JP4419954B2 - 磁界発生装置 - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
この発明は磁界発生装置に関し、より特定的には、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置やESRイメージング(Electron Spin Resonance Imaging)装置あるいはその併用装置に用いられる永久磁石型の磁界発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MRIとESRイメージングとを同時に撮像するためには、異なる大きさの磁界が必要となる。一般に、MRI用には0.2T以上といった高磁界が必要で、ESRイメージング用にはその半分以下の磁界(たとえば0.04T)が必要となる。このような装置として、一つの電磁石でMRIに必要な磁界とESRイメージングに必要な磁界とを発生させる装置が、たとえば特開平9−299347号公報において提案されている。この方法によると、一つの電磁石で、電流の大きさを変化させてESRイメージング用の共鳴磁界強度と、MRI用の共鳴磁界強度とを切り替える。
【0003】
しかし、上述の方法では、電磁石で0.2Tといった磁界を発生させるためには、大型の電源装置が必要となる。また、コイルの抵抗により発熱するため、冷却装置等も必要になる。さらに、電流の切り替え時、ヨーク等の磁性体には、磁気的なヒステリシス現象が発生するため、高磁界と低磁界との両方で磁界の均一性を高くすることは難しい。
【0004】
また、被験者(被検査物)の複数の部位(たとえば、頭と足)のMRI撮像を行う場合、通常は複数回に分けて撮像することになる。これは、頭から足までカバーするような非常に大きな磁界均一空間を必要とすることからMRI装置も非常に大きくなり実用的でないからである。しかし、最近では、より高精度の診断を行うために複数の部位を同時にMRI撮像する要求がある。2台のMRI装置を並置して用いれば、これら要求を満足することも可能であると考えられるが、実用化されているMRI装置は、磁気回路部だけでなく、多くの周辺機器を付設しており、単に並置するだけでは磁気回路構成としても効率的ではなく、装置全体も大型化を招くことから、実際には上記並置構成は採用されていないのが現状である。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、複数の箇所で均一性の高い磁界が得られる、比較的小型で、磁気的効率に優れた磁界発生装置を提供することである。
【発明の開示】
【0006】
この発明のある見地によれば、空隙を形成して対向配置される一対の継鉄、および一対の継鉄間に対向するように設けられる二対の磁極を含み、二対の磁極のそれぞれの磁極間に磁界均一空間が形成され、一方の対をなす磁極が希土類磁石からなる永久磁石群を含んで構成され、他方の対をなす磁極が、嵩上げ部材と嵩上げ部材の主面に設けられる希土類磁石からなる永久磁石群とを含んで構成される永久磁石型の磁界発生装置が提供される。
【0007】
この発明に係る磁界発生装置は永久磁石型であるので、電磁石を用いる場合のように電流を切り替える操作は必要なく、複数の磁界均一空間に発生する磁界を予め調整しておくことによって、一つの磁界発生装置において複数の箇所で均一性の高い磁界が得られかつその磁界の均一性・強度を維持することができる。したがって、各磁界均一空間に異なる磁界を発生させる場合にも、非常に高精度の磁界分布が得られ、たとえば高品位なMRI装置とESRイメージング装置との併用装置や、2箇所以上の部位を同時にMRI撮像可能なMRI装置を得ることができる。また、一対の継鉄間に複数対の磁極が設けられ、一対の継鉄間に複数の磁界均一空間を形成できるので、磁界発生装置を複数台並置する場合と比較して磁気的な効率が向上し装置の小型化を実現できる。さらに、嵩上げ部材を用いることによって、二対の磁極がともに希土類磁石からなる永久磁石群を含んで構成される場合であっても、二対の磁極のそれぞれのギャップ寸法を等しくした状態で、二対の磁極それぞれに発生する磁界強度を異ならせることができる。したがって、この場合も、MRI装置とESRイメージング装置との併用装置に適した磁界発生装置が得られる。
【0008】
また、好ましくは、磁極が磁極片を含んで構成される。この場合、磁界均一空間の均一性を向上することができる。
【0009】
さらに、好ましくは、一対の継鉄のうち一方の継鉄の少なくとも一部が、他方の継鉄に対して進退可能に設けられる。この場合、磁界均一空間に発生する磁界の強度および均一性を必要に応じて調整できる。
【0010】
好ましくは、少なくとも一対の磁極が永久磁石群を含んで構成される。この場合、当該一対の磁極とその他の対をなす磁極とを通過する磁気回路が構成できる。したがって、当該その他の対をなす磁極は永久磁石群を含まなくてもその磁極間に磁界均一空間を形成できるとともに、永久磁石の総使用量を少なくでき、磁界発生装置を軽くできる。
【0011】
また、好ましくは、隣り合う磁界均一空間にそれぞれ発生する磁界強度を必要に応じて異ならせる。これによって、たとえばMRI装置とESRイメージング装置との併用装置に適した磁界発生装置が得られる。
【0012】
さらに、好ましくは、隣り合う磁界均一空間にそれぞれ発生する磁界の方向を180度異ならせる。この場合、バックヨーク等の支持継鉄がなくても磁気回路を形成できるので、磁界発生装置を軽くできる。また、被験者への圧迫感を軽減することができる。
【0013】
らに、好ましくは、隣り合う磁界均一空間の間に電磁波シールド手段を配設する。この場合、それぞれの磁界均一空間内にて発生する信号等を要因とするノイズによる干渉がなくなり、得られる画質が向上する。また、隣り合う磁界均一空間の距離を短くすることが可能となり、装置全体の一層の小型化を実現できる。
【0014】
なお、本願発明において、「磁極」とは、永久磁石が発生する磁束に基づき、空隙を形成して対向配置される一対の継鉄の各々対向面に形成されるN極またはS極形成部をいう。
【0015】
したがって、磁極片を配置することなく、継鉄の空隙対向面に凸部を一体的に形成し該凸部先端部にN極またはS極を形成したり、磁極片を配置することなく、直接永久磁石群の先端部にN極またはS極を形成したり、後述する実施形態に示す構成に限定されることなく、種々の構成を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
第1図はこの発明の一実施形態を示す斜視図であり、
第2図は第1図の実施形態を示す正面図であり、
第3図は第1図の実施形態におけるMRI撮像時を説明するための図解図であり、
第4図は第1図の実施形態におけるESR撮像時を説明するための図解図であり、
第5図は第1図の実施形態において2箇所のMRI撮像を行う場合を説明するための図解図であり、
第6図はこの発明の他の実施形態を示す斜視図であり、
第7図はこの発明の他の実施形態を示す斜視図であり、
第8図はこの発明の他の実施形態を示す斜視図であり、
第9図はこの発明の他の実施形態を示す斜視図であり、
第10図はこの発明の他の実施形態を示す斜視図であり、
第11図はこの発明の他の実施形態を示す斜視図であり、
第12図はこの発明の他の実施形態を示す斜視図であり、
第13図はこの発明の他の実施形態を示す斜視図であり、
第14図はこの発明の他の実施形態を示す斜視図であり、そして
第15図はこの発明の他の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。
第1図および第2図を参照して、この発明の一実施形態の磁界発生装置10は永久磁石型の磁界発生装置であり、空隙Gを形成して対向配置される一対の板状継鉄12aおよび12bを含む。
【0018】
一対の板状継鉄12a,12b間には、対向する二対の磁極、すなわち対向する一対の磁極14a,14b、および対向する一対の磁極16a,16bが形成される。
【0019】
一対の磁極14a,14bはそれぞれ、一対の板状継鉄12a,12bのそれぞれの対向面側に配置される永久磁石群18a,18bを含み、永久磁石群18a,18bのそれぞれの対向面側には、磁極片20a,20bが固着される。同様に、一対の磁極16a,16bはそれぞれ、一対の板状継鉄12a,12bのそれぞれの対向面側に配置される永久磁石群22a,22bを含み、永久磁石群22a,22bのそれぞれの対向面側には、磁極片24a,24bが固着される。
【0020】
この実施形態では、磁極14aと16aとが同極(S極)に構成され、磁極14bと16bとが同極(N極)に構成される。したがって、磁極14a,14b間と、磁極16a,16b間とには、同方向(この実施形態では、矢印で示すように上向き)の磁界が発生する。
【0021】
永久磁石群18a,18bは、たとえば希土類磁石やフェライト磁石からなりたとえば一辺50mmの立方体状の磁石単体等を3段に重ねて形成される。永久磁石群22aおよび22bについても同様である。
【0022】
磁極片20aは、永久磁石群18aの主面に配置されたとえば鉄からなる円板状のベースプレートを含み、ベースプレートの主面には、うず電流の発生を防止するための珪素鋼板が形成される。珪素鋼板は、複数のブロック状積層体からなりベースプレート上に接着剤で固定される。ベースプレートの周縁部には、たとえば鉄からなり周縁部の磁界強度を上げ磁界の均一性を向上させるために環状突起が形成される。この環状突起によって形成される内側の凹部に傾斜磁場コイルが配置される。磁極片20b,24aおよび24bについても同様である。
【0023】
板状継鉄12aおよび12bは、板状継鉄12aおよび12bのそれぞれの後方端縁部に接続される支持継鉄(バックヨーク)26によって磁気的に結合される。
【0024】
磁界発生装置10では、一対の磁極片20a,20b間に磁界均一空間F1が形成され、一対の磁極片24a,24b間に磁界均一空間F2が形成され、磁界発生装置10には2つの磁界均一空間F1,F2が形成される。
【0025】
ここで「磁界均一空間」とは、対向する一対の磁極片間に形成され磁界の均一度合いが100PPM以下に収まる磁界空間をいう。「中心磁界強度」とは、磁界均一空間の中心部における磁界の強さをいう。
【0026】
たとえば、磁界発生装置10の寸法は、長さL=2000mm、幅W=1000mm、高さH=1026mm、板状継鉄12a,12bの厚さt1=150mm、支持継鉄26の厚さt2=150mm、磁極片20a,20b間のギャップG1=380mm、磁極片24a,24b間のギャップG2=380mmに設定される。このときの、160mmDSVの磁界均一空間F1,F2における中心磁界強度は0.2215Tである。また、磁界発生装置10の総重量は8262kgであり、その内訳は、永久磁石群1228kg、磁極片614kg、板状継鉄4710kg、支持継鉄1710kgである。
【0027】
磁界発生装置10は永久磁石型であるので、電磁石を用いる場合のように電流を切り替える操作は必要なく、2つの磁界均一空間F1,F2に発生する磁界を予め調整しておくことによって、一つの磁界発生装置10において2箇所で均一性の高い磁界が得られかつその磁界を維持することができる。したがって、たとえば高品位なMRI装置とESRイメージング装置との併用装置や、2箇所以上の部位を同時にMRI撮像可能なMRI装置を得ることができる。
【0028】
また、電磁石を用いる場合とは異なり、大型の電源装置が不要となる。
【0029】
さらに、一対の板状継鉄12a,12b間に、二対の磁極が設けられ2つの磁界均一空間F1,F2を形成できるので、磁界発生装置を2台並置する場合と比較して磁気的な効率が良く磁気回路部自体の小型化が可能となるとともに周辺機器の簡素化ができ、装置全体の小型化が達成できる。
【0030】
磁界発生装置10をMRI装置およびESRイメージング装置の併用装置に用いる場合について、第3図および第4図を参照して説明する。
一対の磁極14a,14b間および一対の磁極16a,16b間を通るように固定台28が設けられ、固定台28上に可動台30が配置される。可動台30は固定台28上を長手方向に移動可能であり、可動台30上には被検査物32が配置される。可動台30の移動手段としては、たとえばリニアモータや電動シリンダ等を用いることができ、さらにマグネスケール等の位置センサを併用すると可動台30および被検査物32の正確な位置決めをすることができる。磁極14a,14b側がMRI撮像に用いられ、磁極16a,16b側がESR撮像に用いられる。
【0031】
まず、MRI撮像時には、第3図に示すように、磁極片20a,20b間の磁界均一空間F1内に被検査物32を配置してMRI撮像する。その後素早く、被検査物32を載せた可動台30を移動させ、第4図に示すように、磁極片24a,24b間の磁界均一空間F2内に被検査物32を配置してESR撮像する。
【0032】
このように、同一の被検査物に対して連続的にMRIとESRイメージングとを撮像することによって、一つの被検査物について異なる種類の情報を得ることができる。したがって、たとえばMRI撮像によって被検査箇所の形態に関する情報が得られ、ESR撮像によって被検査箇所における活性酸素の存在する部位等の化学的な情報が得られる。これによって、画像診断の有用性を高め、たとえば患者の腫瘍の最も悪性度の高い部位の生検や治療部位の正確な決定や手術計画などに役立てることができる。
【0033】
なお、上述の実施形態では、撮像をMRIからESRに切り替えるとき、被検査物32を移動させたが、装置(板状継鉄12a,12b、支持継鉄26等)側を移動させてもよい。この場合、被検査物32を移動させないので、被検査箇所がずれず、被検査物32の位置調整が不要となる。
【0034】
また、通常、ESR撮像に要する磁界強度はMRI撮像に要する磁界強度より小さくてよいので、ESR撮像用の磁極に含まれる永久磁石としては比較的磁力の弱いものを用いてもよい。
【0035】
たとえば、一方の対をなす磁極14a,14bの永久磁石群18a,18bが希土類磁石からなり、他方の対をなす磁極16a,16bの永久磁石群22a,22bがフェライト磁石からなることによって、ギャップG1とG2とを等しくした状態で、二対の磁極それぞれに発生する磁界の強度を異ならせることができる。
【0036】
ついで、磁界発生装置10を2箇所でMRIを撮像できる装置に用いる場合について、第5図を参照して説明する。
たとえば被験者34の頭と足とを同時にMRI撮像する場合、一対の磁極片20a,20b間の磁界均一空間F1内に頭、一対の磁極片24a,24b間の磁界均一空間F2内に足がそれぞれ位置するように、固定台28上に被験者34を寝かせ、その状態で被験者34の頭と足とを同時にMRI撮像する。
【0037】
このように、同一の被験者(被検査物)の複数の箇所を同時にMRI撮像することによって、診断を効率化できる。
【0038】
つぎに、第6図を参照して、この発明の他の実施形態の磁界発生装置10aについて説明する。
磁界発生装置10aでは、一対の磁極14a,14b間に発生する磁界の方向と一対の磁極16a,16b間に発生する磁界の方向とが逆方向になる(180度異なる)ように、磁極14aと16aとが異極に構成され、磁極14bと16bとが異極に構成される。これによって背後の支持継鉄26が不要となり、磁界発生装置10a内には矢印で示す磁気回路を形成できる。板状継鉄12aはたとえば天井等から吊すことによって支持されてもよい。
【0039】
この実施形態では、一対の磁極片20a,20b間の磁界均一空間F1と、一対の磁極片24a,24b間の磁界均一空間F2とに、それぞれ発生する磁界の方向は180度異なる(正逆方向になる)が、その大きさを等しくできる。
【0040】
たとえば、磁極片20a,20b間のギャップG1、磁極片24a,24b間のギャップG2がともに380mmに設定されたときの、160mmDSVの磁界均一空間F1,F2における中心磁界強度は0.2237Tである。
【0041】
磁界発生装置10aによれば、支持継鉄26が不要であるので、その分重量が軽くなる。この実施形態では、磁界発生装置10より1710kg軽くなり、6552kgとなる。また、支持継鉄26がなくなることにより、被験者に与える圧迫感が低減される効果も有する。
【0042】
また、第7図を参照して、この発明のその他の実施形態の磁界発生装置10bを説明する。
磁界発生装置10bでは、一方の対をなす磁極14a,14bは先の実施形態と同様に構成されるが、他方の対をなす磁極36a,36bは永久磁石群を用いずに磁極片38a,38bによって構成される。また、板状継鉄12a,12bは角柱状の2本の支持継鉄40a,40bによって接続され磁気的に結合される。
【0043】
磁界発生装置10bによれば、矢印で示すような磁気回路が形成され、一方の磁極14a,14bによって発生する磁束の一部を、他方の磁極36a,36bに回すことができる。このとき、中央の支持継鉄40a,40bの断面積を調整することによって、磁極36a,36b間の空隙に発生する磁界強度を調整できる。
【0044】
たとえば、磁極片20a,20b間のギャップG1、磁極片38a,38b間のギャップG2がともに380mmに設定されたときの、160mmDSVの磁界均一空間F1(磁極片20a,20b間に形成)における中心磁界強度は0.1896Tであり、160mmDSVの磁界均一空間F2(磁極片38a,38b間に形成)における中心磁界強度は0.0391Tである。
【0045】
また、磁極36a,36bは永久磁石群を用いないのでその分磁石の総使用量を少なくでき、磁界発生装置10bを軽くできる。
【0046】
第7図においては、他方の磁極36a,36bを磁極片38a,38bにて構成したが、あらかじめ板状継鉄12a,12bの所定位置に凸部を一体的に形成して磁極36a,36bを構成することも可能である。
【0047】
さらに、第8図に示す磁界発生装置10cのように、支持継鉄として貫通孔42を有する柱状の支持継鉄44が用いられてもよい。磁界発生装置10cによれば、たとえば、貫通孔42を挿通するように固定台を配置し、当該固定台上を被検査物を往復させてMRIおよびESRイメージングを撮像することができる。
【0048】
また、第9図に示す磁界発生装置10dのように、支持継鉄として柱状の支持継鉄46が用いられてもよく、第10図に示す磁界発生装置10eのように、支持継鉄として円柱状の支持継鉄48が用いられてもよい。
【0049】
さらに、第11図を参照して、他の実施形態の磁界発生装置10fについて説明する。
磁界発生装置10fは一対の板状継鉄50a,50bを含む。板状継鉄50a,50bはそれぞれ段部52a,52bを有し、板状継鉄50aと50bとを対向配置したとき、大きい空隙54と小さい空隙56とが形成される。
【0050】
大きい空隙54および小さい空隙56には、それぞれ先の実施形態と同様、一対の磁極14a,14bおよび一対の磁極16a,16bが形成される。板状継鉄50a,50bの段部52a,52b間に支持継鉄58が接続される。
【0051】
磁界発生装置10fの小さい空隙56に形成される一対の磁極16a,16bは、磁界均一空間の大きさはさほど要しないが高磁界強度を必要とするときに有効となる。
【0052】
また、第12図を参照して、その他の実施形態の磁界発生装置10gについて説明する。
磁界発生装置10gは各々対向する磁極のギャップを可変できるように構成される。
【0053】
磁界発生装置10gは、板状継鉄60と、板状継鉄60に対向する板状継鉄60aおよび60bとを含む。板状継鉄60上の略中央部には支持継鉄62が立設され、板状継鉄60a,60bが上下方向にスライド可能に(板状継鉄60に対して進退可能に)支持継鉄62に取り付けられる。板状継鉄60,60a間には、先の実施形態と同様、一対の磁極14a,14bが形成される。板状継鉄60,60b間には、先の実施形態と同様、一対の磁極16a,16bが形成される。
【0054】
磁界発生装置10gによれば、磁極14a,14b間のギャップ、および磁極16a,16b間のギャップを調整することによって、磁界均一空間の大きさ、磁界強度、磁界均一性を調整できる。
【0055】
さらに、第13図を参照して、その他の実施形態の磁界発生装置10hについて説明する。
磁界発生装置10hはギャップが一定となるように永久磁石群を嵩上げできるものである。
【0056】
磁界発生装置10hの一対の板状継鉄12a,12bは支持継鉄64によって磁気的に結合される。第13図において、支持継鉄64の右側に形成される一対の磁極66a,66bはそれぞれ、嵩上げ部材68a,68bを含む。嵩上げ部材68a,68bは磁性部材からなり、それぞれ板状継鉄12a,12bの対向面上に形成される。嵩上げ部材68a,68b上にはそれぞれ、希土類磁石等からなる比較的薄い永久磁石群70a,70bが形成され、さらにその対向面上に磁極片24a,24bが形成される。
【0057】
磁界発生装置10hによれば、一対の磁極14a,14bが希土類磁石からなる永久磁石群18a,18bを含んで構成され、かつ一対の磁極66a,66bが希土類磁石からなる永久磁石群70a,70bを含んで構成される場合であっても、磁極片20a,20b間のギャップ寸法と磁極片24a,24b間のギャップ寸法とを等しくした状態で、両ギャップに発生する磁界強度に差を設けることができる。すなわち、第13図の構成においては磁極片20a,20b間のギャップに発生する磁界強度の方が磁極片24a,24b間に発生する磁界強度よりも高い。
【0058】
さらに、第14図に示すように磁界発生装置10iを形成してもよい。
磁界発生装置10iは、略楕円形状の一対の板状継鉄72a,72bを含み、一対の板状継鉄72a,72b間は4本の円柱状の支持継鉄74a〜74dによって磁気的に結合される。
【0059】
また、第15図に示すように磁界発生装置10jを形成してもよい。
磁界発生装置10jは、回転可能な支持継鉄76を含み、支持継鉄76が一対の対向配置される板状継鉄78a,78bに挿通される。板状継鉄78a,78bは支持継鉄76を中心として回転可能に構成される。
【0060】
たとえば、一対の磁極14a,14bをMRI撮像用、一対の磁極16a,16bをESR撮像用とすれば、まず、被検査物を磁極14a,14b間に配置してMRI撮像し、その後、板状継鉄78a,78bを支持継鉄76を中心として180度回転させ被検査物を一対の磁極16a,16b間に位置させた状態でESR撮像する。このように、被検査物を移動させることなく、支持継鉄76を中心として板状継鉄78a,78bを回転させることによって、MRIおよびESRイメージングを撮像できる。
【0061】
なお、第1図に示す磁界発生装置10は、一対の磁極14a,14b間に発生する磁界と一対の磁極16a,16b間に発生する磁界とが逆方向になるように構成されてもよい。
【0062】
第7図に示す磁界発生装置10bは、一対の磁極14a,14b間に発生する磁界と一対の磁極36a,36b間に発生する磁界とが同方向になるように構成されてもよい。
【0063】
第8図〜第15図に示す磁界発生装置10c〜10jは、それぞれ二対の磁極を含むが、一方の対をなす磁極間に発生する磁界と他方の対をなす磁極間に発生する磁界とは、同方向であっても逆方向であってもよい。
【0064】
また、上述したいずれの磁界発生装置も、MRI装置とESRイメージング装置との併用装置だけではなく、2箇所でMRI撮像可能な装置や2箇所でESR撮像可能な装置に適用できる。
【0065】
この発明は、3つ以上の磁界均一空間を有する磁界発生装置にも適用できる。
【0066】
なお、上記いずれの構成においても、隣り合う磁界均一空間の距離が近すぎると、被験者診断時に該空間内に発生する信号等によるノイズが互いに干渉して画質低下を招く要因となることから、互いの空間の間に接地(アース)を施したCu板、Cu網等からなる電磁波シールド手段を設けることが好ましい。
【0067】
上記シールド手段を配設することによって、画質低下を防ぐとともに隣り合う磁界均一空間の距離を短くすることが可能となり、装置全体の小型化をも達成できる。
【0068】
この発明が詳細に説明され図示されたが、それは単なる図解および一例として用いたものであり、限定であると解されるべきではないことは明らかであり、この発明の精神および範囲は添付された請求の範囲の文言のみによって限定される。

Claims (7)

  1. 空隙を形成して対向配置される一対の継鉄、および
    前記一対の継鉄間に対向するように設けられる二対の磁極を含み、
    前記二対の磁極のそれぞれの磁極間に磁界均一空間が形成され、
    一方の対をなす磁極が希土類磁石からなる永久磁石群を含んで構成され、
    他方の対をなす磁極が、嵩上げ部材と前記嵩上げ部材の主面に設けられる希土類磁石からなる永久磁石群とを含んで構成される、永久磁石型の磁界発生装置。
  2. 前記磁極が磁極片を含んで構成される、請求項1に記載の磁界発生装置。
  3. 前記一対の継鉄のうち一方の継鉄の少なくとも一部が、他方の継鉄に対して進退可能に設けられる、請求項1または2に記載の磁界発生装置。
  4. 少なくとも一対の磁極が永久磁石群を含んで構成される、請求項1から3のいずれかに記載の磁界発生装置。
  5. 隣り合う前記磁界均一空間にそれぞれ発生する磁界強度が異なる、請求項1から4のいずれかに記載の磁界発生装置。
  6. 隣り合う前記磁界均一空間にそれぞれ発生する磁界の方向が180度異なる、請求項1から5のいずれかに記載の磁界発生装置。
  7. 隣り合う前記磁界均一空間の間に電磁波シールド手段を配設する、請求項1から6のいずれかに記載の磁界発生装置。
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