JP2021161310A - 注型樹脂、および密閉型絶縁装置 - Google Patents

注型樹脂、および密閉型絶縁装置 Download PDF

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Abstract

【課題】注型樹脂の電気抵抗(体積抵抗率)を適切に低減し、かつ注型樹脂の電気抵抗(体積抵抗率)の温度依存性を低減する。【解決手段】実施形態によれば注型樹脂(1)は、樹脂および硬化剤を含むマトリックス樹脂(30)と、マトリックス樹脂(30)に分散して含有され、樹脂の機械的特性を向上させる機能を有する第1の充填剤(10)と、マトリックス樹脂(30)に分散して含有され、樹脂の電気抵抗を制御する機能を有する第2の充填剤(20)とを具備する。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、注型樹脂、および密閉型絶縁装置に関する。
近年、変電所を構成する高電圧回路の開閉装置及び送電装置として、ガス絶縁開閉装置及び管路気中送電装置が多く使用されている。これらのガス絶縁開閉装置及び管路気中送電装置においては、その接地金属容器内に高電圧導体を絶縁支持するために絶縁スペーサが使用されている。
このような絶縁スペーサとしては、例えば、次のような技術が提案されている。すなわち、絶縁スペーサにおいて、エポキシ樹脂などの合成樹脂からなる絶縁スペーサ本体によって、高電圧導体が支持され、この絶縁スペーサのフランジ部には接地金属容器に絶縁スペーサを固定するための金属フランジ部が形成されている。また、接地金属容器内に封入されるSFガスは、電界が不均一であると、その絶縁性能が低下する傾向にあるので、その対策として、高電圧導体の周りに接地シールドを一体に埋め込み、前記金属フランジ部によってその電位を確保している。
以上のような構成を有する絶縁スペーサの本体部の絶縁注型材料としては、化学的安定性、機械的強度などから、一般に、酸無水物を硬化剤として用いたエポキシ樹脂がベース材料として使用されている。そして、特に、SFガスなどを絶縁媒体とするガス絶縁開閉装置用の絶縁スペーサとしては、(1)材料コストを下げる、(2)弾性率を上げて製品の剛性を増す、(3)機械的強度を改善する、(4)線膨脹係数を下げて成形性を改善する、などの目的のために、前述のエポキシ樹脂にシリカやアルミナを充填することが、一般的に行われている。
一方、機器の縮小化の目的から導体通電部に要求される温度上昇の許容値は上昇しており、絶縁スペーサ用樹脂の耐熱性(高温クリープ特性)の改善が要求されている。耐熱性(高温クリープ特性)の改善には、樹脂のガラス転移温度を上昇させる方法が一般的に用いられるが、ガラス転移温度の上昇に伴って樹脂の脆性が増し、さらに、エポキシ樹脂と埋め込み金属部材との線膨脹係数の差に基づく熱応力が増大するため、耐クラック性が著しく低下する。
これに対し、樹脂自体の耐衝撃性を向上させる方法としては、変性低分子量ポリオレフィンやポリブタジエン、シリコンゴムなどの耐衝撃性付与成分を、エポキシ樹脂に変性させること、または配合することなどの方法が存在している。しかしながら、これらの従来方法においては、絶縁スペーサなどの大型高電圧部品の構造材料用としては十分な検討がなされていないため、特に、高電圧用の注型用エポキシ樹脂においては、樹脂組成面で開発の余地が残されている。
このため、SFガスなどを絶縁媒体とするガス絶縁開閉装置や管路気中送電装置などに使用される絶縁スペーサにおいては、シリカやアルミナなどの無機充填剤を樹脂に対して高充填することにより、線膨脹係数を埋め込み金属部材の線膨脹係数に近づけて熱応力を低減し、樹脂のガラス転移温度を維持し、耐熱性(高温クリープ特性)を維持したまま耐クラック性を改善する方法が一般的に用いられている。
特公昭54−44106号公報 特公昭58−57047号公報 特許第2888666号公報
しかしながら、以上のように、ガス絶縁開閉装置や管路気中送電装置などに使用される絶縁スペーサにおいて、アルミナなどの無機充填剤を樹脂に対して高充填した場合には、次のような欠点が生じていた。すなわち、たとえばアルミナを配合した系では、アルミナの誘電率が高いため、アルミナの高充填は、樹脂の誘電率を上昇させ、絶縁設計上不利であった。また、アルミナの高充填は、樹脂の弾性率を増加させるため、機械的特性面では小さな歪みで破壊することになり、製品段階での破壊値が低下してしまうという欠点があった。さらに、アルミナの高充填は、注型時の樹脂粘度を増大させるため、硬化するまでの充填操作可能なポットライフが短くなり、作業性が低下するという問題もあった。加えて、従来の樹脂は、埋め込み金属部材との接着力があまり大きくないことから、十分な接着力を確保するために、一般的に、金属部材のプライマー処理を行うことが必要であり、このことも、作業性を低下させていた。
このように、従来の絶縁スペーサにおいては、たとえばアルミナを樹脂中に高充填することにより、耐熱性(高温クリープ特性)と耐クラック性の高いレベルでの両立を図っていたが、その反面、このような従来技術には、誘電率の上昇、製品段階での機械的強度の低下、作業性の低下などの問題点が存在していた。
なお、以上のような各種の問題点は、ガス絶縁開閉装置や管路気中送電装置などに使用される絶縁スペーサに限らず、同様の樹脂組成物を使用してなる各種の大型注型物や半導体封止材料などの他の電気機器や部品の絶縁材料あるいは構造材料においても、同様に存在していた。
さらに、従来の注型樹脂では、以下のような課題を有している。
現在、DC−GIS(直流-ガス絶縁開閉装置)のIEC(国際電気標準会議)規格化案として、(温度勾配+帯電飽和)条件での形式電気試験が欧州勢から提案され、今後正式に規格化される見込みである。現行のエポキシ樹脂硬化物では、電気抵抗の値が大きいことにより時定数が長いため、同試験には半年間オーダーの連続電圧印加が必要となり、製品部および高電圧試験場での電気試験における設備的・時間的な負担が大きいという課題がある。
従来提案されている注型樹脂では、2つの課題がある。すなわち、(1)注型樹脂の電気抵抗(体積抵抗率)が高すぎるという点と、(2)注型樹脂の電気抵抗(体積抵抗率)の温度依存性が大きすぎるという課題である。
まず上記(1)の課題については、単純に抵抗率を低減するだけであれば、抵抗率の低い充填剤(フィラー)を充填すればよいということになる。しかしこの場合、抵抗率は下がるが、耐電圧性能も低減させることになってしまう。また抵抗率の低い充填剤は、主に金属系であるために、充填剤が容易に沈殿してしまうというという問題が生じる。
次に(2)の課題については、一般的な絶縁材料(絶縁性を有する材料)は、温度上昇とともに電気抵抗(体積抵抗率)が低下する。すなわち、温度上昇とともに電気が流れやすくなる。一般に、導電性とは10−6〜10−3Ω・cm程度の体積抵抗率を、半導電性とは10−3〜10Ω・cm程度の体積抵抗率を、絶縁性とは10〜1020Ω・cm程度の体積抵抗率を、それぞれ指す。ここでは、絶縁性(10〜1020Ω・cm程度の体積抵抗率)の材料を取り扱っている。上記のように、絶縁材料が有する温度依存性は、絶縁材料の本来有する特性であり、これを抑制することは困難であった。
以上のように、電気抵抗(体積抵抗率)を適切に低減、すなわち、電気抵抗(体積抵抗率)の値を、従来よりも下げすぎることなくかつ従来よりも1桁ないし3桁程度低い値とし、かつ、電気抵抗(体積抵抗率)の温度依存性の低減、すなわち規格上の2点の温度すなわち室温と80℃におけるそれぞれの値の間の違いを従来よりも低減させることができるような、電気抵抗(体積抵抗率)を制御可能な新たな注型樹脂が必要であった。
そこで、本発明の実施形態は、注型樹脂の電気抵抗(体積抵抗率)を適切に低減し、かつ注型樹脂の電気抵抗(体積抵抗率)の温度依存性を低減することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本実施形態に係る注型樹脂は、樹脂および硬化剤を含むマトリックス樹脂と、前記マトリックス樹脂に分散して含有され、前記樹脂の機械的特性を向上させる機能を有する第1の充填剤と、前記マトリックス樹脂に分散して含有され、前記樹脂の電気抵抗を制御する機能を有する第2の充填剤と、を具備することを特徴とする。
本実施形態に係る注型樹脂の、第1の充填剤と、第2の充填剤とが、マトリックス樹脂中に分散を形成している様子を模式的に示した図である。 本実施形態に係る注型樹脂を用いた注型樹脂硬化物を有する電気機器を示す一部断面図である。 本実施形態に係る注型樹脂の材料組成と、電気特性(体積抵抗率)の評価を行う試験片の断面を示す図である。 本実施形態に係る注型樹脂の材料組成と、電気特性(体積抵抗率)の測定結果を、試験部材ごとに示した表である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る注型樹脂、注型樹脂の製造方法、および密閉型絶縁装置について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には、共通の符号を付して、重畳する説明は省略する。
[第1の実施形態]
(構成)
本発明の実施形態は、電気機器や部品の絶縁材料あるいは構造材料として好適な注型用樹脂の組成物に関するものであり、また、特に、ガス絶縁開閉装置、管路気中送電装置、またはその他の電気機器に使用される絶縁スペーサへの使用に最適な注型用樹脂組成物(以下、注型樹脂)および、それを使用してなる絶縁スペーサに関する。
ここで、好適な注型用樹脂は、電気抵抗(体積抵抗率)を適切に低減、すなわち、電気抵抗(体積抵抗率)の値を、従来よりも下げすぎることなくかつ従来よりも1桁ないし3桁程度低い値とし、かつ、電気抵抗(体積抵抗率)の温度依存性の低減、すなわち規格上の2点の温度すなわち室温と80℃におけるそれぞれの値の間の違いを従来よりも低減させることができるような、電気抵抗(体積抵抗率)を制御可能な新たな注型樹脂が必要であった。
体積抵抗率ρの温度依存性を示す指標として、体積抵抗率ρV1の体積抵抗率ρV2に対する比(ρV1/ρV2)を温度依存係数αとする。従来のエポキシ樹脂を使用した注型樹脂の場合、室温における体積抵抗率ρV1および80℃における体積抵抗率ρV2は、それぞれ、たとえば、2.6E+17(Ω・cm)および2.5E+16(Ω・cm)程度である。したがって、この場合、温度依存係数αは、10.4となる。
本実施形態による注型樹脂は、従来の注型樹脂の電気抵抗(体積抵抗率)の1/10ないし1/10の範囲の値とし、かつ、温度依存係数αを従来の値から有意に低下させるものとして、従来の値の30%以上の減少、すなわち、αを7.3以下とするものである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る注型樹脂1の、第1の充填剤10と、第2の充填剤20とが、マトリックス樹脂30中に分散している様子を模式的に示した図である。
本実施形態の注型樹脂1は、エポキシ樹脂およびこのエポキシ樹脂を硬化させる硬化剤からなるマトリックス樹脂30を備える。そして、このマトリックス樹脂30に分散して配合されるシリカ、アルミナあるいはこれらの混合物などの第1の充填剤10、および、注型樹脂1の電気抵抗を制御する充填剤である第2の充填剤20を含有している。なお、この注型樹脂1は、硬化剤を含有しているが、注型樹脂1として使用される際には、硬化していない粘性液状の状態を維持している。
エポキシ樹脂は、1分子当たり2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物からなるものである。このようなエポキシ化合物としては、炭素原子2個と酸素原子1個とからなる三員環を1分子中に2個以上持ち、硬化可能な化合物であれば適宜に使用可能であり、その種類は特に限定されるものではない。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型ポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノール−ノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾール−ノボラック型エポキシ樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリンとガルボン酸との縮合によって得られるグリジジルエステル型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネートやエピクロルヒドリンとヒダントイン類との反応によって得られるヒダントイン型エポキシ樹脂のような複素環式エポキシ樹脂等が挙げられる。また、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂を単独で使用してもよいし、2種以上混合して使用してもよい。エポキシ樹脂としては、たとえば、エポミックR140P(三井化学株式会社製商品名)を使用することができる。
また、樹脂の耐熱性を向上させるために、脂環式のエポキシ樹脂を適量配合することもできる。脂環式のエポキシ樹脂としては、たとえば、CY179(ハンツマン株式会社製商品名)、E171(ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名)、セロキサイド2021P(株式会社ダイセル製商品名)などを用いることができる。
エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤は、エポキシ樹脂と化学反応してエポキシ樹脂を硬化させるものである。この硬化剤は、エポキシ樹脂を硬化させるものであれば適宜に使用可能であり、その種類は特に限定されるものではない。このような硬化剤としては、例えば、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤などを使用することができる。アミン系硬化剤としては、例えば、エチレンジアミン、ポリアミドアミンなどを使用することができる。酸無水物系硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、4−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸などを使用することができる。
なお、マトリックス樹脂30中に、泡が発生するのを防ぐため、あるいは発生した泡を消すために、マトリックス樹脂30に消泡剤を添加してもよい。消泡剤は、特に限定されるものではないが、例えば、ジメチルシリコーン系の消泡剤(例えば、TSA720(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製商品名)、KP330(信越化学工業株式会社製商品名)など)を使用することができる。
第1の充填剤10としては、注型樹脂の強度を向上させる充填剤として、シリカ、アルミナなどを用いることができる。
シリカとしては、FUMITEC社製RF25(平均粒径17.5μm)、F115(平均粒径14.0μm)、DENKA製FB48(平均粒径13.3μm)などの溶融シリカを用いることができる。注型樹脂の強度向上のための充填剤としての効果を確保するために、粒径範囲は、10μm〜20μmであることが好ましい。
シリカの添加量は、エポキシ樹脂100質量部に対して100〜200質量部含有されることが好ましい。
アルミナとしては、太平洋ランダム社製LA1200(平均粒径20.0μm)などを用いることができる。注型樹脂の強度向上のための充填剤としての効果を確保するために、粒径範囲は、10μm〜30μmであることが好ましい。
アルミナの添加量は、エポキシ樹脂100質量部に対して100〜200質量部含有されることが好ましい。
第1の充填剤として溶融シリカを用いる場合、その表面は、シランカップリング処理などの表面処理が施されていることが好ましい。シランカップリング処理することで、エポキシ樹脂とのぬれ性を向上させることができる。シランカップリング処理に使用するシランカップリング剤としては、例えば、エポキシシラン、アミノシラン、ビニルシラン、メタクリルシラン、メルカプトシラン、メトキシシラン、エトキシシランなどを使用することができる。これらのシランカップリング表面改質処理は、後添加しても同様の効果を得ることができる。
また第1の充填剤の表面は、チタネートカップリング処理することで、エポキシ樹脂とのぬれ性を向上させることもできる。チタネートカップリング処理に使用するチタネートカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルタイト、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピル−トリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトライソプロピル−ビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチル−ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリロキシメチル−1−ブチル)−ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネートなどが挙げられる。これらのチタネートカップリング表面改質処理は、後添加しても同様の効果を得ることができる。
第1の充填剤としてアルミナを用いる場合、その表面は、シランカップリング処理およびチタネートカップリング処理などの表面処理が施されていることが好ましい。
第2の充填剤20としては、注型樹脂1の電気抵抗を制御する充填剤として、Fe、ZrC、電子捕捉剤、金属メッキアクリル粒子、および結晶シリカを使用する。
第2の充填剤20のうち、Feについて以下に説明する。Feは黒色の粉体である(比重:約5.2g/cm)。粒径は、第2の充填剤単体で絶縁抵抗特性を発現させつつ、塗装などの作業性を確保するために、0.01μm〜0.1μmであることが好ましい。この範囲のうちでも、絶縁抵抗特性が良好となる、0.05μm〜0.08μmの粒径がさらに好ましい。なお、粒径は、SEM(走査型電子顕微鏡)による樹脂硬化物の観察などによって測定される(以下、同様)。Feの含有量は、絶縁抵抗材料における導電パスの形成および塗装などの作業性を確保するために、エポキシ樹脂100質量部に対して0.010〜0.50質量部含有されることが好ましい。
第2の充填剤20のうち、ZrCについて以下に説明する。ZrCは黒色の粉体である(比重:約6.7g/cm)。ZrCは、たとえば第一稀元素化学工業(株)製のものなどを用いることができる。粒径は、第2の充填剤単体で絶縁抵抗特性を発現させつつ、塗装などの作業性を確保するために、1μm〜5μmであることが好ましい。この範囲のうちでも、絶縁抵抗特性が良好となる、2μm〜3μmの粒径がさらに好ましい。ZrCの含有量は、絶縁抵抗特性を発現させるため、エポキシ樹脂100質量部に対して0.5〜5.0質量部含有されることが好ましい。
第2の充填剤20のうち、電子捕捉剤について説明する。電子捕捉剤としては、2,4,7−トリニトロ−9―フルオレノン(通常、TNFと略称)を、脱水したのちに用いることができる。TNFには、東京化成工業(株)製のものを用いることができる。電子捕捉剤は、絶縁抵抗特性を発現させるため、エポキシ樹脂100質量部に対して0.0030〜0.05質量部含有されることが好ましい。TNFを用いた電子捕捉剤を、以下、TNF(電子捕捉剤)と呼ぶ。
第2の充填剤20のうち、金属メッキアクリル粒子について以下に説明する。金属メッキアクリル粒子としては、銀メッキアクリル粒子およびニッケルメッキアクリル粒子が挙げられる。
ニッケルメッキアクリル粒子は灰色の粉体である(比重:約2.2g/cm)。粒径は、第2の充填剤20により絶縁抵抗特性を発現させるために、5μm〜15μmであることが好ましい。この範囲のうちでも、絶縁抵抗特性が良好となる、6μm〜10μmの粒径がさらに好ましい。
銀メッキアクリル粒子は暗褐色の粉体である(比重:約1.25g/cm)。粒径は、第2の充填剤20により絶縁抵抗特性を発現させるために、5μm〜15μmであることが好ましい。この範囲のうちでも、絶縁抵抗特性が良好となる、6μm〜10μmの粒径がさらに好ましい。
銀メッキアクリル粒子およびニッケルメッキアクリル粒子の含有量は、絶縁抵抗材料における導電パスの形成および塗装などの作業性を確保するために、エポキシ樹脂100質量部に対して0.040〜0.30質量部含有されることが好ましい。
第2の充填剤20のうち、結晶シリカについて説明する。結晶シリカとしては、(株)龍森製のCB13(平均粒径5.2μm)、5X(平均粒径1.4μm)などを用いることができる。結晶シリカは、通常のシリカ(溶融シリカと比較して)、抵抗率が低いことが知られている。結晶シリカは、絶縁抵抗特性を発現させるため、エポキシ樹脂100質量部に対して0.5〜10質量部含有されることが好ましい。
なお、第1の充填剤10および第2の充填剤20の分散性をさらに高めるために、分散剤を添加した注型樹脂1としてもよい。分散剤としては、例えば、高分子界面活性剤、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、 アルキルイミダゾリン系界面活性剤、非イオン性界面活性剤などの界面活性剤を使用する ことができる。高分子界面活性剤としては、例えば、ホモゲノール L−100(花王社 製)など、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤としては、例えば、ホモゲノール L−1 8、ホモゲノール L−1820(花王社製)など、イミダゾリン系界面活性剤としては、例えば、ホモゲノール L−95(花王社製)など、非イオン性界面活性剤としては、 例えば、ピッツコール K−30、ピッツコール K−30L、ピッツコール K−90、 ピッツコール K−90L、ディスコール N−509、ディスコール N−518、ディ スコール 202、ディスコール 206(第一工業製薬社製)などが挙げられる。これら の中でも、分散効果に優れるホモゲノール L−18、L−1820を使用することが好 ましい。
分散剤は、十分な分散効果を得るために、マトリックス樹脂100質量部に対して0. 5〜5質量部添加されることが好ましい。
図2は、本実施形態の注型樹脂を用いた注型樹脂硬化物2を有する電気機器を示す一部断面図である。電気機器の一例として、図2には密閉型絶縁装置50を示している。
図2に示すように、密閉型絶縁装置50は、軸方向に複数に分割可能な円筒状の金属容器51と、中央に軸方向に配置された高電圧導体52と、金属容器51間に設けられ、金属容器51のフランジ部51aに挟まれて金属容器51に支持された注型樹脂硬化物2からなる絶縁スペーサ53とを備えている。
絶縁スペーサ53は、金属容器51の内部を円筒の中心軸に垂直な方向に分割するように配置され、高電圧導体52を支持している。金属容器51内には、例えばSFガスなどの絶縁ガス54が封入されている。
なお、ここでは、電気機器の一例として密閉型絶縁装置50を示して説明したが、実施の形態の注型樹脂硬化物2は、例えば種々の電気機器、電子機器、産業機器、重電機器などに適用することができる。そして、これらに適用した場合においても同様の作用効果を得ることができる。
上述のように、実施の形態の注型樹脂1によれば、マトリックス樹脂30中に第1の充填剤10および第2の充填剤20を均一に分散させることで、注型樹脂硬化物2の電気抵抗特性の改善を図ることができる。
(方法)
以下に、実施の形態の注型樹脂1の製造方法について説明する。
まず、配合するエポキシ樹脂(これに加え、必要に応じて脂環式エポキシ樹脂)、第1の充填剤10の一部、および第2の充填剤20の一部を、自転公転式ミキサーなどによって攪拌し、A液を作製する。
続いて、エポキシ樹脂用硬化剤、第1の充填剤10の残部、および第2の充填剤20の残部を、自転公転ミキサーなどによって攪拌し、B液を作製する。
続いて、これらA液とB液を配合し、自転公転式ミキサーなどによって撹拌した後、真空チャンバー等を用いて脱気・脱泡する。その後に、金型に注型し、樹脂硬化物とする。電気特性を測定する場合には平板用作製用の金型を用いる。
一方、実器向けの絶縁スペーサを製造する際には、上記の手法を参照しつつ、撹拌方法に真空撹拌機や三本ロールといった多量の樹脂向けの撹拌方法を用いて撹拌の上、専用の金型に注型する。
また、消泡剤を含有する場合には、A液およびB液を作製する際に、所定量の消泡剤を添加して攪拌する。
(注型樹脂の評価)
次に、実施の形態による注型樹脂1が優れた電気特性を有することについて説明する。電気特性の評価するために、平板の試験片を用いて、電気特性を測定した。電気特性としては、体積抵抗率の測定を行った。詳細は下記の通りである。
試験規格はASTM 0257 B法に準拠した。測定装置は、超高抵抗絶縁計R8340A(エーディーシー製)を使用し、測定試料の測定時の温度を一定に保つチャンバーにはTR43C(アドバンテスト製)を用いた。
図3は、本実施形態に係る注型樹脂の材料組成と、電気特性(体積抵抗率)の評価を行う試験片60の断面を示す図である。
試験片60は、試験対象の注型樹脂を用いた注型樹脂硬化物である円板状部材61と、その第1の表面61aに円板状部材61と同心に取り付けられた主電極である第1電極62、および第1電極62の外側に配された環状の環状電極63と、第1表面61aの裏側の第2表面61bに円板状部材61と同心に取り付けられた対電極である第2電極64を有する。
円板状部材61は、直径が約55mm、厚みが3mmである。主電極である第1電極62は、外径が25.4mm、第2電極64は、外径が50mmである。各電極の材料としては、導電性ペースト(銀ペースト)を使用した。
印加電圧は500Vの1分値を採用した。試料の前処理としては、室温で90h(湿度:60%)にて一定とした。試験温度は、室温(22℃)および80℃とした。なお、導電性ペーストによる電極作製前に、試料を溶剤(エタノール)拭きし、きれいな面とした上で、より平滑な面側に主電極を形成した。
試験方法は、下記の通りである。
試料表面に導電性ペーストを用いて主電極、環状電極および対電極を作製し、測定機器と配線後、規定電圧で60 秒間充電して体積抵抗を測定する。得られた体積抵抗値から次の式(1)を用いて体積抵抗率ρを算出する。
ρ=[(πd/(4t)]×R ・・・(1)
ただし、ρ:体積抵抗率(Ω・cm)、d:主電極の直径(cm)、t:試験片の厚さ(cm)、R:体積抵抗(Ω)、π:円周率、である。
試料厚さはミツトヨ製マイクロメータにより電極作製前に測定した。その際、被測定試料内5ヶ所の厚さの相加平均値を試料厚さとした。なお、試料厚さは温度により変化することが考えられるがその詳細は不明なため、すべて室温での測定値を用いて計算した。
図4は、本実施形態に係る注型樹脂1の材料組成と、電気特性(体積抵抗率)の測定結果を、試験部材ごとに示した表である。
図4の表における第1列は、試料を番号で表示している。第2列は、第1の充填剤10の種類、第3列は第1の充填剤10の含有量、第4列は第2の充填剤20の種類、第5列は第2の充填剤20の含有量、第6列は注型樹脂硬化物2の室温での体積抵抗率ρV1(Ω・cm)、第7列は注型樹脂硬化物2の80℃での体積抵抗率ρV2(Ω・cm)である。表中の第1の充填剤の含有量(質量部)および第1の充填剤の含有量(質量部)は、マトリックス樹脂を100質量部としたときの値である。
ここで、試料34は、マトリックス樹脂のみの組成の場合、また、試料33は、マトリックス樹脂に樹脂の機械的特性を向上させる機能を有する第1の充填剤のみを加え、樹脂の電気抵抗を制御する機能を有する第2の充填剤を加えていない場合であり、比較例として示している。
なお、第1の充填剤のみを添加した試料33の場合、第1の充填剤および第2の充填剤のいずれも添加していない試料34の場合に比べて、体積抵抗率ρV1および体積抵抗率ρV2の低下は10%未満である。
また、試料33および試料34についての温度依存係数αは、いずれも約10.4である。
以下に、第1の充填剤および第2の充填剤の各構成ケースについて、その効果を説明する。
(第1の充填剤10としてシリカ、第2の充填剤20としてFeを使用した場合)
この場合の試料を、試料1から試料5で示す。
いずれの場合においても、室温での体積抵抗率ρV1および80℃における体積抵抗率ρV2は、比較例である試料33、34の場合に対して、一桁以上低くなっており、体積抵抗率ρの有意な低減効果が示されている。
また、温度依存係数αについては、試料1では13.5であるが、試料2〜5では、1.1〜2.2と大幅に減少しており、温度依存性の抑制効果が示されている。
したがって、第1の充填剤10としてシリカを1.9質量部、第2の充填剤20としてFeを0.010〜0.50質量部を添加する場合に、体積抵抗率ρの低減効果および温度依存性の低い良好な温度特性が得られる。
(第1の充填剤20としてシリカを、第2の充填剤20としてZrCを使用した場合)
この場合の試料を、試料6から試料10で示す。
いずれの場合においても、室温での体積抵抗率ρV1および80℃における体積抵抗率ρV2は、比較例である試料33、34の場合に対して、一桁以上低くなっており、体積抵抗率ρの有意な低減効果が示されている。
また、温度依存係数αについては、試料6、7では13.6〜15.3であるが、試料8〜10では、1.6〜2.1と大幅に減少しており、温度依存性の抑制効果が示されている。
したがって、第1の充填剤10としてシリカを1.9質量部、第2の充填剤20としてZrCを0.50〜5.0質量部を添加する場合に、体積抵抗率ρの低減効果および温度依存性の低い良好な温度特性が得られる。
(第1の充填剤20としてシリカを、第2の充填剤20としてTNF(電子捕捉剤)を、それぞれ使用した場合)
この場合の試料を、試料11から試料15で示す。
いずれの場合においても、室温での体積抵抗率ρV1および80℃における体積抵抗率ρV2は、比較例である試料33、34の場合に対して、一桁以上低くなっており、体積抵抗率ρの有意な低減効果が示されている。
また、温度依存係数αについては、試料11では10であるが、試料12〜15では、1.6〜2.4と大幅に減少しており、温度依存性の抑制効果が示されている。
したがって、第1の充填剤10としてシリカを1.9質量部、第2の充填剤20としてTNF(電子捕捉剤)を0.0030〜0.05質量部を添加する場合に、体積抵抗率ρの低減効果および温度依存性の低い良好な温度特性が得られる。
(第1の充填剤20としてシリカを、第2の充填剤20として金属メッキアクリル粒子を、それぞれ使用した場合)
この場合の試料を、試料16から試料26で示す。
まず、金属メッキアクリル粒子として、Agアクリル粒子を用いた場合が、試料16〜20である。
いずれの場合においても、室温での体積抵抗率ρV1および80℃における体積抵抗率ρV2は、比較例である試料33、34の場合に対して、一桁以上低くなっている。ただし、試料20では、8桁以上低下しており、絶縁材としては使用に適さない。試料16〜19については、体積抵抗率ρの有意な低減効果が示されている。
また、温度依存係数αについては、試料16では10.4であるが、試料17〜19では、1.2〜3.4と大幅に減少しており、温度依存性の抑制効果が示されている。
したがって、第1の充填剤10としてシリカを1.9質量部、第2の充填剤20としてAgアクリル粒子を0.0040〜0.30質量部を添加する場合に、体積抵抗率ρの低減効果および温度依存性の低い良好な温度特性が得られる。
次に、金属メッキアクリル粒子として、Niアクリル粒子を用いた場合が、試料21〜26である。
いずれの場合においても、室温での体積抵抗率ρV1および80℃における体積抵抗率ρV2は、比較例である試料33、34の場合に対して、一桁以上低くなっている。ただし、試料26では、8桁以上低下しており、絶縁材としては使用に適さない。試料21〜25については、体積抵抗率ρの有意な低減効果が示されている。
また、温度依存係数αについては、試料21、22ではそれぞれ10.4、12.4であるが、試料23〜25では、1.2〜2.8と大幅に減少しており、温度依存性の抑制効果が示されている。
したがって、第1の充填剤10としてシリカを1.9質量部、第2の充填剤20としてNiアクリル粒子を0.0040〜0.30質量部を添加する場合に、体積抵抗率ρの低減効果および温度依存性の低い良好な温度特性が得られる。
以上のように、第1の充填剤20としてシリカを1.9質量部、第2の充填剤20として金属メッキアクリル粒子を0.0040〜0.30質量部を添加する場合に、体積抵抗率ρの低減効果および温度依存性の低い良好な温度特性が得られる。
(第1の充填剤10としてシリカを、第2の充填剤20として結晶シリカを、それぞれ使用した場合)
この場合の試料を、試料27から試料30で示す。
いずれの場合においても、室温での体積抵抗率ρV1および80℃における体積抵抗率ρV2は、比較例である試料33、34の場合に対して、一桁以上低くなっており、体積抵抗率ρの有意な低減効果が示されている。
また、温度依存係数αについては、試料27では10.4であるが、試料28〜30では、3.2〜5.9と大幅に減少しており、温度依存性の抑制効果が示されている。
したがって、第1の充填剤10としてシリカを0.47〜0.93質量部、第2の充填剤20として結晶シリカを0.50〜10質量部を添加する場合に、体積抵抗率ρの低減効果および温度依存性の低い良好な温度特性が得られる。
(第1の充填剤10としてアルミナを、第2の充填剤20としてFeを使用した場合)
この場合の試料を、試料31で示す。
この場合、室温での体積抵抗率ρV1および80℃における体積抵抗率ρV2は、比較例である試料33、34の場合に対して、一桁以上低くなっており、体積抵抗率ρの有意な低減効果が示されている。
また、温度依存係数αについては、1.5と大幅に減少しており、温度依存性の抑制効果が示されている。
したがって、第1の充填剤10としてアルミナを1.9質量部、第2の充填剤20としてFeを0.5質量部、添加する場合に、体積抵抗率ρの低減効果および温度依存性の低い良好な温度特性が得られる。
(第1の充填剤10としてアルミナを、第2の充填剤20としてTNF(電子捕捉剤)を使用した場合)
この場合の試料を、試料32で示す。
この場合、室温での体積抵抗率ρV1および80℃における体積抵抗率ρV2は、比較例である試料33、34の場合に対して、一桁以上低くなっており、体積抵抗率ρの有意な低減効果が示されている。
また、温度依存係数αについては、2.0と大幅に減少しており、温度依存性の抑制効果が示されている。
したがって、第1の充填剤10としてアルミナを1.9質量部、第2の充填剤20としてTNF(電子捕捉剤)を0.0030質量部、添加する場合に、体積抵抗率ρの低減効果および温度依存性の低い良好な温度特性が得られる。
以上のように、本実施形態に係る注型樹脂1について、注型樹脂の電気抵抗(体積抵抗率)をわずかに低減し、かつ注型樹脂の電気抵抗(体積抵抗率)の温度依存性を抑制可能な注型樹脂が実現できる。すなわち、第2の充填剤を配合していない材料(表1における試料33および試料34)と比較して、抵抗率を1〜3桁下げることができ、かつ抵抗率の温度依存性が小さい(室温および80℃で測定した抵抗率が互いに同じオーダーの値である)材料を得ることができる。すなわち、電気抵抗(体積抵抗率)を制御可能な注型樹脂1を得ることができる。
以上のように、実施形態によれば、注型樹脂の電気抵抗(体積抵抗率)を適切に低減し、かつ注型樹脂の電気抵抗(体積抵抗率)の温度依存性を低減することができる。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
また、各実施形態の特徴を組み合わせてもよい。また、実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…注型樹脂、2…注型樹脂硬化物、10…第1の充填剤、20…第2の充填剤、30…マトリックス樹脂、50…密閉型絶縁装置、51…金属容器、51a…フランジ部、52…高電圧導体、53…絶縁スペーサ、54…絶縁ガス、60…試験片、61…円板状部材、61a…第1表面、61b…第2表面、62…第1電極、63…環状電極、64…第2電極

Claims (20)

  1. 樹脂および硬化剤を含むマトリックス樹脂と、
    前記マトリックス樹脂に分散して含有され、前記樹脂の機械的特性を向上させる機能を有する第1の充填剤と、
    前記マトリックス樹脂に分散して含有され、前記樹脂の電気抵抗を制御する機能を有する第2の充填剤と、
    を具備することを特徴とする注型樹脂。
  2. 前記第1の充填剤を構成する個々の粒子が、シリカであることを特徴とする請求項1に記載の注型樹脂。
  3. 前記第1の充填剤を構成する個々の粒子が、アルミナであることを特徴とする請求項1に記載の注型樹脂。
  4. 前記第2の充填剤を構成する個々の粒子が、Feからなる粒子であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の注型樹脂。
  5. 前記第2の充填剤を構成する個々の粒子が、Feからなる粒子であり、
    前記Feからなる粒子が、前記マトリックス樹脂100質量部に対して0.010〜0.50質量部配合されている、
    ことを特徴とする請求項2に記載の注型樹脂。
  6. 前記第2の充填剤を構成する個々の粒子が、ZrCからなる粒子であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の注型樹脂。
  7. 前記第2の充填剤を構成する個々の粒子が、ZrCからなる粒子であり、
    前記ZrCからなる粒子が、前記マトリックス樹脂100質量部に対して0.5〜5.0質量部配合されている、
    ことを特徴とする請求項2に記載の注型樹脂。
  8. 前記第2の充填剤を構成する個々の粒子が電子捕捉剤からなる粒子であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の注型樹脂。
  9. 前記電子捕捉剤が2,4,7−トリニトロ−9―フルオレノン(TNF)であることを特徴とする請求項8に記載の注型樹脂。
  10. 前記第2の充填剤を構成する個々の粒子が電子捕捉剤からなる粒子であり、
    前記電子捕捉剤が2,4,7−トリニトロ−9―フルオレノン(TNF)であり、
    前記電子捕捉剤が、前記マトリックス樹脂100質量部に対して0.0030〜0.05質量部配合されている、
    ことを特徴とする請求項2に記載の注型樹脂。
  11. 前記第2の充填剤を構成する個々の粒子が、金属メッキアクリル粒子からなる粒子であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の注型樹脂。
  12. 前記金属メッキアクリル粒子が、銀メッキを施したアクリルからなる粒子であることを特徴とする請求項11に記載の注型樹脂。
  13. 前記金属メッキアクリル粒子が、ニッケルメッキを施したアクリルからなる粒子であることを特徴とする請求項11に記載の注型樹脂。
  14. 前記第2の充填剤を構成する個々の粒子が、金属メッキアクリル粒子からなる粒子であり、
    前記金属メッキアクリル粒子が、前記マトリックス樹脂100質量部に対して0.040〜0.30質量部配合されていることを特徴とする請求項2に記載の注型樹脂。
  15. 前記第2の充填剤を構成する個々の粒子が結晶シリカからなる粒子であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の注型樹脂。
  16. 前記第2の充填剤を構成する個々の粒子が結晶シリカからなる粒子であり、
    前記結晶シリカからなる粒子が、前記マトリックス樹脂100質量部に対して0.5〜10質量部配合されている、
    ことを特徴とする請求項2に記載の注型樹脂。
  17. 前記樹脂は、エポキシ樹脂およびアクリル樹脂を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項16のいずれか一項に記載の注型樹脂。
  18. 前記マトリックス樹脂に、消泡剤を配合したことを特徴とする請求項1ないし請求項17のいずれか一項に記載の注型樹脂。
  19. 前記マトリックス樹脂に、分散剤を配合したことを特徴とする請求項1ないし請求項18のいずれか一項に記載の注型樹脂。
  20. 軸方向に延びた高電圧導体と、
    前記高電圧導体との間に半径方向の空隙を保ちながら前記高電圧導体を覆って、この空隙に絶縁ガスが充填される金属容器と、
    この内部に設置され請求項1ないし請求項19のいずれか一項に記載の注型樹脂を用いた注型樹脂硬化物からなる絶縁スペーサと、
    を有することを特徴とする密閉型絶縁装置。
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