JP2021162664A - 光学フィルム、覗き見防止フィルムおよび画像表示装置 - Google Patents
光学フィルム、覗き見防止フィルムおよび画像表示装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】方位角依存性のない視野角制御性と、斜め方向でのプライバシー性の向上とギラツキ感の抑制を可能にする光学フィルム、覗き見防止フィルムおよび画像表示装置を提供する。【解決手段】フィルム面の配向軸に沿う方向を傾斜方位として、フィルム面の法線に対して12°の角度で入射したときの反射率が20%以下であり、フィルム面の法線に対して20°、40°、70°の角度で入射したときのそれぞれのP波の透過率(%)をTp20、Tp40、Tp70とし、フィルム面の法線に対して70°の角度で入射したときのP波の反射率(%)をRp70とした場合に、Tp20≧Tp40>Tp70の関係と、Rp70+Tp70≦90%の関係を満足し、かつTp70≦30%である光学フィルム。【選択図】なし
Description
本発明は、光学フィルム、覗き見防止フィルム、および画像表示装置に関する。
パソコン、スマートフォン、携帯電話等の情報表示体は、使用者の操作に基づき、その情報表示部に各種の情報を表示する。この情報表示体は、情報が使用者に伝達されるのを主目的とするが、本人の傍らに第三者が存在する場合等には、本人のみならず、第三者にも情報が視認・把握されることとなる。
情報表示体は、以上のように情報表示部に各種の情報が単に表示されるだけなので、本人の傍らに第三者が存在する場合、その第三者にも情報が簡単に伝わることとなり、結果として情報漏洩を有効に防止できない問題がある。また、情報表示体を操作する際、情報を視認するため、太陽光や蛍光灯等の不要な外光を遮断したり、コントラストを向上させたり、あるいは可視角の範囲の調整に迫られることがある。しかしながら、この場合、情報表示部を手で覆ったり、傾けたり、向きを変えなくては、良好な視認性を到底確保することができないという課題があった。
これらの課題を解消する手段として、例えば特許文献1のような技術が開示されている。ここに開示された光学部材は、透明部材と着色部材が幅方向に交互に配置されている。しかしながら、透明部材と着色部材が交互に配置される方向に光学部材を傾けた場合には覗き見防止性を発揮する一方で、配置方向に対して垂直方向に光学部材を傾けた場合には着色部材が情報を遮断せず、情報が視認される。これでは、例えば電車内でスマートフォンを使用する際に、隣の席の人には情報漏洩を防止できる一方、前に立つ人などには画面を覗かれる恐れがある。このように、よりプライバシーを高めるためには、どの方位から斜め方向で見ても画面の情報を遮断するという、方位角依存性のない視野角制御性を有する光学部材が望まれる。このように、方位角依存性のない視野角制御を有する光学部材として、例えば特許文献2のような技術が開発されている。
しかしながら、特許文献2に開示された積層フィルムを情報表示体の覗き見防止フィルムとして用いた場合、確かに視野角制御の方位角依存性はないものの、斜め方向から見た際の情報の遮断性は不十分である。また、斜め方向の反射性能が高いことから、情報表示体を斜め方向から見た際には外から情報表示体に入射した光が使用者に向かって反射するため、非常に眩しく情報の視認性が損なわれる。
そこで本発明は、上記の課題を鑑み、方位角依存性のない視野角制御性と、斜め方向でのプライバシー性の向上とギラツキ感の抑制を可能にする光学フィルム、覗き見防止フィルムおよび画像表示装置を提供することをその課題とする。
本発明は、上記の課題に鑑み、フィルム面の配向軸に沿う方向を傾斜方位として、フィルム面の法線に対して12°の角度で入射したときの反射率が20%以下であり、フィルム面の法線に対して20°、40°、70°の角度で入射したときのそれぞれのP波の透過率(%)をTp20、Tp40、Tp70とし、フィルム面の法線に対して70°の角度で入射したときのP波の反射率(%)をRp70とした場合に、Tp20≧Tp40>Tp70の関係と、Rp70+Tp70≦90%の関係を満足し、かつTp70≦30%である光学フィルムである。
本発明によれば、方位角依存性のない視野角制御性と、斜め方向でのプライバシー性の向上とギラツキ感の抑制を可能にした光学フィルム、覗き見防止フィルム、及びそのフィルムを用いた画像表示装置を提供することができる。
以下に本発明の実施の形態について述べるが、本発明は以下の実施例を含む実施の形態に限定して解釈されるものではなく、発明の目的を達成できて、かつ、発明の要旨を逸脱しない範囲内においての種々の変更は当然本発明の範囲内に含まれる。
本発明の光学フィルムは、フィルム面の配向軸に沿う方向を傾斜方位として、フィルム面の法線に対して12°の角度で入射したときの反射率が20%以下である必要がある。ここで「フィルム面の法線に対して12°の角度で入射したときの反射率が20%以下である」とは、具体的には、フィルム面の法線に対して12°の角度で入射したときの波長450nm〜650nmにおけるフィルムの平均反射率が20%以下であることを示す。このように正面から入射した可視光線帯域の光の反射率が低いことで、覗き見防止フィルムとして使用した際にも、正面から見た際に可視光線の反射が低く抑えられ、使用者は情報表示部を視認することができる。このような光学フィルムを得るためには、後述する多層構成として、2つの熱可塑性樹脂の間のフィルム面に平行な方向の屈折率差を小さくすることで達成される。より具体的には、フィルム面に平行な方向の屈折率差が0.02以下であれば反射率を20%以下とすることが可能となる。
本発明の光学フィルムは、フィルム面の法線に対して20°、40°、70°の角度で入射したときのそれぞれのP波の透過率(%)をTp20, Tp40, Tp70とし、フィルム面の法線に対して70°の角度で入射したときのP波の反射率(%)をRp70とした場合に、Tp20≧Tp40>Tp70の関係を満足する必要がある。ここでいう透過率とは波長450nm〜650nmにおける光の平均透過率である。ガラスや透明フィルムなどの一般的な透明基盤の場合、フィルム面の法線に対して20°から徐々に入射角度を大きくしていくに従い、偏光の一つであるP波の透過率が上昇していき、ブリュースター角と呼ばれる角度で透過率は極大となる。したがって、ブリュースター角近傍の入射角から透明基盤を見た場合、透過率の高さ故に斜め方向からみても画像を視認できてしまう。そこで、フィルム面の法線に対して20°、40°、70°の角度で入射したときのそれぞれのP波の透過率(%)をそれぞれTp20,Tp40,Tp70とした場合に、Tp20≧Tp40>Tp70の関係を満足する場合、ブリュースター角に相当する角度を備えていないため、斜め方向からみても情報を遮断することができる。このような光学フィルムを得るためには、後述する多層構成として、2つの熱可塑性樹脂の間のフィルム面に対して平行な方向の屈折率の差を小さく、フィルム面に対して垂直な方向の屈折率差を大きくする方法を用いることができる。
本発明の光学フィルムは、フィルム面の法線に対して70°の角度で入射したときのP波の反射率(%)をRp70とした場合にRp70+Tp70≦90%の関係を満足する必要がある。Rp70+Tp70≦90%であれば、入射するP波の光の一部を吸収する機構が本発明の光学フィルムに少なくとも一つ存在する。これにより70°入射における反射率が低下して斜め方向から見たときのギラツキが抑制され、Rp70+Tp70が低くなるに従い、よりギラツキが抑制される。上記観点から、好ましくはRp70+Tp70≦80%、より好ましくはRp70+Tp70≦60%である。このような光学フィルムを得るためには、後述する多層構成とした上で、Rp70+Tp70が低くなるに従ってP波の光の一部を吸収する機構、例えば、適量の光吸収剤を含む態様とする方法を用いることができる。
また、光学フィルムは、Tp70≦30%である必要がある。70°入射における透過率が30%以下であれば、覗き見防止フィルムとして用いた際に、斜め方向からみても情報を遮断することが可能となる。好ましくはTp70≦20%であり、さらに好ましくはTp70≦10%である。斜め方向の透過率が低くなるに従い、情報をより遮断することができ、プライバシー性の向上が可能である。このような光学フィルムを得るためには、最終製品として2つの熱可塑性樹脂の間のフィルム面に垂直な方向の屈折率差を大きくすることで達成され、フィルム面に垂直な方向の屈折率差が0.16以上であれば透過率は30%以下に、屈折率差が0.18以上であれば透過率は20%以下に、さらに屈折率差が0.20以上であれば透過率は10%以下とすることが可能となる。さらに、光学フィルムがP波の光の一部を吸収する機構を含むことにより、より容易に達成することができる。
本発明のフィルムは、異なる複数の熱可塑性樹脂が50層以上積層されていることが好ましい。ここでいう熱可塑性樹脂が異なるとは、熱可塑性樹脂A、Bを用いる場合、熱可塑性樹脂Bが熱可塑性樹脂Aとは異なる熱特性を示すことをいう。具体的には、示差走査熱量測定(DSC)において、熱可塑性樹脂AとBとが異なる融点やガラス転移点温度を示すことをいう。ここでいう交互に積層されてなるとは、異なる熱可塑性樹脂からなる層が厚み方向に規則的な配列で積層されていることをいい、熱可塑性樹脂A、Bの各々の層をA層、B層と表現すれば、A(BA)n(nは自然数)のように積層されたものである。このように光学的性質の異なる樹脂が交互に積層されることにより、各層の屈折率差と層厚みの関係により設計した波長の光を反射させることができる干渉反射を発現することができる。また、積層する層数が49層以下の場合には、所望する帯域において高い反射率を得られないことがある。また、前述の干渉反射は層数が増えるほどより広い波長帯域の光に対して高い反射率を達成することができるようになり、所望する帯域の光を反射する積層フィルムが得られるようになる。上記観点から、総数の合計は好ましくは400層以上であり、さらに好ましくは800層以上である。また、層数に上限はないものの、層数が増えるにしたがって製造装置の大型化に伴う製造コストの増加や、フィルム厚みが大きくなることでハンドリング性の悪化が生じるために、現実的には10000層程度が実用範囲である。
本発明に用いる熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)などのポリオレフィン、シクロオレフィンとしては、ノルボルネン類の開環メタセシス重合,付加重合,他のオレフィン類との付加共重合体である脂環族ポリオレフィン、ポリ乳酸、ポリブチルサクシネートなどの生分解性ポリマー、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66などのポリアミド、アラミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリアセタール、ポリグルコール酸、ポリスチレン、スチレン共重合ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレート、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンなどが挙げられる。
これらの中で、強度・耐熱性・透明性の観点から、特にポリエステルを用いることが好ましく、ポリエステルとしては芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールを主たる構成成分とする単量体からの重合により得られるポリエステルが好ましい。ここで、芳香族ジカルボン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホンジカルボン酸などを挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。中でも好ましくはテレフタル酸と2,6ナフタレンジカルボン酸を挙げることができる。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸などを一部共重合してもよい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコールなどを挙げることができる。中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
上記ポリエステルのうち、ポリエチレンテレフタレートおよびその重合体、ポリエチレンナフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体などを用いることが好ましい。
本発明の光学フィルムにおいては、熱可塑性樹脂A、Bとして、1種は結晶性樹脂を用い、もう1種は非晶性樹脂を用いることが好ましい。ここでいう結晶性樹脂とは、JIS K7122(1999)に準じて、昇温速度20℃/分で樹脂を25℃から300℃の温度まで20℃/分の昇温速度で加熱(1stRUN)、その状態で5分間保持後、次いで25℃の温度以下となるように急冷し、再度室温から20℃/分の昇温速度で300℃の温度まで昇温を行って、得られた2ndRUNの示差走査熱量測定チャートにおいて、融解ピークのピーク面積から求められる結晶融解熱量ΔHmが、5J/g以上の樹脂である。ここでいう非晶性樹脂とは、JIS K7122(1999)に準じて、昇温速度20℃/分で樹脂を25℃から300℃の温度まで20℃/分の昇温速度で加熱(1stRUN)、その状態で5分間保持後、次いで25℃の温度以下となるように急冷し、再度室温から20℃/分の昇温速度で300℃の温度まで昇温を行って、得られた2ndRUNの示差走査熱量測定チャートにおいて、融解ピークのピーク面積から求められる結晶融解熱量ΔHmが、5J/g未満の樹脂である。なお、非晶性樹脂は、より好ましくは結晶融解に相当するピークを示さない樹脂である。熱可塑性樹脂の一方に結晶性樹脂、もう一方に非晶性樹脂を用いた場合には、光学フィルムとした場合においても、融点を一つしか示さないものとなる。
本発明の光学フィルムは、結晶性樹脂と非晶性樹脂を用いて作製されたシート状物を、面内方向の一軸延伸または二軸延伸を行い、必要があれば熱処理を行うことが好ましい。このような処理を行なうことで、結晶性樹脂層と非晶性樹脂層の屈折率の差が大きくなり、該2種の樹脂層の界面における反射率が向上する。層間密着性や、高精度で積層構造が実現しやすい観点から、前記2種類の熱可塑性樹脂は同一の基本骨格を含むことが好ましい。ここでいう基本骨格とは、樹脂を構成する繰り返し単位のことであり、例えば、一方の樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合は、エチレンテレフタレートが基本骨格である。また別の例としては、一方の樹脂がポリエチレンの場合、エチレンが基本骨格である。
また、本発明の光学フィルムは、光学フィルムを構成するいずれかの層に、数平均分子量200以上のアルキレングリコールに由来する構造を含んでなることが好ましい。屈折率を高めるためには芳香族を多く含む必要があるが、さらにアルキレングリコールに由来する構造を含むことにより屈折率を維持しつつもガラス転移温度を効率的に低下させることが容易となる。特に好ましくは層Bを構成する熱可塑性樹脂が非晶性であり、かつ数平均分子量200以上のアルキレングリコールに由来する構造を含んでなることであり、さらに好ましくは非晶性の熱可塑性樹脂からなる層がアルキレングリコールに由来する構造を含む非晶性の熱可塑性樹脂のみからなることである。アルキレングリコールに由来する構造を含んでなる熱可塑性樹脂を他の非晶性樹脂と少量混合して用いることで、非晶性樹脂の屈折率を維持しつつさらにガラス転移温度を効率的に低下させることが可能となる。さらに、熱可塑性樹脂そのものをアルキレングリコールに由来する構造を含む共重合体とすることで、高温条件下で加工などを実施した際にもフィルム表面にアルキレングリコールに由来する構造を含む熱可塑性樹脂が析出することを抑制できるために好ましいものである。アルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどを挙げることができる。また、アルキレングリコールの分子量は200以上であることがより好ましく、300以上2000以下であることがさらに好ましい。アルキレングリコールの分子量が200未満の場合には、熱可塑性樹脂を合成する際に、揮発性の高さからアルキレングリコールが十分にポリマー中に取り込まれず、その結果、ガラス転移温度を低下させる効果が十分に得られない場合がある。また、アルキレングリコールの分子量が2000よりも大きい場合には、熱可塑性樹脂を製造する際に反応性が低下してフィルムを製造に適さない場合がある。
さらに好ましくは、本発明の光学フィルムは、層Bを構成する熱可塑性樹脂が、2種類以上の芳香族ジカルボン酸と2種類以上のアルキルジオールに由来する構造を含んでおり、少なくとも数平均分子量200以上のアルキレングリコールに由来する構造を含んでいることである。本発明の光学フィルムに用いられる熱可塑性樹脂Bは配向した結晶性熱可塑性樹脂に匹敵する高い屈折率を非晶性で実現し、かつ結晶性の熱可塑性樹脂と共延伸可能なガラス転移温度を示す必要がある。単一のジカルボン酸やアルキレンジオールでは、この要件をすべて満足することは難しい。そこで、2種類以上の芳香族ジカルボン酸と2種類以上のアルキルジオールを含むことで、芳香族ジカルボン酸での高屈折率化を、複数のアルキルジオールで低ガラス転移温度化を、あわせて4種類以上のジカルボン酸とジオールを含むことでの非晶化を達成できるものである。
本発明の光学フィルムは、フィルム面の配向軸を基準に右回りの方位角をφとした際に、フィルム面の法線に対して入射角20°で入射した際のP波の透過率をTp20(φ)とした際に、Tp20(φ)の最大値と最小値の差が10%以下であることが好ましい。なお、方位角φは0°、22.5°、45°、67.5°、90°の5点である。Tp20(φ)の最大値と最小値の差が10%以下であればどの方位から見ても情報の遮断性にムラはなく、例えば本発明の光学フィルムを覗き見防止フィルムとして使用した際に、使用者は周囲への情報漏洩を心配する必要がなくなる。Tp20(φ)の最大値と最小値の差は小さいほどよく、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下である。このような光学フィルムを達成するためには、フィルム面に平行な2方向の屈折率差を0に近づければよく、そのためには長手方向と幅方向の延伸倍率差を小さくすればよい。
本発明の光学フィルムは、着色層を含んでなることが好ましい。光学フィルム中に少なくとも一つ着色層が存在すれば、入射するP波の光の一部を吸収することができ、70°入射における透過性と反射性を低減することで斜め方向から見たときの情報の遮断性とギラツキを抑制することができる。着色層には着色剤が含まれており黒、赤、緑、青、またはその他の色彩が着色されることで形成される。当該着色剤は限定されず、波長380〜780nmの可視光帯域に吸収を持つことが好ましい。なお、紫外光領域や赤外光領域に吸収を持つ化合物も、本発明の効果を有する限り、本発明における着色剤に包含できる。
本発明の光学フィルムに含まれる着色層の形成方法としては、少なくとも一方の表面に着色層を形成する方法が挙げられる。本方法では、着色剤が熱可塑性樹脂への溶解の状態を懸念する必要がなく、要求される機能性に応じて着色剤の種類や着色層の厚みを変えることができる。ここで言う「溶解する」とは、熱可塑性樹脂の溶融状態で混練したときに、凝集体などが残らずに均一に混ざることを意味する。凝集体などが残ると、フィルムに色ムラが発生するおそれがある。
本発明の光学フィルムの少なくとも一方の表面に形成される着色層として印刷層、ハードコート層、接着層、プライマー層があげられる。印刷層の形成方法としては、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、パッド印刷、凸版印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷等が挙げられる。ハードコート層の形成方法としては、グラビアコート、ロールコート、リバースロールコート、ロールドクタコート、バーコート、カーテンフローコート、ダイコート、スピンコート、エアドクタコート等を用いて着色剤を分散させた塗剤を塗布する方法が挙げられる。接着層としては、ウェットラミネート法、ドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、テープラミネート法等に用いられる接着層として、着色剤を分散させたものを用いることや、着色剤を分散させたプライマー層(接着促進層)を設けること等などが挙げられる。プライマー層の形成方法として、グラビアコート、ロールコート、リバースロールコート、ロールドクタコート、バーコート、カーテンフローコート、ダイコート、スピンコート、エアドクタコート等を用いて顔料や染料を分散させた塗剤を塗布する方法が挙げられる。また、プライマー層には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等の高分子、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤等の架橋剤、シリカ粒子等の無機粒子等が含まれることが好ましい。
本発明の光学フィルムに含まれる着色層の別の形成方法としては、本発明の光学フィルムの内部に形成する方法が挙げられる。本発明で用いる着色剤は特に限定されないが、熱可塑性樹脂に溶解することが好ましい。着色剤を熱可塑性樹脂に添加する方法として、溶融した熱可塑性樹脂に粉体あるいはペースト状の着色剤あるいは液体などとして添加する方法があげられ、このとき、高分散で添加、混練するために、特に二軸押出機を用いることが好ましい。
本発明の光学フィルムに含まれる着色層の別の形成方法としては、フィルム又はシートの内部に形成されてなる着色フィルム又は着色シートであり、該着色フィルム又は着色シートが前記光学フィルムの少なくとも一方の面に積層方法がある。フィルム又はシートの内部に形成されてなる着色フィルム又は着色シートとしてポリマー層を形成させる方法があげられる。ポリマー層の形成方法としては、着色剤を分散させたポリマーフィルムを積層する方法が挙げられ、その方法として、インサート成形や、ウェットラミネート法、ドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、テープラミネート法等の接着剤を用いた方法が挙げられる。
本発明の光学フィルムの着色層に用いられる着色剤として、光吸収剤や顔料、染料があげられる。光吸収剤としては、カーボンブラック、グラファイト、四三酸化鉄、アニリンブラック、黒色酸化鉄等の金属塩があげられる。特にカーボンブラックがコスト面や入手の容易さから好ましい。また、一般的に顔料として分類されているものであっても、溶融した熱可塑性樹脂中で溶解するものであれば、着色剤として用いることができる。例としては、アゾ系顔料、多環式系顔料、レーキ系顔料、ニトロ系顔料、ニトロソ系顔料、アニリンブラック、アルカリブルー、フタロシアニン系顔料、シアニン系顔料などの有機系顔料やフタロシアニン系などの銅、コバルト、ニッケル、亜鉛、クロムなどの金属系顔料を挙げることができる。染料としては、アゾ系染料、アントラキノン系染料、キノフタロン系染料、メチン系染料、縮合多環系染料、反応染料、カチオン染料が挙げられる。
次に、本発明の光学フィルムの好ましい製造方法を熱可塑性樹脂A,Bからなる光学フィルムを例にとり以下に説明する。もちろん本発明は係る例に限定して解釈されるものではない。また、本発明に用いる光学フィルムの積層構造は、国際公開2007/020861号の〔0039〕〜〔0059〕段に記載の内容と同様の方法により簡便に実現できるものである。
熱可塑性樹脂をペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥された後、別々の押出機に供給される。また、熱可塑性樹脂中に紫外線吸収剤を含む場合には、あらかじめ熱可塑性樹脂中に紫外線吸収剤を混練したペレットを準備したり、熱可塑性樹脂と紫外線吸収剤とを押出機中にて混練する。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギアポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルター等を介して異物や変性した樹脂などを取り除かれる。これらの樹脂はダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。そして、ダイから吐出された多層に積層されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させることが好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させたり、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させたりする方法も好ましい。
また、A層に用いられる熱可塑性樹脂とそれと異なる熱可塑性樹脂Bは、2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出され、多層積層装置に送り込まれる。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができるが、特に、本発明の構成を効率よく得るためには、50個以上の微細スリットを有するフィードブロックを用いることが好ましい。このようなフィードブロックを用いると、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度な積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、この装置では、各層の厚みをスリットの形状(長さ、幅)で調整できるため、任意の層厚みを達成することが可能となったものである。
このようにして所望の層構成に形成した溶融多層積層体をダイへと導き、上述と同様にキャスティングフィルムが得られる。このようにして得られたキャスティングフィルムは、二軸延伸することが好ましい。ここで、二軸延伸とは、長手方向および幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次に二方向に延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手方向および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。
逐次二軸延伸の場合についてまず説明する。ここで、長手方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、光学フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては光学フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃が好ましい。
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
つづいて幅方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸をいい、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、光学フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。特に本発明における光学フィルムでは、横延伸倍率は4倍以上とすることが好ましく、横延伸倍率を高めることで反射特性の均一性を高めるのに有効である。また、延伸温度としては光学フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
ここで、特に本発明の光学フィルムにおいては、フィルム幅方向での位相差の均一性の向上のためにフィルム幅方向への延伸時に段階的に延伸温度を低温から高温へと昇温する方法や、フィルム幅方向への延伸時に高延伸倍率で延伸したのちに低延伸倍率で延伸する方法などを採用することも好ましい。位相差の幅方向均一性の低下の原因の一つは、幅方向延伸時にフィルム流れ方向に働く延伸応力に伴うことが多い。ここで、上記の方法を採用することにより、フィルム幅方向への延伸時にフィルム流れ方向で生じる応力を抑制でき、相対的にフィルム幅方向の応力を高めることができるため、フィルム幅方向での位相差の均一化を達成できるものである。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。熱処理を行うことにより、成形用フィルムの寸法安定性が向上する。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。
ここで、特に本発明の光学フィルムにおいては、フィルム幅方向の位相差を均一化するために、フィルム幅方向に延伸したのちに一旦ガラス転移温度以下に冷却した後に熱処理を行うことも好ましい。この場合、ガラス転移温度以下に冷却することでフィルム幅方向への延伸工程におけるフィルム流れ方向の延伸応力を抑制することが可能となり、結果としてフィルム幅方向での位相差の均一性を高められるものである。
また、本発明の光学フィルムにおいては、熱処理時の温度を段階的に昇温することも好ましい。より好ましくは、フィルム幅方向への延伸終了時の温度をT1、熱処理開始時の温度をT2、熱処理工程の最高温度をT3とした場合、T2はT1+10℃以上であり、かつT3−10℃以下であることであり、さらに好ましくはT2が(T1+T3)/2±10℃の範囲にあることである。このように、熱処理温度を段階的に昇温することでも、フィルム幅方向への延伸工程におけるフィルム流れ方向の延伸応力を抑制することが可能となり、結果としてフィルム幅方向での位相差の均一性を高められるものである。
また、本発明の光学フィルムにおいては、熱処理工程においてもフィルム幅方向へフィルム幅方向への延伸工程終了後のフィルム幅に対して1.01倍以上1.2倍以下で延伸することも好ましい。熱処理工程においては、フィルム長手方向への応力はほとんど生じないため、幅方向での位相差の均一性を向上させることができる。一方、熱処理工程でのフィルム幅方向への延伸倍率が1.2倍より大きくなった場合には、フィルムに厚みムラが生じたり、位相差が大きくなる傾向がありうる。
同時二軸延伸の場合について次に説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
次に、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、光学フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、面積倍率として8〜30倍が特に好ましく用いられる。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては光学フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/または直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理を行っても良い。熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理する。
こうして得られた二軸配向フィルムは、その後の搬送工程で冷却され、一旦広幅の巻き取り機で中間ロールとして巻き取られた後、スリッターにより、必要な幅と長さに裁断されて最終製品である光学フィルムのフィルムロールとなる。
本発明の光学フィルムは覗き見防止フィルムとして用いるのが好ましい。一般的に情報表示部の覗き見防止として、視野角を制御するために透明部材と着色部材が交互に配置されてなる光学部材が用いられるものであるが、情報の遮断性を有するのは交互に配置される方向に光学部材を傾けた場合のみであるという課題もある。そこで、本発明の光学フィルムを用いることで、どの方位から斜め方向で見ても画面の情報を遮断できるという、方位角依存性のない視野角制御性を有する覗き見防止フィルムを得ることができる。
本発明の光学フィルムは画像表示装置と組み合わせることで、方位角依存性のない視野角制御性をもつ画像表示装置を得ることができる。本発明の光学フィルムを画像表示装置に組み合わせることで、使用者は情報表示部を視認できる一方、どの方位からも見ても情報が遮断されるため、使用者は周囲への情報漏洩を心配することなく画像表示装置を使用することができる。
以下、本発明の光学フィルムについて、実施例を用いてより詳細に説明する。但し、本発明の光学フィルムは以下の例に限定されない。
[物性の測定方法並びに効果の評価方法]
物性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通りである。
[物性の測定方法並びに効果の評価方法]
物性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通りである。
(1)配向軸
王子計測機器(株)製 位相差測定装置(KOBRA−21ADH)を用いた。3.5cm×3.5cmで切り出したフィルムサンプルを装置に設置し、入射角0°におけるフィルム面内の配向軸方位を測定した。
王子計測機器(株)製 位相差測定装置(KOBRA−21ADH)を用いた。3.5cm×3.5cmで切り出したフィルムサンプルを装置に設置し、入射角0°におけるフィルム面内の配向軸方位を測定した。
(2)光学フィルムの反射率、透過率
日立製作所製 分光光度計(U−4100 Spectrophotomater)に付属の12°正反射付属装置P/N134−0104を取り付け、入射角度θ=12度における波長450〜650nmの反射率(絶対反射率)を測定しその平均値を求めた。また、付属の角度可変付属装置ならびに付属のグランテーラ社製偏光子を取り付け、Tp20、Tp40、Tp70として入射角度θ=20、40、70度における波長450〜650nmのP波の透過率を測定しその平均値を求め、Rp70として入射角度θ=70度の波長450〜650nmのP波の反射率を測定しその平均値を求めた。また、入射角度θ=12°、20°、40°、70°の傾斜方位はフィルムの配向軸に沿う方向とした。Tp20(φ)の最大値と最小値の差として、配向軸を基準に右回りの方位角φ=0°、22.5°、45°、67.5°、90°の5方向を傾斜方位とし、各方位にて入射角度θ=20度の波長450〜650nmのP波の平均透過率を測定し求めた5つの平均値の最大値と最小値の差とした。測定条件:スリットは2nm(可視)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/分で測定した。
日立製作所製 分光光度計(U−4100 Spectrophotomater)に付属の12°正反射付属装置P/N134−0104を取り付け、入射角度θ=12度における波長450〜650nmの反射率(絶対反射率)を測定しその平均値を求めた。また、付属の角度可変付属装置ならびに付属のグランテーラ社製偏光子を取り付け、Tp20、Tp40、Tp70として入射角度θ=20、40、70度における波長450〜650nmのP波の透過率を測定しその平均値を求め、Rp70として入射角度θ=70度の波長450〜650nmのP波の反射率を測定しその平均値を求めた。また、入射角度θ=12°、20°、40°、70°の傾斜方位はフィルムの配向軸に沿う方向とした。Tp20(φ)の最大値と最小値の差として、配向軸を基準に右回りの方位角φ=0°、22.5°、45°、67.5°、90°の5方向を傾斜方位とし、各方位にて入射角度θ=20度の波長450〜650nmのP波の平均透過率を測定し求めた5つの平均値の最大値と最小値の差とした。測定条件:スリットは2nm(可視)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/分で測定した。
(実施例1)
A層を構成する結晶性の熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂Aとも称する。)としてポリエチレンテレフタレートを用い、またB層を構成する熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂Bとも称する。)としてジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸80mol%、イソフタル酸20mol%、ジオール成分としてエチレングリコールを94mol%、分子量400のポリエチレングリコールを6mol%用いた共重合PENを用いた。熱可塑性樹脂AおよびBを、それぞれの押出機にて280℃で溶融させ、FSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて計量しながらスリット数801個の積層装置にて合流させて、厚み方向に801層積層された積層体を得た。次いで、Tダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを、90℃、延伸倍率3.2倍で縦延伸を行い、両端部をクリップで把持するテンターに導き95℃、3.5倍横延伸した後、210℃で熱処理を施し、幅方向に約5%の弛緩処理を実施し、厚み92μmのポリマー多層積層フィルムを得た。このポリマー多層積層フィルムに、黒色の着色層として、メタバーを用いて塗料Aを、A4サイズのフィルム面を12μmの層厚みで塗布し光学フィルムを作成した。ここで、塗料Aの調製方法は以下の通りである。DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)と光開始剤(BASFジャパン製 IRGACURE(登録商標)184)を重量比99:1で混合させたものをMEK(メチルエチルケトン)で固形部濃度40%に調整した塗料Bを調製した。この塗料Bを13.5g、MEK(メチルエチルケトン)を14.1g、Kayaset Black G(日本化薬社製)を0.6g混合することで塗料Aを得た。得られた光学フィルムの物性を表1に示す。得られたフィルムは正面方向から入射した光の反射は見られない一方、光の入射角度が大きくなるにつれて、透過率が減少した。また、斜め方向から入射した光の透過率と反射率がそれぞれ抑制され、情報遮断性の向上とギラツキの抑制が見られた。さらに、どの方位においても斜め方向から入射する光の透過率に大きな差はなく、方位角依存性のない視野角制御であった。
A層を構成する結晶性の熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂Aとも称する。)としてポリエチレンテレフタレートを用い、またB層を構成する熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂Bとも称する。)としてジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸80mol%、イソフタル酸20mol%、ジオール成分としてエチレングリコールを94mol%、分子量400のポリエチレングリコールを6mol%用いた共重合PENを用いた。熱可塑性樹脂AおよびBを、それぞれの押出機にて280℃で溶融させ、FSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて計量しながらスリット数801個の積層装置にて合流させて、厚み方向に801層積層された積層体を得た。次いで、Tダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを、90℃、延伸倍率3.2倍で縦延伸を行い、両端部をクリップで把持するテンターに導き95℃、3.5倍横延伸した後、210℃で熱処理を施し、幅方向に約5%の弛緩処理を実施し、厚み92μmのポリマー多層積層フィルムを得た。このポリマー多層積層フィルムに、黒色の着色層として、メタバーを用いて塗料Aを、A4サイズのフィルム面を12μmの層厚みで塗布し光学フィルムを作成した。ここで、塗料Aの調製方法は以下の通りである。DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)と光開始剤(BASFジャパン製 IRGACURE(登録商標)184)を重量比99:1で混合させたものをMEK(メチルエチルケトン)で固形部濃度40%に調整した塗料Bを調製した。この塗料Bを13.5g、MEK(メチルエチルケトン)を14.1g、Kayaset Black G(日本化薬社製)を0.6g混合することで塗料Aを得た。得られた光学フィルムの物性を表1に示す。得られたフィルムは正面方向から入射した光の反射は見られない一方、光の入射角度が大きくなるにつれて、透過率が減少した。また、斜め方向から入射した光の透過率と反射率がそれぞれ抑制され、情報遮断性の向上とギラツキの抑制が見られた。さらに、どの方位においても斜め方向から入射する光の透過率に大きな差はなく、方位角依存性のない視野角制御であった。
(実施例2)
熱可塑性樹脂Bとしてジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸80mol%、イソフタル酸20mol%、ジオール成分としてエチレングリコールを96mol%、分子量400のポリエチレングリコールを4mol%用いた共重合PENを用いた以外は実施例1と同様の条件にて作製し、12μmの着色層を含む98μmの光学フィルムを作成した。得られた光学フィルムの物性を表1に示す。実施例1に比べて斜め方向の反射率は変化が見られなかったが、透過率の低減が見られ、情報の遮断性が向上した。また、方位角依存性のない視野角制御性を有していた。
熱可塑性樹脂Bとしてジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸80mol%、イソフタル酸20mol%、ジオール成分としてエチレングリコールを96mol%、分子量400のポリエチレングリコールを4mol%用いた共重合PENを用いた以外は実施例1と同様の条件にて作製し、12μmの着色層を含む98μmの光学フィルムを作成した。得られた光学フィルムの物性を表1に示す。実施例1に比べて斜め方向の反射率は変化が見られなかったが、透過率の低減が見られ、情報の遮断性が向上した。また、方位角依存性のない視野角制御性を有していた。
(実施例3)
熱可塑性樹脂Aとして混練の際にカーボンブラックの濃度を0.25質量%混合したポリエチレンテレフタラートを用い、熱可塑性樹脂Bとしてジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸80mol%、イソフタル酸20mol%、ジオール成分としてエチレングリコールを92mol%、分子量200のポリエチレングリコールを8mol%用いた共重合PENを用いた。押出しや延伸は実施例1と同様の条件にて実施し、厚み85μmのフィルムを作製した。このフィルム2枚を粘着剤を介して貼り合わせて1603層の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムの物性を表1に示す。斜め方向の反射率が比較的高いもののギラツキは抑制されており、かつ透過率が低いことから情報の遮断性が見られた。また、方位角依存性のない視野角制御制を有していた。
熱可塑性樹脂Aとして混練の際にカーボンブラックの濃度を0.25質量%混合したポリエチレンテレフタラートを用い、熱可塑性樹脂Bとしてジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸80mol%、イソフタル酸20mol%、ジオール成分としてエチレングリコールを92mol%、分子量200のポリエチレングリコールを8mol%用いた共重合PENを用いた。押出しや延伸は実施例1と同様の条件にて実施し、厚み85μmのフィルムを作製した。このフィルム2枚を粘着剤を介して貼り合わせて1603層の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムの物性を表1に示す。斜め方向の反射率が比較的高いもののギラツキは抑制されており、かつ透過率が低いことから情報の遮断性が見られた。また、方位角依存性のない視野角制御制を有していた。
(実施例4)
熱可塑性樹脂Aとして混練の際にカーボンブラックの濃度を0.65質量%混合したポリエチレンテレフタラートを用いた以外は実施例1と同様の条件にての厚み84μmのフィルムを作製した。このフィルム2枚を粘着剤を介して貼り合わせて1603層の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムの物性を表1に示す。実施例3よりも黒色が強く着色され、斜め方向の透過率、反射率とも低減されたため、より情報遮断性の向上とギラツキの抑制が見られた。また、方位角依存性のない視野角制御制を有していた。
熱可塑性樹脂Aとして混練の際にカーボンブラックの濃度を0.65質量%混合したポリエチレンテレフタラートを用いた以外は実施例1と同様の条件にての厚み84μmのフィルムを作製した。このフィルム2枚を粘着剤を介して貼り合わせて1603層の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムの物性を表1に示す。実施例3よりも黒色が強く着色され、斜め方向の透過率、反射率とも低減されたため、より情報遮断性の向上とギラツキの抑制が見られた。また、方位角依存性のない視野角制御制を有していた。
(比較例1)
積層装置を用いず、ポリエチレンテレフタラートの単層フィルムとした以外は実施例1と同様の条件で厚み90μmのフィルムを作製した。得られたフィルムの物性を表1に示す。得られたフィルムは単層であることから、斜め方向の透過性を有しており、覗き見防止フィルムとして使用した場合に情報を遮断できないものであった。
積層装置を用いず、ポリエチレンテレフタラートの単層フィルムとした以外は実施例1と同様の条件で厚み90μmのフィルムを作製した。得られたフィルムの物性を表1に示す。得られたフィルムは単層であることから、斜め方向の透過性を有しており、覗き見防止フィルムとして使用した場合に情報を遮断できないものであった。
(比較例2)
塗料を塗布しなかったこと以外は実施例1と同様の条件にてフィルムを作製した。得られたフィルムの物性を表1に示す。得られたフィルムは、斜め方向の透過性が高いため、情報を十分に遮断できないものとなった。
塗料を塗布しなかったこと以外は実施例1と同様の条件にてフィルムを作製した。得られたフィルムの物性を表1に示す。得られたフィルムは、斜め方向の透過性が高いため、情報を十分に遮断できないものとなった。
(比較例3)
塗料を塗布しなかったこと以外は実施例2と同様の条件にてフィルムを作製した。得られたフィルムの物性を表1に示す。得られたフィルムは斜め方向の透過性が高いため情報を十分に遮断できず、さらに反射性も高いためギラツキが強く表れるものとなった。
塗料を塗布しなかったこと以外は実施例2と同様の条件にてフィルムを作製した。得られたフィルムの物性を表1に示す。得られたフィルムは斜め方向の透過性が高いため情報を十分に遮断できず、さらに反射性も高いためギラツキが強く表れるものとなった。
(比較例4)
熱可塑性樹脂Aにカーボンブラックを添加せずポリエチレンテレフタラートのみを用いたこと以外は実施例4と同様の条件にてフィルムを作製した。得られたフィルムの物性を表1に示す。得られたフィルムは斜め方向の透過性が低く、情報の遮断性は有しているが、斜め方向の反射性が高くギラツキが強く表れてしまうものであった。
熱可塑性樹脂Aにカーボンブラックを添加せずポリエチレンテレフタラートのみを用いたこと以外は実施例4と同様の条件にてフィルムを作製した。得られたフィルムの物性を表1に示す。得られたフィルムは斜め方向の透過性が低く、情報の遮断性は有しているが、斜め方向の反射性が高くギラツキが強く表れてしまうものであった。
本発明は、方位角依存性のない視野角制御性と、斜め方向でのプライバシー性の向上とギラツキ感の抑制を可能にした光学フィルム、覗き見防止フィルム及びそのフィルムを用いた画像表示装置に関するものである。
Claims (10)
- フィルム面の配向軸に沿う方向を傾斜方位として、フィルム面の法線に対して12°の角度で入射したときの反射率が20%以下であり、フィルム面の法線に対して20°、40°、70°の角度で入射したときのそれぞれのP波の透過率(%)をTp20、Tp40、Tp70とし、フィルム面の法線に対して70°の角度で入射したときのP波の反射率(%)をRp70とした場合に、Tp20≧Tp40>Tp70の関係と、Rp70+Tp70≦90%の関係を満足し、かつTp70≦30%である、光学フィルム。
- 前記フィルム面の配向軸を基準に右回りの方位角をφとした際に、フィルム面の法線に対して入射角20°で入射した際のP波の透過率をTp20(φ)とした際に、Tp20(φ)の最大値と最小値の差が10%以下である、請求項1に記載の光学フィルム。
ここで方位角φは0°、22.5°、45°、67.5°、90°の5点である。 - 着色層を含んでなる、請求項1または2に記載の光学フィルム。
- 前記着色層が前記光学フィルムの少なくとも一方の表面に形成されてなる、請求項3に記載の光学フィルム。
- 前記着色層が前記光学フィルム内部に形成されてなる、請求項3または4に記載の光学フィルム。
- 前記着色層がフィルム又はシートの内部に形成されてなる着色フィルム又は着色シートであり、該着色フィルム又は着色シートが前記光学フィルムの少なくとも一方の面に積層されてなる、請求項3〜5のいずれかに記載の光学フィルム。
- 前記着色層に少なくとも光吸収剤、顔料および染料のうち少なくとも一つが含まれてなる、請求項3〜6のいずれかに記載の光学フィルム。
- 前記着色層に少なくともカーボンブラックが含まれてなる、請求項4〜7のいずれかに記載の光学フィルム。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の光学フィルムを用いた、覗き見防止フィルム
- 請求項9に記載の覗き見防止フィルムを用いた、画像表示装置。
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