JP2021143418A - 積層膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】塩化物イオンを原因とするAg膜の腐食を抑制することで、斑点等の欠陥の発生を抑制することが可能な積層膜を提供する。【解決手段】Ag又はAg合金からなるAg膜11と、このAg膜11の下側に配設された透明下地膜12と、Ag膜11の上側に配設された透明保護膜13と、を有し、透明下地膜12は、金属成分としてZnを主成分とするZn系酸化物とされており、Ag膜11のin−plane X線回折測定におけるAg(220)とAg(111)のピーク強度比IAg(220)/IAg(111)が0.73以上であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、ディスプレイやタッチパネル、あるいは、遮熱ガラスや遮熱フィルム等に用いられるAg膜と透明下地膜および透明保護膜とを備えた積層膜に関するものである。
例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、タッチパネル等においては、配線として、例えば特許文献1に示すように、透明導電酸化物膜とAg又はAg合金からなるAg膜との積層構造とされた積層膜が適用されている。この積層膜には、可視光域の光の透過率が高く、かつ、電気抵抗の低いものが要求される。
また、低放射ガラス等においては、例えば特許文献2に開示されているように、ガラス表面に、Ag合金膜と透明誘電体膜とを積層した積層膜(遮熱膜)を成膜した構造とされている。この低放射ガラス等に用いられる積層膜においては、赤外線の反射率が高く、かつ、可視光の透過率が高いことが求められる。
ここで、特許文献3には、Ag膜の下地膜としてGeO膜を用いることにより、Ag膜におけるAgの凝集を抑制し、透過性を向上させる技術が開示されている。
また、特許文献4には、Ag膜の下地膜として、Zn、GaおよびTiを含む酸化物膜を用いることにより、Ag膜におけるAgの凝集を抑制し、透過性を向上させる技術が開示されている。
さらに、特許文献5には、Ag膜の下地膜としてZnO膜を用いることにより、Agの結晶化を促進してAg膜におけるAgの凝集を抑制し、Ag膜と下地膜との密着性を向上させる技術が開示されている。
特開2001−328198号公報 特開2007−070146号公報 特開2016−146321号公報 特開2017−179594号公報 特開平09−291356号公報
ところで、従来の積層膜においては、パーティクル(空中微粒子)や指紋等が、膜上或いは膜端部に付着することにより、塩化物イオンによってAg膜が腐食し、斑点等の欠陥が生じるおそれがあった。斑点等の欠陥が生じた場合には、積層膜は外観不良となるとともに、該積層膜の光学特性や電気特性が劣化することになる。
なお、特許文献3−5においては、下地膜の組成を限定することにより、Agの凝集を抑制しているが、使用条件によっては、塩化物イオンを原因とするAgの腐食を抑制できないことがあった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、塩化物イオンを原因とするAg膜の腐食を抑制することで、斑点等の欠陥の発生を抑制することが可能な積層膜を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の積層膜は、Ag又はAg合金からなるAg膜と、このAg膜の下側に配設された透明下地膜と、前記Ag膜の上側に配設された透明保護膜と、を有し、前記透明下地膜は、金属成分としてZnを主成分とするZn系酸化物とされており、前記Ag膜のin−plane X線回折測定におけるAg(220)とAg(111)のピーク強度比IAg(220)/IAg(111)が0.73以上であることを特徴としている。
本発明の積層膜によれば、Ag又はAg合金からなるAg膜と、このAg膜の下側に配設された透明下地膜と、前記Ag膜の上側に配設された透明保護膜と、を有しているので、透過性に優れており、透明導電膜、赤外線反射膜として適用することができる。
そして、Ag又はAg合金からなるAg膜と、このAg膜の下側に配設された透明下地膜と、を有し、前記透明下地膜は、金属成分としてZnを主成分とするZn系酸化物とされており、前記Ag膜のin−plane X線回折測定におけるAg(220)とAg(111)のピーク強度比IAg(220)/IAg(111)が0.73以上とされているので、Ag膜において膜面に対して垂直に(111)方向への結晶成長が促進されており塩化物イオンを原因とするAg膜の腐食を抑制することが可能となる。
ここで、本発明の積層膜においては、前記透明下地膜は、金属成分としてGaを含有することが好ましい。
この場合、前記透明下地膜は、金属成分としてGaを含有するZn系酸化物とされているので、Ag膜において(111)方向への結晶成長をさらに促進することができ、塩化物イオンを原因とするAg膜の腐食をさらに抑制することが可能となる。
また、本発明の積層膜においては、前記透明下地膜は、金属成分としてAlを含有することが好ましい。
この場合、前記透明下地膜は、金属成分としてAlを含有するZn系酸化物とされているので、Ag膜において(111)方向への結晶成長をさらに促進することができ、塩化物イオンを原因とするAg膜の腐食をさらに抑制することが可能となる。
本発明によれば、塩化物イオンを原因とするAg膜の腐食を抑制することで、斑点等の欠陥の発生を抑制することが可能な積層膜を提供することができる。
本発明の実施形態である積層膜の断面説明図である。 本発明の実施形態である積層膜における下地膜のXRD測定結果を示す図である。(a)がout of plane、(b)がin−planeである。 本発明の実施形態である積層膜のXRD測定結果を示す図である。(a)がout of plane、(b)がin−planeである。 本発明の実施形態である積層膜の製造方法を示すフロー図である。 実施例における耐塩水性試験後の積層構造体の外観観察結果を示す写真である。(a)が比較例1の積層膜、(b)が本発明例1の積層膜、(c)が本発明例2の積層膜である。
以下に、本発明の一実施形態である積層膜について、添付した図面を参照して具体的に説明する。なお、本実施形態である積層膜は、各種ディスプレイ及びタッチパネルの透明導電配線膜あるいは透明電極、あるいは、低放射ガラス(Low−Eガラス)における遮熱膜を構成するものである。
本実施形態である積層膜10は、図1に示すように、Ag又はAg合金からなるAg膜11と、このAg膜11の下側に配設された透明下地膜12と、Ag膜11の上側に配設された透明保護膜13と、を有している。本実施形態では、図1に示すように、基材1の一面に積層膜10が成膜されており、基材1とAg膜11との間に透明下地膜12が成膜されている。
ここで、基材1としては、例えば、ガラス基板、樹脂基板、樹脂フィルム等を用いることができる。
透明下地膜12は、金属成分としてZnを主成分とするZn系酸化物で構成されている。本実施形態では、金属成分全体を100原子%としてZnの含有量が80原子%以上とされている。
なお、透明下地膜12としては、金属成分として、Znに加えてGaを含有してもよい。このとき、Gaの含有量は0.5原子%以上20.0原子%以下の範囲内とすることが好ましい。
また、金属成分として、ZnおよびGaに加えてTiを含有してもよい。このとき、Tiの含有量は0.5原子%以上、かつ、GaとTiの合計含有量が20.0原子%以下であることが好ましい。
さらに、金属成分として、Znに加えてAlを含有してもよい。このとき、Alの含有量は0.5原子%以上20原子%以下の範囲内とすることが好ましい。
また、金属成分として、ZnおよびAlに加えてTiを含有してもよい。このとき、Tiの含有量は0.5原子%以上、かつ、AlとTiの合計含有量が20原子%以下であることが好ましい。
さらに、金属成分として、ZnおよびAlに加えてGaを含有してもよい。このとき、Gaの含有量は0.5原子%以上10原子%以下、かつ、Alの含有量が0.5原子%以上10原子%以下であることが好ましい。
また、金属成分として、Zn,AlおよびGaに加えてTiを含有してもよい。このとき、Tiの含有量は0.5原子%以上、Gaの含有量は0.5原子%以上、Alの含有量が0.5原子%以上、かつ、AlとGaとTiの合計含有量が20原子%以下であることが好ましい。
例えば、金属成分として、ZnとGaを含有する場合には、金属成分は、Gaの含有量が0.5原子%以上20.0原子%以下の範囲内、残部がZnおよび不可避金属元素であってもよい。
また、金属成分として、ZnおよびGaに加えてTiを含有する場合には、金属成分は、Tiの含有量は0.5原子%以上、かつ、GaとTiの合計含有量が20.0原子%以下、残部がZnおよび不可避金属元素であってもよい。
さらに、金属成分として、Znに加えてAlを含有する場合には、金属成分は、Alの含有量は0.5原子%以上20原子%以下の範囲内、残部がZnおよび不可避金属元素であってもよい。
また、金属成分として、ZnおよびAlに加えてTiを含有する場合には、金属成分は、Tiの含有量は0.5原子%以上、かつ、AlとTiの合計含有量が20原子%以下、残部がZnおよび不可避金属元素であってもよい。
さらに、金属成分として、ZnおよびAlに加えてGaを含有する場合には、金属成分は、Gaの含有量は0.5原子%以上10原子%以下、かつ、Alの含有量が0.5原子%以上10原子%以下、残部がZnおよび不可避金属元素であってもよい。
また、金属成分として、Zn,AlおよびGaに加えてTiを含有する場合には、金属成分は、Tiの含有量は0.5原子%以上、Gaの含有量は0.5原子%以上、Alの含有量が0.5原子%以上、かつ、AlとGaとTiの合計含有量が20原子%以下、残部がZnおよび不可避金属元素であってもよい。
そして、透明下地膜12は、ZnOの六方晶がc軸配向した構造とされている。図2に、透明下地膜12となるZn系酸化物膜を100nmの厚さで成膜し、これをXRD測定した結果を示す。膜面に直交する方向(out of plane)のXRD測定においてはZnO(002)のピークが確認され、膜面内方向(in−plane)のXRD測定においては、ZnO(100)とZnO(101)のピークが確認されている。よって、透明下地膜12は、ZnOが膜面に対して垂直に(002)方向に強く配向しており、ZnOの六方晶がc軸配向した構造とされていることが分かる。
なお、図2に示すように、透明下地膜12を単膜で成膜した透明下地膜12(Zn系酸化物膜)においては、膜面内方向(in−plane)のXRD測定におけるZnO(100)とZnO(101)のピーク強度比IZnO(100)/IZnO(101)が7以上とされていることが好ましい。
Ag膜11は、Ag又はAg合金で構成されており、Agの含有量が80原子%以上とされている。Ag膜11を構成するAg又はAg合金としては、例えば、In,Sn,Cu,Ge,Sb,Au,Pt,Pd,Mg,Ca,Tiから選択される1種又は2種以上を合計で0.01原子%以上20.0原子%以下の範囲内で含有し、残部がAg及び不可避不純物とした組成のものを用いることができる。
そして、Ag膜11のin−plane X線回折測定におけるAg(220)とAg(111)のピーク強度比IAg(220)/IAg(111)が0.73以上とされている。すなわち、Ag膜11は、(111)方向に結晶成長した構造とされている。また、上記のピーク強度比IAg(220)/IAg(111)は0.75以上であることがより好ましい。
ここで、図3に、積層膜10をXRD測定した結果を示す。膜面に直交する方向(out of plane)のXRD測定においてはAg(111)のピークが確認されている。さらに、膜面内方向(in−plane)のXRD測定においては、Ag(111)およびAg(220)のピークが確認されている。
透明保護膜13は、可視光の透過性に優れた酸化物あるいは窒化物等で構成されたものとされている。
透明保護膜13としては、例えば、ITO,ZnO,MgO,SiO,Al,TiO等を含む透明酸化物、または、Si,AlN,TiN等を含む透明窒化物を用いることができる。
ここで、Ag膜11の厚さは、3nm以上15nm以下の範囲内とすることが好ましい。
また、透明下地膜12の厚さは、5nm以上80nm以下の範囲内とすることが好ましい。
さらに、透明保護膜13の厚さは、5nm以上80nm以下の範囲内とすることが好ましい。
次に、本実施形態である積層膜10の製造方法について、図4のフロー図を参照して説明する。
(透明下地膜成膜工程S01)
まず、基材1の表面に、スパッタリングターゲットを用いたスパッタ法によって透明下地膜12を成膜する。このとき用いるスパッタリングターゲットは、透明下地膜12を構成するZn系酸化物からなるものを用いる。なお、スパッタ時の電源としては、直流(DC)高周波(RF)、中周波(MF)又は交流(AC)を用いることが可能である。
ここで、成膜時において、基材の回転付与、投入電力の低減、酸素の導入、を適宜実施することにより、透明下地膜12を、ZnOの六方晶がc軸配向した構造とする。
具体的には、図2(b)に示すように、膜面内方向(in−plane)のXRD測定におけるZnO(100)とZnO(101)のピーク強度比IZnO(100)/IZnO(101)が7以上とすることが好ましい。
ここで、成膜された透明下地膜12においては、膜のZn:O比と、スパッタ時の高エネルギー粒子(スパッタガスイオン、ターゲット物質イオン等)の膜表面への照射状態によって、c軸配向すると推測される。すなわち、膜のZn:O比が量論組成1:1に近いと、c軸配向する傾向にある。また、高エネルギー粒子の膜表面への照射が少ないと、c軸配向する傾向にある。そして、以下に示すように、各種スパッタ条件によって、膜のZn:O比、および、スパッタ時の高エネルギー粒子の膜表面への照射状態が変化することを実験により確認した。
(1)スパッタの電力を低減すると、照射される粒子のエネルギーが低下する。一方、膜のZn:O比は量論組成(1:1)から乖離する。
(2)スパッタ時に酸素を導入すると、高エネルギー粒子である酸素負イオンの照射が増大する。一方、膜のZn:O比は量論組成(1:1)に近似する。
(3)スパッタ時に基板の回転を導入すると、基板がターゲット直上とは異なる位置にある時間が生じることで、高エネルギー粒子の照射が少なくなる。
なお、(1)、(2)については、実験結果から一貫した傾向を見出すことはできないが、これは、膜のZn:O比と、スパッタ時の高エネルギー粒子の膜表面への照射状態が、それぞれc軸配向に逆の影響を与えるためと推測される。
(Ag膜成膜工程S02)
次に、透明下地膜12の上に、スパッタリングターゲットを用いたスパッタ法によってAg膜11を成膜する。このとき用いるスパッタリングターゲットは、Ag膜11を構成するAg又はAg合金からなるものを用いる。なお、スパッタ時の電源としては、直流(DC)高周波(RF)、中周波(MF)又は交流(AC)を用いることが可能である。
このAg膜成膜工程S02においては、上述のように、ZnOの六方晶がc軸配向した構造の透明下地膜12の上に成膜することから、Agの(111)方向への結晶成長が促進されることになり、Ag膜11のin−plane X線回折測定におけるAg(220)とAg(111)のピーク強度比IAg(220)/IAg(111)が0.73以上となる。
(透明保護膜成膜工程S03)
次に、Ag膜11の上に、スパッタリングターゲットを用いたスパッタ法によって透明保護膜13を成膜する。このとき用いるスパッタリングターゲットは、透明保護膜13を構成する材質からなるものを用いる。なお、スパッタ時の電源としては、直流(DC)高周波(RF)、中周波(MF)又は交流(AC)を用いることが可能である。
以上のような工程により、本実施形態である積層膜10が製造される。
上述した構成とされた本実施形態である積層膜10においては、Ag又はAg合金からなるAg膜11と、このAg11膜の下側に配設された透明下地膜12と、Ag膜11の上側に配設された透明保護膜13と、を有しているので、透過性に優れており、透明導電膜、赤外線反射膜として適用することができる。
そして、透明下地膜12は、金属成分としてZnを主成分とするZn系酸化物とされており、Ag膜11のin−plane X線回折測定におけるAg(220)とAg(111)のピーク強度比IAg(220)/IAg(111)が0.73以上とされているので、Ag膜11において膜面に対して垂直に(111)方向への結晶成長が促進されており、塩化物イオンを原因とするAg膜11の腐食を抑制することが可能となる。
また、本実施形態において、透明下地膜12が、金属成分としてGa又はAlを含有するZn系酸化物とされている場合には、Ag膜において(111)方向への結晶成長をさらに促進することができ、塩化物イオンを原因とするAg膜の腐食をさらに抑制することが可能となる。
さらに、本実施形態においては、透明下地膜12が、ZnOの六方晶がc軸配向した構造とされているので、Ag膜11を成膜した際に、Agの(111)方向への結晶成長を十分に促進することができ、塩化物イオンを原因とするAg膜11の腐食を抑制することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、ガラス基板に積層膜を成膜するものとして説明したが、これに限定されることはなく、樹脂基板や樹脂フィルム等に本実施形態である積層膜を成膜してもよい。
以下に、本発明の有効性を確認するために行った確認実験の結果について説明する。
各種組成の4インチサイズのスパッタリングターゲットを無酸素銅からなるバッキングプレートにボンディングし、これを以下に示す静止対向式のスパッタ装置に装着して、ガラス基板に成膜し、Zn系酸化物膜からなる透明下地膜、Ag膜、ITOからなる透明保護膜の3層構造(ガラス基板/Zn系酸化物/Ag/ITO)を作製した。なお、各種組成の膜は、以下の条件で成膜した。
3層の成膜は同一のチャンバー内で連続的に行った。積層膜の膜厚構造はガラス基板/透明下地膜(40nm)/Ag膜(8nm)/透明保護膜(40nm)とした。なお、基板としては、5cm角のガラス基板(コーニング社製EAGLE XG)を用いた。
また、透明下地膜となるZn系酸化物膜の結晶構造解析のために、ガラス基板上にZn系酸化物膜のみを100 nm成膜した試料も作製した。
(装置条件)
スパッタリング装置:マグネトロンスパッタ装置(アルバック社製CS−200)
磁界強度:1000 Gauss(ターゲット直上、垂直成分)
到達真空度:7.0×10−4Pa以下
(ZnO膜の成膜条件)
スパッタガス:高純度アルゴン+高純度酸素(比率は表1に記載)
チャンバー内スパッタガス圧力:0.4 Pa
電源:表1に記載
基板回転:表1に記載
(Ga+ZnO膜の成膜条件)
ターゲット組成:ZnO + Ga
スパッタガス:高純度アルゴン+高純度酸素(比率は表1に記載)
チャンバー内スパッタガス圧力:0.4 Pa
電源:表1に記載
基板回転:表1に記載
(Al+ZnO膜の成膜条件)
ターゲット組成:ZnO + Al
スパッタガス:高純度アルゴン+高純度酸素(比率は表1に記載)
チャンバー内スパッタガス圧力:0.4 Pa
電源:表1に記載
基板回転:表1に記載
(Ga+TiO+ZnO膜の成膜条件)
ターゲット組成:ZnO + Ga+ TiO
スパッタガス:高純度アルゴン+高純度酸素(比率は表1に記載)
チャンバー内スパッタガス圧力:0.4 Pa
電源:表1に記載
基板回転:表1に記載
(Ag膜の成膜条件)
ターゲット組成:Ag−4.0原子%Cu−0.5原子%Sn
スパッタガス:高純度アルゴン
チャンバー内スパッタガス圧力:0.5Pa
直流電力:100 W
基板回転:なし
(透明保護膜の成膜条件)
ターゲット組成:In 90質量%−10質量%SnO
スパッタガス:高純度アルゴン95sccm+高純度酸素1.05 sccm
チャンバー内スパッタガス圧力:0.4Pa
直流電力:100 W
基板回転:30rpm
得られた積層膜について、透明下地膜の組成、膜厚、透明下地膜の単膜についてin−plane X線回折測定におけるZnO(100)とZnO(101)のピーク強度比IZnO(100)/IZnO(101)、積層膜についてin−plane X線回折測定におけるAg(220)とAg(111)のピーク強度比IAg(220)/IAg(111)、耐塩水性について、以下のように評価した。
(透明下地膜の組成)
透明下地膜(Zn系酸化物膜)を単層で500nm成膜したものを、ICP発光分光分析法によって分析した。分析結果を表1に示す。
(膜厚)
各種膜の膜厚は、膜厚計(アルバック社製 DEKTAK)を用いて測定した。
(XRD)
Rigaku Smart Lab.により、積層膜の膜面内方向の結晶配向をin−plane測定により評価した。入射X線はCu Kα線を用い、X線入射角はω=0.7°、検出角度は2θ=0.7°として測定を行った。そして、Ag膜におけるAg(220)とAg(111)のピーク強度比IAg(220)/IAg(111)を算出した。
同様に、透明下地膜(Zn系酸化物膜)の単膜について、膜面内方向の結晶配向をin−plane測定により評価した。そして、透明下地膜(Zn系酸化物膜)におけるZnO(100)とZnO(101)のピーク強度比IZnO(100)/IZnO(101)を算出した。
(耐塩水性)
積層膜を、室温にて5wt%NaCl水溶液に24時間浸漬し、浸漬後の膜外観を光学顕微鏡にて観察し、欠陥(斑点)発生の状態を比較した。
図5(a)に示すように全面に斑点が確認された場合を「×」、図5(b)に示すように斑点が散在している場合を「〇」、図5(c)に示すように斑点が確認できない場合を「◎」と評価した。
Figure 2021143418
比較例においては、Ag(220)とAg(111)のピーク強度比IAg(220)/IAg(111)が0.61であり、耐塩水性が「×」となった。
これに対して、Ag(220)とAg(111)のピーク強度比IAg(220)/IAg(111)が0.73以上とされた本発明例1−10においては、耐塩水性が「〇」〜「◎」となった。
特に、Ag(220)とAg(111)のピーク強度比IAg(220)/IAg(111)が0.75以上とされた本発明例2,3,5−10においては、耐塩水性が「◎」となった。
本発明例6,7,8において、Ga量の増加に伴って、ピーク強度比IZnO(100)/IZnO(101)の低下がみられる一方、Ag(220)とAg(111)のピーク強度比IAg(220)/IAg(111)は増加していた。したがって、ZnOの配向性は下がるものの、Agの(111)方向への成長は促進されており、ドープのないZnOとは異なる傾向であった。
以上のことから、本発明例によれば、塩化物イオンを原因とするAg膜の腐食を抑制することで、斑点等の欠陥の発生を抑制することが可能な積層膜を提供できることが確認された。
10 積層膜
11 Ag膜
12 透明下地膜
13 透明保護膜

Claims (3)

  1. Ag又はAg合金からなるAg膜と、このAg膜の下側に配設された透明下地膜と、前記Ag膜の上側に配設された透明保護膜と、を有し、
    前記透明下地膜は、金属成分としてZnを主成分とするZn系酸化物とされており、
    前記Ag膜のin−plane X線回折測定におけるAg(220)とAg(111)のピーク強度比IAg(220)/IAg(111)が0.73以上であることを特徴とする積層膜。
  2. 前記透明下地膜は、金属成分としてGaを含有することを特徴とする請求項1に記載の積層膜。
  3. 前記透明下地膜は、金属成分としてAlを含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層膜。
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