JP2021171025A - ロタンドンを有効成分とする飲食品のコク味増強剤 - Google Patents

ロタンドンを有効成分とする飲食品のコク味増強剤 Download PDF

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Abstract

【課題】飲食品が有している好ましい自然な香味をベースに、コク味を増強することができるコク味増強剤、および当該コク味増強剤を含有する組成物、ならびに、飲食品に当該コク味増強剤を添加することにより飲食品のコク味を増強する方法、ならびに、おいしさを改善する方法を提供する。【解決手段】ロタンドンを、飲食品に添加することにより、これらの飲食品に不必要な香気・香味を付与することなく、飲食品のコク味を増強し、飲食品の風味を改善できることを見いだした。【選択図】なし

Description

本発明は、コク味増強剤に関する。さらに詳しくは、ロタンドンを有効成分とする飲食品のコク味増強剤、および該コク味増強剤を使用した飲食品のコク味増強方法に関する。
基本味とは、味覚の質を表すもっとも基本的な要素で、生理学的には甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の5種類の味をいう。また、基本味以外の味として、コク味がある。コク味とは、持続性のあるうま味をいい、好ましくはこれに濃厚感が付与された味をいう。
これまでに飲食品のコク味を増強する試みがされており、例えば、ニコチンアミド若しくはその誘導体又はそれらの塩を有効成分として含有する、コク味増強剤が開示されている(特許文献1)。また、特定の低分子ペプチドから選択される1種又は2種以上を有効成分として含むカルシウム受容体活性化作用を有するコク味付与剤が開示されている(特許文献2)。さらに、馬鈴薯由来でDEが2以上5未満であるデキストリンを添加して、低糖や無糖のコーヒー含有飲料や茶飲料にコク味を付与する方法が開示されている(特許文献3)。
香料化合物は嗅覚を刺激する化合物であるが、その種類は数万あるとされる。一方、飲食品の風味は嗅覚刺激と味覚刺激が脳で統合された感覚と考えられている。すなわち、嗅覚刺激は味覚を刺激する化合物(食塩、砂糖、グルタミン酸ナトリウムなど)と組み合され、飲食品全体の風味が形成されている。そこで、近年、香気を有する化合物の中から、嗅覚と同時に味覚を刺激する化合物について探索が盛んとなり、飲食品の総合的な風味の向上に用いられている。
コク味を増強する化合物として、例えば、2−アセチルチアゾール、2−アセチルピリジン、2−アセチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジン、及び2−アセチル−1−ピロリンからなる群より選択される1種以上のアセチル化合物を含有させることにより、油脂含有乳風味飲食品のコク味を増強することが見出されている(特許文献4)。また、ビール様発泡性飲料にシス−2−ノネナールを添加することにより、ビール様発泡性飲料のコク味を増強する方法が記載されている(特許文献5)。さらに、デカナール及び/又はトランス−2−デセナールを、飲食品に対して任意の量添加することにより、飲食品のこく味が増強されることが記載されている(特許文献6)。さらにまた、2,5−ジメチルピラジンまたは2,3,5−トリメチルピラジンを含有してなる調味料を、飲食品中のピラジン化合物類の濃度が0.001〜0.1ppmとなるように添加する、飲食品にコク味を付与する方法が開示されている(特許文献7)。さらにまた、ミント風味経口製品に対して、ミントラクトン、メントフロラクトン、デヒドロメントフロラクトン、ジヒドロミントラクトンおよびエポキシメントフロラクトンから選択される1種以上の化合物を添加することにより、ミント風味経口製品のコク味が増強されることが記載されている(特許文献8)。
ロタンドンは香料用途として有用であり、スパイシー、コショウ様香気が特徴であるシラーズワインおよびそのワイン用のブドウの、スパイシー、コショウ様香気の原因成分であることが報告されている。また、黒コショウや白コショウには数ppm含有され、それらの重要香気成分であること、マジョラム、オレガノ、ローズマリー、バジル、タイムなどのスパイス中にも微量含まれていることが報告されている(非特許文献1)。また、柑橘香味増強剤(特許文献9)および果実香味増強剤(特許文献10)としての用途が知られている。しかしながら、ロタンドンは香料としての用途が知られているものの、飲食品に添加することによりコク味を増強する効果については、全く知られていなかった。
特開2011−125316号公報 特開2011−115186号公報 特開2012−115247号公報 特開2017−029040号公報 特開2019−118327号公報 特開2014−45766号公報 特許第3929170号公報 特許第6530853号公報 特開2016−198025号公報 特開2016−198026号公報
Journal of Agricultural and Food Chemistry、2008年、56巻10号、p3738−3744
本発明の目的は、飲食品に添加することにより、不快な味や香気を感じさせることなく、コク味を増強することができる、様々な飲食物に利用できる汎用性の高さという多くの利点を併せ持った飲食品用のコク味増強剤を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行ってきた結果、ロタンドンを飲食品に添加することにより、これらの飲食品に不必要な香気・香味を付与することなく、飲食品のコク味を増強し、飲食品の風味を改善できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
ロタンドンは前述のとおり、シラーワインやそのワイン用のブドウおよびコショウの香気成分として知られているが、飲食品のコク味を増強する効果は知られていなかった。
コショウの香気成分であるロタンドンを単独で使用した場合、その香気特性と閾値からスパイス、コショウ様の香味を付与することが予想された。しかしながら、驚くべきことに、飲食品、特に、コク味を有する飲食品に対し極微量使用すると、ロタンドンのスパイス、コショウ様の香気は感じられず、飲食品のコク味が増強され、コク味が不足していると感じられる飲食品に対して、適度なコク味を付与することを見出した。
かくして本発明は以下のものを提供する。
(1)ロタンドン[(3S,5R,8S)−5−イソプロペニル−3,8−ジメチル−3,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1(2H)−アズレノンおよび/または(3R,5R,8S)−5−イソプロペニル−3,8−ジメチル−3,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1(2H)−アズレノン]からなる飲食品のコク味増強剤。
(2)(1)に記載のコク味増強剤を0.1ppt〜1ppm含有する、飲食品のコク味増強組成物。
(3)(1)に記載のコク味増強剤を、飲食品に0.001ppt〜1ppb含有させる、飲食品のコク味増強方法。
本発明によれば、飲食品に添加することにより、不快な味や香気を感じさせることなく、コク味を増強することができ、飲食品の風味を改善することができる。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
本発明において、%、ppm、ppb、pptの値はそれぞれ質量対質量の値を示す。
本発明におけるコク味とは、一般的に定義されるコク味と違いはないが、特に、味の基本要素の周辺に有する厚み、広がり、持続性、まとまり等を指し、コク味が増強されることにより、飲食品のおいしさを引き上げる効果を有する。
また、本発明におけるコク味とは、コンソメスープや鶏がらスープのようなスープや、かつお節だしなどの天然素材の持つ呈味であり、後味の厚み、広がりを表現するものである。さらに、ビール風味飲料、コーヒー、紅茶などの飲料においても、後味の厚み、広がりを有し、これがコク味とされる。さらにまた、チーズ、バター、ヨーグルト等の乳製品についても後味の厚み、広がりといったコク味を有しており、これが飲食品のおいしさに結び付く。
ロタンドンは、一般的には(3S,5R,8S)−5−イソプロペニル−3,8−ジメチル−3,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1(2H)−アズレノンのことを指すが、本明細書において「ロタンドン」という場合には、これの異性体である、(3R,5R,8S)−5−イソプロペニル−3,8−ジメチル−3,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1(2H)−アズレノンも含める。
本発明の有効成分である(3S,5R,8S)−5−イソプロペニル−3,8−ジメチル−3,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1(2H)−アズレノン(以下(−)−ロタンドンと記す)は、非特許文献1に記載の方法により合成するか、市販のコショウ精油から蒸留法、クロマト法を単独あるいは組み合わせる分画方法で得ることができる。
また、本発明の有効成分である(3R,5R,8S)−5−イソプロペニル−3,8−ジメチル−3,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1(2H)−アズレノン(以下3−エピロタンドンと記す)は、特開2017−206451号公報に記載の方法により合成することができる。
本発明の(−)−ロタンドンおよび3−エピロタンドンはそれぞれ単独でまたは混合物で飲食品に添加することにより、コク味増強効果を有することができる。
飲食品、例えば、コク味を有する飲食品に対し、本発明の化合物である、ロタンドンを、そのまま飲食品に配合することにより、これらの飲食品に不必要な香気・香味を付与することなく、飲食品のコク味を増強し、飲食品の風味を改善することができる。また、豊富な食経験に裏打ちされた高い安全性、日常的に手軽に入手できる安価な原材料で達成可能な高いコストパフォーマンスという多くの利点を併せ持った飲食品用のコク味増強剤を提供することができる。さらに、コク味を増強することで、味の基本要素の周辺に広がる厚み、広がり、持続性、まとまり等が不十分である飲食品のおいしさを引き上げる効果を有する。
本発明のロタンドンの飲食品中への配合量は、その目的あるいは飲食品の種類によっても異なるが、飲食品の全体質量に対して下限値としては、0.001ppt、0.002ppt、0.005ppt、0.01ppt、0.02ppt、0.05ppt、0.1ppt、0.2pptが例示でき、上限値としては、1ppb、0.5ppb、0.2ppb、0.1ppb、50ppt、20ppt、10ppt、5pptが例示でき、これら下限及び上限値の任意の組み合わせを挙げることができる。例えば、飲食品の全体重量に対して0.001ppt〜1ppb(本明細書においては「〜」は上限値および下限値を含む範囲を意味する)、好ましくは0.005ppt〜0.5ppb、さらに好ましくは0.01ppt〜0.1ppb、より好ましくは0.05ppt〜50ppt、特に好ましくは0.1ppt〜10pptの範囲を例示することができる。これらの範囲内では、飲食品に対しコク味を増強する優れた効果を有する。
本発明のコク味増強剤は、単独で飲食品に添加することもできるが、香料成分と任意に組み合わせて、飲食品用のコク味増強組成物として使用することもできる。本発明のコク味増強剤と共に含有しうる他の香料成分としては、各種の合成香料、天然香料、天然精油、植物エキスなどを挙げることができる。例えば、「特許庁、周知慣用技術集(香料)第II部食品香料」または「合成香料、化学と商品知識、増補新版、化学工業日報発行」に記載されている天然精油、天然香料、合成香料を挙げることができる。
これらの成分として、食品用香料(香料組成物およびコク味増強組成物)の素材として、例えば、炭化水素化合物としてα−ピネン、β−ピネン、ミルセン、カンフェン、リモネンなどのモノテルペン、バレンセン、セドレン、カリオフィレン、ロンギフォレンなどのセスキテルペン、1,3,5−ウンデカトリエンなど;アルコール化合物としてブタノール、ペンタノール、ヘキサノールなどの飽和アルカノール類、プレノール、(Z)−3−ヘキセン−1−オール、2,6−ノナジエノールなどの不飽和アルコール類、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、テトラヒドロミルセノール、ファルネソール、ネロリドール、セドロールなどのテルペンアルコール類、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、フルフリルアルコールなどの芳香族アルコール類;アルデヒド化合物としてアセトアルデヒド、ヘキサナール、デカナールなどの飽和アルデヒド、(E)−2−ヘキセナール、2,4−オクタジエナールなどの不飽和アルデヒド類、シトロネラール、シトラールなどのテルペンアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナミルアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、フルフラール、ヘリオトロピンなどの芳香族アルデヒド類、ケトン化合物として2−ヘプタノン、2−ウンデカノン、1−オクテン−3−オンなどの飽和および不飽和ケトン類、アセトイン、ジアセチル、2,3−ペンタジオン、マルトール、エチルマルトール、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノンなどのジケトンあるいはヒドロキシケトン類、カルボン、メントン、ヌートカトンなどのテルペンケトン類、α−イオノン、β−イオノン、β−ダマセノンなどのテルペン分解物に由来するケトン類、ラズベリーケトンなどの芳香族ケトン類;フラン・エーテル化合物としてローズオキシド、リナロールオキシド、メントフラン、テアスピランなどの環状エーテル類;エステル化合物として酢酸エチル、酢酸イソアミルなどの脂肪族アルコールの酢酸エステル類、酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、酢酸ラバンジュリルなどのテルペンアルコール酢酸エステル類、酪酸エチル、カプロン酸エチルなどの脂肪酸と低級アルコールエステル類、酢酸ベンジル、サリチル酸メチルなどの芳香族エステル類;ラクトン化合物としてγ−デカラクトン、γ−ドデカラクトン、δ−デカラクトン、δ−ドデカラクトンなどの飽和ラクトン類、7−デセン−4−オリド、2−デセン−5−オリドなどの不飽和ラクトン類;酸化合物として酪酸、オクタン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの飽和・不飽和脂肪酸類;含窒素化合物としてインドール、スカトール、ピリジン、アルキル置換ピラジン、アントラニル酸メチルなど;含硫化合物としてメタンチオール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、アリルイソチオシアネートなどが挙げられる。
これらの、合成香料に関しては、市場で容易に入手可能であり、必要により容易に合成することもできる。
また、各種のエキスとしてハーブ・スパイス抽出物、コーヒー・緑茶・紅茶・ウーロン茶抽出物、乳または乳加工品およびこれらのリパーゼ・プロテアーゼなどの酵素分解物も挙げられる。
また、コク味増強組成物の素材としては、前記食品用香料の素材に加え、さらに、グルタミン酸ナトリウム、アスパラギン酸などのアミノ酸類、イノシン酸、グアニル酸、アデニル酸、ウラジル酸シチジル酸などの核酸類及びその塩類、酵母エキス、コハク酸などの有機酸類、リボース、キシロース、アラビノース、グルコース、フラクトース、ラムノース、ラクトース、マルトース、シュークロース、トレハロース、セロビオース、マルトトリオース、水飴などの糖類などが挙げられる。
本発明のコク味増強剤またはコク味増強組成物はそのまま飲食品に添加して使用することができるが、水混和性有機溶媒に溶解した溶液、乳化製剤、粉末製剤などして飲食品に添加することもできる。
本発明のコク味増強剤またはコク味増強組成物を溶解するための水混和性有機溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、2−プロパノール、グリセリン、プロピレングリコールなどを例示することができる。これらのうち、飲食品への使用の観点から、エタノール、グリセリンまたはプロピレングリコールが特に好ましい。
また、乳化製剤とするためには、本発明のコク味増強剤またはコク味増強組成物を乳化剤と共に乳化して得ることができる。例えば、キラヤ抽出物、酵素処理レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、アラビアガムなどの乳化剤ないし安定剤の1種以上を配合して、例えば、ホモミキサー、コロイドミル、高圧ホモジナイザーなどを用いて乳化することにより乳化香料製剤の形態とすることもできる。かかる乳化剤ないし安定剤の使用量は乳化剤ないし安定剤の種類などにより異なるが、例えば、乳化香料製剤の質量を基準として0.1〜25質量%の範囲、好ましくは5〜20質量%の範囲内を挙げることができる。
さらに、例えば、前記乳化香料製剤に砂糖、乳糖、ブドウ糖、トレハロース、セロビオース、水飴、還元水飴などの糖類;糖アルコール類;デキストリンなどの各種デンプン分解物およびデンプン誘導体、デンプン、ゼラチン、アラビアガムなどの天然ガム類などの賦形剤を適宜配合した後、例えば、噴霧乾燥、真空乾燥などの適宜な乾燥手段により乾燥して粉末香料製剤の形態とすることもできる。これらの賦形剤の配合量は粉末香料製剤に望まれる特性などに応じて適宜に選択することができる。
コク味増強剤またはコク味増強組成物により、コク味を増強することができる飲食品の具体例としては、コーラ飲料、果汁入り炭酸飲料、乳類入り炭酸飲料などの炭酸飲料類;果汁飲料、野菜飲料、スポーツドリンク、ハチミツ飲料、豆乳、ビタミン補給飲料、ミネラル補給飲料、栄養ドリンク、滋養ドリンク、乳酸菌飲料、乳飲料などのソフト飲料類;緑茶、紅茶、ウーロン茶、ハーブティー、ミルクティー、コーヒー飲料などの嗜好飲料類;チューハイ、カクテルドリンク、発泡酒、果実酒、薬味酒などのアルコール飲料類;バター、チーズ、ミルク、ヨーグルトなどの乳製品;アイスクリーム、ラクトアイス、シャーベット、ヨーグルト、プリン、ゼリー、デイリーデザートなどのデザート類及びそれらを製造するためのミックス類;キャラメル、キャンディー、錠菓、クラッカー、ビスケット、クッキー、パイ、チョコレート、スナックなどの菓子類及びそれらを製造するためのケーキミックスなどのミックス類;菓子パンなどを含むパン;味噌、醤油、だし、ドレッシング、マヨネーズなどの調味料;焼き肉、焼き鳥、鰻蒲焼きなどに用いられるタレやトマトケチャップなどのソース類;お吸い物、出汁類(牛、豚、魚介類)、コンソメスープ、卵スープ、ワカメスープ、フカヒレスープ、ポタージュ、みそ汁などのスープ類;麺・パスタ類(そば、うどん、ラーメン、パスタなど)のつゆ;おかゆ、雑炊、お茶漬けなどの米調理食品;ハム、ソーセージ、チーズなどの畜産加工品;蒲鉾などの練り製品;レトルト食品、佃煮、総菜並びに冷凍食品など;干物、塩辛、珍味などの水産加工品;漬物などの野菜加工品、ポテトチップス、煎餅、クッキーなどの菓子スナック類;煮物、揚げ物、焼き物、カレー;、歯磨きなどの口腔用組成物を挙げることができる。
また、本発明のコク味増強剤は、その他公知、市販されているコク味増強を目的とするための各種添加剤と組み合わせて用いても良い。
本発明のロタンドンの、コク味増強組成物への含有量は、その目的あるいはコク味増強組成物の種類によっても異なるが、コク味増強組成物の全体質量に対して下限値としては、0.1ppt、0.2ppt、0.5ppt、1ppt、2ppt、5ppt、10ppt、20pptが例示でき、上限値としては、1ppm、0.5ppm、0.2ppm、0.1ppm、50ppb、20ppb、10ppb、5ppbが例示でき、これら下限及び上限値の任意の組み合わせを挙げることができる。特に、0.1ppt〜1ppm(本明細書においては「〜」は上限値および下限値を含む範囲を意味する)、好ましくは0.5ppt〜0.5ppm、さらに好ましくは1ppt〜0.1ppm、より好ましくは5ppt〜50ppb、特に好ましくは10ppt〜10ppbの範囲を例示することができる。これらの範囲内では、飲食品のコク味を増強する優れた効果を有する。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明における(−)−ロタンドンは、非特許文献1に記載されている方法に従って合成した。また、本発明における3−エピロタンドンは、特開2017−206451に記載の方法に従って合成した。
実施例1:コク味増強の効果
0.3質量%のグルタチオン水溶液(コントロール)、および、0.3質量%グルタチオン水溶液に(−)−ロタンドンまたは3−エピロタンドンを表1に示す濃度に溶解させた溶液を調製した。それぞれの溶液をよく訓練された10名のパネリストにより味わうことにより、コク味の増強についての官能評価を行った。
コク味の評点は、0.3質量%のグルタチオン水溶液をコントロールとして、0:コントロールと差なし、1:コントロールと比べごくわずかにコク味を感じる、2:コントロールと比べわずかにコク味を感じる、3:コントロールと比べコク味あり、4:コントロールと比べ強いコク味あり、5:コントロールと比べ非常に強いコク味あり、として採点した。そのパネリスト10名の平均点を表1に示す。
Figure 2021171025
表1に示した通り、(−)−ロタンドンまたは3−エピロタンドンを単独でグルタチオン水溶液に添加した場合に、その水溶液はグルタチオン水溶液と比較してコク味を有していた。また、その濃度としては、質量を基準として、0.001ppt〜1ppbの範囲内でコク味が増強されることが認められた。ただし、10ppbの添加濃度では、コク味は増強するが、ロタンドンが有するスパイシー様の香気特性が出てしまい、呈味バランスを欠くとの結果であった。
参考例1:水蒸気蒸留によるカツオ節フレーバーの調製
5リットル容の水蒸気蒸留釜に鰹荒節粉砕物200gおよび水1800gを仕込み、釜の下部より水蒸気を吹き込み、約100℃で約3時間水蒸気蒸留を行った。留出する揮発性香気成分を含んだ水蒸気を水冷式ガラス冷却管に導き、約20℃に冷却し、凝縮させることにより回収香400gを得た。得られた回収香400gにODO(登録商標:日清オイリオ社製の中鎖脂肪酸トリグリセライドの商品名)40gを添加して、室温下30分撹拌抽出した。抽出後60分静置し、油層部をデカント分離し、分離した油層部を無水硫酸ナトリウムにて脱水し、濾紙濾過してカツオ節フレーバー(参考品1)38gを得た。
参考例2:含水アルコール抽出によるカツオ節フレーバーの調製
3リットル容のフラスコに鰹本枯節粉砕物200gおよび80%含水アルコール100gを加え、80〜85℃にて3時間撹拌抽出した。抽出後、遠心分離、濾過して抽出液800gを得、減圧下にてアルコールを回収しカツオ節フレーバー(参考品2)15gを得た。
参考例3:香料化合物の調合によるカツオ節フレーバーの調製
表2に示す以下の各成分を調合した(参考品3)
Figure 2021171025
比較品1:カツオ節様コク味増強組成物の調製
カツオ節様のコク味増強組成物として、下記の各成分(質量部)を調製した(比較品1)。
参考品1 10
参考品2 25
参考品3 0.5
アルコール 35
水 29.5
合計 100
実施例2:コク味増強組成物によるコク味増強の効果
上記比較品1に、(−)−ロタンドンまたは3−エピロタンドンを1ppt、10ppt、100ppt、1ppb、10ppb、0.1ppm、1ppm、10ppmとなるように添加し、コク味増強組成物を調製した。0.3質量%のグルタチオン水溶液に、比較品1を0.1%溶解した溶液をコントロール品(比較品2)として、それぞれのコク味増強組成物を0.3質量%のグルタチオン水溶液に、0.1%溶解させたものについてよく訓練されたパネリスト10名によりコク味の官能評価を行った。
コク味の評点は、比較品2をコントロールとして、0:コントロールと差なし、1:コントロールと比べごくわずかにコク味を感じる、2:コントロールと比べわずかにコク味を感じる、3:コントロールと比べコク味あり、4:コントロールと比べ強いコク味あり、5:コントロールと比べ非常に強いコク味あり、として採点した。パネリスト10名の平均点を表3に示す。
Figure 2021171025
表3に示した通り、(−)−ロタンドンまたは3−エピロタンドンを単独で比較品1に添加した場合に、その水溶液は比較品1と比較してより強いコク味を有していた。特に効果があるのは、比較品1に対して、1ppt〜1ppmを添加した時であった。ただし、10ppmの添加濃度では、コク味は増強するが、ロタンドンが有するスパイシー様の香気特性が出てしまい、呈味バランスを欠くとの結果であった。
実施例3:チキンコンソメスープへの添加
市販のチキンコンソメスープ用粉末10gに熱湯を加えて全量を600mLとし、チキンコンソメスープを調製した。これに(−)−ロタンドンまたは3−エピロタンドンをチキンコンソメスープに対してそれぞれ単独で0.1ppmとなるように添加したものを調製した。よく訓練された10名のパネリストにより味わうことにより、コク味についての官能評価を行った。その結果、10名全員が、(−)−ロタンドンまたは3−エピロタンドンをそれぞれ単独で0.1ppmとしたチキンコンソメスープの方が、無添加のチキンコンソメスープと比較してコク味が増強されているという評価であった。
実施例4:鶏がらスープへの添加
市販の鶏がらスープ用粉末10gに熱湯を加えて全量を600mLとし、鶏がらスープを調製した。これに(−)−ロタンドンおよび3−エピロタンドンを鶏がらスープに対して各0.02ppm、合計0.04ppmとなるように添加したものを調製した。よく訓練された10名のパネリストにより味わうことにより、コク味についての官能評価を行った。その結果、10名中9名が、(−)−ロタンドンおよび3−エピロタンドンを計0.04ppmとした鶏がらスープの方が、無添加の鶏がらスープと比較してコク味が増強されているという評価であった。
実施例5:カツオブシ様調合香料組成物のめんつゆへの添加
下記表4の処方により、カツオブシ様の調合香料組成物(香気の付与に加えて、コク味を付与するタイプ)を調合した。
Figure 2021171025
下記表5の処方によりめんつゆを調製し、これに表4に示すカツオブシ様調合香料組成物を0.02%添加したものを調製した。
Figure 2021171025
カツオブシ様調合香料組成物無添加のめんつゆと、添加しためんつゆを、よく訓練された10名のパネリストにより味わうことにより、官能評価を行った。その結果、10名のパネリスト全員が、本発明のカツオブシ様調合香料組成物を添加した方が、無添加のめんつゆと比較して、コク味が増強されているという評価であった。
実施例6:ブラックコーヒーへの添加
市販無糖ブラックコーヒーに、(−)−ロタンドンまたは3−エピロタンドンを表6に示す濃度を添加した。それぞれのブラックコーヒーについて、よく訓練された10名のパネリストにより味わうことにより、コク味の増強についての官能評価を行った。
コク味の評点は、(−)−ロタンドンまたは3−エピロタンドンの無添加の市販無糖ブラックコーヒーをコントロールとして、0:コントロールと差なし、1:コントロールと比べごくわずかにコク味を感じる、2:コントロールと比べわずかにコク味を感じる、3:コントロールと比べコク味あり、4:コントロールと比べ強いコク味あり、5:コントロールと比べ非常に強いコク味あり、として採点した。そのパネリスト10名の平均点を表6に示す。
Figure 2021171025
表6に示した通り、(−)−ロタンドンまたは3−エピロタンドンを単独でブラックコーヒーに添加した場合に、その添加したブラックコーヒーは無添加のブラックコーヒーと比較してコク味を有していた。また、その濃度としては、質量を基準として、0.001ppt〜1ppbの範囲内でコク味が増強されることが認められた。ただし、10ppbの添加濃度では、コク味は増強するが、ロタンドンが有するスパイシー様の香気特性が出てしまい、呈味バランスを欠くとの結果であった。
実施例7:紅茶希釈液への添加
茶葉(インド・アッサム産、CTC製法)1Kgに95℃イオン交換水20Kgを加え、5分間ゆっくり攪拌した後、100メッシュ金網を用いて、茶葉を分離し、分離した液を20℃に冷却し抽出液13.82Kgを得た。得られた抽出液にアスコルビン酸ナトリウム7.0g(500ppm)を加え、濾紙濾過を行い、紅茶飲料原液13.51Kgを得た(Bx:2.32°、pH:5.4、タンニン含量(酒石酸鉄法):0.61%)。この紅茶飲料原液にイオン交換水をBx0.3°となる量(90.7Kg)および、アスコルビン酸ナトリウムを全体量に対し0.04%(41.8g)加え、紅茶希釈液とした。
この紅茶希釈液に(−)−ロタンドンを10ppt添加し、無添加の紅茶希釈液をコントロールとして、よく訓練されたパネリスト10名によりコク味の官能評価を行った。その結果、パネリスト10名すべてが、無添加の紅茶希釈液と比較して、(−)−ロタンドンを添加した紅茶希釈液のほうがコク味が増強されているという評価であった。
実施例8:ノンアルコールビールへの添加
市販のノンアルコールビールに(−)−ロタンドンを10ppt添加し、無添加のノンアルコールビールをコントロールとして、よく訓練されたパネリスト10名によりコク味の官能評価を行った。その結果、パネリスト10名すべてが、無添加のノンアルコールビールと比較して、(−)−ロタンドンを添加したノンアルコールビールのほうが、コク味が増強されているという評価であった。
実施例9:ミルクコーヒーへの添加
市販のミルクコーヒーに(−)−ロタンドンを10ppt添加し、無添加のミルクコーヒーをコントロールとして、よく訓練されたパネリスト10名によりコク味の官能評価を行った。その結果、パネリスト10名すべてが、無添加のミルクコーヒーと比較して、(−)−ロタンドンを添加したミルクコーヒーのほうが、コク味が増強されているという評価であった。

Claims (3)

  1. ロタンドンからなる飲食品のコク味増強剤。
  2. 請求項1に記載のコク味増強剤を0.1ppt〜1ppm含有する、飲食品のコク味増強組成物。
  3. 請求項1に記載のコク味増強剤を、飲食品に0.001ppt〜1ppb含有させる、飲食品のコク味増強方法。
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