JP2021152121A - 熱硬化性離型コーティング剤及び積層体 - Google Patents

熱硬化性離型コーティング剤及び積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】離型性に優れた非シリコーン系の熱硬化性離型コーティング剤、及びこれを用いた離型層を有する積層体を提供すること。【解決手段】熱硬化性樹脂、架橋剤、離型剤及び特定の範囲内の平均粒子径を有する有機及び/又は無機の粒子を含有する熱硬化性離型コーティング剤であって、前記離型剤が、特定の範囲内の分子量を有するアクリル共重合体であって、かつ、前記離型剤の固形分含有量が特定の範囲内である、熱硬化性離型コーティング剤。【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性離型コーティング剤及び積層フィルムに関するものであり、より具体的には、非シリコーン系の離型剤を用い、離型性等に優れるとともに、凹凸転写性に優れた熱硬化性離型コーティング剤、及びこれを用いた離型層を有する積層体に関する。
樹脂フィルムの少なくとも片面に離型層を設けた積層フィルムは、粘着剤などの塗工面を保護するセパレーターや、パネル部材製造工程用フィルム、セラミック電子部品製造工程用フィルムのような光学・電子部品製造工程用や樹脂成形品の製造工程用フィルム、加飾用の転写フィルム等として、広く用いられている。離型層を有する積層フィルムはポリエステルフィルム等のフィルム基材の少なくとも片面に離型性を有する離型コーティング剤を塗工して形成されるものであり、離型コーティング剤としては、従来からシリコーン系の離型剤を用いた離型コーティング剤が用いられている。
しかしながら、シリコーン系の離型剤を用いた場合には、被着体へのシリコーンの移行により例えば電子機器の誤作動等が惹起される等の、シリコーンによる汚染の問題が認識されるようになり、非シリコーン系の離型剤を用いた離型コーティング剤や離型フィルムの開発が求められている。
例えば、特許文献1では、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、熱硬化性樹脂と飽和脂肪酸で変性したアルキド樹脂からなる離型層を設けてなる離型フィルムが開示されている。また特許文献2及び特許文献3では、メチル化メラミン樹脂と特定のポリオールに酸触媒を組み合わせた熱硬化性離型コーティング剤及び離型フィルムが開示されている。
しかしながら、従来の非シリコーン系の離型コーティング剤を用いた場合には、離型フィルムの剥離性能や加熱後の離型性が必ずしも十分ではない場合があった。また、離型コーティング剤による離型層を有する積層体として、例えば、転写箔の離型層の表面形状がマット調になっていることにより、成形同時加飾法で成形後に転写箔を剥離した際に、成形品表面に離型層の表面形状が転写され、成形品表面に凹凸形状を付与し得る積層体が提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、離型コーティング剤の塗装作業性、離型性能が十分ではないことがあった。
特開平10−6459号公報 特開2017−78161号公報 特開2018−115224号公報 国際公開第2015/053274号
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、離型性等、特に加熱後の離型性に優れるとともに、凹凸転写性に優れた非シリコーン系の熱硬化性離型コーティング剤、及びこれを用いた離型層を有する積層体を提供しようとするものである。
本発明者らは鋭意研究した結果、熱硬化性樹脂、架橋剤、離型剤を含有する熱硬化性離型コーティング剤であって、特定の粒子を含有するとともに、離型剤として特定のアクリル共重合体を用い、これを特定量配合した熱硬化性離型コーティング剤によって、上記課題を解決できることを見出した。
本発明は、以下に示す実施形態を含むものである。
[実施形態1] 熱硬化性樹脂(A)、架橋剤(B)、離型剤(C)並びに平均粒子径0.2〜10μmの範囲内の有機及び/又は無機の粒子(D)を含有する熱硬化性離型コーティング剤であって、前記離型剤(C)が、重量平均分子量3,500〜100万の範囲内のアクリル共重合体であって、かつ、前記離型剤(C)の固形分含有量が、前記熱硬化性樹脂(A)及び前記架橋剤(B)の合計樹脂固形分を基準として、0.5〜30質量%の範囲内である、熱硬化性離型コーティング剤。
[実施形態2] 前記粒子(D)が、有機粒子(D1)であって、架橋樹脂微粒子(d1)を含有する、実施形態1に記載の熱硬化性離型コーティング剤。
[実施形態3] 前記粒子(D)が、無機粒子(D2)である、実施形態1に記載の熱硬化性離型コーティング剤。
[実施形態4] 前記離型剤(C)が、炭素数12以上のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー(c−1)に基づく構成単位を、共重合成分の総量に対して50〜95質量%含有するアクリル共重合体である、実施形態1〜3のいずれか一項に記載の熱硬化性離型コーティング剤。
[実施形態5] 前記架橋剤(B)が、メラミン樹脂、ポリイソシアネート化合物及びベンゾグアナミン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む架橋剤である、実施形態1〜4のいずれか一項に記載の熱硬化性離型コーティング剤。
[実施形態6] 熱硬化性樹脂(A)の樹脂SP値(SP1)と、離型剤(C)の樹脂SP値(SP2)が、SP1>SP2であって、かつSP1−SP2が0.8以上である、実施形態1〜5のいずれか一項に記載の熱硬化性離型コーティング剤。
[実施形態7] 前記熱硬化性樹脂(A)のガラス転移温度Tgが70〜130℃である、実施形態1〜6のいずれか一項に記載の熱硬化性離型コーティング剤。
[実施形態8] 前記熱硬化性樹脂(A)が、アクリルポリオール(a1)であって、前記アクリルポリオール(a1)の重量平均分子量が3,000〜50,000である、実施形態1〜7のいずれか一項に記載の熱硬化性離型コーティング剤。
[実施形態9] 前記粒子(D)が、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂及びベンゾグアナミン樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の材料からなる球状有機微粒子を含む、実施形態2に記載の熱硬化性離型コーティング剤。
[実施形態10] 前記粒子(D)の固形分含有量が、前記熱硬化性樹脂(A)及び前記架橋剤(B)の合計樹脂固形分を基準として、0.1〜100質量%の範囲内である、実施形態1〜9のいずれか一項に記載の熱硬化性離型コーティング剤。
[実施形態11] 樹脂フィルムの少なくとも片面に、実施形態1〜10のいずれか一項に記載の熱硬化性離型コーティング剤により形成された離型層を設けてなる、積層体。
[実施形態12] 前記離型層の形成面のJIS−Z8741による60度鏡面光沢度が130%未満である、実施形態11に記載の積層体。
[実施形態13] 前記離型層の厚さが、0.2〜10μmの範囲内である、実施形態11又は12に記載の積層体。
[実施形態14] 樹脂基材の少なくとも片面に、実施形態1〜10のいずれか一項に記載された熱硬化性離型コーティング剤を塗布して、離型層を形成する工程(1)、及び
前記離型層上に、硬化性樹脂組成物を塗布して、硬化性樹脂層を少なくとも1層設ける工程(2)、
を含む、積層体の製造方法。
[実施形態15] 樹脂基材の少なくとも片面に、実施形態1〜10のいずれか一項に記載された熱硬化性離型コーティング剤を塗布して、離型層を形成する工程(1)、
前記離型層上に、硬化性樹脂組成物を塗布して、硬化性樹脂層を少なくとも1層設ける工程(2)、及び
前記樹脂基材、離型層及び硬化性樹脂層を有する積層体を加工成形する工程(3)、
を含む、積層体の製造方法。
[実施形態16] 前記硬化性樹脂層と前記離型層を剥離させる工程(4)、
をさらに含む、実施形態14又は15に記載の積層体の製造方法。
[実施形態17] 剥離工程後の硬化性樹脂層表面のJIS−Z8741による60度鏡面光沢度が130%未満である、実施形態16に記載の積層体の製造方法。
[実施形態18] 前記硬化性樹脂組成物が、活性エネルギー線硬化性ハードコート塗料組成物であって、前記活性エネルギー線硬化性ハードコート塗料組成物が、反応性ナノシリカと重合性不飽和基を有するアクリル樹脂及び/又はウレタン(メタ)アクリレートを含有する、実施形態14〜17のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
本発明によれば、非シリコーン系の剥離剤を用いてシリコーン汚染の問題を回避しつつ、離型性等に優れるとともに、凹凸転写性に優れた、熱硬化性離型コーティング剤、及び該コーティング剤から形成された離型層を有する積層体を提供することができる。
本発明に係る熱硬化性離型コーティング剤は、熱硬化性樹脂(A)、架橋剤(B)、離型剤(C)並びに平均粒子径0.2〜10μmの範囲内の有機及び/又は無機の粒子(D)を含有するものであって、前記離型剤(C)が、重量平均分子量3,500〜100万の範囲内のアクリル共重合体であり、かつ、前記離型剤(C)の固形分含有量が、前記熱硬化性樹脂(A)及び前記架橋剤(B)の合計樹脂固形分を基準として、0.5〜30質量%の範囲内である。
<熱硬化性樹脂(A)>
本発明に係る熱硬化性離型コーティング剤は熱硬化性樹脂(A)を含有する。熱硬化性樹脂(A)は、加熱により後述する架橋剤(B)と反応して架橋硬化して、主に被膜を形成する樹脂成分であり、本発明において用いられる熱硬化性樹脂(A)としては、従来から公知の硬化架橋できる被膜形成性樹脂を用いることができ、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂等であって、水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル基等の架橋性官能基を有している熱硬化性樹脂が挙げられる。これらのなかでも、硬化性の観点から、水酸基含有アクリル樹脂、水酸基含有ポリエステル樹脂などの水酸基含有樹脂や、カルボキシル基含有アクリル樹脂、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂などのカルボキシル基含有樹脂が好ましく、中でも水酸基含有アクリル樹脂及び/又は水酸基含有ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも一種が好ましく、特に水酸基含有アクリル樹脂を含むことが好ましい。
特に、熱硬化性樹脂(A)の樹脂SP値として、後述する離型剤(C)との相溶性、被膜形成直後からの離型性発現、及び加熱後の離型性のバランスの観点から、熱硬化性樹脂の樹脂SP値は、9.8〜13.5、好ましくは10.0〜12.5の範囲内のものを使用すると特に好ましい。
ここで樹脂SP値とは得られる樹脂の溶解性パラメータのことであり、簡便な実測法である濁点滴定(n−ヘキサントレランスとも言う)により測定することができ、下記のK.W.SUH、J.M.CORBETTの式(Journal of Applied Polymer Science,12,2359,1968の記載参照)に従い算出される値である。
式 SP=(√Vml・δH+√Vmh・δD)/(√Vml+√Vmh
濁点滴定では、試料0.5gをアセトン10mLに溶解した中に、n−ヘキサンを加えていき、濁点での滴定量H(mL)を読み、同様にアセトン溶液中に脱イオン水を加えたときの濁点における滴定量D(mL)を読み、これらを下記式に適用し、Vml、Vmh、δH、δDを算出する。濁点はJIS−K0101(工業用水試験方法)に準じたホルマジン濁度標準で100度になった時とする。樹脂SP値が低いほど、極性は低く、疎水性であることをあらわす。なお、本測定に用いる各溶剤の分子容(mL/mol)は、アセトン:74.4、n−ヘキサン:130.3、脱イオン水:18であり、各溶剤のSPは、アセトン:9.75、n−ヘキサン:7.24、脱イオン水:23.43である。
ml=74.4×130.3/((1−VH)×130.3+VH×74.4)
mh=74.4×18/((1−VD)×18+VD×74.4)
H=H/(10+H)
D=D/(10+D)
δH=9.75×10/(10+H)+7.24×H/(10+H)
δD=9.75×10/(10+D)+23.43×D/(10+D)。
水酸基含有アクリル樹脂としては、従来公知のものを制限なく使用できるが、例えば、水酸基含有重合性不飽和モノマー及び該水酸基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーを含有する混合物を、それ自体既知の方法、例えば、塊状重合法や有機溶媒中での溶液重合法、水中でのエマルション重合法等の方法により共重合せしめることによって得られるアクリルポリオール(a1)を使用することができる。
水酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル化物や、該多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル化物にε−カプロラクトンを開環重合した化合物等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらの中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを特に好適に使用することができる。
その他の共重合可能な重合性不飽和モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドメチルエーテル、N−メチロールアクリルアミドブチルエーテル等の(メタ)アクリルアミド又はその誘導体;2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムブロマイド等の第4級アンモニウム塩基含有モノマー;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の(メタ)アクリルアミド−アルカンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホアルキル(メタ)アクリレート;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン;アリルメタクリレート等の多ビニル化合物;γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等の加水分解性シリル基含有重合性不飽和モノマー等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートを特に好適に使用することができる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。また、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル又はメタクリロイルを意味し、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。
熱硬化性樹脂(A)として用いられるアクリルポリオール(a1)は、硬化性、相溶性の観点から、その水酸基価が、1〜200mgKOH/g、好ましくは2〜150mgKOH/gの範囲内であるものが好ましい。また、前記アクリルポリオールの重量平均分子量は、相溶性、ブロッキング性の観点から、通常3,000〜100,000、好ましくは4,000〜80,000、さらに好ましくは5,000〜50,000の範囲内である。
本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定した保持時間(保持容量)を、同一条件で測定した分子量既知の標準ポリスチレンの保持時間(保持容量)によりポリスチレンの分子量に換算して求めた値である。カラムは、「TSKgel G−4000H×L」、「TSKgel G−3000H×L」、「TSKgel G−2500H×L」、「TSKgel G−2000H×L」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフランとN,N−ジメチルホルムアミドの混合液、測定温度;40℃、流速;1ml/分、検出器;RIの条件で行ったものである。
また、アクリルポリオール(a1)のガラス転移温度は、加熱後の離型性、ブロッキング性の観点から、70〜130℃であることが好ましく、80〜120℃であることが特に好ましい。このような高いガラス転移温度のアクリルポリオール(a1)とするには、共重合成分の一部としてホモポリマーのガラス転移温度が50℃以上のモノマー、より好ましくは80〜130℃モノマー、さらに好ましくは90〜120℃の範囲内のモノマーを、その共重合成分の一部として含むことが望ましい。ホモポリマーのガラス転移温度が50℃以上のモノマーとしては、スチレン、メチルメタクリレート、分岐アルキル基を有するメタクリレート例えば、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、環状アルキル構造を有するメタアクリレート、例えば、シクロヘキシルメタアクリレート、イソボルニルメタアクリレート等、が挙げられる。ホモポリマーのガラス転移温度が50℃以上のモノマーを使用する場合のその使用量としては、全共重合成分に対して、50〜100質量%、好ましくは70〜95質量%の範囲内にあることが好ましい。
ここで、本明細書においてモノマーのガラス転移温度とは、Polymer Handbook(4th Edition,J.Brandup・E.H.Immergut編)にある各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度のことである。該文献に記載されていないモノマーのガラス転移温度は、該モノマーのホモポリマーを重量平均分子量が5万程度になるようにして合成し、そのガラス転移温度を示差走査型熱分析により測定したときの値を使用する。
アクリルポリオール(a1)としては、市販品を用いても構わない。具体的には、例えば、三井化学株式会社製のオレスターQ164、Q167−40、Q174、Q171、Q602、Q602、Q185、Q177、Q166、Q193、Q182、Q187、Q189、Q186や、住友バイエルウレタン株式会社製のデスモフェンA160X、A160SN、A165BA/X、A265BA、A365BA/X、A450MPA/X、A450BA、A565X、A575X、A665BA/X、大成化工株式会社製のアクリット6519MB、6TH−419、6KR−404T、6614MA、6416MA、6BS−309L、6AN−303、6BF−203、6LQ−724、6KW−713、6KW−720、6KW−801、東栄化成株式会社製のアクリルポリオールTZ#9511、TZ#4599、Z#9516、TZ#9515、TZ#9519等が挙げられる。
水酸基含有ポリエステル樹脂は、多塩基酸及び多価アルコール及び必要に応じて芳香族一塩基酸又はモノアルコールを反応させてなるオイルフリーポリエステル樹脂、又は多塩基酸、多価アルコールに加えて脂肪酸若しくは油脂、必要に応じて芳香族一塩基酸やモノアルコールを反応させてなるアルキド樹脂等が挙げられる。
上記多塩基酸成分としては、酸成分として通常使用される化合物を使用することができる。かかる酸成分としては、例えば、芳香族多塩基酸、脂環族多塩基酸、脂肪族多塩基酸、等を挙げることができる。
多塩基酸は1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物(ジカルボン酸)であって、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4´−ビフェニルジカルボン酸、ジフェニルメタン−4,4´−ジカルボン酸などの芳香族多塩基酸及びその無水物;ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸などの脂環族多塩基酸及びその無水物;アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、クロロマレイン酸、フマル酸、ドデカン二酸、ピメリン酸、アゼライン酸、イタコン酸、シトラコン酸、ダイマー酸などの脂肪族多塩基酸及びその無水物;これらのジカルボン酸のメチルエステル、エチルエステルなどの低級アルキルエステル;トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメット酸、トリメシン酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、テトラクロロヘキセン多塩基酸及びその無水物などの3価以上の多塩基酸などが挙げられる。
多価アルコールは1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であって、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチルトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、3−メチル−4,3−ペンタンジオール、3−メチル−4,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピヴァリン酸ネオペンチルグリコールエステルなどの2価アルコール;これらの2価アルコールにε−カプロラクトンなどのラクトン類を付加したポリラクトンジオール;ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレートなどのエステルジオール類;ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリエーテルジオール類;プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイドなどのα−オレフィンエポキシド、カージュラE10[シェル化学社製、商品名、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル]などのモノエポキシ化合物;グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニットなどの3価以上のアルコール;これらの3価以上のアルコールにε−カプロラクトンなどのラクトン類を付加させたポリラクトンポリオール類;1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールA及び水添ビスフェノールFなど脂環族多価アルコールなどが挙げられる。
水酸基の導入は、例えば、1分子中に3個以上の水酸基を有する多価アルコールを併用することによって行なうことができる。
また、前記アルキド樹脂の製造に用いられる脂肪酸成分としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、麻実油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、魚油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸等の脂肪酸;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、10−フェニルオクタデカン酸等のモノカルボン酸;乳酸、3−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシ−4−エトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。これらの脂肪酸成分は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。また、油脂成分としては、上記脂肪酸等のグリセリンエステル化物等を挙げることができる。
また上記多塩基酸と多価アルコールの反応時に、さらに必要に応じて一塩基酸を用いても良い。一塩基酸としては、例えば安息香酸やt−ブチル安息香酸などが挙げられる。さらにポリエステル樹脂は、必要に応じて、ブチルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル、ネオデカン酸グリシジルエステルなどのエポキシ化合物で変性されていてもよい。
本発明では、熱硬化性樹脂(A)として用いられる水酸基含有ポリエステル樹脂は、硬化性、相溶性の観点から、水酸基価1〜200mgKOH/g、好ましくは2〜150mgKOH/gの範囲内が好ましい。また、前記水酸基含有有ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、相溶性、ブロッキング性の観点から、3,000〜100,000、好ましくは4,000〜80,000、さらに好ましくは5,000〜50,000の範囲内である。
上記熱硬化性樹脂(A)が酸価を有する場合は、塗料の貯蔵安定性、得られる塗膜の耐水性等の観点から、酸価が、1〜100mgKOH/gであることが好ましく、1.5〜50mgKOH/gであることがより好ましく、2〜30mgKOH/gであることがさらに好ましい。
本発明において、熱硬化性樹脂(A)のガラス転移温度は、加熱後の離型性、ブロッキング性の観点から、70〜130℃であることが好ましく、80〜120℃であることが特に好ましい。
なお、本明細書において、ガラス転移温度Tgは下記式により算出される値である。
1/Tg(K)=W1/T1+W2/T2+・・・Wn/Tn
Tg(℃)=Tg(K)−273
式中、W1、W2、・・・Wnは各モノマーの質量分率であり、T1、T2・・・Tnは各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度Tg(K)である。
なお、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度は、POLYMER HANDBOOK Fourth Edition,J.Brandrup,E.h.Immergut,E.A.Grulke編(1999年)による値であり、該文献に記載されていないモノマーのガラス転移温度は、該モノマーのホモポリマーを重量平均分子量が50,000程度になるようにして合成し、そのガラス転移温度を示差走査型熱分析により測定したときの値を使用する。
<架橋剤(B)>
本発明に係る熱硬化性離型コーティング剤は架橋剤(B)を含有する。本発明における架橋剤(B)としては、加熱により熱硬化性樹脂(A)の架橋性官能基と反応して架橋硬化を生じるものであれば特に制限なく使用することができる。このような架橋剤としては、例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂等のアミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、金属キレート化合物、エポキシ樹脂等を挙げることができ、なかでもメラミン樹脂、ポリイソシアネート化合物、金属キレート化合物、ベンゾグアナミン樹脂が好適に用いられる。
上記メラミン樹脂としては、メチロール化メラミンのメチロール基の一部又は全部を炭素数1〜8の1価アルコール、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール等で、エーテル化した部分エーテル化又はフルエーテル化メラミン樹脂が挙げられる。
メラミン樹脂の市販品としては、例えばサイメル202、サイメル232、サイメル235、サイメル238、サイメル254、サイメル266、サイメル267、サイメル272、サイメル285、サイメル301、サイメル303、サイメル303LF、サイメル325、サイメル327、サイメル350、サイメル370、サイメル701、サイメル703、サイメル1141、マイコート506(以上、オルネクスジャパン社製)、ユーバン20SE60(三井化学株式会社製)等が挙げられる。
ベンゾグアナミン樹脂は、ベンゾグアナミンとアルデヒドとの反応によって得られるメチロール化ベンゾグアナミン樹脂が挙げられる。アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。また、このメチロール化ベンゾグアナミン樹脂を1種又は2種以上のアルコールによってエーテル化したものも上記ベンゾグアナミン樹脂に包含される。エーテル化に用いられるアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール等の1価アルコールが挙げられる。これらのうち、なかでもメチロール化ベンゾグアナミン樹脂のメチロール基の少なくとも一部を炭素数1〜4の1価アルコールでエーテル化してなるベンゾグアナミン樹脂が好適である。
上記ベンゾグアナミン樹脂の具体例としては、例えば、マイコート102、マイコート105、マイコート106(以上、いずれもオルネクスジャパン社製)、ニカラックSB−201、ニカラックSB−203、ニカラックSB−301、ニカラックSB−303、ニカラックSB−401(以上、いずれも三和ケミカル社製)などのメチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂;サイメル1123(以上、オルネクスジャパン社製)などのメチルエーテルとエチルエーテルとの混合エーテル化ベンゾグアナミン樹脂;マイコート136(以上、オルネクスジャパン社製)、ニカラックSB−255、ニカラックSB−355、ニカラックBX−37、ニカラックBX−4000(以上、いずれも三和ケミカル社製)などのメチルエーテルとブチルエーテルとの混合エーテル化ベンゾグアナミン樹脂;マイコート1128(以上、オルネクスジャパン社製)などのブチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂などを挙げることができる。
尿素樹脂は、尿素とホルムアルデヒドとの縮合反応で得られ、溶剤又は水に溶解又は分散できる。
ポリイソシアネート化合物としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート及びシクロペンタンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート;該ポリイソシアネートのビユーレットタイプ付加物、イソシアヌル環タイプ付加物;これらのポリイソシアネートと低分子量もしくは高分子量のポリオール化合物(例えば、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールなど)とをイソシアネート基過剰で反応させてなる遊離イソシアネート基含有プレポリマーなどを挙げることができる。
さらに、ポリイソシアネート化合物としては、上記ポリイソシアネート化合物の遊離イソシアネート基をフェノール化合物、オキシム化合物、活性メチレン化合物、ラクタム化合物、アルコール化合物、メルカプタン化合物、酸アミド系化合物、イミド系化合物、アミン系化合物、イミダゾール系化合物、尿素系化合物、カルバミン酸系化合物、イミン系化合物などのブロック剤で封鎖したブロック化ポリイソシアネート化合物も使用することができる。
本発明において架橋剤(B)として用いられる金属キレート化合物は、Ti、Zr又はAlから選ばれる元素の金属キレート化合物であり、そのような金属キレート化合物の代表例としては、金属元素Mがチタニウム又はジルコニウム元素の場合には、一般式(Ra4-nM(Rbnで示され、Mがアルミニウム元素の場合には、一般式(Ra3-mM(Rbmで示されるアルコキシド化合物又はアルコキシル基置換アルコキシド化合物[ここで、nは2〜4の整数であり、mは2〜3の整数であり、Raはエチル基、アミル基、フェニル基、ビニル基、β−(3,4−エポキシクロヘキシル)基、γ−メルカプトプロピル基、アミノアルキル基などの置換基を表わし、Rbは通常炭素原子数1〜8のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、tert−ペントキシ基、イソペントキシ基、n−ヘキソキシ基、n−ヘプトキシ基、n−オクトキシ基など)又は合計の炭素原子数が2〜10のアルコキシ置換アルコキシ基(例えば、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシブトキシ基、ブトキシペントキシ基など)を表わす]に、マレイン酸などのジカルボン酸類;ジアセトンアルコールなどのケトンアルコール;アセトチルアセトンなどのジケトン;アセト酢酸エチルなどのケトンエステル;マロン酸エチルなどのジエステル;サリチル酸;サリチルアルデヒド;カテコール、ピロガロールなどの2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール類;トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノアルコールなどのアルカノールアミン類などをリガンド(配位子)として結合せしめることにより得られる、2個以上、好ましくは2〜3個の金属アルコキシド結合(アルコキシ置換アルコキシド結合も含む)を有する配位化合物(錯化合物)が挙げられる。
これらの架橋剤はそれぞれそれ単独で又は2種以上併用して使用することができるが、硬化性の点から、ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂及びベンゾグアナミン樹脂から選ばれる少なくとも1種が好ましく、硬化性、加熱後の離型性の観点からポリイソシアネート化合物及び/又はメラミン樹脂が、初期の離型性と加熱後の離型性の観点からはベンゾグアナミン樹脂が、特に好適である。また、架橋剤(B)の使用量は、熱硬化性樹脂(A)の樹脂固形分を基準として、15〜150質量%の範囲が好ましく、40〜100質量%の範囲が特に好ましい。ポリイソシアネート化合物を使用する場合その使用量としては、ポリイソシアネート化合物イソシアネート基と、熱硬化性樹脂の有する水酸基との当量比(NCO/OH)が、通常0.5〜1.5、特に0.8〜1.3の範囲内となるよう比率を選択して配合量が調整されることが好適である。
熱硬化性離型コーティング剤は硬化触媒を含有しても良い。架橋剤(B)として、メラミン樹脂又はベンゾグアナミン樹脂を用いる場合の硬化触媒としては、例えば、カルボン酸、スルホン酸、リン酸のような酸触媒等を挙げることができ、なかでもドデシルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等が好ましく用いられる。架橋剤(B)がポリイソシアネート化合物である場合には、硬化触媒の中でもウレタン硬化触媒として公知のもの(例えば、有機錫化合物、アミン化合物、有機酸など)を用いることができる。
上記硬化触媒を含有する場合の含有量は、硬化性、貯蔵安定性(ポットライフ)の観点から、熱硬化性樹脂(A)及び架橋剤(B)の合計固形分100質量部に対して、通常0.1〜20質量部であり、1〜15質量部であることが好ましい。熱硬化性離型コーティング剤の全固形分に対しては20質量%未満が好ましく、1〜15質量%が好ましい。本明細書において、固形分とは不揮発分を意味するものであり、試料から、水、有機溶剤等の揮発する成分を除いた残渣を意味する。具体的には、固形分は、試料3グラムを105℃、3時間乾燥させた残さの質量を、乾燥前の質量で除することにより算出した値を固形分とすることができる。
<離型剤(C)>
本発明において用いられる離型剤(C)はアクリル共重合体である。アクリル重合体は、例えば、重合性不飽和モノマーを、それ自体既知の方法、例えば、有機溶媒中での溶液重合法、水中でのエマルション重合法等の方法により重合せしめることによって得ることができる。
重合性不飽和モノマーとしては、公知のものを使用することができるが、十分な離型性の観点からは、炭素数12以上のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー(c−1)から選ばれる少なくとも1種含むことが好ましい。炭素数12以上のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー(c−1)としては、例えば、下記式
式 CH2=C(R1)−COOR2
〔上記式中R1は水素又はメチル基を示し、R2は炭素数12〜22の直鎖、分岐、環状アルキル基を示す〕で表されるアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。ここで炭素数12以上とはR2の炭素数が12以上であることを意味する。具体的には、ラウリル(メタ)アクリレート〔炭素数12〕、トリデシル(メタ)アクリレート〔炭素数13〕、ミリスチル(メタ)アクリレート〔炭素数14〕、セチル(メタ)アクリレート〔炭素数15〕、ヘプタデシル(メタ)アクリレート〔炭素数17〕、ステアリル(メタ)アクリレート〔炭素数18〕、イコシル(メタ)アクリレート〔炭素数20〕、及びベヘニル(メタ)アクリレート〔炭素数22〕等の(メタ)アクリル酸エステル系化合物が挙げられる。これらの化合物は単独でも2種以上を組み合わせても用いることができる。離型性、製造安定性の観点から、中でも、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレートが特に好ましい。またさらに特に、炭素数12以上のアルキル基は直鎖状、分岐状のいずれでもよいが、初期からの十分な離型性発現の観点及び製造安定性の観点から直鎖状のアルキル基が好ましく、特に直鎖のステアリルアクリレートが好ましい。
離型剤(C)として用いられるアクリル共重合体が、炭素数12以上のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー(c−1)に基づく構成単位を有する場合、炭素数12以上のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー(c−1)に基づく構成単位の割合は、初期からの十分な離型性発現の観点から、共重合体成分の総量に対して好ましくは50〜95質量%の範囲であり、より好ましくは60〜80質量%の範囲である。
離型剤(C)として用いられるアクリル共重合体を構成する他の共重合性モノマーとしては、水酸基を有する重合性不飽和モノマー及びカルボキシル基を有する重合性不飽和モノマーから選ばれる少なくとも1種の極性官能基を有する重合性不飽和モノマー(c−2)を用いることが好ましい。
上記水酸基を含有する重合性不飽和モノマーは、1分子中に水酸基及び重合性不飽和結合をそれぞれ少なくとも1個有する化合物であり、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の炭素数2〜20のグリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル化物等を挙げることができる。これらのうち、特に、硬化性及び加熱後の離型性の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、さらに硬化性及び加熱後の離型性の観点からは、長鎖(炭素数以上が3以上、さらに5〜12)水酸基含有モノマーが好ましい。このような長鎖水酸基含有モノマーとしては、カプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートや、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。カプロラクトン変性ヒドロキシアルキルアクリレートとしては、以下の一般式(I)で表される化合物を好適に使用できる。
Figure 2021152121
[式中、R3は水素かメチル基であり、R4は炭素数2〜6のアルキレン基であり、nは1〜5の整数である。]。
市販品とてしては、「プラクセル FM1」、「プラクセルFM2」、「プラクセルFM1D」「プラクセルFM2D」、「プラクセルFM3」、「プラクセルFM3X」、「プラクセルFM4」、「プラクセルFM−5」「プラクセルFA1」、「プラクセルFA2」、「プラクセルFA1D」、「プラクセルFA1DDM」、「プラクセルFA2D」、「プラクセルFA3」、「プラクセルFA4」、「プラクセルFA5」(いずれもダイセル化学社製、商品名、プラクセル/PLACCELは登録商標)等を挙げることができる。なかでも、得られる共重合体と硬化剤との硬化性の点から、一般式(I)において、R2がエチレン基であるカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレートが好ましい。同様に活性エネルギー線硬化性の点から、一般式(I)において、nが1〜3の範囲であるカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレートが好ましい。
ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートとしては、下記一般式(II)で表される化合物を好適に使用できる。
Figure 2021152121
[(式(1)中、R5は水素原子又はメチル基を表し、mは1〜60の整数を示す)]。
市販品とてしては、ブレンマーPE−90、ブレンマー200、ブレンマー350、ブレンマーPME−400、ブレンマーAE−400、ブレンマーPME−1000、ブレンマーPME−2000(以上、日本油脂(株)社製、ポリエチレングリコールモノメタクリレート)等が挙げられる。
上記カルボキシル基を含有する重合性不飽和モノマーは、1分子中にカルボキシル基及び重合性不飽和結合をそれぞれ少なくとも1個有する化合物であり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、メサコン酸等及びこれらの酸の無水物やハーフエステル化物等を挙げることができ、これらのうち、製造安定性及び加熱後の離型性の観点から、特に(メタ)アクリル酸、さらにアクリル酸が好ましい。
離型剤(C)として用いられるアクリル共重合体が、水酸基を有する重合性不飽和モノマー及びカルボキシル基を有する重合性不飽和モノマーから選ばれる少なくとも1種の極性官能基を有する重合性不飽和モノマー(c−2)に基づく構成単位を有する場合、その割合は、十分な離型性、加熱後の離型性の観点から、共重合体成分の総量に対して好ましくは5〜50質量%の範囲であり、より好ましくは20〜40質量%の範囲である。
離型剤(C)として用いられるアクリル共重合体は、離型性、製造安定性の点から、その共重合性モノマーとして、特に好ましくは、炭素数12以上のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー(c−1)及び極性官能基を有する重合性不飽和モノマー(c−2)を必須成分として含むものであることが好ましい。
また、離型剤(C)として用いられるアクリル共重合体の樹脂SP値は、離型性、相溶性の観点から、9.0〜10.0の範囲内、好ましくは、9.1〜9.5の範囲内である。また、被膜形成直後からの離型性発現の観点及び加熱後の離型性とのバランスの観点から、熱硬化性樹脂(A)の樹脂SP値(SP1)と、離型剤(C)の樹脂SP値(SP2)とが、SP1>SP2であって、かつその差分SP1−SP2が0.8以上、さらに1.1以上が好ましい。該差分の上限は、加熱後の離型性及び相溶性の観点から2.0以下、特に1.7以下であることができる。
離型剤(C)として用いられるアクリル共重合体の製造にあたり、上記の炭素数12以上のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー(c−1)及び極性官能基を有する重合性不飽和モノマー(c−2)に加えて、その他の重合性モノマー(c−3)を併用することもできる。その他の重合性不飽和モノマー(c−3)は、実質的に含まないことが好ましいが、離型剤(C)とその他成分との相溶性及び初期からの離型性発現のバランスの観点から、その他の重合性不飽和モノマー(c−3)に基づく構成単位の割合は、共重合成分の総量に対して、30質量%以下、好ましくは0.1〜20質量%の範囲内で調整することができる。
その他の前記(c−1)及び(c−2)以外の重合性不飽和モノマー(c−3)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプシル(メタ)メタクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、メトキシブチルアクリレート、メトキシブチルメタクリレート、メトキシエチルアクリレート、メトキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜18のアルコキシエステル;N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N−t−ブチルアミノエチルアクリレート、N−t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート等のアミノアクリル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−ジメチルアクリルアミド、N−ジメチルメタクリルアミド等のアクリルアミド系モノマー;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル等を挙げることができる。
離型剤(C)として用いられるアクリル共重合体の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えばラジカル重合開始剤の存在下における、塊状重合法、溶液重合法等が挙げられる。なかでも溶液重合法を好適に使用することができる。前記溶液重合法としては、例えば、重合性不飽和モノマーとラジカル重合開始剤の混合物を、有機溶剤に溶解もしくは分散せしめ、通常、50℃〜200℃の温度で、1〜24時間程度撹拌しながら加熱する方法を挙げることができる。
使用する有機溶剤としてはセロソルブ系、アルコール系、カルビトール系、セロソルブアセテート系などが挙げられる。ラジカル重合開始剤としては過酸化物やアゾ系化合物などが挙げられる。
このようにして得られるアクリル共重合体の重量平均分子量は、一般的には3,500〜100万の範囲内であり、加熱後の離型性の点から、好ましくは5,000〜50万の範囲内であり、より好ましくは8,000〜12万の範囲内であり、特に好ましくは9,000〜10万の範囲内である。重量平均分子量が特定の範囲内であることにより、平滑性及び非粘着性において有利な効果が得られる。
また上記アクリル共重合体は、ガラス転移温度(Tg)は、−50〜80℃の範囲内とすることができ、加熱後の離型性及び耐ブロッキング性の観点から、5〜70℃未満の範囲内であることが好ましく、さらに10〜60℃の範囲内であることが好ましい。
<粒子(D)>
本発明の熱硬化性離型コーティング剤は粒子(D)を含有する。このような粒子(D)を含有させることにより、熱硬化性離型コーティング剤によって形成される離型層表面に凹凸効果を付与して、マット化した離型層表面とすることができる。粒子(D)の材質としては、特段の制限はなく、有機粒子(D1)、無機粒子(D2)のいずれであっても使用できる。また、粒子(D)は無機有機複合粒子であってもよい。使用する粒子の形状としては、球状、塊状、棒状、扁平状等挙げられるが、光沢調整並びに均一な転写性の発現の観点からは球状、好ましくは真球状であることが好ましい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
有機粒子(D1)の例としては、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ウレア樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂及びベンゾグアナミン樹脂などの有機粒子を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、粒子(D1)としては、メラミン樹脂、シリコーン樹脂及びアクリル樹脂を特に好適に使用することができ、中でもアクリル樹脂が好適である。また、有機粒子(D1)は、耐溶剤性及び加熱後の離型性の観点から、架橋樹脂微粒子(d1)を含むことが好ましい。
前記有機粒子(D1)は、市販品を好適に用いることができ、例えば、テクポリマー(登録商標)MBXシリーズ、同SBXシリーズ、同MSXシリーズ、同SMXシリーズ、同SSXシリーズ、同BMXシリーズ、同ABXシリーズ、同ARXシリーズ、同AFXシリーズ、同MBシリーズ、同MBPシリーズ、同MB−Cシリーズ、同ACXシリーズ、同ACPシリーズ[以上、積水化成品工業(株)製];トスパール(登録商標)シリーズ[モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(同)製];エポスター(登録商標)シリーズ、同MAシリーズ、同STシリーズ、同MXシリーズ[以上、(株)日本触媒製];オプトビーズ(登録商標)シリーズ[日産化学工業(株)製];フロービーズシリーズ[住友精化(株)製];トレパール(登録商標)PPS、同PAI、同PES、同EP[以上、東レ(株)製];3M(登録商標)ダイニオンTFマイクロパウダーシリーズ[3M社製];ケミスノー(登録商標)MXシリーズ、同MZシリーズ、同MRシリーズ、同KMRシリーズ、同KSRシリーズ、同MPシリーズ、同SXシリーズ、同SGPシリーズ[以上、綜研化学(株)製];タフチック(登録商標)AR650シリーズ、同AR−750シリーズ、同FH−Sシリーズ、同A−20、同YKシリーズ、同ASFシリーズ、同HUシリーズ、同Fシリーズ、同Cシリーズ、同WSシリーズ[以上、東洋紡(株)製];アートパール(登録商標)GRシリーズ、同SEシリーズ、同Gシリーズ、同GSシリーズ、同Jシリーズ、同MFシリーズ、同BEシリーズ[以上、根上工業(株)製];信越シリコーン(登録商標)KMPシリーズ[信越化学工業(株)製]等を用いることができる。
無機粒子(D2)の例としては、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、無機粒子(D2)としては、シリカを特に好適に使用することができる。これら無機粒子は、無処理であってもよく、シランカップリング剤やポリエチレンワックス等で処理されていてもよい。
前記無機粒子(D2)、市販品を好適に用いることができ、例えば、ACEMATT(登録商標)OKシリーズ、[エボニック社製]、シーホスター(登録商標)KEシリーズ[日本触媒株式会社製]を挙げることができる。
粒子(D)の平均粒子径は、光沢調整と転写性の観点から、0.2μm〜10μmの範囲内であり、0.4μm〜9.0μmの範囲内であることがより好ましい。なお、本発明における粒子(D)の平均粒子径は、レーザー散乱法に従い測定されたD50値のものである。D50値とは体積基準の粒度分布から、小粒径側からの積算粒径分布が50%となる粒径のことである。本明細書において、粒子(D)の体積基準の粒度分布はレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「マイクロトラックNT3300」(商品名、日機装社製)を使用して測定された。その際、前処理として粒子をアセトン及びイソプロピルアルコールの混合溶剤に加えて1分間超音波をかけることによって分散し、粒子濃度を装置に設定された所定の透過率範囲となる濃度に調整した。
熱硬化性離型コーティング剤における粒子(D)の含有量は、光沢調整と転写性の観点から、熱硬化性樹脂(A)及び架橋剤(B)の合計樹脂固形分を基準として、通常0.1〜100質量%であり、好ましくは0.5〜60質量%であり、より好ましくは1〜55質量%である。
<熱硬化性離型コーティング剤>
上記熱硬化性樹脂(A)、架橋剤(B)、離型剤(C)及び平均粒子径0.2〜10μmの範囲内の有機及び/又は無機の粒子(D)を、離型剤(C)の固形分含有量が、前記熱硬化性樹脂(A)及び前記架橋剤(B)の合計樹脂固形分を基準として、0.5〜30質量%の範囲内でように配合することにより、離型性等に優れるとともに、凹凸転写性に優れた非シリコーン系の熱硬化性離型コーティング剤とすることができる。離型剤(C)の配合量は、熱硬化性樹脂(A)及び架橋剤(B)の合計樹脂固形分を基準として、好ましくは0.6〜20質量%の範囲内であり、さらに好ましくは1.0〜10質量%の範囲内である。
本発明の熱硬化性離型コーティング剤は、熱硬化性樹脂(A)、架橋剤(B)、離型剤(C)と、粒子(D)とを混合して、得られた混合物を適宜希釈、攪拌することにより調整することができる。架橋剤(B)として、ブロック化されていないポリイソシアネート化合物を用いる場合には、それらを使用直前に混合することが好ましい。離型剤(C)が常温(25℃)で固形の場合には、熱硬化性樹脂(A)や公知の分散剤などとあらかじめ分散混合してもよく、塗装直前にコーティング剤を適温例えば、常温以上に温めてもよい。
また、熱硬化性樹脂(A)と離型剤(C)との使用比率は、加熱後の離型性向上の観点から、樹脂固形分を基準として、好ましくは100:0.5〜100:100の範囲内であり、より好ましくは100:0.9〜100:66の範囲内である。
熱硬化性樹脂(A)としてアクリルポリオール(a1)を含む場合その含有比率は、ブロッキング性と加熱後の剥離性の観点から、用いられる熱硬化性樹脂中の固形分総量に対して、70質量%以上、好ましくは80〜100質量%の範囲内である。
熱硬化性離型コーティング剤の全固形分に対する、熱硬化性樹脂(A)及び架橋剤(B)の樹脂固形分の含有量は、50質量%以上、60質量%以上、又は75質量%以上とすることができ、98.5質量%以下、95質量%以下、又は90質量%以下とすることができる。
本発明における熱硬化性離型コーティング剤は、所望により溶媒で希釈してもよく、さらに必要に応じて公知の各種添加剤や、前記熱硬化性樹脂(A)以外の樹脂を配合してもよい。
溶媒としては、ヘプタン、トルエン、キシレン、オクタン、ミネラルスピリット等の炭化水素系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル系有機溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系有機溶剤;n−ブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系有機溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル系有機溶剤;芳香族石油系有機溶剤等を挙げることができる。これらの溶媒は1種で又は2種以上を組合せて使用することができる。なかでも、熱硬化性離型コーティング剤の塗れ性、相溶性及び貯蔵安定性の点から、炭化水素系有機溶剤とグリコールエーテル系、エステル系、ケトン系及びアルコール系有機溶剤から選ばれる少なくとも1種の有機溶剤を併用することが好ましい。併用する場合のその含有比率としては、例えば炭化水素系有機溶剤/グリコールエーテル系、エステル系、ケトン系及びアルコール系有機溶剤から選ばれる少なくとも1種の有機溶剤の質量比率が1/99〜99/1、好ましくは30/50〜80/20で適宜調整できる。
前記溶媒の含有量としては、熱硬化性離型コーティング剤の全配合成分の合計質量に対して、1〜99質量%、好ましくは30〜95質量%、さらに好ましくは50〜90質量%となる範囲内で調整されることが望ましい。
また、添加剤としては、例えば、本発明の離型性に影響を与えない範囲で、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、レオロジーコントロール剤、表面調整剤、界面活性剤、体質顔料(平均粒子径が0.2〜10μの範囲内の粒子(D)に該当するものを除く。)、易滑剤、脱泡剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤、骨材、分散剤等が使用できる。このような添加剤を含有する場合の添加量としては、熱硬化性離型コーティング剤の全配合成分の合計質量に対して10質量%以下が好ましく、通常0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%の範囲内である。
本発明の熱硬化性離型コーティング剤は、シリコーン化合物を含まなくても、離型性に優れる離型層を形成することができ、シリコーンによる汚染の心配のない非シリコーン系(ノンシリコーン系)離型コーティング剤として用いることができるが、シリコーン化合物を含むことを排除するものではない。ただし、シリコーンによる汚染等の不具合を防止する観点から、本発明の熱硬化性離型コーティング剤は、実質的にシリコーンを含有しないことが好ましい。実質的にシリコーンを含有しないとは、具体的には本発明の熱硬化性離型コーティング剤による離型層に含まれるシリコーン化合物が、1質量%未満、好ましくは全く含有しないものである。
<積層体>
本発明は、その一つの態様において、樹脂フィルム等の基材の少なくとも片面に、本発明に係る熱硬化性離型コーティング剤から形成された離型層を設けてなる積層体、及び積層体の製造方法を提供することができる。すなわち、本発明の熱硬化性離型コーティングを、各種公知の基材の少なくとも片面に塗布して離型層を形成することにより、離型層を有する積層体が得られる。
基材としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン・ビニルアルコ−ル共重合体(EVOH)、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリイミド樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑型樹脂フィルムなどの樹脂基材を挙げることができる。これらの中でも加工性、コスト及び耐熱性の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムが特に好ましい。また基材として用いる樹脂フィルムは、必要に応じて紫外線吸収剤、充填剤、熱安定剤、着色剤などを含むものであってもよい。更に該樹脂フィルム表面には、例えば、コロナ処理等の表面処理を施すことができる。樹脂フィルムの膜厚は、通常、約1〜350μmの範囲内で適宜選択できる。
離型層は、本発明の熱硬化性離型コーティング剤を、例えば樹脂フィルム等の基材上の両面又は片面に塗工し、乾燥・硬化させて形成される。塗工方法は特に制限はなく、例えば、バーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、リバースロールコーター、ナイフコーター、ダイコーター等の、各種公知の手段を用いることができる。乾燥・硬化条件にも特段の制限はないが、通常100〜160℃において5〜150秒加熱することにより硬化させることができる。セッティング及び/又はプレヒートを施してもよい。セッティングは、通常、塗装された被塗物をほこりのない雰囲気に室温で30秒〜600秒放置することにより行うことができる。プレヒートは、通常、塗装された被塗物を乾燥炉内で、40〜90℃、好ましくは50〜70℃の温度で、30秒〜30分間加熱することにより行うことができる。
本発明の熱硬化性離型コーティング剤による離型層の厚みとしては、初期からの離型性発現の観点及び加熱後の離型性の点から、乾燥塗膜の膜厚として0.2〜10μmの範囲内が好ましく、0.2〜9μmの範囲内がより好ましく、0.5〜8μmの範囲内がさらに好ましい。
また、本発明の熱硬化性離型コーティング剤は、粒子(D)を含むことから、本発明の熱硬化性離型コーティング剤を用いて形成される離型層の形成面に、粒子(D)により生じる凹凸形状を付与することが可能であり、このような凹凸形状によりマット化効果を付与することができる。この場合の離型層の形成面の光沢度は、用途に応じて適宜選択できるが、例えばJIS−Z8741による60度鏡面光沢度として、130%未満、100%未満、80%未満、60%未満、又は40%未満とすることができる。また、この場合の熱硬化性離型コーティング剤による離型層の厚みとしては、0.2〜10μmの範囲内が好ましく、0.2〜9μmの範囲内がより好ましい。
また、本発明は、一つの実施形態において、樹脂基材の少なくとも片面に、本発明に係る熱硬化性離型コーティング剤を塗布し離型層を形成する工程(1)、及び、前記離型層上に、硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化性樹脂層を少なくとも1層設ける工程(2)を含む、積層体の製造方法を提供する。前記工程(2)の後に、前記樹脂基材、離型層及び硬化性樹脂層を有する積層体を加工成形する工程(3)をさらに設けてもよい。このような加工成形手段は、例えば、射出成形、水圧転写や真空・圧空成形(TOM成形・空気転写)などの、公知の加工成形手段から適宜選択して採用できる。また、前記工程(3)の後に、形成した硬化性樹脂層と離型層を剥離させる工程(4)を設けてもよい。剥離工程においては、必要に応じて加熱や延伸等を行ってもよい。
かかる製造方法によれば、本発明の熱硬化性離型コーティングを用いて凹凸形状を付与した離型層上に、さらに硬化性樹脂層を形成し、離型層表面の凹凸形状を硬化性樹脂層表面に転写させることにより、凹凸形状を付与された表面を有する硬化性樹脂層を形成することができる。この場合、離型層から剥離させた後の硬化性樹脂層の光沢度は、用途に応じて適宜選択できるが、例えばJIS−Z8741による60度鏡面光沢度として、130%未満、100%未満、80%未満、60%未満、又は40%未満とすることができる。
このような硬化性樹脂層を形成する硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等の光硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂を含む活性エネルギー線硬化性樹脂等の、従来公知の硬化性樹脂から適宜選択して使用することができ、これらの混合物であってもよい。このような硬化性樹脂の例としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテル樹脂、メラミン樹脂等であって、水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、アミノ基、エポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の架橋性官能基を有している硬化性樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記硬化性樹脂層は反射防止機能や、帯電防止機能を備えていてもよい。例えば、上記で説明したアクリルポリオール(A)と架橋剤(B)の組み合わせを構成成分として含有する熱硬化性樹脂を用いてもよい。これらのなかでも、転写性の観点から、光硬化性樹脂が特に好ましい。
また、硬化性樹脂層を形成するために用いる硬化性樹脂組成物としては、活性エネルギー線硬化性ハードコート塗料組成物を好適に使用することができる。このような活性エネルギー線硬化性ハードコート塗料組成物としては、例えば、重合性不飽和化合物を含有する活性エネルギー線硬化性ハードコート塗料組成物が挙げられる。重合性不飽和化合物としては、公知のものを特に制限なく使用できるが、加工成型性、および成形後の耐擦り傷性付与と透明性、耐溶剤性の観点から、反応性ナノシリカと重合性不飽和基を有するアクリル樹脂及び/又はウレタン(メタ)アクリレートとを含有する活性エネルギー線硬化性ハードコート塗料組成物が好ましい。
また、離型層上に硬化性樹脂層を設け、この硬化性樹脂層上にさらに、粘着層、インキ層、金属層、導電性層、紫外線吸収層、易接着層、加飾層、樹脂基材層等を設けてもよい。
樹脂基材等の基材を積層させた場合は、前記硬化性樹脂層と離型層とを剥離させることにより、硬化性樹脂層と前記基材とを備えた積層体を製造することができる。このような基材としては、従来公知の基材を特段の制限なく使用することができるが、好ましい例としては、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリメタクリル樹脂、ポリアクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、セラミック、ガラス、銅箔等を挙げることができる。
また、前記製造方法には、前記硬化性樹脂層を、加熱硬化及び/又はUV硬化により硬化させる工程をさらに含むことができる。硬化性樹脂層を硬化させる工程は、硬化性樹脂層と離型層とを剥離させる前に行うことが、離型性の点から好ましい。加熱と活性エネルギー線照射とは併せて行ってもよく、活性エネルギー線の照射源からの熱(例えばランプが発する熱)を熱源としてもよい。さらに、加熱の後に活性エネルギー線照射を行う際には、被塗物が熱を帯びた状態(余熱を持った状態)で活性エネルギー線照射を行ってもよい。
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらにより限定されない。各例において、「部」及び「%」は、特記しない限り、質量基準による。また、塗膜の膜厚は硬化被膜に基づく。
<熱硬化性樹脂の製造>
<アクリルポリオールの製造>
(製造例1)
攪拌機、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に、キシレン 150部を仕込み、液中に窒素ガスを吹き込みながら反応温度105℃に昇温した。次いで、メチルメタクリレート 87.5部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート 12.5部及びパーブチルO 0.5部の混合液を反応温度105℃に維持しながら5時間かけて滴下した。その後、メチルエチルケトンで希釈して固形分45質量%のアクリルポリオール溶液を得た。得られたメチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレート系のアクリルポリオールの水酸基価は54mgKOH/g、ガラス転移温度は98℃、重量平均分子量は34,000、樹脂SP値は10.7であった。これを熱硬化性樹脂(A−1)として用いた。
(製造例2)
攪拌機、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に、キシレン 150部を仕込み、液中に窒素ガスを吹き込みながら反応温度110℃に昇温した。次いで、メチルメタクリレート 70部、n−ブチルアクリレート 9部、2−ヒドロキシエチルアクリレート 21部及びパーブチルO 3.5部の混合液を反応温度110℃に維持しながら5時間かけて滴下した。その後、メチルエチルケトンで希釈して固形分50質量%のアクリルポリオール溶液を得た。水酸基含有重合性不飽和モノマーを必須の共重合成分とするアクリルポリオールの水酸基価は90mgKOH/g、ガラス転移温度は72℃、重量平均分子量は13,000、樹脂SP値は10.8であった。これを熱硬化性樹脂(A−2)として用いた。
(製造例3)
攪拌機、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に、キシレン150部を仕込み、液中に窒素ガスを吹き込みながら反応温度110℃に昇温した。次いで、メチルメタクリレート 70部、2−ヒドロキシエチルアクリレート 13部、エチルアクリレート 17部及びパーブチルO 3.5部の混合液を反応温度110℃に維持しながら5時間かけて滴下した。その後、メチルエチルケトンで希釈して固形分40質量%のアクリルポリオール溶液を得た。水酸基含有重合性不飽和モノマーを必須の共重合成分とするアクリルポリオールの水酸基価は56mgKOH/g、ガラス転移温度は68℃、重量平均分子量は13,000、樹脂SP値は10.2であった。これを熱硬化性樹脂(A−4)として用いた。
<離型剤(C)の製造>
(製造例4)
攪拌機、温度計、還流冷却器、及び滴下装置を備えた反応容器に、キシレン 80部を仕込み、液中に窒素ガスを吹き込みながら反応温度135℃で攪拌し、この中にステアリルアクリレート 70部、アクリル酸 30部、キシレン 40部及びV−59(商品名、富士フイルム和光純薬株式会社製、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、重合開始剤) 3部の混合物を3時間かけて均一速度で滴下した。同温度で30分間熟成した後、さらにキシレン 25部及びV−59 0.5部の混合物を1時間かけて反応容器に滴下し、滴下終了後30分間熟成させた、次いでキシレンで希釈して、固形分30%のアクリル共重合体C−1溶液を得た。得られたアクリル共重合体の各性状値として、酸価は234mgKOH/g、水酸基価は0mgKOH/g、重量平均分子量は9,000、ガラス転移温度は49℃、樹脂SP値は9.2であった。これをこのまま、固形分30%の離型剤(C−1)として用いた。
(製造例5〜10)
製造例4において、モノマー配合、重合開始剤及び反応温度を表1に示すものとする以外は製造例4と同様にして、固形分30%のアクリル共重合体C−2〜C−4及びC’−1〜C’−3溶液を得た。得られたアクリル共重合体の各性状値を表1に示す。これをこのまま、固形分30%のアクリル樹脂系離型剤(C−2)〜(C−4)及び(C’−1)〜(C’−3)として用いた。
Figure 2021152121
(実施例1)
熱硬化性離型コーティング剤 No.1
製造例1で得られたアクリルポリオールを熱硬化性樹脂(A−1)として26.7部(固形分12.02質量部)、架橋剤(B−1)としてサイメル303LF〔商品名、オルネクスジャパン社製、フルエーテル型メチル化メラミン樹脂、固形分100質量%〕を40部、製造例4で得られた離型剤(C−1)を2.0部(固形分0.6部)、酸触媒としてパラトルエンスルホン酸2.0部(固形分100質量%)固形分が22%になるようにメチルエチルケトン/プロピレングリコールモノメチルエーテル(60/40)混合溶液で希釈し攪拌して熱硬化性離型コーティング剤No.1を得た。
離型層を有する積層体の形成
前記得られた熱硬化性離型コーティング剤No.1を、樹脂基材としてポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm)に乾燥塗膜2μmとなるよう塗布し、150℃で2分間乾燥させた。得られたフィルムの離型層上に、硬化性樹脂層として固形分35質量%のハードコート塗料組成物No.1(反応性シリカを固形分で16.5質量%、重量平均分子量40,000、不飽和基当量400の重合性不飽和基含有アクリル樹脂を固形分で12質量%含有するアクリルアクリレート系ハードコート組成物、有機溶剤 メチルエチルケトン/酢酸ブチル、HC No.1と略すことがある)を乾燥膜厚5μmとなるように塗装、100℃で30秒乾燥させた。その後、硬化性樹脂層上に、アクリル系粘着テープ(日東電工株式会社製No.31Bテープ)を2kgのゴムローラーにて圧着させながら貼り合わせ、23℃、50%相対湿度で1時間静置した。得られた、樹脂基材上に離型層、ハードコート層及びアクリル系粘着テープ層を有する積層体に対し、離型層側から高圧水銀ランプを搭載したベルトコンベア式紫外線(UV)照射機を用いて活性エネルギー線を照射して、ハードコート層を硬化させた。樹脂基材上に離型層、硬化したハードコート層及びアクリル系粘着テープ層を有する積層体を作製した。得られた積層体を試験項目1〜5に供した。
この時の照射条件は、下記とした。
ランプ出力;120W/cm、
ランプと基材の照射距離;23cm、
コンベア速度(基材の搬送速度);6.5m/分。
実施例1で得られた熱硬化性離型コーティング剤No.1の組成、及びこれにより形成された離型層の乾燥膜厚を表2−1に示す。また、実施例1で得られた積層体を試験項目1〜5の試験に供した結果を表3−1に示す。
(実施例2〜28及び比較例1〜9)
実施例1において、熱硬化性離型コーティング剤の配合及び離型層の乾燥膜厚を表2−1、表2−2のとおりにし、得られた各熱硬化性離型コーティング剤を用いて実施例1と同様に各積層体No.2〜28,33〜41を作製し、試験項目1〜5の試験に供した。試験結果を表3−1、表3−2に示す。尚、表中の数値は実配合である。
Figure 2021152121
Figure 2021152121
表中の各成分は以下のとおりである。
熱硬化性樹脂
熱硬化性樹脂(A−1):製造例1で得られたアクリルポリオール〔水酸基価54mgKOH/g、ガラス転移温度98℃、重量平均分子量34,000、固形分45質量%〕、樹脂SP値は10.7、
熱硬化性樹脂(A−2):製造例2で得られたアクリルポリオール〔水酸基価90mgKOH/g、ガラス転移温度72℃、重量平均分子量13,000、固形分50質量%〕、樹脂SP値は10.8、
熱硬化性樹脂(A−3):ポリエステルポリオール、バイロンUR−1700、商品名、東洋紡株式会社製、ウレタン変性ポリエステル樹脂〔水酸基価19mgKOH/g、ガラス転移温度92℃、重量平均分子量16,000、固形分30質量%〕、樹脂SP値は10.8、
熱硬化性樹脂(A−4):製造例3で得られたアクリルポリオール〔水酸基価56mgKOH/g、ガラス転移温度68℃、重量平均分子量13,000、固形分50質量%〕、樹脂SP値は10.2、
架橋剤
架橋剤(B−1):サイメル303LF、商品名、オルネクスジャパン社製、フルエーテル型メチル化メラミン樹脂、固形分100%、
架橋剤(B−2):マイコート506、商品名、日本サイテックインダストリーズ社製、ブトキシメチル化メラミン化合物、固形分100%、
架橋剤(B−3):サイメル1123、商品名、オルネクスジャパン社製、フルエー
テル型メチルエーテルとエチルエーテルとの混合エーテル化ベンゾグアナミン樹脂、固形
分100%、
架橋剤(B−4):タケネートD−110N、商品名、三井化学ポリウレタン社製、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体、固形分100%、
離型剤
離型剤(C−1)〜離型剤(C−4)及び離型剤(C’−1)〜(C’−3):製造例4〜10で作製されたアクリル樹脂系離型剤。
粒子
粒子(D−1):テクポリマーSSX−101、商品名、積水化成品工業製、球状有機架橋樹脂微粒子、架橋ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子、平均粒子径1μm、真比重:1.20、屈折率:1.49、耐熱性:250〜270℃、
粒子(D−2):テクポリマーSSX−110、商品名、積水化成品工業製、球状有機架橋樹脂微粒子、架橋ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子、平均粒子径10μm、真比重:1.20、屈折率:1.49、耐熱性:250〜270℃、
粒子(D−3):オクトビーズ500L、商品名、日産化学製、球状有機無機複合架橋樹脂微粒子、メラミン架橋樹脂のシリカ混合粒子、平均粒子径0.5μm、
粒子(D−4):トスパール120、商品名、日硝産業株式会社製、球状有機架橋樹脂微粒子、シリコーン樹脂系粒子、平均粒子径2.0μm、
粒子(D−5):ケミスノー SX−130H、商品名、綜研化学株式会社製、球状有機架橋樹脂微粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、平均粒子径1.3μm、
粒子(D−6):アートパールC−1000T、商品名、根上工業株式会社製、球状有機架橋樹脂微粒子、ウレタン樹脂粒子、平均粒子径3μm、架橋ポリウレタン樹脂、
粒子(D−7):ACEMATT OK―607、商品名、エボニック社製、球状無機微粒子、ポリエチレンワックス処理沈降シリカ、平均粒子径4.4μm、
粒子(D−8):テクポリマー MB−4、商品名、積水化成品工業社製、球形有機非架橋樹脂微粒子、非架橋ポリアクリル樹脂粒子、平均粒子径4μm、
粒子(D−9):ケミスノー MP−2200、商品名、綜研化学社製、球形有機非架橋樹脂微粒子、非架橋ポリアクリル樹脂粒子、平均粒子径0.35μm、
粒子(D−10):テクポリマー MBX−12、商品名、積水化成品工業社製、球形有機架橋樹脂微粒子、架橋ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子、平均粒子径12μm、真比重:1.20、屈折率:1.49、耐熱性:250〜270℃、
粒子(D−11):シーホスター KE−P10、商品名、日本触媒社製、球形無機粒子、シリカ微粒子、平均粒子径0.1μm、真比重:1.90、屈折率:1.43、
Figure 2021152121
Figure 2021152121
(実施例29)
前記得られた熱硬化性離型コーティング剤No.1を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm)に乾燥塗膜2μmとなるよう塗布し、150℃で2分間乾燥させた。得られたフィルムの離型層上に硬化性樹脂層として、固形分35質量%のハードコート塗料組成物No.1(反応性シリカを固形分で16.5質量%、重量平均分子量40,000、不飽和基当量400の重合性不飽和基含有アクリル樹脂を固形分で12質量%含有するアクリルアクリレート系ハードコート組成物、有機溶剤 メチルエチルケトン/酢酸ブチル、HC No.1と略すことがある)を乾燥膜厚5μmとなるように塗装、100℃で30秒乾燥させ、離型層側から高圧水銀ランプを搭載したベルトコンベア式紫外線(UV)照射機を用いて実施例1と同様の照射条件にて活性エネルギー線を照射して、さらにハードコート層を硬化させた。さらに、硬化性樹脂層上にアクリル系粘着テープ(日東電工株式会社製No.31Bテープ)を2kgのゴムローラーにて圧着させながら貼り合わせ、23℃、50%相対湿度で1時間静置した。樹脂基材上に離型層、ハードコート層及びアクリル系粘着テープ層を有する積層体No.29を作製した。得られた積層体を試験項目1〜5の試験に供した。得られた試験結果を表3−2に示す。
(実施例30)
前記得られた熱硬化性離型コーティング剤No.1を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm)に乾燥塗膜2μmとなるよう塗布し、150℃で2分間乾燥させた。得られたフィルムの離型層上に硬化性樹脂層として、固形分35質量%のハードコート塗料組成物No.1(反応性シリカを固形分で16.5質量%、重量平均分子量40,000、不飽和基当量400の重合性不飽和基含有アクリル樹脂を固形分で12質量%含有するアクリルアクリレート系ハードコート組成物、有機溶剤 メチルエチルケトン/酢酸ブチル、HC No.1と略すことがある)を乾燥膜厚5μmとなるように塗装、100℃で30秒乾燥させた。さらに、硬化性樹脂層上にアクリル系粘着テープ(日東電工株式会社製No.31Bテープ)を2kgのゴムローラーにて圧着させながら貼り合わせ、23℃、50%相対湿度で1時間静置した。樹脂基材上に離型層、ハードコート層及びアクリル系粘着テープ層を有する積層体No.30を作製した。得られた積層体を試験項目1〜5の試験に供した。得られた試験結果を表3−2に示す。
(実施例31)
前記得られた熱硬化性離型コーティング剤No.1を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm)に乾燥塗膜2μmとなるよう塗布し、150℃で2分間乾燥させた。得られたフィルムの離型層上に硬化性樹脂層として、固形分35質量%のハードコート塗料組成物No.1(反応性シリカを固形分で16.5質量%、重量平均分子量40,000、不飽和基当量400の重合性不飽和基含有アクリル樹脂を固形分で12質量%含有するアクリルアクリレート系ハードコート組成物、有機溶剤 メチルエチルケトン/酢酸ブチル、HC No.1と略すことがある)を乾燥膜厚5μmとなるように塗装、100℃で30秒乾燥させた。さらに、硬化性樹脂層上にアクリル系粘着テープ(日東電工株式会社製No.31Bテープ)を2kgのゴムローラーにて圧着させながら貼り合わせ、23℃、50%相対湿度で1時間静置した。得られた積層体を、長さ100mm、幅25mmにカットをし、テンシロン万能試験機RTG 1210 (エー・アンド・ディ社製)にチャック間距離40mmにて固定し、温度130℃に設定したオーブン中にて300mm/minの速度でチャック間距離が48mm(伸び率20%)になるまで一方向に引っ張った。25℃まで放冷後、離型層側から高圧水銀ランプを搭載したベルトコンベア式紫外線(UV)照射機を用いて実施例1と同様の照射条件にて活性エネルギー線を照射して、さらに硬化性樹脂層を硬化させた。樹脂基材上に離型層、ハードコート層及びアクリル系粘着テープ層を有する積層体No.31を作製した。得られた積層体を試験項目1〜5の試験に供した。得られた試験結果を表3−2に示す。
(実施例32)
前記得られた熱硬化性離型コーティング剤No.1を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm)に乾燥塗膜2μmとなるよう塗布し、150℃で2分間乾燥させた。得られたフィルムの離型層上に硬化性樹脂層として、固形分35質量%のハードコート塗料組成物No.1(反応性シリカを固形分で16.5質量%、重量平均分子量40,000、不飽和基当量400の重合性不飽和基含有アクリル樹脂を固形分で12質量%含有するアクリルアクリレート系ハードコート組成物、有機溶剤 メチルエチルケトン/酢酸ブチル、HC No.1と略すことがある)を乾燥膜厚5μmとなるように塗装、100℃で30秒乾燥させた。さらに、硬化性樹脂層上にアクリル系粘着テープ(日東電工株式会社製No.31Bテープ)を2kgのゴムローラーにて圧着させながら貼り合わせ、23℃、50%相対湿度で1時間静置した。得られた積層体No.32を、長さ100mm、幅25mmにカットをし、テンシロン万能試験機RTG 1210 (エー・アンド・ディ社製)にチャック間距離40mmにて固定し、温度130℃に設定したオーブン中にて300mm/minの速度でチャック間距離が48mm(伸び率20%)になるまで一方向に引っ張った。25℃まで放冷後、積層体を試験項目1〜5の試験に供した。得られた試験結果を表3−2に示す。
<評価試験>
本発明においては、全ての性能に優れていることが重要であり、いずれか1つに不合格「C」又は「D」の評価がある場合は不合格である。
試験項目1:60°光沢(初期)
上記で得られた試験板について、離型層の表面における鏡面光沢度(60°)を、光沢計(micro−TRI−gloss、BYK−Gardner社製)を用いて60°グロス値を測定し、下記基準にて評価した。
S:60°グロス値が40%未満で目視でも非常に良好なマット外観が得られている、
A:60°グロス値が40%以上100%未満で目視でも十分なマット外観が得られている、
B:60°グロス値が100%以上130%未満でマット外観が認められ製品としたときに問題ないレベル、
C:60°グロス値が130%以上180%未満でマット外観が十分でない、
D:60°グロス値が180%以上でマット外観が認められない。
試験項目2:耐ブロッキング性
各熱硬化性離型コーティング剤をポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm)に乾燥塗膜2μmとなるよう塗布し、無荷重にて乾燥炉にて150℃で2分乾燥させたフィルムを4cm×3cmの大きさに2枚裁断し、塗装面と未塗装面を合わせて、6kgの圧力下、温度40℃、50%相対湿度で24時間放置した後の剥れ具合(剥し易さ)を以下の基準により評価した。
A:抵抗なく剥すことができる、
B:剥す際、わずかに抵抗があるが、2枚の板を剥離した時に塗膜の破壊は認められず、製品としたときに問題ないレベル、
C:剥す際、わずかに抵抗があり、2枚の板を剥離した時に塗膜の破壊は認められる
D:剥す際の抵抗が大きく、2枚の板を剥離した時に塗膜の破壊は認められる。
試験項目3:耐溶剤性(上塗り適性)
各熱硬化性離型コーティング剤をポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm)に乾燥塗膜2μmとなるよう塗布し、無荷重にて乾燥炉にて150℃で2分乾燥させたフィルムを試験板とし、前記試験版の塗膜(離型層)表面に有機溶剤(メチルエチルケトン;MEK)を0.5mL滴下して、温度20℃、相対湿度75%の雰囲気下に1時間放置した後に、塗膜表面をガーゼで拭取り、外観を目視評価した。
S:塗膜表面の異常がまったくないもの、
A:塗膜表面にわずかに跡がみられるが、水洗すると消えるもの、
B:塗膜表面にわずかに跡がみられるが、上塗り(ハードコート層)を適用したに問題ないレベル、
C:塗膜表面に変色又は少し白化が認められるもの、
D:塗膜表面の変色又は白化が著しいもの。
試験項目4:剥離性
熱硬化性離型コーティング剤の塗膜を有する各積層フィルムを25mm幅にカットした試験用積層フィルムを、23℃、50%相対湿度の条件下で、引張試験機を用いて剥離角度T型、剥離速度300mm/minの条件にて剥離力を測定した。
S:離型層と硬化性樹脂層との間で抵抗なく剥がすことができる、
A:離型層と硬化性樹脂層との間でわずかに抵抗があるが剥がすことができ、剥離した時に塗膜の破壊は認められない、
B:離型層と硬化性樹脂層との間で抵抗が大きいが剥がすことができ、剥離した時に塗膜の破壊や粒子の脱落は認められず、製品としたときに問題ないレベル、
C: 離型層と硬化性樹脂層との間で抵抗が大きいが剥がすことができ、剥離した時に塗膜の破壊や粒子の脱落が認められる、
D:離型層と硬化性樹脂層は剥がすことができない。
試験項目5:60°光沢(剥離後)
熱硬化性離型コーティング剤の塗膜を有する各積層フィルムを25mm幅にカットした試験用積層フィルムを、23℃、50%相対湿度で1時間静置して23℃、50%相対湿度の条件下で、引張試験機を用いて剥離角度T型、剥離速度300mm/minの条件にて剥離させた。剥離した硬化性樹脂層及びアクリル系粘着テープからなる積層体を60°光沢度を測定して下記基準にて転写性を評価した。
S:60°グロス値が40%未満で転写性が非常に良好、
A:60°グロス値が40%以上100%未満で転写性が十分良好、
B:60°グロス値が100%以上130%未満で転写性はやや弱いが製品としたとき問題ないレベル、
C:60°グロス値が130%以上180%未満で転写性は十分得られない、
D:60°グロス値が180%以上で転写できない。
(実施例33)
前記得られた熱硬化性離型コーティング剤No.1を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm)に乾燥塗膜2μmとなるよう塗布し、150℃で2分間乾燥させた。得られたフィルムの離型層上に硬化性樹脂層として、固形分35質量%のハードコート塗料組成物No.1(反応性シリカを固形分で16.5質量%、重量平均分子量40,000、不飽和基当量400の重合性不飽和基含有アクリル樹脂を固形分で12質量%含有するアクリルアクリレート系ハードコート組成物、有機溶剤 メチルエチルケトン/酢酸ブチル、HC No.1と略すことがある)を乾燥膜厚5μmとなるように塗装、100℃で30秒乾燥させた。PET基材上に離型層と硬化性樹脂層を有する積層体に、粘着剤A(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体「ソルバインA」(日信化学工業製:分子量35000)を固形分で10%に酢酸エチルで希釈した)を乾燥塗膜1μmとなるように塗布し、100℃で2分間乾燥させた。PET基材上に離型層、硬化性樹脂層及び粘着層を有する積層体を、布施真空(株)製両面真空成形機NGF−0709を用いて、TOM成形を行った。成形後の積層体からPET基材と離型層を剥がし、高圧水銀ランプを搭載したベルトコンベア式紫外線(UV)照射機を用いて活性エネルギー線を照射し、成形物を作製した。得られた成形物には、離型層からの粒子の脱落がなく、かつ、硬化樹脂層表面に良好な艶消し外観が認められ、ワレや白化などの外観異常は全く認められず極めて良好であった。耐薬品性を下記の方法により評価したところ、ニュートロジーナの滴下箇所に変化は全く認められず、耐薬品性も良好であった。

Claims (18)

  1. 熱硬化性樹脂(A)、架橋剤(B)、離型剤(C)並びに平均粒子径0.2〜10μmの範囲内の有機及び/又は無機の粒子(D)を含有する熱硬化性離型コーティング剤であって、前記離型剤(C)が、重量平均分子量3,500〜100万の範囲内のアクリル共重合体であって、かつ、前記離型剤(C)の固形分含有量が、前記熱硬化性樹脂(A)及び前記架橋剤(B)の合計樹脂固形分を基準として、0.5〜30質量%の範囲内である、熱硬化性離型コーティング剤。
  2. 前記粒子(D)が、有機粒子(D1)であって、架橋樹脂微粒子(d1)を含有する、請求項1に記載の熱硬化性離型コーティング剤。
  3. 前記粒子(D)が、無機粒子(D2)である、請求項1に記載の熱硬化性離型コーティング剤。
  4. 前記離型剤(C)が、炭素数12以上のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー(c−1)に基づく構成単位を、共重合成分の総量に対して50〜95質量%含有するアクリル共重合体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱硬化性離型コーティング剤。
  5. 前記架橋剤(B)が、メラミン樹脂、ポリイソシアネート化合物及びベンゾグアナミン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む架橋剤である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱硬化性離型コーティング剤。
  6. 熱硬化性樹脂(A)の樹脂SP値(SP1)と、離型剤(C)の樹脂SP値(SP2)が、SP1>SP2であって、かつSP1−SP2が0.8以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱硬化性離型コーティング剤。
  7. 前記熱硬化性樹脂(A)のガラス転移温度Tgが70〜130℃である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱硬化性離型コーティング剤。
  8. 前記熱硬化性樹脂(A)が、アクリルポリオール(a1)であって、前記アクリルポリオール(a1)の重量平均分子量が3,000〜50,000である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱硬化性離型コーティング剤。
  9. 前記粒子(D)が、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂及びベンゾグアナミン樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の材料からなる球状有機微粒子を含む、請求項2に記載の熱硬化性離型コーティング剤。
  10. 前記粒子(D)の固形分含有量が、前記熱硬化性樹脂(A)及び前記架橋剤(B)の合計樹脂固形分を基準として、0.1〜100質量%の範囲内である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の熱硬化性離型コーティング剤。
  11. 樹脂フィルムの少なくとも片面に、請求項1〜10のいずれか一項に記載の熱硬化性離型コーティング剤により形成された離型層を設けてなる、積層体。
  12. 前記離型層の形成面のJIS−Z8741による60度鏡面光沢度が130%未満である、請求項11に記載の積層体。
  13. 前記離型層の厚さが、0.2〜10μmの範囲内である、請求項11又は12に記載の積層体。
  14. 樹脂基材の少なくとも片面に、請求項1〜10のいずれか一項に記載された熱硬化性離型コーティング剤を塗布して、離型層を形成する工程(1)、及び
    前記離型層上に、硬化性樹脂組成物を塗布して、硬化性樹脂層を少なくとも1層設ける工程(2)、
    を含む、積層体の製造方法。
  15. 樹脂基材の少なくとも片面に、請求項1〜10のいずれか一項に記載された熱硬化性離型コーティング剤を塗布して、離型層を形成する工程(1)、
    前記離型層上に、硬化性樹脂組成物を塗布して、硬化性樹脂層を少なくとも1層設ける工程(2)、及び
    前記樹脂基材、離型層及び硬化性樹脂層を有する積層体を加工成形する工程(3)、
    を含む、積層体の製造方法。
  16. 前記硬化性樹脂層と前記離型層を剥離させる工程(4)、
    をさらに含む、請求項14又は15に記載の積層体の製造方法。
  17. 剥離工程後の硬化性樹脂層表面のJIS−Z8741による60度鏡面光沢度が130%未満である、請求項16に記載の積層体の製造方法。
  18. 前記硬化性樹脂組成物が、活性エネルギー線硬化性ハードコート塗料組成物であって、前記活性エネルギー線硬化性ハードコート塗料組成物が、反応性ナノシリカと重合性不飽和基を有するアクリル樹脂及び/又はウレタン(メタ)アクリレートを含有する、請求項14〜17のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
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