JP2021193074A - 化合物、表面処理剤及び表面処理方法 - Google Patents

化合物、表面処理剤及び表面処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】より簡便な方法で、複数種の異なる機能性官能基を基材に導入するために用いるのに適した新規な化合物、このような化合物からなる表面処理剤、及び表面処理方法を提供する。【解決手段】式(I)で表される化合物。(R1〜R4は、其々独立に、カルボキシ基、アミノ基等;R5はH又はハロゲン原子で置換/非置換のC1〜6アルキル基;Xは−OCONH−、−OCOS−等;R6はXが−OCO−以外である場合アルキレン基であり、Xが−OCO−である場合単結合又はアルキレン基である。)【選択図】図1

Description

本発明は、化合物、表面処理剤及び表面処理方法に関する。
従来より、基材の表面を化学的修飾による表面処理を行うことで、その表面に様々な特性を与えることができる表面処理剤が開発されている。
特に、基材の任意の箇所に官能基を導入する技術は、ミクロ領域での反応場としての利用や、カラーフィルタ、導電性インク等のパターニングとして有用である。基材に官能基を導入する技術としては、例えば自己組織化単分子膜(SAM)と光パターンニングとの組合せや、マイクロコンタクトプリンティングプリンティング法等が用いられている。
ところで、有機薄膜トランジスタなどの電子デバイスを構築する際には、電極の配線を作製したり、トランジスタを塗布する部分への表面処理を施したりする場合には、複数の官能基のパターン形成技術は重要である。また、多機能性バイオセンサーを作製する場合にも、基材の箇所ごとに複数の異なる機能性官能基を導入複数の官能基を用いて複数のセンサー材料を固定する際にも非常に有用である。ことが必要である。このように基材の箇所ごとに複数の異なる機能性官能基を導入するためには、上述した基材に官能基を導入する技術を繰り返す方法が挙げられる(例えば、非特許文献1参照)。
D.Kisailus,Q.Truong.Y.Amemiya,J.C.Weaver,D.E.Morse,PNAS,103,15,5652−5657(2006).
しかしながら、非特許文献1に代表される官能基を導入する技術を繰り返して複数種の異なる機能性官能基を基材に導入する方法では、処理工程数が多くなる等、処理が複雑になり、処理の時間やコストが高まる傾向にある。
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、より簡便な方法で、複数種の異なる機能性官能基を基材に導入するために用いるのに適した新規な化合物、このような化合物からなる表面処理剤、及び表面処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、所定の構造を有する化合物が、表面処理剤として使用した場合に、安定なSAMを形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1)下記式(I)で表される化合物。
Figure 2021193074
(R〜Rは、少なくとも1つがそれぞれ独立に、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基、又は以下の式(II)〜(IX)のいずれかで表される基であり、その余がそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、パーフルオロアルキル基、又は置換基としてパーフルオロアルキル基を有してもよいアルコキシ基であり、
は、水素原子、又は置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数が1〜6であるアルキル基であり、
Xは、以下の式(X)〜(XVI)のいずれかで表される基であり、
は、前記Xが以下の式(X)〜(XV)のいずれかで表される基である場合、アルキレン基であり、前記Xが以下の式(XVI)で表される基である場合、単結合又はアルキレン基である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、Wは、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜25のアルキル基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、Wは、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜25のアルキル基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
Figure 2021193074
Figure 2021193074
Figure 2021193074
Figure 2021193074
Figure 2021193074
Figure 2021193074
(2)前記Rが、イソプロピル基である、(1)に記載の化合物。
(3)光照射によって生じる官能基が、R〜Rに存在するカルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基と同一でない、(1)又は(2)に記載の化合物。
(4)下記式(Ia)で表される化合物。
Figure 2021193074
(R’〜R’及びR’’〜R’’は、少なくとも1つがそれぞれ独立に、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基、又は以下の式(II)〜(IX)のいずれかで表される基であり、その余がそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、パーフルオロアルキル基又は置換基としてパーフルオロアルキル基を有してもよいアルコキシ基であり、
’及びR’’は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数が1〜6であるアルキル基であり、
X’及びX’’は、それぞれ独立に、以下の式(X)〜(XVI)のいずれかで表される基であり、
’は、X’側端部及びP側端部に、分岐鎖及び環状構造を有してもよい炭素数が1〜50のアルキレン基を少なくとも有し、さらに、炭素数が1〜50のアルキレン基を有し、分岐鎖及び環状構造を有してもよい炭素数が1〜50のパーフルオロアルキレン基、芳香環、エーテル基、カルボニル基、及びそれらの1種以上で置換されていてもよい芳香環、並びにそれらの基の2以上の組み合わせを含んでもよく、さらにそれらがカルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基で置換されていてもよい基である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、Wは、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜25のアルキル基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、Wは、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜25のアルキル基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
Figure 2021193074
Figure 2021193074
Figure 2021193074
Figure 2021193074
Figure 2021193074
Figure 2021193074
(5)(1)〜(3)のいずれかに記載の化合物を含有する表面処理剤。
(6)(1)〜(3)のいずれかに記載の化合物を、前記化合物が有するリン酸基を用いて、基材の表面の少なくとも一部に化学結合を形成して修飾する表面修飾工程を少なくとも有する、表面処理方法。
(7)前記表面修飾工程の後、基材の前記化合物が修飾された部分の一部に、波長100nm以上400nm以下の光を照射する光照射工程をさらに有する、(6)に記載の表面処理方法。
本発明によれば、より簡便な方法で、複数種の異なる機能性官能基を基材に導入するために用いるのに適した新規な化合物、このような化合物からなる表面処理剤、及び表面処理方法を提供することができる。
本実施形態に係る表面処理方法を説明するための概略模式図である。なお、図1においては、式(I)に表される化合物の例として、上記式(5−9)で表される化合物を用いている。 式(5−9)で表される化合物のエタノール溶液の光照射後のUV−visスペクトルである。 (a)は、式(5−9)で表される化合物の光照射をする前のマススペクトルであり、(b)は、式(5−9)で表される化合物の30秒間光照射をした後のマススペクトルである。 本実施例において用いたフォトマスクの光学顕微鏡像である。 アミン修飾蛍光微粒子を結合した後の表面修飾ITO基板試料の蛍光顕微鏡像である。 カルボン酸塩修飾蛍光微粒子を結合した後の表面修飾ITO基板試料の蛍光顕微鏡像である。 銀ナノ粒子を結合した後の表面修飾ITO基板試料の光学顕微鏡像である。 パターニングした箇所に銀ナノ粒子を結合した後の表面修飾ITO基板試料の光学顕微鏡像である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は特にこれに限定されない。
≪化合物≫
本実施形態の化合物は、以下の式(I)で表される。
Figure 2021193074
(式(I)中、R〜Rは、少なくとも1つがそれぞれ独立に、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基、又は以下の式(II)〜(IX)のいずれかで表される基であり、その余がそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、パーフルオロアルキル基、又は置換基としてパーフルオロアルキル基を有してもよい炭素数が1〜10のアルコキシ基であり、Rは、水素原子、又は置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数が1〜6であるアルキル基であり、Rは、アルキレン基であり、Xは、式(X)〜(XVI)のいずれかで表される基である。)
なお、式(II)〜(IX)において、紙面左側がベンゼン環と結合している。式(X)〜(XVI)において、紙面右側がR部位と、紙面左側がCHR部位のC原子とそれぞれ結合している。
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、Wは、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜25のアルキル基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、Wは、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜25のアルキル基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
Figure 2021193074
Figure 2021193074
Figure 2021193074
Figure 2021193074
Figure 2021193074
Figure 2021193074
本実施形態の式(I)で表される化合物は、末端のリン酸基(紙面右側の末端)によって基材と結合する。一方、式(I)で表される化合物は、リン酸基と他端(紙面左側の末端)に、光分解により脱保護する官能基(保護基)として、ニトロベンジル基を有する。このため、光分解性カップリング剤として機能する。このような光分解性カップリング材によって表面修飾された基材では、光照射をした部分のみにおいて脱保護が起こり、その末端(基材と結合しているリン酸基と反対側)に反応性の官能基が露出される。具体的に、反応性の官能基は、式(I)のXが式(X)又は式(XIII)で表される場合にはアミノ基(HN−)、Xが式(XI)又は式(XIV)で表される場合にはチオール基(HS−)、Xが式(XII)又は式(XV)で表される場合にはヒドロキシ基(HO−)、Xが式(XVI)で表される場合にはカルボキシ基(HOOC−)である。
一方で、光照射をしなかった部分においては脱保護が起こらないため、ニトロベンジル基が残っている。そして、このニトロベンジル基上には、脱保護された末端とは異なる反応性を有するカルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基、又は式(II)〜(IX)のいずれかで表される基を有する。
このようにして、式(I)で表される化合物を用いて基材の修飾を行うことにより、光照射をした部分と、マスキングなどを行い、光が照射されない部分で異なる反応性官能基を有するために、一度の光照射のみで、簡便に複数種の異なる官能基を基材に導入することができる。なお、このような工程の詳細については後述する。
また、本実施形態の式(I)で表される化合物は、ホスホン酸誘導体であるところ、表面処理剤として使用した場合、R部位がアルキレン基であるため、化合物の構造が密になり、安定なSAMを形成することができるため、高い安定性を有する。
式(I)におけるR〜Rは、少なくとも1つがそれぞれ独立に、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基、又は式(II)〜(IX)のいずれかで表される基である箇所は、1つ、2つ、3つ、4つ全てのいずれであってもよい。また、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基、又は式(II)〜(IX)のいずれかで表される基がR〜Rのうち2つ以上の箇所に存在する場合、それらの存在する箇所は、R〜Rのうちいずれの組み合わせであってもよく、また、同じ官能基であっても、異なる官能基であってもよい。また、R〜Rのうち、1つ〜3つが、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基、又は式(II)〜(IX)のいずれかで表される基である場合、その余としては、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、パーフルオロアルキル基、又は置換基としてパーフルオロアルキル基を有してもよいアルコキシ基であれば、特に限定されない。これらは、式(I)で表される化合物の光の吸収波長を調整するために、適宜選択することができる。
〜Rにおいて、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基、又は以下の式(II)〜(IX)のいずれかで表される基以外の官能基のうち、アルキル基又はパーフルオロアルキル基は、直鎖であってもよく、分鎖であってもよい。また、そのアルキル基の炭素数は、特に限定されないが、式(I)で表される化合物を表面処理剤として使用した場合、アルキル基又はパーフルオロアルキル基が長すぎると、化合物同士の相互作用が強くなってSAMの構造が密になって安定化するが、逆に光照射に対する感度が低下する可能性がある。つまり、SAMの安定化と光照射に対する感度の向上のバランスという観点では、R〜Rに配置してもよいアルキル基又はパーフルオロアルキル基は一定程度短い方が好ましい。より具体的には、R〜Rに配置してもよいアルキル基又はパーフルオロアルキル基の炭素数は、25以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましく、15以下であることが更に好ましく、12以下であることがより一層好ましく、6以下であることが最も好ましい。また、R〜Rに配置してもよいアルキル基又はパーフルオロアルキル基の炭素数の下限は、特に限定されず、例えば、1以上(2以上、4以上、8以上、10以上、15以上等)であってもよい。
アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基、又は以下の式(II)〜(IX)のいずれかで表される基以外のR〜Rとしてのアルコキシ基は、上述のとおり、置換基としてパーフルオロアルキル基を有してもよく、有さなくてもよい。つまり、本明細書において、「置換基としてパーフルオロアルキル基を有してもよいアルコキシ基」とは、置換基としてパーフルオロアルキル基を有するアルコキシ基又は非置換のアルコキシ基の何れであってもよいことを意味する。
アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基、又は以下の式(II)〜(IX)のいずれかで表される基以外のR〜Rとしての、アルコキシ基の炭素数は、特に限定されず、例えば、アルコキシ基がパーフルオロアルキル基を有するか否か、又はパーフルオロアルキル基を有する場合のパーフルオロアルキル基の炭素数等に応じで、適宜設定することができ、例えば、1以上(2以上、4以上、6以上、8以上、10以上等)であってもよく、25以下(20以下、18以下、15以下、10以下、8以下、4以下等)であってもよい。また、アルコキシ基の炭素鎖は、直鎖であってもよく、分鎖であってもよいが、直鎖であることが好ましい。
アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基、又は以下の式(II)〜(IX)のいずれかで表される基以外のR〜Rとしてのアルコキシ基が有してもよいパーフルオロアルキル基の炭素数は、特に限定されず、例えば、上記アルコキシ基の炭素数の数等に応じて、適宜設定することができ、例えば、1以上(2以上、4以上、6以上、8以上、10以上等)であってもよく、20以下(18以下、14以下、10以下、8以下、6以下、4以下等)であってもよい。
式(I)で表される化合物を表面処理剤として使用した場合、パーフルオロアルキル基が長すぎると、化合物同士の相互作用が強くなってSAMの構造が密になって安定化するが、逆に光照射に対する感度が低下する可能性があるため、SAMの安定化と光照射に対する感度の向上のバランスという観点では、R〜Rのアルコキシ基と、該アルコキシ基が有するパーフルオロアルキル基との合計の長さが一定程度短い方が好ましい。より具体的には、R〜Rのアルコキシ基と、該アルコキシ基が有するパーフルオロアルキル基との合計の炭素数は、25以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましく、15以下であることが更に好ましく、12以下であることがより一層好ましく、6以下であることが最も好ましい。また、R〜Rのアルコキシ基と、該アルコキシ基が有するパーフルオロアルキル基との合計の炭素数の下限は、特に限定されず、例えば、1以上(2以上、4以上、8以上、10以上、15以上等)であってもよい。また、アルコキシ基が有してもよいパーフルオロアルキル基の炭素鎖は、直鎖であってもよく、分鎖であってもよいが、直鎖であることが好ましい。
は、水素原子、又は置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数が1〜6であるアルキル基であれば、特に限定されないが、式(I)で表される化合物を表面処理剤として使用した場合、高い安定性を有することから、Rがアルキル基であるときは、炭素数が1〜6の範囲であれば、目的に応じて炭素数を適宜変更してもよい。例えば、2以上(3以上、4以上、5以上等)であってもよく、5以下(4以下、3以下、2以下等)であってもよい。また、Rはアルキル基であるとき、直鎖であっても、分鎖であってもよいが、式(I)で表される化合物を表面処理剤として使用した場合、光照射に対する感度が高いことから、分鎖であることが好ましい。Rがアルキル基であるときは、イソプロピル基、t−ブチル基であることが最も好ましい。また、Rが有してもよいハロゲン原子は、特に限定されず、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等であってもよい。また、置換されるハロゲン原子の数は特に限定されず、1級炭素に結合した水素原子を、1、2又は3つのハロゲン原子に置換してもよく、2級炭素に結合した水素原子を、1又は2つのハロゲン原子に置換してもよい。
は、Xが式(X)〜(XV)のいずれかで表される基である場合、アルキレン基であり、Xが式(XVI)で表される基である場合、単結合又はアルキレン基である。
におけるアルキレン基は、特に限定されず、例えば、炭素数は1〜50であってもよいが、式(I)で表される化合物を表面処理剤として使用した場合、アルキレン基が長ければ長いほど、アルキレン基の表面積が大きくなり、化合物同士の相互作用が強くなるため、分子間の距離が短くなり、結果的により化合物同士が密な構造となって、安定性の高いSAMを形成することができる。このことから、アルキレン基の炭素数は、多いほど好ましく、より具体的には、5以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましく、12以上であることが更に好ましく、16以上であることが最も好ましい。他方、別の観点で、アルキレン基が長すぎると、疎水性が強くなるため、表面処理剤と使用する際に、高い親水性を必要とする場合は、短い方が好ましい。例えば、アルキレン基の炭素数は、40以下であることが好ましく、30以下であることがより好ましく、20以下であることが最も好ましい。また、Rは、直鎖であっても、分鎖であってもよいが、式(I)で表される化合物を表面処理剤として使用した場合、アルキレン基の表面積が大きくなり、結果的により高い安定性を有することができることから、直鎖であることが好ましい。
Xは光照射によって切断されて、反応性官能基を形成するものである。光照射によって生じる官能基が、R〜Rに存在するカルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基と同一でないことが好ましい。なお、「R〜Rに存在する」とは、R〜Rがカルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基である場合の他、式(II)〜(IX)のZがカルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基である場合も含む。
Xが式(XVI)で表される基である場合、ホスホン酸に炭素原子が直接結合できることから、Rは単結合であってもよい。
Xは、式(X)〜(XVI)のいずれかで表される基であれば、特に限定されず、用途や目的に応じて、式(X)〜(XVI)の官能基を使い分けることができる。
なお、本願明細書における式(I)以外の式中のR〜R、R、R、X、Y、Z、Wは、上記の式(I)中のR〜R、R、R、X、Y、Z、Wと同様である。
≪化合物の製造方法≫
[リン酸基の付加方法]
本実施形態の上記式(I)で表される化合物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下の工程(A)又は(B)により、式(5)で表される化合物を合成した後に、工程(C)により、式(5)で表される化合物におけるホスホン酸エステルの部分を分解し、式(I)で表される化合物を製造することができる。その合成工程を以下に示す。
Figure 2021193074
式(2)、(4)、(5)中のR〜R11は、それぞれR〜Rとしてのカルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基、若しくは式(II)〜(IX)のいずれかで表される基、又は、R〜Rとしてのカルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基、若しくは以下の式(II)〜(IX)のいずれかで表される基が保護基によって保護された基、又は酸処理等の処理や有機合成的プロセスによりR〜Rとしてのカルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基、又は以下の式(II)〜(IX)のいずれかで表される基に変換される基である。R〜R11が保護基によって保護された基である場合には、(A)、(B)及び(C)の前後のうち適時に保護基を付加する工程と、保護基を脱離する工程とを少なくとも1つ設けてもよい。また、R〜R11が酸処理等の処理や有機合成的プロセスによりR〜Rに変換される基である場合、(A)、(B)及び(C)の前後のうち適時にそれらを変換する工程を少なくとも1つ設けてもよい。なお、以下の式においては、便宜のため、ニトロベンジル基上の各官能基をR〜Rと表記する。
式(1)、(3)、(5)中のRとしては、例えば、メチル基、エチル基、トリメチルシリル基、t−ブチル基、その他のアルキル基等が挙げられる。これらは、必要に応じて、適宜好ましいものを選択することができ、例えば、式(5)で表される化合物の合成を行いやすいという観点からは、Rは、エチル基であることが好ましい。他方、最終的に得られる式(I)で表される化合物を得る際に、弱酸で加水分解できることから、t−ブチル基であることが好ましく、あるいは、中性条件で加水分解又は加アルコール分解できることから、トリメチルシリル基であることが好ましい。なお、本明細書における他の式中のRは、上記の式(1)、(3)、(5)中のRと同様である。
式(3)中のXは、第1級アミノ基、チオール基、ヒドロキシ基、又はカルボキシ基のいずれかである。最終的に得られる式(I)で表される化合物におけるXが式(X)及び式(XIII)で表される基である場合、式(3)中のXは第1級アミノ基であり、式(I)で表される化合物におけるXが式(XI)及び式(XIV)で表される基である場合、式(3)中のXはチオール基であり、式(I)で表される化合物におけるXが式(XII)及び式(XV)で表される基である場合、式(3)中のXはヒドロキシ基であり、式(I)で表される化合物におけるXが式(XVI)で表される基である場合、式(3)中のXはカルボキシ基である。
式(4)中のVは、以下の式(XVII)で表される基か、ヒドロキシ基のいずれかである。式(3)中のXが、第1級アミノ基、チオール基、又はヒドロキシ基のいずれかである場合、Vとしては、式(XVII)で表される基を用いることが好ましい。式(3)中のXが、カルボキシ基である場合、Vは、ヒドロキシ基であることが好ましい。
Figure 2021193074
以下に、本実施形態の式(I)で表される化合物のより具体的な製造方法を説明する。
(工程(A))
工程(A)の合成方法は、例えば、あらかじめニトロベンジル基で保護した臭化物(式(2)で表される化合物)を合成した後に、Arbuzov反応(P−C結合生成反応)により、ホスホン酸エステル(式(5)で表される化合物)を合成することができる。この式(5)で表される化合物を用いて、工程(C)により、式(I)で表される化合物を製造することができる。
工程(A)の具体的操作としては、Arbuzov反応(P−C結合生成反応)を生ずるような操作を用いることができ、例えば、式(1)で表される化合物であるトリアルキルホスファイト(トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリストリメチルシリルホスファイト等)と式(2)で表される化合物を加熱させることにより行うことができる。
Xが、式(X)〜(XII)で表される基である場合、工程(A)の前に、例えば、以下のような工程により、式(2−1)で表される化合物を合成し、それを用いて、式(5)で表される化合物(以下の工程では、式(5−1)で表される化合物)を製造することができる。
Figure 2021193074
上記(a)の工程は、芳香環のニトロ化を行う操作であり、その具体的方法は、例えば式(6)で表される化合物に濃硝酸(例えば、70%硝酸等)を作用させることにより行うことができる。
上記(b)の工程は、工程(a)で得られたニトロ化合物のカルボニル基の還元によりアルコールへと変換し、式(7)で表される化合物の合成を行う操作であり、その具体的方法は、例えば水素化ホウ素ナトリウムにより行うことができる。また、溶媒としては、メタノール、THF(テトラヒドロフラン)等を用いてもよい。
上記(c)の工程は、式(8)で表される活性カーボナートの合成を行う操作であり、その具体的方法は、例えば式(7)で表される化合物とジ−N−スクシニミジルカーボナートの反応により行うことができる。また、溶媒としては、TEA(トリエチルアミン)、乾燥アセトニトリル等を用いてもよい。
上記(d)の工程は、末端にブロモ基をもつ式(2−1)で表される化合物を合成するための反応を行う操作であり、その具体的方法は、例えば塩基としてのトリエチルアミン存在下で、乾燥された溶媒(例えば、乾燥THF(テトラヒドロフラン)等)を用いて、式(9)で表される臭化物と式(8)で表される活性カーボナートとの反応により行うことができる。
Xが、式(XVI)で表される基であった場合、例えば、以下のような工程により式(5)で表される化合物(以下の工程では、式(5−2)で表される化合物)を製造することができる。
Figure 2021193074
上記(e)の工程は、式(9−1)で表されるブロモカルボン酸と式(10)で表されるアルコールとの脱水縮合反応を行う操作であり、その具体的方法は、例えば脱水縮合剤として水溶性のカルボジイミド(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、EDC・HCl)、塩基としてN,N−ジエチルアミノピリジン(DMAP)を用いることにより行うことができる。
(工程(B))
工程(B)の合成方法は、特に限定されないが、末端に一級アミン、アルコール、チオール、又はカルボン酸の官能基を有するホスホン酸エステル(式(3)で表される化合物)を合成した後に、この化合物に対して、式(4)で表される化合物を用いてニトロベンジル基を導入することによって、式(5)で表される化合物を合成することができる。この式(5)で表される化合物を用いて、工程(C)により、式(I)で表される化合物を製造することができる。
工程(B)の操作は、式(3)で表される化合物に対して、式(4)で表される化合物を用いてニトロベンジル基を導入する操作を用いることができ、具体的には、例えば、上記(d)と同様に、例えば塩基としてのトリエチルアミン存在下で、乾燥された溶媒(例えば、乾燥THF(テトラヒドロフラン)等)として式(3)で表される化合物と式(4)で表される化合物との反応により行うことができる。
Xが、式(X)で表される基であった場合、工程(B)も含め、例えば、以下のような方法により式(I)で表される化合物を製造することができる。また、この合成工程は、式(I)で表される化合物が具体的には式(I−1)で表される化合物である場合の合成工程であり、つまり、Rがt−ブチル基である場合の合成工程である。Rがt−ブチル基である場合、特に効率的に、最終的な目的である式(I)で表される化合物を得られることから、この合成工程は好ましい。また、式(4−1)で表される化合物は、式(4)で表される化合物におけるVが、式(XVII)で表される基である場合の化合物である。なお、以下の方法における工程(j)は、工程(C)(詳細は後述する)の一つの工程である。
Figure 2021193074
上記(f)の工程は、上述の工程(A)と同様に、Arbuzov反応によりホスホン酸を形成する反応を行う操作であり、その具体的方法は、例えば式(1−1)で表されるトリエチルホスファイトと式(11)で表される臭化物を加熱させることにより行うことができる。
上記(g)の工程は、式(12)で表されるホスホン酸ジエチルエステルの式(13)で表されるホスホン酸への変換を行う操作であり、その具体的方法は、例えばトリメチルブロモシランを作用させて一旦トリメチルシリルエステルへ変換した後、加メタノール分解により行うことができる。
上記(h)の工程は、上記(g)の工程により得られた式(13)で表されるホスホン酸を式(14)で表されるt−ブチルエステルへの変換を行う操作であり、その具体的方法は、例えばt−ブチル2,2,2−トリクロロアセトイミダートを反応させることにより行うことができる。溶媒としては、例えば、ジクロロメタン等を用いることができる。
上記(i)の工程は、式(14)で表されるガブリエル合成の中間体であるフタルイミドの式(3−1)で表されるアミンへの変換を行う操作であり、その具体的方法は、例えばフタルイミドのヒドラジン分解により行うことができる。また、溶媒としては、例えば、エタノール等を用いることができる。
上記(j)の工程は、後述する工程(C)の方法を用いることができ、例えば、希塩酸分解を用いることができる。溶媒としては、例えば、メタノール等を用いてもよい。
Xが式(XI)で表される基であった場合、例えば、以下のような方法により式(5)で表される化合物(以下の工程では、式(5−4)で表される化合物)を合成することができる。
Figure 2021193074
上記(k)の工程は、前述した工程(A)の方法と同様の方法を用いることができる。つまり、(k)の工程は、Arbuzov反応(P−C結合生成反応)を生ずるような操作を用いることができる。例えば、トリアルキルホスファイト(トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリストリメチルシリルホスファイト等)と式(9−2)で表される化合物を加熱させることにより行うことができる。
Xが式(XII)で表される基であった場合、例えば、以下のような方法により式(5)で表される化合物(以下の工程では、式(5−5)で表される化合物)を合成することができる。
Figure 2021193074
上記(l)の工程は、式(9−3)で表されるアルコールに保護基を導入し、式(15)で表される化合物であるテトラヒドロピラニルエーテルの合成を行う操作であり、その具体的方法は、例えば酸触媒の存在下ジヒドロピランを作用させることにより行うことができる。
上記(m)の工程は、前述した工程(A)の方法と同様の方法を用いることができる。つまり、(m)の工程は、Arbuzov反応(P−C結合生成反応)を生ずるような操作を用いることができる。例えば、トリアルキルホスファイト(トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリストリメチルシリルホスファイト等)と式(15)で表される化合物を加熱させることにより行うことができる。
上記(n)の工程は、式(16)で表される化合物の保護基であるテトラヒドロピラニルエーテルの除去を行う操作であり、その具体的方法は、例えばテトラヒドロフラン−水を溶媒とした酢酸による加水分解により行うことができる。
Xが、式(XIII)、(XIV)、又は(XV)で表される基である場合に、上述の述べた工程(B)と同様の方法で、式(3)で表される化合物に対して、ニトロベンジル基を導入することによって、式(5)で表される化合物を製造可能である。ただし、Xが、式(XIV)、式(XV)、又は(XVI)で表される基である場合、上述の式(4)で表される化合物の代わりに、式(4’)で表される化合物を用いることができる。式(4’)で表される化合物は、式(4)で表される化合物におけるVをVに置き換えたものである。また、工程(B)の前に、工程(o)又は工程(p)を行ってもよい。以下に、この場合における工程(B)の具体的態様である工程(B−1)、(B−2)及び(B−3)と、これらの前工程である工程(o)、工程(p)を用いることで、式(5)で表される化合物(以下の工程では、式(5−6)、(5−7)、又は(5−8)で表される化合物)を製造するための反応スキームを示す。
Figure 2021193074
上記の工程(o)及び(p)は、式(7)で表される化合物を、アミン化合物(式(3−1)で表される化合物、チオール化合物(式(3−2)で表される化合物)又はアルコール化合物(式(3−3)で表される化合物)と反応させるための中間体(例えば、式(4’)で表される化合物のような塩化物、臭化物、p−トルエンスルホナート等)に導くための工程である。より具体的には、工程(o)では、例えば、式(7)で表される化合物を三塩化リン又は三臭化リンと反応させることで、式(4’−1)で表される化合物を得ることができる。工程(p)では、例えば、式(7)で表される化合物を塩化p−トルエンスルホニル(式(17)で表される化合物)と反応させることにより式(4’−2)で表される中間体を得ることができる。なお、Vの一つであるTsOとは、以下の式(XVIII)で表される基である。
Figure 2021193074
工程(B−1)は、式(3−1)で表されるアミン化合物と式(4’)で表される化合物をカップリングさせて、式(5−6)で表される化合物を合成する操作であり、その具体的な方法は、例えば、水素化ナトリウムにより式(3−2)の化合物をナトリウムアミドとした後、式(4’)で表される化合物と反応させることにより、式(5−6)で表される化合物を得ることができる。
工程(B−2)は、式(3−2)で表されるチオール化合物と式(4’)で表される化合物をカップリングさせて、式(5−7)で表される化合物を合成する操作であり、その具体的な方法は、例えば、水素化ナトリウムにより式(3−2)の化合物をナトリウムチオラートとした後、式(4’)で表される化合物と反応させることにより、式(5−7)で表される化合物を得ることができる。
工程(B−3)は、式(3−3)で表されるアルコール化合物と式(4’)で表される中間体をカップリングさせて、式(5−8)で表される化合物を合成する操作であり、その具体的な方法は、水素化ナトリウムにより式(3−3)で表される化合物をナトリウムアルコラートとした後、式(4’)で表される化合物と反応させることにより、式(5−8)で表される化合物を得ることができる。
Xが式(XVI)で表される基であった場合、例えば、以下のような方法により式(5)で表される化合物(以下の工程では、式(5−2)で表される化合物)を合成することができる。
Figure 2021193074
上記(q)の工程は、式(18)で表されるカルボン酸エチルエステルの加水分解を行う操作であり、その具体的方法は、例えばテトラヒドロフラン中アルカリ水溶液により行うことができる。その後、工程(B)を経ることにより、式(5)で表される化合物を合成することができる。
(工程(C))
工程(C)は、式(5)で表される化合物におけるホスホン酸エステルの部分を分解して、式(I)を得る方法であり、Rの種類に応じて適宜選択することができる。
上記(C)の工程は、式(5)で表される化合物におけるホスホン酸エステルの部分を分解して、式(I)で表される化合物を得る操作であれば、特に限定されず、例えば、酸加水分解、シリルエステルに変換後の加アルコール分解により行うことができる。これらの方法の中から、合成に使用する材料や、目的とする化合物の性質に応じて、適切な方法を選択することができる。
式(5)中のRが、エチル基である場合(以下の工程における式(5−a)で表される化合物)、工程(C)としては、以下の示す工程(C−1)により、式(I)で表される化合物を合成することができる。
Figure 2021193074
上記(C−1)の工程は、上記(C)の工程を用いることができるが、クロロトリメチルシラン(TMS−Cl)とアルカリ金属ヨウ化物又はブロモトリメチルシランにより行うことが好ましい。また、溶媒として、例えば、メタノール等を用いてもよい。
式(5)中のRが、トリメチルシリル基である場合(以下の工程における式(5−b)で表される化合物)、工程(C)としては、以下の示す工程(C−2)により、式(I)で表される化合物を合成することができる。
Figure 2021193074
上記(C−2)の工程は、上記(C)の工程を用いることができるが、メタノール処理により行うことが好ましい。
式(5)中のRが、t−ブチル基である場合(以下の工程における式(5−c)で表される化合物)、以下の示す工程により、式(I)で表される化合物を合成することができる。また、必要に応じて、以下に示すように、工程(r)、上述の工程(B)を経て、以下の式(5−c)で表される化合物を合成してもよい。
Figure 2021193074
上記(r)の工程は、式(19)で表される化合物のジt−ブチルエステルへの変換を行う操作であり、その具体的方法は、例えばt−ブチル2,2,2−トリクロロアセトイミダートでの処理により行うことができる。また、溶媒として、例えば、ジクロロメタン等を用いてもよい。
上記(C−3)の工程は、上記(C)の工程を用いることができるが、希塩酸処理により行うことが好ましい。また、溶媒として、例えば、メタノール等を用いてもよい。
(工程(D))
工程Dは、式(I)で表される化合物のR〜R11の少なくともいずれかが、R〜Rとしてのカルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基、又は式(II)〜(IX)のいずれかで表される基が保護基によって保護された基である場合、保護基に応じて脱保護を行う。また、酸処理等の処理や有機合成的プロセスによりR〜Rとしてのカルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基、又は式(II)〜(IX)のいずれかで表される基に変換される基である場合、R〜Rに変換するための処理を行う。この工程については、R〜Rがカルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基、又は式(II)〜(IX)のいずれかで表される基であり、これらの官能基は反応性を有するために、上記工程(A)〜(C)によって他の官能基へ変換されることがある。これを防止するために、反応経路を適宜設計して、R〜Rを保護したり、(A)〜(C)の工程の後に目的のR〜Rを形成したりする等の手段を講じてもよい。以下、具体例を説明する。
[R〜Rが末端のリン酸化の過程で反応する場合]
〜Rが、(A)〜(C)の工程(末端のリン酸化)で反応する場合には、上述したとおり、式(2)、(4)、(5)中のR〜R11としては、R〜Rとしてのカルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基、又は式(II)〜(IX)のいずれかで表される基が保護基によって保護された基、又は酸処理等の処理や有機合成的プロセスによりR〜Rとしてのカルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基、又は式(II)〜(IX)のいずれかで表される基に変換される基を用いる。そして、R〜R11が保護基によって保護された基である場合には、(A)、(B)及び(C)の前後のうち適時に保護基を付加する工程と、保護基を脱離する工程とを少なくとも1つ設ける。また、R〜R11が酸処理等の処理や有機合成的プロセスによりR〜Rに変換される基である場合、(A)、(B)及び(C)の前後のうち適時にそれらを変換する工程を少なくとも1つ設ける。より具体的に、以下、式(5−9)で表される化合物を製造する方法を一例として説明する。
Figure 2021193074
上記(s)の工程は、式(20)で表される化合物1−(4,5−dimethoxy−2−nitrophenyl)−2−methylpropan−1−oneを、塩化リチウムを用いて処理し、フェニル基の5位に存在するメトキシ基をヒドロキシル基に変換し、式(21)で表される化合物1−(5−hydroxy−4−methoxy−2−nitrophenyl)−2−methylpropan−1−oneの合成を行うことができる。また、溶媒としては、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)等を用いてもよい。
上記(t)の工程は、式(21)で表される化合物を、炭酸カリウムの存在下で式(22)で表されるtert−butyl 2−bromoacetateを用いて処理し、フェニル基の5位に存在するヒドロキシル基を保護することで、式(23)で表される化合物tert−butyl 2−(5−isobutyryl−2−methoxy−4−nitrophenoxy)acetateの合成を行うことができる。また、溶媒としては、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)等を用いてもよい。
上記(u)の工程は、式(23)で表される化合物を、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)を用いて還元処理し、イソブチリル基を、1−ヒドロキシ−2−メチルプロピル基に変換することで、式(24)で表される化合物tert−butyl 2−(5−(1−hydroxy−2−methylpropyl)−2−methoxy−4−nitrophenoxy)acetateの合成を行うことができる。また、溶媒としては、メタノール等を用いてもよい。
上記(v)の工程は、式(24)で表される化合物を、式(25)で表されるN,N‘−disuccinimidyl carbonateとトリエチルアミンで処理して、1−ヒドロキシ−2−メチルプロピル基を保護することで、式(26)で表される化合物tert−butyl 2−(5−(1−((((2,5−dioxopyrrolidin−1−yl)oxy)carbonyl)oxy)−2−methylpropyl)−2−methoxy−4−nitrophenoxy)acetateの合成を行うことができる。また、溶媒としては、アセトニトリル等を用いてもよい。
上記(w)の工程は、式(26)で表される化合物を、式(27)で表されるdi−tert−butyl(3−aminopropyl)phosphonateとトリエチルアミンで処理して、アミド結合を形成することで、式(28)で表される化合物tert−butyl 2−(5−(1−(((3−(di−tert−butoxyphosphoryl)propyl)carbamoyl)oxy)−2−methylpropyl)−2−methoxy−4−nitrophenoxy)acetateの合成を行うことができる。また、溶媒としては、THF(テトラヒドロフラン)等を用いてもよい。
上記(x)の工程は、式(28)で表される化合物を、塩酸とジオキサンで処理して、tert−ブチル基を水酸基に、tert−ブトキシカルボニル基をカルボキシ基にそれぞれ変換することで、式(5−9)で表される化合物2−(2−methoxy−5−(2−methyl−1−(((3−phosphonopropyl)carbamoyl)oxy)propyl)−4−nitrophenoxy)acetic acidの合成を行うことができる。また、溶媒としては、酢酸等を用いてもよい。
[化合物の製造方法の具体例]
ベンゼン環上の官能基の末端にカルボキシを有する化合物は、例えば以下の経路で合成することができる。
Figure 2021193074
Figure 2021193074
ベンゼン環上の官能基の末端にアミノ基を有する化合物は、例えば以下の経路で合成することができる。
Figure 2021193074
Figure 2021193074
Figure 2021193074
Figure 2021193074
ベンゼン環上の官能基の末端にチオール基を有する化合物は、例えば以下の経路で合成することができる。
Figure 2021193074
Figure 2021193074
ベンゼン環上の官能基の末端にヒドロキシ基を有する化合物は、例えば以下の経路で合成することができる。
Figure 2021193074
Figure 2021193074
なお、各合成において、化合物にリン酸エステル基を付加するために用いる各剤は、例えば、以下の反応式で示される反応経路により合成することができる。
Figure 2021193074
このような化合物の部位X’、X’’を切断するために必要な照射光の波長はR’〜R’、R’’〜R’’の化学種によって異なる。例えば、R’〜R’、R’’〜R’’のうちのカルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基、及び式(II)〜(IX)のいずれかで表される基以外の基として水素原子のみである場合には、200nm〜300nm未満の波長の光で脱保護(例えば部位X’での切断)されるが、300nm〜400nmの波長の光では脱保護されない。一方で、例えば、R’〜R’、R’’〜R’’のうちのカルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基、及び式(II)〜(IX)のいずれかで表される基以外の基としてエーテル結合(メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基)が存在すると、200nm〜300nm未満の波長の光で脱保護される他、300nm〜400nmの波長の光でも脱保護されるようになる。このように、ベンゼン環上の官能基の違いによる脱保護に必要な光の波長の違いを利用して、脱保護の有無を制御することができる。このようにして、部位X’が300nm〜400nmの波長の光で切断されないようにし、一方で、部位X’’が300nm〜400nmの波長の光で切断されるようにすると、200nm〜300nm未満の波長の光ではX’及びX’’の両方が脱保護されるが、300nm〜400nmの波長の光ではX’’のみが脱保護される。200nm〜300nm未満の波長の光照射と、300nm〜400nmの波長の光照射を、異なるパターンのマスクで行なえば、基材上には、X’及びX’’の両方が脱保護された箇所、X’’のみが脱保護された箇所、及びX’及びX’’の両方が脱保護されていない箇所の3種類の修飾形態が存在することとなる。
≪表面処理剤≫
本実施形態に係る表面処理剤は、上述した式(I)で表される化合物を含有する。式(I)におけるRが、アルキレン基であるため、安定なSAMを形成することができる。
本実施形態に係る表面処理剤は、処理対象物である基材の表面を処理して修飾するために用いられるものであれば、その用途は特に限定されない。例えば、後述するように、上記で述べた式(I)で表される化合物におけるホスホン酸基と、基材の表面にあるヒドロキシ基とを脱水縮合によって化学結合を形成して、その表面を修飾するために用いることができる。
≪表面処理方法≫
本実施形態に係る表面処理方法は、上記式(I)で表される化合物を、その化合物が有するリン酸基を用いて、基材の表面の少なくとも一部に化学結合を形成して修飾する表面修飾工程を少なくとも有する。また、この表面修飾方法は、表面修飾工程の後に光照射工程を有していてもよい。
図1は、本実施形態に係る表面処理方法を説明するための概略模式図である。なお、図1においては、式(I)に表される化合物の例として、上記式(5−9)で表される化合物を用いている。以下、本項において、式(5−9)で表される化合物を「表面修飾化合物」という。
まず、基材1の表面に、表面修飾化合物を塗布し、基材の水酸基と表面修飾化合物のリン酸基とを脱水縮合させて、両者の間を結合し、表面修飾化合物層2を形成する(S1)。この時点では、基材の表面修飾化合物層2の表面には、表面修飾化合物が有するカルボキシル基が露出されている。
このように表面修飾化合物層2の表面の一部に対し、フォトマスク等を用いて、光を照射する(S2)。上述したとおり、光照射部22では、表面修飾化合物がニトロベンジル基を有しているため脱保護が起こり、表面にアミノ基が露出する。一方、光非照射部21では、表面修飾化合物層2と同様に、表面修飾化合物が有するカルボキシル基が露出されている。このようにして、一度の光照射のみで、一つの基材上に複数種の異なる官能基を導入することができる。
以下、各工程について詳細に説明する。
[表面修飾工程]
表面修飾工程は、上記式(I)で表される化合物を、その化合物が有するリン酸基を用いて、基材の表面の少なくとも一部に化学結合を形成して修飾する工程である。
基材の表面は、上記式(I)におけるホスホン酸基と、例えば、脱水縮合反応等を行うことで表面が修飾されるものである。具体的に、上記式(I)におけるホスホン酸基と脱水縮合反応をする基としては、例えば、ヒドロキシ基等が挙げられる。
基材としては、特に限定されず、例えば無機材料であってもよく、また有機材料であってもよいが、無機材料であることが好ましい。無機材料としては、特に限定されないが、例えば金属(表面の酸化層との反応による)及び金属酸化物、例えば、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)、シリコン、シリカゲル、ガラス、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、マイカ等が挙げられる。有機材料としては、例えば、ポリエステル、ポリカ―ボナート、ポリイミド、カーボンナノチューブ、グラフェン等が挙げられる。
処理対象物の表面を処理する方法としては、特に限定されず、上記式(I)で表される化合物を直接処理対象物の表面に塗布してもよく、あるいは、化合物が溶解する溶媒(例えば、エタノール、2−プロパノール、テトラヒドロフラン等)に溶かした状態で、基材の表面に塗布してもよい。また、上記式(I)で表される化合物を直接基材の表面に塗布等を行って表面を修飾した後に、その表面に対して光照射を行い表面から光分解性基を脱離させ、表面に官能基を導入してもよい。更に、表面に導入された官能基に対して、官能基と反応可能な基を反応させ、更に表面を修飾してもよい。
基材表面の形状は、特に限定されないが、平面状であってもよく、球面状であってもよく、あるいはこれらのいずれの部分も含んでいてもよい。
[光照射工程]
光照射工程は、上述した表面修飾工程の後、基材のうち、式(I)で表される化合物が修飾された部分の一部に、波長200〜300nm未満、又は300〜400nmに吸収のある化合物については200nm以上400nm以下の光を照射する工程である。
光の照射方法としては、特に限定されないが、フォトマスク等を用いてパターン露光を行う方法等が挙げられる。
[その他の工程]
本実施形態の表面処理方法は、上記の表面処理工程以外の従来の公知の工程を含んでもよく、含まなくてもよい。
例えば、上記の表面処理工程の前に、処理対象物を洗浄(液体による洗浄、超音波洗浄等)、乾燥、UV照射等の前処理を行う工程があってもよい。
[3種以上の官能基を導入する場合]
以上では、主として、基材に2種の官能基を導入するための手法について説明したが、本実施形態の化合物を用いれば従来の方法に比べて簡便に基材に3種以上の官能基を導入することもできる。例えば、ベンゼン環上の官能基の末端の官能基と、脱保護した(部位Xが切断した)場合に形成する官能基がいずれも異なる化合物を2種用意し、それぞれを基材上に塗布や印刷し、適宜光照射してパターニングする。これにより、2回の塗布や印刷で、基材上に計4種の官能基を導入することが可能である。すなわち、本実施形態の化合物を組み合わせれば塗布や印刷の回数を1/2に削減できる。
≪化合物の変形例≫
本実施形態の化合物は、以下の式(Ia)で表される。
Figure 2021193074
(R’〜R’及びR’’〜R’’は、少なくとも1つがそれぞれ独立に、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基、又は以下の式(II)〜(IX)のいずれかで表される基であり、その余がそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、パーフルオロアルキル基又は置換基としてパーフルオロアルキル基を有してもよいアルコキシ基であり、R’及びR’’は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数が1〜6であるアルキル基であり、X’及びX’’は、それぞれ独立に、以下の式(X)〜(XVI)のいずれかで表される基であり、R’は、X’側端部及びP側端部に、分岐鎖及び環状構造を有してもよい炭素数が1〜50のアルキレン基を少なくとも有し、さらに、炭素数が1〜50のアルキレン基を有し、分岐鎖及び環状構造を有してもよい炭素数が1〜50のパーフルオロアルキレン基、芳香環、エーテル基、カルボニル基、及びそれらの1種以上で置換されていてもよい芳香環、並びにそれらの基の2以上の組み合わせを含んでもよく、さらにそれらがカルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基で置換されていてもよい基である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、Wは、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜25のアルキル基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、Wは、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜25のアルキル基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
(Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基であり、Wは、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜25のアルキル基であり、nは1〜25の整数である。)
Figure 2021193074
Figure 2021193074
Figure 2021193074
Figure 2021193074
Figure 2021193074
Figure 2021193074
Figure 2021193074
’〜R’及びR’’〜R’’は、上記R〜Rと同様のものを用いることができ、R’及びR’’は、上記Rと同様のものを用いることができ、X’及びX’’は、上記Xと同様のものを用いることができる。
’は、X’側端部及びP側端部に、分岐鎖及び環状構造を有してもよい炭素数が1〜50のアルキレン基を少なくとも有し、さらに、炭素数が1〜50のアルキレン基を有し、分岐鎖及び環状構造を有してもよい炭素数が1〜50のパーフルオロアルキレン基、芳香環、エーテル基、カルボニル基、及びそれらの1種以上で置換されていてもよい芳香環、並びにそれらの基の2以上の組み合わせを含んでもよく、さらにそれらがカルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基で置換されていてもよい基である。なお、R’は、炭素数が1〜25のアルキレン基を有し、分岐鎖及び環状構造を有してもよい炭素数が1〜25のパーフルオロアルキレン基、芳香環、エーテル基又はカルボニル基それぞれを複数(の部分に)含んでもよい。
以上のような化合物は、以下に示される合成経路によって合成することができる。
Figure 2021193074
以下、実施例を示すことにより本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<表面処理剤として用いる化合物の合成>
以下に示す式により、式(5−9)で表される化合物を合成した。以下、それぞれの反応について説明する。
Figure 2021193074
[工程(s)]1−(5−hydroxy−4−methoxy−2−nitrophenyl)−2−methylpropan−1−oneの合成
Figure 2021193074
二口ナスフラスコに1−(4,5−dimethoxy−2−nitrophenyl)−2−methylpropan−1−one(5.00g,19.7mmol,1.0eq.),lithium chloride(17.2g,0.406mol,21eq.),DMF(30mL)を室温で加えた。165℃で2時間撹拌した後、DMFを減圧留去によって除去した。残留物にAcOEt(200mL),酸性水溶液(純水80mL,2N HCl 20mL)を加えた後、不溶な固体を吸引ろ過で除去した。ろ液を分液ロートに移したのち水層を除去した。有機層を酸性水溶液(純水90mL+2N HCl 20mL)、純水(100mL)、sat.NaClaq.(100mL)で洗浄、乾燥(MgSO)、ろ過、濃縮を行った。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt/hexane=1/1)によって精製して、黄色固体(1.16g,4.85mmol,25%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl,TMS):δ(ppm) 7.68(s,1H),6.81(s,1H),6.25(br,1H),4.03(s,3H),2.90(sept.,J=7.0Hz,1H),1.22(d,J=6.8Hz,6H). 13C NMR(100MHz,CDCl,TMS):δ(ppm) 206.9,151.1,146.6,138.1,133.3,113.3,106.9,56.71,41.39,18.59. HR−MS(ESI) m/z:Calcd for C1113Na [M+Na]=262.0691;Found 262.0692. FT−IR(KBr):3335cm−1(OH),1692cm−1(C=O),1518cm−1,1330cm−1(NO).
[工程(t)]tert−butyl 2−(5−isobutyryl−2−methoxy−4−nitrophenoxy)acetateの合成
Figure 2021193074
窒素置換した二口ナスフラスコに、1−(5−hydroxy−4−methoxy−2−nitrophenyl)−2−methylpropan−1−one(1.00g,4.18mmol,1.0eq.),potassium carbonate(1.73g,12.5mmol,3.0eq.),DMF(15mL)を加え、室温で3時間撹拌した。tert−butyl 2−bromoacetate(1.22g,6.25mmol,1.5eq.)を加えて70℃で3時間撹拌した後、室温に戻しEtOAc(100mL)を加えた。有機層を純水(2×50mL)、sat.NaClaq.(3×50mL)で洗浄、乾燥(MgSO)、ろ過、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt/hexane=1/4)によって精製して黄色固体(1.45g,4.10mmol,98%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl,TMS):δ(ppm) 7.68(s,1H),6.56(s,1H),4.69(s,2H),4.00(s,3H),2.89(sept.,J=6.9Hz,1H),1.47(s,9H),1.19(d,J=6.8Hz,6H). 13C NMR(100MHz,CDCl,TMS):δ(ppm) 206.9,166.3,152.0,149.7,139.2,131.8,111.1,107.4,83.38,66.10,56.63,41.47,27.99,18.71. HR−MS(ESI)m/z:Calcd for C1723Na[M+Na]=376.1372;Found 376.1355. FT−IR(KBr):1746cm−1,1695cm−1(C=O),1537cm−1(NO),1335cm−1(NO).
[工程(u)]tert−butyl 2−(5−(1−hydroxy−2−methylpropyl)−2−methoxy−4−nitrophenoxy)acetateの合成
Figure 2021193074
一口ナスフラスコにtert−butyl 2−(5−isobutyryl−2−methoxy−4−nitrophenoxy)acetate(504mg,1.43mmol,1.0eq.),MeOH(8mL)を加えて溶かした後、室温でNaBH(70.1mg,1.85mmol,1.3eq.)を加えた。2時間撹拌した後、EtOAc(100mL)で希釈、有機層を酸性水溶液(純水50mL+2N HCl 2mL)、純水(50mL)、5% NaHCO(50mL),sat.NaClaq.(50mL)で洗浄、乾燥(MgSO)、ろ過、濃縮を行った。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt/hexane=1/3)によって精製して、黄色粘体(459mg,1.29mmol,90%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl,TMS):δ(ppm) 7.58(s,1H),7.09(s,1H),5.25(t,J=6.8Hz,1H),4.70(s,2H),3.95(s,3H),2.19(br,1H),2.03−1.92(m,1H),1.49(s,9H),0.954 and 0.904(d,J=7.0Hz,6H). 13C NMR (100MHz,CDCl,TMS):δ(ppm)166.7,151.3,147.8,140.9,134.3,111.3,108.3,83.02,73.45,65.81,56.39,34.29,28.02,19.90,16.49. HR−MS(ESI)m/z:Calcd for C1725Na [M+Na]=378.1529;Found 378.1516. FT−IR(KBr):3539cm−1(OH),1752cm−1(C=O),1519cm−1(NO),1334cm−1(NO).
[工程(v)]tert−butyl 2−(5−(1−((((2,5−dioxopyrrolidin−1−yl)oxy)carbonyl)oxy)−2−methylpropyl)−2−methoxy−4−nitrophenoxy)acetateの合成
Figure 2021193074
窒素置換した二口試験管に、tert−butyl 2−(5−(1−hydroxy−2−methylpropyl)−2−methoxy−4−nitrophenoxy)acetate(419mg,1.18mmol,1.0eq.),N,N’−disuccinimidyl carbonate(610mg,2.4mmol,2.02eq.),CHCN(5mL),EtN(480μL,3.46mmol,2.9eq.)を加え、室温で24時間撹拌した。反応溶液をEtOAc(150mL)で希釈、有機層を酸性水溶液(純水50mL+2N HCl 2mL),純水(50mL),sat.NaClaq.(50mL)で洗浄、乾燥(MgSO)、ろ過、濃縮を行った。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt/hexane=3/7)によって精製して黄色固体(459mg,0.925mmol,78%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl,TMS):δ(ppm)7.68(s,1H),6.85(s,1H),6.38(d,J=4.8Hz,1H),4.80(s,2H),3.96(s,3H),2.80(s,1H),2.30−1.92(m,1H),1.49(s,9H),1.09 and 1.00(d,J=7.0Hz,6H). 13C NMR(100MHz,CDCl,TMS):δ(ppm)168.5,166.8,151.9,151.6,148.7,128.3,110.1,108.7,83.19,82.98,66.03,56.44,33.53,28.02,25.41,19.35,16.41. HR−MS(ESI)m/z:Calcd for C2228Na11 [M+Na]=519.1591;Found 519.1593. FT−IR(KBr):1814cm−1,1790cm−1,1744cm−1(C=O),1524cm−1,1338cm−1(NO).
[工程(w)]tert−butyl 2−(5−(1−(((3−(di−tert−butoxyphosphoryl)propyl)carbamoyl)oxy)−2−methylpropyl)−2−methoxy−4−nitrophenoxy)acetateの合成
Figure 2021193074
窒素置換した二口試験管に、tert−butyl 2−(5−(1−((((2,5−dioxopyrrolidin−1−yl)oxy)carbonyl)oxy)−2−methylpropyl)−2−methoxy‐4‐nitrophenoxy)acetate(120mg,0.242mmol,1.0eq.),di−tert−butyl(3−aminopropyl)phosphonate(72.2mg,0.287mmol,1.2eq.),THF(1.0mL),EtN(50.0μL,0.361mmol,1.5eq.)を加え、室温で24時間撹拌した。得られた反応溶液を濃縮して、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl=5/95)によって精製して、黄色粘体(148mg,0.234mmol,97%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl,TMS):δ(ppm) 7.60(s,1H),6.84(s,1H),6.19(d,J=5.6Hz,1H),5.25(t,J=6.0Hz,1H),4.66(s,2H),3.94(s,3H),3.32−3.07(m,2H),2.15−2.04(m,1H),1.82−1.70(m,2H),1.68−1.56(2H(predicted)overlapped with water’s peak),1.49(s,9H),1.48 and 1.47(s,18H),0.97 and 0.95(d,J=6.8Hz,6H). 13C NMR(100MHz,CDCl,TMS):δ(ppm)166.8,155.7,151.1,148.1,141.6,131.4,111.2,108.4,82.93, 81.85(d,J=8.6Hz),81.81(d,J=8.6Hz),75.38,66.22,56.38,41.15(d,J=14.8Hz),33.43,30.44(d,J=3.6Hz),30.42(d,J=3.6Hz),28.02,27.47(d,J=145Hz),23.69(d,J=5.8Hz),19.31,17.29. 31P{H}NMR(160 MHz,CDCl,HPO)δ(ppm) 23.6. ESI−MS m/z:Calcd for C2950Na11P [M+Na]=655.2972;Found 655.2951.FT−IR(KBr):1750cm−1,1721cm−1(C=O),1524cm−1,1338cm−1(NO),1246(P=O).
[工程(x)]2−(2−methoxy−5−(2−methyl−1−(((3−phosphonopropyl)carbamoyl)oxy)propyl)4−nitrophenoxy)acetic acidの合成
Figure 2021193074
一口ナスフラスコにtert−butyl 2−(5−(1−(((3−(di−tert−butoxyphosphoryl)propyl)carbamoyl)oxy)−2−methylpropyl)−2−methoxy−4−nitrophenoxy)acetate(64.0mg,0.101mmol)及びAcOH(6mL)を加えて溶かした後、4N HCl/dioxane(1.5mL)をゆっくり滴下した。室温で終夜撹拌した後、反応溶液を純水(50mL)で希釈した。水層をchloroform(3×50mL)で洗浄した後、目的物が溶けている水層をAcOEt(3×50mL)で抽出した。回収した有機層を乾燥、ろ過、濃縮、真空乾燥することで、黄色固体(40.0mg,86.1μmol,85%)を得た。H NMR(400MHz,CDOD):δ(ppm) 7.68(s,1H),6.99(s,1H),6.12(d,J=5.2Hz,1H),4.81(d,J=3.6Hz,2H),3.93(s,3H),3.17−3.05(m,2),2.16−2.08(m,1H),1.78−1.61(m,4H),1.49(s,9H),0.99 and 0.97(d,J=6.8Hz,6H). 13C NMR(100MHz,CDOD):δ(ppm) 171.8,158.4,153.0,149.8,142.6,132.5,112.5,109.7,76.5,66.6,56.9,42.2(d,J=19.1Hz),34.6,25.6(d,J=138Hz),24.6(d,J=3.8Hz),19.8,17.3. 31P{H}NMR(160MHz,CDOD,HPO,308K)δ(ppm)30.6. HR−MS(ESI)m/z:Calcd for C1725Na11P [M+Na]=487.7094;Found 487.7055. FT−IR(KBr):1522cm−1,1334cm−1(NO2),1279(P=O).
<化合物の溶液中での脱保護反応>
式(5−9)で表される化合物の0.1mMエタノール溶液3mLをテフロン(登録商標)付き石英セルに入れ、超高圧水銀灯を用いて波長365nm、照度25mW/cmの光を60秒間照射した。照射時間10秒ごとに、日本分光社製V−730を用いて、波長240nm〜450nmの範囲のUV−visスペクトルを測定した。図2は、式(5−9)で表される化合物のエタノール溶液の光照射後のUV−visスペクトルである。
式(5−9)で表される化合物の光分解反応は、以下の式で表される。図2によれば、経時とともに光分解によって生じる式(30)で表される化合物に由来するカルボニル基及びニトロソ基のピークが増加していることが分かった。
式(5−9)で表される化合物のエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI−MS)を行った。図3(a)は、式(5−9)で表される化合物の光照射をする前のマススペクトルであり、(b)は、式(5−9)で表される化合物の30秒間光照射をした後のマススペクトルである。30秒間光照射をした後のマススペクトルでは、式(30)で表される化合物に由来するm/z=281のピークが確認された。
<インジウムドープ酸化スズ(ITO)基板の表面処理>
ITO基板を超音波洗浄に付した後、その表面にUV/O処理を施して表面親水化した。次いで、式(5−9)で表される化合物の0.1mMエタノール溶液中に24時間浸漬し、100℃で3時間アニーリングし、式(5−9)で表される化合物が修飾された表面修飾ITO基板試料を得た。
<ITO基板試料光照射による脱保護反応>
以上のようにして得られた表面修飾ITO基板試料をアセトンに浸漬し、超高圧水銀灯を用いて波長365nm、照度25mW/cmの光を180秒間照射した。表1に、光照射前後の表面修飾ITO基板試料の水の接触核及びXPSスペクトルの強度を示す。脱保護基のうちのニトロ基に由来するピーク(N(1s),407eV)が消失したことが分かった。一方、ITO基板と結合するためのリン酸基に由来するリンのピーク(P(2p),134eV)については残存が確認された。
<蛍光微粒子によるパターンの形成>
上述のようにして得られた表面修飾ITO基板試料に対してフォトマスク(線幅20μm、L/S=1:1)を介して照度25mW・cm−2、波長365nmに設定した光を180秒間照射した。図4は、本実施例において用いたフォトマスクの光学顕微鏡像である。照射後アセトンで2分間超音波洗浄を行い、窒素気流で乾燥させた。カルボキシ基のパターニングは、アミン修飾蛍光微粒子溶液(粒径:0.2μm、Ex/Em:505/515、Thermo Fisher Scientific社製)30μm/10mL水溶液中に5分間浸漬、その後、純水でリンスすることで得た。アミノ基のパターニングは、基板を0.1M塩酸水溶液に10秒間浸漬後、カルボン酸塩修飾蛍光微粒子溶液(粒径:0.5μm、Ex/Em:580/605、Thermo Fisher Scientific社製)をドロップキャスト、そして純水でリンス、窒素気流で乾燥させることで得た。蛍光微粒子パターンは蛍光顕微鏡(IX70,Olympus社製)によって観察した。
図5は、アミン修飾蛍光微粒子を結合した後の表面修飾ITO基板試料の蛍光顕微鏡像である。図5において、コントラストの薄い部分が緑色に発光していることが確認された。
図6は、カルボン酸塩修飾蛍光微粒子を結合した後の表面修飾ITO基板試料の蛍光顕微鏡像である。図6おいて、コントラストの薄い部分が赤色に発光していることが確認された。
さらに、同様にして光照射を行った表面修飾ITO基板試料上に、銀ナノ粒子インクを滴下した。銀ナノ粒子は、光が照射された部分の表面のアミノ基に付着する。図7は、銀ナノ粒子を結合した後の表面修飾ITO基板試料の光学顕微鏡像である。図7において、コントラストの薄い部分に銀が付着していることが確認された。
また、同様の操作を、フォトマスクを変えてパターニングした。図8は、パターニングした箇所に銀ナノ粒子を結合した後の表面修飾ITO基板試料の光学顕微鏡像である。本実施形態の化合物を表面処理剤として用いることで、微細なパターニングも可能であることが確認された。
(実施例2)
実施例1の工程(w)および工程(x)のかわりに、以下に示す工程(w)および工程(x)を行って式(42)で表される化合物を合成した以外は、実施例1と同様に行った。
[工程(w)]tert−butyl 2−(5−(1−(((3−(di−tert−butoxyphosphoryl)propoxy)carbonyl)oxy)−2−methylpropyl)−2−methoxy−4−nitrophenoxy)acetateの合成
Figure 2021193074
窒素置換した二口試験管に、tert−butyl 2−(5−(1−((((2,5−dioxopyrrolidin−1−yl)oxy)carbonyl)oxy)−2−methylpropyl)−2−methoxy‐4‐nitrophenoxy)acetate(400 mg,0.807 mmol,1.0eq.),di−tert−butyl(3−hydroxypropyl)phosphonate(300mg,1.21mmol,1.5eq.),THF(8.0mL),dimethylaminopyridine(200mg,1.65mmol,2.1eq.)を加えて70℃で72時間撹拌した後、室温に戻しEtOAc(100mL)を加えた。有機層をsat.NaHCOaq.(2×50mL)、sat.NaClaq.(3×50mL)で洗浄、乾燥(MgSO)、ろ過、濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(hexane/ethyl acetate=1/1)によって精製して、黄色粘体(291mg,0.460mmol,57%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl,TMS):δ(ppm) 7.60(s,1H),6.85(s,1H),6.18(d,J=6.2Hz,1H),4.68(s,2H),4.19−4.01(m,2H),3.95(s,3H),2.20−2.12(m,1H),1.95−1.85(m,2H),1.70−1.62(m,2H),1.49(s,18H),1.48(s,9H),1.01 and 0.97(d,J=6.7Hz,6H).31P{H}NMR(160MHz,CDCl,HPO)δ(ppm) 22.4.
[工程(x)]2−(2−methoxy−5−(2−methyl−1−(((3−phosphonopropoxy)carbonyl)oxy)propyl)−4−nitrophenoxy)acetic acidの合成
Figure 2021193074
一口ナスフラスコにtert−butyl 2−(5−(1−(((3−(di−tert−butoxyphosphoryl)propoxy)carbonyl)oxy)−2−methylpropyl)−2−methoxy−4−nitrophenoxy)acetate(193mg,0.305mmol)及びMeOH(3mL)を加えて溶かした後、4N HCl/dioxane(1.5mL)をゆっくり滴下した。室温で48時間撹拌した後、反応溶液を純水(50mL)で希釈した後、sat.NaHCO aq.を加え、溶液を塩基性にした。水層をchloroform(3×50mL)で洗浄した。目的物が溶けている水層に2N HCl aq.を加え、溶液を酸性にした後、AcOEt(3×50mL)で抽出した。回収した有機層を乾燥、ろ過、濃縮、真空乾燥することで、黄色固体(95.1mg,0.210mmol,69%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl:δ(ppm) 7.61(s,1H),6.86(s,1H),6.14(d,J=5.9Hz,1H),4.79(s,2H),4.15−4.01(m,2H),3.95(s,3H),2.20−2.12(m,1H),1.98−1.88(m,2H),1.83−1.74(m,2H),1.00 and 0.99(d,J=6.7Hz,6H).31P{H}NMR(160MHz,CDCl,HPO)δ(ppm) 35.4.
(実施例3)
<表面処理剤として用いる化合物の合成>
以下に示す式により、式(55)で表される化合物を合成した。以下、それぞれの反応について説明する。
Figure 2021193074
[工程(s)]tert−butyl(3―(5−(1−hydroxy−2−methylpropyl)−2−methoxy−4−nitrophenoxy)propyl)carbamateの合成
Figure 2021193074
窒素雰囲気下で二口ナスフラスコに5−(1―hydroxy―2−methylpropyl)−2methoxy―4―nitrophenol(1.00g,4.16 mmol,1.0eq.),KCO(1.23g,8.90mmol,2.1eq.)及びCHCN(6.0mL)を加えて1時間撹拌した。その後、tert−Butyl(3−bromopropyl)carbamate(1.48g,6.27mmol,1.5eq.)を加え80℃で還流し、濃縮、AcOEt(100mL)で希釈、水(100mL×3)とset.NaClaq.(100mL×2)で洗浄、乾燥(MgSO)、ろ過、濃縮を行った。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt/hexane=1/1))によって精製して、黄色粘体(1.35g,3.38mmol,81%)を得た。H NMR(600MHz,CDCl,TMS):δ(ppm) 7.55(s,1H),7.19(s,1H),5.33(br,1H),5.26(d,J=5.3Hz,1H),4.24−4.17(m,2H),3.94(s,3H),3.38(q,J=4.7Hz,2H),2.24(br,1H),1.46(s,9H),0.95 and 0.94(d,J=6.5Hz,6H).
[工程(t)]1―(5−(3―((tert−butoxycarbonyl)amino)propoxy)−4−methoxy−2−nitrophenyl)−2−methylpropyl−3―(diethoxyphosphoryl)propanoateの合成
Figure 2021193074
シュレンク管に窒素雰囲気下で、tert−butyl(3―(5−(1−hydroxy−2−methylpropyl)−2−methoxy−4−nitrophenoxy)propyl)carbamate(1.06g,2.66mmol,1.0eq)、phosphonic acid(1.32g,6.28mmol,2.4eq)、EDC・HCl(610mg,3.19mmol,1.2eq)、DMAP(651mg,5.32mmol,2.0eq)及びdryTHF20mLを氷浴下で加え30分撹拌、その後氷浴を外し、室温で24時間撹拌後、phosphonic acid(660 mg,3.14mmol,1.2eq)、EDC・HCl0.611g(3.19mmol,1.2eq)を加え、室温で24時間撹拌した。その後、濃縮、AcOEt150mLで希釈、sat.NaHCO(20mL×3)、水(100mL×3)とset.NaClaq.(100mL×2)で洗浄、乾燥(MgSO)、ろ過、濃縮、シリカカラムクロマトグラフィー(hexane/AcOEt = 1 / 2 → AcOEt)で精製し、黄色粘体(451mg,0.764mmol)を得た。H NMR(400MHz,CDCl,TMS):δ(ppm) 7.57(s,1H),6.87(s,1H),6.32(d,J=3.2Hz,1H),5.54(br,1H),4.02−4.18(m,6H),3.93(s,3H),3.35−3.39(m,2H),2.56−2.68(m,2H),2.17−2.19(m,1H),1.98−2.12(m,4H),1.45(s,8H),1.24 −1.34(m,8H),1.00(d,J=6.8Hz,3H)and 0.97(d,J=7.2Hz,3H)31P{H}NMR(160 MHz,CDCl,HPO)δ(ppm) 30.1.
[工程(u)](3−(1−(5−(3−aminopropoxy)−4−methoxy−2−nitrophenyl)―2−methylpropoxy)−3−oxopropyl)phosphonic acidの合成
Figure 2021193074
ナスフラスコに窒素雰囲気下で1―(5−(3−((tert−butoxycarbonyl)amino)propoxy)−4−methoxy−2−nitrophenyl)−2−methylpropyl−3―(diethoxyphosphoryl)propanoate(40mg,0.0677mmol,1.0eq.)、CHCN3mL及びMeSiBr 34μL(405mg,0.265mmol,3.0eq.)を加え、室温で26時間撹拌した。その後、MeOH5mLを加え3時間撹拌し、黄色粘体(40mg,92mmol)を得た。H NMR(400MHz,CDCl,TMS):δ(ppm) 7.57(s,1H),7.00(s,1H),6.25(m,1H),4.13−4.38(m,2H),3.93(s,1H),2.48−2.96(m,2H),2.35(m,3H),2.17−2.22(m,4H),1.19−1.44(m,6H),0.97−1.04(m,4H). 31P{H}NMR(160MHz,CDCl,HPO)δ(ppm) 37.7.
なお、このような表面修飾ITO基板試料のカルボキシル基側に半導体層を形成し、銀ナノ粒子を電極として用いることで、微細な半導体デバイスを形成できると考えられる。
以上のように、本実施形態の化合物を表面処理剤として用いることで、基板上に性質の異なる2種の官能基を導入することができることが分かった。
1 基材
2 表面修飾化合物層
21 光非照射部
22 光照射部

Claims (7)

  1. 下記式(I)で表される化合物。
    Figure 2021193074
    (R〜Rは、少なくとも1つがそれぞれ独立に、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基、又は以下の式(II)〜(IX)のいずれかで表される基であり、その余がそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、パーフルオロアルキル基又は置換基としてパーフルオロアルキル基を有してもよいアルコキシ基であり、
    は、水素原子、又は置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数が1〜6であるアルキル基であり、
    Xは、以下の式(X)〜(XVI)のいずれかで表される基であり、
    は、前記Xが以下の式(X)〜(XV)のいずれかで表される基である場合、アルキレン基であり、前記Xが以下の式(XVI)で表される基である場合、単結合又はアルキレン基である。)
    Figure 2021193074
    (Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
    Figure 2021193074
    (Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
    Figure 2021193074
    (Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
    Figure 2021193074
    (Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
    Figure 2021193074
    (Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
    Figure 2021193074
    (Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
    Figure 2021193074
    (Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基であり、Wは、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜25のアルキル基であり、nは1〜25の整数である。)
    Figure 2021193074
    (Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基であり、Wは、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜25のアルキル基であり、nは1〜25の整数である。)
    Figure 2021193074
    Figure 2021193074
    Figure 2021193074
    Figure 2021193074
    Figure 2021193074
    Figure 2021193074
    Figure 2021193074
  2. 前記Rが、イソプロピル基である、請求項1に記載の化合物。
  3. 光照射によって生じる官能基が、R〜Rに存在するカルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基と同一でない、請求項1又は2に記載の化合物。
  4. 下記式(Ia)で表される化合物。
    Figure 2021193074
    (R’〜R’及びR’’〜R’’は、少なくとも1つがそれぞれ独立に、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基、又は以下の式(II)〜(IX)のいずれかで表される基であり、その余がそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、パーフルオロアルキル基又は置換基としてパーフルオロアルキル基を有してもよいアルコキシ基であり、
    ’及びR’’は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数が1〜6であるアルキル基であり、
    X’及びX’’は、それぞれ独立に、以下の式(X)〜(XVI)のいずれかで表される基であり、
    ’は、X’側端部及びP側端部に、分岐鎖及び環状構造を有してもよい炭素数が1〜50のアルキレン基を少なくとも有し、さらに、炭素数が1〜50のアルキレン基を有し、分岐鎖及び環状構造を有してもよい炭素数が1〜50のパーフルオロアルキレン基、芳香環、エーテル基、カルボニル基、及びそれらの1種以上で置換されていてもよい芳香環、並びにそれらの基の2以上の組み合わせを含んでもよく、さらにそれらがカルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基又はチオール基で置換されていてもよい基である。)
    Figure 2021193074
    (Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
    Figure 2021193074
    (Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
    Figure 2021193074
    (Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
    Figure 2021193074
    (Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
    Figure 2021193074
    (Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
    Figure 2021193074
    (Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基であり、nは1〜25の整数である。)
    Figure 2021193074
    (Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基であり、Wは、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜25のアルキル基であり、nは1〜25の整数である。)
    Figure 2021193074
    (Yは、水素原子又はハロゲン原子であり、Zは、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基若しくはチオール基であり、Wは、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜25のアルキル基であり、nは1〜25の整数である。)
    Figure 2021193074
    Figure 2021193074
    Figure 2021193074
    Figure 2021193074
    Figure 2021193074
    Figure 2021193074
    Figure 2021193074
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物を含有する表面処理剤。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物を、前記化合物が有するリン酸基を用いて、基材の表面の少なくとも一部に化学結合を形成して修飾する表面修飾工程を少なくとも有する、表面処理方法。
  7. 前記表面修飾工程の後、基材の前記化合物が修飾された部分の一部に、波長200nm以上400nm以下の光を照射する光照射工程をさらに有する、請求項6に記載の表面処理方法。
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