。ただし、非線形の勾配コイルを用いて、より複雑な空間エンコードプロファイルが提供されてもよい。例えば、第1の勾配コイルは、第1の方向(X)において、該方向における周波数エンコードを実施するため、B0磁場を選択的に変化するように構成され、第2の勾配コイルは、位相エンコードを実行するため、第1の方向と直交する第2の方向(Y)において、B0磁場を選択的に変化するように構成され、第3の勾配コイルは、第1および第2の方向と実質的に直交する第3の方向(Z)において、B0磁場を選択的に変化するように構成され、体積結像向けのスライスの選択が可能になってもよい。前述のように、従来の勾配コイルでは、多量の電力が消費され、通常、大型で高価な勾配電力源により作動される。
MRIシステムは、それぞれ、送受信コイル(しばしば、無線周波数(RF)コイルと称される)を用いて、放射MRI信号を励起、検出させることにより実施される。伝送/送信コイルは、送受信用の別個のコイル、送信および/または受信用の複数のコイル、または送受信用の同じコイルを有してもよい。従って、送信/受信部材は、送信用の1または2以上のコイル、受信用の1または2以上のコイル、および/または送受信用の1または2以上のコイルを有してもよい。また、送信/受信コイルは、MRIシステムの送受信磁石部材の各種構成を総称して、しばしば、Tx/RxまたはTx/Rxコイルとも称される。ここでは、これらの用語は、相互互換可能に使用される。図1において、RF送受信コイル126は、1または2以上の伝送コイルを有し、これを用いて、振動磁場B1を誘導するRFパルスが発生されてもよい。伝送コイルは、いかなる好適な種類のRFパルスを生成するように構成されてもよい。
電力管理システム110は、電子機器を有し、低磁場MRIシステム100の1または2以上の部材に、作動電力が提供される。例えば、電力管理システム110は、1または2以上の電源、勾配電力部材、伝送コイル部材、および/または任意の他の好適な電力電子機器を有してもよい。これらは、MRIシステム100の部材を活性化させ、作動させる上で好適な作動電力を提供するために必要である。図1に示すように、電力管理システム110は、電源112、電力部材114、送信/受信スイッチ116、および熱管理部材118(例えば、超伝導磁石用の極低温冷却機器)を有する。電源112は、電子機器を有し、MRIシステム100の磁石部材120に作動電力が提供される。例えば、電源112は、1または2以上のB0コイル(例えばB0磁石122)に作動電力を提供し、低磁場MRIシステムの主要磁場を生成する電子機器を有してもよい。送信/受信スイッチ116は、RF送信コイルまたはRF受信コイルが作動されたかどうかの選定に使用されてもよい。
電力部材114は、1または2以上のRF受信コイル(例えばコイル126)により検出されたMR信号を増幅する、1または2以上のRF受信(Rx)予備増幅器と、1または2以上のRF送信コイル(例えばコイル126)に電力を提供するように構成された1または2以上のRF送信(Tx)電力部材と、1または2以上の勾配コイル(例えば勾配コイル128)に電力を提供するように構成された1または2以上の勾配電力部材と、1または2以上のシムコイル(例えばシムコイル124)に電力を提供するように構成された1または2以上のシム電力部材と、を有してもよい。
従来のMRIシステムでは、電力部材は、大型、高価で、多量の電力を消費する。通常、電力電子機器は、MRIスキャナ自体とは別の部屋を専有する。電力電子機器では、大きな空間を必要とし、大きな電力を消費し、壁に取り付けられたラック支持することが必要な、高価で複雑な装置も必要である。従って、従来のMRIシステムの電力電子機器では、MRIの搬送性およびコストの手頃感が妨げられる。
図1に示すように、MRIシステム100は、制御器106(コンソールとも称される)を有し、これは、電力管理システム110に指令を送信し、電力管理システム110からの情報を受信する、制御電子機器を有する。制御器116は、1または2以上のパルスシーケンスを実施するように構成され、これを用いて、電力管理システム110に送信される指令が定められ、所望のシーケンス(例えば、RF送信および受信コイル126を作動するパラメータ、勾配コイル128を作動させるパラメータ等)において、磁石部材120が作動してもよい。図1に示すように、制御器116は、受信MRデータを処理するようにプログラム化された、計算装置104と相互作用する。例えば、計算装置104は、受信MRデータを処理し、任意の好適な再構成プロセスを用いて、1または2以上のMR画像を生成してもよい。制御器116は、計算装置によるデータの処理のため、計算装置104に1または2以上のパルスシーケンスに関する情報を提供してもよい。例えば、制御器116は、計算装置104に1または2以上のパルスシーケンスに関する情報を提供し、計算装置は、少なくとも一部において、提供された情報に基づいて、画像解像プロセスを実行してもよい。従来のMRIシステムでは、計算装置104は、通常、1または2以上の高性能ワークステーションを有し、これは、コンピュータにより、比較的迅速に、MRIデータに関する高価な処理を実施するように構成される。そのような計算装置は、それ自体、比較的高価な設備である。
運搬性の別の態様は、MRIシステムの電力消費を含む。前述のように、現在の臨床用のMRIシステムは、大量の電力を消費し(例えば、作動中、20kWから40kWの平均電力消費)、従って、専用の電源接続が必要となる(例えば、必要な電力を供給することができるグリッドへの専用の3相電源接続)。専用電源接続の要求は、適切な電源接続用に特別に整備された高額な専用室以外の様々な場所でMRIシステムを作動させる上で、さらなる障害となる。本願発明者らは、標準的な壁のコンセント(例えば、米国における120V/20A接続)または汎用的な大型用途向けコンセント(例えば、220V/30A)のような、電気幹線を用いた作動が可能な、低電力MRIシステムを開発した。これにより、一般的な電源コンセントが提供されている場所であれば、どこにおいても装置が作動できる。「壁に差し込む」機能により、三相電源接続などの特別な専用電源を必要とせずに、運搬式/可搬式のMRI、および固定MRIシステムの両方の設置が容易となる。
ある実施形態では、運搬式MRIシステム(例えば、以降の図10、12,13に示す運搬式MRIシステム)は、電源接続1270(図12B参照)を介して、電気幹線(例えば、標準的な壁コンセントにより提供される単相電気)を用いて作動するように構成される。ある実施形態では、運搬式MRIシステムは、約110から120Vで、15、20、または30Aを提供する単相のコンセントに接続するように構成された電源接続を有し、電力システムは、単相のコンセントの電力から、運搬式MRIシステムを作動させる電力を提供できる。ある実施形態では、運搬式MRIシステムは、約200から240Vで15、20、または30Aを提供する単相のコンセントに接続されるように構成された電源接続を有し、電力システムは、単相のコンセントにより提供される電力から、磁気共鳴結像システムを作動させる電力を提供できる。ある実施形態では、運搬式MRIシステムは、本願に記載の低電力技術を用いて構成され、画像取得の間、平均3KW未満の電力が使用される。ある実施形態では、運搬式MRIシステムは、本願に記載の低電力技術を用いて構成され、画像取得の間、平均2KW未満の電力が使用される。ある実施形態では、本願に記載の低電力技術を用いて構成され、画像取得の間、平均1KW未満の電力が使用される。例えば、本願に記載の永久B0磁石および低電力部材を用いた低電力MRIシステムは、1KW以下、例えば750W以下で作動されてもよい。
前述のように、従来のMRIシステムのサイズ、コスト、および電力消費に対して大きく寄与するのは、MRIシステムの磁石部材に電力供給する電力電子機器である。従来のMRIシステムの電力電子機器では、しばしば、別個の部屋が必要となり、高価であり、対応する磁石部材を作動させるため、多量の電力を消費する。特に、勾配コイル、および該勾配コイルの冷却に利用される熱管理システムには、通常、専用の電源接続が必要であり、標準的な壁コンセントからの作動の障害となる。本願発明者らは、MRIシステムの勾配コイルに給電が可能な、低電力、低ノイズ、勾配電源を開発した。ある実施形態では、これは、MRIシステムの磁石部材として、同じ運搬式、カート式、または他の可搬式の機器内に収容できる。ある実施形態では、MRIシステムの勾配コイルに給電する電力電子機器は、システムがアイドル状態の場合、50W未満を消費し、MRIシステムが作動中の場合(すなわち画像取得の間)、100乃至200Wを消費する。本願発明者らは、運搬式MRIシステムを作動する、電力電子機器(例えば、低電力、低ノイズ電力電子機器)を開発した。これは、運搬式MRIスキャナの専有面積内に全てを収容する。ある実施形態では、新たな機械的設計により、システムに必要な各種臨床環境の制限の中で操作が可能な、MRIスキャナの開発が可能となる。
低電力、低コスト、および/または運搬式MRIシステムの開発の中核は、B0磁石の磁場強度の低減であり、これにより、サイズ、重量、費用、および消費電力の削減が促進できる。しかしながら、前述のように、磁場強度を下げると、それに対応してSNRが大きく低下する。このSNRの大きな低下は、臨床用MRIシステムにおいて磁場強度を現在の底である約0.2Tよりも低下させる際の妨げとなる。システムは、依然として、大型、高重量で、高価な固定式導入となり、特殊な専用の空間が必要となる。あるシステムでは、0.1Tと0.2Tの間で動作するものが開発されているが、これらのシステムは、しばしば、手、腕、または膝のような先端を走査する、特殊な装置となる。本願発明者らは、臨床的に有益な画像が取得できる、低磁場、非常低磁場において作動するMRIシステムを開発した。ある実施形態では、高効率パルスシーケンスが含まれ、これは、従前に達成可能な低磁場強度よりも低い磁場強度で、臨床的に有益な画像の取得を促進する。MR信号の信号対ノイズ比は、主要磁場B0の強度に関係し、高磁場領域において動作する臨床システムを駆動する一次因子の一つである。本願発明者らにより開発された、臨床的に有益な画像の取得を促進するパルスシーケンスは、2015年11月11に出願された、「低磁場磁気共形のパルスシーケンス」という米国特許出願第2016/0131727号に記載されている。これは、本願の参照として取り入れられている。
低磁場強度の低SNRに対処するために発明者によって開発された別の技術には、無線周波数(RF)送信および/または受信コイルの構成を最適化し、磁場を送信し、放出されたMR信号を検出するRF送信/受信コイルの機能を改善することが含まれる。本発明者らは、低磁場領域における低い送信周波数により、高い磁場強度では不可能なRFコイル設計が可能になることを理解した。感度が改善されたRFコイルが開発され、それにより、MRIシステムのSNRが増加する。本願発明者らによって開発された、一例としてのRFコイル設計および最適化技術は、2016年5月12日に出願された、「無線周波数コイルの方法および機器」という米国特許出願第2016/0334479号に記載されている。これは、本願の参照として取り入れられている。
高磁場MRIの高いコスト、サイズ、重量、および消費電力に寄与する大きな要因は、B0磁石自体、およびB0磁石に電力を供給し、その熱管理を実施する必要がある装置である。特に、高磁場MRIの磁場強度特性を形成するため、B0磁石は、通常、極低温冷却システムが必要な超伝導配線を用いてソレノイド形状に構成された電磁石として実施され、配線を超伝導状態に保つ必要がある。超伝導材料自体が高価である上、超伝導状態を維持するための極低温機器も、高価で複雑である。
本願発明者らは、低磁場の状況では、高磁場領域において使用されないB0磁石設計が可能となることに気付いた。例えば、少なくとも一部における低い磁場強度のため、超伝導材料および対応する極低温冷却システムは、排除できる。部分的には低い磁場強度のため、低磁場領域において、非超伝導材料(例えば、銅)を使用して構成されたB0電磁石が使用され得る。しかしながら、そのような電磁石では、依然として、作動中に比較的大量の電力を消費する可能性がある。例えば、銅導体を使用して電磁石を操作し、0.2T以上の磁場を生成するには、専用のまたは特殊な電源接続(例えば、専用の三相電源接続)が必要となる。本願発明者らは、電気幹線(すなわち標準的な壁電源)を用いて作動できるMRIシステムを開発した。MRIシステムは、標準的な壁コンセント(例えば、米国では120V/20Aの接続)または一般的な大型用途コンセント(例えば、220乃至240V/30A)のような、通常の電源接続を有する任意の配置で給電できる。従って、低電力MRIシステムは、運搬性および利用可能性を高め、必要な配置で、MRIシステムを作動することができる(例えば、逆にMRIシステムを患者の方に提供することができる)。また、標準的な壁電力から作動させることにより、三相電力を単相電力に変換し、グリッドから直接供給される電力を平滑化するために必要な、従来の電子機器が不要となる。代わりに、壁の電力を直接直流に変換し、MRIシステムの部材への給電に分配することができる。
電磁石のようなB0磁石を使用する低磁場MRIシステムの全体的な電力消費の主な要因は、電磁石である。例えば、電磁石は、MRIシステム全体の電力の80%以上を消費し得る。本発明者らは、MRIシステムの電力仕様を有意に低減するため、永久磁石を利用して、B0電磁場を発生し、および/またはこれに寄与するB0磁石を開発した。ある実施形態では、B0電磁石は、B0電磁場の主要源として、永久磁石と置換される。永久磁石は、いったん磁化されると、それ自身の磁場を恒久的に維持する、任意の対象または材料を表す。永久磁石を生成するため磁化され得る材料は、強磁性と称され、これに限られるものではないが、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、ネオジム(NdFeB)合金、サマリウムコバルト(SmCo)合金、アルニコ(AlNiCo)合金、ストロンチウムフェライト、バリウムフェライト等が含まれる。永久磁石材料(例えば、磁場により飽和に駆動された磁化可能材料)は、駆動磁場が除去された際も、その磁場を維持する。特定の材料により保持される磁化の量は、材料の残留磁場と称される。従って、いったん磁化されると、永久磁石は、その残留磁場に対応する磁場を生成し、磁場を生成する電源の必要がなくなる。
B0磁石の重量は、MRIシステムの総重量のかなりの部分となり、これは、MRIシステムの運搬性に影響を及ぼす。ヨークおよびシミング部材のため、主として低炭素鋼および/またはケイ素鋼を使用する実施形態では、一例としてのB0磁石は、約550kgの重さとなり得る。ある実施形態では、ヨーク(および可能な場合、シム部材)の一次材料として、コバルト鋼(CoFe)が使用され、B0磁石200の重量を約450kgに低減され得る。ただし、CoFeは、通常、例えば、低炭素鋼よりも高価であり、システムのコストを上昇させる。従って、ある実施形態では、選定部材は、CoFeを用いて形成され、その使用から生じるコストと重量の間のトレードオフがバランスされる。そのような一例としてのB0磁石を使用し、例えば、B0磁石をハウジング、フレーム、または他の本体内に集積することにより、運搬性、搬送性、または可搬型のMRIシステムが構成され、キャスタ、車輪、または他の移動運動の手段が取り付けられ、(例えば、手動でおよび/または電動支援を追加して、MRIシステムを押すことにより、)MRIシステムを所望の位置に搬送することが可能となる。その結果、MRIシステムが必要な位置に配置され、利用可能性が高まり、臨床的な機器としの使用が可能となり、今まで不可能であったMRI用途での利用が可能となる。ある実施形態では、運搬式MRIシステムの総重量は、1500ポンド未満であり、好ましくは、1000ポンド未満であり、MRIシステムの操作性が向上する。
図2には、ある実施形態によるB0磁石200を示す。特に、B0磁石200は、二平面形状に配置された永久磁石210aおよび210bにより形成され、ヨークが結合され、永久磁石により生じた電磁流束が捕獲され、この流束が対向する永久磁石に転送され、永久磁石210 aと210bの間で流束密度が高められる。永久磁石210 aおよび210bの各々は、永久磁石210bにより示されているように、複数の同心状永久磁石で形成され、これには、永久磁石の外側リング214a、永久磁石の中央リング214b、永久磁石の内側リング214c、および中心の永久磁石ディスク214dが含まれる。永久磁石210aは、永久磁石210bと同じ組の永久磁石素子を有してもよい。使用される永久磁石材料は、システムの設計要求仕様に応じて選定される(例えば、所望の特性に応じて、NdFeB、SmCo等)。
使用される永久磁石材料は、システムの設計要求仕様に応じて選定されてもよい。例えば、ある実施形態では、永久磁石(またはその一部)は、NdFeBで構成されてもよく、これは、一旦磁化されると、材料の単位体積当たり比較的大きな磁場を有する磁場を発生する。ある実施形態では、SmCo材料を用いて、永久磁石またはその一部が形成される。NdFeBは、高い磁場強度を形成する(さらに、通常SmCoよりも安価である)が、SmCoは、低い熱度リフトを示し、従って、温度の変動の面で、より安定な磁場を提供する。態様は、これに限定されるものではなく、他の種類の永久磁石材料も使用可能である。通常、利用される永久磁石材料の種類は、少なくとも部分的に、所与のB0磁石の磁場強度、温度安定性、重量、コスト、および/または使用の要求の容易さに依存する。
永久磁石リングは、永久磁石210aおよび210bの間の中心領域(視野)において、所望の強度の均一な磁場を発生するように寸法化され、配置される。図2に示した一実施形態では、各永久磁石リングは、それぞれのリングを形成する、強磁性材料の複数のブロックを有する。各リングを形成するブロックは、所望の磁場を発生するように寸法化され、配置されてもよい。本願発明者らは、ブロックは、コストを下げ、重量を抑制し、および/または生成磁場の均一性を改善する、多くの方法で寸法化され得ることに認識した。ある実施形態では、これは、B0磁石の永久磁石を形成する一例のリングとともに記載されている。
B0磁石は、さらに、ヨーク220を有する。ヨークは、永久磁石210aおよび210bにより生じた磁束を捕獲するように構成、配置され、これをB0磁石の反対側に誘導し、永久磁石210aと210bの間の磁束密度を高め、B0磁石の視野内での磁場強度が高められる。磁束を捕獲し、これを永久磁石210aと210bの間の領域に誘導することにより、所望の磁場強度を得る上で、より少ない永久磁石材料の使用が可能となり、従って、B0磁石のサイズ、重量、およびコストが抑制される。あるいは、所与の永久磁石において、磁場強度が高まり、従って、多くの量の永久磁石材料を使用しなくても、システムのSNRが改善される。例えば、B0磁石200、ヨーク220は、フレーム222、プレート224aおよび224bを有する。前述のヨーク220に関して示したものと同様の方法により、プレート324aおよび324bは、永久磁石210aおよび210bにより生じた磁束を捕獲し、これをヨークの磁場戻り経路を介して循環されるようにフレーム222に誘導し、B0磁石の視野における磁束密度が高められる。ヨーク220は、例えば、低炭素鋼、CoFe、および/またはケイ素鋼など、いかなる所望の強磁性材料で構成されてもよく、ヨークに所望の磁気特性が提供される。ある実施形態では、プレート224aおよび224b(および/またはフレーム222またはその一部)は、勾配コイルが最も汎用的に渦電流を誘導するある領域が、ケイ素鋼等で構成される。
一例としてのフレーム222は、それぞれ、プレート224aおよび224bに取り付けられたアーム223aおよび223bと、永久磁石により生じた磁束の磁場戻り経路を提供するサポート225aおよび225bとを有する。アームは、通常、永久磁石の支持に必要な材料の量を抑制するように設計される一方、永久磁石により生じた磁束の戻り経路用の十分な断面を提供する。アーム223aおよび223bは、B0磁石により生じたB0磁場の磁場戻り経路内に2つのサポートを有する。サポート225aおよび225bの間には、ギャップ227が形成され、フレームに対する安定性および/または構造に対する軽量性の尺度が提供される一方、永久磁石により生じた磁束用の十分な断面が提供される。例えば、磁束の戻り経路に必要な断面は、2つのサポートの間で分割され、従って、フレームの構造的剛性を高めたまま、十分な戻り経路が提供される。構造に追加のサポートが付加されてもよいことを理解する必要がある。この技術は、2つのサポートのみを用いることに限定されるものではなく、任意の特定の数の複数の支持構造であってもよいからである。
図3には、永久磁石310の上面図を示す。これは、例えば、図2に示したB0磁石の永久磁石210aおよび210bの設計として、使用されてもよい。永久磁石310は、同心状リング310a、310b、および310cを有し、各々は、強磁性ブロックの複数のスタックと、中心の強磁性ディスク310dとで構成される。永久磁石が取り付けられるヨークのフレームの方向は、矢印22で示されている。ヨークが対称ではない実施形態(例えばヨーク220)では、磁束を捕獲し集束するヨークにより、永久磁石によって生じる磁場が非対称となり、B0磁場の均一性に悪影響が生じる。
ある実施形態では、ブロックの寸法は、永久磁石により生じる磁場に及ぼすヨークの影響を補償するように変更される。例えば、図3に符号化された4つの領域315a、315b、315c、315dにおけるブロックの寸法は、それぞれのブロックが配置される領域に応じて変化してもよい。特に、ブロックの高さ(例えば、円形磁石310の平面に垂直なブロックの寸法)は、フレームから最も遠い領域315cにおいて、フレームに最も近い領域315aにおける対応するブロックよりも高くなってもよい。ヨークの影響を補償する技術は、任意の特定のブロック、ブロックのセット、および/または任意の特定の寸法を変えることに限定されないため、ブロックの高さは、1または2以上のリングで、またはその一部で変化し得る。ヨークの影響の補償のためブロックの寸法が変化する一例は、以降に詳しく示されている。ある実施形態では、ブロックの高さは、ブロックが配置される永久磁石リングに応じて変化する。例えば、各リングにおけるブロックの高さは、各永久磁石リングが異なる高さを有するように変化してもよい。本願発明者らは、これにより、視野が増加することに気付いた(すなわち、MRI装置は、大きな結像領域を有するように構成されてもよい)。永久磁石リングの高さが変化する一例は、以下の図5乃至図7に関して、詳しく示されている。
ある実施形態では、ヨーク220の一部に使用される材料(すなわち、フレーム222および/またはプレート224a、224b)は、例えば低炭素鋼、ケイ素鋼、コバルト鋼のような鋼である。ある実施形態では、MRIシステムの勾配コイル(図2、3には示されていない)は、プレート224a、224bと比較的近接して配置され、プレートに渦電流が誘導される。プレート224a、224bおよび/またはフレーム222は、ケイ素鋼で構成され、これは通常、例えば低炭素鋼よりも、渦電流生成に対して耐性を有する。ヨーク220は、十分な透磁率を有する任意の強磁性材料を用いて構成されてもよく、個々の部品(例えば、フレーム222およびプレート224a、224b)は、同じまたは異なる強磁性材料で構成されてもよいことを理解する必要がある。磁束密度を高める技術は、任意の特定の材料の種類または材料の組み合わせを用いることに限定されないからである。また、ヨーク220は、異なる形状および配置を用いて構成されてもよいことが理解される必要がある。
ヨーク220は、いかなる好適な材料で構成されてもよく、重量、コスト、および磁気特性のような他の設計制約を満たす、所望の磁束捕獲が提供されるように寸法化されてもよいことに留意する必要がある。例えば、ヨークのフレーム(例えばフレーム222)は、炭素が0.2%未満の低炭素鋼、またはケイ素鋼で構成され、約38インチの長さ、約8インチの幅、および約2インチの厚さ(深さ)を有する長い梁、または約19インチの長さ、約8インチの幅、および約2インチの厚さ(深さ)を有する短い梁であってもよい。プレート(例えば、プレート224a、224b)は、炭素が0.2%未満の低炭素鋼、またはケイ素鋼で構成され、約30乃至35インチの直径(例えば約32インチ)を有してもよい。ただし、前述の寸法および材料は、電磁石により生じる磁束を捕獲することに使用されるヨークの単なる好適な実施例の一例である。
図2に示した永久磁石は、永久磁石ブロックの任意の数および配置を用いて製造され、示された数、配置、寸法、または材料に限られないことを理解する必要がある。永久磁石の構成は、少なくとも一部がB0磁石の設計特性に依存し、これには、これに限られるものではないが、B0磁石が動作するように意図されるMRIに要求される、磁場強度、視野、運搬性および/またはコストが含まれる。例えば、永久磁石ブロックは、必要な磁場強度に依存して、20mTから0.1Tの範囲の磁場が生じるように寸法化される。しかしながら、永久磁石の寸法を大きくすることにより、他の低磁場強度(例えば、最大約0.2T)が生成されてもよいことを理解する必要がある。ただし、そのような増加は、B0磁石のサイズ、重量、コストの上昇につながる。
ある実施形態では、異なる四分円に使用されるブロックの高さまたは深さは、非対称ヨークによって生じるB0磁場に及ぼす影響を補償するため、変化してもよい。例えば、図2に示した構成では、永久磁石210a、210bに対するフレーム222の位置(特に、脚225a、225b)では、フレーム(例えば四分円215a)に近接する領域から引き離される磁束が生じ、これらの領域における磁束密度が低下する。磁場に生じる不均一性に対処するため、影響を受ける領域におけるブロックの高さまたは深さが変化し(例えば増加し)、追加の磁束が形成され、ヨークによって生じる磁束密度の低下が補償される。これにより、B0磁石の視野内のB0磁場の均一性が改善される。
本願発明者らは、永久磁石ブロックに使用される配置、寸法、および材料が、勾配コイルの動作中にB0コイルにより生じるローレンツ力を大小限に抑制するように選定され得ることに気付いた。この技術を用いて、MRIシステムの作動中の振動および音響ノイズを抑制することができる。ある実施形態では、永久磁石ブロックの設計は、B0磁場に垂直な、すなわち勾配コイルの平面に平行な磁場成分を抑制するように選定される。ある実施形態では、永久磁石ブロックの外側リングは、作動中、MRIシステムの視野の外側の領域において、勾配コイルの振動に寄与する磁場成分を抑制するように設計され、これにより、MRIシステムの作動中に生じる振動および音響ノイズが抑制される。
本願に記載のある実施形態では、永久B0磁石は、二平面形状における一組の永久磁石により形成されてもよい。この場合、結像領域は、その間に形成され、ヨークは、一組の永久磁石により生じた電磁流束を捕獲し、誘導し、結像領域内の磁束密度が高められる。一組の永久磁石の各々は、複数の同心永久磁石リングを有してもよい。
ある実施形態では、永久磁石の各々における永久磁石リングの高さは、均一であり、各永久磁石リングは、他の永久磁石リングと同じ(または実質的に同じ)高さを有してもよい。例えば、図4Aには、複数の永久磁石リング414a、414b、414c、414dを有する永久B0磁石400を示す。図4Bに示すように、永久磁石リング414a、414b、414c、414dの高さは、同じであり、永久磁石リング414a乃至414dの各々は、同じ高さ「h」を有する。永久磁石リングにより生じる磁束は、ヨーク420により誘導され、これは、フレーム422a、ギャップ427により分離されたサポート425a、425b、ならびに永久磁石リング414a乃至414dに取り付けられたプレート422bを含む。この例では、永久磁石リングの高さは、プレート422bと平行な平面と直交する方向で測定される(図4Bに示した軸おいて、軸「Z」で表される)。
図5には、永久B0磁石およびヨークの側断面図を示す。本願に記載の技術のある実施形態では、永久B0磁石を形成する永久磁石リングの高さが変化する。図4Bとは異なり、図5に示した永久B0磁石500の永久磁石リングは、それぞれ異なる高さを有する。
具体的に図5に示した実施形態では、永久B0磁石500は、4つの永久磁石リング514a、514b、514c、514dを有する。図5に示すように、永久磁石リング514aは、高さh3を有し、永久磁石リング514bは、高さh2を有し、永久磁石リング514cは、高さh1を有し、永久磁石リング514dは、高さh0を有する。図5に示した実施形態では、永久磁石リングの高さは、中心において最も小さい(例えば、永久磁石リング514dの高さh0が最小)。B0磁石の半径方向に続く永久磁石リングごとに、高さが増加する。永久磁石リングにより生じる磁束は、ヨーク520により誘導され、これは、フレーム522a、ギャップ527により分離されたサポート525a、525b、および永久磁石リング514a乃至514dが取り付けられたプレート522bを有する。この例では、永久磁石リングの高さは、プレート522bに平行な平面と直交する方向で測定される(図4Bに示した軸において、軸「Z」で表される)。
前述のように、高さh0、h1、h2、h3は、少なくとも閾値百分率だけ、相互に異なってもよい。例えば、少なくとも1%、5%、10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、または1から100%の間の他の好適な量だけ、相互に異なってもよい。例えば、図7A乃至7Lに示すように、永久磁石は、それぞれ、22mm、26mm、30mm、および34mm、の高さを有する4つのリングを有してもよい。
図5に示した例では、永久磁石リング514a乃至514dの各々は、複数の永久磁石セグメントで構成されてもよい。ある実施形態では、1または2以上(例えば全て)の永久磁石リング514a乃至514dの各々が、円弧状の磁石セグメントで構成されてもよい。ある実施形態では、1または2以上(例えば全て)の永久磁石リング514a乃至514dの各々は、矩形状永久磁石ブロックで構成されてもよい。
図5に示した例では、リングの高さは、各リングの半径とともに増加するが、本願に記載の技術は、この態様に限定されるものではなく、他の構成を使用してもよく、永久磁石リングの高さは、異なる態様で変化してもよいことを理解する必要がある。例えば、ある実施形態では、リングの少なくとも2つは、同じ高さを有し、永久磁石リングの少なくとも2つは、異なるそれぞれの高さを有してもよい。また、各永久磁石リングの幅(例えば、図5における符号の幅w参照)が変化し、所望の磁場強度、均一性、および/または視野のB0磁場が得られてもよい。また、図5では、4つの永久磁石リングが示されているが、記載の技術はこの態様に限定されないため、永久B0磁石は、任意の他の好適な数の永久磁石リング(例えば、2乃至15のリングの範囲の任意の数)を有してもよい。
図6A、6B、6Cには、それぞれ、本願に記載の技術のある実施形態による、一例のB0磁石600の側断面図、上面図、および等角図を示す。図6Bに示すように、永久磁石600は、共通の中心605に対して同心の4つの永久磁石リング602、604、606、608を有する。リング602は、最も内側の永久磁石リングである。リング604は、共通の中心に2番目に近い永久磁石リングである。リング606は、共通の中心に3番目に近い永久磁石リングである。リング608は、最も外側の永久磁石リングである。永久磁石リング602は、中心孔を有するが、他の実施形態では、永久磁石リング602は、中心孔のない固体ディスクと置換され得る。
図7A乃至7Lには、永久磁石リング602、604、606、608の各々をより詳しく示す。これらの永久磁石リングのそれぞれにおいて、一例としての寸法が提供されている。これらの寸法は、限定的な例ではなく、永久磁石リングは、図7A乃至7Lに記載されたものとは異なる寸法を有してもよいことが理解される必要がある。
図7A、7B、7Cには、それぞれ、本技術のある実施形態による、図6A乃至6Cに示した4つのリング永久B0磁石のうち最も内側のリング602の側断面図、上面図、および等尺図を示す。図7Bに示すように、永久磁石リング602は、44.6mmの内径と、93.40mmの外径とを有し、幅は48.8mmである。図4Aに示すように永久磁石リング602は、22mmの高さを有する。
図7D、7E、7Fには、それぞれ、本技術のある実施形態による、図6A乃至6Cに示した4つのリング永久B0磁石600の永久磁石リング604の側断面図、上面図、および等尺図を示す。図7Eに示すように、永久磁石604は、144.6mmの内径と、190.2mmの外径とを有し、幅は45.6mmである。図7Dに示すように、永久磁石リング604は、26mmの高さを有する。
図7G、7H、7Iには、それぞれ、本技術のある実施形態による、図6A乃至6Cに示した4つのリング永久B0磁石600の永久磁石リング606の側断面図、上面図、および等尺図を示す。図7Hに示すように、永久磁石606は、264.6mmの内径と、322.2mmの外径とを有し、幅は57.6mmである。図7Gに示すように、永久磁石リング606は、30mmの高さを有する。
図7J、7K、7Lには、それぞれ、本技術のある実施形態による、図6A乃至6Cに示した4つのリング永久B0磁石600の永久磁石リング608の側断面図、上面図、および等尺図を示す。図7Jに示すように、永久磁石608は、466mmの内径と、582.6mmの外径とを有し、幅は116.6mmである。図7Lに示すように、永久磁石リング608は、34mmの高さを有する。
図6A乃至C、および図7A乃至7Lに示した前述の実施形態から、永久磁石の永久磁石リングは、各々が異なるそれぞれの高さおよび幅を有することは明らかである。しかしながら、前述のように、これは必須ではなく、ある実施形態では、2または3以上の永久磁石リングは、同じ幅および/または高さを有してもよい。
ある実施形態では、永久B0磁石は、二平面形状における一組の永久磁石により形成されてもよい。この場合、両者の間に結像領域が形成され、ヨークは、一組の永久磁石により生じる電磁流束を捕獲し、これを誘導し、結像領域内での磁束密度が増加する。
本願発明者らは、ある実施形態では、永久磁石の動作中、ヨークが磁気飽和されてもよいことに気付いた。この場合、ヨークの磁気飽和により、不均一な透磁率が生じる。図2を参照すると、ある例では、永久磁石によりプレート224a、224bに誘導される磁気飽和により、プレート224a、224bは、不均一な透磁率を有する。本願発明者らは、プレートの不均一な透磁率の結果、勾配コイルとヨークの間の相互作用により、MRI再構築誤差が生じることに気付いた。特に、勾配コイルの動作により、ヨーク内に磁場が生じる。また、ヨークの不均一な透磁率の結果、ヨークおよび永久磁石により生じるB0磁場に、時間依存する均一磁場(これの存在有無は、勾配コイルの動作に依存する)の重畳が生じる。これは、再構築誤差が生じる原因となる。
従って、本願発明者らは、ヨークの磁気飽和を補償する各種技術を開発した。これにより、ヨークにおける透磁率の不均一性が低減される。ある実施形態では、強磁性材料がヨークに追加され、その磁気飽和が補償されてもよい。例えば、ある実施形態では、ヨークに追加の強磁性材料(例えば、1または2以上の鋼プレート)が取り付けられ、および/または追加の強磁性材料を含むようにヨークが製造される。別の例では、ある実施形態において、ヨークから強磁性材料が除去され、磁気飽和が補償されてもよい。図2を参照して示した例では、ある実施形態において、プレートに1または2以上の孔を空けることにより、および/または、例えば、プレートを外端に向かって、および/またはフレームアーム223a、223bがプレートに結合される位置から離れた領域において、薄肉化することにより、それらの厚さを変化させることにより、プレート224a、224bから強磁性材料が除去される。
従って、ある実施形態は、MRIシステムのB0磁場を提供する機器を含む。機器は、B0磁場に寄与する、第1の磁場を形成するように構成された第1のB0磁石と、B0磁場に寄与する、第2の磁場を形成するように構成された第2のB0磁石とを有し、第2のB0磁石は、第1および第2のB0磁石の間に結像領域が提供されるように、第1のB0磁石に対して配置される。機器は、さらに、第1および第2のB0磁石により生じる少なくとも一部の磁束を捕獲し、誘導するように構成されたヨークを有し、結像領域内の磁束密度が高められる。ヨークは、(1)強磁性材料を含み、少なくとも一つの第1のB0磁石に結合された第1のプレート;(2)強磁性材料を含み、少なくとも一つの第2のB0磁石に結合された第2のプレート;(3)強磁性材料を含み、第1のプレートおよび第2のプレートに結合されたフレーム(例えば、それぞれ、第1のプレートおよび第2のプレートが取り付けられた、第1および第2のアームを有する、実質的にC形状のフレーム);(4)第1のプレートに結合され、第1のプレートに誘導される磁気飽和を補償する、第1の追加の強磁性材料;ならびに(5)第2のプレートに結合され、第2のプレートに誘導される磁気飽和を補償する、第2の追加の強磁性材料;を有する。ある実施形態では、ヨークの1または2以上の部分は、低炭素鋼、コバルト鋼、および/またはケイ素鋼で構成されてもよい。
ある実施形態では、第1の追加の強磁性材料は、第1のプレートとは別に製造され、その後第1のプレートに取り付けられる(例えばボルト締め)。例えば、第1の追加強磁性材料は、第1のプレートの第2のプレートとは遠い側で、第1のプレートに取り付けられてもよい。別の実施形態では、第1のプレートは、追加の強磁性材料と一緒に製造され、追加の強磁性材料を含んでもよい。さらに別の実施形態では、第1の追加の強磁性材料は、ヨークの一部(例えばヨークフレーム)であり、および/またはヨークの任意の好適な部分に取り付けられ、第1のプレートの磁気飽和が補償されてもよい。
ある実施形態では、第1の追加の強磁性材料と同様、第2の追加の強磁性材料は、第2のプレートとは別に製造され、その後第2のプレートに取り付けられてもよい(例えばボルト締め)。例えば、第2の追加の強磁性材料は、第2のプレートの第1のプレートとは反対の側で、第2のプレートに取り付けられてもよい。別の実施形態では、第2のプレートは、追加の強磁性材料と一緒に製造され、追加の強磁性材料を含んでもよい。さらに別の実施形態では、第2の追加の強磁性材料は、ヨークの一部(例えばヨークフレーム)であり、および/またはヨークの任意の好適な部分に取り付けられ、第2のプレートの磁気飽和が補償されてもよい。
ある実施形態では、第1のプレートの不均一な透磁率は、第1のプレートが第1の差分透磁率を有する第1の領域(例えば、第1のプレートがヨークのフレームのアームに取り付けられる領域)と、第1の差分透磁率よりも低い第2の差分透磁率を有する第2の領域とを有することを意味する。そのような実施形態では、第1の追加の強磁性材料は、第1の領域に近接して追加され、第1と第2の領域の間の差分透磁率が補償される。
ある実施形態では、第1の追加強磁性材料は、1または2以上の強磁性プレートを有する。強磁性プレートは、第1のプレートが取り付けられる第1のアーム部分に近接してもよい。例えば、第1および第2の追加の強磁性材料は、第1のアーム部分に近接する2つのプレートを有し、第1のアーム部分は、2つのプレートの間に配置される(例えば、以降に示される、プレート830a、830b、第1のアーム823aに対し、図8Aの実施形態に示すように)。
ある実施形態では、第1および第2のプレートの各々は、実質的に円形であり、追加の強磁性材料プレートは、実質的に円形の端部を有する。例えば、図8Aに示すように、追加の強磁性材料プレートは、実質的に先端が切除された扇形(truncated circular sector)であってもよい。
ある実施形態では、第1および第2のB0磁石は、MRIシステムのB0磁場に寄与し、B0磁場は、約0.2T以下、約0.1T以上の磁場強度を有する。ある実施形態では、第1および第2のB0磁石は、MRIシステムのB0磁場に寄与し、B0磁場は、約0.1T以下、約50mT以上の磁場強度を有する。ある実施形態では、第1および第2のB0磁石は、MRIシステムのB0磁場に寄与し、B0磁場は、磁場強度を有する。
ある実施形態では、第1および第2のB0磁石は、本願に好適な種類の磁石であってもよい。例えば、ある実施形態では、第1のB0磁石は、永久磁石であり、共通の中心に対して同心の複数の永久磁石リングを有してもよい。ある実施形態では、永久磁石リングは、変化する幅および/または高さを有してもよい。
ある実施形態では、磁気飽和は、ヨークに強磁性材料を追加する代わりに、ヨークから強磁性材料を除去することにより対処されてもよい。例えば、強磁性材料は、ヨークに孔を導入することにより除去されてもよい。また、ある実施形態は、MRIシステムのB0磁場を提供する機器を有し、B0磁場に寄与する第1の磁場を形成するように構成された第1のB0磁石と、第1のB0磁石に対して配置され、B0磁場に寄与する第2の磁場を形成するように構成された第2のB0磁石とを有し、第1および第2の磁石の間に、結像領域が提供される。機器は、さらに、第1および第2のB0磁石により生じた少なくとも一部の磁束を捕獲し、誘導するように構成されたヨークを有し、結像領域内の磁束密度が高められる。ヨークは、
(1)少なくとも一つの第1のB0磁石に結合され、強磁性材料と、第1の組の1または2以上の孔(例えば円形孔または他の開口)とを有する、第1のプレートであって、第1のプレートに生じる磁気飽和が補償される、第1のプレートと、
(2)少なくとも一つの第2のB0磁石に結合され、強磁性材料と、第2の組の1または2以上の孔とを有する、第2のプレートであって、第2のプレートに生じる磁気飽和が補償される、第2のプレートと、
(3)強磁性材料を有し、第1のプレートおよび第2のプレートに結合された、フレームと、を有する。第1および第2の組の孔は、それぞれ、第1および第2のプレートに透磁率を提供し、これは、孔なしで提供される第1および第2のプレートにおける透磁率に比べて、実質的により対称性である。
別の例では、強磁性材料は、ヨークの1または2以上の部分(例えば、ヨークの1または2以上のプレート)を薄肉化することにより除去されてもよい。従って、ある実施形態は、MRIシステムのB0磁場を提供する機器を含み、B0磁場に寄与する第1の磁場を形成するように構成された第1のB0磁石と、B0磁場に寄与する第2の磁場を形成するように構成され、第1のB0磁石に対して配置された第2のB0磁石、とを有し、第1および第2のB0磁石の間に、結像領域が提供される。機器は、さらに、第1および第2の磁石により生じた少なくとも一部の磁束を捕獲し、誘導するように構成されたヨークを有し、結像領域内の磁束密度が高められる。ヨークは、
(1)少なくとも一つの第1のB0磁石に結合され、強磁性材料を有する、第1のプレートであって、第1のプレートに生じる磁気飽和が補償される、変化する厚さを有する、第1のプレートと、
(2)少なくとも一つの第2のB0磁石に結合され、強磁性材料を有する、第2のプレートであって、第2のプレートに生じる磁気飽和を補償される、変化する厚さを有する、第2のプレートと、
(3)強磁性材料を有し、第1のプレートおよび第2のプレートに結合された、フレームと、を有する。
図8Aには、ある実施形態による永久B0磁石800を示す。特に、磁石800は、二平面形状に配置された永久磁石810a、810bと、ヨーク820とにより構成される。ヨークは、永久磁石810a、810bにより生じる電磁流束を捕獲し、流束を反対の永久磁石に誘導し、両者の間の結像領域における磁束密度が高められる。永久磁石810a、810bの各々は、共通の中心に対して同心状の複数の永久磁石から形成される。特に、図8Aに見られるように、永久磁石801bは、永久磁石リング814a、814b、814c、814dを有する。永久磁石810aは、永久磁石410bと同じ組の永久磁石素子を有してもよい。永久磁石リングは、変化する高さおよび/または幅を有してもよい。永久磁石は、本願に記載の任意の材料で構成されてもよい。
図8Aに示した実施形態では、ヨーク820は、フレーム822およびプレート824a、824bを有する。一例としてのフレーム822は、それぞれ、プレート824a、824bに取り付けられたアーム823a、823bと、サポート825a、825bとを有し、永久磁石により生じる磁束の磁場戻り経路が提供される。ヨーク820に関して示した前述と同様の方法で、プレート824a、824bは、永久磁石810a、810bにより生じる磁束を捕獲し、これをフレーム822に誘導し、これはヨーク820の磁気戻り経路を介して循環され、B0磁石の視野において、磁束密度が高められる。ヨーク820は、例えば、低炭素鋼、CoFe、および/またはケイ素鋼等のような、ヨークに所望の磁気特性を提供する、いかなる所望の強磁性材料で構成されてもよい。ある実施形態では、プレート824a、824b(および/またはフレーム822またはその一部)は、勾配コイルにおいて最も渦電流が誘導される可能性の高い領域がケイ素鋼等で構成されてもよい。
図8Aに示すように、ヨーク820は、さらに、第1の追加の強磁性材料を有し、これは、プレート830a、830bを有し、第1のプレート824aに結合され、第1のプレート824aにおける磁気飽和が補償される。プレート830a、830bは、第1のプレート824aが取り付けられる第1のアーム部分823aに近接される。第1のアーム部分823aは、プレート830a、830bの間にある。また、ヨーク820は、第2の追加の強磁性材料を有し、これは、少なくともプレート830cを有し、第2のプレート824bに結合され、第2のプレート824b内の磁気飽和が補償される。図8Aに示すように、プレート830a、830bは、円形の端部を有する、先端が除去された円形扇形である。図8Bには、プレート830aの概略図を示す。ただし、プレート830a、830bの形状は、任意の他の好適な形状であってもよいことが理解される必要がある。記載の技術の態様は、本態様に限定されないからである。第1および第2の強磁性材料は、低炭素鋼、コバルト鉄(CoFe)、ケイ素鋼、および/または任意の他の種類の強磁性材料を含んでもよい。
ある実施形態では、追加の強磁性材料は、第1および第2のプレート824aおよび824bの磁気飽和を補償し、これにより、プレートの透磁率の不均一性が低減される。図9A乃至9Bには、ある実施形態による、追加の強磁性材料が磁気飽和に及ぼす影響、さらにはこの結果としての透磁率の不均一性を示す。図9Bに示すように、追加の強磁性プレート830aおよび830bにより、図9Aに示した透磁率の不均一性に比べて、第1のプレート824aがヨークアーム823aに取り付けられた領域の周囲で、透磁率の不均一性が低減されている。
図8Aに示した実施形態では、プレート830aおよび830bは、第1のプレート824aに取り付けられるが、別の実施形態では、プレート830aおよび830bは、第1のプレート824aの一部であってもよい。さらに別の実施形態では、第1の追加の強磁性材料は、第1のアーム823aに取り付けられ、またはその一部であってもよい。通常、第1の追加の強磁性材料は、追加の強磁性材料により、第1のプレート824aにおける磁気飽和が補償される限り、ヨーク820の任意の好適な部分に取り付けられ、および/または一部であってもよい。
本願に記載のように、本願発明者らは、低電力、運搬式の低磁場MRIシステムを開発した。これは、事実上任意の環境に配置され、結像処置が施される患者に提供される。この方法では、救急治療室、集中治療室、手術室、およびその他の多くの場所にいる患者が、従来MRIが利用できなかった状況において、MRIの恩恵を受けることが可能となる。運搬式のMRIを容易にする態様は、以下に詳しく示されている。
図10には、ある実施形態による、低電力、運搬式の低磁場MRIシステムを示す。運搬式MRIシステム1000は、B0磁石1005を有し、これは、強磁性ヨーク1020により、相互に磁気的に結合された、少なくとも一つの第1の永久磁石1010aと、少なくとも一つの第2の永久磁石1010bとを有する。強磁性ヨーク1020は、磁束を捕獲し、誘導するように構成され、MRIシステムの結像領域(視野)内の磁束密度が増加する。永久磁石1010a、1010bは、任意の好適な技術を用いて構成され、これには、本願に記載の任意の技術(例えば、図2に示したB0磁石200および関連する事項に関して説明した、任意の技術、設計、および/または材料を使用する)が含まれる。ヨーク1020は、本願に記載のいかなる技術(例えば、図2に示したヨーク220および関連する事項に関して説明した、任意の技術、設計、および/または材料を使用する)を用いて構成されてもよい。ある実施形態では、B0磁石1005は、電磁石を用いて構成されてもよいことを理解する必要がある。B0磁石1005は、勾配コイル(例えば、x勾配、y勾配、z勾配のコイル)および/または任意のシム部材(例えば、シムコイルまたは永久磁石シム)、B0補正コイルのような、1または2以上の他の磁石部材とともに、ハウジング1012に収容され、または取り囲まれる。
B0磁石1005は、角度計ステージのような配置機構1090により、ベース1050に結合され、または取り付けもしくはマウントされてもよい。その結果、B0磁石が傾斜され(例えばその質量中心の周りに回転される)、必要に応じて、患者の組織を収容するための傾斜が提供される。図10には、傾斜を有さない水平なB0磁石が示されている。配置機構1090は、B0磁石1005の重量を支持するために配置されたベース1050の1または2以上の荷重負荷構造に固定されてもよい。
B0磁石を支持する荷重負荷構造を提供することに加えて、ベース1050は、運搬式MRIシステム1000の動作に必要な電子機器1070を収容するように構成された、内部空間を有する。例えば、ベース1050は、勾配コイル(例えば、X、Y、Z)およびRF送信/受信コイルを作動させる電力部材を収容してもよい。本願発明者らは、通常、低電力、低ノイズ、および低コストの勾配増幅器を開発した。これは、低磁場領域において、勾配コイルに適切に給電するように構成され、比較的低コストとなるように設計され、運搬式MRIシステムのベース内にマウントするように(すなわち、従来のように、固定された機器の別の部屋に、静的にラックする代わりに)構成される。ある実施形態では、MRIの勾配コイルに給電する電力電子機器は、システムがアイドル状態の際に、50W未満を消費し、MRIシステムが作動の際(すなわち画像取得の間)には、100乃至300Wを消費する。また、ベース1050は、RFコイル増幅器(すなわち、システムの送信/受信コイルを作動させる電力増幅器)、電源、コンソール、電力分配ユニット、およびMRIシステムの動作に必要な他の電子機器を収容する。これの詳細は、以降に示されている。
ある実施形態では、運搬式MRIシステム1000の作動に必要な電子機器1070は、1kW未満の電力を消費し、ある実施形態では、750W未満の電力を消費し、ある実施形態では、500W未満の電力を消費する(例えば、MRIシステムは、永久B0磁石の解決策を使用する)。MRI装置の低電力動作を容易にする技術は、以降に詳しく示されている。しかしながら、本態様は、この態様に限定されず、より大きな電力を消費するシステムも使用可能である。図10に示した一例の運搬式MRIシステム1000は、単一の電源接続1075を介して給電され、この電源接続1075は、単相電源を提供するコンセント(例えば、標準的なまたは大型用途のコンセント)のような、電気幹線に接続されるように構成される。従って、運搬式MRIシステムは、単一の利用可能な電源コンセントにプラグイン利用でき、これから給電を受けることができ、専用の電源の必要性が排除され(専用の三相電源の必要性がなくなり、三相電力を単相電力に変換し、MRIシステムの対応する部材に分配する、別の電力変換電子機器の必要性が排除され)、MRIシステムの利用性が高まり、運搬式MRIシステムが使用される環境および配置の利用可能性が広がる。
また、図10に示した運搬式MRIシステム1000は、運搬機構1080を有し、これにより、運搬式MRIシステムを異なる場所まで輸送することができる。運搬機構は、例えばMRIが必要な場所まで、運搬式MRIシステムの移動を容易にするように構成された1または2以上の部材を有してもよい。ある実施形態では、運搬機構は、駆動ホイール1084に結合されたモータ1086を有する。この方法では、運搬機構1080は、MRIシステム1000を所望の場所に搬送する際の電動支援を提供する。また、運搬機構1080は、複数のキャスタ1082を有し、支持および安定性を支援し、輸送の容易化を提供してもよい。
ある実施形態では、運搬機構1080は、制御器(例えば、ジョイスティック、または人が操作できる他の制御器)を用いて制御されたパワーアシストを有し、所望の位置への運搬中に、運搬式MRIシステムが誘導される。ある実施形態では、運搬機構は、MRIシステムに力が加わったことを検出するように構成されたパワーアシスト手段を有し、これに応じて、運搬機構と係合して、検出された力の方向にパワーアシストが提供される。例えば、図10に示したベース1050のレール1055は、(例えば、人がレールを押すことにより)レールにいつ力が印加されたかを検出するように構成され、運搬機構と係合して、電動支援が提供され、ホイールが印加された力の方向に駆動される。その結果、ユーザは、ユーザにより印加された力の方向に応じて、運搬機構の支援により、運搬式MRIシステムを誘導する。またパワーアシスト機構は、衝突に対する安全機構を提供してもよい。特に、他の物体(例えば、壁、床、または他の構造物)と接触する力が検出され、運搬機構は、物体から離れる電動運動応答に従って反応する。ある実施形態では、電動支援は省略され、運搬式MRIシステムは、人が手動でシステムを所望の場所に移動させることにより、輸送されてもよい。
運搬式MRIシステム1000は、スライド1060を有し、これはシステムの結像領域に電磁シールドを提供する。スライド1060は、透明または半透明であり、MRIシステムの開放感が維持され、閉所内で実施される従来のMRI中に閉所恐怖症を感じる患者を支援する。スライド1060は、穴あき板であり、空気流が増加し、開放感が高められ、および/または作動中にMRIシステムにより生じる音響ノイズが逸散される。スライドは、組み込まれたシールド1065を有し、結像領域からの電磁ノイズが遮蔽されてもよい。また、ある実施形態では、スライド1060は、結像領域にシールド1065を提供する導電性メッシュにより形成され、システムの開放感が助長されてもよい。従って、スライド1060は、患者がシステム内に配置される可動の電磁シールドを提供し、いったん患者が配置され、または収容の間、関係者による調整が可能となり、および/または外科医が患者にアクセスすることが可能となる。
従って、可動式シールドにより、自由度が高まり、運搬式MRIシステムを未シールドの部屋で利用することが可能になる上、今まで利用できなかった手順を実行することが可能となる。
ある実施形態では、運搬式MRIシステムは、スライドを有さず、実質的に開放された結像領域が提供され、患者のシステム内への配置がより容易となり、閉所恐怖症が抑制され、および/またはMRIシステム内に配置された患者へのアクセスが改善される(例えば、医者または外科医は、結像手順の前、間、または後に、患者をシステムから移動させずに、患者にアクセスできる)。本願発明者らは、電磁シールドの変化するレベルを用いて、MRIの実施を容易にする技術を開発した。これには、結像領域のシールドは、全くまたは実質的に含まれず、環境中の電磁ノイズを抑制するノイズ抑制システムが含まれる。ある実施形態では、運搬式MRIシステム1000は、ノイズ抑制技術および/または回避技術の1または2以上を用いるノイズ抑制システムを備え、例えば、動的なノイズ抑制/キャンセル応答が、運搬式MRIシステム1000の所与のシールド配置のシールド構成とともに適合される。従って、低磁場の運搬式MRIシステム1000は、患者および/または所望の位置まで搬送され、特定のシールド室の外部(例えば、救急治療室、手術室、NICU、一般開業医の診療所、診療所)で作動することができ、および/または患者が配置されたどこの場所に配置されていても、ベッドサイドに運ぶことができ、必要な場所および必要な時間にMRIを実施できる。
図11A乃至11Fには、運搬式MRIシステム1100を構成する際の多くのステップの一例を示す。図11Aでは、B0磁石1110は、上側永久磁石1110aと、下側永久磁石1110bとを有し、ベース1150の上にはヨーク1120がマウントされ、その一部は、図11Aに示されている(ベース1150全体は、図11Fに示されている)。上側および下側の永久磁石1110a、1110bは、例えば、図2乃至図3に関して示したような永久磁石リングと同様、
永久磁石ブロックの複数の同心状リングで構成される。ただし、永久磁石リングの任意の構成が使用され得る。B0磁石1110およびヨーク1120は、例えば、前述の図2乃至図7に関して示したような技術および材料を用いて、比較的軽量に構成され、図11Fに示すような、完全な運搬式MRIシステム1100の総重量は、1500ポンド未満であり、より好ましくは1000ポンド未満である。従って、運搬式MRIシステム1100は、関係者により、電動アシストの機能を用いて、または使用せずに、異なる位置に搬送されてもよい。これは、以下に詳しく説明される。
B0磁石1110は、「非常低磁場」強度領域(例えば、約0.1T以下)において、B0磁場を発生するように構成されてもよい。例えば、運搬式MRIシステム1100は、約64mTの磁場強度を操作するように構成される。ただし、いかなる低磁場強度が使用されてもよい。極めて小さな磁場領域におけるB0磁場強度は、運搬式MRIシステムの近傍に残る、5ガウスライン(例えば、B0磁石からのフリンジ磁場が5ガウス以下である外側の周囲)を促進する。例えば、ある実施形態では、5ガウスラインは、7フィート未満の最大寸法を有し、より好ましくは、5フィート未満、さらに好ましくは4フィート未満である。
図11Aに示すように、永久磁石リングの1または2以上の上部には、永久磁石シム1130が配置され、これは、B0磁石1110により形成されるB0磁場が改善されるように構成される。前述のように、低磁場領域の比較的低いSNR特性に対処する一例の技術は、B0磁石により、B0磁場の均一性を改善することである。通常、B0磁石には、MRIでの使用を満たすプロファイル(例えば、所望の磁場強度および/または均一性におけるB0磁場)を有する、B0磁場を形成するあるレベルのシミングが必要となる。特に、設計、製造誤差、低精度の製造プロセス、環境などの製造因子は、組み立て/製造後に、不満足なプロファイルを有するB0磁場が生じる磁場のばらつきを高める。例えば、一例として前述のB0磁石200および/または300は、不満足なプロファイル(例えば、不適切な結像のB0磁場の不均一性)を有するB0磁場を形成し、通常、臨床的に有益な画像を形成するには、シミングによる改善または補正が必要となる。
シミングとは、しばしば、磁気共鳴結像装置のB0磁場である、磁場の調整、補正、および/または改善用の各種技術の任意のものを表す。同様に、シムは、(例えば磁場を生成することによる)シミングを実行するもの(例えば、物体、部材、装置、システムまたはこれらの組み合わせ)を表す。効率的なおよび/またはコスト効果のある、MRI用のB0磁石のシミングを容易にする技術は、2017年3月22日に出願された「磁場シミングの方法および機器」という米国特許出願第2017/0276749号に記載されている。これは、本願の参照として取り入れられている。
一例の永久磁石シム1130a、1130b、1130c、および1130dは、例えば、‘500出願に記載の任意のシミング技術を用いて提供されてもよい。特に、永久磁石シム1130a乃至dの構成またはパターン(例えば形状およびサイズ)は、磁場補正を計算し、永久磁石シムの磁気パターンを定めることにより定められ、磁場補正の少なくとも一部が提供されてもよい。例えば、永久磁石シム1130a乃至dは、非対称ヨーク1120により生じるB0磁場の影響を補償してもよい。例えば、永久磁石シム1130a乃至dのパターンは、ヨーク1120の影響により生じるB0磁場の不均一性を軽減し、および/または実質的に除去するように定められ、および/または例えば、製造プロセスおよび材料の不完全性から生じるB0磁場における他の不均一性を補償し、B0磁石のプロファイル(例えば強度および/または均一性)が改善されてもよい。図11Aに示した実施形態では、永久磁石1110aは、永久磁石シムを有することが理解される必要がある。これは、図11Aに示された視野おいては視認されない。
図11Bおよび図11Cには、運搬式MRIシステム1100の勾配コイルの振動マウントを示す。図11bに示すように、振動マウント1140は、外側永久磁石リングにわたって配置され、所定の位置に固定された部分を有する。特に、一例として円弧セグメント1142A、1142Bで符号化された円弧のセグメント1142は、外側の永久磁石リングおよび対応する円弧セグメント1144の外方でフレームに追加され、一例として円弧セグメント1144A、1144Bで符号化されたものは、外側永久磁石リングの内側でフレームに追加される。一例としてスラット1145A乃至Dで符号化されたスラット1145は、円弧セグメント1142、1144に固定され、図11Dに示すように、振動マウントが形成され、その上に勾配コイルがマウントされる。図11Cに示すように、内側永久磁石リングの間には、追加の円弧セグメント1146、1148が配置され、振動マウント1140に対する勾配コイルの取り付けが容易となる。図11Cには、複雑な振動マウント1140を示すが、これは、勾配コイル(例えば、勾配コイルが取り付けられた積層パネル)がB0磁石のフレームに固定されるように構成され、勾配コイル、永久磁石シム、およびB0磁石1110のリングの間に間隔が提供され、振動の減衰が提供され、動作中の音響ノイズおよび勾配コイルの振動が低減される。図11B乃至11Cに示した実施形態では、振動マウントは、上側永久磁石にも提供されることを理解する必要がある。これは、図11B、図11Cに示した視野では視認できない。
図11Dには、振動マウント1140に固定された勾配コイルを有する積層パネル1128を示す。例えば、積層パネル1128は、該積層パネル1128の1または2以上の層にパターン化された、1または2以上のx勾配コイル、1または2以上のy勾配コイル、および/または1または2以上のz勾配コイルを有してもよい。積層パネル1128には、B0磁石1110用の1もしくは2以上のシム、または補正コイルのような、1もしくは2以上の他の磁石部材が作製されてもよい。積層パネル上に磁石部品を製造する技術は、2017年1月10日に発行された「低磁場磁気共鳴結像法および機器」という米国特許第9,541,616号(「’616特許」)に記載されている。これは、本願の参照として取り入れられている。図11Dに示された実施形態では、1または2以上の勾配コイル(例えば、X、Y、Zの方向の勾配コイル)を有する積層パネルもまた、上側永久磁石に提供された振動マウントに固定されることを理解する必要がある。これは、図11Dに示した視野では視認できないが、MRIに必要な勾配磁場が提供される。
図11Eには、図11Dに示した積層パネル1128の上部に追加された、追完の永久磁石シム1130’を示す。永久磁石シム1130’は、B0磁石に微細なシミングを提供してもよい。特に、‘500出願に記載された任意の技術を用いて、磁場補正を計算し、永久磁石シムの磁気パターンを定めることにより、永久磁石シム1130’の磁気パターンが定められてもよく、少なくとも一部に磁場補正が提供される。パターン化永久磁石シム1130は、基板1132に追加され、積層パネルの上部で、運搬式MRIシステムに固定されてもよい(例えば、‘500出願のパターン化の任意の技術を用いて)。この方法では、図11Aに示した永久磁石シム1130は、粗いシミングを提供し、永久磁石シム1130’は、微細なシムを提供し、B0磁石1110により提供される、B0磁場のプロファイルが改善される(例えば、B0オフセットが補正され、および/またはB0磁場の均一性が改善される)。図11Eに示した実施形態では、上側永久磁石の積層パネルの上部のフレームに、別の永久磁石シムが貼り付けられてもよいことを理解する必要がある。これは、図11Eに示した視野では視認できないが、永久磁石1110により生じるB0磁場のプロファイルが補正され、および/または改善される。提供されるシム(例えば、永久磁石シム1130、1130’、および/または勾配コイルとともに積層パネル上に作製されたシムコイル)は、臨床的に有益な画像を得ることに適した均一なB0磁場を容易にする。
図11Fには、図11A乃至Eに示した磁石部材の上にハウジングまたは外側カバーを有する、運搬式MRIシステム1100を示す。特に、ハウジング1115Aおよび1115Bは、B0永久磁石1110、永久磁石シム1130、1130’、積層パネル1128のカバーを提供し、積層パネル1128は、それぞれ、B0磁石の上側部分および下側部分のシステム用の勾配コイルを有する。ハウジング1125は、ヨーク1128のカバーを提供し、ある実施形態では、前置増幅器、およびシステムの熱管理を制御するファン制御器を収容する。運搬式MRIシステム1100の磁石部材は、ベース1150により支持され、ベース1150は、運搬式MRIシステムの電子部材を収容するハウジング1102を有する。運搬式MRIシステム100は、運搬式MRIシステム1100の操作性を容易にするように寸法化され、システムが患者にもたらされる。また、運搬式MRIシステム1100は、軽量な材料で構成、設計され、好ましくは1500ポンド未満、より好ましくは1000ポンド未満である。
本願に記載の技術を用いて、本願発明者らは、手頃なコストで、必要な場所にMRIを設置することができ、患者に届けることが可能な運搬式の低電力MRIシステムを開発した。図12Aおよび12Bには、ある実施形態による運搬式MRIシステムを示す。運搬式MRIシステム1200は、一部が上側磁石1210aおよび下側磁石1210bにより形成されたB0磁石1210を有し、これにはヨーク1220が結合され、結像領域内の磁束密度が高められる。B0磁石1210は、勾配コイル1215(例えば、2105年9月4日に出願された「低磁場磁気共鳴結像方法および機器」という米国出願第14/845652号に記載された任意の勾配コイル。これは本願の参照として取り入れられている)とともに磁石ハウジング1212に収容される。ある実施形態では、B0磁石1210は、電磁石を有する。ある実施形態では、B0磁石1210は、例えば、図2に示した永久磁石200と同一または同様な、永久磁石を有する。
運搬式MRIシステム1200は、さらに、MRIシステムの作動に必要な電子部材を収容するベース1250を有する。例えば、ベース1250は、電気幹線(例えば、標準的な壁コンセントを介して、および/または大型電気コンセント)を用いて、MRIシステムを作動するように構成された電力部材を含む電子部材を収容してもよい。例えば、ベース1270は、前述のような低電力部材を収容し、少なくとも一部は、容易に利用できる壁コンセントから、運搬式MRIシステムに給電してもよい。従って、運搬式MRIシステム1200は、患者まで搬送され、周辺の壁コンセントにプラグインできる。
運搬式MRIシステム1200は、さらに、移動式スライド1260を有し、これは、開閉式で、各種構成で配置できる。スライド1260は、電磁シールド1265を有し、これは、任意の好適な伝導性または磁気材料で構成され、可動式シールドが形成され、運搬式MRIシステムの動作環境における電磁ノイズが減衰され、結像領域が少なくとも一部の電磁ノイズからシールドされる。本願に使用される電磁シールドという用語は、伝導性または磁気材料を表し、関心スペクトルにおける電磁場を減衰するように構成され、空間、関心の部材および/または対象をシールドするように配置される。MRIシステムの内容において、電磁シールドを使用して、MRIシステムの電子部材(例えば、電力部材、ケーブル等)をシールドし、またはMRIシステムの結像領域(例えば、視野)をシールドし、あるいは両方をシールドしてもよい。
電磁シールドから得られる減衰の度合いは、使用材料の種類、材料厚さ、電磁シールドに必要なもしくは要求される周波数スペクトル、電磁シールドにおける開口のサイズおよび形状(例えば、伝導性メッシュの空間のサイズ、未シールド部のサイズ、またはシールド内のギャップ等)、および/または入射電磁場に対する開口の配向を含む、多くの因子に依存する。従って、電磁シールドは、通常、少なくとも一部の電磁放射線を減衰させるように働き、少なくとも一部の電磁放射線を減衰させることにより、所与の空間、対象、または部材の少なくとも一部をシールドするように配置された、任意の伝導性または磁気バリアを意味する。
シールドすること(電磁場の減衰)が望まれる周波数スペクトルは、被シールド物に応じて異なることを理解する必要がある。例えば、ある電子部材の電磁シールドは、MRIシステムの結像領域用の電磁シールドとは異なる周波数を減衰するように構成されてもよい。結像領域に関し、関心スペクトルは、MRIシステムの機能に影響し、影響を及ぼし、および/または機能を劣化させる周波数を含み、MR応答が励起され、検出される。通常、MRIシステムの結像領域用の関心スペクトルは、検出するように構成され、または検出することが可能な受信システムの所与のB0磁場強度での公称作動周波数(すなわち、ラーモア周波数)の付近の周波数に対応する。このスペクトルは、MRIシステムの作動スペクトルと称される。従って、作動スペクトルのシールドを提供する電磁シールドは、MRIシステムの結像領域の少なくとも一部の、少なくとも作動スペクトル内で、周波数を減衰するように配置された、伝導性または磁性材料を表す。
従って、示された運搬式MRIシステム1200において、可動式シールドは、患者を収容し、患者へのアクセスを提供し、および/または所与の画像化プロトコルに従って必要に応じて調整することが可能な、異なる配置でシールドを提供するように構成できる。例えば、図13に示した結像手順(例えば脳の走査)では、いったん患者が配置されると、スライド1360は、例えば、ハンドル1362を用いて閉にされ、患者の上半身を収容する開放部を除き、結像領域の周囲に電磁シールド1365が提供される。従って、可動式シールドによって、結像手順に適した配置においてシールドが構成され、結像領域内に患者を適切に配置させることが容易となる。
スライドが設置される配置にかかわらず、可動式シールドによりシールドが提供されることを確実に行うため、電気ガスケットが配置され、可動式シールドの周囲に沿って、連続シールドが提供されてもよい。例えば、図12Bに示すように、スライド1260と磁石ハウジングの間の界面に、電気ガスケット1267a、1267bが提供され、この界面に沿って、連続シールドが維持され、提供されてもよい。ある実施形態では、電気ガスケットは、ベリリウムフィンガーまたはベリリウム-銅フィンガー等(例えばアルミニウムガスケット)であり、スライド1260が結像領域の近傍の所望の位置に移動される間、またはその後、シールド1265とアースの間に電気接続が維持される。ある実施形態では、電気ガスケット1267cは、スライド1260の間の界面に提供され、その結果、スライド同士が相互に接合される配置において、スライドの間に連続シールドが提供される。従って、移動式スライド1260は、運搬式MRIシステム用の構造化可能なシールドを提供できる。
図12Cには、ある実施形態による運搬式MRIシステムの別の例を示す。運搬式MRIシステム1300は、図2、12A、12Bに示した運搬式MRIシステムと、多くの態様において同様である。ただし、スライド1360は、シールド3965’のように、異なるように構成され、製造がより容易となり、低コストな電磁シールドが得られる。前述のように、ノイズ抑制システムを用いることにより、未シールド室における運搬式MRIシステムの作動が可能となり、システム自体における結像領域の周囲でのシールドの度合いを変化させることができ、結像領域用の装置レベルの電磁シールドが含まれなくなり、または実質的に含まれなくなる。本願発明者らにより開発された、一例としてのシールド設計およびノイズ抑制技術は、2018年1月24日に出願された、「運搬式磁気共鳴結像方法および機器」という米国特許出願公開第2018/0168527号に記載されている。これは、本願の参照として取り入れられている。
搬送を容易にするため、電動部材1280が提供され、例えば、ジョイスティックまたはMRIシステムに提供され、もしくはMRIシステムから離れた他の制御機構のような制御を用いて、運搬式MRIシステムがある場所から別の場所に動かされ得る。この方法では、運搬式MRIシステム1200を患者まで搬送し、ベッドサイドで操作することができ、図13に示すように、結像を行うことができる。前述のように、図13には、脳走査を行うため、患者のベッドサイドに搬送された運搬式MRIシステム1300を示す。
従って、本願に記載の技術のいくつかの態様および実施形態が説明され、当業者には各種変更、修正、および改善が容易に行い得ることが理解される。そのような変更、修正、および改善は、本願に記載の技術の範囲および思想に含まれることが意図される。例えば、当業者には、機能を実施しおよび/または結果を得るための、各種他の手段および/または構造、および/または記載された利点の1または2以上が容易に予測され、そのような変更および/または修正の各々は、記載の実施形態の範囲に含まれると見なされる。当業者は、日々の実験を用いて、記載された特定の実施形態の多くの等価物を認識し、または確かめることができる。従って、前述の実施形態は、単なる一例として示されたものであり、特に記載がない限り、添付の特許請求の範囲およびその等価物の中で、新たな実施形態が実施され得ることが理解される。また、記載された2または3以上の特徴、システム、部材、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせは、そのような特徴、システム、部材、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しない限り、本開示の範囲内に含まれる。
本願に記載され、定められた全ての規定は辞書の定義、参照により取り入れられた文書における定義、および/または定められた用語の通常の意味を制御するものと理解される必要がある。
明細書および特許請求の範囲で使用されている「一つの」と言う用語は、明確な示唆がない限り、「少なくとも一つ」の意味であることを理解する必要がある。
本願の明細書および特許請求の範囲に使用されている「および/または」と言う用語は、連結された素子の「いずれかまたは両方」の意味であることを理解する必要がある。すなわち、素子は、ある場合には結合的に存在し、別の場合には分離的に存在する。「および/または」で記載された複数の素子は、同じ方法で解釈する必要があり、すなわち、そのように結合された素子の「1または2以上」を表す。必要な場合、「および/または」と言う用語により具体的に定められた素子以外の別の素子が、具体的に定められた素子と関連するか否かにかかわらず、存在してもよい。従って、「有する」のようなオープンな用語と組み合わせて使用される場合、「および/または」の言及は、ある実施形態では、Aのみを表し(必要な場合、B以外の素子を含む)、別の実施形態では、Bのみを表し(必要な場合、A以外の素子を含む)、さらに別の実施では、AおよびBの両方を表す(必要な場合、他の素子を含む)。
明細書および特許請求の範囲に使用される、1または2以上の素子のリストを参照する際の「少なくとも一つ」と言う用語は、素子のリストにおける任意の1または2以上の素子から選択された、少なくとも一つの素子を意味することを理解する必要がある。ただし、必ずしも素子のリスト内に具体的に記載されている全ての素子の少なくとも一つを含む必要はなく、素子のリストにおける素子の組み合わせが除外される必要もない。また、この定義では、これらの素子が具体的に特定された素子と関連するかどうかにかかわらず、「少なくとも一つ」という用語が表す素子のリスト内の具体的に示された素子以外の素子が、任意で存在することも可能である。従って、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも一つ」(または、これと等価な、「AまたはBの少なくとも一つ」、またはこれと等価な「Aおよび/またはBの少なくとも一つ」)は、ある実施形態では、Bを含まず、少なくとも一つのA、必要な場合、2以上のAを含むことを表し(また、必要な場合、B以外の素子を含み);別の実施形態では、Aを含まず、少なくとも一つのB、必要な場合、2以上のBを含むことを表し(また、必要な場合、A以外の素子を含み);さらに別の実施形態では、少なくとも一つのA、必要な場合、2以上のAと、少なくとも一つのB、必要な場合、2以上のBと、を含むことを表す(また、必要な場合、他の素子を含む)などである。
また、本願に使用されている表現および用語は、説明目的のものであり、限定的なものと見なされてはならない。「含む」、「有する」、「含有する」、「持つ」、およびその変化形の使用は、その後に記載された事項、その等価物、ならびに追加事項を網羅することを意味する。
特許請求の範囲および明細書において、「含む」、「有する」、「運ぶ」、「持つ」、「含有する」、「関与する」、「保持する」、「構成する」などのような全ての移行句は、オープンなものとして理解され、すなわち、これ以外のものを含むことを意味する。「からなる」および「本質的にからなる」という移行句のみが、それぞれ、クローズまたは半クローズな移行句である。

Claims (46)

  1. 磁気共鳴結像システム用のB0磁場を提供する機器であって、
    前記磁気共鳴結像システム用のB0磁場に寄与する第1の磁場を発生するように構成された、少なくとも一つの第1のB0磁石を有し、
    前記少なくとも一つの第1のB0磁石は、それぞれが異なる高さの少なくとも2つのリングを含む、第1の複数の永久磁石リングを有する、機器。
  2. 前記第1の複数の永久磁石リングの各々は、それぞれ異なる高さを有する、請求項1に記載の機器。
  3. さらに、前記磁気共鳴結像システム用の前記B0磁場に寄与する第2の磁場を発生するように構成された、少なくとも一つの第2のB0磁石を有し、
    前記少なくとも一つの第1のB0磁石は、それぞれが異なる高さの少なくとも2つのリングを含む、第2の複数の永久磁石リングを有する、請求項1または2に記載の機器。
  4. 前記第2の複数の永久磁石リングの各々は、それぞれ異なる高さを有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の機器。
  5. 前記少なくとも一つの第1のB0磁石、および前記少なくとも一つの第2のB0磁石は、両者の間に結像領域が提供されるように、相互に対して配置され、
    前記第1の複数の永久磁石リングの前記異なる高さ、および前記第2の複数の永久磁石リングの前記異なる高さは、前記結像領域における第1の視野内に、第1のレベルの磁場均一性が得られるように選定され、
    該第1のレベルの磁場均一性は、等しい高さを有する前記第1の複数の永久磁石リング、および等しい高さを有する前記第2の複数の永久磁石リングにより得られる、前記第1の視野内の第2のレベルの磁場均一性よりも小さい、請求項3または4に記載の機器。
  6. 前記第1の視野は、17乃至23cmの範囲の直径を有する球を含み、前記第1のレベルの磁場均一性は、前記第2のレベルの磁場均一性よりも少なくとも1/2小さい、請求項5に記載の機器。
  7. 前記少なくとも一つの第1のB0磁石および前記少なくとも一つの第2のB0磁石は、両者の間に結像領域が提供されるように、相互に対して配置され、
    前記第1の複数の永久磁石リングの前記異なる高さおよび前記第2の複数の永久磁石リングの前記異なる高さは、前記結像領域において、第1の体積および第1の磁場均一性を有する第1の視野が得られるように選定され、
    前記第1の体積は、前記第1の複数の永久磁石リングの高さが等しく、前記第2の複数の永久磁石リングの高さが等しいとした場合に得られる、前記第1の磁場均一性を有する第2の視野の第2の体積よりも大きい、請求項3乃至5のいずれか一項に記載の機器。
  8. 前記第1の体積は、前記第2の体積よりも少なくとも10%大きい、請求項7に記載の機器。
  9. 前記第1の複数の永久磁石リングは、共通の中心に対して同心状である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の機器。
  10. 前記第1の複数の永久磁石リングは、第2の永久磁石リングよりも前記共通の中心に近い第1の永久磁石リングを有し、
    前記第1の永久磁石リングにおける永久磁石セグメントの第1の高さは、前記第2の永久磁石リングにおける永久磁石セグメントの第2の高さよりも小さい、請求項9に記載の機器。
  11. 前記第1の複数の永久磁石リングは、前記第2の永久磁石リングよりも前記共通の中心から遠い第3の永久磁石リングを有し、
    前記第3の永久磁石リングにおける永久磁石セグメントの第3の高さは、前記第2の永久磁石リングにおける前記永久磁石セグメントの前記第2の高さよりも高い、請求項10に記載の機器。
  12. 前記第1の複数の永久磁石リングは、前記第3の永久磁石リングよりも前記共通の中心から遠い第4の永久磁石リングを有し、
    前記第4の永久磁石リングにおける永久磁石セグメントの第4の高さは、前記第3の永久磁石リングにおける永久磁石セグメントの前記第3の高さよりも高い、請求項11に記載の機器。
  13. 前記第1の永久磁石リングにおける複数の永久磁石セグメントは、前記第1の高さを有し、
    前記第2の永久磁石リングにおける複数の永久磁石セグメントは、第2の高さを有する、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の機器。
  14. 前記第1の永久磁石リングにおける前記永久磁石セグメントの各々は、前記第1の高さを有し、
    前記第2の永久磁石リングにおける前記永久磁石セグメントの各々は、前記第2の高さを有する、請求項10乃至13のいずれか一項に記載の機器。
  15. 前記第1の永久磁石リングにおける前記永久磁石セグメントは、円弧状セグメントを有する、請求項10乃至14のいずれか一項に記載の機器。
  16. 前記第1の永久磁石リングにおける前記永久磁石セグメントは、矩形状ブロックを有する、請求項10乃至15のいずれか一項に記載の機器。
  17. 前記第1の永久磁石リングにおける前記永久磁石セグメントは、台形ブロックを有する、請求項10乃至16のいずれか一項に記載の機器。
  18. 前記第2の複数の永久磁石リングは、共通の中心に対して同心状である、請求項3乃至17のいずれか一項に記載の機器。
  19. 前記第1の複数の永久磁石リング、および前記第2の複数の永久磁石リングは、同数のリングを有し、
    前記第1の複数の永久磁石リングにおける各永久磁石リングは、前記第2の複数の永久磁石リングにおける対応する永久磁石リングを有し、
    対応する永久磁石リングの各組は、同じ高さの永久磁石セグメントを有する、請求項18に記載の機器。
  20. 前記少なくとも一つの第1のB0磁石、および少なくとも一つの第2のB0磁石は、前記磁気共鳴結像システム用の前記B0磁場に寄与し、
    前記B0磁場は、約0.2T以下、約0.1T以上の磁場強度を有する、請求項3乃至19のいずれか一項に記載の機器。
  21. 前記少なくとも一つの第1のB0磁石、および前記少なくとも一つの第2のB0磁石は、前記磁気共鳴結像システム用の前記B0磁場に寄与し、
    前記B0磁場は、約0.1T以下、約50mmT以上の磁場強度を有する、請求項3乃至20のいずれか一項に記載の機器。
  22. 前記少なくとも一つの第1のB0磁石および前記少なくとも一つの第2のB0磁石は、前記磁気共鳴結像システム用の前記B0磁場に寄与し、
    前記B0磁場は、約50mT以下、約20mmT以上の磁場強度を有する、請求項3乃至20のいずれか一項に記載の機器。
  23. 磁気共鳴結像システム用のB0磁場を提供する機器であって、
    前記磁気共鳴結像システム用の前記B0磁場に寄与する第1の磁場を発生するように構成された、少なくとも一つの第1のB0磁石と、
    前記磁気共鳴結像システム用の前記B0磁場に寄与する第2の磁場を発生するように構成された、少なくとも一つの第2のB0磁石であって、前記少なくとも一つの第1のB0磁石および前記少なくとも一つの第2のB0磁石は、両者の間に結像領域が提供されるように、相互に対して配置される、少なくとも一つの第2のB0磁石と、
    前記少なくとも一つの第1のB0磁石および前記少なくとも一つの第2のB0磁石により生じた少なくとも一部の磁束を捕獲し、誘導するように構成され、前記結像領域内の前記磁束密度を高めるヨークと、
    を有し、
    前記ヨークは、
    強磁性材料を含み、前記少なくとも一つの第1のB0磁石に結合された第1のプレートと、
    強磁性材料を含み、前記少なくとも一つの第2のB0磁石に結合された第2のプレートと、
    強磁性材料を有し、前記第1のプレートおよび前記第2のプレートに結合されたフレームと、
    前記第1のプレートに結合され、前記第1のプレートに誘導される磁気飽和を補償する、第1の追加の強磁性材料と、
    前記第2のプレートに結合され、前記第2のプレートに誘導される磁気飽和を補償する、第2の追加の強磁性材料と、
    を有する、機器。
  24. 前記第1の追加の強磁性材料は、前記第2のプレートから遠い側の前記第1のプレートの側で、前記第1のプレートに取り付けられる、請求項23に記載の機器。
  25. 前記第1の追加の強磁性材料は、前記第1のプレートの一部である、請求項23または24に記載の機器。
  26. 前記第1の追加の強磁性材料は、前記ヨークに取り付けられる、請求項23乃至25のいずれか一項に記載の機器。
  27. 前記第2の追加の強磁性材料は、前記第1のプレートから遠い側の前記第2のプレートの側で、前記第2のプレートに取り付けられる、請求項24乃至25のいずれか一項に記載の機器。
  28. 前記第1のプレートは、第1の差分透磁率を有する第1の領域と、前記第1の差分透磁率よりも低い第2の差分透磁率を有する第2の領域とを有し、
    前記第1の追加の強磁性材料は、前記第1の領域に近接して配置され、前記第1および第2の領域における差分透磁率の差が補償される、請求項23乃至27のいずれか一項に記載の機器。
  29. 前記第1の追加の強磁性材料は、少なくとも一つの強磁性プレートを有する、請求項28に記載の機器。
  30. 前記フレームは、前記第1のプレートに結合された強磁性材料を有する第1のアーム部分を有し、
    前記少なくとも一つの強磁性材料は、前記第1のアーム部分に隣接される、請求項29に記載の機器。
  31. 前記少なくとも一つの強磁性プレートは、前記第1のアーム部分に隣接された第3のプレートと、前記第1のアーム部分に隣接された第4のプレートとを有する、請求項30に記載の機器。
  32. 前記第1のアーム部分は、前記第3のプレートと前記第4のプレートとの間に配置され、両者を分離する、請求項31に記載の機器。
  33. 前記第1および第2のプレートの各々は、実質的に円形である、請求項23に記載の機器。
  34. 前記第1の追加の強磁性材料は、実質的に円形の端部を有する第3のプレートを有する、請求項33に記載の機器。
  35. 前記第1の追加の強磁性材料は、実質的に先端が切除された扇形(truncated circular sector)である第3のプレートを有する、請求項33または34に記載の機器。
  36. 前記フレームは、実質的にC形状である、請求項23に記載の機器。
  37. 前記少なくとも一つの第1のB0磁石および前記少なくとも一つの第2のB0磁石は、前記磁気共鳴結像システム用の前記B0磁場に寄与し、
    前記B0磁場は、約0.2T以下、約0.1T以上の磁場強度を有する、請求項23に記載の機器。
  38. 前記少なくとも一つの第1のB0磁石および前記少なくとも一つの第2のB0磁石は、前記磁気共鳴結像システム用の前記B0磁場に寄与し、
    前記B0磁場は、約0.1T以下、約50mT以上の磁場強度を有する、請求項23に記載の機器。
  39. 前記少なくとも一つの第1のB0磁石および前記少なくとも一つの第2のB0磁石は、前記磁気共鳴結像システム用の前記B0磁場に寄与し、
    前記B0磁場は、約50mT以下、約20mT以上の磁場強度を有する、請求項23に記載の機器。
  40. 前記ヨークは、低炭素鋼、コバルト鉄(CoFe)、および/またはケイ素鋼で構成された、少なくとも一部を有する、請求項23に記載の機器。
  41. 前記少なくとも一つの第1のB0磁石および前記少なくとも一つの第2のB0磁石の各々は、永久B0磁石を有する、請求項23に記載の機器。
  42. 前記少なくとも一つの第1のB0磁石および前記少なくとも一つの第2のB0磁石の各々は、複数の同心の永久磁石リングを有する、請求項41に記載の機器。
  43. 磁気共鳴結像システム用のB0磁場を提供する機器であって、
    前記磁気共鳴結像システム用の前記B0磁場に寄与する第1の磁場を発生するように構成された、少なくとも一つの第1のB0磁石と、
    前記磁気共鳴結像システム用の前記B0磁場に寄与する第2の磁場を発生するように構成された、少なくとも一つの第2のB0磁石であって、前記少なくとも一つの第1のB0磁石および前記少なくとも一つの第2のB0磁石は、両者の間に結像領域が提供されるように、相互に対して配置される、少なくとも一つの第2のB0磁石と、
    前記少なくとも一つの第1のB0磁石および前記少なくとも一つの第2のB0磁石により生じた少なくとも一部の磁束を捕獲し、誘導するように構成され、前記結像領域内の前記磁束密度を高めるヨークと、
    を有し、
    前記ヨークは、
    強磁性材料を含み、前記少なくとも一つの第1のB0磁石に結合された第1のプレートであって、第1の組の1または2以上の孔を有し、前記第1のプレートに誘導される磁気飽和が補償される、第1のプレートと、
    強磁性材料を含み、前記少なくとも一つの第2のB0磁石に結合された第2のプレートであって、第2の組の1または2以上の孔を有し、前記第2のプレートに誘導される磁気飽和が補償される、第2のプレートと、
    強磁性材料を有し、前記第1のプレートおよび前記第2のプレートに結合されたフレームと、
    を有する、機器。
  44. 前記第1の組の1または2以上の孔における孔は、円形である、請求項43に記載の機器。
  45. 前記第1の組の1または2以上の孔により、前記第1のプレートに、前記第1の組の1または2以上の孔が存在しなかった場合の前記第1のプレートにおける透磁率に比べて、実質的により対称性の透磁率が形成される、請求項43または44に記載の機器。
  46. 磁気共鳴結像システム用のB0磁場を提供する機器であって、
    前記磁気共鳴結像システム用の前記B0磁場に寄与する第1の磁場を発生するように構成された、少なくとも一つの第1のB0磁石と、
    前記磁気共鳴結像システム用の前記B0磁場に寄与する第2の磁場を発生するように構成された、少なくとも一つの第2のB0磁石であって、前記少なくとも一つの第1のB0磁石および前記少なくとも一つの第2のB0磁石は、両者の間に結像領域が提供されるように、相互に対して配置される、少なくとも一つの第2のB0磁石と、
    前記少なくとも一つの第1のB0磁石および前記少なくとも一つの第2のB0磁石により生じた少なくとも一部の磁束を捕獲し、誘導するように構成され、前記結像領域内の前記磁束密度を高めるヨークと、
    を有し、
    前記ヨークは、
    強磁性材料を含み、前記少なくとも一つの第1のB0磁石に結合された第1のプレートであって、変化する厚さを有し、前記第1のプレートに誘導される磁気飽和が補償される、第1のプレートと、
    強磁性材料を含み、前記少なくとも一つの第2のB0磁石に結合された第2のプレートであって、変化する厚さを有し、前記第2のプレートに誘導される磁気飽和が補償される、第2のプレートと、
    強磁性材料を有し、前記第1のプレートおよび前記第2のプレートに結合されたフレームと、
    を有する、機器。
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