JP2021192962A - 発泡積層体 - Google Patents

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昌志 近田
Masashi Chikada
達也 上條
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武 荒木
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Abstract

【課題】フェノールフォームの高断熱性能を有しつつも、優れた圧縮特性を有する、発泡積層体を提供する。【解決手段】フェノールフォームの周囲の少なくとも一部が軟質ウレタンフォームで被覆された発泡積層体であって、前記フェノールフォームの密度が、20kg/m3以上80kg/m3以下であり、前記フェノールフォームの独立気泡率が、85%以上であり、前記軟質ウレタンフォームの密度が、35kg/m3以上420kg/m3以下である、発泡積層体。【選択図】図1

Description

本発明は、軟質ウレタンフォームとフェノールフォームからなる発泡積層体に関する。
フェノ−ルフォームは、発泡プラスチック系の断熱材の中でも高い断熱性、難燃性、及び耐熱性を有していることから、建築材料や一般産業用材料として広く用いられている。一方で、高断熱性能を有するフェノールフォームは、クッション性が十分でなく、衝撃に強いとは言い難く、更に、十分な吸音特性を有していない。近年は、省エネルギーの観点から、フェノールフォームが広く使われるようになってきた中で、フェノールフォームの特徴を生かしつつも、更に、クッション性、耐衝撃性、吸音性、及び、繰り返し圧縮特性(繰り返し圧縮の残留;へたり軽減)に優れた特徴を併せ持つ発泡積層体が望まれてきた。
このような中、フェノールフォームに様々な工夫がなされることが多いものの、クッション性、耐衝撃性、及び、繰り返し圧縮特性(繰り返し圧縮の残留;へたり軽減)に優れた特徴を持たせ、最大の特徴である、高断熱性能をも併せ持たせることは実現できていなかった。
例えば特許文献1及び2には、フェノールフォームに、クッション性、及び、耐衝撃性なる特徴を持たせる試みがなされている。
しかし、特許文献1及び特許文献2の技術はともに、芯材であるフェノールフォームならびに積層体としての断熱性能(熱伝導率)が劣る上、更には、繰り返し圧縮特性が不十分であった。
特開昭60−53930号公報 特開昭55−92451号公報
本発明は、フェノールフォームの高断熱性能を有しつつも、優れた圧縮特性を有する、発泡積層体を提供することを目的とする。
即ち本発明は以下の通りである。
[1]フェノールフォームの周囲の少なくとも一部が軟質ウレタンフォームで被覆された発泡積層体であって、
前記フェノールフォームの密度が、20kg/m以上80kg/m以下であり、
前記フェノールフォームの独立気泡率が、85%以上であり、
前記軟質ウレタンフォームの密度が、35kg/m以上420kg/m以下である、発泡積層体。
[2]前記フェノールフォームの厚み方向の両側の表面にのみ、前記軟質ウレタンフォームを備える、[1]に記載の発泡積層体。
[3]前記発泡積層体の23℃における熱伝導率が、0.026W/(m・K)以下である、[1]又は[2]に記載の発泡積層体。
[4]前記軟質ウレタンフォームが、リボンデッドフォームである、[1]〜[3]のいずれかに記載の発泡積層体。
[5]前記フェノールフォームが、複数のフェノールフォーム片からなる、[1]〜[4]のいずれかに記載の発泡積層体。
本発明によれば、フェノールフォームの高断熱性能を生かしつつも、優れた圧縮特性を有する発泡積層体を提供することが可能となる。
実施例1で作製した発泡積層体の構成図(a)およびその分解斜視図(b)である。 実施例6で作製した発泡積層体の構成図(a)およびその分解斜視図(b)である。
本発明は、フェノールフォームの周囲がクッション性と耐衝撃性を有するウレタンフォームで被覆されることで、これまで実現し得なかった、圧縮特性(特に繰り返し圧縮特性(繰り返し圧縮の残留;へたり軽減))に優れた特徴を併せ持つ、発泡積層体を見出したものである。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
本実施形態の、フェノールフォームの密度、フェノールフォームの独立気泡率、軟質ウレタンフォームの密度、および、発泡積層体の熱伝導率は、実施例に記載の方法により求める。
本実施形態のフェノールフォームは、「フェノール樹脂」に界面活性剤等を加えた「フェノール樹脂組成物」に、更に、発泡剤、有機酸を含有する酸性硬化剤等を添加して、発泡性および硬化性を付与した「発泡性フェノール樹脂組成物」を混合機に仕込み、混合した後に混合機から「発泡性フェノール樹脂組成物」を吐出し、加熱下に発泡、硬化させて製造される。なお、面材やサイディング等が付いている場合には、これを除いたフェノール樹脂から構成される部分を、「フェノールフォーム」と定義する。
本実施形態のフェノールフォームの密度は、20kg/m3以上80kg/m3以下であり、好ましくは35kg/m3以上70kg/m3以下、より好ましくは45kg/m3以上65kg/m3以下である。フェノールフォームの密度が20kg/m以上であると圧縮強度、曲げ強さ等の機械的強度が確保でき、発泡板の取り扱い時に破損が起こることを回避することができる。一方、フェノールフォームの密度が80kg/m以下であると、樹脂部の伝熱が増大しにくいため、断熱性能を保つことができる。なお、フェノールフォームの密度は、主に、発泡剤の割合、発泡性フェノール樹脂組成物の温度、混合した発泡性フェノール樹脂組成物を下面材上に吐出する工程における予成形のタイミング、更には、発泡剤の添加量と酸性硬化剤として用いられる有機酸の添加量との比、温度や滞留時間等の硬化条件などの変更により所望の値に調整できる。
本実施形態のフェノールフォームの独立気泡率は、85%以上であり、好ましくは90%以上である。独立気泡率は断熱性能の目安となるため、85%以上であると断熱性能が良好となり好ましい。
独立気泡率は主に、フェノール樹脂の反応性や温度の調整、更には硬化温度条件などの変更により所望の値に調整できる。
フェノールフォームの形状は、特に限定されず、任意の形状とすることができる。フェノールフォームの形状は、例えば、直方体(例えば、板状、層状、シート状など)、直方体以外の多面体(例えば、正四面体、正八面体、正十二面体、正二十面体などの正多面体)、球体、角錐、円錐、トーラス体、中空円筒、中実円筒(円柱)、不定形などが挙げられる。一実施形態では、フェノールフォームは、直方体である。
本実施形態のフェノールフォームとしては、一体成形品に加えて、複数のフェノールフォーム片を組み合わせて利用することもできる。フェノールフォーム片は、その主面の短辺及び長辺が、各々、5〜2000mmのサイズのものをいう。特に環境負荷低減のために複数のフェノールフォーム端材をフェノールフォーム片として積極的に利用することが好ましい。発泡積層体中のフェノールフォーム片の個数は、発泡積層体の表面の軟質ポリウレタンフォームを除去することで、確認することができる。
本実施形態の発泡積層体は、フェノールフォームの周囲の少なくとも一部が軟質ウレタンフォームで被覆されている。これにより、フェノールフォームの特徴である高断熱性能、難燃性、耐熱性に加えて、軟質ウレタンフォームの特徴であるクッション性をも生かし、これまで実現し得なかった、クッション性、耐衝撃性、及び、圧縮特性(特に繰り返し圧縮特性(繰り返し圧縮の残留;へたり軽減))までをも併せ持つ、発泡積層体となる。また、本実施形態の発泡積層体は、軟質ウレタンフォームの密度が高いことから、優れた吸音特性をも示す。
本実施形態の発泡積層体では、フェノールフォームの周囲の少なくとも一部を軟質ウレタンフォームで被覆していればよい。例えば、発泡積層体は、板状のフェノールフォームの向かい合う2つの表面(ここでの表面は主表面以外の表面を含む)にのみ、軟質ウレタンフォームを備えてもよいし、板状のフェノールフォームの厚み方向の両側の表面(主表面)にのみ、軟質ウレタンフォームを備えてもよいし、板状のフェノールフォームの厚み方向の両側の表面(主表面)に加えて、側面の1面以上または全面に軟質ウレタンフォームを備えてもよい。なお、厚み方向は、直方体の最も寸法の小さい方向を指す。
また、本実施形態の発泡積層体は、板状のフェノールフォームの厚み方向の両側の表面にのみ、軟質ウレタンフォームを備えることで、厚み方向の熱伝導に対してフェノールフォームが面として機能するため、特にフェノールフォームの高断熱性能を生かすことができる。
板状のフェノールフォームの厚み方向の両側の表面のみに軟質ウレタンフォームを備える場合には、フェノールフォームの厚みと軟質ウレタンフォーム(上下層の合計)の厚みとの比は、5:95〜95:5まで任意に取り得る。断熱性、難燃性、耐熱性等フェノールフォームの性能を生かす場合には、フェノールフォームの厚み割合を増やし、クッション性、耐衝撃性、吸音性、更には、圧縮特性(特に繰り返し圧縮特性(繰り返し圧縮の残留;へたり軽減))を重視する場合には、軟質ウレタンフォームの厚みを増やすことが好ましい。上下層の軟質ウレタンフォームの厚み比率は発泡積層体の利用にあたって表裏の区別なく使用することが多いため、一般的には同一であるが、適宜比率を変えても構わない。
軟質ウレタンフォームとは、ポリオールとポリイソシアネートとを主成分として、発泡剤、整泡剤、触媒、着色剤などを混合し樹脂化させながら発泡させた発泡体の内、気泡が連通し柔らかくて復元性のあるものを「軟質ウレタンフォーム」と呼んでおり、オープンセル構造を有し、高い通気性を示す可逆変形可能なフォームである[例えば、GunterOertel,“PolyurethaneHandbook”(1985年版)Hanser Publisher社(ドイツ)、第161〜233頁、岩田敬治「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987年初版)日刊工業新聞社、第150〜221頁参照] 。
軟質ウレタンフォームは、「ポリエーテルフォーム」と「ポリエステルフォーム」のいずれかまたは組合せを使用してもよい。
軟質ウレタンフォームは、環境負荷低減のため、再利用品、すなわちポリウレタン樹脂製品の廃棄物や屑を粉砕してなるチップ同士がバインダーにより結合された(特開平09−066527号公報の[0015]等にて開示されている)、いわゆるリボンデッドフォーム(rebonded foam)を利用することが好ましい。
軟質ウレタンフォームとして、リボンデッドフォームを利用する場合には、結着剤(バインダー)を用いる。使用する結着剤は特に限定されないが、ウレタン系無溶剤バインダー(軟質タイプ、硬質タイプ)を用いることが好ましい。結着剤を用いることにより、密度50kg/m以上の軟質ウレタンフォームを得ることができる。また、軟質ウレタンフォームとフェノールフォームの積層界面においても結着剤を用いることで、フェノールフォームと軟質ウレタンフォームとの接着強度を向上させることができる。
軟質ウレタンフォームとしてのリボンデッドフォームの代表的な製造方法は以下の通りである。まず、軟質ウレタンフォーム(少なくとも、エーテル系又はエステル系のいずれか一方)を、粉砕機にてフレーク状に粉砕する。続いて、フレーク状に粉砕したウレタンフォーム(軟質ウレタンフレーク材)を撹拌機で撹拌しながら、結着剤(バインダー)を噴霧し、更に一定時間撹拌後、バインダー塗布フレーク材を製造する。次に、バインダー塗布フレーク材の所定量を金型に投入し、上型を被せた後圧縮後、蒸気を注入して所定形状に固化させる。固化したバインダー塗布フレーク材は、蒸気の注入により高温となっているため、その後、そのまま自然乾燥させて、リボンデッドフォームを得ることができる。また、上記製造方法で、回収した使用済みのリボンデッドフォームを原料のウレタンフォームとして用いて、リサイクルされた新たなリボンデッドフォームを得てもよい。
軟質ウレタンフォームの密度は、35kg/m以上420kg/m以下であり、好ましくは45kg/m以上420kg/m以下、より好ましくは50kg/m以上400kg/m以下であり、更に好ましくは100kg/m以上400kg/m以下、特に好ましくは150kg/m以上350kg/m以下、最も好ましくは200kg/m以上350kg/m以下である。密度が35kg/m以上であると、発泡積層体としての耐衝撃性、吸音性、及び、圧縮特性(特に繰り返し圧縮特性(繰り返し圧縮の残留;へたり軽減))に優れた特徴を有し、420kg/m以下であると、発泡積層体としてクッション性を有しつつも繰り返し圧縮の残留;へたりが軽減され、更には、軽量性を維持できるため、硬質発泡体であるフェノールフォームとの発泡積層体として取り扱いやすくなる。
軟質ウレタンフォームは、市販品を用いてもよく、例えば、舞岡フォーム社製のリボンデッドフォームなどが挙げられる。
本実施形態における発泡積層体のフェノールフォームを含む部分の厚み方向の23℃における熱伝導率は、好ましくは0.026W/(m・K)以下であり、より好ましくは0.015W/(m・K)以上0.025W/(m・K)以下であり、更に好ましくは0.015W/(m・K)以上0.024W/(m・K)以下であり、特に好ましくは0.015W/(m・K)以上0.023W/(m・K)である。熱伝導率は、主にフェノールフォームの性能に依存し、例えば、フェノールフォーム製造時のフェノール樹脂の組成や粘度、発泡剤の種類や割合、気泡核剤の割合、硬化条件、発泡条件等により調整できる。
本実施形態の発泡積層体は吸音特性を合わせ持つことを特徴とする。軟質ウレタンフォームのような多孔質材料に音波が入射すると、その空気振動が直接材料内部の隙間や気泡部分の空気に伝わるが、その際に、薄膜の気泡壁に当たると膜面が振動し、音のエネルギーの一部が熱エネルギーに変換され吸音作用を生じる。本実施形態の発泡積層体は、軟質ポリウレタンの密度が高いため、優れた吸音特性を示す。
また、本実施形態の発泡積層体は優れた圧縮特性(特に繰り返し圧縮特性(繰り返し圧縮の残留;へたり軽減))を有する。優れた圧縮特性は、発泡積層体、特に軟質ポリウレタンの密度に大きく依存するため、本実施形態の発泡積層体は優れた圧縮特性を有する。
次に、フェノールフォームの製造方法の詳細について説明する。
フェノールフォームの製造方法としては、フェノール樹脂と、界面活性剤と、発泡剤と、有機酸を含有する酸性硬化剤とを含む発泡性フェノール樹脂組成物を、混合機を用いて混合する工程と、混合した発泡性フェノール樹脂組成物を面材上に吐出する工程、前記面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物に、上方から面材を被せて発泡、硬化させつつ、予成形を行う工程と、発泡および硬化反応を行わせる主工程である本成形を行う工程と、その後にフェノール樹脂組成物中の水分を放散させる後硬化を行う工程と、を備える連続製造方式を採用することが可能である。
フェノール樹脂としては、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物の存在下に、フェノール類とアルデヒド類を40〜100℃の温度範囲で加熱合成して得られるレゾール型フェノール樹脂を用いる。フェノール類とアルデヒド類の使用モル比は1:1から1:4.5の範囲内が好ましく、より好ましくは1:1.5から1:2.5の範囲内である。
フェノール樹脂合成の際に好ましく使用されるフェノール類としては、フェノールの他、レゾルシノール、カテコール、o−、m−およびp−クレゾール、キシレノール類、エチルフェノール類、p−tertブチルフェノール等が挙げられる。また、2核フェノール類も使用できる。
またフェノール樹脂合成の際に好ましく使用されるアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド自体、解重合させて利用できるパラホルムアルデヒドの他、グリオキサール、アセトアルデヒド、クロラール、フルフラール、ベンズアルデヒド等が挙げられ、これらの誘導体もまた使用できる。
レゾール型フェノール樹脂の合成時、もしくは合成後には、必要に応じて尿素、ジシアンジアミドやメラミン等の添加剤を添加してもよい。尿素を添加する場合は、予めアルカリ触媒でメチロール化した尿素をレゾール型フェノール樹脂に混合することが好ましい。
合成後のレゾール型フェノール樹脂は、通常過剰な水分を含んでいるので、発泡に適した粘度にするために脱水を行うことが好ましい。
フェノール樹脂には、脂肪族炭化水素または高沸点の脂環式炭化水素、或いは、それらの混合物や、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の粘度調整用の希釈剤、その他必要に応じてフタル酸系化合物等、種々の添加剤を添加することもできる。フェノール樹脂、およびフェノール樹脂組成物の40℃における粘度は、好ましくは5,000mPa・s以上25,000mPa・s以下である。
混合機を用いて混合する工程に供する、フェノール樹脂の水分量は、2.0質量%以上8.0質量%以下であり、好ましくは2.5質量%以上6.5質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以上5.0質量%以下である。フェノール樹脂中の水分量が多いと気泡膜が破泡しやすくなり、独立気泡率の低下、すなわち断熱性能の低下を引き起こす。これに対して、フェノール樹脂の水分量が8.0質量%以下であれば、酸触媒量によらず、気泡膜の破泡を防止し、断熱性能を維持することができる。また、2.0質量%以上であれば、粘度上昇を抑制し設備内の送液を容易に実現することができる。
フェノール樹脂に加える界面活性剤としては、ノニオン系の界面活性剤が効果的であり、例えば、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体であるアルキレンオキサイドや、アルキレンオキサイドとヒマシ油との縮合物、アルキレンオキサイドと、ノニルフェノール、ドデシルフェノールのようなアルキルフェノールとの縮合生成物、アルキルエーテル部分の炭素数が14〜22のポリオキシエチレンアルキルエーテル、更にはポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル類、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン系化合物、ポリアルコール類等が好ましい。これらの界面活性剤は単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤の使用量は、フェノール樹脂100質量部に対して0.3質量部以上10質量部以下の範囲とすることが好ましい。
フェノール樹脂に加える発泡剤としては、炭化水素、ハイドロフルオロカーボン、塩素化ハイドロフルオロオレフィン、非塩素化ハイドロフルオロオレフィン、および、塩素化炭化水素等を用いることが好ましい。
炭化水素としては、炭素数が3〜7の環状または鎖状のアルカン、アルケン、アルキンが好ましく、具体的には、ノルマルブタン、イソブタン、シクロブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、シクロヘキサン、等を挙げることができる。その中でも、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタンのペンタン類およびノルマルブタン、イソブタン、シクロブタンのブタン類が好適に用いられる。
ハイドロフルオロカーボンとしては、ハイドロフルオロプロペン、ハイドロクロロフルオロプロペン、ハイドロブロモフルオロプロペン、ハイドロフルオロブテン、ハイドロクロロフルオロブテン、ハイドロブロモフルオロブテン、ハイドロフルオロエタン、ハイドロクロロフルオロエタン、ハイドロブロモフルオロエタン等を挙げることができる。
塩素化ハイドロフルオロオレフィンとしては、発泡剤としてとりわけ低い熱伝導率を有する、HCFO−1224yd(Z)(化学名:(Z)−1−Chloro−2,3,3,3−Tetrafluoropropene)や、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd、例えば、E体(HCFO−1233zd(E))である、ハネウェルジャパン株式会社製、製品名:Solstice(商標)LBA)、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1213xa)、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1223xd)、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1223za)、1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HCFO−1224zb)、2,3,3−トリクロロ−3−フルオロプロペン(HCFO−1231xf)、2,3−ジクロロ−3,3−ジフルオロプロペン(HCFO−1232xf)、2−クロロ−1,1,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xc)、2−クロロ−1,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xe)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、1−クロロ−1,2,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233yb)、3−クロロ−1,1,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233yc)、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233yd)、3−クロロ−1,2,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233ye)、3−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233yf)、1−クロロ−1,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zb)、および1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd)などが挙げられ、これらの立体配置異性体、すなわちE体またはZ体の、一方または混合物が用いられる。さらに、(E)−1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HCFO−1224yd(E))も挙げられる。
非塩素化ハイドロフルオロオレフィンとしては、1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン(HFO−1234ze、例えば、E体(HFO−1234ze(E))である、ハネウェルジャパン株式会社製、製品名:Solstice(商標)ze)、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(HFO−1336mzz、例えば、Z体(HFO−1336mzz(Z))である、ケマーズ株式会社製、Opteon(商標)1100)、2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(HFO−1234yf)、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225zc)、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)、および1,1,1,4,4,5,5,5−オクタフルオロ−2−ペンテン(HFO−1438mzz)などが挙げられ、これらの立体配置異性体、すなわちE体またはZ体の、一方または混合物が用いられる。
塩素化ハイドロフルオロオレフィン又は非塩素化ハイドロフルオロオレフィンを使用する場合、全発泡剤におけるこれら発泡剤の含有割合は、30質量%以上であることが好ましい。
塩素化炭化水素としては、炭素数が2〜5の直鎖状または分岐状の塩素化脂肪族炭化水素を好ましく利用できる。結合している塩素原子の数は1〜4が好ましく、例えば、ジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリドなどが挙げられる。これらのうち、クロロプロパンであるプロピルクロリド、イソプロピルクロリドが、より好ましく用いられる。
上述の発泡剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよく、任意に選択できる。
発泡性フェノール樹脂組成物中の好ましい発泡剤の量は、発泡剤の種類、フェノール樹脂との相性や、温度、滞留時間等の発泡・硬化条件により変わり得るが、フェノール樹脂および界面活性剤との合計100質量部に対して、10.0質量部以下であり、4.5質量部以上10.0質量部以下であることがより好ましく、5.0質量部以上9.0質量部以下であることが更に好ましい。
本実施形態においては、フェノールフォームの製造に発泡核剤をさらに使用してもよい。発泡核剤としては、窒素、ヘリウム、アルゴン、空気などの、発泡剤よりも沸点が50℃以上低い低沸点物質のような気体発泡核剤を添加することができる。また、水酸化アルミニウム粉、酸化アルミニウム粉、炭酸カルシウム粉、タルク、はくとう土(カオリン)、珪石粉、珪砂、マイカ、珪酸カルシウム粉、ワラストナイト、ガラス粉、ガラスビーズ、フライアッシュ、シリカフューム、石膏粉、ホウ砂、スラグ粉、アルミナセメント、ポルトランドセメント等の無機粉、および、フェノールフォームの粉砕粉のような有機粉等の固体発泡核剤を添加することもできる。これらは、単独で使用してもよいし、気体及び固体の区別なく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。発泡核剤の添加タイミングは、発泡性フェノール樹脂組成物を混合する混合機内に供給されていればよく、任意に決めることができる。
気体発泡核剤の発泡剤に対する添加量は、発泡剤の量を100質量%として、0.2質量%以上1.0質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましい。また、固体発泡核剤の添加量は、フェノール樹脂および界面活性剤との合計100質量部に対して、3.0質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは4.0質量部以上8.0質量部以下である。
フェノール樹脂組成物に加える酸性硬化剤としては、酸成分として有機酸を含むものを用いる必要がある。有機酸としては、アリールスルホン酸、或いは、これらの無水物が好ましい。アリールスルホン酸およびその無水物としては、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、置換フェノールスルホン酸、キシレノールスルホン酸、置換キシレノールスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等、および、それらの無水物が挙げられる。これらは、一種類で用いても、二種類以上組み合わせてもよい。なお、本実施形態では、硬化助剤として、レゾルシノール、クレゾール、サリゲニン(o−メチロールフェノール)、p−メチロールフェノール等を添加してもよい。また、これらの硬化剤は、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の溶媒で希釈してもよい。
酸性硬化剤の使用量は、その種類により異なり、パラトルエンスルホン酸一水和物60質量%とジエチレングリコール40質量%との混合物を使用する場合には、フェノール樹脂と、界面活性剤との合計100質量部に対して、好ましくは8質量部以上20質量部以下、より好ましくは10質量部以上15質量部以下である。
なお、発泡性フェノール樹脂組成物に含まれる界面活性剤、発泡剤等は、予めフェノール樹脂に添加しておいてもよいし、酸性硬化剤と同時にフェノール樹脂に添加してもよい。
連続製造方式における、予成形工程および本成形工程において、夫々予成形および本成形を行う方法としては、スラット型ダブルコンベアを利用する方法や、金属ロールもしくは鋼板を利用する方法、さらには、これらを複数組み合わせて利用する方法等、製造目的に応じた種々の方法が挙げられる。このうち、例えば、スラット型ダブルコンベアを利用して成形する場合には、上下の面材で被覆された発泡性フェノール樹脂組成物をスラット型ダブルコンベア中へ連続的に案内した後、加熱しながら上下方向から圧力を加えて、所定の厚みに調整しつつ、発泡および硬化させ、板状に成形することができる。
フェノールフォームの少なくとも上下面に配される面材としては、可撓性を有する面材(可撓性面材)が用いられる。使用される可撓性面材としては、主成分がポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン等からなる不織布および織布や、クラフト紙、ガラス繊維混抄紙、水酸化カルシウム紙、水酸化アルミニウム紙、珪酸マグネシウム紙等の紙類や、ガラス繊維不織布のような無機繊維の不織布等が好ましく、これらを混合、または積層して用いてもよい。これら面材は、通常ロール状の形態で提供されている。
予成形を行う工程において、最初に予成形されるときの発泡性フェノール樹脂組成物の空間温度は、35℃以上70℃以下が好ましい。
予成形工程に続く本成形工程の空間温度は、65℃以上100℃以下であることが望ましい。その区間において、無端スチールベルト型ダブルコンベアまたはスラット型ダブルコンベア、もしくはロール等を用いて本成形を行うことができる。
後硬化工程は、予成形工程および本成形工程後に行われる。後硬化工程の空間温度は、90℃以上120℃以下であることが好ましい。
以下に、実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<フェノール樹脂の合成>
反応器に52質量%ホルムアルデヒド3500kgと99質量%フェノール2510kgを仕込み、プロペラ回転式の攪拌機により攪拌し、温調機により反応器内部液温度を40℃に調整した。次いで50質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えながら昇温して、反応を行わせた。オストワルド粘度が60センチストークス(=60×10−6/s、25℃における測定値)に到達した段階で、反応液を冷却し、尿素を570kg(ホルムアルデヒド仕込み量の15モル%に相当)添加した。その後、反応液を30℃まで冷却し、パラトルエンスルホン酸一水和物の50重量%水溶液でpHを6.3に中和した。
この反応液を、60℃で脱水処理して粘度及び水分量を測定したところ、40℃における粘度は6,100mPa・s、水分量は5.1質量%であった。
<フェノール樹脂の水分量測定>
水分量を測定した脱水メタノール(関東化学製)に、フェノール樹脂を3質量%から7質量%の範囲で溶解して、その溶液の水分量から脱水メタノール中の水分を除して、フェノール樹脂の水分量を求め、フェノール樹脂から水分量の差分をフェノール樹脂の樹脂量とした。測定にはカールフィッシャー水分計(京都電子工業(株)製、(M・K)C−510)を用いた。
<フェノール樹脂の粘度>
フェノール樹脂の粘度は、回転粘度計(東機産業(株)製、R−100型、ローター部は3°×R−14)を用い、40℃で3分間安定させた後の測定値を粘度とした。
(実施例1)
<フェノールフォームの製造>
フェノール樹脂100質量部に対して、界面活性剤としてエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドのブロック共重合体とポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテルを質量比率でそれぞれ50%ずつ含有する組成物を3.0質量部の割合で混合した。これをフェノール樹脂組成物とする。フェノール樹脂組成物100質量部に対して、固体発泡核剤としてフェノール樹脂発泡体粉を4.0質量部、発泡剤としてシクロペンタン87mol%とイソブタン13mol%の混合物を4.7質量部、さらに、酸性硬化剤としてキシレンスルホン酸80質量%とジエチレングリコール20質量%の混合物からなる組成物を10.8質量部添加し、25℃に温調した回転数可変式のミキシングヘッドに供給した。なお、ここで用いたフェノール樹脂発泡体粉は、特開2008−024868号の実施例1と同様の手順で粉砕した、フェノール樹脂発泡体(旭化成建材(株)製ネオマ(登録商標)フォーム)粉砕粉(平均粒径は29.0μm、嵩密度は179kg/m)であり、発泡剤および酸性硬化剤の添加前に、二軸押出機にてフェノール樹脂組成物と混練した。その後、発泡剤および酸性硬化剤をミキサーヘッドで混合し、得られた発泡性フェノール樹脂組成物をマルチポート分配管にて分配し、移動する下表面材上に供給した。下表面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物は、空間温度60℃に温調された予成形工程に導入され、30秒後に、上表面材上方から、フリーローラーにて予成形を行った。予成形は、吐出時のフロス高さの2/3となる高さにロールをセットし調節した。その後、二枚の表面材で挟み込まれるようにして、空間温度が80℃に加熱されたスラット型ダブルコンベアに導入され(本成形工程)、15分の滞留時間で硬化させた後、空間温度110℃のオーブンで2時間キュアさせ(後硬化工程)、フェノールフォームを得た。なお、表面材としては、上下表面材ともに、ポリエステル不織布(旭化成(株)エルタスE05030、目付量30g/m)を使用した。また、本スラット型ダブルコンベアは、特開2000−218635号公報で開示されている設備である。
後述の方法でフェノールフォームの密度および独立気泡率をそれぞれ測定したところ、密度は29kg/m3であり、独立気泡率は94%であった。
次に、上述したリボンデッドフォームの代表的な製造方法の記載通りに、軟質ウレタンとしてのリボンデッドフォームを作製しつつ、以下のように本実施形態の発泡積層体を作製した。すなわち、軟質ウレタンフォーム端材(エーテル系90質量%、エステル系10質量%)を、ロールクラッシャー方式の粉砕機にて粉砕し直径15mmの篩処理を行い、15mm以下の軟質ウレタンフレーク材を得た。その後、前記フレーク材をタンク内に投入し撹拌しながら、バインダー(ウレタン系無溶剤バインダー)を正転で3分間、逆転で3分間噴霧し、バインダー塗布フレーク材を得た。得られたバインダー塗布フレーク材を、下型に200kg/m(厚み10mm)相当分を投入し、一体成型タイプの上記フェノールフォーム(厚み25mm)を載せ、その上に再度、バインダー塗布フレーク材200kg/m(厚み10mm)相当分を投入し、上型を被せて圧縮し、蒸気を注入して固化、乾燥させることで、厚み45mmの発泡積層体を得た。300mm角に切り出した際の発泡積層体の構成図および分解斜視図を、それぞれ、図1の(a)および(b)に示す。図1に示すように、この発泡積層体1は、一体成型の板状のフェノールフォーム2の厚み方向の両側の表面にのみ、軟質ウレタンフォーム4を備える。
<フェノールフォームの密度>
発泡積層体から軟質ウレタンフォームを除去した後、200mm角のフェノールフォームを試料とし、この試料から表面材を取り除いた後、JIS K7222に従い質量と見かけ容積を測定した。
<軟質ウレタンフォームの密度>
フェノールフォームの両側の軟質ウレタンフォームをフェノールフォームから分離し試料とし、JIS K7222に従い質量と見かけ容積を各々の軟質ウレタンフォームについて測定し、平均値を算出した。
<フェノールフォームの独立気泡率>
フェノールフォームの独立気泡率をASTM−D−2856(C法)に従い測定した。具体的には、発泡積層体から軟質ウレタンフォームを除去し、フェノールフォームから表面材を取り除いた後、直径35mm〜36mmの円柱形試料をコルクボーラーで刳り貫き、空気比較式比重計(東京サイエンス社製、1,000型)の標準使用方法により試料容積を測定した。その試料容積から、試料質量とフェノール樹脂硬化体の密度から計算した壁(気泡やボイド以外の部分)の容積を差し引いた値を、試料の外寸から計算した見かけの容積で割った値を独立気泡率とした。ここで、フェノール樹脂の密度は1.3kg/Lとした。なお、フェノールフォームとして複数のフェノールフォーム片を用いる場合には、全てのフェノールフォーム片に関して独立気泡率を測定し、平均値を取ることで、フェノールフォームの独立気泡率とする。また、フェノールフォーム片の大きさが十分でない場合には、コルクボーラー等の寸法は適宜調整を行うこととした。
<発泡積層体の熱伝導率>
JIS A 1412−2:1999に準拠し、以下の方法で23℃の環境下における発泡積層体の厚み方向の熱伝導率を測定した。具体的な手順は以下の通りである。
発泡積層体を300mm角に切断し、試片を23±1℃・湿度50±2%の雰囲気に入れた。その後、24時間ごとに重量の経時変化を測定し、24時間経過後の重量変化が0.2質量%以下になるまで、状態の確認および調節を行った。状態調節された発泡積層体試片を、同じく23±1℃・湿度50±2%の雰囲気に置かれた熱伝導率装置に導入した。熱伝導率測定装置が、発泡積層体試片が置かれていた23±1%・湿度50±2%にコントロールされた室内に置かれていない場合には、前述の雰囲気において状態の確認および調節を行った試片を、速やかにポリエチレン製の袋に入れて袋を閉じて、1時間以内に袋から出して、速やかに熱伝導率を測定した。
熱伝導率測定は、23℃の熱伝導率は低温板13℃、高温板33℃の条件で、試験体1枚・対象構成方式の測定装置(英弘精機社、商品名「HC−074/FOX304」)を用い行った。
<発泡積層体の10%変形圧縮応力>
JIS K 7220:2006に準拠し、以下の方法で環境温度23±2℃、環境湿度50±5%の環境下における発泡積層体の10%変形圧縮応力を測定した。
発泡積層体を、50mm角に切断し、当該50mm角を試片とした。なお、試験を試料数n=5で行うため、50mm角は5試料を切り出した。各試験片の幅,長さ及び厚さはJIS K 7248又はJIS B 7507に規定するノギスによって測定した。圧縮試験機は株式会社島津製作所製オートグラフAG−20kNXDを、ロードセルは20kNを、各々使用した。試片を、環境温度23±2℃、環境湿度50±5%の環境下で48時間以上状態を調整した後、圧縮試験機にセットし、初荷重20N、圧縮速度4.5mm/minで、試片の上面から、初荷重20N圧縮時点の変形量を0として試片厚みの10%にあたる変形量を圧縮した時の荷重を計測した。各試験片について、計測した荷重値を面積で割ることで、10%変形圧縮応力(kPa)を算出した後、5試料についての測定結果の平均値を算出した。10%変形圧縮応力の好ましい値は、3kPa以上であり、より好ましくは10kPa以上である。
<発泡積層体の繰り返し圧縮特性評価>
発泡積層体を50mm角に切断して試片とした。試片の上面から、直径100mmの圧縮治具で、荷重270Nとなるまで圧縮し、その後、荷重10Nとなるまで除重する工程を1サイクルとして、50万サイクル行った。反復速度10Hz、評価環境温度23℃±5℃、n=1で試験を行った。試験機はインストロン社製の疲労試験機E10000 ID−E10KNを使用した。50万サイクル目の圧縮変化量(mm)から1サイクル目の圧縮変化量(mm)を差し引いて評価した。測定結果は、圧縮量(mm)で示されるが、圧縮量はマイナス表示され、この圧縮量の絶対値が小さいほど、へたりが少ないことを意味し、繰り返し圧縮特性に優れているといえる。なお、発泡積層体の厚み(T;mm)に対する前記圧縮量(Ac;mm)との比「S」(下記式(1))にて評価することが好ましく、発泡積層体の繰り返し圧縮特性評価の好ましいS値は、0.55以下であり、より好ましくは0.30以下であり、より好ましくは0.15以下である。
−Ac/T=S (1)
(実施例2)
表1に示すように、軟質ウレタンフォームとして、バインダー塗布フレーク材の量を調整し、密度50kg/mのリボンデッドフォームを用いた以外は、実施例1と同様にして、厚み45mmの発泡積層体を作製した。
(実施例3)
表1に示すように、軟質ウレタンフォームとして、バインダー塗布フレーク材の量を調整し、密度400kg/mのリボンデッドフォームを用いた以外は、実施例1と同様にして厚み45mmの発泡積層体を作製した。
(実施例4)
表1に示すように、フェノールフォームとして、旭化成建材(株)製ネオマ(登録商標)フォーム、厚み12mm、密度41kg/m、独立気泡率93%を用い、バインダー塗布フレーク材上下表層ともに200kg/m(厚み16.5mm)分となるよう調整した以外は、実施例1と同様にして厚み45mmの発泡積層体を作製した。
(実施例5)
実施例2において、実施例4のフェノールフォームを用いた以外は、実施例2と同様にして発泡積層体を作製した。
(実施例6)
表1に示すように、フェノールフォームとして、複数のフェノールフォーム片を用いた(厚み25mm、密度29kg/mの旭化成建材(株)製ネオマフォーム片として、75mm×225mmのフェノールフォーム片4個、及び、75mm×150mmのフェノールフォーム片2個を組み合わせた)以外は、実施例1と同様にして発泡積層体を作製した。300mm角に切り出した際の発泡積層体の構成図および分解斜視図を、それぞれ、図2の(a)および(b)に示す。
(比較例1)
表1に示すように、軟質ウレタンフォームとして、上下層共にアキレス社製「アキレスエアロンSJO(元厚み50mmをスライス切断し、厚み10mmのものを2片採取、密度30kg/m)」をバインダー塗布フレーク材の代わりに使用し、バインダー(ウレタン系無溶剤バインダー)を前記軟質ウレタンフォームのフェノールフォームとの各接合面に全面塗布する以外は、実施例1と同様にして、発泡積層体を作製した。
実施例1〜6、及び比較例1で得られた発泡積層板について、軟質ウレタンフォーム種、軟質ウレタンフォームの密度、フェノールフォームの密度、フェノールフォームの独立気泡率、発泡積層体の構成、発泡積層体の熱伝導率、発泡積層板の10%変形圧縮応力、発泡積層板の繰り返し圧縮特性に関して評価及び観察を行った。結果を表1に示す。
Figure 2021192962
実施例1〜6で得られた発泡積層体は、比較例1で得られた発泡積層体と比較して、フェノールフォームの高断熱性能を有しつつも、10%変形圧縮応力、及び、繰り返し圧縮特性に優れた発泡積層体であることがわかる。
1 発泡積層体
2 フェノールフォーム
3 フェノールフォーム片
4 軟質ウレタンフォーム
本発明によれば、フェノールフォームの高断熱性能を有しつつも、優れた圧縮特性を有する、発泡積層体の利用が可能となる。

Claims (5)

  1. フェノールフォームの周囲の少なくとも一部が軟質ウレタンフォームで被覆された発泡積層体であって、
    前記フェノールフォームの密度が、20kg/m以上80kg/m以下であり、
    前記フェノールフォームの独立気泡率が、85%以上であり、
    前記軟質ウレタンフォームの密度が、35kg/m以上420kg/m以下である、発泡積層体。
  2. 前記フェノールフォームの厚み方向の両側の表面にのみ、前記軟質ウレタンフォームを備える、請求項1に記載の発泡積層体。
  3. 前記発泡積層体の23℃における熱伝導率が、0.026W/(m・K)以下である、請求項1又は2に記載の発泡積層体。
  4. 前記軟質ウレタンフォームが、リボンデッドフォームである、請求項1〜3のいずれかに記載の発泡積層体。
  5. 前記フェノールフォームが、複数のフェノールフォーム片からなる、請求項1〜4のいずれかに記載の発泡積層体。
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