JP2021178920A - 液晶ポリマー用組成物および液晶ポリマー用組成物の製造方法 - Google Patents

液晶ポリマー用組成物および液晶ポリマー用組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】液晶ポリマーの原料であって、溶融粘度の上昇が抑制された液晶ポリマー用組成物およびその製造方法を提供すること。【解決手段】活性水素基を有するメソゲン基含有化合物および酸化防止剤を含有する液晶ポリマー用組成物。メソゲン基含有化合物および酸化防止剤に加え、イソシアネート化合物と、光重合性基含有化合物と、光反応開始剤とを含有することが好ましい。酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤およびヒンダートアミン系酸化防止剤からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。【選択図】 なし

Description

本発明は、液晶ポリマー用組成物および液晶ポリマー用組成物の製造方法に関するものである。
分子構造内にメソゲン基を有する液晶ポリマーは、液晶(メソゲン基)の配向度の変化に伴って物性が変化する。このような性質に着目し、液晶ポリマーをエラストマーとして様々な用途で利用する試みがなされている。
例えば、液晶ポリマーとして、ジイソシアネート成分と、高分子量ポリオール成分と、メソゲンジオールとの反応によって得られる液晶ポリウレタンエラストマーがある(例えば、特許文献1を参照)。
特開2017−115036号公報
特許文献1の液晶ポリウレタンエラストマーは、本出願人が開発したものであり、液晶性発現温度領域でゴム弾性を有するものである。この液晶ポリウレタンエラストマーは、従来の液晶ポリウレタンと比べて、液晶性発現温度を低下させたものである。
液晶エラストマーを得るためには、液晶性発現温度領域で液晶エラストマーの原材料を架橋(硬化)させる必要がある。この点に関し、特許文献1の液晶エラストマーは、上述のとおり、液晶性発現温度を低下させるように設計されたものであり、そのための手段として、イソシアネート成分として3官能以上のイソシアネートを使用するとともに、高分子量ポリオール成分として水酸基数が3以上の高分子量ポリオール成分を使用している。このように、架橋可能な官能基を多く含む原材料を使用することで、熱成形加工時に液晶相が発現した状態を維持したまま原材料間で架橋反応が進行し、ゴム弾性を備えた液晶エラストマーを得ることができる。
ところが、熱成形加工時に架橋反応を進行させる方法(すなわち、熱硬化法)では、架橋の進行に伴ってポリマーの溶融粘度が上昇するため、反応の制御が困難であった。また、成形機の内部で液晶ポリマーの原材料が早期に硬化してしまう虞もあった。このため、液晶ポリマーの工業的生産を行うにあたっては、ポリマーの溶融粘度の上昇や原材料の早期の硬化によって連続生産が妨げられないような改善策が求められている。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液晶ポリマーの原料であって、溶融粘度の上昇が抑制された液晶ポリマー用組成物およびその製造方法を提供することにある。
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。即ち本発明は、活性水素基を有するメソゲン基含有化合物および酸化防止剤を含有する液晶ポリマー用組成物に関する。
液晶ポリマーとしては例えば、活性水素基を有するメソゲン基含有化合物(以下、単に「メソゲン基含有化合物」ともいう)と、イソシアネート化合物と、光重合性基含有化合物との反応生成物を架橋させたポリマーが挙げられる。かかる反応生成物の状態では未架橋であり、この状態では溶融粘度が低く、成形加工性に優れる。また、該反応生成物中には光重合性基含有化合物が組み込まれており、例えば該反応生成物を含有する液晶ポリマー用組成物を所望の形状に成形した後、光照射することにより、組成物の成形と架橋(硬化)反応とを別々の工程として実施することができる。
前記のとおり、メソゲン基含有化合物と、イソシアネート化合物と、光重合性基含有化合物との反応生成物は通常、溶融粘度を低く維持できる。しかしながら、本発明者が鋭意検討したところ、原料の一つであるメソゲン基含有化合物は、反応前の保存段階あるいは乾燥段階において、酸化劣化や熱劣化が生じることにより、ラジカルが発生し易いことが判明した。メソゲン基含有化合物がラジカルを含有する場合、イソシアネート化合物および光重合性基含有化合物と反応させる際、さらには反応後に得られる反応生成物の保存段階で、光重合性基含有化合物の予期しない架橋反応が進行し、原料となる液晶ポリマー用組成物の溶融粘度が上昇する虞がある。
本発明に係る液晶ポリマー用組成物は、メソゲン基含有化合物および酸化防止剤を含有するため、メソゲン基含有化合物の保存段階あるいは乾燥段階、メソゲン基含有化合物と、イソシアネート化合物と、光重合性基含有化合物とを混合、あるいは反応させる段階、さらには得られた反応生成物の保存段階においても、メソゲン基含有化合物に由来するラジカル発生を抑制し、液晶ポリマー用組成物の溶融粘度の上昇を抑制することができる。
上記液晶ポリマー用組成物において、前記酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤およびヒンダートアミン系酸化防止剤からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。かかる構成によれば、メソゲン基含有化合物からのラジカル発生を効果的に抑制することができる。
上記液晶ポリマー用組成物において、前記メソゲン基含有化合物が、下記一般式(1):
Figure 2021178920
(Xは活性水素基であり、Rは隣接する結合基の一部をなす単結合、−N=N−、−CO−、−CO−O−、または−CH=N−であり、Rは隣接する結合基の一部をなす単結合、または−O−であり、Rは隣接する結合基の一部をなす単結合、または炭素数1〜20のアルキレン基である。ただし、Rが−O−であり、且つRが隣接する結合基の一部をなす単結合であるものを除く。)で表される化合物であることが好ましい。前記一般式(1)に記載の化合物は、液晶ポリマーの原料として特に有用である一方、ラジカルが発生し易く、かかるラジカル発生に起因して、特に光重合性基含有化合物の架橋を引き起こす結果、液晶ポリマー用組成物の溶融粘度上昇が生ずる虞があった。しかしながら本発明によれば、液晶ポリマー用組成物が前記一般式(1)に記載の化合物を含有する場合であっても、ラジカル発生を効果的に抑制することが可能であるため、ラジカル発生に起因した、液晶ポリマー用組成物の溶融粘度の上昇を効果的に抑制することができる。
上記液晶ポリマー用組成物において、前記メソゲン基含有化合物および前記酸化防止剤と、イソシアネート化合物と、光重合性基含有化合物と、光反応開始剤とを含有することが好ましい。また、上記液晶ポリマー用組成物において、前記メソゲン基含有化合物、イソシアネート化合物、および光重合性基含有化合物の反応生成物である液晶ポリマーと、前記酸化防止剤と、光反応開始剤とを含有することが好ましい。液晶ポリマー用組成物は、前記各成分を未反応の状態で含有するか、あるいは前記メソゲン基含有化合物、イソシアネート化合物、および光重合性基含有化合物の反応生成物を含有するものであってもよい。いずれの場合であっても、本発明によればメソゲン基含有化合物からのラジカル発生量が抑制されているため、ラジカル発生に起因した、液晶ポリマー用組成物の溶融粘度の上昇を効果的に抑制することができる。
また、本発明は活性水素基を有するメソゲン基含有化合物および酸化防止剤を含有する液晶ポリマー用組成物の製造方法であって、前記活性水素基を有するメソゲン基含有化合物中に前記酸化防止剤を分散させる分散工程を有することを特徴とする液晶ポリマー用組成物の製造方法に関する。メソゲン基含有化合物中に前記酸化防止剤を分散させる分散工程を有するため、以降の保存工程、乾燥工程、あるいは反応工程において、メソゲン基含有化合物からのラジカル発生量を抑制し、液晶ポリマー用組成物の製造方法において、溶融粘度の上昇を抑制し、生産性を向上することができる。さらに、前記分散工程の後、前記メソゲン基含有化合物および前記酸化防止剤を30〜150℃に加熱する乾燥工程を有することが好ましい。
本発明に係る液晶ポリマー用組成物は、少なくともメソゲン基含有化合物および酸化防止剤を含有する。
[メソゲン基含有化合物]
メソゲン基含有化合物としては、例えば、下記の一般式(1)で表される化合物が使用可能である。
Figure 2021178920
上記一般式(1)において、Xは活性水素基であり、Rは隣接する結合基の一部をなす単結合、−N=N−、−CO−、−CO−O−、または−CH=N−であり、Rは隣接する結合基の一部をなす単結合、または−O−であり、Rは隣接する結合基の一部をなす単結合、または炭素数1〜20のアルキレン基である。ただし、Rが−O−であり、且つRが隣接する結合基の一部をなす単結合であるものを除く。)なお、「隣接する結合基の一部をなす単結合」とは、当該単結合が隣接する結合基の一部と共有されている状態を意味する。例えば、上記一般式(1)において、Rが隣接する結合基の一部をなす単結合である場合、単結合であるRは両側のベンゼン環と共有された状態となり、当該両側のベンゼン環とともにビフェニル構造を形成する。Xとしては、例えば、OH、SH、NH、COOH、二級アミンなどが挙げられる。メソゲン基含有化合物の配合量は、液晶ポリマー用組成物中、20〜80質量%、好ましくは40〜70質量%となるように調整される。メソゲン基含有化合物の配合量が20質量%未満の場合、生成したポリマーに液晶性が発現し難くなる。メソゲン基含有化合物の配合量が80質量%を超える場合、液晶相−等方相間の相転移温度(Ti)が高くなり、常温を含む低温領域でポリマーを成形することが困難となる。
メソゲン基含有化合物には、アルキレンオキシドおよび/またはスチレンオキシドを併用することが好ましい。アルキレンオキシドおよび/またはスチレンオキシドは、液晶ポリマーにおける液晶相の発現温度を低下させるように機能するため、メソゲン基含有化合物にアルキレンオキシドおよび/またはスチレンオキシドを併用して生成した液晶ポリマーは、常温での実用性に優れた製品となり得る。アルキレンオキシドは、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、またはブチレンオキシドを使用することができる。上掲のアルキレンオキシドは、単独で使用してもよいし、複数種を混合して使用してもよい。スチレンオキシドについては、ベンゼン環にアルキル基、アルコキシ基、ハロゲンなどの置換基を有するものでもよい。アルキレンオキシドは、上掲のアルキレンオキシドと、上掲のスチレンオキシドとを混合したものを使用することも可能である。アルキレンオキシドおよび/またはスチレンオキシドの配合量は、メソゲン基含有化合物1モルに対して、アルキレンオキシドおよび/またはスチレンオキシドが1〜10モル、好ましくは2〜6モル付加されるように調整される。アルキレンオキシドおよび/またはスチレンオキシドの付加モル数が1モル未満の場合、液晶ポリマーの液晶相が発現する温度範囲を十分に低下させることが困難となり、そのため、無溶媒で且つ液晶相が発現した状態で液晶ポリマー(液晶ポリウレタン)を連続成形することが困難となる。アルキレンオキシドおよび/またはスチレンオキシドの付加モル数が10モルを超える場合、液晶ポリマーの液晶相が発現し難くなる虞がある。
[酸化防止剤]
酸化防止剤としては、当業者に公知のものを使用可能であるが、以下の理由により、フェノール系酸化防止剤およびヒンダートアミン系酸化防止剤からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
(1)メソゲン基含有化合物からのラジカル発生量を効果的に抑制することができる。
(2)液晶ポリマー用組成物がイソシアネート化合物を含有する場合、イソシアネート化合物が備えるイソシアネート基との反応性が低く、酸化防止能の失活が好適に抑制できる。
フェノール系酸化防止剤としては、フェノール環のヒドロキシ基に隣接する部位にメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基を有するものが好ましく、特にフェノール環のヒドロキシ基に隣接する部位にt−ブチル基を有するものが好ましい。この場合、フェノール系酸化防止剤が備えるヒドロキシ基(活性水素基)が、傘高い構造であるt−ブチル基に保護され、イソシアネート化合物が備えるイソシアネート基との反応性が低くなり、酸化防止剤の酸化防止能の失活が好適に抑制できる。フェノール環のヒドロキシ基に隣接する部位にt−ブチル基を有するフェノール系酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、1,3,5−トリス(3,5−ジ―t−ブチル―4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン―2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、4,4’,4’’−(1−メチルプロパニル―3−イリデン)トリス(6−t−ブチル―m−クレゾール)、6,6’−ジ―t−ブチル―4,4’−ブチリデンジ―m−クレゾール、オクタデシル3−(3,5−ジ―t−ブチル―4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ―t−ブチル―4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル―4−ヒドロキシ―5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(3,5−ジ―t−ブチル―4−ヒドロキシフェニルメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼンなどが挙げられる。なお、ヒドロキシ基に隣接する部位にt−ブチル基を有するフェノール系酸化防止剤としては市販品の使用も可能であり、特にBHT(東京化成工業社製)、アデカスタブAO−60/アデカスタブAO−60G(オクタデシル3−(3,5−ジ―t−ブチル―4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ADEKA社製)、およびアデカスタブAO−80(3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル―4−ヒドロキシ―5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ADEKA社製)の使用が好ましい。またその他のフェノール系酸化防止剤として、スミライザーGS(F)(住友化学製)、スミライザーGM(F)(住友化学製)、スミライザーGA80(住友化学製)、スミライザーMDP−S(住友化学製)、WX−R(住友化学製)、WX−RC(住友化学製)、Irganox1010(BASF社製)、1035(BASF社製)、1076(BASF社製)、1135(BASF社製)、1726(BASF社製)等の市販品も使用可能である。
ヒンダードアミン系酸化防止剤は、窒素原子に水素またはアルキル基、特にはメチル基が結合した化合物が好ましく、市販品の使用も可能である。このような市販品としては例えば、アデカスタブ LA−52(ADEKA社製)、アデカスタブ LA−57(ADEKA社製)、アデカスタブ LA−63P(ADEKA社製)、アデカスタブ LA−68(ADEKA社製)、アデカスタブ LA−72(ADEKA社製)、アデカスタブ LA−77Y(ADEKA社製)、アデカスタブ LA−81(ADEKA社製)、アデカスタブ LA−82(ADEKA社製)、アデカスタブ LA−87(ADEKA社製)、アデカスタブ LA−402AF(ADEKA社製)、アデカスタブ LA−40MP(ADEKA社製)Tinuvin123(BASF社製)、Tinuvin1144(BASF社製)、Tinuvin 152(BASF社製)、Tinuvin 249(BASF社製)、Tinuvin 292(BASF社製)、Tinuvin 770DF(BASF社製)、Tinuvin 5100(BASF社製)が挙げられる。なお、ヒンダートアミン系酸化防止剤により、メソゲン基含有化合物の酸化抑制効果が得られる理由については、以下のとおり考えられる。ヒンダートアミン系酸化防止剤は光安定剤として使用されることが一般的であり、様々な作用機構が提案されているが、主にラジカル捕捉効果により、光安定化効果を奏するものと考えられている。メソゲン基含有化合物の酸化抑制効果はラジカル捕捉により達成されるため、ヒンダートアミン系の酸化防止剤でもメソゲン基含有化合物の酸化を抑制することができる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤およびヒンダートアミン系酸化防止剤以外の酸化防止剤も使用可能であり、例えばチアジン系酸化防止剤であるフェノチアジンが挙げられる。フェノチアジンについても、イソシアネート化合物が備えるイソシアネート基との反応性が低く、酸化防止能の失活が好適に抑制できるため好ましい。
本発明においては、酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤またはヒンダートアミン系酸化防止剤などを単独で使用してもよく、あるいは2種類以上を混合して使用してもよい。
用組成物中での酸化防止剤の量を十分に確保し、液晶ポリマー用組成物の溶融粘度の上昇を抑制し、その成形加工性を向上するためには、メソゲン基含有化合物の全量を100質量部としたとき、酸化防止剤の配合量は0.006〜10質量部であることが好ましく、0.05〜2.5質量部であることがより好ましい。さらに、液晶ポリマー用組成物中の酸化防止剤濃度は30〜30000ppmであることが好ましく、400〜7000ppmであることがより好ましい。また、液晶ポリマー用組成物がイソシアネート化合物を含有する場合、イソシアネート化合物が備えるイソシアネート基との反応により、酸化防止剤のラジカル発生の抑制効果が低減することがある。したがって、液晶ポリマー用組成物がイソシアネート化合物を含有する場合、反応前のイソシアネート化合物の全量を100質量%としたとき、前記酸化防止剤の割合が0.015〜20質量%であることが好ましく、0.2〜5質量%であることがより好ましい。
[イソシアネート化合物]
イソシアネート化合物は、例えば下記に示すジイソシアネート化合物を使用することができる。ジイソシアネート化合物を例示すると、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、およびm−キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;エチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、および1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;並びに1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、およびノルボルナンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。例示したジイソシアネート化合物は、単独で使用してもよいし、複数種を混合して使用してもよい。なお、本発明ではイソシアネート化合物として3官能以上のイソシアネート化合物を併用しても良いが、得られる液晶ポリマーの熱可塑性を確保するため、使用するイソシアネート化合物の全量を100質量%としたとき、ジイソシアネート化合物の割合は98質量%以上であることが好ましく、99質量%以上であることがより好ましく、略100質量%であることがさらに好ましい。3官能以上のイソシアネート化合物を例示すると、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、リジンエステルトリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、ビシクロヘプタントリイソシアネートなどのトリイソシアネート、およびテトライソシアネートシランなどのテトライソシアネートが挙げられる。
液晶ポリマーを構成するメソゲン基含有化合物の全量を100質量部としたとき、イソシアネート化合物の割合は20〜70質量部であることが好ましく、30〜60質量部であることがより好ましい。イソシアネート化合物の配合量が20質量部未満である場合、ウレタン反応による高分子化が不十分となるため、液晶ポリマーを連続成形することが困難となる。一方、イソシアネート化合物の割合が70質量部を超える場合、液晶ポリマーの原材料全体に占めるメソゲン基含有化合物の配合量が相対的に少なくなるため、液晶ポリマーの液晶性が低下する。
なお、イソシアネート化合物が有するイソシアネート基は、メソゲン基含有化合物が有する水酸基などの活性水素基、および光重合性基含有化合物が有する水酸基などの活性水素基と反応し得る。メソゲン基含有化合物および光重合性基含有化合物が有する活性水素基の理論量に対するイソシアネート化合物が有するイソシアネート基の理論量であるNCO INDEX(NCO/OH)は、0.95〜1.10であることが好ましく、1.00〜1.05であることがより好ましい。
[光重合性基含有化合物]
光重合性基含有化合物は、例えば、アクリロイル基含有化合物、メタクリロイル基含有化合物、アリル化合物を使用することができる。アクリロイル基含有化合物を例示すると、プロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、エチレングリコールジグリシジルエーテルメタクリル酸付加物、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、グリセリンジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ビスフェノールA PO2mol付加物ジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、β−カルボキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−コハク酸、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−フタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどが挙げられる。メタクリロイル基含有化合物を例示すると、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート、グリセリンジメタクリレート、ビスフェノールA PO2mol付加物ジグリシジルエーテルメタクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルメタクリル酸付加物、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルサクシネートなどが挙げられる。アリル基含有化合物を例示すると、グリセリンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルなどが挙げられる。
液晶ポリマーを構成するメソゲン基含有化合物の全量を100質量部としたとき、光重合性基含有化合物の割合は0.1〜10質量部であることが好ましく、0.3〜7質量部であることがより好ましい。光重合性基含有化合物の割合が0.1質量部未満の場合、原材料に光照射を行っても十分に硬化しないため、生成したポリマーは熱応答性を発現し難くなる。光重合性基含有化合物の割合が10質量部を超える場合、光照射後のポリマー中の架橋密度が高くなり過ぎるため、この場合も生成したポリマーは熱応答性を発現し難くなる。
[その他の原材料]
活性水素基を有するメソゲン基含有化合物と、イソシアネート化合物と、光重合性基含有化合物とに加え、液晶ポリマーの原材料として、活性水素基含有化合物を使用してもよい。活性水素基含有化合物としては、例えば、ポリオール化合物、アミン化合物が挙げられる。ポリオール化合物としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、meso−エリトリトール、ペンタエリスリトール、テトラメチロールシクロヘキサン、メチルグルコシド、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、スクロース、2,2,6,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサノール、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、およびトリエタノールアミンなどが挙げられる。アミン化合物としては、エチレンジアミン、トリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジエチレントリアミン、モノエタノールアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、およびモノプロパノールアミンなどが挙げられる。上掲の各活性水素基含有化合物は、単独で使用してもよいし、複数種を混合して使用してもよい。
また、活性水素基を有するメソゲン基含有化合物と、イソシアネート化合物と、光重合性基含有化合物とを反応させる場合、当業者に公知のウレタン重合触媒を使用してもよい。かかる重合触媒としては、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンテトラ―2−エチルへキソキシド、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)などの有機チタン触媒、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネートなどの有機ジルコニウム触媒、ナフテン酸亜鉛などの有機亜鉛触媒、ジブチル錫ジラウレートやオクチル酸錫などの有機錫系触媒、トリエチレンジアミンおよびその誘導体、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)、ビス(N,N−ジメチルアミノ−2−エチル)エーテル、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテルなどの第3級アミン系触媒、酢酸カリウム、オクチル酸カリウムなどのカルボン酸金属塩触媒、イミダゾール系触媒などが挙げられる。これらの中でも、トリエチレンジアミンおよびその誘導体の使用が好ましい。
液晶ポリマー用組成物は、前記メソゲン基含有化合物および前記酸化防止剤と、イソシアネート化合物と、光重合性基含有化合物とに加え、光反応開始剤を含有することが好ましい。
[光反応開始剤]
光反応開始剤は、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフォンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン/ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステル/オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステル、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モリフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、ヨードニウム,(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−ヘキサフルオロフォスフェート(1−)/プロピレンカーボネート、トリアリールスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリアリールスルフォニウムテトラキス−(ペンタフルオロフェニル)ボレート、オキシムスルホネート系光酸発生剤を使用することができる。光反応開始剤の割合は、液晶ポリマーを構成するメソゲン基含有化合物の全量を100質量部としたとき、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.1〜8質量部であることがより好ましい。光反応開始剤の配合量が0.1質量部未満の場合、光照射時に均一に重合反応が進行しないため、あるいは硬化が不十分となるため、生成したエラストマーは熱応答性を発現し難くなる。光反応開始剤の配合量が10質量部を超える場合、生成したエラストマー中のメソゲン基の含有量が減少するため、液晶相が発現し難くなる。光反応開始剤は、200〜600nmに吸収波長を有するものが好ましい。光反応開始剤が上記範囲の吸収波長を有していれば、液晶ポリマーまたはその原材料の透明度(可視光の透過率)が低いものであっても、光反応開始剤が光を吸収し、確実に光架橋反応を進行させることができる。
本発明に係る液晶ポリマー用組成物は、少なくともメソゲン基含有化合物および酸化防止剤を含有し、液晶ポリマーの原料となる。本発明に係る液晶ポリマー用組成物の製造方法は、前記メソゲン基含有化合物中に前記酸化防止剤を分散させる分散工程を有する。かかる分散工程の後、前記メソゲン基含有化合物および前記酸化防止剤を、例えば30〜150℃、特には80〜130℃に加熱する乾燥工程を設けてもよい。乾燥工程の所要時間は、前記温度で2〜60時間程度が例示可能である。一般に、メソゲン基含有化合物を加熱する乾燥工程では、メソゲン基含有化合物の熱劣化および酸化劣化に伴い、多くのラジカルが発生する懸念があるが、本発明に係る液晶ポリマー用組成物の製造方法では、乾燥工程前に前記分散工程を備えるため、メソゲン基含有化合物からのラジカル発生量を著しく低減できる。その結果、液晶ポリマー用組成物の溶融粘度の上昇を効果的に抑制することができる。
光反応開始剤および酸化防止剤存在下、少なくとも活性水素基を有するメソゲン基含有化合物と、イソシアネート化合物と、光重合性基含有化合物とを反応させることにより、反応生成物を含有する液晶ポリマー用組成物を製造することができる。本発明では、光反応開始剤および酸化防止剤存在下で該反応生成物を製造することにより得た製造物を、そのまま液晶ポリマー用組成物として使用することができる。
メソゲン基含有化合物、イソシアネート化合物、および光重合性基含有化合物の反応生成物を製造する際の製造条件としては、例えば光反応開始剤および酸化防止剤と共に、少なくとも活性水素基を有するメソゲン基含有化合物と、イソシアネート化合物と、光重合性基含有化合物との3者を押出成形機に投入し、例えば60〜150℃に加熱した状態で加熱溶融しつつ、前記3者を反応させる方法が挙げられる。
反応生成物、光反応開始剤および酸化防止剤を含む、加熱溶融された製造物(液晶ポリマー用組成物)は、冷却後、粉砕してペレット状に成形しておき、ペレット化した原材料を押出成形機を用いて所定の形状に成形した後、液晶相を発現する温度領域(すなわち、ガラス転移温度(Tg)以上かつ相転移温度(Ti)以下)で延伸しながら押出成形してもよい。あるいは、光反応開始剤および酸化防止剤存在下、少なくとも活性水素基を有するメソゲン基含有化合物と、イソシアネート化合物と、光重合性基含有化合物とを加熱下で反応させることにより得られた液晶ポリマー用組成物をそのまま、液晶相を発現する温度領域(すなわち、ガラス転移温度(Tg)以上かつ相転移温度(Ti)以下の温度領域)で延伸しながら押出成形してもよい。この場合、メソゲン基含有化合物に含まれるメソゲン基が延伸方向に沿うように動くため、高度な配向性を有する液晶ポリマー用組成物の成形体を製造することができる。
前記で得られた、高度な配向性を有する液晶ポリマー用組成物の成形体を適切な形状に成形して冷却し、延伸状態を保ったまま波長200〜600nm光を照射すると、配向性を維持したまま原材料間で架橋反応が進行し、低温での液晶相の発現性と弾性とを兼ね備えた液晶ポリマーが完成する。このようにして製造された液晶ポリマーは、低温領域ではメソゲン基が延伸方向に配向しているが、加熱して相転移温度(Ti)を上回るとメソゲン基の配向が崩れて(不規則となって)延伸方向に収縮し、冷却して相転移温度(Ti)を下回るとメソゲン基の配向が復活して延伸方向に伸張するという特異的な熱応答性挙動を示す。
ちなみに、液晶ポリマーの配向性は、メソゲン基の配向度によって評価することができる。配向度の値が大きいものは、メソゲン基が一軸方向に高度に配向している。配向度は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)を用いた1回全反射測定法(ATR)により、芳香族エーテルの逆対称伸縮振動の吸光度(0°、90°)、およびメチル基の対称変角振動の吸光度(0°、90°)を測定し、これらの吸光度をパラメータとする以下の計算式に基づいて算出される。
配向度=(A−B)/(A+2B)
A:0°で測定したときの芳香族エーテルの逆対称伸縮振動の吸光度/0°で測定したときのメチル基の対称変角振動の吸光度
B:90°で測定したときの芳香族エーテルの逆対称伸縮振動の吸光度/90°で測定したときのメチル基の対称変角振動の吸光度
液晶ポリマーが有意な伸縮性を発現するためには、メソゲン基の配向度が0.05以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましい。
前記液晶ポリマーは、衣料製品(繊維)、アクチュエータ、フィルターなどの分野において利用できる可能性がある。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例などについて説明する。なお、実施例などにおける評価項目は下記のようにして測定を行った。
<溶融粘度>
メソゲン基含有化合物と、イソシアネート化合物と、光重合性基含有化合物との反応生成物、光反応開始剤および酸化防止剤を含有する液晶ポリマー用組成物について、キャピラリーレオメータ(品番:No.140−SAS−2002、安田精機社製)を使用し、せん断速度500s−1における80℃の溶融粘度を測定した。溶融粘度が低いほど、液晶ポリマー用組成物の成形加工性に優れることを意味する。
(反応生成物、光反応開始剤および酸化防止剤を含有する液晶ポリマー用組成物、ならびに液晶ポリマーの製造例)
実施例1
反応容器に、活性水素基を有するメソゲン基含有化合物として式(1)のRが単結合であるBH6(500g)、水酸化カリウム(19g)、および溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド(3000ml)を入れて混合し、さらに、アルキレンオキシドとしてプロピレンオキシドを2モルのBH6に対して5当量添加し、これらの混合物を、加圧条件下、120℃で2時間反応させた(付加反応)。次いで、反応容器にシュウ酸(15g)を添加して付加反応を停止させ、反応液中の不溶な塩を吸引ろ過によって除去し、さらに、反応液中のN,N−ジメチルホルムアミドを減圧蒸留法により除去することにより、メソゲンジオールAを得た。メソゲンジオールAの合成スキームを式(3)に示す。なお、式(3)中に示したメソゲンジオールAは代表的なものであり、種々の構造異性体を含み得る。
Figure 2021178920
得られたメソゲンジオールA110質量部に対し、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤であるアデカスタブAO−60(オクタデシル3−(3,5−ジ―t−ブチル―4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ADEKA社製)を0.03質量部分散させることにより(分散工程)、液晶ポリマー用組成物を製造した。かかる組成物を110℃で10時間、加熱することにより、乾燥工程を実施した。
次に、乾燥工程後に得られたメソゲンジオールA110質量部および酸化防止剤0.03質量部に対し、イソシアネート化合物として1,5−ペンタメチレンジイソシアネート(三井化学社製)を29.6質量部、光重合性基含有化合物として2−ヒドロキシエチルアクリレート(共栄社化学社製)を2.4質量部、光反応開始剤として2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(TPO)(IGM resins社製)を0.159質量部混合し、液晶ポリマー用組成物の原材料を調製した。この原材料を撹拌しながら80℃で加熱溶融し、メソゲン基含有化合物と、イソシアネート化合物と、光重合性基含有化合物とを反応させることにより、メソゲン基含有化合物、イソシアネート化合物、および光重合性基含有化合物の反応生成物、光反応開始剤ならびに酸化防止剤を含有する液晶ポリマー用組成物を製造した。得られた製造物を冷却後、プラスチック粉砕機(品名:ZI−420、株式会社ホーライ製)で粉砕した。
実施例2〜8および比較例1
酸化防止剤の種類および配合量を表1に記載のものに変更した以外は、実施例1と同様にメソゲン基含有化合物、イソシアネート化合物、および光重合性基含有化合物の反応生成物、光反応開始剤ならびに酸化防止剤を含有する液晶ポリマー用組成物を製造した。表1中、「GA−80」はフェノール系酸化防止剤である「スミライザー GA−80」(住友化学社製)、「LA−77Y」はヒンダードアミン系酸化防止剤である「アデカスタブ LA−77Y」(ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル) セバケート、ADEKA社製)、「LA−52」はヒンダードアミン系酸化防止剤である「アデカスタブ LA−77Y」(テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル) ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート、ADEKA社製)である。
(液晶ポリマーの製造例)
実施例1〜13および比較例1に係る液晶ポリマー用組成物の樹脂ペレットを、80〜120℃に設定した単軸押出機(品名:SZW25GT−24MG−STD、株式会社テクノベル製)に投入し、厚み1.0mmの樹脂シートに成形した。この樹脂シートを15℃に設定した冷却ロールに通してガラス転移温度(Tg)以上且つ相転移温度(Ti)以下に冷却し、引取りロールで巻き取った。このとき、冷却ロールと引取りロールとの間に回転差を付けることにより、樹脂シートを1.5〜10倍に延伸した。さらに、冷却ロールと引取りロールとの間に卓上型UV硬化装置(品名:アイminiグランテージ(ESC−1511U)、アイグラフィックス株式会社製)を設置し、延伸された樹脂シートに高圧水銀ランプまたはメタルハライドランプを光源とした光を照射し、光架橋(硬化)された液晶ポリマーを得た。
Figure 2021178920
比較例1に係る液晶ポリマー用組成物は、加熱溶融時にゲル化することに起因して、溶融粘度の上昇が見られた。一方、実施例1〜13に係る液晶ポリマー用組成物は、80℃に昇温して溶融粘度を測定してもゲル化することなく溶融粘度が測定可能であり、その溶融粘度が低く保たれていた。また、実施例1〜13に係る液晶ポリマー用組成物を延伸、光架橋することにより、熱応答性を示す架橋型液晶ポリマーが得られた。

Claims (7)

  1. 活性水素基を有するメソゲン基含有化合物および酸化防止剤を含有する液晶ポリマー用組成物。
  2. 前記酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤およびヒンダートアミン系酸化防止剤からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載の液晶ポリマー用組成物。
  3. 前記メソゲン基含有化合物が、下記一般式(1):
    Figure 2021178920
    (Xは活性水素基であり、Rは隣接する結合基の一部をなす単結合、−N=N−、−CO−、−CO−O−、または−CH=N−であり、Rは隣接する結合基の一部をなす単結合、または−O−であり、Rは隣接する結合基の一部をなす単結合、または炭素数1〜20のアルキレン基である。ただし、Rが−O−であり、且つRが隣接する結合基の一部をなす単結合であるものを除く。)で表される化合物である請求項1または2に記載の液晶ポリマー用組成物。
  4. 前記メソゲン基含有化合物および前記酸化防止剤と、イソシアネート化合物と、光重合性基含有化合物と、光反応開始剤とを含有する請求項1〜3のいずれかに記載の液晶ポリマー用組成物。
  5. 前記メソゲン基含有化合物、イソシアネート化合物、および光重合性基含有化合物の反応生成物と、前記酸化防止剤と、光反応開始剤とを含有する請求項1〜3のいずれかに記載の液晶ポリマー用組成物。
  6. 活性水素基を有するメソゲン基含有化合物および酸化防止剤を含有する液晶ポリマー用組成物の製造方法であって、
    前記メソゲン基含有化合物中に前記酸化防止剤を分散させる分散工程を有することを特徴とする液晶ポリマー用組成物の製造方法。
  7. 前記分散工程の後、前記メソゲン基含有化合物および前記酸化防止剤を30〜150℃に加熱する乾燥工程を有する請求項6に記載の液晶ポリマー用組成物の製造方法。
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