JP2021112912A - 積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストかつシンプルな構成でも高度なガスバリア性を有する積層体を提供する。【達成手段】基材の少なくとも片側に、A層を有し、前記A層が、鉄、マンガン、ニッケル及びケイ素からなる群より選ばれる少なくとも2種の元素、並びに、酸素を含む、積層体。【選択図】なし
Description
本発明は、高いガスバリア性が必要とされる食品、医薬品の包装材料や、太陽電池、電子ペーパー、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどの電子部品の材料に使用される積層体に関する。
フィルム基材の表面に、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法(PVD法)、または、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD法)等を利用して、無機物(無機酸化物を含む)の無機層を形成してなるガスバリア性フィルムは、水蒸気や酸素などの各種ガスの遮断を必要とする食品や医薬品などの包装材および電子ペーパー、太陽電池などの電子デバイス部材として用いられており、それらの部材において、水蒸気透過度で5.0×10−2g/m2・24hr・atm以下の高いガスバリア性が求められている。
高いガスバリア性を満たす方法の1つとして、有機層と無機層を交互に多層積層させることで、穴埋め効果により欠陥の発生を防止したガスバリア性フィルム(特許文献1)や、ZnOとSiO2を主成分とするターゲットを用いてスパッタリングすることで、ZnO−SiO2系のような複合酸化物膜をフィルム基材上に形成した簡便な膜構成のガスバリア性フィルム(特許文献2)が提案されている。
しかしながら、特許文献1のように有機層と無機層を交互に多層積層させることにより、高いバリア性を発現させることは可能であるが、積層させることから工程数が多くなり高コストとなる問題点があった。また、特許文献2のように複合酸化物をスパッタリングにより形成する積層体は、特許文献1に比べると低コストで製造出来るものの、製造方法の性質上、成膜速度の高速化に限界があること等から、低コスト化することが困難であった。
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、低コストかつシンプルな構成でも高度なガスバリア性を有する積層体を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用する。すなわち、以下である。
(1)基材の少なくとも片側に、A層を有し、前記A層が、鉄、マンガン、ニッケル及びケイ素からなる群より選ばれる少なくとも2種の元素、並びに、酸素を含む、積層体。
(1)基材の少なくとも片側に、A層を有し、前記A層が、鉄、マンガン、ニッケル及びケイ素からなる群より選ばれる少なくとも2種の元素、並びに、酸素を含む、積層体。
本発明によれば、水蒸気に対する高度なガスバリア性を有する積層体を、低コストにて提供することができる。
以下に本発明の詳細を説明する。
[積層体]
本発明の積層体は、基材の少なくとも片側に、A層を有し、前記A層が、鉄、マンガン、ニッケル及びケイ素からなる群より選ばれる少なくとも2種の元素、並びに、酸素を含む、積層体、である。
本発明の積層体は、基材の少なくとも片側に、A層を有し、前記A層が、鉄、マンガン、ニッケル及びケイ素からなる群より選ばれる少なくとも2種の元素、並びに、酸素を含む、積層体、である。
A層に含まれる元素は、鉄、マンガン、ニッケル及びケイ素からなる群より選ばれる2種であれば、元素の組み合わせとしては特に限定されないが、ガスバリア性、緻密構造を形成する観点から、鉄及びケイ素、マンガン及びケイ素、またはニッケル及びケイ素、であることが好ましい。蒸着性、ガスバリア性の観点より、鉄及びケイ素、であることがより好ましい。
酸素を含むとは、X線光電子分光法(XPS)で評価を行った場合に、SiO2膜の換算厚みで、最表面から5nmアルゴンイオンエッチングにより層を除去した場所において、酸素原子の含有比率が10.0atm%以上であることを言う。透明性や緻密性などの観点より、酸素原子の含有比率は20.0atm%以上であることが好ましく、40.0atm%以上であることがより好ましい。
A層に含まれる鉄、マンガン、ニッケル及びケイ素からなる群より選ばれる少なくとも2種の元素の形態は、酸化物、窒化物、酸化窒化物、炭化物などが挙げられ、特に限定されないが、ガスバリア性、光学特性などの観点から、酸化物、窒化物、酸化窒化物の形態として存在することが好ましい。非晶質膜を形成することやガスバリア性、蒸着性の観点から、酸化物として含有されていることがより好ましい。
本発明の積層体のA層が、鉄、マンガン、ニッケル及びケイ素からなる群より選ばれる少なくとも2種の元素、並びに、酸素を含んでいれば、その他の元素や無機化合物が含まれていても構わない。
二酸化ケイ素の四面体構造を骨格にして、その間にケイ素以外の金属元素が含まれることで、緻密な構造を形成する。以上の観点より、鉄、マンガン、ニッケルと類似のイオン半径を有する元素を含んでいても構わない。
本発明のA層表面の原子間力顕微鏡(AFM)により算出される算術平均粗さRaが10.0nm以下であることが好ましい。Raが10.0nmより大きくなると、A層が緻密でなくなる可能性やピンホールが発生する可能性が高くなるため、ガスバリア性が発現しなくなる可能性がある。ガスバリア性の観点から、Raは5.0nm以下であることがより好ましく、2.0nm以下がさらに好ましい。また、Raの下限は特に限定されないが、0.1nm以上であることが好ましい。Raが0.1nmよりも小さいと密着性が悪くなる場合がある。なお、算術平均粗さRaを算出する際のAFMの分析範囲は1μm×1μmとする。
A層表面のAFMにより算出されるRaを10.0nm以下とするためには、例えば、Raが10.0nm以下の基材上に、適切な複合酸化物膜を適した組成比率で形成することにより達成される。A層として複合酸化物膜を形成することにより、A層として単一金属の酸化物膜を形成した場合よりも平滑な膜を形成することができる。
本発明の積層体のA層は、陽電子ビーム法(薄膜対応陽電子消滅寿命測定法)(「陽電子計測の科学」(日本アイソトープ協会)I章1節,V章2節参照)により測定される平均寿命が0.935ns以下であることが好ましい。陽電子ビーム法は、陽電子消滅寿命測定法の一つであり、陽電子が試料に入射してから消滅するまでの時間(数百ps〜数十nsオーダー)を測定し、その消滅寿命から約0.1〜10nmの空孔の大きさ、数濃度、さらには大きさの分布に関する情報を非破壊的に評価する手法である。陽電子線源として放射性同位体(22Na)の代わりに陽電子ビームを用いる点が、通常の陽電子消滅法と大きく異なり、シリコンや石英基板上に製膜された数百nm厚程度の薄膜の測定を可能とした手法である。得られた測定値から非線形最小二乗プログラムPOSITRONFITにより、平均細孔半径や細孔の数濃度を求めることが出来る。サブnmオーダーの細孔や基本骨格に対応するものは、第3成分および第4成分の平均寿命を解析することで得られる。
ここで、第3成分とは、陽電子ビーム法による平均寿命の測定条件として3成分に対する解析を選択することにより得られた平均寿命をいい、第4成分とは、陽電子ビーム法による平均寿命の測定条件として4成分に対する解析を選択することにより得られた平均寿命をいう。なお、第3成分の測定において、3成分に対する解析を選択することにより得られた平均寿命、とは、3つの減衰指数を含むモデル関数を測定データに対して非線形最小二乗プログラムPOSITRONFITした際に得られる最長寿命成分の消滅速度の逆数(平均寿命)である。また、第4成分の測定において、4成分に対する解析を選択することにより得られた平均寿命、とは、4つの減衰指数を含むモデル関数を測定データに対して非線形最小二乗プログラムPOSITRONFITした際に得られる最長寿命成分の消滅速度の逆数(平均寿命)である。
POSITRONFITにより解析をする際には、逆ラプラス変換法に基づく分布解析プログラムCONTINを用いて算出した細孔半径分布曲線で得られたピーク数から、POSITRONFITの成分数を決定する。POSITRONFITから算出した平均細孔半径とCONTINの細孔半径分布曲線のピーク位置が一致していることで、解析が妥当であることを判断する。なお、本発明で単に平均寿命と記載する場合は、第3成分の平均寿命のことを指す。
平均寿命が0.935nsより大きくなると、A層の細孔サイズが大きく、緻密でなくなるため、ガスバリア性が発現しなくなる可能性がある。ガスバリア性の観点から、陽電子ビーム法により測定される平均寿命は0.912ns以下であることがより好ましい。また、平均寿命の下限は特に限定されないが、0.542ns以上であることが好ましい。平均寿命が0.542nsよりも小さい屈曲性が低下する場合がある。
本発明で規定する、A層の陽電子ビーム法により測定される平均寿命を0.935ns以下とするためには、例えばRaが10.0nm以下の基材上に、複合酸化物膜を適した組成比率で緻密に形成することにより達成される。ここでいう緻密に形成するとは、それぞれの酸化物が原子レベルで混ざり合い緻密なネットワークを形成している状態をいう。
緻密に形成するための方法として、純度が99.9%以上で、かつ加熱により脱水処理を行った蒸着材料を用いて複合酸化物膜を得る方法を好ましく挙げることができる。純度が高くかつ脱水処理を行った蒸着材料を用いることで、複合酸化膜中に不純物や水分が混入しにくくなり、欠陥の少ない緻密な膜を形成することが出来る。なかでも、電子線蒸着法を用い、蒸着時における到達真空度を5.0×10−3Pa以下とする方法をより好ましく挙げることができる。到達真空度が5.0×10−3Pa以下であることにより、飛来する粒子の平均自由行程が長くなり、より大きなエネルギーを持った状態で基材上に入射することが可能となる。
また、A層が一定以上緻密であり、バリア性が良好な場合には、4成分に対する解析を選択することにより得られた第4成分は検出されない。A層の緻密性、バリア性の観点より、第4成分(最長寿命成分)の平均寿命は、検出されない、もしくは3.706ns以下が好ましい。
本発明の積層体のA層は、非晶質膜であることが好ましい。非晶質とは、原子や分子が結晶のように長距離的に規則正しい秩序構造を取らず、不規則な構造であることを言う。結晶構造であると、結晶粒界が生じることから水蒸気透過経路となりガスバリア性が悪くなったり、割れやすくなったりすることから、非晶質であることが好ましい。非晶質であるか否かは断面TEMや薄膜X線回折(XRD)、電子線回折などの分析方法によって確認することができる。断面TEMの場合、非晶質膜ではコントラストは均一となり、結晶粒界は見られない一方で、結晶膜では微結晶状態や柱状構造など結晶構造に応じた結晶粒界が観察される。また、薄膜X線回折の場合、非晶質膜ではピークは観察されない一方で、結晶膜では結晶構造に応じた回折ピークが確認される。
本発明の積層体のA層は、金属元素Mを含み、前記金属元素Mの原子濃度(Matm%)とケイ素の原子濃度(Siatm%)の比率M/(M+Si)が、0.45〜0.85であることが好ましい。緻密性、ガスバリア性の観点より、0.52〜0.82の範囲が好ましく、0.55〜0.79であることがより好ましい。金属元素を複数含む場合には、複数の金属元素の原子濃度の総和をMとし、ケイ素は除外する。例えば、A層中に鉄Fe60atm%、ニッケルNi10atm%、ケイ素Si30atm%を含んでいた場合は、M(=Fe+Ni)=70atm%、Si=30atm%とし、M/(M+Si)=0.7となる。M/(M+Si)が0.85より大きい場合、結晶膜になる可能性や緻密にならず表面粗さが大きくなりすぎる可能性がある。また、M/(M+Si)が0.45より小さい場合、緻密性が下がりバリア性が発現しない可能性がある。
本発明の積層体のA層は、鉄またはニッケルを含み、鉄およびニッケル以外の金属元素の合計原子濃度(Qatm%)と鉄およびニッケルの金属元素の合計原子濃度(Ratm%)の比率Q/(Q+R)が、0.895以下であることが好ましい。鉄およびニッケル以外の金属元素としては、類似の構造を取り易くなる観点よりイオン半径の近い元素であることが好ましい。また、比率Q/(Q+R)が0.895以下であることにより、熱膨張率が低くクラックが発生しづらい膜を形成しやすくなる。また、鉄またはニッケルを含んでいれば他の金属元素を含まなくても良いことから、比率Q/(Q+R)は0.00以上であることが好ましく、鉄またはニッケルの熱膨張率の低い効果に加えて、他の金属元素の特徴を付与することが出来る観点より、0.123以上がより好ましい。なお、鉄およびニッケル以外の金属元素として、Si、Ge、Asなどの半金属は含まない。
また、鉄以外の金属元素の合計原子濃度(Tatm%)と鉄の合計原子濃度(Featm%)の比率T/(T+Fe)が、0.895以下であることが好ましい。鉄以外の金属元素としては、類似の構造を取り易くなる観点よりイオン半径の近い元素であることが好ましい。また、比率T/(T+Fe)が0.895以下であることにより、熱膨張率が低くクラックが発生しづらい膜を形成しやすくなる。また、鉄またはニッケルを含んでいれば他の金属元素を含まなくても良いことから、比率T/(T+Fe)は0.00以上であることが好ましく、鉄の熱膨張率の低い効果に加えて、他の金属元素の特徴を付与することが出来る観点より、0.123以上がより好ましい。なお、鉄以外の金属元素として、Si、Ge、Asなどの半金属は含まない。
前記A層は、シリケート結合を有することが好ましい。シリケート結合とは、ケイ素(Si)と金属(M)の酸素(O)を介した結合であり、Si−O−Mと記載することができる。例えば、鉄シリケート結合(Si−O−Fe)、マンガンシリケート結合(Si−O−Mn)、ニッケルシリケート結合(Si−O−Ni)などが挙げられる。A層中にシリケート結合を有することで、緻密な構造となり、高いガスバリア性が得られる。シリケート結合の有無の分析方法として、X線光電子分光やX線吸収微細構造(XAFS)等の方法が挙げられる。A層がシリケート結合を有するためには、前述のとおり、少なくとも2種の元素として、鉄及びケイ素、マンガン及びケイ素、またはニッケル及びケイ素の組み合わせを含み、さらに酸素を含むことが好ましい。
本発明の積層体は、水蒸気透過度が5.0×10−2g/m2/day未満であることが好ましい。比較的高いガスバリア性が要求される高級包装材料や電子デバイス用途に使用される観点から、本発明の積層体の水蒸気透過度は1.0×10−2g/m2/day未満であることがより好ましい。また水蒸気透過度の下限は特に限定されないが、膜が必要以上に緻密になるとクラックが生じやすくなることから、本発明の積層体の水蒸気透過度は1.0×10−4g/m2/day以上であることが好ましい。
なお、水蒸気透過度の単位g/m2/dayにおける「day」は24時間である。
[A層の製造方法一例]
A層の形成方法については、特に限定はなく、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、原子層堆積法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。製造コスト、ガスバリア性等の観点から、真空蒸着法を用いることが好ましい。化合物蒸着を行う観点より真空蒸着法の中でも電子線(EB)蒸着、イオンビームアシスト蒸着(IBAD)を用いることがさらに好ましい。
A層の形成方法については、特に限定はなく、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、原子層堆積法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。製造コスト、ガスバリア性等の観点から、真空蒸着法を用いることが好ましい。化合物蒸着を行う観点より真空蒸着法の中でも電子線(EB)蒸着、イオンビームアシスト蒸着(IBAD)を用いることがさらに好ましい。
巻き取り式蒸着装置図3によるA層の形成方法の一例を示す。電子線蒸着法により、基材1の表面にA層として、材料BとCの化合物薄膜を設ける。まず、蒸着材料として、2〜5mm程度の大きさの顆粒状の材料Bと材料Cを図4,5のように配置する。蒸着材料は顆粒に限らず、角形やタブレット型などの成形体などの形状のものを用いてもよい。また、蒸着源材料の配置として、図4,5では基材の幅方向に配置しているが、一つのハースライナー内に2材料を混合したり、長手方向に配置するなど他の並べ方をしても構わない。また、図6,7のように基材の幅方向に任意の比率で2材料を交互に配置してもよい。また、蒸着材料が吸湿していると材料中の水分がA層中に取り込まれ、所望の膜組成や物性が得られなくなる可能性があることから、材料を使用前に加熱による脱水処理を行うことが好ましい。巻き取り室5の中で、巻き出しロール6に前記基材1のA層を設ける側の面がハースライナー11に対向するようにセットし、巻き出し、ガイドロール7,8,9を介して、メインドラム10に通す。次に、真空ポンプにより、蒸着装置4内を減圧し、5.0×10−3Pa以下を得る。到達真空度は5.0×10−3Pa以下が好ましい。到達真空度は5.0×10−3Paより大きいと残留ガスがA層中に取り込まれ、所望の膜組成や物性が得られなくなる可能性がある。メインドラム10の温度は一例として、−10℃に設定する。基材の熱負けを防ぐ観点から、20℃以下が好ましく、より好ましくは0℃以下である。次に、加熱源として一台の電子銃(以下、EB銃)13を用い、所望の膜組成比になるように材料B、C表面を加熱する。EB銃は加速電圧10kVとし、形成するA層の厚みが150nm程度となるように、加速電流とフィルム搬送速度を調整し、前記基材1の表面上にA層を形成する。その後、ガイドロール15,16,17を介して巻き取りロール18に巻き取る。
A層の含有元素、組成比率はX線光電子分光法(XPS法)により測定することができる。最表面には空気中に含まれる炭化水素や水が吸着し、A層の正しい含有元素、組成比率を反映しないことから、最表面から5nm程度アルゴンイオンエッチングにより層を除去して各元素の含有比率を測定する。
本発明におけるA層の厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)及びX線反射率法(XRR法)による評価で得ることができる。A層の厚みは5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましい。厚みが5nmよりも薄いと層として形成されない領域が発生し、十分なガスバリア性が確保できない場合がある。また、A層の厚みは500nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましい。A層の厚みが500nmよりも厚いとクラックが入りやすくなったり耐屈曲性や延伸性が低下したりする場合がある。
[基材]
本発明に用いられる基材は、柔軟性を確保する観点からフィルム形態を有することが好ましい。フィルムの構成としては、単層フィルム、または2層以上の、例えば、共押し出し法で製膜したフィルムであってもよい。フィルムの種類としては、無延伸、一軸延伸あるいは二軸延伸フィルム等を使用してもよい。
本発明に用いられる基材は、柔軟性を確保する観点からフィルム形態を有することが好ましい。フィルムの構成としては、単層フィルム、または2層以上の、例えば、共押し出し法で製膜したフィルムであってもよい。フィルムの種類としては、無延伸、一軸延伸あるいは二軸延伸フィルム等を使用してもよい。
本発明に用いられる基材の素材は特に限定されないが、有機高分子を主たる構成成分とするものであることが好ましい。本発明に好適に用いることができる有機高分子としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の結晶性ポリオレフィン、環状構造を有する非晶性環状ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体のケン化物、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール等の各種ポリマーなどを挙げることができる。これらの中でも、透明性や汎用性、機械特性に優れた非晶性環状ポリオレフィンまたはポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。また、前記有機高分子は、単独重合体、共重合体のいずれでもよいし、有機高分子として1種類のみを用いてもよいし、複数種類をブレンドして用いてもよい。
基材のA層を形成する側の表面には、密着性や平滑性を良くするためにコロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理、イオンボンバード処理、溶剤処理、有機物もしくは無機物またはそれらの混合物で構成されるアンカーコート層の形成処理、等の前処理が施されていてもよい。また、A層を形成する側の反対側には、基材の巻き取り時の滑り性の向上や基材の耐擦傷性を目的として、有機物や無機物あるいはこれらの混合物のコーティング層が積層されていてもよい。
本発明に使用する基材の厚みは特に限定されないが、柔軟性を確保する観点から500μm以下が好ましく、引張りや衝撃に対する強度を確保する観点から5μm以上が好ましい。さらに、フィルムの加工やハンドリングの容易性から基材の厚みは10μm以上、150μm以下がより好ましい。
[アンカーコート層]
本発明の積層体は、アンカーコート層を有し、前記アンカーコート層は、一方の面が前記基材と接し、他方の面が前記A層と接していることが好ましい。さらにアンカーコート層は、芳香族環構造を有するポリウレタン化合物を架橋して得られる構造を含んでいることがより好ましい。基材上に突起や傷などの欠点が存在する場合、前記欠点を起点に基材上に積層するA層にもピンホールやクラックが発生してガスバリア性や耐屈曲性が損なわれる場合があるため、アンカーコート層を設けることが好ましい。また、基材とA層との熱寸法安定性差が大きい場合もガスバリア性や屈曲性が低下する場合があるため、アンカーコート層を設けることが好ましい。また、本発明に用いられるアンカーコート層は、熱寸法安定性、耐屈曲性の観点から芳香族環構造を有するポリウレタン化合物を架橋して得られる構造を含有することが好ましく、さらに、エチレン性不飽和化合物、光重合開始剤、有機ケイ素化合物および/または無機ケイ素化合物を含有することがより好ましい。
本発明の積層体は、アンカーコート層を有し、前記アンカーコート層は、一方の面が前記基材と接し、他方の面が前記A層と接していることが好ましい。さらにアンカーコート層は、芳香族環構造を有するポリウレタン化合物を架橋して得られる構造を含んでいることがより好ましい。基材上に突起や傷などの欠点が存在する場合、前記欠点を起点に基材上に積層するA層にもピンホールやクラックが発生してガスバリア性や耐屈曲性が損なわれる場合があるため、アンカーコート層を設けることが好ましい。また、基材とA層との熱寸法安定性差が大きい場合もガスバリア性や屈曲性が低下する場合があるため、アンカーコート層を設けることが好ましい。また、本発明に用いられるアンカーコート層は、熱寸法安定性、耐屈曲性の観点から芳香族環構造を有するポリウレタン化合物を架橋して得られる構造を含有することが好ましく、さらに、エチレン性不飽和化合物、光重合開始剤、有機ケイ素化合物および/または無機ケイ素化合物を含有することがより好ましい。
本発明の積層体のA層に用いられる芳香族環構造を有するポリウレタン化合物は、主鎖あるいは側鎖に芳香族環およびウレタン結合を有するものであり、例えば、分子内に水酸基と芳香族環とを有するエポキシ(メタ)アクリレート、ジオール化合物、ジイソシアネート化合物とを重合させて得ることができる。
分子内に水酸基と芳香族環とを有するエポキシ(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、水添ビスフェノールF型、レゾルシン、ヒドロキノン等の芳香族グリコールのジエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸誘導体とを反応させて得ることができる。
ジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4’−チオジフェノール、ビスフェノールA、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−(2−ノルボルニリデン)ジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、o−,m−,及びp−ジヒドロキシベンゼン、4,4’−イソプロピリデンフェノール、4,4’−イソプロピリデンビンジオール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、ビスフェノールAなどを用いることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
ジイソシアネート化合物としては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネート化合物、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート等の脂環族系イソシアネート化合物、キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族系イソシアネート化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
前記分子内に水酸基と芳香族環とを有するエポキシ(メタ)アクリレート、ジオール化合物、ジイソシアネート化合物の成分比率は所望の重量平均分子量になる範囲であれば特に限定されない。本発明における芳香族環構造を有するポリウレタン化合物の重量平均分子量(Mw)は、5,000〜100,000であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)が5,000〜100,000であれば、得られる硬化皮膜の熱寸法安定性、耐屈曲性が優れるため好ましい。なお、本発明における重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法を用いて測定され標準ポリスチレンで換算された値である。
エチレン性不飽和化合物としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールS型エポキシジ(メタ)アクリレート等のエポキシアクリレート等を挙げられる。これらの中でも、熱寸法安定性、表面保護性能に優れた多官能(メタ)アクリレートが好ましい。また、これらは単一の組成で用いてもよいし、二成分以上を混合して使用してもよい。
エチレン性不飽和化合物の含有量は特に限定されないが、熱寸法安定性、表面保護性能の観点から、芳香族環構造を有するポリウレタン化合物との合計量100質量%中、5〜90質量%の範囲であることが好ましく、10〜80質量%の範囲であることがより好ましい。
光重合開始剤としては、本発明の積層体のガスバリア性および耐屈曲性を保持することができれば素材は特に限定されない。本発明に好適に用いることができる光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルーケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン等のアルキルフェノン系光重合開始剤、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等のチタノセン系光重合開始剤、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]等オキシムエステル構造を持つ光重合開始剤等が挙げられる。
これらの中でも、硬化性、表面保護性能の観点から、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルーケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシドから選ばれる光重合開始剤が好ましい。また、これらは単一の組成で用いてもよいし、二成分以上を混合して使用してもよい。
光重合開始剤の含有量は特に限定されないが、硬化性、表面保護性能の観点から、重合性成分の合計量中、0.01〜10質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜5質量%の範囲であることがより好ましい。
有機ケイ素化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これらの中でも、硬化性、活性エネルギー線照射による重合活性の観点から、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランおよびビニルトリエトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1つの有機ケイ素化合物が好ましい。また、これらは単一の組成で用いてもよいし、二成分以上を混合して使用してもよい。
有機ケイ素化合物の含有量は特に限定されないが、硬化性、表面保護性能の観点から、重合性成分の合計量中、0.01〜10質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜5質量%の範囲であることがより好ましい。
無機ケイ素化合物としては、表面保護性能、透明性の観点からシリカ粒子が好ましく、さらにシリカ粒子の一次粒子径が1〜300nmの範囲であることが好ましく、5〜80nmの範囲であることがより好ましい。なお、ここでいう一次粒子径とは、ガス吸着法により求めた比表面積sを下記の式(1)に適用することで求められる粒子直径dを指す。
d=6/ρs ・・・ (1)
ρ:密度。
d=6/ρs ・・・ (1)
ρ:密度。
アンカーコート層の厚みは、200nm以上、4,000nm以下が好ましく、300nm以上、2,000nm以下がより好ましく、500nm以上、1,000nm以下がさらに好ましい。アンカーコート層の厚みが200nmより薄くなると、基材上に存在する突起や傷などの欠点の悪影響を抑制できない場合がある。アンカーコート層の厚みが4,000nmより厚くなると、アンカーコート層の平滑性が低下して前記アンカーコート層上に積層するA層表面の凹凸形状も大きくなり、積層される蒸着膜が緻密になりにくく、ガスバリア性の向上効果が得られにくくなる場合がある。ここでアンカーコート層の厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)による断面観察画像から測定することが可能である。
アンカーコート層の算術平均粗さRaは、10nm以下であることが好ましい。Raを10nm以下にすると、アンカーコート層上に均質なA層を形成しやすくなり、ガスバリア性の繰り返し再現性が向上するため好ましい。アンカーコート層の表面のRaが10nmより大きくなると、アンカーコート層上のA層表面の凹凸形状も大きくなり、蒸着膜が緻密になりにくく、ガスバリア性の向上効果が得られにくくなる場合があり、また、凹凸が多い部分で応力集中によるクラックが発生し易くなり、ガスバリア性の繰り返し再現性が低下する原因となる場合がある。従って、本発明においては、アンカーコート層のRaを10nm以下にすることが好ましく、より好ましくは5nm以下である。本発明におけるアンカーコート層のRaは、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定することができる。
本発明の積層体にアンカーコート層を適用する場合、アンカーコート層を形成する樹脂を含む塗液の塗布手段としては、まず基材上に芳香族環構造を有するポリウレタン化合物を含む塗料を乾燥後の厚みが所望の厚みになるよう固形分濃度を調整し、例えばリバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、スピンコート法などにより塗布することが好ましい。また、本発明においては、塗工適性の観点から有機溶剤を用いて芳香族環構造を有するポリウレタン化合物を含む塗料を希釈することが好ましい。
具体的には、キシレン、トルエン、メチルシクロヘキサン、ペンタン、ヘキサンなどの炭化水素系溶剤、ジブチルエーテル、エチルブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤などを用いて、固形分濃度が10質量%以下に希釈して使用することが好ましい。これらの溶剤は、単独あるいは2種以上を混合して用いてもよい。また、アンカーコート層を形成する塗料には、各種の添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、触媒、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などの安定剤、界面活性剤、レベリング剤、帯電防止剤などを用いることができる。
次いで、塗布後の塗膜を乾燥させて希釈溶剤を除去することが好ましい。ここで、乾燥に用いられる熱源としては特に制限は無く、スチームヒーター、電気ヒーター、赤外線ヒーターなど任意の熱源を用いることができる。なお、ガスバリア性向上のため、加熱温度は50〜150℃で行うことが好ましい。また、加熱処理時間は数秒〜1時間行うことが好ましい。さらに、加熱処理中は温度が一定であってもよく、徐々に温度を変化させてもよい。また、乾燥処理中は湿度を相対湿度で20〜90%RHの範囲で調整しながら加熱処理してもよい。前記加熱処理は、大気中もしくは不活性ガスを封入しながら行ってもよい。
次に、乾燥後の芳香族環構造を有するポリウレタン化合物を含む塗膜に活性エネルギー線照射処理を施して前記塗膜を架橋させて、アンカーコート層を形成することが好ましい。
かかる場合に適用する活性エネルギー線としては、アンカーコート層を硬化させることができれば特に制限はないが、汎用性、効率の観点から紫外線処理を用いることが好ましい。紫外線発生源としては、高圧水銀ランプメタルハライドランプ、マイクロ波方式無電極ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンランプ等、既知のものを用いることができる。また、活性エネルギー線は、硬化効率の観点から窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で用いることが好ましい。紫外線処理としては、大気圧下または減圧下のどちらでも構わないが、汎用性、生産効率の観点から本発明では大気圧下にて紫外線処理を行うことが好ましい。前記紫外線処理を行う際の酸素濃度は、アンカーコート層の架橋度制御の観点から酸素ガス分圧は1.0%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。相対湿度は任意でよい。
紫外線発生源としては、高圧水銀ランプメタルハライドランプ、マイクロ波方式無電極ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンランプ等、既知のものを用いることができる。
紫外線照射の積算光量は0.1〜1.0J/cm2であることが好ましく、0.2〜0.6J/cm2がより好ましい。前記積算光量が0.1J/cm2以上であれば所望のアンカーコート層の架橋度が得られるため好ましい。また、前記積算光量が1.0J/cm2以下であれば基材へのダメージを少なくすることができるため好ましい。
[その他の層]
本発明の積層体の最表面の上、つまりA層の上には、ガスバリア性が低下しない範囲で耐擦傷性や耐薬品性、印刷性等の向上を目的としたオーバーコート層を形成してもよいし、素子等に貼合するための有機高分子化合物からなる粘着層やフィルムをラミネートした積層構成としてもよい。また、光学特性を向上させるための低屈折率層を形成してもよい。なお、ここでいう最表面とは、基材上にA層が積層された後の、A層の表面をいう。
本発明の積層体の最表面の上、つまりA層の上には、ガスバリア性が低下しない範囲で耐擦傷性や耐薬品性、印刷性等の向上を目的としたオーバーコート層を形成してもよいし、素子等に貼合するための有機高分子化合物からなる粘着層やフィルムをラミネートした積層構成としてもよい。また、光学特性を向上させるための低屈折率層を形成してもよい。なお、ここでいう最表面とは、基材上にA層が積層された後の、A層の表面をいう。
[積層体の用途]
本発明の積層体は高いガスバリア性を有するため、ガスバリア性フィルムとして好適に用いることができる。また、本発明の積層体は、様々な電子デバイスに用いることができる。例えば、太陽電池やフレキシブル回路基材、有機EL照明、フレキシブル有機ELディスプレイ、シンチレータのような電子デバイスに好適に用いることができる。また、高いバリア性を活かして、リチウムイオン電池の外装材や医薬品の包装材料としても好適に用いることができる。
本発明の積層体は高いガスバリア性を有するため、ガスバリア性フィルムとして好適に用いることができる。また、本発明の積層体は、様々な電子デバイスに用いることができる。例えば、太陽電池やフレキシブル回路基材、有機EL照明、フレキシブル有機ELディスプレイ、シンチレータのような電子デバイスに好適に用いることができる。また、高いバリア性を活かして、リチウムイオン電池の外装材や医薬品の包装材料としても好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[評価方法]
(1)A層の厚み、結晶性
断面観察用サンプルをマイクロサンプリングシステム((株)日立製作所製 FB−2000A)を使用してFIB法により(具体的には「高分子表面加工学」(岩森暁著)p.118〜119に記載の方法に基づいて)作製した。透過型電子顕微鏡((株)日立製作所製 H−9000UHRII)により、加速電圧300kVとして、観察用サンプルの断面を観察し、積層体のA層の厚みを測定した。
(1)A層の厚み、結晶性
断面観察用サンプルをマイクロサンプリングシステム((株)日立製作所製 FB−2000A)を使用してFIB法により(具体的には「高分子表面加工学」(岩森暁著)p.118〜119に記載の方法に基づいて)作製した。透過型電子顕微鏡((株)日立製作所製 H−9000UHRII)により、加速電圧300kVとして、観察用サンプルの断面を観察し、積層体のA層の厚みを測定した。
また、その際にA層の結晶性についても判断をした。つまり、断面観察した際にコントラストが均一であり結晶粒界が見られないものは「非晶」、コントラストが不均一であり、微結晶状態や柱状構造など結晶構造に応じた結晶粒界が観察されるものは「結晶」とした。
(2)A層の組成
積層体のA層の組成分析は、X線光電子分光法(XPS法)により行った。SiO2膜の換算厚みで、最表面から5nmアルゴンイオンエッチングにより層を除去して下記の条件で各元素の含有比率を測定した。XPS法の測定条件は下記の通りとした。
・装置 :PHI5000VersaProbeII(アルバックファイ社製)
・励起X線 :monochromatic AlKα
・分析範囲 :φ100μm
・光電子脱出角度 :45°
・Arイオンエッチング :2.0kV、ラスターサイズ 2×2、エッチング時間 1min。
積層体のA層の組成分析は、X線光電子分光法(XPS法)により行った。SiO2膜の換算厚みで、最表面から5nmアルゴンイオンエッチングにより層を除去して下記の条件で各元素の含有比率を測定した。XPS法の測定条件は下記の通りとした。
・装置 :PHI5000VersaProbeII(アルバックファイ社製)
・励起X線 :monochromatic AlKα
・分析範囲 :φ100μm
・光電子脱出角度 :45°
・Arイオンエッチング :2.0kV、ラスターサイズ 2×2、エッチング時間 1min。
(3)水蒸気透過度(g/m2/day)
積層体の水蒸気透過度は、温度40℃、湿度90%RH、測定面積50cm2の条件で、英国、テクノロックス(Technolox)社製の水蒸気透過率測定装置(機種名:DELTAPERM(登録商標))を使用して測定した。サンプル数は水準当たり2サンプル行った。2サンプルの測定を行い得たデータを平均し、小数点第2位を四捨五入し、当該水準における平均値を求め、その値を水蒸気透過度(g/m2/day)とした。なお、水蒸気透過度が0.5を超えたものは測定上限とした。
積層体の水蒸気透過度は、温度40℃、湿度90%RH、測定面積50cm2の条件で、英国、テクノロックス(Technolox)社製の水蒸気透過率測定装置(機種名:DELTAPERM(登録商標))を使用して測定した。サンプル数は水準当たり2サンプル行った。2サンプルの測定を行い得たデータを平均し、小数点第2位を四捨五入し、当該水準における平均値を求め、その値を水蒸気透過度(g/m2/day)とした。なお、水蒸気透過度が0.5を超えたものは測定上限とした。
(4)表面粗さの測定
算術平均粗さRaは、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定を行った。積層体を任意の大きさに切り出し、A層表面の1μm×1μmの視野に関して下記の条件で測定を行った。測定n=2で行い、Raの値はn=2の平均値を用いた。なお、A層の上にハードコート層等の他の層が存在する場合は、当該他の層を除去した上で、A層表面において測定を行うこととする。
・測定装置:Bruker製Demension icon
・測定範囲:1μm×1μm
・scan rate:1Hz
・scan line:512
・解析ソフト:Nanoscope Analysis。
算術平均粗さRaは、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定を行った。積層体を任意の大きさに切り出し、A層表面の1μm×1μmの視野に関して下記の条件で測定を行った。測定n=2で行い、Raの値はn=2の平均値を用いた。なお、A層の上にハードコート層等の他の層が存在する場合は、当該他の層を除去した上で、A層表面において測定を行うこととする。
・測定装置:Bruker製Demension icon
・測定範囲:1μm×1μm
・scan rate:1Hz
・scan line:512
・解析ソフト:Nanoscope Analysis。
なお、基材や、アンカーコート層が形成された基材の算術平均粗さRaも同様の方法で測定を行うこととした。
(5)陽電子ビーム法による平均寿命及び平均細孔半径
平均寿命及び平均細孔半径は、陽電子ビーム法(薄膜対応陽電子消滅寿命測定法)により測定を行った。測定するサンプルを15mm×15mm角のSiウェハに貼り付けて室温で真空脱気した後、測定を行った。測定条件は下記のとおりである。
・装置 :フジ・インバック製小型陽電子ビーム発生装置PALS200A
・陽電子線源 :22Naベースの陽電子ビーム
・γ線検出器 :BaF2製シンチレータ+光電子増倍管
・装置定数 :255〜278ps,24.55ps/ch
・ビーム強度 :1keV
・測定深さ :0〜100nm付近(推定)
・測定温度 :室温
・測定雰囲気 :真空
・測定カウント数 :約5,000,000カウント
測定結果について、非線形最小二乗プログラムPOSITRONFITにより、3成分あるいは4成分解析を行った。表1には、3成分解析した際の第3成分の平均寿命とそれより導かれる平均細孔半径、および4成分の解析した際の第4成分の平均寿命とそれより導かれる平均細孔半径を記した。
平均寿命及び平均細孔半径は、陽電子ビーム法(薄膜対応陽電子消滅寿命測定法)により測定を行った。測定するサンプルを15mm×15mm角のSiウェハに貼り付けて室温で真空脱気した後、測定を行った。測定条件は下記のとおりである。
・装置 :フジ・インバック製小型陽電子ビーム発生装置PALS200A
・陽電子線源 :22Naベースの陽電子ビーム
・γ線検出器 :BaF2製シンチレータ+光電子増倍管
・装置定数 :255〜278ps,24.55ps/ch
・ビーム強度 :1keV
・測定深さ :0〜100nm付近(推定)
・測定温度 :室温
・測定雰囲気 :真空
・測定カウント数 :約5,000,000カウント
測定結果について、非線形最小二乗プログラムPOSITRONFITにより、3成分あるいは4成分解析を行った。表1には、3成分解析した際の第3成分の平均寿命とそれより導かれる平均細孔半径、および4成分の解析した際の第4成分の平均寿命とそれより導かれる平均細孔半径を記した。
(実施例1)
(A層の形成)
図3に示す巻き取り式蒸着装置を使用し、電子線(EB)蒸着法により、基材表面に、A層としてFe2O3+SiO2層を厚み150nmで設けた。基材としては、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製“ルミラー”(登録商標)U48:算術平均粗さRa=3.0nm)を用いた。
(A層の形成)
図3に示す巻き取り式蒸着装置を使用し、電子線(EB)蒸着法により、基材表面に、A層としてFe2O3+SiO2層を厚み150nmで設けた。基材としては、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製“ルミラー”(登録商標)U48:算術平均粗さRa=3.0nm)を用いた。
具体的な操作は以下の通りである。まず、蒸着材料として、2〜5mm程度の大きさの顆粒状の酸化鉄Fe2O3(純度99.9%)と二酸化ケイ素SiO2(純度99.99%)を事前にそれぞれ100℃、8時間加熱を行った。続いて、それぞれの材料を図4のようにカーボン製ハースライナー11にセットした。巻き取り室5の中で、巻き出しロール6に前記基材1のA層を設ける側の面がハースライナー11に対向するようにセットし、巻き出し、ガイドロール7,8,9を介して、メインドラム10に通した。このとき、メインドラムは温度−10℃に制御した。次に、真空ポンプにより蒸着装置4内を減圧し、5.0×10−3Pa以下を得た。次に、加熱源として電子銃(以下、EB銃)13を用い、Fe:Si=2:1(atm%)程度の膜組成比となるようにFe2O3とSiO2の加熱比率を制御した。EB銃は加速電圧10kVとし、形成するA層の厚みが150nm程度となるように、加速電流とフィルム搬送速度を調整し、前記基材1の表面上にA層を形成した。その後、ガイドロール15,16,17を介して巻き取りロール18に巻き取った。
続いて、得られた積層体から試験片を切り出し、各種評価を実施した。結果を表1に示す。
(実施例2)
基材として、アンカーコート層が形成された基材を使用した以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。基材上へのアンカーコート層の形成方法は下記のとおりである。
基材として、アンカーコート層が形成された基材を使用した以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。基材上へのアンカーコート層の形成方法は下記のとおりである。
(芳香族環構造を有するポリウレタン化合物の合成)
5リットルの4つ口フラスコに、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物(共栄社化学社製、商品名:エポキシエステル3000A)を300質量部、酢酸エチル710質量部を入れ、内温60℃になるよう加温した。合成触媒としてジラウリン酸ジ−n−ブチル錫0.2質量部を添加し、攪拌しながらジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネート(東京化成工業社製)200質量部を1時間かけて滴下した。滴下終了後2時間反応を続行し、続いてジエチレングリコール(和光純薬工業社製)25質量部を1時間かけて滴下した。滴下後5時間反応を続行し、重量平均分子量20,000の芳香族環構造を有するポリウレタン化合物を得た。なお、アンカーコート層が形成された基材の算術平均粗さRaは0.5nmであった。
5リットルの4つ口フラスコに、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物(共栄社化学社製、商品名:エポキシエステル3000A)を300質量部、酢酸エチル710質量部を入れ、内温60℃になるよう加温した。合成触媒としてジラウリン酸ジ−n−ブチル錫0.2質量部を添加し、攪拌しながらジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネート(東京化成工業社製)200質量部を1時間かけて滴下した。滴下終了後2時間反応を続行し、続いてジエチレングリコール(和光純薬工業社製)25質量部を1時間かけて滴下した。滴下後5時間反応を続行し、重量平均分子量20,000の芳香族環構造を有するポリウレタン化合物を得た。なお、アンカーコート層が形成された基材の算術平均粗さRaは0.5nmであった。
(アンカーコート層の形成)
基材として、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製“ルミラー”(登録商標)U48)を用いた。
基材として、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製“ルミラー”(登録商標)U48)を用いた。
アンカーコート層形成用の塗液として、前記ポリウレタン化合物を150質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学社製、商品名:ライトアクリレートDPE−6A)を20質量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルーケトン(BASFジャパン社製、商品名:「IRGACURE」(登録商標) 184)を5質量部、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン(信越シリコーン社製、商品名:KBM−503)を3質量部、酢酸エチルを170質量部、トルエンを350質量部、シクロヘキサノンを170質量部配合して塗液を調整した。次いで、塗液を基材上にマイクログラビアコーター(グラビア線番150UR、グラビア回転比100%)で塗布、100℃で1分間乾燥し、乾燥後、下記条件にて紫外線処理を施して厚み1μmのアンカーコート層を設けた。
紫外線処理装置:LH10−10Q−G(フュージョンUVシステムズ・ジャパン社製)
導入ガス:N2(窒素イナートBOX)
紫外線発生源:マイクロ波方式無電極ランプ
積算光量:400mJ/cm2
試料温調:室温。
導入ガス:N2(窒素イナートBOX)
紫外線発生源:マイクロ波方式無電極ランプ
積算光量:400mJ/cm2
試料温調:室温。
(実施例3)
蒸着材料として、2〜5mm程度の大きさの顆粒状の酸化ニッケルNiO(純度99.9%)と2〜5mm程度の大きさの顆粒状の酸化ケイ素SiO2(純度99.99%)を用い、Ni:Si=2:1(atm%)程度の膜組成比となるようにNiOとSiO2の加熱比率を制御した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表1に示す。
蒸着材料として、2〜5mm程度の大きさの顆粒状の酸化ニッケルNiO(純度99.9%)と2〜5mm程度の大きさの顆粒状の酸化ケイ素SiO2(純度99.99%)を用い、Ni:Si=2:1(atm%)程度の膜組成比となるようにNiOとSiO2の加熱比率を制御した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表1に示す。
(実施例4)
蒸着材料として、2〜5mm程度の大きさの顆粒状の二酸化マンガンMnO2(純度99.9%)と2〜5mm程度の大きさの顆粒状の酸化ケイ素SiO2(純度99.99%)を用い、Mn:Si=2:1(atm%)程度の膜組成比となるようにMnO2とSiO2の加熱比率を制御した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表1に示す。
蒸着材料として、2〜5mm程度の大きさの顆粒状の二酸化マンガンMnO2(純度99.9%)と2〜5mm程度の大きさの顆粒状の酸化ケイ素SiO2(純度99.99%)を用い、Mn:Si=2:1(atm%)程度の膜組成比となるようにMnO2とSiO2の加熱比率を制御した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表1に示す。
(実施例5)
蒸着材料として、2〜5mm程度の大きさの顆粒状のFe2O3とMgOの複合焼結材料(純度99.9%)と2〜5mm程度の大きさの顆粒状の酸化ケイ素SiO2(純度99.99%)を用い、(Fe+Mg):Si=2:1(atm%)程度の膜組成比となるようにFe2O3とMgOの複合焼結材料とSiO2の加熱比率を制御した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。Fe2O3とMgOの複合焼結材料の組成比率は質量比率でFe2O3:MgO=1:9のものを準備した。結果を表1に示す。
蒸着材料として、2〜5mm程度の大きさの顆粒状のFe2O3とMgOの複合焼結材料(純度99.9%)と2〜5mm程度の大きさの顆粒状の酸化ケイ素SiO2(純度99.99%)を用い、(Fe+Mg):Si=2:1(atm%)程度の膜組成比となるようにFe2O3とMgOの複合焼結材料とSiO2の加熱比率を制御した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。Fe2O3とMgOの複合焼結材料の組成比率は質量比率でFe2O3:MgO=1:9のものを準備した。結果を表1に示す。
(実施例6)
蒸着材料として、2〜5mm程度の大きさの顆粒状のFe2O3とMgOの複合焼結材料(純度99.9%)と2〜5mm程度の大きさの顆粒状の酸化ケイ素SiO2(純度99.99%)を用い、(Fe+Mg):Si=2:1(atm%)程度の膜組成比となるようにFe2O3とMgOの複合焼結材料とSiO2の加熱比率を制御した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。Fe2O3とMgOの複合焼結材料の組成比率は質量比率でFe2O3:MgO=9:1のものを準備した。結果を表1に示す。
蒸着材料として、2〜5mm程度の大きさの顆粒状のFe2O3とMgOの複合焼結材料(純度99.9%)と2〜5mm程度の大きさの顆粒状の酸化ケイ素SiO2(純度99.99%)を用い、(Fe+Mg):Si=2:1(atm%)程度の膜組成比となるようにFe2O3とMgOの複合焼結材料とSiO2の加熱比率を制御した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。Fe2O3とMgOの複合焼結材料の組成比率は質量比率でFe2O3:MgO=9:1のものを準備した。結果を表1に示す。
(実施例7)
Fe2O3とMgOの複合焼結材料の組成比率が質量比率でFe2O3:MgO=1:2のものを蒸着材料として用いた以外は、実施例6と同様にして積層体を得た。結果を表1に示す。
Fe2O3とMgOの複合焼結材料の組成比率が質量比率でFe2O3:MgO=1:2のものを蒸着材料として用いた以外は、実施例6と同様にして積層体を得た。結果を表1に示す。
(実施例8)
Fe:Si=3:1(atm%)程度の膜組成比となるようにFe2O3とSiO2の加熱比率を制御した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表1に示す。
Fe:Si=3:1(atm%)程度の膜組成比となるようにFe2O3とSiO2の加熱比率を制御した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表1に示す。
(実施例9)
Fe:Si=3:2(atm%)程度の膜組成比となるようにFe2O3とSiO2の加熱比率を制御した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表1に示す。
Fe:Si=3:2(atm%)程度の膜組成比となるようにFe2O3とSiO2の加熱比率を制御した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表1に示す。
(実施例10)
(Fe+Mg):Si=3:1(atm%)程度の膜組成比となるようにFe2O3とMgOの複合焼結材料とSiO2の加熱比率を制御した以外は、実施例5と同様にして積層体を得た。
(Fe+Mg):Si=3:1(atm%)程度の膜組成比となるようにFe2O3とMgOの複合焼結材料とSiO2の加熱比率を制御した以外は、実施例5と同様にして積層体を得た。
(実施例11)
(Fe+Mg):Si=3:2(atm%)程度の膜組成比となるようにFe2O3とMgOの複合焼結材料とSiO2の加熱比率を制御した以外は、実施例5と同様にして積層体を得た。
(Fe+Mg):Si=3:2(atm%)程度の膜組成比となるようにFe2O3とMgOの複合焼結材料とSiO2の加熱比率を制御した以外は、実施例5と同様にして積層体を得た。
(比較例1)
蒸着材料として、2〜5mm程度の大きさの顆粒状の酸化鉄Fe2O3(純度99.9%)を用い、仕切りの無いカーボン製ハースライナー11にセットし、EB銃は加速電圧10kVとし、膜厚150nmとなるように加速電流と搬送速度を調整した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表1に示す。
蒸着材料として、2〜5mm程度の大きさの顆粒状の酸化鉄Fe2O3(純度99.9%)を用い、仕切りの無いカーボン製ハースライナー11にセットし、EB銃は加速電圧10kVとし、膜厚150nmとなるように加速電流と搬送速度を調整した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表1に示す。
(比較例2)
蒸着材料として、2〜5mm程度の大きさの顆粒状の酸化ニッケルNiO(純度99.9%)を用いた以外は、比較例1と同様にして積層体を得た。結果を表1に示す。
蒸着材料として、2〜5mm程度の大きさの顆粒状の酸化ニッケルNiO(純度99.9%)を用いた以外は、比較例1と同様にして積層体を得た。結果を表1に示す。
(比較例3)
蒸着材料として、2〜5mm程度の大きさの顆粒状の二酸化マンガンMnO2(純度99.99%)を用いた以外は、比較例1と同様にして積層体を得た。結果を表1に示す。
蒸着材料として、2〜5mm程度の大きさの顆粒状の二酸化マンガンMnO2(純度99.99%)を用いた以外は、比較例1と同様にして積層体を得た。結果を表1に示す。
(比較例4)
蒸着材料として、2〜5mm程度の大きさの顆粒状の二酸化ケイ素SiO2(純度99.99%)を用いた以外は、比較例1と同様にして積層体を得た。結果を表1に示す。
蒸着材料として、2〜5mm程度の大きさの顆粒状の二酸化ケイ素SiO2(純度99.99%)を用いた以外は、比較例1と同様にして積層体を得た。結果を表1に示す。
(比較例5)
蒸着材料として、2〜5mm程度の大きさの顆粒状の鉄Fe(純度99.9%)と2〜5mm程度の大きさの顆粒状のケイ素Si(純度99.9%)を用い、A層であるFe+Si層の形成において、Fe:Si=2:1(atm%)程度の膜組成比となるようにFeとSiの加熱比率を制御した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表1に示す。
蒸着材料として、2〜5mm程度の大きさの顆粒状の鉄Fe(純度99.9%)と2〜5mm程度の大きさの顆粒状のケイ素Si(純度99.9%)を用い、A層であるFe+Si層の形成において、Fe:Si=2:1(atm%)程度の膜組成比となるようにFeとSiの加熱比率を制御した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表1に示す。
(比較例6)
蒸着材料として、2〜5mm程度の大きさの顆粒状のニッケルNi(純度99.9%)と2〜5mm程度の大きさの顆粒状のケイ素Si(純度99.9%)を用い、A層であるFe+Si層の形成において、Fe:Si=2:1(atm%)程度の膜組成比となるようにFeとSiの加熱比率を制御した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表1に示す。
蒸着材料として、2〜5mm程度の大きさの顆粒状のニッケルNi(純度99.9%)と2〜5mm程度の大きさの顆粒状のケイ素Si(純度99.9%)を用い、A層であるFe+Si層の形成において、Fe:Si=2:1(atm%)程度の膜組成比となるようにFeとSiの加熱比率を制御した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表1に示す。
実施例1〜6は、材料と蒸着条件に応じた複合酸化物膜を形成し、A層の陽電子ビーム法における平均寿命が0.935ns以下であり、水蒸気透過度が5.0×10−2(g/m2/day)未満と良好である。また、実施例2においては、実施例1と類似組成比の複合酸化物膜を形成するがアンカーコート層を設けることで、A層が緻密化しており、実施例1に比べて水蒸気透過度が良好である。
一方、比較例1〜4は単一材料であり、複合酸化物膜を形成する実施例に比べて、緻密化せずガスバリア性が発現しない。また、比較例5,6は複合金属膜を形成するが、ガスバリア性は発現しない。
本発明の積層体は、酸素ガス、水蒸気等に対するガスバリア性に優れているため、例えば、食品、医薬品などの包装材および有機ELテレビ、太陽電池などの電子デバイス用部材として有用に用いることができるが、用途がこれらに限定されるものではない。
1 基材
2 A層
3 アンカーコート層
4 巻き取り式電子線(EB)蒸着装置
5 巻き取り室
6 巻き出しロール
7,8,9 巻き出し側ガイドロール
10 メインドラム
11 ハースライナー
12 蒸着材料
13 電子銃
14 電子線
15,16,17 巻き取り側ガイドロール
18 巻き取りロール
19 材料B
20 材料C
21 仕切り板
2 A層
3 アンカーコート層
4 巻き取り式電子線(EB)蒸着装置
5 巻き取り室
6 巻き出しロール
7,8,9 巻き出し側ガイドロール
10 メインドラム
11 ハースライナー
12 蒸着材料
13 電子銃
14 電子線
15,16,17 巻き取り側ガイドロール
18 巻き取りロール
19 材料B
20 材料C
21 仕切り板
Claims (11)
- 基材の少なくとも片側に、A層を有し、前記A層が、鉄、マンガン、ニッケル及びケイ素からなる群より選ばれる少なくとも2種の元素、並びに、酸素を含む、積層体。
- 前記A層表面の原子間力顕微鏡(AFM)により算出される算術平均粗さRaが10.0nm以下である、請求項1に記載の積層体。
- 前記A層は、陽電子ビーム法により測定される平均寿命が0.935ns以下である、請求項1または2に記載の積層体。
- 前記A層が、非晶質膜である、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
- 前記A層が、金属元素Mを含み、前記金属元素Mの原子濃度(Matm%)とケイ素の原子濃度(Siatm%)の比率M/(M+Si)が、0.45〜0.85である、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
- 前記A層が、鉄及びケイ素、マンガン及びケイ素、またはニッケル及びケイ素を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
- 前記A層は、鉄またはニッケルを含み、鉄およびニッケル以外の金属元素の合計原子濃度(Qatm%)と鉄およびニッケルの金属元素の合計原子濃度(Ratm%)の比率Q/(Q+R)が、0.895以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
- 前記A層が、シリケート結合を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の積層体。
- 水蒸気透過度が5.0×10−2g/m2/day未満である、請求項1〜8のいずれかに記載の積層体。
- アンカーコート層を有し、前記アンカーコート層が、一方の面が前記基材と接し、他方の面が前記A層と接している、請求項1〜9のいずれかに記載の積層体。
- 前記A層が真空蒸着法により形成される層である、請求項1〜10のいずれかに記載の積層体。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020006525 | 2020-01-20 | ||
JP2020006525 | 2020-01-20 |
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JP2021112912A true JP2021112912A (ja) | 2021-08-05 |
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---|---|---|---|
JP2021001216A Pending JP2021112912A (ja) | 2020-01-20 | 2021-01-07 | 積層体 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2021112912A (ja) |
-
2021
- 2021-01-07 JP JP2021001216A patent/JP2021112912A/ja active Pending
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