JP2007031317A - シラン誘導体および有機薄膜形成体 - Google Patents
シラン誘導体および有機薄膜形成体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2007031317A JP2007031317A JP2005214395A JP2005214395A JP2007031317A JP 2007031317 A JP2007031317 A JP 2007031317A JP 2005214395 A JP2005214395 A JP 2005214395A JP 2005214395 A JP2005214395 A JP 2005214395A JP 2007031317 A JP2007031317 A JP 2007031317A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- carbon atoms
- silane derivative
- organic thin
- thin film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Abstract
【課題】安価な汎用紫外線光源から得られる低エネルギー量の紫外線照射によって選択的に基体表面を疎水性から親水性に変換することができる有機薄膜を形成するシラン誘導体、並びに基体表面に該シラン誘導体を含有する有機薄膜形成体を得ること。
【解決手段】イミノ基、及びハロゲン原子及び又はアルコキシ基を含有することを特徴とするシラン誘導体であり、得られる有機薄膜は疎水性であるが、安価な水銀灯光源から放射される波長250nm以上の紫外線を照射することにより、イミノ基が光分解して親水性に変化することができ、しかも高感度である。このため、親水性と疎水性の差を利用して、基体表面に種々の物質のパターニング形成が可能となる。
【選択図】なし
【解決手段】イミノ基、及びハロゲン原子及び又はアルコキシ基を含有することを特徴とするシラン誘導体であり、得られる有機薄膜は疎水性であるが、安価な水銀灯光源から放射される波長250nm以上の紫外線を照射することにより、イミノ基が光分解して親水性に変化することができ、しかも高感度である。このため、親水性と疎水性の差を利用して、基体表面に種々の物質のパターニング形成が可能となる。
【選択図】なし
Description
本発明は、エレクトロニクス製品において、安価な汎用紫外線光源から得られる低エネルギー量の紫外線照射によって選択的に基体表面を疎水性から親水性に変換することができる有機薄膜を形成するシラン誘導体、並びに基体表面に該シラン誘導体を含有する有機薄膜形成体に関する。
エレクトロニクス製品において、光リソグラフィー法などを用いてパターン形成する工程は煩雑で、大量のフォトレジスト材料や現像液などの廃棄物が排出され、環境負荷の面から改善が求められる。そこで、感光層の厚みが単分子レベルである、数nmの感光性の有機薄膜を用いたパターン形成法の開発が行われている。
フェニルトリクロロシランやベンジルトリクロロシランなどのアリールシラン化合物やアルキルシラン化合物より基板上に形成した疎水性の自己組織化単分子膜に193nmの波長の遠紫外線を照射すると、珪素―炭素結合の開裂に伴い基板表面が親水化されることが記載されている。(非特許文献1)また、パーフルオロ炭化水素を含有するシラン誘導体から形成された疎水性単分子膜を172nmの波長の遠紫外線を照射すると、親水性に変換できることが開示されている。(特許文献1)
上記した自己組織化単分子膜は遠紫外線を照射することにより、疎水性から親水性に変換することができるが、光源として遠紫外線照射が必要である。しかし、遠紫外線光源は高価であり、安価な光源が望まれる。水銀灯は一般に光源として広く使用され、安価である。したがって安価な水銀灯から放射される紫外線に対して、高感度な感光性シラン誘導体が望まれている。
そこで、o−ニトロベンジルエステル含有シラン誘導体(特許文献2、3)、ベンジルフェニルスルフィド基含有シラン誘導体(特許文献4)、o−ニトロアニリド基含有シラン誘導体(特許文献5)などが開示されている。これらは、いずれも水銀灯照射により親水性に変化するが、まだ実用上、感度などの問題があり、さらに改善を要する。
あり、
Science、1991年、252巻、551〜554頁 特開2000−22240号公報
特開2002−80481号公報
特開2003−321479号公報
特開2003−301059号公報
特開2004−231590号公報
Science、1991年、252巻、551〜554頁
本発明の目的は、安価な汎用紫外線光源から得られる低エネルギーの紫外線照射のよって、基板表面の疎水性の有機薄膜を親水性に変換するシラン誘導体を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、イミノ基を含有するシラン誘導体が基体表面に有機薄膜を形成でき、250nm以上の紫外線照射により比較的低エネルギーでベンゾイニル基が脱離して親水性へ変換することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、イミノ基、及びハロゲン原子及び又はアルコキシ基を含有することを特徴とするシラン誘導体であり、下記一般式[1]で表されることを特徴とするシラン誘導体を提供するものである。
(式中、nは1〜20の整数を表し、R1は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のフルオロアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、非置換又はハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のフルオロアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルチオ基、又はニトロ基から選ばれた置換基の1つ又はそれより多くによって置換された炭素数6〜10のアリール基を表し、又はR1はフリル基、チエニル基、テトラヒドロフルフリル基、炭素数7〜12のアルアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、フェノキシ基、又はシアノ基を表し、R2は、基R1又はアミノ基、モルホリノ基又はピペリジノ基を表すか、R1とR2がそれらが結合している炭素原子と一緒になって5〜8員環を形成しても良い。X1〜X3は、それぞれ独立してハロゲン原子、又は炭素数1〜5のアルコキシ基を表す。Yは、一般式[2]〜[5]で表される結合を示す。)
また、本発明は、基体表面に、本発明のシラン誘導体を含有する有機薄膜が形成されてなる有機薄膜形成体を提供する。
本発明のシラン誘導体は疎水性であるが、安価な水銀灯光源から放射される波長250nm以上の紫外線を照射することにより、光分解して親水性に変化することができる。したがって、本発明のシラン誘導体で基体表面を薄膜を形成すると、紫外線照射により、基体表面を疎水性から親水性へ変換することができるため、親水性と疎水性の差を利用して、基体表面に種々の物質のパターニング形成が可能となる。
本発明のシラン誘導体及び有機薄膜形成体を詳細に説明する。
本発明のシラン誘導体は、前記一般式[1]で表される化合物である。式中、nは1〜20の整数を表す。
本発明のシラン誘導体は、前記一般式[1]で表される化合物である。式中、nは1〜20の整数を表す。
R1は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のフルオロアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、非置換又はハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のフルオロアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルチオ基、又はニトロ基から選ばれた置換基の1つ又はそれより多くによって置換された炭素数6〜10のアリール基を表し、又はR1はフリル基、チエニル基、テトラヒドロフルフリル基、炭素数7〜12のアルアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、フェノキシ基、又はシアノ基を表し、R2は、基R1又はアミノ基、モルホリノ基又はピペリジノ基を表すか、R1とR2がそれらが結合している炭素原子と一緒になって5〜8員環を形成しても良い。
R1とR2のうちの一方がフェニル基又は置換フェニル基を表し、他方がシアノ基を表すか、又はR1とR2がそれらが結合している炭素原子と一緒になってフルオレン、テトラヒドロナフタレン、ジヒドロアントラセンを形成することが好ましい。
X1〜X3は、それぞれ独立して塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、又はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などの炭素数1〜5のアルコキシ基を表す。
本発明にシラン誘導体は、既知の方法により合成できる。一般式[6]で表される二重結合含有化合物をヘキサクロロ白金(IV)酸・六水和物を触媒として、ハイドロシ
リレーション反応で一般式[7]で表されるシラン化合物と反応させることにより製造できる。
リレーション反応で一般式[7]で表されるシラン化合物と反応させることにより製造できる。
Yが一般式[3]で表されるオキシスルホニル基の場合、二重結合含有化合物は、二重結合を有するスルホン酸を、塩化チオニルなどを用いる公知の方法で酸塩化物とし、第3アミンの存在下にイミノ誘導体と反応させることにより製造できる。二重結合を有するスルホン酸としては、3−ブテンスルホン酸、5−ヘキセンスルホン酸、7−オクテンスルホン酸、9−デセンスルホン酸、10−ウンデセンスルホン酸などが挙げられる。
Yが一般式[5]で表されるオキシホスホニル基の場合、二重結合含有化合物は、二重結合を有するホスホン酸を、塩化チオニルなどを用いる公知の方法で酸塩化物とし、第3アミンの存在下にベンゾイン誘導体と反応させることにより製造できる。
Yが一般式[6]で表されるスルホニル基の場合、二重結合含有化合物は、二重結合を有するスルフィン酸を、塩化チオニルなどを用いる公知の方法で酸塩化物とし、第3アミンの存在下にベンゾイン誘導体と反応させることにより製造できる。二重結合を有するスルフィン酸としては、3−ブテンスルフィン酸、5−ヘキセンスルフィン酸、7−オクテンスルフィン酸、9−デセンスルフィン酸、10−ウンデセンスルフィン酸などが挙げられる。
Yが一般式[3]で表されるオキシアミド基の場合、例えば、イミノ誘導体をN−N´−ジスクシンイミジルカーボネートと第3アミンの存在下に反応させて、生成したカーボネートとアミノ基含有シラン化合物と反応させて、ハイドロシリレーション反応を経由せずに、直接製造できる。
本発明の有機薄膜形成体は、基体表面に、本発明のシラン誘導体を含有する有機薄膜が形成されてなることを特徴とする。基体としては、本発明のシラン誘導体を含有する有機薄膜を形成できるものであれば特に制限はない。例えば、ソーダガラス板などのガラス基板、ITOガラスなどの表面に電極が形成された基板、表面に絶縁層が形成された基板、シリコンウエーハ基板などのシリコン基板、セラミック基板などが挙げられる。また、有機薄膜を形成する前に、蒸留水、イオン交換水、アルコールなどの洗浄剤、オゾン、超音波などにより洗浄した後に使用することが望ましい。
基体表面に、シラン誘導体を含有する有機薄膜を形成する方法は特に制限されない。例えば、シラン誘導体の溶液を基体に公知の方法で塗布し、塗膜を加熱乾燥する方法が挙げられる。塗工方法としては、例えば、ディッピング法、スピンコータ、ダイコータなどの公知の塗工装置を使用する塗工方法が挙げられる。また、シラン誘導体の蒸気下の配置して化学蒸着させる方法を利用することもできる。
シラン誘導体を溶解する溶媒としては、シラン誘導体に不活性であり、シラン誘導体を溶解するものであれば特に制限されない。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、メタノールなどのアルコール類、クロロホルム、ジクロロメタンなどの塩素溶剤類が挙げられる。
シラン誘導体の塗膜を形成した後、溶媒を除去して成膜を完了するために、100〜200℃程度の加熱をすることが望ましい。また、多層に重なった有機分子層を除去するために溶媒洗浄することが望ましい。得られる有機薄膜層の厚みは特に制限されないが、通常、1〜100nm程度である。
得られる有機薄膜は、紫外線照射により表面の疎水性が失われて、親水性に変化する性質を持つ。この変化は、表面の水接触角を測定することにより確認できる。したがって、本シラン誘導体を含有する有機薄膜層を形成した後、マスクを用いてパターン状に紫外線を照射することにより、疎水性表面がパターン状に親水性に変化させることができる。
形成された基板上の親水性―疎水性の差を利用して、金属触媒の表面への選択吸着によりさせて金属配線基板を製造できる。また、版胴表面の親インキ性の差を利用してオフセット印刷版を製造できる。さらに、スクリーン印刷やインクジェット印刷において、インキ受容基板上に本発明のシラン誘導体で有機薄膜を形成することにより、印字ドットの横方向への拡散を制御することができる。また、紫外線照射により生成した有機酸基を化学処理により活性化し、次いで求核性官能基を含む多価官能基含有化合物を有機酸と反応させることにより高分子グラフト基板も製造することができる。用いられる基板としては、金属配線などの電子・電気素子、DNAチップ、バイオチップなどの医療診断用素子、神経回路などの生物素子を作製するために用いられるものを使用することができる。
照射装置に用いる光源としては、水銀の蒸気圧が点灯中で1〜10Paであるような、いわゆる低圧水銀灯、あるいはそれ以上の圧力を有する高圧水銀灯、さらに高い圧力の超高圧水銀灯、蛍光体が塗布された水銀灯、レーザー、蛍光管、冷陰極管、その他の放電管等を用いることができ、特に水銀灯が実用上好ましい。水銀灯の発光スペクトルは184〜450nmの範囲であり、本発明のシラン誘導体を含有する有機薄膜を効率的に光反応させるのに適している。水銀灯には、メタルハライドランプ、殺菌灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、クセノンフラッシュランプ、ディープUVランプ、UVレーザーなどが実用化されており、発光波長領域としては上記範囲を含むので、電源サイズ、入力強度、ランプ形状などに応じて適宜選択して用いることができる。
(作用)
本発明のシラン誘導体は、イミノ基及びハロゲン原子及び又はアルコキシ基を含有するシラン誘導体であり、基体上に本発明のシラン誘導体を含有する有機薄膜を形成してなる有機薄膜形成体は表面が疎水性であるが、250nm以上の紫外線照射により比較的高感度で有機薄膜中のイミノ基が光脱離して親水性へ変化する。マスクなどを用いてパターン状に紫外線照射することにより、親水性のパターニング形成が可能となる。
本発明のシラン誘導体は、イミノ基及びハロゲン原子及び又はアルコキシ基を含有するシラン誘導体であり、基体上に本発明のシラン誘導体を含有する有機薄膜を形成してなる有機薄膜形成体は表面が疎水性であるが、250nm以上の紫外線照射により比較的高感度で有機薄膜中のイミノ基が光脱離して親水性へ変化する。マスクなどを用いてパターン状に紫外線照射することにより、親水性のパターニング形成が可能となる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
合成例1
シラン誘導体1の合成
25mlのテトラヒドロフランに7.60g(75ミリモル)のトリエチルアミン、 7.30g(50ミリモル)のα―ヒドロキシイミノベンジルシアニドを加えて溶解した攪拌溶液中に25mlのテトラヒドロフランに溶解させた10.43g(50ミリモル)の7−オクテンスルホン酸クロリドを、反応温度が0℃以下になりように加えた。混合物をさらに2時間室温で攪拌した。この混合物を、農塩酸6.5mlを含む冷水500mlに注ぎ、得られた沈殿をエタノールから再結晶して、9.54gのα―7−オクテンスルホニロキシイミノベンジルシアニドを得た。
次に、0.32g(1ミリモル)のα―7−オクテンスルホニロキシイミノベンジルシアニド、0.20g(1.2ミリモル)のトリエトキシシランを10mlのジオキサンに溶かし、塩化白金酸約1mgを加えて、窒素雰囲気下に3日間還流した。反応液を濃縮後、濃縮物にクロロホルムを加え、白金触媒をろ過により除去し、ろ液を濃縮してシラン誘導体1を得た。
シラン誘導体1の合成
25mlのテトラヒドロフランに7.60g(75ミリモル)のトリエチルアミン、 7.30g(50ミリモル)のα―ヒドロキシイミノベンジルシアニドを加えて溶解した攪拌溶液中に25mlのテトラヒドロフランに溶解させた10.43g(50ミリモル)の7−オクテンスルホン酸クロリドを、反応温度が0℃以下になりように加えた。混合物をさらに2時間室温で攪拌した。この混合物を、農塩酸6.5mlを含む冷水500mlに注ぎ、得られた沈殿をエタノールから再結晶して、9.54gのα―7−オクテンスルホニロキシイミノベンジルシアニドを得た。
次に、0.32g(1ミリモル)のα―7−オクテンスルホニロキシイミノベンジルシアニド、0.20g(1.2ミリモル)のトリエトキシシランを10mlのジオキサンに溶かし、塩化白金酸約1mgを加えて、窒素雰囲気下に3日間還流した。反応液を濃縮後、濃縮物にクロロホルムを加え、白金触媒をろ過により除去し、ろ液を濃縮してシラン誘導体1を得た。
合成例2
シラン誘導体2の合成
20mlのピリジンに8.05g(50ミリモル)の1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレノンオキシムを加えて溶解した攪拌溶液中に、5℃で10.43g(50ミリモル)の7−オクテンスルホン酸クロリドを加えた。混合物をさらに5℃で3時間攪拌した。混合物を、攪拌しながら氷冷した5%希塩酸水溶液に注ぎ、得られた固形物をエーテルに入れ、エーテル層を分離して、硫酸マグネシウムで乾燥した。次いで、エーテルを蒸発させて得た固形物を無水エタノールから結晶化させ、10.66gの1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタチリデンイミド―7−オクテンスルホネートを得た。
次に、0.33g(1ミリモル)の1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタチリデンイミド―7−オクテンスルホネート、0.20g(1.2ミリモル)のトリエトキシシランを10mlのジオキサンに溶かし、塩化白金酸約1mgを加えて、窒素雰囲気下に3日間還流した。反応液を濃縮後、濃縮物にクロロホルムを加え、白金触媒をろ過により除去し、ろ液を濃縮してシラン誘導体2を得た。
シラン誘導体2の合成
20mlのピリジンに8.05g(50ミリモル)の1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレノンオキシムを加えて溶解した攪拌溶液中に、5℃で10.43g(50ミリモル)の7−オクテンスルホン酸クロリドを加えた。混合物をさらに5℃で3時間攪拌した。混合物を、攪拌しながら氷冷した5%希塩酸水溶液に注ぎ、得られた固形物をエーテルに入れ、エーテル層を分離して、硫酸マグネシウムで乾燥した。次いで、エーテルを蒸発させて得た固形物を無水エタノールから結晶化させ、10.66gの1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタチリデンイミド―7−オクテンスルホネートを得た。
次に、0.33g(1ミリモル)の1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタチリデンイミド―7−オクテンスルホネート、0.20g(1.2ミリモル)のトリエトキシシランを10mlのジオキサンに溶かし、塩化白金酸約1mgを加えて、窒素雰囲気下に3日間還流した。反応液を濃縮後、濃縮物にクロロホルムを加え、白金触媒をろ過により除去し、ろ液を濃縮してシラン誘導体2を得た。
合成例3
シラン誘導体3の合成
20mlのピリジンに9.76g(50ミリモル)のフルオレンノンオキシムを加えて溶解した攪拌溶液中に、10℃以下で10.43g(50ミリモル)の7−オクテンスルホン酸クロリドを加えた。混合物をさらに20℃以下で5時間攪拌した。混合物を、攪拌しながら氷冷した5%希塩酸水溶液に注ぎ、得られた固形物をクロロホルムに入れ、クロロホルム層を分離して、水で十分に洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。次いで、クロロホルムを蒸発させて得た固形物をベンゼン−ヘプタン混合溶剤から結晶化させ、12.48gの9―フルオレニリデンイミノ−7−オクテンスルホネートを得た。
次に、0.37g(1ミリモル)の9―フルオレニリデンイミノ−7−オクテンスルホネート、0.20g(1.2ミリモル)のトリエトキシシランを10mlのジオキサンに溶かし、塩化白金酸約1mgを加えて、窒素雰囲気下に3日間還流した。反応液を濃縮後、濃縮物にクロロホルムを加え、白金触媒をろ過により除去し、ろ液を濃縮してシラン誘導体3を得た。
シラン誘導体3の合成
20mlのピリジンに9.76g(50ミリモル)のフルオレンノンオキシムを加えて溶解した攪拌溶液中に、10℃以下で10.43g(50ミリモル)の7−オクテンスルホン酸クロリドを加えた。混合物をさらに20℃以下で5時間攪拌した。混合物を、攪拌しながら氷冷した5%希塩酸水溶液に注ぎ、得られた固形物をクロロホルムに入れ、クロロホルム層を分離して、水で十分に洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。次いで、クロロホルムを蒸発させて得た固形物をベンゼン−ヘプタン混合溶剤から結晶化させ、12.48gの9―フルオレニリデンイミノ−7−オクテンスルホネートを得た。
次に、0.37g(1ミリモル)の9―フルオレニリデンイミノ−7−オクテンスルホネート、0.20g(1.2ミリモル)のトリエトキシシランを10mlのジオキサンに溶かし、塩化白金酸約1mgを加えて、窒素雰囲気下に3日間還流した。反応液を濃縮後、濃縮物にクロロホルムを加え、白金触媒をろ過により除去し、ろ液を濃縮してシラン誘導体3を得た。
合成例4
シラン誘導体4の合成
20mlのピリジンに9.76g(50ミリモル)のフルオレンノンオキシムを加えて溶解した攪拌溶液中に、10℃以下で9.63g(50ミリモル)の7−オクテンスルフィン酸クロリドを加えた。混合物をさらに20℃以下で5時間攪拌した。混合物を、攪拌しながら氷冷した5%希塩酸水溶液に注ぎ、得られた固形物をクロロホルムに入れ、クロロホルム層を分離して、水で十分に洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。次いで、クロロホルムを蒸発させて得た固形物をベンゼン−ヘプタン混合溶剤から結晶化させ、9.48gの9―フルオレニリデンイミノ−7−オクテンスルフィネートを得た。
次に、0.37g(1ミリモル)の9―フルオレニリデンイミノ−7−オクテンスルフィネート、0.20g(1.2ミリモル)のトリエトキシシランを10mlのジオキサンに溶かし、塩化白金酸約1mgを加えて、窒素雰囲気下に3日間還流した。反応液を濃縮後、濃縮物にクロロホルムを加え、白金触媒をろ過により除去し、ろ液を濃縮してシラン誘導体4を得た。
シラン誘導体4の合成
20mlのピリジンに9.76g(50ミリモル)のフルオレンノンオキシムを加えて溶解した攪拌溶液中に、10℃以下で9.63g(50ミリモル)の7−オクテンスルフィン酸クロリドを加えた。混合物をさらに20℃以下で5時間攪拌した。混合物を、攪拌しながら氷冷した5%希塩酸水溶液に注ぎ、得られた固形物をクロロホルムに入れ、クロロホルム層を分離して、水で十分に洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。次いで、クロロホルムを蒸発させて得た固形物をベンゼン−ヘプタン混合溶剤から結晶化させ、9.48gの9―フルオレニリデンイミノ−7−オクテンスルフィネートを得た。
次に、0.37g(1ミリモル)の9―フルオレニリデンイミノ−7−オクテンスルフィネート、0.20g(1.2ミリモル)のトリエトキシシランを10mlのジオキサンに溶かし、塩化白金酸約1mgを加えて、窒素雰囲気下に3日間還流した。反応液を濃縮後、濃縮物にクロロホルムを加え、白金触媒をろ過により除去し、ろ液を濃縮してシラン誘導体4を得た。
合成例5
1.44g(8.97ミリモル)の1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレノンオキシム、2.31g(9.02ミリモル)のN,N´−ジスクシンイミジルカーボネート、2.02ml(27.0ミリモル)のトリエチルアミン、20mlのN,N−ジメチルホルムアミドを窒素置換した50mlのナスフラスコの中に入れ、室温で5時間攪拌した。その後、N,N−ジメチルホルムアミドを留去し、得られた粗製物をカラムクロマトグラフィーで精製してN―1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチリデンイミノ−N―ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートを得た。次にこの化合物を0.92g(3.24ミリモル)と、0.72g(3.25ミリモル)の3−(トリエトキシシリル)プロピルアミン、50mlの乾燥テトラヒドロフランを窒素置換した100mlのナスフラスコの中へいれ、室温で3時間攪拌した。反応後、溶媒を留去し、得られる粗製物をカラムクロマトグラフィーで精製してシラン誘導体5を得た。
1.44g(8.97ミリモル)の1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレノンオキシム、2.31g(9.02ミリモル)のN,N´−ジスクシンイミジルカーボネート、2.02ml(27.0ミリモル)のトリエチルアミン、20mlのN,N−ジメチルホルムアミドを窒素置換した50mlのナスフラスコの中に入れ、室温で5時間攪拌した。その後、N,N−ジメチルホルムアミドを留去し、得られた粗製物をカラムクロマトグラフィーで精製してN―1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチリデンイミノ−N―ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートを得た。次にこの化合物を0.92g(3.24ミリモル)と、0.72g(3.25ミリモル)の3−(トリエトキシシリル)プロピルアミン、50mlの乾燥テトラヒドロフランを窒素置換した100mlのナスフラスコの中へいれ、室温で3時間攪拌した。反応後、溶媒を留去し、得られる粗製物をカラムクロマトグラフィーで精製してシラン誘導体5を得た。
合成例6
2.85g(8.97ミリモル)のフルオレンノンオキシム、2.31g(9.02ミモ
ル)のN,N´−ジスクシンイミジルカーボネート、2.02ml(27.0ミリモル)のトリエチルアミン、20mlのN,N−ジメチルホルムアミドを窒素置換した50mlのナスフラスコの中に入れ、室温で5時間攪拌した。その後、N,N−ジメチルホルムアミドを留去し、得られた粗製物をカラムクロマトグラフィーで精製してN―9−フルオレニリデンイミノ−N―ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートを得た。次にこの化合物を1.03g(3.24ミリモル)と、0.72g(3.25ミリモル)の3−(トリエトキシシリル)プロピルアミン、50mlの乾燥テトラヒドロフランを窒素置換した100mlのナスフラスコの中へいれ、室温で3時間攪拌した。反応後、溶媒を留去し、得られる粗製物をカラムクロマトグラフィーで精製してシラン誘導体6を得た。
2.85g(8.97ミリモル)のフルオレンノンオキシム、2.31g(9.02ミモ
ル)のN,N´−ジスクシンイミジルカーボネート、2.02ml(27.0ミリモル)のトリエチルアミン、20mlのN,N−ジメチルホルムアミドを窒素置換した50mlのナスフラスコの中に入れ、室温で5時間攪拌した。その後、N,N−ジメチルホルムアミドを留去し、得られた粗製物をカラムクロマトグラフィーで精製してN―9−フルオレニリデンイミノ−N―ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートを得た。次にこの化合物を1.03g(3.24ミリモル)と、0.72g(3.25ミリモル)の3−(トリエトキシシリル)プロピルアミン、50mlの乾燥テトラヒドロフランを窒素置換した100mlのナスフラスコの中へいれ、室温で3時間攪拌した。反応後、溶媒を留去し、得られる粗製物をカラムクロマトグラフィーで精製してシラン誘導体6を得た。
実施例1
合成例1で得たシラン誘導体を無水トルエンに溶解して、濃度0.5重量%の溶液を得た。洗剤と共に超音波洗浄し、次いでイオン交換水、エタノールで順次洗浄した後に60℃で乾燥し、オゾン発生装置中で洗浄したソーダライムガラスをこの溶液に浸漬した後、基板を引き出し、150℃で10分間加熱熟成し、続いて、トルエン中、超音波洗浄により、多層の吸着分を除去し、シラン誘導体1の有機薄膜を成膜した。
得られた有機薄膜を形成した基板表面に、水5μlをマイクロシリンジを用いて滴下して、60秒後に、接触角測定器(協和界面科学社製CA−Z型)を用いて測定した。この基板表面に254nmの紫外線(殺菌灯、10mW/cm2)を照射し、一定時間経過毎に接触角を測定した。その結果を表1に示す。
合成例1で得たシラン誘導体を無水トルエンに溶解して、濃度0.5重量%の溶液を得た。洗剤と共に超音波洗浄し、次いでイオン交換水、エタノールで順次洗浄した後に60℃で乾燥し、オゾン発生装置中で洗浄したソーダライムガラスをこの溶液に浸漬した後、基板を引き出し、150℃で10分間加熱熟成し、続いて、トルエン中、超音波洗浄により、多層の吸着分を除去し、シラン誘導体1の有機薄膜を成膜した。
得られた有機薄膜を形成した基板表面に、水5μlをマイクロシリンジを用いて滴下して、60秒後に、接触角測定器(協和界面科学社製CA−Z型)を用いて測定した。この基板表面に254nmの紫外線(殺菌灯、10mW/cm2)を照射し、一定時間経過毎に接触角を測定した。その結果を表1に示す。
実施例2〜6
シラン誘導体1の代わりにシラン誘導体2〜6を用いる他は、実施例1と同様の操作を行い有機薄膜を得た。得られた有機薄膜それぞれの水接触角測定および紫外線照射による水接触角測定の変化を測定した。それらの結果を表1に併記する。
シラン誘導体1の代わりにシラン誘導体2〜6を用いる他は、実施例1と同様の操作を行い有機薄膜を得た。得られた有機薄膜それぞれの水接触角測定および紫外線照射による水接触角測定の変化を測定した。それらの結果を表1に併記する。
以上の結果から、本発明のシラン誘導体1〜6から得られる有機薄膜は、紫外線照射により水に対する接触角が時間とともに減少し、疎水性から親水性に変化することが分かる。
本発明のシラン誘導体は疎水性であるが、安価な水銀灯光源から放射される波長250nm以上の紫外線を照射することにより、光分解して親水性に変化することができ、しかも高感度である。また、本発明のシラン誘導体で基体表面を薄膜を形成すると、紫外線照射により、基体表面を疎水性から親水性へ変換することができるため、親水性と疎水性の差を利用して、基体表面に種々の物質のパターニング形成が可能となる。この性質を利用して、印刷版、金属配線などの電子・電気素子、DNAチップ、バイオチップなどの医療診断用素子、神経回路などの生物素子などを作製するために用いることができる。
Claims (3)
- イミノ基、及びハロゲン原子及び又はアルコキシ基を含有することを特徴とするシラン誘導体。
- 下記一般式[1]で表されることを特徴とするシラン誘導体。
- 基体表面に、請求項1〜2のいずれかに記載のシラン誘導体を含有する有機薄膜が形成されてなる有機薄膜形成体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005214395A JP2007031317A (ja) | 2005-07-25 | 2005-07-25 | シラン誘導体および有機薄膜形成体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005214395A JP2007031317A (ja) | 2005-07-25 | 2005-07-25 | シラン誘導体および有機薄膜形成体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007031317A true JP2007031317A (ja) | 2007-02-08 |
Family
ID=37790995
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005214395A Pending JP2007031317A (ja) | 2005-07-25 | 2005-07-25 | シラン誘導体および有機薄膜形成体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007031317A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007277171A (ja) * | 2006-04-07 | 2007-10-25 | Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd | 化合物、膜形成用組成物および積層体の製造方法 |
-
2005
- 2005-07-25 JP JP2005214395A patent/JP2007031317A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007277171A (ja) * | 2006-04-07 | 2007-10-25 | Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd | 化合物、膜形成用組成物および積層体の製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TWI642654B (zh) | 組成物及製造器件之方法 | |
US9567277B2 (en) | Reagent for enhancing generation of chemical species | |
JP6756729B2 (ja) | 新規シロキサンポリマー組成物及びそれらの使用 | |
TWI337690B (ja) | ||
US9790241B2 (en) | Reagent for enhancing generation of chemical species | |
TW201443169A (zh) | 具有凹圖案的基材的製造方法、組成物、導電膜的形成方法、電子電路及電子元件 | |
JPWO2005097725A1 (ja) | カリックスレゾルシナレン化合物、フォトレジスト基材及びその組成物 | |
CN106662808A (zh) | 可交联的氟化光聚合物 | |
JP4020247B2 (ja) | 高分子グラフト基板製造方法 | |
JP5132759B2 (ja) | オキシムエステルを含む樹枝状光活性化合物およびその製造方法 | |
WO2011103176A1 (en) | Branched siloxanes and methods for synthesis | |
JP2010237191A (ja) | 分子固定用基板の製造方法及び分子固定用基板 | |
JP5301082B2 (ja) | 化合物、膜形成用組成物および積層体の製造方法 | |
WO2006080178A1 (ja) | 金属パターン形成材料、架橋性モノマー、及び金属パターンの形成方法 | |
JP2007031351A (ja) | シラン誘導体および有機薄膜形成体 | |
JP2007031317A (ja) | シラン誘導体および有機薄膜形成体 | |
JPWO2011105249A1 (ja) | パターン形成方法 | |
JP2007031319A (ja) | シラン誘導体および有機薄膜形成体 | |
JP2007031349A (ja) | シラン誘導体および有機薄膜形成体 | |
WO2005116770A1 (ja) | 感光性ポリイミド前駆体組成物 | |
JP2007031350A (ja) | シラン誘導体および有機薄膜形成体 | |
JP2007031318A (ja) | シラン誘導体および有機薄膜形成体 | |
JP2005112732A (ja) | シランカップリング剤 | |
JP6697125B2 (ja) | 9−フェニルアクリジン大分子類光増感剤及びその製造方法、ならびに使用 | |
CN1745088A (zh) | 形成光变换性有机薄膜的新型化合物和有机薄膜形成体 |