JP2021147814A - タイル、タイルの施工方法及び建築構造物 - Google Patents

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【課題】小ロットサイズかつ短いリードタイムでオンデマンド製造することができ、建築物の壁面修復に用いたときに修復部分の外観をほぼ再現することができるタイルを提供する。【解決手段】一実施態様のタイルは、主面及び少なくとも1つの側面を有するタイル基材と、タイル基材の主面を覆い、かつタイル基材の主面の周縁部の少なくとも一部からタイル基材の少なくとも1つの側面の少なくとも一部まで延びるように、タイル基材に取り付けられた装飾フィルムとを含む。【選択図】図1

Description

本開示は、タイル、タイルの施工方法及び建築構造物に関する。
建築物の壁面の装飾にタイルが広く用いられている。破損又は汚損したタイルの除去、及び新たなタイルの取付けを含む壁面修復も一般に行われている。
特許文献1(特開2018−184737号公報)は、「多数のタイルが貼られて形成されるタイル壁の一部が、破損あるいは劣化している欠陥タイルとなっている場合に、前記欠陥タイルを補修タイルに交換することで、前記タイル壁を補修するタイル壁の補修方法であって、前記欠陥タイルあるいは欠損していないタイルのタイル表面の模様に基づいて、前記欠陥タイルのタイル表面の模様に対応する模様を印刷する印刷条件を決定し、前記印刷条件により印刷機を用いてベースタイルの表面に模様を印刷して、前記補修タイルを形成する印刷工程と、前記タイル壁から前記欠陥タイルを取り除き、前記補修タイルを貼り付ける補修工程と、を備えることを特徴とするタイル壁の補修方法」を記載している。
特開2018−184737号公報
タイル表面は、微細で不規則な柄と基材(ベース)色から構成されていることが多い。そのため、壁面修復において取り付けられる新たなタイルと既設のタイルの外観を合わせることは難しい。また、既設のタイルに合わせて修復用のタイルを製造するためには、約3ヶ月のリードタイム、かつ1000枚を超える大きなロットサイズが要求される。そのため、壁面修復用のオンデマンド・タイルに対する要望がある。
タイルの間には化粧目地として目地材が充填されることが多い。化粧目地は、建築物に意匠を付与し、タイルの形及び寸法の誤差を吸収してタイルを整列させ、タイルの移動を防止することができる。化粧目地として、例えば、平目地、沈み目地、覆輪目地、逆覆輪目地、及びシノキ目地が挙げられる。平目地以外の化粧目地では、タイルと化粧目地は面一にならず、タイルの側面の一部も外部に露出する。そのため、修復用のタイルは、その側面も含めて既設のタイルの外観を再現できることが望ましい。
本開示は、小ロットサイズかつ短いリードタイムでオンデマンド製造することができ、建築物の壁面修復に用いたときに修復部分の外観をほぼ再現することができるタイルを提供する。また、本開示は、そのようなタイルを用いたタイルの施工方法及び建築構造物を提供する。
一実施態様によれば、主面及び少なくとも1つの側面を有するタイル基材と、前記タイル基材の前記主面を覆い、かつ前記タイル基材の前記主面の周縁部の少なくとも一部から前記タイル基材の前記少なくとも1つの側面の少なくとも一部まで延びるように、前記タイル基材に取り付けられた装飾フィルムとを含むタイルが提供される。
別の実施態様によれば、上記タイルを壁面に取り付けること、及び前記タイルに隣接するタイルと、前記タイルとの間に目地材を充填することを含むタイルの施工方法であって、前記目地材が、前記タイル基材の前記少なくとも1つの側面の少なくとも一部まで延びる前記装飾フィルムの部分が視認でき、かつ前記タイル基材の前記少なくとも1つの側面の少なくとも一部が露出するように充填される、方法が提供される。
別の実施態様によれば、上記タイルを壁面に取り付けること、及び前記タイルに隣接するタイルと、前記タイルとの間に目地材を充填することを含むタイルの施工方法であって、前記目地材が、前記タイル基材の前記少なくとも1つの側面の少なくとも一部まで延びる前記装飾フィルムの部分が視認でき、かつ前記タイル基材の前記少なくとも1つの側面が前記目地材で覆われるように充填される、方法が提供される。
別の実施態様によれば、上記タイルが施工された建築構造物であって、前記タイルに隣接するタイルと、前記タイルとの間に充填された目地材が、前記タイル基材の前記少なくとも1つの側面の少なくとも一部まで延びる前記装飾フィルムの部分が視認でき、かつ前記タイル基材の前記少なくとも1つの側面の少なくとも一部が露出するように充填されている、建築構造物が提供される。
別の実施態様によれば、上記タイルが施工された建築構造物であって、前記タイルに隣接するタイルと、前記タイルとの間に充填された目地材が、前記タイル基材の前記少なくとも1つの側面の少なくとも一部まで延びる前記装飾フィルムの部分が視認でき、かつ前記タイル基材の前記少なくとも1つの側面が前記目地材で覆われるように充填されている、建築構造物が提供される。
本開示のタイルは、小ロットサイズかつ短いリードタイムでオンデマンド製造することができ、建築物の壁面修復に用いたときに修復部分の外観をほぼ再現することができる。
なお、上述の記載は、本発明の全ての実施態様及び本発明に関する全ての利点を開示したものとみなしてはならない。
一実施態様のタイルの概略断面図である。 別の実施態様のタイルの概略断面図である。 別の実施態様のタイルの概略断面図である。 第1実施態様の装飾積層フィルムの概略断面図である。 第1実施態様の装飾積層フィルムの概略断面図である。 第1実施態様の装飾積層フィルムの概略断面図である。 第1実施態様の装飾積層フィルムの概略断面図である。 第1実施態様の装飾積層フィルムの概略断面図である。 第1実施態様の装飾積層フィルムの製造方法を例示的に説明する流れ図である。 第2実施態様の装飾積層フィルムの概略断面図である。 第2実施態様の装飾積層フィルムの製造方法を例示的に説明する流れ図である。 第3実施態様の装飾積層フィルムの概略断面図である。 第3実施態様の装飾積層フィルムの概略断面図である。 第3実施態様の装飾積層フィルムの製造方法を例示的に説明する流れ図である。 一実施態様の建築構造物の一部の概略断面図である。 別の実施態様の建築構造物の一部の概略断面図である。 装飾積層フィルムを貼り付ける前のセラミックタイルの写真である。 装飾積層フィルムを貼り付けた例1のタイルの写真である。
以下、本発明の代表的な実施態様を例示する目的で、図面を参照しながらより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されない。図面の参照番号について、異なる図面において類似する番号が付された要素は、類似又は対応する要素であることを示す。
本開示において「フィルム」には「シート」と呼ばれる物品も包含される。
本開示において「感圧接着」とは、使用温度範囲で、例えば0℃以上、50℃以下の範囲で初期粘着性(タック)を有し、軽い圧力で様々な表面に接着し、相変化(液体から固体へ)を呈さない材料又は組成物の特性を意味する。
一実施態様のタイルは、主面及び少なくとも1つの側面を有するタイル基材と、タイル基材の主面を覆い、かつタイル基材の主面の周縁部の少なくとも一部からタイル基材の少なくとも1つの側面の少なくとも一部まで延びるように、タイル基材に取り付けられた装飾フィルムとを含む。
タイル基材として、様々な材質、形状及び寸法のタイルを用いることができる。一実施態様では、タイル基材はセラミックタイルである。タイル基材は、通気性又は通水性を有してもよく、有さなくてもよい。タイル基材の表面に釉薬が適用されていてもよく、適用されていなくてもよい。タイル基材の主面、側面又は背面が、溝、畝、突起、陥凹部などの立体形状を有してもよい。タイル基材の形状は、一般に長方形又は正方形(側面4つ)であるが、円形(側面1つ)、楕円形(側面1つ)、三角形(側面3つ)、六角形(側面6つ)、又はその他の幾何学形状を有してもよい。タイル基材の寸法については、一般にタイル基材の一辺又は直径が約40mm以上、約1000mm以下である。
装飾フィルムは、タイル基材の主面を覆い、かつタイル基材の主面の周縁部の少なくとも一部からタイル基材の少なくとも1つの側面の少なくとも一部まで延びるように、タイル基材に取り付けられる。これにより、タイル基材からの装飾フィルムの剥がれを抑制してタイルの耐久性を高め、かつタイル設置表面の法線から傾斜した方向からタイルを観察したときでも、既存のタイルとの外観を合わせることができる。
図1に一実施態様のタイルの概略断面図を示す。タイル10は、タイル基材12と装飾フィルム16とを含む。装飾フィルム16は、タイル基材12の主面13を覆い、かつタイル基材12の主面13の周縁部の少なくとも一部からタイル基材12の側面14の少なくとも一部まで延びるようにタイル基材12に取り付けられている。
図2に別の実施態様のタイルの概略断面図を示す。図2では、装飾フィルム16は、タイル基材12の側面14を越えて、さらにタイル基材12の背面15の一部まで延びるように取り付けられている。タイル基材12の背面15まで装飾フィルム16が延びることにより、装飾フィルム16をより強固にタイル基材12に取り付けることができる。
図3に別の実施態様のタイルの概略断面図を示す。図3では、装飾フィルム16は、タイル基材12の側面14を越えて、さらにタイル基材12の背面15を覆うように取り付けられている。図2に示す実施態様と同様に、この実施態様においても装飾フィルム16をより強固にタイル基材12に取り付けることができる。
装飾フィルムは、タイル基材の主面の周縁部全体からタイル基材の全ての側面の少なくとも一部まで延びることが望ましい。これにより、タイル基材からの装飾フィルムの剥がれをより効果的に抑制し、かつタイル設置表面の法線から傾斜した方向かつ当該法線を中心軸とする様々な角度からタイルを観察したときでも、既存のタイルとの外観を合わせることができる。この実施態様において、図3に示すように、装飾フィルムがタイル基材の側面を越えて、さらにタイル基材の背面を覆うように取り付けられている場合、タイル基材の表面全体を装飾フィルムで覆うことができ、タイル基材への水分、酸等の侵入を低減又は防止して、タイル基材の劣化を抑制することができる。
装飾フィルムがタイル基材の表面を隠蔽することが望ましい。タイル基材の「表面」とは、タイル基材の主面と装飾フィルムで被覆される側面の部分の両方を包含する。例えば、装飾フィルムを構成する層の1つ又は複数が白色顔料などの着色剤を含むことで、タイル基材の表面を隠蔽することができる。
第1実施態様の装飾フィルムは、透明グレー層と、基材ベタ色層とを有しており、少なくとも透明グレー層と基材ベタ色層のいずれか一方が印刷層である。また、装飾積層フィルムは任意で柄層を有している。観察者は透明グレー層を通して基材ベタ色層を視認する。如何なる理論に拘束される訳ではないが、少なくとも透明グレー層と基材ベタ色層のいずれか一方が印刷層である積層構造において、別個に設けられた透明グレー層を通して明度が調節された基材ベタ色層を観察者に視認させることで、修復部分の外観がより再現された印象を観察者に与えることができると考えられる。
一般に、印刷層は、デジタルカメラなどで修復部分を撮影して得られるRGB画像データをCMYK画像データに変換した後、プロセスインク(シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及びブラック(K)、並びに任意にライトインク)をインクジェット印刷、オフセット印刷、グラビア印刷などの印刷技術を用いてインクドット又はアミ点として基材上に印刷することにより形成される。印刷層では、これらのプロセスインクの減法混色によりプロセスインク以外の色が表現される。インクドット又はアミ点の間では通常は白色の下地が露出しており、この白色の下地からの反射光と、インクドット又はアミ点からの反射光との並置(加法)混色によって、様々な色相、明度及び彩度の色を観察者は知覚する。
ブラック(K)インクも含めたプロセスインクの混色では、明度を合わせようとすると彩度が合わなくなる場合がある。例えば、明度の調節には無彩色であるブラック(K)インクを用いることが一般的であるが、そのことで彩度が同時に許容できない程度まで低下してしまうことがある。ブラック(K)インクを用いずにシアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)インクの混色により明度を調節しようとした場合も同様であり、この場合はさらに色相のシフトが生じることもある。これらの現象は、白色の下地とインクドット又はアミ点の組み合わせによって階調を表現するインクジェット印刷及びオフセット印刷、並びに一部のグラビア印刷ではより顕著であり、画像データ変換時の画像処理アルゴリズムだけでは解決できない場合がある。
建築物用のタイルでは比較的彩度の低い顔料が使用されるのに対して、限られた色数のインクを組み合わせて幅広い色を表現することが求められるプロセスインクでは、彩度の高い顔料が使用されることが一般的である。このように顔料種類が異なることも色の再現には不利に影響する場合がある。
一実施態様では、基材ベタ色層が、インクジェット印刷、オフセット印刷、グラビア印刷などの印刷技術、特にインクジェット印刷を用いて形成された印刷層である。この実施態様の装飾積層フィルムは、従来の装飾フィルムでは特に再現が困難であった色味を有する修復表面についても有利に使用することができる。
図4に、第1実施態様による装飾積層フィルム110の概略断面図を示す。装飾積層フィルム110は、任意の構成要素である柄層112と、透明グレー層114と、基材ベタ色層116とを含む。柄層112は透明レセプター層122上に、透明グレー層114は透明レセプター層124上に、基材ベタ色層116はレセプター層126上にそれぞれ配置されている。図4の装飾積層フィルム110は、さらに、任意の構成要素として、最外層として表面保護層128、タイル基材へ装飾積層フィルム110を取り付けるための感圧接着層136、及び感圧接着層136を保護するライナー140を有する。ライナー140はタイル基材への装飾積層フィルム110の貼り付け前に剥離される。これらの層は接合層132、134、138を介して積層されて装飾積層フィルム110を形成する。図4では、透明グレー層114が柄層112と基材ベタ色層116の間に配置されており、基材ベタ色層116は透明グレー層114を通して上方から観察者により視認される。
図5に、本開示の別の実施態様による装飾積層フィルム110の概略断面図を示す。図5の装飾積層フィルム110では図4とは異なり、上から透明グレー層114、任意の構成要素である柄層112、基材ベタ色層116の順で配置されている。この実施態様では、基材ベタ色層116及び柄層112が透明グレー層114を通して上方から観察者により視認される。
図4に示すように、透明グレー層114が柄層112と基材ベタ色層116の間に配置されていてもよく、図5に示すように、柄層112が透明グレー層114と基材ベタ色層116の間に配置されていてもよい。
透明グレー層はレセプター層であってもよい。図6に示す実施態様では、柄層112が透明グレー層114の上に直接配置されており、透明グレー層114が柄層112のレセプター層としても機能する。この実施態様では、透明グレー層の上に直接柄層を印刷、転写などによって形成することができ、結果としてより簡単な構造を有する薄い装飾積層フィルムを得ることができる。したがって、よりフィルムの製造工程を簡易化できるとともに、薄い装飾積層フィルムは柔軟性が高く、凹凸を有するタイル基材表面への追従性の点で有利である。
透明グレー層は接着層であってもよく、感圧接着層であってもよい。図7に示す実施態様では、透明グレー層114が透明レセプター層122と基材ベタ色層116の間の接合層としても機能する。図8に示す実施態様では、透明グレー層114が表面保護層128を積層するための接合層としても機能する。これらの実施態様では、透明グレー層の上に他の層、例えばレセプター層、表面保護層などを、別個の接合層を用いずに積層することができ、結果としてより簡単な構造を有する薄い装飾積層フィルムを得ることができる。したがって、よりフィルムの製造工程を簡易化できるとともに、薄い装飾積層フィルムは柔軟性が高く、凹凸を有するタイル基材表面への追従性の点で有利である。
柄層は、透明レセプター層の上、又レセプター層としても機能する透明グレー層の上に、トナー、溶剤型インク、紫外線硬化型インク、水性インク、ラテックスインクなどを用いたインクジェット印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、静電印刷などの印刷により形成することができる。一実施態様では柄層はインクジェット印刷層である。柄層が例えばスクリーンマスクなどを用いて形成されたインジウム、スズ、クロムなどの金属蒸着層又は金属スパッタ層であってもよい。
柄層は単色であってもよく多色であってもよい。一実施態様では、修復表面の柄を近似した画像を用いて無彩色で柄層が形成されてもよい。
柄層の厚さは様々であってよく、一般に、約1μm以上、約5μm以上、又は約10μm以上、約100μm以下、約50μm以下、約40μm以下、又は約30μm以下とすることができる。
一実施態様では、透明グレー層は、透明レセプター層の上に、トナー、溶剤型インク、紫外線硬化型インク、水性インク、ラテックスインクなどを用いたインクジェット印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、静電印刷などの印刷により形成された印刷層である。一実施態様では透明グレー層はインクジェット印刷層である。
別の実施態様では、透明グレー層は、様々な樹脂、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を含むアクリル樹脂、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、フッ素樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)などの共重合体又はこれらの混合物に、黒色顔料又は黒色染料を混合して形成されるフィルムである。これらのフィルムは他の層との結合面にプライマー処理、コロナ処理などの表面処理を有してもよい。
透明グレー層が柄層のレセプター層として機能してもよい。この実施態様では、透明グレー層として、上記印刷層及び上記樹脂フィルムのいずれも使用することができる。印刷層を透明グレー層及びレセプター層とすることで、印刷及び積層工程を簡略化することができ、より薄い表面追従性に優れた装飾積層フィルムを得ることができる。強度、印刷適性、耐溶剤性(例えば耐アルコール性)などの観点からは、レセプター層としても機能する透明グレー層として、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、アクリル樹脂、アクリル−ウレタン樹脂を含むフィルムを有利に使用できる。ポリ塩化ビニルを含む透明グレー層は装飾積層フィルムを難燃性とする上でも有利である。
透明グレー層が装飾積層フィルムを構成する他の層の接合層として機能してもよい。この実施態様では、透明グレー層として、様々な種類の接着剤、例えばアクリル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ゴム系などの、溶剤型、エマルジョン型、感圧型、感熱型、熱硬化型又は紫外線硬化型の接着剤に、黒色顔料又は黒色染料を混合した組成物を用いて形成することができる。一実施態様では、透明グレー層はアクリル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、又はゴム系接着剤を含む。
透明グレー層は一般に無彩色であるが、有彩色であってもよい。一実施態様では、透明グレー層は黒色顔料又は黒色染料のみを含む。別の実施態様では透明グレー層は黒色顔料又は黒色染料と白色顔料又は白色染料との組み合わせを含む。別の実施態様では、透明グレー層は黒色顔料又は黒色染料に加えて、赤、青、黄などの有彩色の顔料又は染料を含む。この実施態様では、透明グレー層の色を基材ベタ色層の色相及び彩度に合わせて適宜シフトさせることができる。
透明グレー層が黒色に着色した樹脂ビーズを含んでもよい。黒色樹脂ビーズは、黒色顔料又は黒色染料が透明樹脂粒子に混練されたものであってよい。黒色樹脂ビーズを用いることにより、透明グレー層に黒色顔料又は黒色染料をより均一に分散させることができる。
透明グレー層の可視光線透過率は、一般に、JIS A 5759:2008に準拠して測定したときに、波長380nm〜780nmにおける平均可視光線透過率として得られる値が、約40%以上、約50%以上、又は約60%以上、約95%以下、約90%以下、又は約85%以下である。透明グレー層の平均可視光線透過率を上記範囲とすることで基材ベタ色層の明度を効果的に調節することができる。透明グレー層の全面が上記平均可視光線透過率を有してもよく、一部又は複数の部分が上記平均可視光線透過率を有してもよい。
透明グレー層の厚さは様々であってよく、一般に、約1μm以上、約5μm以上、又は約10μm以上、約300μm以下、約100μm以下、約50μm以下、又は約30μm以下とすることができる。
一実施態様では、基材ベタ色層は、レセプター層の上に、トナー、溶剤型インク、紫外線硬化型インク、水性インク、ラテックスインクなどを用いたインクジェット印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、静電印刷などの印刷により形成された印刷層である。一実施態様では基材ベタ色層はインクジェット印刷層である。
別の実施態様では、基材ベタ色層は、様々な樹脂、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を含むアクリル樹脂、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、フッ素樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)などの共重合体又はこれらの混合物に、顔料又は染料を混合して形成される着色フィルムである。この実施態様では、異なる可視光線透過率を有する透明グレー層から適当なものを選択することで、一種類の着色フィルムから色味の異なる装飾積層フィルムを作製することができる。
基材ベタ色層は有彩色であり、その色相、明度及び彩度は様々であってよい。一実施態様では、L表色系に基づいて、基材ベタ色層のL値は約30以上、約99以下の範囲であり、aは約−10以上、約20以下の範囲であり、bは約−10以上、約30以下の範囲である。基材ベタ色層のL、a、及びbが上記範囲であるときに、透明グレー層による明度調節の効果がより大きくなる。
基材ベタ色層の厚さは様々であってよく、一般に、約1μm以上、約5μm以上、又は約10μm以上、約300μm以下、約100μm以下、約50μm以下、又は約30μm以下とすることができる。
一実施態様では、柄層及び透明グレー層の両方がインクジェット印刷層である。別の実施態様では、柄層、透明グレー層、及び基材ベタ色層がインクジェット印刷層である。
柄層及び透明グレー層を受容する透明レセプター層として、様々な樹脂、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリウレタン(PU)、アクリル−ウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)などの共重合体又はこれらの混合物を含むフィルムを使用することができる。これらのフィルムは他の層との結合面にプライマー処理、コロナ処理などの表面処理を有してもよい。強度、印刷適性、耐溶剤性(例えば耐アルコール性)などの観点から、透明レセプター層として、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、アクリル樹脂、アクリル−ウレタン樹脂を含むフィルムを有利に使用できる。ポリ塩化ビニルを含む透明レセプター層は装飾積層フィルムを難燃性とする上でも有利である。
透明レセプター層の可視光線透過率は、一般に、JIS A 5759:2008に準拠して測定したときに、波長380nm〜780nmにおける平均可視光線透過率として得られる値が、約80%以上、約85%以上、又は約90%以上、100%以下、約98%以下、又は約95%以下である。透明レセプター層の全面が上記平均可視光線透過率を有してもよく、一部又は複数の部分が上記平均可視光線透過率を有してもよい。
透明レセプター層の厚さは様々であってよく、一般に約10μm以上、約20μm以上、又は約50μm以上、約500μm以下、約200μm以下、又は約100μm以下とすることができる。
基材ベタ色層を受容するレセプター層として、透明レセプター層と同様の樹脂を含むフィルムを使用することができる。これらのフィルムは他の層との結合面にプライマー処理、コロナ処理などの表面処理を有してもよい。強度、印刷適性、耐溶剤性(例えば耐アルコール性)などの観点から、レセプター層として、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、アクリル樹脂、アクリル−ウレタン樹脂を含むフィルムを有利に使用できる。ポリ塩化ビニルを含むレセプター層は装飾積層フィルムを難燃性とする上でも有利である。
レセプター層は上記の透明レセプター層であってもよく、不透明な層であってもよく、着色されていてもよい。一実施態様ではレセプター層は白色顔料を含む。白色顔料として、従来公知の白色顔料、例えば、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化チタン(二酸化チタン)などを使用できる。添加剤としてタルク、カオリン、炭酸カルシウムを含んでもよい。白色顔料は単体で又は2種以上を混合して用いることができる。白色顔料はいずれの形態でもよく、従来公知の方法によって各種の分散処理が施されたものであってもよい。この実施態様では、レセプター層がタイル基材表面(下地)を隠蔽する隠蔽層としても機能する。白色度が高いことから白色顔料として二酸化チタンを用いることが有利である。
レセプター層の厚さは様々であってよく、一般に約10μm以上、約20μm以上、又は約50μm以上、約500μm以下、約200μm以下、又は約100μm以下とすることができる。
透明レセプター層及びレセプター層として、押出フィルム、押出延伸フィルム、カレンダーフィルム、キャストフィルムなど、様々な成形方法で形成されたフィルム又はこれらの積層体を使用することができる。一実施態様では、フィルム層はキャストフィルムである。この実施態様によれば、薄いフィルム層を得ることが容易であり、残留内部応力が比較的低いことから、装飾積層フィルムのタイル基材表面への追従性を有利に高めることができる。
一実施態様では、装飾積層フィルムは、接着剤をタイル基材表面に塗布し、その上に装飾積層フィルムを適用することにより、タイル基材に取り付けられる。図4〜図8に示すような別の実施態様では、装飾積層フィルムは、基材ベタ色層に対して透明グレー層の反対側に配置された感圧接着層を有しており、この感圧接着層を介してタイル基材に取り付けられる。
感圧接着層は、様々な種類の接着剤、例えばアクリル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ゴム系などの、溶剤型、エマルジョン型、感圧型、感熱型、熱硬化型又は紫外線硬化型の接着剤を用いて形成することができる。一実施態様では、接着層はアクリル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、又はゴム系接着剤を含む。
一実施態様では感圧接着層は白色顔料を含む。白色顔料はレセプター層について説明したとおりである。この実施態様では、感圧接着層がタイル基材表面(下地)を隠蔽する隠蔽層としても機能する。白色度が高いことから白色顔料として二酸化チタンを用いることが有利である。
感圧接着層は公知の方法によって基材ベタ色層又はそれを受容するレセプター層上に形成することができる。例えば、感圧接着層の成分に加えてさらに必要に応じて有機溶剤を含有する感圧接着剤組成物を、ナイフコート、バーコートなどによりライナー上に塗布し乾燥して、感圧接着層を形成する。得られた感圧接着層の上に基材ベタ色層又はレセプター層をドライラミネートなどにより積層して、感圧接着層を装飾積層フィルムに付与することができる。
感圧接着層の厚さは、一般に約5μm以上、約10μm以上、又は約20μm以上、約100μm以下、約80μm以下、又は約50μm以下である。
一実施態様では、装飾積層フィルムは感圧接着層を保護するライナーを有してもよい。ライナーとして、例えば、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、酢酸セルロースなどのプラスチック材料、このようなプラスチック材料で被覆された紙などを挙げることができる。これらのライナーは、シリコーンなどにより剥離処理した表面を有してもよい。ライナーの厚さは、一般に約5μm以上、約15μm以上又は約25μm以上、約300μm以下、約200μm以下又は約150μm以下である。
感圧接着層は、一般に平坦な接着面を形成するが、凹凸接着面を形成してもよい。この凹凸接着面には、感圧接着層の接着面に、接着剤を含む凸部と、その凸部の周りを取り囲んだ凹部とが形成され、タイル基材に接着された状態でタイル基材表面と接着面との間に凹部が画する外部と連通した連通路が形成される接着面を含む。凹凸接着面を形成する方法の一例を以下説明する。
所定の凹凸構造を有する剥離面を持つライナーを用意する。このライナーの剥離面に、感圧接着剤組成物を塗布し、必要に応じて加熱して、感圧接着層を形成する。これにより、感圧接着層のライナーと接する面(これが装飾積層フィルムにおける接着面となる。)に、ライナーの凹凸構造(ネガ構造)を転写し、接着面に所定の構造(ポジ構造)を有する凹凸接着面を形成する。接着面の凹凸は、前述したように、タイル基材に凸部が接着した際に連通路が形成可能な溝を含むように予め設計される。
感圧接着層の溝は、装飾積層フィルムを施工する際に気泡残りを防止できる限り、一定形状の溝を規則的パターンに沿って接着面に配置して規則的パターンの溝を形成してもよく、不定形の溝を配置し不規則なパターンの溝を形成してもよい。複数の溝が互いに略平行に配置されるように形成される場合、溝の配置間隔は10〜2000μmであることが好ましい。溝の深さ(接着面からフィルム層の方向に向かって測定した溝の底までの距離)は、通常約10μm以上、約100μm以下である。溝の形状も、本発明の効果を損なわない限り特に限定されない。例えば、溝の形状を、接着面に垂直な方向の溝の断面において、略矩形(台形を含む)、略半円形、又は略半楕円形とすることができる。
装飾積層フィルムは表面保護層をさらに含んでもよい。表面保護層はオーバーラミネートフィルムであってもよく、クリアコーティングであってもよく、クリアコーティングを有するオーバーラミネートフィルムであってもよい。表面保護層により装飾積層フィルムの表面を保護することができる。表面保護層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリウレタン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂などの樹脂のフィルムを、装飾積層フィルムを構成する層の上に直接又は接合層を介して積層することによって、あるいは、樹脂組成物を、装飾積層フィルムを構成する層の表面に塗布して乾燥することによって形成することができる。クリアコーティングを有するオーバーラミネートフィルムは、樹脂組成物を上記樹脂フィルム表面に塗布して乾燥して得られたコーティングフィルムを、装飾積層フィルムを構成する層の上に直接又は接合層を介して積層することができる。
表面保護層は一般に可視光領域で透明である。表面保護層の可視光線透過率は、一般に、JIS A 5759:2008に準拠して測定したときに、波長380nm〜780nmにおける平均可視光線透過率として得られる値が、約80%以上、約85%以上、又は約90%以上、100%以下、約98%以下、又は約95%以下である。表面保護層の全面が上記平均可視光線透過率を有してもよく、一部又は複数の部分が上記平均可視光線透過率を有してもよい。
表面保護層の露出表面が凹凸を有してもいてもよい。一実施態様では表面保護層としてオーバーラミネートフィルムが使用され、オーバーラミネートフィルムの露出表面にエンボス加工が施されている。別の実施態様では表面保護層として樹脂ビーズ、無機粒子などのフィラーを含有するコーティングが使用され、フィラーがコーティングから突出することにより、表面保護層の露出表面に凹凸が形成される。表面保護層の露出表面にエンボス加工などによる凹凸を付与することで、様々な角度から観察したときに反射光によるぎらつきを抑えて、修復表面の外観の再現性を高めることができる。一実施態様では、オーバーラミネート層の光沢度(グロス)は、JIS Z 8741:1997に準拠して測定したときに、Gs(60°)の値が、約1以上、約2以上、又は約3以上、約40以下、約30以下、又は約20以下である。
表面保護層の厚さは、一般に約1μm以上、約5μm以上、又は約10μm以上、約100μm以下、約50μm以下、又は約30μm以下である。
装飾積層フィルムを構成する層を結合する接合層として、一般に使用されるアクリル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ゴム系などの、溶剤型、エマルジョン型、感圧型、感熱型、熱硬化型又は紫外線硬化型の接着剤を使用することができる。接合層が感圧接着層と同様の材料で形成されていてもよい。
接合層は一般に透明であり、その可視光線透過率は、一般に、JIS A 5759:2008に準拠して測定したときに、波長380nm〜780nmにおける平均可視光線透過率として得られる値が、約80%以上、約85%以上、又は約90%以上、100%以下、約98%以下、又は約95%以下である。接合層の全面が上記平均可視光線透過率を有してもよく、一部又は複数の部分が上記平均可視光線透過率を有してもよい。
接合層の厚さは、一般に、約1μm以上、約2μm以上、又は約5μm以上、約50μm以下、約40μm以下、又は約30μm以下とすることができる。
装飾積層フィルムの用途に応じて、上記の層の一つ又は複数に、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、滑材、帯電防止剤、難燃剤、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、アルミニウムフレーク、フュームドシリカ、アルミナ、ナノ粒子などの充填剤などの従来公知の添加剤を添加することもできる。
ライナーを除く装飾積層フィルムの総厚は、一般に約50μm以上、約80μm以上、又は約100μm以上、約1mm以下、約500μm以下、又は約200μm以下である。
上記装飾積層フィルムは、例えば、
(1)複製の対象である、柄を有する表面を撮影して画像データを得る工程と、
(2)前記画像データを2値化することにより柄データを作成する工程と、
(3)前記画像データから前記柄データを差し引くことにより基材ベタ色データを作成する工程と、
(4)透明グレー色データを作成する工程と、
(5)前記柄データに基づいて柄層を形成する工程と、
(6)前記基材ベタ色データに基づいて基材ベタ色層を形成する工程と、
(7)前記透明グレー色データに基づいて透明グレー層を形成する工程と、
(8)前記柄層、前記基材ベタ色層、及び前記透明グレー層を積層して、前記柄を有する表面が複製された外観を有する装飾積層フィルムを形成する工程と、を含む方法により製造することができる。
図9を参照しながら上記方法の一例を説明するが、以下に限られない。
工程(1)では、デジタルカメラなどを用いて、建築物の壁面において交換するタイルの写真を撮影する。撮影画像は、JPEGなどのフォーマットのRGB画像データとして得る。
工程(2)では、得られたRGB画像データ(図9ではJPEGフォーマット)を画像処理ソフトウェア上で所定の閾値で2値化して柄データを作成する。柄データはRGB画像データからCMYK画像データへ画像変換することにより得られる。柄データはグレースケールであってもよく、2値化した後に柄部分のみがフルカラーのデータに復元されたものであってもよい。
工程(3)では、撮影画像のRGB画像データから、2値化により得られた柄データを差し引いて基材ベタ色データを作成する。基材ベタ色データはRGB画像データからCMYK画像データへ画像変換することにより得られる。
工程(4)では、透明グレー色データをCMYK画像データとして作成する。階調の異なる複数の透明グレー色データを用意しておき、装飾積層フィルムの外観を確認しながらこれらの複数の透明グレー色データを用いて明度調節を行ってもよい。
工程(5)〜(7)では、柄データ、基材ベタ色データ、及び透明グレー色データに基づいて、柄層、基材ベタ色層、及び透明グレー層が形成される。一実施態様では、図9に示すように、柄層、基材ベタ色層及び透明グレー層をいずれもインクジェット印刷により形成する。図9に示す例ではこれらの層はレセプターフィルム上に形成されるが、基材ベタ色層を樹脂フィルムとして形成してもよく、透明グレー層をレセプター層又は接合層として形成してもよい。
工程(8)で、各フィルムを積層することにより装飾積層フィルムが製造される。積層には接合層を用いてもよく、熱圧着により直接これらの層を積層してもよい。
複製の対象である表面に柄がない場合は、(2)の柄データを作成する工程と(5)の柄データに基づいて柄層を形成する工程は省略することができ、(3)の基材ベタ色データを作成する工程では画像データから直接基材ベタ色データを作成することができる。
第2実施態様の装飾フィルムは、第1面及び第1面の反対側の第2面を有する透明レセプター層と、透明レセプター層の第1面に配置されたインクジェット印刷柄層と、透明レセプター層の第2面に配置された着色不透明感圧接着層とを含む画像フィルムを含む。
第2実施態様によれば、透明レセプター層の第1面にインクジェット印刷柄層が配置され、第2面に着色不透明感圧接着層が配置された画像フィルムを用いることにより、インクジェット印刷により形成される柄と感圧接着層の着色の組み合わせでインクジェット印刷のみではできない様々な柄及び色味を有する修復表面の外観を再現することができる。この構造によれば、感圧接着層自体を着色化することにより、着色層を追加積層することなく、簡素な構造にすることができる。装飾積層フィルムの簡素な積層構造は、装飾積層フィルムの製造工程を簡易化することができるとともに、装飾積層フィルムを薄型化して凹凸を有するタイル基材表面への追従性をより高めることができる。装飾積層フィルムの薄型化は、可燃性有機成分を低減することができるため、不燃性の点でも有利である。
図10に、一実施態様の装飾積層フィルム210の概略断面図を示す。装飾積層フィルム210は、透明レセプター層214と、インクジェット印刷柄層216と、着色不透明感圧接着層218とを含む画像フィルム212を含む。図10の装飾積層フィルム210は、さらに、任意の構成要素として、最外層として表面保護層222、及び着色不透明感圧接着層218を保護するライナー230を有する。ライナー230はタイル基材への装飾積層フィルム210の貼り付け前に剥離される。表面保護層222は接合層224を介して積層されてもよい。表面保護層222はオーバーラミネートフィルムであってもよく、クリアコーティングであってもよい。装飾積層フィルム210をタイル基材に貼り付けたときに、インクジェット印刷柄層216による柄と、着色不透明感圧接着層218又は着色不透明感圧接着層218と透明レセプター層214の組み合わせによる基材ベタ色(画像から柄を除いた背景色)とが組み合わされて、画像として観察者により視認される。
透明レセプター層は、インクジェット印刷柄層を形成するインク組成物を受容し、透明レセプター層を通して着色不透明感圧接着層が視認できる程度の透明性を有する。透明レセプター層の透明性により、インク組成物の一部が透明レセプター層に浸透した場合でもその浸透した部分を視認することができる。そのため、インクジェット印刷柄層を薄くしたときでも高い鮮明度を示す画像を有する装飾積層フィルムを提供することができる。
透明レセプター層として、第1実施態様の装飾積層フィルムについて説明したフィルム又は積層体を使用することができる。
一実施態様では、透明レセプター層は、カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマー及びアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーのポリマーブレンドを含むアクリル樹脂フィルムである。このようなポリマーブレンドを含むアクリル樹脂フィルムは比較的薄くても高い強度を有することができ、凹凸を有するタイル基材表面への装飾積層フィルムの追従性を効果的に高める、又は装飾積層フィルムに不燃性を付与することができる。
一実施態様では、透明レセプター層は無色である。この実施態様では、基材ベタ色は着色不透明感圧接着層により表現される。無色の透明レセプター層では、顔料などの着色剤を含むことによる伸び特性の低下が生じない。そのため、無色の透明レセプター層を含む装飾積層フィルムは、凹凸を有するタイル基材表面への追従性に特に優れている。
透明レセプター層は必要に応じて着色されていてもよい。この実施態様では、基材ベタ色は、着色不透明感圧接着層と透明レセプター層の組み合わせにより表現される。着色剤として、酸化チタン、カーボンブラック、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、赤色酸化鉄などの無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料、アゾレーキ系顔料、インジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドンレッドなどのキナクリドン系顔料などの有機顔料などの顔料が挙げられる。この実施態様における着色剤の含有量は、透明レセプター層の厚さ、透明レセプター層に要求される伸び特性などによって変化するが、一般に、透明レセプター層の約1質量%以上、約2質量%以上、又は約3質量%以上、約30質量%以下、約25質量%以下、又は約20質量%以下である。
透明レセプター層の厚さは様々であってよく、一般に約10μm以上、約20μm以上、又は約50μm以上、約500μm以下、約200μm以下、又は約100μm以下とすることができる。透明レセプター層が着色されている実施態様では、透明レセプター層の厚さは、約200μm以下、約100μm以下、又は約80μm以下であることが望ましく、これにより透明レセプター層の透明性を確保することができる。装飾積層フィルムに不燃性が要求される用途では、透明レセプター層の厚さはその材料によって変化し、例えば、透明レセプター層がポリ塩化ビニルフィルムである場合、約200μm以下、約150μm以下、又は約100μm以下であることが望ましく、透明レセプター層がアクリル樹脂フィルムである場合、約80μm以下、約60μm以下、又は約40μm以下であることが望ましい。
透明レセプター層の可視光線透過率は、一般に、JIS A 5759:2008に準拠して測定したときに、波長380nm〜780nmにおける平均可視光線透過率として得られる値が、約70%以上、約80%以上、又は約90%以上、100%以下、約98%以下、又は約95%以下である。透明レセプター層の全面が上記平均可視光線透過率を有してもよく、一部又は複数の部分が上記平均可視光線透過率を有してもよい。
装飾積層フィルムの用途に応じて、透明レセプター層に、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、滑材、帯電防止剤、難燃剤、充填材などの添加剤を添加してもよい。
一実施態様では、透明レセプター層は難燃剤を含まない。この実施態様では、装飾積層フィルムの総厚を薄く(例えば約100μm以下)することにより、難燃剤を使用せずに装飾積層フィルムを不燃性とすることができる。
インクジェット印刷柄層は、透明レセプター層の上に、溶剤系インク又はUV硬化型インクを用いたインクジェット印刷により形成することができる。インクジェット印刷柄層は単色であってもよく多色であってもよい。修復表面の柄に基づいて無彩色又は有彩色でインクジェット印刷柄層が形成されてもよい。
インクジェット印刷柄層の厚さは様々であってよく、一般に溶剤系インクを用いた場合は、約0.1μm以上、又は約0.5μm以上、約10μm以下、又は約5μm以下とすることができる。UV硬化型インクを用いた場合は、約0.5μm以上、又は約1μm以上、約30μm以下、又は約20μm以下とすることができる。
着色不透明感圧接着層は、装飾積層フィルムをタイル基材表面に接着し、タイル基材表面(下地)を隠蔽する隠蔽層としても機能する。着色不透明感圧接着層は、単独で(透明レセプター層が無色の場合)又は透明レセプター層と組み合わされて(透明レセプター層が着色されている場合)基材ベタ色を表現する。着色不透明感圧接着層は、着色剤として、酸化チタン、カーボンブラック、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、赤色酸化鉄などの無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料、アゾレーキ系顔料、インジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドンレッドなどのキナクリドン系顔料などの有機顔料などの顔料を含む。着色不透明感圧接着層は、白色、灰色又は黒色の無彩色を表現してもよく、有彩色を表現してもよい。着色不透明感圧接着層は、マイカ、アルミニウム粉末などの光輝材を含んでもよい。
着色不透明感圧接着層の着色剤の含有量は、着色不透明感圧接着層の厚さ、着色不透明感圧接着層に要求される接着特性、着色の種類、使用する着色剤などによって変化するが、一般に、着色不透明感圧接着層の約1質量%以上、約3質量%以上、又は約5質量%以上、約50質量%以下、約40質量%以下、又は約30質量%以下である。
着色不透明感圧接着層は、様々な種類の接着剤、例えばアクリル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ゴム系などの、溶剤型、エマルジョン型、感圧型、感熱型、熱硬化型又は紫外線硬化型の接着剤に着色剤を混合した組成物を用いて形成することができる。一実施態様では、着色不透明感圧接着層は、アクリル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、又はゴム系接着剤を含む。
一実施態様では、着色不透明感圧接着層は、カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマー及びアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーのポリマーブレンドを含むアクリル系接着剤から形成される。このようなポリマーブレンドを含むアクリル系接着剤は、着色剤とカルボキシ基又はアミノ基との相互作用を利用して、着色剤を高濃度かつ均一に分散した状態で含有することができる。そのため、この実施態様では比較的薄い厚さで高い隠蔽性を有する着色不透明感圧接着層を形成することができる。
着色不透明感圧接着層の厚さは様々であってよく、一般に約5μm以上、約10μm以上、又は約20μm以上、約100μm以下、約80μm以下、又は約50μm以下である。装飾積層フィルムに不燃性が要求される用途では、着色不透明感圧接着層の厚さは、約70μm以下、約50μm以下、又は約30μm以下であることが望ましい。
着色不透明感圧接着層の可視光線透過率は、一般に、JIS A 5759:2008に準拠して測定したときに、波長380nm〜780nmにおける平均可視光線透過率として得られる値が、約30%以下、約20%以下、又は約10%以下である。
装飾積層フィルムの用途に応じて、着色不透明感圧接着層に、例えば粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、滑材、帯電防止剤、難燃剤、充填材などの添加剤を添加してもよい。
一実施態様では、着色不透明感圧接着層は難燃剤を含まない。この実施態様では、装飾積層フィルムの総厚を薄く(例えば約100μm以下)することにより、難燃剤を使用せずに装飾積層フィルムを不燃性とすることができる。
着色不透明感圧接着層は、公知の方法によって透明レセプター層上に形成することができる。例えば、着色不透明感圧接着層の成分、及び必要に応じて有機溶剤を含有する感圧接着剤組成物を、ナイフコート、バーコートなどによりライナー上に塗布し乾燥して、着色不透明感圧接着層を形成する。得られた着色不透明感圧接着層の上に透明レセプター層をドライラミネートなどにより積層して、着色不透明感圧接着層を透明レセプター層上に形成することができる。
装飾積層フィルムは着色不透明感圧接着層を保護するライナーを有してもよい。ライナーとして、第1実施態様の装飾積層フィルムについて説明したものを使用することができる。
着色不透明感圧接着層は、一般に平坦な接着面を形成するが、凹凸接着面を形成してもよい。凹凸接着面として、第1実施態様の装飾積層フィルムの感圧接着層について説明したものを使用することができる。
装飾積層フィルムは、インクジェット印刷柄層の上に表面保護層をさらに含んでもよい。表面保護層として、第1実施態様の装飾積層フィルムについて説明したものを使用することができる。
オーバーラミネートフィルムを装飾積層フィルムに結合する接合層として、第1実施態様の装飾積層フィルムについて説明したものを使用することができる。
装飾積層フィルムの用途に応じて、表面保護層又は接合層に、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、滑材、帯電防止剤、難燃剤、充填材等の添加剤を添加してもよい。
ライナーを除く装飾積層フィルムの総厚は、一般に約30μm以上、約40μm以上、又は約50μm以上、約500μm以下、約200μm以下、又は約100μm以下である。装飾積層フィルムに不燃性が要求される用途では、装飾積層フィルムの総厚は構成材料によって変化し、例えば、透明レセプター層がポリ塩化ビニルフィルムである場合、約250μm以下、約200μm以下、又は約150μm以下であることが望ましく、透明レセプター層がアクリル樹脂フィルムである場合、約100μm以下、約90μm以下、又は約80μm以下であることが望ましい。
一実施態様では、ライナーを除く装飾積層フィルムは、透明レセプター層、インクジェット印刷柄層、着色不透明感圧接着層、表面保護層、及び表面保護層の接合層以外を含まない、すなわち、透明レセプター層と、インクジェット印刷柄層と、着色不透明感圧接着層と、表面保護層と、必要に応じて表面保護層の接合層とからなる。
一実施態様の装飾積層フィルムは、ISO5660−1コーンカロリーメーター試験で不燃性である。例えば、コーンカロリーメーターを用いて装飾積層フィルムの発熱速度(kW/m)及び総発熱量(MJ/m)を測定したときに、加熱開始後20分間の総発熱量は8MJ/m以下でありかつ200kW/mを超える発熱速度を示す時間は合計で10秒以下である。一実施態様では、装飾積層フィルムは難燃剤を含まずに上記不燃性を達成する。
上記装飾積層フィルムは、例えば、
(1)第1面及び第1面の反対側の第2面を有する透明レセプター層を用意する工程、
(2)複製の対象である、柄を有する表面を撮影して画像データを得る工程、
(3)画像データを2値化することにより柄データを作成する工程、
(4)画像データから柄データを差し引くことにより基材ベタ色データを作成する工程、
(5)基材ベタ色データに基づいて、透明レセプター層の第2面に着色不透明感圧接着層を形成する工程、及び
(6)柄データに基づいて、インクジェット印刷により透明レセプター層の第1面にインクジェット印刷柄層を形成する工程
を含む方法により製造することができる。
図11を参照しながら上記方法の一例を説明するが、以下に限られない。
工程(1)の透明レセプター層として上記のものを使用することができる。
工程(2)では、デジタルカメラなどを用いて、建築物の壁面において交換するタイルの写真を撮影する。撮影画像は、JPEGなどのフォーマットのRGB画像データとして得る。
工程(3)では、得られたRGB画像データ(図11ではJPEGフォーマット)を画像処理ソフトウェア上で所定の閾値で2値化して柄データを作成する。柄データはRGB画像データからCMYK画像データへ画像変換することにより得られる。柄データはグレースケールであってもよく、2値化した後に柄部分のみがフルカラーのデータに復元されたものであってもよい。
工程(4)では、撮影画像のRGB画像データから、2値化により得られた柄データを差し引いて基材ベタ色データを作成する。基材ベタ色データはRGB画像データからCMYK画像データへ画像変換することにより得られる。
工程(5)では、基材ベタ色データに基づいて、透明レセプター層の第2面に着色不透明感圧接着層を形成する。着色不透明感圧接着層を形成するための感圧接着剤組成物は、上記のとおり調製することができる。着色不透明感圧接着層は、単独で(透明レセプター層が無色の場合)又は透明レセプター層と組み合わされて(透明レセプター層が着色されている場合)基材ベタ色を表現するように形成することができる。それぞれ色の異なる複数の着色不透明感圧接着層及び複数の透明レセプター層を用意しておき、基材ベタ色データに最も近似する着色不透明感圧接着層と透明レセプター層の組み合わせを選択して、これらを積層してもよい。
工程(6)では、柄データに基づいて、透明レセプター層の第1面にインクジェット印刷柄層を形成する。工程(6)は工程(5)の後に行ってもよく、工程(5)の前に行ってもよい。
工程(5)の着色不透明感圧接着層については、色の異なる複数の着色不透明感圧接着層を用意しておき、基材ベタ色データに最も近似する色の着色不透明感圧接着層を選択して使用してもよい。
より正確な色を再現するために、着色不透明感圧接着層と基材ベタ色データとの相違を補充する補色となる色を、透明レセプター層の着色又は透明レセプター層上への追加的なインクジェット印刷による着色により加えてもよい。
第3実施態様の装飾フィルムは、第1面及び第1面の反対側の第2面を有する透明レセプター層と、透明レセプター層の第1面の上に直接印刷された透明グレー層と、透明レセプター層の第2面の上に直接印刷された基材ベタ色層と、基材ベタ色層の上に直接配置された白色不透明感圧接着層とを含み、透明レセプター層の厚さが約50μm以下である。装飾積層フィルムの透明グレー層は柄をさらに含んでもよい。
第3実施態様の装飾積層フィルムにおいて、観察者は、柄を含む又は含まない透明グレー層を通して基材ベタ色層を視認する。基材ベタ色層の上に直接配置された白色不透明感圧接着層は、タイル基材表面に装飾積層フィルムを接着するだけではなく、装飾積層フィルムに入射してインクドット又はアミ点の間を通過した光を反射させる白色の下地としても機能する。如何なる理論に拘束される訳ではないが、透明グレー層及び基材ベタ色層が印刷層として透明レセプター層の第1面及び第2面の上にそれぞれ直接配置された積層構造において、別個に設けられた透明グレー層を通して明度が調節された基材ベタ色層を観察者に視認させることで、修復表面の外観がより再現された印象を観察者に与えることができると考えられる。
第3実施態様の装飾積層フィルムは、薄い透明レセプター層の第1面及び第2面にそれぞれ直接印刷された透明グレー層及び基材ベタ色層を有し、かつ基材ベタ色層の上に直接配置された白色不透明感圧接着層を有する簡素な積層構造を有するため、装飾積層フィルムの製造工程を簡易化することができるとともに、透明レセプター層の厚さが約50μm以下であることとも相まって、装飾積層フィルムを薄型化して凹凸を有するタイル基材表面への追従性をより高めることができる。装飾積層フィルムの薄型化は、可燃性有機成分を低減することができるため、不燃性の点でも有利である。また、透明レセプター層の厚さが約50μm以下であることは、透明レセプター層に起因する光学的影響を低減して、透明グレー層と基材ベタ色層との組み合わせによる色の再現性、特に透明グレー層が柄を有する場合の色及び模様の再現性を高めることができる。
図12に、一実施態様の装飾積層フィルム310の概略断面図を示す。装飾積層フィルム310は、透明レセプター層312と、透明レセプター層312の第1面(上面)に直接印刷された透明グレー層314と、透明レセプター層312の第2面(下面)に直接印刷された基材ベタ色層316とを含む。基材ベタ色層316の上には白色不透明感圧接着層318が直接配置されている。図12の装飾積層フィルム310は、さらに、任意の構成要素として、最外層として表面保護層320、及び白色不透明感圧接着層318を保護するライナー330を有する。ライナー330はタイル基材表面への装飾積層フィルム310の貼り付け前に剥離される。表面保護層320は接合層322を介して積層されてもよい。表面保護層322はオーバーラミネートフィルムであってもよく、クリアコーティングであってもよく、クリアコーティングを有するオーバーラミネートフィルムであってもよい。図12では、基材ベタ色層316は透明グレー層314を通して上方から観察者により視認される。
図13に別の実施態様の装飾積層フィルム310の概略断面図を示す。装飾積層フィルム310の透明グレー層314は、柄315をさらに含む。図13では、基材ベタ色層316は柄315を含む透明グレー層314を通して上方から観察者により視認され、全体として柄を有する画像として観察者により視認される。
透明レセプター層は、柄を含む又は含まない透明グレー層、及び基材ベタ色層を形成するインク組成物を受容し、透明レセプター層を通して基材ベタ色層が視認できる程度の透明性を有する。透明レセプター層の透明性により、インク組成物の一部が透明レセプター層に浸透した場合でもその浸透した部分を視認することができる。そのため、透明グレー層、特に柄を含む透明グレー層を薄くしたときでも高い鮮明度を示す画像を有する装飾積層フィルムを提供することができる。
透明レセプター層として、様々な樹脂、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)などの共重合体又はこれらの混合物を含むフィルムを使用することができる。これらのフィルムは他の層との結合面にプライマー処理、コロナ処理などの表面処理を有してもよい。強度、印刷適性、耐溶剤性(例えば耐アルコール性)などの観点から、透明レセプター層として、ポリ塩化ビニル、又はアクリル樹脂を含むフィルムを有利に使用することができ、アクリル樹脂フィルムを使用することが好ましい。
一実施態様では、透明レセプター層は、カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマー及びアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーのポリマーブレンドを含むアクリル樹脂フィルムである。このようなポリマーブレンドを含むアクリル樹脂フィルムは、第1面及び第2面の両方に印刷層を形成することができる優れた印刷適性を有している。また、このようなポリマーブレンドを含むアクリル樹脂フィルムは、比較的薄くても高い強度を有することができ、凹凸を有するタイル基材表面への装飾積層フィルムの追従性を効果的に高める、又は装飾積層フィルムに不燃性を付与することができる。
透明レセプター層として、押出フィルム、押出延伸フィルム、カレンダーフィルム、キャストフィルムなど、様々な成形方法で形成されたフィルム又はこれらの積層体を使用することができる。一実施態様では、フィルム層はキャストフィルムである。この実施態様によれば、薄いフィルム層を得ることが容易であり、残留内部応力が比較的低いことから、装飾積層フィルムのタイル基材表面への追従性を有利に高めることができる。
一実施態様では、透明レセプター層は無色である。この実施態様では、基材ベタ色は基材ベタ色層のみにより表現される。無色の透明レセプター層では、顔料などの着色剤を含むことによる伸び特性の低下が生じない。そのため、無色の透明レセプター層を含む装飾積層フィルムは、凹凸を有するタイル基材表面への追従性に特に優れている。
透明レセプター層は必要に応じて着色されていてもよい。この実施態様では、基材ベタ色は、基材ベタ色層と透明レセプター層の組み合わせにより表現される。着色剤及びその含有量として、第2実施態様の装飾積層フィルムについて説明したものを使用することができる。
透明レセプター層の厚さは約50μm以下である。透明レセプター層の厚さは、例えば、約5μm以上、約10μm以上、又は約15μm以上、約44μm以下、約40μm以下、又は約36μm以下とすることができる。このように薄い透明レセプター層を用いることで、装飾積層フィルムのタイル基材表面への追従性を有利に高めることができ、また、不燃性を得る上でも有利である。
透明レセプター層の可視光線透過率は、一般に、JIS A 5759:2008に準拠して測定したときに、波長380nm〜780nmにおける平均可視光線透過率として得られる値が、約70%以上、約80%以上、又は約90%以上、100%以下、約98%以下、又は約95%以下である。透明レセプター層の全面が上記平均可視光線透過率を有してもよく、一部又は複数の部分が上記平均可視光線透過率を有してもよい。
装飾積層フィルムの用途に応じて、透明レセプター層に、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、滑材、帯電防止剤、難燃剤、充填材などの添加剤を添加してもよい。
一実施態様では、透明レセプター層は難燃剤を含まない。この実施態様では、装飾積層フィルムの総厚を薄く(例えば約100μm以下)することにより、難燃剤を使用せずに装飾積層フィルムを不燃性とすることができる。
透明グレー層は、透明レセプター層の第1面の上に直接、トナー、溶剤型インク、紫外線硬化型インク、水性インク、ラテックスインクなどを用いたインクジェット印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、静電印刷などの印刷により形成される。一実施態様では透明グレー層はインクジェット印刷層である。
透明グレー層は一般に無彩色であるが、有彩色であってもよい。一実施態様では、透明グレー層は黒色顔料又は黒色染料のみを含む。別の実施態様では透明グレー層は黒色顔料又は黒色染料と白色顔料又は白色染料との組み合わせを含む。別の実施態様では、透明グレー層は黒色顔料又は黒色染料に加えて、赤、青、黄などの有彩色の顔料又は染料を含む。この実施態様では、透明グレー層の色を基材ベタ色層の色相及び彩度に合わせて適宜シフトさせることができる。
透明グレー層は柄をさらに含んでもよい。柄を含む透明グレー層は、インクジェット印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、静電印刷などの印刷における多色印刷技術によって形成することができる。柄は単色であってもよく多色であってもよい。修復表面の柄を近似した画像を用いて、無彩色で柄が形成されてもよい。
透明グレー層の柄のない部分の可視光線透過率は、一般に、JIS A 5759:2008に準拠して測定したときに、波長380nm〜780nmにおける平均可視光線透過率として得られる値が、約40%以上、約50%以上、又は約60%以上、約95%以下、約90%以下、又は約85%以下である。透明グレー層の柄のない部分の平均可視光線透過率を上記範囲とすることで、基材ベタ色層の明度を効果的に調節することができる。
透明グレー層の厚さは様々であってよく、一般に溶剤系インクを用いた場合は、約0.1μm以上、又は約0.5μm以上、約10μm以下、又は約5μm以下とすることができる。UV硬化型インクを用いた場合は、約0.5μm以上、又は約1μm以上、約30μm以下、又は約20μm以下とすることができる。
基材ベタ色層は、透明レセプター層の第2面の上に直接、トナー、溶剤型インク、紫外線硬化型インク、水性インク、ラテックスインクなどを用いたインクジェット印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、静電印刷などの印刷により形成される。一実施態様では基材ベタ色層はインクジェット印刷層である。
基材ベタ色層は有彩色であり、その色相、明度及び彩度は様々であってよい。一実施態様では、L表色系に基づいて、基材ベタ色層のL値は約30以上、約99以下の範囲であり、aは約−10以上、約20以下の範囲であり、bは約−10以上、約30以下の範囲である。基材ベタ色層のL、a、及びbが上記範囲であるときに、透明グレー層による明度調節の効果がより大きくなる。
基材ベタ色層の厚さは様々であってよく、一般に溶剤系インクを用いた場合は、約0.1μm以上、又は約0.5μm以上、約10μm以下、又は約5μm以下とすることができる。UV硬化型インクを用いた場合は、約0.5μm以上、又は約1μm以上、約30μm以下、又は約20μm以下とすることができる。
一実施態様では、透明グレー層及び基材ベタ色層の両方がインクジェット印刷層である。
基材ベタ色層の上に直接配置される白色不透明感圧接着層は、装飾積層フィルムをタイル基材表面に接着し、タイル基材表面(下地)を隠蔽する隠蔽層としても機能する。白色不透明感圧接着層は、着色剤として、酸化チタン(二酸化チタン)、硫酸バリウム、酸化亜鉛などの白色顔料を含む。白色度が高いことから白色顔料として酸化チタンを用いることが有利である。白色不透明感圧接着層の隠蔽性を高めるために、白色不透明感圧接着層にアルミペーストを入れてもよい。アルミペーストは明度への影響が少なく有利に使用することができる。
白色不透明感圧接着層の着色剤の含有量は、白色不透明感圧接着層の厚さ、白色不透明感圧接着層に要求される接着特性、着色の種類、使用する着色剤などによって変化するが、一般に、白色不透明感圧接着層の約1質量%以上、約3質量%以上、又は約5質量%以上、約50質量%以下、約40質量%以下、又は約30質量%以下である。
白色不透明感圧接着層は、様々な種類の接着剤、例えばアクリル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ゴム系などの、溶剤型、エマルジョン型、感圧型、感熱型、熱硬化型又は紫外線硬化型の接着剤に着色剤を混合した組成物を用いて形成することができる。一実施態様では、白色不透明感圧接着層は、アクリル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、又はゴム系接着剤を含む。
一実施態様では、白色不透明感圧接着層は、カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマー及びアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーのポリマーブレンドを含むアクリル系接着剤から形成される。このようなポリマーブレンドを含むアクリル系接着剤は、着色剤とカルボキシ基又はアミノ基との相互作用を利用して、着色剤、例えば酸化チタンを高濃度かつ均一に分散した状態で含有することができる。そのため、この実施態様では比較的薄い厚さで高い隠蔽性を有する白色不透明感圧接着層を形成することができる。
白色不透明感圧接着層の厚さは様々であってよく、一般に約5μm以上、約10μm以上、又は約20μm以上、約100μm以下、約80μm以下、又は約50μm以下である。装飾積層フィルムに不燃性が要求される用途では、白色不透明感圧接着層の厚さは、約70μm以下、約50μm以下、又は約30μm以下であることが望ましい。
白色不透明感圧接着層の可視光線透過率は、一般に、JIS A 5759:2008に準拠して測定したときに、波長380nm〜780nmにおける平均可視光線透過率として得られる値が、約30%以下、約20%以下、又は約10%以下である。
装飾積層フィルムの用途に応じて、白色不透明感圧接着層に、例えば粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、滑材、帯電防止剤、難燃剤、充填材などの添加剤を添加してもよい。
一実施態様では、白色不透明感圧接着層は難燃剤を含まない。この実施態様では、装飾積層フィルムの総厚を薄く(例えば約100μm以下)することにより、難燃剤を使用せずに装飾積層フィルムを不燃性とすることができる。
白色不透明感圧接着層は、公知の方法によって基材ベタ色層の上に直接形成することができる。例えば、白色不透明感圧接着層の成分、及び必要に応じて有機溶剤を含有する感圧接着剤組成物を、ナイフコート、バーコートなどによりライナー上に塗布し乾燥して、白色不透明感圧接着層を形成する。得られた白色不透明感圧接着層の上に基材ベタ色層をドライラミネートなどにより積層して、白色不透明感圧接着層を基材ベタ色層の上に直接配置することができる。
装飾積層フィルムは白色不透明感圧接着層を保護するライナーを有してもよい。ライナーとして、第1実施態様の装飾積層フィルムについて説明したものを使用することができる。
白色不透明感圧接着層は、一般に平坦な接着面を形成するが、凹凸接着面を形成してもよい。凹凸接着面として、第1実施態様の装飾積層フィルムの感圧接着層について説明したものを使用することができる。
装飾積層フィルムは、透明グレー層の上に表面保護層をさらに含んでもよい。表面保護層として、第1実施態様の装飾積層フィルムについて説明したものを使用することができる。
オーバーラミネートフィルムを装飾積層フィルムに結合する接合層として、第1実施態様の装飾積層フィルムについて説明したものを使用することができる。
装飾積層フィルムの用途に応じて、表面保護層又は接合層に、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、滑材、帯電防止剤、難燃剤、充填材等の添加剤を添加してもよい。
ライナーを除く装飾積層フィルムの総厚は、一般に約30μm以上、約40μm以上、又は約50μm以上、約200μm以下、約150μm以下、又は約100μm以下である。装飾積層フィルムに不燃性が要求される用途では、装飾積層フィルムの総厚は約105μm以下、約100μm以下、又は約95μm以下であることが望ましい。
一実施態様では、ライナーを除く装飾積層フィルムは、透明レセプター層、柄を含む又は含まない透明グレー層、白色不透明感圧接着層、表面保護層、及び表面保護層の接合層以外を含まない、すなわち、透明レセプター層と、柄を含む又は含まない透明グレー層と、白色不透明感圧接着層と、表面保護層と、必要に応じて表面保護層の接合層とからなる。
一実施態様の装飾積層フィルムは、ISO5660−1コーンカロリーメーター試験で不燃性である。例えば、コーンカロリーメーターを用いて装飾積層フィルムの発熱速度(kW/m)及び総発熱量(MJ/m)を測定したときに、加熱開始後20分間の総発熱量は8MJ/m以下でありかつ200kW/mを超える発熱速度を示す時間は合計で10秒以下である。一実施態様では、装飾積層フィルムは難燃剤を含まずに上記不燃性を達成する。
透明グレー層が柄を含む装飾積層フィルムは、例えば、
(1)第1面及び第1面の反対側の第2面を有する透明レセプター層を用意する工程、
(2)複製の対象である、柄を有する表面を撮影して画像データを得る工程、
(3)画像データを2値化することにより柄データを作成する工程、
(4)画像データから柄データを差し引くことにより基材ベタ色データを作成する工程、
(5)透明グレー色データを作成する工程、
(6)透明グレー色データと柄データを合成して透明グレー層データを作成する工程、
(7)基材ベタ色データに基づいて、透明レセプター層の第2面に基材ベタ色層を印刷する工程、
(8)透明グレー層データに基づいて、透明レセプター層の第1面に透明グレー層を印刷する工程、及び
(9)基材ベタ色層の上に白色不透明感圧接着層を形成する工程、を含む方法により製造することができる。
図14を参照しながら上記方法の一例を説明するが、以下に限られない。
工程(1)の透明レセプター層として上記のものを使用することができる。
工程(2)では、デジタルカメラなどを用いて、建築物の壁面において交換するタイルの写真を撮影する。撮影画像は、JPEGなどのフォーマットのRGB画像データとして得る。
工程(3)では、得られたRGB画像データ(図14ではJPEGフォーマット)を画像処理ソフトウェア上で所定の閾値で2値化して柄データを作成する。柄データはRGB画像データからCMYK画像データへ画像変換することにより得られる。柄データはグレースケールであってもよく、2値化した後に柄部分のみがフルカラーのデータに復元されたものであってもよい。
工程(4)では、撮影画像のRGB画像データから、2値化により得られた柄データを差し引いて基材ベタ色データを作成する。基材ベタ色データはRGB画像データからCMYK画像データへ画像変換することにより得られる。
工程(5)では、透明グレー色データをCMYK画像データとして作成する。階調の異なる複数の透明グレー色データを用意しておき、装飾積層フィルムの外観を確認しながらこれらの複数の透明グレー色データを用いて明度調節を行ってもよい。
工程(6)では、透明グレー色データと柄データを合成して透明グレー層データを作成する。例えば、工程(3)で得られた柄データの柄部分のみ選択して切り取りコピーし、コピーしたデータを工程(5)で得られた透明グレー色データにペーストし、その後画像を統合することにより、透明グレー層データを作成することができる。
工程(7)及び(8)では、基材ベタ色データに基づいて、透明レセプター層の第2面に基材ベタ色層を印刷し、透明グレー層データに基づいて、透明レセプター層の第1面に透明グレー層を印刷する。一実施態様では、図14に示すように、基材ベタ色層及び透明グレー層のいずれもインクジェット印刷により形成する。
工程(9)では、基材ベタ色層の上に白色不透明感圧接着層を形成する。白色不透明感圧接着層を形成するための感圧接着剤組成物は、上記のとおり調製することができる。
工程(8)は、工程(7)の前又は後に行ってもよい。工程(8)は、工程(7)及び(9)の後に行ってもよい。
図14に示すように、必要に応じて表面保護層を透明グレー層の上に積層してもよい。
なお、修復表面に柄がない場合は、工程(3)を省略することができ、工程(4)では画像データから直接基材ベタ色データを作成し、工程(6)では透明グレー色データを透明グレー層データとしてそのまま使用することができる。
タイルは、接着剤又は感圧接着剤を用いて装飾フィルムをタイル基材に貼り付けることにより、あるいは装飾積層フィルムの感圧接着層を介して装飾積層フィルムをタイル基材に貼り付けることにより製造することができる。装飾フィルム又は装飾積層フィルムの基材への貼り付けは、手貼りであってもよく、真空圧空成形法、水圧転写法などを用いて行ってもよい。
一実施態様のタイル施工方法は、上記のタイルを壁面に取り付けること、及びタイルに隣接するタイルと、タイルとの間に目地材を充填することを含み、目地材は、タイル基材の少なくとも1つの側面の少なくとも一部まで延びる装飾フィルムの部分が視認でき、かつ前記タイル基材の前記少なくとも1つの側面の少なくとも一部が露出するように充填される。これにより、タイルが通気性又は通水性を有する場合に、その通気性又は通水性を確保することができる。
タイルの壁面への取り付け及び目地材の充填は、一般的な目地材、例えば、モルタル又は樹脂系接着剤を使用して行うことができる。タイルの壁面への取り付けに、ネジ、緊結金具などの固定具、タイル基材の背面に設けられた立体形状と壁面の立体形状との嵌合などを利用してもよい。
別の実施態様のタイル施工方法は、上記のタイルを壁面に取り付けること、及びタイルに隣接するタイルと、タイルとの間に目地材を充填することを含み、目地材は、タイル基材の少なくとも1つの側面の少なくとも一部まで延びる装飾フィルムの部分が視認でき、かつタイル基材の少なくとも1つの側面が目地材で覆われるように充填される。これにより、タイル基材又は壁面への水分の侵入を遮断することができる。目地材がタイル基材の少なくとも1つの側面を覆う装飾フィルムを一緒に覆うように充填されてもよい。
一実施態様の上記のタイルが施工された建築構造物では、タイルに隣接するタイルと、タイルとの間に充填された目地材が、タイル基材の少なくとも1つの側面の少なくとも一部まで延びる装飾フィルムの部分が視認でき、かつタイル基材の少なくとも1つの側面の少なくとも一部が露出するように充填されている。この実施態様では、タイル基材の側面の露出部分を通じて、タイルの通気性又は通水性を確保することができる。
図15は、一実施態様の建築構造物の一部の概略断面図である。タイル10は壁面30に施工されており、タイル10に隣接する既存のタイル22との間には目地材20が充填されている。目地材20は、タイル基材12の側面14の一部まで延びる装飾フィルム16の部分が視認でき、かつタイル基材12の側面14の一部が露出するように充填されている。
別の実施態様の上記のタイルが施工された建築構造物では、タイルに隣接するタイルと、タイルとの間に充填された目地材が、タイル基材の少なくとも1つの側面の少なくとも一部まで延びる装飾フィルムの部分が視認でき、かつタイル基材の少なくとも1つの側面が目地材で覆われるように充填されている。この実施態様では、タイル基材又は壁面への水分の侵入を遮断することができる。目地材がタイル基材の少なくとも1つの側面を覆う装飾フィルムを一緒に覆うように充填されていてもよい。
図16は、別の実施態様の建築構造物の一部の概略断面図である。タイル10は壁面30に施工されており、タイル10に隣接する既存のタイル22との間には目地材20が充填されている。目地材20は、タイル基材12の側面14の一部まで延びる装飾フィルム16の部分が視認でき、かつタイル基材12の側面14が目地材20で覆われるように充填されている。図16では、目地材20がタイル基材12の側面14の上に延びる装飾フィルム16も覆うように充填されている。
本開示のタイル及びその施工方法は、内壁及び外壁の修復に好適に用いることができる。本開示のタイル及びその施工方法を、建築物の新築時に内壁及び外壁の修飾に用いることもできる。
以下の実施例において、本開示の具体的な実施態様を例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。部及びパーセントは全て、特に明記しない限り質量による。
<例1>
1.データ作成
ステップ1:壁面用タイル(大きさ及び色が不規則な点の柄を有する濃い茶色)の写真をデジタルカメラで撮影した。
ステップ2:壁面用タイルのJPEGデータを2値化することによって柄データを作成した。
ステップ3:壁面用タイルのJPEGデータから柄データを差し引くことによって基材ベタ色データを作成した。
ステップ4:透過率調整用の透明グレー色データを作成した。
ステップ5:透明グレー色データと柄データを合成して透明グレー層データを作成した。
2.前駆体1
60μm厚の3M(登録商標)スコッチカル(登録商標)ペイントフィルムPF050(スリーエムジャパン株式会社(日本国東京都品川区))を白色レセプター層として用意した。ステップ3で作成した基材ベタ色データに基づき、PF050のレセプター面の上にSC−S80650(セイコーエプソン株式会社、日本国長野県諏訪市)を用いてGS3インクで厚さ6μmの基材ベタ色層を印刷した。インク濃度はシアン13%、マゼンタ30%、イエロー52%、ブラック0%であった。
3.前駆体2
60μm厚の3M(登録商標)スコッチカル(登録商標)ペイントフィルムPF052(スリーエムジャパン株式会社(日本国東京都品川区))を透明レセプター層として用意した。ステップ5で作成した透明グレー層データに基づき、PF052のレセプター面の上にSC−S80650(セイコーエプソン株式会社、日本国長野県諏訪市)を用いてGS3インクで厚さ6μmの透明グレー層を印刷した。2値化の閾値は90%であった。透明グレー層はブラック5%であった。その後、透明グレー層の上に23μm厚の3M(登録商標)スコッチカル(登録商標)ペイントフィルムPF953AP(スーパーマット透明オーバーラミネートフィルム、スリーエムジャパン株式会社(日本国東京都品川区))を積層した。
前駆体1と前駆体2とを積層して装飾積層フィルムを得た。装飾積層フィルムの合計厚さは162μmであった。装飾積層フィルムをセラミックタイル(95mm×95mm、厚さ6mm)の上に、セラミックタイルの主面の周縁部全体から全ての側面に延び、さらにセラミックタイルの背面の一部まで延びるように貼り付けて例1のタイルを得た。例1のタイルの外観を目視で評価すると壁面用タイルの外観が再現されていた。装飾積層フィルムを貼り付ける前のセラミックタイルの写真を図17に、装飾積層フィルムを貼り付けた例1のタイルの写真を図18にそれぞれ示す。
本発明の基本的な原理から逸脱することなく、上記の実施態様及び実施例が様々に変更可能であることは当業者に明らかである。また、本発明の様々な改良及び変更が本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに実施できることも当業者には明らかである。
10 タイル
12 タイル基材
13 主面
14 側面
15 背面
16 装飾フィルム
20 目地材
22 既存のタイル
30 壁面
110 装飾積層フィルム
112 柄層
114 透明グレー層
116 基材ベタ色層
122、124 透明レセプター層
126 レセプター層
128 表面保護層
132、134、138 接合層
136 感圧接着層
140 ライナー
210 装飾積層フィルム
212 画像フィルム
214 透明レセプター層
216 インクジェット印刷柄層
218 着色不透明感圧接着層
222 表面保護層
224 接合層
230 ライナー
310 装飾積層フィルム
312 透明レセプター層
314 透明グレー層
315 柄
316 基材ベタ色層
318 白色不透明感圧接着層
320 表面保護層
322 接合層
330 ライナー

Claims (10)

  1. 主面及び少なくとも1つの側面を有するタイル基材と、
    前記タイル基材の前記主面を覆い、かつ前記タイル基材の前記主面の周縁部の少なくとも一部から前記タイル基材の前記少なくとも1つの側面の少なくとも一部まで延びるように、前記タイル基材に取り付けられた装飾フィルムと
    を含むタイル。
  2. 前記装飾フィルムが、前記タイル基材の前記主面の周縁部全体から前記タイル基材の全ての前記側面の少なくとも一部まで延びる、請求項1に記載のタイル。
  3. 前記装飾フィルムが前記タイル基材の表面を隠蔽する、請求項1又は2のいずれかに記載のタイル。
  4. 前記装飾フィルムが、透明グレー層と、基材ベタ色層と有する装飾積層フィルムであって、少なくとも前記透明グレー層と前記基材ベタ色層のいずれか一方が印刷層であり、前記透明グレー層を通して前記基材ベタ色層が視認される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイル。
  5. 前記装飾フィルムが、第1面及び前記第1面の反対側の第2面を有する透明レセプター層と、前記透明レセプター層の前記第1面に配置されたインクジェット印刷柄層と、前記透明レセプター層の前記第2面に配置された着色不透明感圧接着層とを含む画像フィルムを含む、装飾積層フィルムである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイル。
  6. 前記装飾フィルムが、第1面及び前記第1面の反対側の第2面を有する透明レセプター層と、前記透明レセプター層の前記第1面の上に直接印刷された透明グレー層と、前記透明レセプター層の前記第2面の上に直接印刷された基材ベタ色層と、前記基材ベタ色層の上に直接配置された白色不透明感圧接着層とを含み、前記透明レセプター層の厚さが50μm以下である、装飾積層フィルムである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイル。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載されたタイルを壁面に取り付けること、及び
    前記タイルに隣接するタイルと、前記タイルとの間に目地材を充填すること
    を含むタイルの施工方法であって、
    前記目地材が、前記タイル基材の前記少なくとも1つの側面の少なくとも一部まで延びる前記装飾フィルムの部分が視認でき、かつ前記タイル基材の前記少なくとも1つの側面の少なくとも一部が露出するように充填される、方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載されたタイルを壁面に取り付けること、及び
    前記タイルに隣接するタイルと、前記タイルとの間に目地材を充填すること
    を含むタイルの施工方法であって、
    前記目地材が、前記タイル基材の前記少なくとも1つの側面の少なくとも一部まで延びる前記装飾フィルムの部分が視認でき、かつ前記タイル基材の前記少なくとも1つの側面が前記目地材で覆われるように充填される、方法。
  9. 請求項1〜6のいずれか一項に記載されたタイルが施工された建築構造物であって、前記タイルに隣接するタイルと、前記タイルとの間に充填された目地材が、前記タイル基材の前記少なくとも1つの側面の少なくとも一部まで延びる前記装飾フィルムの部分が視認でき、かつ前記タイル基材の前記少なくとも1つの側面の少なくとも一部が露出するように充填されている、建築構造物。
  10. 請求項1〜6のいずれか一項に記載されたタイルが施工された建築構造物であって、前記タイルに隣接するタイルと、前記タイルとの間に充填された目地材が、前記タイル基材の前記少なくとも1つの側面の少なくとも一部まで延びる前記装飾フィルムの部分が視認でき、かつ前記タイル基材の前記少なくとも1つの側面が前記目地材で覆われるように充填されている、建築構造物。
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