JP2021152289A - 路面被覆用シート及び路面被覆用シートの点検方法 - Google Patents

路面被覆用シート及び路面被覆用シートの点検方法 Download PDF

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Abstract

【課題】設置後の点検を容易に行うことができる路面被覆用シートを提供する。【解決手段】路面被覆用シート1は、3つの層が積層されてなる積層体2と、この積層体2の一方の面に設けられた接着層3を有する。積層体2は天然ゴムで形成され、接着層3から遠い側から順に、黒色に着色されて1mmの厚みを有する第一層4と、緑色に着色されて0.5mmの厚みを有する第二層5と、赤色に着色されて0.5mmの厚みを有する第三層6を有する。路面に設置された路面被覆用シート1が摩耗するにつれて、表面に第二層5が現れると、路面の緑色を検出することにより、積層体2の残存厚が0.5mm以上1mm以下であることが検知できる。表面に第三層6が現れると、路面の赤色を検出することにより、積層体2の残存厚が0mm以上0.5mm以下であることが検知できる。【選択図】図1

Description

本発明は、路面の補修箇所等に設置される路面被覆用シートに関する。
従来より、道路のアスファルト舗装の表面に生じるポットホールは、車両の通過時に騒音及び振動を発生させる不都合や、車両の事故を誘発する不都合があるため、速やかに補修する必要がある。ポットホールの補修方法としては、ポットホール内に常温アスファルト混合物を充填して転圧した後、この常温アスファルト混合物をゴム製のシートで被覆する方法がある。この補修方法によれば、シートによって常温アスファルト混合物の散逸を防止すると共に雨水の浸透を低減することで、ポットホールの再発を防止している。
また、道路の橋梁部分に設置されたジョイントは、車両の通過時に騒音及び振動が発生する不都合や、タイヤのスリップを誘発する不都合があり、これらの対処方法として、ジョイントとその周辺部分をゴム製のシートで被覆する方法がある。この対処方法によれば、ジョイントと舗装面との間の段差を緩和して騒音や振動の緩和が可能になる。また、摩擦係数の低いジョイントをゴム製のシートで覆うことで、タイヤのスリップの防止が可能になる。さらに、ジョイントに存在する隙間をシートで覆うことで、雨水の浸透を防止して、ジョイントの周辺に存在するデッキプレートや桁等の劣化防止が可能になる。
これらの用途に使用される路面被覆用シートとして、従来、複数の層を積み重ねて構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。この路面被覆用シートは、表面から裏面に向かって順に、滑り止め層と、第1のラバーシートと、繊維織物と、第2のラバーシートと、感圧性接着剤層とを積層して形成されている。この路面被覆用シートは、繊維織物の両面を第1のラバーシートと第2のラバーシートで挟んだ構造とし、上記繊維織物に各ラバーシートを熱融着して一体化することにより、全体のせん断強度を高めている。この路面被覆用シートを、部材の劣化したジョイント部に被覆して、ジョイント部の補強を行っている。
特開2017−089259号公報
路面に設置された路面被覆用シートは、表面を車両が走行することにより摩耗が進行する。路面被覆用シートが都市高速道路等の交通量の多い路面に設置された場合、摩耗の進行が比較的速いため、路面被覆用シートの点検を頻繁に行う必要がある。
しかしながら、路面被覆用シートは、一般的なアスファルト舗装と同様の黒色の材料が用いられるため、摩耗の程度を検知するためには、設置された路面被覆用シートに接近して目視点検を行う必要がある。したがって、路面被覆用シートの点検のために、路面被覆用シートの設置位置の周辺の交通規制が必要になる場合がある。ポットホールの修復やジョイントの滑り止めのために設置された路面被覆用シートは、設置位置が広範囲にわたって点在する場合が多いため、交通規制に手間がかかる不都合や、交通規制の範囲が広くなって交通への影響が大きいという不都合がある。
そこで、本発明の課題は、設置後の点検を容易に行うことができる路面被覆用シートを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の路面被覆用シートは、
所定の厚みを有して互いに異なる色の複数の層で形成された積層体を備え、
上記積層体が摩耗するにつれて表面に露出する層の色により、残存厚を表示するように形成されたことを特徴としている。
上記構成によれば、路面被覆用シートが、所定の厚みを有して互いに異なる色の複数の層で形成された積層体を備える。ここで、積層体の複数の層の厚みは、予め特定されていれば、互いに同じであっても異なってもよい。また、複数の層のうちの幾つかの層が、同じ厚みであってもよい。この路面被覆用シートが路面に設置され、その上を車両が走行するに伴い、積層体が摩耗する。積層体の摩耗が進むにつれて、積層体の表面に、積層体を形成する層が表面側から順に露出するので、積層体の表面に露出する色により、積層体に残っている層が示されて、積層体の残存厚が表示される。したがって、路面被覆用シートの表面の色を検知することにより、積層体の残存厚を検出できて、路面被覆用シートの残存厚を検出できる。路面に設置された路面被覆用シートの表面の色は、路面を走行する車両から、点検者や撮影装置等で検知できるので、交通規制を行うことなく路面被覆用シートの残存厚を検出することができる。その結果、路面被覆用シートの点検を、効率的に行うことができる。
一実施形態の路面被覆用シートは、上記積層体の一方の面に、この積層体を路面に接着するための接着層が設けられている。
上記実施形態によれば、接着層を路面の必要箇所に接することにより、容易に路面被覆用シートを路面に接着することができる。
一実施形態の路面被覆用シートは、上記積層体が、路面から最も遠い側の層の色が黒であり、他の層の色が黒以外である。
上記実施形態によれば、路面被覆用シートが路面に設置されたときに表面に現れる層の色が黒であるので、黒色の路面に馴染むことができる。
一実施形態の路面被覆用シートは、上記積層体の路面から最も遠い側の層以外の層の色が、青、緑、赤のいずれかである。
上記実施形態によれば、積層体の路面から最も遠い側の層以外の層の色が、青、緑、赤のいずれかであるので、路面に設置された路面被覆用シートが摩耗するにつれて、表面に青、緑、赤のいずれかの色が現れる。したがって、路面被覆用シートの積層体に残存する層を容易に検知でき、路面被覆用シートの残存厚を容易に検出することができる。
一実施形態の路面被覆用シートは、上記積層体は、ゴムで形成されている。
上記実施形態によれば、路面被覆用シートの積層体をゴムで形成することにより、路面の段差を効果的に緩和できると共に、表面を走行する車両の車輪の滑り止めを行うことができる。
一実施形態の路面被覆用シートは、上記積層体は、ポリウレア樹脂で形成されている。
上記実施形態によれば、路面被覆用シートの積層体をポリウレア樹脂で形成することにより、比較的高い耐摩耗性が得られると共に、良好な発色特性が得られる。
本発明の路面被覆用シートの点検方法は、路面に設置された上記路面被覆用シートを点検する方法であって、
上記路面を車両で走行しながら、上記路面被覆用シート及び路面を撮影装置で撮影する撮影工程と、
上記撮影装置で撮影された画像に画像処理を行い、予め指定された色を検出する色検出工程と、
上記色検出工程で色が検出された位置を特定する位置特定工程と、
上記位置特定工程で特定された位置を示す特定位置情報と、この位置特定工程で特定された位置に関して上記色検出工程で検出された色に対応する上記路面被覆用シートの残存厚を示す残存厚情報とを紐付けて保存する情報保存工程と
を備える。
上記構成によれば、撮影工程で、路面被覆用シートが設置された路面を車両で走行しながら、上記路面被覆用シート及び路面を撮影装置で撮影する。続いて色検出工程で、上記撮影装置で撮影された画像に画像処理を行い、予め指定された色を検出する。また、位置特定工程で、上記色検出工程で色が検出された位置を特定する。この後、情報保存工程で、上記位置特定工程で特定された位置を示す特定位置情報と、この位置特定工程で特定された位置に関して上記色検出工程で検出された色に対応する上記路面被覆用シートの残存厚を示す残存厚情報とを紐付けて保存する。したがって、路面被覆用シートが設置された道路の交通規制を行うことなく、路面被覆用シートの残存厚を検出し、この路面被覆用シートの位置を特定できる。その結果、路面被覆用シートを効率的に点検することができる。
一実施形態の路面被覆用シートの点検方法は、上記撮影工程が、上記路面被覆用シート及び路面と共に、上記路面の周辺に設置された距離標識を撮影し、
上記位置特定工程が、上記撮影工程で撮影した画像に文字認識処理を行って距離標識の文字情報を抽出し、抽出された文字情報に基づいて、上記色が検出された位置を特定する。
上記実施形態によれば、撮影工程で、路面被覆用シート及び路面と共に、上記路面の周辺に設置された距離標識を撮影する。また、位置特定工程で、上記撮影工程で撮影した画像に文字認識処理を行って距離標識の文字情報を抽出し、抽出された文字情報に基づいて、上記色が検出された位置を特定する。したがって、路面被覆用シートの所定の色が検出された位置を、容易に特定することができる。
一実施形態の路面被覆用シートの点検方法は、路面を走行中に、電磁波で送信されて位置を特定するために利用可能な位置特定補助情報を取得する位置関連情報取得工程を備え、
上記位置特定工程が、上記位置関連情報取得工程で取得した位置特定補助情報に基づいて、上記色が検出された位置を特定する。
上記実施形態によれば、位置関連情報取得工程で、路面を走行中に、電磁波で送信されて位置を特定するために利用可能な位置特定補助情報を取得する。位置特定補助情報としては、例えば携帯情報端末用に基地局から発信される情報や、GPS(Global Positioning System)の衛星から発信される情報を利用できる。この後、位置特定工程で、上記位置関連情報取得工程で取得した位置特定補助情報に基づいて、上記色が検出された位置を特定する。これにより、路面被覆用シートの所定の色が検出された位置を、容易かつ正確に特定することができる。
本発明の実施形態の路面被覆用シートを示す断面図である。 路面に設置された路面被覆用シートを示す断面図である。 路面上の路面被覆用シートに摩耗が生じた様子を示す断面図である。 路面上の路面被覆用シートの摩耗が進行した様子を示す断面図である。 路面被覆用シートの点検を行う様子を示す模式図である。 点検車両に設置された点検装置及びカメラを示す模式図である。 本発明の実施形態の路面被覆用シートの点検方法を示すフロー図である。
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の路面被覆用シートを示す断面図である。本実施形態の路面被覆用シートは、道路の路面に設置され、アスファルト舗装に生じたポットホール等の修復や、ジョイント等による車輪のスリップの防止に用いることができるが、用途は特に限定されない。
この路面被覆用シート1は、3つの層が積層されてなる積層体2と、この積層体2の一方の面に設けられた接着層3を有する。
積層体2は、接着層3から遠い側から順に、第一層4と、第二層5と、第三層6を有する。第一層4、第二層5及び第三層6は、いずれも天然ゴムで形成されている。第一層4は黒に着色され、1mmの厚みに形成されている。第二層5は緑に着色され、0.5mmの厚みに形成されている。第三層6は赤に着色され、0.5mmの厚みに形成されている。すなわち、積層体2は2mmの厚みを有する。第一層4、第二層5及び第三層6の各々は、天然ゴム材料が着色されて所定の厚みのシート状に形成された後、互いに接着される。天然ゴム材料には、加硫剤や、必要に応じて可塑剤等の公知の添加剤が添加される。第一乃至第三層4,5,6を互いに接着する方法は、接着剤によるものや、熱溶着等の公知の方法を採用できる。また、第一乃至第三層4,5,6は、天然ゴムの他に、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、エピクロルヒドリンゴム等を用いることができる。
また、路面被覆用シート1の積層体2は、ゴム以外に、例えばポリウレア樹脂等で形成してもよい。上記積層体2は、可撓性を有して路面を被覆できるものであれば、材料は特に限定されない。
上記積層体2の第一層4、第二層5及び第三層6の色は、黒、緑及び赤に限られず、いずれの層も他の色に着色されてもよい。第一層4は、路面被覆用シート1が設置される路面に応じた色に着色されているのが好ましく、一般的なアスファルト舗装では黒色であるが、コンクリート舗装に設置される場合は灰色が好ましい。また、カラー舗装に設置される場合は当該カラー舗装の色に着色されているのが好ましい。第二層5は、第一層4及び第三層6の色に対して、画像処理により認識されやすい色に着色されているのが好ましい。また、第三層6は、第一層4及び第二層5の色に対して、画像処理により認識されやすい色に着色されているのが好ましい。
上記積層体2は、第一層4、第二層5及び第三層6の3層に限られず、2層以上の幾つの層で形成されてもよい。また、積層体2を構成する層の厚みは、最表面の層が他の層よりも大きい厚みを有するのが好ましいが、いずれの層も同一の厚みを有してもよく、また、層によって異なる厚みを有してもよい。
また、上記積層体2は、第一層4の表面に、他の層や材料が付与されてもよい。例えば滑り止め用の層や、滑り止め用の粒子等が設けられても良い。また、他の目的の層や材料が設けられてもよい。
接着層3は、積層体2の第三層6の表面に設けられており、エポキシ樹脂系接着剤で形成されている。ここで、接着層3は、積層体2を、アスファルト舗装や、路面に露出した被覆すべき部材に固定することができれば、その材質は特に限定されない。また、接着層3の形態は、固体でもゲル状でもよく、接着させる工程で、力や熱を与えるものでもよい。接着層3の表面は、保護シートが設けられてもよい。また、接着層3は無くてもよく、路面被覆用シート1を路面に設置する際に塗布する接着剤で、路面被覆用シート1を路面に接着されてもよい。
図2Aは、実施形態の路面被覆用シート1を路面に設置した様子を示す断面図である。路面被覆用シート1は、アスファルト舗装10で形成された路面の表面に、接着層3によって固定されている。アスファルト舗装10に固定された路面被覆用シート1は、黒色の第一層4が最表面に露出して、黒色のアスファルト舗装10と同化する。アスファルト舗装10に路面被覆用シート1を設置する工程では、アスファルト舗装10の表面にプライマ等を塗布してもよい。また、路面被覆用シート1の側面とアスファルト舗装10の表面との間に、段差を軽減するための充填材や塗布材等を設けてもよい。
図2Bは、アスファルト舗装10の路面上に設置された路面被覆用シート1に、摩耗が生じた様子を示す断面図である。図2Bの路面被覆用シート1は、第一層4が摩耗によって消失し、第二層5が表面に露出している。これにより、路面被覆用シート1の表面には、第二層5の緑色が現れる。したがって、路面を撮影し、画像中の緑色の領域を検出することにより、積層体2の残存厚が0.5mm以上1mm以下であることが検知できる。なお、路面被覆用シート1の第一層4の全てが摩耗するよりも前に、第一層4の一部が摩耗して第二層5の一部が路面被覆用シート1の表面に露出する場合も、この積層体2の最小の残存厚が0.5mm以上1mm以下であることが検知できる。
図2Cは、アスファルト舗装10の路面上に設置された路面被覆用シート1の摩耗が更に進行した様子を示す断面図である。図2Cの路面被覆用シート1は、第一層4と第二層5が摩耗によって消失し、第三層6が表面に露出している。これにより、路面被覆用シート1の表面には、第三層6の赤色が現れる。したがって、路面を撮影し、画像中の赤色の領域を検出することにより、積層体2の残存厚が0mm以上0.5mm以下であることが検知できる。なお、路面被覆用シート1の第二層5の全てが摩耗するよりも前に、第一層4及び第二層5の一部が摩耗して第三層6の一部が路面被覆用シート1の表面に露出する場合も、この積層体2の最小の残存厚が0mm以上0.5mm以下であることが検知できる。
以上のように、本実施形態の路面被覆用シート1は、表面に現れる色を検出することにより、この路面被覆用シート1の残存厚を容易に検知することができる。
図3は、路面に設置された路面被覆用シート1を、点検車両11によって点検を行う様子を示す模式図である。この点検車両11は、走行しながら路面を撮影する撮影装置としてのカメラ12と、このカメラ12に接続された点検装置13を搭載している。カメラ12は、可視光の動画及び静止画を撮影して撮影画像のデジタル情報を出力するデジタルビデオカメラで構成できる。本実施形態のカメラ12は、点検車両11の屋根の前端部に設置され、点検車両11の前方の路面と、幅方向の両側方とを撮影する。このカメラ12により、道路の路面を撮影すると共に、道路の側方に設置された距離標識としてのキロポスト20や案内標識等の各種の標識等を撮影できる。カメラ12は、例えば三方向カメラや広角レンズカメラ等で構成できる。ここで、点検車両11に搭載するカメラとして、点検車両11の屋根の後端部に設置して路面や道路の側方を撮影するものを採用してもよい。例えば、点検車両11の後方に設置するカメラとして、路面を車両の進行方向と直角の方向に走査し、車両の進行方向に連続した画像を出力するラインスキャンカメラを採用できる。また、点検車両11の前方に距離標識を撮影するカメラを設け、点検車両11の後方に路面を撮影するカメラを設けてもよい。
点検装置13は、カメラ12の撮影画像が入力され、画像処理を行い、路面被覆用シート1の点検を行うものである。点検装置13は、図4の模式図に示すように、この点検装置13の動作を制御する制御部14と、カメラ12の撮影画像の画像処理を行う画像処理部15と、各種の情報を記憶する記憶部16と、地上の基地局と無線通信を行う無線通信部17と、点検装置13に入力を行う入力部18と、点検装置13から各種の情報が表示される表示部19を有する。点検装置13は、CPU(Central Processing Unit)を有するコンピュータで構成され、記憶部16等の記憶装置に格納されたコンピュータプログラムをCPUで実行することにより、各装置の機能を実現するものである。上記無線通信部17、入力部18及び表示部19等は、ハードウェアで実現してもよい。
点検装置13の画像処理部15は、カメラ12の撮影画像に対して緑色と赤色の色検出を行い、検出した緑色又は赤色の領域を抽出する。記憶部16は、点検装置13の動作に関するコンピュータプログラムが記憶されていると共に、カメラ12の撮影画像や画像処理部15で抽出された部分の画像情報等を記憶する。ここで、記憶部16は、遠隔地のサーバ等に一部を配置し、無線通信部17を介してサーバに情報を送信して記憶するようにしてもよい。上記記憶部16は、磁気ディスクや半導体メモリ等で形成することができる。無線通信部17は、無線情報通信網の基地局と通信を行い、情報の送受信を行う。無線情報通信網を介して、遠隔地のサーバとの間で情報を送受信することができる。入力部18は、点検装置13の起動、各種機能の設定及び実行、検出動作の開始又は停止、並びに、無線通信の設定及び実行を指令する入力を行う。この入力部18は、ボタン、タッチセンサ、タッチパッド、ダイヤル等の入力装置や、表示部を兼ねたタッチパネルで形成できる。表示部19は、カメラ12の撮影画像の表示や、各種機能の設定内容の表示等を行う。この表示部19は、各種の表示パネルによって形成できる。
図5は、上記カメラ12及び点検装置13を搭載した点検車両11により、道路に設置された路面被覆用シート1を点検する方法を示すフロー図である。本実施形態では、複数の路面被覆用シート1が路面に設置された道路の区間を対象として、上記複数の路面被覆用シート1の摩耗の程度と位置を検出するための点検を行う。本実施形態の点検方法では、まず、点検車両11が点検対象の路面被覆用シート1が設置された道路に進入し、カメラ12及び点検装置13を作動させて路面の走行の走行を開始する。点検車両11が路面の走行を開始すると、カメラ12によって路面及び道路の側方を撮影する(ステップS1)。続いて、カメラ12の撮影画像について、点検装置13の画像処理部15で画像処理を行い、路面を映した画像中の緑色及び赤色の領域を抽出する(ステップS2)。撮影画像に緑色及び赤色の領域が検出されると、点検装置13の画像処理部15で画像処理を行い、撮影画像中の緑色又は赤色が検出された近傍の道路側方部分について、文字を抽出する(ステップS3)。画像の道路側方部分の文字を抽出することにより、道路の側方に設置されたキロポスト20に記載された距離を検出して、緑色又は赤色の路面被覆用シート1が検出された位置を特定することができる。このようにして、本発明の位置特定工程が実行される。撮影画像から文字が抽出されると、この文字に関する文字情報を、ステップS2で抽出された色に関する色情報に紐付けて、記憶部16に保存する(ステップS4)。このように、路面被覆用シート1の色情報と、路面被覆用シート1の位置を示す特定位置情報である文字情報とを紐付けて保存する情報保存工程が実行される。こうして、路面被覆用シート1の残存厚と位置が、記憶部16に記録される。色情報と文字情報の保存が完了すると、道路の点検対象区間の走行が完了したか否かを判断する(ステップS5)。道路の点検対象区間の走行が完了したか否かは、点検車両11の走行距離や、文字認識で検出されたキロポスト20の距離や、携帯情報端末用に基地局から受信した情報や、GPSの衛星から発信される情報に基づいて判断できる。点検車両11が点検対象区間を走行していないと判断されると、ステップS1に戻り、道路の撮影を継続する。点検車両11が点検対象区間を走行したと判断されると、点検装置13は記憶部16に保存された地図情報を読み出し、この地図情報に、記憶部16に保存された色情報と文字情報を組み合わせて、路面被覆用シート1の色又は残存厚と、路面被覆用シート1の位置を示した地図を表示部19に表示する(ステップS6)。この表示部19に示された地図により、路面被覆用シート1の残存厚と位置を、容易に把握することができ、路面被覆用シート1の補修計画を容易に作成することができる。上記色情報、文字情報、これらの色情報及び文字情報が組み合わされた地図情報は、無線通信部17を通じて、遠隔地のサーバに送信してもよい。
このように、本実施形態の路面被覆用シート1の点検方法によれば、路面に設置された路面被覆用シート1を、この路面を走行する点検車両11に搭載されたカメラ12で撮影して画像処理を行うことにより、道路の交通を規制することなく、上記路面被覆用シート1の残存厚を容易かつ迅速に検出することができる。
上記実施形態において、側方に設置された距離標識としてのキロポスト20をカメラ12で撮影したが、道路の案内標識等の各種の標識や、道路の周辺の看板等を撮影し、これらの撮影画像の文字認識を行って文字情報を抽出し、位置を特定してもよい。すなわち、距離標識は、キロポスト20以外に、位置を特定可能な種々の表示物が該当する。
また、上記実施形態において、路面被覆用シート1の位置は、カメラ12の撮影画像から抽出した文字に基づいて特定したが、他の方法によって位置を検出してもよい。例えば、点検装置13に、携帯情報端末用に基地局から電磁波で発信される位置特定補助情報や、GPSの衛星から電磁波で発信される位置特定補助情報を受信する受信機を設け、この受信機で受信した位置特定補助情報に基づいて、路面被覆用シート1の位置を特定してもよい。
また、路面被覆用シート1の色は、点検車両11に乗車した点検員が、目視により検知してもよい。この場合、点検車両11に、点検員が路面被覆用シート1の所定の色を認知したときに押下される検知ボタンと、この検知ボタンが押下されたときの点検車両11の位置を記録する位置記録部とを備えた記録装置を搭載する。位置記録部は、携帯情報端末用の基地局から発信される位置特定補助情報や、GPSの衛星から発信される位置特定補助情報を受信し、検知ボタンが押下されたときの位置特定補助情報を位置記録部に記録する。この記録装置が搭載された点検車両11で路面を走行し、点検員が路面を目視で観察し、路面被覆用シート1の所定の色を認知したときに検知ボタンを押下することにより、路面被覆用シート1の残存厚と位置を記録することができる。ここで、上記記録装置にマイクを接続し、点検員が認知した色を発声してマイクで収集し、記録装置に記録してもよい。
また、上記実施形態において、点検車両11に点検装置13を搭載したが、点検装置13の画像処理部は点検車両11以外の場所に設置してもよい。例えば、点検車両11に搭載する車載点検装置に、実施形態の点検装置13の制御部14、記憶部16、無線通信部17、入力部18及び表示部19等を設け、管理施設に設置する点検解析装置に、無線通信部及び画像処理部15を設ける。そして、点検車両11で走行しながらカメラ12で撮影した撮影画像を、無線通信部17を介して点検解析装置に送信し、点検解析装置の画像処理部15で画像処理を行い、路面被覆用シート1の色の検出と特定位置情報の検出を行ってもよい。また、点検解析装置の画像処理部15で所定の色を検出した際に、位置情報を取得する旨を命じる位置情報取得情報を点検解析装置から点検車両11に送信し、位置情報取得情報を受信した点検車両11の点検装置が距離標識の画像や位置特定補助情報を収集して点検解析装置に送信してもよい。また、点検車両11で走行しながら点検対象区間でカメラ12により撮影した全ての撮影画像を記憶部16に記憶し、管理施設で点検解析装置により記憶部16の撮影画像の画像処理を行って、路面被覆用シート1の色の検出と特定位置情報の検出を行ってもよい。この場合、車載点検装置は、カメラ12で点検対象区間の全てを撮影すると共に、全ての位置特定補助情報を収集して撮影画像に同期し、管理施設で点検解析装置により路面被覆用シート1の色の検出と位置の特定を行ってもよい。
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、多くの変形が、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
1 路面被覆用シート
2 積層体
3 接着層
4 積層体の第一層
5 積層体の第二層
6 積層体の第三層
10 アスファルト舗装
11 点検車両
12 カメラ
13 点検装置
14 制御部
15 画像処理部
16 記憶部
17 無線通信部
18 入力部
19 表示部

Claims (9)

  1. 所定の厚みを有して互いに異なる色の複数の層で形成された積層体を備え、
    上記積層体が摩耗するにつれて表面に露出する層の色により、残存厚を表示するように形成されたことを特徴とする路面被覆用シート。
  2. 請求項1に記載の路面被覆用シートにおいて、
    上記積層体の一方の面に、この積層体を路面に接着するための接着層が設けられていることを特徴とする路面被覆用シート。
  3. 請求項1に記載の路面被覆用シートにおいて、
    上記積層体が、路面から最も遠い側の層の色が黒であり、他の層の色が黒以外であることを特徴とする路面被覆用シート。
  4. 請求項3に記載の路面被覆用シートにおいて、
    上記積層体の路面から最も遠い側の層以外の層の色が、青、緑、赤のいずれかであることを特徴とする路面被覆用シート。
  5. 請求項1に記載の路面被覆用シートにおいて、
    上記積層体は、ゴムで形成されていることを特徴とする路面被覆用シート。
  6. 請求項1に記載の路面被覆用シートにおいて、
    上記積層体は、ポリウレア樹脂で形成されていることを特徴とする路面被覆用シート。
  7. 路面に設置された請求項1に記載の路面被覆用シートを点検する方法であって、
    上記路面を車両で走行しながら、上記路面被覆用シート及び路面を撮影装置で撮影する撮影工程と、
    上記撮影装置で撮影された画像に画像処理を行い、予め指定された色を検出する色検出工程と、
    上記色検出工程で色が検出された位置を特定する位置特定工程と、
    上記位置特定工程で特定された位置を示す特定位置情報と、この位置特定工程で特定された位置に関して上記色検出工程で検出された色に対応する上記路面被覆用シートの残存厚を示す残存厚情報とを紐付けて保存する情報保存工程と
    を備えることを特徴とする路面被覆用シートの点検方法。
  8. 請求項7に記載の路面被覆用シートの点検方法において、
    上記撮影工程が、上記路面被覆用シート及び路面と共に、上記路面の周辺に設置された距離標識を撮影し、
    上記位置特定工程が、上記撮影工程で撮影した画像に文字認識処理を行って距離標識の文字情報を抽出し、抽出された文字情報に基づいて、上記色が検出された位置を特定する
    ことを特徴とする路面被覆用シートの点検方法。
  9. 請求項7に記載の路面被覆用シートの点検方法において、
    路面を走行中に、電磁波で送信されて位置を特定するために利用可能な位置特定補助情報を取得する位置関連情報取得工程を備え、
    上記位置特定工程が、上記位置関連情報取得工程で取得した位置特定補助情報に基づいて、上記色が検出された位置を特定することを特徴とする路面被覆用シートの点検方法。
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