JP2021161270A - 樹脂成形体、紫外線発光装置、および樹脂成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フィラーの分散性が良好な樹脂成形体を提供する。【解決手段】本発明は、無機フィラーとフッ素樹脂とを含み、前記無機フィラーは、比重が2.0以上、50%粒子径(個数基準)が1μm以上、90%アスペクト比(個数基準)が10以下であり、前記無機フィラーが均一に分散している樹脂成形体である。本発明の樹脂成形体は、前記無機フィラーの体積分率に対する、所定のサイズの複数のエリアにおいて測定される前記無機フィラーの面積の標準偏差の比が所定以下であることが好ましい。【選択図】なし
Description
本発明は樹脂成形体、紫外線発光装置、および樹脂成形体の製造方法に関する。
これまでにLED(Light Emitting Diode)等の発光素子を備えた発光装置は数多く存在しており、発光素子の酸素や水蒸気等との接触による劣化を防ぐために発光素子は樹脂により封止されていた。
例えば非特許文献1には、CF3末端を有するパーフルオロ(4−ビニルオキシ−1−ブテン)(BVE)系重合体は深紫外線に対する耐久性に優れるため、深紫外AlGaN系LEDの封止に用いることができることが記載されている。また特許文献1には、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)及びビニリデンフルオライド(VdF)を少なくとも含むフッ素ポリマー(THV)をLED素子の封止に用いることが開示されている。更に特許文献2には、フッ素樹脂と熱伝導率が1.5W/mK以上である熱伝導材とを含有する樹脂組成物は波長変換部材や封止部材等に好適に用いられることが記載されている。
Shoko Nagai et al., "Development of highly durable deep-ultraviolet AlGaN-based LED multichip array with hemispherical encapsulated structures using a selected resin through a detailed feasibility study", Japanese Journal of Applied Physics、2016年、55巻、082101
しかし、シート状の樹脂成形体が熱伝導性などの機能を有するフィラーを含有する場合、樹脂成形体内でのフィラーの分散性に偏りが生じる問題があった。また、LEDの樹脂による封止方法として、複数のLEDチップを並べたものの上に、シート状の樹脂成形体を設置し、樹脂を加熱溶融させることにより封止する手法がある。このように、複数のLEDチップをシート状の樹脂成形体にて封止する場合にも、それぞれのLEDチップの封止部でのフィラー濃度に偏りが発生するという問題があった。したがって本発明の目的は、フィラーの分散性が良好な樹脂成形体を提供することにある。また、本発明の他の目的は、フィラーの分散性が良好な樹脂成形体で封止された紫外線発光素子を備える紫外線発光装置を提供にすることにある。
上記課題を達成した本発明は以下の通りである。
[1]無機フィラーとフッ素樹脂とを含み、
前記無機フィラーは、比重が2.0以上、50%粒子径(個数基準)が1μm以上、90%アスペクト比(個数基準)が10以下であり、
前記無機フィラーが均一に分散している樹脂成形体。
[2]走査型電子顕微鏡で観察した成形体の断面において、成形体の高さ方向の長さが0.8×t(tは成形体の高さを意味する。以下、同じ)であり該高さ方向に垂直な方向の長さが1.2×tである長方形状エリアを、高さ方向に2分割し、高さ方向に垂直な方向に3分割して6個の正方形観察エリアを設定し、各観察エリアにおける前記無機フィラーの面積(μm2)を算出した時、前記無機フィラーの体積分率(%)に対する該面積の標準偏差が500μm2/%以下である[1]に記載の樹脂成形体。
[3]前記無機フィラーのモース硬度が4.0以上である[1]または[2]に記載の樹脂成形体。
[4]前記無機フィラーの表面が改質されていない[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂成形体。
[5]前記無機フィラーの含有量が1質量%以上60質量%以下である[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂成形体。
[6]前記フッ素樹脂が、フッ化ビニリデン由来の構成単位Vを含む[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂成形体。
[7]前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン由来の構成単位T及びヘキサフルオロプロピレン由来の構成単位Hから選ばれる少なくとも1種の構成単位をさらに含む[6]に記載の樹脂成形体。
[8]Feの含有量が20ppm(質量基準)以下である[1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂成形体。
[9]厚さ100μm以上5000μm以下のシート形状である[1]〜[8]のいずれかに記載の樹脂成形体。
[10]波長400nmの光線透過率が70%以上である[9]に記載の樹脂成形体。
[11]紫外線発光素子の封止に用いられるものである[1]〜[10]のいずれかに記載の樹脂成形体。
[12]紫外線発光素子を備え、
該紫外線発光素子が、[1]〜[11]のいずれかに記載の樹脂成形体により封止されていることを特徴とする紫外線発光装置。
[13]フッ素樹脂が溶媒Aに溶解した溶液と比重が2.0以上の無機フィラーとを混合して無機フィラー分散液を調製する工程、
フッ素樹脂の溶解度が前記溶媒Aよりも劣る溶媒Bを前記無機フィラー分散液に加えて該分散液をゲルにする工程、
得られたゲルから前記溶媒A及び溶媒Bを揮発除去する乾燥工程を含む樹脂成形体の製造方法。
[14]前記ゲルが気泡を包含しており、前記乾燥工程で成形体からの脱泡を行う[13]に記載の製造方法。
[1]無機フィラーとフッ素樹脂とを含み、
前記無機フィラーは、比重が2.0以上、50%粒子径(個数基準)が1μm以上、90%アスペクト比(個数基準)が10以下であり、
前記無機フィラーが均一に分散している樹脂成形体。
[2]走査型電子顕微鏡で観察した成形体の断面において、成形体の高さ方向の長さが0.8×t(tは成形体の高さを意味する。以下、同じ)であり該高さ方向に垂直な方向の長さが1.2×tである長方形状エリアを、高さ方向に2分割し、高さ方向に垂直な方向に3分割して6個の正方形観察エリアを設定し、各観察エリアにおける前記無機フィラーの面積(μm2)を算出した時、前記無機フィラーの体積分率(%)に対する該面積の標準偏差が500μm2/%以下である[1]に記載の樹脂成形体。
[3]前記無機フィラーのモース硬度が4.0以上である[1]または[2]に記載の樹脂成形体。
[4]前記無機フィラーの表面が改質されていない[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂成形体。
[5]前記無機フィラーの含有量が1質量%以上60質量%以下である[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂成形体。
[6]前記フッ素樹脂が、フッ化ビニリデン由来の構成単位Vを含む[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂成形体。
[7]前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン由来の構成単位T及びヘキサフルオロプロピレン由来の構成単位Hから選ばれる少なくとも1種の構成単位をさらに含む[6]に記載の樹脂成形体。
[8]Feの含有量が20ppm(質量基準)以下である[1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂成形体。
[9]厚さ100μm以上5000μm以下のシート形状である[1]〜[8]のいずれかに記載の樹脂成形体。
[10]波長400nmの光線透過率が70%以上である[9]に記載の樹脂成形体。
[11]紫外線発光素子の封止に用いられるものである[1]〜[10]のいずれかに記載の樹脂成形体。
[12]紫外線発光素子を備え、
該紫外線発光素子が、[1]〜[11]のいずれかに記載の樹脂成形体により封止されていることを特徴とする紫外線発光装置。
[13]フッ素樹脂が溶媒Aに溶解した溶液と比重が2.0以上の無機フィラーとを混合して無機フィラー分散液を調製する工程、
フッ素樹脂の溶解度が前記溶媒Aよりも劣る溶媒Bを前記無機フィラー分散液に加えて該分散液をゲルにする工程、
得られたゲルから前記溶媒A及び溶媒Bを揮発除去する乾燥工程を含む樹脂成形体の製造方法。
[14]前記ゲルが気泡を包含しており、前記乾燥工程で成形体からの脱泡を行う[13]に記載の製造方法。
本発明のフッ素樹脂成形体は、無機フィラーが均一に分散しているため、得られるLEDの封止部の性能均一性に優れる。
本発明の樹脂成形体は、無機フィラーとフッ素樹脂とを含み、前記無機フィラーは、比重が2.0以上、50%粒子径(個数基準)が1μm以上、90%アスペクト比(個数基準)が10以下であり、前記無機フィラーが均一に分散している。前記無機フィラーは比重が2.0以上であって大きいため、フッ素樹脂と混合すると沈みやすい傾向があるが、本発明では後述する製造方法を採用しており、無機フィラーをフッ素樹脂中に均一に分散させることができる。
無機フィラーの分散度合いは、例えば以下の方法で評価できる。すなわち、走査型電子顕微鏡で観察した成形体の断面において、成形体の高さ方向の長さが0.8×t(tは成形体の高さを意味する。以下、同じ)であり該高さ方向に垂直な方向の長さが1.2×tである長方形状エリアを、高さ方向に2分割し、高さ方向に垂直な方向に3分割して6個の正方形観察エリアを設定し、各観察エリアにおける前記無機フィラーの面積Ai(i=1以上6以下の整数)(μm2)をそれぞれ求め、該面積Aiの標準偏差σを求め、フィラーの体積割合(%)で割ることで評価できる。体積割合に対する該標準偏差の比は500μm2/%以下であることが好ましく、より好ましくは400μm2/%以下であり、更に好ましくは300μm2/%以下であり、また25μm2/%以上であってもよい。
前記無機フィラーの比重は、2.2以上であってもよく、2.5以上であってもよく、2.9以上であってもよい。また、前記無機フィラーの比重は、9以下であることが好ましく、このようにすることで前記無機フィラーの分散性を確保しやすくなる。
前記無機フィラーの50%粒子径(個数基準)は、上述の通り、1μm以上であり、前記粒子径を1μm以上とすることにより樹脂と無機フィラー間での光の散乱を抑えることができ、無機フィラー含有樹脂成形体の透明性が優れる。前記粒子径は、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは5μm以上である。また、前記無機フィラーの50%粒子径(体積基準)は、300μm以下であることが好ましい。前記粒子径が300μm以下であることによりフッ素樹脂シートの温度上昇に伴う変色を低減することができる。前記粒子径は、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは150μm以下、更により好ましくは100μm以下である。なお、フィラーの50%粒子径(個数基準)とは、粒子画像解析による個数累積頻度50%の粒径D50を意味する。
更に、前記無機フィラーの90%アスペクト比(長径/短径)は、上述の通り、10以下であり、該90%アスペクト比が10以下であることで、樹脂と無機フィラー間での光の散乱を抑えることができ、無機フィラー含有樹脂成形体の光線透過率を向上できる。前記無機フィラーの90%アスペクト比は、好ましくは8以下であり、より好ましくは7以下であり、また1以上である。なお、前記無機フィラーの90%アスペクト比は、粒子画像解析による個数累積頻度90%のアスペクト比を意味する。
また、前記無機フィラーのモース硬度は4.0以上であってもよく、好ましくは4.5以上であり、該モース硬度を前記範囲とすることで、樹脂成型体の強度を向上できる。前記モース硬度は、例えば9.0以下であることが好ましい。また前記無機フィラーは表面改質されていないことが好ましい。前記無機フィラーは表面改質がされていなくとも、後述の製造方法を採用することにより良好な分散性を実現することができ、表面改質されていないことで、表面改質剤による透明性の低下を防ぐことができるという利点も得られる。
前記無機フィラーとしては、金属、金属フッ化物、金属酸化物、金属リン酸塩、金属炭酸塩、金属スルホン酸塩、金属硝酸塩、金属窒化物、窒化ホウ素等が挙げられる。無機フィラーは、1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。無機フィラーにより、フッ素樹脂の熱分解を防止し易くすることができる。前記無機フィラーは、透明性の観点から金属フッ化物であることが好ましく、金属フッ化物としては、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化マグネシウム、氷晶石等が挙げられる。このうちフッ化マグネシウムが好ましい。無機フィラーは、多結晶体であっても単結晶体であってもよいが、粒界での光の散乱を少なくすることにより樹脂成形体の光透過性を向上しやすくする観点、又は樹脂成形体における無機フィラーの凝集を抑制し、樹脂成形体の光透過性を向上しやすくする観点からは、粒子中に含まれる粒界が少ない方が好ましく単結晶体を用いることが特に好ましい。無機フィラーが単結晶体かどうかの確認は、例えば電子顕微鏡で電子線回折パターンを確認することで判断することができる。
前記樹脂成形体100質量%中、前記無機フィラーの含有量は1質量%以上60質量%以下であることが好ましい。前記無機フィラーの含有量が1質量%以上であることにより、フッ素樹脂の熱分解を防止し易くすることができる。前記無機フィラーの含有量は、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、更により好ましくは13質量%以上、特に好ましくは15質量%以上である。一方、前記無機フィラーの含有量が60質量%以下であることにより、フッ素樹脂の密着性が発揮され易くなる。そのため前記無機フィラーの含有量は、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。なお、前記樹脂成形体中の前記無機フィラーの体積割合は、例えば15体積%以上25体積%以下であることが好ましい。
また、本明細書で「フッ素樹脂」とは、フッ素を含むオレフィンの重合体又はその変性物を意味し、上記変性物には、例えば、主鎖末端に−OHや−COOHなどの極性基が結合するものが含まれる。フッ素樹脂としては、−SO3H基などの極性基を側鎖に有さないフッ素樹脂が電子部品の性能維持の観点から好ましく、例えば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、クロロトリフルオロエチレン重合体(PCTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体(THV)などの結晶性フッ素樹脂;テフロンAF(登録商標;三井・ケマーズフロロプロダクツ社製)、サイトップ(登録商標;AGC社製)などの非晶質フッ素樹脂などが挙げられ、これらフッ素樹脂は、1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記フッ素樹脂としては、フッ化ビニリデン由来の構成単位Vを含むフッ素樹脂(結晶性フッ素樹脂)が好ましく、前記構成単位Vに加えて更にテトラフルオロエチレン由来の構成単位T及びヘキサフルオロプロピレン由来の構成単位Hから選ばれる少なくとも1種の構成単位を含むフッ素樹脂(結晶性フッ素樹脂)がより好ましく、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体(THV)がよりさらに好ましい。結晶性フッ素樹脂、特にテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体(THV樹脂)は、基材や電子素子に対する密着性が優れている。
更に構成単位T、構成単位H、及び構成単位Vの合計に対する構成単位Tのモル比(T)が0.25以上であり、構成単位T、構成単位H、及び構成単位Vの合計に対する構成単位Vのモル比(V)が0.60以下である樹脂がより好ましい。これにより紫外線発光素子の発熱に対する耐熱性、および紫外線発光装置の基板等に対する密着性を向上することができる。
構成単位T、構成単位H、及び構成単位Vの合計に対する構成単位Tのモル比(T)は0.25以上であることが好ましい。これにより密着性が向上する傾向となる。そのため構成単位Tのモル比(T)の下限は、より好ましくは0.28以上、更に好ましくは0.30以上である。一方、構成単位Tのモル比(T)の上限は、透明性の観点から好ましくは0.75以下、より好ましくは0.60以下、更に好ましくは0.50以下である。
構成単位T、構成単位H、及び構成単位Vの合計に対する構成単位Vのモル比(V)は0.60以下であることが好ましい。これにより密着性が向上する傾向となる。そのため構成単位Vのモル比(V)の上限は、好ましくは0.58以下、より好ましくは0.56以下である。一方、構成単位Vのモル比(V)の下限は、好ましくは0.20以上であることが好ましい。これにより、有機溶媒に対する溶解性が向上するため、紫外線発光素子を封止するに当たって樹脂組成物の塗布回数を低減することができる。そのため構成単位Vのモル比(V)の下限は、より好ましくは0.30以上、更に好ましくは0.40以上、更により好ましくは0.50以上である。
構成単位T、構成単位H、及び構成単位Vの合計に対する構成単位Hのモル比(H)は0.05以上、0.50以下であることが好ましい。構成単位Hのモル比(H)の下限は溶解性の観点から、より好ましくは0.07以上、更に好ましくは0.09以上である。一方、構成単位Hのモル比(H)の上限は、耐熱性の観点からより好ましくは0.40以下、更に好ましくは0.30以下、更により好ましくは0.20以下である。
モル比(V)のモル比(T)に対する比(モル比(V)/モル比(T))は、0.20以上、3.50以下であることが好ましい。モル比(V)/モル比(T)を上記範囲に制御することによって、密着性が向上する傾向となる。また、高温加熱時の樹脂の着色を防止できる。モル比(V)/モル比(T)の下限は、より好ましくは0.50以上、更に好ましくは1.00以上、更により好ましくは1.30以上である。一方、モル比(V)/モル比(T)の上限は、より好ましくは3.00以下、更に好ましくは2.50以下、更により好ましくは2.00以下である。
モル比(H)のモル比(T)に対する比(モル比(H)/モル比(T))は、0.10以上、0.80以下であることが好ましい。モル比(H)/モル比(T)を上記範囲に制御することにより、密着性が向上する傾向となる。モル比(H)/モル比(T)の下限は、より好ましくは0.20以上、更に好ましくは0.24以上、更により好ましくは0.28以上である。一方、モル比(H)/モル比(T)の上限は、より好ましくは0.60以下、更に好ましくは0.50以下、更により好ましくは0.40以下である。
フッ素樹脂の各構成単位のモル比は、後記する実施例に記載のNMR測定により求めることができる。モル比の算出に当たっては、例えばEric B. Twum et al., “Multidimensional 19F NMR Analyses of Terpolymers from VinylideneFluoride (VDF)-Hexafluoropropylene(HFP)-Tetrafluoroethylene (TFE)”, Macromolecules、2015年, 48巻, 11号, p.3563-3576を参照することができる。
上記THV樹脂は、構成単位T、構成単位H、及び構成単位V以外の他の構成単位を含む樹脂であってもよい。他の構成単位としては、例えばエチレン由来の構成単位、パーフルオロアルキルビニルエーテル由来の構成単位、クロロトリフルオロエチレン由来の構成単位等が挙げられる。
上記THV樹脂の全構成単位に対する構成単位T、構成単位H、及び構成単位Vの合計モル比は、好ましくは0.70以上、より好ましくは0.80以上、更に好ましくは0.90以上、特に好ましくは0.95以上、最も好ましくは1である。即ち変性されていないTHV樹脂であることが最も好ましい。これにより耐熱変形性を向上し易くすることができる。
上記フッ素樹脂(好ましくは上記THV樹脂)の重量平均分子量は50,000以上、1,000,000以下であることが好ましい。重量平均分子量を50,000以上とすることにより融解時の粘度を高くすることができるため、LED点灯時の封止樹脂の形状変化を抑制することができる。上記フッ素樹脂(好ましくは上記THV樹脂)の重量平均分子量の下限は、より好ましくは100,000以上、更に好ましくは200,000以上、更により好ましくは250,000以上、特に好ましくは300,000以上である。一方、上記フッ素樹脂(好ましくは上記THV樹脂)の重量平均分子量を1,000,000以下とすることにより溶解性が良くなる。上記フッ素樹脂(好ましくは上記THV樹脂)の重量平均分子量の上限は、より好ましくは800,000以下、更に好ましくは500,000以下、更により好ましくは450,000以下、特に好ましくは400,000以下である。なお、重量平均分子量は標準ポリスチレン換算値である。
上記フッ素樹脂が共重合体である場合、該共重合体は、ランダム共重合体、またはブロック共重合体のいずれであってもよいが、ランダム共重合体であることが好ましい。特にTHV樹脂をランダム共重合体樹脂にすることにより、構成単位Tや構成単位Vの結晶化度を抑制することができ、透明性を確保しやすい。
上記フッ素樹脂の波長589nmでの屈折率は、好ましくは1.34超、より好ましくは1.35以上、更に好ましくは1.36以上である。これにより、後述する発光素子(好ましくは紫外線発光素子)と封止部の屈折率の差を小さくすることができ、発光素子と封止部との界面における全反射を低減して、光取出し効率を向上させることができる。なお光取出し効率とは、発光素子で発生した光が発光素子の外部に取り出される効率のことである。一方、フッ素樹脂の屈折率の上限は、例えば1.45以下、好ましくは1.40以下であってもよい。屈折率は、カタログ値や一般的な物性表に記載の数値を使用しても良いし、アッベ屈折率計、エリプソメーターなどにより測定することができる。
本発明のフッ素樹脂と無機フィラーとの屈折率の差は、0.05以下であることが好ましい。このように屈折率の差を低減することにより、無機フィラーの表面(樹脂成形体中における、無機フィラーの表面とフッ素樹脂との界面)での光の散乱を抑制できるため、光線透過率を向上することができる。本発明のフッ素樹脂と無機フィラーとの屈折率(いずれも波長589nmでの値)の差は、より好ましくは0.04以下、更に好ましくは0.03以下である。一方、本発明のフッ素樹脂と無機フィラーとの屈折率の差の下限は特に限定されないが例えば0.001以上であってもよい。具体的には、無機フィラーの屈折率が1.40以下であると、フッ素樹脂と無機フィラーを含む樹脂成形体の光線透過率が向上しやすく、例えば波長400nmの光線透過率を70%以上にすることができる。本発明の無機フィラーの屈折率は、カタログ値や一般的な物性表に記載の数値を使用しても良いし、アッベ屈折率計、エリプソメーターなど後記する実施例に記載の方法により測定することができる。
前記フッ素樹脂は、加熱変形温度が90℃以上、278℃以下であることが好ましい。加熱変形温度が90℃以上であることにより、電子素子の発熱による封止部材の溶融を防止できる。フッ素樹脂の加熱変形温度の下限は、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは110℃以上、更により好ましくは115℃以上である。一方、一般的なハンダ材であるAu−Sn(20質量%)の融点が278℃であることから、樹脂の加熱変形温度が278℃以下であることにより、フッ素樹脂の加熱溶融による電子素子の封止を容易にできる。また加熱溶融で封止するときの後述のバンプの溶融を防止できる。フッ素樹脂の加熱変形温度の上限は、より好ましくは200℃以下、更に好ましくは170℃以下、更により好ましくは150℃以下、特に好ましくは130℃以下である。ここで、加熱変形温度とは、結晶性樹脂の場合には融点であり、非晶性樹脂の場合にはガラス転移点である。加熱溶融による電子素子の封止では、結晶性樹脂の割合が50質量%以上である樹脂シートの場合は融点以上、非晶性樹脂の割合が50質量%よりも多い樹脂シートの場合には、ガラス転移点以上に樹脂シートを加熱することが好ましい。フッ素樹脂の融点又はガラス転移点は、示差走査熱量計(DSC、株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、昇温速度10℃/分で−50℃から200℃の温度まで変化させ、これにより得られるDSC曲線(融点の場合は融解曲線)から中間ガラス温度又は融解ピーク温度(Tm)を測定することにより求めることができる。例えば、結晶性樹脂である3M社製の「THV500GZ」の加熱変形温度(融点)は165℃程度、3M社製の「THV221AZ」の加熱変形温度(融点)は115℃程度であり、非晶性樹脂であるAGC社製の「サイトップ(登録商標)」の加熱変形温度(ガラス転移点温度)は108℃程度である。また、本発明で好適に用いられる結晶性フッ素樹脂は、室温で固体であり、封止後の表面にタック性が無く、硬度も十分であり、さらには加熱変形温度(融点)以上への加熱により適度な流動性を発現できることから、電子素子の封止への適用は非常に有効である。
前記樹脂成形体100質量%中、前記フッ素樹脂の量は40質量%以上、99質量%以下であることが好ましい。前記フッ素樹脂の量が40質量%以上であることにより、前記フッ素樹脂の密着性が発揮され易くなる。そのため前記フッ素樹脂の量の下限は、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは55質量%以上である。一方、前記フッ素樹脂の量が99質量%以下であることにより、前記無機フィラーの熱伝導性が発揮され易くなる。そのため前記フッ素樹脂の量の上限は、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である。
前記樹脂成形体は、前記フッ素樹脂、前記無機フィラーの他に添加剤等を含有していてもよい。
前記樹脂成形体100質量%中、前記フッ素樹脂と前記無機フィラーの合計含有量は90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、97質量%以上であることが更により好ましく、99質量%以上であることが特に好ましい。これにより、前記フッ素樹脂の密着性と前記無機フィラーの熱伝導性が発揮され易くなる。
前記樹脂成形体の厚さは100μm以上であることが好ましい。前記樹脂成形体の厚さが100μm以上であることにより、電子素子を封止し易くすることができる。より好ましくは500μm以上、更に好ましくは900μm以上、更により好ましくは1200μm以上である。一方、前記樹脂成形体の厚さの上限は、特に限定されないが、5000μm以下であってもよく、2000μm以下であってもよい。前記樹脂成形体は、前記範囲の厚さのシート形状であることが好ましい。
前記樹脂成形体は、Feの含有量が質量基準で20ppmであることが好ましい。特に前記した電子素子の封止に用いられる場合、金属配線の短絡等の不具合の発生を抑制する観点から、Feの含有量は低減されていることが好ましい。Feの含有量は、好ましくは10ppm以下であることが好ましい。
前記樹脂成形体は、上述の通り、前記無機フィラーが均一に分散しているため、光線透過率が高く、例えば前記樹脂成形体が厚さ100μm以上5000μm以下のシート形状であることが好ましく、特に前記範囲の厚さであって無機フィラーの屈折率が1.40以下である場合、波長400nmの光線透過率を70%以上にすることができ、好ましくは80%以上であり、また通常95%以下である。
前記樹脂成形体は、電子素子の封止に用いられるものであることが好ましく、発光素子の封止に用いられるものであることがより好ましく、紫外線発光素子の封止に用いられるものであることが更に好ましい。前記樹脂成形体は、特に紫外線に対する耐久性に優れ、かつ密着性、耐熱性にも優れているため、特に紫外線発光素子の封止に好適に用いることができる。
前記無機フィラーが均一に分散した前記樹脂成形体は、以下の方法で製造することができる。該製造方法とはすなわち、(a)フッ素樹脂が溶媒Aに溶解した溶液と比重が2.0以上の無機フィラーとを混合して無機フィラー分散液を調製する工程、(b)フッ素樹脂の溶解度が前記溶媒Aよりも劣る溶媒Bを前記無機フィラー分散液に加えて該分散液をゲルにする工程、(c)得られたゲルから前記溶媒A及び溶媒Bを揮発除去する乾燥工程を含む樹脂成形体の製造方法である。
(a)無機フィラー分散液の調製工程
前記フッ素樹脂が前記溶媒Aに溶解した溶液を用意するためには、例えば撹拌している前記溶媒Aに、前記フッ素樹脂を添加すればよく、フッ素樹脂を溶解又は分散する溶媒Aとして有機溶媒が挙げられる。有機溶媒として、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、グリコールエーテルに酢酸基を付加したグリコールエステル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ブチルエーテル、グリコールエーテル、テロラヒドロフラン等のエーテル類系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジブチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;N−メチル−2−ピロリドンなどのラクタム系溶媒;等が挙げられる。このうちエステル系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒が好ましく、エステル系溶媒がより好ましい。これら有機溶媒は1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記フッ素樹脂が前記溶媒Aに溶解した溶液を用意するためには、例えば撹拌している前記溶媒Aに、前記フッ素樹脂を添加すればよく、フッ素樹脂を溶解又は分散する溶媒Aとして有機溶媒が挙げられる。有機溶媒として、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、グリコールエーテルに酢酸基を付加したグリコールエステル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ブチルエーテル、グリコールエーテル、テロラヒドロフラン等のエーテル類系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジブチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;N−メチル−2−ピロリドンなどのラクタム系溶媒;等が挙げられる。このうちエステル系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒が好ましく、エステル系溶媒がより好ましい。これら有機溶媒は1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記フッ素樹脂が前記溶媒Aに溶解した溶液中の前記フッ素樹脂の濃度は、例えば10質量%以上30質量%以下とすればよい。
また、前記フッ素樹脂が前記溶媒Aに溶解した溶液と無機フィラーの混合手順は特に限定されないが、例えばフッ素樹脂が溶媒Aに溶解した溶液に無機フィラーを添加し、回転数1000以上3000rpm以下で合計5分以上15分以下程度攪拌することが好ましい。前記無機フィラーの量は、前記フッ素樹脂100質量部に対して、例えば1質量部以上であり、より好ましくは11質量部以上、更に好ましくは15質量部以上、一層好ましくは18質量部以上であり、また150質量部以下が好ましく、より好ましくは82質量部以下であり、更に好ましくは43質量部以下である。
(b)前記無機フィラー分散液のゲル化工程
当該ゲル化工程では、フッ素樹脂の溶解度が前記溶媒Aよりも劣る溶媒Bを前記無機フィラー分散液に加えて該分散液をゲルにする。溶媒Bとしては、例えばエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロピルアルコール)、1−ブタノール等のアルコール系溶媒を用いることができる。前記溶媒Bは、回転数300rpm以上、好ましくは400rpm以上(通常800rpm以下)で強攪拌している前記無機フィラー分散液に、一気に添加することが好ましく、添加速度は例えば30g/秒以上、好ましくは40g/秒以上(通常250g/秒以下)とすることが好ましい。この様に、強攪拌した前記無機フィラー分散液に、前記溶媒Bを一気に添加することで、前記無機フィラーが均一に分散したまま、前記フッ素樹脂がゲル化して析出する。また、攪拌体の先端速度は、例えば0.4m/秒以上であり、0.5m/秒以上が好ましい。また、容器の直径Dに対する攪拌体の直径d(d/D)は、例えば0.4以上であり、好ましくは0.6以上である。また、溶媒Bの量は、溶媒A100質量部に対して、例えば150質量部以上350質量部以下であり、好ましくは200質量部以上300質量部以下である。
当該ゲル化工程では、フッ素樹脂の溶解度が前記溶媒Aよりも劣る溶媒Bを前記無機フィラー分散液に加えて該分散液をゲルにする。溶媒Bとしては、例えばエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロピルアルコール)、1−ブタノール等のアルコール系溶媒を用いることができる。前記溶媒Bは、回転数300rpm以上、好ましくは400rpm以上(通常800rpm以下)で強攪拌している前記無機フィラー分散液に、一気に添加することが好ましく、添加速度は例えば30g/秒以上、好ましくは40g/秒以上(通常250g/秒以下)とすることが好ましい。この様に、強攪拌した前記無機フィラー分散液に、前記溶媒Bを一気に添加することで、前記無機フィラーが均一に分散したまま、前記フッ素樹脂がゲル化して析出する。また、攪拌体の先端速度は、例えば0.4m/秒以上であり、0.5m/秒以上が好ましい。また、容器の直径Dに対する攪拌体の直径d(d/D)は、例えば0.4以上であり、好ましくは0.6以上である。また、溶媒Bの量は、溶媒A100質量部に対して、例えば150質量部以上350質量部以下であり、好ましくは200質量部以上300質量部以下である。
ここで、攪拌体(攪拌翼やスターラー)の回転数(Xrpm)及び攪拌体の直径(dmm)から、次の式により算出される。
V[m/秒]=(X[rpm]/60)×(d[mm]/1000)×π
V[m/秒]=(X[rpm]/60)×(d[mm]/1000)×π
(c)前記溶媒A及び溶媒Bを揮発除去する乾燥工程
前記溶媒A及び溶媒Bを揮発除去するためには、合計15時間以上30時間以下程度乾燥させればよく、乾燥の条件は、常温下であってもよいし、常温より高い温度に加熱してもよいし(通常250℃以下程度)、また常圧下であってもよいし、真空下であってもよいし、これらの条件を適宜組み合わせることができる。ただし、溶媒を多量に含んだ状態で温度を上げた場合、粘度が低下し、フィラーが沈降する場合があるため、溶媒の濃度が十分に低下するまでは50℃以下に保つことが望ましい。50℃以下に保つことが望ましい溶媒濃度は、例えば5質量%以下であり、好ましくは3質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下であり、0質量%以上であってもよいし、0.2質量%以上であってもよい。また、前記した工程(b)での強攪拌及び一気添加により、ゲル化した前記フッ素樹脂は、溶媒A及び溶媒Bの少なくとも一方を巻き込んでいると共に、通常、気泡を巻き込んでいる。前記樹脂成形体が前記気泡を含んでいる場合、当該乾燥工程で脱泡を行うことが好ましく、脱泡を効率的に行う観点からは、当該乾燥工程の一段階目として、常温での乾燥を10時間以上20時間以下行うことも好ましい。
前記溶媒A及び溶媒Bを揮発除去するためには、合計15時間以上30時間以下程度乾燥させればよく、乾燥の条件は、常温下であってもよいし、常温より高い温度に加熱してもよいし(通常250℃以下程度)、また常圧下であってもよいし、真空下であってもよいし、これらの条件を適宜組み合わせることができる。ただし、溶媒を多量に含んだ状態で温度を上げた場合、粘度が低下し、フィラーが沈降する場合があるため、溶媒の濃度が十分に低下するまでは50℃以下に保つことが望ましい。50℃以下に保つことが望ましい溶媒濃度は、例えば5質量%以下であり、好ましくは3質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下であり、0質量%以上であってもよいし、0.2質量%以上であってもよい。また、前記した工程(b)での強攪拌及び一気添加により、ゲル化した前記フッ素樹脂は、溶媒A及び溶媒Bの少なくとも一方を巻き込んでいると共に、通常、気泡を巻き込んでいる。前記樹脂成形体が前記気泡を含んでいる場合、当該乾燥工程で脱泡を行うことが好ましく、脱泡を効率的に行う観点からは、当該乾燥工程の一段階目として、常温での乾燥を10時間以上20時間以下行うことも好ましい。
前記工程(a)〜(c)を経て得られた無機フィラー含有フッ素樹脂は、圧縮成形、射出成形、押出成形、キャスティング、粉末成形等により、シート形状等の所望の形状に成形することができる。
また、本発明には、紫外線発光素子を備え、該紫外線発光素子が、前記樹脂成形体により封止されていることを特徴とする紫外線発光装置も含まれる。このような紫外線発光装置は、紫外線発光素子の上面を覆うように、前記樹脂成形体(好ましくはシート形状)を配置し、この樹脂成形体を溶融して前記紫外線発光素子を封止することによって製造可能である。
以下では、本発明の樹脂成形体により封止された紫外線発光装置の一例について、側面図である図1、2を参照しながら、より詳細に説明する。なお図1、2では、後述する配線やバンプの図示は省略している。図1に示すように、平板の基板3上に設けられている紫外線発光素子2上に本発明の樹脂成形体1を配置して加熱溶融して、冷却することにより図2に示すような紫外線発光素子2を封止する固化物10を形成し、紫外線発光装置20を製造することができる。当該加熱温度は、フッ素樹脂の融点以上であり、融点+10℃以上が好ましく、融点+20℃以上がより好ましい。加熱温度の上限は、例えば、270℃であり、より好ましくは230℃である。加熱時間は好ましくは2時間以上、4時間以下である。なお、基板3は、図2に示すように複数の紫外線発光素子2を封止してから、切り欠け線3aで複数のブロックに切断して用いることができる。
紫外線発光素子としては、図3のフリップチップタイプの紫外線発光素子37が挙げられる。紫外線発光素子37は、下側面の一部にアノード側のp電極30を備え、該p電極30の上にp層32が形成されている。更に紫外線発光素子37の下側面の別の一部に、カソード側のn電極31を備え、n電極31の上にn層34が形成されている。これらn電極31とn層34は、上記p電極30とp層32よりも上方にシフトして形成されており、上方に存在するn層34と下方に存在するp層32との間に活性層33が形成されている。更に上方に存在するn層34のさらに上に基材35が存在する。
n層34は、例えばSi含有AlGaN層が挙げられる。p層32は、例えばMg含有GaN層が挙げられる。このp層32は、必要に応じて電子ブロック層などと積層構造にしてもよい。活性層33は、例えばAlGaN層が挙げられる。p電極30、p層32からn層34、n電極31に向けて順方向電流を流すことにより活性層33におけるバンドギャップエネルギに応じた発光が生じる。バンドギャップエネルギは、活性層33の例えばAlNモル分率を調整することにより、GaNとAlNが取り得るバンドギャップエネルギ(約3.4eVと約6.2eV)の範囲内で制御することができ、発光波長が約200nmから約365nmまでの紫外線発光を得ることができる。
紫外線発光素子37の発光ピーク波長は300nm以下であることが好ましい。発光ピーク波長が300nm以下であることにより殺菌効果が発揮され易くなるため、殺菌用の発光装置に紫外線発光素子37を用いることができる。発光ピーク波長は、より好ましくは280nm以下である。
なお基材35として、サファイア基板、窒化アルミニウム基板等が挙げられる。p電極30の素材としてNi/Au、n電極31の素材として、Ti/Al/Ti/Au等が挙げられる。また図示していないがp電極30とn電極31の間の露出面は、短絡を防止するためにSiO2等の保護絶縁膜により被覆されていても良い。
基板は、図2に示すように平らな基板3であってもよいし、図4に示すような側壁39aを備える基板39であってもよい。
図4に示す基板39上には配線(図示せず)が形成され、該配線上には、Au、Au−Sn(20質量%)合金等の金属製のバンプ36が形成されている。そしてバンプ36を介して、配線(図示せず)と紫外線発光素子37のp電極30、n電極31とがそれぞれ電気接続できるように固定されている。図4に示す態様では、本発明の樹脂成形体を加熱溶融して冷却することにより得られる固化物11で封止されて紫外線発光装置21が形成されている。
その他に、紫外線発光素子等が固化物により封止され、かつその表面に、シリカガラス、ホウケイ酸ガラス等で形成された集光レンズが設けられて、紫外線発光装置が形成されていてもよい。集光レンズによって光取出し効率を向上することができるが、該集光レンズは必ずしも設ける必要はない。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
以下の実施例で用いる無機フィラーは、ピアーオプティックス社製のMgF2粉末(品番:MFGR3−6を粉砕し、60メッシュの篩を通過したもの、D50=218μm、モース硬度:約5.5、波長589nmでの屈折率1.38)を、以下の条件にてボールミルで粉砕することにより粒度を調節したものである。
<粉砕条件>
粉砕装置:ボールミルANZ−51S(日陶科学製)
容器:250mlアイボーイ(アズワン社製 品番5−002−03)
メディア:400g ジルコニアボール 10mmφ(アズワン社製 品番:5−4060−14)
MgF2粉末:(1)100g、(2)60g
溶媒:イソプロピルアルコール(IPA、ナカライテクス社製) 100g
回転数:58rpm
粉砕時間:(1)4時間、(2)24時間
<粉砕条件>
粉砕装置:ボールミルANZ−51S(日陶科学製)
容器:250mlアイボーイ(アズワン社製 品番5−002−03)
メディア:400g ジルコニアボール 10mmφ(アズワン社製 品番:5−4060−14)
MgF2粉末:(1)100g、(2)60g
溶媒:イソプロピルアルコール(IPA、ナカライテクス社製) 100g
回転数:58rpm
粉砕時間:(1)4時間、(2)24時間
MgF2粉末量及び粉砕時間を、いずれも上記(1)の条件として得られたMgF2粉末を、MgF2粉末(1)と表し、MgF2粉末量及び粉砕時間を、いずれも上記(2)の条件として得られたMgF2粉末を、MgF2粉末(2)と表す。
<樹脂溶液(THV221溶液)の作製>
ウォーターバスに置いたセパラブルフラスコに、酢酸ブチル(富士フイルム和光純薬社製)160gを測り入れ、攪拌しながら、ウォーターバスを85℃まで昇温した。攪拌しながら、THV221AZ(3M社製、エリプソメーターで測定した波長589nmの光に対する屈折率:1.36、融点:115℃、重量平均分子量:384,000)を少しずつ40g加えて溶解させ、樹脂溶液を作製した。得られた溶液を120℃、3時間加熱し、残分から固形分濃度を求めたところ19.5質量%であった。
ウォーターバスに置いたセパラブルフラスコに、酢酸ブチル(富士フイルム和光純薬社製)160gを測り入れ、攪拌しながら、ウォーターバスを85℃まで昇温した。攪拌しながら、THV221AZ(3M社製、エリプソメーターで測定した波長589nmの光に対する屈折率:1.36、融点:115℃、重量平均分子量:384,000)を少しずつ40g加えて溶解させ、樹脂溶液を作製した。得られた溶液を120℃、3時間加熱し、残分から固形分濃度を求めたところ19.5質量%であった。
[NMR測定]
フッ素樹脂である前記THV221AZ粉末(以下ではTHV221AZと呼ぶ)について、下記条件で構成単位T、構成単位H、構成単位Vの各モル比を求めた。その結果、構成単位Tのモル比は0.35、構成単位Hのモル比は0.11、構成単位Vのモル比は0.54であった。
測定装置:JEOL ECZ−400
試料:約60mg/0.8ml ACT−d6
IS:4−クロロベンゾドリフルオリド 0.01mL
測定モード:1H、19F
緩和時間:1H 30秒、19F 20秒
構成単位Hのユニット数:CF3の積分比を3で除して算出(CF3積分比/3)
構成単位Vのユニット数:CH2の積分比を2で除して算出(CH2積分比/2)
構成単位Tのユニット数:CF2の合計積分比より、構成単位H由来のCF2と構成単位V由来のCF2を差し引いたものを4で除して算出(CF2合計積分比−構成単位Vのユニット数×2−構成単位Hのユニット数×2)/4
フッ素樹脂である前記THV221AZ粉末(以下ではTHV221AZと呼ぶ)について、下記条件で構成単位T、構成単位H、構成単位Vの各モル比を求めた。その結果、構成単位Tのモル比は0.35、構成単位Hのモル比は0.11、構成単位Vのモル比は0.54であった。
測定装置:JEOL ECZ−400
試料:約60mg/0.8ml ACT−d6
IS:4−クロロベンゾドリフルオリド 0.01mL
測定モード:1H、19F
緩和時間:1H 30秒、19F 20秒
構成単位Hのユニット数:CF3の積分比を3で除して算出(CF3積分比/3)
構成単位Vのユニット数:CH2の積分比を2で除して算出(CH2積分比/2)
構成単位Tのユニット数:CF2の合計積分比より、構成単位H由来のCF2と構成単位V由来のCF2を差し引いたものを4で除して算出(CF2合計積分比−構成単位Vのユニット数×2−構成単位Hのユニット数×2)/4
[重量平均分子量測定]
装置名 :東ソー社製 HLC−8120
カラム :TSKguardcolumnHXL−L+TSKgel MultiporeHXL−M×3
流量 :1.0mL/min
検出条件 :RI(ポラリティー−)
濃度 :25mg+5mL(THF)
注入量 :200μL
カラム温度:40℃
溶離液 :THF
なお、重量平均分子量は標準ポリスチレン換算値として算出した。
装置名 :東ソー社製 HLC−8120
カラム :TSKguardcolumnHXL−L+TSKgel MultiporeHXL−M×3
流量 :1.0mL/min
検出条件 :RI(ポラリティー−)
濃度 :25mg+5mL(THF)
注入量 :200μL
カラム温度:40℃
溶離液 :THF
なお、重量平均分子量は標準ポリスチレン換算値として算出した。
<無機フィラーの面積の測定>
下記実施例及び比較例で得られた、無機フィラー含有フッ素樹脂シートを−60℃で冷却しながらマイクロミクロトームで断面出しを行い、断面をレーザー顕微鏡で観察し(倍率10倍)、得られた画像を2値化し、成形体の高さ方向の長さが0.8×t(tは成形体の高さを意味する。以下、同じ)であり該高さ方向に垂直な方向の長さが1.2×tである長方形状エリアを、高さ方向に2分割し、高さ方向に垂直な方向に3分割して6個の正方形観察エリアを設定した。下記実施例及び比較例で得られたシートの測定では、正方形観察エリアの一辺の長さは約380μmとした。6個の正方形観察エリアそれぞれについて、無機フィラーの面積を求め、該面積の標準偏差を求めた。
下記実施例及び比較例で得られた、無機フィラー含有フッ素樹脂シートを−60℃で冷却しながらマイクロミクロトームで断面出しを行い、断面をレーザー顕微鏡で観察し(倍率10倍)、得られた画像を2値化し、成形体の高さ方向の長さが0.8×t(tは成形体の高さを意味する。以下、同じ)であり該高さ方向に垂直な方向の長さが1.2×tである長方形状エリアを、高さ方向に2分割し、高さ方向に垂直な方向に3分割して6個の正方形観察エリアを設定した。下記実施例及び比較例で得られたシートの測定では、正方形観察エリアの一辺の長さは約380μmとした。6個の正方形観察エリアそれぞれについて、無機フィラーの面積を求め、該面積の標準偏差を求めた。
<無機フィラーの50%粒径(個数基準)及び90%アスペクト比(個数基準)の測定>
実施例で得られた無機フィラー含有フッ素樹脂シートの断面をレーザー顕微鏡で観察し(倍率10倍)、レーザー顕微鏡像を得た。次に、得られた光学顕微鏡像を、コンピューターに取り込み、画像解析ソフト(GIMP)を用いて、粒子部分と樹脂部分で2値化した画像を得た。次に画像解析ソフト(Image J)の粒子解析により、各粒子の粒子面積及び、楕円近似による短径に対する長径の比(アスペクト比)を得た。粒子解析は100個以上の粒子に対して行った。粒径は粒子面積から円と仮定した直径を計算し、粒径とした。得られた100個以上の粒子の数値から50%粒径、及び90%アスペクト比を得た。
実施例で得られた無機フィラー含有フッ素樹脂シートの断面をレーザー顕微鏡で観察し(倍率10倍)、レーザー顕微鏡像を得た。次に、得られた光学顕微鏡像を、コンピューターに取り込み、画像解析ソフト(GIMP)を用いて、粒子部分と樹脂部分で2値化した画像を得た。次に画像解析ソフト(Image J)の粒子解析により、各粒子の粒子面積及び、楕円近似による短径に対する長径の比(アスペクト比)を得た。粒子解析は100個以上の粒子に対して行った。粒径は粒子面積から円と仮定した直径を計算し、粒径とした。得られた100個以上の粒子の数値から50%粒径、及び90%アスペクト比を得た。
<光線透過率の測定>
前記実施例及び比較例で得られたフィラー含有フッ素樹脂シートについて、島津製作所社製のUV−3600を用いて、波長400nmの光線透過率を測定した。
アタッチメント:積分球 ISR−3100
バックグラウンド測定:大気
前記実施例及び比較例で得られたフィラー含有フッ素樹脂シートについて、島津製作所社製のUV−3600を用いて、波長400nmの光線透過率を測定した。
アタッチメント:積分球 ISR−3100
バックグラウンド測定:大気
<Fe含有量の測定>
サンプルを硫酸灰化−アルカリ融解−硝酸溶解したのち、ICP発光分析法により測定した。
下記実施例及び比較例において測定したFe含有量はいずれも測定限界以下(10ppm以下)であった。
サンプルを硫酸灰化−アルカリ融解−硝酸溶解したのち、ICP発光分析法により測定した。
下記実施例及び比較例において測定したFe含有量はいずれも測定限界以下(10ppm以下)であった。
実施例1
上記で作製した19.5質量%の濃度の樹脂溶液を35g、250mlのディスポカップ(内径57mm)に入れ、そこにフィラーとしてMgF2粉末(1)を2.76g添加した。MgF2粉末(1)の50%粒径(個数基準)は18.9μmであり、90%アスペクト比(個数基準)は4.85であった。フィラーの濃度は、樹脂の密度を1.95g/cm3、MgF2粉末の密度を3.15g/cm3として計算すると、20体積%である。この溶液を、あわとり練太郎ARV−310を用いて、回転数2000rpmで2分間混合する操作を3回実施して、溶液とフィラーとを混合し、そこにマグネットスターラー(内径35mm、容器と攪拌体の直径の比d/D=0.61)を入れて400rpmで攪拌(攪拌体の先端速度=0.55m/秒)してフィラーが均一に溶液中に舞っている状態を維持しながら、イソプロピルアルコール(IPA、ナカライテクス社製)70gを一気に入れたところ(イソプロピルアルコールの添加速度は約40g/秒以上60g/秒以下)、フィラーと一部の溶媒を巻き込みながら、樹脂が一気にゲル化して析出した。
上記で作製した19.5質量%の濃度の樹脂溶液を35g、250mlのディスポカップ(内径57mm)に入れ、そこにフィラーとしてMgF2粉末(1)を2.76g添加した。MgF2粉末(1)の50%粒径(個数基準)は18.9μmであり、90%アスペクト比(個数基準)は4.85であった。フィラーの濃度は、樹脂の密度を1.95g/cm3、MgF2粉末の密度を3.15g/cm3として計算すると、20体積%である。この溶液を、あわとり練太郎ARV−310を用いて、回転数2000rpmで2分間混合する操作を3回実施して、溶液とフィラーとを混合し、そこにマグネットスターラー(内径35mm、容器と攪拌体の直径の比d/D=0.61)を入れて400rpmで攪拌(攪拌体の先端速度=0.55m/秒)してフィラーが均一に溶液中に舞っている状態を維持しながら、イソプロピルアルコール(IPA、ナカライテクス社製)70gを一気に入れたところ(イソプロピルアルコールの添加速度は約40g/秒以上60g/秒以下)、フィラーと一部の溶媒を巻き込みながら、樹脂が一気にゲル化して析出した。
ゲル化した塊状の試料を取り出し、該試料からスターラーを取り出した後、アルミカップの上に置いて、常温で乾燥させた。4時間程度乾燥させたところで、乾燥を促進させるためにハサミを用いておおよそ3cm角ぐらいのサイズに切り、その後、一晩乾燥させた。
一晩経過後の試料は、溶媒がほぼ蒸発し、体積がかなり縮んでいた。重量は9.63gであった。特に溶媒臭も残っていなかった。一晩経過後の試料をハサミで5mm角程度に切り、100℃に設定したホットプレートの上で3時間乾燥させた。
その後、試料をPFA製のシャーレに移し、真空乾燥機中で200℃で3時間、脱泡、および乾燥させた。乾燥中は、試料は溶融しており、乾燥後はひと塊になっていた。得られた塊状の試料を再度、ハサミを用いて、2mm角程度のサイズに切り、ペレットとした。得られたペレットの合計量は9.56gであり、使用した樹脂とフィラーの合計量に対する収率は100%であった。
厚さ5mm、15cm角のSUS板の上に厚さ0.2mm、15cm角のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルムを積層し、PTFEフィルムの上に、中心に5cm角の貫通孔を備える厚さ1.0mm、15cm角のSUS板を積層した。次いで上記ペレットを、上記5cm角の貫通孔の中に5.2g入れた。更に厚さ0.2mm、15cm角のPTFEフィルムと、厚さ5mm、15cm角のSUS板とを順に積層して金型を組立てた。次いで、プレス機の温度を200℃に設定し、加圧せずにプレス機の上下板を金型の上下の上記SUS板に接触させた状態で3分保持してペレットを溶融させた。その後50MPaの圧力で2分間加圧した。加圧後に金型を取り出して、別途、水を通した2枚のSUS板で金型を挟んで十分に冷却して、金型を分解してフィラー含有フッ素樹脂シートE1を得た。前記シートE1の前記観察エリアにおける無機フィラーの面積の標準偏差は5482μm2であり、20体積%で割った数値は274.1μm2/%であり、光線透過率は84.9%であった。
実施例2
MgF2粉末(1)に代えて、MgF2粉末(2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、フィラー含有フッ素樹脂シートE2を得た。MgF2粉末(2)の50%粒径(個数基準)は8.74μmであり、90%アスペクト比(個数基準)は5.20であった。前記シートE2の前記観察エリアにおける無機フィラーの面積の標準偏差は1908μm2であり、20体積%で割った数値は95.4μm2/%であり、光線透過率は81.5%であった。
MgF2粉末(1)に代えて、MgF2粉末(2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、フィラー含有フッ素樹脂シートE2を得た。MgF2粉末(2)の50%粒径(個数基準)は8.74μmであり、90%アスペクト比(個数基準)は5.20であった。前記シートE2の前記観察エリアにおける無機フィラーの面積の標準偏差は1908μm2であり、20体積%で割った数値は95.4μm2/%であり、光線透過率は81.5%であった。
実施例3
フィラーとして、MgF2粉末(1)に代えて、Cu粉末(密度8.94g/cm3、モース硬度:3.0)を用いたこと以外は実施例1と同様にして(20体積%)、フィラー含有フッ素樹脂シートE3を得た。前記Cu粉末の50%粒径(個数基準)は18.9μmであり、90%アスペクト比(個数基準)は2.40であった。前記シートE3の前記観察エリアにおける無機フィラーの面積の標準偏差は4302μm2であり、20体積%で割った数値は215.1μm2/%であり、光線透過率は0%であった。
フィラーとして、MgF2粉末(1)に代えて、Cu粉末(密度8.94g/cm3、モース硬度:3.0)を用いたこと以外は実施例1と同様にして(20体積%)、フィラー含有フッ素樹脂シートE3を得た。前記Cu粉末の50%粒径(個数基準)は18.9μmであり、90%アスペクト比(個数基準)は2.40であった。前記シートE3の前記観察エリアにおける無機フィラーの面積の標準偏差は4302μm2であり、20体積%で割った数値は215.1μm2/%であり、光線透過率は0%であった。
比較例1
上記で作製した19.5質量%の濃度の樹脂溶液を35g、250mlのディスポカップに入れ、そこにフィラーとしてMgF2粉末(1)を2.8g添加した。樹脂の密度を1.95、MgF2粉末の密度を3.15として計算したフィラーの濃度は20体積%である。この溶液を、あわとり練太郎ARV−310を用いて、回転数2000rpmで2分間混合する操作を3回実施して、溶液とフィラーを混合した。得られた溶液をPFA製のシャーレに流し入れ、大気中で200℃、3時間加熱して乾燥させた。
上記で作製した19.5質量%の濃度の樹脂溶液を35g、250mlのディスポカップに入れ、そこにフィラーとしてMgF2粉末(1)を2.8g添加した。樹脂の密度を1.95、MgF2粉末の密度を3.15として計算したフィラーの濃度は20体積%である。この溶液を、あわとり練太郎ARV−310を用いて、回転数2000rpmで2分間混合する操作を3回実施して、溶液とフィラーを混合した。得られた溶液をPFA製のシャーレに流し入れ、大気中で200℃、3時間加熱して乾燥させた。
得られた塊状の試料を、ハサミを用いて5mm角程度に切断した。その後、試料をPFA製のシャーレに移し、真空乾燥機中で200℃で3時間、脱泡、および乾燥させた。乾燥中は、試料は溶融しており、乾燥後はひと塊になっていた。得られた塊状の試料を再度、ハサミを用いて、2mm角程度のサイズに切り、ペレットとした後、実施例1と同様にしてフィラー含有フッ素樹脂シートC1を作製した。前記シートC1の前記観察エリアにおける無機フィラーの面積の標準偏差は16936μm2であり、20体積%で割った数値は846.8μm2/%であり、光線透過率は84.7%であった。
比較例2
MgF2粉末(1)に代えて、MgF2粉末(2)を用いたこと以外は比較例1と同様にして、フィラー含有フッ素樹脂シートC2を作製した。前記シートC2の前記観察エリアにおける無機フィラーの面積の標準偏差は10704μm2であり、20体積%で割った数値は535.2μm2/%であり、光線透過率は78.8%であった。
MgF2粉末(1)に代えて、MgF2粉末(2)を用いたこと以外は比較例1と同様にして、フィラー含有フッ素樹脂シートC2を作製した。前記シートC2の前記観察エリアにおける無機フィラーの面積の標準偏差は10704μm2であり、20体積%で割った数値は535.2μm2/%であり、光線透過率は78.8%であった。
1 樹脂成形体
2 紫外線発光素子
3 基板
3a 切り欠け線
10 固化物
11 固化物
20 紫外線発光装置
21 紫外線発光装置
30 p電極
31 n電極
32 p層
33 活性層
34 n層
35 基材
36 バンプ
37 紫外線発光素子
39 基板
39a 側壁
2 紫外線発光素子
3 基板
3a 切り欠け線
10 固化物
11 固化物
20 紫外線発光装置
21 紫外線発光装置
30 p電極
31 n電極
32 p層
33 活性層
34 n層
35 基材
36 バンプ
37 紫外線発光素子
39 基板
39a 側壁
Claims (14)
- 無機フィラーとフッ素樹脂とを含み、
前記無機フィラーは、比重が2.0以上、50%粒子径(個数基準)が1μm以上、90%アスペクト比(個数基準)が10以下であり、
前記無機フィラーが均一に分散している樹脂成形体。 - 走査型電子顕微鏡で観察した成形体の断面において、成形体の高さ方向の長さが0.8×t(tは成形体の高さを意味する。以下、同じ)であり該高さ方向に垂直な方向の長さが1.2×tである長方形状エリアを、高さ方向に2分割し、高さ方向に垂直な方向に3分割して6個の正方形観察エリアを設定し、各観察エリアにおける前記無機フィラーの面積(μm2)を算出した時、前記無機フィラーの体積分率(%)に対する該面積の標準偏差の比が500μm2/%以下である請求項1に記載の樹脂成形体。
- 前記無機フィラーのモース硬度が4.0以上である請求項1または2に記載の樹脂成形体。
- 前記無機フィラーの表面が改質されていない請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂成形体。
- 前記無機フィラーの含有量が1質量%以上60質量%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂成形体。
- 前記フッ素樹脂が、フッ化ビニリデン由来の構成単位Vを含む請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂成形体。
- 前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン由来の構成単位T及びヘキサフルオロプロピレン由来の構成単位Hから選ばれる少なくとも1種の構成単位をさらに含む請求項6に記載の樹脂成形体。
- Feの含有量が20ppm(質量基準)以下である請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂成形体。
- 厚さ100μm以上5000μm以下のシート形状である請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂成形体。
- 波長400nmの光線透過率が70%以上である請求項9に記載の樹脂成形体。
- 紫外線発光素子の封止に用いられるものである請求項1〜10のいずれかに記載の樹脂成形体。
- 紫外線発光素子を備え、
該紫外線発光素子が、請求項1〜11のいずれかに記載の樹脂成形体により封止されていることを特徴とする紫外線発光装置。 - フッ素樹脂が溶媒Aに溶解した溶液と比重が2.0以上の無機フィラーとを混合して無機フィラー分散液を調製する工程、
フッ素樹脂の溶解度が前記溶媒Aよりも劣る溶媒Bを前記無機フィラー分散液に加えて該分散液をゲルにする工程、
得られたゲルから前記溶媒A及び溶媒Bを揮発除去する乾燥工程を含む樹脂成形体の製造方法。 - 前記ゲルが気泡を包含しており、前記乾燥工程で成形体からの脱泡を行う請求項13に記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020064771A JP2021161270A (ja) | 2020-03-31 | 2020-03-31 | 樹脂成形体、紫外線発光装置、および樹脂成形体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2020064771A Pending JP2021161270A (ja) | 2020-03-31 | 2020-03-31 | 樹脂成形体、紫外線発光装置、および樹脂成形体の製造方法 |
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-
2020
- 2020-03-31 JP JP2020064771A patent/JP2021161270A/ja active Pending
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