JP2021147628A - ZnAl系酸化物膜、積層構造体、スパッタリングターゲット、および、スパッタリングターゲットの製造方法 - Google Patents

ZnAl系酸化物膜、積層構造体、スパッタリングターゲット、および、スパッタリングターゲットの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】塩素や水分の侵入を抑制し、これらに対するバリア膜として適用可能なZnAl系酸化物膜、このZnAl系酸化物膜を備えた積層構造体の提供。【解決手段】金属成分として、ZnとAlを含み、残部が不可避不純物とされており、ZnとAlの原子比Zn/Alが0.25以上4.00以下の範囲内とされていることを特徴とするZnAl系酸化物膜27。積層膜20は、Ag又はAg合金からなるAg膜21と、Ag膜21の基材11とは反対側に配置されたZnAl系酸化物膜27とを有しており、ZnAl系酸化物膜27の膜厚が20nm以上とされていることを特徴とする、基材11と、基材11の表面に成膜された積層膜20からなる積層構造体10。【選択図】図1

Description

本発明は、金属成分としてZnとAlを含むZnAl系酸化物膜、このZnAl系酸化物膜を備えた積層構造体、ZnAl系酸化物膜を成膜する際に用いられるスパッタリングターゲット、および、このスパッタリングターゲットの製造方法に関するものである。
例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、タッチパネル等においては、配線として、例えば特許文献1,2に示すように、透明導電酸化物膜とAg又はAg合金からなるAg膜との積層構造とされた積層膜が適用されている。この積層膜には、可視光域の光の透過率が高く、かつ、電気抵抗の低いものが要求される。
また、低放射ガラス等においては、例えば特許文献3に開示されているように、ガラス表面に、Ag合金膜と透明誘電体膜とを積層した積層膜(遮熱膜)を成膜した構造とされている。この低放射ガラス等に用いられる積層膜においては、赤外線の反射率が高く、かつ、可視光の透過率が高いことが求められる。
なお、ガラス基板等に、上述の積層膜を成膜する場合には、各種組成のスパッタリングターゲットを用いたスパッタ法が広く利用されている。
特開平07−325313号公報 特開2001−328198号公報 特開2007−070146号公報
ところで、最近では、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、タッチパネル等においては、さらなる高輝度化が求められており、可視光域の透過率に優れた積層膜が求められている。
しかしながら、Ag膜を備えた積層膜においては、パーティクル(空中微粒子)や指紋等が、膜上或いは膜端部に付着することにより、塩素を原因としてAg膜においてAgの凝集が発生し、斑点等の欠陥が生じるおそれがあった。
特に、透過率を向上させるためにAg膜を薄くした場合には、Agが凝集しやすいため、上述の欠陥が発生しやすくなる傾向にある。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、塩素や水分の侵入を抑制し、これらに対するバリア膜として適用可能なZnAl系酸化物膜、このZnAl系酸化物膜を備えた積層構造体、ZnAl系酸化物膜を成膜する際に用いられるスパッタリングターゲット、および、このスパッタリングターゲットの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のZnAl系酸化物膜は、金属成分として、ZnとAlを含み、残部が不可避不純物とされており、ZnとAlの原子比Zn/Alが0.25以上4.00以下の範囲内とされていることを特徴としている。
本発明のZnAl系酸化物膜によれば、金属成分としてAlとZnを含み、ZnとAlの原子比Zn/Alが0.25以上4.00以下の範囲内とされているので、緻密なアモルファス(非晶質)構造の酸化物膜を形成することができ、この酸化物膜を、塩素や水分に対するバリア膜として用いることができる。
ここで、本発明のZnAl系酸化物膜においては、さらにMgを含み、全金属成分量に対してMgの含有量が5.0原子%以上20.0原子%以下の範囲内とされていることが好ましい。
この場合、MgがZnAl系酸化物膜中で塩素を優先的にトラップするサイトとして働くことになり、Mgが塩素と化合物を形成することによって塩素に対するバリア性がより向上する。
本発明の積層構造体は、基材と、基材の表面に成膜された積層膜と、からなる積層構造体であって、前記積層膜は、Ag又はAg合金からなるAg膜と、このAg膜の前記基材とは反対側に配置された上述のZnAl系酸化物膜と、を有しており、前記ZnAl系酸化物膜の膜厚が20nm以上とされていることを特徴としている。
本発明の積層構造体によれば、Ag膜の前記基材とは反対側に上述のZnAl系酸化物膜が配置されており、このZnAl系酸化物膜の膜厚が20nm以上とされているので、緻密なアモルファス構造とされたZnAl系酸化物膜が塩素や水分のバリア膜として機能し、塩素や水分がAg膜に接触することを抑制でき、Ag膜の劣化を抑制することが可能となる。
ここで、本発明の積層構造体においては、前記Ag膜と前記基材との間に、金属成分としてGa、Ti、Znを含み残部が不可避不純物とされたGaTiZn酸化物膜が配設されている。また、前記Ag膜と前記GaTiZn酸化物膜とが隣接していることが好ましい。
この場合、前記GaTiZn酸化物膜とAg膜との親和性が高く、Agの密着性が向上する。よって、Agの原子移動が妨げられることで、塩素を原因とするAg膜におけるAgの凝集を抑制でき、欠陥の発生を抑制することができる。
また、本発明の積層構造体においては、前記GaTiZn酸化物膜は、全金属成分量に対して、Gaが0.5原子%以上20.0原子%以下、Tiが0.5原子%以上20.0原子%以下、残部がZnと不可避不純物からなる酸化物で構成されていることが好ましい。
この場合、前記GaTiZn酸化物膜の組成が上述のように規定されているので、GaTiZn酸化物膜とAg膜との親和性が確実に高くなり、Ag膜におけるAgの凝集をさらに抑制でき、欠陥の発生をさらに抑制することができる。
さらに、本発明の積層構造体においては、前記GaTiZn酸化物膜の厚さが5nm以上であることが好ましい。
この場合、前記GaTiZn酸化物膜の厚さが5nm以上とされているので、前記GaTiZn酸化物膜とAg膜との密着性がさらに向上し、Ag膜におけるAgの凝集をさらに抑制でき、欠陥の発生をさらに抑制することができる。
また、本発明の積層構造体においては、前記Ag膜は、In,Sn,Cu,Ge,Sb,Au,Pd,Mg,Ca,Tiのいずれかの元素の少なくとも1種以上を合計で0.01原子%以上20.00原子%以下の範囲で含有し、残部がAgと不可避不純物とした組成であることが好ましい。
この場合、Ag膜が、In,Sn,Cu,Ge,Sb,Au,Mg,Ca,Ti,Pdから選択される1種又は2種以上を合計で0.01原子%以上20.0原子%以下の範囲で含有しているので、塩素を原因とするAg膜におけるAgの凝集を抑制でき、欠陥の発生をさらに抑制することができる。
さらに、本発明の積層構造体においては、前記Ag膜の厚さが5nm以上20nm以下の範囲内であることが好ましい。
この場合、Ag膜の厚さが5nm以上とされているので、膜の耐久性を十分に確保することができる。一方、Ag膜の厚さが20nm以下とされているので、製造コストが増加することを抑制できる。
本発明のスパッタリングターゲットは、金属成分として、ZnとAlを含み、残部が不可避不純物とされており、ZnとAlの原子比Zn/Alが0.25以上4.00以下の範囲内とされていることを特徴としている。
本発明のスパッタリングターゲットによれば、金属成分として、ZnとAlを含み、残部が不可避不純物とされており、ZnとAlの原子比Zn/Alが0.25以上4.00以下の範囲内とされているので、緻密なアモルファス(非晶質)構造のZnAl系酸化物膜を成膜することができる。
なお、スパッタリングターゲットは、金属で構成されていてもよいし、酸化物で構成されていてもよい。さらに、金属と酸化物の混合体であってもよい。
ここで、本発明のスパッタリングターゲットにおいては、さらにMgを含み、全金属成分量に対してMgの含有量が5.0原子%以上20.0原子%以下の範囲内とされていることが好ましい。
この場合、Mgを含み、さらに塩素に対するバリア性が向上したZnAl系酸化物膜を成膜することが可能となる。
また、本発明のスパッタリングターゲットにおいては、比抵抗が10.0Ω・cm以下であることが好ましい。
この場合、導電性が確保されているので、直流スパッタ法によって、ZnAl系酸化物膜を成膜することが可能となる。
本発明のスパッタリングターゲットの製造方法は、上述のスパッタリングターゲットを製造するスパッタリングターゲットの製造方法であって、ZnO粉又はZn粉、Al粉を混合して焼結原料粉を得る焼結原料粉形成工程と、この焼結原料粉を加圧及び加熱して焼結体を得る焼結工程と、を備えていることを特徴としている。
この構成のスパッタリングターゲットによれば、ZnO粉又はZn粉、Al粉を混合して焼結原料粉を得る焼結原料粉形成工程を備えているので、金属成分として、ZnとAlを含み、残部が不可避不純物とされたスパッタリングターゲットを製造することが可能となる。また、焼結原料粉が金属粉を含んでいるので、比抵抗を低く抑えることができる。
本発明のスパッタリングターゲットの製造方法は、上述のスパッタリングターゲットを製造するスパッタリングターゲットの製造方法であって、ZnO粉又はZn粉、Al粉、MgO粉を混合して焼結原料粉を得る焼結原料粉形成工程と、この焼結原料粉を加圧及び加熱して焼結体を得る焼結工程と、を備えていることを特徴としている。
この構成のスパッタリングターゲットによれば、ZnO粉又はZn粉、Al粉、MgO粉を混合して焼結原料粉を得る焼結原料粉形成工程を備えているので、金属成分として、ZnとAlを含み、さらにMgを含有するスパッタリングターゲットを製造することが可能となる。また、焼結原料粉が金属粉を含んでいるので、比抵抗を低く抑えることができる。
本発明によれば、塩素や水分の侵入を抑制し、これらに対するバリア膜として適用可能なZnAl系酸化物膜、このZnAl系酸化物膜を備えた積層構造体、ZnAl系酸化物膜を成膜する際に用いられるスパッタリングターゲット、および、このスパッタリングターゲットの製造方法を提供することが可能となる。
本発明の実施形態であるZnAl系酸化物膜を備えた積層構造体の断面説明図である。 本発明の実施形態であるスパッタリングターゲットの製造方法を示すフロー図である。 実施例における酸化物膜のXRD測定結果の一例を示す図である。 実施例における耐塩水性試験後の積層構造体の外観観察結果を示す写真である。(a)が本発明例106の積層構造体、(b)が本発明例101の積層構造体、(c)が比較例102の積層構造体である。
以下に、本発明の一実施形態であるZnAl系酸化物膜、積層構造体、スパッタリングターゲット、スパッタリングターゲットの製造方法について、添付した図面を参照して具体的に説明する。
なお、本実施形態である積層構造体10は、各種ディスプレイ及びタッチパネルの透明導電配線膜あるいは透明電極、あるいは、低放射ガラス(Low−Eガラス)における遮熱膜を構成するものである。
本実施形態である積層構造体10は、図1に示すように、基材11と、この基材11の一面に形成された積層膜20と、を備えている。
ここで、基材11としては、例えば、ガラス基板、樹脂基板、樹脂フィルム等を用いることができる。本実施形態では、基材11は、ガラス基板とされており、その厚さが0.1mm以上2mm以下の範囲内とされている。
積層膜20は、Ag又はAg合金からなるAg膜21と、このAg膜21と基材11との間に配設されるとともに膜厚方向においてAg膜21に隣接するように積層された下地酸化物膜23と、このAg膜21の基材11とは反対側に配置されたZnAl系酸化物膜27と、を備えている。
なお、ZnAl系酸化物膜27は、Ag膜21に隣接している必要はなく、Ag膜21の基材11とは反対側に配置されていればよい。例えば、Ag膜21は、基材11とZnAl系酸化物膜27との間に配置されている。本実施形態では、図1に示すように、ZnAl系酸化物膜27とAg膜21との間には、中間層の中間膜25が配設されている。
そして、Ag膜21の基材11とは反対側に配置されたZnAl系酸化物膜27は、金属成分として、ZnとAlを含み、残部が不可避不純物とされており、ZnとAlの原子比Zn/Alが0.25以上4.00以下の範囲内とされている。なお、さらにMgを含み、全金属成分量に対してMgの含有量が5.0原子%以上20.0原子%以下の範囲内とされていることが好ましい。
また、本実施形態では、このZnAl系酸化物膜の膜厚は20nm以上とされていることが好ましい。
Ag膜21は、Ag又はAg合金で構成されている。本実施形態では、Ag膜21は、In,Sn,Cu,Ge,Sb,Au,Pd,Mg,Ca,Tiのいずれかの元素の少なくとも1種以上を合計で0.01原子%以上20.00原子%以下の範囲で含有し、残部がAgと不可避不純物とした組成であることが好ましい。
また、Ag膜21の厚さは、5nm以上20nm以下の範囲内とされていることが好ましい。
下地酸化物膜23は、金属成分としてGa、Ti、Znを含み残部が不可避不純物とされたGaTiZn酸化物膜で構成されていることが好ましい。
具体的には、下地酸化物膜23を構成するGaTiZn酸化物膜は、全金属成分に対してGaの含有量が0.5原子%以上20.0原子%以下、Tiの含有量が0.5原子%以上20.0原子%以下、残部がZn及び不可避不純物とした組成の酸化物で構成されていることが好ましい。
また、本実施形態においては、下地酸化物膜23を構成するGaTiZn酸化物膜の厚さは、5nm以上とされていることが好ましい。
ここで、本実施形態である積層構造体10において、ZnAl系酸化物膜27の組成および厚さ、Ag膜21の組成および厚さ、下地酸化物膜23の組成および厚さ、中間膜25を、上述のように規定した理由について説明する。
(ZnAl系酸化物膜27)
Ag膜21の基材11とは所定方向(例、膜厚方向)において反対側に配置されたZnAl系酸化物膜27は、塩素や水分に対するバリア膜として機能し、塩素や水分がAg膜21に接触することを抑制し、Ag膜21の劣化を抑制するものである。
基材11及びAg膜21より上方に配置されたZnAl系酸化物膜27においては、ZnとAlの原子比Zn/Alが0.25以上4.00以下の範囲内とされている。ZnとAlの原子比Zn/Alを上述の範囲内とすることで、成膜されたZnAl系酸化物膜27を緻密なアモルファス構造とすることができ、塩素や水分に対するバリア性を確保することが可能となる。また、例えば、ZnAl系酸化物膜27は、ZnとAlとを含み、それら2種類の金属からなる酸化物膜である。
なお、ZnAl系酸化物膜27におけるZnとAlの原子比Zn/Alの下限は0.30以上であることがさらに好ましく、0.40以上であることがより好ましい。ZnAl系酸化物膜27におけるZnとAlの原子比Zn/Alの上限は3.3以下であることがさらに好ましく、2.5以下であることがより好ましい。
また、ZnAl系酸化物膜27においてMgを含み、全金属成分量に対してMgの含有量が5.0原子%以上20.0原子%以下の範囲内とされている場合には、MgがZnAl系酸化物膜27中で塩素を優先的にトラップするサイトとして働くことになり、塩素に対するバリア性をより向上させることが可能となる。
ここで、ZnAl系酸化物膜27がMgを含有する場合には、全金属成分量に対してMgの含有量が5.0原子%以上とすることで、上述した作用効果を十分に奏功せしめることが可能となる。一方、Mgの含有量を20.0原子%以下に制限することにより、塩素に対する耐性が低いMgOの割合が多くなることを抑制でき、塩素に対するバリア性を十分に確保することができる。
なお、ZnAl系酸化物膜27における全金属成分量に対するMgの含有量の下限は6.0原子%以上であることがさらに好ましく、8.0原子%以上であることがより好ましい。一方、ZnAl系酸化物膜27における全金属成分量に対するMgの含有量の上限は18.0原子%以下であることがさらに好ましく、15.0原子%以下であることがより好ましい。
また、本実施形態において、ZnAl系酸化物膜27の厚さを20nm以上とすることにより、塩素や水分に対するバリア性を十分に確保でき、Ag膜21の劣化をさらに抑制することが可能となる。
なお、ZnAl系酸化物膜27の厚さの下限は30nm以上とすることがさらに好ましく、50nm以上とすることがより好ましい。ZnAl系酸化物膜27の厚さの上限に特に制限はないが、200nm以下とすることが好ましく、150mm以下とすることがより好ましい。
(Ag膜21)
Ag膜21は、電気特性および光学特性に優れており、各種ディスプレイの配線膜や赤外線反射膜を構成する金属膜として特に適している。
ここで、Agに、In,Sn,Cu,Ge,Sb,Au,Pd,Mg,Ca,Tiのいずれかの元素を添加した場合には、Ag膜21におけるAgの凝集を抑制することができ、耐塩素性を向上させることが可能となる。
Ag膜21において、In,Sn,Cu,Ge,Sb,Au,Pd,Mg,Ca,Tiから選択される1種又は2種以上の合計含有量を0.01原子%以上とすることにより、Ag膜21におけるAgの凝集を十分に向上させることが可能となる。一方、In,Sn,Cu,Ge,Sb,Au,Pd,Mg,Ca,Tiから選択される1種又は2種以上の合計含有量を20.0原子%以下とすることにより、Ag膜21の電気特性および光学特性が劣化することを抑制できる。
なお、In,Sn,Cu,Ge,Sb,Au,Pd,Mg,Ca,Tiから選択される1種又は2種以上の合計含有量の下限は0.1原子%以上とすることが好ましく、0.5原子%以上とすることがより好ましい。一方、In,Sn,Cu,Ge,Sb,Au,Pd,Mg,Ca,Tiから選択される1種又は2種以上の合計含有量の上限は10.0原子%以下とすることが好ましく、8.0原子%以下とすることがより好ましい。
また、Ag膜21の厚さを5nm以上とすることにより、Ag膜21の耐久性を十分に確保することができる。一方、Ag膜21の厚さを20nm以下とすることにより、Ag膜21の電気特性および光学特性を高く維持することができる。
なお、Ag膜21の厚さの下限は6nm以上とすることが好ましく、7nm以上とすることがより好ましい。一方、Ag膜21の厚さの上限は15nm以下とすることが好ましく、10nm以下とすることがより好ましい。
(下地酸化物膜23)
所定方向(例、膜厚方向)においてAg膜21と隣接して積層された下地酸化物膜23を構成するGaTiZn酸化物膜は、Ag膜21との密着性が高く、Agの原子移動が妨げられることでAg膜21におけるAgの凝集を抑制する作用を有している。
Gaは、Zn酸化物に添加されることによって、Ag膜21におけるAgとの密着性を向上させる作用効果を有している。
ここで、下地酸化物膜23を構成するGaTiZn酸化物膜がGaを0.5原子%以上20原子%以下の範囲内で含有することで、下地酸化物膜23とAg膜21との密着性を確実に向上させることが可能となる。
なお、下地酸化物膜23を構成するGaTiZn酸化物膜におけるGaの含有量の下限は2.0原子%以上とすることが好ましく、5.0原子%以上とすることがさらに好ましい。一方、下地酸化物膜23を構成するGaTiZn酸化物膜におけるGaの含有量の上限は18.0原子%以下とすることが好ましく、15.0原子%以下とすることがさらに好ましい。
Tiは、Zn酸化物に添加されることによって、Zn酸化物の耐塩素性を向上させる作用効果を有している。
ここで、下地酸化物膜23を構成するGaTiZn酸化物膜がTiを0.5原子%以上含有することにより、下地酸化物膜23の耐塩素性を十分に向上させることが可能となる。一方、下地酸化物膜23を構成するGaTiZn酸化物膜におけるTiの含有量を20.0原子%以下に制限することにより、下地酸化物膜23のAgとの密着性を向上させることができる。
なお、下地酸化物膜23を構成するGaTiZn酸化物膜におけるTiの含有量の下限は1.0原子%以上とすることが好ましく、2.0原子%以上とすることがさらに好ましい。一方、下地酸化物膜23を構成するGaTiZn酸化物膜におけるTiの含有量の上限は15.0原子%以下とすることが好ましく、10.0原子%以下とすることがさらに好ましい。
また、下地酸化物膜23の厚さを5nm以上とすることにより、下地酸化物膜23とAg膜21との密着性をさらに向上させることが可能となる。
なお、下地酸化物膜23の厚さの下限は10nm以上とすることが好ましく、20nm以上とすることがより好ましい。一方、下地酸化物膜23の厚さの上限に特に制限はないが、100nm以下とすることが好ましく、50nm以下とすることがより好ましい。
(中間膜25)
なお、本実施形態では、図1に示すように、ZnAl系酸化物膜27とAg膜21との間に中間膜25が配設されているが、中間膜25の組成や厚さに特に制限はない。
本実施形態においては、中間膜25は、下地酸化物膜23を構成するGaTiZn酸化物膜と同一組成としている。中間膜25もAg膜21に隣接していることから、中間膜25はAg膜21との密着性に優れる。
本実施形態である積層構造体10は、基材11に対して、例えば各種スパッタリングターゲットを用いたスパッタ法によって、それぞれの膜を成膜することにより製造することができる。
すなわち、基材11の上に、Ga,Ti,Znを含む酸化物スパッタリングターゲットを用いて下地酸化物膜23を成膜する。次に、下地酸化物膜23の上に、Ag又はAg合金からなるAgスパッタリングターゲットを用いてAg膜21を成膜し、さらに、Ag膜21の上にGa,Ti,Znを含む酸化物スパッタリングターゲットを用いて中間膜25を成膜する。最後に、ZnAl系酸化物からなるスパッタリングターゲットを用いてZnAl系酸化物膜27を成膜する。これにより、本実施形態である積層構造体10が製造されることになる。なお、下地酸化物膜23の成膜及び/又は中間膜25の成膜は、必要に応じて省略してもよい。
次に、本実施形態であるZnAl系酸化物膜27を成膜する際に用いられるスパッタリングターゲットについて説明する。
このスパッタリングターゲットは、金属成分として、ZnとAlを含み、残部が不可避不純物とされており、ZnとAlの原子比Zn/Alが0.25以上4.00以下の範囲内とされている。
なお、ZnAl系酸化物膜27がMgを含む場合には、スパッタリングターゲットは、ZnとAlとともにMgを含み、全金属成分量に対してMgの含有量が5.0原子%以上20.0原子%以下の範囲内となる組成とされている。
ここで、ZnAl系酸化物膜27を成膜する際に用いられるスパッタリングターゲットにおいては、金属で構成されていてもよいし、酸化物で構成されていてもよい。さらに、金属と酸化物の混合体であってもよい。
なお、金属で構成されたスパッタリングターゲットであれば、酸素導入してスパッタ成膜することで、ZnAl系酸化物膜27を成膜することが可能となる。
本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、比抵抗が10.0Ω・cm以下であることが好ましい。比抵抗を10.0Ω・cm以下とすることで、DCスパッタによって安定してZnAl系酸化物膜27を成膜することが可能となる。
なお、スパッタリングターゲットの比抵抗は5.0Ω・cm以下であることがさらに好ましく、3.0Ω・cm以下であることがより好ましい。
ここで、本実施形態であるスパッタリングターゲットの製造方法について、図2のフロー図を参照して説明する。
本実施形態であるスパッタリングターゲットの製造方法は、図2に示すように、焼結原料粉を得る焼結原料粉形成工程S01と、この焼結原料粉を加圧及び加熱して焼結体を得る焼結工程S02と、焼結体を機械加工する機械加工工程S03と、を備えている。
焼結原料粉形成工程S01においては、ZnO粉又はZn粉、Al粉を混合して焼結原料粉を得る。なお、Mgを含有する場合には、さらにMgO粉を添加することになる。
ここで、酸化物粉と金属粉とを混合することにより、焼結後のスパッタリングターゲットにおける比抵抗を低く抑えることが可能となる。
以上のような構成とされた本実施形態であるZnAl系酸化物膜27においては、金属成分としてAlとZnを含み、ZnとAlの原子比Zn/Alが0.25以上4.00以下の範囲内とされているので、緻密なアモルファス(非晶質)構造となり、このZnAl系酸化物膜27が、塩素や水分が内部に侵入することを防ぐバリア膜として機能することになる。
さらに、本実施形態であるZnAl系酸化物膜27において、さらにMgを含み、全金属成分量に対してMgの含有量が5.0原子%以上20.0原子%以下の範囲内とされている場合には、MgがZnAl系酸化物膜27中で塩素を優先的にトラップするサイトとして働くことになり、塩素に対するバリア性をより向上させることが可能となる。
本実施形態である積層構造体10は、Ag膜21の基材11とは反対側に上述のZnAl系酸化物膜27が配置されており、このZnAl系酸化物膜27の膜厚が20nm以上とされているので、緻密なアモルファス構造とされたZnAl系酸化物膜27が塩素や水分のバリア膜として機能し、塩素や水分がAg膜21に接触することを抑制でき、Ag膜21の劣化を抑制することが可能となる。
本実施形態の積層構造体10において、Ag膜21と基材11との間に、金属成分としてGa、Ti、Znを含み残部が不可避不純物とされたGaTiZn酸化物膜からなる下地酸化物膜23が配設され、Ag膜21と下地酸化物膜23とが隣接している場合には、下地酸化物膜23とAg膜21との親和性が高く、これらの密着性が向上する。よって、Agの原子移動が妨げられることで、塩素を原因とするAg膜21におけるAgの凝集を抑制でき、欠陥の発生を抑制することができる。
また、下地酸化物膜23を構成するGaTiZn酸化物膜が、全金属成分量に対して、Gaが0.5原子%以上20.0原子%以下、Tiが0.5原子%以上20.0原子%以下、残部がZnと不可避不純物からなる酸化物で構成されている場合には、下地酸化物膜23とAg膜21との親和性が確実に高くなり、Ag膜21におけるAgの凝集をさらに抑制でき、欠陥の発生をさらに抑制することができる。
さらに、本実施形態の積層構造体10において、下地酸化物膜23の厚さが5nm以上である場合には、下地酸化物膜23とAg膜21との密着性がさらに向上し、Ag膜21におけるAgの凝集をさらに抑制でき、欠陥の発生をさらに抑制することができる。
また、本実施形態の積層構造体10において、Ag膜21の上に隣接するようにGaTiZn酸化物膜からなる中間膜25を成膜した場合には、中間膜25とAg膜21との密着性を向上させることが可能となる。
また、本実施形態の積層構造体10において、Ag膜21が、In,Sn,Cu,Ge,Sb,Au,Pd,Mg,Ca,Tiのいずれかの元素の少なくとも1種以上を合計で0.01原子%以上20.00原子%以下の範囲で含有し、残部がAgと不可避不純物とした組成である場合には、Ag膜21における耐塩素性が向上し。塩素を原因としたAg膜21におけるAgの凝集を抑制でき、欠陥の発生をさらに抑制することができる。
さらに、本実施形態の積層構造体10において、Ag膜21の厚さが5nm以上20nm以下の範囲内である場合には、膜の耐久性を十分に確保することができるとともに、製造コストが増加することを抑制できる。
本実施形態のスパッタリングターゲットにおいては、金属成分として、ZnとAlを含み、残部が不可避不純物とされており、ZnとAlの原子比Zn/Alが0.25以上4.00以下の範囲内とされているので、緻密なアモルファス(非晶質)構造のZnAl系酸化物膜27を成膜することができる。
また、本実施形態のスパッタリングターゲットにおいて、さらにMgを含み、全金属成分量に対してMgの含有量が5.0原子%以上20.0原子%以下の範囲内とされている場合には、Mgを含み、さらに塩素に対するバリア性が向上したZnAl系酸化物膜27を成膜することが可能となる。
さらに、本実施形態のスパッタリングターゲットにおいて、比抵抗が10.0Ω・cm以下である場合には、導電性が確保されているので、直流スパッタ法によって、ZnAl系酸化物膜27を安定して成膜することが可能となる。
本実施形態のスパッタリングターゲットの製造方法においては、ZnO粉又はZn粉、Al粉、必要に応じてMgO粉を混合して焼結原料粉を得る焼結原料粉形成工程S01を備えているので、金属成分として、ZnとAlを含み、残部が不可避不純物とされたスパッタリングターゲットを製造することが可能となる。MgOを混合した場合には、ZnとAlを含み、さらにMgを含有するスパッタリングターゲットを製造することが可能となる。
また、上述のように、焼結原料粉が金属粉を含んでいるので、比抵抗を低く抑えることが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、ガラス基板に積層膜を成膜するものとして説明したが、これに限定されることはなく、樹脂基板や樹脂フィルム等に本実施形態である積層膜を成膜してもよい。
さらに、本実施形態では、Ag膜21とZnAl系酸化物膜27との間に中間膜25を積層したものとして説明したが、これに限定されることはなく、Ag膜21の基材11と反対側にZnAl系酸化物膜27が配置されており、このZnAl系酸化物膜27がAg膜21のバリア膜として機能する構造であれば、その他の層構造に特に制限はない。
以下に、本発明の有効性を確認するために行った確認実験の結果について説明する。
(実施例1)
原料として、純度99.9%以上のZnO粉、Zn粉と、Al粉、Al粉、及びMgO粉を所定量用意した。用意した原料粉を、表1に示すように秤量し、ボールミル装置により混合・粉砕して焼結原料粉を得た。
得られた混合粉(焼結原料粉)を、温度600℃(Zn粉を用いる場合は380℃)、圧力350kgf/cmの条件にて3時間ホットプレスを行い、焼結体を得た。
得られた焼結体を機械加工することにより、直径4インチ(101.6mm)、厚み6mmのスパッタリングターゲットを得た。
得られたスパッタリングターゲットについて、組成、比抵抗、直流放電特性、成膜したZnAl系酸化物膜の結晶性を評価した。評価結果を表1に示す。
スパッタリングターゲットの組成は、焼結体からサンプルを採取し、ICP発光分光分析法により分析した。
スパッタリングターゲットの比抵抗は、三菱化学製抵抗測定器ロレスタGPによる四探針法で測定した。
直流放電性については、次のようにして評価した。スパッタ装置内を5×10−5Paまで排気した後、Arガス圧:0.4Pa、投入電力:直流200W、ターゲット基板間距離:70mmの条件でスパッタを実施した。この際放電が安定(プラズマが発生し電流電圧値が安定)したものを「〇」、放電が不安定(プラズマが点滅、もしくは電流電圧値が不安定)または放電不可であったものを「×」とした。
成膜したZnAl系酸化物膜の結晶性については、次のようにして評価した。ZnAl系酸化物膜を100nm成膜したものについて、X線回折装置Empyreanによりout−of−plane測定により結晶性を評価した。入射X線はCu Kα線を用い、測定は2θ=20〜80°の範囲にて実施した。測定範囲内でピークの有無を確認した。評価結果の一例を図3に示す。
なお、ZnAl系酸化物膜を100nm成膜したものからサンプルを採取し、ICP発光分光分析法により分析した結果、ZnAl系酸化物膜の組成がスパッタリングターゲットの組成と同等であることを確認している。
Figure 2021147628
図3に示すように、ZnとAlの原子比Zn/Alが9.0とされた比較例2においては、X線回折の結果、ZnO結晶(001)に由来するピークが確認されており、成膜した酸化物膜が結晶質であった。
ZnとAlの原子比Zn/Alが5.3とされた比較例4においても、比較例2と同様に、ZnO結晶(001)に由来するピークが確認されており、成膜した酸化物膜が結晶質であった。
なお、ZnとAlの原子比Zn/Alが0.11とされた比較例1においては、ほぼAl膜となり、Al結晶ピーク自体はXRDでは検出されないが、結晶質であることは確認した。
また、Mgの含有量が30.0原子%以上とされた比較例3においては、成膜した酸化物膜においてもMgの含有量が30.0原子%となった。
一方、図3に示すように、ZnとAlの原子比Zn/Alが0.49とされた本発明例2においては、X線回折の結果、ZnO結晶(001)に由来するピークが確認されておらず、成膜した酸化物膜がアモルファス構造となった。
ZnとAlの原子比Zn/Alが0.25以上4.0以下の範囲内とされた本発明例1,3〜12においても、成膜した酸化物膜がアモルファス構造となっていることが確認された。
ここで、焼結原料粉としてAl粉(金属粉)を用いた本発明例1〜10においては、比抵抗が低く、直流放電特性が良好であり、DCスパッタにて安定して酸化物膜を成膜可能であることが確認された。
(実施例2)
次に、上述したスパッタリングターゲットを用いて、基材の表面に積層膜を成膜し、表2,3に示す構造の積層構造体を作製した。
各種組成の4インチサイズのスパッタリングターゲットを無酸素銅のバッキングプレートにボンディングし、これをスパッタ装置に装着して、以下の条件でスパッタ成膜を実施した。なお、スパッタ膜は、同一のチャンバー内で連続的に行った。なお、電源としては、例えばDCの他に高周波(RF)電源、中周波(MF)電源又は交流(AC)電源を用いることが可能である。
成膜する基板(基材)としては、例えばガラス基板や樹脂フィルム、樹脂基板等を用いることが可能である。本実施例では、ガラス基板(コーニング社製のEAGLE XG)を用いている。
成膜時における基板の動きの方式は、例えば静止対向式や基板搬送式(インライン式)を用いることができる。本実施例では基板搬送式を用いている。
(Ag膜の成膜条件)
成膜開始真空度:7.0×10−4Pa以下
スパッタガス:高純度アルゴン
チャンバー内スパッタガス圧力:0.4Pa
直流電力:100W
(GaTiZn酸化物膜の成膜条件)
成膜開始真空度:7.0×10−4Pa以下
スパッタガス:高純度アルゴン98vol%+高純度酸素2vol%
チャンバー内スパッタガス圧力:0.4Pa
直流電力:200W
(本発明例1〜8および比較例1〜4のスパッタリングターゲットによる成膜条件)
成膜開始真空度:7.0×10−4Pa以下
スパッタガス:高純度アルゴン98vol%+高純度酸素2vol%
チャンバー内スパッタガス圧力:0.4Pa
直流電力:200W
(本発明例9,10のスパッタリングターゲットによる成膜条件)
成膜開始真空度:7.0×10−4Pa以下
スパッタガス:高純度アルゴン75vol%+高純度酸素25vol%
チャンバー内スパッタガス圧力:0.4Pa
直流電力:200W
(本発明例11,12のスパッタリングターゲットによる成膜条件)
成膜開始真空度:7.0×10−4Pa以下
スパッタガス:高純度アルゴン98vol%+高純度酸素2vol%
チャンバー内スパッタガス圧力:0.4Pa
交流電力:200W
上述のようにして得られた積層構造体について、光学特性、および、耐塩水性を評価した。
積層構造体の透過率を分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製U−4100)を用いて測定した。表には波長380nmから780nmにおける透過率の平均値を記載した。
耐塩水性評価として、積層構造体の表面に濃度5mass%のNaCl水溶液をスプレー噴霧器にて噴霧し、その後恒温恒湿槽内で温度85℃、相対湿度85%の環境下で24時間保持したのち、取り出して純水で洗浄、乾燥したサンプルについて光学顕微鏡で観察し、欠陥発生の程度を評価した。
図4(a)に示すようにほとんど欠陥が確認されないものを「◎」、図4(b)に示すように欠陥が分散しているものを「〇」、図4(c)に示すように全面に欠陥が確認されたものを「×」と評価した。
Figure 2021147628
Figure 2021147628
比較例1,2,4のスパッタリングターゲットを用いてAg膜の上に酸化物膜を成膜した比較例101,102,104においては、耐塩水性試験が「×」となった。酸化物膜が結晶質であったためと推測される。
比較例3のスパッタリングターゲットを用いてAg膜の上に酸化物膜を成膜した比較例103においては、耐塩水性試験が「×」となった。酸化物膜に含まれるMg量が多く、耐塩水性が低下したためと推測される。
本発明例2のスパッタリングターゲットを用いてAg膜の上に酸化物膜を成膜し、膜厚が10nmとされた比較例105においては、耐塩水性試験が「×」となった。膜厚が不十分であったためと推測される。
これに対して、本発明例1〜27のスパッタリングターゲットを用いてAg膜の上に酸化物膜を成膜し、膜厚を20nm以上とした本発明例101〜127においては、耐塩水性試験が「〇」又は「◎」となった。
以上のことから、本発明例によれば、塩素や水分の侵入を抑制することが可能なZnAl系酸化物膜、このZnAl系酸化物膜を備えた積層構造体、ZnAl系酸化物膜を成膜する際に用いられるスパッタリングターゲット、および、このスパッタリングターゲットの製造方法を提供可能であることが確認された。
10 積層構造体
11 基材
20 積層膜
21 Ag膜
23 下地酸化物膜
27 ZnAl系酸化物膜

Claims (13)

  1. 金属成分として、ZnとAlを含み、残部が不可避不純物とされており、ZnとAlの原子比Zn/Alが0.25以上4.00以下の範囲内とされていることを特徴とするZnAl系酸化物膜。
  2. さらにMgを含み、全金属成分量に対してMgの含有量が5.0原子%以上20.0原子%以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項1に記載のZnAl系酸化物膜。
  3. 基材と、基材の表面に成膜された積層膜と、からなる積層構造体であって、
    前記積層膜は、Ag又はAg合金からなるAg膜と、このAg膜の前記基材とは反対側に配置された請求項1または請求項2に記載のZnAl系酸化物膜と、を有しており、
    前記ZnAl系酸化物膜の膜厚が20nm以上とされていることを特徴とする積層構造体。
  4. 前記Ag膜と前記基材との間に、金属成分としてGa、Ti、Znを含み残部が不可避不純物とされたGaTiZn酸化物膜が配設されており、前記Ag膜と前記GaTiZn酸化物膜とが隣接していることを特徴とする請求項3に記載の積層構造体。
  5. 前記GaTiZn酸化物膜は、全金属成分量に対して、Gaが0.5原子%以上20.0原子%以下、Tiが0.5原子%以上20.0原子%以下、残部がZnと不可避不純物からなる酸化物で構成されていることを特徴とする請求項4に記載の積層構造体。
  6. 前記GaTiZn酸化物膜の厚さが5nm以上であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の積層構造体。
  7. 前記Ag膜は、In,Sn,Cu,Ge,Sb,Au,Pd,Mg,Ca,Tiのいずれかの元素の少なくとも1種以上を合計で0.01原子%以上20.00原子%以下の範囲で含有し、残部がAgと不可避不純物とした組成であることを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の積層構造体。
  8. 前記Ag膜の厚さが5nm以上20nm以下の範囲内であることを特徴とする請求項3から請求項7のいずれか一項に記載の積層構造体。
  9. 金属成分として、ZnとAlを含み、残部が不可避不純物とされており、ZnとAlの原子比Zn/Alが0.25以上4.00以下の範囲内とされていることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  10. さらにMgを含み、全金属成分量に対してMgの含有量が5.0原子%以上20.0原子%以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項9に記載のスパッタリングターゲット。
  11. 比抵抗が10.0Ω・cm以下であることを特徴とする請求項9又は請求項10記載のスパッタリングターゲット。
  12. 請求項9に記載のスパッタリングターゲットを製造するスパッタリングターゲットの製造方法であって、
    ZnO粉又はZn粉、Al粉を混合して焼結原料粉を得る焼結原料粉形成工程と、この焼結原料粉を加圧及び加熱して焼結体を得る焼結工程と、を備えていることを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
  13. 請求項10に記載のスパッタリングターゲットを製造するスパッタリングターゲットの製造方法であって、
    ZnO粉又はZn粉、Al粉、MgO粉を混合して焼結原料粉を得る焼結原料粉形成工程と、この焼結原料粉を加圧及び加熱して焼結体を得る焼結工程と、を備えていることを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
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