JP2021154607A - 透明抗菌部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】抗菌性および可視光の透過率に優れ、かつ、外観不良の発生を抑制することができ、安定して使用することが可能な透明抗菌部材を提供する。【解決手段】透明基板11と、この透明基板11上に成膜された下地層12と、この下地層12の透明基板11とは反対側の面に形成されるとともに最表層に配置された銅層13と、を有しており、銅層13は、銅又は銅合金からなり、厚みが35nm以下の範囲内とされており、下地層12は、可視光が透過する金属酸化物で構成されていることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、可視光の透過率に優れ、かつ、抗菌性に優れた透明抗菌部材に関するものである。
一般に、医療機関、公共施設、衛生管理に厳しい研究施設(例えば食品、化粧品、医薬品等)において使用される机、椅子、棚等の什器や、手すり、ドアノブ等においては、不特定多数の人が触れるおそれがあるため、伝染病の予防、ウィルスや細菌の拡散防止の観点からも抗菌性を有していることが望ましい。
ここで、机、椅子、棚等の什器や、手すり、ドアノブ等の各種製品の表面に抗菌性を付与するものとして、例えば特許文献1、2に示す抗菌フィルム(抗ウィルス性フィルム)が提案されている
特許文献1においては、可撓性高分子フィルム基材の表面に抗菌性金属薄膜(例えば、銅、銀、銅合金、銀合金)を形成した抗菌フィルムが提案されている。
特許文献2においては、基材となるフィルム上に、CuおよびPdからなる金属粒子が島状に散在した抗ウィルス性フィルムが提案されている。
特開2010−247450号公報 特開2018−134753号公報
ところで、特許文献1,2に開示された抗菌性フィルムにおいては、最表面に金属が配置されていることから金属光沢があり、この抗菌性フィルムを配置した各種製品の表面を視認することができず、意匠性が低下するといった問題があった。
また、最表層の金属層を薄く成膜した場合には、使用環境によっては、金属が凝集して変色が生じ、外観不良が発生するおそれがあった。
本発明は、以上のような事情を背景としてなされたものであって、抗菌性および可視光の透過率に優れ、かつ、外観不良の発生を抑制することができ、安定して使用することが可能な透明抗菌部材を提供することを目的としている。
この課題を解決するために、本発明の透明抗菌部材は、透明基板と、この透明基板上に成膜された下地層と、この下地層の前記透明基板とは反対側の面に形成されるとともに最表層に配置された銅層と、を有しており、前記銅層は、銅又は銅合金からなり、厚みが35nm以下の範囲内とされており、前記下地層は、可視光が透過する金属酸化物で構成されていることを特徴としている。
この構成の透明抗菌部材においては、最表層に銅又は銅合金からなる銅層が配置されているので、抗菌性に優れている。
また、透明基板の上に、可視光が透過する金属酸化物で構成された下地層が形成され、この下地層の前記透明基板とは反対側の面に形成された銅層の厚みが35nm以下とされているので、可視光の透過率に優れており、この透明抗菌部材を配置した各種製品の表面を視認することができ、意匠性に優れている。
そして、銅層の厚みが35nm以下と薄く形成されているが、透明基板と銅層との間に、金属酸化物で構成された下地層が形成されているので、銅層における銅の凝集を抑制でき、外観不良の発生を抑えることが可能となり、耐久性に優れている。
ここで、本発明の透明抗菌部材においては、積層方向における波長550nmの光に対する透過率が5%以上であることが好ましい。
この場合、積層方向における波長550nmの光に対する透過率が5%以上とされているので、この透明抗菌部材を配置した各種製品の表面を十分に視認することができ、意匠性を確実に向上させることが可能となる。
また、本発明の透明抗菌部材においては、前記下地層を構成する前記金属酸化物は、In酸化物,Sn酸化物,Zn酸化物,Nb酸化物,Ti酸化物,Al酸化物,Ga酸化物,W酸化物,Mo酸化物、Si酸化物,Zr酸化物,Ta酸化物,Y酸化物,Ge酸化物,Cu酸化物,Ag酸化物から選択されるいずれか一種又は二種以上を含むことが好ましい。
この場合、前記下地層を構成する前記金属酸化物が、上述の透明金属酸化物で構成されているので、この透明抗菌部材を配置した各種製品の表面を十分に視認することが可能となる。
さらに、本発明の透明抗菌部材においては、前記下地層の厚みが50nm以下であることが好ましい。
この場合、前記下地層における可視光の透過率を十分に確保することができ、この透明抗菌部材を配置した各種製品の表面を十分に視認することが可能となる。
また、本発明の透明抗菌部材においては、前記銅層は、Zn,Sn,Ni,Al,Si,Mnのから選択される一種又は二種以上を合計で0.1mass%以上含むとともに、Cuの含有量が45mass%以上とされた銅合金で構成されていることが好ましい。
この場合、銅層におけるCuの含有量が45mass%以上とされているので、抗菌性を十分に確保することができる。また、銅層が、Zn,Sn,Ni,Al,Si,Mnのから選択される一種又は二種以上を合計で0.1mass%以上含んでいるので、変色の発生を抑制することができる。
さらに、本発明の透明抗菌部材においては、前記銅層の表層には、Cu酸化膜が形成されており、このCu酸化膜におけるCuOとCuOのモル比率CuO/CuOが、CuO/CuO<1であることが好ましい。
この場合、銅層の表層に形成されたCu酸化膜においてCuOがCuOよりも多く含まれており、抗菌性を十分に確保することができる。
また、本発明の透明抗菌部材においては、前記透明基板の前記下地層とは反対側の面に粘着層が設けられていることが好ましい。
この場合、粘着層を用いて、各種製品の表面に透明抗菌部材を容易に配置することが可能となる。
本発明によれば、抗菌性および可視光の透過率に優れ、かつ、外観不良の発生を抑制することができ、安定して使用することが可能な透明抗菌部材を提供することができる。
本発明の実施形態における透明抗菌部材の一例を示す説明図である。
以下に、本発明の一実施形態である透明抗菌部材について説明する。
本実施形態である透明抗菌部材は、例えば、机、椅子、棚等の什器や、手すり、ドアノブ等の各種製品の表面に配置され、各種製品の表面に抗菌性を付与するものである。
本実施形態である透明抗菌部材10は、図1に示すように、透明基板11の一面(図1において上面)に配設された下地層12と、この下地層12の透明基板11とは反対側の面側に積層された銅層13と、を備えている。
なお、本実施形態においては、図1に示すように、透明基板11の下地層12とは反対側の面に粘着層15が形成されている。
透明基板11は、ガラス材や樹脂材などの可視光の透過率が高い材料で構成されていることが好ましい。
ここで、透明基板11を構成する樹脂材としては、例えばポリエチレンフタレート(PET),ポリオレフィン(PO),アクリル,ポリ塩化ビニル等が挙げられる。これらの樹脂材からなる透明基板11を用いた場合には、透明基板11を屈曲させることが可能となる。特に、樹脂材からなる透明基板11の厚みを300μm以下とすることで、さらに屈曲性を確保することが可能となる。
また、透明基板11をガラス材で構成した場合であっても厚さを200μm以下とすることで屈曲性を得ることが可能となる。
なお、透明基板11の厚みの下限に特に制限はないが、剛性を確保する観点から、10μm以上とすることが好ましく、20μm以上とすることがより好ましい。
下地層12は、可視光が透過する金属酸化物で構成されている。透明基板11と銅層13の間に下地層12として金属酸化物を配置することで、銅層13(Cu)と下地層12(金属酸化物)間の界面エネルギーが下がり、銅層13におけるCuの凝集を抑える作用効果を有している。また、下地層12が、透明基板11からのガス成分・水分が銅層13へと到達することを抑制するバリア層として機能し、界面の剥離現象を抑える作用効果を有している。
ここで、下地層12を構成する金属酸化物としては、In酸化物,Sn酸化物,Zn酸化物,Nb酸化物,Ti酸化物,Al酸化物,Ga酸化物,W酸化物,Mo酸化物、Si酸化物,Zr酸化物,Ta酸化物,Y酸化物,Ge酸化物,Cu酸化物,Ag酸化物から選択されるいずれか一種又は二種以上を含むことが好ましい。
具体的には、In−Sn酸化物,Al−Zn酸化物,In−Zn酸化物,Zn−Sn酸化物,Zn−Sn−Al酸化物,Ga−Zn酸化物,Zn−Y酸化物,Ga−Zn−Y酸化物,In−Ga−Zn酸化物等が挙げられる。
これらの金属酸化物は、可視光の透過率に優れている。
また、下地層12において、可視光の透過率を十分に確保するためには、下地層12の厚みの上限を100nm以下とすることが好ましく、50nm以下とすることがより好ましい。
一方、下地層12としての作用効果を十分に奏功せしめるためには、下地層12の厚みの下限を3nm以上とすることが好ましく、4nm以上とすることがより好ましく、5nm以上とすることがより好ましい。
銅層13は、銅又は銅合金で構成されている。ここで、銅又は銅合金においては、抗菌作用(菌を減らす作用を含む)を有することが知られている。不特定多数の人が接触するような部材に抗菌性(菌を減らす作用)のある銅合金を使用することで様々な菌、ウィルスによる感染を予防することが可能となる。
ここで、本実施形態においては、銅層13の厚みの上限を35nm以下としている。これにより、銅層13における可視光の透過率を確保することが可能となる。なお、銅層13における可視光の透過率をさらに確保するためには、銅層13の厚みの上限を30nm以下とすることが好ましく、25nm以下とすることがより好ましい。
一方、銅層13の厚みが薄すぎると、銅層13の体積における表面の割合が相対的に高くなり、エネルギー的に不安定となり、銅が凝集しやすくなり、耐久性が低下するおそれがある。このため、銅層13の厚みの下限を2nm以上とすることが好ましく、3nm以上とすることがより好ましく、4nm以上とすることがさらに好ましい。
また、本実施形態においては、銅層13がZn,Sn,Ni,Al,Si,Mnのから選択される一種又は二種以上を合計で0.1mass%以上含むとともに、Cuの含有量が45mass%以上とされた銅合金で構成されていてもよい。
Zn,Sn,Ni,Al,Si,Mnのから選択される一種又は二種以上を合計で0.1mass%以上含むことにより、成膜した際の銅層13の均一性や耐久性などを大きく向上させることが可能となる。なお、この作用効果を十分に奏功せしめるためには、Zn,Sn,Ni,Al,Si,Mnのから選択される一種又は二種以上の合計含有量を0.2mass%以上とすることがより好ましく、0.3mass%以上とすることがさらに好ましい。
また、Cuの含有量が45mass%以上であれば、Cuによる抗菌性を十分に確保することが可能となる。なお、Cuの含有量の下限は、47.5mass%以上であることがより好ましく、50mass%以上であることがさらに好ましい。
さらに、本実施形態においては、銅層13の最表面にCu酸化膜が形成されることがある。この銅層13の最表面において、CuOとCuOのモル比率CuO/CuOが、CuO/CuO<1であることが好ましい。すなわち、CuOをCuOよりも多含むことが好ましい。CuOをCuOよりも多く含むことで、抗菌性を十分に確保することが可能となる。
なお、CuOとCuOのモル比率CuO/CuOは、0.9未満であることがより好ましく、0.8未満であることがより好ましい。
そして、本実施形態である透明抗菌部材10においては、積層方向における波長550nmの光に対する透過率が5%以上であることが好ましい。
なお、本実施形態である透明抗菌部材10においては、積層方向における波長550nmの光に対する透過率は、7%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。
以下に、本実施形態に係る透明抗菌部材10の製造方法について説明する。
まず、粘着層15を形成した透明基板11を準備する。
次に、スパッタリング法により、透明基板11の一方の面(粘着層15とは反対側の面)に、下地層12を成膜する。このとき、下地層12を構成する酸化物に対応した組成のスパッタリングターゲットを用いることが好ましい。例えば、下地層12を構成する金属酸化物からなる酸化物スパッタリングターゲットを用いてもよいし、下地層12を構成する金属酸化物の金属スパッタリングターゲットを用いて酸素を導入して反応性スパッタ法を適用してもよい。なお、スパッタリングターゲットの導電性等を考慮して、DC(直流)スパッタ、RF(高周波)スパッタ、MF(中周波)スパッタ、AC(交流)スパッタ等を適宜選択して使用することが好ましい。
次に、成膜した下地層12の上に、スパッタリング法により、銅層13を成膜する。このとき、銅層13を構成するCu又はCu合金に対応した組成のスパッタリングターゲットを用いる。このとき、銅層13の厚みが指定の厚みとなるように、スパッタ条件を適宜調整する。なお、スパッタリング時には、一定時間成膜した際の膜厚を段差測定計(DEKTAK−XT)で測定することでスパッタリングレートを測定し、その値から成膜時間を調整して、狙い膜厚となるように成膜する。
上述の工程により、本実施形態である透明抗菌部材10を製造することが可能となる。
以上のような構成とされた本実施形態である透明抗菌部材10によれば、最表層に銅又は銅合金からなる銅層13が配置されているので、抗菌性に優れている。
また、透明基板11の上に、可視光が透過する金属酸化物で構成された下地層12が形成され、銅層13の厚みが35nm以下とされているので、可視光の透過率に優れており、この透明抗菌部材10を配置した各種製品の表面を視認することができ、意匠性に優れている。
そして、銅層13の厚みが35nm以下と薄く形成されているが、透明基板11と銅層13との間に、金属酸化物で構成された下地層12が形成されているので、銅層13における銅の凝集を抑制でき、外観不良の発生を抑えることができる。
本実施形態において、積層方向における波長550nmの光に対する透過率が5%以上である場合には、この透明抗菌部材10を配置した各種製品の表面を十分に視認することができ、意匠性を確実に向上させることが可能となる。
さらに、本実施形態において、下地層12を構成する金属酸化物が、In酸化物,Sn酸化物,Zn酸化物,Nb酸化物,Ti酸化物,Al酸化物,Ga酸化物,W酸化物,Mo酸化物、Si酸化物,Zr酸化物,Ta酸化物,Y酸化物,Ge酸化物,Cu酸化物,Ag酸化物から選択されるいずれか一種又は二種以上を含む場合には、下地層12における可視光の透過率が十分に確保され、この透明抗菌部材10を配置した各種製品の表面を十分に視認することが可能となる。
また、本実施形態において、下地層12の厚みを50nm以下とした場合には、下地層12における可視光の透過率を十分に確保することができ、この透明抗菌部材10を配置した各種製品の表面を十分に視認することが可能となる。
さらに、本実施形態において、銅層13が、Zn,Sn,Ni,Al,Si,Mnのから選択される一種又は二種以上を合計で0.1mass%以上含むとともに、Cuの含有量が45mass%以上とされた銅合金で構成されている場合には、抗菌性を十分に確保することができるとともに、銅層13の耐久性が向上し、変色の発生を抑制することができる。
また、本実施形態において、銅層13の表層にCu酸化膜が形成されており、このCu酸化膜におけるCuOとCuOのモル比率CuO/CuOが、CuO/CuO<1である場合には、CuOがCuOよりも多く含まれており、抗菌性を十分に確保することができる。
さらに、本実施形態において、透明基板11の下地層とは反対側の面に粘着層15が設けられている場合には、粘着層15を用いて、各種製品の表面に透明抗菌部材10を容易に配置することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、粘着層を形成したものとして説明したが、粘着層を形成しないものであってもよい。
また、銅層を構成する銅又は銅合金は、実施形態に記載したものに限定されることはなく、各種銅合金を用いることができる。例えば、CuとZnを主成分とする黄銅にSn、Ni,Al,Pb,Mn,Si,P等を添加したものであってもよい。この場合でも、Cuの含有量を45mass%以上とすることが好ましい。
以下に、本発明の効果を確認すべく行った確認実験の結果について説明する。
銅層を成膜する際に使用されるスパッタリングターゲットを、以下に示す手順で製造した。
まず、原料として、純度99.9mass%以上のCu原料と、純度99mass%以上の金属原料とを所定の組成となるように秤量する。次に、溶解炉中において、Cu原料を高真空または不活性ガス雰囲気中で溶解し、得られた溶湯に所定の含有量の金属原料を添加する。その後、真空または不活性ガス雰囲気中で溶解して溶解鋳造インゴットを作製する。得られたインゴットを冷間圧延した後、大気中で例えば600℃、2時間保持の熱処理を施し、次いで機械加工することにより、直径152.4mm、厚さ6mmの寸法を有する円板状に作製し、銅層を形成するスパッタリングターゲットを製造した。
下地層を成膜する際に使用されるスパッタリングターゲットについては、株式会社高純度化学より購入した表1および表2に記載のものを用いた。
これらのスパッタリングターゲットを無酸素銅製のバッキングプレートに半田付けし、これを直流マグネトロンスパッタ装置に装着し、真空排気装置にて直流マグネトロンスパッタ装置内を5×10−5Pa以下まで排気した後、Arガスを導入してターゲットと平行に配置した洗浄済みの表1および表2に示す透明基板と、上記ターゲットとの間にプラズマを発生させることで下地層および銅層を形成した。下地層の成膜条件、および、銅層の成膜条件を以下に示す。
<下地層の成膜条件>
使用ガス:Ar+2体積%酸素
ガス圧:0.67Pa
スパッタリング電力:直流300W
ターゲット/基板間距離:70mm
<銅層の成膜条件>
到達真空度:5×10−5Pa以下
使用ガス:Ar
ガス圧:0.67Pa
スパッタリング電力:直流200W
ターゲット/基板間距離:70mm
上述のようにして得られた透明抗菌部材について、以下の項目について評価した。
(銅層を形成するスパッタリングターゲットの成分組成)
銅層を形成するスパッタリングターゲットから分析用サンプルを採取して、ICP発光分光分析法によって成分を測定した。なお、銅層を形成するスパッタリングターゲットと成膜した銅層の組成とが一致していることを確認している。
なお、表中の「他」の組成としては、Pb,Mg,Zr,Te,Cr,Fe,Co等を用いることができる。
(膜厚測定)
下地層および銅層の厚みは、透過電子顕微鏡(TEM)によって下地層および銅層の断面を観察することで確認し、狙い値通りの厚みで成膜されていることを確認した。TEM観察のための試料作製には、例えば、クロスセクションポリッシャー(CP)や、集束イオンビーム(FIB)を用いることができる。
(透過率)
透明抗菌部材の積層方向の透過率を分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製U−4100)を用いて測定した。表には、波長530nmから550nmにおける透過率の平均値を記載した。なお、測定に際し、測定ベースラインをガラス基板で測定しているため、表中記載の値はガラス基板の透過率を100とした際の相対的透過率とした。
(耐久性試験)
透明抗菌部材に対し、恒温恒湿試験として、温度60℃、湿度90%の環境下に250時間保持し、試験後の表面の外観上の色調の変化について確認を行った。色調の変化については目視で判定を行った。40mm×40mmの大きさのサンプル中の変色部が全面に渡る場合を「×」、変色部が半分以上の場合を「△」、変色部が半分以下の場合を「〇」、変色部が見られなかった場合を「◎」と評価した。
(抗菌活性評価)
抗菌活性は表面に形成するスパッタリングターゲットの銅および銅合金の抗菌活性を評価し、その特性とした。
スパッタリングに用いたターゲットの表面をサンドペーパー#1000にて研磨を行い、新生面を露出させ、サンプルとした。リファレンス材にはガラス板を用いた。その後、JIS Z 2801に準拠し各試験片の表面に一定の黄色ブドウ球菌を接種し、2h後の生菌数(cfu)を定量した。N=3で実施し、定量された生菌数を用い、以下の式から得られる菌の減少率を求め、菌の減少率が2を超えた場合に「〇」、超えない場合を「×」として評価を行った。
菌の減少率=log(2h後の試験片の生菌数(cfu)/銅板なしステンレス板試験片の生菌数(cfu))
Figure 2021154607
Figure 2021154607
下地層を形成せずに透明基板(ガラス基板)上に直接銅層を厚み10nmで成膜した比較例1においては、耐久性が「×」となった。銅層における凝集の発生を抑制できなかったためと推測される。
透明基板(PET基板)と銅層との間に金属酸化物からなる下地層を形成し、銅層を厚み100nmで成膜した比較例2においては、透過率が0%となった。銅層の厚みが厚すぎたためと推測される。
これに対して、透明基板と銅層との間に可視光が透過する金属酸化物からなる下地層を形成し、銅層の厚みを20nm以下とした本発明例1−30においては、透過率が十分に高くなった。また、耐久性にも優れていた。
また、表に示す組成の銅層においては、いずれも菌の減少率が2を超えて「〇」との評価になった。
以上のことから、本発明例によれば、抗菌性および可視光の透過率に優れ、かつ、外観不良の発生を抑制することができ、安定して使用することが可能な透明抗菌部材を提供可能であることが確認された。
10 透明抗菌部材
11 透明基板
12 下地層
13 銅層

Claims (7)

  1. 透明基板と、この透明基板上に成膜された下地層と、この下地層の前記透明基板とは反対側の面に形成されるとともに最表層に配置された銅層と、を有しており、
    前記銅層は、銅又は銅合金からなり、厚みが35nm以下の範囲内とされており、
    前記下地層は、可視光が透過する金属酸化物で構成されていることを特徴とする透明抗菌部材。
  2. 積層方向における波長550nmの光に対する透過率が5%以上であることを特徴とする請求項1に記載の透明抗菌部材。
  3. 前記下地層を構成する前記金属酸化物は、In酸化物,Sn酸化物,Zn酸化物,Nb酸化物,Ti酸化物,Al酸化物,Ga酸化物,W酸化物,Mo酸化物、Si酸化物,Zr酸化物,Ta酸化物,Y酸化物,Ge酸化物,Cu酸化物,Ag酸化物から選択されるいずれか一種又は二種以上を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の透明抗菌部材。
  4. 前記下地層の厚みが50nm以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の透明抗菌部材。
  5. 前記銅層は、Zn,Sn,Ni,Al,Si,Mnのから選択される一種又は二種以上を合計で0.1mass%以上含むとともに、Cuの含有量が45mass%以上とされた銅合金で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の透明抗菌部材。
  6. 前記銅層の表層には、Cu酸化膜が形成されており、このCu酸化膜におけるCuOとCuOのモル比率CuO/CuOが、CuO/CuO<1であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の透明抗菌部材。
  7. 前記透明基板の前記下地層とは反対側の面に粘着層が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の透明抗菌部材。
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