JP2022055740A - 熱伝導性樹脂シート、積層放熱シート、放熱性回路基板およびパワー半導体デバイス - Google Patents

熱伝導性樹脂シート、積層放熱シート、放熱性回路基板およびパワー半導体デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】耐電圧性能及び熱伝導率が良好であり、吸湿リフロー耐性に優れる熱伝導性樹脂シートを提供する。【解決手段】本発明の一態様に係る熱伝導性樹脂シートは、熱可塑性樹脂及び吸油量が0.95mL/g以上の窒化ホウ素凝集粒子を含有する。また、本発明の一態様に係る熱伝導性樹脂シートの製造方法は、熱可塑性樹脂からなる粉体と、吸油量が0.95mL/g以上の窒化ホウ素凝集粒子との混合物を得る混合工程と、前記混合物をプレスしてシート成形するプレス成形工程と、を含む。【選択図】図3

Description

本発明は、熱伝導性樹脂シート、該熱伝導性樹脂シート表面に、放熱用金属層を積層してなる構成を備えた積層放熱シート、さらに導電回路を形成してなる構成を備えた放熱性回路基板に関する。
近年、鉄道・自動車・産業用、一般家電用等の様々な分野で使用されているパワー半導体デバイスは、更なる小型化・低コスト化・高効率化等の為に、従来のSiパワー半導体から、SiC、AlN、GaN等を使用したパワー半導体へ移行しつつある。
パワー半導体デバイスは、一般的には、複数の半導体デバイスを共通のヒートシンク上に配してパッケージングしたパワー半導体モジュールとして利用される。
このようなパワー半導体デバイスの実用化に向けて、種々の課題が指摘されている。そのうちの一つにデバイスからの発熱の問題がある。パワー半導体デバイスは、高温で作動させることにより高出力・高密度化が可能となる。他方、デバイスのスイッチングに伴う発熱等は、パワー半導体デバイスの信頼性を低下させることが懸念されている。
近年、特に電気・電子分野では、集積回路の高密度化に伴う発熱が大きな問題となっており、いかに熱を放散するかが緊急の課題となっている。この課題を解決する一つの手法として、パワー半導体デバイスを実装する放熱基板に、アルミナ基板や窒化アルミニウム基板などの熱伝導性の高いセラミックス基板を使用することが行われている。しかし、セラミックス基板では、衝撃で割れやすい、薄膜化が困難で小型化が難しいなどの問題があった。
そこで、前記セラミックス基板の代替製品として、樹脂と無機フィラーを含有する熱伝導性樹脂シートが検討されている。
中でも、無機フィラーとしては、熱伝導性等の観点から六方晶窒化ホウ素が注目されている。
しかし、六方晶窒化ホウ素粒子は板状であるため、面方向(ab軸方向)には熱伝導性が高いが、厚み方向(c軸方向)には熱伝導性が低い。この六方晶窒化ホウ素を樹脂に配合してシートに成形した場合、六方晶窒化ホウ素は樹脂組成物の流動方向、つまりシートの面方向に配向しやすいので、得られる熱伝導性樹脂シートは、面方向の熱伝導率は高いが、厚み方向の熱伝導率が低くなってしまう。
熱伝導性樹脂シートの熱伝導率の異方性を改良するために、窒化ホウ素粒子を凝集させた窒化ホウ素凝集粒子を用いることで、粒子の配向を少なくすることが検討されてきた。
例えば、特許文献1及び2には、窒化ホウ素粒子をバインダーで結合した後、噴霧乾燥した球状凝集体が提案されている。
また、特許文献3には、六方晶窒化ホウ素の一次粒子同士が松ぼっくり状に集合してなる六方晶窒化ホウ素粒子が提案されている。
さらに、特許文献4には、鱗片状の窒化ホウ素を凝集させることにより形成された球状の二次粒子を含み、当該二次粒子のコア部における一次粒子の密度が、シェル部における一次粒子の密度よりも低い造粒粉が提案されている。
そして、特許文献5には、六方晶窒化ホウ素の一次粒子が凝集した窒化ホウ素凝集粒子であって、該窒化ホウ素凝集粒子中の一次粒子同士がカードハウス構造を有する、窒化ホウ素凝集粒子が提案されている。
特開2006-257392号公報 特表2008-510878号公報 特開平09-202663号公報 特開2016-044098号公報 特開2015-006985号公報
従来の熱伝導性樹脂シートでは、耐電圧性能及び熱伝導率が十分ではない場合があった。
また、パワー半導体デバイス用途としての熱伝導性樹脂シートは、リフロー工程に対する耐性が求められている。
リフロー工程とは、パワー半導体モジュールを組み立てる工程のひとつである。当該リフロー工程では、急速に部材を昇温することで、はんだを溶融させ、金属部材同士を接合する。近年、パワー半導体デバイスの高出力・高密度化に伴い作動温度が上昇していることから、上記リフロー工程に用いるはんだについても耐熱性が求められており、290℃のリフロー温度を要する高温はんだを用いることが一般的になってきている。したがって、リフロー工程では、当該高温はんだが流動する290℃付近まで昇温した後に冷却する工程が繰り返される。
さらにまた、リフロー工程を行う前に部材が吸湿すると、リフロー工程での部材劣化が大幅に促進されるため、耐電圧性能が大きく低下する場合があった。
そこで、本発明は、耐電圧性能及び熱伝導率が良好であり、吸湿リフロー耐性に優れる熱伝導性樹脂シートを提供することを課題とする。
なお、本明細書において「吸湿リフロー耐性」とは、熱伝導性樹脂シートを金属板との積層体とし、高温高湿条件(例えば85℃、85%RHの環境で3日間)で保管した後にリフロー試験(例えば290℃)を実施する吸湿リフロー試験を行った後も、高い耐電圧性を有し、金属板との界面剥離及び熱伝導性樹脂シートの発泡に起因する変形を生じないことをいう。
本発明の一態様に係る熱伝導性樹脂シートは、熱可塑性樹脂及び吸油量が0.95mL/g以上の窒化ホウ素凝集粒子を含有する。
本発明の熱伝導性樹脂シートは、耐電圧性能及び熱伝導率が良好であり、吸湿リフロー耐性に優れる。
吸油量が小さい窒化ホウ素凝集粒子の一例に係る粒子断面図の概念図である。 吸油量が小さい窒化ホウ素凝集粒子の一例に係る粒子表面のSEM写真(図面代用写真)である。 吸油量が大きい窒化ホウ素凝集粒子の一例に係る粒子断面図の概念図である。 吸油量が大きい窒化ホウ素凝集粒子の一例に係る粒子表面のSEM写真(図面代用写真)である。 カードハウス構造の模式図である。
以下に、本発明の実施の形態の一例について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変形して実施することができる。
1.樹脂組成物
本発明の熱伝導性樹脂シートは、熱可塑性樹脂及び吸油量が0.95mL/g以上の窒化ホウ素凝集粒子を含有する樹脂組成物からなる。
以下、各成分について詳細に説明する。
(1)熱可塑性樹脂
本発明の熱伝導性樹脂シートに用いる前記熱可塑性樹脂は、放熱性回路基板のリフロー条件、例えば290℃、5分間の条件下でも、弾性率の低下による樹脂の流動、塑性変形、熱復元性歪の回復が生じ難いことが好ましい。それを満たす為には、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)が300℃以上であるか、又は、融点(Tm)が300℃以上であることが好ましい。
前記熱可塑性樹脂が、2種類以上の熱可塑性樹脂の組み合わせからなり、それらが互いに相溶する樹脂からなる樹脂組成物である場合、当該樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)が300℃以上であるか、又は、当該樹脂組成物の融点(Tm)が300℃以上であるのが好ましい。
他方、前記熱可塑性樹脂が、2種類以上の熱可塑性樹脂の組み合わせからなり、それらが互いに相溶しない樹脂からなる樹脂組成物である場合、当該樹脂組成物の主成分である熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)が300℃以上であるか、又は、当該樹脂組成物の主成分である熱可塑性樹脂の融点(Tm)が300℃以上であるのが好ましい。
ここで、「主成分」とは、樹脂組成物の中で最も含有質量割合の高い樹脂を意味し、当該樹脂組成物の50質量%以上、中でも60質量%以上、中でも70質量%以上、中でも80質量%以上、中でも90質量%以上、中でも95質量%以上(100質量%含む)を占める樹脂をいう。
上記の観点から、前記熱可塑性樹脂として、ガラス転移温度(Tg)が300℃以上の非結晶性熱可塑性樹脂及び/又は融点(Tm)が300℃以上の結晶性熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。
中でも、ガラス転移温度(Tg)が300℃以上の非結晶性熱可塑性樹脂及び/又は融点(Tm)が300℃以上の結晶性熱可塑性樹脂が、前記熱可塑性樹脂の主成分であること、すなわち、前記熱可塑性樹脂全体の50質量%以上を占めることが好ましい。中でも60質量%以上、その中でも70質量%以上、その中でも80質量%以上、その中でも90質量%以上(100質量%を含む)を占めることがさらに好ましい。
なお、本発明において「非結晶性熱可塑性樹脂」とは、融点を有しない熱可塑性樹脂をいう。一方、「結晶性熱可塑性樹脂」とは、融点を有する熱可塑性樹脂をいう。
市販原料として入手可能な耐熱性の非結晶性熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂(Tg:152℃)、変性ポリフェニレンエーテル樹脂(Tg:211℃)、ポリサルホン樹脂(Tg:190℃)、ポリフェニルサルホン樹脂(Tg:220℃)、ポリエーテルサルホン樹脂(Tg:225℃)、ポリエーテルイミド樹脂(Tg:217℃)等が挙げられる。
しかしながら、これら市販の耐熱性非結晶性熱可塑性樹脂は、いずれも300℃以上のガラス転移温度には大きく及ばない。
また、ガラス転移温度が300℃以上の熱可塑性ポリイミド樹脂が市販されている。しかし、前記熱可塑性ポリイミド樹脂は、成形可能温度が非常に高く、当該成形可能温度での溶融粘度が非常に高いため、熱伝導性フィラーを多量に充填することが難しい。さらには、分子構造にイミド基が含まれているため、吸湿性が高い点などから、本発明の熱可塑性樹脂の主成分として用いるには好ましくない。
以上のことから、本発明の熱伝導性樹脂シートに用いる前記熱可塑性樹脂は、300℃以上の融点を有する結晶性熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂であるのが好ましい。300℃以上の融点を有する結晶性熱可塑性樹脂を主成分とすることによって、熱伝導性フィラーを多量に充填しても成形性が良く、シート内部のボイドを十分に低減できるため、絶縁性が良好となる。また、300℃以上の融点を有する結晶性熱可塑性樹脂は、リフロー条件下で弾性率の低下による樹脂の流動、塑性変形、熱復元性歪の回復が生じ難いため、吸湿リフロー耐性も良好となる。
なお、熱可塑性樹脂の融点は、JIS K-7121「プラスチックの転移温度測定方法-融解温度の求め方」に規定される方法で測定できる。具体的には、当該熱可塑性樹脂組成物を示差走査熱量計(DSC:一例としては、パーキンエルマー社製の「DSC-7」等)を用いて、試料10mgを供試体とし、加熱速度10℃/分で-40℃から380℃まで昇温し、380℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で-40℃まで降温し、同温度で1分間保持した後、再度10℃/分で昇温した際の融解ピークの頂点の温度(Tpm)を融点(Tm)として読み取ることで求められる。
本発明における結晶性熱可塑性樹脂としては、少なくとも結晶融解に起因する吸熱ピークが明確に確認でき、かつ、そのピークの内の、主要であるピークの頂点の温度が300℃以上であるものを用いることができる。
なお、熱伝導性フィラーを添加した樹脂組成物を示差走査熱量計(DSC)で測定した場合も、熱伝導性フィラーの添加によりマトリクス樹脂の加熱成形時の劣化が促進されるような場合を除いては、融点に大きな差は生じない。
前記結晶性熱可塑性樹脂の融点は、290℃の吸湿リフロー耐性の観点から、310℃以上であるのがより好ましく、中でも320℃以上、その中でも330℃以上であるのがさらに好ましい。一方、融点の上限は、特に限定はされない。中でも、成形加工性、生産性の観点から、380℃以下であるのがより好ましく、中でも370℃以下、その中でも360℃以下であるのがさらに好ましい。
前記熱可塑性樹脂の融点が300℃以上であることによって、リフロー条件の290℃においても樹脂原料の弾性率が低くなり難い。そのため、リフロー工程でも樹脂の流動変形が生じることを抑制でき、樹脂層の弾性歪も復元され難いため、熱伝導性樹脂シートの表面外観の悪化や、熱伝導性樹脂シートの厚みが不均一となることを抑制でき、十分な強度の熱伝導性樹脂シートを得ることができる。
また、290℃において樹脂原料の弾性率が低くなり難いことによって、湿熱環境下で樹脂組成物が吸湿し、樹脂組成物中に水分が存在する場合であっても、リフロー工程やモジュールへの実装工程で樹脂組成物内の水分が膨張しにくくなり、熱伝導性樹脂シートに発泡が生じにくくなるため、耐電圧性能及び熱伝導率が良好となる。
なお、リフロー工程における熱伝導性樹脂シート内の発泡と、耐電圧性能及び熱伝導率とは、例えば以下のような関連があると考えられる。
リフロー工程やモジュールへの実装工程によって樹脂組成物内の水分が膨張すると、熱伝導性樹脂シート内部、放熱用金属層と熱伝導性樹脂シートとの界面近傍、あるいは導電回路パターンと熱伝導性樹脂シートとの界面近傍で発泡が生じる場合がある。
例えば、熱伝導性樹脂シート内部に発泡が生じた場合、耐電圧性能が顕著に低下するおそれがある。
熱伝導性樹脂シートの一方の表面に放熱用金属材料が積層されている場合には、当該放熱用金属材料と熱伝導性樹脂シートとの界面近傍で発泡が生じると、当該放熱用金属材料が剥離し、熱伝導率が著しく低下するおそれがある。
また、熱伝導性樹脂シートの他方の表面に導電回路パターンが形成されている場合には、当該導電回路パターンと熱伝導性樹脂シートとの界面近傍で発泡が生じると、当該導電回路パターンが剥離したり、脱落したりして、電気回路に異常が発生したり、熱伝導性樹脂シートの熱伝導率が著しく低下するおそれがある。
耐熱性の結晶性熱可塑性樹脂としては、具体的にはポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT、融点:224℃)、ポリアミド6(ナイロン6、融点:225℃)、ポリアミド66(ナイロン66、融点:265℃)、液晶ポリマー(LCP、融点:320℃~344℃)、ポリエーテルケトン系樹脂(融点:303℃~400℃)、ポリテトラフロロエチレン樹脂(PTFE、融点:327℃)、四フッ化エチレン・パーフロロアルコキシエチレン共重合体樹脂(PFA、融点:302℃~310℃)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP、融点:250℃~290℃)等が挙げられる。
本発明で用いる結晶性熱可塑性樹脂としては、300℃以上の融点を有するという点から、液晶ポリマー、ポリエーテルケトン系樹脂、PTFE、PFAが好ましい。
これら300℃以上の融点を有する結晶性熱可塑性樹脂の中でも、成形性等の観点から、液晶ポリマー及び/又はポリエーテルケトン系樹脂が特に好ましい。さらにその中でも、銅板をはじめとした放熱用金属層との接着性の観点から、ポリエーテルケトン系樹脂が好ましい。
本発明に用いることができるポリエーテルケトン系樹脂は、下記式(1)(式中のm,nは1あるいは2)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性樹脂の総称である。
Figure 2022055740000002
ポリエーテルケトン系樹脂としては、ポリエーテルケトン(PEK;m=1、n=1、融点373℃)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK;m=2、n=1、融点343℃)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK;m=1、n=2、融点303℃~400℃)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK;m=2、n=2、融点358℃)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK;m=1、n=1の構成単位と、m=1、n=2の構成単位の双方を含む共重合体、融点387℃)等を例示することができる。いずれも市販原料として入手可能である。
ポリエーテルケトン系樹脂の中では、融点が十分に高く、かつ、成形加工温度が比較的低く成形サイクルを短縮できる点、連続耐熱温度も200℃以上であり耐熱用途にも支障なく使えることが実証されている点、成形加工性に関連する溶融粘度に関して各種グレードが用意されている点、ポリエーテルケトン系樹脂の中では最も化学的に安定な構造とされ、耐熱水性や耐薬品性にも優れる点、広汎な用途への利用から価格がこなれて来ている点などを総合的に勘案して、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を特に好ましく用いることができる。
本発明の結晶性熱可塑性樹脂としてポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を用いる場合は、他の熱可塑性樹脂とブレンドしてもよい。
他の熱可塑性樹脂の種類は、特に限定されない。中でも、他の熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトンのみを本発明の用途に用いた場合に不足する性能を補う効果を有する相溶系の樹脂が好ましい。
当該相溶系の樹脂としては、ポリエーテルイミド(PEI)がより好ましい。
PEEKとPEIとを組み合わせれば、PEEKの結晶性(結晶融解熱量)を調整することができるばかりか、PEEKの結晶化速度の調整と併せて、樹脂組成物が非晶状態にある場合のガラス転移温度を上昇させることができる(PEEKのTgは143℃に対し、PEIのTgは217℃)。
なお、PEIは非晶性樹脂であるため、PEEKとPEIを組み合わせても、樹脂の融点自体は変わらない。
加えて、本発明においては、イミド基を有し、かつ非晶性であるPEIを用いることで、銅板等の放熱用金属材料に対する接着性を良好にすることができる。
PEIの添加量は、樹脂組成物の全量を100質量%として、50質量%以下であることが好ましい。PEIの添加量を50質量%以下とすることで、吸湿リフロー試験での耐熱性をPEEKの結晶性により維持しつつ、放熱用金属材料に対する接着性を良好にすることができる。
PEEKは、各種市販品を用いることができる。例えば、ソルベイ社製「キータスパイア(登録商標)」、ダイセルエボニック社製「ベスタキープ(登録商標)」、ビクトレックス社製「ビクトレックスPEEK」などとして、各社から各種溶融粘度のものを入手することが出来る。
これらPEEK原料は、単一グレードを用いてもよく、溶融粘度等の異なる複数グレードをブレンドして用いてもよい。
本発明における結晶性熱可塑性樹脂の溶融粘度は、特に限定されない。中でも、熱伝導性フィラーを比較的多量に配合することから、加熱成形加工を容易なものとする為に、前記結晶性熱可塑性樹脂の溶融粘度は,0.60kPa・s以下が好ましく、0.30kPa・s以下がより好ましい。溶融粘度が上記範囲内であることによって、成形機の温度を過剰に高く設定する必要がなく、原料の劣化を抑制することができる。一方、溶融粘度の下限は、特に限定はされない。中でも、0.01kPa・s以上が好ましい。
なお、溶融粘度は、ASTM D3835に準拠しており、剪断速度が1000s-1、温度が400℃の条件下で測定された値である。
結晶性熱可塑性樹脂の質量平均分子量(Mw)は、加熱環境下での長期耐久性の観点から、48000以上であるのが好ましく、中でも49000以上、その中でも50000以上であるのがさらに好ましい。他方、成形加工性の観点から、120000以下であるのが好ましく、中でも110000以下、その中でも100000以下であるのがさらに好ましい。
結晶性熱可塑性樹脂のMFRは、成形加工性や、添加した熱伝導性フィラーとの間に空隙を作り難い点から、8g/10分以上であるのが好ましく、中でも9g/10分以上、その中でも10g/10分以上であるのがさらに好ましい。他方、加熱環境下での長期耐久性の観点から、180g/10分以下であるのが好ましく、中でも170g/10分以下、その中でも160g/10分以下であるのがさらに好ましい。
なお、MFRは、JIS K7210(2014)に準拠して380℃・5kgfで測定された値である。
(2)窒化ホウ素凝集粒子
本発明の窒化ホウ素凝集粒子は、熱伝導率を高くする観点から、吸油量が0.95mL/g以上であるのが好ましく、1.0mL/g以上であるのがより好ましい。
なお、本発明において吸油量は、JIS K5101-13-1:2004(「顔料試験方法」-第13部:吸油量-第1節:精製あまに油法)に従って測定できる。
窒化ホウ素凝集粒子の吸油量と、熱伝導性樹脂シートの厚み方向の熱伝導率とは、例えば以下のような関連があると考えられる。
窒化ホウ素凝集粒子の吸油量は、当該凝集粒子内部への樹脂浸入量を表し、凝集粒子の表面状態とも相関がある。例えば、凝集粒子の吸油量が小さいということは、内部に空隙が少なく、かつ、表面に凹凸が少ないことを示す。表面の凹凸が少ない凝集粒子は、図1及び図2に示すように、凝集粒子の最表面近傍の一次粒子の厚み方向(c軸方向)と、凝集粒子の放射方向とが一致する構造を有する。このような凝集粒子は、熱伝導性樹脂シートを湿式塗布法で作製する場合の塗工性が良好となるという利点がある一方で、最表面近傍の一次粒子が凝集粒子を覆うように寝ていることにより、凝集粒子表面と樹脂との界面、又は、複数の凝集粒子の接触界面における熱抵抗が増大してしまう場合がある。
また。複数の凝集粒子が熱伝導性樹脂シート内で接触するように充填した場合、上記構造を有する凝集粒子同士は、それぞれの凝集粒子の表面部分において、一次粒子の厚み方向(c軸方向)を介して熱伝導がなされる。一次粒子の厚み方向は熱伝導率が低いため、熱伝導性樹脂シートの厚み方向の熱伝導率には限界がある。
一方で、凝集粒子の吸油量が大きいということは、仮に内部の空隙を同一とした場合、粒子間隙が大きい傾向にあることを意味し、粒径分布を同一とした場合、表面の凹凸が大きいことを示す。表面の凹凸が大きい凝集粒子は、図3及び図4に示すように、凝集粒子の最表面近傍の一次粒子の面方向(ab軸方向)が凝集粒子の放射方向と一致する構造を有する。このような凝集粒子を、複数の凝集粒子が熱伝導性樹脂シート内で接触するように充填した場合、最表面近傍の一次粒子が凝集粒子を覆うように寝ている凝集粒子に比べて、粒子同士の接触面積が増大する。そのため、粒子間の熱抵抗が低減されるので、熱伝導性樹脂シートの厚み方向の熱伝導率が高くなる。
吸油量が0.95mL/g以上である窒化ホウ素凝集粒子は、例えば、後述のカードハウス構造を有する凝集粒子を用いることによって達成できる。公知の方法で窒化ホウ素凝集粒子を得た後、物理的、あるいは化学的な粗面化処理を施して吸油量を大きくしてもよい。
各社で市販されている窒化ホウ素凝集粒子は、造粒時に比較的結晶化が進んだ窒化ホウ素一次粒子を用いるため、安定な一次粒子の面(ab面)同士のスタックが優先して発生することにより、凝集粒子の最表面近傍の一次粒子の厚み方向と、凝集粒子の放射方向とが一致する「キャベツ構造」であるものが多い。「キャベツ構造」の凝集粒子は、最表面近傍の一次粒子が凝集粒子を覆うように寝ているため、吸油量を0.95mL/g以上とすることは難しい。
なお、本発明の窒化ホウ素凝集粒子の吸油量は、2.0mL/g未満であるのが好ましく、1.9mL/g以下であるのがより好ましく、1.8mL/g以下であるのがさらに好ましい。
該吸油量が2.0mL/g未満であることによって、窒化ホウ素凝集粒子の機械的強度が十分に保持され、成形性が良好となる。また、成形工程において熱伝導性樹脂シート中の気泡が抜けやすいため、耐電圧性能及び熱伝導率をより良好にできる。
本発明の窒化ホウ素凝集粒子の形状は、球状であることが好ましい。
「球状」とは、通常アスペクト比(長径と短径の比)が1以上2以下、好ましくは1以上1.75以下、より好ましくは1以上1.5以下、さらに好ましくは1以上1.4以下であることをいう。
当該アスペクト比は、熱伝導性樹脂シートの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した画像から200個以上の粒子を任意に選択し、それぞれの長径と短径の比を求めて平均値を算出することにより求めることができる。
窒化ホウ素凝集粒子の凝集構造は、熱伝導率を向上させる観点から、カードハウス構造が好ましい。
なお、窒化ホウ素凝集粒子の凝集構造は、走査型電子顕微鏡(SEM)により確認することができる。
カードハウス構造とは、板状粒子が配向せず複雑に積層されたものであり、「セラミックス・43・No.2」(2008年、日本セラミックス協会発行)に記載されている。より具体的には、凝集粒子を形成する一次粒子の平面部と、該凝集粒子内に存在する他の一次粒子の端面部が接触している構造をいう。カードハウス構造の模式図を図5に示す。
該カードハウス構造の凝集粒子は、その構造上破壊強度が非常に高く、熱伝導性樹脂シート成形時に行われる加圧工程でも圧壊しない。そのため、通常熱伝導性樹脂シートの長手方向に配向してしまう一次粒子を、ランダムな方向に存在させることができる。したがって、カードハウス構造の凝集粒子を用いると、熱伝導性樹脂シートの厚み方向に一次粒子のab面が配向する割合をより高めることができるので、該シートの厚み方向に効果的に熱伝導を行うことができ、厚み方向の熱伝導率を一層高めることができる。
なお、カードハウス構造を有する窒化ホウ素凝集粒子は、例えば国際公開第2015/119198号に記載される方法で製造することができる。本発明における窒化ホウ素凝集粒子は、ボールミル等の表面に力を加える処理を行わないことが好ましい。
カードハウス構造を有する窒化ホウ素凝集粒子を用いる場合、当該粒子は表面処理剤により表面処理が施されていてもよい。
表面処理剤は、一例としてシランカップリング処理などの公知の表面処理剤を用いることができる。一般的に、熱伝導性フィラーと熱可塑性樹脂との間には直接的な親和性や密着性は認められない場合が多く、これは熱伝導性フィラーとしてカードハウス構造を有する窒化ホウ素凝集粒子を用いた場合も同様である。熱伝導性フィラーとマトリクス樹脂との界面の密着性を化学的処理により高める事で、界面での熱伝導性減衰をより低減できると考えられる。
本発明の熱伝導性フィラーとして窒化ホウ素凝集粒子を用いることで、一次粒子をそのまま用いた熱伝導性フィラーに比べて、粒径を大きくすることができる。
熱伝導性フィラーの粒径を大きくすることによって、熱伝導率の低い熱可塑性樹脂を介した熱伝導性フィラー間の伝熱経路を少なくでき、従って、厚み方向の伝熱経路中での熱抵抗増大を低減できる。
上記の観点から、窒化ホウ素凝集粒子の体積基準の最大粒子径Dmax(以下「最大粒子径」とも称する)の下限は、好ましくは20μm以上であり、より好ましくは30μm以上であり、さらに好ましくは50μm以上である。一方、前記最大粒子径Dmaxの上限は、好ましくは300μm以下であり、より好ましくは200μm以下であり、さらに好ましくは100μm以下であり、よりさらに好ましくは90μm以下である。
また、窒化ホウ素凝集粒子の体積基準の平均粒子径D50の下限は、好ましくは2μm以上であり、より好ましくは5μm以上であり、さらに好ましくは10μm以上であり、よりさらに好ましくは20μm以上である。一方、前記平均粒子径D50の上限は、好ましくは300μm以下であり、より好ましくは200μm以下であり、さらに好ましくは100μm以下であり、よりさらに好ましくは80μm以下である。
窒化ホウ素凝集粒子の最大粒子径が上記上限以下であることにより、マトリクス樹脂中に窒化ホウ素凝集粒子を含有させた場合に、マトリクス樹脂と窒化ホウ素凝集粒子の界面が減少する結果、熱抵抗が小さくなり、高熱伝導化を達成できるとともに、表面荒れなどのない良質な膜を形成できる。最大粒子径が上記下限以上であることにより、パワー半導体デバイスに求められる熱伝導性フィラーとしての十分な熱伝導性向上効果を得ることができる。
また、熱伝導性樹脂シートの厚みに対してマトリクス樹脂と窒化ホウ素凝集粒子の界面の熱抵抗の影響が顕著になるのは、熱伝導性樹脂シートの厚みに対する窒化ホウ素凝集粒子の大きさが1/10以下の場合であると考えられる。特に、パワー半導体デバイス向けの場合、厚みが100μm~300μmの熱伝導性樹脂シートが適用されるケースが多いため、熱伝導性の観点からも、窒化ホウ素凝集粒子の体積基準の最大粒子径Dmaxは上記下限より大きいことが好ましい。
また、窒化ホウ素凝集粒子の最大粒子径Dmaxが上記下限以上であることにより、窒化ホウ素凝集粒子とマトリクス樹脂との界面によりもたらされる熱抵抗の増大が抑制されるだけでなく、必要となる粒子間の熱伝導パス数が減少して、熱伝導性樹脂シートの厚み方向に一方の面から他方の面まで繋がる確率が大きくなる。
さらに、窒化ホウ素凝集粒子の最大粒子径Dmaxが上記下限以上であることにより、Dmaxが上記下限より小さい粒子を同質量用いた場合に比べて、マトリクス樹脂と窒化ホウ素凝集粒子との界面面積が小さくなることから、熱伝導性樹脂シート中において、マトリクス樹脂と窒化ホウ素凝集粒子の界面に発生し易いボイドの発生を低減する事ができ、優れた耐電圧特性を得やすい。
一方で、窒化ホウ素凝集粒子の体積基準の最大粒子径Dmaxが上記上限以下であることにより、熱伝導性樹脂シートの表面への窒化ホウ素凝集粒子の突出が抑えられ、表面荒れのない良好な表面形状が得られるため、銅基板と貼り合わせたシートを作製する際に、十分な密着性を有し、優れた耐電圧特性を得ることができる。
熱伝導性樹脂シートの厚みに対する、窒化ホウ素凝集粒子の大きさ(Dmax)の比率(Dmax/厚さ)は0.3以上1.0以下であるのが好ましく、中でも0.35以上或いは0.95以下、その中でも0.4以上或いは0.9以下であるのがさらに好ましい。
なお、窒化ホウ素凝集粒子の最大粒子径Dmax及び平均粒子径D50は、例えば以下の方法で測定できる。
窒化ホウ素凝集粒子を溶剤に分散させた試料、具体的には、分散安定剤としてヘキサメタリン酸ナトリウムを含有する純水媒体中に窒化ホウ素凝集粒子を分散させた試料に対して、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA-920(堀場製作所社製)にて粒度分布を測定し、得られた粒度分布から窒化ホウ素凝集粒子の最大粒子径Dmax及び平均粒子径D50を求めることができる。
また、モフォロギG3(マルバーン社製)等の乾式の粒度分布測定装置で最大粒子径及び平均粒子径を求めることもできる。
熱可塑性樹脂中に添加された窒化ホウ素凝集粒子の最大粒子径Dmax及び平均粒子径D50についても、溶媒(加熱溶媒を含む)中で熱可塑性樹脂を溶解除去、あるいは、膨潤させて窒化ホウ素凝集粒子との付着強度を低減せしめた後に物理的に除去し、さらには樹脂成分を大気下で加熱し灰化させて除去することで、上記と同様の方法で測定することが可能である。
(3)各成分の含有量
本発明の樹脂組成物100質量%中の熱可塑性樹脂の含有量の下限は、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。一方、熱可塑性樹脂の含有量の上限は、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましい。
また、本発明の樹脂組成物100質量%中の窒化ホウ素凝集粒子の含有量の下限は、60質量%以上が好ましく、65質量%以上がより好ましい。一方、熱伝導性フィラーの含有量の上限は、85質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。
窒化ホウ素凝集粒子の含有量が上記下限値以上であることによって、窒化ホウ素凝集粒子による熱伝導性の向上効果や、線膨張係数の制御効果が良好に発現する。一方、窒化ホウ素凝集粒子の含有量が上記上限値以下であることによって、樹脂組成物の成形性や、異種材料との界面接着性が良好となる。
一般的には、熱伝導性樹脂組成物の配合比率の規定では、マトリクス樹脂と窒化ホウ素凝集粒子の夫々の体積分率(従って、熱伝導性樹脂シート断面における面積比率)で規定する場合が多い。熱伝導性樹脂シートの厚み方向の熱伝導率に関しては、体積分率だけで決まるものではなく、前述の好ましい粒子サイズ、粒子の配向状態、粒子の形状等の様々な因子が関与してくるものであるため、本発明に於いては、実配合上の利便性から、質量分率を用いている。
特に、カードハウス構造の窒化ホウ素凝集粒子を用いた場合は、該粒子の内部構造がカードハウス構造を呈し、該粒子表面には、放射方向に配向した平板状の窒化ホウ素一次粒子を所謂イガグリ状、あるいは金平糖状と称されるような突起状態で多数を形成し、隣接するカードハウス構造粒子の該突起同士が物理的に接触することになり、厚み方向に熱抵抗の小さい伝熱パスを形成することになる。よって、通常の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察では、マトリクス樹脂と窒化ホウ素凝集粒子の夫々の体積分率を判定することが容易ではない場合がある。さらに、カードハウス構造の窒化ホウ素凝集粒子の添加量を増やしていくと、樹脂組成物の加熱プレス成形時に付加される圧力により、該粒子同士が球状の粒子として接触し合う点接触ではなく、粒子同士が接触した部分が変形し、接触部が直線状に、すなわち、面状に接触している状態が観察される。このような接触状態となった場合、カードハウス構造の窒化ホウ素の添加によって、効率的な熱伝導パス形成が可能となる。しかし、このような場合も、SEM観察でマトリクス樹脂と窒化ホウ素凝集粒子の夫々の体積分率を判定することは容易ではない。
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂及び窒化ホウ素凝集粒子以外に他の成分を含有してもよい。但し、熱伝導性を高める観点からは、他の成分を含有しない方が好ましい。
他の成分としては、リン系、フェノール系他の各種酸化防止剤、フェノールアクリレート系他のプロセス安定剤、熱安定剤、ヒンダードアミン系ラジカル補足剤(HAAS)、衝撃改良剤、加工助剤、金属不活化剤、銅害防止剤、帯電防止剤、難燃剤、シランカップリング剤等の窒化ホウ素凝集粒子と熱可塑性樹脂との界面の親和性を向上させる添加剤、同様にシランカップリング剤等の樹脂シートと金属板状材との密着強度を高める効果を期待できる添加剤、増量剤等を挙げることができる。これらの添加剤を使用する場合の添加量は、通常、これらの目的に使用される量の範囲であればよい。
2.熱伝導性樹脂シート
本発明の熱伝導性樹脂シートは、上記樹脂組成物からなり、吸湿リフロー耐性に優れ、金属板との積層体としたときに熱膨張及び熱収縮による界面剥離が起こり難いという特徴を有している。
前記熱伝導性樹脂シートの25℃における厚み方向の熱伝導率は、15W/m・K以上であることが好ましく、17W/m・K以上であることがより好ましく、19W/m・K以上であることがさらに好ましい。厚み方向の熱伝導率が上記下限値以上であることにより、高温で作動させるパワー半導体デバイス等にも好適に用いることができる。
当該熱伝導率は、熱可塑性樹脂の種類及び溶融粘度等の物性値、窒化ホウ素凝集粒子の構造、吸油量及び含有量、熱可塑性樹脂と窒化ホウ素凝集粒子との混合方法、後述する加熱混練工程における条件等によって調整することができる。
なお、熱伝導率は、以下の方法により測定できる。
まず、レーザーフラッシュ法により、測定温度25℃での樹脂シート厚み方向の熱拡散率a(mm2/秒)を測定する。樹脂系材料における熱拡散率・熱伝導率のJIS規格が存在しないため、JIS R1611・2010(ファインセラミックスのフラッシュ法による熱拡散率・比熱容量・熱伝導率の測定方法)に準拠して測定する。
なお、JIS R1611・2010では、「試料の厚さは、0.5mm以上5mm以下」と規定していることから、樹脂シートの厚みを0.5mm以上に調整して測定する。樹脂シートの厚みが0.5mm未満の場合には、複数枚を重ねて全体の厚みを0.5mm以上に調整して測定してもよい。
次に、JIS K6268に準拠し、アルキメデス法で樹脂シートの密度ρ(g/m)を求める。
さらに、JIS K7123に準拠し、DSC測定装置を用いて25℃での比熱容量c(J/(g・K))を測定する。
これらの各測定値から、「H=a×ρ×c」として25℃でのシート厚み方向の熱伝導率を求めることができる。
熱伝導性樹脂シートの厚みの下限値は、50μm以上が好ましく、60μm以上がより好ましく、70μm以上がさらに好ましい。一方、厚みの上限値は、300μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、160μm以下がさらに好ましい。
熱伝導性樹脂シートの厚みを50μm以上とすることで、十分な耐電圧特性を確保できる。一方、300μm以下とすることで、特に熱伝導性樹脂シートをパワー半導体デバイス等に用いる場合、小型化や薄型化が達成可能であり、また、セラミックス材料による絶縁性熱伝導性層に比較して、薄膜化による厚み方向の熱抵抗低減の効果を得ることができる。
本発明の熱伝導性樹脂シートは、熱伝導率の異方性を少なくして、厚み方向の熱伝導率も高くするために、窒化ホウ素凝集粒子の一次粒子の配向性を低くすることが好ましい。
一次粒子の配向性は、X線回折法により熱伝導性樹脂シートを測定した際に、(002)面の回折ピーク強度をI(002)とし、(100)面の回折ピーク強度をI(100)とした場合の比「I(002)/I(100)」を求めることで評価することができる。
上記比「I(002)/I(100)」が20以下であることが好ましく、17以下であることがより好ましく、15以下であることがさらに好ましい。上記比が20を超える場合、溶融混練工程において窒化ホウ素凝集粒子が崩壊しているか、又は、プレス加圧工程において窒化ホウ素凝集粒子が過剰に潰れており、熱伝導性樹脂シートの面方向と平行、又は成す角度が小さい一次粒子が多くなる。この場合、窒化ホウ素凝集粒子の含有量を高くしても、厚み方向の熱伝導率を高くすることは困難となる。
なお、上記比「I(002)/I(100)」の下限は特に限定されない。例えば、カードハウス構造を有する窒化ホウ素凝集粒子を用いる場合には、当該粒子のみでの比「I(002)/I(100)」が4.5~6.6程度であるため、意図的な配向操作を行う場合を除けば、4.5が下限値となると考えられる。
3.熱伝導性樹脂シートの製造方法
以下、本発明の熱伝導性樹脂シートの製造方法の一例について説明する。
本発明の熱伝導性樹脂シートの製造方法の一例として、例えば混合工程と、プレス成形工程とを含む方法を挙げることができる。
従来の製造方法として、マトリクス樹脂と熱伝導性フィラーを溶剤に分散させたスラリーを基材に塗布して、熱伝導性樹脂膜を得る方法(湿式塗布法)がある。しかし、基板への塗工時に気泡を含んでしまったり、溶剤の乾燥が不十分である場合には塗布膜中の残留溶剤に起因する発泡を生じてしまったりすることによって、耐電圧性能が低下する場合があった。特に、吸油量が大きい窒化ホウ素凝集粒子を用いた場合には、凝集粒子表面の凹凸が多いため、スラリーが増粘しやすく、樹脂との混練時や基板への塗工時に気泡をより含みやすいため、樹脂膜中に気泡が残存しやすく、この耐電圧性能の低下が起こりやすい。
また、上記湿式塗布法では、熱伝導性を高めるために熱伝導性フィラーの添加量を増やすと、塗布したときにスジが発生してしまい、生産性が悪くなる場合があった。特に、吸油量が大きい窒化ホウ素凝集粒子を用いた場合にはこのスジが発生しやすい。
本発明の製造方法では、熱可塑性樹脂が流動性を発現する温度で加圧してシート成形することにより、窒化ホウ素凝集粒子中の空隙に熱可塑性樹脂が圧入されるため、シート内に気泡を含みにくい。加えて、本発明では溶剤を用いずにシートを得ることができるため、残留溶剤に起因する発泡を生じることもない。よって、本発明の製造方法によれば、熱伝導性樹脂シートの耐電圧性能を良好とすることができる。
また、本発明の製造方法では塗布工程を経ないため、吸油量が大きい窒化ホウ素凝集粒子を用いてもスジが発生することはなく、生産性が良好である。
特許文献4及び5の実施例にも記載されているように、従来は熱硬化性樹脂をマトリクス樹脂として用いることが主流であったため、熱伝導性樹脂シートの製造方法としては湿式塗布法が多く用いられていた。この湿式塗布法では、凝集粒子表面の凹凸が多いと上述のような不具合が生じることが多いため、できるだけ凝集粒子表面の凹凸が少ない、すなわち吸油量の小さい凝集粒子が好ましいとされている。
一方で、熱伝導性の観点では、粒子同士の接触面積を増やすために、凝集粒子表面の凹凸が多い、すなわち吸油量の大きい凝集粒子が好ましい。
このように、従来の製造方法を用いる場合においては、耐電圧性能及び生産性の向上と、熱伝導性の向上とは吸油量においてトレードオフの関係であった。
本発明の製造方法によれば、湿式塗布法における不具合を考慮することなく、吸油量の大きい凝集粒子を用いることができるため、耐電圧性能及び生産性を良好にしつつ、熱伝導性を高くすることができる。
(1)混合工程
混合工程では、熱可塑性樹脂からなる粉体と、吸油量が0.95mL/g以上の窒化ホウ素凝集粒子とを、常温で撹拌混合する。
従来の製造方法として、マトリクス樹脂と熱伝導性フィラーを加熱溶融混練する方法がある。しかし、この溶融混練によって熱伝導性フィラーが剪断破壊してしまう場合があった。特に、吸油量が大きい窒化ホウ素凝集粒子を用いた場合には表面の凹凸が多いため、剪断破壊が生じやすい。
そこで本発明では、加熱溶融混練を行わず、熱可塑性樹脂からなる粉体と、吸油量が0.95mL/g以上の窒化ホウ素凝集粒子とを、常温で撹拌混合することによって、剪断破壊を生じにくくし、得られるシートの熱伝導性を高くできる。
(2)プレス成形工程
プレス成形工程では、上記混合工程で得られた混合物をプレスしてシート状に成形する。
プレス成形方法としては、各種公知の熱可塑性樹脂成形用のプレス装置を用いることができる。
加熱プレス中の樹脂劣化を防止する観点から、加熱中のプレス機内の酸素量を低減できる真空プレス装置や、窒素置換装置を備えたプレス装置を用いることが特に好ましい。
プレス成形工程では、上記溶融混練物を厚みの揃ったシート体とする目的に加えて、添加された熱伝導性フィラー同士を接合させヒートパスを形成する目的、シート内のボイドや空隙をなくす目的等から、加圧圧力を設定するのが好ましい。
かかる観点から、プレス成形工程での圧力は、試料に付加される実圧として、通常8MPa以上であり、好ましくは9MPa以上であり、より好ましくは10MPa以上である。 また、好ましくは50MPa以下であり、より好ましくは40MPa以下、さらに好ましくは30MPa以下である。
この加圧時の圧力を上記上限値以下とすることにより、熱伝導性フィラーの破砕を防ぐ事ができ、高い熱伝導性を備えた熱伝導性樹脂シートとすることができる。また、プレス圧力を上記下限値以上とすることで、熱伝導性フィラー間の接触が良好となり、熱伝導パスを形成し易くなり、高い熱伝導性を有するシートを得られ、加えて、樹脂シート中の空隙を少なくできることから、吸湿リフロー試験後においても、高い絶縁破壊電圧を備えた熱伝導性樹脂シートとすることができる。
プレス成形工程におけるプレス装置の設定温度は、熱可塑性樹脂が流動性を発現する温度、例えば主成分となる熱可塑性樹脂の融点+30℃以上であることが好ましい。例えば、ポリエーテルケトン系樹脂を主成分として用いる場合には、プレス装置の設定温度を370℃~440℃とすることが好ましく、中でも380℃以上或いは420℃以下とすることがより好ましい。
この範囲の温度でプレス成形を実施することにより、得られる熱伝導性樹脂シートに、良好な厚み均一性と、添加された窒化ホウ素凝集粒子間の良好な接触による高い熱伝導性を付与できる。成形温度が370℃以上であれば、樹脂粘度が賦形加工に充分なレベルまで低くなり、成形する熱伝導性樹脂シートに十分な厚み均一性を付与することができる。一方、プレス機の設定温度が440℃以下であれば、樹脂自体の劣化や、成形した熱伝導性樹脂シートの物性低下を抑えることができる。
加圧時間は、通常30秒以上で、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上、さらに好ましくは5分以上である。また、好ましくは1時間以下で、より好ましくは30分以下、さらに好ましくは15分以下である。
上記上限値以下であることで、熱伝導性樹脂シートの製造工程時間が抑制でき、耐熱性の熱硬化性樹脂を用いた熱伝導性樹脂シートに比べてサイクル時間を短縮でき、生産コストを抑制できる傾向にある。また、上記下限値以上であることで、熱伝導性樹脂シートの厚みの均一性を十分に得られ、内部の空隙やボイドを十分に取り除くことができ、熱伝導性能や耐電圧特性の不均一を防止することができる。
4.積層放熱シート
本発明の積層放熱シートは、上記本発明の熱伝導性樹脂シートの一方の表面に、放熱性材料を含む放熱用金属層を積層したものである。
当該放熱性材料は、熱伝導性の良好な材質から成るものであれば特段限定されない。中でも、積層構成での熱伝導性を高くするために、放熱用金属材料を用いることが好ましく、中でも平板状の金属材料を用いることがより好ましい。
金属材料の材質は、特に限定されない。中でも、熱伝導性が良く、かつ比較的廉価である点から、銅板、アルミニウム板、アルミニウム合金板等が好ましい。
積層放熱シートにおける放熱用金属材料として平板状の金属材料を用いる場合、当該金属材料の厚みは、十分な放熱性を確保するという理由から、0.03~6mmであることが好ましく、中でも0.1mm以上或いは5mm以下であることがより好ましい。
放熱用金属材料との接着に関して、金属材料の熱伝導性樹脂シートと積層される側の表面に、ソフトエッチング、ヤケメッキ処理、酸化還元処理等による粗面化処理、接着耐久性確保の為の各種金属・金属合金のメッキ処理、アミノ系、メルカプト系等のシランカップリング処理を含む有機系表面処理や、有機・無機コンポジット材料による表面処理等の表面処理を施してもよい。これらの表面処理を行うことによって、初期接着力、接着力の耐久性、吸湿リフロー試験を行った後の界面剥離の抑制効果をさらに良好にすることができる。
一方、放熱用金属材料の熱伝導性樹脂シートと積層される側と反対側の面は、単純な平板でなくてもよく、気体又は液体である冷却媒体との接触面積を確保するために表面積を増大させる加工等が施されていてもよい。
該表面積を増大させる為の加工の例としては、ブラスチング加工等により、表面を荒らして表面積を増大させること、V型・矩形等の溝又は各種形状の凹凸を切削加工やプレス加工により放熱用金属材料に直接形成する方法、平板状の金属材料からなる放熱用金属層に、さらに、鋳込み加工、拡散接合、あるいはボルト締結、ハンダ付け、ロウ付け等により、表面積を増大させる為の加工が賦与された別の金属材を接合することや、金属製のピンを埋め込むこと等を挙げることができる。さらには、冷却媒体を通過させるためのキャビティを有する放熱用金属層に、熱伝導性樹脂シートを直接プレス積層する事も考えられる。しかし、熱伝導性樹脂シートと放熱性金属板とのプレス圧力が比較的高い点から、これらの場合では、平板状の金属材と熱伝導性樹脂シートを積層一体化したものに、後工程で、溝切り加工を施した金属板や、冷媒を流すキャビティを有する金属層と、ハンダ付け、ロウ付け、ボルト接合等で一体化させることが好ましい。
積層放熱シートにおける放熱用金属材料と熱伝導性樹脂シートとの積層一体化に関しては、バッチプロセスであるプレス成形を好ましく用いる事ができる。この場合のプレス設備やプレス条件等は、前述の熱伝導性樹脂シートを得るためのプレス成形条件の範囲と同一である。
5.放熱性回路基板
本発明の放熱性回路基板は、上記積層放熱シートを有するものである。すなわち、本発明の熱伝導性樹脂シートの一方の表面に上記放熱用金属層を積層し、前記熱伝導性樹脂シートの放熱用金属層とは他方の表面に、例えばエッチング処理等により回路基板を形成してなる構成を有するものである。
当該放熱性回路基板の構成としては、「放熱用金属層/熱伝導性樹脂シート/導電回路」で一体化されたものがより好ましい。回路エッチング前の状態としては、例えば「放熱用金属層/熱伝導性樹脂シート/導電回路形成用金属層」の一体化構成で、導電回路形成用金属層が平板状であり、熱伝導性樹脂シートの片面側全表面に形成されたものや、一部面積で形成されたものが挙げられる。
導電回路形成用金属層の材料は、特に限定されない。中でも、一般的には電気伝導性やエッチング性の良さ、コスト面などの観点から、厚み0.05mm以上1.2mm以下の銅の薄板により形成されることが好ましい。
放熱性回路基板の絶縁破壊電圧は40kV/mm以上が好ましく、50kV/mm以上がより好ましく、60kV/mm以上がさらに好ましく、80kV/mm以上がよりさらに好ましい。絶縁破壊電圧が40kV/mm以上であることによって、例えば厚み100μmの熱伝導性樹脂シートであっても、絶縁破壊電圧として4kV以上を得ることができ、絶縁破壊電圧が80kV/mm以上であれば、厚み50μmでも4kV以上の絶縁破壊電圧を得られるため、熱抵抗の点で有利な薄い熱伝導性樹脂層を用いつつ、十分な耐電圧性能を有し、高電圧印加時の絶縁破壊の発生を抑えることができる。
6.パワー半導体デバイス
本発明の熱伝導性樹脂シート乃至本発明の積層放熱シートは、パワー半導体デバイス用の放熱シートとして好適に用いることができ、信頼性の高いパワー半導体モジュールを実現することができる。
当該パワー半導体デバイスは、上記熱伝導性樹脂シート又は上記積層放熱シートを用いたパワー半導体デバイスであり、上記熱伝導性樹脂シート又は上記積層放熱シートを放熱性回路基板としてパワー半導体デバイス装置に実装したものである。
該パワー半導体デバイス装置は、高い熱伝導性による放熱効果で、高い信頼性のもとに、高出力、高密度化が可能である。
パワー半導体デバイス装置において、熱伝導性樹脂シート又は積層放熱シート以外のアルミ配線、封止材、パッケージ材、ヒートシンク、サーマルペースト、はんだというような部材は従来公知の部材を適宜採用できる。
<語句の説明>
本発明において「X~Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」あるいは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)あるいは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」あるいは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
本発明において「シート」とは、シート、フィルム、テープを概念的に包含するものである。
以下、実施例により本発明を更に詳説する。但し、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1、2及び比較例1~3>
実施例1、2及び比較例1~3における熱伝導性樹脂シートの使用材料、作製方法、および測定条件・評価方法は以下の通りである。
[使用材料]
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂1:ポリエーテルエーテルケトン「KetaSpire KT-880FP」(ソルベィ社製、融点:343℃、溶融粘度:0.15kPa・s(400℃)、平均粒子径(D50):30.0~45.0μm、MFR:86g/10分、質量平均分子量(Mw):58000を使用した。
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂1:エポキシ系樹脂組成物(ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製、ポリスチレン換算の質量平均分子量:60000)8.74質量部、水添ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製)10.93質量部、p-アミノフェノール型液状エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製)2.62質量部、フェノール樹脂系硬化剤「MEH-8000H」(明和化成社製)5.73質量部、硬化触媒である1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール「C11Z-CN」(四国化成社製、分子量275)0.48質量部)を使用した。
(熱伝導性フィラー)
熱伝導性フィラーは以下の通りである。
熱伝導性フィラー1:カードハウス構造を有する窒化ホウ素凝集粒子(吸油量:1.12mL/g、平均粒子径(D50):35μm、最大粒子径Dmax:90μm)
熱伝導性フィラー2:カードハウス構造を有する窒化ホウ素凝集粒子(吸油量:1.00mL/g、平均粒子径(D50):34μm、最大粒子径Dmax:90μm)
熱伝導性フィラー3:カードハウス構造を有する窒化ホウ素凝集粒子(吸油量:0.82mL/g、平均粒子径(D50):34μm、最大粒子径Dmax:90μm)
熱伝導性フィラー1は、以下に記載する方法で作製した。
(原料)
原料として、粉末X線回折測定(Cu-Kα)により得られる(002)面ピークの半値幅が2θ=0.67°、酸素濃度が7.5重量%である六方晶窒化ホウ素(以下「原料h-BN粉末」と記載):10000gと、バインダー(多木化学(株)製「タキセラムM160L」、固形分濃度21質量%):11496gと、界面活性剤(花王(株)製界面活性剤「アンモニウムラウリルサルフェート」:固形分濃度14質量%):250gを用いた。
(スラリーの調製)
原料h-BN粉末を樹脂製のボトルに上記の量計量し、次いでバインダーを上記の量で添加した。さらに、界面活性剤を上記の量で添加した後、ジルコニア性のセラミックボールを添加して、ポットミル回転台で1時間撹拌してBNスラリーを得た。このスラリーの粘度は、810mPa・sであった。
(造粒)
前記BNスラリーを、スプレードライヤー(大河原化工機株式会社製FOC-20)を用いて、ディスク回転数20000~23000rpm、乾燥温度80℃の条件で噴霧乾燥して、球状のBN造粒粒子を得た。
(熱分解)
上記BN造粒粒子を大気雰囲気にて700℃で5時間加熱処理して前駆体粒子を得た。
(窒化ホウ素凝集粒子の作製)
上記前駆体粒子を、円形の黒鉛製蓋つきルツボに円盤状に充填し、室温で常圧の窒素ガス流通にて炉内を置換し、窒素ガスを流通しながら2000℃まで83℃/時で昇温し、2000℃到達後、そのまま窒素ガスを流通しながら5時間保持し、その後、室温まで冷却した。坩堝から取り出した被焼成物から黒鉛と接触していた部位を除去し、乳鉢と乳棒を用いて人力で解砕、続いてロールミルで処理してカードハウス構造を有する球状の窒化ホウ素凝集粒子を得た。
得られた窒化ホウ素凝集粒子を、開き目90μmの篩を用いて篩分けを行い、篩を通過した粒子のみを熱伝導性フィラー1として用いた。
熱伝導性フィラー2は、上記方法で得た熱伝導性フィラー1を、直径10mmのナイロンボールを用いたビーズミルで10分乾式処理することで、凝集粒子表面の一次粒子が折れ曲がり凝集粒子を覆う様に折れた構造となった球状の凝集粒子を用いた。
熱伝導性フィラー3は、上記方法で得た熱伝導性フィラー1を直径10mmのナイロンボールを用いたビーズミルで30分乾式処理することで、凝集粒子表面の一次粒子が折れ曲がり凝集粒子を覆う様に折れた構造となった球状の凝集粒子を用いた。図2に示すように、この凝集粒子単体のSEM観察像から、凝集粒子自体の崩壊・破損はなく、内部のカードハウス構造も維持されていると判断される。
なお、窒化ホウ素凝集粒子の吸油量は、JIS K5101-13-1:2004(「顔料試験方法」-第13部:吸油量-第1節:精製あまに油法)に従い、具体的には以下の方法で測定した。
窒化ホウ素凝集粒子の粉末2gを時計皿に秤取り、該粉末上に、精製あまに油を容量10mLのビュレットから数滴ずつ滴下する。滴下する度にスパチュラで精製あまに油を窒化ホウ素凝集粒子粉末に練り込む。あまに油と粉末の混合物が一つの塊状になるまでこれを繰り返す。以降、滴下を1滴ずつとしながら、滴下する度にスパチュラによって混練することを繰り返し、あまに油と粉末の混合物が割れたり分離したりせずに一様に滑らかな硬さになった所を終点とする。測定値を粉末1gに換算した値を吸油量とする。吸油量が大きく、試料2gでは上記作業がやりづらい場合は、試料を1gにして同様の操作を繰り返す。
なお、窒化ホウ素凝集粒子の最大粒子径Dmax及び平均粒子径D50は、以下の方法で測定した値である。
ヘキサメタリン酸ナトリウムを含有する純水媒体10mL中に、窒化ホウ素凝集粒子20mgを超音波で分散させた試料に対して、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA-920(堀場製作所社製)を用いて粒度分布を測定し、得られた粒度分布から窒化ホウ素凝集粒子の最大粒子径Dmax及び平均粒子径D50を求めた。
[実施例1、2及び比較例1の熱伝導性樹脂シートの作製]
マトリクス樹脂の粉体及び熱伝導性フィラーの粉体を常温で混合し、得られた粉体混合物を、高温真空プレス装置(北川精機社製)でプレス温度395℃、プレス面圧10MPaで10分間プレスを行い、15cm四方で厚み150μmの熱伝導性樹脂シート、及び、15cm四方で厚み500μmの熱伝導性樹脂シートを得た。この際、粉体の量を調整してシートの厚みを調整した。
そして、厚み150μmの熱伝導性樹脂シートは、後述する吸湿リフロー試験の供試体とし、厚み500μmの熱伝導性樹脂シートは、後述する熱伝導率の測定用の供試体とした。
ここで、上記の10分間とは、真空プレス機の内部を150℃に予熱しておき、そこに上記粉体混合物をプレス仕込み構成物として投入し、真空ポンプを作動させつつ、粉体混合物に数MPaの軽い与圧を掛けておき、プレス機内部温度を395℃に設定し、40分間の昇温の後、プレス面圧10MPaとなるように設定し、10分間という意味である。10分経過後は、プレス機内部温度を再び150℃として、内部温度が150℃に漸近した所で真空を解除し、熱伝導性樹脂シートを取り出した。
上記プレス仕込み構成物とは、下部メッキ板上に、厚み6mm、外辺の縦横が各20cmであり、内部に縦横各15cm×15cmの開口が開けられた額縁状のスペーサーを載置し、スペーサー内に、厚み150μmのプレスシート又は厚み500μmのプレスシートを得るのに必要な質量の粉末状の混合物を散布し、更に15cm×15cmの上記開口部に厚み5.85mm(試料厚み150μmを採取する場合)、または厚み5.50mm(試料厚み500μmを採取する場合)で、縦横各14.6cm×14.6cmの落とし蓋を嵌め込み、上部メッキ板を載せた、バッチでの一回のプレスに必要な構成物である。
[比較例2及び3の熱伝導性樹脂シートの作製]
エポキシ系樹脂組成物と熱伝導性フィラーとの総量が100質量%となるように熱伝導性フィラーを添加し、さらに上記エポキシ系樹脂組成物と熱伝導性フィラーとの合計の固形分濃度が62.8質量%となるように、メチルエチルケトンとシクロヘキサノンの混合溶液(混合比(体積比)1:1)を37.2質量%加えて混合し、塗布スラリー(シート用塗工液)を得た。これらの混合に際しては、手撹拌の後、自公転撹拌機「泡取り錬太郎 AR-250」を用いて2分間撹拌を行った。
上記で得られた塗布スラリーを、ドクターブレード法で厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下「PETフィルム」ともいう)上に塗布し、60℃で120分間加熱乾燥を行った後、プレス温度42℃、プレス面圧15MPaで10分間プレスを行い、未硬化のエポキシ樹脂シート状成形体を得た。このエポキシ樹脂シート状成形体は、後述する吸湿リフロー試験の供試体とした。
また、後述する熱伝導率の測定に用いる厚み500μmの熱伝導性樹脂シートを以下の方法で作製した。上記未硬化のエポキシ樹脂シート状成形体を10cm×10cmに切り出し、当該成形体を4枚積層したものをプレス仕込み構成物とし、実施例1及び比較例1において厚み500μmのシートを得る場合と同様のスペーサーと落とし蓋を用いて、プレス温度175℃、プレス面圧10MPaで1時間プレスを行い、厚み500μmの熱伝導性樹脂シートを得た。なお、積層した未硬化エポキシ樹脂シート状成形体の厚み過剰分は、シート寸法10cm×10cmとスペーサー寸法15cm×15cmの間の空容積部分で吸収している。
<測定条件、評価方法>
実施例1、2及び比較例1~3の熱伝導性樹脂シートについて、以下の方法で測定及び評価を行った。
[25℃での熱伝導率]
実施例1、2及び比較例1~3で得られた厚み500μmの熱伝導性樹脂シート(供試体)から、10mm四方の大きさに切り出した測定用試料を用い、「レーザー光吸収用スプレー(ファインケミカルジャパン社製「ブラックガードスプレーFC-153」)を両面に薄く塗布して乾燥させた後、キセノンフラッシュアナライザー(NETZSCH社製「LFA447・NanoFlash300」)によるレーザーフラッシュ法測定で、測定温度25℃での樹脂シート厚み方向の熱拡散率a(mm2/秒)を測定した。測定は、同一シートから切り出した5点について実施し、その算術平均値を求めた。
次に、JIS K6268に準拠し、アルキメデス法にて、比重測定機(エー・アンド・デイ社製)を用いて樹脂シートの密度ρ(g/m)を求めた。また、JIS K7123に準拠し、DSC測定装置(ThermoPlusEvo DSC8230、リガク社製)を用いて25℃での比熱容量c(J/(g・K))を測定した。
これらの各測定値から、「H=a×ρ×c」として25℃でのシート厚み方向の熱伝導率を求めた。
なお、前記の熱拡散率a(mm/秒)は、樹脂系材料の熱拡散率・熱伝導率に関するJIS規格が存在しない事から、JIS R1611・2010(ファインセラミックスのフラッシュ法による熱拡散率・比熱容量・熱伝導率の測定方法)を参考にしており、同規格が「試料の厚さは、0.5mm以上5mm以下」と規定している事から、熱伝導率測定に供する試料のみ厚みを0.5mmに調整して測定した。
[吸湿リフロー試験前の絶縁破壊電圧(BDV)]
(放熱用回路基板の作製)
実施例1、2及び比較例1で作製した厚み150μmの熱伝導性樹脂シートを40mm×80mmのサイズに切断して、回路基板用熱伝導性樹脂シートとした。
他方、放熱用金属板状材となる40mm×80mmのサイズの、厚み2000μmの銅板、及び、導電回路形成用銅板となる40mm×80mmのサイズの、厚み500μmの銅板を、前記回路基板用熱伝導性樹脂シート1枚に対し、各1枚用意した。
厚み2000μmの銅板、及び厚み500μmの銅板の片面をそれぞれ事前に#100のサンドペーパーで研磨することで表面を粗化処理し、厚み違いの銅板各1枚ずつの粗化処理面が前記回路基板用熱伝導性樹脂シートに対向する様に、前記回路基板用熱伝導性樹脂シートを挟み、プレス温度390℃、プレス面圧13MPaで10分間、プレスを行い、「放熱用金属板状材(銅板)/熱伝導性樹脂シート/導電回路形成用銅板」からなる積層放熱シートを得た。
一方、熱硬化性樹脂から成る熱伝導性樹脂シートである比較例2及び3については、未硬化、或いは極僅かにしか硬化反応の進行していない厚み150μmのエポキシ樹脂シート状成形体を上記粗化処理した放熱用金属板状材(銅板)と導電回路形成用銅板で挟み、プレス温度175℃、プレス面圧10MPaで30分間真空プレスを行い、熱硬化性樹脂の硬化反応を完結させ、「放熱用金属板状材(銅板)/熱伝導性樹脂シート/導電回路形成用銅板」からなる積層放熱シートを得た。
さらに、夫々の積層放熱シートの前記導電回路形成用銅板にエッチング処理を施し、パターニングすることで放熱性回路基板を得た。パターンは40mm×80mmの熱伝導性樹脂シート上に、φ25mmの円状パターンの導電回路用銅板が2カ所残存するようにした。
(絶縁破壊電圧(BDV)の測定)
上記の方法で、実施例1、2及び比較例1~3で得た熱伝導性樹脂シートを用いて作製した放熱性回路基板を、フロリナートFC-40(3M社製)に浸し、超高電圧耐圧試験器7470(計測技術研究所社製)を用いて、上記放熱性回路基板にエッチングによりパターニングしたφ25mmの銅板上に、φ25mmの電極を置いて、0.5kV電圧を印加し、60秒おきに0.5kVずつ昇圧していき、絶縁破壊に至るまで測定を実施した。測定は、周波数60Hz、昇圧速度1000V/secで実施した。
絶縁破壊電圧が単位厚み当たり(厚み1mmの場合の換算値)で60kV/mm以上である場合は「〇(good)」、40kV/mm以上で60kV/mmに未満の場合は「△(not good)」、40kV/mm未満の場合は「×(poor)」と表記した。これらの測定結果を表1中に示した。
吸湿リフロー試験前の絶縁破壊電圧(BDV)の評価は、耐電圧性能の評価とすることができる。
[吸湿リフロー試験後の絶縁破壊電圧(BDV)]
(絶縁破壊電圧(BDV)の測定)
実施例1、2及び比較例1~3で得た熱伝導性樹脂シートを用いて、上記[吸湿リフロー試験前の絶縁破壊電圧(BDV)]と同じ方法で作製した放熱性回路基板を、恒温恒湿機SH-221(エスペック社製)を用いて85℃、85%RHの環境に3日保管した後、30分以内に窒素雰囲気下において室温から290℃まで12分で昇温し、290℃で10分保持した後、室温まで冷却した(吸湿リフロー試験)。その後、放熱性回路基板をフロリナートFC-40(3M社製)に浸し、超高電圧耐圧試験器7470(計測技術研究所社製)を用いて、上記放熱性回路基板にエッチングによりパターニングしたφ25mmの銅板上に、φ25mmの電極を置いて、0.5kV電圧を印加し、60秒おきに0.5kVずつ昇圧していき、絶縁破壊に至るまで測定を実施した。測定は、周波数60Hz、昇圧速度1000V/secで実施した。
絶縁破壊電圧が単位厚み当たり(厚み1mmの場合の換算値)で60kV/mm以上である場合は「〇(good)」、40kV/mm以上で60kV/mmに満たない場合は「△(not good)」、40kV/mm未満の場合は「×(poor)」と表記した。これらの測定結果を表1中に示した。
吸湿リフロー試験後の絶縁破壊電圧(BDV)の評価は、吸湿リフロー耐性の評価とすることができる。
[吸湿リフロー試験後の試料状態の観察]
実施例1、2及び比較例1~3で作製した放熱性回路基板を上記と同様に吸湿リフロー試験した後、超音波映像装置FinSAT(FS300III)(日立パワーソリューションズ製)により、上記エッチングによりパターニングしたφ25mmの銅電極と熱伝導性樹脂シートの界面を観察した。測定には周波数50MHzのプローブを用い、ゲイン30dB、ピッチ0.2mmとし、試料を水中に置いて実施した。界面に剥離や浮き、ボイドの発生が認められないものを「○(good)」、界面に剥離や浮き、ボイドの発生が認められたものを「×(poor)」と表記した。この評価結果も表1に示した。
吸湿リフロー試験後界面剥離の評価は、熱伝導性樹脂シートを金属板と積層してリフロー工程を行う際に、熱膨張及び熱収縮による界面剥離及び熱伝導性樹脂シートの発泡に起因する変形が起こり易いか否かの評価とすることができる。
Figure 2022055740000003
実施例1及び2と比較例1とを比べると、吸油量が0.95mL/g以上の窒化ホウ素凝集粒子を用いることにより、熱伝導率が顕著に良好となることが分かった。
また、吸湿リフロー試験前・後の絶縁破壊電圧の値に関し、実施例1及び2と比較例2及び3とを比べると、マトリクス樹脂として300℃以上の融点を有する熱可塑性樹脂を用いることにより、耐電圧性能及び吸湿リフロー耐性が良好となることが分かった。
さらに、実施例1及び2では、熱可塑性樹脂からなる粉体と、吸油量が0.95mL/g以上の窒化ホウ素凝集粒子とを混合する混合工程と、前記混合物をプレスしてシート成形するプレス成形工程とを含む製造方法であることによって、耐電圧性能と熱伝導率を両立できることが分かった。
比較例2では、エポキシ系樹脂と吸油量が大きい窒化ホウ素凝集粒子を用いて、従来の湿式塗布法によってシート成形した。窒化ホウ素凝集粒子の表面の凹凸が大きいため、塗布製膜したときにスジが発生してしまい、シート内に気泡も多く含んでしまったために、耐電圧性能が低下してしまったと考えられる。このシート内の気泡の影響により、同じフィラーを同量配合した実施例2に比べて熱伝導率も劣っていた。
比較例3では、エポキシ系樹脂と吸油量が小さい窒化ホウ素凝集粒子を用いて、従来の湿式塗布法によってシート成形した。窒化ホウ素凝集粒子の表面の凹凸が少ないため、塗布製膜によるスジは低減されていて、耐電圧性能は許容範囲内であったものの、吸湿リフロー耐性が不良であり、熱伝導率も低かった。

Claims (13)

  1. 熱可塑性樹脂及び吸油量が0.95mL/g以上の窒化ホウ素凝集粒子を含有する、熱伝導性樹脂シート。
  2. 前記熱可塑性樹脂が、300℃以上の融点を有する、請求項1に記載の熱伝導性樹脂シート。
  3. 前記熱可塑性樹脂が、ポリエーテルケトン系樹脂を含有する、請求項1又は2に記載の熱伝導性樹脂シート。
  4. 前記窒化ホウ素凝集粒子の吸油量が2.0mL/g未満である、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂シート。
  5. 前記窒化ホウ素凝集粒子がカードハウス構造を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂シート。
  6. 前記熱可塑性樹脂を15質量%以上40質量%以下含み、前記窒化ホウ素凝集粒子を60質量%以上85質量%以下含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂シート。
  7. 厚みが50μm以上300μm以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂シート。
  8. 25℃での厚み方向の熱伝導率が15W/m・K以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂シート。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂シートの一方の表面に、放熱用金属層を積層してなる構成を備えた積層放熱シート。
  10. 請求項9に記載の積層放熱シートを有する放熱性回路基板。
  11. 前記熱伝導性樹脂シートの他方の表面に、導電回路が形成されてなる構成を備えた請求項10に記載の放熱性回路基板。
  12. 請求項10又は11に記載の放熱性回路基板を有するパワー半導体デバイス。
  13. 熱可塑性樹脂からなる粉体と、吸油量が0.95mL/g以上の窒化ホウ素凝集粒子との混合物を得る混合工程と、前記混合物をプレスしてシート成形するプレス成形工程と、を含む、熱伝導性樹脂シートの製造方法。
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