JP2021156864A - 温度センサ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
この温度センサでは、いわゆるR端子である圧着端子にネジ止め取り付けが可能な円環部が設けられているので、この部分にネジを挿通させた状態で測定対象物の雌ネジ部等に螺着させることで、温度センサを測定対象物に容易にネジ止めすることができる。
従来、圧着端子の底面部上にエポキシ系接着剤等の接着剤を塗布して絶縁性フィルムを接着しているが、厳しい条件で温度サイクル試験を行うと、圧着端子の底面と接着剤との界面の一部で剥離やクラックが生じてしまうおそれがある。圧着端子の底面と接着剤との界面に剥離やクラックが生じると熱時定数の値が悪化し、熱応答性が低下してしまう不都合があった。
すなわち、この温度センサでは、底面部の上面のうち少なくとも絶縁性フィルムの直下が、底面部の下面よりも粗面とされているので、絶縁性フィルム全体において接着強度が高くなり、絶縁性フィルム全体で剥離やクラックの発生を抑制することができる。特に、剥がれ易い絶縁性フィルムの縁を確実に接着することができる。
すなわち、この温度センサでは、底面部の上面に、複数のドット状の凹部が形成され、凹部内に、複数の凹凸が形成されているので、凹部内の凹凸により接触面積が増大すると共にアンカー効果も増大し、さらに接着強度が向上する。
すなわち、この温度センサでは、隣接する凹部同士が、互いに外周部で重なっているので、隣接する凹部同士が互いにオーバーラップして全体としてさらに粗面化され、接触面積がより増大することで、高い熱伝導性やアンカー効果等を得ることができる。
すなわち、この温度センサでは、壁部の内面が、底面部の下面よりも粗面とされているので、封止樹脂と粗面化された壁部との高い接着強度を得ることができる。
すなわち、この温度センサの製造方法では、粗面化工程で、底面部の上面にレーザ光を照射して複数のドット状の凹部を形成するので、レーザ光照射により局所的に溶融及び蒸発させた凹部内に複数の凹凸が形成され、接着強度がより高い凹部を得て、信頼性の高い温度センサを作製することができる。
すなわち、この温度センサの製造方法では、粗面化工程で、隣接する凹部の外周部が互いに重なる位置にレーザ光を照射して凹部を形成するので、隣接する凹部の外周部がオーバーラップしてより粗面化させることができる。特に、オーバーラップした部分には、2度のレーザ光照射によって、より多くの凹凸が形成され、接触面積がさらに増大することで、より高いアンカー効果を得ることができる。
すなわち、本発明に係る温度センサによれば、底面部の上面のうち少なくとも感熱素子部の直下が、下面よりも粗面とされているので、粗面化された上面の凹凸に接着剤が入り込み、少なくとも感熱素子部の直下において接着強度が高くなり、剥離やクラックの発生を抑制することができる。
したがって、本発明の温度センサでは、厳しい温度サイクル試験を行っても圧着端子と接着剤との界面で剥離やクラックが生じ難くなり、安定した熱時定数及び高い熱応答性を得ることができる。
上記感熱素子部2は、底面部4の上面に接着剤(図示略)で接着された絶縁性フィルム6と、絶縁性フィルム6の上面に設けられた感熱素子7と、一端が感熱素子7に接続されていると共に他端が一対のリード線8に接続され絶縁性フィルム6の上面に形成された一対のパターン配線9とを備えている。
さらに、底面部4の上面のうち少なくとも絶縁性フィルム6の直下は、底面部4の下面よりも粗面とされている。
すなわち、底面部4の上面には、複数のドット状の凹部Hが形成されている。
本実施形態では、壁部11の内面にも、底面部4の上面と同様に、複数のドット状の凹部Hが形成されている。
壁部11は、感熱素子部2を三方向から囲んで底面部4の周縁部に立設されている。
また、封止樹脂12は、壁部11で囲まれた部分を埋めている。
複数の凹部Hは、格子点上に配置されている。なお、複数の凹部Hを千鳥配置等に配列しても構わない。
底面部4の上面及び壁部11の内面は、多数の凹部Hにより例えばRa0.6μm以下の面粗さとされている。例えば、凹部Hのピッチは、20〜60μmに設定し、凹部Hの深さが約1μmに設定される。
なお、底面部4の下面は、測定対象物に密着させるため、できるだけ平坦面とすることが好ましい。
上記絶縁性フィルム6は、樹脂や金属フィラーを含有した接着剤で圧着端子5の底面部4に接着されている。
例えば、上記接着剤として、銀フィラーを含有した高熱伝導性銀接着剤(50〜95W/(m・K))などが採用可能である。
上記一対のパターン配線9の一端は、感熱素子7の両端の端子電極に接続されている。
これら一対のパターン配線9は、例えばCu膜等の金属膜でパターン形成されている。
なお、上記ネジ取り付け部3は、底面部4の先端側に設けられ、ネジが挿通可能なネジ取付孔3aを有している。
上記素子部取付工程では、圧着端子5の底面部4上に接着剤を塗布し、その上に、図2の(b)に示す感熱素子部2を載置する。
次に、パッド部9aにリード線8の端部を半田付け等で接着し、さらに図3に示すように、感熱素子部2を封止樹脂12で封止することで、温度センサ1が作製される。
さらに、底面部4の上面のうち少なくとも絶縁性フィルム6の直下が、底面部4の下面よりも粗面とされることで、絶縁性フィルム6全体において接着強度が高くなり、絶縁性フィルム6全体で剥離やクラックの発生を抑制することができる。特に、剥がれ易い絶縁性フィルム6の縁を確実に接着することができる。
さらに、壁部11の内面も、底面部4の下面よりも粗面とされているので、封止樹脂12と粗面化された壁部11との高い接着強度を得ることができる。
すなわち、第2実施形態では、粗面化工程で、隣接する凹部Hの外周部が互いに重なる位置にレーザ光を照射して凹部Hを形成する。
このように第2実施形態の温度センサでは、隣接する凹部H同士が、互いに外周部で重なっているので、隣接する凹部H同士が互いにオーバーラップして全体としてさらに粗面化され、接触面積がより増大することで、高い熱伝導性やアンカー効果等を得ることができる。
本発明の実施例では、上記レーザ照射条件で底面部の上面に複数の凹部を形成した。その拡大写真を、図6及び図7に示す。これらの写真からわかるように、レーザ光で形成した凹部内にも複数の凹凸が形成されている。
なお、比較例として、底面部及び壁面部を粗面化していない未処理品も同様に測定した結果も合わせて図8に示す。
これらの結果からわかるように、本発明の実施例は、比較例に比べて温度サイクル試験による熱時定数比率の変化が大幅に小さくなっている。
その拡大写真を、図10に示す。この写真からわかるように、隣接する凹部Hの外周部が重なっており、全体としてより粗面化されていると共に、オーバーラップした部分にも多くの凹凸が形成されている。
例えば、上述したように、底面部の上面にレーザ光を照射して複数の凹部を形成することで粗面化することが好ましいが、他の方法、例えば底面部の上面にサンドブラスタで面粗さRaが1μm以下の細かな凹凸を形成することで粗面化しても構わない。
Claims (7)
- 感熱素子部と、
測定対象物にネジで固定可能なネジ取り付け部と前記感熱素子部が取り付けられた底面部とを有した圧着端子とを備え、
前記感熱素子部が、前記底面部の上面に接着剤で接着された絶縁性フィルムと、前記絶縁性フィルムの上面に設けられた感熱素子と、一端が前記感熱素子に接続され前記絶縁性フィルムの上面に形成された一対のパターン配線とを備え、
前記底面部の上面のうち少なくとも前記感熱素子部の直下が、前記底面部の下面よりも粗面とされていることを特徴とする温度センサ。 - 請求項1に記載の温度センサにおいて、
前記底面部の上面のうち少なくとも前記絶縁性フィルムの直下が、前記底面部の下面よりも粗面とされていることを特徴とする温度センサ。 - 請求項1又は2に記載の温度センサにおいて、
前記底面部の上面に、複数のドット状の凹部が形成され、
前記凹部内に、複数の凹凸が形成されていることを特徴とする温度センサ。 - 請求項3に記載の温度センサにおいて、
隣接する前記凹部同士が、互いに外周部で重なっていることを特徴とする温度センサ。 - 請求項1から4のいずれか一項に記載の温度センサにおいて、
前記圧着端子が、前記底面部上に前記感熱素子部を囲んだ平面視コ字状の壁部と、
前記壁部内で前記感熱素子部を封止した封止樹脂とを備え、
前記壁部の内面が、前記底面部の下面よりも粗面とされていることを特徴とする温度センサ。 - 請求項1から5のいずれか一項に記載の温度センサの製造方法であって、
測定対象物にネジで固定可能なネジ取り付け部と底面部とを有した圧着端子の前記底面部の上面を下面よりも粗面化する粗面化工程と、
前記粗面化した前記底面部の上面に感熱素子部を取り付ける素子部取り付け工程とを有し、
前記感熱素子部が、絶縁性フィルムと、前記絶縁性フィルムの上面に設けられた感熱素子と、一端が前記感熱素子に接続され前記絶縁性フィルムの上面に形成された一対のパターン配線とを備え、
前記粗面化工程で、前記底面部の上面にレーザ光を照射して複数のドット状の凹部を形成し、
前記素子部取付工程で、前記底面部の上面に前記絶縁性フィルムを接着剤で接着することを特徴とする温度センサの製造方法。 - 請求項6に記載の温度センサの製造方法において、
前記粗面化工程で、隣接する前記凹部の外周部が互いに重なる位置にレーザ光を照射して前記凹部を形成することを特徴とする温度センサの製造方法。
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