JP2021183692A - 重合体粒子及びその用途 - Google Patents

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Tomoyuki Takahashi
良祐 原田
Ryosuke Harada
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Abstract

【課題】分散安定性に優れた重合体粒子ならびにその重合体粒子を用いた光学フィルム及び樹脂成形体を提供する。
【解決手段】重合体粒子の表面の状態が分散安定性に影響しており、分散安定性の向上には、重合体粒子中における製造工程で使用した界面活性剤の含有量(残存量)をごく僅かに抑える必要があることを見出した。本発明の重合体粒子は、特定の測定方法によって求められる界面活性剤の含有量が0ppm超〜50ppm未満であり、体積平均粒子径が1〜100μmであり、粒子径の変動係数が15%以下である重合体粒子であって、上記重合体粒子を構成する重合体は、単官能ビニル系単量体と多官能ビニル系単量体との共重合体であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、光拡散フィルムや防眩フィルム等の光学部材の原料として好適に用いられる
重合体粒子、この重合体粒子の用途(光学フィルム及び樹脂成形体)、及び、この重合体
粒子の製造方法に関する。
体積平均粒子径が1〜100μmの重合体粒子は、例えば、塗料等のコーティング剤用
の添加剤(艶消し剤等)、インク用の添加剤(艶消し剤等)、接着剤の主成分または添加
剤、人工大理石用の添加剤(低収縮化剤等)、紙処理剤、化粧品等の外用剤の充填材(滑
り性向上のための充填剤)、クロマトグラフィーに用いるカラム充填材、静電荷像現像に
使用されるトナー用の添加剤、フィルム用のアンチブロッキング剤、光学部材(光拡散フ
ィルム、防眩フィルム等の光学フィルム、光拡散体等)用の光拡散剤等の用途で使用され
ている。
このような重合体粒子は、重合性の単量体を重合させることによって製造することがで
きる。重合性の単量体を重合させるための重合法としては、懸濁重合、シード重合、乳化
重合等が知られている。これら重合方法では、通常、安定に重合反応を行って、粗大粒子
の発生が抑えられるように、界面活性剤が使用される。
例えば、特許文献1には、光拡散剤として使用される樹脂微粒子(重合体粒子)として
、界面活性剤を含む媒体中でビニル系単量体を重合することによって得られ、当該樹脂微
粒子に残留する界面活性剤量が、樹脂微粒子100重量部に対し、0.05重量部以下(
具体的には、0.005〜0.36重量部)のものが開示されている。
また、特許文献2には、エポキシ系樹脂組成物に配合される有機系粒子として、乳化重
合または懸濁重合により得られた界面活性剤が表面に付着した有機系粒子(重合体粒子)
を洗浄処理したものが開示されている。
特開2006−233055号公報 特開2007−016183号公報
ところで、光拡散フィルムや防眩フィルム等の光学フィルムとして、重合体粒子とバイ
ンダーとを含む樹脂組成物をフィルム基材上に塗工してなるものがある。
このような光学フィルムを作製する場合には、フィルム基材上の上記樹脂組成物からな
る塗膜により、安定した光学特性が得られるように、フィルム基材上に樹脂組成物を塗工
する前に、その樹脂組成物中(具体的には、バインダー中)に均一に重合体粒子を分散さ
せておく必要がある。
しかしながら、特許文献1及び2に開示の界面活性剤を使用して製造された重合体粒子
をバインダー中に均一に分散させて樹脂組成物を得ても、この樹脂組成物を上記フィルム
基材上へ塗工して塗膜を形成する過程で、その樹脂組成物中での重合体粒子の分散状態が
不安定となる。例えば、特許文献1及び2に開示の重合体粒子を使用して上記光学フィル
ムを作製する場合には、前記塗工により塗膜が形成される過程で、上記樹脂組成物中の重
合体粒子の分散状態が安定せず、重合体粒子が過度に凝集してしまうことがあった。この
結果、上記基材フィルム上に形成された塗膜全体に、重合体粒子が広がらず、所望の光学
特性が安定して得られないことがあった。
そこで、重合体粒子をバインダーに分散させて得られる樹脂組成物を上記フィルム基材
上へ塗工して塗膜を形成する過程において、安定した分散状態が得られ、光学フィルムに
安定して光学特性を付与できる分散安定性に優れた重合体粒子の開発が望まれていた。
本発明は、上記した状況に鑑みてなされたものであって、分散安定性に優れた重合体粒
子及びその製造方法、並びに重合体粒子を用いた光学フィルム及び樹脂成形体を提供する
ことを目的する。
本願発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意検討を行った結果、重合体粒子の表面の状態が
分散安定性に影響しており、分散安定性の向上には、重合体粒子中における製造工程で使
用した界面活性剤の含有量(残存量)をごく僅かに(具体的には、50ppm未満に)抑
える必要があることを見出した。
本発明の重合体粒子は、界面活性剤の含有量が0ppm超〜50ppm未満であること
を特徴とする。
本発明の重合体粒子は、界面活性剤の含有量が50ppm未満に抑えられたものである
から、バインダーと混合して使用される場合において、前記バインダー中での分散安定性
に優れる。また、本発明の重合体粒子をバインダーに分散させて得られる樹脂組成物をフ
ィルム基材上に塗工する場合には、その樹脂組成物中での重合体粒子の分散状態が、前記
塗工により塗膜が形成される過程においてほぼ安定に維持され、前記塗工時における重合
体粒子の過度な凝集が抑制される。この結果、前記重合体粒子は、フィルム基材上にむら
なく広がり、前記塗工により形成された塗膜全体にむらのない安定した光拡散性や防眩性
等の光学特性を付与できる。
本発明の光学フィルムは、本発明の重合体粒子と、バインダーとを含むコーティング用
樹脂組成物を、フィルム基材上に塗工してなることを特徴とする。
本発明の光学フィルムは、分散安定性に優れた本発明の重合体粒子を含むコーティング
用樹脂組成物を基材に塗工してなるものであるから、前記塗工により形成された塗膜全体
において、むらのない光拡散性や防眩性等の光学特性が安定して得られる。よって、本発
明の光学フィルムによれば、高い品質安定性が得られる。
本発明の樹脂成形体は、本発明の重合体粒子と、透明樹脂とを含む成形用樹脂組成物を
、成形してなることを特徴とする。
本発明の樹脂成形体は、分散安定性に優れた本発明の重合体粒子を含む成形用樹脂組成
物を成形してなるものであるから、その樹脂成形体において、むらのない光拡散性や防眩
性等の光学特性が安定して得られる。よって、本発明の樹脂成形体によれば、高い品質安
定性が得られる。
本発明の重合体粒子の製造方法は、液状の媒体中、界面活性剤の存在下で、ビニル系単
量体を重合させて、前記界面活性剤を含む重合体粒子と前記媒体とを含む粗生成物を得る
重合工程と、濾過器に前記粗生成物を投入し、投入した前記粗生成物に含まれる媒体を前
記濾過器の濾材に通過させる一方、前記粗生成物に含まれる重合体粒子を前記濾材上に保
持させる固液分離工程と、前記重合体粒子を前記濾材上に保持した前記濾過器に洗浄液を
投入し、前記洗浄液を前記重合体粒子と接触させて、前記重合体粒子と接触した前記洗浄
液を前記濾材に通過させることによって、前記洗浄液で洗浄された重合体粒子を前記濾材
上に得る洗浄工程とを含み、前記固液分離工程において、前記濾材を通過した前記媒体の
単位時間当たりの量が、下記条件式(1);
X≦5.50×A ・・・(1)
(式(1)中、Xは、前記濾材を通過した前記媒体の単位時間当たりの量(kg/mi
n)を意味し、Aは、濾材と被濾過物との界面の面積(m2)を意味する)を満たし、前
記洗浄工程において、前記濾材を通過した前記洗浄液の単位時間当たりの量が、下記条件
式(2);
Y≦8.50×A ・・・(2)
(式(2)中、Yは、前記濾材を通過した前記洗浄液の単位時間当たりの量(kg/m
in)を意味し、Aは、濾材と被濾過物との界面の面積(m2)を意味する。)を満たし
、前記洗浄工程では、前記濾材上に保持された重合体粒子の重量の10倍以上の重量の洗
浄液を用いることを特徴とする。
上記製造方法では、固液分離工程において、濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量
が条件式(1)を満たし、洗浄工程において、濾材を通過した洗浄液の単位時間当たりの
量が条件式(2)を満たし、尚且つ、その洗浄工程において、濾材上に保持された重合体
粒子の重量の10倍以上の重量の洗浄液を用いることから、重合工程において重合体粒子
に付着した界面活性剤の大部分を、媒体及び洗浄液と共に除去することができる。その結
果、界面活性剤の含有量(残存量)の極めて少ない分散安定性に優れた重合体粒子を得る
ことができる。
本発明によれば、分散安定性に優れた重合体粒子及びその製造方法、並びに重合体粒子
を用いた光学フィルム及び樹脂成形体を提供することができる。
図1は、本発明の実施の形態で使用可能な加圧濾過器の概略構成を示す概略図であり、(a)は前記加圧濾過器の概略断面図であり、(b)は前記加圧濾過器の耐圧容器の内部を示す概略上面図である。
以下に、本発明について詳細に説明する。
〔重合体粒子〕
本発明の重合体粒子は、界面活性剤の含有量が0ppm超〜50ppm未満であること
を特徴とする。本発明の重合体粒子において、界面活性剤の含有量は、少なければ少ない
ほど好ましく、0ppm超〜30ppmであることが好ましく、0ppm超〜20ppm
であることがより好ましく、0ppm超〜15ppmであることがさらに好ましい。なお
、重合体粒子中における界面活性剤の含有量は、例えば、液体クロマトグラフ質量分析法
(LC−MS−MS)を用いて測定することができる。
本発明の重合体粒子に含まれる界面活性剤は、当該重合体粒子の製造において使用した
界面活性剤が残存したものである。このため、上記界面活性剤としては、重合体粒子の製
造に通常使用されるあらゆる界面活性剤、例えば、後述する〔重合体粒子の製造方法〕の
項に記載のようなアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤
、両イオン性界面活性剤を挙げることができる。また、本発明の重合体粒子に含まれる界
面活性剤は、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤の少なくとも一方を含むこ
とが好ましい。
上記重合体粒子において、界面活性剤を含むこと、すなわち、界面活性剤の含有量が0
ppmを超えることは、例えば、飛行時間型2次イオン質量分析計(TOF−SIMS)
による測定おいて界面活性剤に由来するフラグメントのピークが検出されることにより、
或いは、後述する液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS/MS装置)を用いた重合
体粒子中の界面活性剤の含有量の測定において、クロマトグラム上にピークが検出される
ことにより、確認可能である。
本発明の重合体粒子は、製造に使用した界面活性剤の含有量(残存量)が50ppm未
満に抑えられたものであることから、粒子表面における上記界面活性剤の量が少ないもの
と言える。このため、本発明の重合体粒子がバインダーと混合して使用される場合におい
て、バインダーに混合される重合体粒子同士の表面状態の差が少なく、この結果として、
本発明の重合体粒子を分散媒中に分散させて使用する場合において、分散媒中での重合体
粒子の分散状態が、ほぼ安定に維持される。つまり、本発明の重合体粒子は、分散安定性
に優れる。また、本発明の重合体粒子は、製造に使用した界面活性剤の含有量(残存量)
が50ppm未満に抑えられたものであり、粒子表面における上記界面活性剤の量が少な
いものであることから、本発明の重合体粒子が分散媒と混合して使用される場合において
、分散媒に均一に分散させるために要する時間が安定している。また、本発明の重合体粒
子は、上記の通り、粒子表面における上記界面活性剤の量が少なく、分散安定性に優れた
ものであるから、例えば、重合体粒子をバインダーに分散させて得られる樹脂組成物をフ
ィルム基材上に塗工して使用する場合には、その樹脂組成物中での重合体粒子の分散状態
が、前記塗工により塗膜が形成される過程においてほぼ安定に維持され、前記塗工時にお
ける重合体粒子の過度な凝集が抑えられる。この結果、前記重合体粒子は、フィルム基材
上にむらなく広がり、前記塗工により形成された塗膜全体にむらのない安定した光拡散性
や防眩性等の光学特性を付与できる。このため、本発明の重合体粒子を用いて作製される
光学フィルムは、品質安定性に優れたものとなる。
本発明の重合体粒子において、粒子表面における界面活性剤の含有量は、少なければ少
ないほど好ましく、例えば、飛行時間型2次イオン質量分析計により測定される、正イオ
ンの総イオン強度及び負イオンの総イオン強度の合計に対する、前記界面活性剤に由来す
る負イオンのイオン強度の比(以下、イオン強度比という)が、0.01×10-4〜2.
0×10-4であることが好ましい。なお、飛行時間型2次イオン質量分析計による測定に
おいて、前記界面活性剤に由来する負イオンのフラグメントのピークが複数検出される場
合には、それらの検出されたフラグメントのうち、最もイオン強度が高いフラグメントの
イオン強度を、前記界面活性剤に由来する負イオンのイオン強度として、上記イオン強度
比を得るものとする。
上記イオン強度比が上記範囲内にある重合体粒子は、そのイオン強度比から、粒子表面
における上記界面活性剤の量が極めて少ないものであると認められる。このため、イオン
強度比が上記範囲内にある重合体粒子がバインダーと混合して使用される場合において、
バインダーに混合される重合体粒子同士の表面状態はほぼ同じとなり、この結果として、
上記重合体粒子を分散媒中に分散させて使用する場合において、分散媒中での重合体粒子
の分散状態が、極めて安定に維持される。つまり、イオン強度比が上記範囲内にある重合
体粒子は、分散安定性に極めて優れる。また、イオン強度比が上記範囲内にある重合体粒
子は、粒子表面における上記界面活性剤の量が極めて少ないものであることから、本発明
の重合体粒子が分散媒と混合して使用される場合において、分散媒に均一に分散させるた
めに要する時間がより安定している。また、イオン強度比が上記範囲内にある重合体粒子
をバインダーに分散させて得られる樹脂組成物をフィルム基材上に塗工して使用する場合
には、その樹脂組成物中での重合体粒子の分散状態が、前記塗工により塗膜が形成される
過程において極めて安定に維持され、前記塗工時における重合体粒子の過度な凝集が確実
に抑えられる。この結果、前記重合体粒子は、フィルム基材上によりむらなく広がり、前
記塗工により形成された塗膜全体にむらのない安定した光拡散性や防眩性等の光学特性を
確実に付与できる。このため、イオン強度比が上記範囲内にある前記重合体粒子を用いて
作製された光学フィルムは、品質安定性により優れたものとなる。
本発明の重合体粒子を構成する重合体は、例えば、ビニル系単量体の重合体である。上
記ビニル系単量体としては、1つのエチレン性不飽和基を有する単官能ビニル系単量体と
、2つ以上のエチレン性不飽和基を有する多官能ビニル系単量体を挙げることができる。
上記単官能ビニル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系単量体;
スチレン系単量体(芳香族ビニル系単量体);酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサ
チック酸ビニル等の飽和脂肪酸ビニル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル
等のシアン化ビニル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、シトラコン酸、
イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のエチレン性不飽和カルボン酸;無水マレイン酸等
のエチレン性不飽和カルボン酸無水物;モノブチルマレイン酸等のエチレン性不飽和ジカ
ルボン酸モノアルキルエステル;上記エチレン性不飽和カルボン酸やエチレン性不飽和ジ
カルボン酸モノアルキルエステルのアンモニウム塩又はアルカリ金属塩等のエチレン性不
飽和カルボン酸塩類;アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等
のエチレン性不飽和カルボン酸アミド類;N−メチロールアクリルアミド、N−メチロー
ルメタクリルアミド、メチロール化ジアセトンアクリルアミド、及び、これら単量体と炭
素数1〜8のアルコール類とのエーテル化物(例えば、N−イソブトキシメチルアクリル
アミド)等のエチレン性不飽和カルボン酸アミド類のメチロール化物及びその誘導体等が
挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、
アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステ
アリル等のアクリル酸アルキル系単量体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メ
タクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル等の
メタクリル酸アルキル系単量体;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等
のエポキシ基(グリシジル基)を有する(メタ)アクリル酸エステル;2−ヒドロキシエ
チルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等のヒドロキシアルキル(メ
タ)アクリレート;ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタク
リレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。上記(メタ
)アクリル酸エステル系単量体は、アクリル酸アルキル系単量体及びメタクリル酸アルキ
ル系単量体の少なくとも一方を含むことが好ましい。なお、本出願書類において、「(メ
タ)アクリレート」はアクリレート又はメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル」
はアクリル又はメタクリルを意味するものとする。
上記スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エ
チルビニルベンゼン等が挙げられる。
上記多官能ビニル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アリル、ジビニルベ
ンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロー
ルプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート
等が挙げられる。
上記したビニル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用い
てもよい。
上記重合体粒子を構成する重合体は、(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、
(メタ)アクリル−スチレン系重合体の何れかであることが好ましい。これにより、光透
過性の高い重合体粒子を実現できる。上記(メタ)アクリル系重合体は、(メタ)アクリ
ル酸エステル系単量体の重合体、または、(メタ)アクリル酸エステル系単量体と、(メ
タ)アクリル酸エステル系単量体及びスチレン系単量体以外のビニル系単量体との共重合
体である。上記スチレン系重合体は、スチレン系単量体の重合体、または、スチレン系単
量体と、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及びスチレン系単量体以外のビニル系単量
体の共重合体である。また、上記(メタ)アクリル−スチレン系共重合体は、(メタ)ア
クリル酸エステル系単量体とスチレン系単量体との共重合体、または、(メタ)アクリル
酸エステル系単量体と、スチレン系単量体と、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び
スチレン系単量体以外のビニル系単量体との共重合体である。
上記重合体粒子を構成する重合体は、上記単官能ビニル系単量体と上記多官能ビニル系
単量体との共重合体(架橋重合体)であることが好ましい。例えば、上記重合体における
上記多官能ビニル系単量体に由来する構成単位の量は、上記重合体100重量%に対して
5〜50重量%の範囲内であることが好ましい。上記多官能ビニル系単量体に由来する構
成単位の量が上記範囲より少ない場合、上記重合体の架橋度が低くなる。その結果、重合
体粒子をバインダーと混合して樹脂組成物として塗工する場合に、重合体粒子が膨潤して
樹脂組成物の粘度上昇が起こり塗工の作業性が低下する恐れがある。さらに、上記重合体
の架橋度が低くなる結果、重合体粒子をバインダーと混合して成形する用途(いわゆる練
り込み用途)において混合時や成形時に重合体粒子に熱をかけたときに、重合体粒子が溶
解又は変形しやすくなる。上記多官能ビニル系単量体に由来する構成単位の量が上記範囲
より多い場合、上記多官能ビニル系単量体の使用量に見合った効果の向上が認められず、
生産コストが上昇する場合がある。
本発明の重合体粒子のゲル分率は、90%以上であることが好ましく、97%以上であ
ることがより好ましい。ゲル分率が90%未満であると、十分な耐溶剤性が確保できない
ため、例えば、重合体粒子をバインダーと共に有機溶剤と混合してフィルム基材上に塗工
して、防眩フィルムや光拡散フィルム等の光学フィルムとする場合において、有機溶剤に
重合体粒子が溶解してしまい、光拡散性や防眩性等の光学特性が十分に得られないおそれ
がある。なお、本出願書類において、ゲル分率は、例えば実施例の項に記載の方法によっ
て測定されたゲル分率を指すものとする。
また、上記重合体粒子の体積平均粒子径は、0.5〜100μmであることが好ましく
、1〜30μmの範囲内であることがより好ましい。これにより、防眩フィルムや光拡散
フィルム等の光学部材に重合体粒子を使用したときに、光学部材の防眩性や光拡散性等の
光学特性を向上させることができる。なお、本出願書類において、重合体粒子の体積平均
粒子径は、コールター法、例えば実施例の項に記載の方法によって測定された体積基準の
粒度分布の算術平均を指すものとする。
上記重合体粒子の粒子径の変動係数(CV)は、15%以下であることが好ましい。こ
れにより、防眩フィルムや光拡散フィルム等の光学部材に重合体粒子を使用したときに、
光学部材の防眩性や光拡散性等の光学特性を向上させることができる。
上記重合体粒子は、界面活性剤の存在下で、ビニル系単量体を種粒子に吸収させて重合
する(すなわち、シード重合する)ことによって得られたものであることが好ましい。シ
ード重合により得られる重合体粒子は、粒子径のばらつきが少ないため、これにより、防
眩フィルムや光拡散フィルム等の光学部材に使用されたときに、光学部材の防眩性や光拡
散性等の光学特性を向上させることができる。
〔重合体粒子の製造方法〕
本発明の重合体粒子は、本発明の製造方法によって製造できる。
本発明の重合体粒子の製造方法は、液状の媒体中、界面活性剤の存在下で、ビニル系単
量体を重合させて、前記界面活性剤を含む重合体粒子と前記媒体とを含む粗生成物を得る
重合工程と、濾過器に前記粗生成物を投入し、投入した前記粗生成物に含まれる媒体を前
記濾過器の濾材に通過させる一方、前記粗生成物に含まれる重合体粒子を前記濾材上に保
持させる固液分離工程と、前記重合体粒子を前記濾材上に保持した前記濾過器に洗浄液を
投入し、前記洗浄液を前記重合体粒子と接触させて、前記重合体粒子と接触した前記洗浄
液を前記濾材に通過させることによって、前記洗浄液で洗浄された重合体粒子を前記濾材
上に得る洗浄工程とを含む。
以下、本発明の製造方法の各工程について、詳述する。
〔重合工程〕
重合工程では、液状の媒体中、界面活性剤の存在下で、ビニル系単量体を重合させて、
前記界面活性剤を含む重合体粒子と前記媒体とを含む粗生成物を得る。
液状の媒体(粗生成物に含まれる媒体)としては、水性媒体が好ましく、例えば、水;
メチルアルコール、エチルアルコール等の低級アルコール(炭素数5以下のアルコール)
;水と低級アルコールとの混合物等が挙げられる。
また、上記重合工程において、上記界面活性剤は、液状の媒体中でのビニル系単量体の
分散を安定化させる。上記界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面
活性剤、ノニオン性界面活性剤、及び両イオン性界面活性剤の何れをも用いることができ
るが、上記重合工程において、液状の媒体中でのビニル系単量体の分散をより安定に確保
することができ、且つ粒子径の揃った重合体粒子を得ることができることから、アニオン
性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤の少なくとも一方を用いることが好ましい。
上記アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩型、硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型
等公知のアニオン性界面活性剤をいずれも用いることができ、例えば、オレイン酸ナトリ
ウム、ヒマシ油カリ石鹸等の脂肪酸石鹸;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモ
ニウム等のアルキル硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキ
ルベンゼンスルホン酸塩;アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジ
(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸塩(ナトリウム塩)、ジオクチルスルホコハク酸
塩(ナトリウム塩)等のジアルキルスルホコハク酸塩;アルケニルコハク酸塩(ジカリウ
ム塩);アルキルリン酸エステル塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ポリオキ
シエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエー
テル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;ポリオキシエチレ
ンアルキル硫酸エステル;ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル
塩等が挙げられる。これらのアニオン性界面活性剤は1種を単独で用いてもよく、2種以
上を組み合わせて用いてもよい。
上記ノニオン性界面活性剤としては、エステル型、エーテル型、エステル・エーテル型
等の公知のノニオン性界面活性剤をいずれも用いることができ、例えば、ポリオキシエチ
レントリデシルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン
オクチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキ
シエチレンスチレン化フェニルエーテル、アルキレン基の炭素数が3以上であるポリオキ
シアルキレントリデシルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオ
キシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、モノラウリン酸ポリオキシエ
チレンソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチ
レンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブ
ロック重合体等が挙げられる。これらのノニオン性界面活性剤は1種を単独で用いてもよ
く、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記カチオン性界面活性剤としては、アミン塩型、第4級アンモニウム塩型等の公知の
カチオン性界面活性剤をいずれも用いることができるが、水溶性のカチオン性界面活性剤
がその取扱い上から有利である。上記カチオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリル
アミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩;ラウリルトリメ
チルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ココイ
ルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド等の
アルキルトリメチルアンモニウムクロライド;ヘキサデシルジメチルベンジルアンモニウ
ムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のアルキルジメチル
ベンジルクロライド等が挙げられる。これらのカチオン性界面活性剤は1種を単独で用い
てもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記両イオン性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミンオキサイド、リン酸エス
テル系界面活性剤、亜リン酸エステル系界面活性剤等が挙げられる。これらの両イオン性
界面活性剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい
。上記界面活性剤としては、液温25℃の水に対する溶解度が、0.3g/100ml〜
5.0g/100mlのものが好ましく、0.5g/100ml〜3.0g/100ml
のものがより好ましい。上記溶解度が0.3g/100ml未満の界面活性剤を使用する
と、上記重合工程において、上記液状の媒体が水性媒体である場合に、当該水性媒体中で
ビニル系単量体が安定に分散しないおそれがあり、また、当該界面活性剤の水への溶出が
困難であることから、重合体粒子を洗浄する後述の洗浄工程において、多量の洗浄液を必
要とし、生産性の面で好ましくない。一方、上記溶解度が5.0g/100mlを超える
界面活性剤は、疎水基の効力が乏しく、水性媒体中でビニル系単量体の分散を安定化させ
る効果に乏しいことから、当該界面活性剤を使用すると、上記重合工程において、上記液
状の媒体が水性媒体である場合に、当該水性媒体中でのビニル系単量体の分散を安定化さ
せるために、多量の界面活性剤を必要とし、生産性の面で好ましくない。
上記ビニル系単量体の重合における界面活性剤の使用量は、ビニル系単量体の使用量1
00重量部に対して0.01〜5重量部の範囲内であることが好ましい。界面活性剤の使
用量が上記範囲より少ない場合には、重合安定性が低くなる恐れがある。また、界面活性
剤の使用量が上記範囲より多い場合には、コスト的に不経済である。
ビニル系単量体の重合法としては、液状の媒体と界面活性剤を使用する公知の重合方法
であれば特に限定されるものではなく、例えば、シード重合、乳化重合、懸濁重合等の方
法が挙げられる。これら重合法のうち、得られる重合体粒子の粒子径のばらつきが最も少
ないことから、シード重合が最も好ましい。
上記乳化重合とは、液状の媒体と、この媒体に溶解し難いビニル系単量体と、界面活性
剤(乳化剤)とを混合し、そこに媒体に溶解可能な重合開始剤を加えて重合を行う重合法
である。上記乳化重合には、得られる重合体粒子の粒子径のばらつきが少ないという特徴
がある。上記懸濁重合とは、ビニル系単量体と水等の水性媒体とを機械的に攪拌して、ビ
ニル系単量体を水性媒体中に懸濁させて重合させる重合法である。上記懸濁重合には、粒
子径が小さく、かつ粒子径が比較的整った重合体粒子を得ることができるという特徴があ
る。
上記シード重合は、ビニル系単量体の重合を開始する際に、別途作製されたビニル系単
量体の重合体からなる種(シード)粒子を入れて、重合を行う方法である。より詳細には
、上記シード重合は、ビニル系単量体の重合体からなる重合体粒子を種粒子として用い、
水性媒体中で上記種粒子にビニル系単量体を吸収させ、種粒子内でビニル系単量体を重合
させる方法である。この方法では、種粒子を成長させることにより、元の種粒子よりも大
きな粒子径の重合体粒子を得ることができる。上記した通り、ビニル系単量体の重合法と
しては、シード重合が最も好ましいことから、本発明の製造方法において、上記重合工程
は、液状の媒体中、種粒子及び界面活性剤の存在下で、ビニル系単量体をシード重合させ
て、前記界面活性剤を含む重合体粒子と前記媒体とを含む粗生成物を得ることを含むこと
が好ましい。
以下にシード重合の一般的な方法を述べるが、本発明の製造方法における重合法は、こ
の方法に限定されるものではない。
シード重合では、まず、ビニル系単量体と水性媒体と界面活性剤とを含む乳化液(懸濁
液)に種粒子を添加する。上記乳化液は、公知の方法により作製できる。例えば、ビニル
系単量体及び界面活性剤を水性媒体に添加し、ホモジナイザー、超音波処理機、ナノマイ
ザー等の微細乳化機により分散させることで、乳化液を得ることができる。上記水性媒体
としては、水、又は、水と有機溶媒(例えば、低級アルコール(炭素数5以下のアルコー
ル))との混合物を用いることができる。
上記シード重合における界面活性剤の使用量は、ビニル系単量体100重量部に対して
0.01〜5重量部の範囲内であることが好ましい。界面活性剤の使用量が上記範囲より
少ない場合には、重合安定性が低くなる恐れがある。また、界面活性剤の使用量が上記範
囲より多い場合には、コスト的に不経済である。
種粒子は、そのままで乳化液に添加されてもよく、水性媒体に分散された形態で乳化液
に添加されてもよい。種粒子が乳化液へ添加された後、ビニル系単量体が種粒子に吸収さ
れる。この吸収は、通常、乳化液を、室温(約20℃)で1〜12時間攪拌することによ
り行うことができる。また、種粒子へのビニル系単量体の吸収を促進するために、乳化液
を30〜50℃程度に加温してもよい。
種粒子は、ビニル系単量体を吸収することにより膨潤する。ビニル系単量体と種粒子と
の混合比率は、種粒子1重量部に対して、ビニル系単量体が5〜300重量部の範囲内で
あることが好ましく、100〜250重量部の範囲内であることがより好ましい。ビニル
系単量体の混合比率が上記範囲より小さくなると、重合による粒子径の増加が小さくなる
ので、製造効率が低下する。一方、ビニル系単量体の混合比率が上記範囲より大きくなる
と、ビニル系単量体が完全に種粒子に吸収されず、水性媒体中で独自に懸濁重合して、異
常に粒子径の小さい重合体粒子が生成されることがある。なお、種粒子へのビニル系単量
体の吸収の終了は、光学顕微鏡の観察で粒子径の拡大を確認することにより判定できる。
次に、種粒子に吸収されたビニル系単量体を重合させることにより、重合体粒子が得ら
れる。なお、ビニル系単量体を種粒子に吸収させて重合させる工程を複数回繰り返すこと
により重合体粒子を得てもよい。
上記ビニル系単量体には、必要に応じて重合開始剤を添加していてもよい。上記重合開
始剤は、上記重合開始剤をビニル系単量体に混合した後、得られた混合物を水性媒体中に
分散させてもよいし、重合開始剤とビニル系単量体との両者を別々に水性媒体に分散させ
たものを混合してもよい。得られた乳化液中に存するビニル系単量体の液滴の粒子径は、
種粒子の粒子径よりも小さい方が、ビニル系単量体が種粒子に効率よく吸収されるので好
ましい。
上記重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、過酸化ベンゾイル
、過酸化ラウロイル、o−クロロ過酸化ベンゾイル、o−メトキシ過酸化ベンゾイル、3
,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチル
ヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2’−ア
ゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、
2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メ
チルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)
、2,2’−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シク
ロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメ
チルバレロニトリル)、(2−カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4’−アゾ
ビス(4−シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ
化合物等が挙げられる。上記重合開始剤は、ビニル系単量体100重量部に対して、0.
1〜1.0重量部の範囲内で使用されることが好ましい。
上記シード重合の重合温度は、ビニル系単量体の種類や、必要に応じて用いられる重合
開始剤の種類に応じて適宜選択できる。上記シード重合の重合温度は、具体的には、25
〜110℃であることが好ましく、50〜100℃であることがより好ましい。また、上
記シード重合の重合時間は、1〜12時間であることが好ましい。上記シード重合の重合
反応は、重合に対して不活性な不活性ガス(例えば窒素)の雰囲気下で行ってもよい。な
お、上記シード重合の重合反応は、ビニル系単量体及び必要に応じて用いられる重合開始
剤が種粒子に完全に吸収された後に、昇温して行われるのが好ましい。
上記シード重合においては、重合体粒子の分散安定性を向上させるために、高分子分散
安定剤を重合反応系に添加してもよい。上記高分子分散安定剤としては、例えば、ポリビ
ニルアルコール、ポリカルボン酸、セルロース類(ヒドロキシエチルセルロース、カルボ
キシメチルセルロース等)、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。また、上記高分子分
散安定剤と、トリポリリン酸ナトリウム等の無機系水溶性高分子化合物とが併用されても
よい。これら高分子分散安定剤のうち、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドン
が好ましい。上記高分子分散安定剤の添加量は、ビニル系単量体100重量部に対して1
〜10重量部の範囲内であることが好ましい。
また、上記重合反応における水性媒体中での乳化粒子(粒子径の小さすぎる重合体粒子
)の発生を抑えるために、亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸塩類、亜硫酸塩類、ハイドロキノ
ン類、アスコルビン酸類、水溶性ビタミンB類、クエン酸、ポリフェノール類等の水溶性
の重合禁止剤を水性媒体に添加してもよい。上記重合禁止剤の添加量は、ビニル系単量体
100重量部に対して0.02〜0.2重量部の範囲内であることが好ましい。
なお、ビニル系単量体を重合して種粒子を得るための重合法については、特に限定され
ないが、分散重合、乳化重合、ソープフリー乳化重合(乳化剤としての界面活性剤を用い
ない乳化重合)、シード重合、懸濁重合等を用いることができる。シード重合によって略
均一な粒子径の重合体粒子を得るためには、最初に略均一の粒子径の種粒子を使用し、こ
れらの種粒子を略一様に成長させることが必要になる。原料となる略均一な粒子径の種粒
子は、ビニル系単量体をソープフリー乳化重合(界面活性剤を使用しない乳化重合)及び
分散重合等の重合法で重合することによって作ることができる。したがって、ビニル系単
量体を重合して種粒子を得るための重合法としては、乳化重合、ソープフリー乳化重合、
シード重合及び分散重合が好ましい。
種粒子を得るための重合においても、必要に応じて重合開始剤が使用される。前記重合
開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の
過硫酸塩類;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、o−クロロ過酸化ベンゾイル、o−
メトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、te
rt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサ
イド等の有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビスシ
クロヘキサンカルボニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
等のアゾ系化合物等が挙げられる。上記重合開始剤の使用量は、種粒子を得るために使用
するビニル系単量体100重量部に対して0.1〜3重量部の範囲内であることが好まし
い。上記重合開始剤の使用量の加減により、得られる種粒子の重量平均分子量を調整する
ことができる。
種粒子を得るための重合においては、得られる種粒子の重量平均分子量を調整するため
に、分子量調整剤を使用してもよい。前記分子量調整剤としては、n−オクチルメルカプ
タン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;α−メチルスチレンダイマ
ー;γ−テルピネン、ジペンテン等のテルペン類;クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲ
ン化炭化水素類等を使用できる。上記分子量調整剤の使用量の加減により、得られる種粒
子の重量平均分子量を調整することができる。
〔固液分離工程〕
固液分離工程では、濾過器に前記粗生成物を投入し、投入した前記粗生成物に含まれる
媒体を前記濾過器の濾材に通過させる一方、前記粗生成物に含まれる重合体粒子を前記濾
材上に保持させる。
上記固液分離工程では、前記濾材を通過した前記媒体の単位時間当たりの量が、下記条
件式(1);
X≦5.50×A ・・・(1)
(式(1)中、Xは、前記濾材を通過した前記媒体の単位時間当たりの量(kg/mi
n)を意味し、Aは、濾材と被濾過物との界面の面積(m2)を意味する)を満たす。
上記固液分離工程において、前記濾材を通過した前記媒体の単位時間当たりの量を、上
記条件式(1)を満たすように制御することで、媒体と共に、粗生成物に含まれる界面活
性剤を除去することができ、濾材上に残った重合体粒子における界面活性剤の残存量(具
体的には、重合体粒子の表面における界面活性剤の付着量)を減らすことができる。
上記固液分離工程において、前記濾過器としては、特に限定されないが、例えば、図1
に示されるような、円柱状の内部空間を有する耐圧容器2と、この耐圧容器2の内底部に
配置された濾材3と、圧縮気体(窒素等の不活性ガス、空気等)を耐圧容器内に供給する
圧縮気体供給機(不図示)とを備える加圧濾過器1を挙げることができる。図1に示す加
圧濾過器1では、耐圧容器2の円柱状の内部空間の底面の面積(図1(b)参照)が、濾
材3と被濾過物(粗生成物P)との界面の面積と略同じとなる。
上記加圧濾過器1を用いた固液分離工程では、例えば、加圧濾過器1の耐圧容器2に粗
生成物Pをスラリー溶液の形態で投入して、耐圧容器2内の濾材3上に粗生成物Pを充填
し、圧縮気体供給機によって耐圧容器2内における濾材3の上側空間Sに圧縮気体を供給
することによって耐圧容器2の内部における濾材3の上側空間Sを加圧する。これにより
、粗生成物Pが濾材3に押し付けられて、粗生成物Pに含まれる液状の媒体が濾材3を通
過し、その液状の媒体が濾液として耐圧容器2の外に排出される。そして、濾材3上に重
合体粒子のケーキが残る。
前記耐圧容器2としては、例えば、ステンレス製で、0.50MPa以上の耐圧性を備
えているものが好ましい。
濾材3としては、重合体粒子を確実に捕集できるものであれば特に限定されず、例えば
、天然繊維、合成繊維等からなる、織布、不織布等の濾布;焼結金属からなる金網;焼結
金属からなる不織布;天然繊維、ガラス繊維等からなる濾過板(多孔板);合成樹脂から
なる網:濾紙;ガラス繊維フィルター等が挙げられるが、濾布が好ましい。
上記固液分離工程において、加圧濾過器1を使用して耐圧容器2内における濾材3の上
側空間Sを加圧する際の加圧条件は、上記条件式(1)を満たす圧力であれば、特に限定
されないが、例えば、耐圧容器2の内圧が0.01MPa〜0.50MPaの範囲内とな
るように加圧することが好ましい。なお、固体分離工程において、耐圧容器2の内圧は、
加圧開始から固液分離工程の終了まで、上記条件式(1)を満たすように、ほぼ一定に保
たれていることが好ましいが、耐圧容器2の内圧は、加圧後、粗生成物Pに含まれる媒体
が濾材3を通過するにつれて、耐圧容器2内の圧が徐々に低下する。具体的には、濾材3
を通過する媒体が少なくなる、もしくはほぼ無くなると、耐圧容器2内の圧縮空気圧が底
から抜け、耐圧容器2の内圧を加圧時の圧力に維持することが難しくなり、前記加圧時の
圧力を下回ることとなる。
また、上記固液分離工程では、濾過器(加圧濾過器1)に投入した粗生成物Pに含まれ
る媒体の量(重合工程で得られた全ての粗生成物を濾過器に投入した場合は、重合工程で
使用した媒体の量)100重量%に対して、70重量%以上の量の媒体を濾材3に通過さ
せて、粗生成物Pに含まれる媒体を除去することが好ましい。上記固液分離工程において
、濾過器(加圧濾過器1)に投入した粗生成物Pに含まれる媒体の量100重量%に対し
て、70重量%以上の量の媒体を濾材3に通過させることで、濾材3上に残った重合体粒
子における界面活性剤の残存量を減らすことができる。その結果、後述する洗浄工程にお
ける洗浄液の量を減らすことが可能となる。
例えば、上記固液分離工程において、濾過器として、加圧濾過器1を使用した場合は、
当該固液分離工程は、加圧濾過器1に投入した粗生成物Pに含まれる媒体の量(重合工程
で得られた全ての粗生成物Pを加圧濾過器1に投入した場合は、重合工程で使用した媒体
の量)100重量%に対して、70重量%以上の量の媒体が濾材3を通過し、且つ、耐圧
容器2の内圧が、加圧時の圧力100%に対して、80%以下になったときに、終了する
ことが好ましい。これにより、濾材3上に残った重合体粒子における界面活性剤の残存量
を確実に減らして、後述する洗浄工程における洗浄液の量を減らすことが可能となる。
〔洗浄工程〕
洗浄工程では、前記重合体粒子を前記濾材上に保持した前記濾過器に洗浄液を投入し、
前記洗浄液を前記重合体粒子と接触させて、前記重合体粒子と接触した前記洗浄液を前記
濾材に通過させることによって、前記洗浄液で洗浄された重合体粒子を前記濾材上に得る
前記洗浄工程では、前記濾材を通過した前記洗浄液の単位時間当たりの量が、下記条件
式(2);
Y≦8.50×A ・・・(2)
(式(2)中、Yは、前記濾材を通過した前記洗浄液の単位時間当たりの量(kg/m
in)を意味し、Aは、濾材と被濾過物との界面の面積(m2)を意味する。)を満たす
。前記濾材を通過した前記洗浄液の単位時間当たりの量が、上記条件式(2)を満たさな
い場合には、重合体粒子と洗浄液とが接している時間が短いために、重合体粒子の表面に
付着した界面活性剤が十分に取り除かれず、最終的に得られる重合体粒子に多量の界面活
性剤が残存してしまうおそれがある。
また、前記洗浄工程における前記濾材を通過した前記洗浄液の単位時間当たりの量は、
前記洗浄液を濾材に通過させることによる前記重合体粒子の洗浄の開始から終了まで、平
均して、下記条件式(3);
2.50×A≦Y≦8.50×A ・・・(3)
(式(3)中、Yは前記濾材を通過した前記洗浄液の単位時間当たりの量(kg/mi
n)を意味し、Aは、濾材と被濾過物との界面の面積(m2)を意味する。)を満たすこ
とが好ましい。前記洗浄工程における前記濾材を通過した前記洗浄液の単位時間当たりの
量が、平均して、上記条件式(3)を満たす場合、効率よく、重合体粒子の表面に付着し
た界面活性剤を十分に取り除いて、最終的に得られる重合体粒子における界面活性剤の残
存量を減らすことができる。
例えば、上記固液分離工程において図1に示すような加圧濾過器1を用いた場合、濾材
3上に残った重合体粒子のケーキを、そのまま、濾材3上に保持させたままで、洗浄液を
耐圧容器2内に供給することによって前記ケーキと洗浄液を接触させ、圧縮気体供給機に
よって耐圧容器2内における濾材3の上側空間Sに圧縮気体を供給することにより濾材3
の上側空間Sを加圧する。これにより、前記ケーキが洗浄液に接触して洗浄され、そして
、洗浄後の洗浄液が濾液として耐圧容器2の外へ排出される。なお、洗浄液を供給した後
、加圧を行う前に、攪拌機を用いて耐圧容器2内に供給した洗浄液を前記ケーキと混合す
ることでスラリー化してもよい。また、洗浄用の洗浄液を供給する前に、攪拌機を用いて
、ケーキのクラックを修復してもよい。これにより、洗浄液のショートパスがなくなり、
効率的な洗浄が行える。
上記洗浄工程において、加圧濾過器1を使用して耐圧容器2内における濾材3の上側空
間Sを加圧する際の加圧条件は、上記条件式(2)を満たす圧力であれば、特に限定され
ないが、例えば、耐圧容器2の内圧が0.01MPa〜0.50MPaの範囲内となるよ
うに加圧することが好ましい。また、濾材3の上側空間Sは、0.01〜0.30MPa
/minの速度で加圧されることが好ましい。なお、洗浄工程において、耐圧容器2の内
圧は、加圧開始から洗浄工程の終了まで、上記条件式(2)を満たすように、ほぼ一定に
保たれていることが好ましいが、耐圧容器2の内圧は、加圧後、耐圧容器2に投入した洗
浄液が濾材3を通過するにつれて、耐圧容器2内の圧が徐々に低下する。具体的には、濾
材3を通過する洗浄液が少なくなる、もしくはほぼ無くなると、耐圧容器2内の圧縮空気
圧が底から抜け、耐圧容器2の内圧を加圧時の圧力に維持することが難しくなり、前記加
圧時の圧力を下回ることとなる。
前記洗浄工程において使用する洗浄液としては、水性媒体が好ましく、例えば、水;メ
チルアルコール、エチルアルコール等の低級アルコール(炭素数5以下のアルコール);
水と低級アルコールとの混合物等が挙げられるが、上記重合工程で使用した媒体と同様の
ものを用いることが好ましい。
洗浄工程で用いる洗浄液の重量は、濾材3上に保持されている重合体粒子の重量(固液
分離工程において重合工程で得られた全ての粗生成物を濾過器に投入した場合は、重合工
程で使用したビニル系単量体の総量)の10倍以上である。洗浄工程で用いる洗浄液の重
量が、濾材3上に保持されている重合体粒子の重量の10倍未満であると、重合体粒子に
含まれる界面活性剤の除去が不十分となり、所望の重合体粒子(界面活性剤の含有量が5
0ppm未満の重合体粒子)が得られないおそれがある。
また、洗浄工程で用いる洗浄液の重量は、上記重合工程で使用した界面活性剤の種類毎
に以下の算出式(4)により算出した洗浄液の重量の下限値Dの合計量以上であることが
好ましい。洗浄工程で用いる洗浄液の重量が、上記重合工程で使用した界面活性剤の種類
毎に以下の算出式(4)により算出した洗浄液の重量の下限値Dの合計量以上であると、
重合体粒子中における界面活性剤の含有量をさらに、低減させることができる。
D=(E÷F)×2000・・・(4)
D:1種の界面活性剤に対して必要とされる洗浄液の重量の下限値(g)
E:前記1種の界面活性剤の使用量(g)
F:液温25℃の洗浄液に対する前記1種の界面活性剤の溶解度(g/100ml)
また、洗浄に用いる洗浄液の温度は、界面活性剤が十分に溶出する温度であることが好
ましく、例えば、40〜80℃であることが好ましく、50〜80℃であることがより好
ましい。なお、洗浄液を上記温度に加熱して洗浄を行う方法としては、加熱した洗浄液を
濾過器(例えば、加圧濾過器1の耐圧容器2)に供給する方法を用いてもよく、洗浄液を
濾過器に供給した後、濾過器の周囲に配設したヒータジャケットによって洗浄液を加熱す
る方法を用いてもよい。
上記洗浄工程は、濾材3を通過した洗浄液の導電率が、濾過器(加圧濾過器1)に投入
する前の洗浄液の導電率の2.0倍以下となり、且つ、耐圧容器2の内圧が、加圧時の圧
力100%に対して、80%以下になったときに終了することが好ましい。濾材3を通過
した洗浄液の導電率が、濾過器(加圧濾過器1)に投入する前の洗浄液の導電率の2.0
倍以下となるまで、洗浄液を耐圧容器2に投入することで、最終的に得られる重合体粒子
に含まれる界面活性剤の残存量を確実に減らすことができる。また、耐圧容器2の内圧が
、加圧時の圧力100%に対して80%以下となるまで、耐圧容器2に投入した洗浄液を
濾材3に通過させることで、重合体粒子に吸収され得る水分量を減らすことができ、洗浄
後の重合体粒子の乾燥に要する時間を、短縮化することができる。
洗浄工程で得られた重合体粒子は、真空乾燥機で乾燥することによって、洗浄液をほぼ
完全に除去し、必要に応じて分級(好ましくは、気流分級)することによって、製品とし
て利用可能な重合体粒子とすることができる。
上記した重合体粒子の製造方法によれば、固液分離工程において、濾材を通過した媒体
の単位時間当たりの量が条件式(1)を満たし、洗浄工程において、濾材を通過した洗浄
液の単位時間当たりの量が条件式(2)を満たし、尚且つ、その洗浄工程において、濾材
上に保持された重合体粒子の重量の10倍以上の重量の洗浄液を用いることから、重合工
程において重合体粒子に付着した界面活性剤の大部分を、媒体及び洗浄液と共に除去する
ことができる。その結果、界面活性剤の含有量(残存量)の極めて少ない分散安定性に優
れた重合体粒子を得ることができる。また、上記製造方法によれば、重合工程で使用され
得る高分子分散安定剤も固液分離工程及び洗浄工程で多量に除去される。このため、上記
製造方法で得られる重合体粒子は、高分子分散安定剤の量も少ないものとなり得る。
〔重合体粒子の用途〕
本発明の重合体粒子は、防眩フィルムや光拡散フィルム等の光学フィルムや光拡散体等
の光学部材用として好適であり、特に防眩部材用として好適である。
〔光学フィルム〕
本発明の光学フィルムは、本発明の重合体粒子と、バインダーとを含むコーティング用
樹脂組成物を、フィルム基材上に塗工してなる。本発明の光学フィルムは、例えば、バイ
ンダー中に上記重合体粒子を分散させてコーティング用樹脂組成物を得て、得られたコー
ティング用樹脂組成物をフィルム基材上に塗工して、上記コーティング用樹脂組成物から
なる塗膜を上記フィルム基材上に形成することにより得られる。
上記バインダーとしては、透明性、重合体粒子分散性、耐光性、耐湿性及び耐熱性等の
要求される特性に応じて、当該分野において使用されるものであれば特に限定されるもの
ではない。上記バインダーとしては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂;(メタ)アクリ
ル−ウレタン系樹脂;ウレタン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹
脂;メラミン系樹脂;スチレン系樹脂;アルキド系樹脂;フェノール系樹脂;エポキシ系
樹脂;ポリエステル系樹脂;アルキルポリシロキサン系樹脂等のシリコーン系樹脂;(メ
タ)アクリル−シリコーン系樹脂、シリコーン−アルキド系樹脂、シリコーン−ウレタン
系樹脂、シリコーン−ポリエステル樹脂等の変性シリコーン樹脂;ポリフッ化ビニリデン
、フルオロオレフィンビニルエーテル重合体等のフッ素系樹脂等のバインダー樹脂が挙げ
られる。
上記バインダー樹脂は、コーティング用樹脂組成物の耐久性を向上させる観点から、架
橋反応により架橋構造を形成できる硬化性樹脂であることが好ましい。上記硬化性樹脂は
、種々の硬化条件で硬化させることができる。上記硬化性樹脂は、硬化のタイプにより、
紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等の電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、温気硬
化性樹脂等に分類される。
上記熱硬化性樹脂としては、アクリルポリオールとイソシアネートプレ重合体とからな
る熱硬化型ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポ
リエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
上記電離放射線硬化性樹脂としては、多価アルコール多官能(メタ)アクリレート等の
ような多官能(メタ)アクリレート樹脂;ジイソシアネート、多価アルコール、及びヒド
ロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等から合成されるような多官能ウレタンア
クリレート樹脂等が挙げられる。上記電離放射線硬化性樹脂としては、多官能(メタ)ア
クリレート樹脂が好ましく、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多価
アルコール多官能(メタ)アクリレートがより好ましい。1分子中に3個以上の(メタ)
アクリロイル基を有する多価アルコール多官能(メタ)アクリレートとしては、具体的に
は、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メ
タ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグ
リセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペン
タエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート
、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)
アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリス
リトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられ
る。上記電離放射線硬化性樹脂は、二種類以上を併用してもよい。
上記電離放射線硬化性樹脂としては、これらの他にも、アクリレート系の官能基を有す
るポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタ
ール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も使用できる。
上記電離放射線硬化性樹脂のうち紫外線硬化性樹脂を用いる場合、紫外線硬化性樹脂に
光重合開始剤を加えてバインダーとする。上記光重合開始剤は、どのようなものを用いて
もよいが、用いる紫外線硬化性樹脂にあったものを用いることが好ましい。
上記光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホ
スフィンオキシド類、ケタール類、α−ヒドロキシアルキルフェノン類、α−アミノアル
キルフェノン、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2
001−139663号公報等に記載)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフ
ィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、オニウム塩類、ボレー
ト塩、活性ハロゲン化合物、α−アシルオキシムエステル等が挙げられる。
上記アセトフェノン類としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセト
フェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−
ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォ
リノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフ
ェニル)−ブタノン等が挙げられる。上記ベンゾイン類としては、例えば、ベンゾイン、
ベンゾインベンゾエート、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエン
スルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイ
ンイソプロピルエーテル等が挙げられる。上記ベンゾフェノン類としては、例えば、ベン
ゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、p−
クロロベンゾフェノン等が挙げられる。上記ホスフィンオキシド類としては、例えば、2
,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。上記ケ
タール類としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン
等のベンジルメチルケタール類が挙げられる。上記α−ヒドロキシアルキルフェノン類と
しては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが挙げられる。上記α−
アミノアルキルフェノン類としては、例えば、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フ
ェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノンが挙げられる。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、BASFジャパン株式会社製の商品名「イルガ
キュア(登録商標)651」(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オ
ン)、BASFジャパン株式会社製の商品名「イルガキュア(登録商標)184」、BA
SFジャパン株式会社製の商品名「イルガキュア(登録商標)907」(2−メチル−1
−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン)等が
好ましい例として挙げられる。
上記光重合開始剤の使用量は、バインダー100重量%に対し、通常、0.5〜20重
量%の範囲内であり、好ましくは1〜5重量%の範囲内である。
上記バインダー樹脂として、上記硬化性樹脂以外に、熱可塑性樹脂を用いることができ
る。上記熱可塑性樹脂としては、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチ
ルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体;酢酸ビニル
の単独重合体及び共重合体、塩化ビニルの単独重合体及び共重合体、塩化ビニリデンの単
独重合体及び共重合体等のビニル系樹脂;ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール
等のアセタール樹脂;アクリル酸エステルの単独重合体及び共重合体、メタクリル酸エス
テルの単独重合体及び共重合体等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリア
ミド樹脂;線状ポリエステル樹脂;ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
また、上記バインダーとして、上記バインダー樹脂の他に、合成ゴムや天然ゴム等のゴ
ム系バインダーや、無機系結着剤等を用いることもできる。上記ゴム系バインダー樹脂と
しては、エチレン−プロピレン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン
ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等が挙げられる。これらゴム系バインダー樹脂
は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
上記無機系結着剤としては、シリカゾル、アルカリ珪酸塩、シリコンアルコキシド、リ
ン酸塩等が挙げられる。上記無機系結着剤として、金属アルコキシド又はシリコンアルコ
キシドを加水分解及び脱水縮合して得られる無機系又は有機無機複合系マトリックスを用
いることもできる。上記無機系又は有機無機複合系マトリックスとしては、シリコンアル
コキシド、例えばテトラエトキシシラン等を加水分解及び脱水縮合して得られる酸化珪素
系マトリックスを使用できる。これら無機系結着剤は、単独で用いられてもよいし、2種
類以上が併用されてもよい。
上記コーティング用樹脂組成物中における重合体粒子の量は、バインダーの固形分10
0重量部に対して、2重量部以上であることが好ましく、4重量部以上であることがより
好ましく、6重量部以上であることがさらに好ましい。上記重合体粒子の量をバインダー
の固形分100重量部に対して2重量部以上にすることにより、コーティング用樹脂組成
物によって形成される塗膜の艶消し性を十分なものにし易くなる。したがって、コーティ
ング用樹脂組成物をフィルム基材上に塗工してなるフィルムの防眩性や光拡散性等の光学
特性を十分なものにし易くなる。上記コーティング用樹脂組成物中における重合体粒子の
量は、バインダーの固形分100重量部に対して、300重量部以下であることが好まし
く、200重量部以下であることがより好ましく、100重量部以下であることがさらに
好ましい。上記重合体粒子の量をバインダーの固形分100重量部に対して300重量部
以下にすることにより、コーティング用樹脂組成物によって形成される塗膜の直線透過性
を十分なものにし易くなる。
上記コーティング用樹脂組成物は、有機溶剤をさらに含んでいてもよい。後述するフィ
ルム基材等の基材に上記コーティング用樹脂組成物を塗工する場合、上記有機溶剤は、そ
れをコーティング用樹脂組成物に含有させることによって、基材へのコーティング用樹脂
組成物の塗工が容易になるものであれば、特に限定されるものではない。上記有機溶剤と
しては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルアルコール、エチルアル
コール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イ
ソブチルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;
酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;2−メトキシ
エタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールジ
メチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチル
エーテル、プロピレングリコールメチルエーテル等のグリコールエーテル類;2−メトキ
シエチルアセタート、酢酸2−エトキシエチルアセタート(セロソルブアセタート)、2
−ブトキシエチルアセタート、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート等のグリ
コールエーテルエステル類;クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロメタン、塩化メ
チレン等の塩素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、
1,3−ジオキソラン等のエーテル系溶媒;N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒等を用いることがで
きる。これら有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい
上記フィルム基材は、透明であることが好ましい。透明のフィルム基材としては、例え
ば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステ
ル系重合体、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース
系重合体、ポリカーボネート系重合体、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル
系重合体等の重合体からなるフィルムが挙げられる。また、透明のフィルム基材として、
ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系重合体、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・
プロピレン共重合体等のオレフィン系重合体、塩化ビニル系重合体、ナイロンや芳香族ポ
リアミド等のアミド系重合体等の重合体からなるフィルムも挙げられる。さらに、透明の
フィルム基材として、イミド系重合体、サルホン系重合体、ポリエーテルサルホン系重合
体、ポリエーテルエーテルケトン系重合体、ポリフェニルスルフィド系重合体、ビニルア
ルコール系重合体、塩化ビニリデン系重合体、ビニルブチラール系重合体、アリレート系
重合体、ポリオキシメチレン系重合体、エポキシ系重合体や上記重合体のブレンド物等の
重合体からなるフィルム等も挙げられる。上記フィルム基材として、特に複屈折率の少な
いものが好適に用いられる。また、これらフィルムにさらに(メタ)アクリル系樹脂、共
重合ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレン−マレイン酸グラフトポリエス
テル樹脂、アクリルグラフトポリエステル樹脂等の易接着層を設けたフィルムも上記フィ
ルム基材として用いることができる。
上記フィルム基材の厚さは、適宜に決定しうるが、一般には、強度や取り扱い等の作業
性、薄層性等の点より10〜500μmの範囲内であり、20〜300μmの範囲内であ
ることが好ましく、30〜200μmの範囲内であることがより好ましい。
また、フィルム基材には、添加剤を加えてもよい。上記添加剤としては、例えば、紫外
線吸収剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、屈折率調整剤、増強剤等が挙げられる。
上記コーティング用樹脂組成物をフィルム基材上に塗布する方法としては、バーコーテ
ィング、ブレードコーティング、スピンコーティング、リバースコーティング、ダイコー
ティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、マイク
ログラビアコーティング、リップコーティング、エアーナイフコーティング、ディッピン
グ法等の公知の塗工方法が挙げられる。
上記コーティング用樹脂組成物に含まれるバインダーが電離放射線硬化性樹脂である場
合、上記コーティング用樹脂組成物の塗布後に、必要に応じ溶剤を乾燥させ、さらに活性
エネルギー線を照射することにより電離放射線硬化性樹脂を硬化させればよい。
上記活性エネルギー線としては、例えば、キセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、
超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等の光源
から発せられる紫外線;通常20〜2000KeVのコックロフワルトン型、バンデグラ
フ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の電子線
加速器から取り出される電子線、α線、β線、γ線等を用いることができる。
コーティング用樹脂組成物の塗布(及び硬化)によって形成される、バインダー中に重
合体粒子が分散された層の厚みは、特に限定されず、重合体粒子の粒子径により適宜決定
されるが、1〜10μmの範囲内であることが好ましく、3〜7μmの範囲内であること
がより好ましい。
本発明の光学フィルムは、分散安定性に優れた本発明の重合体粒子を含むコーティング
用樹脂組成物を基材に塗工してなるものであるから、前記塗工により形成された塗膜全体
において、むらのない光拡散性や防眩性等の光学特性が安定して得られる。よって、本発
明の光学フィルムによれば、高い品質安定性が得られる。
上記した本発明の光学フィルムは、光拡散用又は防眩用として、すなわち、光拡散フィ
ルム又は防眩フィルムとして好適に使用することができる。
〔樹脂成形体〕
本発明の樹脂成形体は、上記重合体粒子と透明樹脂とを含む成形用樹脂組成物を成形し
てなるものである。本発明の樹脂成形体中において、上記重合体粒子は光拡散粒子として
機能する。したがって、本発明の樹脂成形体は、光拡散板等の光拡散体として機能し、L
ED照明カバー等として利用できる。
上記透明樹脂は、上記樹脂成形体の基材であり、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポ
リカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、(メタ)アクリル−スチレン樹脂((メタ)ア
クリル)酸エステルとスチレンとの共重合体)等が挙げられる。それらの中でも、ポリス
チレン樹脂又は(メタ)アクリル−スチレン樹脂が上記透明樹脂として好ましい。
上記樹脂組成物に含まれる重合体粒子の量は、透明樹脂100重量部に対して、0.0
1〜5重量部の範囲内であることが好ましく、0.1〜5重量部の範囲内であることがよ
り好ましい。上記樹脂組成物には、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、蛍
光増白剤等の添加剤を加えてもよい。
上記樹脂成形体の厚み及び形状等は、樹脂成形体の用途によって適宜選択することがで
きる。
本発明の樹脂成形体は、上記透明樹脂と上記重合体粒子とを一軸押出機や二軸押出機等
で溶融混練することにより得ることができる。また、溶融混練によって得られた樹脂組成
物を、Tダイ及びロールユニットを介して板状に成形して樹脂成形体を得てもよい。また
、溶融混練によって得られた樹脂組成物をペレット化し、ペレットを射出成形やプレス成
形等により板状に成形して樹脂成形体を得てもよい。
本発明の樹脂成形体は、分散安定性に優れた本発明の重合体粒子を含む成形用樹脂組成
物を成形してなるものであるから、その樹脂成形体において、むらのない光拡散性や防眩
性等の光学特性が安定して得られる。よって、本発明の樹脂成形体によれば、高い品質安
定性が得られる。
以下、実施例及び比較例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるもので
はない。まず、以下の実施例及び比較例における、重合体粒子の体積平均粒子径及び粒子
径の変動係数の測定方法、重合体粒子の製造に使用した種粒子の体積平均粒子径の測定方
法、重合体粒子の製造の固液分離工程におけるX値(濾材を通過した媒体の単位時間当た
りの量(kg/min))の測定方法、重合体粒子の製造の洗浄工程におけるY値(濾材
を通過した洗浄液の単位時間当たりの量(kg/min))の測定方法、重合体粒子にお
ける界面活性剤の含有量の測定方法(液体クロマトグラフ質量分析法(LC−MS−MS
)による測定方法)重合体粒子のTOF−SIMSによる測定方法、重合体粒子のゲル分
率の測定方法、及び、重合体粒子の分散安定化時間の測定方法を説明する。
〔重合体粒子の体積平均粒子径及び粒子径の変動係数の測定方法〕
体積平均粒子径は、コールターマルチサイザーIII(ベックマン・コールター株式会
社製測定装置)により測定する。測定は、ベックマン・コールター株式会社発行のMul
tisizerTM 3ユーザーズマニュアルに従って校正されたアパチャーを用いて実施
するものとする。
なお、測定に用いるアパチャーの選択は、測定する重合体粒子の想定の体積平均粒子径
が1μm以上10μm以下の場合は50μmのサイズを有するアパチャーを選択し、測定
する重合体粒子の想定の体積平均粒子径が10μmより大きく30μm以下の場合は10
0μmのサイズを有するアパチャーを選択し、重合体粒子の想定の体積平均粒子径が30
μmより大きく90μm以下の場合は280μmのサイズを有するアパチャーを選択し、
重合体粒子の想定の体積平均粒子径が90μmより大きく150μm以下の場合は400
μmのサイズを有するアパチャーを選択するなど、適宜行う。測定後の体積平均粒子径が
想定の体積平均粒子径と異なった場合は、適正なサイズを有するアパチャーに変更して、
再度測定を行う。
又、50μmのサイズを有するアパチャーを選択した場合、Current(アパチャ
ー電流)は−800、Gain(ゲイン)は4と設定し、100μmのサイズを有するア
パチャーを選択した場合、Current(アパチャー電流)は−1600、Gain(
ゲイン)は2と設定し、280μmおよび400μmのサイズを有するアパチャーを選択
した場合、Current(アパチャー電流)は−3200、Gain(ゲイン)は1と
設定する。
測定用試料としては、重合体粒子0.1gを0.1重量%ノニオン性界面活性剤水溶液
10m1中にタッチミキサー(ヤマト科学株式会社製、「TOUCHMIXER MT−
31」)および超音波洗浄器(株式会社ヴェルヴォクリーア製、「ULTRASONIC
CLEANER VS−150」)を用いて分散させ、分散液としたものを使用する。
コールターマルチサイザーIIIの測定部に、ISOTON(登録商標)II(ベックマ
ン・コールター株式会社製:測定用電解液)を満たしたビーカーをセットし、ビーカー内
を緩く攪拌しながら、前記分散液を滴下して、コールターマルチサイザーIII本体画面
の濃度計の示度を5〜10%に合わせた後に、測定を開始する。測定中はビーカー内を気
泡が入らない程度に緩く攪拌しておき、重合体粒子を10万個測定した時点で測定を終了
する。重合体粒子の体積平均粒子径は、10万個の粒子の体積基準の粒度分布における算
術平均である。
重合体粒子の粒子径の変動係数(CV値)を、以下の数式によって算出する。
重合体粒子の粒子径の変動係数=(重合体粒子の体積基準の粒度分布の標準偏差
÷重合体粒子の体積平均粒子径)×100
〔種粒子の体積平均粒子径の測定方法〕
種粒子の体積平均粒子径の測定は、レーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置(ベック
マン・コールター株式会社製「LS 13 320」)およびユニバーサルリキッドサン
プルモジュールによって行う。
測定には、種粒子0.1gを0.1重量%ノニオン性界面活性剤水溶液10m1中にタ
ッチミキサー(ヤマト科学株式会社製、「TOUCHMIXER MT−31」)および
超音波洗浄器(株式会社ヴェルヴォクリーア製、「ULTRASONIC CLEANE
R VS−150」)を用いて分散させ、分散液としたものを使用する。
また、上記のレーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置のソフトウェアにおいて、ミー
理論に基づいた評価のために必要となる以下に示す光学的なパラメータを、設定する。
<パラメータ>
液体(ノニオン性界面活性剤水溶液)の屈折率B.I.の実部=1.333(水の屈折率

固体(測定対象の種粒子)の屈折率の実部=種粒子の屈折率
固体の屈折率の虚部=0
固体の形状因子=1
また、測定条件及び測定手順は、以下の通りとする。
<測定条件>
測定時間:60秒
測定回数:1
ポンプ速度:50〜60%
PIDS相対濃度:40〜55%程度
超音波出力:8
<測定手順>
オフセット測定、光軸調整、バックグラウンド測定を行った後、上記した分散液を、ス
ポイトを用いて、上記のレーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置のユニバーサルリキッ
ドサンプルモジュール内へ注入する。上記のユニバーサルリキッドサンプルモジュール内
の濃度が上記のPIDS相対濃度に達し、上記のレーザー回折・散乱方式粒度分布測定装
置のソフトウェアが「OK」と表示したら、測定を開始する。なお、測定は、ユニバーサ
ルリキッドサンプルモジュール中でポンプ循環を行うことによって上記種粒子を分散させ
た状態、かつ、超音波ユニット(ULM ULTRASONIC MODULE)を起動
させた状態で行う。
また、測定は室温で行い、得られたデータから、上記のレーザー回折・散乱方式粒度分
布測定装置のソフトウェアにより、上記の予め設定された光学的なパラメータを用いて、
種粒子の体積平均粒子径(体積基準の粒度分布における算術平均径)を算出する。
なお、種粒子の屈折率については、種粒子を構成する重合体の屈折率を入力し測定を実
施した。例えば、後述する実施例及び比較例の製造に使用した種粒子を構成する重合体は
、ポリメタクリル酸メチル又はポリメタクリル酸エチルであるため、既知であるポリメタ
クリル酸メチル及びポリメタクリル酸エチルの屈折率1.495を入力した。
〔X値の測定方法〕
固液分離工程において、粗生成物に含まれる媒体を濾材に通過させることを開始してか
ら、前記媒体の濾材の通過を終了させるまでの時間T1(min)を測定する。また、固
液分離工程において得られた濾液(媒体)の総重量G1(kg)を計量する。そして、以
下の算出式により、濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量X(kg/min)を求め
る。
X(kg/min)=G1(kg)/T1(min)
〔Y値の測定方法〕
洗浄工程で用いた洗浄液の重量G2(kg)を測定する。また、洗浄工程において、洗
浄液を濾材に通過させることを開始してから、洗浄工程に用いた洗浄液の重量G2(g)
の0.8倍の重量の洗浄液が濾材を通過するまでに費やした時間T2(min)を測定す
る。そして、以下の算出式により、濾材を通過した洗浄液の単位時間当たりの量Y(kg
/min)を求める。
Y(kg/min)=0.8×G2(kg)/T2(min)
〔重合体粒子における界面活性剤の含有量の測定方法〕
重合体粒子中の界面活性剤の含有量は、重合体粒子を溶媒により抽出し、液体クロマト
グラフ質量分析計(LC/MS/MS装置)を用いて測定する。
なお、後述する実施例及び比較例の重合体粒子における界面活性剤の含有量の測定には
、LC/MS/MS装置として、Thermo Fisher Scientific製
の「UHPLC ACCELA」、及びThermo Fisher Scientif
ic製の「Linear Ion Trap LC/MSn LXQ」を用いた。
また、後述する実施例及び比較例における重合体粒子は、界面活性剤として、ジ(2−
エチルヘキシル)スルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫
酸エステル塩(後述の式(A)参照)、アルケニルコハク酸塩(後述の式(C)参照)、
及び、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(後述の式(E)参照)のうちの
少なくとも1つを使用しており、実施例及び比較例の重合体粒子における界面活性剤の含
有量は、以下に示す方法により、測定した。
試料としての重合体粒子約0.10gを遠沈管に精秤し、抽出液としてのメタノール5
mLをホールピペットで注加して、重合体粒子と抽出液とをよく混合させる。15分間、
超音波抽出を行った後、3500rpmで15分間遠心分離を行い、これにより得られた
上澄みを試験液とする。
この試験液中の界面活性剤濃度をLC/MS/MS装置を用いて測定する。そして、測
定された試験液中の界面活性剤濃度(μg/ml)と、試料として用いた重合体粒子の重
量(試料重量(g))と、抽出液の量(抽出液量(ml))とから、下記算出式により、
重合体粒子中の界面活性剤の含有量(μg/g)を求める。なお、抽出液量は、5mlで
ある。
界面活性剤の含有量(μg/g)
={試験液中の界面活性剤濃度(μg/ml)×抽出液量(ml)}÷試料重量(g)
なお、界面活性剤濃度は、LC/MS/MS装置を用い、得られたクロマトグラム上の
ピーク面積値から予め作成した検量線より含有量を算出する。また、重合体粒子が、複数
種の界面活性剤を含む場合には、それら界面活性剤の各々について、検量線を作成して、
作成した検量線により界面活性剤濃度を算出し、算出した各界面活性剤の界面活性剤濃度
の合計を、上記算出式における「試験液中の界面活性剤濃度(μg/ml)」として、重
合体粒子中の界面活性剤の含有量を求める。
検量線作成方法は、実施例及び比較例で使用した界面活性剤の種類に応じて、以下の通
りである。
〔ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸塩の検量線作成方法〕
ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸塩の約1000ppm中間標準液(メタノー
ル溶液)を調製後、さらにメタノールで段階的に希釈して0.1ppm、0.2ppm、
0.5ppm、1.0ppm、2.0ppmの検量線作成用標準液を調製する。各濃度の
検量線作成用標準液を後述するLC測定条件及びMS測定条件にて測定し、モニターイオ
ンm/z=421.3(プリカーサーイオン)→227.2(プロダクトイオン)のクロ
マトグラム上のピーク面積値を得る。各濃度と面積値をプロットして最小二乗法により近
似曲線(二次曲線)を求め、これを定量用の検量線とする。
−ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩の検量線作成方法−
ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩の約1000ppm中
間標準液(メタノール溶液)を調製後、さらにメタノールで段階的に希釈して0.1pp
m、0.5ppm、1.0ppm、2.0ppm、10.0ppmの検量線作成用標準液
を調製する。各濃度の検量線作成用標準液を後述するLC測定条件及びMS測定条件にて
測定し、モニターイオンm/z=601.4(プリカーサーイオン)→301.2(プロ
ダクトイオン)のクロマトグラム上のピーク面積値を得る。各濃度と面積値をプロットし
て最小二乗法により近似曲線(二次曲線)を求め、これを定量用の検量線とする。
−アルケニルコハク酸塩の検量線作成方法−
アルケニルコハク酸塩の約1000ppm中間標準液(メタノール溶液)を調製後、さ
らにメタノールで段階的に希釈して0.03ppm、0.15ppm、0.60ppm、
1.5ppm、3.0ppmの検量線作成用標準液を調製する。各濃度の検量線作成用標
準液を後述するLC測定条件及びMS測定条件にて測定し、モニターイオンm/z=33
9.3(プリカーサーイオン)→295.2(プロダクトイオン)のクロマトグラム上の
ピーク面積値を得る。各濃度と面積値をプロットして最小二乗法により近似曲線(二次曲
線)を求め、これを定量用の検量線とする。
−ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルの検量線作成方法−
ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルの約1000ppm中間標準液(メタ
ノール溶液)を調製後、さらにメタノールで段階的に希釈して0.1ppm、0.5pp
m、2.5ppm、5.0ppm、10.0ppmの検量線作成用標準液を調製する。各
濃度の検量線作成用標準液を後述するLC測定条件及びMS測定条件にて測定し、モニタ
ーイオンm/z=980.5(プリカーサーイオン)→963.2(プロダクトイオン)
のクロマトグラム上のピーク面積値を得る。各濃度と面積値をプロットして最小二乗法に
より近似曲線(二次曲線)を求め、これを定量用の検量線とする。
実施例及び比較例で使用した界面活性剤の種類に応じた、LC測定条件は、以下の通り
である。
−ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンスチレン化フェニ
ルエーテル硫酸エステル塩、及び、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルのL
C測定条件−
測定装置:UHPLC ACCELA(Thermo Fisher Scientif
ic製)
カラム:Thermo Fisher Scientific製 Hypersil G
OLD C18 1.9μm(内径2.1mm、長さ100mm)
カラム温度:40℃
移動相:(A:10mM酢酸アンモニウム/B:アセトニトリル)
移動相条件:(0min=B濃度90%、0→0.5min=B濃度90%→100%、
0.5→1min=B濃度100%、1→1.1min=B濃度100%→90%、1.
1→3min=B濃度90%)
流量:0.3mL/min
ポンプ温度:室温(25℃)
注入量:2μL
測定時間:3min
−アルケニルコハク酸塩のLC測定条件−
測定装置:UHPLC ACCELA(Thermo Fisher Scientif
ic製)
カラム:Thermo Fisher Scientific製 Hypersil G
OLD C18 1.9μm(内径2.1mm、長さ100mm)
カラム温度:40℃
移動相:(A:10mM酢酸アンモニウム/B:アセトニトリル=25/75)
流量:0.3mL/min
ポンプ温度:室温(25℃)
注入量:2μL
測定時間:5min
実施例及び比較例で使用した界面活性剤の種類に応じた、MS測定条件は、以下の通り
である。
−ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸塩のMS測定条件−
測定装置:Linear Ion Trap LC/MSn LXQ(Thermo F
isher Scientific製)
イオン化法(Ionization):(ESI/negative)
シースガス(Sheath Gas):30arb
補助ガス(AUX Gas):10arb
スイープガス(Sweep Gas):0arb
スプレー電圧(I Spray Voltage):5.0kV
キャピラリー温度(Capillary Temp):350℃
キャピラリー電圧(Capillary voltage):−20V
チューブレンズ電圧(Tube lens Voltage):−100V
Monitoring ion(m/Z):ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸塩
(n=421.3/n2=227.2)
−ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩のMS測定条件−
測定装置:Linear Ion Trap LC/MSn LXQ(Thermo Fi
sher Scientific製)
イオン化法(Ionization):(ESI/negative)
シースガス(Sheath Gas):30arb
補助ガス(AUX Gas):10arb
スイープガス(Sweep Gas):0arb
スプレー電圧(I Spray Voltage):5.0kV
キャピラリー温度(Capillary Temp):350℃
キャピラリー電圧(Capillary voltage):−20V
チューブレンズ電圧(Tube lens Voltage):−100V
Monitoring ion(m/Z):ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエー
テル硫酸エステル塩(n=601.4/n2=301.2)
−アルケニルコハク酸塩のMS測定条件−
測定装置:Linear Ion Trap LC/MSn LXQ(Thermo Fi
sher Scientific製)
イオン化法(Ionization):(ESI/negative)
シースガス(Sheath Gas):30arb
補助ガス(AUX Gas):10arb
スイープガス(Sweep Gas):0arb
スプレー電圧(I Spray Voltage):5.0kV
キャピラリー温度(Capillary Temp):350℃
キャピラリー電圧(Capillary voltage):−20V
チューブレンズ電圧(Tube lens Voltage):−100V
Monitoring ion(m/Z):アルケニルコハク酸塩(n=339.3/n
2=295.3)
−ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルのMS測定条件−
測定装置:Linear Ion Trap LC/MSn LXQ(Thermo Fi
sher Scientific製)
イオン化法(Ionization):(ESI/negative)
シースガス(Sheath Gas):30arb
補助ガス(AUX Gas):10arb
スイープガス(Sweep Gas):0arb
スプレー電圧(I Spray Voltage):5.0kV
キャピラリー温度(Capillary Temp):350℃
キャピラリー電圧(Capillary voltage):−20V
チューブレンズ電圧(Tube lens Voltage):−100V
Monitoring ion(m/Z):ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエー
テル(n=980.5/n2=963.2)
〔重合体粒子のTOF−SIMSによる測定方法〕
重合体粒子(試料)を飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−SIMS)により測
定し、界面活性剤に由来するピークが検出されることを確認する。
例えば、重合体粒子を飛行時間型二次イオン質量分析計(ION−TOF社製の「TO
F−SIMS 5」)の試料台に固定し、以下の測定条件にて測定を行う。測定には帯電
補正用電子銃を使用して、正と負、両方の二次イオンを検出した上で、界面活性剤に由来
するピークが検出されることを確認する。
<測定条件>
一次イオン:Bi3 2+
一次イオン加速電圧:25kV
測定面積:200μm角
なお、実施例及び比較例では、界面活性剤(アニオン性界面活性剤及び/又はノニオン
性界面活性剤)に由来するピークが検出される。そこで、上記飛行時間型2次イオン質量
分析計により測定される、正イオンの総イオン強度及び負イオンの総イオン強度の合計に
対する、界面活性剤に由来する負イオンのイオン強度の比を、イオン強度比として求める
具体的には、実施例1〜7及び比較例1〜2では、界面活性剤として、アニオン性界面
活性剤であるジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムを使用しており、上記
飛行時間型2次イオン質量分析計による測定においては、ジ(2−エチルヘキシル)スル
ホコハク酸ナトリウムに由来する負イオンのフラグメントのピークが複数検出される。検
出されるジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムに由来する負イオンのフラ
グメントのうち、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸イオン(分子式:C2037
7 -、分子量421)が、最も高いイオン強度を示すことから、実施例1〜7及び比較例
1〜2では、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸イオン(分子式:C2037SO7 -
、分子量421)を評価イオン種とし、正イオンの総イオン強度及び負イオンの総イオン
強度の合計に対する、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸イオンのイオン強度の比
を、イオン強度比として求める。
また、実施例8では、界面活性剤として、アニオン性界面活性剤である下記式(A)で
表されるポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウムを使
用しており、上記飛行時間型2次イオン質量分析計による測定においては、下記式(A)
で表されるポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウムに
由来する負イオンのフラグメントのピークが複数検出される。検出される下記式(A)で
表されるポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウムに由
来する負イオンのフラグメントのうち、下記式(B)で表されるスチレン化フェニルオキ
シイオン(分子式:C2221-、分子量301)が、最も高いイオン強度を示すことか
ら、実施例8では、スチレン化フェニルオキシイオン(分子式:C2221-、分子量3
01)を評価イオン種とし、正イオンの総イオン強度及び負イオンの総イオン強度の合計
に対する、下記式(B)で表されるスチレン化フェニルオキシイオン(分子式:C2221
-、分子量301)のイオン強度の比を、イオン強度比として求める。
Figure 2021183692
(式(A)中、nはエチレンオキシ基(−CH2CH2O−)の繰り返し単位数を意味す
る。)
Figure 2021183692
また、実施例9では、界面活性剤として、アニオン性界面活性剤である下記式(C)で
表されるアルケニルコハク酸ジカリウムを使用しており、上記飛行時間型2次イオン質量
分析計による測定においては、下記式(C)で表されるアルケニルコハク酸ジカリウムに
由来する負イオンのフラグメントのピークが複数検出され、最もイオン強度の高い負イオ
ン種として、下記式(D1)又は式(D2)で表されるアルケニルコハク酸の一価イオン
(分子式:C20354 -、分子量339)が検出された。すなわち、検出される下記式(
C)で表されるアルケニルコハク酸ジカリウムに由来する負イオンのフラグメントのうち
、下記式(D1)又は式(D2)で表されるアルケニルコハク酸の一価イオン(分子式:
20354 -、分子量339)が、最も高いイオン強度を示すことから、実施例9では、
下記式(D1)又は式(D2)で表されるアルケニルコハク酸の一価イオン(分子式:C
20354 -、分子量339)を評価イオン種とし、正イオンの総イオン強度及び負イオン
の総イオン強度の合計に対する、下記式(D1)又は式(D2)で表されるアルケニルコ
ハク酸の一価イオン(分子式:C20354 -、分子量339)のイオン強度の比を、イオ
ン強度比として求める。
Figure 2021183692
(式(C)中、Rは、アルケニル基を意味する。)
Figure 2021183692
(式(D1)及び式(D2)中、R’は、炭素数16のアルケニル基を意味する。)
また、実施例10では、界面活性剤として、アニオン性界面活性剤である上記式(A)
で表されるポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウムと
、ノニオン性界面活性剤である下記式(E)で表されるポリオキシエチレンスチレン化フ
ェニルエーテルとを使用しており、上記飛行時間型2次イオン質量分析計による測定にお
いては、上記式(A)で表されるポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エ
ステルアンモニウム及び下記式(E)で表されるポリオキシエチレンスチレン化フェニル
エーテルに由来する負イオンのフラグメントのピークが複数検出される。検出される上記
式(A)で表されるポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモ
ニウム及び下記式(E)で表されるポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルに由
来する負イオンのフラグメントのうち、上記式(B)で表されるスチレン化フェニルオキ
シイオン(分子式:C2221-、分子量301)が、最も高いイオン強度を示すことか
ら、実施例10では、上記式(B)で表されるスチレン化フェニルオキシイオン(分子式
:C2221-、分子量301)を評価イオン種とし、正イオンの総イオン強度及び負イ
オンの総イオン強度の合計に対する、上記式(B)で表されるスチレン化フェニルオキシ
イオン(分子式:C2221-、分子量301)のイオン強度の比を、イオン強度比とし
て求める。
Figure 2021183692
(式(E)中、nはエチレンオキシ基(−CH2CH2O−)の繰り返し単位数を意味す
る。)
〔重合体粒子のゲル分率の測定方法〕
200mLナスフラスコに、試料としての重合体粒子1.0gと、沸騰石0.03gと
を精秤して投入し、更にトルエン100mLを注加した後、前記ナスフラスコに冷却管を
装着し、130℃に保ったオイルバスに前記ナスフラスコを浸けて24時間還流する。
還流後、前記ナスフラスコ内の内容物(溶解液)を、ADVANTEC社製のガラスフ
ァイバーフィルター「GB−140(φ37mm)」及び「GA−200(φ37mm)
」を装着して秤量したTOP社製のブフナーロート型フィルター3G(硝子粒子細孔直径
20〜30μm、容量30mL)を用いて濾過し、前記ブフナーロート型フィルター3G
内に固形分を回収する。そして、前記ブフナーロート型フィルター3G内に回収した固形
分を、前記ブフナーロート型フィルター3Gごと、130℃の真空オーブンにて1時間乾
燥させた後、ゲージ圧0.06MPaで2時間乾燥させてトルエンを除去し、室温まで冷
却する。
冷却後、前記ブフナーロート型フィルター3G内に前記固形分を含んだ状態で、ブフナ
ーロート型フィルター3Gとガラスファイバーフィルターと固形分の総重量を測定した。
そして、測定した総重量から、ブフナーロート型フィルター3Gとガラスファイバーフィ
ルターの重量および沸騰石の重量を差し引きし、乾燥粉体の重量(g)を求めた。
そして、乾燥粉体の重量(g)と、ナスフラスコに投入した試料の重量(g)とを用い
て、以下の算出式により、ゲル分率を算出した
ゲル分率(重量%)={乾燥粉体(g)/試料重量(g)}×100
〔重合体粒子の分散安定化時間の測定方法〕
分散媒に重合体粒子を分散させてなる分散液の粘度値は、分散液中での重合体粒子の分
散状態の変化に伴って変化する。そこで、分散液を調製後、1時間毎に前記分散液の粘度
値を測定して、粘度値の変化率を求め、得られた変化率が所定の範囲内となるまでに要す
る時間、すなわち、分散液中で重合体粒子の分散状態が安定化するのに要する時間(分散
安定化時間)を測定した。
具体的には、以下の方法により、変化率が所定の範囲内となるまでに要する時間を測定
した。
(1)分散液の調製方法
10mlのサンプル管に、重合体粒子0.15gと、分散媒としてのメチルエチルケト
ン0.90gとを添加し、超音波洗浄器(株式会社ヴェルヴォクリーア製「ULTRAS
ONIC CLEANER VS−150」)を用いて1分間撹拌し、メチルエチルケト
ン中に重合体粒子を分散させて、分散液を得る。この分散液に、さらに、アクリル系樹脂
(DIC株式会社製の「アクリディック(登録商標)A−811」)を2.10g添加し
、上記超音波洗浄器で2分程度撹拌して、メチルエチルケトン及びアクリル系樹脂中に重
合体粒子を分散させ、分散液を調製する。
(2)粘度値の測定方法
分散液の粘度値の測定は、粘度計(日本ルフト株式会社製の微量サンプル粘度計m−V
ROC)を用いて、次に示す方法により行う。なお、上記粘度計は、粘度値の測定前に、
予め、測定環境下に30分以上放置しておくものとする。
測定対象の分散液を超音波洗浄器で30分撹拌し、次いで、10分静置させた後、上記
粘度計を用いて前記分散液の粘度(mPa・s)を測定する。そして、粘度の測定値(m
Pa・s)と測定温度(K)とを用いて、下記算出式により、単位温度(K)あたりの粘
度値V(mPa・s/K)を求める。
粘度値V(mPa・s/K)=測定値(mPa・s)÷測定温度(K)
(3)分散安定化時間の測定方法
分散液の調製から1時間おきに、上記粘度値の測定方法に従って、分散液の粘度値V(
mPa・s/K)を測定する。測定した分散液の粘度値VをVT(mPa・s/K)とし
、この分散液の1時間前の粘度値をVT-1(mPa・s/K)として、下記算出式により
、変化率W(%)を求める。
W=((VT-1−VT)/VT-1)×100
変化率Wが−1%超〜1%未満の範囲内となるまで、1時間おきに粘度値の測定を実施
する。そして、分散液の調製後、粘度値の上記変化率Wが−1%超〜1%未満の範囲内と
なるまでの経過時間Tを測定し、経過時間Tを分散安定化時間とした。
〔種粒子の製造例1〕
攪拌機、温度計及び還流コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに、水性媒体として
の水1000gと、(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてのメタクリル酸エチル1
80gと、分子量調整剤としてのn−オクチルメルカプタン3.6gとを仕込み、セパラ
ブルフラスコの内容物を攪拌しながらセパラブルフラスコの内部を窒素置換し、セパラブ
ルフラスコの内温を55℃に昇温した。さらにセパラブルフラスコの内温を55℃に保ち
ながら、重合開始剤としての過硫酸カリウム0.9gを水80gに溶解させた水溶液を、
セパラブルフラスコ内の内容物に添加した後、12時間重合反応させた。重合後の反応液
を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、固形分としてポリメタクリル酸エチ
ルからなる種粒子(種粒子(1)という)を14重量%含有するスラリーを作製した。こ
のスラリーに含まれる種粒子(1)は、体積平均粒子径が0.76μmの真球状粒子であ
った。
〔種粒子の製造例2〕
攪拌機及び温度計を備えた5Lの反応器に、(メタ)アクリル酸エステル系単量体とし
てのメタクリル酸メチル450gと、分子量調整剤としてのn−オクチルメルカプタン4
.5gと、重合開始剤としての2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4.5gとを混合
した。得られた混合物を、イオン交換水1800gに界面活性剤としてのジ(2−エチル
ヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(日油株式会社製の「ラピゾール(登録商標)A−
80」、液温25℃の水に対する溶解度;1.5g/100ml)を純分として4.5g
添加したものに混合し、ホモミキサー(プライミクス株式会社製の「T.Kホモミキサー
MARK 2.5型」)にて8000rpmで10分間処理し、乳化液を得た。
上記反応器内の上記乳化液に、種粒子の製造例1で製造した種粒子(1)のスラリーを
、固形分(種粒子)として12.6gとなるように加え、室温雰囲気下で5時間攪拌した
。その後、高分子系分散安定剤としてのポリビニルピロリドン(株式会社クラレ製の「P
VP−90」)15gを溶解させた水溶液900gを上記反応器に投入し、攪拌しながら
55℃で12時間重合反応させた。
重合後の反応液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、固形分としてポリ
メタクリル酸エチル及びポリメタクリル酸メチルからなる種粒子(以下、種粒子(2)と
いう)を14重量%含有するスラリーを作製した。このスラリーに含まれる種粒子(2)
は、体積平均粒子径が2.30μmの真球状粒子であった。
〔実施例1:重合体粒子の製造例〕
(1)重合工程
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてのメタクリル酸メチル(MMA)280g
と、スチレン系単量体としてのスチレン(St)280gと、多官能ビニル系単量体とし
てのエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)240gと、重合開始剤として
の2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4gと、重合開始剤としての過酸化ベンゾイル
4gとを溶解して得られた単量体混合物を、水性媒体としてのイオン交換水800gにア
ニオン性界面活性剤としてのジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(日油
株式会社製の「ラピゾール(登録商標)A−80」、液温25℃の水に対する溶解度;1
.5g/100ml)を純分として8g添加したものと混合し、ホモミキサー(プライミ
クス株式会社製の「T.KホモミキサーMARK 2.5型」)に入れて10000rp
mで10分間処理して乳化液を得た。この乳化液に、種粒子の製造例1で得られた種粒子
(1)のスラリーを、固形分(種粒子)として4.2gとなるように加え、30℃で5時
間撹拌し、分散液を得た。
この分散液に、高分子分散安定剤としてのポリビニルアルコール(日本合成化学株式会
社製の「ゴーセノール(登録商標)GM−14L」)40gと、重合禁止剤としての亜硝
酸ナトリウム0.64gとを溶解させた水溶液2400gを加え、その後60℃で5時間
、次いで105℃で3時間攪拌して重合反応を行い、重合体粒子のスラリー(以下、スラ
リー(1)という)を、粗生成物として得た。
(2)固液分離工程
図1に示す構成を有する加圧濾過器1の耐圧容器2に、粗生成物Pとして重合体粒子の
スラリー(1)を投入して、耐圧容器2内の濾材3としての濾布(敷島カンバス株式会社
製の「T713」)上に重合体粒子のスラリー(1)を充填した後、圧縮気体供給機によ
って耐圧容器2内における濾材3の上側空間Sに圧縮気体を供給することによって耐圧容
器2の内部(具体的には、濾材3の上側空間S)を、0.08MPaに加圧した。これに
より、粗生成物Pとしての重合体粒子のスラリー(1)を加圧濾過・脱水して、重合体粒
子のスラリー(1)から水性媒体としての水を濾液として除去した。濾液の量が2.24
kg(重合工程で使用した水の重量の70%)以上となり、耐圧容器2の内圧が、0.0
64MPa(加圧時の圧力の80%)以下となった時点で、加圧を終了した。これにより
、濾材3上に重合体粒子のケーキが得られた。なお、本実施例で使用した加圧濾過器1の
濾材3(濾布)と被濾過物(すなわち、粗生成物P)との界面は、円形状であり、その直
径は、耐圧容器2の内部空間の底面の径(図1の符号Rで示す径)と同じ、0.115m
である。よって、本実施例で使用した加圧濾過器1の濾材3(濾布)と被濾過物(すなわ
ち、粗生成物P)との界面の面積Aは、0.0104m2である。なお、本実施例の固液
分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G1は2.46kgであり、粗生成物Pに含ま
れる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記媒体の濾材3の通過を終
了させるまでの時間T1は55.7分であった。
(3)洗浄工程
濾材3上に上記重合体粒子のケーキを保持させたままで、洗浄液としての水を耐圧容器
2内の濾材3上に供給した後、圧縮気体供給機によって耐圧容器2内における濾材3の上
側空間Sに圧縮気体を供給することによって耐圧容器2の内部(具体的には、濾材3の上
側空間S)を、0.08MPaに加圧した。これにより、加圧濾過・脱水が行われて、上
記重合体粒子のケーキが洗浄されると共に、洗浄後の水が濾液として除去され、濾材3上
に洗浄後の重合体粒子が得られた。洗浄は、重合工程で得られた重合体粒子(重合工程で
使用したビニル系単量体の合計量800g)の重量の10倍以上の重量の洗浄液を用い、
濾液の導電率が、洗浄前の水の導電率の2.0倍以下(具体的には、15μS以下)とな
り、耐圧容器2の内圧が、0.064MPa(加圧時の圧力の80%)以下となるまで行
った。なお、本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G2は、12kg(重
合工程で得られた重合体粒子の15倍の重量)であり、上記重合工程で使用した界面活性
剤の種類毎に上記算出式(4)により算出した洗浄液の重量の下限値Dの合計量10.7
kg(8(g)÷1.5(g/100ml)×2000=10667(g))よりも多い
重量であった。また、本実施例の洗浄工程において、洗浄液を濾材3に通過させることを
開始してから、9.6kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G2の0.8倍の
重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やした時間T2(min)は、230.8分
であった。
(4)後処理工程
洗浄工程により得られた洗浄後の重合体粒子を、真空乾燥機で乾燥させ、気流分級機(
日清エンジニアリング株式会社製の「ターボクラシファイア(TC−15)」)を用いて
分級し、目的の重合体粒子を得た。
〔実施例2:重合体粒子の製造例〕
固液分離工程において、耐圧容器2の内部を0.15MPaに加圧して、濾液の量が2
.24kg(重合工程で使用した水の重量の70%)以上となり、耐圧容器2の内圧が0
.12MPa(加圧時の圧力の80%)以下となった時に、当該固液分離工程を終了した
以外は、実施例1と同様にして、目的の重合体粒子を得た。なお、本実施例の固液分離工
程で得られた濾液(媒体)の総重量G1は2.48kgであり、粗生成物Pに含まれる媒
体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記媒体の濾材3の通過を終了させ
るまでの時間T1は46.6分であった。なお、本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液とし
ての水の重量G2は、12kg(重合工程で得られた重合体粒子の15倍の重量)であり
、上記重合工程で使用した界面活性剤の種類毎に上記算出式(4)により算出した洗浄液
の重量の下限値Dの合計量10.7kg(8(g)÷1.5(g/100ml)×200
0=10667(g))よりも多い重量であった。また、本実施例の洗浄工程において、
洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから、9.6kg(洗浄工程で用いた洗浄液
としての水の重量G2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やした時
間T2(min)は、355.6分であった。
〔実施例3:重合体粒子の製造例〕
(1)重合工程
種粒子の製造例1で得られた種粒子(1)のスラリーの使用量を、固形分(種粒子)と
して16.7gとした以外は、実施例1の重合工程と同様にして、重合体粒子のスラリー
(以下、スラリー(2)という)を、粗生成物として得た。
(2)固液分離工程
粗生成物として、重合体粒子のスラリー(1)に代えて、重合体粒子のスラリー(2)
を使用し、耐圧容器2の内部を0.20MPaに加圧し、濾液の量が2.24kg(重合
工程で使用した水の重量の70%)以上となり、耐圧容器2の内圧が0.16MPa(加
圧時の圧力の80%)以下となった時に固液分離工程を終了した以外は、実施例1の固液
分離工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(2)から水性媒体としての水を除去した
。なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G1は2.38kgで
あり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記
媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T1は73.9分であった。
(3)洗浄工程
耐圧容器2の内部を0.20MPaに加圧し、濾液の導電率が、洗浄前の水の導電率の
2.0倍以下(具体的には、15μS以下)となり、耐圧容器2の内圧が、0.16MP
a(加圧時の圧力の80%)以下となるまで洗浄を行った以外は、実施例1の洗浄工程と
同様にして、濾材3上の重合体粒子のケーキを洗浄し、濾材3上に洗浄後の重合体粒子を
得た。なお、本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G2は、12kg(重
合工程で得られた重合体粒子の15倍の重量)であり、上記重合工程で使用した界面活性
剤の種類毎に上記算出式(4)により算出した洗浄液の重量の下限値Dの合計量10.7
kg(8(g)÷1.5(g/100ml)×2000=10667(g))よりも多い
重量であった。また、本実施例の洗浄工程において、洗浄液を濾材3に通過させることを
開始してから、9.6kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G2の0.8倍の
重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やした時間T2(min)は、346.6分
であった。
(4)後処理工程
洗浄工程により得られた洗浄後の重合体粒子を、真空乾燥機で乾燥させ、気流分級機(
日清エンジニアリング株式会社製の「ターボクラシファイア(TC−15)」)を用いて
分級し、目的の重合体粒子を得た。
〔実施例4:重合体粒子の製造例〕
(1)重合工程
種粒子として、種粒子の製造例1で得られた種粒子(1)のスラリーを固形分(種粒子
)として4.2gに代えて、種粒子の製造例2で得られた種粒子(2)のスラリーを固形
分(種粒子)として18.7g使用したこと以外は、実施例1の重合工程と同様にして、
重合体粒子のスラリー(以下、スラリー(3)という)を、粗生成物として得た。
(2)固液分離工程
粗生成物として、重合体粒子のスラリー(1)に代えて、重合体粒子のスラリー(3)
を使用し、耐圧容器2の内部を0.15MPaに加圧し、濾液の量が2.24kg(重合
工程で使用した水の重量の70%)以上となり、耐圧容器2の内圧が0.12MPa(加
圧時の圧力の80%)以下となった時に固液分離工程を終了した以外は、実施例1の固液
分離工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(3)から水性媒体としての水を除去した
。なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G1は2.50kgで
あり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記
媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T1は49.7分であった。
(3)洗浄工程
耐圧容器2の内部を0.20MPaに加圧し、濾液の導電率が、洗浄前の水の導電率の
2.0倍以下(具体的には、15μS以下)となり、耐圧容器2の内圧が、0.16MP
a(加圧時の圧力の80%)以下となるまで洗浄を行った以外は、実施例1の洗浄工程と
同様にして、濾材3上の重合体粒子のケーキを洗浄し、濾材3上に洗浄後の重合体粒子を
得た。なお、本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G2は、12kg(重
合工程で得られた重合体粒子の15倍の重量)であり、上記重合工程で使用した界面活性
剤の種類毎に上記算出式(4)により算出した洗浄液の重量の下限値Dの合計量10.7
kg(8(g)÷1.5(g/100ml)×2000=10667(g))よりも多い
重量であった。また、本実施例の洗浄工程において、洗浄液を濾材3に通過させることを
開始してから、9.6kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G2の0.8倍の
重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やした時間T2(min)は、119.7分
であった。
(4)後処理工程
洗浄工程により得られた洗浄後の重合体粒子を、真空乾燥機で乾燥させ、気流分級機(
日清エンジニアリング株式会社製の「ターボクラシファイア(TC−15)」)を用いて
分級し、目的の重合体粒子を得た。
〔実施例5:重合体粒子の製造例〕
(1)重合工程
上記単量体混合物において、スチレン系単量体としてのスチレン(St)を配合せず、
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてのメタクリル酸メチル(MMA)の配合量を
560gとし、多官能ビニル系単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート(E
GDMA)の配合量を240gとしたこと以外は、実施例1の重合工程と同様にして、重
合体粒子のスラリー(以下、スラリー(4)という)を、粗生成物として得た。
(2)固液分離工程
粗生成物として、重合体粒子のスラリー(1)に代えて、重合体粒子のスラリー(4)
を使用し、耐圧容器2の内部を0.15MPaに加圧し、濾液の量が2.24kg(重合
工程で使用した水の重量の70%)以上となり、耐圧容器2の内圧が0.12MPa(加
圧時の圧力の80%)以下となった時に固液分離工程を終了した以外は、実施例1の固液
分離工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(4)から水性媒体としての水を除去した
。なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G1は2.48kgで
あり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記
媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T1は46.1分であった。
(3)洗浄工程
耐圧容器の内部を0.15MPaに加圧し、濾液の導電率が、洗浄前の水の導電率の2
.0倍以下(具体的には、15μS以下)となり、耐圧容器2の内圧が、0.12MPa
(加圧時の圧力の80%)以下となるまで洗浄を行った以外は、実施例1の洗浄工程と同
様にして、濾材3上の重合体粒子のケーキを洗浄し、濾材3上に洗浄後の重合体粒子を得
た。なお、本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G2は、12kg(重合
工程で得られた重合体粒子の15倍の重量)であり、上記重合工程で使用した界面活性剤
の種類毎に上記算出式(4)により算出した洗浄液の重量の下限値Dの合計量10.7k
g(8(g)÷1.5(g/100ml)×2000=10667(g))よりも多い重
量であった。また、本実施例の洗浄工程において、洗浄液を濾材3に通過させることを開
始してから、9.6kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G2の0.8倍の重
量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やした時間T2(min)は、263.7分で
あった。
(4)後処理工程
洗浄工程により得られた洗浄後の重合体粒子を、真空乾燥機で乾燥させ、気流分級機(
日清エンジニアリング株式会社製の「ターボクラシファイア(TC−15)」)を用いて
分級し、目的の重合体粒子を得た。
〔実施例6:重合体粒子の製造例〕
(1)重合工程
上記単量体混合物において、(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてのメタクリル
酸メチル(MMA)を配合せず、スチレン系単量体としてのスチレン(St)の配合量を
560gとし、多官能ビニル系単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート(E
GDMA)の配合量を240gとしたこと以外は、実施例1の重合工程と同様にして、重
合体粒子のスラリー(以下、スラリー(5)という)を、粗生成物として得た。
(2)固液分離工程
粗生成物として、重合体粒子のスラリー(1)に代えて、重合体粒子のスラリー(5)
を使用し、耐圧容器2の内部を0.15MPaに加圧し、濾液の量が2.24kg(重合
工程で使用した水の重量の70%)以上となり、耐圧容器2の内圧が0.12MPa(加
圧時の圧力の80%)以下となった時に固液分離工程を終了した以外は、実施例1の固液
分離工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(5)から水性媒体としての水を除去した
。なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G1は2.48kgで
あり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記
媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T1は45.3分であった。
(3)洗浄工程
耐圧容器2の内部を0.10MPaに加圧し、濾液の導電率が、洗浄前の水の導電率の
2.0倍以下(具体的には、15μS以下)となり、耐圧容器2の内圧が、0.08MP
a(加圧時の圧力の80%)以下となるまで洗浄を行った以外は、実施例1の洗浄工程と
同様にして、濾材3上の重合体粒子のケーキを洗浄し、濾材3上に洗浄後の重合体粒子を
得た。なお、本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G2は、12kg(重
合工程で得られた重合体粒子の15倍の重量)であり、上記重合工程で使用した界面活性
剤の種類毎に上記算出式(4)により算出した洗浄液の重量の下限値Dの合計量10.7
kg(8(g)÷1.5(g/100ml)×2000=10667(g))よりも多い
重量であった。また、本実施例の洗浄工程において、洗浄液を濾材3に通過させることを
開始してから、9.6kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G2の0.8倍の
重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やした時間T2(min)は、183.6分
であった。
(4)後処理工程
洗浄工程により得られた洗浄後の重合体粒子を、真空乾燥機で乾燥させ、気流分級機(
日清エンジニアリング株式会社製の「ターボクラシファイア(TC−15)」)を用いて
分級し、目的の重合体粒子を得た。
〔実施例7:重合体粒子の製造例〕
(1)重合工程
上記単量体混合物において、(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてのメタクリル
酸メチル(MMA)を配合せず、スチレン系単量体としてのスチレン(St)の配合量を
560gとし、多官能ビニル系単量体として、エチレングリコールジメタクリレート(E
GDMA)240gに代えて、ジビニルベンゼン(DVB)240gを配合したこと以外
は、実施例1の重合工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(以下、スラリー(6)と
いう)を、粗生成物として得た。
(2)固液分離工程
粗生成物として、重合体粒子のスラリー(1)に代えて、重合体粒子のスラリー(6)
を使用し、耐圧容器2の内部を0.10MPaに加圧し、濾液の量が2.24kg(重合
工程で使用した水の重量の70%)以上となり、耐圧容器2の内圧が0.08MPa(加
圧時の圧力の80%)以下となった時に固液分離工程を終了した以外は、実施例1の固液
分離工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(6)から水性媒体としての水を除去した
。なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G1は2.50kgで
あり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記
媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T1は77.2分であった。
(3)洗浄工程
耐圧容器2の内部を0.15MPaに加圧し、濾液の導電率が、洗浄前の水の導電率の
2.0倍以下(具体的には、15μS以下)となり、耐圧容器2の内圧が、0.12MP
a(加圧時の圧力の80%)以下となるまで洗浄を行った以外は、実施例1の洗浄工程と
同様にして、濾材3上の重合体粒子のケーキを洗浄し、濾材3上に洗浄後の重合体粒子を
得た。なお、本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G2は、12kg(重
合工程で得られた重合体粒子の15倍の重量)であり、上記重合工程で使用した界面活性
剤の種類毎に上記算出式(4)により算出した洗浄液の重量の下限値Dの合計量10.7
kg(8(g)÷1.5(g/100ml)×2000=10667(g))よりも多い
重量であった。また、本実施例の洗浄工程において、洗浄液を濾材3に通過させることを
開始してから、9.6kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G2の0.8倍の
重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やした時間T2(min)は、151.9分
であった。
(4)後処理工程
洗浄工程により得られた洗浄後の重合体粒子を、真空乾燥機で乾燥させ、気流分級機(
日清エンジニアリング株式会社製の「ターボクラシファイア(TC−15)」)を用いて
分級し、目的の重合体粒子を得た。
〔実施例8:重合体粒子の製造例〕
(1)重合工程
アニオン性界面活性剤として、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(
日油株式会社製の「ラピゾール(登録商標)A−80」、液温25℃の水に対する溶解度
;1.5g/100ml)を純分として8gに代えて、上記式(A)で表されるポリオキ
シエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム(第一工業製薬株式会
社製の「ハイテノール(登録商標)NF08」、液温25℃の水に対する溶解度;1.2
g/100ml)を純分として8g使用したこと以外は、実施例1の重合工程と同様にし
て、重合体粒子のスラリー(以下、スラリー(7)という)を、粗生成物として得た。
(2)固液分離工程
粗生成物として、重合体粒子のスラリー(1)に代えて、重合体粒子のスラリー(7)
を使用した以外は、実施例1の固液分離工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(7)
から水性媒体としての水を除去した。なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒
体)の総重量G1は2.44kgであり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通
過させることを開始してから、前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T1は6
0.1分であった。
(3)洗浄工程
実施例1の洗浄工程と同様にして、濾材3上の重合体粒子のケーキを洗浄し、濾材3上
に洗浄後の重合体粒子を得た。なお、本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重
量G2は、15.0kg(重合工程で得られた重合体粒子の18.75倍の重量)であり
、上記重合工程で使用した界面活性剤の種類毎に上記算出式(4)により算出した洗浄液
の重量の下限値Dの合計量13.3kg(8(g)÷1.2(g/100ml)×200
0=13333(g))よりも多い重量であった。た。また、本実施例の洗浄工程におい
て、洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから、12.0kg(洗浄工程で用いた
洗浄液としての水の重量G2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費や
した時間T2(min)は、311.7分であった。
(4)後処理工程
洗浄工程により得られた洗浄後の重合体粒子を、真空乾燥機で乾燥させ、気流分級機(
日清エンジニアリング株式会社製の「ターボクラシファイア(TC−15)」)を用いて
分級し、目的の重合体粒子を得た。
〔実施例9:重合体粒子の製造例〕
(1)重合工程
アニオン性界面活性剤として、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(
日油株式会社製の「ラピゾール(登録商標)A−80」、液温25℃の水に対する溶解度
;1.5g/100ml)を純分として8gに代えて、上記式(C)で表されるアルケニ
ルコハク酸ジカリウム(花王株式会社製の「ラムテルASK」、液温25℃の水に対する
溶解度;1.7g/100ml)を純分として8g使用したこと以外は、実施例1の重合
工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(以下、スラリー(8)という)を、粗生成物
として得た。
(2)固液分離工程
粗生成物として、重合体粒子のスラリー(1)に代えて、重合体粒子のスラリー(8)
を使用した以外は、実施例1の固液分離工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(8)
から水性媒体としての水を除去した。なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒
体)の総重量G1は2.49kgであり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通
過させることを開始してから、前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T1は6
2.0分であった。
(3)洗浄工程
実施例1の洗浄工程と同様にして、濾材3上の重合体粒子のケーキを洗浄し、濾材3上
に洗浄後の重合体粒子を得た。なお、本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重
量G2は、12.0kg(重合工程で得られた重合体粒子の15倍の重量)であり、上記
重合工程で使用した界面活性剤の種類毎に上記算出式(4)により算出した洗浄液の重量
の下限値Dの合計量9.4kg(8(g)÷1.7(g/100ml)×2000=94
12(g))よりも多い重量であった。また、本実施例の洗浄工程において、洗浄液を濾
材3に通過させることを開始してから、9.6kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水
の重量G2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やした時間T2(mi
n)は、250.7分であった。
(4)後処理工程
洗浄工程により得られた洗浄後の重合体粒子を、真空乾燥機で乾燥させ、気流分級機(
日清エンジニアリング株式会社製の「ターボクラシファイア(TC−15)」)を用いて
分級し、目的の重合体粒子を得た。
〔実施例10:重合体粒子の製造例〕
(1)重合工程
アニオン性界面活性剤として、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(
日油株式会社製の「ラピゾール(登録商標)A−80」、液温25℃の水に対する溶解度
;1.5g/100ml)を純分として8gに代えて、上記式(A)で表されるポリオキ
シエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム(第一工業製薬株式会
社製の「ハイテノール(登録商標)NF08」、液温25℃の水に対する溶解度;1.2
g/100ml)を純分として8g使用し、高分子分散安定剤としてのポリビニルアルコ
ール(日本合成化学株式会社製の「ゴーセノール(登録商標)GM−14L」)40gに
代えて、ノニオン性界面活性剤としての上記式(E)で表されるポリオキシエチレンスチ
レン化フェニルエーテル(第一工業製薬株式会社製の「ノイゲン(登録商標)EA−16
7」、液温25℃の水に対する溶解度;1.1g/100ml)を純分として8g使用し
たこと以外は、実施例1の重合工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(以下、スラリ
ー(9)という)を、粗生成物として得た。
(2)固液分離工程
粗生成物として、重合体粒子のスラリー(1)に代えて、重合体粒子のスラリー(9)
を使用した以外は、実施例1の固液分離工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(9)
から水性媒体としての水を除去した。なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒
体)の総重量G1は2.44kgであり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通
過させることを開始してから、前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T1は6
5.8分であった。
(3)洗浄工程
実施例1の洗浄工程と同様にして、濾材3上の重合体粒子のケーキを洗浄し、濾材3上
に洗浄後の重合体粒子を得た。なお、本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重
量G2は、30.0kg(重合工程で得られた重合体粒子の37.5倍の重量)であり、
上記重合工程で使用した界面活性剤の種類毎に上記算出式(4)により算出した洗浄液の
重量の下限値Dの量の合計量27.9kg({8(g)÷1.2(g/100ml)×2
000}+{8(g)÷1.1(g/100ml)×2000}=13333+1454
5=27878(g))よりも多い重量であった。また、本実施例の洗浄工程において、
洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから、24.0kg(洗浄工程で用いた洗浄
液としての水の重量G2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やした
時間T2(min)は、633.2分であった。
(4)後処理工程
洗浄工程により得られた洗浄後の重合体粒子を、真空乾燥機で乾燥させ、気流分級機(
日清エンジニアリング株式会社製の「ターボクラシファイア(TC−15)」)を用いて
分級し、目的の重合体粒子を得た。
〔比較例1:重合体粒子の比較製造例〕
(1)重合工程
実施例1の重合工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(以下、スラリー(1)とい
う)を、粗生成物として得た。
(2)固液分離工程
耐圧容器2の内部を0.10MPaに加圧して、濾液の量が2.24kg(重合工程で
使用した水の重量の70%)以上となり、耐圧容器2の内圧が0.08MPa(加圧時の
圧力の80%)以下となった時に、当該固液分離工程を終了した以外は、実施例1の固液
分離工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(1)から水性媒体としての水を除去した
。なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G1は2.49kgで
あり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記
媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T1は82.5分であった。
(3)洗浄工程
洗浄工程で用いる洗浄液としての水の重量G2を4.0kg(重合工程で得られた重合
体粒子の5倍の重量)とし、耐圧容器2の内部を0.10MPaに加圧して、濾液の導電
率が洗浄前の水の導電率の2.0倍以下(具体的には、15μS以下)となることを確認
せず、耐圧容器2の内圧が、0.08MPa(加圧時の圧力の80%)以下となるまで洗
浄を行った以外は、実施例1の洗浄工程と同様にして、濾材3上の重合体粒子のケーキを
洗浄し、濾材3上に洗浄後の重合体粒子を得た。なお、本実施例の洗浄工程において、洗
浄液を濾材3に通過させることを開始してから、3.2kg(洗浄工程で用いた洗浄液と
しての水の重量G2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やした時間
2(min)は、74.1分であった。
〔比較例2:重合体粒子の比較製造例〕
(1)重合工程
実施例1の重合工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(以下、スラリー(1)とい
う)を、粗生成物として得た。
(2)固液分離工程
耐圧容器2の内部を0.25MPaに加圧して、濾液の量が2.24kg(重合工程で
使用した水の重量の70%)以上となり、耐圧容器2の内圧が0.20MPa(加圧時の
圧力の80%)以下となった時に、当該固液分離工程を終了した以外は、実施例1の固液
分離工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(1)から水性媒体としての水を除去した
。なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G1は2.45kgで
あり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記
媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T1は19.5分であった。
(3)洗浄工程
洗浄液としての水を8.0kg(重合工程で得られた重合体粒子の10倍の重量)以上
使用し、耐圧容器2の内部を0.20MPaに加圧して、濾液の導電率が洗浄前の水の導
電率の2.0倍以下となり、耐圧容器2の内圧が、0.16MPa(加圧時の圧力の80
%)以下となるまで洗浄を行った以外は、実施例1の洗浄工程と同様にして、濾材3上の
重合体粒子のケーキを洗浄し、濾材3上に洗浄後の重合体粒子を得た。なお、本実施例の
洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G2は、12.0kg(重合工程で得られた重
合体粒子の15倍の重量)であり、上記重合工程で使用した界面活性剤の種類毎に上記算
出式(4)により算出した洗浄液の重量の下限値Dの合計量10.7kg(8(g)÷1
.5(g/100ml)×2000=10667(g))よりも多い重量であった。また
、本実施例の洗浄工程において、洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから、9.
6kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾
材3を通過するまでに費やした時間T2(min)は、80.2分であった。
実施例1〜10及び比較例1〜2について、重合工程で得られる重合体粒子のスラリー
の番号(スラリーNo.)、このスラリーに含まれる重合体を構成する単量体混合物の組
成(重合体組成)、固液分離工程におけるX値(濾材を通過した媒体の単位時間当たりの
量(kg/min))の測定結果、洗浄工程におけるY値(濾材を通過した洗浄液の単位
時間当たりの量(kg/min))の測定結果、洗浄工程で用いた洗浄液(水)の量(k
g)、得られた重合体粒子の体積平均粒子径(μm)及び粒子径の変動係数(CV値(%
))の測定結果、得られた重合体粒子中に含まれる(重合工程で使用した)界面活性剤の
化合物名、得られた重合体粒子中の界面活性剤の含有量(ppm)の測定結果、得られた
重合体粒子のTOF−SIMSによる測定結果(正イオンの総イオン強度及び負イオンの
総イオン強度の合計に対する、界面活性剤に由来する負イオンのイオン強度の比(イオン
強度比)、得られた重合体粒子のゲル分率(%)の測定結果、及び、重合体粒子の分散安
定化時間の測定結果(分散液の調製から、粘度値の変化率が−1%超〜1%未満となるま
での経過時間T)を表1に示す。また、実施例1〜10及び比較例1〜2の重合体粒子の
TOF−SIMSによる測定結果の詳細、具体的には、TOF−SIMSにより検出され
た正イオンのフラグメントのイオン強度の合計(正イオンの総イオン強度)、TOF−S
IMSにより検出された負イオンのフラグメントのイオン強度の合計(負イオンの総イオ
ン強度)、TOF−SIMSにより検出された界面活性剤に由来する負イオンのうち最も
高いイオン強度を示す負イオン(評価イオン種)、この負イオン(評価イオン種)のイオ
ン強度、並びに、正イオンの総イオン強度及び負イオンの総イオン強度の合計に対する、
負イオン(評価イオン種)のイオン強度の比(即ち、イオン強度比)を、表2に示す。
Figure 2021183692
Figure 2021183692
実施例1〜10及び比較例1〜2の固液分離工程及び洗浄工程で使用した加圧濾過器1
(図1参照)の濾材3(濾布)と濾過物(すなわち、粗生成物P)との界面の面積Aは、
0.0104(m2)である。このため、実施例1〜10及び比較例1〜2において、上
記条件式(1)で示されるX値(濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量(kg/mi
n))の上限値は、0.0572kg/minとなる。また、上記条件式(2)で示され
るY値(濾材を通過した洗浄液の単位時間当たりの量(kg/min))の上限値は、0
.0884kg/minとなる。
表1に示す結果より、固液分離工程におけるX値及び洗浄工程におけるY値が、それぞ
れ、上記上限値以下で、洗浄に使用した洗浄液(水)の量が8.0kg以上(重合体粒子
の重量の10倍以上)である実施例1〜10で得られる重合体粒子は、洗浄に使用した洗
浄液(水)の量が8.0kg未満(重合体粒子の重量の10倍未満)である比較例1で得
られる重合体粒子、及び、固液分離工程におけるX値及び洗浄工程におけるY値が上記上
限値よりも大きい比較例2で得られる重合体粒子と比べて、イオン強度比が小さく、重合
体粒子の表面における界面活性剤の量の少ないものであることが分かった。つまり、本発
明の製造方法によれば、固液分離工程及び洗浄工程により、重合工程で使用した界面活性
剤の重合体粒子表面への付着量を低減できることが認められた。
また、界面活性剤の含有量が0ppm超〜50ppm未満の範囲内にある実施例1〜1
0の重合体粒子は、界面活性剤の含有量が156ppmの比較例1の重合体粒子と比べて
、分散媒に分散させて分散液とした場合に、この分散液の粘度値が安定するまでの時間(
すなわち、粘度値の変化率が−1%超〜1%未満となるまでの時間)が短かった。すなわ
ち、界面活性剤の含有量が0ppm超〜50ppm未満の範囲内にある実施例1〜10の
重合体粒子は、界面活性剤の含有量が156ppmの比較例1の重合体粒子と比べて、分
散媒に対して均一に分散するまでの時間が短いことが認められた。
〔実施例11:光学フィルムの製造例〕
10mlのサンプル管に、実施例1で得られた重合体粒子0.15gと、メチルエチル
ケトン0.90gとを添加し、超音波洗浄器(株式会社ヴェルヴォクリーア製「ULTR
ASONIC CLEANER VS−150」)を用いて1分間撹拌し、メチルエチル
ケトン中に重合体粒子を分散させて、分散液を得る。この分散液に、さらに、アクリル系
樹脂(DIC株式会社製の「アクリディック(登録商標)A−811」)を2.10g添
加し、上記超音波洗浄器で2分程度撹拌して、コーティング用樹脂組成物を得た。このコ
ーティング用樹脂組成物を12時間静置させた後、コーティング用樹脂組成物にメチルエ
チルケトン5.40gを添加し、上記超音波洗浄器にて1分間撹拌して、コーティング用
樹脂組成物の希釈液を得た。
得られたコーティング用樹脂組成物の希釈液をPETフィルム上に、75μmスリット
のコーターを使用して塗工した。塗工後、温度を70℃に保った乾燥機に入れて1時間放
置することにより、光学フィルムを得た。
〔実施例12:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.15gに代えて、実施例2で得られた重合体粒子0
.15gを使用した以外は、実施例11と同様にして、光学フィルムを得た。
〔実施例13:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.15gに代えて、実施例3で得られた重合体粒子0
.15gを使用した以外は、実施例11と同様にして、光学フィルムを得た。
〔実施例14:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.15gに代えて、実施例4で得られた重合体粒子0
.15gを使用した以外は、実施例11と同様にして、光学フィルムを得た。
〔実施例15:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.15gに代えて、実施例5で得られた重合体粒子0
.15gを使用した以外は、実施例11と同様にして、光学フィルムを得た。
〔実施例16:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.15gに代えて、実施例6で得られた重合体粒子0
.15gを使用した以外は、実施例11と同様にして、光学フィルムを得た。
〔実施例17:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.15gに代えて、実施例7で得られた重合体粒子0
.15gを使用した以外は、実施例11と同様にして、光学フィルムを得た。
〔実施例18:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.15gに代えて、実施例8で得られた重合体粒子0
.15gを使用した以外は、実施例11と同様にして、光学フィルムを得た。
〔実施例19:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.15gに代えて、実施例9で得られた重合体粒子0
.15gを使用した以外は、実施例11と同様にして、光学フィルムを得た。
〔実施例20:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.15gに代えて、実施例10で得られた重合体粒子
0.15gを使用した以外は、実施例11と同様にして、光学フィルムを得た。
〔比較例3:光学フィルムの比較製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.15gに代えて、比較例1で得られた重合体粒子0
.15gを使用した以外は、実施例11と同様にして、光学フィルムを得た。
〔比較例4:光学フィルムの比較製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.15gに代えて、比較例1で得られた重合体粒子0
.15gを使用し、コーティング用樹脂組成物の静置時間を12時間から24時間に変更
した以外は、実施例11と同様にして、光学フィルムを得た。
〔比較例5:光学フィルムの比較製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.15gに代えて、比較例2で得られた重合体粒子0
.15gを使用した以外は、実施例11と同様にして、光学フィルムを得た。
実施例11〜20並びに比較例3〜5の光学フィルムについて、以下に示す方法により
、光学特性を評価した。
〔光学特性の評価方法〕
光学フィルムを6cm×6cmの正方形状にカットしたものを試験片とする。試験片の
コーティング用樹脂組成物が塗工された面の上下左右の4つの端部及び中央部(計5箇所
)のそれぞれのヘイズを、JIS K 7136に従って、日本電色工業株式会社製の「
NDH−4000」を使用して測定する。そして、測定した5箇所のヘイズ(%)の最大
値、最小値、及び平均値を用いて、以下の算出式により、ヘイズ差(%)を算出し、その
ヘイズ差(%)を、以下の評価基準により評価した。
<ヘイズ差(%)の算出式>
R={(HzMAX−HzMIN)/HzAVE)}×100
R:ヘイズ差(%)
HzMAX:5箇所のヘイズ(%)の最大値
HzMIN:5箇所のヘイズ(%)の最小値
HzAVE:5箇所のヘイズ(%)の平均値
<評価基準>
◎:ヘイズ差が0.5%未満
○:ヘイズ差が0.5%以上1.0%未満
△:ヘイズ差が1.0%以上3.0%未満
×:ヘイズ差が3.0以上
実施例11〜20並びに比較例3〜5の光学フィルムについて、光学フィルムの製造に
使用した重合体粒子の実施例番号及び界面活性剤含有量、コーティング用樹脂組成物の静
置時間、並びに、光学フィルムの光学特性の評価結果を表3に示す。
Figure 2021183692
界面活性剤の含有量が0ppm超〜50ppm未満の範囲内にある重合体粒子を含むコ
ーティング用樹脂組成物を塗工してなる光学フィルム(実施例11〜20の光学フィルム
)は、界面活性剤の含有量が50ppm以上の重合体粒子を含むコーティング用樹脂組成
物を塗工してなる光学フィルム(比較例3〜5)と比べて、ヘイズ差が少なく、光拡散性
のむらが少ないものであることが認められた。すなわち、界面活性剤の含有量が0ppm
超〜50ppm未満の範囲内にある重合体粒子を含む光学フィルムでは、安定した光学特
性(防眩性及び光拡散性)が得られることが認められた。
また、界面活性剤の含有量が50ppm以上の比較例1の重合体粒子は、表1に示す結
果から、静置時間を16時間以上とすることで粘度が安定し、分散媒に均一に分散する(
分散状態が安定化する)ことが認められたため、比較例4の光学フィルムの作製において
、コーティング用樹脂組成物の静置時間を24時間として、コーティング用樹脂組成物中
に重合体粒子が均一に分散するようにしたが、表3に示されるように、比較例4の光学フ
ィルムでは、ヘイズ差が大きく、安定した光学特性が得られなかった。
これに対して、界面活性剤の含有量が0ppm超〜50ppm未満の範囲内にある実施
例1〜10、及び界面活性剤の含有量が59ppmである比較例2の重合体粒子は、表1
に示す結果より、11時間〜13時間と短い時間で、粘度が安定し、分散媒に均一に分散
する(分散状態が安定化する)と認められた。そこで、実施例1〜10の重合体粒子を使
用する実施例11〜20の光学フィルムの作製及び比較例2の重合体粒子を使用する比較
例5の光学フィルムの作製においては、コーティング用樹脂組成物の静置時間を12時間
として、コーティング用樹脂組成物中に重合体粒子が均一に分散するようにした。
この結果、表3に示されるように、界面活性剤の含有量が0ppm超〜50ppm未満
の範囲内にある実施例1〜10の重合体粒子を使用して作製された実施例11〜20の光
学フィルムでは、ヘイズ差が小さく、安定した光学特性が得られた。一方、界面活性剤の
含有量が59ppmである比較例2を使用して作製した比較例5の光学フィルムでは、実
施例11〜20の光学フィルムと比べて、ヘイズ差が大きく、安定した光学特性が得られ
なかった。
このことから、界面活性剤の含有量が0ppm超〜50ppm未満の範囲内にある重合
体粒子は、当該重合体粒子をバインダーに分散させて得られるコーティング用樹脂組成物
をフィルム基材上へ塗工して塗膜を形成する過程において、前記樹脂組成物中での分散状
態をほぼ安定に維持することができ、光学フィルムに安定した光学特性を付与できる分散
安定性に優れたものであると言える。また、界面活性剤の含有量が0ppm超〜50pp
m未満の範囲内にある重合体粒子を含むコーティング用樹脂組成物を塗工してなる光学フ
ィルムは、上記したように、ヘイズ差が少なく、光学特性が安定しており、品質安定性に
優れると言える。
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施
することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的
に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細
書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変
更は、全て本発明の範囲内のものである。
また、この出願は、2013年9月30日に日本で出願された特願2013−2045
77に基づく優先権を請求する。これに言及することにより、その全ての内容は本出願に
組み込まれるものである。
1 加圧濾過器
2 耐圧容器
3 濾材
R 濾材と被濾過物との界面(脱液面)の径
P 粗生成物
S 濾材の上側空間

Claims (13)

  1. 以下の測定方法によって求められる界面活性剤の含有量が0ppm超〜50ppm未満
    であり、
    体積平均粒子径が1〜100μmであり、
    粒子径の変動係数が15%以下である重合体粒子であって、
    上記重合体粒子を構成する重合体は、単官能ビニル系単量体と多官能ビニル系単量体と
    の共重合体であることを特徴とする重合体粒子。
    〔界面活性剤の含有量の測定方法〕
    試料としての重合体粒子約0.10gを遠沈管に精秤し、抽出液としてのメタノール5
    mLをホールピペットで注加して、重合体粒子と抽出液とをよく混合させる。15分間、
    超音波抽出を行った後、3500rpmで15分間遠心分離を行い、これにより得られた
    上澄みを試験液とする。この試験液中の界面活性剤濃度を測定する。そして、測定された
    試験液中の界面活性剤濃度(μg/ml)と、試料として用いた重合体粒子の重量(試料
    重量(g))と、抽出液の量(抽出液量(ml))とから、下記算出式により、重合体粒
    子中の界面活性剤の含有量(μg/g)を求める。なお、抽出液量は、5mlである。
    界面活性剤の含有量(μg/g)
    ={試験液中の界面活性剤濃度(μg/ml)×抽出液量(ml)}÷試料重量(g)
  2. 請求項1に記載の重合体粒子であって、
    飛行時間型2次イオン質量分析計により測定される、正イオンの総イオン強度及び負イ
    オンの総イオン強度の合計に対する、前記界面活性剤に由来する負イオンのイオン強度の
    比が、0.01×10-4〜2.00×10-4であることを特徴とする重合体粒子。
  3. 請求項1又は2に記載の重合体粒子であって、
    前記界面活性剤が、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤の少なくとも一方
    を含むことを特徴とする重合体粒子。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の重合体粒子であって、
    当該重合体粒子を構成する重合体が、(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、
    及び、(メタ)アクリル−スチレン系共重合体のうちの何れかであることを特徴とする重
    合体粒子。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の重合体粒子であって、
    前記単官能ビニル系単量体は、スチレン系単量体を含み、
    前記測定方法によって求められる界面活性剤の含有量が3〜35ppmであり、
    飛行時間型2次イオン質量分析計により測定される、正イオンの総イオン強度及び負イ
    オンの総イオン強度の合計に対する、前記界面活性剤に由来する負イオンのイオン強度の
    比が、0.22×10-4〜0.69×10-4であることを特徴とする重合体粒子。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の重合体粒子であって、
    ゲル分率90%以上であることを特徴とする重合体粒子。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の重合体粒子であって、
    ゲル分率95.2%以上であることを特徴とする重合体粒子。
  8. 請求項1〜7のいずれか1つに記載の重合体粒子であって、
    コーティング用樹脂組成物に使用されるものであることを特徴とする重合体粒子。
  9. 請求項1〜8のいずれか1つに記載の重合体粒子であって、
    光学部材用であることを特徴とする重合体粒子。
  10. 請求項1〜9のいずれか1つに記載の重合体粒子であって、
    防眩部材用であることを特徴とする重合体粒子。
  11. 請求項1〜8のいずれか1つに記載の重合体粒子と、バインダーとを含むコーティング
    用樹脂組成物を、フィルム基材上に塗工してなることを特徴とする光学フィルム。
  12. 請求項11に記載の光学フィルムであって、
    防眩用であることを特徴とする光学フィルム。
  13. 請求項1〜7のいずれか1つに記載の重合体粒子と、透明樹脂とを含む成形用樹脂組成
    物を、成形してなることを特徴とする樹脂成形体。
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