JP2021165335A - 硬化性組成物、硬化物、共重合体 - Google Patents

硬化性組成物、硬化物、共重合体 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化物のガラス転移温度が低く粘着力が良好な硬化性組成物の提供。
【解決手段】(メタ)アクリル酸エステルに基づく単位を有し、単量体xを有しない重合体A、(メタ)アクリロイルオキシ基と、ウレタン結合と、直鎖のポリオキシアルキレン鎖とを有する単量体x、及び前記単量体xに基づく単位を有する重合体Yからなる群より選ばれる1種以上と、下式1で表される単量体zとを含有する、硬化性組成物。式1中、R41は水素原子又はメチル基、L42は−O−、−NH−等の連結基、W43は単結合又はアルキレン基、L44は単結合又は−O−、−NH−等の連結基;W45は単結合又はアルキレン基;R46及びR47はそれぞれ独立に水素原子、ヒドロキシ基又は−B(OH)、R46及びR47は同時に水素原子にならない。
[化1]
Figure 2021165335

【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性組成物、前記硬化性組成物の硬化物、及び共重合体に関する。
特許文献1には、複数種の(メタ)アクリル酸エステル単量体を混合した硬化性組成物を光重合させて硬化物層を形成する際に、芳香環と水酸基を有する特定の基(カテコール基等)を含む単量体を前記硬化性組成物に含有させることにより、硬化物層の接着性や粘着性を向上させる方法が提案されている。
国際公開第2019/221135号
例えば、湾曲性又は屈曲性を有するフレキシブルディスプレイパネルを構成する粘着層にあっては、良好な粘着力を有するだけでなく、低温下で曲げても剥がれ難いことが望まれる。そのためには硬化物のガラス転移温度が低いことが要求される。
しかし、特許文献1に記載されている硬化性組成物は、低温下で曲げられる粘着層を想定していない。また、一般的に、重合体に芳香環を導入するとガラス転移温度が高くなる場合が多い。
本発明は、硬化物のガラス転移温度が低く粘着力が良好な硬化性組成物、硬化物、及び共重合体を提供する。
本発明は、下記の態様を有する。
[1] 下式1で表される単量体z、並びに、下記重合体A、下記単量体x及び下記重合体Yからなる群より選ばれる1種以上を含む硬化性組成物。
重合体A:(メタ)アクリル酸エステルに基づく単位を有し、下記単量体xに基づく単位を有しない重合体。
単量体x:(メタ)アクリロイルオキシ基と、ウレタン結合と、直鎖のポリオキシアルキレン鎖とを有する単量体。
重合体Y:前記単量体xに基づく単位を有する重合体。
Figure 2021165335
[式中、R41は、水素原子又はメチル基を表し;L42は、−O−、−NH−、−NHC(=O)O−、又は−NHC(=O)NH−を表し;W43は、単結合、又は炭素数1〜20のアルキレン基を表し;L44は、単結合、−O−、−NH−、−NHC(=O)−、−NHC(=O)O−、−NHC(=O)NH−、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、−OC(=O)−、−OC(=O)NH−、又は−OC(=O)O−を表し;W45は、単結合、又は炭素数1〜2のアルキレン基を表し;R46及びR47は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、又は−B(OH)を表し;R46及びR47が同時に水素原子であることはない。]
[2] 前記重合体Aの数平均分子量が4万〜75万であり、前記単量体xの数平均分子量が1,000〜35,000であり、前記重合体Yの数平均分子量が20,000〜200万である、請求項1に記載の硬化性組成物。
[3] 前記単量体xが、下記単量体b及び単量体cの一方又は両方を含む、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
単量体b:1分子中に1個の(メタ)アクリロイルオキシ基と、ウレタン結合と、直鎖のポリオキシアルキレン鎖とを有する単量体。
単量体c:1分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基と、ウレタン結合と、直鎖のポリオキシアルキレン鎖とを有する単量体。
[4] 前記単量体bの数平均分子量が1,000〜35,000、前記単量体cの数平均分子量が1,000〜35,000である、請求項3に記載の硬化性組成物。
[5] 前記重合体Aと前記単量体xと前記重合体Yの総質量100質量部に対して、前記単量体zの含有量が0.01〜20質量部である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
[6] 請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物の硬化物。
[7] ガラス転移温度が−80〜−35℃である、請求項6に記載の硬化物。
[8] (メタ)アクリロイルオキシ基と、ウレタン結合と、直鎖のポリオキシアルキレン鎖とを有する単量体xに基づく単位と、上式1で表される単量体zに基づく単位とを有する共重合体。
本発明は、硬化物のガラス転移温度が低く粘着力が良好な硬化性組成物、硬化物、及び共重合体を提供できる。
本明細書における用語の定義は以下である。
「〜」で表される数値範囲は、〜の前後の数値を下限値及び上限値とする数値範囲を意味する。
「単位」とは単量体(モノマーともいう。)の重合により直接形成された原子団を意味する。
「(メタ)アクリロイルオキシ」は、アクリロイルオキシ及びメタクリロイルオキシのいずれか一方又は両方を意味する。
「官能基数」とは、特にことわりのない場合、1分子中の(メタ)アクリロイルオキシ基の数を意味する。
「平均官能基数」とは、特にことわりのない場合、化学式に基づいて得られる式量当たり又は数平均分子量を1単位とする1分子中の平均の(メタ)アクリロイルオキシ基の数を意味する。
数平均分子量(以下、「Mn」ともいう。)は、分子量既知の標準ポリスチレン試料を用いて作成した検量線を用い、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)で測定して得られるポリスチレン換算分子量である。分子量分布は質量平均分子量(以下、「Mw」ともいう。Mnと同様にGPCで得られるポリスチレン換算分子量)をMnで除した値(以下、「Mw/Mn」ともいう。)をいう。なお、GPCの測定において、未反応の低分子量成分(モノマー等)のピークが現れる場合は、前記ピークを除外してMnを求める。
Mnで規定されていても、Mw/Mnが存在しない場合は、化学式に基づいて得られる式量で表される分子量で代替するものとする。
後述の水酸基を1個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物、又は水酸基を2個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物の水酸基価は、JIS K1557(2007年版)に準拠した測定により得られる値である。
水酸基換算分子量は、水酸基価を、「56100/(水酸基価)×(開始剤の水酸基の数)」の式に当てはめて算出した値である。
本明細書において、式1で表される化合物を、化合物1と記すことがある。他の式で表される化合物も同様である。
≪硬化性組成物≫
本実施形態の硬化性組成物は、重合体A、単量体x、及び重合体Yからなる群より選ばれる1種以上と、単量体zとを含有する。さらに、必要に応じた架橋剤、光重合開始剤、他の成分を含有する。
<重合体A>
重合体Aは、(メタ)アクリル酸エステルに基づく単位を有する単独重合体又は共重合体である。重合体Aは後述する単量体zに基づく単位を含んでもよい。重合体Aは後述する単量体xに基づく単位を含まない。
重合体Aの製造に用いる単量体として、例えば、国際公開第2018/173896号の[0095]〜[0110]に記載されている、アルキル(メタ)アクリレート、カルボキシ基含有モノマー、水酸基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、ビニルモノマー、マクロモノマーが挙げられる。
重合体Aの製造に用いる単量体は、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルを含む。
重合体Aの製造に用いる好ましい単量体として、下記モノマーa1、a2、a3、a4が挙げられる。
モノマーa1:(メタ)アクリロイルオキシ基に炭素数4〜18のアルキル基が結合したアルキル(メタ)アクリレート。
モノマーa2:カルボキシ基を有し、モノマーa1と共重合可能なモノマー。
モノマーa3:カルボキシ基以外の有機官能基を有し、モノマーa1と共重合可能なモノマー。
モノマーa4:単量体x以外のポリオキシアルキレンモノオールの(メタ)アクリル酸エステル。
モノマーa1の(メタ)アクリロイルオキシ基に結合した炭素数4〜18のアルキル基は、直鎖又は分岐が好ましい。モノマーa1の例としては、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、へプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシ基に炭素数4〜12の直鎖又は分岐のアルキル基が結合しているモノマーa1を用いると柔軟になりやすい。炭素数4〜12の直鎖又は分岐のアルキル基が結合しているモノマーa1が好ましく、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート又はラウリル(メタ)アクリレートがより好ましい。
モノマーa2の例としては、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられる。
モノマーa2を用いると高温高湿度の条件において硬化物が白濁しにくく(耐湿熱性)また、粘着力が向上しやすい。特に(メタ)アクリル酸が好ましい。
モノマーa3の有機官能基は、ヒドロキシ基又はアミド基が好ましく、ヒドロキシ基がより好ましい。モノマーa3の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等が挙げられる。
モノマーa3を用いると耐湿熱性が向上しやすい。特に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
モノマーa4の例としては、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ラウロキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ステアロキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。
モノマーa4を構成するポリオキシアルキレンモノオールとしては、後述の化合物3aであって、水酸基価が56.1mgKOH/g以下であるものが好ましい。
モノマーa4としては、数平均分子量又は構造式から算出される分子量が1,000以下であるポリオキシエチレンモノオール(メタ)アクリル酸エステル又はポリオキシプロピレンモノオール(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
例えば、重合体Aの全単位に対して、モノマーa1に基づく単位が50〜99.9質量%、モノマーa2に基づく単位が0.1〜5.0質量%であり、これらの合計が50.1〜100質量%である態様が好ましい。
又は、重合体Aの全単位に対して、モノマーa1に基づく単位が50〜99.0質量%、モノマーa3に基づく単位が1.0〜20.0質量%であり、これらの合計が51.0〜100質量%である態様が好ましい。
重合体AのMwは30万〜150万が好ましく、40万〜140万がより好ましく、45万〜130万がさらに好ましく、50〜120万が特に好ましい。上記範囲の下限値以上であると、硬化物のクリープ回復率及びカール残存率がより良好となり、上限値以下であると低粘度のため良好な塗工性が得られやすい。
重合体AのMnは4万〜75万が好ましく、7万〜70万がより好ましく、10万〜50万がさらに好ましく、14万〜30万が特に好ましい。上記範囲の下限値以上であると、硬化物のクリープ回復率及びカール残存率が良好となりやすく、上限値以下であると低粘度のため良好な塗工性が得られやすい。
硬化性組成物に重合体Aが2種以上含まれる場合は、それぞれのMnが上記の範囲内であることが好ましい。
重合体Aの分子量分布は、2.0〜8.0が好ましく、2.1〜7.5がより好ましく、2.2〜7.0がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると硬化物の粘着力が良好となりやすく、上限値以下であると硬化物のクリープ回復率がより優れる。
硬化性組成物に重合体Aが2種以上含まれる場合は、それぞれの分子量分布が上記の範囲内であることが好ましい。
重合体Aのガラス転移温度(以下、Tgとも記す。)は−75〜−40℃が好ましく、−70〜−45℃がより好ましく、−68〜−50℃がさらに好ましい。上記範囲の内であると、硬化物が低温での曲げ試験で剥がれが発生しにくい。
硬化性組成物に重合体Aが2種以上含まれる場合は、それぞれのTgが上記の範囲内であることが好ましい。
<単量体x>
単量体xは、(メタ)アクリロイルオキシ基と、ウレタン結合と、直鎖のポリオキシアルキレン鎖とを有する単量体である。
単量体xは、下記単量体b及び単量体cの一方又は両方を含むことが好ましい。
単量体b:1分子中に、1個の(メタ)アクリロイルオキシ基と、ウレタン結合と、直鎖のポリオキシアルキレン鎖とを有する単量体。
単量体c:1分子中に、2個の(メタ)アクリロイルオキシ基と、ウレタン結合と、直鎖のポリオキシアルキレン鎖とを有する単量体。
<単量体b>
単量体bは、1分子中に1個の(メタ)アクリロイルオキシ基と、ウレタン結合と、直鎖のポリオキシアルキレン鎖とを有する。
単量体bは、本実施形態の硬化性組成物の硬化時の収縮低減に寄与し、硬化物の弾性率の低減に寄与する。前記硬化物を積層体の粘着層として用いることにより、積層体の折り曲げ耐久性及び形状回復性を向上できる。また、単量体bは、(メタ)アクリロイルオキシ基を1個有するため、硬化物における安定性に優れ、ブリードアウトが生じ難い。
硬化速度の点からは、単量体bがアクリロイルオキシ基を有することが好ましい。
単量体bは1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体bは、例えば以下の3つの製造方法(1)〜(3)によって得られる。
(1)単量体bは、水酸基を1個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物と、(メタ)アクリロイルオキシ基及びイソシアネート基を有する化合物とのウレタン化反応により得られる。
(2)単量体bは、水酸基を1個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物と、イソシアネート基を2個有する化合物とをウレタン化反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得、前記プレポリマーのイソシアネート基と、水酸基を1個有し、かつ(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物とのウレタン化反応によって得られる。
(3)単量体bは、水酸基を2個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物の1個の水酸基と、(メタ)アクリロイルオキシ基及びイソシアネート基を有する化合物とのウレタン化反応によって得られる。
単量体bの1分子中のウレタン結合の数は1個以上が好ましい。硬化時の収縮を低減しやすく、硬化後の弾性率を低減しやすい点で1個がより好ましい。
単量体bの総量に対して、ウレタン結合の含有率は0.3〜1.9質量%が好ましく、0.32〜1.6質量%がより好ましく、0.35〜1.3質量%がさらに好ましい。上記範囲内にあると、良好な粘着性を得やすい。
単量体bの総量に対するウレタン結合の含有率は、単量体bの製造に用いた化合物中のイソシアネート基の全部が、ウレタン結合(分子量59)を形成しているとみなして、以下の計算式より算出する。
ウレタン結合の含有率(単位:%)=Mi×59/Wb×100
Wb:単量体bの総質量
Mi:質量Wbの単量体bの製造に用いた化合物に存在するイソシアネート基の全モル数
単量体b中のポリオキシアルキレン鎖のMnは、柔軟性と低粘度の観点から、1,000〜35,000が好ましく、3,000〜30,000がより好ましく、4,000〜28,000がさらに好ましい。
単量体b中のポリオキシアルキレン鎖のMw/Mnは、低粘度の観点から、1.01〜1.30が好ましく、1.03〜1.20がより好ましく、1.02〜1.10がさらに好ましく、5,000〜26,000が特に好ましい。
単量体b中のポリオキシアルキレン鎖のMn及びMw/Mnは、前記3つの製造方法において使用した、水酸基を1個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物、又は水酸基を2個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物のMn及びMwを測定することにより得られる。
具体的には、単量体bのウレタン結合をアルカリ条件下により加水分解し、得られた水酸基を1個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物、又は水酸基を2個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物のMn及びMwを測定する。
単量体bのMnは1,000〜35,000が好ましく、3,000〜30,000がより好ましく、4,000〜28,000がさらに好ましく、5,000〜26,000が特に好ましい。単量体bのMnが前記範囲であると、硬化性組成物の粘度を調整しやすい。また、前記範囲の下限値以上であると、硬化物が柔軟になりやすい。
硬化性組成物に単量体bが2種以上含まれる場合は、それぞれのMnが上記の範囲内であることが好ましい。
単量体bのMw/Mnは1.03〜1.20が好ましく、1.05〜1.15がより好ましい。
硬化性組成物に単量体bが2種以上含まれる場合は、それぞれのMw/Mnが上記の範囲内であることが好ましい。
単量体bのTgは、単量体bのみに光重合開始剤を添加し硬化させたのち、動的粘弾性測定をして得られる値である。本明細書では損失弾性率E’が最大値を示す温度をTgとする。
単量体bのTgは、−55℃以下が好ましく、−58℃以下がより好ましく、−60℃以下がさらに好ましい。上記範囲の上限値以下であると低温での曲げ耐久性がより優れる。下限値はクリープ回復率が向上しやすい点で−85℃以上が好ましく、−80℃以上がより好ましい。
硬化性組成物に単量体bが2種以上含まれる場合は、それぞれのTgが上記の範囲内であることが好ましい。
単量体bを製造する際、直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物を含む原料組成物における水分量は、少ないほど好ましく、直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物に対して、300質量ppm以下が好ましく、250質量ppm以下がより好ましく、50〜200質量ppmがさらに好ましい。水分量が上記範囲内であると、水分とイソシアネート基を有する化合物との反応生成物の生成が少なく、得られた単量体bの安定性が向上する。さらに、単量体bを含む後述の樹脂組成物の経時的な外観の変化を抑制しやすく、樹脂組成物を硬化した硬化物の弾性率が良好となりやすい。
水分とイソシアネート基を有する化合物との反応生成物の含有量は、単量体bの総量に対して、0.5質量%以下が好ましく、0.3質量以下がより好ましい。
単量体bの製造工程においては、生成物(以下、「生成物b」という。)中に、上記水分とイソシアネート基含有化合物との反応生成物などの単量体b以外の副生成物が生じる場合がある。
生成物b中の副生成物の合計の含有量は、20質量%以下が好ましく、15質量以下がより好ましく、ゼロが最も好ましい。生成物b中の副生成物の合計の含有量が20質量%以下であると単量体bとしての機能が十分に発揮されるため、生成物bを単量体bとみなすことができる。
単量体bとしては、下式3で表される単量体b−1、下式4で表される単量体b−2、及び後述の単量体b−3が例示される。
単量体b−1は下式3aで表される水酸基を1個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物(以下、「化合物3a」という。)と、下式3bで表される(メタ)アクリロイルオキシ基及びイソシアネート基を有する化合物(以下、「化合物3b」という。)とのウレタン化反応によって得られる。
化合物3aと、化合物3bとは、1分子中に存在するウレタン化反応が可能な基が各々1個であるため、単量体b−1の1分子中のウレタン結合を1個に制御しやすい。単量体b−1の1分子中のウレタン結合の数が少ないと粘度が低くなりやすい。したがって、硬化性組成物が低粘度であり、柔軟性に優れた硬化物が得られやすい点で、単量体bが単量体b−1を含むことがより好ましい。
Figure 2021165335
Figure 2021165335
化合物3aは、1価アルコール又は1価アルコールにアルキレンオキシドを付加した化合物を開始剤としてアルキレンオキシドを開環付加重合させる公知の方法、又はモノカルボン酸の水酸基にアルキレンオキシドを開環付加重合させる公知の方法により得られる。アルキレンオキシドの具体例としては、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド等が挙げられる。
前記式3、3a、3bにおいて、R11は水素原子又はメチル基であり、水素原子が好ましい。
−(OR12−は、アルキレンオキシドに基づく単位から形成される、直鎖のポリオキシアルキレン鎖を表す。
12は炭素数2〜4の直鎖又は分岐のアルキレン基であり、1分子中に存在する複数のR12は互いに同じでも異なってもよい。1分子中に2種以上のR12が存在する場合、−OR12−の連鎖はブロックでもよくランダムでもよい。R12はエチレン基及びプロピレン基のいずれか一方又は両方であることが好ましい。エチレン基、プロピレン基としては、1,2−エチレン基、1,2−プロピレン基が好ましい。
13は炭素数1〜20のアルキル基、又はR13と結合する酸素原子とともに炭素数1〜20のカルボン酸残基を示す。前記カルボン酸残基は、カルボキシ基中の炭素原子を含む炭素数が1〜20であるモノカルボン酸からカルボキシ基中の水素原子を1個除いた1価の基である。R13は反応が容易な点で炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数2〜8のアルキル基が好ましい。
bは1〜8の整数であり、1〜4の整数が好ましい。
cは20〜600の整数であり、35〜500の整数が好ましく、65〜250の整数がより好ましい。
化合物3aの水酸基価は1.6〜56.1mgKOH/gが好ましく、3.7〜14mgKOH/gがより好ましい。水酸基換算分子量は1,000〜35,000が好ましく、4,000〜15,000がより好ましい。
化合物3aの水酸基換算分子量が前記範囲であれば、単量体b−1のMnを1,000〜35,000の範囲に調整できる。化合物3aの水酸基換算分子量が前記範囲内であれば、生成する単量体b−1の平均官能基数を0.8〜1.3に調整しやすい。前記水酸基換算分子量が小さい方が、前記平均官能基数の上限を1.3以下に調整しやすい。
化合物3aの製造において減圧脱気などによる水分の除去は特に必要なく、反応系内に投入される原料等に通常含まれる水分量は許容される。例えば、通常、開始剤の水分量は少ないほど好ましく、500ppm以下がより好ましく、300ppm以下がさらに好ましい。水分量がこの範囲であると、水から生成するジオールの生成量が抑制されるため、最終的に前記ジオールに(メタ)アクリロイルオキシ基が付加した副生成物の生成量が抑制され、前記副生成物と単量体b−1を含む生成物b−1の平均官能基数の上限を1.3以下に調整しやすい。
化合物3bは、市販品を用いることができ、例えば、カレンズ−AOI(式3bにおけるR11=H、b=2)、カレンズ−MOI(式3bにおけるR11=CH、b=2)(いずれも、昭和電工株式会社製品名)が挙げられる。
化合物3aと、化合物3bとの反応はウレタン化反応であり、公知の手法を用いて行うことができる。これらを反応させる際の、化合物3aに対する、化合物3bの配合比は、インデックス(NCO/OH比)で80〜100が好ましく、90〜100がより好ましく、100が最も好ましい。インデックスを前記範囲とすることで、生成物b−1の平均官能基数を0.8〜1.3の範囲に調整しやすい。
化合物3aは2種以上の混合物であってもよい。この場合、各々の化合物3aは上記範疇に含まれる化合物が好ましい。
生成物b−1の総量に対する単量体b−1の割合は、単量体bとしての機能が充分に発揮されるため、80質量%以上が好ましく、85〜100質量%がより好ましい。生成物b−1が、前記割合で単量体b−1を含む場合には、単量体bの機能が充分に発揮されるため、生成物b−1を単量体b−1とみなすことができる。
生成物b−1を単量体b−1とみなすことができる場合には、生成物b−1のMnと官能基数から求めた平均官能基数は、単量体b−1の平均官能基数とみなすことができる。この場合の生成物b−1における平均官能基数は、0.8〜1.3が好ましく、0.9〜1.2がより好ましい。前記範囲内である生成物b−1は、硬化時の収縮を低減しやすく、硬化物の弾性率を低減しやすい。
単量体b−1は、化合物3であって、かつ1分子中に存在するR12の全量に対してプロピレン基の割合が50〜100モル%である単量体b−1−POを含むことが好ましい。
前記単量体b−1−POにおいて、前記R12の全量に対するプロピレン基の割合は80〜100モル%がより好ましく、100モル%が特に好ましい。1分子中に存在するR12のうち、プロピレン基以外のアルキレン基はエチレン基であることが好ましい。
前記単量体b−1−POを用いる場合、単量体bの総量に対する、単量体b−1−POの割合は50〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましい。前記単量体b−1−POの割合が前記範囲の下限値以上であると低粘度であり、柔軟性に優れる。
単量体b−2は、下式4aで表される水酸基を1個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物(以下、「化合物4a」という。)と、下式4bで表されるイソシアネート基を2個有する化合物(以下、「化合物4b」という。)とをウレタン化反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー)を得た後、前記プレポリマーのイソシアネート基に、下式4cで表される水酸基を1個有し、かつ(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(以下、「化合物4c」という。)を反応させることで得られる。
Figure 2021165335
Figure 2021165335
化合物4aは、1価アルコール又は1価アルコールにアルキレンオキシドを付加した化合物を開始剤としてアルキレンオキシドを開環付加重合させる公知の方法、又はモノカルボン酸の水酸基にアルキレンオキシドを開環付加重合させる公知の方法により得られる。アルキレンオキシドの具体例としては、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド等が挙げられる。
前記式4、4a、4b、4cにおいて、R21は水素原子又はメチル基であり、水素原子が好ましい。
−(OR22−は、アルキレンオキシドに基づく単位から形成される、直鎖のポリオキシアルキレン鎖を表す。
22は炭素数2〜4の直鎖又は分岐のアルキレン基であり、1分子中に存在する複数のR22は互いに同じでも異なってもよい。1分子中に2種以上のR22が存在する場合、−OR22−の連鎖はブロックでもよくランダムでもよい。R22はエチレン基及びプロピレン基のいずれか一方又は両方であることが好ましい。エチレン基、プロピレン基としては、1,2−エチレン基、1,2−プロピレン基が好ましい。
23は炭素数1〜20のアルキル基、又はR23と結合する酸素原子とともに炭素数1〜20のカルボン酸残基を示す。前記カルボン酸残基は、カルボキシ基中の炭素原子を含む炭素数が1〜20であるモノカルボン酸からカルボキシ基中の水素原子を1個除いた1価基である。R23は反応が容易な点で炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数2〜8のアルキル基が好ましい。
24は化合物4bからイソシアネート基を除いた2価の基である。化合物4bとしては、例えば、イソシアネート基を2個有する化合物が挙げられ、無黄変性芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、ならびにこれらのジポリイソシアネートの各種変性体(イソシアネート基を2個有する変性体)が挙げられる。ジイソシアネートは2種以上を併用することもできる。
ジイソシアネートとしては、耐光性、耐候性、耐熱性が優れ透明性が維持できることから、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートが好ましい。
無黄変性芳香族ジイソシアネートとしては、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートが挙げられる。脂環式ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,5−ノルボルナンジイソシアネート、2,6−ノルボルナンジイソシアネートが挙げられる。
化合物4bとしては、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
dは1〜8の整数であり、1〜4の整数が好ましい。eは20〜600の整数であり、35〜500の整数が好ましく、65〜250の整数がより好ましい。
化合物4aの水酸基価は1.6〜56.1mgKOH/gが好ましく、3.7〜14mgKOH/gがより好ましい。水酸基換算分子量は1,000〜35,000が好ましく、4,000〜15,000がより好ましい。化合物4aの水酸基換算分子量を上記範囲とすることで、単量体b−2のMnを1,000〜35,000の範囲に調整できる。
化合物4aは2種以上の混合物であってもよい。この場合、各々の化合物4aは上記範疇に含まれる化合物が好ましい。
化合物4aを製造する際の水分量や、分子量については、前記化合物3aの場合と同様である。化合物4aの製造においても、前記化合物3aの場合と同様に、原料に含まれる水から生成するジオールに(メタ)アクリロイルオキシ基が付加した副生成物と単量体b−2を含む生成物(以下、「生成物b−2」という。)が得られる場合がある。
化合物4aと、化合物4bとを反応させて、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー)を得る反応はウレタン化反応であり、公知の手法を用いて行うことができる。これらを反応させる際の、化合物4aに対する、化合物4bの配合比は、インデックス(NCO/OH比)で100〜200が好ましく、180〜200がより好ましく、200が最も好ましい。
得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、化合物4cとの反応はウレタン化反応であり、公知の手法を用いて行うことができる。
これらを反応させる際の、前記プレポリマーと、化合物4cとの配合比は、前記プレポリマー中のイソシアネート基:化合物4c中の水酸基のモル比が、1:1.0〜1.1が好ましく、1:1.0〜1.05がより好ましい。前記範囲内であれば、生成物b−2の平均官能基数を0.8〜1.2の範囲に調整しやすい。
生成物b−2の総質量に対する単量体b−2の割合は、単量体bとしての機能が充分に発揮されるため、80質量%以上が好ましく、85〜100質量%がより好ましい。生成物b−2が、前記割合で単量体b−2を含む場合には、単量体bの機能が充分に発揮されるため、生成物b−2を単量体b−2とみなすことができる。
生成物b−2を単量体b−2とみなすことができる場合には、生成物b−2のMnと官能基数から求めた平均官能基数は、単量体b−2の平均官能基数とみなすことができる。この場合の生成物b−2における平均官能基数は、0.8〜1.3が好ましく、0.9〜1.2がより好ましい。前記範囲内である生成物b−2は、硬化時の収縮を低減しやすく、硬化物の弾性率を低減しやすい。
単量体b−2は、化合物4であって、かつ1分子中に存在するR22の全量に対するプロピレン基の割合が50〜100モル%である単量体b−2−POを含むことが好ましい。
前記単量体b−2−POにおいて、前記R22の全量に対するプロピレン基の割合は50〜100モル%がより好ましく、80〜100モル%が特に好ましい。1分子中に存在するR22のうち、プロピレン基以外のアルキレン基がエチレン基であることが好ましい。
単量体b−2−POのR22の全量に対するエチレン基の割合は、0〜50モル%が好ましく、0〜30モル%がより好ましく、0〜20モル%がさらに好ましい。
また、前記単量体b−2−POを用いる場合、単量体bの総量に対する、単量体b−2−POの割合は50〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましい。単量体b−2−POの割合が前記範囲の下限値以上であると低粘度であり、柔軟性に優れる。
単量体b−3は、水酸基を2個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物(以下、「化合物5a」という。)と、前記化合物3bとのウレタン化反応によって得られる、官能基数が1の単量体である。
化合物5aは、2価アルコール又は2価アルコールにアルキレンオキシドを付加した化合物を開始剤として、アルキレンオキシドを開環付加重合させた、ポリオキシアルキレンジオールである。化合物5aは、開始剤残基とポリオキシアルキレン鎖と開始剤のアルコール性水酸基の数に対応する水酸基を有する。2価アルコールとアルキレンオキシドとの開環付加重合、及び、開始剤とアルキレンオキシドとの開環付加重合は、KOH等のアルカリ性触媒や複合金属シアン化物錯体触媒などの触媒存在下において、従来公知の方法を用いることができる。
前記2価アルコールの炭素数は1〜12が好ましく、2〜8がより好ましい。2価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングルコール等のポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。
化合物5aに存在するアルキレンオキシド単位の炭素数は2〜4が好ましい。具体的には、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド等が挙げられる。1分子中に存在する複数のアルキレンオキシド単位は互いに同じであっても異なってもよい。1分子中に2種以上のアルキレンオキシド単位の連鎖が存在する場合、ブロック連鎖でもよくランダム連鎖でもよい。
前記アルキレンオキシド単位はエチレンオキシド単位及びプロピレンオキシド単位のいずれか一方又は両方であることが好ましい。アルキレンオキシド単位の全量に対するプロピレンオキシド単位の割合は50〜100モル%が好ましく、80〜100モル%がより好ましい。1分子中に存在するアルキレンオキシド単位のうち、プロピレンオキシド単位以外のアルキレンオキシド単位がエチレンオキシド単位であることが好ましい。
化合物5aの水酸基価は1.6〜56.1mgKOH/gが好ましく、3.7〜14mgKOH/gがより好ましい。水酸基換算分子量は1,000〜35,000が好ましく、4,000〜15,000がより好ましい。
化合物5aの水酸基換算分子量が前記範囲であれば、単量体b−1のMnを1,000〜35,000の範囲に調整できる。化合物5aの水酸基換算分子量が前記範囲内であれば、生成する単量体b−1の平均官能基数を0.8〜1.3に調整しやすい。前記水酸基換算分子量が小さい方が、前記平均官能基数の上限を1.3以下に調整しやすい。
化合物5aは2種以上のポリオキシアルキレンジオールの混合物であってもよい。この場合、各々のポリオキシアルキレンジオールはいずれも上記範疇に含まれる化合物であることが好ましい。
化合物5aと、化合物3bとの反応はウレタン化反応であり、公知の手法を用いて行うことができる。
かかる反応では、化合物5aの両末端の水酸基が化合物3bと反応し得るため、官能基数が1の単量体のほかに、副生成物として、官能基数が2の単量体を含む生成物(以下、「生成物b−3」という。)を生成し得る。
生成物b−3の平均官能基数は0.8〜1.3が好ましく、0.9〜1.2がより好ましい。
かかる反応における、化合物5aに対する化合物3bの配合比は、インデックス(NCO/OH比)で30〜50が好ましく、40〜50がより好ましく、50が最も好ましい。インデックスが前記範囲内であると、化合物5aの1分子に化合物3bの1分子が反応した化合物が得られやすく、前記生成物b−3の平均官能基数を0.8〜1.2の範囲に調整しやすい。
生成物b−3の総量に対する単量体b−3の割合は、単量体bとしての機能が充分に発揮されるため、80質量%以上が好ましく、85〜100質量%がより好ましい。生成物b−3が、前記範囲内の割合で単量体b−3を含む場合には、単量体bの機能が充分に発揮されるため、生成物b−3を単量体b−3とみなすことができる。
生成物b−3を単量体b−3とみなすことができる場合には、生成物b−3のMnと官能基数から求めた平均官能基数は、単量体b−3の平均官能基数とみなすことができる。この場合の生成物b−3における平均官能基数は、0.8〜1.3が好ましく、0.9〜1.2がより好ましい。前記範囲内である生成物b−3は、硬化時の収縮を低減しやすく、硬化物の弾性率を低減しやすい。
単量体bとしては、単量体b−1及び単量体b−2からなる群から選ばれる1種以上を含むことが特に好ましい。
単量体bの総量に対して、単量体b−1と単量体b−2との合計の割合は、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、100質量%が特に好ましい。
単量体b−1と単量体b−2との合計の割合が前記範囲の下限値以上であると硬化収縮率の低減効果に優れ、硬化物の柔軟性が高くなりやすい。単量体b−1と単量体b−2との質量比を表す(b−1):(b−2)は、1:0〜1:1が好ましい。
<単量体c>
単量体cは、1分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基と、ウレタン結合と、直鎖のポリオキシアルキレン鎖とを有する。
硬化速度の点からは、単量体cがアクリロイルオキシ基を有することが好ましい。
単量体cは1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体cは、例えば以下の2つの製造方法(i)、(ii)によって得られる。
(i)単量体cは、水酸基を2個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物の2個の水酸基と、(メタ)アクリロイルオキシ基及びイソシアネート基を有する化合物とのウレタン化反応により得られる。
(ii)単量体cは、水酸基を2個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物と、イソシアネート基を2個有する化合物とをウレタン化反応させて両末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得、前記プレポリマーのイソシアネート基と、水酸基を1個有し、かつ(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物とのウレタン化反応によって得られる。
製造方法(i)、(ii)において、水酸基を2個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物としては、前記化合物5aを用いることができる。
製造方法(i)において、(メタ)アクリロイルオキシ基及びイソシアネート基を有する化合物としては、前記化合物3bを用いることができる。
製造方法(ii)において、イソシアネート基を2個有する化合物としては、前記化合物4bを用いることができる。
製造方法(ii)において、水酸基を1個有し、かつ(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物としては、前記化合物4cを用いることができる。
単量体cの1分子中のウレタン結合の数は1個以上が好ましい。
単量体cの総量に対して、ウレタン結合の含有率は3.90〜6.00質量%が好ましく、3.92〜5.70質量%がより好ましく、3.95〜5.50質量%がさらに好ましい。このようにウレタン結合の濃度(存在割合)が高いことで、粘着性を向上させることができる。
単量体cの総量に対するウレタン結合の含有率は、前記単量体bの総量に対するウレタン結合の含有率と同様にして算出する。
単量体c中のポリオキシアルキレン鎖のMnは、硬化物の柔軟性、低粘度の観点から、1,000〜35,000が好ましく、5,000〜30,000がより好ましく、8,000〜25,000がさらに好ましい。
単量体c中のポリオキシアルキレン鎖のMw/Mnは、低粘度の観点から、1.01〜1.30が好ましく、1.03〜1.20がより好ましく、1.02〜1.10がさらに好ましい。
単量体c中のポリオキシアルキレン鎖のMn及びMw/Mnは、前記2つの製造方法において使用した、水酸基を2個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物のMn及びMwを測定することにより得られる。
具体的には、前記単量体b中のポリオキシアルキレン鎖のMn及びMw/Mnと同様の方法で測定できる。
単量体cのMnは1,000〜35,000が好ましく、6,000〜30,000がより好ましく、9,000〜25,000がさらに好ましい。単量体cのMnが上記範囲であると、硬化性組成物の粘度を調整しやすく、得られる硬化物の粘着性が良好となりやすい。
硬化性組成物に単量体cが2種以上含まれる場合は、それぞれの単量体cのMnが上記の範囲内であることが好ましい。
単量体cのMw/Mnは1.01〜1.30が好ましく、1.03〜1.20がより好ましい。
硬化性組成物に単量体cが2種以上含まれる場合は、それぞれのMw/Mnが上記の範囲内であることが好ましい。
単量体cのTgは、単量体cのみに光重合開始剤を添加し硬化させたのち、動的粘弾性測定をして得られる値である。本明細書では損失弾性率E’が最大値を示す温度をTgとする。
単量体cのTgは、−55℃以下が好ましく、−58℃以下がより好ましく、−60℃以下がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると低温での柔軟性に優れる。
硬化性組成物に単量体cが2種以上含まれる場合は、それぞれのTgが上記の範囲内であることが好ましい。
単量体cの製造工程において、生成物(以下、「生成物c」という。)中に単量体c以外の副生成物が生じる場合がある。
生成物c中の副生成物の含有量は、20質量%以下が好ましく、15質量以下がより好ましく、10質量%以下が好ましく、ゼロが最も好ましい。20質量%以下であると単量体cとしての機能が十分に発揮されるため、生成物cを単量体cとみなすことができる。
生成物cを単量体cとみなすことができる場合には、生成物cのMnと官能基数から求めた平均官能基数は、単量体cの平均官能基数とみなすことができる。この場合の生成物cにおける平均官能基数は、1.6〜2.0が好ましく、1.7〜2.0がより好ましく、1.8〜1.96がさらに好ましい。上記範囲内である生成物cは、得られる硬化物の粘着性が良好となりやすい。
単量体cは、全オキシアルキレン基に対して、オキシプロピレン基の含有量が50〜100質量%であり、かつオキシエチレン基の含有量が0〜50質量%である単量体c−POが含まれることが好ましい。
単量体c−POを用いる場合、単量体cに対する、単量体c−POの含有量は50〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましい。単量体c−POの含有量が前記範囲内であると、硬化物における柔軟性が得られやすい。
特に、単量体c−POは、全オキシアルキレン基に対する、オキシプロピレン基の含有量が80〜100質量%、かつオキシエチレン基の含有量が0〜20質量%、平均水酸基数が2〜3、数平均分子量が1,000〜35,000のポリオキシアルキレンジオールと、無黄変性のジイソシアネートと、ヒドロキシアルキルアクリレートとの反応生成物であることが好ましい。
無黄変性のジイソシアネートとしては、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート及び無黄変性芳香族ジイソシアネートからなる群から選ばれるジイソシアネートが好ましい。具体的には、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートが挙げられる。
ヒドロキシアルキルアクリレートとしては、下記化合物2が好ましい。
CH=CH−C(=O)O−R’ …(2)
R’は炭素数1〜6のアルキル基の1個の水素原子が水酸基で置換された基を表す。
化合物2の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
<単量体z>
単量体zは下式1で表される。
Figure 2021165335
41は、水素原子又はメチルである。
42は、−O−、−NH−、−NHC(=O)O−、又は−NHC(=O)NH−である。
43は、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基である。
44は、単結合、−O−、−NH−、−NHC(=O)−、−NHC(=O)O−、−NHC(=O)NH−、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、−OC(=O)−、−OC(=O)NH−、又は−OC(=O)O−である。
45は、単結合又は炭素数1〜2のアルキレン基である。
46及びR47は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、又は−B(OH)である。ただし、R46及びR47が同時に水素原子であることはない。
単量体zは、ベンゼン環にヒドロキシ基又は−B(OH)の少なくとも一方が結合した構造を有する化合物であり、カテコール基を有する化合物が好ましい。
42は、−O−又は−NH−が好ましく、−NH−がより好ましい。
43は、単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、単結合又は炭素数1〜4のアルキレン基がより好ましく、単結合又は炭素数1〜2のアルキレン基がさらに好ましい。
46及びR47がの両方がヒドロキシ基であるとき、W43はエチレン基が好ましい。
46及びR47がの両方が−B(OH)であるとき、W43は単結合が好ましい。
44は、単結合、−O−、−NHC(O)O−又は−NHC(O)NH−が好ましく、単結合がより好ましい。
45は、単結合が好ましい。
特に、R46及びR47の一方が水素原子であり、他方が−B(OH)である単量体z1、又はR46及びR47の両方がヒドロキシ基であるカテコール基を有する単量体z2が好ましい。
単量体zが、単量体z1及び単量体z2の一方又は両方を含むことが好ましい。
粘着性と硬化物の柔軟性が良好となりやすいため、単量体zが、単量体z2であることがより好ましい。
本実施形態の硬化性組成物において、重合体A、単量体x及び後述の重合体Yの合計100質量部に対して、単量体zの含有量は0.01〜20質量部が好ましく、0.05〜10質量部がより好ましく、0.1〜5質量部がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると粘着性に優れ、上限値以下であると低温での柔軟性に優れる。
<重合体Y>
重合体Yは、単量体xに基づく単位を有する重合体である。重合体Yは、単量体zに基づく単位を含んでもよい。
重合体Yの全単位に対して、単位xの割合は、低温での柔軟性が良好となりやすい点で、0.1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
重合体YのMnは、繰り返し曲げ耐久性が良好となりやすい点で、20,000〜2,000,000が好ましく、25,000〜1,600,000がより好ましい。
重合体YのTgは、低温での柔軟性及び繰り返し曲げ耐久性が良好となりやすい点で、−80〜−40℃が好ましく、−75〜−45℃がより好ましい。
重合体Yとしては、例えば、以下の(Y−1)〜(Y−3)が挙げられる。(Y−2)の重合体Eについては後述する。
(Y−1)単量体x及び単量体z以外の(メタ)アクリル酸エステル(以下、「単量体a」という。)に基づく単位の1種以上と、単量体xに基づく単位の1種以上とを有する重合体。
(Y−2)単量体xに基づく単位の1種以上と、単量体zに基づく単位の1種以上を有する重合体(以下、「重合体E」という。)。
(Y−3)単量体xに基づく単位の1種以上からなる重合体。
前記(Y−1)において、低温での柔軟性及び繰り返し曲げ耐久性が良好となりやすい点で、単量体xが単量体b及び単量体cの一方又は両方を含むことが好ましい。(Y−1)の具体例としては、単量体aに基づく単位の1種以上と、単量体bに基づく単位の1種以上とを有する重合体(以下、「重合体D」という。)、単量体aに基づく単位の1種以上と、単量体cに基づく単位の1種以上とを有する重合体が挙げられる。
(Y−3)の具体例としては、単量体bの単独重合体、単量体cの単独重合体、単量体bと単量体cとの共重合体が挙げられる。
<重合体D>
本実施形態の重合体Dは、単量体aに基づく単位の1種以上と、単量体bに基づく単位の1種以上とを有する共重合体である。さらに単量体cに基づく単位の1種以上を有してもよい。
単量体aは、前記重合体Aの製造に用いる単量体として挙げた(メタ)アクリル酸エステルと、好ましい態様も含めて同様である。前記モノマーa1〜a4として挙げた(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
重合体D中の単量体aに基づく単位の総量に対して、前記モノマーa1に基づく単位の割合が50〜99.9質量%、モノマーa2に基づく単位の割合が0.1〜5.0質量%であり、これらの合計の割合が50.1〜100質量%である態様が、低温での柔軟性及び繰り返し曲げ耐久性が良好となりやすい点で、好ましい。
又は、重合体D中の単量体aに基づく単位の総量に対して、モノマーa1に基づく単位の割合が50〜99.9質量%、モノマーa3に基づく単位の割合が1.0〜20.0質量%であり、これらの合計の割合が51.0〜100質量%である態様が、低温での柔軟性及び繰り返し曲げ耐久性が良好となりやすい点で、好ましい。
重合体Dの製造に用いる単量体aのMnは1,000以下が好ましく、70〜1,000がより好ましく、70〜700がさらも好ましく、80〜400が特に好ましい。上記上限値以下であると硬化物が柔軟になりやすい。
単量体aを2種以上用いる場合は、それぞれのMnが前記の範囲内であることが好ましい。
重合体Dの製造に用いる単量体bは、前記単量体bと好ましい態様も含めて同様である。
重合体Dを含む硬化性組成物において、単量体bは、硬化時の収縮低減に寄与し、硬化物の弾性率の低減及び低Tg化に寄与する。前記硬化物を積層体の粘着層として用いることにより、積層体の折り曲げ耐久性及び形状回復性を向上できる。
重合体Dの全単位に対して、単量体bに基づく単位の割合は0.1〜50質量%が好ましく、5〜45質量%がより好ましく、10〜40質量%がさらに好ましく、15〜40質量%が特に好ましい。上記範囲の下限値以上であると、硬化物の低温での曲げ耐久性の向上効果が充分に得られ、上限値以下であると重合体の粘度が低く、塗工性がより優れる。
重合体Dは、単量体aに基づく単位及び単量体bに基づく単位のほかに、その他の単量体に基づく単位を有してもよい。その他の単量体は、単量体a及び単量体bと共重合可能であればよい。重合体Dの全単位に対して、単量体aに基づく単位と単量体bに基づく単位の合計の割合は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。100質量%でもよい。
重合体Dは、単量体aと単量体bを含む単量体混合物を共重合させて得られる。共重合方法は、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体を、ラジカル重合開始剤を用いて重合させる公知の方法を適用できる。重合方法としては、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法、乳化重合法等の公知の重合方法を適用できる。
重合体DのMwは、200,000超、2,000,000以下であり、240,000〜1,600,000が好ましく、280,000〜1,200,000がより好ましく、280,000〜960,000がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、硬化物のクリープ回復率及びカール残存率が良好となりやすく、上限値以下であると低粘度のため良好な塗工性が得られやすい。
硬化性組成物に重合体Dが2種以上含まれる場合は、それぞれのMwが上記の範囲内であることが好ましい。
重合体DのMnは、20,000〜1,000,000が好ましく、23,000〜500,000が好ましく、25,000〜200,000がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると、硬化物のクリープ回復率及びカール残存率が良好となりやすく、上限値以下であると低粘度のため良好な塗工性が得られやすい。
重合体DのMw/Mnは、2.0〜8.0が好ましく、2.1〜7.8がより好ましく、2.2〜7.5がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると硬化物の粘着力が良好になりやすく、上限値以下であると硬化物のクリープ回復率がより優れる。
後述する硬化性組成物に重合体Dが2種以上含まれる場合は、それぞれのMw/Mnが上記の範囲内であることが好ましい。
重合体DのTgは、−80〜−40℃が好ましく、−75〜−45℃がより好ましく、−75〜−60℃がさらに好ましい。上記範囲内であると、低温での曲げ試験で剥がれが発生しにくい。
硬化性組成物に重合体Dが2種以上含まれる場合は、それぞれのTgが上記の範囲内であることが好ましい。
<重合体E>
本実施形態の重合体Eは、前記単量体xに基づく単位xと、前記単量体zに基づく単位zとを有する共重合体である。
単量体xが前記単量体b及び前記単量体cの一方又は両方を含むことが好ましい。
重合体Eの全単位に対して単位xの割合は、低温での柔軟性及び繰り返し曲げ耐久性が良好となりやすい点で、5〜40質量%が好ましく、10〜35質量%がより好ましく、15〜30質量%がさらに好ましい。
重合体Eの全単位に対して単位zの割合は、粘着性が高くなりやすい点で、0.05〜18質量%が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましく、0.3〜10質量%がさらに好ましい。
重合体Eの全単位に対して、単位xと単位zの合計の割合は5質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。100質量%でもよい。
重合体EのMnは、20,000〜2,000,000が好ましく、25,000〜1,600,000が好ましい。
重合体EのTgは、−80〜−40℃が好ましく、−75〜−45℃がより好ましい。
重合体Eとして、例えば、単位zと、単位bとを含み、これらの合計が全単位に対して5〜40質量%である態様、又は前記単量体aに基づく単位aと、単位zと、単位bとを含み、全単位に対して、単位zと単位bの合計が5〜40質量%、単位aが60〜95質量%である態様が、低温での柔軟性及び繰り返し曲げ耐久性が良好となりやすい点で、好ましい。
<架橋剤>
本実施形態の硬化性組成物は、架橋剤を含んでもよい。架橋剤は、架橋性官能基を2つ以上有する化合物である。架橋剤を配合すると耐熱性が向上しやすい。
架橋性官能基は、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、イソシアネー卜基,カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、アジリジン基、ビニル基、アミノ基、イミノ基及びアミド基から選ばれる1種以上が好ましい。
1分子中の架橋性官能基の数は2〜4が好ましく、2又は3がより好ましく、2がさらに好ましい。
架橋性官能基は脱保護可能な保護基で保護されていてもよい。
架橋剤として、多官能(メタ)アクリレートが好ましい。例えば、国際公開第2018/173896号の[0136]に記載されている、多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
クリープ回復率が向上しやすい点で、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレートが好ましい。
架橋剤は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
架橋剤の使用量は、重合体A、単量体x、重合体Y及び単量体zの合計100質量部に対して、0.2〜5質量部が好ましく、0.5〜3質量部がより好ましい。
<光重合開始剤>
本実施形態の硬化性組成物は、光硬化性であってもよく、熱硬化性であってもよい。低温で硬化でき、かつ硬化速度が速い点から光硬化性であるものが好ましい。
硬化性組成物が光硬化性である場合、光重合開始剤を含有することが好ましい。硬化性組成物が光硬化性であれば、例えば表示装置の製造に用いたときに、高い温度を必要としないことから、高温により表示デバイスが損傷するおそれも少ない。
光重合開始剤は、前記架橋剤の架橋反応における反応開始助剤としての機能を果たす。波長380nm以下の紫外線に感応する光重合開始剤が、架橋反応の制御のしやすさの点から好ましい。
光重合開始剤の例としては、国際公開第2018/173896号の[0147]〜[0151]に記載されている光重合開始剤が挙げられる。
光重合開始剤として、光励起した開始剤と系中の水素供与体とが励起錯体を形成し、水素供与体の水素を転移させる水素引抜型光重合開始剤が好ましい。水素引抜型光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、4−メチル−ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3,4−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4−(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、4−[2−((メタ)アクリロイルオキシ)エトキシ]ベンゾフェノン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−4’−メトキシベンゾフェノン、2−ベンゾイル安息香酸メチル、ベンゾイルギ酸メチルが挙げられる。
光重合開始剤は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤の使用量は、重合体A、単量体x、重合体Y及び単量体zの合計100質量部に対して0.05〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましい。
<その他の成分>
本実施形態の硬化性組成物は、上記した成分以外の他の成分として、必要に応じた公知成分を含有してもよい。
その他の成分として、例えばシランカップリング剤、粘着付与樹脂、酸化防止剤、光安定化剤、金属不活性化剤、防錆剤、老化防止剤、吸湿剤、加水分解防止剤、帯電防止剤、消泡剤、無機粒子等が挙げられる。
必要に応じて、反応触媒(三級アミン系化合物、四級アンモニウム系化合物、ラウリル酸スズ化合物など)を含有してもよい。
必要に応じて、多官能イソシアネート化合物を含有してもよい。多官能イソシアネート化合物の具体例としては、特許第6375467号の段落0062に記載の成分が挙げられる。
本実施形態の硬化性組成物は、溶剤を含まなくても使用できる。必要に応じて溶剤を含んでもよい。溶剤は硬化時又は硬化後に除去することが好ましい。
<好ましい態様>
本実施形態の硬化性組成物の好ましい態様として、下記態様1〜3が挙げられる。
態様1:重合体A、単量体x、単量体zを含み、前記単量体xが単量体bを含む硬化性組成物。
態様2:単量体x及び単量体zを含み、前記単量体xが単量体b及び単量体cを含む硬化性組成物。
態様3:重合体Y及び単量体zを含み、前記重合体Yが重合体Dを含む硬化性組成物。
態様1の硬化性組成物において、重合体Aの100質量部に対して、単量体bの含有量は10〜70質量部が好ましく、11〜65質量部がより好ましく、12〜60質量部がさらに好ましく、13〜55質量部が特に好ましい。上記範囲の下限値以上であると硬化物の低温での曲げ耐久性が得られやすく、また、柔軟になりやすい。上限値以下であると耐熱性がより優れる。
硬化性組成物の総量に対して、重合体Aと単量体bの合計量は80質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
単量体xの総量に対して、単量体bの含有量は80質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。100質量%でもよい。
態様2の硬化性組成物において、単量体bの含有量と単量体cの含有量の質量比を表すb:cは、20:80〜80:20が好ましく、30:70〜70:30がより好ましく、40:60〜60:40がさらに好ましい。上記の範囲内であると、粘着力が良好であり、低温での曲げ耐久性も良好な硬化物が得られやすい。
硬化性組成物の総量に対して、単量体bと単量体cの合計量は80質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
単量体xの総量に対して、単量体bと単量体cの合計量は80質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。100質量%でもよい。
態様3の硬化性組成物において、硬化性組成物の総量に対して、重合体Dの含有量は80質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
重合体Yの総量に対して、重合体Dの含有量は80質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。100質量%でもよい。
<硬化物>
本実施形態の硬化物は、本実施形態の硬化性組成物を硬化して得られる。例えば、硬化性組成物を所望の形状に成形し、紫外線を照射して硬化させる。
硬化性組成物の成形方法は、例えば、基材上に塗布する方法、押出成形する方法、型に注入する方法が挙げられる。
紫外線の照射量は、0.1〜5J/cmが好ましく、0.3〜4J/cmがより好ましく、0.5〜3J/cmがさらに好ましい。照射量が上記範囲の下限値以上であると耐熱性、クリープ回復率がより良好となり、上限値以下であると着色しにくい。
本実施形態の硬化物のTgは−35℃以下が好ましく、−37℃以下がより好ましく、−38℃以下がさらに好ましい。上記範囲の上限値以下であると低温での曲げ耐久性がより優れる。
前記Tgの下限値は残存カール率が良好となりやすい点で−80℃以上が好ましく、−70℃以上がより好ましく、−60℃以上がさらに好ましい。
<粘着シート>
本実施形態の硬化物は粘着層として使用できる。本実施形態の粘着シートは、本実施形態の硬化物からなるシート状の粘着層を有する。粘着層の両面に接するように離型フィルムを設けることが好ましい。離型フィルムとしては、公知の離型フィルムを用いることができる。
粘着シートは、例えば、第1の離型フィルム上に硬化性組成物を塗布して硬化させた後、その上に第2の離型フィルムを積層する方法で製造できる。
又は、第1の離型フィルム上に硬化性組成物を塗布し、その上に第2の離型フィルムを積層した後、硬化させる方法でも製造できる。
本実施形態の粘着シートにおいて、粘着層の厚さは10〜150μmが好ましく、20〜120μmがより好ましく、25〜100μmがさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると粘着層が平滑になりやすく、上限値以下であると繰り返し曲げ耐久性がより優れる。
<積層体>
本実施形態の積層体は、本実施形態の硬化物からなる粘着層と、粘着層を介して積層したフレキシブル部材を有する。
フレキシブル部材としては、フレキシブルディスプレイパネルを構成する部材が例示できる。フレキシブル部材としては、例えば、表面保護パネル、光学フィルム、タッチパネル、表示パネル本体等が挙げられる。
表面保護パネルの例としては、薄板状のカバーガラス、カバーフィルムが挙げられる。
光学フィルムは光学機能を有する部材である。光学フィルムとしては、例えば、偏光フィルム、位相差フィルム、光学フィルタ、反射防止フィルム、近赤外線カットフィルム、電磁波シールドフィルム等が挙げられる。
タッチパネルは、例えば薄板状のガラス基材又やプラスチック基材に、タッチセンサーが搭載された構成を有する。
表示パネル本体としては、例えば有機ELディスプレイパネルが挙げられる。
本実施形態の積層体は、フレキシブルであり、静置した状態で湾曲している形状に固定しても破損しない性状(Bendable)、屈曲半径3mm以上に折り曲げ又は丸めても形状が回復する性状(Rollable)、又は屈曲半径3mm未満に折り畳んでも形状が回復する性状(Foldable)が好ましい。
本実施形態の積層体において、粘着層の厚さは10〜150μmが好ましく、20〜120μmがより好ましく、25〜100μmがさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると粘着層が平滑になりやすく、上限値以下であると繰り返し曲げ耐久性がより優れる。
<フレキシブルディスプレイ>
本実施形態のフレキシブルディスプレイは、本実施形態の積層体を備える。
本実施形態の硬化性組成物は重合体A、単量体x及び重合体Yから選ばれる少なくとも1種と、単量体zとを含むことにより、後述の実施例に示されるように、硬化物のガラス転移温度を低下し、弾性率を低下できる。このため、例えば、フレキシブルディスプレイを構成する部材間の粘着層に用いた場合でも、折り曲げ耐久性及び形状回復性を両立できる。
フレキシブルディスプレイとして、特に、表示画面を折り畳める構造を有する、フォルダブルディスプレイが好適である。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
<測定方法・評価方法>
[分子量の測定]
質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、以下の条件で、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定した。
・分析装置:HLC−8120GPC 東ソー社製品名
・カラム:G7000HXLと2本のGMHXL(いずれも東ソー社製品名)とをこの順番で直列につないだものを用いた。
・カラムサイズ:各7.8mmφ×30cm、計90cm
・カラム温度:40℃
・流量:0.8mL/min
・注入量:100μL
・溶離液:テトラヒドロフラン
・検出器:示差屈折計(RI)
・標準試料:ポリスチレン
[硬化物の貯蔵弾性率、ガラス転移温度の測定]
各例の硬化性組成物を、幅5mm×長さ15mm×厚さ2mmのシリコーン型に流し込み、窒素環境下でコンベヤ型UV照射機(ORC社製)を用い、HgXeランプ、照度100mW/cm、積算光量1J/cmの条件下で硬化させた。得られた硬化物を試験サンプルとした。
試験サンプルについて、動的粘弾性測定装置(EXSTAR DMS6100、セイコーインストルメンツインク社製品名)を用いて、引張モードで、−80℃〜130℃の温度範囲において、昇温速度3℃/min、測定周波数1Hz、歪み1%の条件下における貯蔵弾性率E’(単位:kPa)を測定した。また、測定で得られた損失弾性率E’が最大値を示す温度をガラス転移温度(Tg、単位:℃)とした。測定温度は25℃とした。
[粘着力の測定]
各例の硬化性組成物を、シリコーンで表面処理されたPETフィルムのシリコーン処理面に、硬化後の粘着層の厚さが25μmになるように、ドクターブレードをセットした自動塗工機(PI1210自動塗工装置、テスター産業社製品名)を用いて塗布した。次いで、窒素環境下でコンベヤ型UV照射機(ORC社製)を用い、HgXeランプ、照度100mW/cm、積算光量1J/cmの条件下で硬化させて粘着層を形成した。
得られたサンプルをJIS Z 0237:2009の粘着テープ・粘着シート試験方法の「10 粘着力」に記載された試験方法に従い、25±5℃(常温)雰囲気下で、フロートガラスに25mm幅の試験片を貼付し、2kgのゴムロールで300mm/分の速度で1往復して圧着し、20分放置後、剥離角度180度、剥離速度300mm/分の剥離力を測定した。得られた剥離力の値を粘着力(常温)とした。
また、前記20分放置後のサンプルを80±5℃の恒温槽に20分静置した後、剥離角度180度、剥離速度300mm/分で剥離力を測定した。得られた剥離力の値を粘着力(80℃)とした。
[製造例1]
撹拌機及び窒素導入管を備えた耐圧反応器に、亜鉛へキサシアノコバルテート−tert−ブチルアルコール錯体の0.2g、及びn−ブタノールの30gを仕込み、130℃の窒素雰囲気とし、プロピレンオキシドの3970gを一定の速度で7時間かけて投入した。次いで、耐圧反応器の内圧の低下が止まったことを確認して生成物を抜き出し、水酸基価5.6mgKOH/g(水酸基換算分子量:10,000)、平均水酸基数1.08のポリオキシアルキレンモノオール(以下、モノオール1という。)の4,000gを得た。モノオール1には、水が140ppm含まれていた。
[製造例2]
撹拌機及び窒素導入管を備えた反応容器内に、モノオール1の964.9g、及び2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズ−AOI 昭和電工株式会社製品名。以下、AOIという。)の13.1gを投入し、触媒である2−エチルヘキサン酸ビスマスの25%トルエン溶液の0.08gの存在下、70℃で3時間反応させ、単量体b−1−1を含む生成物を得た。モノオール1の水酸基に対するAOIのNCO基の比率(イソシアネートインデックス)は100であった。生成物中には水とAOIの反応物(副生成物)が0.13質量%含まれていた。
得られた単量体b−1−1のMn、Mw/Mn、平均官能基数、ウレタン結合の含有率、Tgを表に示す。
Figure 2021165335
[製造例3−1]
撹拌機及び窒素導入管を備えた反応容器内に酢酸エチルの100gを投入し、70℃に保持した。次いで、ブチルアクリレート(以下、BAという。)の92g、2−エチルヘキシルアクリレート(以下、2−EHAという。)の92g、4−ヒドロキシブチルアクリレート(以下、4−HBAという。)の16g、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65、富士フォルム和光純薬社製品名、以下、V−65という。)の0.1gの混合液を、70±2℃に保持した反応器内に、2時間かけて一定速度で滴下した。滴下終了後、70±2℃で2時間保持した後、130℃で2時間減圧脱気し、酢酸エチル及び未反応モノマーを除去し、重合体(以下、重合体A−1という。)を得た。重合体A−1のMnは190,000、Mw/Mnは6.0であった。
[製造例3−2]
撹拌機及び窒素導入管を備えた反応容器内に酢酸エチルを200g仕込み、70℃に維持した。次いで2−EHAの52g、BAの92g、4−HBAの16g、単量体b−1−1の40g、下記DopAmの3g及びV−65の0.1g、イソプロピルアルコール72gの混合液を、70±2℃に維持した反応器内に、2時間かけて一定速度で滴下した。滴下終了後、70±2℃で2時間維持した後、130℃で2時間減圧脱気し、酢酸エチル及び未反応モノマーを除去し、重合体(以下、重合体E−1という。)を得た。重合体E−1のMnは26,500、Mw/Mnは2.96であった。
[例1〜6]
例1〜3は実施例、例4〜6は比較例である。
表2に示す配合(単位:質量部)で、遊星式攪拌機(EMC社製)を用いて全成分を混合し、硬化性組成物を製造した。
表の各成分は以下のとおりである。
重合体A−1:製造例3で得た重合体。
単量体b−1−1:製造例2で得た単量体。
DopAm:ドーパミンアクリルアミド(大阪有機化学工業社製)、式1においてR41が水素原子、L42が−NH−、L44が単結合、−W43−L44−W45−が−C−、R46及びR47がヒドロキシ基である化合物。
4−HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート。
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート。
光重合開始剤:Irgacure−819(BASF社製品名)。
得られた硬化性組成物について、上記の方法で硬化物の貯蔵弾性率、Tg、粘着力を測定した。測定結果を表2に示す。
Figure 2021165335
表2に示されるように、単量体zを含む例1〜例3は、硬化物のTgが低かった。
特に例2と例5、及び例3と例6の比較においては、例2及び例3は、常温における粘着力が、水酸基含有単量体である比較の単量体を同量添加した例5及び例6と比べて高かった。

Claims (8)

  1. 下式1で表される単量体z、並びに、下記重合体A、下記単量体x及び下記重合体Yからなる群より選ばれる1種以上を含む硬化性組成物。
    重合体A:(メタ)アクリル酸エステルに基づく単位を有し、下記単量体xに基づく単位を有しない重合体。
    単量体x:(メタ)アクリロイルオキシ基と、ウレタン結合と、直鎖のポリオキシアルキレン鎖とを有する単量体。
    重合体Y:前記単量体xに基づく単位を有する重合体。
    Figure 2021165335
    [式中、R41は、水素原子又はメチル基を表し;L42は、−O−、−NH−、−NHC(=O)O−、又は−NHC(=O)NH−を表し;W43は、単結合、又は炭素数1〜20のアルキレン基を表し;L44は、単結合、−O−、−NH−、−NHC(=O)−、−NHC(=O)O−、−NHC(=O)NH−、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、−OC(=O)−、−OC(=O)NH−、又は−OC(=O)O−を表し;W45は、単結合、又は炭素数1〜2のアルキレン基を表し;R46及びR47は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、又は−B(OH)を表し;R46及びR47が同時に水素原子であることはない。]
  2. 前記重合体Aの数平均分子量が4万〜75万であり、前記単量体xの数平均分子量が1,000〜35,000であり、前記重合体Yの数平均分子量が20,000〜200万である、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記単量体xが、下記単量体b及び単量体cの一方又は両方を含む、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
    単量体b:1分子中に1個の(メタ)アクリロイルオキシ基と、ウレタン結合と、直鎖のポリオキシアルキレン鎖とを有する単量体。
    単量体c:1分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基と、ウレタン結合と、直鎖のポリオキシアルキレン鎖とを有する単量体。
  4. 前記単量体bの数平均分子量が1,000〜35,000、前記単量体cの数平均分子量が1,000〜35,000である、請求項3に記載の硬化性組成物。
  5. 前記重合体Aと前記単量体xと前記重合体Yの総質量100質量部に対して、前記単量体zの含有量が0.01〜20質量部である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物の硬化物。
  7. ガラス転移温度が−80〜−35℃である、請求項6に記載の硬化物。
  8. (メタ)アクリロイルオキシ基と、ウレタン結合と、直鎖のポリオキシアルキレン鎖とを有する単量体xに基づく単位と、下式1で表される単量体zに基づく単位とを有する共重合体。
    Figure 2021165335
    [式中、R41は、水素原子又はメチル基を表し;L42は、−O−、−NH−、−NHC(=O)O−、又は−NHC(=O)NH−を表し;W43は、単結合、又は炭素数1〜20のアルキレン基を表し;L44は、単結合、−O−、−NH−、−NHC(=O)−、−NHC(=O)O−、−NHC(=O)NH−、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、−OC(=O)−、−OC(=O)NH−、又は−OC(=O)O−を表し;W45は、単結合、又は炭素数1〜2のアルキレン基を表し;R46及びR47は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、又は−B(OH)を表し;R46及びR47が同時に水素原子であることはない。]
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