JP2021505692A - 柿葉抽出物及びその製剤の新規医薬用途 - Google Patents

柿葉抽出物及びその製剤の新規医薬用途 Download PDF

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Abstract

本発明は、うつ病を予防及び/又は治療するための薬物の製造における柿葉抽出物の使用に関する。うつ病は、典型的なうつ病、特に精神性、感情障害によるうつ障害のことをいう。【選択図】図6

Description

関連出願の相互参照
本発明は2017年12月12日に出願された中国特許出願201711218778.7号の「柿葉抽出物及びその製剤の新規医薬用途」と題される出願の利益が主張されており、その開示は、参照としてその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明は医薬分野に属し、具体的に柿葉抽出物及びその製剤の新規医薬用途に関する。
うつ病(Depression)は抑うつ障害とも呼ばれ、慢性・反復的発作を伴う感情・精神疾患であり、継続的に顕著に感情や気持ちが塞ぎこむことを主な臨床的特徴とし、不安、思考緩慢、妄想や幻覚、注意力や記憶力の低下及び睡眠障害などの症状を伴うことが多い。いままでのところうつ病の病因は不明であり、一般的には、生物的、心理的と社会的環境の諸要因がうつ病の発症過程に関与していると考えられている。
現在、世界のうつ病患者の発症率は21%に達し、約15%の患者が自殺傾向を伴っている。世界保健機関(WHO)は、2020年にうつ病が高血圧症に次ぐ2番目の臨床慢性疾患になると予測し、うつ病は精神医学における「風邪」と言われている。調査結果によれば、中国ではうつ病患者の5%しか治療を受けておらず、ほとんどの患者はうつ病に対する認知が乏しいため、適時に診療できないことで、病状の悪化を招いている。生活リズムが速くなり、生活の労働ストレスが高まるにつれて、うつ病は人類の健康を著しく脅かすよく見られる疾患の一つになっている。
米国の精神疾患の診断・統計マニュアル第5版(DSM−5)によれば、うつ病は、重篤気分調節症、典型的なうつ病(単回、反復発作を含む)、持続性抑うつ障害(気分変調症)、月経前不快気分障害、物質・医薬品誘発性抑うつ障害、他の身体問題に起因する抑うつ障害、他の特定の抑うつ障害及び非定型の抑うつ障害という8つのサブタイプに分類される。典型的なうつ病は、抑うつ障害の典型的なサブタイプで、現代医学において一般的に認められているうつ病で、その特徴には少なくとも2週間の持続的な発作があり、気分、認知及び自律神経系の顕著な変化を含むが、他の身体問題(例えば悪性腫瘍、脳血管疾患など)によって引き起こされるものではない。
1977年に出された血管性うつ病の概念は、老人性うつ病の研究に由来し、脳血管疾患又は血管危険因子と密接に関連する老人性うつ病症候群である。血管性うつ病患者には、典型的な喪失感、自己嫌悪があまりなく、うつ病症状は軽いが、注意障害、冷淡さ、動作緩慢及び機能障害を起こすことを主とする認知障害を伴うことが多い。したがって、血管性うつ病は、前記典型的なうつ病とは異なり、血管損傷の軽減に伴い、血管性うつ病のうつ症状も改善される。
現在、薬物療法がうつ病の主な治療手段である。現在臨床的によく用いられる抗うつ薬には、選択的セロトニン(5−HT)再取り込み阻害薬(SSRIs)、5−HT/ノルアドレナリン(NE)再取り込み阻害薬(SNRIs)、三環系(TCAs)及びモノアミン酸化酵素阻害薬(MAOIs)などの化学系薬物がある。うつ病の病因はまだ明らかでないため、うつ病のタイプによって、これらの化学系薬物の治療効果には大きな差があり、かつ効き目が遅く(3〜8週間)、良くない反応が多く、有効率が低く(50%〜70%)、再発率が高く(35%〜60%)、依存性が低く、価格が高いなどという早急に解決すべき問題がある。化学系薬物の主な副作用は、胃腸管症状(吐き気、下痢、胃出血、消化不良)、肝毒性、体重増加及び代謝異常、心血管障害(心拍数、QT間隔延長、高血圧、起立性低血圧)、泌尿器系症状(尿閉、尿失禁)、性機能障害、低ナトリウム血症、骨粗鬆症、骨折リスク、出血、中枢神経系の乱れ(てんかん閾値の低下、錐体外路副作用、認知障害)、発汗、睡眠障害、感情症状(感情が乏しい、治療期発現感情交代、異常反応)、眼部症状(緑内障、白内障)、高プロラクチン血症を含む。したがって、ますます多くの研究者がより安全で、効果的、低毒性で、安価な抗うつ薬を求めて、資源が豊富な天然植物に注目するようになっている。
柿葉(Persimmon leaf)は、カキノキ科カキノキ属カキノキ(Diospyros kaki Thunb)の新鮮葉又は乾燥葉であり、それが薬用として用いられたのは明朝時代の『テン南本草』に「霜葉でおできを覆う」という記載があり、『本草再新』には「治咳嗽吐血、止▲渇▼生津(咳や吐血を治すことや、体液の分泌を良くして渇きをなくす)」という用途の記載がある。柿葉の化学成分に対する深く掘り下げた研究により、柿葉にはフラボノイド、有機酸、クマリン、トリテルペン類などの多くの有効成分や栄養物質が含まれ、心・脳血管疾患に対して良好な予防・治療作用を有することが見出された。現在『中国薬典』に記載されている柿葉抽出物は、柿の葉を原料として、水で煮てアルコールで沈殿させ、酢酸エチルで抽出するなどの方法により抽出精製したものであり、効能は血液の流れをよくして、うっ血を取り除くことを主として、気や血液の流れの滞りによって引き起こされる病気を主に治療するものである。脳心清錠は柿葉抽出物を原料として作られた経口錠剤であり、冠状動脈心疾患、アテローム性動脈硬化症などの心・脳血管疾患に用いられる。従来研究は、フラボノイド成分が柿葉抽出物の薬効を発揮させる物質基礎である可能性があることが明らかにした。『中国薬典』には、ケルセチン(Quercetin)とケンペロール(Kaemferol)を柿葉抽出物における総フラボノイドの品質管理基準とし、総含有量が8.6%以上であることを規定したが、柿葉抽出物におけるフラボノイド成分はごく僅かであり、当該抽出物における化学成分の大部分はまだ不明である。
嚴彩英等は「ベンラファキシンと漢方薬の併用による老人性うつ病治療の臨床研究」(嚴彩英、裴瑜等、国際精神医学誌、2016、43(5):842−845)において、ベンラファキシンとリグストラゾイン塩酸塩、イチョウ葉エキス、脳心清錠などの併用によって老人性うつ病患者を治療することを報告している。8週間の連続治療を経て、ベンラファキシン、リグストラゾイン塩酸塩(静脈点滴)、イチョウ葉エキス(静脈点滴)及び脳心清錠(経口)を同時に投与した観察群は、単独のベンラファキシン投与対照群より、治療後の第1週末及び第2週末の臨床総有効率、HAMD24の総評価及び不安/身体の要因評価が優れていた。しかしながら、治療時間が経過するにつれて、観察群の治療優位性は徐々に低下し、対照群との差は統計学的な意義がなくなった。該文献には、リグストラゾイン塩酸塩、イチョウ葉エキス及び脳心清錠の併用により、老人性うつ病に起因する不安、うつ症状が改善されたのは、効き目が現れる速度がベンラファキシンの単独投与より速いだけで、長期的に治療上の優位性がないことが示された。したがって、当該研究に基づいて、血液の流れをよくして、うっ血を取り除く効果を有するリグストラゾイン塩酸塩、イチョウ葉エキス及び脳心清錠は、併用しても老人性うつ病に対して顕著な改善作用を有さないと推測される。
汪瑾宇等も、脳心清錠とエスシタロプラムの併用により血管性うつ病を治療する治療効果(汪瑾宇、何影等、脳心清錠とエスシタロプラムの併用による血管性うつ病治療の臨床研究〔J〕、新中医、2014、46(2):47−49)を報告している。当該臨床研究は、「脳血管疾患及び血管危険因子を有する臨床的及び(又は)試験室の証拠、又は脳血管事件(脳卒中)が発生した後に6〜12月内にうつ病が出現する、ハミルトンうつ病尺度(HAMD、24項目)評価≧20点」という基準を導入した。これは、当該研究の治療対象は典型的なうつ病ではなく、前記「他の身体問題に起因する抑うつ障害」であることが明らかである。8週間の観察治療を経て、当該研究は、脳心清錠とエスシタロプラムの併用群のHAMDの評価の低下がより顕著であるが、単独のエスシタロプラム群との有効率の差は大きくない(P>0.05)ことを発見した。したがって、エスシタロプラムは依然として、うつ病治療の主な要因である。脳心清錠は、脳血管疾患の改善に直接作用することで、エスシタロプラムはうつ症状の改善を補助する可能性がある。
従来技術の報告をまとめると、柿葉抽出物は、血管性うつ病又は老人性うつ病に対してある程度の補助的な改善効果を有する可能性がある(実際には明確な証拠はない)。しかしながら、柿葉抽出物が他の身体問題と無関係な典型的なうつ病の治療に用いられたということは、これまでに報告されていない。
従来技術の欠点に対し、本発明の目的は、柿葉抽出物がうつ病、特に典型的なうつ病の予防及び/又は治療において新規医薬用途を提供することである。
前記目的を達成するために、本発明は以下の発明を採用する。
柿葉抽出物のうつ病を予防及び/又は治療するための薬物の製造における使用。
好ましくは、前記うつ病は、典型的なうつ病、特に精神的、感情障害による抑うつ障害のことをいう。
好ましくは、前記柿葉抽出物は、前記うつ病を予防及び/又は治療する薬物の唯一の有効成分として用いられる。
好ましくは、前記うつ病を予防及び/又は治療するための薬物は、薬学的に許容される添加剤を含んでも含まなくてもよい。
より好ましくは、前記うつ病を予防及び/又は治療するための薬物は、経口製剤又は非経口製剤である。
前記経口製剤は散剤、通常の経口錠剤、分散錠、カプセル剤、ソフトカプセル剤、丸剤、滴丸剤、ペレット、顆粒剤、口腔内崩壊錠及び口腔内速溶フィルム剤から選ばれた1種又は複数である。
前記非経口製剤は注射剤、凍結乾燥注射剤及び大容量注射剤から選ばれた1種又は複数である。
好ましくは、前記うつ病を予防及び/又は治療するための薬物は、経口製剤である。
好ましい実施様態として、前記うつ病を予防及び/又は治療するための薬物は、脳心清錠又は脳心清カプセルである。
前記柿葉抽出物に、薬学的に許容される添加剤を添加するか又は添加せずに、当分野の従来の方法によって、前記うつ病を予防及び/又は治療するための薬物を製造できる。
前記柿葉抽出物は、以下の方法で製造する。
乾燥柿葉を採集し、水を加えて1〜2時間ずつ2回煎り煮をし、水煎液を合わせて、濾過し、相対密度が1.12〜1.15(60℃)になるまで濃縮し、アルコール含有量が80〜90%になるようにエタノールを加え、一晩静置し、上澄み液を濾取して、使用に備え、一方沈殿物を60〜70%のエタノールで洗浄し、洗浄液を合わせ、一晩静置し、上澄み液を濾取し、使用に備えた上澄み液と合わせて、エタノールを回収して、適量の水を加えて均一になるように混合し、濾過し、濾液を酢酸エチルで2回以上抽出して、酢酸エチル溶液を合わせて、酢酸エチルを回収し、かつ固練り状に濃縮し、低温乾燥させると、柿葉抽出物が得られる。
好ましくは、前記柿葉抽出物は、以下の方法で製造する。
乾燥柿葉を採集し、水を加えて1回目に2時間、2回目に1時間煎り煮をし、濾液を合わせて、濾過し、相対密度が1.12〜1.15(60℃)になるまで濃縮し、アルコール含有量が85%になるようにエタノールを加え、一晩静置し、上澄み液を濾取して、使用に備え、一方沈殿物を65%のエタノールで2回洗浄し、洗浄液を合わせ、一晩静置し、上澄み液を濾取し、使用に備えた上澄み液と合わせて、エタノールを回収して、適量の水を加えて均一になるように混合し、濾過し、濾液を酢酸エチルで4回抽出して、酢酸エチル溶液を合わせて、酢酸エチルを回収し、かつ固練り状に濃縮し、低温乾燥させると、柿葉抽出物が得られる。
本発明に係る前記うつ病を予防及び/又は治療するための薬物の投与対象は、哺乳動物であり、好ましくはヒトである。
本発明に係る前記うつ病を予防及び/又は治療するための薬物を必要とするヒトに投与する場合、前記柿葉抽出物の投与量は、1日当たり2〜10mg/kg体重である。
本発明はまた、うつ病を予防及び/又は治療する方法を提供することである。前記方法は、必要とする患者に柿葉抽出物を投与するステップを含む。
好ましくは、前記柿葉抽出物は、以下の方法で製造する。
乾燥柿葉を採集し、水を加えて1〜2時間ずつ2回煎り煮をし、水煎液を合わせて、濾過し、相対密度が1.12〜1.15(60℃)になるまで濃縮し、アルコール含有量が80〜90%になるようにエタノールを加え、一晩静置し、上澄み液を濾取して、使用に備え、一方沈殿物を60〜70%のエタノールで洗浄し、洗浄液を合わせ、一晩静置し、上澄み液を濾取し、使用に備えた上澄み液と合わせて、エタノールを回収して、適量の水を加えて均一になるように混合し、濾過し、濾液を酢酸エチルで2回以上抽出して、酢酸エチル溶液を合わせて、酢酸エチルを回収し、かつ固練り状に濃縮し、低温乾燥させると、柿葉抽出物が得られる。
より好ましくは、前記柿葉抽出物は、以下の方法で製造する。
乾燥柿葉を採集し、水を加えて1回目で2時間、2回目で1時間煎り煮をし、濾液を合わせて、濾過し、相対密度が1.12〜1.15(60℃)になるまで濃縮し、アルコール含有量が85%になるようにエタノールを加え、一晩静置し、上澄み液を濾取して、使用に備え、一方沈殿物を65%のエタノールで2回洗浄し、洗浄液を合わせ、一晩静置し、上澄み液を濾取し、使用に備えた上澄み液と合わせて、エタノールを回収して、適量の水を加えて均一になるように混合し、濾過し、濾液を酢酸エチルで4回抽出して、酢酸エチル溶液を合わせて、酢酸エチルを回収し、かつ固練り状に濃縮し、低温乾燥させると、柿葉抽出物が得られる。
好ましくは、前記うつ病とは、典型的なうつ病、特に精神性、感情障害による抑うつ障害のことをいう。
前記必要とする患者は必要とする哺乳動物であり、好ましくは必要とするヒトである。
うつ病を予防及び/又は治療する方法は、1日当たり2〜10mg/kg体重の柿葉抽出物を、必要とするヒトに投与するステップを含む。
前記薬学的に許容される添加剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
希釈剤:例えばデンプン、デキストリン、プレゲル化デンプン、ラクトース、結晶セルロース、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、β−シクロデキストリン、マンニトール、ソルビトール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウムから選ばれた1種又は複数があげられる。
粘着剤:例えば蒸留水、エタノール、デンプンスラリー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれた1種又は複数があげられる。
潤滑剤:例えばラウリル硫酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、微粉末シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、タルク粉末から選ばれた1種又は複数があげられる。
崩壊剤:例えばデンプン(トウモロコシ、ジャガイモ)、結晶セルロース、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、イオン交換樹脂、発泡酸−アルカリ系、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、部分アルファー化デンプン及び結晶セルロースから選ばれた1種又は複数があげられる。
フィルム形成材:ゼラチン、シェラック、アラビアゴム、カンテン、デンプン、デキストリン、PVA05―88、PVA17―88及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)から選ばれた1種又は複数があげられる。
矯味剤:例えばサッカリンナトリウム、シクラミン酸ナトリウム、アスパルテーム、ステビオシド及び香料系から選ばれた1種又は複数があげられる。
注射用溶剤:例えば注射用水、ゴマ油、茶油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油、ダイズ油、ヒマシ油及びトウニン油、オレイン酸エチル、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール400、ジメチルアセトアミド(DMA)、エタノール及びグリセリンから選ばれた1種又は複数があげられる。
本発明は、インビトロ細胞モデル及び動物全体モデルの研究によって、前記柿葉抽出物が良好な抗うつ作用を有することを発見した。メカニズムの研究によって、本発明に係る前記柿葉抽出物は以下の点でうつ病を予防及び/又は治療する作用を発揮すると考えられる。
1)抗神経炎症作用は、TNF−α、IL−1β、IL−6などの脳内の神経炎症因子の放出を抑制できる。
2)視床下部−下垂体−副腎軸を調節する作用を有し、ストレスによる血清コルチコステロン(血清コルチゾール)と副腎皮質刺激ホルモンの分泌を抑制できる。
3)セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンを含む脳内のモノアミン神経伝達物質のバランスを調節でき、精神的な感情調節作用を有する。
従来技術は、柿葉抽出物にはケルセチン、ケンペロール、ヒペロシドなどのフラボノイド成分が含まれることを開示しているが、これらの成分はいずれもある程度の抗うつ作用を有することが報告されている。例えば、1、貝偉劍、王徳勤等、HPLC法による脳心清錠の抽出物におけるヒペロシドの含有量の検出、〔J〕広西中医学院学報、2009(02):62−63、2、貝偉劍、羅杰など、HPLC法による柿葉抽出物におけるケルセチン、ケンペロールの検出、〔J〕中草薬、2005(07):59−60、3、傳娟娟、李燕、セイヨウオトギリ(聖約翰草St. John’s wort)の国内外の研究状況、〔J〕、西北薬学誌、2016(03):330−332、4、陳▲青▼▲均▼、乾信、ケルセチンのコルチコステロンにより損傷したPC12細胞への保護作用、〔J〕、化学と生物工程、2009(01):47〜49、5、劉健翔、方吟▲全▼等、ケルセチンとカンヨウレンギョウの抽出物の併用による抗うつ作用の初期研究、〔J〕、浙江大学学報(医学版)、2013(06):615−619、6、陳蕾、フラボノイド系化合物の抗うつ作用の研究、〔J〕、江西中医薬、2011、42(10):55−57がある。しかしながら、予想外であったのは、本発明は試験によって、柿葉抽出物の抗うつ作用がケルセチン、ケンペロール、ヒペロシド、ルチンなどのフラボノイド単体だけではなく、これらのフラボノイド組成物(柿葉抽出物中に天然に存在するフラボノイドの組み合わせを模したもの)より明らかに強かったことである。柿葉抽出物における抗うつ作用の物質基礎はケルセチン、ケンペロール、ヒペロシド、ルチン及びそれらの組み合わせだけではなく、報告されていない抗うつ活性を有する他の成分である可能性があることを示している。
脳心清錠などの柿葉抽出物を有効成分とする製剤は、臨床で長年にわたって使用され、その安全性はすでに証明されている。本発明は柿葉抽出物の新規医薬用途を提供することである。本発明に基づいて、臨床で典型的なうつ病を治療するための新規で安全性の高い治療選択肢を提供する。
以下、図面を示して本発明を詳細に説明する。
実施例1において、様々な濃度の柿葉抽出物(3.125〜400μg/mL)を正常培養したPC12細胞と共に24時間インキュベートして、MTT法によって検出された細胞生存率を示している。 実施例1において、様々な濃度のコルチコステロン(Cort、0〜800μM)を正常培養したPC12細胞と共に24時間インキュベートして、MTT法によって検出された細胞生存率(図2A)及びLDH検出法によって検出されたLDH活性を示しており、図中で、P<0.05、**P<0.01、***P<0.001 vs.Cort(0μM)群(正常対照群)である。 実施例1において、様々な濃度の柿葉抽出物(6.25、12.5、25、50、100μg/mL)のコルチコステロン(Cort、200μM)により損傷したPC12細胞への保護作用を示しており、そのうち、図3Aは細胞生存率に対する影響を示し、図3BはLDH活性に対する影響を示している。図中で、P<0.05、**P<0.01、***P<0.001 vs.Cort群(コルチコステロン群)、##P<0.01 vs.Veh群(正常対照群)である。 実施例1において、様々な濃度の柿葉抽出物(6.25、12.5、25、50、100μg/mL)のコルチコステロン(Cort、200μM)により損傷したPC12細胞に分泌された炎症因子(TNF−α、IL−1β及びIL−6)に対する影響を示しており、ここで、P<0.05、**P<0.01、***P<0.001 vs.Cort群(コルチコステロン群)、##P<0.01 vs.対照群(正常対照群)である。 実施例2のオープンフィールド試験の結果を示しており、そのうち、図5Aは各群のマウスの水平得点を示し、図5Bは各群のマウスの垂直得点を示している。 実施例2の尾懸垂試験の結果を示しており、図中で、P<0.05、**P<0.01、***P<0.001 vs.Veh(溶媒対照群)である。 実施例2のマウスの強制水泳試験の結果を示しており、図中で、P<0.05、**P<0.01、***P<0.001 vs.Veh(溶媒対照群)である。 実施例2において、柿葉抽出物の急性ストレスマウスの血清コルチコステロンレベルに対する影響の測定結果を示しており、図中で、P<0.05、**P<0.01、***P<0.001 vs.Veh2(溶媒対照群)、##P<0.01 vs.Veh1(正常対照群)である。 実施例2において、柿葉抽出物の急性ストレスマウスの脳におけるモノアミン系神経伝達物質レベルに対する影響の測定結果を示しており、そのうち、図9Aはセロトニン(5−HT)の測定結果を示し、図9Bはドーパミン(DA)の測定結果を示し、図9Cはノルアドレナリン(NE)の測定結果を示している。図中で、P<0.05、**P<0.01、***P<0.001 vs.Veh(溶媒対照群)、###P<0.01 vs.Normal(正常対照群)である。 実施例3のショ糖嗜好性試験の結果を示しており、図中で、1は正常対照群で、2はモデル群で、3は柿葉抽出物で、4は柿葉のフラボノイド組成物で、5はケルセチンで、6はケンペロールで、7はヒペロシドで、8はルチンであり、P<0.05、**P<0.01、***P<0.001 vs.モデル対照群、###P<0.01 vs.正常対照群、P<0.05、$$P<0.01 vs.柿葉抽出物である。 実施例3のオープンフィールド試験の結果を示しており、そのうち、図11Aはマウスの水平運動の得点を示し、図11Bはマウスの垂直運動の得点を示している。図中で、1は正常対照群で、2はモデル群で、3は柿葉抽出物で、4は柿葉のフラボノイド組成物で、5はケルセチンであり、6はケンペロールで、7はヒペロシドで、8はルチンであり、P<0.05、**P<0.01、***P<0.001 vs.モデル対照群、###P<0.01 vs.正常対照群、P<0.05、$$P<0.01 vs.柿葉抽出物である。 実施例3の尾懸垂試験の結果を示しており、図中で、1は正常対照群で、2はモデル群で、3は柿葉抽出物で、4は柿葉のフラボノイド組成物で、5はケルセチンで、6はケンペロールで、7はヒペロシドで、8はルチンであり、P<0.05、**P<0.01、***P<0.001 vs.モデル対照群、###P<0.01 vs.正常対照群、P<0.05、$$P<0.01 vs.柿葉抽出物である。 実施例3のマウスの強制水泳試験の結果を示しており、図中で、1は正常対照群で、2はモデル群で、3は柿葉抽出物で、4は柿葉のフラボノイド組成物で、5はケルセチンで、6はケンペロールで、7はヒペロシドで、8はルチンであり、P<0.05、**P<0.01、***P<0.001 vs.モデル対照群、###P<0.01 vs.正常対照群、P<0.05、$$P<0.01 vs.柿葉抽出物である。 実施例3において、CUMSマウスの血清コルチコステロン及び副腎皮質刺激ホルモンのレベルの測定結果であり、そのうち、図の左側は血清コルチコステロンのレベルの測定結果を示し、図の右側は血清の副腎皮質刺激ホルモンのレベルの測定結果を示している。図中で、P<0.05、**P<0.01、***P<0.001 vs.モデル対照群、###P<0.01 vs.正常対照群、P<0.05、$$P<0.01 vs.柿葉抽出物である。
以下に、具体的な実施例を示して本発明を説明する。当業者であれば、これらの実施例は本発明を説明するためだけに使用され、本発明の範囲を限定するものではないことを理解できる。
以下の実施例において使用される試験方法は、特に断りのない限り、全て当技術分野で従来より使用されている方法である。下記実施例における薬材原料、試薬原料などは、特に断りのない限り、市販製品である。一部の試薬及び機器の購買状況は、以下の通りである。
柿葉抽出物(NXQ):広州白雲山和記黄埔中薬有限公司、ロット番号H16P006、製造方法は以下の通りである。
乾燥柿葉を採集し、水を加えて1回目で2時間、2回目で1時間煎り煮をし、濾液を合わせて、濾過し、相対密度が1.12〜1.15(60℃)になるまで濃縮し、アルコール含有量が85%になるようにエタノールを加え、一晩静置し、上澄み液を濾取して、使用に備え、一方沈殿物を65%のエタノールで2回洗浄し、洗浄液を合わせ、一晩静置し、上澄み液を濾取し、使用に備えた上澄み液と合わせて、エタノールを回収して、適量の水を加えて均一になるように混合し、濾過し、濾液を酢酸エチルで4回抽出して、酢酸エチル溶液を合わせて、酢酸エチルを回収し、かつ固練り状に濃縮し、低温乾燥させると、柿葉抽出物が得られる。
フルオキセチン、コルチコステロン、チアゾールブルー(MTT)、ジメチルスルホキシド(DMSO):Sigma社。
DMEM高糖培地、オーストラリア産ウシ胎児血清、ウマ血清:Gibco社。
PC12細胞:ラット由来、中国科学院細胞バンク。
LDH検出キット:南京建成生物科技有限公司。
炎症因子ELISA検出キット:生工生物工程(上海)股▲分▼有限公司。
細胞インキュベーター:Thermo社。
マイクロプレートリーダー:バイオラッド社。
オープンフィールド:上海欣軟信息科技有限公司。
円筒形水泳シリンダー:上海移数信息科技有限公司。
尾懸垂測定装置:上海欣軟信息科技有限公司。
実施例1 柿葉抽出物のコルチコステロンによる神経細胞損傷に対するインビトロ保護作用
1.1 試験薬物の調製
柿葉抽出物を100%のDMSOに溶解して、400mg/mLの貯蔵液を調製し、使用時にそれを400、200、100、50、25、12.5、6.25、3.125μg/mLに希釈し、DMSOの濃度が0.1%未満になることを保証すれば、細胞試験を行うのに適している。
1.2 データ分析及び統計
全データは、平均値±標準偏差
で表され、SPSSソフトウェアで分散分析(One−Way ANOVA)を行った。等分散性検定をして、等分散であれば、2群間比較はボンフェローニ法を用いて分析し、等分散でなければ、ウェルチ法を用いて分析し、多重比較はダネットT3法を利用した。P<0.05の場合は、有意差があり、統計学的に意義がある。
1.3 様々な濃度の柿葉抽出物のPC12細胞生存率に対する影響
8つの様々な濃度の柿葉・酢酸エチル抽出物(3.125〜400μg/mL)を、正常培養したPC12細胞と共に24時間インキュベートして、MTT法を用いてPC12細胞生存率を測定した。MTTの結果は、正常群と比較すると、各濃度の柿葉抽出物の処理群の細胞生存率に有意差がないことを示した(図1及び表1を参照のこと)。一元配置分散分析(One−way ANOVA)によると、差がなく統計学的に意義がない(P>0.05)。したがって、選択された柿葉抽出物の濃度の範囲は、後続の抗うつ細胞レベルのスクリーニングに適している。
1.4 神経細胞のコルチコステロンによる損傷モデルの確立
細胞を対数増殖期まで培養し、細胞を5%のウシ胎児血清、10%のウマ血清を含むDMEM培地(200kU/Lのベンジルペニシリンナトリウム、100mg/Lのストレプトマイシンを含み、pH7.4である)で再度細胞を懸濁させ、細胞密度が1×10個/mLになるように調整して、細胞を96ウェルプレートに播種し、各ウェルに100μLの細胞液を加え、37℃でCO2インキュベーターに入れて24時間付着培養し、細胞がウェルの底に増殖したら試験を開始した。細胞血清が枯渇して1時間したら、様々な濃度のコルチコステロン(0、25、50、100、200、400μM)を加え、24時間作用させ、MTT法及びLDH検出法でコルチコステロンによる損傷濃度を観察し、コルチコステロンの最適な成形濃度を選択した。
結果は図2及び表2に示すとおりである。0〜800μMのコルチコステロンによるPC12細胞の損傷は用量に依存している。One−way ANOVA分析によって、PC12細胞を200μMのコルチコステロンで24時間処理すると、細胞の活性は顕著に低下し(P<0.01)、細胞生存率は30%低下した(図2A)。LDH検出結果も類似しており、様々な濃度のコルチコステロンを投与して処理すると、各群のLDHの漏れ出しは有意差があった(P<0.01、図2B)。コルチコステロンの濃度を200μMで24時間作用させると、細胞のLDHの漏れ出しは、正常対照群と比較すると顕著に増加した。以上の結果から、200μMのコルチコステロンがPC12細胞を24時間損傷させることは、後続の試験でコルチコステロンによる細胞濃度の誘導とすることができる。
P<0.05、**P<0.01、***P<0.001 vs.正常対照群である。
1.5 様々な濃度の柿葉抽出物のコルチコステロンにより損傷したPC12細胞に対する保護作用
細胞を96ウェルプレートに播種して12時間したら、様々な濃度の柿葉抽出物(3.125〜400μg/mL)で細胞を1時間予備処理した。対照ウェルを除いて、他のウェルに200μMのコルチコステロンを加えて24時間共にインキュベートした。細胞の上澄み液を収集して、乳酸脱水素酵素(LDH)の活性変化を検出するために用いて、96ウェルプレート内の細胞生存率をMTT法によって検出し、各ウェルの吸光度値を570nmのマイクロプレートリーダーによって測定した。生存率及びLDHの変化は、対照群の平均吸光度を100%として、各処理群の吸光度値と対照群の吸光度値との比率で算出した。
結果は図3及び表3に示すとおりである。One−way ANOVA分析によって、PC12細胞に対して200μMのコルチコステロンで24時間損傷したら、PC12細胞の活性は顕著に低下し、細胞の上澄み液のLDHの分泌は顕著に増加した。柿葉抽出物の濃度が6.25μg/mLから100μg/mLまでに上昇すると共に、濃度に依存して、細胞生存率が上昇し、上澄み液のLDHの分泌が低下して、ここで、濃度が25、50、100μg/mLである場合、コルチコステロンによって誘導された細胞損傷について、顕著な抵抗作用を有する(P<0.01)。この結果は、25μMの柿葉の酢酸エチル抽出物が細胞レベルで顕著な抗うつ活性を有することを示している。
P<0.05、**P<0.01、***P<0.001 vs.モデル対照群、##P<0.01 vs.正常対照群である。
1.6 柿葉抽出物のコルチコステロンに誘発されたPC12細胞の炎症反応に対する影響
200μMのコルチコステロンで24時間処理することで、細胞生存率の低下が引き起こされたため、柿葉抽出物が抗うつ病の過程において抗炎効果を発揮しているか否かを評価するために、様々な濃度の柿葉抽出物を選択してコルチコステロンと共にPC12細胞を4時間培養処理して、上澄み液における炎症因子であるIL−1β、IL−6及びTNF−αの濃度をELISA法によって測定し、柿葉抽出物が炎症因子の分泌に及ぼす影響を観察した。
ELISAの結果(図4及び表4を参照のこと)は、ブランク対照群(Control)と比較すると、200μMのコルチコステロンが、PC12細胞の上澄み液におけるTNF−α、IL−1β及びIL−6の分泌レベルを顕著に増加させることをはっきり示した(P<0.001)。ブランク対照群と比較すると、柿葉抽出物を最大濃度で単独(コルチコステロンなし)に処理しても炎症効果は生じなかった(P>0.05)。柿葉抽出物を1時間処理して、各用量はいずれもある程度コルチコステロンによるPC12細胞の炎症因子の放出を抑制した。ここで、柿葉抽出物の用量が25μg/mlである場合、TNF−α、IL−1β及びIL−6の抑制に顕著な効果が生じ、いずれも統計学的に意義があった(P<0.01)。
P<0.05、**P<0.01、***P<0.001vs.Cort群、##P<0.01vs.正常対照群である。
1.7 結論
本実施例では、コルチコステロンが損傷したPC12細胞のうつ病モデルの作製に成功した。研究によって、柿葉抽出物の濃度が3.125〜400μMの範囲である場合、正常培養細胞に対して毒性作用を示さないことを発見したが、PC12細胞のうつ病モデルでは50μMの柿葉抽出物が良好な神経細胞の保護作用を示し、その作用メカニズムはコルチコステロンによる炎症反応の抑制に関与している可能性がある。本実施例の結果は、柿葉抽出物は細胞レベルで顕著な抗うつ活性を有することを示した。
実施例2 柿葉抽出物の急性ストレス誘発マウスのうつ様行動に対する作用
2.1試験動物
C57マウス、雌、60匹、体重18〜22g、試験動物ライセンス番号:SCXK(京)2014−0004。
2.2 試験薬物及び器具
柿葉抽出物(NXQ)、フルオキセチン(FLX)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、オープンフィールド、円筒形水泳シリンダー、尾懸垂測定装置。
2.3 試験グループ分類と投与方法
試験用マウスを1週間馴化して、50匹のマウスをランダムに5つのグループに分け、それぞれ溶媒対照群(Veh)、陽性薬物であるフルオキセチン(FLX、10mg/kg)投与群、柿葉抽出物(NXQ)低用量(20mg/kg)投与群、柿葉抽出物(NXQ)中用量(40mg/kg)投与群、柿葉抽出物(NXQ)高用量(80mg/kg)投与群とし、1日当たり1回、7日間連続して胃に投与し、溶媒対照群には、同容量の0.5%のカルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液を同時に投与した。最後の投与の1時間後に、行動学テストを開始した。また、10匹のマウスを、正常対照群として生化学指標の検出に使用した。
薬物の調製:柿葉抽出物又はフルオキセチンのいずれも0.5%のカルボキシメチルセルロースナトリウムで十分に溶解し、投与量に応じて使用直前に調製し、0.1ml/10g体重の投与容量を胃に投与した。
2.4 試験方法
2.4.1 オープンフィールド試験
オープンフィールド試験は、主に薬物の中枢興奮作用による試験結果への妨害を排除できるようにマウスの自発活動能力を測定するために主に使用されている。試験は、底部が25cm×25cmで、高さが20cmである黒い木箱で行われ、底面は25個の正方格とした。6日目に投与して1時間経ったら、マウスを中央の格子に入れ、5分間順応させて取り出した。マウスを1匹ずつ入れ換えるごとに、75%のアルコールで1回拭いて、1匹前のマウスの残留臭気による影響を除去した。試験の7日目に投与して1時間経ったら、マウスが格子を横切る回数(4本の肢がともに格子の内側に入った場合カウントでき、水平運動得点とする)、後肢で直立した回数(2本の前肢が跳びはねたり、箱の壁に登ったりした場合、垂直運動得点とする)を、5分間撮影記録した。
2.4.2 尾懸垂試験
マウスの尾(尾先から1cm)にテープで懸垂用の支持具に固定し、マウスが逆さ吊りの状態になり、互いに干渉しないように、両側を仕切り板でマウスの視線を遮断する。5分間撮影してマウスの累積不動時間を記録した。マウスの「不動」の判定基準は、体が垂直に逆さ吊りの状態で動かないことである。
2.4.3 強制水泳試験
尾懸垂試験の翌日に、高さ20cm、直径12cm、水深10cmの円筒形水泳試験用シリンダーにマウスを1匹ずつ入れて強制的に6分間泳がせ、2分経過したら、マウスの累計不動時間を撮影記録した。マウスの「不動」の判定基準は、水中で懸命にもがくのを止め、浮かんでいる状態であり、頭部を水面に浮かせるために僅かに肢体が動くだけである。
2.4.4 ELISAによる血清コルチコステロンの検出
マウスの行動学テストが終了したら、眼を摘出して採血し、抗凝血管に10分間静置したら、8500r/分で15分間遠心分離させ、血清を分離し、−80℃の冷凍庫に保存し、使用に備えた。マウスの血清中のコルチコステロンのレベルを、酵素結合免疫吸着法(ELISA)を用いて検出した。一方、ストレス誘発のないマウス(10匹)を正常対照群として、試験群と同様の方法で眼を摘出して採血し、血清を分離し、血清中のコルチコステロンのレベルを測定した。
2.4.5 HPLCによる脳組織におけるモノアミン系神経伝達物質の検出
2.4.5.1 クロマトグラフィー条件
クロマトグラフィーカラム:Dikma Diamonsil C18(5μm、4.6mm×250mm)。
移動相:A−B(90:10、体積比)、Aはリン酸二水素ナトリウム水溶液(25.0mmol/LのNaHPO、1.7mmol/LのOSA、0.7mmol/Lのトリエチルアミン、0.025mmol/LのEDTA−2Naを含み、pH=3.0である)であり、Bはアセトニトリルである。
流速:1.0mL/分。
カラム温度:32℃。
検出電位:E1=−150V、E2=220V。
注入量:10μL。
2.4.5.2 サンプル処理
凍結状態の脳組織を取り、計量してガラスホモジナイザーに置き、0.01%のEDTA−2Naを含む予備冷却した0.1mol/Lの過塩素酸溶液を10mL/kgの比率で添加し、氷浴下で2分間急速にホモジナイズした。磨砕したホモジネート液を褐色の遠沈管に移し、4℃の条件下で14000gを20分間遠心分離させ、上澄み液を取り、0.22μmのフィルターで濾過してから、HPLCで脳組織におけるモノアミン系神経伝達物質である5―HT、NE、DAのレベルを検出した。
2.5 データ分析及び統計
SPSSソフトウェアでデータを解析し、分散解析(One−Way ANOVA)を行った。等分散性検定をして、等分散であれば、2群間比較はボンフェローニ法を用いて分析し、等分散でなければ、ウェルチ法を用いて分析し、多重比較はダネット T3法を利用した。P<0.05の場合は、有意差があると判断して、統計学的に意義がある。
2.6 試験結果
2.6.1 柿葉抽出物の連続投与によるマウスの自発活動への影響
オープンフィールド試験の結果は図5及び表5に示すとおりである。各群のマウス間の水平運動得点(P>0.05)及び垂直運動得点(P>0.05)の差には統計学的に意義がなく、柿葉抽出物の連続投与は、いずれもマウスの自発活動に影響を及ぼしていないことを示している。
2.6.2 柿葉抽出物の尾懸垂急性ストレスマウスの行動学に対する影響
結果は図6及び表6に示すとおりである。柿葉抽出物の各用量は、対照群と比較すると、いずれもある程度マウスの懸垂不動時間を短縮させ、かつ用量と依存関係があり、用量が20、40及び80mg/kgである場合、いずれも効果は顕著であり、差は統計学的に意義があった(P<0.05、P<0.01)。用量が40mg/kgの柿葉抽出物の効果はフルオキセチン(10mg/kg)の効果とほぼ同じであり、高い用量(80mg/kg)の柿葉抽出物は、フルオキセチンよりマウスの懸垂不動時間を短縮させる効果が高い。
P<0.05、**P<0.01、***P<0.001 vs.溶媒対照群である。
2.6.3 柿葉抽出物の強制水泳による急性ストレスマウスの行動学に対する影響
マウスの強制水泳試験の結果は、図7及び表7に示すとおりである。柿葉抽出物の各用量は、対照群と比較すると、いずれもある程度マウスの強制水泳の不動時間を短縮させ、かつ用量と依存関係があり、そのうち、用量が40mg/kg、80mg/kgである場合、効果は顕著であり、差は統計学的に意義があった(P<0.05、P<0.01)。高い用量(80mg/kg)の柿葉抽出物はマウスの強制水泳の不動時間を短縮させる効果が、フルオキセチン(10mg/kg)より若干高く、本試験結果は、尾懸垂試験の結果と類似している。
P<0.05、**P<0.01、***P<0.001 vs.溶媒対照群である。
2.6.4 柿葉抽出物の急性ストレスマウスの血清コルチコステロンに対する影響
この試験で、通常のノーストレスマウスの血清を加えて比較した結果は、図8及び表8に示すとおりである。対照群と比較すると、モデル群はストレスマウスの血清コルチコステロンのレベルが顕著に上昇した(P<0.001)。モデル群と比較すると、柿葉抽出物が40、80mg/kgである群は、血清コルチコステロンのレベルが明らかに低下し、差は統計学的に意義があった(P<0.01、P<0.001)。さらに、高い用量(80mg/kg)の柿葉抽出物は急性ストレスマウスの血清コルチコステロンのレベルを低下させる効果が、フルオキセチン(10mg/kg)より顕著に高かった。
P<0.05、**P<0.01、***P<0.001vs.溶媒対照群、##P<0.01vs.正常対照群である。
2.6.5 柿葉抽出物の急性ストレスマウスの脳組織におけるモノアミン神経伝達物質に対する影響
この試験で、通常のノーストレスマウスの脳組織を加えて比較した結果は、図9及び表9に示すとおりである。正常対照群と比較すると、モデル群はストレスマウスの5−HT、DA、NEのレベルが顕著に低下した(P<0.01)。ストレスモデル群と比較すると、柿葉抽出物が20、40、80mg/kgである群は、5−HTのレベルが顕著に上昇し、差は統計学的に意義があり(P<0.05、P<0.01)、柿葉抽出物が20、40、80mg/kgである群は、DA、NEのレベルが顕著に上昇し、差は統計学的に意義があった(P<0.05、P<0.01)。さらに、高い用量(80mg/kg)の柿葉抽出物は急性ストレスマウスの脳組織における5―HT、DA、NEのレベルを上昇させる効果が、フルオキセチン(10mg/kg)より高かった。
P<0.05、**P<0.01、***P<0.001 vs.溶媒対照群、###P<0.001 vs.正常対照群である。
2.7 試験の結論
本実施例では、実施例1の細胞レベルに基づいて、さらに動物全体の試験によって柿葉抽出物の抗うつの薬力学の評価を行った。マウスの強制水泳試験(FST)及びマウスの尾懸垂試験(TST)は、よく用いられる急性行動絶望モデルである。FST及びTSTで示されるマウスの不動状態は、回避できない行動絶望における継続的な挫折、又はストレスの刺激を扱う際に生じる受動的な状態を反映する。この行動絶望は、臨床のうつ病を構成する要素に似たものであり、このようなストレス状態における動物の不動状態の持続時間の短縮は、薬物の抗うつ特性を反映していると考えられる。抗うつ薬物の多くは、マウスのFST及びTSTにおいてその不動期間を短縮でき、その薬力学が臨床薬効と関連していることを示した。
本実施例の結果は、柿葉抽出物の連続投与がマウスの自発活動に影響を与えない場合、強制水泳及び尾懸垂試験におけるマウスの不動時間を顕著に減少し得ることをはっきり示し、そのうち、中用量の柿葉抽出物がマウスの懸垂不動時間を減少させる効果は、フルオキセチンの効果とほぼ同じあり、高用量の柿葉抽出物がマウスの強制水泳の不動時間及び懸垂の不動時間を減少させる効果は、フルオキセチンより優れていた。この結果から、柿葉抽出物を単独で用いることで、明らかな抗うつ効果が生じることが確認された。
急性ストレスは、有機体内の様々な内外環境因子や社会的、心理的因子が刺激を受けた際に起こる全身的な非特異的適応反応であり、脳機能の低下及びニューロン損傷を引き起こすと共に、急性ストレスの状況下で、有機体が視床下部−下垂体−副腎軸(HPA軸)を活性化し、血清中の副腎皮質刺激ホルモンとコルチコステロン(Corticosterone、CORT)の濃度を上昇させ、外来の突発事故に対抗する重要なフィードバック及び自己保護経路である。生化学の指標を測定すると、柿葉抽出物は急性ストレスマウスの血清コルチコステロンのレベルを顕著に低下させることで、ニューロンを保護する効果を発揮できる。また、脳組織におけるモノアミン系神経伝達物質である5−HT、DA及びNEはうつ病のモノアミン仮説と密接な関連があり、本実施例ではHPLCの検出によって、柿葉抽出物が急性ストレスマウスの脳組織における3種類の神経伝達物質の低下を即時に顕著に回復させることが分かった。これも柿葉抽出物が抗うつ効果を発揮する重要なメカニズムの一つである。
実施例3 抗うつ効果の物質基礎である柿葉抽出物の研究
実施例1及び2の試験において、本発明は柿葉抽出物が典型的うつ障害に顕著な効果を有することを確認したが、柿葉抽出物はフラボノイド系、有機酸、トリテルペン類及びクマリンなどの多くの成分を含有し、フラボノイド系成分の含有量は30%(主にケルセチン、ケンペロール配糖体元及びその単糖類、二糖類配糖体、例えばルチン、ヒペロシドなど)を占め、ケルセチン、ヒペロシドも一定の抗うつ活性を有することがすでに報告されている。しかしながら、本発明に係る柿葉抽出物をHPLCで検出したところ、ケルセチン、ヒペロシド、ケンペロール、ルチンの含有量はそれぞれ1.5%以下であった。また、柿葉抽出物における有機酸、トリテルペン類、クマリンなどの成分が相乗効果を有する可能性あるか否かまだ明らかでない。抗うつ効果の物質基礎としての柿葉抽出物を初歩的に探すために、本実施例は、柿葉抽出物を単独のフラボノイド系化合物(ケルセチン、ケンペロール、ルチン、ヒペロシド)及びそれらの組み合わせで、抗うつ効果を比較して、選択した典型的なうつ病モデルは、国際的に認められた予測できない慢性軽度ストレスモデルである。
3.1 試験動物
C57マウス、雄、80匹、体重18〜22g、試験動物ライセンス番号:SCXK(粤)2011−0015、試験前のマウスを1週間馴化し、全てのマウスを21±2℃で通常レベル試験動物用ケージで飼育し、概日リズムに従うようにする。マウスは、自由に飲水と食べ物を摂取可能としている。
3.2 試験薬物及び器具
柿葉抽出物、ケルセチン、ケンペロール、ルチン、ヒペロシド、カルボキシメチルセルロースナトリウム、マウスのオープンフィールド、電子分析天秤(ドイツザルトリウス社)、大容量の卓上型高速冷却遠心分離機5810(ドイツエッペンドルフ社)、Victor3多機能マイクロプレートリーダー(米国パーキンエルマー社)、超音波組織破砕装置(米国ソニック社)、DYY−III型電気泳動槽(北京六一儀器廠)、垂直板電気泳動槽(米国バイオラッド社)、WD−9405型水平シェーカー(北京六一儀器廠)、蛍光/ケミルミイメージングシステム(米国ソニック社)、Mill−Q超純水システム(米国ミリポア社)、尾懸垂測定装置、マウス尾クリップ、カウンター、温度計、体重計など。ECl発光液(米国インビトロジェン社)、脱脂粉乳(広州斯佳生物科技有限公司)、PVDF膜(米国ミリポア社)、X線感光フィルム(日本コダック社)、コルチコステロン(CORT)ELISAキット(米国Enzo社)、ACTH ELISAキット(米国PhoenixPharmaceuticals社)。
3.3 試験モデルの作成と群別投与
試験前にはマウスを1週間馴化し、全てのマウスは自由に飲水と食べ物を摂取可能として、概日リズムに従い、一定温度のクリーンレベル環境で飼育し、毎日手で撫でられることで、人工的な操作に適応している。1週間馴化したら、マウスの体重及びショ糖嗜好性試験の結果によって、マウスを正常対照群10匹、予測できない慢性軽度ストレスモデル(CUMS)群70匹の2群に分け、群を分けたら、ストレス行動を開始した。ストレスモデルとしては、1分間尾を挟み、24時間昼夜逆転させ、マウスケージを24時間傾けて、4℃の氷水で5分間泳がせ、1時間拘束し、ケージを24時間濡らし、15分間強制的に泳がせ、24時間絶水させ、24時間絶食させ、フットショック、ストロボストレス、孤独ストレス、同居ストレスなどがある。モデルが作成できたか否かを判定するために、試験を始め、ストレス行動の3週目にショ糖嗜好性試験を行って、うつ病モデルを作成できていなかったら、CUMSストレスの時間を延長する。モデルが作成できていたら、モデル群を、それぞれマウス10匹ずつ、CUMSモデル群(溶媒Veh+CUMS)、柿葉抽出物群(NXQ40mg/kg+CUMS)、ケルセチン群(4.0mg/kg+CUMS)、ヒペロシド群(4.0mg/kg+CUMS)、ケンペロール群(3.0mg/kg+CUMS)、ルチン群(1.5mg/kg+CUMS)、柿葉のフラボノイド組成物群〔(ケルセチン4.0mg/kg+ヒペロシド4.0mg/kg+ケンペロール3.0mg/kg+ルチン1.5mg/kg)+CUMS〕に分けた。投与して4週間経ったら、行動学的試験を行った。ここで、ケルセチン、ヒペロシド、ケンペロール、ルチンの投与量はいずれも柿葉抽出物における含有量比率の10倍以上であった。
3.4 試験方法
3.4.1 ショ糖嗜好性試験
試験前にマウスをトレーニングして、1%(w/v)のショ糖水に慣れさせて、1ケージ当たり2本の1%のショ糖水溶液を入れ、24時間したら、そのうち1本の1%のショ糖水を純水に変えて、24時間静置した。順応したら、マウスに24時間絶水絶食させ、ショ糖嗜好性試験を行った。試験では、それぞれのマウスに2本の水を自由に飲ませ、1本を25mlの1%のショ糖水とし、もう1本を25mlの純水として、試験開始前にそれぞれの水の重量を量った。2時間したら、残りの重量を測定し、ショ糖水及び純水の消費量(g)を得た。ショ糖嗜好程度は、全液体消費量(ショ糖水消費量+純水消費量)に対するショ糖水消費量の比率で表され、当該試験は試験の全過程を終了した。
3.4.2 オープンフィールド試験
試験方法は実施例2の「2.4.1 オープンフィールド試験」の項と同様である。
3.4.3 尾懸垂試験
試験方法は実施例2の「2.4.2 尾懸垂試験」の項と同様である。
3.4.4 強制水泳試験
試験方法は、実施例2の「2.4.3 強制水泳試験」の項と同様である。
3.4.5 ELISAによるマウスの血清コルチコステロン及び副腎皮質刺激ホルモンのレベルの検出
試験方法は、実施例2の「2.4.4」の項と同様であり、コルチコステロンを検出すると共に、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)のレベルを検出した。
3.5 データ分析及び統計
SPSSソフトウェアでデータを解析し、分散分析(One−Way ANOVA)を行った。等分散性検定をして、等分散であれば、2群間比較はボンフェローニ法を用いて分析し、等分散でなければ、ウェルチ法を用いて分析し、多重比較はダネット T3法を利用した。P<0.05の場合は、有意差があると判断して、統計学的に意義がある。
3.6 試験結果
3.6.1 CUMSマウスのショ糖嗜好性試験
結果は図10に示すとおりである。正常対照群と比較すると、モデル群(Veh+CUMS)のマウスのショ糖嗜好程度が顕著に低下し(P<0.001)、マウスのうつ病モデルが作成できたことを示した。モデル群と比較すると、柿葉抽出物(40mg/kg)、柿葉のフラボノイド組成物群及びヒペロシド群は、胃へ連続投与すると、マウスのショ糖嗜好程度が顕著に上昇した(P<0.001、P<0.01、P<0.05)が、ケルセチン群、ケンペロール群及びルチン群は、CUMSマウスのショ糖嗜好程度がある程度は上昇したが、差は統計学的に意義がなかった。柿葉のフラボノイド組成物群、ヒペロシド群と比較すると、柿葉抽出物群は、CUMSマウスのショ糖嗜好程度が上昇し、差は統計学的に意義があった(P<0.01、P<0.05)。
この結果から、柿葉抽出物は、有効用量範囲でショ糖飲水試験において、各フラボノイド及びフラボノイド組成物より抗うつ効果が明らかに優れていることを示した。
3.6.2 CUMSマウスのオープンフィールド試験
結果は図11に示すとおりである。正常対照群と比較すると、モデル群のマウスは、オープンフィールド試験において水平活動及び垂直活動の回数が顕著に減少(P<0.001)し、うつ病モデルが作成でき、自発活動が減少したことを示した。
モデル群と比較すると、各投与群はいずれもマウスの水平活動の回数が顕著に増加し、他の各投与群と比較すると、柿葉抽出物群は水平活動を増加させる効果がより大きく、差は統計学的に意義があった(P<0.05)。各群の効果の強さは、柿葉抽出物群(P<0.001)>柿葉のフラボノイド組成物群、ケルセチン群、ヒペロシド群及びルチン群(P<0.01)>ケンペロール群(P<0.05)(図11Aを参照のこと)であった。
モデル群と比較すると、柿葉抽出物、柿葉のフラボノイド組成物群の連続投与は、マウスの垂直活動の回数を顕著に増加させた(P<0.001、P<0.05)。柿葉のフラボノイド組成物群と比較すると、柿葉抽出物は垂直運動の回数を増加させる効果がより大きく、差は統計学的に意義があった(P<0.05)。ケルセチン群、ケンペロール群、ヒペロシド群及びルチン群の各群は、マウスの垂直運動の回数を増加させたものの、モデル群と比較すると、差は統計学的に意義がなかった(図11Bを参照のこと)。
この結果から、柿葉抽出物は、有効用量範囲でオープンフィールド試験において、各フラボノイド及びフラボノイド組成物より抗うつ効果が明らかに優れていることを示した。
3.6.3 CUMSマウスの尾懸垂試験
結果は図12に示すとおりである。正常対照群と比較すると、モデル群のマウスは、懸垂試験において不動時間が顕著に増加し(P<0.001)、モデルを作成できたことを示し、CUMSマウスにうつ様症状が現れた。
モデル群と比較すると、連続投与することで、柿葉抽出物群はマウスの懸垂不動時間を極めて顕著に減少させ(P<0.001)、柿葉のフラボノイド組成物群及びヒペロシド群はマウスの懸垂不動時間を顕著に減少させた(P<0.05)。他の群とモデル群とを比較すると、差は統計学的に意義がなかった。柿葉のフラボノイド組成物群、ヒペロシド群と比較すると、柿葉抽出物群はCUMSマウスの不動時間を減少させる効果がより大きく、差は統計学的に意義があった(P<0.05)。
この結果から、柿葉抽出物は、有効用量範囲でマウスの尾懸垂試験において、各フラボノイド及びフラボノイド組成物より抗うつ効果が明らかに優れていることを示した。
3.6.4 CUMSマウスの強制水泳試験
結果は図13に示すとおりである。正常対照群と比較すると、モデル群は強制水泳試験においてマウスの不動時間が顕著に増加した(P<0.001)、モデルを作成できたことを示し、CUMSマウスはうつ様症状が現れた。
モデル群と比較すると、連続投与することで、柿葉抽出物群(P<0.001)、柿葉のフラボノイド組成物(P<0.01)及びヒペロシド群(P<0.05)は、マウスの不動時間を顕著に減少させた。他の群は、モデル群と比較すると、差は統計学的に意義がなかった。柿葉のフラボノイド組成物群、ヒペロシド群と比較すると、柿葉抽出物はCUMSマウスの不動時間を減少させる効果がより大きく、差は統計学的に意義があった(P<0.01、P<0.05)。
この結果から、柿葉抽出物は、有効用量範囲でマウスの強制水泳試験において、各フラボノイド及びフラボノイド組成物より抗うつ効果が明らかに優れていることを示した。
3.6.5 CUMSマウスの血清コルチコステロン及び副腎皮質刺激ホルモンのレベル
結果は図14に示すとおりである。正常対照群と比較すると、モデル群はマウスの血清コルチコステロン及び副腎皮質刺激ホルモンのレベルがいずれも顕著に上昇した(P<0.001)。
モデル群と比較すると、柿葉抽出物は血清コルチコステロンのレベルを極めて顕著に減少させた(P<0.001)。柿葉のフラボノイド組成物及びヒペロシドは血清コルチコステロンのレベルを顕著に低下させた(P<0.05)。柿葉のフラボノイド組成物及びヒペロシド群と比較すると、柿葉抽出物はCUMSマウスの血清コルチコステロンのレベルを低下させる効果がより顕著であり、その差は統計学的に意義があった(図14の左側の図を参照のこと)。
モデル群と比較すると、柿葉抽出物は血清副腎皮質刺激ホルモンのレベルを極めて顕著に低下させた(P<0.01)。モデル群と比較すると、他の群は副腎皮質刺激ホルモンのレベルを低下させる効果について、差は統計学的に意義がなかった(図14の右側の図を参照のこと)。
この結果から、柿葉抽出物は、有効用量範囲でうつマウスの血清コルチコステロン及び副腎皮質刺激ホルモンを低下させる効果が各フラボノイド及びフラボノイド組成物より、優れていることを示した。
3.7 結論
本実施例では、柿葉抽出物に天然に存在する部分フラボノイド組成物を模擬して案出し、それを柿葉抽出物及び各フラボノイド単量体(この部分研究に用いたフラボノイド単量体の用量は柿葉抽出物におけるその含有量の10倍以上である)と同等な薬効の比較を行った。予想外であったのは、柿葉抽出物の効果は各試験において対照としてのフラボノイド組成物及び各フラボノイド単量体より、顕著に優れていたことである。
つまり、本発明は、典型的なうつ病を予防及び/又は治療するための柿葉抽出物の新規医薬用途を提供することである。動物試験は、柿葉抽出物がCUMSマウスのうつ症状を確実に改善する効果及び関連する異常な生化学の指標を逆にする効果を有することを示した。柿葉抽出物が抗うつ効果を発揮するメカニズムは、神経炎症の抑制、HPA軸機能の調節、モノアミン系神経伝達物質(5−HT、NE、DA)の調節により達成されることで、心臓や脳血管疾患などの非体幹の他の問題による典型的なうつ病を治療できる。

Claims (13)

  1. 柿葉抽出物のうつ病を予防及び/又は治療するための薬物の製造における使用。
  2. 前記うつ病が典型的なうつ病、特に精神性、感情障害によるうつ障害である、請求項1に記載の使用。
  3. 前記柿葉抽出物が前記薬物の唯一の有効成分である、請求項1又は2に記載の使用。
  4. 前記うつ病を予防及び/又は治療するための薬物が薬学的に許容される添加剤を含んでも含まなくてもよい、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
  5. 前記うつ病を予防及び/又は治療するための薬物が経口製剤又は非経口製剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
  6. 前記経口製剤が散剤、通常の経口錠剤、分散錠、カプセル剤、ソフトカプセル剤、丸剤、滴丸剤、ペレット、顆粒剤、口腔内崩壊錠、口腔内速溶フィルム剤から選ばれた1種又は複数である、請求項5に記載の使用。
  7. 前記非経口製剤が注射剤、凍結乾燥注射剤及び大容量注射剤から選ばれた1種又は複数である、請求項5に記載の使用。
  8. 前記うつ病を予防及び/又は治療するための薬物が経口製剤であり、より好ましくは脳心清錠又は脳心清カプセルである、請求項5に記載の使用。
  9. 柿葉抽出物に薬学的に許容される添加剤を添加するか又は添加せずに、当分野の従来の方法によって、臨床的に許容される経口製剤又は非経口製剤を製造する、前記うつ病を予防及び/又は治療するための薬物が得られる方法で製造する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
  10. 乾燥柿葉を採集し、水を加えて1〜2時間ずつ2回煎り煮をし、水煎液を合わせ、濾過し、相対密度が1.12〜1.15(60℃)になるまで濃縮し、アルコール含有量が80〜90%になるようにエタノールを加え、一晩静置し、上澄み液を濾取して、使用に備え、一方沈殿物を60〜70%のエタノールで洗浄し、洗浄液を合わせ、一晩静置し、上澄み液を濾取し、使用に備えた上澄み液と合わせて、エタノールを回収して、適量の水を加えて均一になるように混合し、濾過し、濾液を酢酸エチルで2回以上抽出して、酢酸エチル溶液を合わせて、酢酸エチルを回収し、かつ固練り状に濃縮し、低温乾燥させると、柿葉抽出物が得られる方法で製造し、
    好ましくは、乾燥柿葉を採集し、水を加えて1回目で2時間、2回目で1時間煎り煮をし、濾液を合わせて、濾過し、相対密度が1.12〜1.15(60℃)になるまで濃縮し、アルコール含有量が85%になるようにエタノールを加え、一晩静置し、上澄み液を濾取して、使用に備え、一方沈殿物を65%のエタノールで2回洗浄し、洗浄液を合わせ、一晩静置し、上澄み液を濾取し、使用に備えた上澄み液と合わせて、エタノールを回収して、適量の水を加えて均一になるように混合し、濾過し、濾液を酢酸エチルで4回抽出し、酢酸エチル溶液を合わせて酢酸エチルを回収して固練り状に濃縮し、低温乾燥させると、柿葉抽出物が得られる方法で製造する、
    請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用。
  11. 好ましくは、乾燥柿葉を採集し、水を加えて1〜2時間ずつ2回煎り煮をし、水煎液を合わせ、濾過し、相対密度が1.12〜1.15(60℃)になるまで濃縮し、アルコール含有量が80〜90%になるようにエタノールを加え、一晩静置し、上澄み液を濾取して、使用に備え、一方沈殿物を60〜70%のエタノールで洗浄し、洗浄液を合わせ、一晩静置し、上澄み液を濾取し、使用に備えた上澄み液と合わせて、エタノールを回収して、適量の水を加えて均一になるように混合し、濾過し、濾液を酢酸エチルで2回以上抽出して、酢酸エチル溶液を合わせて、酢酸エチルを回収し、かつ固練り状に濃縮し、低温乾燥させると、柿葉抽出物が得られる方法で製造し、
    好ましくは、乾燥柿葉を採集し、水を加えて1回目で2時間、2回目で1時間煎り煮をし、濾液を合わせて、濾過し、相対密度が1.12〜1.15(60℃)になるまで濃縮し、アルコール含有量が85%になるようにエタノールを加え、一晩静置し、上澄み液を濾取して、使用に備え、一方沈殿物を65%のエタノールで2回洗浄し、洗浄液を合わせ、一晩静置し、上澄み液を濾取し、使用に備えた上澄み液と合わせて、エタノールを回収して、適量の水を加えて均一になるように混合し、濾過し、濾液を酢酸エチルで4回抽出して、酢酸エチル溶液を合わせて、酢酸エチルを回収し、かつ固練り状に濃縮し、低温乾燥させると、柿葉抽出物が得られる方法で製造し、
    必要とする患者に柿葉抽出物を投与するステップを含む、
    うつ病を予防及び/又は治療する方法。
  12. 前記うつ病は典型的なうつ病、特に精神性、感情障害によるうつ障害であり、
    好ましくは、前記必要とする患者は必要とする哺乳動物であり、より好ましくは必要とするヒトである、請求項11に記載の方法。
  13. 1日当たり2〜10mg/kg体重の柿葉抽出物を必要とするヒトに投与するステップを含む、請求項11又は12に記載の方法。
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