JP2021157889A - 電池用基材及び電池 - Google Patents

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裕矢 麻田
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Abstract

【課題】電気化学特性を確保しつつ、金属層に含まれる銅の硫化を容易に抑えることができる電池用基材を提供する。【解決手段】電池用基材1は、銅を含む金属層11と、上記金属層11の少なくとも一方の面に積層される樹脂層12とを備え、上記樹脂層12がカーボンを含まず、上記樹脂層12の表面抵抗率が25Ω/□以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、電池用基材及び電池に関する。
リチウムイオン非水電解質二次電池に代表される非水電解質二次電池は、エネルギー密度の高さから、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等に多用されている。上記非水電解質二次電池は、一般的には、電気的に隔離された一対の電極を有する電極体、及び電極間に介在する非水電解質を備え、両電極間でイオンの受け渡しを行うことで充放電するよう構成される。
近年、非水電解質二次電池の安全性の向上を目的として、非水電解質として有機溶媒等の液体の電解質に代えて硫化物系固体電解質等を使用する全固体電池が提案されている(特許文献1参照)。
特開2009−289534号公報
特許文献1に記載の全固体電池用電極は、銅を用いた金属層を備えている。特許文献1には、金属層の硫化物系固体電解質と対向する表面に導電剤及び結着剤を含有する導電性樹脂層を積層することで、金属層に用いられる銅の硫化を抑えることが記載されている。
特許文献1では、導電性樹脂層にイオン伝導性の低い樹脂からなる結着剤を含有させることで、金属層に用いられる銅の硫化を抑制している。一方で、特許文献1では、導電性樹脂層に含有されるカーボン等の導電剤によって、金属層と、この金属層に導電性樹脂層を介して積層される活物質層との導電性を高めている。
特許文献1に記載の導電性樹脂層は、カーボンを含有する導電性樹脂を金属層に塗布して乾燥させることで形成される。しかしながら、この導電性樹脂層を形成するためには、導電性樹脂中にカーボンを含有させたうえ、このカーボンを均一に分散させることを要するため、製造工程が煩雑になると共に製造コストが高くなる。
また、この導電性樹脂は、カーボンを含有しているため、粘度を低くし難い。さらに、この導電性樹脂は、粒子状のカーボンが含まれるため、カーボンが塗膜の厚さを規定するスペーサとして機能する。そのため、特許文献1に記載の導電性樹脂層は、十分に厚さを小さくし難い。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、電気化学特性を確保しつつ、金属層に含まれる銅の硫化を容易に抑えることができる電池用基材及び電池の提供を目的とする。
本発明の一態様に係る電池用基材は、銅を含む金属層と、上記金属層の少なくとも一方の面に積層される樹脂層とを備え、上記樹脂層がカーボンを含まず、上記樹脂層の表面抵抗率が25Ω/□以下である、電池用基材である。
本発明の他の一態様に係る電池は、当該電池用基材を備える、電池である。
本発明の他の一態様に係る電池は、当該電池用基材と、上記電池用基材の上記樹脂層に対向する活物質層を備え、上記活物質層が硫化物固体電解質を含有する、電池である。
本発明の一態様によれば、電気化学特性を確保しつつ、金属層に含まれる銅の硫化を容易に抑えることができる電池用基材及び電池を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る電池用基材を示す模式的断面図である。 図2は、図1の電池用基材を備える電池を示す模式的断面図である。 図3は、図1の電池用基材を備える図2の電池とは異なる実施形態に係る電池を示す模式的断面図である。 図4は、本発明の一実施形態に係る電池を複数個集合して構成した蓄電装置を示す概略図である。 図5は、実施例における電池の放電容量と樹脂層の表面抵抗率との関係を示すグラフである。
初めに、本明細書によって開示される電池用基材及び電池の概要について説明する。
本発明の一態様に係る電池用基材は、銅を含む金属層と、上記金属層の少なくとも一方の面に積層される樹脂層とを備え、上記樹脂層がカーボンを含まず、上記樹脂層の表面抵抗率が25Ω/□以下である。
当該電池用基材は、上記樹脂層がカーボンを含まないので、上記樹脂層を容易に形成することができる。当該電池用基材は、上記樹脂層の表面抵抗率が25Ω/□以下であるので、この樹脂層がカーボンを含んでいなくても、この樹脂層に積層され得る活物質層等の他の層と上記金属層との接触抵抗を十分に小さくすることができる。また、当該電池用基材は、上記樹脂層を備えることで上記金属層に含まれる銅の硫化を抑制できる。従って、当該電池用基材は、電気化学特性を確保しつつ、金属層に含まれる銅の硫化を容易に抑えることができる。
上記樹脂層の体積抵抗率としては、1Ω・cm以下が好ましい。上記樹脂層の体積抵抗率が上記上限値以下であることで、上記金属層と上記他の層との接触抵抗をより確実に低減することができる。
上記樹脂層の主成分がポリブタジエンであることが好ましい。このように、上記樹脂層の主成分がポリブタジエンであることによって、上記樹脂層の表面抵抗率及び体積抵抗率を小さくして、上記金属層と上記他の層との接触抵抗を容易かつ確実に低減することができる。
本発明の他の一態様に係る電池は、当該電池用基材を備える。
当該電池は、当該電池用基材が上記の構成を備えるので、電気化学特性を確保しつつ、上記金属層に含まれる銅の硫化を容易に抑えることができる。
また、本発明の他の一態様に係る電池は、当該電池用基材と、当該電池用基材の上記樹脂層に対向する活物質層を備え、上記活物質層が硫化物固体電解質を含有する。
当該電池は、当該電池用基材が上記の構成を備えるので、電気化学特性を確保しつつ、上記金属層に含まれる銅の硫化を容易に抑えることができる。
なお、本発明において、「カーボンを含まない」とは、積極的にカーボンを含有させないことをいい、例えばカーボンの含有量が1質量%以下であることをいい、好ましくは0.1質量%以下であることをいう。また、「カーボン」とは、JIS−K7194(1994年)に準拠して測定した圧力38.2Pa時の電子伝導度が2.0×10S/cm以上を示す炭素質材料を意味する。ここで、4探針法を用いる上記測定に供する試料は、三菱ケミカルアナリテック社製の粉体抵抗測定システムに付属の粉体専用プローブを用いて作製するものとする。
本明細書において、「樹脂層の表面抵抗率」とは、金属層に積層されている樹脂層の表面に一対のプローブを押し当てて2端子法によって求められる表面抵抗をR[Ω]、プローブ径をD[cm]、プローブ間距離をL[cm]とした場合、下記式(1)によって算出される値を意味する。
表面抵抗率[Ω/□]=R×L/D・・・(1)
ここで、「樹脂層の表面抵抗率」の測定は、三菱ケミカルアナリテック社製の抵抗率計「MCP−T360」を用い、2端子法プローブを樹脂層の表面に押し当てて行う。ここで、プローブ間距離は1.00cm、プローブ径は0.212cmとする。
本明細書において、樹脂層の「体積抵抗率」とは、上記式(1)で算出される表面抵抗率をP[Ω/□]とし、樹脂層の厚さをT[cm]とした場合、下記式(2)で算出される値を意味する。
体積抵抗率[Ω・cm]=P×T・・・(2)
本明細書において、「主成分」とは、質量換算で含有量の最も大きい成分を意味し、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。
以下、本発明の一実施形態に係る電池用基材及び電池について詳説する。
<電池用基材>
図1の電池用基材1は、銅を含む金属層11と、金属層11の一方の面に積層される樹脂層12とを備える。金属層11と樹脂層12とは、他の層を介さず直接積層されている。樹脂層12は、カーボンを含まない。樹脂層12の表面抵抗率は25Ω/□以下である。当該電池用基材1は、例えば硫化物固体電解質層を有する全固体電池や硫黄正極を有するリチウム硫黄電池等に負極用基材として用いてよい。
当該電池用基材1は、樹脂層12がカーボンを含まないので、樹脂層12を容易に形成することができる。当該電池用基材1は、樹脂層12の表面抵抗率が25Ω/□以下であるので、この樹脂層12がカーボンを含んでいなくても、この樹脂層12に積層され得る活物質層等の他の層と金属層11との接触抵抗を十分に小さくすることができる。また、当該電池用基材1は、樹脂層12を備えることで金属層11に含まれる銅の硫化を抑制できる。さらに、当該電池用基材1は、樹脂層12がカーボンを含まないことで、樹脂層12の形成に当たって、樹脂層形成用溶液の粘度を低くできると共に、カーボンが塗膜の厚さを規定するスペーサとして機能しない。そのため、当該電池用基材1は、樹脂層12の厚さを容易に小さくすることができる。これにより、当該電池用基材1は、当該電池用基材1全体の薄型化及び軽量化を図りやすい。当該電池用基材1によると、樹脂層12の厚さを小さくすることで、電池の内容積に占める当該電池用基材1の体積比率を小さくすることができる。その結果、当該電池用基材1によると、電池に占める活物質の割合を大きくすることができ、電池のエネルギー密度を高めることができる。
(金属層)
金属層11は、導電性を有する。本明細書において、「導電性」を有するとは、JIS−H−0505(1975年)に準拠して測定される体積抵抗率が10Ω・cm以下であることを意味し、「非導電性」とは、上記体積抵抗率が10Ω・cm超であることを意味する。
金属層11は、上記のように銅を含んでおり、好ましくは銅を主成分として含んでいる。金属層11は、銅以外に、ニッケル、ステンレス鋼、アルミニウム等の他の金属を含んでいてもよい。金属層11としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。従って、金属層11としては、銅又は銅箔が好ましい。銅箔の例としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられる。
金属層11の平均厚さの下限としては、3μmが好ましく、5μmがより好ましい。金属層11の平均厚さの上限としては、30μmが好ましく、20μmがより好ましい。金属層11の平均厚さを上記下限以上とすることで、金属層11の強度を高めることができる。金属層11の平均厚さを上記上限以下とすることで、電池の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。また、これらの理由から、金属層11の平均厚さは、3μm以上30μm以下とすることが好ましく、5μm以上20μm以下とすることがより好ましい。なお、「平均厚さ」とは、任意の10点において測定した厚さの平均値をいう。また、以下において他の部材等に対して「平均厚さ」という場合にも同様に定義される。
(樹脂層)
樹脂層12は、金属層11に積層されることで、金属層11に含まれる銅の硫化を抑制する。樹脂層12は、電池に組み込まれた状態で、金属層11の活物質層に対向する側の面に積層される。一方で、樹脂層12は、電池に組み込まれた状態で、金属層11の活物質層に対向することが予定されていない側の面には積層されていなくてよい。樹脂層12は、上記のようにカーボンを含んでおらず、好ましくはカーボン以外の導電剤も含んでいない。換言すると、樹脂層12は、それ単体として絶縁性を有していることが好ましい。上記カーボンとしては、例えばファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック類、粉末状黒鉛、粉末状膨張黒鉛等のグラファイト類、炭素繊維粉砕物、黒鉛化炭素繊維粉砕物などが挙げられる。また、カーボン以外の導電剤としては、例えば銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金等の金属粉、金属繊維、導電性セラミックス材料などが挙げられる。なお、「導電剤」とは、導電性を有する材料を意味する。また、「導電剤を含まない」とは、積極的に導電剤を含有させないことをいい、例えば導電剤の含有量が1質量%以下であることをいい、好ましくは0.1質量%以下であることをいう。
本発明は、樹脂層12がそれ自体絶縁性を有している場合でも、樹脂層12を構成する樹脂等を選択し、樹脂層12の表面抵抗率を適切に制御することで、電池用基材1を電池に適用できるという本発明者らによって得られた知見に基づいている。当該電池用基材1は、樹脂層12がカーボンを含まず、かつ樹脂層12の表面抵抗率が上記の上限値以下であることで、樹脂層12に積層され得る活物質層等の他の層と金属層11との接触抵抗を十分に小さくすることができる。従って、放電容量等の電気化学特性を確保しつつ、金属層11に含まれる銅の硫化を抑制することができる。
樹脂層12の表面抵抗率の上限としては、上記のように25Ω/□であり、10Ω/□が好ましく、5Ω/□がより好ましく、2Ω/□がさらに好ましく、0.5Ω/□が特に好ましい。樹脂層12の表面抵抗率を上記上限以下とすることで、樹脂層12に積層され得る負極活物質層等の他の層と金属層11との接触抵抗をより低減することができる。一方、樹脂層12の表面抵抗率の下限としては、特に限定されないが、例えば0.1Ω/□とすることができる。樹脂層12の表面抵抗率を上記下限以上とすることで、樹脂層12の厚さが部分的に小さくなり過ぎて、樹脂層12にピンホール等が生じることを抑えやすい。
樹脂層12の平均厚さは、樹脂層12の表面抵抗率や後述する樹脂層12の体積抵抗率との関係で調整される。樹脂層12は、カーボンを含んでいないので、表面抵抗率や体積抵抗率との関係で容易に平均厚さを調整できる。樹脂層12の平均厚さの上限としては、15μmが好ましく、10μmがより好ましく、5μmがさらに好ましい。樹脂層12の平均厚さを上記上限以下とすることで、樹脂層12の表面抵抗率及び体積抵抗率を小さくしやすい。一方、樹脂層12の平均厚さの下限としては、特に限定されないが、例えば0.1μmが好ましく、0.5μmがより好ましい。樹脂層12の平均厚さを上記下限以上とすることで、樹脂層12の厚さが部分的に小さくなり過ぎて、樹脂層12にピンホール等が生じることを抑えやすい。
樹脂層12の主成分としては、例えばフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化アクリル樹脂等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアクリル酸等の熱可塑性樹脂;ポリブタジエン、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子などが挙げられる。中でも、ポリブタジエンが好ましい。樹脂層12の主成分がポリブタジエンであることで、樹脂層12の表面抵抗率及び体積抵抗率を小さくして、樹脂層12に積層され得る活物質層等の他の層と金属層11との接触抵抗を容易かつ確実に低減することができる。また、樹脂層12の主成分としては、フッ化アクリル樹脂も好ましい。このフッ化アクリル樹脂を主成分とする樹脂層12は、例えば3M社製の「Novec1700シリーズ」を用いて形成することができる。樹脂層12の主成分がフッ化アクリル樹脂であることで、樹脂層12の厚さを大きくした場合でも樹脂層12の表面抵抗率及び体積抵抗率を小さくしやすい。その結果、金属層11に含まれる銅の硫化を抑制しやすい。
樹脂層12の体積抵抗率の上限としては、1Ω・cmが好ましく、6.0×10−2Ω・cmがより好ましく、6.5×10−3Ω・cmがさらに好ましく、3.0×10−3Ω・cmがよりさらに好ましい。樹脂層12の体積抵抗率を上記上限以下とすることで、樹脂層12に積層され得る活物質層等の他の層と金属層11との接触抵抗をより低減することができる。一方、樹脂層12の体積抵抗率の下限としては、特に限定されないが、例えば1.0×10−6Ω・cmとすることができる。樹脂層12の体積抵抗率を上記下限以上とすることで、樹脂層12の厚さが部分的に小さくなり過ぎて、樹脂層12にピンホール等が生じることを抑えやすい。
<電池>
図2を参照して、本発明の一実施形態である電池10について、本発明の電池用基材1を負極基材として備える全固体電池を具体例に挙げて説明する。図2の電池10は、負極層5と、正極層6と、固体電解質層7とを備える。当該電池10は、負極層5と正極層6とが固体電解質層7を介して配置された二次電池である。負極層5は、負極基材としての電池用基材1と負極活物質層2とを有し、電池用基材1が負極層5の最外層となる。負極活物質層2は電池用基材1の樹脂層12に積層されている。正極層6は、正極基材3と正極活物質層4とを有し、正極基材3が正極層6の最外層となる。固体電解質層7は、硫化物固体電解質を含有する。図2の電池10においては、電池用基材1上に負極活物質層2、固体電解質層7、正極活物質層4及び正極基材3がこの順で積層されている。
当該電池10は、当該電池用基材1を備えるので、放電容量等の電気化学特性を確保することができる。また、当該電池10は、当該電池用基材1を備えるので、金属層11に含まれる銅の硫化を抑えることができる。
[負極層]
負極層5は、負極基材と、負極基材の表面に配される負極活物質層2とを有する。負極基材には、電池用基材1を用いることができる。負極基材が、電池用基材1である場合、負極層5は、電池用基材1と、電池用基材1の樹脂層12の表面に配される負極活物質層2とを有する。
(負極活物質層)
負極活物質層2は、負極活物質を含む。負極活物質層2は、負極活物質を含むいわゆる負極合剤から形成することができる。負極活物質層2は、負極活物質と硫化物固体電解質とを含有する混合物又は複合体を含有してもよい。負極活物質層2が硫化物固体電解質を含有する場合、この硫化物固体電解質が電池用基材1に接触しやすい。この場合でも、当該電池用基材1は、金属層11の硫化物固体電解質との接触面側に樹脂層12が積層されているので、金属層11と硫化物固体電解質との物理的な接触が樹脂層12によって遮断される。従って、当該電池10は、電気化学特性を確保しつつ、金属層11に含まれる銅の硫化を抑えることができる。
負極活物質層2は、必要に応じて、導電剤、バインダー、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。これらの各任意成分の1種又は2種以上は、負極活物質層2に実質的に含有されていなくてもよい。
負極活物質としては、リチウムイオン二次電池や全固体電池に通常用いられる公知の負極活物質の中から適宜選択できる。上記負極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。負極活物質としては、例えば、金属Li;Si、Sn等の金属又は半金属;Si酸化物、Ti酸化物、Sn酸化物等の金属酸化物又は半金属酸化物;LiTi12、LiTiO2、TiNb等のチタン含有酸化物;ポリリン酸化合物;炭化ケイ素;黒鉛(グラファイト)、非黒鉛質炭素(易黒鉛化性炭素又は難黒鉛化性炭素)等の炭素材料等が挙げられる。これらの材料の中でも、黒鉛及び非黒鉛質炭素が好ましい。負極活物質層2においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
「黒鉛」とは、充放電前又は放電状態において、X線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.33nm以上0.34nm未満の炭素材料をいう。黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛が挙げられる。安定した物性の材料を入手できるという観点で、人造黒鉛が好ましい。
「非黒鉛質炭素」とは、充放電前又は放電状態においてX線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.34nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。非黒鉛質炭素の結晶子サイズLcは、通常、0.80nm以上2.0nm以下である。非黒鉛質炭素としては、難黒鉛化性炭素や、易黒鉛化性炭素が挙げられる。非黒鉛質炭素としては、例えば、樹脂由来の材料、石油ピッチ由来の材料、アルコール由来の材料等が挙げられる。
ここで、「放電状態」とは、負極活物質として炭素材料を含む負極を作用極として、金属Liを対極として用いた単極電池において、開回路電圧が0.7V以上である状態をいう。開回路状態での金属Li対極の電位は、Liの酸化還元電位とほぼ等しいため、上記単極電池における開回路電圧は、Liの酸化還元電位に対する炭素材料を含む負極の電位とほぼ同等である。つまり、上記単極電池における開回路電圧が0.7V以上であることは、負極活物質である炭素材料から、充放電に伴い吸蔵放出可能なリチウムイオンが十分に放出されていることを意味する。
「難黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.36nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。難黒鉛化性炭素は、通常、非黒鉛質炭素の中でも、3次元的な積層規則性を持つ黒鉛構造が生成し難い性質を有する。
「易黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.34nm以上0.36nm未満の炭素材料をいう。易黒鉛化性炭素は、通常、非黒鉛質炭素の中でも、3次元的な積層規則性を持つ黒鉛構造が生成し易い性質を有する。
負極活物質の平均粒径は、例えば、1μm以上100μm以下とすることができる。負極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、負極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。負極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、活物質層の電子伝導性が向上する。
粒子を所定の形状で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法として、例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミル又は篩等を用いる方法が挙げられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、篩や風力分級機等が、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
負極活物質層2における負極活物質の含有量の下限としては、10質量%が好ましく、20質量%がより好ましく、50質量%がさらに好ましい。負極活物質の含有量の上限は、95質量%が好ましく、90質量%がより好ましく、80質量%がさらに好ましい。負極活物質の含有量を上記範囲内とすることで、当該電池10の電気容量をより大きくすることができる。
負極活物質層2が硫化物固体電解質を含有する場合、硫化物固体電解質の含有量の下限としては、10質量%が好ましく、20質量%がより好ましい。負極活物質層2における硫化物固体電解質の含有量の上限は、90質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、50質量%がさらに好ましい。硫化物固体電解質の含有量を上記範囲とすることで、当該電池10の電気容量を大きくすることができる。
上記負極活物質と硫化物固体電解質との混合物は、負極活物質及び硫化物固体電解質等をメカニカルミリング等で混合することにより作製される混合物である。例えば、負極活物質と硫化物固体電解質等との混合物は、粒子状の負極活物質及び粒子状の硫化物固体電解質等を混合して得ることができる。上記負極活物質と硫化物固体電解質との複合体としては、負極活物質及び硫化物固体電解質等の間で化学的又は物理的な結合を有する複合体、負極活物質と硫化物固体電解質等とを機械的に複合化させた複合体等が挙げられる。上記複合体は、一粒子内に負極活物質及び硫化物固体電解質等が存在しているものであり、例えば、負極活物質及び硫化物固体電解質等が凝集状態を形成しているもの、負極活物質の表面の少なくとも一部に硫化物固体電解質等含有皮膜が形成されているものなどが挙げられる。
(任意成分)
導電剤は、導電性を有する材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、例えば、黒鉛;ファーネスブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;金属;導電性セラミックス等が挙げられる。導電剤の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。これらの中でも、電子伝導性等の観点よりアセチレンブラックが好ましい。
負極活物質層2における導電剤の含有量の下限としては、1質量%が好ましく、3質量%がより好ましい。導電剤の含有量の上限としては、10質量%が好ましく、9質量%がより好ましい。導電剤の含有量を上記範囲とすることで、電池10の電気容量を高めることができる。また、これらの理由から、導電剤の含有量は1質量%以上10質量%以下とすることが好ましく、3質量%以上9質量%以下とすることがより好ましい。
バインダーとしては、例えば、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。
負極活物質層2におけるバインダーの含有量の下限としては、1質量%が好ましく、3質量%がより好ましい。バインダーの含有量の上限としては、10質量%が好ましく、9質量%がより好ましい。バインダーの含有量を上記範囲とすることで、活物質を安定して保持することができる。また、これらの理由から、バインダーの含有量は1質量%以上10質量%とすることが好ましく、3質量%以上9質量%以下とすることがより好ましい。
増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。増粘剤がリチウム等と反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させてもよい。
フィラーは、特に限定されない。フィラーとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、シリカ、アルミナ、ゼオライト、ガラス、アルミナシリケイト等が挙げられる。
負極活物質層2は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Nb、W等の遷移金属元素を負極活物質、導電剤、バインダー、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
負極活物質層2の平均厚さの下限としては、30μmが好ましく、60μmがより好ましい。負極活物質層2の平均厚さの上限としては、1000μmが好ましく、500μmがより好ましい。負極活物質層2の平均厚さを上記下限以上とすることで、高いエネルギー密度を有する電池10を得ることができる。負極活物質層2の平均厚さを上記上限以下とすることで、電池10の小型化を図ることなどができる。
[正極層]
正極層6は、正極基材3と、この正極基材3の表面に積層される正極活物質層4とを備える。正極層6は、正極基材3と正極活物質層4との間に中間層を有していてもよい。中間層は、例えば、導電性粒子及び樹脂バインダーを含む層などとすることができる。
(正極基材)
正極基材3は、導電性を有する。正極基材3の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、インジウム、ステンレス鋼等の金属又はこれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ、及びコストの観点からアルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。正極基材3としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、正極基材3としてはアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS−H−4000(2014年)に規定されるA1085P、A3003P等が例示できる。
正極基材3の平均厚さの下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましい。正極基材3の平均厚さの上限としては、50μmが好ましく、40μmがより好ましい。正極基材3の平均厚さを上記下限以上とすることで、正極基材3の強度を高めることができる。正極基材3の平均厚さを上記上限以下とすることで、電池10の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。また、これらの理由から、正極基材3の平均厚さは5μm以上50μm以下とすることが好ましく、10μm以上40μm以下とすることがより好ましい。
中間層は、正極基材3と正極活物質層4との間に配される層である。中間層は、炭素粒子等の導電性を有する粒子を含むことで正極基材3と正極活物質層4との接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば、樹脂バインダー及び導電性を有する粒子を含む。
(正極活物質層)
正極活物質層4は、正極活物質を含む。正極活物質層4は、正極活物質を含むいわゆる正極合剤から形成することができる。正極活物質層4は、正極活物質と硫化物固体電解質とを含む混合物又は複合体を含有してもよい。正極活物質層4は、必要に応じて、導電剤、バインダー(結着剤)、増粘剤、フィラー等の任意成分を含んでいてよい。正極活物質層4におけるこれらの任意成分の種類及び好適な含有量は、上記した負極活物質層2の各任意成分と同様である。これらの各任意成分の1種又は2種以上は、正極活物質層4に実質的に含有されていなくてもよい。
正極活物質層4は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Nb、W等の遷移金属元素を負極活物質、導電剤、バインダー、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
正極活物質層4に含まれる正極活物質としては、リチウムイオン二次電池や全固体電池に通常用いられる公知の正極活物質の中から適宜選択できる。上記正極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。例えば、α−NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、ポリアニオン化合物、カルコゲン化合物、硫黄等が挙げられる。α−NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、例えば、Li[LiNi1−x]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγCo(1−x−γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LiNiγMnβCo(1−x−γ−β]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)等が挙げられる。スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、LiMn,LiNiγMn(2−γ)等が挙げられる。ポリアニオン化合物として、LiFePO,LiMnPO,LiNiPO,LiCoPO,Li(PO,LiMnSiO,LiCoPOF等が挙げられる。カルコゲン化合物として、二硫化チタン、二硫化モリブデン、二酸化モリブデン等が挙げられる。これらの材料中の原子又はポリアニオンは、他の元素からなる原子又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。正極活物質は、表面がニオブ酸リチウム、チタン酸リチウム、リン酸リチウム等の酸化物で被覆されていてもよい。正極活物質層においては、これら正極活物質の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
正極活物質の平均粒径は、例えば、0.1μm以上20μm以下とすることが好ましい。正極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、正極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。正極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、正極活物質層の電子伝導性が向上する。粒子を所定の形状で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法及び粉級方法は、例えば、負極層5で例示した方法から選択できる。
正極活物質層4における正極活物質の含有量の下限としては、10質量%が好ましく、30質量%がより好ましく、50質量%がさらに好ましい。正極活物質の含有量の上限としては、90質量%が好ましく、80質量%がより好ましい。正極活物質の含有量を上記範囲とすることで、電池10の電気容量をより大きくすることができる。
正極活物質層4が硫化物固体電解質を含有する場合、硫化物固体電解質の含有量の下限としては、10質量%が好ましく、20質量%がより好ましい。正極活物質層4における硫化物固体電解質の含有量の上限は、90質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、50質量%がさらに好ましい。硫化物固体電解質の含有量を上記範囲とすることで、当該電池10の電気容量を高めることができる。上記正極活物質と硫化物固体電解質との混合物又は複合体は、上記した負極活物質と硫化物固体電解質との混合物又は複合体において、負極活物質を正極活物質に置き換えたものとすることができる。
正極活物質層4の平均厚さの下限としては、30μmが好ましく、60μmがより好ましい。正極活物質層4の平均厚さの上限としては、1000μmが好ましく、500μmがより好ましい。正極活物質層4の平均厚さを上記下限以上とすることで、高いエネルギー密度を有する電池10を得ることができる。正極活物質層4の平均厚さを上記上限以下とすることで、電池10の小型化を図ることなどができる。
[固体電解質層]
固体電解質層7は、硫化物固体電解質を含有する。固体電解質層7に含有される固体電解質の含有量としては、70質量%以上が好ましく、90質量以上%がより好ましく、99質量%以上がさらに好ましく、実質的に100質量%であることがよりさらに好ましいこともある。
硫化物固体電解質としては、特に限定されるものではないが、例えばLiS−P、LiS−P−LiI、LiS−P−LiCl、LiS−P−LiBr、LiS−P−LiO、LiS−P−LiO−LiI、LiS−P−LiN、LiS−SiS、LiS−SiS−LiI、LiS−SiS−LiBr、LiS−SiS−LiCl、LiS−SiS−B−LiI、LiS−SiS−P−LiI、LiS−B、LiS−P−Z2n(ただし、m、nは正の数、Zは、Ge、Zn、Gaのいずれかである。)、LiS−GeS、LiS−SiS−LiPO、LiS−SiS−LiMO(ただし、x、yは正の数、Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのいずれかである。)、Li10GeP12等を挙げることができる。
固体電解質層7には、LiPO等の酸化物、ハロゲン化合物、バインダー、増粘剤、フィラー等の任意成分が含有されていてもよい。バインダー、増粘剤、フィラー等の任意成分は、負極層5で例示した材料から選択できる。
固体電解質層7の平均厚さの下限としては、1μmが好ましく、3μmがより好ましい。固体電解質層7の平均厚さの上限としては、50μmが好ましく、20μmがより好ましい。固体電解質層7の平均厚さを上記下限以上とすることで、正極と負極とを確実性高く絶縁することが可能となる。固体電解質層7の平均厚さを上記上限以下とすることで、電池10のエネルギー密度を高めることが可能となる。
電池10における負極活物質層2、正極活物質層4及び固体電解質層7中には、それぞれ異なる複数種の固体電解質が含有されていてもよく、層毎に異なる固体電解質が含有されていてもよい。
[電池の製造方法]
本発明の一実施形態に係る電池10の製造方法は、当該電池用基材1を用いて活物質層を作製することを備える。当該電池の製造方法は、さらに、例えば(1)正極合剤を用意すること、(2)固体電解質層用材料を用意すること、(3)負極合剤を用意すること、及び(4)正極層、固体電解質層及び負極層を積層することを備える。上記(1)及び(4)にて正極層が作製され、上記(2)及び(4)にて固体電解質層が作製され、上記(3)及び(4)にて負極層が作製される。
(1)正極合剤用意工程
本工程では、通常、正極層(正極活物質層)を形成するための正極合剤が作製される。正極合剤の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、正極合剤の材料のメカニカルミリング処理、正極活物質の圧縮成形、正極活物質のターゲット材料を用いたスパッタリング等が挙げられる。正極合剤が、正極活物質と硫化物固体電解質とを含む混合物又は複合体を含有する場合、本工程は、例えばメカニカルミリング法等を用いて正極活物質と硫化物固体電解質とを混合し、正極活物質と硫化物固体電解質との混合物又は複合体を作製することを含むことができる。
(2)固体電解質層用材料用意工程
本工程では、通常、固体電解質層を形成するための材料が作製される。当該電池が全固体電池である場合、固体電解質層用材料は、硫化物固体電解質であってもよい。固体電解質層用材料としての硫化物固体電解質は、従来公知の方法で作製することができる。例えば、所定の材料をメカニカルミリング法により処理して得ることができる。溶融急冷法により所定の材料を溶融温度以上に加熱して所定の比率で両者を溶融混合し、急冷することにより固体電解質層用材料を作製してもよい。その他の固体電解質層用材料の合成方法としては、例えば減圧封入して焼成する固相法、溶解析出などの液相法、気相法(PLD)、メカニカルミリング後にアルゴン雰囲気下で焼成することなどが挙げられる。
(3)負極合剤用意工程
本工程では、通常、負極層(負極活物質層)を形成するための負極合剤が作製される。負極合剤の具体的作製方法は、正極合剤と同様である。負極合剤が、負極活物質と硫化物固体電解質とを含む混合物又は複合体を含有する場合、本工程は、例えばメカニカルミリング法等を用いて負極活物質と硫化物固体電解質とを混合し、負極活物質と硫化物固体電解質との混合物又は複合体を作製することを含むことができる。
(4)積層工程
本工程は、例えば、正極基材及び正極活物質層を有する正極層、固体電解質層、並びに当該電池用基材1からなる負極基材及び負極活物質層を有する負極層が積層される。本工程では、正極層、固体電解質層及び負極層をこの順に順次形成してもよいし、この逆であってもよく、各層の形成の順序は特に問わない。上記正極層は、例えば正極基材及び正極合剤を加圧成型することにより形成され、上記固体電解質層は、固体電解質層用材料を加圧成型することにより形成され、上記負極層は、当該電池用基材1及び負極合剤を加圧成型することにより形成される。正極基材、正極合剤、固体電解質層材料、負極合剤及び当該電池用基材1を一度に加圧成型することにより、正極層、固体電解質層及び負極層が積層されてもよい。正極層及び負極層をそれぞれ予め成形し、固体電解質層と加圧成型して積層してもよい。
[その他の実施形態]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば当該電池用基材は、電池に組み込まれた状態で活物質層と反対に位置する側に樹脂層が積層されたものであってもよい。また、当該電池用基材は、金属層の両面に樹脂層が積層されていてもよい。
上記の実施形態においては、当該電池用基材を備える電池として全固体電池を例示したが、当該電池用基材は全固体電池以外の電池に組み込むことも可能である。
図3を参照して、当該電池用基材を負極基材として備える本発明のさらなる実施形態である電池20について説明する。図3の電池20は、負極基材としての当該電池用基材を有する負極21と、硫黄正極22と、電解質層23とを備える。電池20は、硫黄正極22を有するリチウムイオン電池である。電解質層23は、負極21と硫黄正極22との間に設けられている。硫黄正極22は、正極活物質として硫黄を用いている。負極21は、電池用基材1を有する。電池用基材1は、金属層11の電解質層23と対向する側の面に樹脂層12が積層されている。負極21は、樹脂層12に積層される負極活物質層を有していてもよい。電解質層23は、固体電解質、液系電解質等の電解質を含有する。当該電池用基材1は、この構成においても、硫黄正極22から硫黄化合物が溶出した場合でも、樹脂層12によって溶出した硫黄化合物と金属層11との接触を抑制することができ、金属層11に含まれる銅の硫化を抑えることができる。
なお、当該電池用基材は、上記の全固体電池及び硫黄正極を有するリチウムイオン電池以外であっても、金属層に含まれる銅の硫化について課題を有する電池であれば、液系電解質、ゲル系電解質、真性ポリマー系電解質、無機固体電解質等、電解質の態様を問わず用いることができる。但し、当該電池用基材は、金属層に含まれる銅の硫化の抑制が求められる上記の全固体電池及び硫黄正極を有する液系リチウムイオン電池に好適に用いられる。
本発明は、上記の電池を複数備える蓄電装置としても実現することができる。蓄電装置の一実施形態を図4に示す。図4において、蓄電装置40は、複数の蓄電ユニット30を備えている。それぞれの蓄電ユニット30は、複数の電池10を備えている。蓄電ユニット30は、複数の電池20を備えていてもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(電池用基材の作製)
[No.1からNo.4]
銅箔を18mmφに打ち抜いて形成した金属層の表面に、メチルノナフルオロブチルエーテルとメチルノナフルオロイソブチルエーテルとを含む溶媒中にフッ化アクリル樹脂を2質量%含有し、かつカーボン及びその他の導電剤を含有しない樹脂層形成用溶液(3M社製の「Novec1700」)を滴下した。その後、金属層を表1のスピン速度で回転させ、金属層の表面に樹脂層形成用溶液の薄膜を形成させた。その後、45℃にて1時間乾燥させることで、金属層に樹脂層が積層されたNo.1からNo.4の電池用基材を作製した。No.1からNo.4の電池用基材について、樹脂層の平均厚さを表1に示す。
[No.5からNo.8]
樹脂層形成用溶液として、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中にポリフッ化ビニリデン(PVdF)を2質量%含有し、かつカーボン及びその他の導電剤を含有しない樹脂層形成用溶液を用いた以外、No.1からNo.4と同様の手順でNo.5からNo.8の電池用基材を作製した。No.5からNo.8の電池用基材について、樹脂層の平均厚さを表1に示す。
[No.9からNo.12]
樹脂層形成用溶液として、NMP中にポリアクリル酸(PAA)を2質量%含有し、かつカーボン及びその他の導電剤を含有しない樹脂層形成用溶液を用いた以外、No.1からNo.4と同様の手順でNo.9からNo.12の電池用基材を作製した。No.9からNo.12の電池用基材について、樹脂層の平均厚さを表1に示す。
[No.13からNo.16]
樹脂層形成用溶液として、NMP中にPVdFとPAAとを95:5(質量比)の割合で含有し、かつカーボン及びその他の導電剤を含有しない樹脂層形成用溶液を用いた以外、No.1からNo.4と同様の手順でNo.13からNo.16の電池用基材を作製した。No.13からNo.16の電池用基材について、樹脂層の平均厚さを表1に示す。
[No.17からNo.20]
樹脂層形成用溶液として、ヘキサン中にポリブタジエンを2質量%含有し、かつカーボン及びその他の導電剤を含有しない樹脂層形成用溶液を用いた以外、No.1からNo.4と同様の手順でNo.17からNo.20の電池用基材を作製した。No.17からNo.20の電池用基材について、樹脂層の平均厚さを表1に示す。
[No.21]
銅箔を18mmφに打ち抜いて形成した金属層のみからなる電池用基材を作製した。
<樹脂層の表面抵抗率>
上記の方法にて、No.1からNo.20の樹脂層の表面抵抗率[Ω/□]を上記の式(1)によって算出した。この算出結果を表1に示す。なお、表1のNo.1からNo.20の表面抵抗率の欄における「10<」との記載は、抵抗率計の測定限界を超えた値であることを意味している。
<樹脂層の体積抵抗率>
算出された表面抵抗率及び表1の樹脂層の平均厚さを用い、上記の式(2)によってNo.1からNo.20の電池用基材の樹脂層の体積抵抗率[Ω・cm]を算出した。この算出結果を表1に示す。なお、No.5、No.6、No.9、No.10、No.13、No.14、No.17については、樹脂層の表面抵抗率が抵抗率計の測定限界を超えた値であり測定不能であったため、体積抵抗率は算出していない。また、表1のNo.21については、銅の一般的な体積抵抗率を示している。
<耐硫化性評価>
Ar雰囲気下において以下の手順で耐硫化性を評価した。硫化物固体電解質であるLiPSCl60mgをペレット成型器に導入し、360MPaの圧力を印加することで圧粉体を作製した。この圧粉体をNo.1からNo.20の電池用基材の樹脂層の表面、及びNo.21の電池用基材の金属層の表面に圧着した。具体的には、電池用基材の樹脂層の表面又は金属層の表面に圧粉体を配置し、厚さ2mmのシリコンシートで挟み込み、さらにこれらのシリコンシートを両側から一対のSUS板で挟み込み、上記SUS板の四隅に設けた穴にビスナットを適用することで、圧粉体をNo.1からNo.20の電池用基材の樹脂層の表面、及びNo.21の電池用基材の金属層の表面に6MPaの圧力で圧着した。その後、上記圧着状態を維持したまま、加速試験を目的として120℃のAr雰囲気下で一晩放置した後、圧粉体の圧着を解除し、No.1からNo.21の電池用基材の金属層の圧粉体との対向面の様子を目視で観察し、以下の基準で耐硫化性を評価した。この評価結果を表1に示す。
A:圧粉体の圧着前後において金属層の圧粉体との対向面に光沢の低下が視認されない(耐硫化性が高い)
B:圧粉体の圧着前後において金属層の圧粉体との対向面に光沢の低下が視認される(耐硫化性が低い)
<電気化学特性>
(負極の作製)
Ar雰囲気下において以下の手順で負極を作製した。負極活物質として黒鉛(Gr)、硫化物固体電解質として上記LiPSCl、バインダーとしてスチレンブタジエンゴム(SBR)を用い、負極活物質:硫化物固体電解質:バインダーを58:39:3の質量比率で含有し、酪酸ブチルを分散媒とする負極合剤を作製した。上記負極合剤をステンレス鋼製の基材に塗工し、上記分散媒を揮発させることで、上記基材上に、質量密度が20mgcm−2である負極活物質層が形成されたシート状物を得た。このシート状物から上記基材を取り除いて得た負極活物質層に、No.1からNo.20の電池用基材の樹脂層の表面、及びNo.21の金属層の一方の面とを圧着することで負極を作製した。
(放電容量)
10mmφの上記の負極を作用極として有すると共に以下の構成を備える試験電池をAr雰囲気下において作製し、この試験電池の放電容量[mAh/g]を以下の条件で測定した。この測定結果を表1に示す。また、No.1からNo.4、No.8、No.11からNo.12、No.15からNo.16、No.18からNo.20における放電容量と樹脂層の表面抵抗率との関係を図5に示す。
なお、ここでは作用極である負極が還元される反応を「充電」、作用極である負極が酸化される反応を「放電」という。
セル構造:単層パウチセル
固体電解質層:LiPSCl60mgを360MPaの圧力を印加して成型した10mmφの圧粉体
対極:10mmφのLiIn合金
温度:50℃
充電条件:充電電流0.05C、充電終止電圧−0.6V、充電終止電流0.025Cの定電流定電圧(CCCV)充電
放電条件:放電電流0.05C、放電終止電圧0.9Vの定電流(CC)放電
Figure 2021157889
表1に示すように、金属層の表面にカーボンを含まない樹脂層を積層したNo.1からNo.20の電池用基材は、耐硫化性が十分に高められている。
また、表1及び図5に示すように、樹脂層の表面抵抗率が25Ω/□以下であるNo.1からNo.4、No.7、No.8、No.11、No.12、No.15、No.16、No.18からNo.20は、樹脂層の体積抵抗率を小さくできると共に、十分な放電容量が得られている。特に、樹脂層の主成分としてフッ化アクリル樹脂を用いたNo.1からNo.4は、樹脂層の平均厚さが大きい場合でも、樹脂層の表面抵抗率及び体積抵抗率を小さくできている。また、樹脂層の主成分としてフッ化アクリル樹脂を用いたNo.1からNo.4及び樹脂層の主成分としてポリブタジエンを用いたNo.18からNo.20は、樹脂層の平均厚さが同じである場合に、他の成分からなる樹脂層を用いたものに対して、樹脂層の表面抵抗率及び体積抵抗率を小さくできている。さらに、樹脂層の主成分としてポリブタジエンを用いたNo.18からNo.20は、樹脂層の平均厚さが同じである場合に、他の電池用基材に対して、放電容量が大きい値となっている。
加えて、図示しないが、金属層に樹脂層を積層したNo.1からNo.4の電池用基材は、金属層の単層からなるNo.21の電池用基材と初回充放電曲線の形状が略一致しており、樹脂層に起因する電気化学特性の低下が抑制されていた。
本発明に係る電池用基材は、全固体電池の負極に好適に用いられる。
1 電池用基材
2 負極活物質層
3 正極基材
4 正極活物質層
5 負極層
6 正極層
7 固体電解質層
10、20 電池
11 金属層
12 樹脂層
21 負極
22 硫黄正極
23 電解質層
40 蓄電装置
30 蓄電ユニット

Claims (5)

  1. 銅を含む金属層と、
    上記金属層の少なくとも一方の面に積層される樹脂層と
    を備え、
    上記樹脂層がカーボンを含まず、
    上記樹脂層の表面抵抗率が25Ω/□以下である、電池用基材。
  2. 上記樹脂層の体積抵抗率が1Ω・cm以下である請求項1に記載の電池用基材。
  3. 上記樹脂層の主成分がポリブタジエンである請求項1又は請求項2に記載の電池用基材。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の電池用基材を備える電池。
  5. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の電池用基材と、
    上記電池用基材の上記樹脂層に対向する活物質層を備え、
    上記活物質層が硫化物固体電解質を含有する電池。
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