JP2021160312A - 繊維強化樹脂成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】補強層の中に含まれる気泡を抑制することができる繊維強化樹脂成形品の製造方法を提供する。【解決手段】プリフォームと型20の面の少なくとも一部との間に間隙ができるようにプリフォームを前記型に設置する工程と、前記型内でプリフォームの外周部に対して樹脂を供給する工程と、前記型の少なくとも一部をプリフォームに対して近づけて押圧しながら真空脱気を行う工程と、を含む、繊維強化樹脂成形品の製造方法。【選択図】図6
Description
本開示は、樹脂が含浸された繊維層によって補強された成形品(繊維強化樹脂成形品)の製造方法に関する。
例えば、燃料電池車用高圧タンクは、当該高圧タンクの内部空間を形成するライナを有し、このライナに対してその外周に樹脂が含浸された繊維層からなる補強層が配置されることにより高い強度を実現している。また、燃料電池車用高圧タンクに限らず、高い強度を実現するため、補強層を配置して繊維強化樹脂成形品とすることがある。
このような繊維強化樹脂成形品を作製には、ライナに繊維を巻き付けて繊維層を形成したプリフォームを準備し、繊維層に硬化前の樹脂を含浸させて硬化することで補強層とするRTM(Resin Transfer Molding)という方法がある。
特許文献1には、RTMによる高圧タンクの製造方法が開示され、ここには高圧タンクの内部空間を形成するライナの外表面に繊維層が形成されたプリフォームを金型内に配置し、この金型内に配置されたプリフォームに向けて樹脂を射出しながら、プリフォームの中心軸線を回転中心にしてプリフォームを金型内で周方向に回転させることで樹脂を繊維層に含浸することが開示されている。
このようなRTMでは、樹脂の流動中に巻き込んだ空気や樹脂の硬化中に発生したガスが気泡となることがあり、気泡を多く含んだまま樹脂が硬化すると繊維強化樹脂成形品の品質を低下させてしまう虞がある。
本開示は、これらの実情に鑑みてなされたものであり、補強層の中に含まれる気泡を抑制することができる繊維強化樹脂成形品の製造方法を提供することを主目的とする。
本願は、プリフォームと型の面の少なくとも一部との間に間隙ができるようにプリフォームを型に設置する工程と、型内でプリフォームの外周部に対して樹脂を供給する工程と、型の少なくとも一部をプリフォームに対して近づけて押圧しながら真空脱気を行う工程と、を含む、繊維強化樹脂成形品の製造方法を開示する。
本開示の製造方法によれば、型の少なくとも一部をプリフォームに近づけて押圧しながら真空脱気を行うことで、集まった空気やガスを除去することが可能となるため、タンクの品質を向上させることができる。
[含浸装置]
図1乃至図3には、含浸対象であるプリフォーム10、及び、プリフォーム10に樹脂を含浸させるための型20を概略的に示した。図1乃至図3、及び以降に示す図では、型20は切断面(ハッチングを付している。)、プリフォーム10は断面ではなく表面で表し、プリフォーム10の内側の形態は破線で表している。
図1は型20、及び、プリフォーム10を分解して表した図である。図1(a)はプリフォーム10の筒状である軸線に沿った方向の切断面、図1(b)は当該軸線に直交する切断面で図1(a)のA−A’に沿った切断面である。
図2はプリフォーム10が型20に設置された一場面を表す図である。図2(a)はプリフォーム10の筒状である軸線に沿った方向の切断面、図2(b)は当該軸線に直交する切断面で図2(a)のB−B’に沿った切断面である。
図3はプリフォーム10が型20に設置された他の場面を表す図で、後述する加圧部材22が後退した場面を表す図である。図3(a)はプリフォーム10の筒状である軸線に沿った方向の切断面、図3(b)は当該軸線に直交する切断面で図3(a)のC−C’に沿った切断面である。
図1乃至図3には、含浸対象であるプリフォーム10、及び、プリフォーム10に樹脂を含浸させるための型20を概略的に示した。図1乃至図3、及び以降に示す図では、型20は切断面(ハッチングを付している。)、プリフォーム10は断面ではなく表面で表し、プリフォーム10の内側の形態は破線で表している。
図1は型20、及び、プリフォーム10を分解して表した図である。図1(a)はプリフォーム10の筒状である軸線に沿った方向の切断面、図1(b)は当該軸線に直交する切断面で図1(a)のA−A’に沿った切断面である。
図2はプリフォーム10が型20に設置された一場面を表す図である。図2(a)はプリフォーム10の筒状である軸線に沿った方向の切断面、図2(b)は当該軸線に直交する切断面で図2(a)のB−B’に沿った切断面である。
図3はプリフォーム10が型20に設置された他の場面を表す図で、後述する加圧部材22が後退した場面を表す図である。図3(a)はプリフォーム10の筒状である軸線に沿った方向の切断面、図3(b)は当該軸線に直交する切断面で図3(a)のC−C’に沿った切断面である。
以下の説明からもわかるように、本開示は、プリフォームに具備された繊維層に対して樹脂組成物を含浸させ、その後に硬化させることで補強層を形成する、いわゆるRTM(Resin Transfer Molding)による繊維強化樹脂成形品に関連するものである。
<プリフォーム>
プリフォームは、最終的に高圧タンク等の繊維強化樹脂成形品となる中間部材である。以下、繊維強化樹脂成形品の1つの態様として高圧タンクを例に説明をする。本形態は高圧タンクの中でも燃料電池車用の高圧タンクである。
図1乃至図3からわかるように、プリフォーム10は、少なくともライナ11及び繊維層12を有して構成されている。
プリフォームは、最終的に高圧タンク等の繊維強化樹脂成形品となる中間部材である。以下、繊維強化樹脂成形品の1つの態様として高圧タンクを例に説明をする。本形態は高圧タンクの中でも燃料電池車用の高圧タンクである。
図1乃至図3からわかるように、プリフォーム10は、少なくともライナ11及び繊維層12を有して構成されている。
ライナ11は、高圧タンクの内部空間を区画する中空の筒状部材である。ライナはその内部空間に収容されたものを漏らすことなく保持することができる材料で構成されていればよく、材料は公知のものを用いることができるが、例えばナイロン樹脂、ポリエチレン系の合成樹脂からなるもの、及び、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属等からなるものである。
ライナ11の厚さは特に限定されるものではないが、0.5mm乃至1.0mmであることが好ましい。
ライナ11の厚さは特に限定されるものではないが、0.5mm乃至1.0mmであることが好ましい。
繊維層12は、ライナ11の外表面に繊維が所定の厚さにまで何層にも亘って巻き付けられた層である。繊維層12の厚さは必要な強度により決められるため特に限定されることはないが、10mm乃至30mm程度の厚さとされている。特に燃料電池車用高圧タンクは、強度確保のために繊維層を厚く形成する必要であり、繊維層への樹脂の含浸という観点から含浸時の圧力が高くなる。
繊維層の繊維は炭素繊維が用いられおり、詳しくは炭素繊維が束となって所定の断面形状(例えば長方形断面)を有する帯状の炭素繊維束である。このような炭素繊維束がライナ11の外表面に巻き付けられることで繊維層が形成されている。また、ライナ11の外表面への繊維(束)の巻き付けは、例えばフィラメントワインディング法等により行われる。
繊維層の繊維は炭素繊維が用いられおり、詳しくは炭素繊維が束となって所定の断面形状(例えば長方形断面)を有する帯状の炭素繊維束である。このような炭素繊維束がライナ11の外表面に巻き付けられることで繊維層が形成されている。また、ライナ11の外表面への繊維(束)の巻き付けは、例えばフィラメントワインディング法等により行われる。
このようなプリフォーム10の繊維層12に対して樹脂を含浸し、その外周にさらにガラス繊維による保護層を形成することにより、高圧タンクとなる。
<型>
型20はプリフォーム10の繊維層12に対して樹脂を含浸するための型であり、本形態では上型21及び下型25を有して構成されている。上型21と下型25とが重なることで、型20の内側にプリフォーム10の形状に沿った内部空間が形成される。この内部空間は密閉された空間を形成することできる。
型20はプリフォーム10の繊維層12に対して樹脂を含浸するための型であり、本形態では上型21及び下型25を有して構成されている。上型21と下型25とが重なることで、型20の内側にプリフォーム10の形状に沿った内部空間が形成される。この内部空間は密閉された空間を形成することできる。
本形態で上型21は、図2(a)、図2(b)に直線矢印で示したように下型25に対して相対的に移動することができる。これによりプリフォーム10の型20への設置、型20からの離脱(離型)をすることができる他、プリフォーム10に対して圧力を負荷するように移動させ、及び、この負荷された圧力を除荷するような移動も可能とされている。
さらに本形態で上型21は、設置されるプリフォーム10に対して進行及び後退するように移動可能な加圧部材22が備えられている。すなわち上型21の一部が移動することができるように構成されている。
加圧部材22は、そのプリフォーム10側の面22aは、プリフォーム10の形状に沿った形状を有している。従って、加圧部材22は図2(a)、図2(b)からわかるように、加圧部材22がプリフォーム10側に進行した状態では面22aが上型10の他の面と面一となり、プリフォーム10の外形に沿って配置される。この時、面22aとは反対側の面22bは、上型21の他の部位に対して間隙22cが形成されている。従って、加圧部材22は、図3(a)、図3(b)に示したように、この間隙22cを埋め、面22bが上型21の他の部位に接触するように移動し、加圧部材22がプリフォーム10に対して後退する姿勢とすることができる。このときには、上型21と下型25とが連結されていても加圧部材22の面22aとプリフォーム10との間に間隙が形成される。
また、加圧部材22は面22a側と面22b側とが連通する間隙22dを有して上型21に配置されている。
加圧部材22は、そのプリフォーム10側の面22aは、プリフォーム10の形状に沿った形状を有している。従って、加圧部材22は図2(a)、図2(b)からわかるように、加圧部材22がプリフォーム10側に進行した状態では面22aが上型10の他の面と面一となり、プリフォーム10の外形に沿って配置される。この時、面22aとは反対側の面22bは、上型21の他の部位に対して間隙22cが形成されている。従って、加圧部材22は、図3(a)、図3(b)に示したように、この間隙22cを埋め、面22bが上型21の他の部位に接触するように移動し、加圧部材22がプリフォーム10に対して後退する姿勢とすることができる。このときには、上型21と下型25とが連結されていても加圧部材22の面22aとプリフォーム10との間に間隙が形成される。
また、加圧部材22は面22a側と面22b側とが連通する間隙22dを有して上型21に配置されている。
加圧部材22の大きさは特に限定されることはないが、図2(a)に表れているように、プリフォーム10の筒状の軸線方向には、加圧部材22は、プリフォーム10の外周が軸線に沿って平行である部分と同じ大きさであることが好ましい。また図2(b)に表れているように、プリフォーム10の筒状の軸線方向に直交する方向には、加圧部材22はプリフォーム10の直径よりも小さいことが好ましい。
また、型20には、外部から通じる流路20a、流路20b、及び流路20cが設けられている。これら流路はそれぞれ次のようなものである。
流路20aは図1(b)、図2(b)、及び、図3(b)に表れており、樹脂組成物用の流路である。この流路20aから硬化前の樹脂組成物が繊維層12に向けて供給される。従って、流路20aは型20の外部から、型20に設置されたプリフォーム10の繊維層12に達する。また、本形態では流路20aは上型21に設けられている。
流路20bは図1(a)、図2(a)、及び、図3(a)に表れており、真空脱気用の流路である。この流路20bから繊維層12、及びその周辺の空気等が真空引きされる。従って、流路20bは型20の外部から、型20に設置されたプリフォーム10の繊維層12に達する。また、本形態では流路20bは下型25に設けられている。
流路20cは、図1乃至図3の各図に表れており、加圧部材真空脱気用の流路である。従って流路20cは、図2(a)からよくわかるように、加圧部材22がプリフォーム10に対して進行した姿勢にある時に、型20の外部から間隙22cに通じている。
流路20aは図1(b)、図2(b)、及び、図3(b)に表れており、樹脂組成物用の流路である。この流路20aから硬化前の樹脂組成物が繊維層12に向けて供給される。従って、流路20aは型20の外部から、型20に設置されたプリフォーム10の繊維層12に達する。また、本形態では流路20aは上型21に設けられている。
流路20bは図1(a)、図2(a)、及び、図3(a)に表れており、真空脱気用の流路である。この流路20bから繊維層12、及びその周辺の空気等が真空引きされる。従って、流路20bは型20の外部から、型20に設置されたプリフォーム10の繊維層12に達する。また、本形態では流路20bは下型25に設けられている。
流路20cは、図1乃至図3の各図に表れており、加圧部材真空脱気用の流路である。従って流路20cは、図2(a)からよくわかるように、加圧部材22がプリフォーム10に対して進行した姿勢にある時に、型20の外部から間隙22cに通じている。
また、型20は不図示の温度制御装置により、その温度を所望の温度に保持することができるように構成されている。
型20に用いられる材料は特に限定されることはないが、通常の通り金属が好ましく用いられ、型20はいわゆる金型である。
<その他>
含浸装置には、上記それぞれの流路に対して対応する機器が配置される。すなわち、流路20aに対しては含浸する樹脂組成物を供給する機器が接続され、流路20b、及び流路20cには真空ポンプが接続される。それぞれに機器の具体的仕様は特に限定されることはなく、公知ものを用いることができる。
含浸装置には、上記それぞれの流路に対して対応する機器が配置される。すなわち、流路20aに対しては含浸する樹脂組成物を供給する機器が接続され、流路20b、及び流路20cには真空ポンプが接続される。それぞれに機器の具体的仕様は特に限定されることはなく、公知ものを用いることができる。
[高圧タンクの製造方法]
次に、高圧タンクの製造方法について説明する。型は上記型20を用いて説明する。ただし、本発明は型20の利用に限定されるものではない。
次に、高圧タンクの製造方法について説明する。型は上記型20を用いて説明する。ただし、本発明は型20の利用に限定されるものではない。
図4には繊維強化樹脂成形物の製造方法の1つの例にかかる高圧タンクの製造方法S10の流れを示した。図4からわかるように、本形態にかかる高圧タンクの製造方法S10は、型への設置の工程S11、脱気の工程S12、樹脂組成物の供給の工程S13、締め付け状態への変更の工程S14、加圧部材による加圧・脱気の工程S15、樹脂組成物の供給停止の工程S16、及び、離型の工程S17を含んでいる。以下、各工程について説明する。
<型への設置の工程S11>
型への設置の工程S11(「工程S11」と記載することがある。)では、図5に示したように、型20にプリフォーム10を設置して型20を除荷状態とする。すなわち、型20の内側にプリフォーム10を設置し、このとき、上型21とプリフォーム10との間隙が、下型25とプリフォーム10との間隙よりも大きくなるように、上型21を下型25から離隔するようにして配置するとともに、加圧部材22はプリフォーム10に対して後退した位置とされる。当該除荷状態においても型20の内側は密閉空間とされた状態であり、後の工程における脱気や樹脂組成物を漏れないように供給することが可能である。
型への設置の工程S11(「工程S11」と記載することがある。)では、図5に示したように、型20にプリフォーム10を設置して型20を除荷状態とする。すなわち、型20の内側にプリフォーム10を設置し、このとき、上型21とプリフォーム10との間隙が、下型25とプリフォーム10との間隙よりも大きくなるように、上型21を下型25から離隔するようにして配置するとともに、加圧部材22はプリフォーム10に対して後退した位置とされる。当該除荷状態においても型20の内側は密閉空間とされた状態であり、後の工程における脱気や樹脂組成物を漏れないように供給することが可能である。
より具体的には、本形態では、上型21が下型25から完全に離隔され、下型25の上面が完全に露出して開かれた状態でプリフォーム10を下型25へ設置する。次に、下型25及びここに設置されたプリフォーム10に対して被せるように上型21を配置する。そして、上型21を上記のように下型25に対して離隔するように配置する。このとき、加圧部材22はプリフォーム10に対して後退した位置である。
<脱気の工程S12>
脱気の工程S12(「工程S12」と記載することがある。)では、工程S11によるプリフォーム10及び型20の状態を得た後、真空脱気を行いプリフォーム10の外周部における空気を取り去る。
脱気の工程S12(「工程S12」と記載することがある。)では、工程S11によるプリフォーム10及び型20の状態を得た後、真空脱気を行いプリフォーム10の外周部における空気を取り去る。
より具体的に本形態では、工程S11によるプリフォーム10及び型20の状態を得た後、図5に示したように流路20bから真空ポンプにより脱気を行う。
真空脱気により、含浸する樹脂組成物の繊維層への浸透をより円滑に行うことができる。また、これによっても含浸樹脂への気泡の巻き込み防止に関し一定の効果を奏するものとなる。
<樹脂組成物の供給の工程S13>
樹脂組成物の供給の工程S13(「工程S13」と記載することがある。)では、硬化前の樹脂組成物を、工程S12で得た状態の型20に配置されたプリフォーム10の繊維層12対して供給する。
樹脂組成物の供給の工程S13(「工程S13」と記載することがある。)では、硬化前の樹脂組成物を、工程S12で得た状態の型20に配置されたプリフォーム10の繊維層12対して供給する。
より具体的に本形態では、図6に示したように流路20aに対して、樹脂組成物を供給する機器から硬化前の樹脂組成物が供給され、樹脂組成物は、プリフォーム10の繊維層12の外周に達する。この樹脂組成物は含浸に必要な圧力を有して供給され、これにより樹脂組成物が繊維層12に浸透する。
このとき、型20は工程S12で得た状態とされ、上型21とプリフォーム10との間に間隙が設けられ(加圧部材22の後退の姿勢に伴い形成された空間も含む。)、プリフォーム10への圧力が抑えられており、樹脂組成物が流動するに際して抵抗を抑えることができる。このため、供給された樹脂組成物は、上型21とプリフォーム10との間全体に亘って均一性高く円滑に充填される。
このとき、型20は工程S12で得た状態とされ、上型21とプリフォーム10との間に間隙が設けられ(加圧部材22の後退の姿勢に伴い形成された空間も含む。)、プリフォーム10への圧力が抑えられており、樹脂組成物が流動するに際して抵抗を抑えることができる。このため、供給された樹脂組成物は、上型21とプリフォーム10との間全体に亘って均一性高く円滑に充填される。
樹脂組成物は、流動性のある状態で繊維層に到達及び浸透し、その後何らかの方法により硬化することで繊維層の強度を高めることができるものであれば特に限定されることはない。これには例えば熱により硬化する熱硬化樹脂が挙げられ、例えばアミン系又は無水物系の硬化促進剤、及び、ゴム系の強化剤を含むエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等がある。この他にも、エポキシ樹脂を主剤とし、これに硬化剤を混ぜることにより硬化する樹脂組成物を挙げることができる。これによれば、主剤と硬化剤とを混ぜてから硬化するまでの間にこの混合物である樹脂組成物を繊維層に到達及び浸透させることで、自動的に硬化する。
<締め付け状態へ変更の工程S14>
締め付け状態への変更の工程S14(「工程S14」と記載することがある。)では、上型21と下型22とを近づけるように移動させ、図7(a)、図7(b)に示したように型20を締め付け状態とする。締め付け状態では、プリフォーム10が型20に設置された状態で、上型21と下型22とが完全に接続され、締め付けられた状態である。なお、この締め付け状態においても、含浸前のプリフォーム10の繊維層12と、上型21及び下型22の面との間には若干の間隙ができるような寸法であることが好ましい。この間隙は、樹脂組成物の含浸によって、含浸後の繊維層12の体積が含浸前の体積よりも大きくなることを考慮したものである。締め付け状態におけるこの間隙は上型21とプリフォーム10及び下型22とプリフォーム10で同じである。
締め付け状態への変更の工程S14(「工程S14」と記載することがある。)では、上型21と下型22とを近づけるように移動させ、図7(a)、図7(b)に示したように型20を締め付け状態とする。締め付け状態では、プリフォーム10が型20に設置された状態で、上型21と下型22とが完全に接続され、締め付けられた状態である。なお、この締め付け状態においても、含浸前のプリフォーム10の繊維層12と、上型21及び下型22の面との間には若干の間隙ができるような寸法であることが好ましい。この間隙は、樹脂組成物の含浸によって、含浸後の繊維層12の体積が含浸前の体積よりも大きくなることを考慮したものである。締め付け状態におけるこの間隙は上型21とプリフォーム10及び下型22とプリフォーム10で同じである。
ただし、本工程S14では、加圧部材22の姿勢は維持し、加圧部材22はプリフォーム10に対する後退した姿勢のままとする。
この工程S14により、樹脂組成物が型20から受ける圧力が増大し、樹脂組成物の含浸が促進される。
本形態では図7(a)、図7(b)に直線矢印で示したように、上型21を下型22に近づけることにより行われる。
なお、当該工程S14では、まだ樹脂組成物の供給を維持している。
本形態では図7(a)、図7(b)に直線矢印で示したように、上型21を下型22に近づけることにより行われる。
なお、当該工程S14では、まだ樹脂組成物の供給を維持している。
<加圧部材による加圧・脱気の工程S15>
加圧部材による加圧・脱気の工程S15(「工程S15」と記載することがある。)では、図8(a)、図8(b)に示したように、加圧部材22をプリフォーム10に向けて進行するように移動させ、面22aを上型21の他の面に面一をなるようにする。
さらに、これと同時に流路20c及び、これに連通した間隙22cに対して真空脱気を行う。
加圧部材による加圧・脱気の工程S15(「工程S15」と記載することがある。)では、図8(a)、図8(b)に示したように、加圧部材22をプリフォーム10に向けて進行するように移動させ、面22aを上型21の他の面に面一をなるようにする。
さらに、これと同時に流路20c及び、これに連通した間隙22cに対して真空脱気を行う。
工程S13で樹脂組成物を供給し、工程S14で締め付け状態に変更する工程の中で、溶融した樹脂が合流するとき(ウエルド)等で巻き込んだ空気や、樹脂が硬化する過程で発生するガスにより、樹脂内に気泡が含まれることが多い。このような気泡は硬化した樹脂に残ることはもちろん、型20内の真空度を下げて樹脂の含浸を阻害することにもなる。一方、このような気泡は、樹脂組成物の流動の末端(表面)や型の上面付近に集まることが多い。
これに対して工程S15で加圧部材22をプリフォーム10に近づけて加圧することで、これら気泡がつぶされ、その空気やガスが加圧部材22に形成された間隙22dを通り、間隙22cに達し、すぐに流路20cから脱気される。なお、工程S15では、樹脂組成物は流動性を有してはいるものの、所定の粘性を有するに至っており、間隙22dに樹脂組成物が大きく入り込むことはない。
これに対して工程S15で加圧部材22をプリフォーム10に近づけて加圧することで、これら気泡がつぶされ、その空気やガスが加圧部材22に形成された間隙22dを通り、間隙22cに達し、すぐに流路20cから脱気される。なお、工程S15では、樹脂組成物は流動性を有してはいるものの、所定の粘性を有するに至っており、間隙22dに樹脂組成物が大きく入り込むことはない。
なお、型内に圧力センサを設置して、圧力挙動をフィードバック制御しながら加圧部材22を移動させて樹脂組成物の流動挙動を制御しながら含浸させることも可能である。
<樹脂組成物の供給停止の工程S16>
樹脂組成物の供給停止の工程S16(「工程S16」と記載することがある。)では、工程S15で樹脂組成物が繊維層12に十分含浸し、所望の供給量が満たされたときに、樹脂組成物の供給を停止する。そして樹脂組成物の硬化を待つ。
樹脂組成物の供給停止の工程S16(「工程S16」と記載することがある。)では、工程S15で樹脂組成物が繊維層12に十分含浸し、所望の供給量が満たされたときに、樹脂組成物の供給を停止する。そして樹脂組成物の硬化を待つ。
<離型の工程S17>
離型の工程S17(「工程S17」と記載することがある。)では、工程S16で樹脂組成物が硬化していることを得て、樹脂が含浸されたプリフォーム10を型20から離脱する。
本形態では型20の上型21を下型22から離脱し、開放状態とすることで離型を行う。
離型の工程S17(「工程S17」と記載することがある。)では、工程S16で樹脂組成物が硬化していることを得て、樹脂が含浸されたプリフォーム10を型20から離脱する。
本形態では型20の上型21を下型22から離脱し、開放状態とすることで離型を行う。
[効果、その他]
以上の各工程を含む製造方法、そのための型により、樹脂が含浸されたプリフォーム10が得られる。この樹脂が含浸されたプリフォーム10に対してさらに樹脂が含浸されたガラス繊維による層が形成されるなどして高圧タンクとすることができる。
以上の各工程を含む製造方法、そのための型により、樹脂が含浸されたプリフォーム10が得られる。この樹脂が含浸されたプリフォーム10に対してさらに樹脂が含浸されたガラス繊維による層が形成されるなどして高圧タンクとすることができる。
本開示によれば、気泡の発生に対して脱気しながら気泡を加圧圧縮することができ、型内の真空度の低下を抑制して含浸性を高めることができるとともに、補強層への気泡の残留も抑制することが可能となり、品質の高い繊維強化樹脂成形体を得ることができる。また、脱気と含浸とを同時に進行させることが可能であるため効率の良く繊維強化樹脂成形体を生産することができる。
10 プリフォーム
11 ライナ
12 繊維層
20 型
21 上型
22 加圧部材
25 下型
11 ライナ
12 繊維層
20 型
21 上型
22 加圧部材
25 下型
Claims (1)
- プリフォームと型の面の少なくとも一部との間に間隙ができるように前記プリフォームを前記型に設置する工程と、
前記型内で前記プリフォームの外周部に対して樹脂を供給する工程と、
前記型の少なくとも一部を前記プリフォームに対して近づけて押圧しながら真空脱気を行う工程と、を含む、繊維強化樹脂成形品の製造方法。
Priority Applications (1)
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