JP2021167369A - ポリシラザン化合物含有組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリシラザン化合物により形成される本質的に無色透明で視認性に劣るシリカ質膜の視認性を向上させるポリシラザン化合物含有組成物であって、特に光照射によって暗所であっても当該シリカ質膜の存在を視認できるようなポリシラザン化合物含有組成物を提供することを目的とする。【解決手段】ポリシラザン化合物含有組成物であって、(A)ポリシラザン化合物、(B)下記(B1)〜(B3)から選ばれる少なくとも1種の発光性化合物、(B1)テトラフェニルエチレン系化合物、(B2)シロール系化合物、(B3)キサンテン系色素(C)有機溶剤を含むことを特徴とするポリシラザン化合物含有組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリシラザン化合物含有組成物に関する。
ポリシラザン化合物は硬化により良質なシリカ質ガラス膜を形成することから、優れたガスバリア性や耐熱性、絶縁性を示す。このことから高温環境下での使用において高い信頼性が求められる電子部品への水分や腐食性ガスの侵入を防ぐ保護膜として有用である。ポリシラザン化合物から形成されるシリカ質膜は透明性に優れることがさらなる特徴として挙げられる。この特徴は、塗布対象の外観の意匠性を損ねないコーティング材料としては利点となる。一方で、透明性が高いがゆえに、保護膜の有無を目視で判別することは極めて困難であり、特に装置内などの暗所においては全く判別不能であると言っても過言ではない。化学的な表面分析装置を用いることで保護膜の有無を判別することは可能だが、それに使用される分析装置は大型かつ高価なものが多い。さらにその測定にはしばしば長時間を要し、測定者が分析技術に熟達することが必要なこともある。このことは製品検査が長時間かつ高難易度になることを引き起こすので、製品製造工程を高効率化するにあたり大きなデメリットとなる。
特許文献1ではシロキサンポリマー構造中に蛍光性化合物として知られるボロンジピロメテン(BODIPY)やクマリン等の蛍光染料置換基を導入することでシロキサンエラストマーが蛍光性になることが報告されている。このような例では蛍光性化合物をポリマーに導入する合成操作が必要となり、製品製造にかかるコスト増加や、ポリマーの結合手の一部を蛍光性化合物が占めることによるポリマーの物性への悪影響が憂慮される。
特許文献2ではテルビウム(Tb)または、ユウロピウム(Eu)などの希土類元素の酸化物をガラスの原料に混合して、溶融、成型することで可視光線の蛍光性ガラスを作製できることが報告されている。希土類元素を含む物質は発光性に非常に優れるので、材料に発光性を付与する手段として有用だが、比較的容易に入手できる酸化物や塩化物は、有機物への溶解性が低いことが欠点として挙げられる。さらに、有機物からなるコーティング剤においては、上述したガラス成型のように酸化物が溶融するような高温の製造工程を導入することは到底できない。
特許文献3では、蛍光性化合物を有する波長変換体の表面に、ポリシラザン化合物を塗布し、シリカ質ガラス膜よる酸素ガスバリア性を付与した波長変換部材が開示されている。また、特許文献4では、ポリシラザンに、波長変換剤としてランタン系化合物、遷移金属化合物、有機物発光体、無機物ナノ蛍光体を添加したコーティング組成物および波長変換シートが開示されている。これらの例においては、分散媒となる樹脂やポリシラザン化合物含有組成物への蛍光化合物の溶解性については議論されていない。また、コーティング剤の開発において、コーティング剤の粘度が低い場合に有機顔料や無機蛍光体はそのコーティング剤中で沈降あるいは凝集する懸念があり、構成成分を均一な状態で塗布することが困難になる。
以上のことから、ポリシラザン化合物の良質なシリカガラス質膜を形成する特徴を有したまま、そのガラス膜の存在を視認できるようにする技術の開発が求められている。
特表2018−516307号公報 特開平10−167755号公報 国際公開WO2019/031102号公報 特開2017−207757号公報
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ポリシラザン化合物により形成される本質的に無色透明で視認性に劣るシリカ質膜の視認性を向上させるポリシラザン化合物含有組成物であって、特に光照射によって暗所であっても当該シリカ質膜の存在を視認できるようなポリシラザン化合物含有組成物を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を達成するためになされたものであり、下記に示すような特徴を示すポリシラザン化合物含有組成物を提供するものである。
即ち、ポリシラザン化合物含有組成物であって、
(A)ポリシラザン化合物、
(B)下記(B1)〜(B3)から選ばれる少なくとも1種の発光性化合物、
(B1)テトラフェニルエチレン系化合物、
(B2)シロール系化合物、
(B3)キサンテン系色素
(C)有機溶剤
を含むことを特徴とするポリシラザン化合物含有組成物を提供する。
このようなポリシラザン化合物含有組成物であれば、ポリシラザン化合物により形成される本質的に無色透明で視認性に劣るシリカ質膜の視認性を向上させるポリシラザン化合物含有組成物であって、特に光照射によって暗所であっても当該シリカ質膜の存在を視認できるようなポリシラザン化合物含有組成物となる。
また、本発明では、前記(A)成分がペルヒドロポリシラザンであることが好ましい。
このようなポリシラザン化合物含有組成物であれば、本発明の効果を向上させることができる。
また、本発明では、前記(B)成分の配合量が、前記(A)成分100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましい。
このようなポリシラザン化合物含有組成物であれば、本発明の効果をより向上させることができる。
また、本発明では、前記(B1)成分が下記式(1)で示されるテトラフェニルエチレン系化合物であることが好ましい。
Figure 2021167369
(式中、Rは互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜6のアシル基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、カルボキシ基およびその塩、スルホ基およびその塩、リン酸基およびその塩、またはボロン酸基から選ばれる基である。)
このようなポリシラザン化合物含有組成物であれば、(B)成分が(A)成分及び(C)成分との相溶性に優れ、適切な吸収波長とモル吸光係数を有することができる。
また、本発明では、前記(B2)成分が下記式(2)で示されるシロール系化合物であることが好ましい。
Figure 2021167369
(式中、Rは炭素数6〜12のアリール基、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基から選ばれる基であり、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
このようなポリシラザン化合物含有組成物であれば、(B)成分が(A)成分及び(C)成分との相溶性に優れ、適切な吸収波長とモル吸光係数を有することができる。
また、本発明では、前記(B3)成分が下記式(3−1)、または下記式(3−2)で示されるキサンテン系色素であることが好ましい。
Figure 2021167369
(式中、Rは互いに独立して、水素原子、メチル基、またはエチル基であり、Rは互いに独立して、水素原子またはメチル基であり、Rは水素原子、メチル基、エチル基またはオクタデシル基であり、Xは塩化物イオンまたは過塩素酸イオンである。)
Figure 2021167369
(式中、Rは互いに独立して、水素原子またはハロゲン原子であり、Rは水素原子、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、イソチオシアネート基、マレイミド基、セミカルバジド基またはチオセミカルバジド基である。)
このようなポリシラザン化合物含有組成物であれば、(B)成分が(A)成分及び(C)成分との相溶性に優れ、適切な吸収波長とモル吸光係数を有することができる。
また、本発明では、前記ポリシラザン化合物含有組成物が、さらに(D)硬化触媒を含むことができる。
このようなポリシラザン化合物含有組成物であれば、硬化反応速度を向上させることができる。
また、本発明では、前記ポリシラザン化合物含有組成物が、さらに(E)無機充填材を含むことができる。
このようなポリシラザン化合物含有組成物であれば、得られる硬化膜の特性(強度、耐熱性、絶縁性など)を向上させることができる。
本発明によれば、適切に選択された発光性化合物はポリシラザン化合物および溶剤との相溶性に優れる。さらに、それらからなる組成物は、ポリシラザン化合物硬化膜の外観および硬度に影響を与えないまま、例えば365nmの光線照射によって暗所であっても存在が視認可能な硬化物を与える。
上述のように、ポリシラザン化合物からなる硬化物の特性に影響を与えないまま視認性を向上できるようなポリシラザン化合物含有組成物の開発が求められていた。
特に、上述のように、ポリシラザンに無機蛍光体を添加したコーティング剤は、コーティング剤の粘度が低いとこれら添加物が沈降あるいは凝集する懸念があるが、この懸念は添加される発光性化合物を組成物中に溶解させることで払拭される。そこで本発明者らは、添加される発光性化合物であって、ポリシラザン化合物含有組成物に相溶する添加剤を探索することに想到した。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、特定の発光性化合物が、ポリシラザン化合物および溶剤との相溶性に優れ、ポリシラザン化合物硬化膜の外観および硬度に影響を与えないまま、例えば365nmの光線照射によって暗所であっても存在が視認可能な硬化物を与えることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、ポリシラザン化合物含有組成物であって、
(A)ポリシラザン化合物、
(B)下記(B1)〜(B3)から選ばれる少なくとも1種の発光性化合物、
(B1)テトラフェニルエチレン系化合物、
(B2)シロール系化合物、
(B3)キサンテン系色素
(C)有機溶剤
を含むことを特徴とするポリシラザン化合物含有組成物である。
以下に本発明の実施の形態を説明するが、これは例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことは言うまでもない。
<(A)ポリシラザン化合物>
本発明のポリシラザン化合物含有組成物は、硬化することによってガラス質の硬化膜を形成するものである。前記ポリシラザン化合物としては、例えば無機ポリシラザンであるペルヒドロポリシラザン、もしくは有機ポリシラザンであるメチルポリシラザン、ジメチルポリシラザン、フェニルポリシラザン、ビニルポリシラザンなどの変性ポリシラザン、ポリシラザンと化学的に反応し架橋構造を生成するヒドロキシル基、ビニル基、アミノ基、シリル基などの反応基を有する炭化水素化合物、環状飽和炭化水素化合物、環状不飽和炭化水素化合物、飽和複素環化合物、不飽和複素環化合物およびシリコーン化合物などの化合物で化学的に架橋された架橋ポリシラザンなどが挙げられる。前記ポリシラザン化合物は、1種単独、もしくは2種以上の中から選定された1種以上のポリシラザン混合物、あるいは2種以上のポリシラザン構造からなるポリシラザン共重合体から任意に選択して使用でき、1分子中にケイ素原子に直接結合した水素原子を少なくとも1つ以上含むことが好ましく、ペルヒドロポリシラザンがより好ましい。
また、ポリシラザン化合物は(C)成分である有機溶剤への溶解性や塗布時の作業性の観点から重量平均分子量が100〜100,000,000、好ましくは1,000〜1,000,000、より好ましくは2,000〜500,000の範囲内であることが好ましい。重量平均分子量が100以上だと揮発性が低く、有機溶剤の揮発および硬化工程時にポリシラザン化合物そのものが揮発することで塗膜の膜質が劣化する恐れがないため好ましく、100,000,000以下だと、有機溶剤に対する溶解性が高いため好ましい。
なお、本明細書中で言及する重量平均分子量は、下記条件で測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレンを標準物質として得られた値を指す。
[測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:0.35mL/min
検出器:示差屈折率検出器
カラム:TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−M
TSKgel SuperMultipore HZ−M
(4.6mmI.D.×15cm,4μm×4)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:20μL(濃度0.5質量%のTHF溶液)
<(B)発光性化合物>
本発明の発光性化合物は、組成物に添加することで硬化膜の視認性を向上させるものである。当該発光性化合物が(A)ポリシラザン化合物と(C)有機溶剤からなる溶液に相溶せず沈殿したままでは、基材への塗工時に発光性化合物の存在箇所に偏りが生じ、最終的に硬化膜の発光部位が局在することか懸念される。このことから上記発光性化合物はポリシラザン化合物および有機溶剤と相溶する化合物を用いる必要がある。
また、これらの発光性化合物は、特定波長の光線を吸収することで発光する化合物であることが必要である。吸収の大きさの尺度としてモル吸光係数を用いると、照射される光線の波長におけるモル吸光係数が大きいほど吸収の効率が良くなることから、モル吸光係数はどれだけ大きくても良い。しかし吸収が無い場合はそもそも発光性化合物が電子励起されないので、モル吸光係数は0より大きい数値でなければならない。照射される光線の波長は発光性化合物を電子励起させるものであり、200〜1,000nmの範囲内であることが好ましい。
本発明で用いる発光性化合物としては、(B1)テトラフェニルエチレン系化合物、(B2)シロール系化合物、(B3)キサンテン系色素から選ばれる少なくとも1種の発光性化合物であることを特徴とする。このような発光性化合物は、ポリシラザン化合物及び有機溶剤と相溶し、特定波長の光線を吸収することで発光する(即ち、上記モル吸光係数は0より大きい)化合物である。以下それぞれについて詳述する。
(B1)テトラフェニルエチレン系化合物
本発明で用いる(B1)テトラフェニルエチレン系化合物としては、下記式(1)で示されるテトラフェニルエチレン系化合物であることが好ましい。
Figure 2021167369
(式中、Rは互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜6のアシル基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、カルボキシ基およびその塩、スルホ基およびその塩、リン酸基およびその塩、またはボロン酸基から選ばれる基である。)
ここで、カルボキシ基の塩は、カルボキシ基(COOH)のプロトンが他のカチオンに置換された基(例えばCOONa)をいう。スルホ基とリン酸基についても同様である。
前記テトラフェニルエチレン系化合物の具体例としては、テトラフェニルエチレン、テトラキス(クロロフェニル)エチレン、テトラキス(ブロモフェニル)エチレン、テトラキス(ヨードフェニル)エチレン、テトラキス(メチルフェニル)エチレン、テトラキス(エチルフェニル)エチレン、テトラキス(プロピルフェニル)エチレン、テトラキス(ブチルフェニル)エチレン、テトラキス(ペンチルフェニル)エチレン、テトラキス(ヘキシルフェニル)エチレン、テトラキス(ビニルフェニル)エチレン、テトラキス(メトキシフェニル)エチレン、テトラキス(エトキシフェニル)エチレン、テトラキス(プロポキシフェニル)エチレン、テトラキス(ブトキシフェニル)エチレン、テトラキス(アリルオキシフェニル)エチレン、テトラキス(フェノキシフェニル)エチレン、テトラキス(アセチルフェニル)エチレン、テトラキス(ヒドロキシフェニル)エチレン、テトラキス(ニトロフェニル)エチレン、テトラキス(アミノフェニル)エチレン、テトラキス(アクリロイルオキシフェニル)エチレン、テトラキス(メタクリロイルオキシフェニル)エチレン、テトラキス(カルボキシフェニル)エチレン、(エテン−1,1,2,2−テトライル)テトラベンゼンスルホン酸、(エテン−1,1,2,2−テトライル)テトラベンゼンスルホン酸ナトリウム、(エテン−1,1,2,2−テトライル)テトラベンゼンホスホン酸、(エテン−1,1,2,2−テトライル)テトラベンゼンホスホン酸ナトリウム、(エテン−1,1,2,2−テトライル)テトラフェニルボロン酸、1,2−ビス(クロロフェニル)−1,2−ジフェニルエチレン、1,2−ビス(ブロモフェニル)−1,2−ジフェニルエチレン、1,2−ビス(ヨードフェニル)−1,2−ジフェニルエチレン、1,2−ビス(メチルフェニル)−1,2−ジフェニルエチレン、1,2−ビス(エチルフェニル)−1,2−ジフェニルエチレン、1,2−ビス(プロピルフェニル)−1,2−ジフェニルエチレン、1,2−ビス(ブチルフェニル)−1,2−ジフェニルエチレン、1,2−ビス(ペンチルフェニル)−1,2−ジフェニルエチレン、1,2−ビス(ヘキシルフェニル)−1,2−ジフェニルエチレン、1,2−ビス(ビニルフェニル)−1,2−ジフェニルエチレン、1,2−ビス(メトキシフェニル)−1,2−ジフェニルエチレン、1,2−ビス(エトキシフェニル)−1,2−ジフェニルエチレン、1,2−ビス(プロポキシフェニル)−1,2−ジフェニルエチレン、1,2−ビス(ブトキシフェニル)−1,2−ジフェニルエチレン、1,2−ビス(アリルオキシフェニル)−1,2−ジフェニルエチレン、1,2−ビス(フェノキシフェニル)−1,2−ジフェニルエチレン、1,2−ビス(アセチルフェニル)−1,2−ジフェニルエチレン、1,2−ビス(ヒドロキシフェニル)−1,2−ジフェニルエチレン、1,2−ビス(ニトロフェニル)−1,2−ジフェニルエチレン、1,2−ビス(アミノフェニル)−1,2−ジフェニルエチレン、1,2−ビス(アクリロイルオキシフェニル)−1,2−ジフェニルエチレン、1,2−ビス(メタクリロイルオキシフェニル)−1,2−ジフェニルエチレン、1,2−ビス(カルボキシフェニル)−1,2−ジフェニルエチレン、(1,2−ジフェニルエテン−1,2−ジイル)ジベンゼンスルホン酸、(1,2−ジフェニルエテン−1,2−ジイル)ジベンゼンスルホン酸ナトリウム、(1,2−ジフェニルエテン−1,2−ジイル)ジベンゼンホスホン酸、(1,2−ジフェニルエテン−1,2−ジイル)ジベンゼンホスホン酸ナトリウム、(1,2−ジフェニルエテン−1,2−ジイル)ビスフェニレンボロン酸などが挙げられ、好ましくはテトラフェニルエチレンである。
(B2)シロール系化合物
本発明で用いる(B2)シロール系化合物としては下記式(2)で示されるシロール系化合物であることが好ましい。
Figure 2021167369
(式中、Rは炭素数6〜12のアリール基、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基から選ばれる基であり、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
前記シロール系化合物の具体例としては、1,1,2,3,4,5−ヘキサフェニル−1H−シロール、1,1−ジメチル−2,3,4,5−テトラフェニル−1H−シロール、1,1−ジエチル−2,3,4,5−テトラフェニル−1H−シロール、1,1−ジプロピル−2,3,4,5−テトラフェニル−1H−シロール、1,1−ジブチル−2,3,4,5−テトラフェニル−1H−シロール、1,1−ジペンチル−2,3,4,5−テトラフェニル−1H−シロール、1,1−ジヘキシル−2,3,4,5−テトラフェニル−1H−シロール、1,1−ジトリル−2,3,4,5−テトラフェニル−1H−シロール、1,1−ジキシリル−2,3,4,5−テトラフェニル−1H−シロール、1,1−ジナフチル−2,3,4,5−テトラフェニル−1H−シロール、2,3,4,5−テトラフェニル−1H−シロール、1,1,2,3,4,5−ヘキサトリル−1H−シロール、1,1−ジメチル−2,3,4,5−テトラトリル−1H−シロール、1,1−ジエチル−2,3,4,5−テトラトリル−1H−シロール、1,1−ジプロピル−2,3,4,5−テトラトリル−1H−シロール、1,1−ジブチル−2,3,4,5−テトラトリル−1H−シロール、1,1−ジペンチル−2,3,4,5−テトラトリル−1H−シロール、1,1−ジヘキシル−2,3,4,5−テトラトリル−1H−シロール、1,1−ジフェニル−2,3,4,5−テトラトリル−1H−シロール、1,1−ジキシリル−2,3,4,5−テトラトリル−1H−シロール、1,1−ジナフチル−2,3,4,5−テトラフェニル−1H−シロール、2,3,4,5−テトラトリル−1H−シロール、1,1,2,3,4,5−ヘキサキシリル−1H−シロール、1,1−ジメチル−2,3,4,5−テトラキシリル−1H−シロール、1,1−ジエチル−2,3,4,5−テトラキシリル−1H−シロール、1,1−ジプロピル−2,3,4,5−テトラキシリル−1H−シロール、1,1−ジブチル−2,3,4,5−テトラキシリル−1H−シロール、1,1−ジペンチル−2,3,4,5−テトラキシリル−1H−シロール、1,1−ジヘキシル−2,3,4,5−テトラキシリル−1H−シロール、1,1−ジフェニル−2,3,4,5−テトラキシリル−1H−シロール、1,1−ジトリル−2,3,4,5−テトラキシリル−1H−シロール、1,1−ジナフチル−2,3,4,5−テトラキシリル−1H−シロール、2,3,4,5−テトラキシリル−1H−シロールなどが挙げられ、好ましくは1,1,2,3,4,5−ヘキサフェニル−1H−シロールである。
(B3)キサンテン系色素
本発明で用いる(B3)キサンテン系色素としては下記式(3−1)、または下記式(3−2)で示されるキサンテン系色素であることが好ましい。
Figure 2021167369
(式中、Rは互いに独立して、水素原子、メチル基、またはエチル基であり、Rは互いに独立して、水素原子またはメチル基であり、Rは水素原子、メチル基、エチル基またはオクタデシル基であり、Xは塩化物イオンまたは過塩素酸イオンである。)
Figure 2021167369
(式中、Rは互いに独立して、水素原子またはハロゲン原子であり、Rは水素原子、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、イソチオシアネート基、マレイミド基、セミカルバジド基またはチオセミカルバジド基である。)
前記キサンテン系色素の具体例としては、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン110、ローダミン123、ローダミン590塩化物、ローダミン6G過塩素酸塩、ローダミンBオクタデシルエステル塩化物、ローダミンBオクタデシルエステル過塩素酸塩、ローダミン19過塩素酸塩、テトラメチルローダミンメチルエステル過塩素酸塩などのローダミン化合物、フルオレセイン、2´,7´−ジクロロフルオレセイン、4´,5´−ジブロモフルオレセイン、テトラヨードフルオレセイン、5−アミノフルオレセイン、6−アミノフルオレセイン、5−ニトロフルオレセイン、6−ニトロフルオレセイン、5−カルボキシフルオレセイン、6−カルボキシオレセイン、フルオレセイン−5−イソチオシアネート、フルオレセイン−6−イソチオシアネートフルオレセイン−5−マレイミド、フルオレセイン−6−マレイミド、フルオレセイン−5−セミカルバジド、フルオレセイン−6−セミカルバジド、フルオレセイン−5−チオセミカルバジド、フルオレセイン−6−チオセミカルバジドなどのフルオレセイン化合物などが挙げられ、中でもローダミンBが好ましい。
前記(B1)〜(B3)の発光性化合物はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
(B)成分の発光性化合物の添加量は、(A)ポリシラザン化合物100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましく、0.2〜1質量部がより好ましい。
<(C)有機溶剤>
本発明で用いる前記ポリシラザン化合物は、塗布時の作業性や保存安定性を改善することを目的として、有機溶剤で希釈して用いられる。前記有機溶剤としては、前記(A)ポリシラザン化合物および(B)発光性化合物を溶解する有機溶剤であれば特に限定されない。例えば、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、n−ノナン、i−ノナン、n−デカン、i−デカンなどの飽和脂肪族炭化水素、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、β−ミルセンなどの不飽和脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレンなどの飽和脂環式炭化水素、シクロヘキセンなどの不飽和脂環式炭化水素、p−メンタン、d−リモネン、l−リモネン、ジペンテンなどのテルペン化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、トリエチルベンゼン、テトラヒドロナフタレンなどの芳香族炭化水素、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、アセト酢酸エチル、カプロン酸エチルなどのエステル化合物、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、tert−ブチルメチルエーテルなどのアルキルエーテル化合物、アニソール、ジフェニルエーテルなどのアリールエーテル化合物、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス(2−エトキシエチル)エーテル、ビス(2−ブトキシエチル)エーテルなどのグリコールエーテル化合物などが挙げられる。
塗布時の作業性やポリシラザン化合物の保存安定性の観点から、希釈比率はポリシラザン化合物100質量部に対して有機溶剤が100〜100,000質量部の範囲内であることが好ましく、400〜10,000質量部であることがさらに好ましい。
本発明のポリシラザン化合物含有組成物に含まれる水分量は500ppm以下であることが好ましく、300ppm以下であることがより好ましい。水分量が500ppm以下であれば、ポリシラザンと含有水分とが反応しないため、発熱したり、水素ガスやアンモニアガスが発生したりする恐れがなく、また、増粘、ゲル化などを引き起こす恐れもないので好ましい。
<(D)硬化触媒>
本発明のポリシラザン化合物含有組成物には、硬化反応速度の向上を目的として硬化触媒を添加することができる。
硬化触媒は室温放置、加熱、UV照射などで硬化反応の触媒となるものであれば特に制約はなく、例えば無機化合物であれば、チタン、マンガン、コバルト、ニッケル、亜鉛などの周期表第4周期に属するdブロック元素、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金などの白金族元素などに代表される金属元素を含む均一もしくは不均一金属触媒、もしくはこれら金属元素を有する化合物が挙げられる。また有機化合物であれば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミンなどの脂肪族アミン類、メチルアミノエタノール、ジメチルアミノエタノールなどの脂肪族アミノアルコール類、アニリン、フェニルエチルアミン、トルイジンなどの芳香族アミン類、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ジアザビシクロノネン、ジアザビシクロウンデセンなどの複素環式アミン類などが挙げられる。
<(E)無機充填材>
本発明のポリシラザン化合物含有組成物には無機充填材を添加してもよい。前記無機充填材としては、例えば、ヒュームドシリカ、溶融シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、酸化第二鉄、酸化亜鉛などが挙げられる。
このような無機充填剤を添加することにより、得られる硬化膜の特性(強度、耐熱性、絶縁性など)が向上する。
無機充填材の添加量としては、特に制限はないが、(A)成分100質量部に対して、0.1〜400質量部が好ましく、1〜100質量部がより好ましい。
本発明のポリシラザン化合物含有組成物は、(A)成分と(C)成分とを混合した溶液に(B)成分、及び場合により(D)成分及び/または(E)成分を加えて、例えば、超音波を当てながら撹拌することで得ることができる。その他、本発明の組成物には目的に応じ、これら以外の添加材を添加することができる。
<硬化膜の形成方法>
本発明のポリシラザン化合物含有組成物を用いて硬化膜を形成する方法としては、前記ポリシラザン化合物含有組成物を基材に塗布する塗布工程、次いで、基材に塗布した塗工膜から有機溶剤を揮発・除去する溶剤揮発工程、さらに発光性化合物含有ポリシラザン化合物を硬化する硬化工程を経る方法が挙げられる。
<塗布工程>
基材に対して本発明のポリシラザン化合物含有組成物を塗布する方法としては例えば、ダイレクトグラビアコータ、チャンバードクターコータ、オフセットグラビアコータ、リバースキスコータ、リバースロールコータ、スロットダイ、リップコータ、エアードクターコータ、一本ロールキスコータ、正回転ロールコータ、ブレードコータ、含浸コータ、MBコータ、MBリバースコータ、ナイフコータ、バーコータなどのロールコート法やスピンコート法、ディスペンス法、ディップ法、スプレー法、転写法、スリットコート法などが挙げられる。
塗膜の厚さは硬化膜の使用目的などにより異なるが、硬化膜厚で10〜100,000nmであることが好ましく、100〜10,000nmであることがさらに好ましい。
ポリシラザン化合物含有組成物を塗布する前に基材に対して表面改質処理を行っても良い。表面改質処理は主に基材とポリシラザン化合物との密着性を向上させる目的で行われ、基材表面に付着した有機物の分解除去や、基材表面に化学反応点を形成することで実現される。表面改質処理方法としては例えば、アルゴンプラズマ処理、酸素プラズマ処理、オゾン処理、UV照射処理、キセノンエキシマ光照射処理などが挙げられ、基材の種類などにより使い分けられる。
<溶剤揮発工程>
前記塗布工程に次いで、基材上に形成された塗工膜から有機溶剤を揮発させる溶剤揮発工程に移行する。前記溶剤揮発工程は20〜300℃で行うことが好ましく、25〜200℃がより好ましい。この範囲内であれば有機溶剤が速やかに揮発し硬化工程に移行できる。溶剤揮発工程の温度が300℃以下だと発光性物質が分解したり、揮発した溶剤が発火したりする恐れがないため好ましい。また、ポリシラザンの硬化反応も同時に起こらないため、有機溶剤が硬化膜内に残存せず、変色の原因とならない。
上記の理由により、本発明で用いる(C)有機溶剤の沸点は、大気圧下(1013hPa)において25〜300℃であることが好ましく、25〜150℃であることがより好ましい。この範囲内であれば、有機溶剤が硬化膜内に残存することもなく、ハンドリング性も良好である。
<硬化工程>
溶剤揮発工程の後は発光性化合物含有ポリシラザン化合物を硬化する工程に移行する。ポリシラザン化合物の硬化処理は硬化反応が進行する方法であれば特に制約はないが、基材を変質させない方法より適宜選択される必要がある。硬化処理方法としては例えば、加熱処理、水蒸気加熱処理、大気圧プラズマ処理、低温プラズマ処理、UV処理、エキシマ光処理などが挙げられる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記実施例によって限定されるものではない。なお、重量平均分子量は、上記条件でGPCにより測定した値である。
(A)ポリシラザン化合物
[合成例1]ポリシラザン化合物(A)の合成
窒素雰囲気下で脱水ピリジン(4,500g)を−10℃まで冷却し、ジクロロシラン(64L)を吹き込んだ後−10℃で1時間撹拌した。アンモニア(216L)を吹き込み、25℃に戻しながら12時間撹拌した。生じた固体をろ別し、ろ液にn−ジブチルエーテル(1,000g)を加えた。液中のピリジンをn−ジブチルエーテルと共沸させながら減圧留去し、留出液が4,500gに達した時点で、n−ジブチルエーテル(1,000g)をさらに加えた。続けてピリジンをn−ジブチルエーテルと共沸させながら減圧留去することでペルヒドロポリシラザンのn−ジブチルエーテル溶液を得た。なお、このペルヒドロポリシラザンの重量平均分子量は6,100であった。その後、溶液全体を100質量部としたときにポリシラザン化合物が20質量部となるようにn−ジブチルエーテルを添加した。以下の実施例、比較例では、この溶液を(A)成分としてペルヒドロポリシラザン20質量部、(C)成分としてn−ジブチルエーテル80質量部を有するものとみなして使用した。
(B)発光性化合物
(B−1)テトラフェニルエチレン(東京化成工業製)
(B−2)1,1,2,3,4,5−ヘキサフェニル−1H−シロール(SIGMA−ALDRICH製)
(B−3)ローダミンB(Alfa Aesar製)
(B−4)アントラセン(東京化成工業製)
(B−5)ベンズアントロン(東京化成工業製)
(B−6)マレイミド化合物(下記[合成例2]で合成した化合物)
(B−7)p−ターフェニル(東京化成工業製)
(B−8)塩化ユーロピウム(III)六水和物(東京化成工業製)
(B−9)セリウム添加イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)蛍光体(INTEMATIX製、NYAG4653-L)
[合成例2]マレイミド化合物(B−6)の合成
アセチレンジカルボン酸ジメチル(1.50g)に0℃でアニリン(1.01g)を滴下した。室温(25℃)で24時間撹拌した後、メタノール(4g)とn−ブチルアミン(2.37g)を加え、室温(25℃)でさらに24時間撹拌した。生じた沈殿をろ過することで下記構造式で示される目的物(B−6)を黄色固体として得た。
Figure 2021167369
(C)有機溶剤
n−ジブチルエーテル(関東化学製)
(D)硬化触媒
3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業製KBE-903)
(E)無機充填材
溶融シリカ(トクヤマ製エクセリカSE−8)
[実施例1〜20、比較例1〜7]
(1)溶解性の評価
表1に示す割合で、前記合成例1で調製した(A)成分と(C)成分とを混合した溶液に(B)成分、及び場合により(D)成分または(E)成分を加えて、超音波洗浄機を用いて超音波(38kHz)を当てながら5分間撹拌することでポリシラザン化合物含有組成物の調製を行った。得られたポリシラザン化合物含有組成物を目視確認し、(B)成分の溶け残りがなく前記ポリシラザン化合物含有組成物が透明になった場合は○、(B)成分の溶け残りがあり前記ポリシラザン化合物含有組成物が不透明になった場合は×を表1に示した。
(2)(B)成分のモル吸光係数の評価
(B−3)を除く(B−1)〜(B−9)成分をn−ジブチルエーテルに30μmol/L、(B−3)成分をエタノールに5.6μmol/Lの濃度で溶解させ、光路長1cmの石英セルに入れて、分光光度計(日立ハイテクサイエンス製)を用いて成分(B)溶液の吸収スペクトルを測定した。365nmにおける吸光度A、セル長b[cm]、成分(B)のモル濃度c[mol/L]、モル吸光係数ε[L/(mol・cm)]を用いてランベルト−ベールの法則ε=A/(b・c)に従って365nmにおけるモル吸光係数を算出し、その数値を表1に示した。
(3)発光性の評価
まず、下記工程を経て、ポリシラザン化合物含有組成物の硬化膜を形成した。
塗布工程
上記にて作製したポリシラザン化合物含有組成物のうち表1の溶解性において○のものをそれぞれスライドガラスにスピンコート(回転速度500rpm、回転時間30秒)した。
溶剤揮発工程
上記にて塗布したポリシラザン化合物含有組成物を25℃で15分静置して溶剤を揮発させた。
硬化工程
上記にて溶剤を揮発させたポリシラザン化合物含有組成物を150℃の乾燥機で48時間加熱することでスライドガラスの表面に硬化膜を形成した。
上記にて形成した硬化膜に、暗所にて波長365nmのUV−LED(アイグラフィックス製)をピーク強度130mW/cmにて照射し、(B)成分を含まない比較例1と蛍光灯下にて外観を目視で比較した。比較例1からの外観の変化、つまり発光している様子が観察されたものは○、観察されなかったものは×を表1に示した。
(4)鉛筆硬度の評価
鉛筆硬度試験器(ペパレス製作所製)および鉛筆(三菱鉛筆製ハイユニの6B〜6H)を用いて荷重750gにて上記で形成した硬化膜の鉛筆硬度を測定し、結果を表1に示した。
Figure 2021167369
比較例6と比較例7から、無機化合物はポリシラザン化合物および有機溶剤への相溶性に乏しいと言える。したがって、相溶性の観点から、ポリシラザン化合物含有組成物から形成されるシリカ質膜に発光性を付与するためには、添加される発光性化合物は無機化合物では適さないと言える。
比較例5から、本発明の(B)成分に該当せず、シリカ質膜の視認のために照射される波長に吸収がない化合物ではシリカ質膜に発光性を付与できず、さらに、比較例1〜4の場合のように照射される波長に吸収がある場合でも本発明における構造に該当しない場合はシリカ質膜に発光性を付与できない。
一方、本発明における(B)成分を含む実施例1〜20は、シリカ質膜に発光性を付与できるうえ、比較例1と同じ鉛筆硬度であることから、(B)成分を添加してシリカ質膜に発光性を付与しても、ポリシラザン化合物から形成されるシリカ質膜の緻密さを維持できていると言える。
これにより本発明ではポリシラザン化合物から形成されるシリカ質膜の従来の性能を損なわず、視認性向上のための発光性を付与できたと言える。
本発明のポリシラザン含有組成物は、365nmの光線照射によって発光するシリカ質膜を形成することができるので、基材がシリカ質膜によって適切に被膜されているかを簡便に判断するのに有用である。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (8)

  1. ポリシラザン化合物含有組成物であって、
    (A)ポリシラザン化合物、
    (B)下記(B1)〜(B3)から選ばれる少なくとも1種の発光性化合物、
    (B1)テトラフェニルエチレン系化合物、
    (B2)シロール系化合物、
    (B3)キサンテン系色素
    (C)有機溶剤
    を含むことを特徴とするポリシラザン化合物含有組成物。
  2. 前記(A)成分がペルヒドロポリシラザンであることを特徴とする請求項1に記載のポリシラザン化合物含有組成物。
  3. 前記(B)成分の配合量が、前記(A)成分100質量部に対して、0.1〜5質量部であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポリシラザン化合物含有組成物。
  4. 前記(B1)成分が下記式(1)で示されるテトラフェニルエチレン系化合物であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のポリシラザン化合物含有組成物。
    Figure 2021167369
    (式中、Rは互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜6のアシル基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、カルボキシ基およびその塩、スルホ基およびその塩、リン酸基およびその塩、またはボロン酸基から選ばれる基である。)
  5. 前記(B2)成分が下記式(2)で示されるシロール系化合物であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のポリシラザン化合物含有組成物。
    Figure 2021167369
    (式中、Rは炭素数6〜12のアリール基、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基から選ばれる基であり、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
  6. 前記(B3)成分が下記式(3−1)、または下記式(3−2)で示されるキサンテン系色素であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のポリシラザン化合物含有組成物。
    Figure 2021167369
    (式中、Rは互いに独立して、水素原子、メチル基、またはエチル基であり、Rは互いに独立して、水素原子またはメチル基であり、Rは水素原子、メチル基、エチル基またはオクタデシル基であり、Xは塩化物イオンまたは過塩素酸イオンである。)
    Figure 2021167369
    (式中、Rは互いに独立して、水素原子またはハロゲン原子であり、Rは水素原子、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、イソチオシアネート基、マレイミド基、セミカルバジド基またはチオセミカルバジド基である。)
  7. 前記ポリシラザン化合物含有組成物が、さらに(D)硬化触媒を含むことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項記載のポリシラザン化合物含有組成物。
  8. 前記ポリシラザン化合物含有組成物が、さらに(E)無機充填材を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項記載のポリシラザン化合物含有組成物。
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