JP2021169184A - 積層体、積層体の製造方法、および有機素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】シンプルな構成でも高度なガスバリア性を有し、さらに、耐薬品性や耐擦傷性に優れる積層体を提供する。【解決手段】基材の少なくとも片面に、ケイ素、金属元素および酸素を含むA層とケイ素を含むB層をこの順に有する積層体。【選択図】図1

Description

本発明は、高いガスバリア性が必要とされる材料などに使用される積層体に関する。
フィルム基材の表面に、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法(PVD法)、または、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD法)等を利用して、無機物(無機酸化物を含む)の蒸着層を形成してなるガスバリア性フィルムは、水蒸気や酸素などの各種ガスの遮断を必要とする食品や医薬品などの包装材および電子ペーパー、太陽電池などの電子デバイス部材として用いられており、それらの部材において、水蒸気透過度5.0×10−3g/(m・24hr・atm)以下の高いガスバリア性が求められている。
高いガスバリア性を満たす方法の1つとして、有機層と無機層を交互に多層積層させることで、穴埋め効果により欠陥の発生を防止したガスバリア性フィルム(特許文献1)や、ZnOとSiOを主成分とするターゲットを用いてスパッタリングすることで、ZnO−SiO系膜をフィルム基材上に形成したガスバリア性フィルム(特許文献2)が提案されている。
特開2005−324406号公報 特開2013−147710号公報
しかしながら、特許文献1のように有機層と無機層を交互に多層積層させることにより、高いバリア性を発現させることは可能であるが、積層させることから工程数が多くなり高コストとなる問題点があった。また、特許文献2のようにZnOとSiOを主成分としたガスバリア層を形成する積層体は、単一層で高いバリア性を発現させることは可能である一方、ZnOは耐薬品性に乏しくガスバリア層が耐薬品性に乏しくなったり、ガスバリア層の膜厚を薄くすると耐擦傷性に乏しくなり、フィルム搬送や後加工時にキズがつきやすくなったりする問題があった。
本発明の課題は、かかる従来技術の背景に鑑み、シンプルな構成でも高度なガスバリア性を有し、さらに、耐薬品性や耐擦傷性に優れる積層体を提供することである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用する。すなわち、以下である。
(1)基材の少なくとも片面に、ケイ素、金属元素および酸素を含むA層とケイ素を含むB層をこの順に有する積層体。
本発明によれば、水蒸気に対する高度なガスバリア性と耐薬品性を有する積層体を提供することができる。
本発明の積層体の一例を示した断面図である。 本発明の積層体の一例を示した断面図である。 本発明の積層体を製造するための巻き取り式電子線蒸着装置を模式的に示す概略図である。 本発明の積層体を製造するための材料配置を上部から模式的に表す図である。 本発明の積層体を製造するための巻き取り式のスパッタリング装置を模式的に示す概略図である。 本発明の積層体を製造するための巻き取り式電子線蒸着装置を模式的に示す概略図である。
[積層体]
本発明の積層体の好ましい一態様は、基材の少なくとも片面に、ケイ素、金属元素および酸素を含むA層とケイ素を含むB層をこの順に有する積層体である。
本態様とすることにより高度なガスバリア性を有し、さらに、耐薬品性や耐擦傷性に優れる積層体とすることができる。なお、本発明において、金属元素はケイ素以外の金属元素であることとする。
A層に含まれる金属元素は、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、タンタル、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、スズ等が挙げられる。ガスバリア性の観点から、前記A層の金属元素がマグネシウム、カルシウム、および亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、蒸着性、光学特性の観点から、マグネシウムであることがさらに好ましい。
A層に含まれるケイ素および金属元素の形態は、酸化物、窒化物、酸化窒化物、炭化物などに限定されないが、非晶質膜を形成することやガスバリア性の観点から、酸化物、窒化物、酸化窒化物および炭化物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物として含有されていることが好ましく、酸化物、窒化物、および酸化窒化物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物として含有されていることがより好ましい。その中でも、酸化マグネシウムおよび酸化ケイ素を含むことがさらに好ましい。A層にケイ素、金属元素および酸素を含んでいれば、その他の無機化合物が含まれていても構わない。
A層が酸素を含むとは、X線光電子分光法(XPS)で評価を行った場合に、SiO膜の換算厚みで、A層最表面からA層の厚みが1/2となる位置までアルゴンイオンエッチングを行った箇所において、酸素原子の含有比率が10.0atm%以上であることを言う。透明性や緻密性などの観点より、酸素原子の含有比率は20.0atm%以上であることが好ましく、40.0atm%以上であることがより好ましい。A層最表面はA層が基材と最も近接する面と反対面のことを指す。
B層含まれるケイ素の形態は、ガスバリア性の観点より、酸化物、窒化物、酸化窒化物、炭化物などが好ましく、光学特性の観点から、酸化物、窒化物、および酸化窒化物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物として含有されていることがより好ましい。
本発明において、A層とB層とを基材側からこの順に有することが好ましい。A層はケイ素、金属元素および酸素を含むことで緻密な複合酸化物膜を形成し、高いガスバリア性を発現できる。A層の欠陥を埋め、ガスバリア性を補完し、さらに耐薬品性、耐擦傷性を付与することができるため、A層上にB層を形成することが好ましい。A層とB層を入れ替えた場合には、所望のガスバリア性および耐薬品性、耐擦傷性が得られない場合がある。
A層とB層とを基材側からこの順に有していれば、基材とA層との間やB層上などに他の層が存在していても構わない。例えば、基材を平滑化するために基材とA層との間にアンカーコート層を設けることが挙げられる。また、さらなる耐薬品性や粘着剤などとの密着性を付与するためにB層上にウェットコート層やドライコート層を設けることが挙げられる。また、A層とB層との間に他の層が存在していてもよい。
ここで層とは、厚み方向に向かって、隣接する部位と区別可能な境界面を有し、かつ有限の厚みを有する部位を指す。それらは透過型電子顕微鏡(TEM)による断面観察により、区別することが出来る。より具体的には、前記積層体の断面をTEMにて断面観察した際、不連続な境界面の有無により区別されるものを指す。組成が変わっていても、その間に前述の境界面がない場合には、1つの層として取り扱う。
本発明において、ガスバリア性と耐薬品性の観点から、A層とB層が異なる含有元素もしくは組成比率で構成されていることが好ましい。例えば、A層の含有元素がM,Mであり、B層の含有元素がM,M,Mで構成されている場合には、異なる元素で構成されているとみなす。A層の含有元素M,M,Mであり、同様にB層の含有元素もM,M,Mで構成されている場合には、同一元素で構成されているとみなす。ただし、A層とB層の含有元素が同一であっても、前述のとおり、断面TEMにおいて厚み方向に向かって、隣接する部位と区別可能な境界面を有する場合には、別々の層として区別する。例えば、含有元素が同一であっても、膜組成比率が大きく異なり膜密度が大きく異なる場合や結晶構造が大きく異なる場合などに起こりうる。
上記具体的な態様として、例えば、密着性の観点から、B層にケイ素以外の金属元素として、スズ、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、ニオブ、タンタル、およびインジウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むことが好ましい。成膜性、耐薬品性の観点より、スズ、ジルコニウム、チタンがより好ましい。また、それらの形態として、酸化物、窒化物、酸化窒化物、炭化物などに限定されないが、ガスバリア性、光学特性の観点から、酸化物、窒化物、酸化窒化物として存在することが好ましい。その中でも、酸化スズおよび酸化ケイ素または酸化ジルコニウムおよび酸化ケイ素を含むことがさらに好ましい。
本発明のA層は、陽電子ビーム法(薄膜対応陽電子消滅寿命測定法)(「陽電子計測の科学」(日本アイソトープ協会)I章1節,V章2節参照)により測定される平均寿命が0.935ns以下であることが好ましい。陽電子ビーム法は、陽電子消滅寿命測定法の一つであり、陽電子が試料に入射してから消滅するまでの時間(数百ps〜数十nsオーダー)を測定し、その消滅寿命から約0.1〜10nmの空孔の大きさ、数濃度、さらには大きさの分布に関する情報を非破壊的に評価する手法である。陽電子線源として放射性同位体(22Na)の代わりに陽電子ビームを用いる点が、通常の陽電子消滅法と大きく異なり、シリコンや石英基板上に製膜された数百nm厚程度の薄膜の測定を可能とした手法である。得られた測定値から非線形最小二乗プログラムPOSITRONFITにより、平均細孔半径や細孔の数濃度を求めることが出来る。サブnmオーダーの細孔や基本骨格に対応するものは、第3成分および第4成分の平均寿命を解析することで得られる。
ここで、第3成分とは、陽電子ビーム法による平均寿命の測定条件として3成分に対する解析を選択することにより得られた平均寿命をいい、第4成分とは、陽電子ビーム法による平均寿命の測定条件として4成分に対する解析を選択することにより得られた平均寿命をいう。POSITRONFITにより解析をする際には、逆ラプラス変換法に基づく分布解析プログラムCONTINを用いて算出した細孔半径分布曲線で得られたピーク数から、POSITRONFITの成分数を決定する。POSITRONFITから算出した平均細孔半径とCONTINの細孔半径分布曲線のピーク位置が一致していることで、解析が妥当であることを判断する。本発明でいう平均寿命は、第3成分の平均寿命のことを指す。 陽電子ビーム法の分析において、A層上にB層やその他の層が存在する場合には、その層を除去した後、A層が最表面となるようにしてから分析を行う。A層上の層を除去する方法としては、ウェットエッチングやドライエッチング、テーマ剥離などの方法が用いられる。
平均寿命が0.935ns以下であることにより、A層が緻密であり、高いガスバリア性を発現することができる。ガスバリア性の観点から、陽電子ビーム法により測定される平均寿命は0.912ns以下であることが好ましく、0.863ns以下がより好ましい。また、平均寿命の下限は特に限定されないが、0.542ns以上であることが好ましい。平均寿命が0.542ns以上であることにより屈曲性を十分なものとすることができる。
本発明で規定する、A層の陽電子ビーム法により測定される平均寿命が0.935ns以下とするためには、例えば算術平均粗さRaが3.0nm以下の基材上に、複合酸化物膜を適した組成比率で緻密に形成することにより達成される。ここでいう緻密に形成するとは、それぞれの酸化物が原子レベルで混ざり合い緻密なネットワークを形成している状態をいう。
本発明のA層は、X線光電子分光により測定される酸素原子(O1s)のピークの半値幅が3.25eV以下であることが好ましい。半値幅は、ピークの最大値をFmaxとした場合、ピークの強度がFmax/2の時のピーク幅のことを言う。O1sのピークの半値幅が狭い方が均一な結合のネットワーク構造が形成されることから、緻密な膜となりやすい。結合の均一性、バリア性の観点より、3.00eV以下がより好ましく、2.75eV以下が更に好ましい。また、下限は特に限定されないが、1.65eV以上であることが好ましい。
本発明のA層の組成について、マグネシウム(Mg)原子濃度が5〜50(atm%)、
ケイ素(Si)原子濃度が2〜30(atm%)、酸素(O)原子濃度が45〜70(atm%)の積層体であることが好ましい。なお、〜は、以上、以下を表す。
A層の組成比率はX線光電子分光法(XPS)により測定することができる。アルゴンイオンエッチングによりB層を除去した後、A層の厚みが1/2となる位置まで、表層側からアルゴンイオンエッチングにより層を除去して各元素の含有比率を測定する。
A層は結晶層になりクラックが入りやすくなることを抑制する観点からマグネシウム原子濃度が50atm%以下、および/またはケイ素原子濃度が2atm%以上であることが好ましい。
A層中のシリケート結合の割合を十分なものとし、緻密性を向上させてガスバリア性を発現する観点からマグネシウム原子濃度が5atm%以上、および/またはケイ素原子濃度が30atm%以下であることが好ましい。シリケート結合とは、ケイ素(Si)と金属(M)の酸素(O)を介した結合であり、Si−O−Mと記載することができる。
マグネシウムやケイ素が酸化不足となり光線透過率が低下することを抑制する観点から、酸素原子濃度が45atm%以上であることが好ましい。また、酸素が過剰に取り込まれ空隙や欠陥が増加することを抑制し、ガスバリア性を発現する観点から、酸素原子濃度が70atm%以下であることが好ましい。
上記観点から、本発明のA層の組成について、マグネシウム原子濃度が8〜35(atm%)、ケイ素原子濃度が6〜25(atm%)、酸素原子濃度が50〜65(atm%)であることがより好ましく、マグネシウム原子濃度が15〜30(atm%)、ケイ素原子濃度が8〜20(atm%)、酸素原子濃度が50〜65(atm%)であることがさらに好ましい。
また、原子濃度(atm%)の比において、(Mg+Si):O=1:1.25〜2であることが好ましい。ガスバリア性、光学特性の観点より、(Mg+Si):O=1:1.40〜1.75であることがより好ましい。
本発明のA層の組成について、マグネシウム(Mg)原子とケイ素(Si)原子の原子濃度(atm%)比率Mg/(Mg+Si)が、0.45〜0.80であることが好ましい。原子濃度(atm%)比率が、Mg/(Mg+Si)≧0.45であることにより、A層中のシリケート結合の割合を十分なものとし、緻密性を向上させてガスバリア性を発現することができる。原子濃度(atm%)比率がMg/(Mg+Si)≦0.80であることにより、A層中に結晶部が存在することを抑制し、クラックが入りやすくなることを抑えることができる。同様の観点より、原子濃度(atm%)比率Mg/(Mg+Si)は0.50〜0.78がより好ましく、0.55〜0.76がさらに好ましい。
本発明におけるA層の厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)による評価で得ることができる。A層の厚みは5nm以上が好ましく、500nm以下が好ましい。厚みが5nm以上であることにより層として形成されない領域が発生してガスバリア性が確保できなくなることを抑制できる。また、A層の厚みが500nm以下であることによりクラックが入りやすくなったりすることを抑制でき、耐屈曲性や延伸性も向上することができる。上記観点から、A層の厚みは10nm以上300nm以下であることがより好ましい。
本発明のB層の組成について、スズ(Sn)原子濃度が10〜30(atm%)、ケイ素(Si)原子濃度が10〜30(atm%)、酸素(O)原子濃度が50〜75(atm%)である積層体であることが好ましい。B層の組成比率はA層同様にXPS法により測定することができる。B層の厚みが1/2となる位置まで、表層からアルゴンイオンエッチングにより層を除去して各元素の含有比率を測定する。
耐薬品性を十分なものとする観点からスズ原子濃度が10atm%以上、および/またはケイ素原子濃度が30atm%以下であることが好ましい。
ガスバリア性を発現させる観点、および光学特性を十分なものとする観点から、スズ原子濃度が30atm%以下、および/またはケイ素原子濃度が10atm%以上であることが好ましい。
本発明におけるB層の厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)による評価で得ることができる。B層の厚みは10nm以上200nm以下が好ましい。B層の厚みが10nm以上であることにより層として形成されない領域が発生しすることを抑制でき、ガスバリア性や耐擦傷性、耐薬品性を十分なものとすることができる。また、B層の厚みが200nm以下であることによりクラックが入りやすくなることを抑制できたり、耐屈曲性や光学特性を十分なものとすることができる。同様の観点からB層の厚みは20nm以上100nm以下がより好ましい。
本発明の積層体は、水蒸気透過度が5.0×10−2g/m/day未満であることが好ましい。比較的高いガスバリア性が要求される高級包装材料や電子デバイス用途に使用される観点から、本発明の積層体の水蒸気透過度は1.0×10−2g/m/day未満であることがより好ましい。また水蒸気透過度の下限は特に限定されないが、膜が必要以上に緻密になるとクラックが生じやすくなることから、本発明の積層体の水蒸気透過度は1.0×10−4g/m/day以上であることが好ましい。
[A層の製造方法]
A層の形成方法については、特に限定はなく、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、原子層堆積法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。製造コスト、環境負荷、ガスバリア性等の観点から、真空蒸着法を用いることが好ましい。化合物蒸着を行う観点より真空蒸着法の中でも電子線(EB)蒸着、イオンビームアシスト蒸着(IBAD)を用いることがさらに好ましい。
巻き取り式蒸着装置(図3)によるA層の形成方法の一例を示す。電子線(EB)蒸着法により、基材1の表面にA層として、材料BとCの化合物薄膜を設ける。まず、蒸着材料として、2〜5mm程度の大きさの顆粒状の材料Bと材料Cを図4のように面積比率1:1で配置する。蒸着材料は顆粒に限らず、角形やタブレット型などの成形体などの形状のものを用いてもよい。また、蒸着源材料の配置として、A層が所望の膜構造となるように、材料Bと材料Cの配置比率や2材料を予め混合した材料や焼結した材料を用いたりしても構わない。また、蒸着材料が吸湿していると材料中の水分がA層中に取り込まれ、所望の膜組成や物性が得られなくなる可能性があることから、材料を使用前に加熱による脱水処理を行うことが好ましい。巻き取り室5の中で、巻き出しロール6に前記基材1のA層を設ける側の面がハースライナー11に対向するようにセットし、巻き出し、ガイドロール7,8,9を介して、メインドラム10に通す。次に、真空ポンプにより、蒸着装置4内を減圧し、5.0×10−3Pa以下を得る。到達真空度は5.0×10−3Pa以下が好ましい。到達真空度が5.0×10−3Paより大きいと残留ガスがA層中に取り込まれ、所望の膜組成や物性が得られなくなる可能性がある。メインドラム10の温度は一例として、−10℃に設定する。基材の熱負けを防ぐ観点から、20℃以下が好ましく、より好ましくは0℃以下である。次に、加熱源として一台の電子銃(以下、EB銃)13を用い、EB銃は加速電圧10kVとし、形成するA層の厚みが200nm程度となるように、加速電流とフィルム搬送速度を調整し、前記基材1の表面上にA層を形成する。その後、ガイドロール15,16,17を介して巻き取りロール18に巻き取る。
[B層の製造方法]
B層の形成方法については、特に限定はなく、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、原子層堆積法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。効率的に所望の耐薬品性、耐擦傷性を薄膜で得る観点から、スパッタリング法を用いることが好ましく、コストの観点からは真空蒸着法が好ましい。
巻き取り式スパッタリング装置(図5)によるB層の形成方法の一例を示す。スパッタリング法により、表面にA層が形成された基材34のA層上にB層として、材料DとEの化合物薄膜を設ける。材料Dと材料Eで形成された混合焼結材であるスパッタターゲットをスパッタ電極28に設置し、アルゴンガスおよび酸素ガスによるスパッタリングを実施し、前記基材34のA層上に、B層を厚み50nm程度で設ける。具体的には、まず、スパッタ電極28に材料Dと材料Eで形成された混合焼結材であるスパッタターゲットを設置したスパッタリング装置21の巻き取り室22の中で、巻き出しロール23に前記基材34のB層を設ける側(A層が形成された側)の面がスパッタ電極28に対向するようにセットし、巻き出し、ガイドロール24,25,26を介して、温度100℃に制御されたメインドラム27に通す。次に、真空ポンプにより、スパッタリング装置21内を減圧し、2.0×10−3Pa以下を得る。続いて、真空度5.0×10−1Paとなるように酸素ガス分圧40%としてアルゴンガスおよび酸素ガスを導入し、直流パルス電源によりスパッタ電極28に投入電力1,500Wを印加することにより、アルゴン・酸素ガスプラズマを発生させ、スパッタリングにより前記基材34のA層表面上にB層を形成する。また、形成するB層の厚みは、フィルム搬送速度により調整する。その後、ガイドロール29,30,31を介して巻き取りロール32に巻き取り積層体を得る。
[基材]
本発明に用いられる基材は、柔軟性を確保する観点からフィルム形態を有することが好ましい。フィルムの構成としては、単層フィルム、または2層以上の、例えば、共押し出し法で製膜したフィルムであってもよい。フィルムの種類としては、無延伸、一軸延伸あるいは二軸延伸フィルム等を使用してもよい。
本発明に用いられる基材の素材は特に限定されないが、有機高分子を主たる構成成分とするものであることが好ましい。本発明に好適に用いることができる有機高分子としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の結晶性ポリオレフィン、環状構造を有する非晶性環状ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体のケン化物、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール等の各種ポリマーなどを挙げることができる。これらの中でも、透明性や汎用性、機械特性に優れた非晶性環状ポリオレフィンまたはポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。また、前記有機高分子は、単独重合体、共重合体のいずれでもよいし、有機高分子として1種類のみを用いてもよいし、複数種類をブレンドして用いてもよい。
基材のA層を形成する側の表面には、密着性や平滑性を良くするためにコロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理、イオンボンバード処理、溶剤処理、有機物もしくは無機物またはそれらの混合物で構成されるアンカーコート層の形成処理、等の前処理が施されていてもよい。また、A層を形成する側の反対側には、基材の巻き取り時の滑り性の向上や基材の耐擦傷性を目的として、有機物や無機物あるいはこれらの混合物のコーティング層が積層されていてもよい。
本発明に使用する基材の厚みは特に限定されないが、柔軟性を確保する観点から500μm以下が好ましく、引張りや衝撃に対する強度を確保する観点から5μm以上が好ましい。さらに、フィルムの加工やハンドリングの容易性から基材の厚みは10μm以上、150μm以下がより好ましい。
[アンカーコート層]
本発明の積層体は、アンカーコート層を有していてもよい。前記アンカーコート層は、一方の面が前記基材と接し、他方の面が前記A層と接していることが好ましい。さらにアンカーコート層は、芳香族環構造を有するポリウレタン化合物を架橋して得られる構造を含んでいることがより好ましい。基材上に突起や傷などの欠点が存在する場合、前記欠点を起点に基材上に積層するA層にもピンホールやクラックが発生してガスバリア性や耐屈曲性が損なわれる場合があるため、アンカーコート層を設けることが好ましい。また、基材とA層との熱寸法安定性差が大きい場合もガスバリア性や屈曲性が低下する場合があるため、アンカーコート層を設けることが好ましい。また、本発明に用いられるアンカーコート層は、熱寸法安定性、耐屈曲性の観点から芳香族環構造を有するポリウレタン化合物を架橋して得られる構造を含有することが好ましく、さらに、エチレン性不飽和化合物、光重合開始剤、有機ケイ素化合物および/または無機ケイ素化合物を含有することがより好ましい。
本発明の積層体のA層に用いられる芳香族環構造を有するポリウレタン化合物は、主鎖あるいは側鎖に芳香族環およびウレタン結合を有するものであり、例えば、分子内に水酸基と芳香族環とを有するエポキシ(メタ)アクリレート、ジオール化合物、ジイソシアネート化合物とを重合させて得ることができる。
分子内に水酸基と芳香族環とを有するエポキシ(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、水添ビスフェノールF型、レゾルシン、ヒドロキノン等の芳香族グリコールのジエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸誘導体とを反応させて得ることができる。
ジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4’−チオジフェノール、ビスフェノールA、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−(2−ノルボルニリデン)ジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、o−,m−,およびp−ジヒドロキシベンゼン、4,4’−イソプロピリデンフェノール、4,4’−イソプロピリデンビンジオール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、ビスフェノールAなどを用いることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
ジイソシアネート化合物としては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネート化合物、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート等の脂環族系イソシアネート化合物、キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族系イソシアネート化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
前記分子内に水酸基と芳香族環とを有するエポキシ(メタ)アクリレート、ジオール化合物、ジイソシアネート化合物の成分比率は所望の重量平均分子量になる範囲であれば特に限定されない。本発明における芳香族環構造を有するポリウレタン化合物の重量平均分子量(Mw)は、5,000〜100,000であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)が5,000〜100,000であれば、得られる硬化皮膜の熱寸法安定性、耐屈曲性が優れるため好ましい。なお、本発明における重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法を用いて測定され標準ポリスチレンで換算された値である。
エチレン性不飽和化合物としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールS型エポキシジ(メタ)アクリレート等のエポキシアクリレート等を挙げられる。これらの中でも、熱寸法安定性、表面保護性能に優れた多官能(メタ)アクリレートが好ましい。また、これらは単一の組成で用いてもよいし、二成分以上を混合して使用してもよい。
エチレン性不飽和化合物の含有量は特に限定されないが、熱寸法安定性、表面保護性能の観点から、芳香族環構造を有するポリウレタン化合物との合計量100質量%中、5〜90質量%の範囲であることが好ましく、10〜80質量%の範囲であることがより好ましい。
光重合開始剤としては、本発明の積層体のガスバリア性および耐屈曲性を保持することができれば素材は特に限定されない。本発明に好適に用いることができる光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン等のアルキルフェノン系光重合開始剤、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等のチタノセン系光重合開始剤、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]等オキシムエステル構造を持つ光重合開始剤等が挙げられる。
これらの中でも、硬化性、表面保護性能の観点から、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシドから選ばれる光重合開始剤が好ましい。また、これらは単一の組成で用いてもよいし、二成分以上を混合して使用してもよい。
光重合開始剤の含有量は特に限定されないが、硬化性、表面保護性能の観点から、重合性成分の合計量中、0.01〜10質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜5質量%の範囲であることがより好ましい。
有機ケイ素化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これらの中でも、硬化性、活性エネルギー線照射による重合活性の観点から、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランおよびビニルトリエトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1つの有機ケイ素化合物が好ましい。また、これらは単一の組成で用いてもよいし、二成分以上を混合して使用してもよい。
有機ケイ素化合物の含有量は特に限定されないが、硬化性、表面保護性能の観点から、重合性成分の合計量中、0.01〜10質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜5質量%の範囲であることがより好ましい。
無機ケイ素化合物としては、表面保護性能、透明性の観点からシリカ粒子が好ましく、さらにシリカ粒子の一次粒子径が1〜300nmの範囲であることが好ましく、5〜80nmの範囲であることがより好ましい。なお、ここでいう一次粒子径とは、ガス吸着法により求めた比表面積sを下記の式(1)に適用することで求められる粒子直径dを指す。
d=6/ρs ・・・ (1)
ρ:密度。
アンカーコート層の厚みは、200nm以上、4,000nm以下が好ましく、300nm以上、2,000nm以下がより好ましく、500nm以上、1,000nm以下がさらに好ましい。アンカーコート層の厚みが200nmより薄くなると、基材上に存在する突起や傷などの欠点の悪影響を抑制できない場合がある。アンカーコート層の厚みが4,000nmより厚くなると、アンカーコート層の平滑性が低下して前記アンカーコート層上に積層するA層表面の凹凸形状も大きくなり、積層される蒸着膜が緻密になりにくく、ガスバリア性の向上効果が得られにくくなる場合がある。ここでアンカーコート層の厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)による断面観察画像から測定することが可能である。
アンカーコート層の算術平均粗さRaは、10nm以下であることが好ましい。Raを10nm以下にすると、アンカーコート層上に均質なA層を形成しやすくなり、ガスバリア性の繰り返し再現性が向上するため好ましい。アンカーコート層の表面のRaが10nmより大きくなると、アンカーコート層上のA層表面の凹凸形状も大きくなり、蒸着膜が緻密になりにくく、ガスバリア性の向上効果が得られにくくなる場合があり、また、凹凸が多い部分で応力集中によるクラックが発生し易いため、ガスバリア性の繰り返し再現性が低下する原因となる場合がある。従って、本発明においては、アンカーコート層のRaを10nm以下にすることが好ましく、より好ましくは5nm以下である。本発明におけるアンカーコート層のRaは、原子間力顕微鏡(AFM)などを用いて測定することができる。
本発明の積層体にアンカーコート層を適用する場合、アンカーコート層を形成する樹脂を含む塗液の塗布手段としては、まず基材上に芳香族環構造を有するポリウレタン化合物を含む塗料を乾燥後の厚みが所望の厚みになるよう固形分濃度を調整し、例えばリバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、スピンコート法などにより塗布することが好ましい。また、本発明においては、塗工適性の観点から有機溶剤を用いて芳香族環構造を有するポリウレタン化合物を含む塗料を希釈することが好ましい。
具体的には、キシレン、トルエン、メチルシクロヘキサン、ペンタン、ヘキサンなどの炭化水素系溶剤、ジブチルエーテル、エチルブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤などを用いて、固形分濃度が10質量%以下に希釈して使用することが好ましい。これらの溶剤は、単独あるいは2種以上を混合して用いてもよい。また、アンカーコート層を形成する塗料には、各種の添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、触媒、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などの安定剤、界面活性剤、レベリング剤、帯電防止剤などを用いることができる。
次いで、塗布後の塗膜を乾燥させて希釈溶剤を除去することが好ましい。ここで、乾燥に用いられる熱源としては特に制限は無く、スチームヒーター、電気ヒーター、赤外線ヒーターなど任意の熱源を用いることができる。なお、ガスバリア性向上のため、加熱温度は50〜150℃で行うことが好ましい。また、加熱処理時間は数秒〜1時間行うことが好ましい。さらに、加熱処理中は温度が一定であってもよく、徐々に温度を変化させてもよい。また、乾燥処理中は湿度を相対湿度で20〜90%RHの範囲で調整しながら加熱処理してもよい。前記加熱処理は、大気中もしくは不活性ガスを封入しながら行ってもよい。
次に、乾燥後の芳香族環構造を有するポリウレタン化合物を含む塗膜に活性エネルギー線照射処理を施して前記塗膜を架橋させて、アンカーコート層を形成することが好ましい。
かかる場合に適用する活性エネルギー線としては、アンカーコート層を硬化させることができれば特に制限はないが、汎用性、効率の観点から紫外線処理を用いることが好ましい。紫外線発生源としては、高圧水銀ランプメタルハライドランプ、マイクロ波方式無電極ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンランプ等、既知のものを用いることができる。また、活性エネルギー線は、硬化効率の観点から窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で用いることが好ましい。紫外線処理としては、大気圧下または減圧下のどちらでも構わないが、汎用性、生産効率の観点から本発明では大気圧下にて紫外線処理を行うことが好ましい。前記紫外線処理を行う際の酸素濃度は、アンカーコート層の架橋度制御の観点から酸素ガス分圧は1.0%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。相対湿度は任意でよい。
紫外線発生源としては、高圧水銀ランプメタルハライドランプ、マイクロ波方式無電極ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンランプ等、既知のものを用いることができる。
紫外線照射の積算光量は0.1〜1.0J/cmであることが好ましく、0.2〜0.6J/cmがより好ましい。前記積算光量が0.1J/cm以上であれば所望のアンカーコート層の架橋度が得られるため好ましい。また、前記積算光量が1.0J/cm以下であれば基材へのダメージを少なくすることができるため好ましい。
[その他の層]
本発明の積層体の最表面の上には、ガスバリア性が低下しない範囲で印刷性や粘着層等との密着性の向上等を目的としたオーバーコート層を形成してもよいし、素子等に貼合するための有機高分子化合物からなる粘着層やフィルムをラミネートした積層構成としてもよい。また、光学特性を向上させるための低屈折率層を形成してもよい。
[積層体の用途]
本発明の積層体は高いガスバリア性を有するため、ガスバリア性フィルムとして好適に用いることができる。また、本発明の積層体は、様々な有機素子に用いることができる。例えば、太陽電池やフレキシブル回路基材、有機EL照明、フレキシブル有機ELディスプレイのような有機素子に好適に用いることができる。また、高いバリア性を活かして、リチウムイオン電池の外装材や医薬品の包装材料としても好適に用いることができる。
[有機素子]
本発明の有機素子の好ましい一態様は、上記積層体で封止された有機素子である。本態様とすることで、素子の耐久性が高く、また外観品位に優れる素子とすることができる。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[評価方法]
(1)各層の厚み
断面観察用サンプルをマイクロサンプリングシステム((株)日立製作所製 FB−2000A)を使用してFIB法により(具体的には「高分子表面加工学」(岩森暁著)p.118〜119に記載の方法に基づいて)作製した。透過型電子顕微鏡((株)日立製作所製 H−9000UHRII)により、加速電圧300kVとして、20万倍で観察用サンプルの断面を観察し、積層体のA層、B層の厚みを測定した。
(2)A層、B層の組成
積層体のA層、B層の組成分析は、X線光電子分光法(XPS)により行った。A層もしくはB層表面から、各層の厚みが1/2となる位置までアルゴンイオンエッチングによりSiO換算厚みでエッチングを行った箇所にて、各元素の含有比率を測定した。分析で使用するピークは、マグネシウムは2s、ケイ素は2p、亜鉛は2p3/2、スズは3d5/2、酸素は1sとした。
XPSの測定条件は下記の通りとした。
・装置 :PHI5000VersaProbeII(アルバックファイ社製)
・励起X線 :monochromatic AlKα
・分析範囲 :φ100μm
・光電子脱出角度 :45°
・Arイオンエッチング :2.0kV、ラスターサイズ 2×2
酸素原子(O1s)ピークの半値幅は、測定装置付帯の解析ソフトMultipakにより算出される値とした。
(3)水蒸気透過度(g/(m・24hr・atm))
積層体の水蒸気透過度は、温度40℃、湿度90%RH、測定面積50cmの条件で、英国、テクノロックス(Technolox)社製の水蒸気透過率測定装置(機種名:“DELTAPERM”(登録商標))を使用して測定した。サンプル数は水準当たり2サンプル行った。2サンプルの測定を行い得たデータを平均し、有効数字2桁とし、当該水準における平均値を求め、その値を水蒸気透過度(g/(m・24hr・atm))とした。
(4)耐薬品性試験
100×100mmの積層体の最表面(A層もしくはB層表面)に、25℃の環境下でエッチング液(塩化鉄II:27質量%、塩酸:10質量%)を5mL滴下し、10分後にエッチング液を拭き取った後に水蒸気透過度を測定し、以下の基準により評価した。
○:耐薬品性試験前の水蒸気透過度対比、10倍未満。
×:耐薬品性試験前の水蒸気透過度対比、10倍以上。もしくは、耐薬品性試験後の水蒸気透過度が測定不可(0.5g/(m・24hr・atm))以上)。
(5)陽電子寿命および細孔半径分布
陽電子寿命および細孔半径分布は、陽電子ビーム法(薄膜対応陽電子消滅寿命測定法)により測定を行った。分析の前処理として、15%フッ化水素酸を用いて膜厚に応じてB層の除去を行った。その後、測定するサンプルを15mm×15mm角のSiウェハに貼り付けて室温で真空脱気した後、測定を行った。測定条件は下記のとおりである。
・装置 :フジ・インバック製小型陽電子ビーム発生装置PALS200A
・陽電子線源 :22Naベースの陽電子ビーム
・γ線検出器 :BaF製シンチレータ+光電子増倍管
・装置定数 :255〜278ps,24.55ps/ch
・ビーム強度 :1keV
・測定深さ :0〜100nm付近(推定)
・測定温度 :室温
・測定雰囲気 :真空
・測定カウント数 :約5,000,000カウント
測定結果について、非線形最小二乗プログラムPOSITRONFITにより、3成分あるいは4成分解析を行った。
(実施例1)
(芳香族環構造を有するポリウレタン化合物の合成)
5リットルの4つ口フラスコに、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物(共栄社化学社製、商品名:エポキシエステル3000A)を300質量部、酢酸エチル710質量部を入れ、内温60℃になるよう加温した。合成触媒としてジラウリン酸ジ−n−ブチル錫0.2質量部を添加し、攪拌しながらジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネート(東京化成工業社製)200質量部を1時間かけて滴下した。滴下終了後2時間反応を続行し、続いてジエチレングリコール(和光純薬工業社製)25質量部を1時間かけて滴下した。滴下後5時間反応を続行し、重量平均分子量20,000の芳香族環構造を有するポリウレタン化合物を得た。
(アンカーコート層の形成)
基材として、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製“ルミラー”(登録商標)U48)を用いた。
アンカーコート層形成用の塗液として、前記ポリウレタン化合物を150質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学社製、商品名:“ライトアクリレート”(登録商標)DPE−6A)を20質量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(BASFジャパン社製、商品名:“IRGACURE”(登録商標) 184)を5質量部、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン(信越シリコーン社製、商品名:KBM−503)を3質量部、酢酸エチルを170質量部、トルエンを350質量部、シクロヘキサノンを170質量部配合して塗液を調整した。次いで、塗液を基材上にマイクログラビアコーター(グラビア線番150UR、グラビア回転比100%)で塗布、100℃で1分間乾燥し、乾燥後、下記条件にて紫外線処理を施して、基材上に厚み1μmのアンカーコート層を設けた。
紫外線処理装置:LH10−10Q−G(フュージョンUVシステムズ・ジャパン社製)
導入ガス:N(窒素イナートBOX)
紫外線発生源:マイクロ波方式無電極ランプ
積算光量:400mJ/cm
試料温調:室温。
(A層の形成)
図3に示す巻き取り式蒸着装置を使用し、電子線(EB)蒸着法により、基材のアンカーコート層表面に、A層としてMgO+SiO層を厚み200nm狙いで設けた。
具体的な操作は以下の通りである。まず、蒸着材料として、2〜5mm程度の大きさの顆粒状の酸化マグネシウムMgO(純度99.9%)と二酸化ケイ素SiO(純度99.99%)を事前にそれぞれ100℃、8時間加熱を行った。続いて、それぞれの材料を図4のようにカーボン製ハースライナー11にセットした。材料の面積比率は、MgO:SiO=1:1となるようにした。巻き取り室5の中で、巻き出しロール6に前記基材1のA層を設ける側の面がハースライナー11に対向するようにセットし、巻き出し、ガイドロール7,8,9を介して、メインドラム10に通した。このとき、メインドラムは温度−10℃に制御した。次に、真空ポンプにより蒸着装置4内を減圧し、5.0×10−3Pa以下を得た。次に、加熱源として電子銃(以下、EB銃)13を用い、原子濃度(atm%)の比がMg:Si=2:1程度の膜組成比となるようにMgOとSiOの加熱比率を制御した。EB銃は加速電圧10kVとし、形成するA層の厚みが200nm程度となるように、加速電流とフィルム搬送速度を調整し、前記基材1の表面上にA層を形成した。その後、ガイドロール15,16,17を介して巻き取りロール18に巻き取った。
(B層の形成)
A層の形成に続いて、図5に示す構造のスパッタリング装置を使用し、基材34のA層上に、B層を設けた。二酸化ケイ素で形成されたスパッタリングターゲットをスパッタ電極28に設置し、アルゴンガスおよび酸素ガスによるスパッタリングを実施し、前記基材34のA層上に、B層としてSiO層を厚み50nm狙いで設けた。
具体的な操作は以下のとおりである。まず、スパッタ電極28に二酸化ケイ素のスパッタリングターゲットを設置したスパッタ装置28の巻き取り室22の中で、巻き出しロール23に前記基材34のB層を設ける側(A層が形成された側)の面がスパッタ電極28に対向するようにセットし、巻き出し、ガイドロール24,25,26を介して、温度100℃に制御されたメインドラム27に通した。次に、真空ポンプにより、スパッタ装置21内を減圧し、2.0×10−3Pa以下を得た。続いて、真空度5.0×10−1Paとなるように酸素ガス分圧10%としてアルゴンガスおよび酸素ガスを導入し、直流パルス電源によりスパッタ電極28に投入電力1,500Wを印加することにより、アルゴン・酸素ガスプラズマを発生させ、スパッタリングにより前記基材34のA層表面上にSiO層を形成した。形成するSiO層の厚みは、フィルム搬送速度により調整した。その後、ガイドロール29,30,31を介して巻き取りロール32に巻き取り積層体を得た。
続いて、得られた積層体から試験片を切り出し、各種評価を実施した。結果を表1〜3に示す。
(実施例2)
B層であるSnO+SiO層の形成において、スズ/ケイ素の原子濃度(atm%)が50/50で焼結されたスパッタリングターゲットを用い、酸素ガス分圧を40%とした以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。結果を表1〜3に示す。
(実施例3)
B層であるSnO+SiO層の形成において、スズ/ケイ素の原子濃度(atm%)が68/32で焼結されたスパッタリングターゲットを用いた以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表1〜3に示す。
(実施例4)
B層であるSnO+SiO層の形成において、スズ/ケイ素の原子濃度(atm%)が32/68で焼結されたスパッタリングターゲットを用いた以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表1〜3に示す。
(実施例5)
B層であるSnO+SiO層の形成において、図6に示す巻き取り式蒸着装置を使用し、電子線(EB)蒸着法により、B層を厚み50nm狙いで設けた以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
B層の具体的な形成方法は以下の通りである。まず、蒸着材料として、2〜5mm程度の大きさの顆粒状の酸化スズSnO(純度99.9%)と二酸化ケイ素SiO(純度99.99%)を事前にそれぞれ100℃、8時間加熱を行った。続いて、それぞれの材料を図4のようにカーボン製ハースライナー11にセットした。材料の面積比率は、SnO:SiO=1:1となるようにした。巻き取り室5の中で、巻き出しロール6に前記基材34のA層を設ける側の面がハースライナー11に対向するようにセットし、巻き出し、ガイドロール7,8,9を介して、メインドラム10に通した。このとき、メインドラムは温度−10℃に制御した。次に、真空ポンプにより蒸着装置4内を減圧し、5.0×10−3Pa以下を得た。次に、加熱源として電子銃(以下、EB銃)13を用い、原子濃度(atm%)の比がSn:Si=2:1程度の膜組成比となるようにMgOとSiOの加熱比率を制御した。EB銃は加速電圧10kVとし、形成するB層の厚みが50nm程度となるように、加速電流とフィルム搬送速度を調整し、前記基材34のA層上にB層を形成した。その後、ガイドロール15,16,17を介して巻き取りロール18に巻き取った。結果を表1〜3に示す。
(実施例6)
B層の形成において、ジルコニウム/ケイ素の原子濃度(atm%)が33/67で焼結されたスパッタリングターゲットを用いた以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表1〜3に示す。
(実施例7)
蒸着材料として、1〜3mm程度の大きさの顆粒状の酸化亜鉛ZnO(純度99.9%)と2〜5mm程度の大きさの顆粒状の酸化ケイ素SiO(純度99.9%)を用い、A層であるZnO+SiO層を形成において、原子濃度(atm%)の比がZn:Si=1:1程度の膜組成比となるようにZnOとSiOの加熱比率を制御した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表1〜3に示す。
(実施例8)
A層であるMgO+SiO層の形成において、原子濃度(atm%)の比がMg:Si=1:2程度の膜組成比となるようにMgOとSiOの加熱比率を制御した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表1〜3に示す。
(実施例9)
B層の形成方法を用いて実施例2のB層であるSnO+SiO層をA層として形成し、次いで実施例6のB層であるZrO+SiO層をB層として形成した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表1〜3に示す。
(比較例1)
A層を形成した後に、B層を形成しない以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表1〜3に示す。
(比較例2)
A層を形成した後に、B層を形成しない以外は、実施例7と同様にして積層体を得た。結果を表1〜3に示す。
(比較例3)
B層の形成において、スズのスパッタリングターゲットを用いた以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表1〜3に示す。
(比較例4)
B層の形成方法を用いて実施例1のB層であるSiO層をA層として形成し、A層の形成方法を用いて次いで実施例1のA層であるMgO+SiO層をB層として形成した以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。結果を表1〜3に示す。
実施例1〜6は、酸化マグネシウムと二酸化ケイ素の複合酸化物膜を形成し、ガスバリア性が5.0×10−3(g/(m・24hr・atm))未満と良好である。また、B層として、SiO、SnO+SiO、またはZrO+SiO形成しているため耐薬品性が良好である。
実施例7のように異なる複合酸化物膜のA層においても、ガスバリア性および耐薬品性は良好である。また、実施例8、9のように、ガスバリア性が実施例1〜6に比べて多少劣っていてもB層が積層されているため耐薬品性は良好である。
一方、比較例1,2は、ガスバリア性は良好であるが、耐薬品性に劣る。これはMgO+SiO,ZnO+SiOいずれの複合酸化物膜においてもエッチング液の滴下によりA層が消失してしまうことによる。また、比較例3のようにB層として、SnOが形成されているが、SnO膜はエッチング液により消失してしまい、A層も消失することにより、耐薬品性に劣る。
また、比較例4のように実施例1のA層,B層の順番を逆にして形成した場合、耐薬品性に劣るMgO+SiO層が最表層に存在することで、B層(MgO+SiO層)は消失してしまうことから耐薬品性に劣る。
Figure 2021169184
Figure 2021169184
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本発明の積層体は、酸素ガス、水蒸気等に対するガスバリア性に優れているため、例えば、食品、医薬品などの包装材および薄型テレビ、太陽電池などの電子デバイス用部材として有用に用いることができるが、用途がこれらに限定されるものではない。
1 基材
2 A層
3 アンカーコート層
4 巻き取り式電子線(EB)蒸着装置
5,22 巻き取り室
6,23 巻き出しロール
7,8,9,24,25,26 巻き出し側ガイドロール
10,27 メインドラム
11 ハースライナー
12 蒸着材料
13 電子銃
14 電子線
15,16,17,29,30,31 巻き取り側ガイドロール
18,32 巻き取りロール
19 蒸着材料B
20 蒸着材料C
21 巻き取り式スパッタリング装置
28 スパッタ電極
33 B層
34 表面にA層が形成された基材

Claims (13)

  1. 基材の少なくとも片面に、ケイ素、金属元素および酸素を含むA層とケイ素を含むB層をこの順に有する積層体。
  2. 前記A層とB層が異なる含有元素もしくは組成比率で構成されている、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記A層は、陽電子ビーム法により測定される平均寿命が0.935ns以下である、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記A層は、X線光電子分光により測定される酸素原子(O1s)のピークの半値幅が3.25eV以下である請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
  5. 前記A層の金属元素がマグネシウム、カルシウム、および亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
  6. 前記A層が、酸化マグネシウムおよび酸化ケイ素を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
  7. 前記B層にケイ素以外の金属元素として、スズ、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、ニオブ、タンタル、およびインジウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
  8. 前記B層が、酸化スズおよび酸化ケイ素を含む請求項1〜7のいずれかに記載の積層体。
  9. 前記A層は、X線光電子分光により測定されるマグネシウム(Mg)原子濃度が5〜50(atm%)、ケイ素(Si)原子濃度が2〜30(atm%)、酸素(O)原子濃度が45〜70(atm%)である、請求項1〜8のいずれかに記載の積層体。
  10. 前記A層は、マグネシウム(Mg)原子とケイ素(Si)原子の原子濃度(atm%)の比率Mg/(Mg+Si)が、0.45〜0.80である、請求項1〜9のいずれかに記載の積層体。
  11. 前記B層は、X線光電子分光により測定されるスズ(Sn)原子濃度が10〜30(atm%)、ケイ素(Si)原子濃度が10〜30(atm%)、酸素(O)原子濃度が50〜75(atm%)である請求項1〜10のいずれかに記載の積層体。
  12. 前記A層の形成方法が真空蒸着法である請求項1〜11のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  13. 請求項1〜11のいずれかに記載の積層体で封止された有機素子。
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