本開示の詳細な説明
本開示は、抗MS4A4A抗体(例えば、モノクローナル抗体);それらの抗体を作製及び使用する方法;それらの抗体を含む薬学的組成物;それらの抗体をコードする核酸;及び、それらの抗体をコードする核酸を含む宿主細胞に関する。
本明細書で説明または参照した技術や手順は、一般的に、よく理解がされており、そして、当業者であれば、例えば、Sambrook et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual 3d edition (2001) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.;Current Protocols in Molecular Biology (F.M. Ausubel, et al. eds., (2003);Monoclonal Antibodies: A Practical Approach (P. Shepherd and C. Dean, eds., Oxford University Press, 2000)に記載されている方法論など、広く利用がされている方法論である従来の方法論を進んで使用している。
I.定義
本明細書では、用語「MS4A4A」または「MS4A4Aポリペプチド」を、互換的に使用しており、特に断りがない限り、霊長類(例えば、ヒト、及び、カニクイザル)、及び、齧歯類(例えば、マウス、及び、ラット)などの哺乳類を含む、あらゆる脊椎動物起源の天然のあらゆるMS4A4Aのことを指す。一部の実施形態では、この用語は、野生型配列、及び、天然に存在するバリアント配列、例えば、スプライスバリアント、または、対立遺伝子バリアントの両方を含む。一部の実施形態では、この用語は、「全長」の未処理MS4A4A、ならびに、細胞内での処理が関与するあらゆる形態のMS4A4Aを含む。一部の実施形態では、当該MS4A4Aは、ヒトMS4A4Aである。一部の実施形態では、例示的なMS4A4Aのアミノ酸配列は、2001年12月1日現在でのUniprot受託番号:Q96JQ5である。一部の実施形態では、例示的なヒトMS4A4Aのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1である。
用語「抗MS4A4A抗体」、「MS4A4Aに対して結合する抗体」、及び、「MS4A4Aに特異的に結合する抗体」は、MS4A4Aを標的にする診断薬、及び/または、治療薬として有用な抗体であり、MS4A4Aに対して十分な親和性で結合することができる抗体のことを指す。ある実施形態では、無関係の非MS4A4Aポリペプチドに対する抗MS4A4A抗体の結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)で決定したように、MS4A4Aに対する抗体の結合の約10%未満である。特定の実施形態では、MS4A4Aに対して結合する抗体は、<1μM、<100nM、<10nM、<1nM、<0.1nM、<0.01nM、または、<0.001nM(例えば、10−8M以下、例えば、10−8M〜10−13M、例えば、10−9M〜10−13M)の解離定数(KD)を有する。特定の実施形態では、抗MS4A4A抗体は、異なる種に由来するMS4A4Aの間で保存されているMS4A4Aのエピトープに対して結合する。
標的分子に対する抗体の結合に関して、用語「特異的結合」または「特異的に結合する」、または、特定のポリペプチド、または、特定のポリペプチド標的に関するエピトープに「特異的」であるとは、非特異的相互作用とは異なる測定可能な結合を意味する。特異的結合は、例えば、コントロール分子の結合と比較して、分子の結合を決定して測定することができる。例えば、特異的結合は、標的、例えば、過剰の非標識標的に類似するコントロール分子と競合させて決定することができる。この事例では、プローブに対する標識した標的の結合を、過剰な非標識標的が競合的に阻害しておれば、特異的結合を示す。本明細書で使用する用語「特異的結合」または「特異的に結合する」、または、特定のポリペプチド、または、特定のポリペプチド標的に関するエピトープに「特異的」であるとは、例えば、概ね、10−4M以下、10−5M以下、10−6M以下、10−7M以下、10−8M以下、10−9M以下、10−10M以下、10−11M以下、10−12M以下のいずれかの標的に関するKD、または、10−4M〜10−6M、または、10−6M〜10−10M、または、10−7M〜10−9Mの範囲のKDを有する分子として示すことができる。当業者であれば、親和性とKD値とが反比例することを理解する。抗原に対する高い親和性は、低いKD値として表れる。ある実施形態では、用語「特異的結合」とは、分子が、あらゆるその他のポリペプチドまたはポリペプチドエピトープに対して実質的に結合せずに、特定のポリペプチド、または、特定のポリペプチドに関するエピトープに対して結合する結合のことを指す。
本明細書では、用語「免疫グロブリン」(Ig)を、「抗体」と互換的に使用する。本明細書において、用語「抗体」は、最も広い意味で使用しており、特に、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクトな抗体から形成した多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び、所望の生物学的活性を示す限りは、抗体フラグメントを含む。
「ネイティブ抗体」は、通常、2つの同一の軽(「L」)鎖、及び、2つの同一の重(「H」)鎖から構成されている約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。それぞれの軽鎖は、1つのジスルフィド共有結合で重鎖に結合しているが、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で異なる。それぞれの重鎖、及び、それぞれの軽鎖は、規則的な間隔を開けた鎖内ジスルフィド架橋も有する。それぞれの重鎖は、一端に、可変ドメイン(VH)を有しており、これに、幾つかの定常ドメインが続く。それぞれの軽鎖は、一端に、可変ドメイン(VL)を有しており、他端に、定常ドメインを有しており;軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第1の定常ドメインと整列しており、そして、軽鎖の可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと整列している。特定のアミノ酸残基が、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間に界面を形成すると考えられる。
異なる抗体クラスの構造及び特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology,8th Ed.,Daniel P.Stites,Abba I.Terr and Tristram G.Parslow(eds.),Appleton & Lange,Norwalk,CT,1994,page 71 and Chapter 6を参照されたい。
あらゆる脊椎動物種に由来する軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(「κ」)、及び、ラムダ(「λ」)と称する2つの明確に異なる種類のうちの一方に割り当てることができる。免疫グロブリンは、その重鎖の定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に応じて、異なるクラスまたはアイソタイプに割り当てることができる。免疫グロブリンには、IgA、IgD、IgE、IgG、及び、IgMの5つのクラスがあり、それぞれ、アルファ(「α」)、デルタ(「δ」)、イプシロン(「ε」)、ガンマ(「γ」)、及び、ミュー(「μ」)と表記される重鎖を有する。γ及びαのクラスは、CH配列及び機能での相対的にわずかな相違に基づいて、サブクラス(アイソタイプ)にさらに分類され、例えば、ヒトでは、以下のサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及び、IgA2を発現する。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造、及び、三次元構成は公知であり、例えば、Abbas et al,Cellular and Molecular Immunology,4th ed.(W.B.Saunders Co.,2000)で概説されている。
本開示のMS4A4A抗体などの抗体の「可変領域」または「可変ドメイン」とは、抗体の重鎖または軽鎖のアミノ末端ドメインのことを指す。当該重鎖及び軽鎖の可変ドメインを、それぞれ、「VH」及び「VL」と称し得る。これらのドメインは、一般的に、(同じクラスのその他の抗体と比較して)最も変化しやすい抗体の箇所であり、そして、抗原結合部位を含む。
用語「可変」とは、可変ドメインの特定のセグメントが、本開示のMS4A4A抗体などの抗体の間で配列が大きく異なるという事実のことを指す。当該可変ドメインは、抗原結合を媒介し、そして、その特定の抗原に対する特定の抗体の特異性を定義する。しかしながら、当該可変性は、当該可変ドメイン全体に均一に分布しているわけではない。むしろ、それは、軽鎖及び重鎖の両方の可変ドメインの超可変領域(HVR)と呼ばれている3つのセグメントに集中している。可変ドメインにおいて高度に保存されている部分を、フレームワーク領域(FR)と称する。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、3つのHVRで接続した、ベータシート立体配置を主体とする4つのFR領域を含み、それらは、当該ベータシート構造に接続するループ、及び、一部の事例では、当該ベータシート構造の一部を形成するループを形成する。それぞれの鎖でのHVRは、FR領域に非常に近接して一緒に保持され、他方の鎖に由来するHVRと共に、それらの抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al,Sequences of Immunological Interest,Fifth Edition,National Institute of Health,Bethesda,MD(1991)を参照されたい)。当該定常ドメインは、抗原に対する抗体の結合には直接関与しないが、抗体依存性細胞毒性への抗体の関与などの様々なエフェクター機能を呈する。
本明細書で使用する用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に均質な抗体集団から得た抗体、例えば、本開示の抗MS4A4A抗体などの抗体のことを指し、すなわち、当該集団を構成する個々の抗体は、微量で存在し得る自然発生の変異、及び/または、翻訳後修飾(例えば、異性化、アミド化など)を除いて、同一である。モノクローナル抗体は、特異性が高く、1つ以上の抗原部位に指向する。一般的には異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、それぞれのモノクローナル抗体は、当該抗原の単一の決定基に指向する。それらの特異性に加えて、当該モノクローナル抗体は、その他の免疫グロブリンによる汚染を受けていないハイブリドーマ培養で合成するという点で有利である。修飾語「モノクローナル」とは、実質的に同種の抗体集団から得られる抗体の特徴を示すものであり、あらゆる特定の方法で抗体を産生する必要があると解釈すべきではない。例えば、本開示にしたがって使用するモノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、及び、ヒト免疫グロブリン遺伝子座、または、ヒト免疫グロブリン配列をコードする遺伝子の一部またはすべてを有する動物において、ヒトまたはヒト様抗体を産生するための技術などの様々な技術によって作製し得る。
用語「全長抗体」、「インタクト抗体」、または、「全抗体」とは、抗体フラグメントとは対照的に、その実質的にインタクトな形態にある本開示の抗MS4A4A抗体などの抗体を指すために、互換的に使用している。具体的には、全抗体は、Fc領域を含む重鎖及び軽鎖を有するものを含む。当該定常ドメインは、ネイティブ配列の定常ドメイン(例えば、ヒトネイティブ配列の定常ドメイン)、または、そのアミノ酸配列バリアント体とし得る。一部の事例では、当該インタクト抗体は、1つ以上のエフェクター機能を有し得る。
「抗体フラグメント」とは、インタクト抗体が結合する抗原に対して結合するインタクト抗体の一部を含む、インタクト抗体以外の分子のことを指す。抗体フラグメントの例として、Fab、Fab’、F(ab’)2、及び、Fvフラグメント;ダイアボディ;線状抗体(米国特許第5641870号、実施例2;Zapata et al,Protein Eng.8(10):1057−1062(1995)を参照されたい);一本鎖抗体分子、及び、抗体フラグメントから形成した多重特異性抗体がある。
本開示の抗MS4A4A抗体などの抗体をパパイン消化すると、「Fab」フラグメントと称する2つの同一の抗原結合フラグメントと、容易に結晶化する能力を反映した名称を有する残留「Fc」フラグメントとを生成する。当該Fabフラグメントは、軽鎖全体に加えて、重鎖の可変領域ドメイン(VH)と、1つの重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)とからなる。それぞれのFabフラグメントは、抗原結合に関しては一価であり、すなわち、単一の抗原結合部位を有する。抗体をペプシン処理すると、単一の大きなF(ab’)2フラグメントが得られ、これは、異なる抗原結合活性を有するジスルフィド結合した2つのFabフラグメントに概ね対応しており、また、依然として抗原を架橋することができる。Fab’フラグメントは、CH1ドメインのカルボキシ末端に、抗体ヒンジ領域に由来する1つ以上のシステインを含んだ幾つかのさらなる残基を有する点で、Fabフラグメントと異なる。Fab’−SHとは、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を持つFab’に関する本明細書での表記である。F(ab’)2抗体フラグメントは、本来は、そのフラグメント間にヒンジシステインを有するFab’フラグメントのペアとして産生された。抗体フラグメントのその他の化学的カップリングも公知である。
当該Fcフラグメントは、ジスルフィドと共に保持された両方の重鎖のカルボキシ末端部分を含む。抗体のエフェクター機能は、Fc領域の配列によって決定され、この領域は、特定の細胞型で認められるFc受容体(FcR)でも認識される。
本開示の抗MS4A4A抗体などの抗体の「機能性フラグメント」は、インタクト抗体の一部分を含み、一般的には、インタクト抗体の抗原結合領域または可変領域、または、FcR結合能力を保持する、または、改変したFcR結合能力を有する抗体のFc領域を含む。抗体フラグメントの例として、線状抗体、一本鎖抗体分子、及び、抗体フラグメントから形成した多重特異性抗体がある。
用語「ダイアボディ」とは、可変ドメインの鎖内ではなく、鎖間のペアリングを達成し、それにより、二価フラグメント、すなわち、2つの抗原結合部位を有するフラグメントが得られるように、VHドメインとVLドメインとの間に短いリンカー(約5〜10個)の残基)を用いてsFvフラグメント(前出の段落を参照されたい)を構築して調製した小さな抗体フラグメントのことを指す。二重特異性ダイアボディは、2つの抗体のVHドメイン及びVLドメインが、異なるポリペプチド鎖に存在している、2つの「交差」sFvフラグメントのヘテロ二量体である。
本明細書で使用する「キメラ抗体」とは、本開示のキメラ抗MS4A4A抗体などの抗体(免疫グロブリン)であって、重鎖及び/または軽鎖の一部が、特定の種に由来する抗体、または、特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体での対応する配列と同一または相同であり、かつ、その(それらの)鎖の残部が、別の種に由来する抗体、または、別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体での対応する配列と同一または相同である、抗体、ならびに、所望の生物活性を奏する限りは、それら抗体のフラグメントのことを指す。本明細書で対象とするキメラ抗体として、PRIMATIZED(登録商標)抗体があり、当該抗体の抗原結合領域は、例えば、マカクザルによって目的の抗原で免疫処置して産生された抗体に由来する。本明細書で使用する、「ヒト化抗体」は、「キメラ抗体」のサブセットとして使用する。
本開示の抗MS4A4A抗体のヒト化など、非ヒト(例えば、ネズミ)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒトHVR由来のアミノ酸残基、及び、ヒトFR由来のアミノ酸残基を含むキメラ抗体である。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、及び、一般的には、2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、HVR(例えば、CDR)のすべて、または、実質的にすべてが、非ヒト抗体のHVRに対応しており、そして、FRのすべて、または、実質的にすべてが、ヒト抗体のFRに対応する。ヒト化抗体は、任意に、ヒト抗体由来の抗体定常領域の少なくとも一部を含み得る。抗体の「ヒト化形態」、例えば、非ヒト抗体とは、ヒト化を受けた抗体のことを指す。
「ヒト抗体」は、本開示の抗MS4A4A抗体のように、ヒトによって産生された抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含む抗体、及び/または、本明細書に開示したヒト抗体を作製する技術のいずれかを使用して作製された抗体である。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を具体的に除外する。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリーを含む、当該技術分野で公知の様々な技術を使用して産生することができる。ヒト抗体は、かかる抗体を抗原接種に応答して産生するように改変されているが、例えば、免疫処置したゼノマウス、ならびに、ヒトB細胞ハイブリドーマを介して生成させて、その内因性遺伝子座を無効化したトランスジェニック動物に対して当該抗原を投与して、調製することができる。
本明細書で使用する用語「超可変領域」、「HVR」または「HV」とは、配列が超可変性であり、及び/または、構造的に定義したループを形成する、本開示の抗MS4A4A抗体の抗体可変ドメインの領域などの抗体可変ドメインの領域のことを指す。一般的に、抗体には、6つのHVRがあり;3つが、VH(H1、H2、H3)にあり、そして、3つが、VL(L1、L2、L3)にある。ネイティブ抗体では、H3及びL3が、6つのHVRのうちで最も多様性に富んでおり、そして、特に、H3が、抗体に対して優れた特異性を与える上で独特の役割を果たすものと考えられている。重鎖のみからなる天然ラクダ抗体は、軽鎖がなくとも機能的であり、かつ、安定している。
数多くのHVRの記載を、本明細書で使用しており、かつ、本明細書に含んでいる。一部の実施形態では、これらのHVRは、配列変動性に基づいたKabat相補性決定領域(CDR)とし得るものであり、そして、最も一般的に使用している(Kabat et al,上掲)。一部の実施形態では、それらのHVRは、Chothia CDRとし得る。Chothiaは、どちらかと言えば、構造的ループの位置を指すものである(Chothia and Lesk J.Mol.Biol.196:901−917(1987))。一部の実施形態では、これらのHVRを、AbM HVRとし得る。これらのAbM HVRは、Kabat CDRと、Chothia構造的ループとの間の折衷案を示しており、そして、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアで使用されている。一部の実施形態では、これらのHVRを、「接触」HVRとし得る。当該「接触」HVRは、利用可能な複合体結晶構造の分析に基づくものである。これらのHVRのそれぞれの残基を、以下に示す。
HVRは、次の「伸長HVR」を含み得る:VLでの24〜36または24〜34(L1)、46〜56または50〜56(L2)、及び、89〜97または89〜96(L3)、及び、VHでの26〜35(H1)、50〜65または49〜65(好ましい実施形態)(H2)、及び、93〜102、94〜102または95〜102(H3)。当該可変ドメイン残基を、これらの伸長HVR定義のそれぞれに対して、Kabat et al,上掲に従って付番する。
「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書で定義するHVR残基以外の可変ドメイン残基である。
本明細書で使用する「アクセプターヒトフレームワーク」とは、ヒト免疫グロブリンフレームワーク、または、ヒトコンセンサスフレームワークに由来するVLまたはVHフレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワーク、または、ヒトコンセンサスフレームワークに「由来する」アクセプターヒトフレームワークは、当該フレームワークと同じアミノ酸配列を含み得る、または、既存のアミノ酸配列変化を含み得る。一部の実施形態では、既存のアミノ酸変化の数は、10個以下、9つ以下、8つ以下、7つ以下、6つ以下、5つ以下、4つ以下、3つ以下、または、2つ以下である。既存のアミノ酸変化がVHに存在する場合、好ましいアミノ酸変化は、位置71H、73H、及び、78Hのうちの3つ、2つ、または、1つのみに生じ;例えば、当該位置のアミノ酸残基は、71A、73T、及び/または、78Aとし得る。ある実施形態では、VLアクセプターヒトフレームワークは、配列において、VLヒト免役グロブリンフレームワーク配列、または、ヒトコンセンサスフレームワーク配列と同一である。
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免役グロブリンのVLまたはVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般的には、ヒト免役グロブリンのVL配列またはVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループから行う。一般的には、配列のサブグループは、Kabat et al,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991)などのサブグループである。例として、VLに関するものとして、サブグループは、Kabat et al,上掲などのサブグループカッパI、カッパII、カッパIII、または、カッパIVとし得る。さらに、VHに関するものとして、サブグループは、Kabat et al,上掲などのサブグループI、サブグループII、または、サブグループIIIとし得る。
例えば本開示の抗MS4A4A抗体の、指定した位置での「アミノ酸改変」とは、指定した残基の置換もしくは欠失、または、少なくとも1つのアミノ酸残基を、指定した残基に隣接するように挿入することを指す。指定した残基に「隣接する」挿入とは、そこから1個〜2個の残基までに挿入することを意味する。当該挿入は、指定した残基のN末端側またはC末端側で行い得る。本明細書における好ましいアミノ酸改変は、置換である。
例えば、本開示の親和性成熟抗MS4A4A抗体などの「親和性成熟」抗体とは、当該抗体の1つ以上のHVRが、1つ以上の変更を有し、その結果、抗原に対する抗体の親和性が、当該変更を有しない親抗体と比較して改善した抗体である。ある実施形態では、親和性成熟抗体は、標的抗原に対して、ナノモル、または、ひいてはピコモルの親和性を有する。親和性成熟抗体は、当該技術分野で公知の手法によって産生される。例えば、Marks et al,Bio/Technology 10:779〜783(1992)は、VH−及びVL−ドメインのシャッフリングを用いた親和性成熟について記載している。HVR、及び/または、フレームワーク残基のランダム変異導入については、例えば、Barbas et al.Proc Nat.Acad.Sci.USA 91:3809〜3813(1994);Schier et al.Gene 169:147〜155(1995);Yelton et al.J.Immunol.155:1994〜2004(1995);Jackson et al,J.Immunol.154(7):3310〜9(1995);及び、Hawkins et al,J.Mol.Biol.226:889−896(1992)に記載されている。
「Fv」は、完全な抗原認識部位、及び、抗原結合部位を含む最小の抗体フラグメントである。このフラグメントは、1つの重鎖可変領域ドメインと、1つの軽鎖可変領域ドメインが、非共有結合で緊密に結合した二量体からなる。これらの2つのドメインの折り畳みが、抗原結合のためのアミノ酸残基を提供して、この抗体に抗原結合特異性を与える、6つの超可変ループ(H及びL鎖からそれぞれ3つのループ)が生じる。しかしながら、単一の可変ドメイン(または、抗原に特異的なHVRを3つしか含まない半分のFv)であっても、全結合部位よりも低い親和性ではあるが、抗原を認識して結合する能力を有する。
「sFv」または「scFv」とも略称される「一本鎖Fv」は、単一のポリペプチド鎖の状態で接続したVH及びVL抗体ドメインを含む、抗体フラグメントである。好ましくは、当該sFvポリペプチドは、VHとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、このリンカーは、sFvが抗原結合のための所望の構造を形成する、ことを可能にする。
抗体の「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(ネイティブ配列Fc領域、または、アミノ酸配列バリアントFc領域)が関与する生物活性のことを指しており、また、抗体のアイソタイプに応じて異なる。
本明細書で使用する用語「Fc領域」とは、ネイティブ配列Fc領域、及び、バリアントFc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用する。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は様々であるが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、アミノ酸残基の位置Cys226、または、Pro230から、そのカルボキシル末端にまで及ぶものと定義される。当該Fc領域のC末端リジン(EU付番システムでの残基447)は、例えば、抗体の産生もしくは精製の間に、または、抗体の重鎖をコードする核酸を組み換え操作することで除去し得る。したがって、インタクト抗体の組成は、すべてのK447残基を除去した抗体集団、K447残基を除去していない抗体集団、及び、K447残基を持つ抗体とそれを持たない抗体との混合物を有する抗体集団を含み得る。本開示の抗体における使用に好適なネイティブ配列Fc領域として、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及び、IgG4がある。
「ネイティブ配列Fc領域」は、自然界で認められるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。ネイティブ配列のヒトFc領域として、ネイティブ配列のヒトIgG1 Fc領域(非A、及び、Aアロタイプ)、ネイティブ配列ヒトIgG2 Fc領域、ネイティブ配列ヒトIgG3 Fc領域、及び、ネイティブ配列ヒトIgG4 Fc領域、ならびに、それらの天然バリアントがある。
「バリアントFc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸改変、好ましくは、1つ以上のアミノ酸置換によって、ネイティブ配列Fc領域のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。好ましくは、当該バリアントFc領域は、ネイティブ配列Fc領域、または、親ポリペプチドのFc領域と比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換を有しており、例えば、ネイティブ配列Fc領域、または、親ポリペプチドのFc領域に、約1〜約10個のアミノ酸置換、好ましくは、約1〜約5個のアミノ酸置換を有する。本明細書でのバリアントFc領域は、好ましくは、ネイティブ配列Fc領域、及び/または、親ポリペプチドのFc領域に対して、少なくとも約80%の相同性、及び、最も好ましくは、それらに対して少なくとも約90%の相同性、より好ましくは、それらに対して少なくとも約95%の相同性を有する。
「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体のことを表す。好ましいFcRは、ネイティブ配列のヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)と結合する抗体であり、そして、FcγRI、FcγRII、及び、FcγRIIIのサブクラスの受容体があり、これらの受容体の対立遺伝子バリアント、及び、選択的スプライシング形態を含み、FcγRII受容体として、同様のアミノ酸配列を有し、主にその細胞質ドメインが異なるFcγRIIA(「活性化受容体」)と、FcγRIIB(「阻害性受容体」)とを含む。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに、免疫受容体チロシン系活性化モチーフ(「ITAM」)を含む。阻害性受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに、免疫受容体チロシン系阻害性モチーフ(「ITIM」)を含む。その他のFcRは、今後同定されるものを含めて、本明細書での用語「FcR」に含まれる。また、FcRは、抗体の血清での半減期を長くすることができる。
ペプチド、ポリペプチド、または、抗体配列に関して本明細書で使用する、「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」及び「ホモロジー」は、配列を整列させ、必要に応じて、最大配列同一性パーセントを達成するためにギャップを導入した後に、配列同一性の一部としてあらゆる保存的置換を考慮しない、指定のペプチド、または、ポリペプチド配列でのアミノ酸残基と同一である候補配列でのアミノ酸残基のパーセンテージのことを指す。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアラインメントは、当該技術分野の技術範囲に属する様々な方法、例えば、BLAST、BLAST−2、ALIGN、または、MEGALIGN(商標)(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に利用可能なコンピューターソフトウェアを使用して達成することができる。当業者であれば、比較する配列の全長にわたって最大のアライメントを達成するために必要とされる当該技術分野において公知のあらゆるアルゴリズムなど、アラインメントを評価するための適切なパラメーターを決定することができる。
同じエピトープについて競合する抗体(例えば、中和抗体)の文脈で使用する用語「競合する」とは、試験する抗体が、共通の抗原(例えば、MS4A4A、または、そのフラグメント)に対するリファレンス分子(例えば、リガンド、または、リファレンス抗体)の特異的結合を予防または阻害(例えば、低減)するアッセイによって決定する抗体間の競合のことを意味する。無数のタイプの競合結合アッセイを使用して、抗体が、別の抗体と競合するか否かを判断でき、例えば;固相直接または間接ラジオイムノアッセイ(RIA)、固相直接または間接酵素イムノアッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahli et al,1983,Methods in Enzymology 9:242−253を参照されたい);固相直接ビオチン−アビジンEIA(例えば、Kirkland et al,1986,J.Immunol.137:3614−3619)固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(例えば、Harlow and Lane,1988,Antibodies,A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Pressを参照されたい);1−125ラベルを使用した固相直接ラベルRIA(例えば、Morel et al,1988,Molec.Immunol.25:7−15);固相直接ビオチン−アビジンEIA(例えば、Cheung,et al,1990,Virology 176:546−552を参照されたい);及び、直接標識RIA(Moldenhauer et al,1990,Scand.J.Immunol.32:77−82)がある。一般的には、そのようなアッセイは、非標識試験抗体、及び、標識参照抗体のいずれかを担持する固体表面または細胞に結合した精製抗原の使用を含む。競合阻害は、試験抗体の存在下で固体表面または細胞に結合した標識の量を決定して測定する。通常、当該試験抗体は過剰に存在する。競合アッセイ(競合抗体)で同定した抗体として、リファレンス抗体と同じエピトープに対して結合する抗体と、立体障害を招くリファレンス抗体が結合するエピトープに対して十分近位の隣接エピトープに対して結合する抗体がある。競合結合を決定するための方法に関するさらなる詳細を、本明細書の実施例において説明する。通常、競合する抗体が過剰に存在すると、共通抗原に対するリファレンス抗体の特異的結合は、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97.5%、及び/または、少なくともほぼ100%を阻害(例えば、低減)する。
本明細書で使用するMS4A4Aポリペプチドと第2のポリペプチドとの間の「相互作用」として、タンパク質間相互作用、物理的相互作用、化学的相互作用、結合、共有結合、及び、イオン結合があるが、これらに限定されない。本明細書において、抗体が、2つのポリペプチドの間の相互作用を、妨害、低減、または、完全に排除する場合、当該抗体は、2つのポリペプチドの間の「相互作用を阻害する」。その抗体が、2つのポリペプチドのうちの一方に結合する場合、本開示の抗体は、2つのポリペプチドの間の「相互作用を阻害する」。一部の実施形態では、当該相互作用は、少なくとも約20%、少なくとも約30%、40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97.5%、及び/または、少なくともほぼ100%のいずれかで阻害することができる。
用語「エピトープ」として、抗体が結合することができる、あらゆる決定基がある。エピトープは、その抗原を標的とする抗体が結合する抗原の領域であり、また、抗原がポリペプチドである場合、当該抗体と直接に接触する特定のアミノ酸を含む。大抵の場合、エピトープは、ポリペプチドに存在するが、一部の事例では、核酸などのその他の種類の分子に存在することができる。エピトープ決定因子は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリルまたはスルホニル基などの分子に属する化学的に活性な表面を含み、そして、特定の三次元構造特性、及び/または、特定の電荷特性を有することができる。一般的に、特定の標的抗原に特異的な抗体は、ポリペプチド、及び/または、高分子の複雑な混合物での標的抗原に関するエピトープを優先的に認識する。
「アゴニスト」抗体、または、「活性化」抗体は、抗体が抗原と結合した後に、当該抗原の1つ以上の活性または機能を誘導する(例えば、増大させる)抗体である。
「アンタゴニスト」抗体、または、「ブロッキング」抗体、または、「阻害」抗体とは、当該抗体が、抗原と結合した後に、1つ以上のリガンドに対する抗原結合を低減し、阻害し、かつ/または、排除する(例えば、減少させる)抗体、及び/または、当該抗体が抗原と結合した後に、当該抗原の1つ以上の活性または機能を低減し、阻害し、かつ/または、排除する(例えば、低下させる)抗体である。一部の実施形態では、アンタゴニスト抗体、または、ブロッキング抗体、または、阻害抗体は、1つ以上のリガンドへの抗原結合、及び/または、当該抗原の1つ以上の活性または機能を、実質的または完全に阻害する。
本開示の単離した抗MS4A4A抗体などの「単離した」抗体は、その産生環境の成分から(例えば、自然に、または、組換えて)同定、分離、及び/または、回収したものである。好ましくは、当該単離した抗体は、その産生環境に由来するその他のすべての汚染成分とは関連がない。組換えトランスフェクト細胞から得られるものなど、その産生環境に由来する汚染成分は、一般的には、抗体の研究、診断、または、治療への使用を妨げる物質であり、そして、酵素、ホルモン、及び、その他のタンパク質性、または、非タンパク質性溶質を含み得る。好ましい実施形態では、抗体を、(1)例えば、ローリー法で決定した抗体の95重量%を超えるまで、そして、一部の実施形態では、99重量%を超えるまで;(2)スピニングカップシーケンサーを使用して、N末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、または、(3)クマシーブルー、または、好ましくは、銀染色を使用する非還元または還元条件下でのSDS−PAGEで均一になるまで精製する。単離した抗体は、抗体の自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないため、組換えT細胞内の元の位置に抗体を含む。しかしながら、通常、単離したポリペプチドまたは抗体は、少なくとも1つの精製工程で調製する。
本開示の抗MS4A4A抗体などの抗体をコードする「単離した」核酸分子とは、それが産生された環境において通常会合している少なくとも1つの汚染核酸分子から同定及び分離した核酸分子である。好ましくは、当該単離した核酸は、その産生環境に関連するすべての構成成分とは会合しない。本明細書のポリペプチド、及び、抗体をコードする単離した核酸分子は、自然界で認められる形態または状況とは異なる形態で存在する。したがって、単離した核酸分子は、細胞内に自然に存在する本明細書のポリペプチド、及び、抗体をコードする核酸とは区別される。
本明細書で使用する用語「ベクター」とは、それに結合した別の核酸を輸送することができる核酸分子のことを指す。「プラスミド」は、ベクターの一種であり、さらなるDNAセグメントをライゲーションすることができる環状二本鎖DNAのことを指す。ファージベクターは、別の種類のベクターである。別の種類のベクターとして、ウイルスベクターがあり、さらなるDNAセグメントを、ウイルスゲノムに対してライゲーションすることができる。特定のベクター(例えば、細菌複製起点を有する細菌ベクター、及び、エピソーム哺乳動物ベクター)は、それらを導入した宿主細胞において自己複製が可能である。その他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞に導入すると、宿主細胞のゲノムに組み込まれ、これにより、宿主ゲノムと一緒に複製される。さらに、特定のベクターは、作動可能に連結した遺伝子の発現を導くことができる。そのようなベクターは、本明細書では、「組み換え発現ベクター」、または、簡略して「発現ベクター」と称する。一般的に、組換えDNA技法で用いる発現ベクターは、プラスミドの形態である場合が多い。本明細書では、「プラスミド」及び「ベクター」は、プラスミドが、ベクターのうちで最も一般的に使用される形態であるため、互換的に使用し得る。
本明細書で互換的に使用する「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、あらゆる長さのヌクレオチドの重合体のことを指すものであり、そして、DNA及びRNAを含む。当該ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、改変ヌクレオチドまたは塩基、及び/または、それらの類似体、または、DNAもしくはRNAポリメラーゼにより、または、合成反応により重合体に組み込まれ得るあらゆる基質とすることができる。
「宿主細胞」は、ポリヌクレオチド挿入物を組み込むためのベクターのレシピエントになることができる、または、レシピエントになっている個々の細胞、または、細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一の宿主細胞の子孫を含み、そして、その子孫は、自然発生的、偶発的、または、意図的な変異により、起源の親細胞と必ずしも完全に(形態学的に、または、ゲノムDNA相補鎖において)同一でなくともよい。宿主細胞は、本開示のポリヌクレオチドをインビボでトランスフェクトした細胞を含む。
本明細書で使用する「担体」は、使用する用量、及び、濃度で、そこに曝露される細胞または哺乳動物に対して無毒であり、薬学的に許容される担体、賦形剤、または、安定剤を含む。
本細書で使用する用語「予防する」とは、個体における特定の疾患、障害、または、病態の発生または再発に関して予防を提供することを含む。個体は、特定の疾患、障害、もしくは、病態にかかりやすくてもよい、当該疾患、障害、もしくは、病態に影響を受けやすくてもよい、または、そのような疾患、障害、もしくは、病態を発症するリスクがあってもよいが、未だに、当該疾患、障害、または、病態であると診断されていない。
本明細書で使用する、特定の疾患、障害、または、病態を発症する「リスクのある」個体は、検出可能な疾患または疾患の症状を有し得または有し得ず、そして、本明細書に記載した治療法を行う前に、検出可能な疾患または疾患の症状を示し得または示し得ない。「リスクがある」とは、個体が、特定の疾患、障害、または、病態の発症と相関する測定可能なパラメーターである、当該技術分野で公知の1つ以上のリスク因子を有することを示す。これらのリスク因子のうちの1つ以上を有する個体は、これらのリスク因子のうちの1つ以上を持たない個体よりも、特定の疾患、障害、または、病態を発症する可能性が高くなる。
本明細書で使用する用語「治療」とは、臨床病理の経過期間で治療を受けている個体の自然な経過を変えるようにデザインした臨床介入のことを指す。治療の望ましい効果として、進行速度の低下、病的状態の改善または緩和、及び、特定の疾患、障害、または、病態の寛解または予後の改善がある。例えば、特定の疾患、障害、または、病態に関連する1つ以上の症状が緩和または排除された場合、個体の「治療」は成功している。
「有効量」とは、所望の治療的または予防的結果を達成するために必要な投薬量及び期間での少なくとも有効な量のことを指す。有効量は、1回以上の投与で提供することができる。本明細書に記載の有効量は、個体の病状、年齢、性別、及び、体重、ならびに、個体において所望の応答を誘発する治療の能力などの要因によって変化し得る。有効量は、治療のあらゆる毒性または有害な効果よりも、治療的に有益な効果が勝る量でもある。予防的使用の場合、有益または望ましい結果として、疾患の生化学的、組織学的、及び/または、行動的症状、その合併症、及び、疾患の進行過程での中間的病理学的表現型など、疾患のリスクの排除または軽減、重症度の軽減、または、発症の遅延などの結果がある。治療的使用の場合、有益または望ましい結果として、疾患が関与する1つ以上の症状の減少、疾患を煩った方々の生活の質の向上、疾患の治療に必要なその他の薬物の投与量の減少、標的化などを介した別の薬物の効果の改善、疾患の進行の遅延、及び/または、生存期間の延長などがある。薬物、化合物、または、薬学的組成物の有効量は、直接的または間接的のいずれかで予防的または治療的処置を達成するのに十分な量である。臨床の関連での理解では、薬物、化合物、または、薬学的組成物の有効量は、別の薬物、化合物、または、薬学的組成物と組み合わせて達成し得る、または、達成し得ない。したがって、「有効量」は、1つ以上の治療薬を投与する状況で考慮し得るものであり、そして、単一の薬剤が、1つ以上のその他の薬剤と組み合わせて、所望の結果を達成し得る、または、達成するのであれば、有効量で与えられると考え得る。
リスクの治療、予防、または、軽減を目的とする「個体」とは、ヒト、飼育動物、及び、家畜、ならびに、動物園展示用動物、競技用または愛玩動物、例えば、イヌ、ウマ、ウサギ、ウシ、ブタ、ハムスター、アレチネズミ、マウス、フェレット、ラット、ネコなどを含む、哺乳動物に分類されるあらゆる動物のことを指す。好ましくは、個体は、ヒトである。
本明細書で使用する、別の化合物または組成物との「併用」投与とは、同時投与、及び/または、異なる時点での投与を含む。また、併用投与は、合剤としての投与、または、別個の組成物としての投与を含み、異なる投与頻度または間隔で、かつ、同じ投与経路、または、異なる投与経路を使用することを含む。一部の実施形態では、併用投与は、同じ治療レジメンの一部としての投与である。
本明細書で使用する用語「約」とは、それぞれの数値の通常の誤差範囲のことを指しており、当該技術分野の当業者であれば、容易に理解する。本明細書において「約」を付した値またはパラメーターへの言及は、その数値、または、パラメーターそれ自体を対象にした実施形態を含む(及び、説明する)。
本明細書、及び、添付した特許請求の範囲で使用する単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び、「その(the)」は、特に断りのない限り、複数形を含む。例えば、「抗体」への言及は、1つの抗体から、モル量の数多くの抗体までを指すものであり、そして、当業者に公知のそれらの等価物なども含む。
本明細書で説明する本開示の態様及び実施形態は、態様、及び、実施形態を「含む(comprising)」、「からなる(consisting)」、及び、「から本質的になる(consisting essentially of)」を含む、ことを理解されたい。
I.抗MS4A4A抗体
本明細書では、抗MS4A4A抗体を提供する。本明細書で提供する抗体は、例えば、MS4A4A関連障害の診断または治療に有用である。
ある態様では、本開示は、本開示のMS4A4Aタンパク質のエピトープに結合する単離した(例えば、モノクローナル)抗体を提供する。本開示のMS4A4Aタンパク質として、哺乳動物MS4A4Aタンパク質、ヒトMS4A4Aタンパク質、マウスMS4A4Aタンパク質、及び、カニクイザルMS4A4Aタンパク質があるが、これらに限定されない。本開示のMS4A4Aタンパク質は、天然に存在するMS4A4Aのバリアントを含む。
ヒトMS4A4Aは、膜糖タンパク質をコードする239アミノ酸のタンパク質である。ヒトMS4A4Aのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1:
に記載している。
加えて、マウスMS4A4Aのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2:
に記載している。
加えて、カニクイザル(cyno)MS4A4Aのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:3:
に記載している。
加えて、ヒトMS4A6Aのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:291:
に記載している。
一部の実施形態では、MS4A4Aを、細胞において発現させる。一部の実施形態では、MS4A4Aを、骨髄細胞において発現させる。一部の実施形態では、MS4A4Aを、脳細胞において発現させる。一部の実施形態では、MS4A4Aを、成熟星状細胞など、これに限定されない星状細胞において発現させる。一部の実施形態では、MS4A4Aを、乏突起膠細胞において発現させる。一部の実施形態では、MS4A4Aを、ミクログリア細胞において発現させる。一部の実施形態では、MS4A4Aを、マクロファージ、好酸球、肥満細胞、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、好中球、及び、T細胞などであるが、これらに限定されない免疫細胞において発現させる。一部の実施形態では、MS4A4Aを、嗅覚細胞において発現させる。一部の実施形態では、MS4A4Aを、細胞表面上で発現させる。
本開示のMS4A4Aタンパク質は、細胞質ドメイン(ヒトMS4A4Aのアミノ酸残基1〜64;SEQ ID NO:1を参照されたい);膜貫通ドメイン(ヒトMS4A4Aのアミノ酸残基65〜85);ヒトMS4A4Aのアミノ酸残基86〜98に対応する細胞外ドメイン(細胞外ドメイン1;ECL1);膜貫通ドメイン(ヒトMS4A4Aのアミノ酸残基99〜119);細胞質ドメイン(ヒトMS4A4Aのアミノ酸残基120〜137);膜貫通ドメイン(ヒトMS4A4Aのアミノ酸残基138〜158);アミノ酸残基159〜179に対応する細胞外ドメイン(細胞外ドメイン2;ECL2);膜貫通ドメイン(ヒトMS4A4Aのアミノ酸残基180〜200);及び、細胞質ドメイン(ヒトMS4A4Aのアミノ酸残基201〜239)などであるがこれらに限定されない幾つかのドメインを含む。加えて、本開示のMS4A4Aタンパク質を、脳、ニューロン、グリア細胞、内皮細胞、血管周囲細胞、周皮細胞などであるが、これらに限定されない、数多くの組織、及び、細胞において発現させる。
MS4A4A結合パートナー及びアダプタータンパク質
本明細書では、MS4A4Aに結合し、かつ、MS4A4Aと、1つ以上のMS4A4Aリガンドまたは結合パートナーとの間の相互作用をブロックする抗MS4A4A抗体をスクリーニングする方法をさらに提供する。一部の実施形態では、ペプチドライブラリーを合成することができ、そこでは、MS4A4Aタンパク質を、1つのアミノ酸残基で分離した連続する15−マー、及び、25−マーのペプチドに切断し、次いで、フィルター上にスポットする。次いで、MS4A4Aリガンド、または、結合パートナーの結合が、抗MS4A4A抗体の存在下または非存在下で、MS4A4Aペプチド、または、ペプチド類と相互作用する能力を、SPOT結合分析で試験をすることができる(例えば、Frank, R and Overwin, H (1996) Methods. Mol. Biol. 66, 149−169;Reineke, U et al, (2002) J. Immunol. Methods 267, 13−26;及び、Andersen, OS et al, (2010) J, BIOLOGICAL CHEMISTRY 285, 12210−12222)。一部の実施形態では、セルロース支持体は、N−修飾セルロース−アミノヒドロキシルプロピルエーテル膜として調製することができ、そして、合成の全ラウンドを、ペプチドと膜との間にアラニンリンカーをもたらす9−フルオレニルメトキシカル−ボニルアラニン−ペンタフルフェニルエステルで、スポット形成することから始める。例えば、異なるアミノ酸を段階的に加える自動線形合成は、9−フルオレニル−メトキシカルボニルと、成長するペプチド鎖に対する適切な側鎖保護とでN末端を保護している。一部の実施形態では、脱保護、活性化、及び、カップリングのパターンを、16−マーのペプチドを生成するまで継続し、その結果、共有結合で固定化したペプチドのアレイを、N末端遊離端を有する、それらのC末端に、セルロース支持体に均等に分散する(Scharn、D et al,(2000)J.Comb.Chem.2,361−369)。一部の実施形態では、サイド保護基の除去を、2つのステップで行うことができる。まず、膜を、90%トリフルオロ酢酸(3%トリイソブチルシランと、2% H2Oとを含むジクロロメタンにて)で処理し;次いで、例えば、60%のトリフルオロ酢酸(3%トリイソブチルシランと、2% H2Oとを含むジクロロメタン)で処理することができる。トリフルオロ酢酸塩を除去するために、H2O、エタノール、Tris緩衝生理食塩水、及び、エタノールで、膜を数回洗浄し、そして、乾燥させる。最後に、当該膜を、Tris緩衝生理食塩水(pH8.0)で拡張し、そして、5%ショ糖を、2時間かけて加えたブロッキング緩衝剤でブロックしてから、所定のペプチドライブラリーを、リガンド結合分析に供する。一部の実施形態では、セルロース結合ペプチドの結合を研究するために、膜結合ライブラリーを、抗MS4A4A抗体の存在下または非存在下で、例えば、4℃で、一晩、ブロッキング緩衝剤にて、S−ペプチドと、ポリヒスチジンタグ付けリガンドとを組み合わせてインキュベートし、続いて、ブロッキング緩衝剤で、室温で、3時間、1mg/mlのHRP結合Sタンパク質と、2回目のインキュベートをする。その後、当該膜を、例えば、Tris緩衝生理食塩水で、10分間、3回洗浄することができ、その後、UptiLight化学発光基質と、LumiImager装置とを使用して、結合リガンドの定量的特性評価を行うと、Boehringerライトユニットで、スポットシグナルの強度を提供し得る。あるいは、結合したリガンドの検出は、由来のヒスチジンタグに対する抗体、及び、二次HRP結合抗マウス抗体を用いた免疫化学的アッセイで行うことができる。標準的なウエスタンブロッティング手順と、スポット検出とを用いて、インキュベートすることができる。
本明細書では、MS4A4Aと、1つ以上のMS4A4Aリガンドまたは結合パートナーとの間の相互作用(例えば、結合)をブロックする抗MS4A4A抗体をスクリーニングする方法をさらに提供する。
一部の実施形態では、MS4A4Aと、MS4A4Aリガンドまたは結合パートナーとの間の相互作用を、表面プラズモン共鳴分析を使用して特徴決定し得る(例えば、Skeldal et al,2012 J Biol Chem.,287:43798;及び、Andersen et al,201、J Biol Chem,285,12210−12222)。ブロッキング抗MS4A4A抗体の存在下または非存在下での固定化MS4A4Aに対するMS4A4Aリガンドまたは結合パートナーの直接結合の決定は、例えば、標準ランニング緩衝剤(10mM HEPES、pH7.4、140mM NaCl、2mM CaCl2、1mM EGTA、及び、0.005% Tween20)としてCaHBSを使用するBiacore2000機器(Biacore,Sweden)で実施することができる。一部の実施形態では、Biacore(CM5)のバイオセンサーチップを、NHS/EDC法を使用して活性化し、次いで、79 fmol/mm2のタンパク質密度にまで、MS4A4Aでコーティングして、当該結合パートナーの親和性測定に使用することができる。pro−MS4A4Aを有するバイオセンサー表面の調製は、同じ手順に従う。リガンド結合実験のそれぞれのサイクルの後でのフローセルの再生は、再生緩衝剤(10mM グリシン−HCl,pH4.0,500mM NaCl,20mM EDTA、及び、0.005% Tween20)の2度の10−μlパルスと、0.001% SDSの1度の注射で行うことができる。親和性推定のためのセンサーグラムの調整は、例えば、BIAevaluationバージョン3.1を使用して行うことができる。同様のプロトコールに従って、HisS−NGFpro、または、HisS−BDNFproの固定化を、NHS/EDCカップリングキットを使用して、CM5バイオセンサーチップで行って、固定化したタンパク質に同様の表面密度(約300 fmol/mm2)を与え得る。MS4A4Aリガンド、または、結合パートナーを固定化したバイオセンサーチップを使用して、競合するMS4A4A抗体の存在下または非存在下で、MS4A4Aの結合を調べることもできる。
一部の実施形態では、MS4A4Aと、MS4A4Aリガンド及び結合パートナーとの間の相互作用は、プルダウンアッセイを使用して特徴決定することができる(例えば、Andersen et al,2010,J Biol Chem,285,12210−12222)。例えば、MS4A4Aが発現した細胞内または細胞外ドメインを、MS4A4Aブロッキング抗体の非存在下または存在下で、タグ付きMS4A4Aリガンド、または、結合パートナーとインキュベートし、そして、100μlのグルタチオン(GSH)−セファロースビーズ(Amersham Biosciences,カタログ番号17−0756−01)を使用して沈殿させることができる。使用した受容体ドメインの量は、コントロールとしてTalonビーズを使用した沈殿で決定することができる。結合したタンパク質は、SDS−PAGE分析で分離し、そして、標準的なウェスタンブロット分析で、抗ヒスチジン抗体を使用して視覚化できる。
一部の実施形態では、MS4A4Aと、MS4A4Aリガンド及び結合パートナーとの間の相互作用を、セルロース結合タンパク質を使用して特徴決定し得る(Andersen et al, 2010 J Biol Chem, 285, 12210−12222)。例えば、膜結合タンパク質を、別のMS4A4Aリガンド、または、結合パートナーと、4℃で、一晩、ブロッキング緩衝剤とインキュベートし、続いて、ブロッキング緩衝剤で、室温で、3時間、1μg/mlのHRP結合Sタンパク質を用いて、2度目のインキュベーションを行うことができる。その後、当該膜を、Tris緩衝生理食塩水で、10分間、3回洗浄することができ、その後、UptiLight化学発光基質と、LumiImager装置とを使用して、結合リガンドの定量的特性評価を行うと、Boehringerライトユニットで、スポットシグナルの強度を提供し得る。あるいは、結合したリガンドの検出は、ヒスチジンタグに対する抗体、及び、二次HRP結合抗マウス抗体を用いた免疫化学的アッセイで行うことができる。標準的なウエスタンブロッティング手順と、スポット検出とを用いて、インキュベートすることができる。
一部の実施形態では、MS4A4Aと、MS4A4Aリガンド及び結合パートナーとの間の相互作用を、近接ライゲーションアッセイを使用して特徴決定することができる(例えば、Gustafsen et al,2013 The Journal of Neuroscience,33:64−71)。例えば、MS4A4A、及び、そのリガンドまたは結合パートナーを発現する、または、それらに曝露する細胞に対する近接ライゲーションアッセイ(PLA)(DuolinkII)は、一次抗体抗MS4A4A、及び、当該結合パートナーに対する抗体を用いて実行することができ、続いて、その後に加える環形成オリゴヌクレオチドにハイブリダイズし、かつ、40nm以内に抗原が近接するとローリングサークル増幅を開始する、オリゴヌクレオチドと共役した二次抗体とインキュベーションする。増幅した当該DNAは、相補的な蛍光標識オリゴヌクレオチドを加えることで、視覚化することができる。
一部の実施形態では、MS4A4Aと、MS4A4Aリガンド及び結合パートナーとの間の相互作用を、細胞結合アッセイでのアルカリホスファターゼをタグ付けしたリガンドを使用して、特徴決定することができる(例えば、Hu et al,2005,J.Neurosci.25,5298−5304;Fournier et al,2001,Nature 409,341−346;Lauren et al,2009,Nature 457,1128−1132;及び、Hu et al,2010,Neuron 68,654−667)。例えば、アルカリホスファターゼ(AP)をタグ付けしたリガンドを作成して、トランスフェクトした細胞、または、初代ニューロンに関するMS4A4Aに対する結合を評価することができる。MS4A4Aを発現する細胞に対するAPをタグ付けしたリガンド結合を検出するために、培養物を、例えば、20mM HEPESナトリウム、pH7.05、及び、1mg/mlウシ血清アルブミン(BSA)を含有するハンクス平衡塩類溶液(HBH)で洗浄することができる。次に、これらのプレートを、APをタグ付けしたリガンドと共に、MS4A4Aブロッキング抗体の存在下または非存在下において、例えば、HBHにおいて、23℃で、2時間インキュベートすることができる。AP結合リガンドを、当該技術分野で周知の方法で、検出、及び、定量することができる。
前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、a)1つ以上のリガンドまたは結合タンパク質との相互作用のために利用可能なMS4A4Aの有効レベルを低減すること;b);1つ以上のリガンドまたは結合タンパク質との相互作用に必要なMS4A4A上の1つ以上の部位をブロックすること;c)1つ以上のリガンドまたは結合タンパク質との相互作用、及び/もしくは、MS4A4Aの適切な処理、及び/もしくは、細胞内局在化に必要であるMS4A4Aに関する1つ以上の翻訳後事象を予防すること;d)MS4A4Aの分解を誘導すること;e)MS4A4Aの立体配座を変化させること、または、それらのあらゆる組み合わせによって、抗MS4A4A抗体は、MS4A4Aと、そのリガンド、シグナル伝達タンパク質、または結合タンパク質のうちの1つ以上との間の相互作用をさらに阻害する。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該抗MS4A4A抗体は、ヒトMS4A4A、マウスMS4A4A、カニクイザルMS4A4A、または、それらの組み合わせに対して特異的に結合する。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該抗MS4A4A抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、モノクローナル抗体、多価抗体、コンジュゲート抗体、または、キメラ抗体である。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該抗MS4A4A抗体は、第1の抗原、及び、第2の抗原を認識する二重特異性抗体である。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該第1の抗原は、MS4A4Aであり、かつ、当該第2の抗原は、血液脳関門を通る輸送を促す抗原である。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該第2の抗原は、MS4A4A、トランスフェリン受容体(TR)、インスリン受容体(HIR)、インスリン様成長因子受容体(IGFR)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1及び2(LPR−1及び2)、ジフテリア毒素受容体、CRM197、ラマシングルドメイン抗体、TMEM30(A)、タンパク質形質導入ドメイ、TAT、Syn−B、ペネトラチン、ポリアルギニンペプチド、angiopepペプチド、ベイシジン、Glut1、及び、CD98hc、及び、ANG1005からなる群から選択される。
シグナル伝達アダプタータンパク質とは、シグナル伝達経路に関連するその他のタンパク質に付随するタンパク質であるが、これらに限定されない。アダプタータンパク質は、様々なタンパク質結合モジュール、または、モチーフを含んでおり、これらは、一緒に結合またはタンパク質結合するパートナーであり、そして、より大きなシグナル伝達複合体の生成を促す。アダプタータンパク質は、大抵の場合、構造内に1つ以上のその他の特定のタンパク質との特定の相互作用を許容する幾つかのドメインを含む。例えば、Srcホモロジー2(SH2)ドメインは、ホスホチロシン残基を含むタンパク質での特定のアミノ酸残基配列を認識する。アダプタータンパク質とその他のシグナル伝達タンパク質との相互作用により、特定の協調したタンパク質間の相互作用の多様性が、シグナル伝達の間に、そして、シグナル伝達に関連して細胞内で発生する。
免疫受容体チロシンをベースとした活性化モチーフ(ITAM)とは、免疫系の特定の細胞表面タンパク質の細胞質尾部で2回繰り返される保存された4つのアミノ酸残基の配列である。そのコンセンサスモチーフは、特定のタンパク質のC末端でのYxxI/Lx(6−12)YxxI/L(SEQ ID NO:355)である。2つのリピートは、一般的に、6〜12アミノ酸残基(YxxL/Ix(6−12)YxxL/I(SEQ ID NO:355))の間で分離している。ITAMは、シグナル伝達にとって重要であり;これらのモチーフでのチロシン残基は、受容体分子と、そのリガンドの相互作用の後にリン酸化を受け、そして、シグナル伝達に関与するその他のタンパク質のドッキング部位を形成する(Barrow and Trowsdale,2006,Eur J Immunol,36:1646−1653)。
免疫受容体チロシンをベースとした阻害モチーフ(ITIM)とは、免疫系の特定の阻害受容体の細胞質尾部で認められる保存されたアミノ酸の配列(S/I/V/LxYxxI/V/L(SEQ ID NO:352))である。ITIMを含む阻害受容体がそのリガンドと相互作用した後に、それらのITIMモチーフは、Srcキナーゼファミリーの酵素によってリン酸化され、シグナル伝達に関与する分子の活性化を減少させるその他の酵素(様々なホスホチロシンホスファターゼなど)を動員できるようになる。(Barrow and Trowsdale,2006,Eur J Immunol,36:1646−1653)。
あるいは、一部の受容体は、固有のITAMモチーフを持っておらず、代わりに、リジンまたはアルギニンなどの正に荷電した膜貫通アミノ酸をコードする。これらの正に帯電したアミノ酸残基は、ITAMをコードするアダプタータンパク質において対応する負に帯電した膜貫通アミノ酸残基との結合を媒介する。リガンド認識と受容体クラスター形成があると、チロシンアミノ酸残基は、Srcファミリーのタンパク質チロシンキナーゼ(PTK)によってリン酸化される。二重リン酸化ITAMモチーフは、ZAP−70、または、SykなどのSykファミリーPTKのタンデムSH2ドメインのドッキング部位として機能する。SykファミリーPTKは、一連の細胞内基質をリン酸化し、膜近位足場の形成をもたらし、ホスホリパーゼC−c(PLCc)などの重要なエフェクター分子の動員をもたらし、カルシウムシグナル伝達、ならびに、Ras活性化をもたらし、その結果、ERK経路と細胞活性化を刺激する。
複数の研究は、下流の生化学的シグナルを調節または伝搬するその他の細胞表面膜タンパク質とのシグナル伝達複合体の形成におけるMS4Aタンパク質の重要性を支持している。結合パートナーは、大抵の場合、未だに、MS4A1及びMS4A2以外のMS4Aタンパク質に関しては明確に決定されていないが、予測タンパク質分析は、Srcホモロジー2(SH2)、及び、SH3ドメイン結合部位が、一般的に、MS4Aタンパク質のN−及びC−末端領域に認められており、これがその他のシグナル伝達分子のドッキングプラットフォームとして機能し得ることを示す(Dinkel et al,2012,Nucl Acids Res,40:DD242−D251)。SHドメインは、プロリンに富む配列に優先的に結合しており、これも、一般的に、MS4Aタンパク質の細胞質尾部に認められる(Liang and Tedder,2001,Genomics,72:119−127;Kay et al,2000,FASEB J,14:231−241)。MS4Aタンパク質のこの特徴は、タンパク質間相互作用にそれらが密接に関与していること、また、シグナル伝達複合体を形成するために互いに関連し得ることの明確な根拠を示す。
したがって、一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、シグナル伝達複合体の形成を増進または増大させる。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、ITAMをコードするアダプタータンパク質に関連するシグナル伝達複合体の形成を増進または増大させる。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、阻害性シグナル伝達複合体の形成を増進または増大させる。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、ITIMをコードするアダプタータンパク質に関連する阻害性シグナル伝達複合体の形成を増進または増大させる。
一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、シグナル伝達複合体の形成を阻害(例えば、ブロック)する、または、低減する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、ITAMをコードするアダプタータンパク質に関連するシグナル伝達複合体の形成を阻害(例えば、ブロック)する、または、低減する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、阻害性シグナル伝達複合体の形成を阻害(例えば、ブロック)する、または、低減する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、ITIMをコードするアダプタータンパク質に関連する阻害性シグナル伝達複合体の形成を阻害(例えば、ブロック)する、または、低減する。
前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、a)MS4A4Aホモオリゴマー複合体の形成に利用可能なMS4A4Aの有効レベルを低減すること;b)MS4A4Aホモオリゴマー複合体の形成に必要なMS4A4A上の1つ以上の部位をブロックすること;c)MS4A4Aホモオリゴマー複合体の形成、及び/もしくは、MS4A4Aの適切な処理、及び/もしくは、細胞内局在化に必要なMS4A4Aに関する1つ以上の翻訳後事象を予防すること;d)MS4A4Aの分解を誘発すること;e)MS4A4Aの立体配座を変化させること、または、それらのあらゆる組み合わせによって、MS4A4Aホモオリゴマー細胞表面タンパク質複合体の形成を阻害(例えば、ブロック)する、または、低減する。
前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、a)MS4A4Aホモオリゴマー複合体の形成に利用可能なMS4A4Aの有効レベルを増大させること;b)MS4A4Aホモオリゴマー複合体の形成に必要なMS4A4A上の1つ以上の部位を安定させること;c)MS4A4Aの細胞表面発現を維持して、ホモオリゴマー複合体の形成、及び/もしくは、MS4A4Aの適切な処理、及び/もしくは、適切な細胞局在化の維持を可能にすること;d)MS4A4Aの分解を低減すること;e)MS4A4Aの立体配座を変化させること、または、それらのあらゆる組み合わせによって、MS4A4Aホモオリゴマー細胞表面タンパク質複合体の形成を増大させる、または、増進させる。
前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、a)MS4A4Aヘテロオリゴマー複合体の形成に利用可能なMS4A4Aの有効レベルを低減すること;b)MS4A4Aヘテロオリゴマー複合体の形成に必要なMS4A4A上の1つ以上の部位をブロックすること;c)MS4A4Aヘテロオリゴマー複合体の形成、及び/もしくは、MS4A4Aの適切な処理、及び/もしくは、細胞内局在化に必要なMS4A4Aに関する1つ以上の翻訳後事象を予防すること;d)MS4A4Aの分解を誘発すること;e)MS4A4Aの立体配座を変化させること、または、それらのあらゆる組み合わせによって、1つ以上のシグナル伝達アダプタータンパク質を有する、MS4A4Aヘテロオリゴマー細胞表面タンパク質複合体の形成を阻害(例えば、ブロック)する、または、低減する。
前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、a)MS4A4Aヘテロオリゴマー複合体の形成に利用可能なMS4A4Aの有効レベルを増大させること;b)MS4A4Aヘテロオリゴマー複合体の形成に必要なMS4A4A上の1つ以上の部位を安定させること;c)MS4A4Aの細胞表面発現を維持して、MS4A4Aヘテロオリゴマー複合体の形成、及び/もしくは、MS4A4Aの適切な処理、及び/もしくは、適切な細胞局在化の維持を可能にすること;d)MS4A4Aの分解を低減すること;e)MS4A4Aの立体配座を変化させること、または、それらのあらゆる組み合わせによって、1つ以上のシグナル伝達アダプタータンパク質を有する、MS4A4Aヘテロオリゴマー細胞表面タンパク質複合体の形成を増大させる、または、増進させる。
前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、MS4A4A受容体のクラスター形成を増大させる、または、増進させる。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、MS4A4A受容体のクラスター形成を阻害する、または、低減する。一部の実施形態では、MS4A4A受容体のクラスター形成の増大または増進、または、阻害または低減は、骨髄細胞におけるものである。
マクロファージ及びミクログリア細胞機能におけるMS4A4A
中枢神経系(CNS)のマクロファージ及び骨髄細胞は、本質的に多様な表現型及び機能を有する。マクロファージは、インビトロで、食細胞性、及び、潜在的炎症性、表現型、及び、活性が異なる、M1マクロファージ及びM2マクロファージに分けることができる。例えば、末梢器官では、M1表現型を有するマクロファージは、炎症誘発性及び抗菌性の表現型及び機能を有するものと考えられており、一方で、M2表現型を有するマクロファージは、抗炎症性の表現型及び機能を有しており、さらに恒常的な状態にあると考えられている。
健康で恒常性状態に関連するミクログリアは、M1マーカー(例えば、CD16、MHCクラスII、CD86)の発現と比較して、それらの細胞表面で、より多くのM2マーカー(例えば、CD200R、CD163、及び、CD115など)を発現する(Ginhoux and Prinz,2015,Cold Spring Harb Perspect Biol,7:a020537)。しかしながら、アルツハイマー病のマウスモデルと、ヒトアルツハイマー病との両方の疾患関連ミクログリア(DAM)は、炎症性または活性化状態にある。炎症性または活性化状態の疾患関連ミクログリアは、アルツハイマー病、及び、その他の神経変性疾患に関連する病理の低減に積極的な役割を果たしており、有益であると考えられている。
MS4A4Aの発現は、インビトロで、M2マクロファージにおいて上昇しており、また、MS4A4Aは、M2マクロファージの新規の細胞表面マーカーであることが示唆されている。加えて、MS4A4Aは、肥満細胞上でのcKitの細胞表面輸送を調節することも示しており、肥満細胞の脱顆粒と生存の調節におけるMS4A4Aの役割を示唆している(Cruse et al,2015,Molecular Biol Cell,26:1711−1727)。まとめると、これらの報告での知見は、MS4A4Aを標的にすると、M1及びM2マクロファージ表現型に関連する様々なマクロファージ細胞表面受容体の再利用、発現、及び/または、分解に影響を与え、それが故に、機能と活動に影響を与える可能性があることを示唆している。
本明細書に記載したように、本開示の抗MS4A4A抗体は、M2マクロファージ細胞表面マーカーの発現に影響を与えた。特に、本開示の抗MS4A4A抗体は、マクロファージにおけるCD200R、デクチン−1、及び、CD163の細胞表面発現を低減しており、このことは、抗MS4A4A抗体が、M2マクロファージ細胞表面受容体の発現を低減することで、マクロファージの分極、機能、及び/または、活性を調節することを示唆している。本開示の抗MS4A4A抗体は、M2マクロファージ細胞表面受容体を低減しており、このことは、本開示の抗MS4A4A抗体が、ミクログリア細胞の生理学的状態を、より保護的な表現型へと、例えば、より炎症性または活性化の状態へと、効果的に変更することを示唆している。したがって、本開示の抗MS4A4A抗体は、一部では、マクロファージ及びミクログリアの表現型を、炎症誘発性及び活性化状態に変更すると、アルツハイマー病、及び、その他の神経変性障害の治療において有用である。
MS4A4A及びTREM2の発現
神経変性疾患は、一部では、中枢神経系(CNS)の欠陥免疫機能によって特徴決定される。例えば、CNS骨髄細胞の一部の生存能力と機能の低下は、ミクログリアに限ったものではなく、アルツハイマー病などの神経変性疾患に対する感受性に寄与するものと考えられている。骨髄細胞の生存能力及び/または機能を向上させる薬理学的介入は、そのような神経変性の疾患、及び、障害の発症、重症度、または、進行を改善するための効果的な治療を提供する。
骨髄細胞で発現するトリガー受容体2(TREM2)は、マクロファージ、樹状細胞、単球、皮膚のランゲルハンス細胞、クッパー細胞、破骨細胞、ミクログリアなどの骨髄細胞上で主に発現する免疫グロブリン様受容体である。TREM2は、実験的自己免疫性脳脊髄炎、及び、アルツハイマー病の間に、CNSのミクログリア及び浸潤性マクロファージで高度に発現する(Piccio et al,2007,Eur J Immunol,37:1290−1301;Wang,2015,Cell,160:1061−1071)。当該TREM2経路は、CNS骨髄細胞の生存能力と機能の重要な調節因子と考えられている。
ヒトの遺伝学研究からのデータは、MS4A4AとTREM2との間に強い遺伝的関連があり、かつ、アルツハイマー病に感受性であることを示唆している(Piccio et al,2016,Acta Neuropathol,131:925−9330)。特に、アルツハイマー病の予防のためのMS4A4A対立遺伝子は、患者の脳脊髄液でのsTREM2レベルの増大に関連している。
本明細書に記載したように、本開示の抗MS4A4A抗体は、マクロファージにおける細胞ATPレベルを増大させたが、このことは、抗MA4A4A抗体が、細胞(例えば、マクロファージ、骨髄細胞)の生存能力、及び、機能の増大、維持、または、増強に有効であることを示している。加えて、本開示の抗MS4A4A抗体は、市販の抗MS4A4A抗体5C12が、培養したヒトマクロファージの上清でのsTREM2レベルを低減したことを報告した従前の報告とは対照的に、マクロファージでのsTREM2、及び、mTREM2レベルを増大させた(Deming et al,2018,bioRxiv,doi:dxdoiorg/10.1101/352179)。アルツハイマー病に関するMS4A4A保護対立遺伝子の増加は、sTREM2レベルの増大と関連しているので、本明細書で提供した結果は、本開示の抗MS4A4A抗体が、sTREM2、及び、mTREM2レベルの増大を受けて、アルツハイマー病などの神経変性の疾患、及び、障害での保護的表現型を、模倣または複製することを示すものである。
本明細書に記載したように、本開示の抗MS4A4A抗体は、骨髄細胞において、sTREM2レベルを増大させる、mTREM2レベルを増大させる、または、sTREM2及びmTREM2の両方のレベルを増大させる。一部の実施形態では、当該抗MS4A4A抗体は、同じアイソタイプのコントロール抗体と比較して、可溶性TREM2レベルを、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または、少なくとも100%増大させる。一部の実施形態では、当該抗MS4A4A抗体は、同じアイソタイプのコントロール抗体と比較して、原形質膜または細胞表面のTREM2レベルを、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも105%、少なくとも110%、少なくとも115%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、または、少なくとも150%増大させる。骨髄細胞におけるTREM2レベルは、当業者に公知のあらゆるアッセイで測定することができる。例えば、本開示の実施例41は、精製した抗MS4A4A抗体で処理した場合のヒト初代マクロファージでの、可溶性及び原形質膜または細胞表面TREM2の調節を測定するためのアッセイを記載している。エンドトキシン不含、または、低レベルのエンドトキシンを含む精製抗体を生成する例示的な方法を、本明細書の実施例41に記載している。これらのマクロファージを、精製した抗MS4A4A抗体とインキュベートした後に、上清を回収し、そして、Meso Scale Discovery(MSD)アッセイを使用してsTREM2レベルを測定する。あるいは、マクロファージを、インキュベーションした後に回収し、そして、フローサイトメトリーに供して、アロフィコシアニン、または、類似のフルオロフォアにコンジュゲートした抗TREM2抗体を使用してmTREM2レベルを決定する。
アゴニスト抗体
本開示の抗MS4A4A抗体は、一般的に、細胞において発現した1つ以上のMS4A4Aタンパク質に結合する。本開示のあるクラスの抗体は、アゴニスト抗体である。例えば、当該MS4A4A受容体は、シグナルを伝達するために、細胞表面でのクラスター形成を必要とし得る。したがって、アゴニスト抗体は、例えば、MS4A4A受容体を刺激する独特の特徴を有し得る。例えば、それらは、受容体活性化と互換性のある適切なエピトープ特異性、ならびに、細胞表面での受容体クラスター形成を誘導または保持する能力を有し得る。
インビボでは、抗体は、複数の潜在的なメカニズムによって受容体のクラスターを形成し得る。IgG2のようなヒト抗体の一部のアイソタイプは、その独特の構造が故に、受容体のクラスターを形成する、または、受容体をクラスター構成で保持する固有の能力を持ち合わせており、それにより、Fc受容体に結合せずに、MS4A4Aなどの受容体を活性化する(例えば、White et al,(2015)Cancer Cell 27、138−148)。
その他の抗体は、隣接する細胞のFcg受容体に結合することで、受容体(例えば、MS4A4A)のクラスターを形成する。抗体の定常IgG Fc部分がFcg受容体に結合すると、抗体が凝集し、そして、抗体は、次に、可変領域を介して結合する受容体を凝集させる(Chu et al.(2008)Mol Immunol,45:3926−3933;及び、Wilson et al,(2011)Cancer Cell 19,101−113)。サイトカインの分泌、酸化的バースト、食作用の増大、及び、抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)の増進を惹起しない阻害性Fcg受容体FcgR(FcgRIIB)に対する結合は、FcgRIIBに対する結合が、免疫の副作用と関連していないので、インビボで抗体のクラスターを形成するための好ましい方法であることが多い。
その他のメカニズムを使用して、受容体(例えば、MS4A4A)をクラスター形成し得る。例えば、一緒に架橋する抗体フラグメント(例えば、Fabフラグメント)は、上記のように、Fcg受容体に結合するFc領域を有する抗体と同様の方法で受容体(例えば、MS4A4A)のクラスターを形成するために使用し得る。理論に拘束されることを望むものではないが、架橋した抗体フラグメント(例えば、Fabフラグメント)が、細胞表面に受容体クラスターを誘導し、そして、標的(例えば、MS4A4A)の適切なエピトープに結合する場合、アゴニスト抗体として機能し得ると考えられる。
したがって、一部の実施形態では、MS4A4Aタンパク質に結合する抗体は、それらのエピトープ特異性が故に、MS4A4Aに対して結合し、そして、1つ以上のMS4A4A活性を活性化するアゴニスト抗体を含み得る。理論に拘束されることを望むものではないが、そのような抗体は、標的抗原(例えば、MS4A4A)のリガンド結合部位に結合し、そして、天然リガンドの作用を模倣するか、または、リガンド結合部位ではない1つ以上のドメインに結合することで、標的抗原を刺激してシグナルを伝達する。そのような抗体は、リガンド結合を妨げず、そして、天然のリガンドと相加的または相乗的に作用し得る。
一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、1つ以上のMS4A4A活性を誘導するまたは増大させるアゴニスト抗体である。一部の実施形態では、当該抗MS4A4A抗体は、細胞において発現するMS4A4Aタンパク質の1つ以上の活性を誘導する、または、増大させる。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、1つ以上のMS4A4A活性を低減、または、阻害するアンタゴニスト抗体である。一部の実施形態では、抗MS4A4A抗体は、細胞において発現するMS4A4Aタンパク質の1つ以上の活性を低減、または、阻害する。
不活性抗体
本開示の別のクラスの抗体として、不活性抗体がある。本明細書で使用する「不活性」抗体とは、それらの標的抗原に特異的に結合するが、抗原機能を調節しない(例えば、低下させない/阻害しない、または、活性化しない/誘導し)抗体のことを指す。例えば、MS4A4Aの事例では、不活性抗体は、リガンド結合、及び/または、MS4A4A活性を調節しない。理論に拘束されることを望むものではないが、細胞表面でMS4A4Aのクラスターを形成する能力を持たない抗体は、受容体活性化と互換性のあるエピトープ特異性を持ち合わせていても、不活性抗体であり得ると考えられる。
一部の実施形態では、MS4A4Aタンパク質に結合する抗体は、MS4A4Aに結合する抗体を含み得るが、それらのエピトープ特異性が故に、タンパク質機能を調節しない。このような機能的に不活性な抗体は、カリケアマイシンのクラスに由来する細胞毒性剤にコンジュゲートされ、かつ、急性骨髄性白血病腫瘍を標的として死滅させるために使用するCD33抗体ゲムツズマブゾガマイシン(Mylotargとして市販)について説明されているように、毒素を輸送する際のカーゴとして使用することができる(Naito et al,(2000),Leukemia,14,1436−1443;Ricart(2011)Clin Cancer Res 17;6417−6436;Hamann et al,(2002)Journal:Bioconjugate Chemistry,13、47−58;及び、Beitz et al,(2001)Clin Cancer Res 7;1490−6)。したがって、一部の実施形態では、本開示の抗体は、MS4A4Aに結合するが、1つ以上のMS4A4A活性(例えば、本明細書に記載したMS4A4A活性)を誘導することができない、不活性抗体である。
アンタゴニスト抗体
本開示の第3のクラスの抗体は、アンタゴニスト抗体を含む。一部の実施形態では、MS4A4Aタンパク質に結合する抗体として、MS4A4Aとそのリガンドとの間の相互作用を妨げる、あるいは、リガンドの存在下で、MS4A4Aのシグナルを細胞質へ伝達することを妨げることで、MS4A4Aに結合して、1つ以上のMS4A4A活性を阻害するアンタゴニスト抗体があり得る。一部の実施形態では、本開示のアンタゴニスト抗体は、本開示のアゴニスト抗体のエピトープ特異性を有し得るが、Fcg受容体に結合することができず、したがって、例えば、MS4A4A受容体のクラスターを形成することができないFcドメインを有する。
一部の実施形態では、本開示の抗体は、アンタゴニスト抗体である。一部の実施形態では、当該アンタゴニスト抗体は、1つ以上のMS4A4A活性を阻害する。一部の実施形態では、当該アンタゴニスト抗体は、1つ以上のMS4A4A依存性遺伝子の活性を減少させする。一部の実施形態では、当該アンタゴニスト抗体は、MS4A4Aと、1つ以上のMS4A4Aリガンドとの間の相互作用を阻害する。一部の実施形態では、当該アンタゴニスト抗体は、MS4A4Aシグナル伝達を阻害する。一部の実施形態では、当該アンタゴニスト抗体は、MS4A4Aと、1つ以上のMS4A4Aリガンドとの間の相互作用を阻害し、そして、MS4A4Aシグナル伝達を阻害する。
一部の実施形態では、アゴニスト抗体機能のために、抗体架橋が必要である。抗体架橋は、インビトロでの二次抗体への結合を介して、または、インビボでのFc受容体への結合を介して作り出すことができる。例えば、アンタゴニスト抗体は、インビトロでのビオチン/ストレプトアビジン架橋、または、二次抗体結合を介して、アゴニスト抗体へと変換することができる(例えば、Gravestein et al,1996、J.Exp.Med.184:675−685;Gravestein et al,1994、International Immunol,7:551−557を参照されたい)。アゴニスト抗体は、受容体リガンドの生物学的活性を模倣する、または、受容体凝集を増強することで、それらの活性を発揮し、それにより、受容体シグナル伝達を活性化し得る。一部の実施形態では、抗体架橋の不存在が、アンタゴニスト活性のために必要である。アンタゴニスト抗体は、受容体−リガンド相互作用をブロックすることで、それらの活性を発揮し得る。
カルシウム流入
MS4A1をトランスフェクトした細胞株は、原形質膜全体のカルシウム伝導度の増大を示しており、このことは、MS4A1が、カルシウムの恒常性を調節するための重要なチャネルとして機能していることを示唆している。(Parolini et al,2012,Int J Biochem CellBiol,44:2095−2105;Li et al,2003,J Biol Chem,278:42427−42434)したがって、MS4Aタンパク質は、カルシウム流入の調節(例えば、増量)、及び/または、細胞内貯蔵由来のカルシウムの動員によって、細胞内遊離カルシウム濃度の制御に関与している(Ishibashi et al,2001,Gene,264:87−93)。MS4Aファミリー内でタンパク質構造が保存されているので、その他のMS4Aタンパク質(例えば、MS4A4A、及び、MS4A6A)は、重複したカルシウム調節機能を共有し得る(Ma et al,2015,Mol Neurobiol,51:1240−1248)。したがって、一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、細胞内のカルシウムレベル、カルシウム流入、及び/または、細胞内貯蔵由来のカルシウムの動員を調節する。一部の実施形態では、本開示の抗MS44A抗体は、細胞においてカルシウム流入を増大させ、かつ/または、細胞において、細胞内貯蔵由来のカルシウムの動員を増大させる。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、細胞においてカルシウム流入を低減し、かつ/または、細胞において、細胞内貯蔵由来のカルシウムの動員を低減する。
加えて、MS4Aタンパク質ファミリーのメンバーは、ネックレス嗅覚ニューロンで発現する化学受容体である。結果は、MS4A受容体が、吸入した匂い物質に結合し、そして、ネックレス嗅覚ニューロンにカルシウム流入を誘導するモデルを支持しており、様々な細胞中でのカルシウム流入の調節におけるMS4Aファミリーメンバーの役割を支持している(Greer et al,2016,Cell,165:1734−1748)。
A.例示的な抗体及び特定のその他の抗体の実施形態
一部の実施形態では、本明細書では、(a)SEQ ID NO:4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、及び、19からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、及び、19からなる群から選択されるアミノ酸に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、及び、37からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、及び、37からなる群から選択されるアミノ酸に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、及び、55からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、及び、55からなる群から選択されるアミノ酸に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、及び、74からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、及び、74からなる群から選択されるアミノ酸に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、及び、85からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、及び、85からなる群から選択されるアミノ酸に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、及び、100からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、及び、100からなる群から選択されるアミノ酸に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸を含むHVR−L3、から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または、少なくとも6つのHVRを含む抗MS4A4A抗体を提供する。
一部の実施形態では、本明細書では、(a)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:38のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:56のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:75のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:86のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:57のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:76のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:87のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:40のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:58のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:76のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:88のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:23のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:41のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:59のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:77のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:89のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:24のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:42のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:60のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:78のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:90のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:9のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:25のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:43のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:61のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:76のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:91のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:10のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:26のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:44のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:62のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:79のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:92のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:27のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:45のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:63のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:77のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:89のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:28のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:46のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:64のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:77のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:89のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:11のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:47のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:65のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:80のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:93のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:27のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:45のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:63のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:77のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:89のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:12のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:27のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:45のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:66のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:77のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:89のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:30のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:48のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:67のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:76のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:94のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:27のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:45のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:63のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:77のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:89のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:49のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:68のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:81のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:95のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:15のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:50のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:69のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:82のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:96のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:51のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:70のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:77のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:97のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:52のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:71のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:83のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:98のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:35のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:53のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:72のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:77のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:99のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:36のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:54のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:84のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:100のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:55のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:74のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:85のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:89のアミノ酸配列を含むHVR−L3、から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または、少なくとも6つのHVRを含む抗MS4A4A抗体を提供する。
一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、SEQ ID NO:15のアミノ酸配列を含むHVR−H1、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含むHVR−H2、SEQ ID NO:50のアミノ酸配列を含むHVR−H3、SEQ ID NO:69のアミノ酸配列を含むHVR−L1、SEQ ID NO:82のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び、SEQ ID NO:96のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。
一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むHVR−H1、SEQ ID NO:35のアミノ酸配列を含むHVR−H2、SEQ ID NO:53のアミノ酸配列を含むHVR−H3、SEQ ID NO:72のアミノ酸配列を含むHVR−L1、SEQ ID NO:77のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び、SEQ ID NO:99のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。
一部の実施形態では、本明細書では、(a)SEQ ID NO:4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、及び、19からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、及び、19からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、及び、37からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、及び、37からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び、(c)SEQ ID NO:38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、及び、55からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、及び、55からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または、3つすべてのVH HVR配列を含む抗MS4A4A抗体を提供する。
一部の実施形態では、本明細書では、(a)SEQ ID NO:56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、及び、74からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、及び、74からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、及び、85からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、及び、85からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、及び、100からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、及び、100からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または、3つすべてのVL HVR配列を含む抗MS4A4A抗体を提供する。
一部の実施形態では、本明細書では、(a)(i)SEQ ID NO:4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、及び、19からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、及び、19からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H1;(ii)SEQ ID NO:20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、及び、37からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、及び、37からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び、(iii)SEQ ID NO:38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、及び、55からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、及び、55からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または、3つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン、及び、(b)(i)SEQ ID NO:56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、及び、74からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、及び、74からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)SEQ ID NO:75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、及び、85からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、及び、85からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(iii)SEQ ID NO:86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、及び、100からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、及び、100からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または、3つすべてのVL HVR配列を含むVLドメインを含む抗MS4A4A抗体を提供する。一部の実施形態では、本明細書では、(a)(i)SEQ ID NO:4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、及び、19からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、及び、19からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H1;(ii)SEQ ID NO:20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、及び、37からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、及び、37からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び、(iii)SEQ ID NO:38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、及び、55からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、及び、55からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H3を含むVHドメイン、及び、(b)(i)SEQ ID NO:56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、及び、74からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、及び、74からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)SEQ ID NO:75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、及び、85、SEQ ID NO:75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、及び、85からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、及び、85からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(iii)SEQ ID NO:86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、及び、100からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、及び、100からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L3を含むVLドメインを含む抗MS4A4A抗体を提供する。
一部の実施形態では、本明細書では、(a)SEQ ID NO:142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、及び、153からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、及び、153からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、及び、167からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、及び、167からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、及び、182からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、及び、182からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、及び、196からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、及び、196からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:81、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、及び、209からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:81、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、及び、209からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、及び、224からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、及び、224からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または、少なくとも6つのHVRを含む抗MS4A4A抗体を提供する。
一部の実施形態では、本明細書では、(a)SEQ ID NO:142のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:154のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:168のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:183のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:197のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:210のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:143のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:155のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:169のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:184のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:198のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:211のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:144のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:156のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:170のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:185のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:199のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:212のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:144のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:157のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:171のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:186のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:81のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:213のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:145のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:158のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:172のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:186のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:81のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:214のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:146のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:159のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:173のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:187のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:200のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:215のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:147のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:160のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:174のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:188のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:201のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:216のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:148のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:161のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:175のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:189のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:202のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:217のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:149のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:162のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:176のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:190のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:203のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:218のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:150のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:163のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:177のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:191のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:204のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:219のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:151のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:164のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:178のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:192のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:205のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:220のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:147のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:160のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:179のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:193のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:206のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:221のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:152のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:165のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:180のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:194のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:207のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:222のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:153のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:166のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:181のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:195のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:208のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:223のアミノ酸配列を含むHVR−L3;及び、(a)SEQ ID NO:151のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:167のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:182のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:196のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:209のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:224のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または、少なくとも6つのHVRを含む抗MS4A4A抗体を提供する。
一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、SEQ ID NO:143のアミノ酸配列を含むHVR−H1、SEQ ID NO:155のアミノ酸配列を含むHVR−H2、SEQ ID NO:169のアミノ酸配列を含むHVR−H3、SEQ ID NO:184のアミノ酸配列を含むHVR−L1、SEQ ID NO:198のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び、SEQ ID NO:211のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。
一部の実施形態では、本明細書では、(a)SEQ ID NO:142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、及び、153からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、及び、153からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、及び、167からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、及び、167からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び、(c)SEQ ID NO:168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、及び、182からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、及び、182からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または、3つすべてのVH HVR配列を含む抗MS4A4A抗体を提供する。
一部の実施形態では、本明細書では、(a)SEQ ID NO:183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、及び、196からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、及び、196からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:81、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、及び、209からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:81、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、及び、209からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、及び、224からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、及び、224からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または、3つすべてのVL HVR配列を含む抗MS4A4A抗体を提供する。
一部の実施形態では、本明細書では、(a)(i)SEQ ID NO:142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、及び、153からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、及び、153からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H1;(ii)SEQ ID NO:154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、及び、167からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、及び、167からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び、(iii)SEQ ID NO:168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、及び、182からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、及び、182からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または、3つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン、及び、(b)(i)SEQ ID NO:183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、及び、196からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、及び、196からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)SEQ ID NO:81、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、及び、209からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:81、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、及び、209からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(iii)SEQ ID NO:210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、及び、224からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、及び、224からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または、3つすべてのVL HVR配列を含むVLドメインを含む抗MS4A4A抗体を提供する。
一部の実施形態では、本明細書では、(a)(i)SEQ ID NO:142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、及び、153からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、及び、153からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H1;(ii)SEQ ID NO:154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、及び、167からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、及び、167からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び、(iii)SEQ ID NO:168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、及び、182からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、及び、182からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H3を含むVHドメイン、及び、(b)(i)SEQ ID NO:183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、及び、196からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、及び、196からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)SEQ ID NO:81、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、及び、209からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:81、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、及び、209からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(iii)SEQ ID NO:210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、及び、224からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、及び、224からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L3を含むVLドメインを含む抗MS4A4A抗体を提供する。
一部の実施形態では、本明細書では、(a)SEQ ID NO:142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、及び、153からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、及び、153からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、及び、167からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、及び、167からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、及び、182からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、及び、182からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、及び、196からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、及び、196からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:81、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、及び、209からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:81、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、及び、209からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、及び、224からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、及び、224からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または、少なくとも6つのHVRを含む抗MS4A4A抗体を提供する。
一部の実施形態では、本明細書では、(a)SEQ ID NO:304のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:310のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:316のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:322のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:328のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:334のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:305のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:311のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:317のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:323のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:329のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:335のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:306のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:312のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:318のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:324のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:330のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:336のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:307のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:313のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:319のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:325のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:331のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:337のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:308のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:314のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:320のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:326のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:332のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:338のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:309のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:315のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:321のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:327のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:333のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:339のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または、少なくとも6つのHVRを含む抗MS4A4A抗体を提供する。
一部の実施形態では、本明細書では、(a)SEQ ID NO:304、305、306、307、308、及び、309からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:304、305、306、307、308、及び、309からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:310、311、312、313、314、及び、315からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:310、311、312、313、314、及び、315からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び、(c)SEQ ID NO:316、317、318、319、320、及び、321からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:316、317、318、319、320、及び、321からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または、3つすべてのVH HVR配列を含む抗MS4A4A抗体を提供する。
一部の実施形態では、本明細書では、(a)SEQ ID NO:322、323、324、325、326、及び、327からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:322、323、324、325、326、及び、327からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:328、329、330、331、332、及び、333からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:328、329、330、331、332、及び、333からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:334、335、336、337、338、及び、339からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:334、335、336、337、338、及び、339からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または、3つすべてのVL HVR配列を含む抗MS4A4A抗体を提供する。
一部の実施形態では、本明細書では、(a)(i)SEQ ID NO:304、305、306、307、308、及び、309からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:304、305、306、307、308、及び、309からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H1;(ii)SEQ ID NO:310、311、312、313、314、及び、315からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:310、311、312、313、314、及び、315からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び、(iii)SEQ ID NO:316、317、318、319、320、及び、321からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:316、317、318、319、320、及び、321からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または、3つすべてのVH HVR配列を含むVHドメイン、及び、(b)(i)SEQ ID NO:322、323、324、325、326、及び、327からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:322、323、324、325、326、及び、327からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)SEQ ID NO:328、329、330、331、332、及び、333からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:328、329、330、331、332、及び、333からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(iii)SEQ ID NO:334、335、336、337、338、及び、339からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:334、335、336、337、338、及び、339からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または、3つすべてのVL HVR配列を含むVLドメインを含む抗MS4A4A抗体を提供する。
一部の実施形態では、本明細書では、(a)(i)SEQ ID NO:304、305、306、307、308、及び、309からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:304、305、306、307、308、及び、309からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H1;(ii)SEQ ID NO:310、311、312、313、314、及び、315からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:310、311、312、313、314、及び、315からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び、(iii)SEQ ID NO:316、317、318、319、320、及び、321からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:316、317、318、319、320、及び、321からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H3を含むVHドメイン、及び、(b)(i)SEQ ID NO:322、323、324、325、326、及び、327からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:322、323、324、325、326、及び、327からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)SEQ ID NO:328、329、330、331、332、及び、333からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:328、329、330、331、332、及び、333からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(iii)SEQ ID NO:334、335、336、337、338、及び、339からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:334、335、336、337、338、及び、339からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L3を含むVLドメインを含む抗MS4A4A抗体を提供する。
別の態様では、抗MS4A4A抗体は、SEQ ID NO:101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、及び120からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または、少なくとも100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。特定の実施形態では、SEQ ID NO:101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、及び120からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または、少なくとも99%の同一性を有するVH配列は、リファレンス配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または、欠失を含むが、その配列を含む抗MS4A4A抗体は、MS4A4Aに対して結合する能力を保持している。特定の実施形態では、SEQ ID NO:101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、及び120において、合計で1〜10個のアミノ酸を、置換、挿入、及び/または、欠失する。特定の実施形態では、SEQ ID NO:101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、及び120において、合計で1〜5個のアミノ酸を、置換、挿入、及び/または、欠失する。特定の実施形態では、置換、挿入、または、欠失が、HVRの外側の領域(すなわち、FR)で発生する。任意に、当該抗MS4A4A抗体は、SEQ ID NO:101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、及び120のVH配列を、その配列の翻訳後修飾と共に含む。特定の実施形態では、VHは、(a)SEQ ID NO:4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、及び、19からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)SEQ ID NO:20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、及び、37からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び、(c)SEQ ID NO:38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、及び、55からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される1つ、2つ、または、3つのHVRを含む。
別の態様では、抗MS4A4A抗体を提供しており、当該抗体は、SEQ ID NO:121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、及び、139からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または、少なくとも100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含む。特定の実施形態では、SEQ ID NO:121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、及び、139からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または、少なくとも99%の同一性を有するVL配列は、リファレンス配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または、欠失を含むが、その配列を含む抗MS4A4A抗体は、MS4A4Aに対して結合する能力を保持している。特定の実施形態では、SEQ ID NO:121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、及び、139において、合計で1〜10個のアミノ酸を、置換、挿入、及び/または、欠失する。特定の実施形態では、SEQ ID NO:121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、及び、139において、合計で1〜5個のアミノ酸を、置換、挿入、及び/または、欠失する。特定の実施形態では、置換、挿入、または、欠失が、HVRの外側の領域(すなわち、FR)で発生する。任意に、当該抗MS4A4A抗体は、SEQ ID NO:121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、及び、139のVL配列を、その配列の翻訳後修飾と共に含む。特定の実施形態では、VLは、(a)SEQ ID NO:56,57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、及び、74からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L1、(b)SEQ ID NO:75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、及び、85からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び、(c)SEQ ID NO:86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、及び、100からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される1つ、2つ、または、3つのHVRを含む。
一部の実施形態では、抗MS4A4A抗体を提供しており、当該抗体は、前出のいずれかの実施形態でのVH、及び、前出のいずれかの実施形態でのVLを含む。一部の実施形態では、本明細書では抗MS4A4A抗体を提供しており、当該抗体は、前出のいずれかの実施形態でのVH、及び、前出のいずれかの実施形態でのVLを含む。ある実施形態では、当該抗体は、その配列の翻訳後修飾と共に、SEQ ID NO:101〜120、及び、SEQ ID NO:121〜139である、VH、及び、VL配列をそれぞれ含む。
一部の実施形態では、本明細書では、重鎖可変ドメイン(VH)、及び、軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗MS4A4A抗体を提供しており、当該VH、及び、VLは、SEQ ID NO:101のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:121のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:102のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:122のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:103のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:123のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:104のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:124のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:105のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:125のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:106のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:126のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:107のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:127のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:108のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:128のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:109のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:129のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:110のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:130のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:111のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:131のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:112のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:132のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:113のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:128のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:114のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:133のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:115のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:134のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:116のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:135のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:117のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:136のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:118のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:137のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:119のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:138のアミノ酸配列を含むVL;及び、SEQ ID NO:120のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:139のアミノ酸配列を含むVLからなる群から選択される。
一部の実施形態では、本開示は、抗MS4A4A抗体を提供しており、当該抗体は、重鎖可変ドメインと、軽鎖可変ドメインとを含み、当該重鎖可変ドメインは、SEQ ID NO:115のアミノ酸配列を含み、かつ、当該軽鎖可変ドメインは、SEQ ID NO:134のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、本開示は、抗MS4A4A抗体を提供しており、当該抗体は、重鎖可変ドメインと、軽鎖可変ドメインとを含み、当該重鎖可変ドメインは、SEQ ID NO:118のアミノ酸配列を含み、かつ、当該軽鎖可変ドメインは、SEQ ID NO:137のアミノ酸配列を含む。
別の態様では、抗MS4A4A抗体は、SEQ ID NO:225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、及び、239からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または、少なくとも100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。特定の実施形態では、SEQ ID NO:225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、及び、239からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または、少なくとも99%の同一性を有するVH配列は、リファレンス配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または、欠失を含むが、その配列を含む抗MS4A4A抗体は、MS4A4Aに対して結合する能力を保持している。特定の実施形態では、SEQ ID NO:225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、または、239において、合計で1〜10個のアミノ酸を、置換、挿入、及び/または、欠失する。特定の実施形態では、SEQ ID NO:225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、または、239において、合計で1〜5個のアミノ酸を、置換、挿入、及び/または、欠失する。特定の実施形態では、置換、挿入、または、欠失が、HVRの外側の領域(すなわち、FR)で発生する。任意に、当該抗MS4A4A抗体は、SEQ ID NO:225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、または、239のVH配列を、その配列の翻訳後修飾と共に含む。特定の実施形態では、VHは、(a)SEQ ID NO:142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、及び、153からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)SEQ ID NO:154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、及び、167からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び、(c)SEQ ID NO:168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、及び、182からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される1つ、2つ、または、3つのHVRを含む。
別の態様では、抗MS4A4A抗体を提供しており、当該抗体は、SEQ ID NO:240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、及び、254からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または、少なくとも100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含む。特定の実施形態では、SEQ ID NO:240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、及び、254からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または、少なくとも99%の同一性を有するVL配列は、リファレンス配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または、欠失を含むが、その配列を含む抗MS4A4A抗体は、MS4A4Aに対して結合する能力を保持している。一部の実施形態では、SEQ ID NO:240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、または、254において、合計で1〜10個のアミノ酸を、置換、挿入、及び/または、欠失する。特定の実施形態では、SEQ ID NO:240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、または、254において、合計で1〜5個のアミノ酸を、置換、挿入、及び/または、欠失する。特定の実施形態では、置換、挿入、または、欠失が、HVRの外側の領域(すなわち、FR)で発生する。任意に、当該抗MS4A4A抗体は、SEQ ID NO:240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、または、254のVL配列を、その配列の翻訳後修飾と共に含む。特定の実施形態では、VLは、(a)SEQ ID NO:183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、及び、196からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L1、(b)SEQ ID NO:81、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、及び、209からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び、(c)SEQ ID NO:210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、及び、224からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される1つ、2つ、または、3つのHVRを含む。
一部の実施形態では、抗MS4A4A抗体を提供しており、当該抗体は、前出のいずれかの実施形態でのVH、及び、前出のいずれかの実施形態でのVLを含む。一部の実施形態では、本明細書では抗MS4A4A抗体を提供しており、当該抗体は、前出のいずれかの実施形態でのVH、及び、前出のいずれかの実施形態でのVLを含む。ある実施形態では、当該抗体は、その配列の翻訳後修飾と共に、SEQ ID NO:225〜239、及び、SEQ ID NO:240〜254である、VH、及び、VL配列をそれぞれ含む。
一部の実施形態では、本明細書では、重鎖可変ドメイン(VH)、及び、軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗MS4A4A抗体を提供しており、当該VH、及び、VLは、SEQ ID NO:225のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:240のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:226のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:241のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:227のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:242のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:228のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:243のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:229のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:244のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:230のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:245のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:231のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:246のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:232のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:247のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:233のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:248のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:234のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:249のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:235のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:250のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:236のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:251のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:237のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:252のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:238のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:253のアミノ酸配列を含むVL;及び、SEQ ID NO:239のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:254のアミノ酸配列を含むVLからなる群から選択される。
一部の実施形態では、本開示は、抗MS4A4A抗体を提供しており、当該抗体は、重鎖可変ドメインと、軽鎖可変ドメインとを含み、当該重鎖可変ドメインは、SEQ ID NO:226のアミノ酸配列を含み、かつ、当該軽鎖可変ドメインは、SEQ ID NO:241のアミノ酸配列を含む。
別の態様では、抗MS4A4A抗体は、SEQ ID NO:340、341、342、343、344、及び、345からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または、少なくとも100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。特定の実施形態では、SEQ ID NO:340、341、342、343、344、及び、345からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または、少なくとも99%の同一性を有するVH配列は、リファレンス配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または、欠失を含むが、その配列を含む抗MS4A4A抗体は、MS4A4Aに対して結合する能力を保持している。特定の実施形態では、SEQ ID NO:340、341、342、343、344、及び、345において、合計で1〜10個のアミノ酸を、置換、挿入、及び/または、欠失する。特定の実施形態では、SEQ ID NO:340、341、342、343、344、及び、345において、合計で1〜5個のアミノ酸を、置換、挿入、及び/または、欠失する。特定の実施形態では、置換、挿入、または、欠失が、HVRの外側の領域(すなわち、FR)で発生する。任意に、当該抗MS4A4A抗体は、SEQ ID NO:340、341、342、343、344、及び、345のVH配列を、その配列の翻訳後修飾と共に含む。特定の実施形態では、VHは、(a)SEQ ID NO:304、305、306、307、308、及び、309からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)SEQ ID NO:310、311、312、313、314、及び、315からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び、(c)SEQ ID NO:316、317、318、319、320、及び、321からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される1つ、2つ、または、3つのHVRを含む。
別の態様では、抗MS4A4A抗体を提供しており、当該抗体は、SEQ ID NO:346、347、348、349、350、及び、351からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または、少なくとも100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含む。特定の実施形態では、SEQ ID NO:346、347、348、349、350、及び、351からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または、少なくとも99%の同一性を有するVL配列は、リファレンス配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または、欠失を含むが、その配列を含む抗MS4A4A抗体は、MS4A4Aに対して結合する能力を保持している。一部の実施形態では、SEQ ID NO:346、347、348、349、350、または、351において、合計で1〜10個のアミノ酸を、置換、挿入、及び/または、欠失する。特定の実施形態では、SEQ ID NO:346、347、348、349、350、または、351において、合計で1〜5個のアミノ酸を、置換、挿入、及び/または、欠失する。特定の実施形態では、置換、挿入、または、欠失が、HVRの外側の領域(すなわち、FR)で発生する。任意に、当該抗MS4A4A抗体は、SEQ ID NO:346、347、348、349、350、または、351のVL配列を、その配列の翻訳後修飾と共に含む。特定の実施形態では、VLは、(a)SEQ ID NO:322、323、324、325、326、及び、327からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L1、(b)SEQ ID NO:334、335、336、337、338、及び、339からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び、(c)SEQ ID NO:334、335、336、337、338、及び、339からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される1つ、2つ、または、3つのHVRを含む。
一部の実施形態では、抗MS4A4A抗体を提供しており、当該抗体は、前出のいずれかの実施形態でのVH、及び、前出のいずれかの実施形態でのVLを含む。一部の実施形態では、本明細書では抗MS4A4A抗体を提供しており、当該抗体は、前出のいずれかの実施形態でのVH、及び、前出のいずれかの実施形態でのVLを含む。ある実施形態では、当該抗体は、その配列の翻訳後修飾と共に、SEQ ID NO:340〜345、及び、SEQ ID NO:346〜351である、VH、及び、VL配列をそれぞれ含む。
一部の実施形態では、本明細書では、重鎖可変ドメイン(VH)、及び、軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗MS4A4A抗体を提供しており、当該VH、及び、VLは、SEQ ID NO:340のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:346のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:341のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:347のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:342のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:348のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:343のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:349のアミノ酸配列を含むVL;SEQ ID NO:344のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:350のアミノ酸配列を含むVL;及び、SEQ ID NO:345のアミノ酸配列を含むVH、及び、SEQ ID NO:351のアミノ酸配列を含むVLからなる群から選択される。
一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、4A−2、4A−3、4A−4、4A−5、4A−6、4A−7、4A−8、4A−9、4A−10、4A−11、4A−12、4A−13、4A−14、4A−15、4A−16、4A−17、4A−18、4A−19、4A−20、4A−21、4A−23、4A−24、4A−201、4A−202、4A−203、4A−204、4A−205、4A−206、4A−207、4A−208、4A−209、4A−210、4A−213、4A−214、4A−216、4A−217、4A−219、4A−25、4A−26、4A−239、4A−225、及び、4A−220から選択される少なくとも1つのリファレンス抗体の結合を競合的に阻害する。
一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、4A−2、4A−3、4A−4、4A−5、4A−6、4A−7、4A−8、4A−9、4A−10、4A−11、4A−12、4A−13、4A−14、4A−15、4A−16、4A−17、4A−18、4A−19、4A−20、4A−21、4A−23、4A−24、4A−201、4A−202、4A−203、4A−204、4A−205、4A−206、4A−207、4A−208、4A−209、4A−210、4A−213、4A−214、4A−216、4A−217、4A−219、4A−25、4A−26、4A−239、4A−225、及び、4A−220、及び、それらのあらゆる組み合わせから選択される1つ以上のリファレンス抗体のMS4A4Aに対する結合を、当該抗MS4A4A抗体の非存在下でのMS4A4Aに対する結合と比較して、約50%〜100%の範囲の量で低減する場合に、MS4A4Aに対する結合について、4A−2、4A−3、4A−4、4A−5、4A−6、4A−7、4A−8、4A−9、4A−10、4A−11、4A−12、4A−13、4A−14、4A−15、4A−16、4A−17、4A−18、4A−19、4A−20、4A−21、4A−23、4A−24、4A−201、4A−202、4A−203、4A−204、4A−205、4A−206、4A−207、4A−208、4A−209、4A−210、4A−213、4A−214、4A−216、4A−217、4A−219、4A−25、4A−26、4A−239、4A−225、及び、4A−220、及び、それらのあらゆる組み合わせから選択される1つ以上のリファレンス抗体と競合する。
一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、4A−2、4A−3、4A−4、4A−5、4A−6、4A−7、4A−8、4A−9、4A−10、4A−11、4A−12、4A−13、4A−14、4A−15、4A−16、4A−17、4A−18、4A−19、4A−20、4A−21、4A−23、4A−24、4A−201、4A−202、4A−203、4A−204、4A−205、4A−206、4A−207、4A−208、4A−209、4A−210、4A−213、4A−214、4A−216、4A−217、4A−219、4A−25、4A−26、4A−239、4A−225、及び、4A−220、及び、それらのあらゆる組み合わせから選択される1つ以上のリファレンス抗体のMS4A4Aに対する結合を、当該抗MS4A4A抗体の非存在下でのMS4A4Aに対する結合と比較して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または、100%低減する場合に、MS4A4Aに対する結合について、4A−2、4A−3、4A−4、4A−5、4A−6、4A−7、4A−8、4A−9、4A−10、4A−11、4A−12、4A−13、4A−14、4A−15、4A−16、4A−17、4A−18、4A−19、4A−20、4A−21、4A−23、4A−24、4A−201、4A−202、4A−203、4A−204、4A−205、4A−206、4A−207、4A−208、4A−209、4A−210、4A−213、4A−214、4A−216、4A−217、4A−219、4A−25、4A−26、4A−239、4A−225、及び、4A−220、及び、それらのあらゆる組み合わせから選択される1つ以上のリファレンス抗体と競合する。一部の実施形態では、4A−2、4A−3、4A−4、4A−5、4A−6、4A−7、4A−8、4A−9、4A−10、4A−11、4A−12、4A−13、4A−14、4A−15、4A−16、4A−17、4A−18、4A−19、4A−20、4A−21、4A−23、4A−24、4A−201、4A−202、4A−203、4A−204、4A−205、4A−206、4A−207、4A−208、4A−209、4A−210、4A−213、4A−214、4A−216、4A−217、4A−219、4A−25、4A−26、4A−239、4A−225、及び、4A−220、及び、それらのあらゆる組み合わせから選択される1つ以上のリファレンス抗体のMS4A4Aに対する結合を100%低減する本開示の抗MS4A4A抗体は、4A−2、4A−3、4A−4、4A−5、4A−6、4A−7、4A−8、4A−9、4A−10、4A−11、4A−12、4A−13、4A−14、4A−15、4A−16、4A−17、4A−18、4A−19、4A−20、4A−21、4A−23、4A−24、4A−201、4A−202、4A−203、4A−204、4A−205、4A−206、4A−207、4A−208、4A−209、4A−210、4A−213、4A−214、4A−216、4A−217、4A−219、4A−25、4A−26、4A−239、4A−225、及び、4A−220、及び、それらのあらゆる組み合わせから選択される1つ以上のリファレンス抗体のMS4A4Aに対する結合を本質的に完全にブロックすることを示す。一部の実施形態では、抗MS4A4A抗体と、4A−2、4A−3、4A−4、4A−5、4A−6、4A−7、4A−8、4A−9、4A−10、4A−11、4A−12、4A−13、4A−14、4A−15、4A−16、4A−17、4A−18、4A−19、4A−20、4A−21、4A−23、4A−24、4A−201、4A−202、4A−203、4A−204、4A−205、4A−206、4A−207、4A−208、4A−209、4A−210、4A−213、4A−214、4A−216、4A−217、4A−219、4A−25、4A−26、4A−239、4A−225、及び、4A−220、及び、それらのあらゆる組み合わせから選択される1つ以上の抗体とは、抗MS4A4A抗体と、4A−2、4A−3、4A−4、4A−5、4A−6、4A−7、4A−8、4A−9、4A−10、4A−11、4A−12、4A−13、4A−14、4A−15、4A−16、4A−17、4A−18、4A−19、4A−20、4A−21、4A−23、4A−24、4A−201、4A−202、4A−203、4A−204、4A−205、4A−206、4A−207、4A−208、4A−209、4A−210、4A−213、4A−214、4A−216、4A−217、4A−219、4A−25、4A−26、4A−239、4A−225、及び、4A−220、及び、それらのあらゆる組み合わせから選択される1つ以上のリファレンス抗体との、10:1比率、9:1比率、8:1比率、7:1比率、6:1比率、5:1比率、4:1比率、3:1比率、2:1比率、1:1比率、0.75:1比率、0.5:1比率、0.25:1比率、0.1:1比率、0.075:1比率、0.050:1比率、0.025:1比率、0.01:1比率、0.0075:比率、0.0050:1比率、0.0025:1比率、0.001:比率、0.00075:1比率、0.00050:1比率、0.00025:1比率、0.0001:比率、1:10比率、1:9比率、1:8比率、1:7比率、1:6比率、1:5比率、1:4比率、1:3比率、1:2比率、1:0.75比率、1:0.5比率、1:0.25比率、1:0.1比率、1:0.075比率、1:0.050比率、1:0.025比率、1:0.01比率、1:0.0075比率、1:0.0050比率、1:0.0025比率、1:0.001比率、1:0.00075比率、1:0.00050比率、1:0.00025比率、または、1:0.0001比率に対応する量で存在する。一部の実施形態では、当該抗MS4A4A抗体は、4A−2、4A−3、4A−4、4A−5、4A−6、4A−7、4A−8、4A−9、4A−10、4A−11、4A−12、4A−13、4A−14、4A−15、4A−16、4A−17、4A−18、4A−19、4A−20、4A−21、4A−23、4A−24、4A−201、4A−202、4A−203、4A−204、4A−205、4A−206、4A−207、4A−208、4A−209、4A−210、4A−213、4A−214、4A−216、4A−217、4A−219、4A−25、4A−26、4A−239、4A−225、及び、4A−220、及び、それらのあらゆる組み合わせから選択される1つ以上の抗体の量と比較して、約1.5倍〜100倍、または、100倍超の範囲の量で過剰に存在している。一部の実施形態では、当該抗MS4A4A抗体は、4A−2、4A−3、4A−4、4A−5、4A−6、4A−7、4A−8、4A−9、4A−10、4A−11、4A−12、4A−13、4A−14、4A−15、4A−16、4A−17、4A−18、4A−19、4A−20、4A−21、4A−23、4A−24、4A−201、4A−202、4A−203、4A−204、4A−205、4A−206、4A−207、4A−208、4A−209、4A−210、4A−213、4A−214、4A−216、4A−217、4A−219、4A−25、4A−26、4A−239、4A−225、及び、4A−220、及び、それらのあらゆる組み合わせから選択される1つ以上のリファレンス抗体の量と比較して、約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、55倍、60倍、65倍、70倍、75倍、80倍、85倍、90倍、95倍、または、100倍超の範囲の量で存在する。
一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、4A−2、4A−3、4A−4、4A−5、4A−6、4A−7、4A−8、4A−9、4A−10、4A−11、4A−12、4A−13、4A−14、4A−15、4A−16、4A−17、4A−18、4A−19、4A−20、4A−21、4A−23、4A−24、4A−201、4A−202、4A−203、4A−204、4A−205、4A−206、4A−207、4A−208、4A−209、4A−210、4A−213、4A−214、4A−216、4A−217、4A−219、4A−25、4A−26、4A−239、4A−225、及び、4A−220から選択される少なくとも1つのリファレンス抗体が結合するMS4A4Aエピトープと同じ、または、重複するヒトMS4A4Aのエピトープに対して結合する。
一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、4A−2、4A−3、4A−4、4A−5、4A−6、4A−7、4A−8、4A−9、4A−10、4A−11、4A−12、4A−13、4A−14、4A−15、4A−16、4A−17、4A−18、4A−19、4A−20、4A−21、4A−23、4A−24、4A−201、4A−202、4A−203、4A−204、4A−205、4A−206、4A−207、4A−208、4A−209、4A−210、4A−213、4A−214、4A−216、4A−217、4A−219、4A−25、4A−26、4A−239、4A−225、及び、4A−220から選択される少なくとも1つのリファレンス抗体が結合するMS4A4Aエピトープと本質的に同じMS4A4Aエピトープに対して結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための例示的な方法の詳細は、Morris(1996)“Epitope Mapping Protocols,”in Methods in Molecular Biology vol.66(Humana Press,Totowa,NJ)に示されている。
一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、MS4A4Aに対する結合について、4A−1、4A−2、4A−3、4A−4、4A−6、4A−7、4A−8、4A−9、4A−10、4A−11、4A−14、4A−15、4A−16、4A−19、4A−20、4A−21、及び、4A−23、及び、それらのあらゆる組み合わせから選択される1つ以上のリファレンス抗体と競合する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、MS4A4Aに対する結合について、4A−5、4A−12、4A−13、4A−17、4A−18、4A−22、及び、4A−24、及び、それらのあらゆる組み合わせから選択される1つ以上のリファレンス抗体と競合する。
一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、MS4A4Aに対する結合について、4A−1、4A−2、4A−3、4A−4、4A−6、4A−7、4A−8、4A−9、4A−10、4A−11、4A−14、4A−15、4A−16、4A−19、4A−20、4A−21、及び、4A−23、及び、それらのあらゆる組み合わせから選択される少なくとも1つのリファレンス抗体の結合を競合的に阻害する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、MS4A4Aに対する結合について、4A−5、4A−12、4A−13、4A−17、4A−18、4A−22、及び、4A−24、及び、それらのあらゆる組み合わせから選択される少なくとも1つのリファレンス抗体の結合を競合的に阻害する。
一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、MS4A4Aに対する結合について、4A−1、4A−2、4A−3、4A−4、4A−6、4A−7、4A−8、4A−9、4A−10、4A−11、4A−14、4A−15、4A−16、4A−19、4A−20、4A−21、及び、4A−23、及び、それらのあらゆる組み合わせから選択される少なくとも1つのリファレンス抗体と同じ、または、重複するMS4A4Aのエピトープを有する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、MS4A4Aに対する結合について、4A−5、4A−12、4A−13、4A−17、4A−18、4A−22、及び、4A−24、及び、それらのあらゆる組み合わせから選択される少なくとも1つのリファレンス抗体と同じ、または、重複するMS4A4Aのエピトープを有する。
一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、ヒトMS4A4A(SEQ ID NO:1)のアミノ酸残基1〜64の中の1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、ヒトMS4A4A(SEQ ID NO:1)のアミノ酸残基65〜85の中の1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、ヒトMS4A4A(SEQ ID NO:1)のアミノ酸残基86〜98の中の1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、ヒトMS4A4Aのアミノ酸残基99〜119の中の1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4Aは、ヒトMS4A4Aのアミノ酸残基120〜137の中の1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4Aは、ヒトMS4A4Aのアミノ酸残基138〜158の中の1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4Aは、ヒトMS4A4Aのアミノ酸残基159〜179の中の1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4Aは、ヒトMS4A4Aのアミノ酸残基180〜200の中の1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4Aは、ヒトMS4A4Aのアミノ酸残基201〜239の中の1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、MS4A4Aの細胞外ドメイン1(ECL1)に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列CMASNTYGSNPIS(SEQ ID NO:289)内の1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、MS4A4Aの細胞外ドメイン2(ECL2)に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列SFHHPYCNYYGNSNNCHGTMS(SEQ ID NO:290)内の1つ以上のアミノ酸に対して結合する。
一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、SEQ ID NO:1のヒトMS4A4Aのアミノ酸残基155〜177を含むヒトMS4A4Aでの領域またはエピトープに対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、SEQ ID NO:1のヒトMS4A4Aのアミノ酸残基155〜177の中の1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、アミノ酸配列LAFYSFHHPYCNYYG(SEQ ID NO:296)を含むヒトMS4A4Aでの領域またはエピトープに対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、アミノ酸配列LAFYSFHHPYCNYYG(SEQ ID NO:296)内の1つ以上のアミノ酸残基に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、アミノ酸配列FYSFHHPYCNYYGNS(SEQ ID NO:297)を含むヒトMS4A4Aでの領域またはエピトープに対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、アミノ酸配列FYSFHHPYCNYYGNS(SEQ ID NO:297)内の1つ以上のアミノ酸残基に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、アミノ酸配列SFHHPYCNYYGNSNN(SEQ ID NO:298)を含むヒトMS4A4Aでの領域またはエピトープに対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、アミノ酸配列SFHHPYCNYYGNSNN(SEQ ID NO:298)内の1つ以上のアミノ酸残基に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、アミノ酸配列HHPYCNYYGNSNNCH(SEQ ID NO:299)を含むヒトMS4A4Aでの領域またはエピトープに対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、アミノ酸配列HHPYCNYYGNSNNCH(SEQ ID NO:299)内の1つ以上のアミノ酸残基に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、アミノ酸配列PYCNYYGNSNNCHGT(SEQ ID NO:300)を含むヒトMS4A4Aでの領域またはエピトープに対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、アミノ酸配列PYCNYYGNSNNCHGT(SEQ ID NO:300)内の1つ以上のアミノ酸残基に対して結合する。
BIAcore分析、ELISAアッセイ、または、フローサイトメトリーなどの当該技術分野で公知のあらゆる適切な競合アッセイ、または、MS4A4A結合アッセイを用いて、抗MS4A4A抗体が、MS4A4Aに対する結合について、4A−2、4A−3、4A−4、4A−5、4A−6、4A−7、4A−8、4A−9、4A−10、4A−11、4A−12、4A−13、4A−14、4A−15、4A−16、4A−17、4A−18、4A−19、4A−20、4A−21、4A−23、4A−24、4A−201、4A−202、4A−203、4A−204、4A−205、4A−206、4A−207、4A−208、4A−209、4A−210、4A−213、4A−214、4A−216、4A−217、4A−219、4A−25、4A−26、4A−239、4A−225、及び、4A−220、及び、それらのあらゆる組み合わせから選択される1つ以上のリファレンス抗体と競合する(または、結合を競合的に阻害する)か否かを決定し得る。例示的な競合アッセイでは、固定化したMS4A4A、または、細胞表面にMS4A4Aを発現する細胞を、MS4A4A(例えば、ヒト、または、非ヒト霊長類)に対して結合する第1の標識抗体、及び、MS4A4Aに対して結合する当該第1の抗体と競合する能力に関する試験に供する第2の非標識抗体を含む溶液でインキュベートする。当該第2の抗体は、ハイブリドーマ上清に存在し得る。コントロールとして、固定化したMS4A4A、または、MS4A4Aを発現する細胞を、第1の標識抗体を含むが、第2の非標識抗体を含まない溶液でインキュベートする。MS4A4Aに対する第1の抗体の結合を許容可能な条件下でインキュベートした後に、未結合の過剰な抗体を除去し、そして、固定化したMS4A4A、または、MS4A4Aを発現する細胞に関連する標識の量を測定する。固定化したMS4A4A、または、MS4A4Aを発現する細胞に関連する標識の量が、コントロール試料と比較して試験試料で大幅に減少しておれば、MS4A4Aに対する結合について、第2の抗体が、第1の抗体と競合していることを示す。Harlow and Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual ch.14(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY)を参照されたい。
本明細書では、(a)(i)SEQ ID NO:4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、及び、19からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H1;(ii)SEQ ID NO:20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、及び、37からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び、(iii)SEQ ID NO:38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、及び、55からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含むVHドメイン、及び、(b)(i)SEQ ID NO:56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、及び、74からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)SEQ ID NO:75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、及び、85からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(iii)SEQ ID NO:86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、及び、100からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3を含むVLドメインを含む抗MS4A4A抗体の結合を競合的に阻害する、及び/または、同抗体に対する結合と競合する抗MS4A4A抗体をさらに提供する。一部の実施形態では、当該抗体は、SEQ ID NO:101〜120、及び、SEQ ID NO:121〜139である、VH、及び、VL配列をそれぞれ含む。
本明細書では、(a)(i)SEQ ID NO:4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、及び、19からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H1;(ii)SEQ ID NO:20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、及び、37からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び、(iii)SEQ ID NO:38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、及び、55からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含むVHドメイン、及び、(b)(i)SEQ ID NO:56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、及び、74からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)SEQ ID NO:75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、及び、85からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(iii)SEQ ID NO:86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、及び、100からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3を含むVLドメインを含む抗MS4A4A抗体が結合したエピトープと同じ、または、重複するヒトMS4A4Aのエピトープに対して結合する抗MS4A4A抗体を提供する。一部の実施形態では、当該抗体は、SEQ ID NO:101〜120、及び、SEQ ID NO:121〜139である、VH、及び、VL配列をそれぞれ含む。一部の実施形態では、ヒトMS4A4Aのエピトープは、抗MS4A4A抗体が結合するエピトープと同じである。
本明細書では、(a)(i)SEQ ID NO:142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、及び、153からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H1;(ii)SEQ ID NO:154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、及び、167からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び、(iii)SEQ ID NO:168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、及び、182からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含むVHドメイン、及び、(b)(i)SEQ ID NO:183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、及び、196からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)SEQ ID NO:81、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、及び、209からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(iii)SEQ ID NO:210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、及び、224からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3を含むVLドメインを含む抗MS4A4A抗体の結合を競合的に阻害する、及び/または、同抗体に対する結合と競合する抗MS4A4A抗体をさらに提供する。一部の実施形態では、当該抗体は、SEQ ID NO:225〜239、及び、SEQ ID NO:240〜254である、VH、及び、VL配列をそれぞれ含む。
本明細書では、(a)(i)SEQ ID NO:142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、及び、153からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H1;(ii)SEQ ID NO:154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、及び、167からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び、(iii)SEQ ID NO:168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、及び、182からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含むVHドメイン、及び、(b)(i)SEQ ID NO:183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、及び、196からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)SEQ ID NO:81、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、及び、209からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(iii)SEQ ID NO:210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、及び、224からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3を含むVLドメインを含む抗MS4A4A抗体が結合したエピトープと同じ、または、重複するヒトMS4A4Aのエピトープに対して結合する抗MS4A4A抗体を提供する。一部の実施形態では、当該抗体は、SEQ ID NO:225〜239、及び、SEQ ID NO:240〜254である、VH、及び、VL配列をそれぞれ含む。一部の実施形態では、当該ヒトMS4A4Aのエピトープは、抗MS4A4A抗体が結合したエピトープと同じである。
本明細書では、(a)(i)SEQ ID NO:304、305、306、307、308、及び、309からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H1;(ii)SEQ ID NO:310、311、312、313、314、及び、315からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び、(iii)SEQ ID NO:316、317、318、319、320、及び、321からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含むVHドメイン、及び、(b)(i)SEQ ID NO:322、323、324、325、326、及び、327からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)SEQ ID NO:328、329、330、331、332、及び、333からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(iii)SEQ ID NO:334、335、336、337、338、及び、339からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3を含むVLドメインを含む抗MS4A4A抗体の結合を競合的に阻害する、及び/または、同抗体に対する結合と競合する抗MS4A4A抗体をさらに提供する。一部の実施形態では、当該抗体は、SEQ ID NO:340〜345、及び、SEQ ID NO:346〜351である、VH、及び、VL配列をそれぞれ含む。
本明細書では、(a)(i)SEQ ID NO:304、305、306、307、308、及び、309からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H1;(ii)SEQ ID NO:310、311、312、313、314、及び、315からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び、(iii)SEQ ID NO:316、317、318、319、320、及び、321からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含むVHドメイン、及び、(b)(i)SEQ ID NO:322、323、324、325、326、及び、327からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)SEQ ID NO:328、329、330、331、332、及び、333からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(iii)SEQ ID NO:334、335、336、337、338、及び、339からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3を含むVLドメインを含む抗MS4A4A抗体が結合したエピトープと同じ、または、重複するヒトMS4A4Aのエピトープに対して結合する抗MS4A4A抗体を提供する。一部の実施形態では、当該抗体は、SEQ ID NO:340〜345、及び、SEQ ID NO:346〜351である、VH、及び、VL配列をそれぞれ含む。一部の実施形態では、当該ヒトMS4A4Aのエピトープは、抗MS4A4A抗体が結合したエピトープと同じである。
一部の実施形態では、前出の実施形態のいずれかの抗MS4A4A抗体は、ヒト化及び/またはヒト抗体を含むモノクローナル抗体である。一部の実施形態では、当該抗MS4A4A抗体は、抗体フラグメント、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、または、F(ab’)2フラグメントである。一部の実施形態では、当該抗MS4A4A抗体は、実質的な全長抗体、例えば、本明細書で定義するIgG1抗体、IgG2a抗体、または、その他の抗体クラス、または、アイソタイプである。
一部の実施形態では、前出の実施形態のいずれかの抗MS4A4A抗体を、以下の第1〜7節に記載したように、あらゆる特徴を、単独で、または、組み合わせて取り込み得る。
(1)抗MS4A4A抗体結合親和性
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、当該抗体は、<1μM、<100nM、<10nM、<1nM、<0.1nM、<0.01nM、または、<0.001nM(例えば、10−8M以下、例えば、10−8M〜10−13M、例えば、10−9M〜10−13M)の解離定数(Kd)を有する。解離定数は、ELISA、表面プラズモン共鳴(SPR)、バイオレイヤー干渉法(例えば、ForteBioのOctet Systemを参照されたい)、等温滴定カロリメトリー(ITC)、示差走査熱量測定法(DSC)、円偏光二色性(CD)、ストップト−フロー分析、及び、比色分析、または、蛍光タンパク質融解分析などのあらゆる生化学的または生物物理学的技法など、あらゆる解析技法で決定することができる。ある実施形態では、Kdを、放射性標識抗原結合アッセイ(RIA)で測定する。一部の実施形態では、RIAを、例えば、Chen et al.J.Mol.Biol.293:865−881(1999))に記載された、目的の抗体のFabバージョン、または、その抗原を用いて実施する。一部の実施形態では、BIACORE表面プラズモン共鳴アッセイ、例えば、BIACORE−2000、または、BIACORE−3000(BIAcore,Inc.、Piscataway,NJ)を使用するアッセイを使って、約10反応単位(RU)の固定化した抗原CM5チップを用いて、25℃で、Kdの測定を行う。一部の実施形態では、当該KDを、一価抗体(例えば、Fab)、または、完全長抗体を使用して決定する。一部の実施形態では、当該KDを、一価形態の全長抗体を使用して決定する。
(2)抗体フラグメント
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、1つ以上の当該抗体は、抗体フラグメントである。抗体フラグメントとして、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)2、Fv、及び、scFvフラグメント、及び、後述するその他のフラグメントがあるが、これらに限定されない。特定の抗体フラグメントの概説については、Hudson et al.Nat.Med.9:129−134(2003)を参照されたい。scFvフラグメントの概説については、例えば、WO93/16185;及び、米国特許第5571894号、及び、同第5587458号を参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、かつ、インビボでの半減期が延びたFab、及び、F(ab’)2フラグメントの考察については、米国特許第5869046号を参照されたい。
ダイアボディは、2価、または、二重特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体フラグメントである。例えば、EP404097;WO1993/01161;Hudson et al.Nat.Med.9:129−134(2003)を参照されたい。トリアボディ、及び、テトラボディも、Hudson et al.Nat.Med.9:129−134(2003)に記載されている。単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全部または一部、または、軽鎖可変ドメインの全部または一部を含む抗体フラグメントである。特定の実施形態では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(例えば、米国特許第6248516号を参照されたい)。
抗体フラグメントは、本明細書に記載した通り、インタクトな抗体のタンパク質分解消化、ならびに、組換え宿主細胞(例えば、大腸菌(E.coli)、または、ファージ)による産生などであるが、これらに限定されない様々な技術で作製することができる。
(3)キメラ及びヒト化抗体
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、当該抗体は、キメラ抗体である。特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4816567号に記載されている。ある例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、または、サルなどの非ヒト霊長類に由来する可変領域)、及び、ヒト定常領域を含む。さらなる例では、キメラ抗体は、クラスまたはサブクラスを親抗体のものから変化させた「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合フラグメントを含む。
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、当該抗体は、ヒト化抗体である。一般的に、非ヒト抗体は、親の非ヒト抗体の特異性と親和性とを保持しながら、ヒトに対する免疫原性を低減するためにヒト化する。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、ヒトにおいて実質的に非免疫原性である。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、標的に対して、ヒト化抗体が由来する別の種に由来する抗体と実質的に同じ親和性を有する。例えば、米国特許第5530101号、同第5693761号;同第5693762号;及び、同第5585089号を参照されたい。特定の実施形態では、免疫原性を低下させながら、抗原結合ドメインの本来の親和性を低減せずに改変することができる抗体可変ドメインのアミノ酸を同定する。例えば、米国特許第5766886号、及び、同第5869619号を参照されたい。一般的に、ヒト化抗体は、HVR(またはその一部)が、非ヒト抗体に由来し、かつ、FR(またはその一部)が、ヒト抗体配列に由来する1つ以上の可変ドメインを含む。ヒト化抗体は、任意に、ヒト定常領域の少なくとも一部も含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体での一部のFR残基は、例えば、抗体の特異性または親和性を回復または改善するために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)に由来する対応する残基で置換する。
ヒト化抗体、及び、それらを作製する方法は、例えば、Almagro et al.Front.Biosci.13:1619−1633(2008)で概説されており、また、例えば、米国特許第5821337号、同第7527791号、同第6982321号、及び、同第7087409号に記載されている。ヒト化に使用し得るヒトフレームワーク領域として、「ベストフィット」法を使用して選択したフレームワーク領域(例えば、Sims et al.J.Immunol.151:2296(1993)を参照されたい);軽鎖または重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:4285(1992);及び、Presta et al,J.Immunol.151:2623(1993)を参照されたい);ヒトの成熟した(体細胞変異)フレームワーク領域、または、ヒトの生殖系列フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson Front.Biosci.13:1619−1633(2008)を参照されたい)、及び、FRライブラリーのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(例えば、Baca et al.J.Biol.Chem.272:10678−10684(1997)、及び、Rosok et al.J.Biol.Chem.271:22611−22618(1996)を参照されたい)があるが、これらに限定されない。
(4)ヒト抗体
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、当該抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当該技術分野で公知の様々な技術を使用して産生することができる。ヒト抗体は、一般的には、van Dijk et al.Curr.Opin.Pharmacol.5:368−74(2001)、及び、Lonberg Curr.Opin.Immunol.20:450−459(2008)で説明されている。
ヒト抗体は、抗原接種に応答して、ヒト可変領域を有する、インタクトなヒト抗体、または、インタクトな抗体を産生するように改変したトランスジェニック動物に対して免疫原を投与して調製することができる。そのようなマウスが、マウス抗体の非存在下でヒト抗体を産生するものとして予想して、ヒトIg遺伝子座の大きなフラグメントを有するマウス抗体産生を欠損しているマウス系統を遺伝子操作することができる。大きなヒトIgフラグメントは、大きな可変遺伝子の多様性、ならびに、抗体の産生と発現の適切な調節を続けることができる。抗体の多様化と選択、及び、ヒトタンパク質に対する免疫学的寛容の欠如のためのマウス機構を用いることで、これらのマウス系統において再現したヒト抗体レパートリーは、ヒト抗原などの目的の抗原に対する高親和性完全ヒト抗体を生み出すことができる。ハイブリドーマ技術を使用して、所望の特異性を有する抗原特異的ヒトMAb抗体を、産生及び選択することができる。特定の例示的な方法は、米国特許第5545807号、EP546073、及び、EP546073で説明されている。また、例えば、XENOMOUSE(商標)技術を記載している米国特許第6075181号、及び、同第6150584号;HUMAB(登録商標)技術を記載している米国特許第5770429号;K−M MOUSE(登録商標)技術を記載している米国特許番号7041870号、及び、VELOCIMOUSE(登録商標)技術を記載している米国特許出願公開第US2007/0061900号を参照されたい。そのような動物が生成したインタクトな抗体に由来するヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせて、さらに改変し得る。
また、ヒト抗体は、ハイブリドーマに基づいた方法によって作製することができる。ヒトモノクローナル抗体の産生のためのヒト骨髄腫、及び、マウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞株が記載されている。(例えば、Kozbor J.Immunol.133:3001(1984)、及び、Boerner et al.J.Immunol.147:86(1991))。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成したヒト抗体は、Li et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1 03:3557−3562(2006)に記載されている。さらなる方法として、例えば、(ハイブリドーマ細胞株由来のモノクローナルヒトIgM抗体の産生を説明している)米国特許第7189826号に記載されている方法がある。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)は、Vollmers et al.Histology and Histopathology 20(3):927−937(2005)、及び、Vollmers et al.Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology 27(3):185−91(2005)に記載されている。また、ヒト抗体は、ヒト由来のファージディスプレイライブラリーから選択したFvクローン可変ドメイン配列を単離することで生成し得る。次に、そのような可変ドメイン配列を、所望のヒト定常ドメインと組み合わせ得る。抗体ライブラリーからヒト抗体を選択するための技術を、以下に説明する。
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、当該抗体は、インビトロ法、及び/または、所望の1つ以上の活性を有する抗体に関するコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングして単離したヒト抗体である。適切な例として、ファージディスプレイ(CAT、Morphosys、Dyax、Biosite/Medarex、Xoma、Symphogen、Alexion(かつてのProliferon)、Affimed)リボソームディスプレイ(CAT)、酵母ディスプレイ(Adimab)などがあるが、これらに限定されない。特定のファージディスプレイ法では、VH、及び、VL遺伝子のレパートリーを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で別々にクローニングし、次いで、Winter et al.Ann.Rev.Immunol.12:433−455(1994)に記載されているファージライブラリーでランダムに再結合する。例えば、当該技術分野では、ファージディスプレイライブラリーを生成し、そして、所望の結合特性を保有する抗体に関する当該ライブラリーをスクリーニングするための様々な方法が公知である。Sidhu et al.J.Mol.Biol.338(2):299−310、2004;Lee et al,J.Mol.Biol.340(5):1073−1093,2004;Fellouse Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467−12472(2004);及び、Lee et al.J.Immunol.Methods 284(−2):119−132(2004)も参照されたい。一般的に、ファージは、一本鎖Fv(scFv)フラグメント、または、Fabフラグメントのいずれかで抗体フラグメントを表す。免疫源由来のライブラリーは、ハイブリドーマを構築する必要がなく、免疫原に対して高親和性の抗体を提供する。あるいは、未処理のレパートリーを、(例えば、ヒトから)クローニングして、Griffiths et al.EMBO J.12:725−734(1993)に記載されているようにして、免疫化処置をせずに、広範囲の非自己抗原、それに、自己抗原に対する単一の抗体源を提供することができる。最後に、ナイーブライブラリーは、幹細胞から再配置していないV遺伝子セグメントをクローニングし、そして、ランダム配列を含むPCRプライマーを使用して可変性に富んだHVR3領域をコードし、そして、Hoogenboom et al.J.Mol.Biol.,227:381−388、1992に記載されているようにして、インビトロでの再配置を達成した。ヒト抗体ファージライブラリーを記載している特許文献として、例えば:米国特許第5750373号、ならびに、米国特許公開第2007/0292936号、及び、同第2009/0002360号がある。ヒト抗体ライブラリーから単離した抗体は、本明細書では、ヒト抗体またはヒト抗体フラグメントと見なす。
(5)Fc領域を含む定常領域
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、当該抗体は、Fcを含む。一部の実施形態では、当該Fcは、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及び/または、IgG4アイソタイプである。一部の実施形態では、当該抗体は、IgGクラス、IgMクラス、または、IgAクラスの抗体である。
本明細書で提供するあらゆる抗体の特定の実施形態では、当該抗体は、IgG2アイソタイプを有する。一部の実施形態では、当該抗体は、ヒトIgG2定常領域を含む。一部の実施形態では、当該ヒトIgG2定常領域は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、当該抗体は、1つ以上のMS4A4A活性を誘導し、または、Fc受容体に対する結合とは無関係に誘導する。一部の実施形態では、当該抗体は、阻害性Fc受容体に対して結合する。特定の実施形態では、当該阻害性Fc受容体は、阻害性Fc−ガンマ受容体IIB(FcγIIB)である。
本明細書で提供するあらゆる抗体の特定の実施形態では、当該抗体は、IgG1アイソタイプを有する。一部の実施形態では、当該抗体は、マウスIgG1定常領域を含む。一部の実施形態では、当該抗体はヒトIgG1定常領域を含む。一部の実施形態では、当該ヒトIgG1定常領域は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、当該抗体は、阻害性Fc受容体に対して結合する。特定の実施形態では、当該阻害性Fc受容体は、阻害性Fc−ガンマ受容体IIB(FcγIIB)である。
本明細書で提供するあらゆる抗体の特定の実施形態では、当該抗体は、IgG4アイソタイプを有する。一部の実施形態では、当該抗体は、ヒトIgG4定常領域を含む。一部の実施形態では、当該ヒトIgG4定常領域は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、当該抗体は、阻害性Fc受容体に対して結合する。特定の実施形態では、当該阻害性Fc受容体は、阻害性Fc−ガンマ受容体IIB(FcγIIB)である。
本明細書で提供するあらゆる抗体の特定の実施形態では、当該抗体は、ハイブリッドIgG2/4アイソタイプを有する。一部の実施形態では、当該抗体は、EU付番法で定めたヒトIgG2のアミノ酸118〜260、及び、EU付番法で定めたヒトIgG4のアミノ酸261〜447を含む、アミノ酸配列を含む(WO1997/11971;WO2007/106585)。
一部の実施形態では、当該Fc領域は、アミノ酸置換を含まないFc領域を含む対応する抗体と比較して、補体を活性化せずに、クラスター形成を増大させる。一部の実施形態では、当該抗体は、当該抗体が特異的に結合する標的の1つ以上の活性を誘導する。一部の実施形態では、当該抗体は、MS4A4Aに対して結合する。
本開示の抗MS4A4A抗体を改変して、エフェクター機能を改変すること、及び/または、抗体の血清半減期を長くすることも望ましい場合もある。例えば、当該定常領域のFc受容体結合部位を改変または変異させて、FcγRI、FcγRII、及び/または、FcγRIIIなどの特定のFc受容体に対する結合親和性を除去または低減して、抗体依存性細胞性細胞毒性を低減し得る。一部の実施形態では、当該抗体の(例えば、IgGのCH2ドメインにおける)Fc領域のN−グリコシル化を除去すると、当該エフェクター機能は低下する。一部の実施形態では、WO99/58572、及び、Armour et al.Molecular Immunology 40:585−593(2003);Reddy et al.J.Immunology164:1925−1933(2000)に記載されているようなヒトIgGの233〜236、297、及び/または、327〜331などの領域を改変すると、当該エフェクター機能は低下する。その他の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体を改変して、抗体依存性細胞媒介細胞毒性及び抗体依存性細胞食作用などの体液性応答を活性化せずに隣接細胞上でのMS4A4A抗体のクラスター形成を増大させるためにITIM含有FcgRIIb(CD32b)に対する発見選択性を増大させるためのエフェクター機能を改変することも望ましい。
当該抗体の血清半減期を長くするために、例えば、米国特許第5739277号に記載されているようにして、サルベージ受容体結合エピトープを、当該抗体(特に、抗体フラグメント)に組み込み得る。本明細書で使用する用語「サルベージ受容体結合エピトープ」とは、インビボでのIgG分子の血清半減期の延長に関与するIgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、または、IgG4)のFc領域のエピトープのことを指す。その他のアミノ酸配列の改変。
(6)多重特異性抗体
多重特異性抗体とは、同じ、または、別のポリペプチド(例えば、本開示の1つ以上のMS4A4Aポリペプチド)のエピトープなど、少なくとも2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有する抗体のことである。一部の実施形態では、当該多重特異性抗体を、二重特異性抗体とすることができる。一部の実施形態では、当該多重特異性抗体を、三重特異性抗体とすることができる。一部の実施形態では、当該多重特異性抗体を、四重特異性抗体とすることができる。そのような抗体を、完全長抗体、または、抗体フラグメント(例えば、F(ab’)2二重特異性抗体)に由来する抗体とすることができる。一部の実施形態では、当該多重特異性抗体は、MS4A4Aでの第1の部位に対して結合する第1の抗原結合領域を含み、かつ、MS4A4Aでの第2の部位に対して結合する第2の抗原結合領域を含む。一部の実施形態では、当該多重特異性抗体は、MS4A4Aに対して結合する第1の抗原結合領域、及び、第2のポリペプチドに対して結合する第2の抗原結合領域を含む。
本明細書では、第1の抗原結合領域を含む多重特異性抗体を提供しており、当該第1の抗原結合領域は、MS4A4Aに対して結合する本明細書に記載の抗体の6つのHVR、及び、第2のポリペプチドに対して結合する第2の抗原結合領域を含む。一部の実施形態では、当該第1の抗原結合領域は、本明細書に記載している抗体のVHまたはVLを含む。
当該多重特異性抗体のいずれかの一部の実施形態では、当該第2のポリペプチドは、a)血液脳関門を通る輸送を促す抗原;(b)トランスフェリン受容体(TR)、インスリン受容体(HIR)、インスリン様成長因子受容体(IGFR)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1及び2(LPR−1及び2)、ジフテリア毒素受容体、CRM197、ラマシングルドメイン抗体、TMEM30(A)、タンパク質形質導入ドメイン、TAT、Syn−B、ペネトラチン、ポリアルギニンペプチド、angiopepペプチド、及び、ANG1005から選択される血液脳関門を通る輸送を促す抗原;(c)アミロイドベータ、オリゴマーアミロイドベータ、アミロイドベータプラーク、アミロイド前駆体タンパク質もしくはそのフラグメント、タウ、IAPP、アルファ−シヌクレイン、TDP−43、FUSタンパク質、C9orf72(第9染色体オープンリーディングフレーム72)、c9RANタンパク質、プリオンタンパク質、PrPSc、ハンチンチン、カルシトニン、スーパーオキシドジスムターゼ、アタキシン、アタキシン1、アタキシン2、アタキシン3、アタキシン7、アタキシン8、アタキシン10、レビー小体、心房性ナトリウム利尿因子、膵島アミロイドポリペプチド、インスリン、アポリポタンパク質AI、血清アミロイドA、メジン、プロラクチン、トランスサイレチン、リゾチーム、ベータ2ミクログロブリン、ゲルゾリン、ケラトエピセリン、シスタチン、免疫グロブリン軽鎖AL、S−IBMタンパク質、反復関連非ATG(RAN)翻訳産物、ジペプチド反復(DPR)ペプチド、グリシン−アラニン(GA)反復ペプチド、グリシン−プロリン(GP)反復ペプチド、グリシン−アルギニン(GR)反復ペプチド、プロリン−アラニン(PA)反復ペプチド、ユビキチン、及び、プロリン−アルギニン(PR)反復ペプチドから選択される疾患原因タンパク質;(d)免疫細胞上で発現するリガンド及び/もしくはタンパク質であって、当該リガンド及び/もしくはタンパク質が、CD40、OX40、ICOS、CD28、CD137/4−1BB、CD27、GITR、PD−L1、CTLA−4、PD−L2、PD−1、B7−H3、B7−H4、HVEM、BTLA、KIR、GAL9、TIM3、A2AR、LAG−3、及び、ホスファチジルセリンから選択される、当該リガンド及び/もしくはタンパク質;ならびに/または、(e)1つ以上の腫瘍細胞上で発現するタンパク質、脂質、多糖、もしくは糖脂質、及びそれらのあらゆる組み合わせである。
血液脳関門を通る輸送を促す多数の抗原は、当該技術分野で公知である(例えば、Gabathuler R.Neurobiol.Dis.37:48−57(2010))。そのような第2の抗原として、トランスフェリン受容体(TR)、インスリン受容体(HIR)、インスリン様成長因子受容体(IGFR)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1及び2(LPR−1及び2)、CRM197(ジフテリア毒素の非毒性変異体)などのジフテリア毒素、TMEM30(A)(Flippase)などのラマ単一ドメイン抗体、TAT、Syn−B、または、ペネトラチンなどのタンパク質形質導入ドメイン、ポリアルギニン、または、一般的に正電荷を有するペプチド、ANG1005などのAngiopepペプチド(例えば、Gabathuler、2010を参照されたい)、及び、血液脳関門内皮細胞上で濃縮を受けるその他の細胞表面タンパク質(例えば、Daneman et al.PLoS One 5(10):e13741(2010)を参照されたい)があるが、これらに限定されない。
当該多価抗体は、MS4A4A抗原、ならびに、さらなる抗原Aβペプチド、抗原またはα−シヌクレインタンパク質抗原、または、タウタンパク質抗原、または、TDP−43タンパク質抗原、または、プリオンタンパク質抗原、または、ハンチンチンタンパク質抗原、または、RAN、グリシン−アラニン(GA)、グリシン−プロリン(GP)、グリシン−アルギニン(GR)、プロリン−アラニン(PA)、または、プロリン−アルギニン(PR)、からなるジペプチド反復、(DPRペプチド)を含む翻訳産物抗原、インスリン受容体、インスリン様成長因子受容体などを認識し得るが、これらに限定されない。トランスフェリン受容体、または、抗体の移動を促すその他の抗原は、血液脳関門を通る。一部の実施形態では、当該第2のポリペプチドは、トランスフェリンである。一部の実施形態では、当該第2のポリペプチドは、タウである。一部の実施形態では、当該第2のポリペプチドは、Aβである。一部の実施形態では、当該第2のポリペプチドは、TREM2である。一部の実施形態では、当該第2のポリペプチドは、α−シヌクレインである。
当該多価抗体は、少なくとも1つのポリペプチド鎖(及び、好ましくは、2つのポリペプチド鎖)を含み、1つ以上の当該ポリペプチド鎖は、2つ以上の可変ドメインを含む。例えば、1つ以上のポリペプチド鎖は、VD1−(X1)n−VD2−(X2)n−Fcを含み得るものであり、VD1は、第1の可変ドメインであり、VD2は、第2の可変ドメインであり、Fcは、Fc領域の1つのポリペプチド鎖であり、X1及びX2は、アミノ酸またはポリペプチドを表し、そして、nは、0または1である。同様に、1つ以上のポリペプチド鎖は、VH−CH1可撓性リンカー−VH−CH1−Fc領域鎖;または、VH−CH1−VH−CH1−Fc領域鎖を含む。本明細書の多価抗体は、好ましくは、少なくとも2つ(及び、好ましくは4つ)の軽鎖可変ドメインポリペプチドをさらに含む。本明細書の多価抗体は、例えば、約2〜約8個の軽鎖可変ドメインポリペプチドを含み得る。本明細書で企図する軽鎖可変ドメインポリペプチドは、軽鎖可変ドメインを含み、また、任意に、CLドメインをさらに含む。
多重特異性抗体を作製するための技術として、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖ペアの組換え共発現があるが、これらに限定されない(Milstein and Cuello Nature 305:537(1983)、WO93/08829、及び、Traunecker et al.EMBO J.10:3655(1991))、及び、「ノブ−イン−ホール」遺伝子操作(例えば、米国特許第5731168号を参照されたい)を参照されたい)。また、WO2013/026833(CrossMab)も参照されたい。また、多特異性抗体は、抗体Fc−ヘテロ二量体分子を作製する静電ステアリング効果を操作して(WO2009/089004A1);2つ以上の抗体を架橋して(例えば、米国特許第4676980号を参照されたい);ロイシンを使用して;二重特異性抗体フラグメントを作製する「ダイアボディ」技術を使用して(例えば、Hollinger et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448(1993)を参照されたい);そして、一本鎖Fv(scFv)二量体を使用して(例えば、Gruber et al,J.Immunol.152:5368(1994)を参照されたい);及び、例えば、Tutt et al.J.Immunol.147:60(1991)に記載されているようにして三重特異性抗体を調製して、作製し得る。
本明細書は、「オクトパス抗体」などの3つ以上の機能的な抗原結合部位を有する遺伝子操作した抗体も含む(例えば、US2006/0025576を参照されたい)。また、本明細書の抗体は、複数のMS4A4Aに対して結合する抗原結合部位を含む「二重作用FAb」または「DAF」を含む(例えば、US2008/0069820を参照されたい)。
(7)抗体バリアント
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、当該抗体のアミノ酸配列バリアントを企図している。例えば、抗体の結合親和性、及び/または、その他の生物学的特性を改善することが望ましい。
(i)置換、挿入、及び、欠失バリアント
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換を有する抗体バリアントを提供する。抗体のアミノ酸配列バリアントは、抗体をコードするヌクレオチド配列に適切な改変を導入すること、または、ペプチド合成により調製し得る。そのような改変として、例えば、当該抗体のアミノ酸配列での残基の欠失、及び/または、挿入、及び/または、残基の置換がある。
当該抗体の生物特性の実質的な改変は、(a)置換領域内のポリペプチド主鎖の構造、例えば、シートまたはヘリックス構造、(b)標的部位における分子の電荷または疎水性、または、(c)側鎖の嵩を維持することに対する作用が著しく異なる置換を選択することで達成される。天然に存在する残基は、共通する側鎖特性に基づいて、
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響する残基:Gly、Pro;及び
(6)芳香族性:Trp、Tyr、Phe
に分けられる。
例えば、非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを、別のクラスのものと交換することに関係する。そのような置換した残基は、例えば、非ヒト抗体と相同であるヒト抗体の領域、または、当該分子の非相同領域に導入することができる。
本明細書に記載のポリペプチドまたは抗体に変化させる場合、特定の実施形態では、アミノ酸の疎水性指標を考慮することができる。それぞれのアミノ酸には、その疎水性と電荷特性に基づいて、疎水性指標を割り当てている。それらは、イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/システイン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸塩(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸塩(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);及び、アルギニン(−4.5)である。
タンパク質に対して相互作用的な生物学的機能を付与する際の疎水性アミノ酸指標の重要性は、当該技術分野で理解されている。Kyte et al.J.Mol.Biol.,157:105−131(1982)。特定のアミノ酸では、類似の疎水性指標、または、スコアを有するその他のアミノ酸の代わりに使用することができ、かつ、なおも類似の生物活性を保持することができる、ことは公知である。疎水性指標に基づいて変化させる場合、特定の実施形態では、疎水性指標が±2以内であるアミノ酸の置換を含む。特定の実施形態では、±1以内の事例を含み、そして、特定の実施形態では、±0.5以内の事例を含む。
また、類似のアミノ酸の置換を、親水性に基づいて効果的に行うことができ、特に、そうして生成した生物学的機能性タンパク質またはペプチドは、本事例のように免疫学的実施形態での使用を意図している、ことも理解されたい。特定の実施形態では、隣接するアミノ酸の親水性が支配するタンパク質の最大の局所平均親水性は、その免疫原性、及び、抗原性、すなわち、タンパク質の生物学的特性と相関する。
これらのアミノ酸残基には、アルギニン(+3.0);リジン(+3.0±1);アスパラギン酸塩(+3.0±1);グルタミン酸塩(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5)、及び、トリプトファン(−3.4)の親水性値を割り当てている。類似の親水性値に基づいて変化させる場合、特定の実施形態では、親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換を含み、特定の実施形態では、±1以内のアミノ酸の置換を含み、特定の実施形態では、±0.5以内のアミノ酸の置換を含む。親水性に基づいて、一次アミノ酸配列からエピトープを同定することもできる。これらの領域を、「エピトープコア領域」とも称する。
特定の実施形態において、置換、挿入、または、欠失は、そのような変更が、抗体が抗原に対して結合する能力を実質的に低下させない限り、1つ以上のHVRで起こり得る。例えば、結合親和性を実質的に低下させない保存的変更(例えば、本明細書で提供する保存的置換)は、HVRで行い得る。そのような変更は、例えば、HVRの抗原接触残基の外側で行い得る。前出のバリアントVH及びVL配列の特定の実施形態では、それぞれのHVRは変更されておらず、または、1つ以下、2つ以下、または、3つ以下のアミノ酸置換を含む。
アミノ酸配列挿入として、1残基から100以上の残基を含むポリペプチドまでの長さの範囲のアミノ末端及び/またはカルボキシル末端での融合、ならびに、1つ以上のアミノ酸残基の配列内挿入がある。末端挿入の例として、N末端メチオニル残基を有する抗体がある。抗体分子のその他の挿入バリアントとして、(例えば、ADEPTのための)酵素に対する抗体のN−またはC−末端、または、当該抗体の血清半減期を長くするポリペプチドへの融合がある。
抗体の適切な立体構造の維持に関与しないいずれのシステイン残基も、一般的に、セリンで置換することができ、分子の酸化安定性を改善し、そして、異常な架橋を阻止することができる。逆に、システイン結合を抗体に付加すると、その安定性を改善することができる(特に、当該抗体が、Fvフラグメントなどの抗体フラグメントである場合)。
(ii)グリコシル化バリアント
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、当該抗体を変更して、当該抗体がグリコシル化する程度を増大または減少させる。抗体に対するグリコシル化部位の追加または欠失は、1つ以上のグリコシル化部位を、生成または除去するように当該アミノ酸配列を変更することで好都合に達成し得る。
抗体のグリコシル化は、一般的に、N結合またはO結合のいずれかである。N−結合とは、アスパラギン残基の側鎖に対する炭水化物部分の付着のことを指す。トリペプチド配列であるアスパラギン−X−セリン、及び、アスパラギン−X−スレオニンがあり、式中、Xは、プロリン以外のあらゆるアミノ酸であり、これらの配列は、アスパラギン側鎖に対する炭水化物部分の酵素的付着の認識配列である。したがって、ポリペプチドにおけるこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在は、潜在的なグリコシル化部位を作り出す。O結合型グリコシル化とは、糖類N−アセチルガラクトサミン、ガラクトース、または、キシロースの1つが、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的には、セリン、または、スレオニンに対して付着することを指すが、5−ヒドロキシプロリン、または、5−ヒドロキシリジンも使用し得る。
抗体に対するグリコシル化部位の付加は、(N−結合グリコシル化部位に関する)上記のトリペプチド配列のうちの1つ以上を含むようにアミノ酸配列を変更することで、好都合に達成する。また、当該変更は、(O−結合型グリコシル化部位に関しては)当初の抗体の配列に対して、1つ以上のセリン、または、スレオニン残基を追加または置換しても達成し得る。
当該抗体が、Fc領域を含む場合、そこに付着した炭水化物を変更し得る。哺乳動物細胞が生成するネイティブ抗体は、一般的に、Fc領域のCH2ドメインのKabat付番法でのAsn297に対するN結合で一般的に付着している分岐した二分岐オリゴ糖を含む。このオリゴ糖は、様々な炭水化物、例えば、マンノース、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及び、シアル酸、ならびに、二分岐オリゴ糖構造の「ステム」においてGlcNAcに付着したフコースを含み得る。一部の実施形態では、本発明の抗体でのオリゴ糖の修飾を、特定の改善した特性を有する抗体バリアントを作り出すために行い得る。
ある実施形態では、Fc領域に(直接的に、または、間接的に)付着したフコースを欠いた炭水化物構造を有する抗体バリアントを提供する。例えば、米国特許公開第2003/0157108号、及び、同第2004/0093621号を参照されたい。「脱フコシル化」または「フチコース欠損」抗体バリアントに関連する刊行物の例として、US2003/0157108;US2003/0115614;US2002/0164328;US2004/0093621;US2004/0132140;US2004/0110704;US2004/0110282;US2004/0109865;Okazaki et al,J.Mol.Biol.336:1239−1249(2004);Yamane−Ohnuki et al,Biotech.Bioeng.87:614(2004)がある。脱フコシル化抗体を産生することができる細胞株の例として、タンパク質フコシル化を欠損したLed 3 CHO細胞がある(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533−545(1986);US2003/0157108)、及び、アルファ−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞などのノックアウト細胞株(例えば、Yamane−Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)、及び、Kanda et al,Biotechnol.Bioeng.94(4):680−688(2006)を参照されたい)がある。
(iii)改変した定常領域
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、当該抗体Fcとは、抗体Fcアイソタイプ、及び/または、改変である。一部の実施形態では、当該抗体Fcアイソタイプ、及び/または、改変は、Fcガンマ受容体に対して結合することができる。
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、当該改変した抗体Fcは、IgG1改変Fcである。一部の実施形態では、当該IgG1改変Fcは、1つ以上の改変を含む。例えば、一部の実施形態では、当該IgG1改変Fcは、(例えば、同じアイソタイプの野生型Fc領域に関連して)1つ以上のアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、1つ以上の当該アミノ酸置換は、そのアミノ酸位置をEU付番法で定めている、N297A(Bolt S et al.(1993)Eur J Immunol23:403−411)、D265A(Shields et al.(2001)R.J.Biol.Chem.276,6591−6604)、L234A、L235A(Hutchins et al.(1995)Proc Natl Acad Sci USA,92:11980−11984;Alegreet al,(1994)Transplantation 57:1537−1543.31;Xu et al,(2000)Cell Immunol,200:16−26)、G237A(Alegre et al.(1994)Transplantation 57:1537−1543.31;Xu et al.(2000)Cell Immunol,200:16−26)、C226S、C229S、E233P、L234V、L234F、L235E(McEarchern et al,(2007)Blood,109:1185−1192)、P331S(Sazinsky et al,(2008)Proc Natl Acad Sci USA2008,105:20167−20172)、S267E、L328F、A330L、M252Y、S254T、及び/または、T256Eから選択される。
あらゆるIgG1改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのN297A変異を含む。あらゆるIgG1改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU番号法でのD265A、及び、N297A変異を含む。あらゆるIgG1改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのD270A変異を含む。一部の実施形態では、IgG1改変Fcは、EU付番法でのL234A、及び、L235A変異を含む。あらゆるIgG1改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのL234A、及び、G237A変異を含む。あらゆるIgG1改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのL234A、L235A、及び、G237A変異を含む。あらゆるIgG1改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのP238D、L328E、E233、G237D、H268D、P271G、及び、A330R変異の(すべてを含む)1つ以上を含む。あらゆるIgG1改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での1つ以上のS267E/L328F変異を含む。あらゆるIgG1改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのP238D、L328E、E233D、G237D、H268D、P271G、及び、A330R変異を含む。あらゆるIgG1改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのP238D、L328E、G237D、H268D、P271G、及び、A330R変異を含む。あらゆるIgG1改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのP238D、S267E、L328E、E233D、G237D、H268D、P271G、及び、A330R変異を含む。あらゆるIgG1改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのP238D、S267E、L328E、G237D、H268D、P271G、及び、A330R変異を含む。一部では IgG1改変Fcのいずれかの実施形態、Fcは、EU付番法によるC226S、C229S、E233P、L234V、及び、L235A変異を含む。あらゆるIgG1改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのL234F、L235E、及び、P331S変異を含む。あらゆるIgG1改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのS267E、及び、L328F変異を含む。あらゆるIgG1改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのS267E変異を含む。あらゆるIgG1改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、IgG1の定常重鎖1(CH1)及びヒンジ領域を、CH1で置換すること、及び、IgG2のヒンジ領域(EU付番法によるIgG2のアミノ酸118〜230)を、カッパ軽鎖で置換することを含む。
あらゆるIgG1改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、2つ以上のアミノ酸置換を含まないFc領域を有する対応する抗体と比較して、補体を活性化せずに、抗体クラスター形成を増大させる2つ以上のアミノ酸置換を含む。したがって、あらゆるIgG1改変Fcの一部の実施形態では、当該IgG1改変Fcは、Fc領域を含む抗体であり、当該抗体は、位置E430Gでのアミノ酸置換、及び、EU付番法でのL234F、L235A、L235E、S267E、K322A、L328F、A330S、P331S、及び、それらのあらゆる組み合わせから選択される残基位置でのFc領域における1つ以上のアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、当該IgG1改変Fcは、EU付番法での位置E430G、L243A、L235A、及び、P331Sにアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、当該IgG1改変Fcは、EU付番法での位置E430G、及び、P331Sにアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、当該IgG1改変Fcは、EU付番法での位置E430G、及び、K322Aにアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、当該IgG1改変Fcは、EU付番法での位置E430G、A330S、及び、P331Sにアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、当該IgG1改変Fcは、EU付番法での位置E430G、K322A、A330S、及び、P331Sにアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、当該IgG1改変Fcは、EU付番法での位置E430G、K322A、及び、A330Sにアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、当該IgG1改変Fcは、EU付番法での位置E430G、K322A、及び、P331Sにアミノ酸置換を含む。
あらゆるIgG1改変Fcの一部の実施形態では、本明細書では、当該IgG1改変Fcをさらに含み、かつ、補体の活性化を回避するために、EU付番規定でのA330L変異(Lazar et al.Proc Natl Acad Sci USA,103:4005−4010(2006))、または、L234F、L235E、及び/または、P331S変異のうちの1つ以上(Sazinsky et al.Proc Natl Acad Sci USA,105:20167−20172(2008))と組み合わせ得る。あらゆるIgG1改変Fcの一部の実施形態では、当該IgG1改変Fcは、EU付番法でのA330L、A330S、L234F、L235E、及び/または、P331Sのうちの1つ以上をさらに含み得る。あらゆるIgG1改変Fcの一部の実施形態では、当該IgG1改変Fcは、ヒト血清での抗体半減期を長くする1つ以上の変異(例えば、EU付番規定でのM252Y、S254T、及び、T256E変異の(すべてを含む)1つ以上)をさらに含み得る。あらゆるIgG1改変Fcの一部の実施形態では、当該IgG1改変Fcは、EU付番でのE430G、E430S、E430F、E430T、E345K、E345Q、E345R、E345Y、S440Y、及び/または、S440Wのうちの1つ以上をさらに含み得る。
本開示のその他の態様は、改変した定常領域(すなわち、Fc領域)を有する抗体に関する。FcgR受容体に対する結合に依存して標的化受容体を活性化させる抗体を、FcgR結合を排除するように遺伝子操作すると、そのアゴニスト活性を喪失し得る(例えば、Wilson et al.Cancer Cell 19:101−113(2011);Armour at al.Immunology 40:585−593(2003);及び、White et al,Cancer Cell 27:138−148(2015)を参照されたい)。したがって、当該抗体が、ヒトIgG2アイソタイプ(CH1、及び、ヒンジ領域)由来のFcドメイン、または、阻害性FcgRIIBr受容体、または、その変異体を優先的に結合することができる別のタイプのFcドメインを有しておれば、適正なエピトープ特異性を有する本開示の抗MS4A4A抗体は、最小限の副作用で、標的抗原を活性化できると考えられる。
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、当該改変抗体Fcは、IgG2改変Fcである。一部の実施形態では、当該IgG2改変Fcは、1つ以上の改変を含む。例えば、一部の実施形態では、当該IgG2改変Fcは、(例えば、同じアイソタイプの野生型Fc領域に関連して)1つ以上のアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG2改変Fcの一部の実施形態では、1つ以上の当該アミノ酸置換は、EU付番規定でのV234A(Alegre et al.Transplantation 57:1537−1543(1994);Xu et al.Cell Immunol,200:16−26(2000));G237A(Cole et al.Transplantation,68:563−571(1999));H268Q、V309L、A330S、P331S(US2007/0148167;Armour et al.Eur J Immunol 29:2613−2624(1999);Armour et al.The Haematology Journal 1(Suppl.1):27(2000);Armour et al.The Heamatology Journal 1(Suppl.1):27(2000))、C219S、及び/または、C220S(White et al.Cancer Cell 27,138−148(2015));S267E、L328F(Chu et al.Mol Immunol,45:3926−3933(2008));及び、M252Y、S254T、及び/または、T256Eから選択される。あらゆる当該IgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置V234A、及び、G237Aでのアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置C219S、または、C220Sでのアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置A330S、及び、P331Sでのアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置S267E、及び、L328Fでのアミノ酸置換を含む。
あらゆる当該IgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番規定でのC127Sアミノ酸置換を含む(White et al,(2015)Cancer Cell 27、138−148;Lightle et al.ProteinSci.19:753−762(2010);及び、WO2008/079246)。あらゆる当該IgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該抗体は、EU付番規定でのC214Sアミノ酸置換を含むカッパ軽鎖定常ドメインを持ったIgG2アイソタイプを有する(White et al.Cancer Cell 27:138−148(2015);Lightle et al.Protein Sci.19:753−762(2010);及び、WO2008/079246)。
あらゆる当該IgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番規定でのC220Sアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該抗体は、EU付番規定でのC214Sアミノ酸置換を含むカッパ軽鎖定常ドメインを持ったIgG2アイソタイプを有する。
あらゆる当該IgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番規定でのC219Sアミノ酸置換を含む。あらゆるIgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該抗体は、EU付番規定でのC214Sアミノ酸置換を含むカッパ軽鎖定常ドメインを持ったIgG2アイソタイプを有する。
あらゆる当該IgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、IgG2アイソタイプ重鎖定常ドメイン1(CH1)と、ヒンジ領域とを含む(White et al.Cancer Cell 27:138−148(2015))。あらゆる当該IgG2改変Fcの特定の実施形態では、当該IgG2アイソタイプCH1、及び、ヒンジ領域は、EU付番法での118〜230のアミノ酸配列を含む。あらゆるIgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該抗体Fc領域は、EU付番法でのS267Eアミノ酸置換、L328Fアミノ酸置換、または、その両方、及び/または、N297AまたはN297Qアミノ酸置換を含む。
あらゆる当該IgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430G、E430S、E430F、E430T、E345K、E345Q、E345R、E345Y、S440Y、及び、S440Wに1つ以上のアミノ酸置換をさらに含む。あらゆるIgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、ヒト血清での抗体半減期を長くする1つ以上の変異(例えば、EU付番規定でのM252Y、S254T、及び、T256E変異の(すべてを含む)1つ以上)をさらに含み得る。あらゆる当該IgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、A330S、及び、P331Sをさらに含み得る。
あらゆる当該IgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、IgG2/4ハイブリッドFcである。一部の実施形態では、当該IgG2/4ハイブリッドFcは、IgG2アミノ酸118〜260、及び、IgG4アミノ酸261〜447を含む。あらゆるIgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置H268Q、V309L、A330S、及び、P331Sに1つ以上のアミノ酸置換を含む。
あらゆる当該IgG1、及び/または、IgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのA330L、L234F;L235E、または、P331S;及び、それらのあらゆる組み合わせから選択される1つ以上のさらなるアミノ酸置換を含む。
あらゆる当該IgG1、及び/または、IgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのC127S、L234A、L234F、L235A、L235E、S267E、K322A、L328F、A330S、P331S、E345R、E430G、S440Y、及び、それらのあらゆる組み合わせから選択される残基位置に1つ以上のアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG1、及び/または、IgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430G、L243A、L235A、及び、P331Sでのアミノ酸置換を含む。IgG1、及び/または、あらゆる当該IgG2改変Fcの一部の実施形態では、Fcは、EU付番法での位置E430G、及び、P331Sでのアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG1、及び/または、IgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430G、及び、K322Aでのアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG1、及び/または、IgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430G、A330S、及び、P331Sでのアミノ酸置換を含む。IgG1、及び/または、あらゆる当該IgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430G、K322A、A330S、及び、P331Sでのアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG1、及び/または、IgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430G、K322A、及び、A330Sでのアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG1、及び/または、IgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430G、K322A、及び、P331Sでのアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG1、及び/または、IgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置S267E、及び、L328Fでのアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG1、及び/または、IgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置C127Sでのアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG1、及び/または、IgG2改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E345R、E430G、及び、S440Yでのアミノ酸置換を含む。
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、当該改変抗体Fcは、IgG4改変Fcである。一部の実施形態では、当該IgG4改変Fcは、1つ以上の改変を含む。例えば、一部の実施形態では、当該IgG4改変Fcは、(例えば、同じアイソタイプの野生型Fc領域に関連して)1つ以上のアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG4改変Fcの一部の実施形態では、1つ以上の当該アミノ酸置換は、EU付番規定でのL235A、G237A、S229P、L236E(Reddy et al.J Immunol 164:1925−1933(2000))、S267E、E318A、L328F、M252Y、S254T、及び/または、T256Eから選択される。あらゆる当該IgG4改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番規定でのL235A、G237A、及び、E318Aをさらに含み得る。あらゆる当該IgG4改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番規定でのS228P、及び、L235Eをさらに含み得る。あらゆる当該IgG4改変Fcの一部の実施形態では、当該IgG4改変Fcは、EU付番規定でのS267E、及び、L328Fをさらに含み得る。
あらゆる当該IgG4改変Fcの一部の実施形態では、当該IgG4改変Fcは、EU付番規定でのS228P(Angal et al.Mol Immunol.30:105−108(1993))、及び/または、(Peters et al.J Biol Chem.287(29):24525−33(2012))に記載されている1つ以上の変異と組み合わせて、抗体安定性を向上させ得る。
あらゆる当該IgG4改変Fcの一部の実施形態では、当該IgG4改変Fcは、ヒト血清での抗体半減期を長くする1つ以上の変異(例えば、EU付番規定でのM252Y、S254T、及び、T256E変異の(すべてを含む)1つ以上)をさらに含み得る。
あらゆる当該IgG4改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのL235Eを含む。あらゆる当該IgG4改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのC127S、F234A、L235A、L235E、S267E、K322A、L328F、E345R、E430G、S440Y、及び、それらのあらゆる組み合わせから選択される残基位置に1つ以上のアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG4改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430G、L243A、L235A、及び、P331Sにアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG4改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430G、及び、P331Sにアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG4改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430G、及び、K322Aにアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG4改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430にアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG4改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430G、及び、K322Aにアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG4改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置S267E、及び、L328Fにアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG4改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置C127Sにアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG4改変Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E345R、E430G、及び、S440Yにアミノ酸置換を含む。
(8)その他の抗体改変
あらゆる抗体の一部の実施形態では、当該抗体は、誘導体である。用語「誘導体」とは、アミノ酸(または、核酸)の挿入、欠失、または、置換以外の化学修飾を含む分子のことを指す。特定の実施形態では、誘導体は、ポリマー、脂質、または、その他の有機もしくは無機部分を有する化学結合などであるが、これらに限定されない共有結合的修飾を含む。特定の実施形態では、化学修飾した抗原結合タンパク質は、化学修飾を受けていない抗原結合タンパク質よりも循環半減期を長くすることができる。特定の実施形態では、化学修飾した抗原結合タンパク質は、所望の細胞、組織、及び/または、臓器に対する標的化能力を改善することができる。一部の実施形態では、誘導体抗原結合タンパク質は、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、または、ポリプロピレングリコールなどであるが、これらに限定されない1つ以上の水溶性ポリマー付着を含むように共有結合的に修飾する。例えば、米国特許第4640835号、同第4496689号、同第4301144号、同第4670417号、同第4791192号、及び、同第4179337号を参照されたい。特定の実施形態では、誘導体抗原結合タンパク質は、モノメトキシポリエチレングリコール、デキストラン、セルロース、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー、または、ランダムコポリマーのいずれか)、ポリ−(N−ビニルピロリドン)−ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、及び、ポリビニルアルコール、ならびに、そのようなポリマーの混合物などであるが、これらに限定されない1つ以上のポリマーを含む。
特定の実施形態では、誘導体は、ポリエチレングリコール(PEG)サブユニットで共有結合的に修飾する。特定の実施形態では、1つ以上の水溶性ポリマーを、誘導体の、1つ以上の特定の位置において、例えば、アミノ末端において結合する。特定の実施形態では、1つ以上の水溶性ポリマーは、誘導体の1つ以上の側鎖に対してランダムに結合する。特定の実施形態では、PEGを、抗原結合タンパク質の治療能力を改善するために使用する。特定の実施形態では、PEGを、ヒト化抗体の治療能力を改善するために使用する。このような特定の方法は、例えば、米国特許第6133426号で論じられており、本明細書の一部を構成するものとして、同文献を、あらゆる目的のために援用する。
ペプチド類似体は、製薬業界では、テンプレートペプチドの特性に類似した特性を有する非ペプチド薬として一般的に使用されている。これらのタイプの非ペプチド化合物は、「ペプチド模倣体(peptide mimetic)」または「ペプチド模倣物(peptidomimetic)」と称されている。本明細書の一部を構成するものとして、あらゆる目的のために援用する、Fauchere,J.Adv.DrugRes.,15:29(1986);及び、Evans et al,J.Med.Chem.,30:1229(1987)。このような化合物は、コンピューター化した分子モデリングを用いて、開発されることが多い。治療的に有用なペプチドと構造的に類似しているペプチド模倣体を使用して、類似の治療効果、または、予防効果を得ることができる。一般的に、ペプチド模倣物は、ヒト抗体などのパラダイムポリペプチド(すなわち、生化学的特性、または、薬理学的活性を有するポリペプチド)と構造的に似ているが、当該技術分野で周知の方法によって、−CH2NH−、−CH2S−、−CH2−CH2−、−CH=CH−(シス、及び、トランス)、−COCH2−、−CH(OH)CH2−、及び、−CH2SO−から選択される結合で任意に置換した1つ以上のペプチド結合を有する。特定の実施形態では、コンセンサス配列の1つ以上のアミノ酸を、同じタイプのD−アミノ酸(例えば、L−リジンの代わりにD−リジン)で体系的に置換すると、より安定なペプチドを生成することができる。加えて、コンセンサス配列、または、実質的に同一のコンセンサス配列変異を含む固定化したペプチドは、当該技術分野で公知の方法(Rizo and Gierasch Ann.Rev.Biochem.,61:387(1992)、本明細書の一部を構成するものとして、あらゆる目的のために援用する)、例えば、ペプチドを環化する分子内ジスルフィド架橋を形成することができる内部システイン残基を加えることで、生成することができる。
薬物コンジュゲーションは、生物学的活性細胞毒性(抗がん)ペイロード、または、特定の腫瘍マーカーを特異的に標的とする抗体(例えば、理想的には、腫瘍細胞内、または、腫瘍細胞上にだけ認められるポリペプチド)に対する薬物のカップリングに関与する。抗体は、これらのタンパク質を体内で追跡し、そして、がん細胞の表面に付着する。当該抗体と標的タンパク質(抗原)との間の生化学的反応は、当該腫瘍細胞においてシグナルを発生させ、次いで、当該抗体を、細胞毒素と共に、吸収し、または、内部に取り込む。ADCを内部に取り込んだ後に、細胞毒性薬を放出して、がんを死滅させる。この標的作用により、理想的には、当該薬物の副作用が小さくなり、かつ、その他の化学療法剤よりも治療ウィンドウが広くなる。抗体をコンジュゲートする技術は、当該技術分野で公知である(例えば、Jane de Lartigue OncLive July 5,2012;ADC Review on antibody−drug conjugates;及び、Ducry et al.Bioconjugate Chemistry 21(1):5−13(2010)を参照されたい。
II.核酸、ベクター、及び、宿主細胞
本開示の抗MS4A4A抗体は、例えば、米国特許第4816567号に記載の組み換え方法、及び、組成物を使用して産生され得る。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体のいずれかをコードするヌクレオチド配列を有する単離した核酸を提供する。かかる核酸は、抗MS4A4A抗体のVLを含むアミノ酸配列、及び/または、VHを含むアミノ酸配列(例えば、当該抗体の軽鎖、及び/または、重鎖)をコードし得る。一部の実施形態では、かかる核酸を含む1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)を提供する。一部の実施形態では、かかる核酸を含む宿主細胞も提供する。一部の実施形態では、当該宿主細胞は、(1)当該抗体のVLを含むアミノ酸配列、及び、当該抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または、(2)当該抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクター、及び、当該抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、形質導入している)。一部の実施形態では、当該宿主細胞は、真核生物、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または、リンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。また、本開示の宿主細胞として、単離した細胞、インビトロで培養した細胞、及び、エクスビボで培養した細胞があるが、これらに限定されない。
本開示の抗MS4A4A抗体を作製する方法を提供する。一部の実施形態では、当該方法は、抗MS4A4A抗体をコードする核酸を含有する本開示の宿主細胞を、当該抗体の発現に好適な条件下で培養することを含む。一部の実施形態では、当該抗体を、その後に、宿主細胞(または、宿主細胞培養培地)から回収する。
本開示の抗MS4A4A抗体を組換え産生するために、抗MS4A4A抗体をコードする核酸を単離し、そして、宿主細胞におけるさらなるクローニング及び/または発現のために、1つ以上のベクターに挿入する。そのような核酸は、従来の手順を使用して(例えば、当該抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に対して特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用して)、容易に単離を行い、そして、配列決定し得る。
本開示の抗MS4A4A抗体、または、細胞表面で発現したそのフラグメント、または、ポリペプチド、本明細書に記載したポリペプチド(抗体を含む)のいずれかをコードする核酸配列を含有する好適なベクターとして、クローニングベクター、及び、発現ベクターがあるが、これらに限定されない。好適なクローニングベクターは、標準的技法に従って構築することができ、または、当該技術分野において入手可能な数多くのクローニングベクターから選択され得る。選択されるクローニングベクターは、使用予定の宿主細胞に応じて変わり得るが、有用なクローニングベクターは、一般的に、自己複製能を有しており、特定の制限エンドヌクレアーゼのための単一の標的を有することができ、及び/または、当該ベクターを含むクローンの選択に用いることができるマーカーの遺伝子を保持し得る。好適な例として、プラスミド、及び、細菌ウイルス、例えば、pUCl8、pUCl9、Bluescript(例えば、pBS SK+)、及び、その誘導体、mpl8、mpl9、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、ならびに、pSA3、及び、pAT28などのシャトルベクターがある。これらのクローニングベクター、及び、数多くのその他のクローニングベクターは、BioRad、Strategene、及び、Invitrogenなどの業者から入手可能である。
抗体をコードするベクターのクローニングまたは発現に好適な宿主細胞として、原核細胞または真核細胞がある。例えば、本開示の抗MS4A4A抗体は、特に、グリコシル化、及び、Fcエフェクター機能を必要としない場合には、細菌において産生し得る。細菌での抗体フラグメント、及び、ポリペプチドの発現については、(例えば、米国特許第5648237号、同第5789199号、及び、同第5840523号。発現の後に、当該抗体を、可溶性画分での細菌細胞ペーストから単離し、そして、さらに精製することができる。
原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物も、抗体をコードするベクターに好適なクローニング宿主または発現宿主であり、このようなものとして、グリコシル化経路を「ヒト化」して、部分的または完全なヒトグリコシル化パターンを有する抗体を産生する真菌株及び酵母株がある(例えば、Gerngross,Nat.Biotech.22:1409−1414(2004);及び、Li et al,Nat.Biotech.24:210−215(2006))。
グリコシル化抗体の発現に好適な宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物、及び、脊椎動物)から得ることもできる。無脊椎動物細胞の例として、植物細胞、及び、昆虫細胞がある。昆虫細胞とともに、特に、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションに使用することができる、数多くのバキュロウイルス株が同定されている。また、植物細胞培養物も、宿主として用いることができる(例えば、トランスジェニック植物で抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術について記載している米国特許第5959177号、同第6040498号、同第6420548号、同第7125978号、及び、同第6417429号)。
また、脊椎動物細胞も、宿主として使用し得る。例えば、懸濁液で成長するように適合させた哺乳動物細胞株が有用である。有用な宿主哺乳動物細胞株のその他の例として、SV40で形質転換したサル腎臓CV1株(COS−7);ヒト胚性腎臓株(293細胞、または、例えば、Graham et al,J.Gen Virol.36:59(1977)に記載されているような293細胞);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243−251(1980)に記載されたTM4細胞);サル腎臓細胞(CV1);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76);ヒト子宮頸癌細胞(HELA);イヌ科腎臓細胞(MDCK;バッファローラット肝細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(Hep G2);マウス乳腺腫瘍(MMT 060562);例えば、Mather et al,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44−68(1982)に記載のTRI細胞;MRC5細胞;及び、FS4細胞がある。その他の有用な宿主哺乳動物細胞株として、DHFR−CHO細胞(Urlaub et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980))などのチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞;ならびに、Y0,NS0、及び、Sp2/0などの骨髄腫細胞株がある。抗体産生に好適な特定の宿主哺乳動物細胞株の総説については、例えば、Yazaki and Wu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255−268(2003)を参照されたい。
III.薬学的組成物/製剤
本明細書では、本開示の抗MS4A4A抗体と薬学的に許容可能な担体とを含む薬学的組成物及び/または薬学的製剤を提供する。
一部の実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、好ましくは、使用する用量、及び、濃度でレシピエントに対して無毒である。本明細書に記載の抗体は、固体、半固体、液体、または、気体の形態の調製物に製剤し得る。このような製剤の例として、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、軟膏剤、液剤、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル剤、マイクロスフェア、及び、エアロゾル剤があるが、これらに限定されない。薬学的に許容可能な担体は、所望の製剤に応じて、動物またはヒト投与のための薬学的組成物を製剤するために一般的に使用するビヒクルである、薬学的に許容可能な非毒性の希釈剤の担体を含み得る。特定の実施形態では、薬学的組成物は、例えば、組成物のpH、浸透圧、粘度、透明度、色、等張性、臭気、無菌性、安定性、溶解または放出の速度、吸着または浸透を改変、維持、または、保存するための製剤材料を含むことができる。
特定の実施形態では、薬学的に許容可能な担体として、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、または、リジンなど);抗菌剤;酸化防止剤(アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、または、亜硫酸水素ナトリウム);緩衝剤(ホウ酸塩、重炭酸塩、Tris−HCl、クエン酸塩、リン酸塩、または、その他の有機酸など);増量剤(マンニトール、または、グリシンなど);キレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など);錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、ベータ−シクロデキストリン、または、ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリンなど);増量剤;単糖類;二糖類;及び、その他の炭水化物(グルコース、マンノース、または、デキストリンなど);タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、または、免疫グロブリンなど);着色剤、矯味矯臭剤、及び、希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど);低分子量ポリペプチド;塩を形成する対イオン(ナトリウムなど);防腐剤(塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸、または、過酸化水素など);溶媒(グリセリン、プロピレングリコール、または、ポリエチレングリコールなど);糖アルコール(マンニトール、または、ソルビトールなど);懸濁剤;界面活性剤、または、湿潤剤(プルロニック、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート、例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサパルなど);安定性増強剤(スクロース、または、ソルビトールなど);等張化増強剤(アルカリ金属ハロゲン化物、好ましくは、塩化ナトリウムまたは塩化カリウム、マンニトールソルビトールなど);送達媒体;希釈剤;賦形剤、及び/または、薬学的アジュバントがあるが、これらに限定されない。様々な種類の投与に適した製剤のさらななる例は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Pharmaceutical Press 22nd ed.(2013)に認められる。薬物送達法の簡潔な総説については、Langer,Science 249:1527−1533(1990)を参照されたい。
非経口投与に好適な製剤として、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び、製剤を対象のレシピエントの血液と等張にする溶質を含むことができる水性及び非水性の等張性無菌注射液剤と、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、及び、防腐剤を含むことができる水性及び非水性の無菌懸濁剤とがある。
製剤を、脳または中枢神経系で保持し、そして、安定させるように最適化し得る。作用物質を頭蓋区画に投与すると、その作用物質が、その区画内に保持され、拡散せず、または、拡散しても血液脳関門を通過しないことが望ましい。安定化技法として、分子量の増大を達成するために、架橋、多量体化、または、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、中性タンパク質担体などの基への結合などがある。
保持を確実ならしめるためのその他の方策として、生分解性または生体侵食性インプラントへの本開示の抗MS4A4A抗体の封じ込めがある。治療的活性物質の放出速度は、ポリマーマトリックスを介した輸送速度、及び、インプラントの生分解速度によって制御される。インプラントは、粒子、シート、パッチ、プラーク、繊維、マイクロカプセルなどとし得るものであり、また、選択した挿入部位に適合するあらゆるサイズまたは形状とし得る。使用し得る生分解性ポリマー組成物は、分解したときにモノマーなど、生理学的に許容可能な分解生成物を生成する有機エステルまたはエーテルとし得る。無水物、アミド、オルトエステルなどを、単独で、または、その他のモノマーと組み合わせて使用し得る。これらのポリマーを、縮合ポリマーとし得る。これらのポリマーは、架橋したもの、または、未架橋のものとし得る。特に対象となるものは、ホモポリマーまたはコポリマーのいずれかであるヒドロキシ脂肪族カルボン酸のポリマー、それに、多糖である。対象となるポリエステルとして、D−乳酸、L−乳酸、ラセミ乳酸、グリコール酸、ポリカプロラクトン、及び、これらの組み合わせのポリマーがある。対象となる多糖として、アルギン酸カルシウム、及び、官能化セルロース、特に、非水溶性であり、分子量が約5kD〜500kDであることを特徴とするカルボキシメチルセルロースエステルなどがある。生分解性ヒドロゲルも、本開示のインプラントに採用し得る。ヒドロゲルとは、一般的に、液体を吸収する能力を特徴とするコポリマー材料である。
IV.治療用途
本明細書で開示したように、本開示の抗MS4A4A抗体は、疾患及び障害を予防する、当該疾患及び障害のリスクを低減する、または当該疾患及び障害を治療するために使用し得る。一部の実施形態では、本開示の抗MS4A4A抗体は、アルツハイマー病、遅発性アルツハイマー病、及び、認知障害を予防する、当該アルツハイマー病、遅発性アルツハイマー病、及び、認知障害のリスクを低減する、または当該アルツハイマー病、遅発性アルツハイマー病、及び、認知障害を治療する上で有効である。
疾患標的としてのMS4A4A
ゲノムワイド関連研究は、MS4Aファミリーの様々なメンバーが、アルツハイマー病に関連していることを確認している。これらは、MS4A2、MS4A3、MS4A4A、MS4A4E、MS4A6A、及び、MS4A6Eである。関連するSNPは、MS4A6Aの3‘UTR(rs610932)、及び、MS4A4EとMS4A6Aとの間の遺伝子間領域(rs670139)で認められる。MS4A遺伝子クラスターの3つのSNPは、遅発性アルツハイマー病のリスクの増大と関連している。これらには、MS4A4Aのrs4938933、MS4A4Eのrs670139、及び、MS4A6Aのrs610932などがある(Hollingworth et al,2011,Nat Genetics,43:429−435;Naj et al,2011,Nature Genetics,43:436−441;Antunez et al,2011,Genome Medicine,3、article 33)。加えて、MS4A4A遺伝子座のSNP(rs2304933、及び、rs2304935)は、MS4A4Aのレベルが高くなること、また、遅発性アルツハイマー病(LOAD)などのアルツハイマー病のリスクが高くなることと関連している(Allen et al,2012,Neurology,79:221−228)。
本明細書で提供する方法は、神経変性の疾患、障害、もしくは病態の予防、当該疾患、障害、もしくは病態のリスクの低減、または当該疾患、障害、もしくは病態を有する個体の治療における用途を見出す。一部の実施形態では、本開示は、神経変性障害を予防する、当該神経変性障害のリスクを低減する、または当該神経変性障害を有する個体を治療するための方法を提供するものであり、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗MS4A4A抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本開示は、アルツハイマー病を予防する、当該アルツハイマー病のリスクを低減する、または当該アルツハイマー病を有する個体を治療するための方法を提供するものであり、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗MS4A4A抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本開示は、遅発性アルツハイマー病を予防する、当該遅発性アルツハイマー病のリスクを低減する、または当該遅発性アルツハイマー病を有する個体を治療する方法を提供するものであり、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗MS4A4A抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本開示は、軽度認知機能障害を予防する、当該軽度認知機能障害のリスクを低減する、または当該軽度認知機能障害を有する個体を治療する方法を提供するものであり、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗MS4A4A抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本開示は、MS4A4Aの過剰発現または活性増大に関連する疾患、障害、もしくは、病態を予防する、当該疾患、障害、もしくは、病態のリスクを低減する、または当該疾患、障害、もしくは、病態を有する個体を治療するための方法を提供するものであり、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗MS4A4A抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本開示は、MS4A4Aの発現または活性の低減に関連する疾患、障害、もしくは、病態を予防する、当該疾患、障害、もしくは、病態のリスクを低減する、または当該疾患、障害、もしくは、病態を有する個体を治療するための方法を提供するものであり、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗MS4A4A抗体を投与することを含む。
本開示のその他の態様は、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、軽度認知機能障害、血管性認知症、血管性認知症、発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、長期鬱病、動脈硬化性血管疾患、正常な老化の望ましくない症状、認知症、混合型認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病、正常圧水頭症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウパチー病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性及び慢性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、マラリア、本態性振戦、中枢神経系ループス、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症、変性椎間板疾患、シャイ・ドレーガー症候群、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核神経節変性症、急性播種性脳脊髄炎、肉芽腫性障害、サルコイドーシス、加齢性疾患、加齢性黄斑変性症、緑内障、網膜色素変性症、網膜変性、気道感染症、敗血症、眼感染症、全身感染症、炎症性障害、関節炎、多発性硬化症、代謝障害、肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病、組織または血管の損傷、外傷、炎症性細胞の破片またはタンパク質凝集体、異常な循環骨髄細胞、不健康な老化、加齢性認識機能障害、加齢性脳萎縮、炎症やニューロン脱落などであるが、これらに限定されない加齢関連形質、及び、高齢者の前頭大脳皮質の認知障害など、公知の脳疾患が認められない認知障害などの認知障害、及び、正常な老化の1つ以上の望ましくない症状からなる群から選択される疾患、障害、もしくは、損傷を予防する、当該疾患、障害、もしくは、損傷のリスクを低減する、または当該疾患、障害、もしくは、損傷を有する個体を治療する方法であって、当該個体に対して、前出の実施形態のいずれかの抗MS4A4A抗体の治療有効量を投与することを含む、当該方法に関する。本開示のその他の態様は、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、長期鬱病、動脈硬化性血管疾患、正常な老化の望ましくない症状、認知症、混合型認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病、正常圧水頭症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウパチー病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性及び慢性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、マラリア、本態性振戦、中枢神経系ループス、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症、変性椎間板疾患、シャイ・ドレーガー症候群、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核神経節変性症、急性播種性脳脊髄炎、肉芽腫性障害、サルコイドーシス、加齢性疾患、加齢性黄斑変性症、緑内障、網膜色素変性症、網膜変性、気道感染症、敗血症、眼感染症、全身感染症、炎症性障害、関節炎、多発性硬化症、代謝障害、肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病、組織または血管の損傷、外傷、炎症性細胞の破片またはタンパク質凝集体、異常な循環骨髄細胞、不健康な老化、加齢性認識機能障害、加齢性脳萎縮、炎症やニューロン脱落などであるが、これらに限定されない加齢関連形質、及び、高齢者の前頭大脳皮質の認知障害など、公知の脳疾患が認められない認知障害などの認知障害、及び、正常な老化の1つ以上の望ましくない症状からなる群から選択される疾患、障害、もしくは、損傷の予防、当該疾患、障害、もしくは、損傷のリスクの低減、または当該疾患、障害、もしくは、損傷を有する個体の治療における使用のための前出の実施形態のいずれかの抗MS4A4A抗体に関する。本開示のその他の態様は、転移の予防または低減のために使用するための前出の実施形態のいずれかの抗MS4A4A抗体に関する。本開示のその他の態様は、がんの予防、当該がんのリスクの低減、または当該がんを有する個体の治療に使用するための前出の実施形態のいずれかの抗MS4A4A抗体に関する。
本開示のその他の態様は、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、遅発性アルツハイマー病、軽度認知機能障害、血管性認知症、発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、長期鬱病、動脈硬化性血管疾患、正常な老化の望ましくない症状、認知症、混合型認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病、正常圧水頭症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウパチー病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性及び慢性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、マラリア、本態性振戦、中枢神経系ループス、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症、変性椎間板疾患、シャイ・ドレーガー症候群、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核神経節変性症、急性播種性脳脊髄炎、肉芽腫性障害、サルコイドーシス、加齢性疾患、加齢性黄斑変性症、緑内障、網膜色素変性症、網膜変性、気道感染症、敗血症、眼感染症、全身感染症、炎症性障害、関節炎、多発性硬化症、代謝障害、肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病、組織または血管の損傷、外傷、炎症性細胞の破片またはタンパク質凝集体、異常な循環骨髄細胞、不健康な老化、加齢性認識機能障害、加齢性脳萎縮、炎症やニューロン脱落などであるが、これらに限定されない加齢関連形質、及び、高齢者の前頭大脳皮質の認知障害など、公知の脳疾患が認められない認知障害などの認知障害、及び、正常な老化の1つ以上の望ましくない症状からなる群から選択される疾患、障害、もしくは、損傷を予防する、当該疾患、障害、もしくは、損傷のリスクを低減する、または当該疾患、障害、もしくは、損傷を有する個体を治療するための医薬の製造における、前出の実施形態のいずれかの抗MS4A4A抗体の使用に関する。本開示のその他の態様は、前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、アルツハイマー病、遅発性アルツハイマー病、軽度認知機能障害、血管性認知症、発作、網膜ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脊髄損傷、認知症、脳卒中、パーキンソン病、急性播種性脳脊髄炎、網膜変性、加齢性黄斑変性症、緑内障、多発性硬化症、敗血症ショック、細菌感染、関節炎、及び、変形性関節症からなる群から選択される疾患、障害、もしくは、損傷を予防する、当該疾患、障害、もしくは、損傷のリスクを低減する、または当該疾患、障害、もしくは、損傷を有する個体を治療する方法に関に関するものであり、当該方法は、個体に対して、前出の実施形態のいずれか治療有効量の抗MS4A4A抗体を投与することを含む。本開示のその他の態様は、前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、アルツハイマー病、遅発性アルツハイマー病、軽度認知機能障害、血管性認知症、発作、網膜ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脊髄損傷、認知症、脳卒中、パーキンソン病、急性播種性脳脊髄炎、網膜変性、加齢性黄斑変性症、緑内障、多発性硬化症、敗血症ショック、細菌感染、関節炎、及び、変形性関節症からなる群から選択される疾患、障害、もしくは、損傷の予防、当該疾患、障害、もしくは、損傷のリスクの低減、または当該疾患、障害、もしくは、損傷を有する個体の治療のために使用する前出の実施形態のいずれかの抗MS4A4A抗体に関する。本開示のその他の態様は、前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、アルツハイマー病、血管性認知症、発作、網膜ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脊髄損傷、認知症、脳卒中、パーキンソン病、急性播種性脳脊髄炎、網膜変性、加齢性黄斑変性症、緑内障、多発性硬化症、敗血症ショック、細菌感染、関節炎、及び、変形性関節症からなる群から選択される疾患、障害、もしくは、損傷を予防する、当該疾患、障害、もしくは、損傷のリスクを低減する、または当該疾患、障害、もしくは、損傷を有する個体を治療する医薬の製造における、前出の実施形態のいずれかの抗MS4A4A抗体の使用に関する。
MS4A遺伝子座の幾つかの遺伝子は、MS4A4Aなど、炎症反応と関連付けられている。(Karch and Goate,2015,Biol Psychiatry,77:43−51)。加えて、MS4Aファミリー遺伝子の過剰発現は、T細胞の活性化を増大させて、血液脳関門を通過するT細胞の輸送を促した。活性化T細胞はミクログリアと相互作用して、ミクログリアを活性化させ、炎症性サイトカインの放出をもたらし、ニューロンの損傷を招く。MS4A4Bの過剰発現は、T細胞のアポトーシスを低減したが、MS4A4Bのノックダウンは、T細胞をアポトーシスに誘導した。(Ma et al,2015,Mol Neurobiol,51:1240−1248.)
自己炎症性疾患は、臨床症状のグループに属しており、自己免疫症候群とは異なる。自己炎症性疾患は、自己反応性Tリンパ球と自己抗体を持たない自然免疫系の調節異常に起因する、非誘発性炎症のエピソードを特徴とするので、古典的な自己免疫疾患とは異なる。自己炎症性疾患は、2つのグループ:単一遺伝子自己炎症性疾患と、多因子性自己炎症性疾患に分類されている。一部の実施形態では、本開示の方法で予防または治療される自己炎症性障害として、家族性地中海熱(FMF)、メバロン酸キナーゼ欠乏症に関連する周期性熱(高免疫グロブリンD症候群)、TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)、クリオピリン関連周期性症候群(CAPS)、NLRP12関連自己炎症性障害(例えば、NALP12関連周期性発熱)、インターロイキン−1受容体拮抗薬(DIRA)欠乏症、化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ(PAPA)症候群、マジード症候群、ブラウ症候群、周期性発熱症候群を伴う高免疫グロブリン血症W(HIDS)、家族性風邪自己炎症症候群(FCAS)、マックルウェルス症候群(MWS)、及び、新生児期発症多臓器性炎症性疾患(NOMID)などの単一遺伝子自己炎症性疾患があるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、本開示の方法で予防または治療される自己炎症性障害として、周期的発熱、アフタ性口内炎、咽頭炎、及び、アデノパシー症候群(PFAPA)、ベーチェット病、全身性若年性特発性関節炎(sJIA)、スティル病、成人発症スティル病(AOSD)、クローン病、シュニッツラー症候群、スウィート症候群、慢性再発性多巣性骨髄炎(CRMO)、滑膜炎にきび膿疱症骨増殖症骨炎症候群(SAPHO)、及び、成人発症スティル病などの多因子性自己炎症性疾患があるが、これらに限定されない。(Ciccarelli et al,2013,Curr Med Chem,21:261−269を参照されたい。)
MS4A遺伝子は、十分に特徴決定されていないが、免疫における重要な役割が、MS4A1、MS4A2、及び、MS4A4Bなど、このクラスターの幾つかのメンバーで示されている(Zuccolo et al, 2010,PLoS One;Zuccolo et al,2013,Front Immunol,4:195)。
自己免疫疾患は、正常な身体組織に対する異常な免疫反応に起因する。一部の実施形態では、本開示の方法で予防または治療される自己免疫疾患または障害として、アディソン病、無ガンマグロブリン血症、円形脱毛症、アミロイドーシス、強直性脊椎炎、抗GBM/抗TBM腎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫血管性浮腫、自己免疫性自律神経障害、自己免疫性脳脊髄炎、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性心筋炎、自己免疫性膵炎、自己免疫性網膜症、自己免疫性腎炎、軸索及びニューロン神経障害(AMAN)、バロー病、ベーチェット病、良性粘膜類天疱瘡、水疱性類天疱瘡、キャッスルマン病(CD)、セリアック病、シャーガス病、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、慢性再発多巣性骨髄炎(CRMO)、チャーグ・シュトラウス、瘢痕性類天疱瘡、コーガン症候群、寒冷アグルチニン病、先天性心臓ブロック、コクサッキー心筋炎、CREST症候群、クローン病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、デビック病(視神経脊髄炎)、円盤状ループス、ドレッジエ症候群、子宮内膜症、好酸球性食道炎(EoE)、好酸球性筋膜炎、結節性紅斑、必須混合型クリオグロブリン血症、エバンス症候群、線維筋痛症、線維性巨細胞炎、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)、巨細胞心筋炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、多発性血管炎を伴う肉芽腫症、グレーブス病、ギランバレー症候群、橋本甲状腺炎、溶血性貧血、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病(HSP)、妊娠性ヘルペスまたは妊娠性類天疱瘡(PG)、低ガンマグロブリン血症、IgA腎症、IgG4関連硬化性疾患、免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)、封入体筋炎(IBM)、間質性膀胱炎(IC)、若年性関節炎、若年性糖尿病(1型糖尿病)、若年性筋炎(JM)、川崎病、ランバート−イートン症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、木質結膜炎、線形IgA疾患(LAD)、狼瘡、慢性ライム病、メニエール病、顕微鏡的多発性血管炎(MPA)、混合性結合組織病(MCTD)、モーレン潰瘍、ムッカハーベルマン病、多発性硬化症、重症筋無力症、筋炎、ナルコレプシー、視神経脊髄炎、好中球減少症、眼瘢痕性類天疱瘡、視神経炎、回帰性リウマチ(PR)、PANDAS、腫瘍随伴性小脳変性症(PCD)、発作性夜間頻尿ヘモグロビン尿症(PNH)、パリーロンバーグ症候群、扁平上皮炎(末梢ブドウ膜炎)、パーソネイジ−ターナー症候群、天疱瘡、末梢神経症、脳脊髄炎、悪性貧血(PA)、POEMS症候群、結節性多発性動脈炎、I型、II型、及び、III型多腺性症候群、多発性筋痛リウマチ、多発性筋炎、心筋梗塞後症候群、心膜切開後症候群、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、プロゲステロン性皮膚炎、乾癬、乾癬性関節炎、赤芽球癆(PRCA)、壊疽性膿皮症、レイノー現象、反応性関節炎、反射性交感神経性ジストロフィー、再発性多発性軟骨炎、むずむず脚症候群(RLS)、後腹膜線維化症、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、シュミット症候群、強膜炎、強皮症、シェーグレン症候群、精子及び精巣自己免疫、全身硬直症候群(SPS)、亜急性細菌性心内膜炎(SBE)、スサック症候群、交感性眼炎(SO)、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、血小板減少性紫斑病(TTP)、トロサハント症候群(THS)、横断性骨髄炎、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎(UC)、未分化結合組織病(UCTD)、ブドウ膜炎、血管炎、白斑、及び、ウェゲナー肉芽腫症(または、多発血管炎を伴う肉芽腫症(GPA))があるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、対象または個体は、哺乳動物である。哺乳動物として、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、及び、ウマ)、霊長類(例えば、ヒト、そして、サルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、齧歯類(例えば、マウス、及び、ラット)があるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、当該対象または個体は、ヒトである。
本明細書で提供する抗体(及び、あらゆるさらなる治療薬)を、非経口、肺内、鼻腔内、病巣内投与、脳脊髄内、頭蓋内、髄腔内、滑膜内、髄腔内、経口、局所、または、吸入経路などのあらゆる適切な手段で投与することができる。非経口注入として、ボーラスとしての筋肉内、静脈内投与、または、一定期間にわたる持続注入、動脈内、関節内、腹腔内、または、皮下投与がある。一部の実施形態では、当該投与は、静脈内投与である。一部の実施形態では、当該投与を、皮下にする。投与時間の長短をも加味して、投与は、適切な経路、例えば、静脈内注射または皮下注射などの注射で実施できる。本明細書では、単回投与、または、様々な時点に及ぶ複数回投与、ボーラス投与、及び、パルス注入などであるが、これらに限定されない様々な投薬スケジュールを企図している。
本明細書で提供する抗体は、優れた医療行為と一致する方法で、製剤、投薬、及び、投与する。この関連で考慮すべき要素として、治療する特定の障害、治療を受ける特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、作用物質の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び、開業医に公知のその他の要素がある。当該抗体は、必須ではないが、問題の障害の予防または治療のために現在用いられている1つ以上の作用物質を用いて、任意に製剤する。そのようなその他の作用物質の有効量は、製剤に存在する抗体の量、障害または治療の種類、及び、先述した考察でのその他の要素によって定まる。これらは、一般的には、本明細書に記載したのと同じ用量、及び、投与経路で、または、本明細書に記載した用量の約1〜99%、または、あらゆる用量で、かつ、経験的/臨床的に適切であると決定したあらゆる経路で使用する。
疾患の予防または治療のための(単独で、または、1つ以上のその他のさらなる治療剤と組み合わせて使用する場合の)本開示の抗体の適切な用量は、治療する疾患の種類、抗体の種類、疾患の重症度と経過、当該抗体を予防または治療のいずれの目的で投与するのかの区別、従前の治療、患者の病歴と抗体に対する反応、及び、主治医の裁量によって定まる。当該抗体を、一度に、または、一連の治療において、適切に患者に対して投与する。
疾患の種類、及び、重症度に応じて、約1μg/kg〜15mg/kg(例えば、0.1mg/kg〜10mg/kg)の抗体を、例えば、1回以上の別々の投与、または、持続注入のいずれかで、当該患者に対して投与する最初の候補用量とすることができる。上記の要素に応じて、ある一般的な1日用量を、約1μg/kg〜100mg/kg以上の範囲とし得る。病態に応じて、数日以上の反復投与に関しては、一般的に、治療は、疾患症状に所望の抑制が認められるまで続ける。当該抗体のある例示的な用量は、約0.05mg/kg〜約10mg/kgの範囲である。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、または、10mg/kg(または、それらのあらゆる組み合わせ)の1つ以上の用量を、患者に対して投与し得る。そのような用量は、断続的に、例えば、毎週、または、3週間ごと(例えば、当該患者が、約2〜約20、または、例えば、約6用量の抗体の投与を受けるよう)に投与し得る。特定の実施形態では、投薬頻度は、1日3回、1日2回、1日1回、隔日1回、週1回、2週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、または、月1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、または、それ以上である。最初に高負荷用量を、続いて、1回以上の低用量を投与し得る。しかしながら、その他の投与計画も有用であり得る。この治療法の進行状況は、従来の技術とアッセイで容易にモニターできる。
V.診断用途
あらゆる抗体の一部の実施形態では、本明細書で提供するあらゆる抗MS4A4A抗体は、試料または個体におけるMS4A4Aの存在を検出する上で有用である。本明細書で使用する用語「検出する」とは、定量的または定性的検出を含む。本明細書では、個体、または、個体に由来する組織試料でのMS4A4Aの検出など、診断目的で本開示の抗体を使用する方法を提供する。一部の実施形態では、当該個体は、ヒトである。
当該検出方法は、抗原に結合した抗体の定量が関与し得る。生物学的試料での抗体検出は、免疫蛍光顕微鏡、免疫細胞化学、免疫組織化学、ELISA、FACS分析、免疫沈降、または、マイクロ陽電子放射断層撮影など、当該技術分野で公知のあらゆる方法で行い得る。特定の実施形態では、当該抗体を、例えば、18Fで放射性標識し、次いで、マイクロ陽電子放出断層撮影分析を用いて検出する。また、抗体結合も、陽電子放出断層撮影(PET)、X線コンピューター断層撮影、単一光子放出コンピューター断層撮影(SPECT)、コンピューター断層撮影(CT)、及び、コンピューター断層撮影(CAT)などの非侵襲的手法で、患者において定量し得る。
VI.製造物
本明細書では、本明細書で説明した抗MS4A4A抗体を含む製造物(例えば、キット)を提供する。製造物は、本明細書に記載した抗体を含む1つ以上の容器を含み得る。容器は、バイアル、ボトル、ジャー、可撓性包装(例えば、密封したMylar、または、プラスチックバッグ)などであるが、これらに限定されない、あらゆる適切な包装とし得る。これらの容器は、単位用量、バルクパッケージ(例えば、複数用量パッケージ)、または、サブユニット用量とし得る。
一部の実施形態では、これらのキットは、第2の作用物質をさらに含み得る。一部の実施形態では、当該第2の作用物質は、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー溶液、及び、デキストロース溶液などであるが、これらに限定されない、薬学的に許容可能な緩衝剤または希釈剤である。一部の実施形態では、当該第2の作用物質は、薬学的に活性な作用物質である。
あらゆる製造物の一部の実施形態では、当該製造物は、本開示の方法に従って使用するための指示書をさらに含む。一般的に、当該指示書は、意図した治療のための用量、投薬スケジュール、及び、投与経路に関する情報を含む。一部の実施形態では、これらの指示書は、本開示のあらゆる方法に従って、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、遅発性アルツハイマー病、認知障害または認識機能障害、軽度認知機能障害、血管性認知症、血管性認知症、発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、長期鬱病、動脈硬化性血管疾患、正常な老化の望ましくない症状、認知症、混合型認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病、正常圧水頭症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウパチー病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性及び慢性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、マラリア、本態性振戦、中枢神経系ループス、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症、変性椎間板疾患、シャイ・ドレーガー症候群、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核神経節変性症、急性播種性脳脊髄炎、肉芽腫性障害、サルコイドーシス、加齢性疾患、加齢性黄斑変性症、緑内障、網膜色素変性症、網膜変性、気道感染症、敗血症、眼感染症、全身感染症、炎症性障害、関節炎、多発性硬化症、代謝障害、肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病、組織または血管の損傷、外傷、炎症性細胞の破片またはタンパク質凝集体、異常な循環骨髄細胞、不健康な老化、加齢性認識機能障害、加齢性脳萎縮、炎症やニューロン脱落などであるが、これらに限定されない加齢関連形質、及び、高齢者の前頭大脳皮質の認知障害など、公知の脳疾患が認められない認知障害などの認知障害、及び、正常な老化の1つ以上の望ましくない症状から選択される疾患、障害、もしくは、損傷を予防する、当該疾患、障害、もしくは、損傷のリスクを低減する、または当該疾患、障害、もしくは、損傷を有する個体を治療するための、本開示の単離した抗体(例えば、本明細書で説明した抗MS4A4A抗体)の投与であって、当該個体に対して、前出の実施形態のいずれかの抗MS4A4A抗体の治療有効量を投与することを含む、当該投与に関する説明を含む。
一部の実施形態では、当該指示書は、抗MS4A4A抗体、及び、第2の作用物質(例えば、薬学的に活性な第2の作用物質)の使用に関する説明を含む。
以下の実施例を参照することで、本開示の理解は十分に深まる。しかしながら、それらを、本開示の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。本開示全体でのすべての引用を、本明細書の一部を構成するものとして、明示的に援用する。
実施例1:DNA免疫処置のためのMS4A4A発現プラスミドの構築
MS4A4Aに対する抗体を開発するために、DNA免疫処置手法を使用した。ヒトMS4A4AをコードするcDNA配列(SEQ ID NO:1)、及び、カニクイザル(cyno)MS4A4AをコードするcDNA配列(SEQ ID NO:3)を、DNA免疫処置のために、pCAGGS発現ベクター(KeraFAST EH1017)にクローニングした。それぞれのMS4A4Aポリペプチドの発現を、HEK293T細胞への発現構築物の一過性トランスフェクションに続いて、市販の抗MS4A4A抗体(クローン5C12、BioLegend カタログ番号372502;クローン3F2、Millipore カタログ番号MABC1174;クローン4H2、Kerafast カタログ番号EUC003)を用いた細胞外フローサイトメトリーを使用して確認した。次いで、これらの発現構築物を、後述するようにして、マウスでのDNA免疫処置のために用いた。
実施例2:抗MS4A4Aハイブリドーマ抗体の生成
MS4A4Aに対する抗体を得るために、以下の手順を用いて、ハイブリドーマを生成した。Balb/c、または、SJLマウス(Jackson Laboratory,Bar Harbor,ME)を、乳酸リンゲル液で希釈したmFlt3リガンド(DNA)、及び、mGM−CSF(DNA)(Invitrogen,San Diego,CA)の有無に関係なく、ヒト、または、カニクイザルの全長MS4A4Aをコードする50μgのプラスミドDNA発現構築物で、それぞれを、毎週、同時に免疫処置した。DNA免疫処置のために、MS4A4A発現プラスミドの注射を、合計で8回、マウスごとに実施した。最後のDNA免疫処置の3日後に、マウスから脾臓を採取した。マウスから得た血清は、ヒト、及び/または、カニクイザルのMS4A4Aを過剰発現しているHEK293細胞を使用して、FACS分析で、MS4A4Aに対する反応性について分析した。ヒト、及び/または、カニクイザルのMS4A4Aを過剰発現しているHEK293細胞に対する強力な結合をFACS分析で示した血清を持つマウスの脾細胞を、電気融合(ECM2001,BTX,Holliston,MA)を介して、P3X63Ag8.653マウス骨髄腫細胞(CRL−1580,American Type Culture Collection,Rockville,MD)と融合させ、そして、37℃、5% CO2で、一晩、Clonacell−HY Medium C(StemCell Technologies,Vancouver,BC,Canada)でインキュベートした。
翌日、融合細胞を遠心分離し、そして、抗マウスIgG Fc−FITC(Jackson Immunoresearch,West Grove,PA)を含む10mlのClonaCell−HY Medium Cに再懸濁し、次いで、メチルセルロースを主成分とし、HATコンポーネントを含む、90mlのClonaCell−HY Medium D(Stemcell Technologies)と穏やかに混合した。これらの細胞を、Nunc OmniTrays(Thermo Fisher Scientific,Rochester,NY)に置き、37℃、5% CO2で、8日間増殖させた。蛍光コロニーを選択し、そして、Clonepix 2(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)を使用して、Clonacell−HY Medium E(StemCell Technologies)を含む96ウェルプレートに移した。5日後に、後述するようにして、ハイブリドーマ由来の組織培養上清を、全長ヒトMS4A4Aを過剰発現するHEK293細胞に対するFACSでスクリーニングした。4回の独立した融合を行い、合計で、706個のハイブリドーマクローンを生成した。
実施例3:MS4A4A cDNAを用いたHEK293細胞のトランスフェクション
ヒトMS4A4Aをコードする発現プラスミドを、HEK293細胞に、以下のようにしてトランスフェクトした。HEK293細胞(ATCC CRL−1573)を、ダルベッコの改変イーグル培地((DMEM),Sigma)+10% FBS(Gibco)で、>80%のコンフルエントになるまで培養した。次に、細胞を、非酵素的細胞解離緩衝剤(CellStripper,Corning)で解離し、トランスフェクションの24時間前に、T150フラスコ(ThermoFischerScientific カタログ番号08−772−48)にて、40〜50%の集密度で播種した。製造業者のプロトコールに従って、Lipofectamine 3000(ThermoFischerScientific)を使用して、トランスフェクションを行った。HEK293細胞におけるMS4A4A過剰発現の毒性効果に先行させるために、トランスフェクションの24時間後に、細胞を回収した。回収した細胞を、MS4A4Aの細胞表面発現を確認するためにFACS分析に直ちに使用するか、あるいは、その後の使用のために10%DMSOで凍結した。
フローサイトメトリーを、以下のようにして行った。すなわち、一過性にトランスフェクトした細胞を、氷上で、LIVE/DEAD Fixable Aqua Dead Cell Stain Kit(ThermoFisher Scientific,カタログ番号L34957)で、30分間、標識した。PBSで洗浄した後に、2×105個の細胞を、96ウェルU底プレートのウェルごとに等分し、そして、50μlの培養上清と共に、氷上で、30分間インキュベートした。一次インキュベーションの後に、当該上清を、遠心分離で除去し、これらの細胞を、175μlの氷冷FACS緩衝剤(PBS+1%FBS+2mM EDTA)で2回洗浄した後に、1:200に希釈した抗マウスIgG Fc−APC(Jackson ImmunoResearch Labs,West Grove,PA,カタログ番号115−136−071)と共に、氷上で、20分間インキュベートした。この二次インキュベーションの後に、これらの細胞を、再び氷冷FACS緩衝剤で2回洗浄し、そして、最終体積200μlのFACS緩衝剤に再懸濁した。分析を、FACS Cantoシステム(BD Biosciences)で行い、ゲートを取り出して、死滅した(Aqua陽性)細胞を排除した。
代表的なFACSプロットを、図1に示している。図1Aでは、ヒトMS4A4Aを一過性にトランスフェクトしたHEK293細胞(影無しのトレース)、及び、(トランスフェクトしていない)親のHEK293細胞(影付きのトレース)を、上記のようにして生成したクローンのうちの1つに由来するハイブリドーマ上清で染色した。この特定のフローサイトメトリー実験では、平均蛍光強度(MFI)が46倍も増大した。図1Bでは、カニクイザルMS4A4A(影無しのトレース)またはコントロール細胞(影付きのトレース)をトランスフェクトしたHEK293細胞を、同じ上清で標識し、そして、MFIが8.5倍も増大したことが認められた。図1Cでは、ヒトMS4A4Aを一過性にトランスフェクトしたHEK293細胞(影無しのトレース)と(トランスフェクトしていない)親のHEK293細胞(影付きのトレース)を、市販の抗MS4A4A抗体である抗体5C12で染色したところ、MFIは、54倍も増大した。図1Dでは、カニクイザルMS4A4AをトランスフェクトしたHEK293細胞(影無しのトレース)と(トランスフェクトしていない)親のHEK細胞(影無しのトレース)を、抗体5C12で染色した。カニクイザルMS4A4Aに対する5C12の交差反応性は認められなかった。
実施例4:MS4A4A発現プラスミドを用いたその他の細胞株のトランスフェクション、及び、MS4A4Aノックアウト細胞株の生成
組換えヒトMS4A4Aを発現する安定的にトランスフェクトされたHEK293細胞株の生成が困難であることを考慮して、その他のDNAベクター、及び、細胞株を試験して、MS4A4A発現に関する良好な適合性の有無を調べた。安定的なトランスフェクションのために、MS4A4Aコード配列を、発現ベクターpD2533−G418、または、pD3539−puro(Atum,Newark,CA,USA)に導入した。
MS4A4Aは、インビボで、骨髄細胞においてネイティブに発現している。したがって、上記の細胞を使用して認められた毒性の問題を克服するために、組換えMS4A4Aの一過性発現に対して、幾つかの骨髄由来細胞株を使用した。骨髄由来細胞株のパネルとして、THP−1細胞(ATCC TIB202)、U937細胞(ATCC CRL−1593.2)、K562細胞(ATCC CCL243)、HL60細胞(ATCC CCL240)、及び、Kasumi−1細胞(ATCC CRL−2724)が含まれた。マウスのプレB細胞株である300.19細胞(Tufts University T000710)も、組換えタンパク質の発現目的で一般的に使用されているので試験を行った。選択とトランスフェクション効率に適したG418またはピューロマイシンの用量を決定するために、これらの細胞株のそれぞれの抗生物質感受性をスクリーニングした。U937細胞、K562細胞、及び、300.19細胞のトランスフェクタントが、MS4A4A発現プラスミドのトランスフェクションと、抗生物質選択とをした後に生存可能であることが認められた。限界希釈でクローニングした後に、それぞれのクローンを生成し、そして、上記の方法論を使用して、フローサイトメトリーによって、ヒトMS4A4Aタンパク質細胞表面発現についてスクリーニングした。
これらの実験でのこれらの結果を、図2に示す。300.19細胞(図2A)、K562(図2B)、及び、U937(図2C)は、ヒトMS4A4Aをトランスフェクされ、そして、抗体5C12(Biolegend)で染色された。300.19細胞(図2D)、K562(図2E)、及び、U937(図2F)は、カニクイザルMS4A4Aをトランスフェクトされ、そして、フローサイトメトリーのために、実施例2で生成したハイブリドーマ上清で染色された。従来の市販試薬(5C12、4H2、3F2)では、カニクイザルMS4A4Aに対して結合しないので、これを使用した。図2のそれぞれのパネルでは、左側のトレースは、トランスフェクトしていない細胞に対応する;右側のトレースは、トランスフェクトした細胞に対応する。当該クローンは、抗生物質選択を受けているにもかかわらず、カニクイザルMS4A4AをトランスフェクトしたU937細胞以外は、すべてのクローンで、抗MS4A4A反応性について陽性であった。これらの結果は、本開示の抗MS4A4Aハイブリドーマ上清が、細胞の表面で発現したMS4A4Aに結合することができることを示している。次いで、上記で生成した安定的な細胞株を、マウスにおける細胞をベースとした免疫処置、及び、後述する後続のスクリーニング方法に使用した。
また、MS4A4Aノックアウト細胞株を作製して、結合及び機能の研究における陰性コントロールとして用いた。当該MS4A4A遺伝子をノックアウトしたU937細胞株を、当分野でApplied StemCell(Milpitas,CA,USA)が確立した方法を使用して、CRISPR/Cas9技術で生成した。MS4A4A遺伝子ノックアウトを有する2つの独立したU937細胞株を、その後の研究のために選択した。これらのノックアウト細胞株におけるMS4A4Aタンパク質の発現の欠如は、細胞を、40ng/mlのPMAで2日間分化させた後に、フローサイトメトリーで確認しており、これは、野生型細胞の表面でのMS4A4A発現を誘導する(データ示さず)。
実施例5:抗MS4A4Aハイブリドーマの一次スクリーニング
抗MS4A4Aハイブリドーマの最初のスクリーニングを、以下のように行った。まず、得られた706個のハイブリドーマ由来の組織培養上清を、トランスフェクトした細胞と比較して、(トランスフェクトしていない)親のHEK293細胞に対する結合の程度を比較することで、ヒトMS4A4AトランスフェクトHEK293細胞に対して特異的に結合する能力をスクリーニングした。実施例3に記載したものに改変を加えた製造業者のプロトコールに従って、リポフェクタミンシステムを使用して、MS4A4A発現細胞を、HEK293細胞の一過性トランスフェクションを介して産生した。スクリーニング実験全体の再現性を確保するために、トランスフェクトした細胞の大きなバンク(約1×109個)を、一過性トランスフェクションの単一のラウンドで準備し、そして、以降のすべてのスクリーニング実験のために等分して凍結した。
ハイブリドーマ細胞培養上清のスクリーニングのために、ヒトMS4A4AをトランスフェクトしたHEK293細胞を、96ウェルU底プレート(2×105個の細胞/ウェル)に等分し、そして、氷上で、50μLのハイブリドーマ細胞培養上清と、30分間インキュベートした。この一次インキュベーションの後に、遠心分離して上清を除去し、これらの細胞を、175μLの氷冷FACS緩衝剤(PBS+1%FBS+2mM EDTA)で2回洗浄し、さらに、氷上で、抗マウスIgG Fc−アロフィコシアニン(APC)(Jackson Labs,カタログ番号115−136−071)(1:200に希釈した)と、20分間、インキュベートした。この二次インキュベーションの後に、これらの細胞を、再び、氷冷FACS緩衝剤で2回洗浄し、そして、最終体積30μLのFACS緩衝剤+0.25μl/ウェルのヨウ化プロピジウム(BD Biosciences カタログ番号556463)に再懸濁した。細胞に関する結合強度を、FACS Cantoシステム(BD Biosciences)で分析し、ソートゲートを取り出して、ヨウ化プロピジウムに陽性を示す死滅した細胞を排除した。MS4A4A−トランスフェクタントと親のHEK293細胞とに関するAPC中央蛍光強度(MFI)の比率を、それぞれのハイブリドーマ上清について計算した。全部で47個のクローンについて、(トランスフェクトしていない)親のHEK293細胞に対する結合と比較して、MS4A4Aを一過性にトランスフェクトしたHEK293細胞に対する結合に1.5倍超の違いがあることが認められた。
前出の同定した陽性クローンを増殖し、次いで、ヒトMS4A4A、または、カニクイザルMS4A4Aを過剰発現しているHEK293細胞と、親のHEK293細胞とに対する特異性について改めてスクリーニングした。これらの実験は、最初の選択を行った後にさらに増殖させたハイブリドーマクローン由来の上清を使用して行った。すなわち、以前に準備を行って凍結保存した一過性にトランスフェクトした細胞を、氷上で、LIVE/DEAD Fixable Aqua Dead Cell Stain Kit(ThermoFisher Scientific L34957)で、30分間、標識した。PBSで洗浄した後に、2×105個の細胞を、96ウェルU底プレートのウェルごとに等分し、そして、50μlの培養上清と共に、氷上で、30分間インキュベートした。一次インキュベーションの後に、当該上清を、遠心分離で除去し、これらの細胞を、175μlの氷冷FACS緩衝剤(PBS+1%FBS+2mM EDTA)で2回洗浄した後に、1:200に希釈した抗マウスIgG Fc−APC(Jackson ImmunoResearch Labs,West Grove,PA,カタログ番号115−136−071)と共に、氷上で、20分間インキュベートした。この二次インキュベーションの後に、これらの細胞を、再び氷冷FACS緩衝剤で2回洗浄し、そして、最終体積200μlのFACS緩衝剤に再懸濁した。分析を、FACS Cantoシステム(BD Biosciences)で行い、ゲートを取り出して、死滅した(Aqua陽性)細胞を排除した。MS4A4A+/親のHEK293細胞に関するAPC MFIの比率を、それぞれのハイブリドーマについて計算を行い;これらの結果を、以下の表1に示す。陽性クローン(1.8以上の変化倍率)を、さらなる試験に供した。これらのクローンを、抗MS4A4A抗体4A−1〜4A−24と命名し、そして、以下のように、さらなる特徴決定を行った。
実施例6:MS4A4A細胞外ドメインに対応するペプチドに対して結合する抗MS4A4A抗体
酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して、ECL1(SEQ ID NO:1のヒトMS4A4Aのアミノ酸残基86〜98)、及び、ECL2(SEQ ID NO:1のヒトMS4A4Aのアミノ酸残基159〜179)に対応するMS4A4Aペプチドに対する結合について、抗MS4A4Aハイブリドーマ上清を試験した。要するに、96ウェルポリスチレンプレートを、1〜10μg/mlの非合成ペプチドまたはBSAコンジュゲートペプチドを含むコーティング緩衝剤(0.05M炭酸塩緩衝剤、pH9.6、Millipore Sigma C3041)にて、4℃で、一晩、コーティングした。次いで、コーティングしたプレートを、ELISA希釈剤(PBS+0.5% BSA+0.05% Tween20)で、1時間ブロックし、PBST(PBS+0.05% Tween20,Thermo カタログ番号28352)で、3×300μLで洗浄し、次いで、それらの抗体を、プレートに加えた(50μl/ml)。30分間のインキュベーション(室温で、震盪しながら)の後に、それらのプレートを、3×300μLのPBSTで洗浄した。二次抗マウスHRP抗体(Jackson Immunoresearch カタログ番号115−035−003)を、1:1000に希釈したELISA希釈剤(50μl/ウェル)に加え、そして、震盪しながら、室温で、30分間、インキュベートした。最終セットの(3×300μLのPBSTでの)洗浄の後に、50μLのTMB基質(BioFx TMBW−1000−01)を加え、次いで、この反応を、50μLの停止溶液(BioFx BSTP−1000−01)で、5〜10分後に、停止した。反応停止した反応ウェルを、GEN5 2.04ソフトウェアを使用して、BioTek Synergy Microplate Readerで、650nmの吸光度で検出した。
前出の同定した24個の抗MS4A4A陽性ハイブリドーマクローンのうち、17個のハイブリドーマクローン由来の上清は、無関係な陰性コントロールペプチドであるBSA−マウスDAP12と比較して、BSA−MS4A4A−ELC2ペプチドに対して強力な結合を示した。結合を示さないハイブリドーマクローンは、幾つかの要因、例えば、これらの抗MS4A4A抗体が、この方法論によってモデル化していない立体配座エピトープに結合し得る、または、これらの抗体が、ECL1とECL2の両方から作り出されるエピトープを認識し得る、ということで説明し得る。
一方で、この方法を用いてスクリーニングしたハイブリドーマクローンのいずれについても、ECL1に対する結合は検出されなかった。このことは、長さが21アミノ酸残基であるECL2と比較して、長さが13アミノ酸残基のECL1のサイズが小さいことに起因し得る。MS4A4Aが、4ヘリックスバンドルを形成する場合、より大きなECL2ドメインが、抗体結合に利用可能な露出した表面を支配し得る。本明細書で同定した特定の抗体は、ECL1及びECL2に位置するアミノ酸残基の組み合わせが形成したエピトープを認識しており、したがって、この方法論では検出されない可能性がある。
ELISA結合実験の結果を、以下の表2に示す。
実施例7:安定的にトランスフェクトした細胞株に関する抗MS4A4Aスクリーニング
また、最初の選択ラウンドで同定した抗ヒトMS4A4A抗体ハイブリドーマクローンを、ヒト骨髄細胞株K562及びU937、ならびに、マウス骨髄腫細胞株300.19で発現したMS4A4Aに結合する能力についてスクリーニングした。
フローサイトメトリーを、以下のようにして行った。すなわち、一過性にトランスフェクトした細胞を、氷上で、LIVE/DEAD Fixable Aqua Dead Cell Stain Kit(ThermoFisher Scientific カタログ番号L34957)で、30分間、標識した。PBSで洗浄した後に、これらの細胞上で豊富に発現しているFc受容体を介した非特異的結合を、1% BSA、33%ヒト血清(Sigma H4522)、及び、33%ヒトFcブロック(Invitrogen 14−9161−73)で細胞をインキュベートしてブロックした。2×105個の細胞を、96ウェルU底プレートのウェルごとに等分し、そして、50μlの培養上清と共に、氷上で、30分間インキュベートした。一次インキュベーションの後に、当該上清を、遠心分離で除去し、これらの細胞を、175μlの氷冷FACS緩衝剤(PBS+1%FBS+2mM EDTA)で2回洗浄した後に、1:200に希釈した抗マウスIgG Fc−APC(Jackson ImmunoResearch Labs,West Grove,PA,カタログ番号115−136−071)と共に、氷上で、20分間インキュベートした。この二次インキュベーションの後に、これらの細胞を、再び氷冷FACS緩衝剤で2回洗浄し、そして、最終体積200μlのFACS緩衝剤に再懸濁した。分析を、FACS Cantoシステム(BD Biosciences)で行い、ゲートを取り出して、死滅した(Aqua陽性)細胞を排除した。
ヒトMS4A4Aを一過性にトランスフェクトした300.19細胞、及び、カニクイザルMS4A4Aを一過性にトランスフェクトした300.19細胞に対して結合する抗MS4A4A抗体についてのこのFACS分析の結果を、図3に示す。ヒトMS4A4Aを一過性にトランスフェクトしたU937細胞に対して結合する抗MS4A4A抗体の結果を、図4に示す。試験した抗体のうち、24個のすべての抗MS4A4A抗体が、これらの一過性にトランスフェクトした細胞株に提示したヒトMS4A4Aに結合した。さらに、24個の抗MS4A4A抗体のうち、19個がヒトMS4A4AとカニクイザルMS4A4Aの両方に交差反応をしており、さらに3個の抗MS4A4A抗体が多少なりとも結合反応性を示す、ことが明らかとなった。市販の抗MS4A4A抗体5C12、3F2、及び、4H2は、カニクイザルMS4A4A交差反応性を示さなかった。ヒトMS4A4AまたはカニクイザルMS4A4Aをトランスフェクトした細胞に対する結合の交差反応性を示した抗体のリストを、以下の表3に示す。
実施例8:抗MS4A4Aハイブリドーマ抗体の分子クローニング
上記のハイブリドーマから得た抗MS4A4A抗体を、以下のようにしてクローニングした。5×105個のハイブリドーマ細胞を、0.5ml Trizol溶液(Thermo Fisher Scientific,カタログ番号15596026)に再懸濁した。クロロホルム抽出、及び、エタノール沈殿で、全RNAを、細胞から抽出した。ClontechのSMARTer(登録商標)RACE5’/3’キット(Takara Bio USA Inc,カタログ番号634859)を使用して、製造業者のプロトコールに従って、cDNAを、細胞から抽出した。
RACEキットに提供した5’UPMプライマー、及び、重鎖定常領域プライマー(5’−AGCTGGGAAGGTGTGCACA−3’)[SEQ ID NO:140]と、軽定常領域プライマー(5’−CCATTTTGTCGTTCACTGCCA−3’)[SEQ ID NO:141]とを使用するタッチダウンPCRによって、可変重免疫グロブリン領域と、軽免疫グロブリン領域とを個別にクローニングした。
PCR産物を、QIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN,カタログ番号28106)で精製し、そして、pCR2.1(登録商標)−TOPO(登録商標)クローニングベクター(TOPO(登録商標)TAクローニングキット、Invitrogen)に結合し、そして、ONESHOT(登録商標)TOP10コンピテント細胞を形質転換した。
形質転換した大腸菌(Escherichia coli)(E.coli)コロニーを単離し、そして、対応するハイブリドーマ細胞株ごとに、可変重鎖(VH)、及び、可変軽鎖(VL)の核酸の配列決定を行った。配列決定に続いて、可変重鎖領域、及び、可変軽鎖領域を、エンドヌクレアーゼ制限部位(HVに関してはBsrGIとBstEII、LVに関してはBssHIIとBsiWI)を含むプライマーを使用して、PCRで増幅を行い、そして、ヒトIgG1、及び、IgGKを、それぞれコードするpJG哺乳動物発現ベクター(Alector Inc.)にサブクローニングした。
実施例9:抗体重鎖及び軽鎖可変ドメイン配列
生成した24個の抗体のうち、21個に関して、標準的な技術を使用して、生成した抗体の軽鎖可変領域、及び、重鎖可変領域をコードするアミノ酸配列を決定した。これらの抗体のKabat軽鎖CDR配列、及び、重鎖CDR配列を、以下の表4Aに示す。これらの抗体の軽鎖可変領域、及び、重鎖可変領域の配列を、以下の表4Bに示す。
実施例10:組換え抗MS4A4A抗体の産生
精製したハイブリドーマ由来の抗MS4A4A抗体を、それらのハイブリドーマを低IgG培地、または、化学的に定義した培地で培養した後に、ハイブリドーマ上清由来のプロテインAを使用して精製する。ヒトFcドメイン(ヒトIgG1)を含有するキメラ抗体の産生のための組換え発現プラスミドに、それらのハイブリドーマから得た可変遺伝子領域を直接的にクローニングすることで、一部の抗MS4A4A抗体も産生する。当該発現プラスミドを、一過性にExpi293細胞にトランスフェクトし、そして、得られた抗MS4A4A抗体を、プロテインAを介して精製する。
抗MS4A4A抗体の組換え産生は、以下のようにして行う。当該抗MS4A4A抗体VH及びVL鎖をコードする核酸を含む発現プラスミドのトランスフェクションを、製造業者のプロトコールに従って、Expifectamine−293システム(ThermoFischerScientific カタログ番号A14524)を使用して実行する。要するに、それぞれの抗MS4A4A抗体に関して、12μgの軽鎖プラスミドDNA、及び、18μgの重鎖プラスミドDNAを、80μLのExpifectamine試薬を加えた1.5mL OptiMEM(ThermoFischerScientific カタログ番号31985070)で希釈する。得られた溶液を混合し、そして、室温で、30分間、インキュベートした後に、125mLのフラスコ(Fischer Scientific FIS#PBV12−5)内にある30mLのExpi293細胞(ThemoFischerScientific A14527)を含むExpi293発現培地(ThermoFischerScientific カタログ番号A1435101)を加える。トランスフェクションの前に、トランスフェクトされる細胞を、約3×10∧6細胞/mlにまで培養する。Expi293細胞の培養条件は、37℃/8% CO2にて、125rpmでのオービタル震盪である。トランスフェクションの16〜24時間後に、150μLのExpiFectamine(商標)293トランスフェクションエンハンサー1、及び、1.5mLのExpiFectamine(商標)293トランスフェクションエンハンサー2を、それぞれのフラスコに加えて、組換え抗体の収量を向上させる。トランスフェクションの5〜7日後に、培養上清を回収し、濾過(0.2マイクロメートル)し、そして、プロテインAクロマトグラフィーで精製する。
実施例11:抗MS4A4A抗体の動力学的特徴決定
MS4A4A ECL1及びECL2、ならびに、MS4A4A ECL1及びECL2ペプチドに対する抗MS4A4A抗体の結合動力学的特徴を、以下のようにして、独自のアレイ表面プラズモン共鳴(SPR)装置(MX−96)を使用して、Carterra(South San Francisco,CA)で決定した。Continuous Flow Microspotter(CFM)を使用して、抗体を、CMD500Dチップ(Xantec #SPMXCMD500D)に捕捉した。まず、このチップを、100mM MES、pH5.5、100μL EDC(最終濃度133mM)、100μLのS−NHS(最終濃度33.3mM)を用いて、7分間かけて活性化した。抗マウスIgG−Fcのローン(Jackson ImmunoResearch カタログ番号115−005−071)を、15分間かけて注射して、10000〜12000RUの表面密度を確立した後に、チップ表面を、1Mエタノールアミン、pH8.5で、10分間かけて不活性化した。抗MS4A4Aハイブリドーマ上清、または、精製した抗MS4A4A抗体を、HBS−EP+緩衝剤(Teknova カタログ番号H8022)で希釈し、次いで、同じ試料溶液から20分間と5分間の印刷でもってして2重に印刷した。
動力学的分析を実行するために、ECL1(SEQ ID NO:1のヒトMS4A4Aのアミノ酸残基86〜98)、及び、ECL2(SEQ ID NO:1のヒトMS4A4Aのアミノ酸残基159〜179)に対応するヒトMS4A4Aペプチド、または、ECL1に対応するヒトMS4A6Aペプチド(SEQ ID NO:291のヒトMS4A6Aのアミノ酸残基68〜85)、及び、ECL2に対応するヒトMS4A6Aペプチド(SEQ ID NO:291のヒトMS4A6Aのアミノ酸残基138〜185)を、2000nM、400nM、80nM、16nm、及び、3.2nMの最終アッセイ濃度で、1mg/mlBSAを含むHBS−EP+緩衝剤で調製した。次に、これらを、チップに5分間かけて注入した後に、非再生的な動力学的シリーズで、毎秒8uLで、7分間の解離時間を設けた。再現性を確保するために、それぞれの抗MS4A4A抗体の重複測定を行った。結合速度(Kon)と解離速度(Koff)は、単一の1対1のラングミュア結合モデルを使用して計算した。平衡解離定数(KD)を、Koff/Konの比率として計算した。
本開示での24個のハイブリドーマ上清、及び、試験した3つの市販のマウス抗MS4A4A抗体(5C12、4H2、及び、3F2)のうち、抗MS4A4A抗体4A−21は、上記の方法を使用して、ヒトMS4A4A ECL2ペプチドに対する結合を示した。これらの実験で抗MS4A4A抗体4A−21について決定した速度定数は、Kon((M−1 s−1)、2.5E+05;Koff(s−1)、7.8E−03;及び、31nMのKDであった。上記の方法論を使用すると、試験したその他の抗MS4A4A抗体は、MS4A4A ECL1、MS4A6A ECL1、または、MS4A6A ECL2ペプチドに結合しなかった。
実施例12:一過性かつネイティブに発現する細胞株に対するMS4A4A抗体の親和性測定
精製した抗MS4A4A抗体を、様々なMS4A4A発現細胞株に対する、それらの結合親和性について評価をする。これらには、実施例8に記載したトランスフェクトした細胞、ならびに、MS4A4Aを内因的に発現する骨髄細胞株、及び、初代細胞がある。試験する抗MS4A4A抗体は、ハイブリドーマ上清から精製したマウスIgG、または、Expi293細胞において組換え産生したヒトIgG1 Fcキメラである。細胞に対する親和性結合は、以下のように決定する。要するに、細胞を回収し、洗浄し、そして、Aqua Live/Deadで標識をして、生存を識別する。PBSで洗浄をした後に、2×10∧5個の細胞を、96ウェルU底プレートのウェルごとに等分し、そして、様々な濃度(10μg/mlから始める3倍希釈)の50μLの精製した抗MS4A4A抗体を含むFACS緩衝剤(PBS+2%FBS+1mM EDTA)で、インキュベートする。一次インキュベーションの後に、遠心分離で上清を除去し、150μLの氷冷FACS緩衝剤で細胞を2回洗浄し、そして、適切な二次抗体と、氷上で、30分間、インキュベートする。二次インキュベーションの後に、これらの細胞を、再び氷冷FACS緩衝剤で2回洗浄し、そして、最終体積が200μLであるFACS緩衝剤に再懸濁する。フローサイトメトリー分析を、FACS Cantoシステム(BD Biosciences)で行う。結合データを、蛍光強度の中央値を使用して分析し、そして、曲線を、Prism(非線形回帰:4つのパラメーターを使用したlog阻害剤対用量反応)にあてはめて、EC50値を決定した。
実施例13:ペプチド結合による抗MS4A4A抗体のエピトープ決定
抗MS4A4A抗体のエピトープ結合の特徴を、2つの相補的手法で決定する。まず、ヒトMS4A4A(SEQ ID NO:1)、及び、ヒトMS4A6A(SEQ ID NO:291)の細胞外ループ(ECL)に由来する重複ペプチドのパネルを、JPTペプチド(Berlin,Germany)で合成した。これらのペプチドは、15個のアミノ酸の長さであり、それぞれに、2個のアミノ酸を補った。これらのペプチドを、N末端でビオチン化した。ペプチド4A.1〜4A.4は、ヒトMS4A4A ECL1と、その周辺領域に由来するものであった。ペプチド4A.5〜4A.12は、ヒトMS4A4A ECL2と、その周辺領域に由来するものであった。本開示の抗MS4A4A抗体、及び、市販の抗MS4A4A抗体を、独自のアレイSPR機器(MX−96)を使用して、Carterra(South San Francisco,CA,USA)で、様々な線状ペプチドに対する結合について試験した。
当該ペプチドライブラリーを、Continuous Flow Microspotter(CFM)を使用して、ストレプトアビジンでコーティングしたチップ(Xantec SAD50M,Dusseldorf,Germany)に印刷した。まず、このチップを、100mM MES、pH5.5、100μL EDC(最終濃度133mM)、100μLのS−NHS(最終濃度33.3mM)を用いて活性化した。当該ペプチドライブラリーを、1mg/ml BSA、及び、1μg/mlマウスIgG−ビオチンを含むHBS−EP+緩衝剤(Teknova カタログ番号H8022)で希釈した250nM/ペプチドで、チップに固定化した。固定化の後に、当該チップの表面を、1Mエタノールアミンで、pH8.5で、10分間かけて不活性化した。ハイブリドーマ上清、及び、精製した抗MS4A4A抗体を、1mg/ml BSAを含むHBS−EP+緩衝剤で希釈し、そして、チップに注入した。再現性を確保するために、それぞれの抗MS4A4A抗体の重複測定を行った。それぞれのペプチド−抗体の組み合わせに対して結合の特徴決定を行い、それぞれの抗体が相互作用する線形ペプチド領域のマッピングを可能にする。
抗MS4A4A抗体4A−21、及び、市販の抗MS4A4A抗体5C12は、以下の表5において太字で示したように、ヒトMS4A4A ECL2の領域に対応するペプチドに対して強固な結合を示した。抗MS4A4A抗体4A−21は、ペプチド4A.5〜4A.9に結合し、ヒトMS4A4Aのアミノ酸残基155〜177に及ぶ。抗MS4A4A抗体5C12は、ペプチド4A.6〜4A.9に結合し、ヒトMS4A4Aのアミノ酸残基157〜177に及ぶ。これら2つの抗体の結合領域は、重複しているが同一ではなく、ヒトMS4A4AのECL2内での異なる残基と相互作用することを示している。これらの2つの抗体のいずれも、上記の方法論を使用しても、ヒトMS4A4A ECL1に対する結合を示さなかった。
一部の抗MS4A4A抗体は、不連続なエピトープに結合する。Pepscan(Lelstad,The Netherlands)は、そのようなエピトープに対処するようにデザインした、CLIPSとして知られている技術を開発した。この技術では、三次構造模倣物のライブラリーをデザインし、そして、固体支持体にて合成を行う。これらの模倣物は、ループ、アルファヘリックス、及び、ベータ鎖などのタンパク質の二次構造要素をモデル化することができる。それぞれのペプチド構築物に対する抗体の結合を決定し、そして、定量する。当該ライブラリーに対する結合の程度は、所定の抗体が相互作用する領域、したがって、そのエピトープを示す。
実施例14:細胞結合による抗MS4A4A抗体のエピトープビニング
MS4A4Aは、複数回膜貫通タンパク質であるので、組換え産生した可溶性タンパク質は、抗体:タンパク質相互作用を調べる好適な試薬にはならない。抗MS4A4A抗体は、修正した古典的なサンドイッチ法を使用してビニングする。例えば、抗体AとBが同じビンにあるか否かを判断するために、まず、MS4A4Aを発現する細胞を、飽和レベルの抗MS4A4A抗体Aでインキュベートする。FACS緩衝剤で洗浄した後に、フルオロフォアアロフィコシアニン(APC)で標識した抗MS4A4A抗体Bを細胞に対して加えて、氷上で、15分間インキュベートする。これらの細胞を、FACS Cantoシステム(BD Biosciences)で分析し、ゲートを取り出して、死滅した細胞を排除する。抗MS4A4A抗体Aの存在下または非存在下での抗MS4A4A抗体Bの結合レベルを比較する。抗MS4A4A抗体Aの存在下での結合の低減または消失は、これら2つの抗体の間の競合を示す。この手順は、その他の抗MS4A4A抗体に対しても反復して行えるので、抗MS4A4A抗体パネル全体をビニングする。
実施例15:抗MS4A4A抗体によるMS4A4Aタンパク質のダウンレギュレーション
様々な細胞株及び初代細胞におけるMS4A4Aの細胞表面、及び、総細胞タンパク質レベルを低減する抗MS4A4A抗体の能力を評価する。いずれかの区画でのMS4A4Aタンパク質の減少は、細胞内のMS4A4A活性の低減を示す。
細胞を、本開示の抗MS4A4A抗体と共に、様々な時間をかけてインキュベートし、次いで、FACS(細胞表面)、または、ウエスタンブロット(総タンパク質レベル)のいずれかで、細胞に関連するMS4A4Aタンパク質の残存レベルをアッセイする。FACSアッセイでは、残余のMS4A4Aの検出は、アロフィコシアニン(APC)が直接にコンジュゲートした非競合抗体を用いて行う。ウェスタンブロット検出では、細胞を、50μLの溶解緩衝剤(RIPA溶解緩衝剤(ThermoFischerScientific カタログ番号89900)+1:100 HALTプロテアーゼ阻害剤カクテル(ThermoFischerScientific カタログ番号87786)を添加することにより溶解し、そして、14,000xgで、15分間、遠心分離して不溶性の破片を除去する。可溶性画分を、タンパク質定量のために、ビシンコニン酸(BCA)試薬でアッセイする。それぞれの試料から得た等量のタンパク質を、4〜12% Bis−Tris Plusポリアクリルアミドゲル(ThermoFisher Scientific NW04120)にロードし、電気泳動分離を行った後に、当該ゲルでのタンパク質を、iBlot2(ThermoFisher Scientific IM21001)、及び、Transfer Stacks(ThermoFisher Scientific IB24002)を使用して、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)膜に転写する。この膜を、1%ウシ血清アルブミン、または、5%脱脂乳でブロックして、非特異的結合を防ぐ。次に、この膜を、独自の、または、市販の検出抗体とインキュベートし、洗浄して、HRP結合二次抗体(ウサギ、Abcam#205718、マウス、Abcam#205719)とインキュベートする。SuperSignal West Pico Plus化学発光基質(ThermoFisherScientific カタログ番号34577)で現像して結合を視覚化し、そして、iBright FL1000(ThermoFisher Scientific A32752)、または、その他の互換システムでデジタル記録する。
実施例16:抗MS4A4A抗体が誘発する細胞内シグナル伝達
MS4A4Aは、細胞表面分子として、細胞外シグナルとの細胞の相互作用に、直接的または間接的に関与し得る。MS4Aファミリーのその他の分子は、表面受容体複合体の成分であり、また、シグナル伝達を調節することが示されている。
MS4A4Aのトポロジーは、原形質膜を横断する束ねたバレルを形成することで、イオンチャネルとして機能する能力があることが示唆されている。カルシウムは、そのようなイオンチャネルの一般的な第2のメッセンジャーである。抗MS4A4A抗体が、細胞株及び初代細胞において、カルシウム流入を誘導する可能性について、以下のように調査をする。カルシウム感受性色素(例えば、Fura−2、Indo−1、または、Fluo−4(ThermoFisher Scientific))を、MS4A4Aを発現する細胞に担持させる。次いで、細胞を、抗MS4A4A抗体と共に、30分までインキュベートし、そして、蛍光レベルを、フローサイトメーター、蛍光顕微鏡、または、蛍光分光計でモニターする。
MS4A4Aは、その他の細胞シグナル伝達事象も、直接的または間接的に調節し得る。タンパク質のリン酸化/脱リン酸化は、細胞内シグナル伝達に関連するメカニズムである。MS4A4Aには、公知のプロテインキナーゼモチーフが含まれていないので、キナーゼ、または、ホスファターゼ自体でない可能性はあるが、MS4A4Aは、その他のシグナル伝達分子との相互作用を介して、下流のリン酸化、または、脱リン酸化事象を調節し得る。このことを調べるために、MS4A4Aを発現する細胞株及び初代細胞を、抗MS4A4A抗体とインキュベートする。様々な処理時点で、細胞を回収し、細胞内タンパク質のセリン/スレオニンリン酸化、または、チロシンリン酸化について、ウエスタンブロッティングで分析する。ウェスタンブロット検出では、細胞を、50μLの溶解緩衝剤(RIPA溶解緩衝剤(ThermoFischerScientific カタログ番号89900)+1:100 HALTプロテアーゼ阻害剤カクテル(ThermoFischerScientific カタログ番号87786))を添加することにより溶解し、そして、14,000xgで、15分間、遠心分離して不溶性の破片を除去する。可溶性画分を、タンパク質定量のために、ビシンコニン酸(BCA)試薬でアッセイする。それぞれの試料から得た等量のタンパク質を、4〜12% Bis−Tris Plusポリアクリルアミドゲル(ThermoFisher Scientific NW04120)にロードし、電気泳動分離を行った後に、当該ゲルでのタンパク質を、iBlot2(Thermo FisherScientific IM21001)、及び、Transfer Stacks(ThermoFisher Scientific IB24002)を使用して、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)膜に転写する。この膜を、1%ウシ血清アルブミン、または、5%脱脂乳でブロックして、非特異的結合を防ぐ。次に、この膜を、セリン/スレオニンリン酸化、または、チロシンリン酸化に対する、独自の、または、市販の検出抗体とインキュベートする。次いで、膜を洗浄し、そして、HRP結合二次抗体(ウサギ、Abcam#205718、マウス、Abcam#205719)とインキュベートする。SuperSignal West Pico Plus化学発光基質(ThermoFisher Scientific 番号34577)で現像して結合を視覚化し、そして、iBright FL1000(ThermoFisher A32752)、または、その他の互換システムでデジタル記録する。
MS4A4Aは、細胞外リガンドに直接に関与せず、原形質膜の受容体タンパク質複合体のその他の細胞受容体に影響を及ぼし得る。例えば、MS4A4Aは、トール様受容体(TLR)、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体、スカベンジャー受容体、骨髄細胞1または2で発現するトリガー受容体、CD33、Siglecファミリー、もしくは、CD200、Fc受容体などの阻害受容体、または、骨髄細胞またはミクログリア細胞の機能を調節するその他の細胞表面受容体と、タンパク質複合体を形成し得る。このことを実験で調べるために、MS4A4Aを発現する細胞株と初代細胞を、これらの受容体の同族リガンドと抗MS4A4A抗体の両方と共結合させる。カルシウム動員やタンパク質リン酸化などの下流のシグナル伝達事象は、上記のようにして調べる。加えて、遺伝子発現の変化を、RT−PCR、または、RNASeqまたはマイクロアレイなどのグローバルプロファイリング法により分析する。
実施例17:MS4A4Aと結合パートナーとの間の相互作用の特徴決定
MS4A4Aと様々な結合パートナーとの相互作用のブロックするための抗MS4A4A抗体の使用を試験し得る。インビボでMS4A4Aと相互作用するタンパク質については、ほとんど知見が無い。このような結合パートナーを同定するために、本開示の抗MS4A4A抗体を使用して、MS4A4Aを、骨髄細胞株、及び、初代細胞から免疫沈降する。免疫沈降物を、タンデム質量分析に供し、MS4A4Aタンパク質と共沈したタンパク質を同定する。一旦同定が行われると、この相互作用を、ウェスタンブロット、または、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)分析で確認する。あるいは、MS4A4Aを発現する細胞株に抗MS4A4A抗体を投与し、次いで、共局在または蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)のいずれかの読み出しを使用して、MS4A4Aと潜在的な結合パートナーの両方を染色する。
実施例18:骨髄細胞の代謝、生物学、及び機能に対する抗MS4A4A抗体の効果の特徴決定
CNSのミクログリアなどの骨髄細胞にあるその標的に対する抗MS4A4A抗体が関与する下流後遺症は、例えば、単球由来マクロファージ、及び、樹状細胞などの骨髄細胞株、及び、初代細胞の培養物を、モデルシステムとして使用して詳細に調べる。これらの細胞は、それらの機能がインビトロで定期的に研究されているので、骨髄細胞の生物学の調査で広範に用いられている。これらの機能として、エネルギー代謝、サイトカイン産生、食作用、細胞表面分子発現、分極、移動、及び、抗原提示がある。
要するに、MS4A4Aを発現する細胞を、抗体がそれらの細胞標的にインビボで提示される様々な方法で模倣するプレート結合、可溶性、または、事前複合化形式で提示する抗MS4A4A抗体とインキュベートする。インキュベーションの条件と時間は、分析する読み取り値に依存するが、一般的には、1時間から7日間である。インキュベーションした後に、細胞を回収し、そして、mRNAまたはタンパク質分析のために溶解することができる。これらの細胞を、細胞表面分子発現のためにフローサイトメトリー分析にも供する。代謝研究では、細胞を、CellTiter−Glo(Promega)、または、その他の互換性のある試薬とインキュベートして、細胞内のATP含有量、または、細胞生存能力のその他のパラメーターを測定する。培養上清を回収し、そして、ELISAまたはその他の同様の方法に供して、処理した細胞によって、サイトカイン、ケモカイン、及び、その他の分子の分泌を測定する。処理した細胞の食作用能力は、ラテックスビーズ、細菌または真菌粒子などの蛍光標識した基質、及び、A−ベータ、タウ、または、プリオン分子などのタンパク質の凝集粒子を細胞に供給して決定する。細胞の移動は、マクロファージスクラッチアッセイ(Liang et.al.,Nature Protocols 2007;2(2):329)、または、トランスウェルアッセイ(Corning,Corning,NY,USA)で決定する。
実施例19:老化、発作、脊髄損傷、網膜ジストロフィー、前頭側頭型認知症、及び、アルツハイマー病の動物モデルを用いる抗MS4A4A抗体の活性の特徴決定
前出の説明の通り、老化、発作、脊髄損傷、網膜ジストロフィー、前頭側頭型認知症、及び、アルツハイマー病などの動物モデルにおいて、抗MS4A4A抗体の治療上の有用性も試験することができる(例えば、Beattie,MS et al.,(2002)Neuron 36,375−386;Volosin,M et al.,(2006)J.Neurosci.26,7756−7766;Nykjaer,A et al.,(2005)Curr.Opin.Neurobiol.15,49−57;Jansen,P et al.,(2007)Nat.Neurosci.10,1449−1457;Volosin,M et al.,(2008)J.Neurosci.28,9870−9879;Fahnestock,M et al.,(2001)Mol.Cell Neurosci.18,210−220;Nakamura,K et al.,(2007)Cell Death.Differ.14,1552−1554;Yune,T et al.,(2007)Brain Res.1183,32−42;Wei,Y et al.,(2007)Neurosci.Lett.429,169−174;Provenzano,MJ et al.,(2008)Laryngoscope 118,87−93;Nykjaer,A et al.,(2004)Nature 427,843−848;Harrington,AW et al.,(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.101,6226−6230;Teng,HK et al.,(2005)J.Neurosci.25,5455−5463;Jansen,P et al.,(2007)Nat.Neurosci.10,1449−1457;Volosin,M et al.,(2008)J.Neurosci.28,9870−9879;Fan,YJ et al.,(2008)Eur.J.Neurosci.27,2380−2390;Al−Shawi,R et al.,(2008)Eur.J.Neurosci.27,2103−2114;及び、Yano,H et al.,(2009)J.Neurosci.29,14790−14802)。
実施例20:腫瘍学用動物モデルを用いる抗MS4A4A抗体の効果の特徴決定
骨髄系細胞は、大部分の固形腫瘍に存在する免疫細胞の主成分である。腫瘍生物学におけるそれらの役割は状況依存的であり、そのような細胞は、腫瘍の根絶において重要な役割を果たす可能性があるが、それらは、大抵の場合、宿主腫瘍による吸収を受けて、腫瘍促進表現型の提供を補助する。このことは多くの場合、骨髄細胞が、M2表現型へ分極することで達成することができ、また、これは、一般的には、免疫抑制性であるので、当該免疫系が、当該腫瘍を根絶するのを阻止する。抗MS4A4A抗体は、骨髄細胞の再分極を介して、この免疫抑制表現型を逆転させ、そして、抗腫瘍免疫応答を促し得る。
数多くの動物腫瘍モデルが存在する。関連する動物モデルの例として、NSGマウス(Jackson Laboratory,Bar Harbor,Maine)に代表される、マウスの免疫システムを遺伝的に欠失したヒト化マウスモデルがある。これらのマウスは、ヒト免疫細胞の受容宿主として機能し、ヒトの適応性、及び、自然免疫細胞の生着をもたらす。次いで、これらの動物に対して、通常は、脇腹の皮下に腫瘍細胞を接種する。経時的な腫瘍サイズは、腫瘍細胞の成長と、宿主免疫系によるそれらの根絶との間のバランスを表す。治療期間全体を通して、これらの動物を抗MS4A4A抗体で治療すると、アイソタイプ治療した動物と比較して、腫瘍の進行を修正する。治療期間の終わりに、腫瘍を抽出し、そして、様々な分析を行って、腫瘍細胞及び浸潤免疫細胞に対する抗MS4A4A抗体の効果を決定する。腫瘍を、切片にし、スライドに載置し、顕微鏡下で組織学的変化を分析することができる。mRNAを、RT−PCR、RNASeq、または、マイクロアレイで分析して、遺伝子発現の変化を決定することができる。腫瘍及び浸潤性免疫細胞の単一細胞懸濁液を調製し、様々な細胞表面マーカーに対する抗体で染色し、そして、フローサイトメトリーで分析すると、特に、マクロファージやT細胞などの免疫細胞における細胞表面表現型の変化を表すことができる。これらの分析のいずれかにおいて、抗MS4A4A処理の結果として認められた変化は、これらの抗体の免疫調節機能を示す。
実施例21:さらなる抗MS4A4Aハイブリドーマ抗体の生成
さらなる抗MS4A4A抗体を、前出の実施例1〜4に記載した方法に以下の改変を加えた方法で、細胞とDNA免疫処置法との組み合わせを使用して取得した。Sigma Adjuvant System(Millipore Sigma−Aldrich,Burlington,MA)の有無に関係なく、PBSで希釈したヒト、または、カニクイザルのMS4A4Aを安定的に過剰発現する300.19マウスプレ−B細胞を、それぞれ、Balb/cマウス(Jackson Laboratory,Bar Harbor,ME)に対して、1500万個の細胞を用いて、毎週、腹腔内でブーストした。細胞の注射を4回した後に、乳酸リンゲル液で希釈したmGM−CSF DNAを含む全長のヒトまたはカニクイザルMS4A4Aをコードする50μgのプラスミドDNAのそれぞれを、マウスに対して毎週2回注射した。マウスに対して、ヒトまたはカニクイザルのMS4A4Aを安定的に過剰発現する300.19細胞を用いて最後のブーストを行い、そして、3日後に、マウスから脾臓とリンパ節を採取した。
マウスから得た血清を、ヒトまたはカニクイザルのMS4A4Aを安定的に過剰発現している300.19及びK562細胞を使用して、FACS分析で、MS4A4Aに対する反応性について分析した。FACSで血清と細胞との強力な結合を示したマウスの脾細胞を、電気融合(ECM2001,BTX,Holliston,MA)を介して、P3X63Ag8.653(CRL−1580,American Type Culture Collection,Rockville,MD)、または、SP2/mIL−6(CRL−2016,American Type Culture Collection,Rockville,MD)マウス骨髄腫細胞と融合させ、そして、37℃、5%CO2で、一晩、Clonacell−HY Medium C(StemCell Technologies,Vancouver,BC,Canada)でインキュベートした。
翌日、融合細胞を遠心分離し、そして、抗マウスIgG Fc−FITC(Jackson Immunoresearch,West Grove,PA)を含む10mlのClonaCell−HY Medium Cに再懸濁し、次いで、メチルセルロースを主成分とし、HATコンポーネントを含む、90mlのClonaCell−HY Medium D(Stemcell Technologies)と穏やかに混合した。これらの細胞を、Nunc OmniTrays(Thermo Fisher Scientific,Rochester,NY)に置き、37℃、5%CO2で、7日間増殖させた。蛍光コロニーを選択し、そして、Clonepix 2(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)を使用して、Clonacell−HY Medium E(StemCell Technologies)を含む96ウェルプレートに移した。6日後に、後述するようにして、ハイブリドーマ由来の組織培養上清を、ヒトMS4A4Aの全長を過剰発現する300.19、K562、及び/または、U937細胞に対するFACSでスクリーニングした。この免疫処置で、合計で、1387個のハイブリドーマクローンを生成した。
実施例22:抗MS4A4Aハイブリドーマのスクリーニング
前出の実施例21に記載したようにして得た抗MS4A4Aハイブリドーマの最初のスクリーニングを、以下のようにして行った。まず、1387個のハイブリドーマクローン由来の組織培養上清を、トランスフェクトした細胞と比較して、親のU937、K562、及び/または、300.19細胞に対する結合の程度を比較することで、U937、K562、及び/または、300.19を安定的に発現するヒトMS4A4Aに特異的に結合する能力についてスクリーニングした。
ハイブリドーマ細胞培養上清をスクリーニングするために、それぞれの細胞株を色素で標識して、独自の蛍光バーコードを作成する多重FACSを使用した。要するに、ヒトMS4A4Aを発現している親のU937、K562、及び/または、300.19細胞を、500nMのCellTraceバイオレット色素(ThermoFisher、カタログ番号C34557)、6nMもしくは200nMのCellTrace CFSE色素(ThermoFisher、カタログ番号C34570)、または、これら二つの組み合わせで、製造業者のプロトコールに従って染色した。標識した細胞を洗浄して遊離色素を除去した後に、これらの細胞上で豊富に発現されているFc受容体を介した非特異的結合を、これらの細胞を、1%BSA、33%ヒト血清(Sigmaカタログ番号H4522)、及び、33%ヒトFcブロック(Invitrogenカタログ番号14−9161−73)とインキュベートすることでブロックした。細胞を、96ウェルのU底プレート(8×104個の細胞/細胞株/ウェル)に等分し、そして、50μLのハイブリドーマ細胞培養上清と、氷上で、30分間、インキュベートした。この一次インキュベーションの後に、遠心分離をして上清を除去し、細胞を、175μLの氷冷FACS緩衝剤(PBS+1% FBS+2mM EDTA)で2回洗浄し、さらに、氷上で、抗マウスIgG Fc−アロフィコシアニン(APC)(Jackson Labs、カタログ番号115−136−071)(1:1000の希釈物)と共に、20分間、インキュベートした。この二次インキュベーションの後に、これらの細胞を、再び、氷冷FACS緩衝剤で2回洗浄し、そして、最終体積100μLのFACS緩衝剤に再懸濁した。細胞への結合強度を、FACS Cantoシステム(BD Biosciences)で分析し、ソートゲートを取り出して、それぞれの細胞株を、独自の蛍光バーコードで区別した。MS4A4Aトランスフェクタントと親細胞のAPC平均蛍光強度(MFI)の比率を、それぞれのハイブリドーマ上清について計算した。合計で121個のクローンが同定されており、(トランスフェクトしていない)親の細胞に対する結合と比較して、MS4A4Aを安定的にトランスフェクトした細胞に対する結合では2.2倍を超える差異が認められた。
実施例23:抗MS4A4Aハイブリドーマの二次スクリーニング
前出の実施例22で同定した陽性クローンを増殖し、次いで、ヒトMS4A4A、または、カニクイザルMS4A4A、及び、親のU937、K562、及び/または、300.19細胞を安定的に過剰発現するU937、K562、及び/または、300.19細胞に対する特異性について改めてスクリーニングした。これらの実験は、最初の選択を行った後にさらに増殖させたハイブリドーマクローン由来の上清を使用して行った。要するに、安定的にトランスフェクトした細胞を、氷上で、LIVE/DEAD Fixable Aqua Dead Cell Stain Kit(ThermoFisherScientific カタログ番号L34957)で、30分間、標識した。PBSで洗浄した後に、これらの細胞上で豊富に発現するFc受容体を介した非特異的結合を、細胞を1%BSA、33%ヒト血清(Sigma カタログ番号H4522)、及び、33%ヒトFcブロック(Invitrogenカタログ番号14−9161−73)とインキュベートしてブロックした。2×105個の細胞を、96ウェルのU底プレートに等分し、そして、50μlの培養上清と、氷上で、30分間、インキュベートした。この一次インキュベーションの後に、遠心分離をして上清を除去し、細胞を、175μlの氷冷FACS緩衝剤(PBS+1%FBS+2mM EDTA)で2回洗浄し、そして、氷上で、1:1000に希釈した抗マウスIgG Fc−APC(Jackson ImmunoResearch Labs,West Grove,PA,カタログ番号115−136−071)と共に、20分間、インキュベートした。この二次インキュベーションの後に、これらの細胞を、再び、氷冷FACS緩衝剤で2回洗浄し、そして、最終体積200μlのFACS緩衝剤に再懸濁した。FACS Cantoシステム(BD Biosciences)で分析を行い、ゲートを取り出して、死滅した(Aqua陽性)細胞を排除した。
APC比は、それぞれの抗体に関して、以下のように算出した。親(Par)の細胞株に関しては、測定した結合と、無関係な精製マウスIgG抗体を使用して認められた結合とを比較して、抗MS4A4A抗体の結合比を計算した。ヒトMS4A4A(h4A)、または、カニクイザルMS4A4A(cy4A)を過剰発現する細胞株に関しては、測定した結合と、対応する親の細胞株で認められた結合と比較して、比率を計算した。以下の表6は、それぞれの細胞株に対する抗体結合の程度を示している。+/−は、MFIの1.5倍の増大;+、++、及び、+++は、MFIの2倍超の増大を示す。MS4A4A過剰発現細胞株(1.5より大きな結合比を有する)のいずれかに対して結合し、かつ、2未満の比率で親細胞に対して結合するクローンについて、さらに特徴決定を行った。これらのクローンを、抗MS4A4A抗体4A−201〜4A−240と命名した。
huMS4A4Aに対するそれらの結合に基づいて、さらなる特徴決定を行うために選択した抗MS4A4A抗体を、表7に記載している。カニクイザルMS4A4Aに対するそれらの交差反応性も記載している。市販の抗MS4A4A抗体5C12、3F2、及び、4H2は、カニクイザルMS4A4Aに対して交差反応性を示さなかった。
実施例24:ヒトMS4A4A細胞外ドメインに対応するペプチドに対して結合する抗MS4A4A抗体
抗MS4A4Aハイブリドーマ上清(原体)、または、精製したmIgG(5μg/ml)を、ECL1(SEQ ID NO:1のヒトMS4A4Aのアミノ酸残基86〜98)、及び、ECL2(SEQ ID NO:1のヒトMS4A4Aのアミノ酸残基159〜179)に対応するヒトMS4A4Aペプチドに対する結合に関して、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して試験した。要するに、96ウェルポリスチレンプレートを、2または10μg/mlの合成物不含ペプチド、または、BSAコンジュゲートペプチドを含むコーティング緩衝剤(0.05M炭酸塩緩衝剤、pH9.6,Millipore Sigmaカタログ番号C3041)で、4℃で、一晩、コーティングした。次いで、コーティングしたプレートを、ELISA希釈剤(PBS+0.5% BSA+0.05% Tween20)で、1時間、ブロックし、PBST(PBS+0.05% Tween20、Thermoカタログ番号28352)の3x300μLで洗浄した後に、これらの抗体を、プレートに加えた(50μl/ウェル)。30分間インキュベーション(室温、震盪)した後に、これらのプレートを、PBSTの3x300μLで洗浄した。二次抗マウスHRP抗体(Jackson Immunoresearchカタログ番号115−035−003)を、ELISA希釈剤(50μl/ウェル)で、1:1000希釈で加え、そして、震盪しながら、室温で、30分間、インキュベートした。最後の洗浄セット(PBSTで3x300μL)の後に、50μLのTMB基質(BioFxカタログ番号TMBW−1000−01)を加え、そして、5〜10分後に、50μLの反応停止液(BioFxカタログ番号BSTP−1000−01)で反応を停止させた。反応停止させた反応ウェルを、GEN5 2.04ソフトウェアを使用して、BioTek Synergyマイクロプレートリーダーで、650nmの吸光度で検出した。
前出の実施例23で同定した19個の抗MS4A4A陽性ハイブリドーマクローンのうち、18個の上清を、3つの精製した抗MS4A4Aマウス抗体(4A−18、4A−21、及び、4A−25;前出の実施例7を参照されたい)、及び、3つの市販のマウス抗MS4A4A抗体(5C12、3F2、及び、4H2)を用いて試験した。4つの抗MS4A4A抗体(4A−21、4A−25、4A−202、及び、4A−214)は、無関係の陰性ペプチドコントロールであるBSAマウスDAP12で認められたものと比較して、huMS4A4A−ELC2不含ペプチドに対して強力に結合した。3つの市販の抗MS4A4A抗体は、ヒトMS4A4A ECL1、及び、ECL2ペプチドに対する結合を示さなかった。結合を示さないハイブリドーマクローンのことは、例えば、これらの抗MS4A4A抗体が、この方法論でモデル化しなかったコンフォメーションエピトープに結合し得ること、または、これらの抗体が、MS4A4AのECL1とECL2の双方が作り出すエピトープを認識し得る、などの幾つかの要因で説明がつく。
MS4A4AのECL1に対する結合は、この方法論を使用してスクリーニングしたハイブリドーマクローンのいずれについても検出されなかった。このことは、長さが21アミノ酸残基であるECL2と比較して、長さが13アミノ酸残基であるECL1のサイズが小さいことに起因し得る。MS4A4Aは、4ヘリックスバンドル構造を形成すると予測されている。ECL2ドメインが大きくなると、より小さなECL1ドメインを覆い隠してしまい、抗体の結合を妨げ得る。本明細書で同定した特定の抗体は、本明細書で使用する線形ECL1ペプチドが反復していないMS4A4Aのコンフォメーションエピトープに結合する、または、ECL1及びECL2に位置するアミノ酸残基の組み合わせから形成したエピトープを認識することにより、この方法論では、検出されなくなる可能性もある。
ELISA結合実験の結果を、以下の表8に示す。
実施例25:抗MS4A4Aハイブリドーマ抗体の分子クローニング、及び、キメラ抗体発現ベクターの生成
前出の実施例21〜24に記載したハイブリドーマから得たさらなる抗MS4A4A抗体を、以下のようにして、クローニングした。5×105個のハイブリドーマ細胞を、RNeasy Mini Kit(Qiagen,カタログ番号74104)の構成要素である0.35mlのRLT緩衝剤に再懸濁した。製造業者の指示に従って、スピンカラムに対する結合を介して、全RNAを抽出した。ClontechのSMARTer(登録商標)RACE5’/3’キット(Takara Bio USA Inc,カタログ番号634859)を使用して、製造業者のプロトコールに従って、cDNAを生成した。
可変重及び軽免疫グロブリン領域を、RACEキットで提供している5’UPMプライマーと、重鎖定常領域プライマー(5’−AGCTGGGAAGGTGTGCACA−3’)[SEQ ID NO:140]、及び、軽定常領域プライマー(5’−CCATTTTGTCGTTCACTGCCA−3’)[SEQ ID NO:141]とを使用して、タッチダウンPCRで、別々にクローニングした。
PCR産物を、QIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN,カタログ番号28106)で精製し、次いで、pCR2.1(登録商標)−TOPO(登録商標)クローニングベクター(TOPO(登録商標)TAクローニングキット,Invitrogen)にライゲーションし、そして、ONESHOT(登録商標)TOP10コンピテントセルに形質転換した。
形質転換した大腸菌コロニーを分離し、そして、対応するハイブリドーマ細胞株ごとに可変重鎖(VH)と可変軽鎖(VL)の核酸の配列決定を行った。配列決定に続いて、可変重鎖領域と可変軽鎖領域を、エンドヌクレアーゼ制限部位(HVに関しては、BsrGIとBstEII、次いで、LVに関しては、BssHIIとBsiWI)を含むプライマーを使用してPCRで増幅し、そして、ヒトIgG1とIgGKのそれぞれをコードするpcDNA哺乳類発現ベクター(Invitrogen)にサブクローニングした。
実施例26:抗体重鎖及び軽鎖可変ドメイン配列
標準的な技術を使用して、さらなる抗MS4A4A抗体の軽鎖可変領域と重鎖可変領域をコードするアミノ酸配列を決定した。それらの抗体のKabat軽鎖CDR配列、及び、重鎖CDR配列を、以下の表9Aに示す。それらの抗体の軽鎖可変領域、及び、重鎖可変領域の配列を、以下の表9Bに示す。
実施例27:精製した抗MS4A4Aキメラ抗体の生成
VH及びVL領域に関するアミノ酸配列を、次のようにして、HEK細胞における発現に最適化した。抗MS4A4A抗体のVH及びVLをコードするヌクレオチド配列に、5’端に抗体シグナルペプチドをコードする配列と、軽鎖及び重鎖のそれぞれのヒトカッパ定常領域、または、ヒトIgG1 Fc領域とを加えることで、電子的に修正した。SapI制限酵素部位を、それぞれの端に加えて、ベクターへのクローニングを可能にした。これらのインサートを含むHC及びLC DNA配列を、Atum Bio(Newark,CA)で合成し、そして、pM269シャトルベクターに挿入した。これらのHC及びLC DNAインサートを、Electraクローニングキットを使用して、発現のためのpD2610−V6ベクターにクローニングした。コンピテントDH10B大腸菌(Max Efficiency DH10Bカタログ番号18297010)を氷上で解凍し、次いで、2μlのライゲーションミックス(約20ngのプラスミドDNA)を、30ulのコンピテントセルに加え、そして、氷上で、30〜45分間、インキュベートした。次いで、これらの細胞を、39℃で、45秒間、熱ショックを与え、そして、氷上に戻した。0.5mlのSOC培地を加え、そして、これらの細胞を、37℃で、さらに30〜45分間インキュベートした。5ulの形質転換ミックスを、カナマイシン(TEKNOVA)を含むLB寒天プレートに播種し、37℃で、一晩、増殖させた。個々のコロニーを採取し、そして、LB+Kanで、一晩増殖させた。得られたミニプレップを、Qiagenミニ−プレップキットを使用して精製し、そして、配列を確認した。安定的な細胞株の構築に十分なDNAを生成するために、60mLの大腸菌培養物の適切なコロニーを、2日間培養し、そして、Qigen Plasmid Maxi Prepキットを使用して精製した。
HEK293細胞へのトランスフェクションを、EXPI−293トランスフェクションキット(Invitrogen)を使用して、1Lの震盪フラスコで、250mlスケールで行った。150μgの軽鎖発現ベクターと、100μgの重鎖発現ベクターを、フェクチン試薬と共に混合し、20分間静置した後に、穏やかに混合しながら細胞に加えた。これらの細胞を、震盪インキュベーターに6時間置き、その後、製造業者の指示に従って、エンハンサー培地を加えた。トランスフェクションの5〜6日後に、臨床用遠心分離機で細胞を遠心分離し、Nalgene 0.2μmフィルターを使用して無細胞上清を滅菌濾過し、そして、精製まで馴化培地を4℃でストリングして、細胞を回収した。
タンパク質を、ガラスまたはポリプロピレンカラム(GE Healthcare)に充填したプロテインAマトリックス(Mab Select Sure)を使用して精製した。馴化培地をカラムにロードし、入念に洗浄した後に、アルギニンまたはグリシンを含む溶出緩衝剤勾配で、pH3.0〜3.5で溶出した。溶出した抗体を、中和し、そして、保存用緩衝剤(抗体の溶解度に応じてクエン酸またはヒスチジン)で製剤し、>1mg/mlに濃縮してから、滅菌ろ過した。これらの抗体を、出荷前に、ナノドロップ、SDS−PAGE、SECで試験した。%モノマー含有量が、95%未満であれば、分取SECを行った。一般的に、収量は、発現する抗体ペアに応じて15〜50mgの抗体の範囲であった。
実施例28:MS4A4Aを発現する細胞に対する精製した抗MS4A4A抗体の結合
精製したhuIgG1キメラ抗MS4A4A抗体を、ヒトMS4A4Aを安定的に過剰発現するU937細胞、ノックアウトしたヒトMS4A4Aを有するU937細胞、及び、親のU937細胞のMS4A4Aに対して多様に結合する能力についてスクリーニングをした。これらの細胞上で発現したMS4A4Aに対する異なる結合を、上記のように、5μg/mlの精製抗MS4A4Aキメラ抗体を用いたFACS分析で評価した。それぞれの抗体のAPC MFIを決定した;二次抗体結合だけの場合に認められたMFI値に対するそれらのMFI値の比率を、以下の表10に示す。これらの結果は、本開示の抗MS4A4A抗体が、ヒトMS4A4Aに対して特異的に結合しており、かつ、ノックアウトしたヒトMS4A4Aを有する細胞には結合しないことを示した。
実施例29:MS4A4A構造予測、エピトープマッピングのためのバリアントペプチドデザイン、及び、抗MS4A4A抗体のエピトープ決定
MS4A4Aの一次アミノ酸配列は、その二次及び三次構造に関する重要な情報を提供する。当該MS4A4Aタンパク質は、4回膜貫通ドメイン(TMD)を有しており、それぞれのTMDは、21個のアミノ酸から構成されている。一般的なTMDは、厚さが約40Åのホスホジエステル脂質二重層からなる。当該リン酸の頭部は、細胞外、または、サイトゾルスペースのいずれかで、親水性環境と相互作用する親水性層を作成し、また、当該脂質の尾部は、TMDの親油性残基と相互作用する内部脂質二重層を生成する。当該TMD脂質二重層の厚さは、約32〜34Åである。アミノ酸組成、残基数、及び、脂質二重層の厚さから予測すると、MS4A4Aは、N末端からC末端にかけて、それぞれ、TMD1とTMD2、そして、TMD3とTMD4とを接続している2つの余分な細胞ループ(ECL)を有する4ヘリックスバンドル(4HB)を含むものと予測される。4ヘリックスバンドルは、ヘリックス−脂質二重層相互作用と、ヘリックス−ヘリックス相互作用から得られる有意なエンタルピーゲインによって、膜内のMS4A4Aを安定させる。
MS4A4A ECLの一次アミノ酸配列と組成は、エピトープと動的特性に関連する重要な特徴を示す。ECL1は、1つのシステイン、1つのメチオニン、1つのアラニン、3つのセリン、1つのスレオニン、2つのアスパラギン、1つのチロシン、1つのプロリン、1つのイソロイシン、及び、唯一のグリシン残基を含む、13個のアミノ酸からなる。ECL2は、8つのアミノ酸、3つのセリン、1つのスレオニン、1つのフェニルアラニン、3つのヒスチジン、1つのプロリン、3つのチロシン、4つのアスパラギン、1つのメチオニン、及び、2つだけのグリシン残基で分離した2つのシステイン残基を含む21個のアミノ酸からなる。ECL1及びECL2には、グリシン残基はほとんど無く、幾つかの大きなベータ分岐アミノ酸残基と、プロリン残基が認められる。さらに、ECL2は、構造内エントロピーをさらに減少させるループ内ジスルフィド結合を生成すると予測される2つのシステイン残基を含む。その結果、ECL1及びECL2は、剛体タイプの内部運動で互いに相互作用する立体配座異性体の個数が大幅に減少する傾向がある。
C末端GFPタグを含むヒトMS4A4A(NM_024021)をコードする発現プラスミドを、Origene(カタログ番号RG223557)から購入し、そして、ヒトMS4A4Aの細胞外ループ1(ECL1)のコード領域に単一のアラニンスキャン変異を生成するためのテンプレートとして使用した(以下の表11での4A.Ala1−Ala13;ECL1に対応するSEQ ID NO:1のC67〜S79;CMASNTYGSNPIS(SEQ ID NO:289);ヒトMS4A4Aの細胞外ループ2(ECL2)のコード領域内(以下の表11での4A.Ala14−Ala34;ECL2に対応するSEQ ID NO:1のS140〜S160;SFHHPYCNYYGNSNNCHGTMS(SEQ ID NO:290);及び、以下の表12でのECL2欠失変異(4A.Ala35(ECL2でのSEQ ID NO:1のアミノ酸残基150〜152の欠失)、及び、4A.Ala36(ECL2でのSEQ ID NO:1のアミノ酸残基148〜152の欠失))。これらの突然変異は、当技術分野で標準的な重複ポリメラーゼ連鎖反応技術を使用して行った。それぞれのポリメラーゼ連鎖反応ポリ核酸フラグメントを精製し、そして、MluIとAsiSI制限部位を使用して、発現ベクターにサブクローニングした。
アラニンスキャニング技術を使用してエピトープ決定を行う前に、HEK293T細胞において上記の発現構築物の一過性トランスフェクションを使用して、以下のようにして、当該抗MS4A4A抗体の相対的EC50を決定した。HEK293T細胞を、6ウェルプレートに播種し、そして、一晩、増殖させた。翌日、製造業者のプロトコールに従って、Fugene HD(Promega)、または、Lipofectamine 3000(Thermo Fisher Scientific)を使用して、4:1の比率のFugeneとDNA、または、3:1の比率のLipofectamineとDNAを細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの約24時間後に、トリプシン−EDTAを使用して細胞を回収し、そして、FACS染色のために処理した。
FACS染色については、150,000個の細胞を、96ウェルプレートのそれぞれのウェルに加え、次いで、抗MS4A4A抗体の滴定を、FACS緩衝剤(PBS+2% FBS)に対して加え、そして、氷上で、60分間、インキュベートした。プレートを遠心分離し(1,400rpm、3分間)、上清をデカントして、細胞を、200μlのFACS緩衝剤で3回洗浄した後に、それぞれを、遠心分離とデカントの工程に供した。抗体を、msIgG1、または、huIgG1キメラとして試験し、そして、ヤギ抗ヒトPE(Southern Biotech、カタログ番号2040−09、1:200)、または、ヤギ抗マウスAPC(BD Biosciences、カタログ番号550826、1:100)のいずれかを、氷上で、30分間、FACS緩衝剤に加えた。続いて、細胞を、200μlのFACS緩衝剤で2回洗浄し、そして、iQueサイトメーターで画像化した。蛍光強度中央値(MFI)を、MS4A4Aを発現する細胞を表すGFPポジティブ集団で測定した。
最初に試験した抗MS4A4A抗体のうちの6つは、野生型(WT)MS4A4A−GFPを発現するHEK293T細胞に結合する;このようなものとして、抗MS4A4A抗体4A−18、4A−21、4A−202、ならびに、公開されたマウスモノクローナル抗MS4A4A抗体4H2(Kerafast)、5C12(Biolegend)、3F2(Millipore)がある。それぞれの抗体の滴定曲線を決定して、その後のエピトープマッピング研究に最適な抗MS4A4A抗体濃度を確立した。
エピトープマッピング実験については、HEK293T細胞は、異なるヒトMS4A4A発現構築物(上記のとおり、以下の表11を参照されたい)をトランスフェクトされ、そして、6つの異なる抗MS4A4A抗体:4A−21、4A−18、4A−202、4H2、5C12、及び、3F5を使用して、抗体結合を測定された。抗MS4A4A抗体結合は、野生型ヒトMS4A4A発現構築物をトランスフェクトした細胞に対する結合でのMFIの%として計算した。当該MS4A4Aポリペプチドでのアミノ酸変異が、抗体結合を、野生型MS4A4Aに対する結合の20%未満にまで低下させておれば、当該変異したアミノ酸は、MS4A4Aタンパク質に対する抗MS4A4A抗体の結合に必要な重要なアミノ酸と考えられる。当該MS4A4Aタンパク質の一部のアミノ酸変異が、抗MS4A4A抗体結合を、(野生型MS4A4Aに対する結合と比較して)51%未満から20%を超えるまで減少させておれば、そのようなアミノ酸を、MS4A4Aタンパク質に対する抗MS4A4A抗体の結合に寄与するアミノ酸として定義した。
MS4A4Aの一部のアミノ酸は、MS4タイプのタンパク質でシステイン架橋を形成すると考えられている2つのシステイン、C165及びC174など、試験したすべての抗体の結合に影響を及ぼした。そのようなアミノ酸は、構造アミノ酸であると考えられた。
これらの実験の結果を、以下の表11に示す。上記のように、Ala.1〜Ala.13とは、ECL1でのMS4A4A変異のことを指す;Ala.14〜Ala.36とは、ECL2でのMS4A4A変異のことを指す。データは、野生型MS4A4Aタンパク質に対する抗MS4A4A抗体の結合と比較して、様々なアラニンスキャン変異に対する抗MS4A4A抗体の%結合として示している。これらのマッピング実験は、独立して、2回繰り返しており、非常に類似した結果が得られた。1つの差異は、抗MS4A4A抗体4A−21及び4A−18が、2つの濃度で、huIgG1として1度、msIgG1として2度目の試験をしたことであった。以下の表12は、これらの抗体のmsIgG1試験の結果を示している。その他のすべての抗体について、表11は、両方の実験における平均抗体結合を示している。MS4A4Aタンパク質に対する抗MS4A4A抗体の結合を示す数値のうち、野生型MS4A4Aに対する結合についての測定値の20%未満のものを、以下の表11では、太字で示している。
すべての変異は、約22〜33%の同等のトランスフェクション効率を示した(データは示さず)。細胞内の平均抗体結合とGFPレベルとの間に相関関係は認められず、このことは、GFPレベルが、MS4A4A細胞表面発現の予測因子として使用できないことを示唆している。
(表11)
*huIgG1キメラとして試験した抗体。
上記の結果は、本開示の抗MS4A4A抗体が、MS4A4Aでの別個の線形、及び/または、3D構造エピトープを認識することを示唆している。
これらの実験から得た抗MS4A4A抗体結合データに基づいて、ヒトMS4A4Aでの次のループアミノ酸残基を、MS4A4Aタンパク質での構造アミノ酸と見なしたが、これは、それらのそれぞれを変異させると、試験したすべての抗MS4A4A抗体:M87、C165、Y167、Y168、C174(ヒトMS4A4Aタンパク質に基づく;SEQ ID NO:1)の結合に影響を及ぼしたためである。アミノ酸残基C165及びC174は、ECL2にてループを形成するシステイン架橋を確立すると予測された。このシステイン架橋が無いと、抗MS4A4A抗体は、MS4A4Aタンパク質に対して結合せず、このことは、MS4A4AのECL2でのループ構造が、抗体結合に重要であることを示唆している。ループ構造が重要であるとのさらなる証拠は、これらの抗体の結合にも強く影響する2つのループ欠失変異体(Ala.35、及び、Ala.36)から得られる。
これらの結果は、アミノ酸残基Y167及びY168が、抗MS4A4A抗体4A−21、4A−18、4H2、5C12、及び、3F2の結合に強く影響することをさらに示した。これらのアミノ酸残基は、抗MS4A4A抗体4A−202の結合には、あまり影響しなかった。加えて、ECL1でのアミノ酸残基P96、I97、及び、S98は、試験したすべての抗MS4A4A抗体の結合を、ある程度は低減した。これらの結果は、これらの5つのアミノ酸残基のいずれかの変異が、抗体の認識と結合において重要な細胞外ドメインの構造を変更すること、あるいは、これらのアミノ酸残基が、列挙した6つの抗MS4A4Aのそれぞれの相互作用と結合において重要であることを示唆した。プロリンは、最も抑制を受けたアミノ酸残基であり、ポリペプチドの二次、及び、三次構造において重要である。例えば、プロリンは、アルファヘリックスやベータシートのものなど、通常の二次構造要素の中央で攪乱物質として機能する;しかしながら、通常、プロリンは、アルファヘリックスの最初のアミノ酸残基として、かつ、ベータシートの端において認められる。チロシン、イソロイシン、及び、セリン残基は、例えば、ファンデルワールス相互作用、パイ−パイスタッキング、及び、パイ−フェイシアル水素結合相互作用、及び/または、水素結合など、複数の抗原抗体相互作用を提供する。したがって、チロシン、プロリン、イソロイシン、または、セリン残基のいずれかは、明確に定義した構造エピトープを作り出すことができる。これらの4つのアミノ酸残基の微妙な変化は、抗体の結合親和性を著しく損ないかねない。
MS4A4Aでのアミノ酸残基M87Aの変異は、試験したすべての抗MS4A4A抗体の結合を、大幅に低減または解消した。ECL1とECL2は、明確に定義した堅牢な構造を使用しており、また、互いに相互作用し得るという予測に基づいて、M87A結合結果は、M87の側鎖が、主鎖側鎖、及び/または、主鎖−主鎖相互作用を介して、ファンデワールスの接触と水素結合によって、ECL1及び/またはECL2における1つ以上のベータ分岐アミノ酸と相互作用できるので、M87アミノ酸残基が、MS4A4Aの堅牢なループ構造を維持する上で最も重要な残基の1つであると予測されることを示した。
以下の表12は、本明細書に開示した抗MS4A4A抗体の独特の結合アミノ酸残基を列挙している。抗MS4A4A抗体4A−21は、ヒトMS4A4Aに対して結合するにあたって、ECL2にN166を必要とする。このデータは、抗MS4A4A抗体4A−18及び5C12が、ヒトMS4A4AのECL1ならびにECL2に結合することを示した。抗MS4A4A抗体4A−202では、アミノ酸残基Y164が、結合において多少なりとも寄与した。
3つの市販の抗MS4A4A抗体は、すべてP163に結合するが、ここで開示し、かつ、この研究で試験した抗MS4A4A抗体は、いずれも結合しなかった。ヒトMS4A4AのこのプロリンP163は、カニクイザルMS4A4Aタンパク質では、アルギニンに置換されている。そのような知見は、このプロリンからアルギニンへの変化が、市販のMS4A4A抗体の結合特性が示すように、カニクイザルの交差反応性、または、その欠如を決定する上で重要であることを示唆している。プロリンは、構造的に最も抑制を受けたアミノ酸残基であり、そして、(カニクイザルMS4A4Aでの)アルギニンは、生理的pHで、正に帯電したアミノ酸である。ヒトとカニクイザルのMS4A4Aにおけるプロリンとアルギニンの差異は、MS4A4Aタンパク質の立体配座に大きな影響を与え得るものであり、したがって、市販のMS4A4A抗体の結合を妨げる。抗MS4A4A抗体4A−18、4A−21、及び、4A−202は、結合については、このアミノ酸に依存しておらず、したがって、カニクイザルタンパク質に対する結合には影響が無かったと考えられた。
まとめると、抗MS4A4A抗体4A−21、4A−18、及び、4A−202は、市販の抗MS4A4A抗体のものとは異なるMS4A4Aでのエピトープに結合した(下記の表12)。市販の抗MS4A4A抗体4H2及び3F2は、抗MS4A4A抗体5C12のエピトープと大半が重複している同一のエピトープを示した。対照的に、抗MS4A4A抗体4A−18、4A−21、及び、4A−202は、それぞれが、互いに相違しており、市販の抗MS4A4A抗体とは異なる独自のエピトープ結合特性を示した。結合特性でのこれらの差異を、表11に示す。加えて、これらの結果は、試験した2つの抗MS4A4A抗体が、ヒトMS4A4Aでの同一のエピトープに結合しないことを示した;しかしながら、一部、または、すべての抗体で、アミノ酸結合残基(例えば、アミノ酸残基Y167、及び、Y168、Y164、N170、T177)が共有されている。
実施例30:TREM2発現に対する抗MS4A4A抗体の効果
ヒトの遺伝学研究からのデータは、MS4A4AとTREM2との間の強力な遺伝的関連と、アルツハイマー病に対する感受性とを示唆している(Piccio et al.,2016、Acta Neuropathol,131:925−9330。アルツハイマー病の予防のためのMS4A4A対立遺伝子は、脳脊髄液でのsTREM2レベルの増大と関連している。マクロファージでのsTREM2、及び、原形質膜/細胞表面TREM2(mTREM2)レベルを調節する本開示の抗MS4A4A抗体の効果を調べるために、以下の研究を行った。
初代ヒトマクロファージを、前出の実施例24に記載のようにして生成した。次いで、単離した細胞を、96ウェルプレートに播種し、そして、抗MS4A4A抗体のパネル(10μg/ml)を含む完全RPMIで処理した。48時間のインキュベートの後に、上清を回収し、そして、Meso Scale Discovery(MSD)を使用して、sTREM2レベルを測定した。すなわち、MSDプレート(カタログ番号LI5XA−3)のウェルを、オービタルシェーカーで、4℃で、500RPMで、一晩、1μg/mlの捕捉抗体とインキュベートした。ウェルを洗浄した後に、オービタルシェーカーで、500RPMで、20℃で、1時間、結合緩衝剤(1%熱不活性化高品質BSA)を含むPBS)でブロックした。標準(Recombinant Human Trem2 Fc 1828−T2(R&D Systems))、及び、未知の試料を、適切な濃度で、結合緩衝剤で調製し、ウェルに加え、次いで、オービタルシェーカーで、500RPMで、20℃で、1時間、インキュベートした。ウェルを洗浄した後に、オービタルシェーカーで、500RPMで、20℃で、1時間、100ng/mlの二次抗体(ビオチン化ヤギ抗ヒトTREM2(R&D Systems カタログ番号BAF1828))と、インキュベートした。ウェルを洗浄し、次いで、0.2μg/mlの検出試薬(Sulfo Tag−Strepavidin;MSDカタログ番号R32AD)を含む結合緩衝剤でインキュベートした。次いで、ウェルを洗浄し、150μlの読み取り緩衝剤(1x、MSD)をそれぞれのウェルに加え、そして、それらのプレートを、Sector Imagerで読み取った。
これとは別に、抗MS4A4A抗体で処理した細胞(前出)を回収し、そして、フローサイトメトリーに供して、アロフィコシアニン、または、類似のフルオロフォアにコンジュゲートした抗TREM2抗体(Alector)を使用して、mTREM2レベルを決定した。
表13に示すように、抗MS4A4A抗体は、様々なドナーから得た培養ヒト初代マクロファージの上清でのsTREM2のレベルを増大させた。本明細書に記載した結果は、本開示の抗MS4A4A抗体が、ヒト初代マクロファージの上清でのsTREM2レベルを増大させるまたは上方制御することを示した。表13で報告している数値は、100に設定したアイソタイプコントロール抗体を使用して得た数値に関連するものである。
以下の表14に示すように、抗MS4A4A抗体は、様々なドナーから得た培養ヒト初代マクロファージの原形質膜/細胞表面TREM2(mTREM2)のレベルを増大させた。これらの結果は、上記の表13に示すように、これらの細胞の上清で認められたsTREM2の対応する増大と一致していた。表14で報告している数値は、100に設定したアイソタイプコントロール抗体を使用して得た数値に関連するものである。
これらのデータは、本開示の抗MS4A4A抗体でヒト初代マクロファージを処理することで、骨髄細胞系列でのこれらの細胞におけるsTREM2及びmTREM2レベルの双方が増大したことを示した。これらの結果は、市販の抗MS4A4A抗体5C12が、培養したヒトマクロファージの上清でのsTREM2レベルを低減したことを示す従前の報告とは符合しない(Deming et al、前掲)。遺伝学的研究は、アルツハイマー病患者でのsTREM2のレベルを増大させるアルツハイマー病保護MS4A4A対立遺伝子と関連付けているので、これらの結果は、抗MS4A4A抗体が、TREM2活性と機能を調節する(すなわち、増大させる)ことで、アルツハイマー病、及び、その他の神経変性障害の効果的な治療法であることを示唆した。
実施例31:細胞のATPレベルに対する抗MS4A4A抗体の効果
細胞内ATPレベルは、細胞の健康と生存能力とに相関しており、かつ、それらを反映する。骨髄細胞の健康と生存能力の障害は、神経変性の疾患と障害の原因であるため、骨髄細胞の生存能力と機能を向上させる治療は、神経変性の疾患と障害の重症度と進行に対して影響を及ぼし得る。細胞内のATPレベルに対する抗MS4A4A抗体の効果を調べるために、以下の実験を行った。製造業者のプロトコールに従って、RosetteSep ヒト単球濃縮カクテル(Stemcell technologies)、及び、Ficoll遠心分離を使用して、ヒト単球を全血から単離した。ACK溶解緩衝剤で赤血球を溶解した後に、単球を、完全培地(RPMI、10% FBS、Pen/Strep、L−グルタミン、HEPES、非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム)に再懸濁した。樹状細胞の誘導にあたっては、100ng/mlのヒトGM−CSF(hu−GMCSF)と、ヒトIL−4(hu−IL−4)を、これらの単球に対して、6〜7日間かけて加えた。マクロファージについては、100ng/mlのヒトM−CSFと、8%v/vのヒト血清を、これらの細胞に対して、5〜7日間かけて加えた。
次いで、これらの細胞を、50,000細胞/ウェルを含む完全RPMI−1640で接種し、様々な濃度(10μg/ml、1.0μg/ml、及び、0.1μg/ml)の抗MS4A4A抗体、または、アイソタイプコントロール抗体を含む溶液の存在下または非存在下で、2日間、培養した。次いで、製造業者のプロトコールに従って、CellTiter−Glo Luminescent細胞生存能力キット(Promega、カタログ番号G7571)を使用して、細胞内のATP含有量を定量した。表15A及び15Bに示したデータは、抗MS4A4A抗体で48時間処理した後の初代ヒトマクロファージ内のATP含有量(任意の単位として)を示しており;数値は、それぞれの抗MS4A4A抗体で得た数値からアイソタイプコントロール抗体(huIgG1)を使用して得た数値を引いて補正する。表15A及び15Bに示すように、抗MS4A4A抗体は、ヒトマクロファージのATPレベルを調節しており;その効果は、一般的に、用量依存的であり、試験した抗MS4A4A抗体のパネル間で様々な効力が認められた。
上記のように、本開示の抗MS4A4A抗体でヒト初代マクロファージを処理すると、アイソタイプ抗体で認められたものを超える細胞内ATPレベルの増大を誘発した。これらの結果は、本開示の抗MS4A4A抗体が、骨髄細胞の健康と生存能力を向上させる上で効果的であり、したがって、様々な神経変性の疾患及び障害に関連するCNS骨髄細胞機能の喪失を逆転または低減できることを示唆した。
加えて、前出の実施例30に示したように、本開示の抗MS4A4A抗体は、可溶性TREM2、及び、膜TREM2のレベルを増大させた。抗MS4A4A抗体の添加に応答して、生存能力とATPレベルの増大と共にTREM2が増大することは、TREM2で認められた増大が、細胞の機能的結果によるものであることを示した。
実施例32:マクロファージ細胞表面マーカーに対する抗MS4A4A抗体の効果
様々なM1及びM2マクロファージ細胞表面マーカーに対する抗MS4A4A抗体の効果を、以下のようにして調べた。ヒト一次マクロファージを、様々な抗MS4A4A抗体(10μg/ml)を含む完全RPMI1640で、48時間、処理した。次いで、これらの細胞を回収し、そして、M1マーカー(CD16、MHCクラスII、CD86)、M2マーカー(CD200R、デクチン−1、CD163)、及び、汎マクロファージマーカーCD14に特異的な抗体を使用して、フローサイトメトリーに供した。
これらの研究の結果を、以下の表16A及び表16Bに示す。細胞表面マーカーの発現レベルを、フローサイトメトリーでアッセイし、そして、100%に設定したアイソタイプコントロール抗体で処理した細胞において得たレベルに正規化した。このデータを、それぞれのマーカーについて、3名のドナーで平均化した。CD86やMHC−IIなどの特定のM1マーカーの細胞表面発現は、変更されていなかったか、あるいは、抗MS4A4A抗体処理の影響をわずかに受けていた。対照的に、CD200R、CD163、及び、デクチン−1などの特定のM2マーカーの細胞表面発現は、抗MS4A4A抗体で処理すると顕著な低減を受けた。加えて、SIRPα、及び、汎マクロファージマーカーCD14の細胞表面発現レベルを、抗MS4A4A抗体処理で低減した。特定の抗MS4A4A抗体は、CD14とSIRPα、及び、M1マーカーであるCD200RとCD163の細胞表面発現を、市販の抗体3F2、4H2、及び、5C12と比較して大幅に低減した。
まとめると、これらの結果は、本開示の抗MS4A4A抗体が、マクロファージ分極に影響を及ぼし、M2表現型から離間した細胞に影響を及ぼすことを示した。これらの結果は、CNSにおいて、抗MS4A4A抗体治療が、神経変性の疾患及び障害に関連する神経保護機能を強化、増大、または、回復することで、ミクログリア活性の有益な改善を提供し得ることを示唆した。健康状態での恒常性ミクログリアは、CD200R、CD163、及び、CD115などのM2マーカーをさらに発現するので、これらの結果は、本開示の抗MS4A4A抗体が、ミクログリア細胞の生理学的状態の、進行した炎症状態または活性化状態など、より保護的な表現型の状態への変更に影響を及ぼすことを示唆した。アルツハイマー病マウスモデル、及び、ヒトアルツハイマー病における疾患関連ミクログリア(DAM)は、炎症誘発性または活性化状態にあり、アルツハイマー病において有益であると考えられており、本開示の抗MS4A4A抗体は、アルツハイマー病、及び、その他の神経変性障害の治療において有用である。
実施例33:抗体ヒト化
抗体ヒト化は、ヒト投与における免疫原性を防ぐために、異なる種で生成した抗体を形質転換して、配列と構造的関係とをヒト抗体に最もよく似せるために使用する。異種由来の抗体は、非ヒト抗体の特異性決定領域(SDR)のヒト抗体フレームワークへの移植を許容する特徴的な配列と構造的特徴を共有している。これにより、非ヒト抗体の特異性を保持する。ヒト化プロセスには、フレームワーク領域やSDRなど、非ヒト抗体の配列と機能の同定が関与している。次の基準を、抗体をヒト化するために使用する:1)非ヒト抗体と公知のヒト抗体との間のフレームワーク領域の類似性パーセント、2)非ヒト抗体と公知のヒト抗体との間のSDRの長さの類似性、3)当該ヒト抗体のフレームワーク領域を生成するために使用する遺伝子、及び、4)ヒト化、及び、治療目的のヒト抗体フレームワークの従前の使用。同様に、フレームワーク領域とSDRの長さに差異があると、当該抗体において構造上の差異が生じてしまい、当該抗体の特異性を変更させてしまうので、それらは重要である。ヒト抗体のフレームワークを生成するために使用する特定の遺伝子は、抗体の安定性または特異性に関して有益または有害であることが公知であり、そして、それに応じて、選択的に使用または回避する。最後に、ヒトの治療に使用するものを含めて、従前に成功したヒト化のフレームワークは、良好な半減期で十分に許容されており、将来的に成功するヒト化の候補となり得る。
抗体ヒト化のために様々な方法を使用することができる。例えば、本開示の抗TMWM106B抗体の重鎖可変領域(VH)、及び、軽鎖可変領域(VL)配列は、NCBIウェブサイト(Ye et al,Nucleic Acids Res,2013,41:W34−W40)でのIgBLASTプログラムへと入力として使用する。IgBLASTは、マウスのVHまたはVL配列を取得し、そして、既知のヒト生殖系列配列のライブラリーと比較する。使用するデータベースは、IMGTヒトVH遺伝子(F+ORF,273生殖系列配列)と、IMGTヒトLVカッパ遺伝子(F+ORF、74生殖系列配列)である。適切なVH生殖細胞系列と結合領域(J遺伝子)、及び、適切なVL生殖細胞系列と結合領域(J遺伝子)を、良好なアクセプター配列として選択する。抗体VH及びVHの相補性決定領域(CDR)は、AbM定義(AbM抗体モデリングソフトウェア)に従って定義する。ヒト化抗体への結合を最適化するために、対応する親のマウス配列へのヒト生殖系列フレームワーク(すなわち、当該VH及びVLでの非CDR残基)位置の変更が必要になり得る。
実施例34:TREM2転写及びmRNAに対する抗MS4A4A抗体の効果
TREM2転写レベルとmRNAに対する抗MS4A4A抗体の効果は、以下のようにして評価する。培養細胞を、様々な濃度の本開示の抗MS4A4A抗体で、様々な時間をかけて処理する。その後、細胞内のTREM2 mRNAレベルの変化を、当業者に周知のmRNAレベルを測定、及び/または、定量するための標準的な方法論を使用して決定する。
実施例35:TREM2の再利用及び分解に対する抗MS4A4A抗体の効果
増大したレベルのsTREM2及びmTREM2に対する抗MS4A4A抗体の効果の理解をさらに深めるために、TREM2の再利用及び/または分解を調べる以下の研究を行う。これらの研究では、抗MS4A4A抗体処理に関連する新たなTREM2合成をさらに防ぐために、細胞のシクロヘキシミド処理を使用する。当該技術分野で公知の様々な方法が、抗MS4A4A抗体で処理した細胞と比較して、コントロール細胞におけるTRME2の再利用と分解を調べるために利用可能である。
実施例36:DAP12関連のTREM2リン酸化に対する抗MS4A4A抗体の効果
TREM2は、その結合パートナーであるDAP12を介してシグナルを送り、PI3キナーゼの下流の活性化と、その他の細胞内シグナル伝達をもたらす。抗MS4A4A抗体がDAP12/TREM2の活性化を誘導する能力を、タンパク質細胞抽出物でのDAP12/TREM2のリン酸化状態を測定することで、培養マクロファージにおいて調べる。抗MS4A4A抗体で刺激する前に、マウスまたはヒトのマクロファージを、1%血清を含む培地で飢餓状態にする。次いで、これらの細胞を、氷上で、抗MS4A4A抗体、または、アイソタイプコントロール抗体とインキュベートする。次いで、これらの細胞を洗浄し、そして、ヤギ抗マウスIgG、または、ヤギ抗ヒトIgGの存在下で、37℃で、インキュベートする。刺激をした後に、これらの細胞を、溶解緩衝剤で溶解し、次いで、4℃で、遠心分離して、不溶性物質を除去する。細胞溶解物を、抗TREM2抗体で免疫沈降させる。沈殿したタンパク質を、SDS−PAGEで分画し、PVDFメンブレンに転写し、そして、抗ホスホチロシン抗体(4G10、Millipore)でプローブする。次いで、メンブレンを剥がし、そして、抗DAP12抗体(Cells Signaling、D7G1X)で改めてプローブする。これらの免疫沈降に使用するそれぞれの細胞溶解物は、コントロールの抗アクチン抗体が示すようなタンパク質を等量で含んでいる。
抗MS4A4A抗体処理に応答したTREM2及び/またはDAP12リン酸化の変化と程度を、アイソタイプコントロール抗体で処理した細胞において認められたものと比較する。
実施例37:TREM2の輸送に対する抗MS4A4A抗体の効果
細胞におけるTREM2の輸送に対する抗MS4A4A抗体の効果を、以下のようにして評価する。細胞とは、TREM2を活性化するために、抗TREM2抗体で刺激した細胞のことである。当該細胞/TREM2結合抗TREM2抗体を、当該細胞のTREM2に結合した標識抗TREM2抗体のエンドサイトーシスを追跡することでTREM2のエンドサイトーシスを追跡するために標識する。抗MS4A4A抗体を、それらの細胞に加える。抗MS4A4A抗体で処理した細胞のTREM2エンドサイトーシスと内在化の変化を、未処理の細胞において認められたものと比較して決定する。これらの研究は、本開示の抗MS4A4A抗体が、細胞におけるTREM2内在化の動態を変化または変更できるか否かを試験する。
実施例38:ミエリン分解及びミエリン食作用に対する抗MS4A4A抗体の効果
ミエリン分解及び食作用に対する抗MS4A4A抗体の効果を、以下のようにして評価する。マクロファージとミクログリアを、標準的な方法で分離する。これらの細胞を、12ウェルプレートに播種する。ミエリンを、PBS(pH8.0)で、pH感受性色素(pH−ローダミン、Invitrogen)と、1時間、インキュベートする。染色したミエリンをペレット化し、PBS(pH8.0)に再懸濁し、そして、マクロファージまたは骨髄細胞に加える。抗MS4A4A抗体とアイソタイプコントロール抗体を、標識ミエリンの添加前または添加後に、細胞に対して加える。その後、ミエリンの取り込みをモニターする。染色したミエリンと細胞とのインキュベーションの後に、細胞を洗浄し、分離し、ペレット化し、そして、内部移行したミエリンを定量するフローサイトメーターに通す。
実施例39:MS4A4A発現構築物を安定的にトランスフェクトした細胞に対する抗MS4A4A抗体の機能的親和性
モノクローナル抗体と、それらの抗原性標的との間の平衡解離定数(KD)は、一般的に、精製したタンパク質試薬で決定する。短い細胞外ループを持つ膜貫通型受容体であるMS4A4Aには、そのような可溶性タンパク質試薬は用いることはできない。この点に対処するために、ヒト及びカニクイザルのMS4A4A発現構築物を安定的にトランスフェクトした細胞に対する抗MS4A4A抗体の結合特性を、フローサイトメトリーで決定した。この手順で得られるKD値は、「機能的親和性」として公知であり、抗体とその細胞表面結合抗原との間の相互作用が、1:1の相互作用ではないという事実を反映している(Drake and Klakamp 2007,DOI:10.1016/j.jim.2006.08.015)。
機能的親和性/KDの決定は、以下のようにして行った。MS4A4Aを発現する構築物を安定的にトランスフェクトした一定数の300.19細胞を、非特異的結合に対してブロックし、次いで、飽和結合から抗体不存在にまで至る所定の様々な濃度の抗MS4A4A抗体と、氷上で、3時間、インキュベートすると、当該反応は、ほぼ平衡に到達する。次いで、細胞を洗浄し、次に、フルオロフォア結合二次抗体とインキュベートし、再度洗浄し、そして、FACS Cantos(Becton Dickinson、Franklin Lake、NJ)でシグナルを測定した。機能/KDを決定するために、可変勾配を有する4つのパラメーターの用量反応曲線を、DrakeとKlakamp(前掲)が説明した複数の独立した結合部位モデルに基づいて、Prism(Graphpad,San Diego,CA)で、データに適合させた。
Prismで決定した機能的親和性/KDの測定値を、以下の表17に記載している(4つのパラメーターの用量反応曲線を適合させて決定した;すべての数値は、ナノモルである;ND、未決定)。抗MS4A4A抗体4A−18及び4A−202は、市販の抗MS4A4A抗体5C12、3F2、及び、4H2よりも、かなり強力な機能的親和性を示した。これらの結果は、本開示の抗MS4A4A抗体は、市販の抗MS4A4A抗体5C12、3F2、及び、4H2と比較して、改善した結合特性を有することを示した。
実施例40:初代ヒトマクロファージでの生存能力の誘導における抗MS4A4A抗体の効力
抗MS4A4A抗体でヒト初代マクロファージを処理すると、細胞内ATPレベルの増大を招くこととなり、このことは、本開示の抗MS4A4A抗体で処理した細胞における代謝状態の変化と、生存能力の増大を示す。本開示における一部の抗MS4A4A抗体の効力を決定するために、用量漸増を行った。市販の抗MS4A4A抗体も、このアッセイで効力を試験した。
初代ヒトマクロファージを、50,000個の細胞/ウェルで、完全RPMI−1640に播種し、そして、溶液における所定の濃度の抗MS4A4A抗体またはアイソタイプコントロール抗体の存在下または非存在下で、2日間、培養した。次いで、細胞内のATP含有量に及ぶ用量を、CellTiter−Glo発光細胞生存能力キット(Promega、カタログ番号G7571)を使用して、製造業者のプロトコールに従って定量し、そして、細胞生存能力の測定値としての発光を決定した。得られた数値を、Prism(Graphpad,San Diego,CA)の可変勾配を有する4つのパラメーターの用量反応曲線に当てはめて、最大応答の半分を与える抗体の濃度であるEC50を決定した。低い値は高い抗体効力に対応する。
これらの実験の結果を、以下の表18に示す。試験した本開示の3つの抗MS4A4A抗体のうちの2つ、抗MS4A4A抗体4A−18と4A−202は、3つの市販の抗MS4A4A抗体のいずれか1つと比較して、有意に小さなEC50(したがって、より大きな効力)を示した。本開示の第3の抗MS4A4A抗体(4A−21)は、抗MS4A4A抗体5C12に匹敵しており、また、抗MS4A34A抗体3F2及び4H2よりも強力であるとの結果を示した。
実施例41:抗MS4A4A抗体によるTREM2の調節
MS4A遺伝子座でのSNPが、ヒトでの可溶性TREM2(sTREM2)レベルに影響を与えること、そして、ヒトマクロファージの培養物を市販の抗MS4A4A抗体で処理すると、sTREM2レベルが低下することが報告されている(Piccio et.al.Acta Neuropathol 2016、131:925−933)。sTREM2及び膜結合TREM2(mTREM2)に対する本開示の抗MS4A4A抗体の効果を決定した。
ヒト初代マクロファージを、96ウェルプレートに播種し、そして、完全RPMI培地で10μg/mlに希釈した抗MS4A4A抗体のパネルで処理した。48時間のインキュベーションの後に、上清を回収し、そして、MSDアッセイを使用してsTREM2レベルを測定した。個別に処理した細胞を回収し、そして、アロフィコシアニンまたは類似のフルオロフォアに結合した独自の抗TREM2抗体を使用するフローサイトメトリーに供して、mTREM2レベルを決定した。当該抗MS4A4A抗体は、エンドトキシンレベルを抑えるように調製した。
機能研究のための精製キメラ抗体の生成には、以下のプロトコールを使用した。VH及びVL領域のアミノ酸配列を、HEK細胞における発現に向けて最適化した。AL101抗体のVH及びVLをコードするヌクレオチド配列は、5’末端に抗体シグナルペプチドをコードする配列を、軽鎖及び重鎖のそれぞれにヒトカッパ定常領域またはヒトIgG1 Fc領域を加えることで、電子的に変更した。SapI制限酵素部位を両端に加えて、当該ベクターへのクローニングを可能にした。それらのインサートを構成するHC及びLC DNA配列を、Atum Bio(Newark,CA)で合成し、そして、pM269シャトルベクターに挿入した。当該HC及びLC DNAインサートを、Electraクローニングキットを使用して、発現のためにpD2610−V6ベクターにクローニングした。コンピテントDH10B大腸菌(Max Efficiency DH10B カタログ番号18297010)を氷上で解凍した。2ulのライゲーションミックス(約20ngのプラスミドDNA)を、30ulのコンピテントセルに加え、そして、氷上で、30〜45分間、インキュベートした。次いで、これらの細胞に、39℃で、45秒間、熱ショックを与え、そして、氷上に置いた。0.5mlのSOC培地を加え、そして、これらの細胞を、37℃で、さらに30〜45分間インキュベートした。5ulの形質転換混合物を、カナマイシン(TEKNOVA)を含むLB寒天プレートに播種し、そして、37℃で、一晩増殖させた。個々のコロニーを採取し、そして、LB+Kanで、一晩増殖させた。得られたミニプレップを、Qiagenミニ−プレップキットを使用して精製し、そして、配列を確認した。安定的な細胞株の構築に十分なDNAを生成するために、60mLの大腸菌培養物の適正なコロニーを、2日間培養し、そして、Qigen Plasmid Maxi Prepキットを使用して精製した。
HEK293細胞へのトランスフェクションは、EXPI−293トランスフェクションキット(Invitrogen)を使用して、1Lの震盪フラスコで、250mlのスケールで行った。150ugの軽鎖ベクターと、100ugの重鎖ベクターを、フェクチン試薬と共に混合し、そして、20分間放置した後に、穏やかに混合しながら細胞に対して加えた。これらの細胞を、シェーカーインキュベーターに戻して6時間置き、その後、製造業者の指示に従ってエンハンサー培地を加えた。トランスフェクションの5〜6日後に、臨床用遠心分離機で細胞を遠心分離し、Nalgene 0.2umフィルターを使用して無細胞上清を滅菌濾過し、そして、精製まで馴化培地を4℃でストリングして、細胞を回収した。
タンパク質を、ガラス、または、ポリプロピレンカラム(GE Healthcare)に充填したプロテインAマトリックス(Mab Select Sure)を使用して精製した。馴化培地をカラムにロードし、入念に洗浄した後に、アルギニンまたはグリシンを含む溶出緩衝剤勾配で、pH3.0〜3.5で溶出した。溶出した抗体を、中和し、そして、保存用緩衝剤(抗体の溶解度に応じてクエン酸またはヒスチジン)で製剤し、>1mg/mlに濃縮してから、滅菌ろ過した。これらの抗体を、出荷前に、ナノドロップ、SDS−PAGE、SECで試験した。%モノマー含有量が、95%未満であれば、分取SECを行った。一般的に、収量は、発現する抗体ペアに応じて15〜50mgの抗体の範囲であった。
培養上清で測定したsTREM2のレベルを、以下の表19に示す。本開示の抗MS4A4A抗体の大半は、高度に精製し、かつ、エンドトキシンを含んでいなければ、様々な程度でsTREM2レベルの増大を誘発した。市販の抗MS4A4A抗体3F2、4H2、及び、5C12も、sTREM2レベルを増大させるが、低レベルのものでしかない。これらの結果は、これらの市販の抗MS4A4A抗体が、培養物でのsTREM2レベルを低減することを示した従前に公開されたデータとは対照的であり;このことは、市販の調製品に存在するエンドトキシン、不純物、及び、凝集物による汚染に起因するものと考えられる。表19のデータは、アイソタイプコントロール抗体(アイソタイプコントロール由来のデルタ)と比較して、3名のドナーでの平均パーセント変化としてng/mlで表したsTREM2のレベルを示している。
認められたsTREM2の増大は、抗MS4A4A抗体で処理した後の膜結合TREM2(mTREM2)レベルの増大と平行している(以下の表20)。ドナーの反応性にばらつきがあるにもかかわらず、大部分の抗MS4A4A抗体は、試験した3名のドナーのうちの2名または3名において、mTREM2のレベルが増大していた。市販の抗MS4A4A抗体(3F2、4H2、及び、5C12)と比較すると、本開示における数多くの抗体は、同等の活性、または、優れた活性を示す。以下の表20に示すレベルは、フローサイトメトリーによって決定した3名のドナー全体の平均パーセント変化として表しており、また、アイソタイプコントロール抗体(アイソタイプコントロール抗体を100%に設定した)を使用して認められるレベルに正規化する。