JP2021144831A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】粘度が高い電解液を用いた非水電解質二次電池において、電池特性をよりいっそう向上させうる手段を提供する。【解決手段】電極活物質および電解液を含有する電極活物質層を含む電極を有する発電要素を備えた非水電解質二次電池において、前記電解液の粘性率を、せん断速度10[s−1]において10[mPa・s]以上、かつ、せん断速度0.1[s−1]において300[mPa・s]以上とし、せん断速度10[s−1]における前記電解液と前記電極活物質層との間のキャピラリー数Caを1.5×10−7以上、2.0×10−6以下とする。【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解質二次電池に関する。
近年、環境・エネルギー問題の解決へ向けて、種々の電気自動車の普及が期待されている。これら電気自動車の普及の鍵を握るモータ駆動用電源などの車載電源として、二次電池の開発が鋭意行われている。二次電池としては、高エネルギー密度、高出力が期待できる非水電解質二次電池に注目が集まっている。
ここで、特許文献1には、長寿命のリチウムイオン二次電池を提供し得る好適な電解液を提供するとともに、容量に優れ、効率的な高容量化が可能なリチウムイオン二次電池を提供することを目的とした技術が開示されている。具体的に、特許文献1に記載の技術は、所定の一般式で表されるリチウム塩を含む電解質と、所定の一般式で表される鎖状カーボネート(自由回転可能な結合が多く存在し、柔軟な化学構造を有する)を含む有機溶媒と、不飽和環状カーボネートとを含む電解液において、前記リチウム塩に対して前記鎖状カーボネートをモル比3〜6で含ませるか、前記リチウム塩を1.1〜3.8mol/Lの濃度で含ませることで、上記課題の解決を図っている。
国際公開第2017/179682号
しかしながら、本発明者らが検討を行ったところ、特許文献1に記載の技術を用いた電池であっても、粘度が高い電解液を用いると十分な電池特性が得られない場合があり、依然として改善の余地が存在することが判明した。
そこで本発明は、粘度が高い電解液を用いた非水電解質二次電池において、電池特性をよりいっそう向上させうる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その過程で、用いられる電極活物質層の構成によっては、粘度が高い電解液が当該電極活物質層の内部まで十分に浸透しない場合があり、このことが電池性能の低下の原因となっていることを見出した。この知見に基づき、本発明者らは、多孔体への液体の浸透性の指標であるキャピラリー数Caに着目して検討を進めた。その結果、所定のせん断速度における電解液と電極活物質層との間のキャピラリー数Caを所定の範囲内の値に制御することで、粘度が高い電解液を用いた場合であっても電極活物質層への濡れ性を向上させることが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一形態によれば、電極活物質および電解液を含有する電極活物質層を含む電極を有する発電要素を備えた非水電解質二次電池が提供される。ここで、当該非水電解質二次電池において、前記電解液の粘性率は、せん断速度10[s−1]において10[mPa・s]以上であり、かつ、せん断速度0.1[s−1]において300[mPa・s]以上である。そして、当該電池は、せん断速度10[s−1]における前記電解液と前記電極活物質層との間のキャピラリー数Caが1.5×10−7以上、2.0×10−6以下である点に特徴を有している。
本発明によれば、粘度が高い電解液を用いた非水電解質二次電池において、電池特性をよりいっそう向上させることが可能である。
図1は、本発明に係る非水電解質二次電池の一実施形態である扁平積層型二次電池の外観を表した斜視図である。 図2は、図1に示す2−2線に沿う断面図である。 図3は、本発明に係る非水電解質二次電池の一実施形態である双極型(バイポーラ型)の二次電池を模式的に表した断面図である。
[非水電解質二次電池]
本発明の一形態は、電極活物質および電解液を含有する電極活物質層を含む電極を有する発電要素を備えた非水電解質二次電池であって、前記電解液の粘性率が、せん断速度10[s−1]において10[mPa・s]以上であり、かつ、せん断速度0.1[s−1]において300[mPa・s]以上であり、せん断速度10[s−1]における前記電解液と前記電極活物質層との間のキャピラリー数Caが1.5×10−7以上、2.0×10−6以下である、非水電解質二次電池である。本形態に係る非水電解質二次電池によれば、粘度が高い電解液を用いた非水電解質二次電池において、電池特性をよりいっそう向上させることが可能である。
以下、図面を参照しながら、上述した本形態の実施形態を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみに制限されない。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1は、本発明に係る全固体非水電解質二次電池の一実施形態である扁平積層型二次電池の外観を表した斜視図である。図2は、図1に示す2−2線に沿う断面図である。積層型とすることで、電池をコンパクトにかつ高容量化することができる。
図1に示すように、積層型二次電池10aは、長方形状の扁平な形状を有しており、その両側部からは電力を取り出すための正極集電板25、負極集電板27が引き出されている。発電要素21は、積層型二次電池10aの電池外装材(ラミネートフィルム29)によって包まれ、その周囲は熱融着されており、発電要素21は、正極集電板25および負極集電板27を外部に引き出した状態で密封されている。
なお、本形態に係る非水電解質二次電池は、積層型の扁平な形状のものに制限されるものではない。巻回型の全固体電池では、円筒型形状のものであってもよいし、こうした円筒型形状のものを変形させて、長方形状の扁平な形状にしたようなものであってもよいなど、特に制限されるものではない。上記円筒型の形状のものでは、その外装材にラミネートフィルムを用いてもよいし、従来の円筒缶(金属缶)を用いてもよいなど、特に制限されるものではない。好ましくは、発電要素がアルミニウムを含むラミネートフィルムの内部に収容される。当該形態により、軽量化が達成されうる。
また、図1に示す集電板(25、27)の取り出しに関しても、特に制限されるものではない。正極集電板25と負極集電板27とを同じ辺から引き出すようにしてもよいし、正極集電板25と負極集電板27をそれぞれ複数に分けて、各辺から取り出しようにしてもよいなど、図1に示すものに制限されるものではない。また、巻回型のリチウムイオン電池では、タブに変えて、例えば、円筒缶(金属缶)を利用して端子を形成すればよい。
図2に示すように、本実施形態の積層型二次電池10aは、実際に充放電反応が進行する扁平略矩形の発電要素21が、電池外装材であるラミネートフィルム29の内部に封止された構造を有する。ここで、発電要素21は、正極と、電解質層17と、負極とを積層した構成を有している。正極は、正極集電体11’の両面に正極活物質を含有する正極活物質層13が配置された構造を有する。負極は、負極集電体11”の両面に負極活物質を含有する負極活物質層15が配置された構造を有する。電解質層17は、多孔質構造を有するセパレータの空孔内部に電解液が保持された構成を有する。なお、電解液は、正極活物質層13および負極活物質層15の内部にも浸透している。そして、1つの正極活物質層13とこれに隣接する負極活物質層15とが、電解質層17を介して対向するようにして、正極、電解質層および負極がこの順に積層されている。これにより、隣接する正極、電解質層および負極は、1つの単電池層19を構成する。したがって、図1に示す積層型二次電池10aは、単電池層19が複数積層されることで、電気的に並列接続されてなる構成を有するともいえる。
図2に示すように、発電要素21の両最外層に位置する最外層正極集電体には、いずれも片面のみに正極活物質層13が配置されているが、両面に活物質層が設けられてもよい。すなわち、片面にのみ活物質層を設けた最外層専用の集電体とするのではなく、両面に活物質層がある集電体をそのまま最外層の集電体として用いてもよい。また、場合によっては、正極集電体11’および/または負極集電体11”を用いなくともよい。
正極集電体11’および負極集電体11”は、各電極(正極および負極)と導通される正極集電板(タブ)25および負極集電板(タブ)27がそれぞれ取り付けられ、電池外装材であるラミネートフィルム29の端部に挟まれるようにしてラミネートフィルム29の外部に導出される構造を有している。正極集電板25および負極集電板27はそれぞれ、必要に応じて正極リードおよび負極リード(図示せず)を介して、各電極の正極集電体11’および負極集電体11”に超音波溶接や抵抗溶接などにより取り付けられていてもよい。
以下、本形態に係る非水電解質二次電池の主要な構成部材について説明する。
[集電体]
集電体は、電極活物質層からの電子の移動を媒介する機能を有する。集電体を構成する材料に特に制限はない。集電体の構成材料としては、例えば、金属や、導電性を有する樹脂が採用されうる。
具体的には、金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス、チタン、銅などが挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材などが用いられてもよい。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。なかでも、電子伝導性や電池作動電位、集電体へのスパッタリングによる負極活物質の密着性等の観点からは、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケルが好ましい。
また、後者の導電性を有する樹脂としては、非導電性高分子材料に必要に応じて導電性フィラーが添加された樹脂が挙げられる。
非導電性高分子材料としては、例えば、ポリエチレン(PE;高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)など)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、またはポリスチレン(PS)などが挙げられる。かような非導電性高分子材料は、優れた耐電位性または耐溶媒性を有しうる。
上記の導電性高分子材料または非導電性高分子材料には、必要に応じて導電性フィラーが添加されうる。特に、集電体の基材となる樹脂が非導電性高分子のみからなる場合は、樹脂に導電性を付与するために必然的に導電性フィラーが必須となる。
導電性フィラーは、導電性を有する物質であれば特に制限なく用いることができる。例えば、導電性、耐電位性、またはリチウムイオン遮断性に優れた材料として、金属および導電性カーボンなどが挙げられる。金属としては、特に制限はないが、Ni、Ti、Al、Cu、Pt、Fe、Cr、Sn、Zn、In、およびSbからなる群から選択される少なくとも1種の金属もしくはこれらの金属を含む合金または金属酸化物を含むことが好ましい。また、導電性カーボンとしては、特に制限はない。好ましくは、アセチレンブラック、バルカン、ブラックパール、カーボンナノファイバー、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、およびフラーレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むものである。
導電性フィラーの添加量は、集電体に十分な導電性を付与できる量であれば特に制限はなく、一般的には、集電体の全質量100質量%に対して5〜80質量%である。
なお、集電体は、単独の材料からなる単層構造であってもよいし、あるいは、これらの材料からなる層を適宜組み合わせた積層構造であっても構わない。集電体の軽量化の観点からは、少なくとも導電性を有する樹脂からなる導電性樹脂層を含むことが好ましい。また、単電池層間のリチウムイオンの移動を遮断する観点からは、集電体の一部に金属層を設けてもよい。
[負極活物質層]
負極活物質層は、放電時にリチウムイオン等のイオンを放出し、充電時にリチウムイオン等のイオンを吸蔵できる負極活物質を含む。負極活物質の種類としては、特に制限されないが、炭素材料、金属酸化物および金属活物質が挙げられる。炭素材料としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等が挙げられる。また、金属酸化物としては、例えば、Nb、LiTi12等が挙げられる。さらに、ケイ素系負極活物質やスズ系負極活物質が用いられてもよい。ここで、ケイ素およびスズは第14族元素に属し、非水電解質二次電池の容量を大きく向上させうる負極活物質であることが知られている。これらの単体は単位体積(質量)あたり多数の電荷担体(リチウムイオン等)を吸蔵および放出しうることから、高容量の負極活物質となる。ここで、ケイ素系負極活物質としては、Si単体を用いることが好ましい。また同様に、Si相とケイ素酸化物相との2相に不均化されたSiO(0.3≦x≦1.6)などのケイ素酸化物を用いることも好ましい。この際、xの範囲は0.5≦x≦1.5であることがより好ましく、0.7≦x≦1.2であることがさらに好ましい。さらには、ケイ素を含有する合金(ケイ素含有合金系負極活物質)が用いられてもよい。一方、スズ元素を含む負極活物質(スズ系負極活物質)としては、Sn単体、スズ合金(Cu−Sn合金、Co−Sn合金)、アモルファススズ酸化物、スズケイ素酸化物等が挙げられる。このうち、アモルファススズ酸化物としてはSnB0.40.63.1が例示される。また、スズケイ素酸化物としてはSnSiOが例示される。また、負極活物質として、リチウムを含有する金属を用いてもよい。このような負極活物質は、リチウムを含有する活物質であれば特に限定されず、金属リチウムのほか、リチウム含有合金が挙げられる。リチウム含有合金としては、例えば、Liと、In、Al、SiおよびSnの少なくとも1種との合金が挙げられる。場合によっては、2種以上の負極活物質が併用されてもよい。なお、上記以外の負極活物質が用いられてもよいことは勿論である。本発明は、充放電時の負極活物質の膨張収縮が大きい場合に特に優れた効果を奏するものである。このような観点と、高容量であるという点で、負極活物質は、炭素材料、金属リチウム、ケイ素系負極活物質またはスズ系負極活物質を含むことが好ましい。
負極活物質の形状は、例えば、粒子状(球状、繊維状)、薄膜状等が挙げられる。負極活物質が粒子形状である場合、その平均粒径(D50)は、例えば、1nm〜100μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10nm〜50μmの範囲内であり、さらに好ましくは100nm〜20μmの範囲内であり、特に好ましくは1〜20μmの範囲内である。なお、本明細書において、活物質の平均粒径(D50)の値は、レーザー回折散乱法によって測定することができる。
負極活物質層における負極活物質の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば、40〜99質量%の範囲内であることが好ましく、50〜90質量%の範囲内であることがより好ましい。
負極活物質層は上述したような負極活物質を含み、必要に応じて、導電助剤、導電部材、バインダなどのその他の添加剤をさらに含む。
前記導電助剤とは、活物質層の導電性を向上させるために配合される添加物をいう。導電助剤としては、アセチレンブラック等のカーボンブラックなどの炭素材料が挙げられる。負極活物質層が導電助剤を含むと、負極活物質層の内部における電子ネットワークが効果的に形成され、電池の出力特性の向上に寄与しうる。
導電部材は、負極活物質層中で電子伝導パスを形成する機能を有する。特に、導電部材の少なくとも一部が、負極活物質層の電解質層側に接触する第1主面から集電体側に接触する第2主面までを電気的に接続する導電通路を形成していることが好ましい。このような形態を有することで、負極活物質層中の厚さ方向の電子移動抵抗がさらに低減される。その結果、電池の高レートでの出力特性がよりいっそう向上しうる。なお、導電部材の少なくとも一部が、負極活物質層の電解質層側に接触する第1主面から集電体側に接触する第2主面までを電気的に接続する導電通路を形成しているか否かは、SEMや光学顕微鏡を用いて負極活物質層の断面を観察することにより確認することができる。
導電部材は、繊維状の形態を有する導電性繊維であることが好ましい。具体的には、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維、合成繊維の中に導電性のよい金属や黒鉛を均一に分散させてなる導電性繊維、ステンレス鋼のような金属を繊維化した金属繊維、有機物繊維の表面を金属で被覆した導電性繊維、有機物繊維の表面を、導電性物質を含む樹脂で被覆した導電性繊維等が挙げられる。なかでも、導電性に優れ、軽量であることから炭素繊維が好ましい。
負極活物質層に用いられる任意成分のバインダとしては、特に限定されないが、例えば、以下の材料が挙げられる。
ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)(水素原子が他のハロゲン元素にて置換された化合物を含む)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリエーテルニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物などの熱可塑性高分子、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ポリイミド、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドであることがより好ましい。
また、本形態において、負極活物質層に含まれうる、導電助剤、バインダなどのその他の添加剤の配合比は、特に限定されない。それらの配合比は、非水電解質二次電池についての公知の知見を適宜参照することにより、調整されうる。
本形態の非水電解質二次電池において、負極活物質層の厚さは特に制限されず、電池についての従来公知の知見が適宜参照されうる。一例を挙げると、負極活物質層の厚さは、通常1〜1500μm程度、好ましくは50〜1200μmであり、より好ましくは100〜800μmであり、さらに好ましくは200〜650μmである。負極活物質層の厚さが大きいほど、十分な容量(エネルギー密度)を発揮するための負極活物質を保持することが可能となる。一方、負極活物質層の厚さが小さいほど、放電レート特性が向上しうる。
[正極活物質層]
正極活物質層は、正極活物質を含む。
(正極活物質)
正極活物質としては、例えば、LiMn、LiCoO、LiNiO、Li(Ni−Mn−Co)Oおよびこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの等のリチウム−遷移金属複合酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、リチウム−遷移金属硫酸化合物などが挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。好ましくは、容量、出力特性の観点から、リチウム−遷移金属複合酸化物が、正極活物質として用いられる。より好ましくはリチウムとニッケルとを含有する複合酸化物が用いられ、さらに好ましくはLi(Ni−Mn−Co)Oおよびこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの(以下、単に「NMC複合酸化物」とも称する)が用いられる。NMC複合酸化物は、リチウム原子層と遷移金属(Mn、NiおよびCoが秩序正しく配置)原子層とが酸素原子層を介して交互に積み重なった層状結晶構造を持ち、遷移金属Mの1原子あたり1個のLi原子が含まれ、取り出せるLi量が、スピネル系リチウムマンガン酸化物の2倍、つまり供給能力が2倍になり、高い容量を持つことができる。
NMC複合酸化物は、上述したように、遷移金属元素の一部が他の金属元素により置換されている複合酸化物も含む。その場合の他の元素としては、Ti、Zr、Nb、W、P、Al、Mg、V、Ca、Sr、Cr、Fe、B、Ga、In、Si、Mo、Y、Sn、V、Cu、Ag、Znなどが挙げられ、好ましくは、Ti、Zr、Nb、W、P、Al、Mg、V、Ca、Sr、Crであり、より好ましくは、Ti、Zr、P、Al、Mg、Crであり、サイクル特性向上の観点から、さらに好ましくは、Ti、Zr、Al、Mg、Crである。
NMC複合酸化物は、理論放電容量が高いことから、好ましくは、一般式(1):LiNiMnCo(但し、式中、a、b、c、d、xは、0.9≦a≦1.2、0<b<1、0<c≦0.5、0<d≦0.5、0≦x≦0.3、b+c+d+x=1を満たす。MはTi、Zr、Nb、W、P、Al、Mg、V、Ca、Sr、Crから選ばれる元素で少なくとも1種類である)で表される組成を有する。ここで、aは、Liの原子比を表し、bは、Niの原子比を表し、cは、Mnの原子比を表し、dは、Coの原子比を表し、xは、Mの原子比を表す。サイクル特性の観点からは、一般式(1)において、0.4≦b≦0.6であることが好ましい。なお、各元素の組成は、例えば、プラズマ(ICP)発光分析法により測定できる。
一般に、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)およびマンガン(Mn)は、材料の純度向上および電子伝導性向上という観点から、容量および出力特性に寄与することが知られている。Ti等は、結晶格子中の遷移金属を一部置換するものである。サイクル特性の観点からは、遷移元素の一部が他の金属元素により置換されていることが好ましく、特に一般式(1)において0<x≦0.3であることが好ましい。Ti、Zr、Nb、W、P、Al、Mg、V、Ca、SrおよびCrからなる群から選ばれる少なくとも1種が固溶することにより結晶構造が安定化されるため、その結果、充放電を繰り返しても電池の容量低下が防止でき、優れたサイクル特性が実現し得ると考えられる。
より好ましい実施形態としては、一般式(1)において、b、cおよびdが、0.44≦b≦0.51、0.27≦c≦0.31、0.19≦d≦0.26であることが、容量と寿命特性とのバランスを向上させるという観点からは好ましい。例えば、LiNi0.5Mn0.3Co0.2は、一般的な民生電池で実績のあるLiCoO、LiMn、LiNi1/3Mn1/3Co1/3などと比較して、単位重量あたりの容量が大きく、エネルギー密度の向上が可能となることでコンパクトかつ高容量の電池を作製できるという利点を有しており、航続距離の観点からも好ましい。なお、より容量が大きいという点ではLiNi0.8Co0.1Al0.1がより有利である。他方、LiNi0.5Mn0.3Co0.2はLiNi1/3Mn1/3Co1/3並みに優れた寿命特性を有している。
場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。好ましくは、容量、出力特性の観点から、リチウム−遷移金属複合酸化物が、正極活物質として用いられる。なお、上記以外の正極活物質が用いられてもよいことは勿論である。
正極活物質層に含まれる正極活物質の平均粒子径は特に制限されないが、高出力化の観点からは、好ましくは1〜30μmであり、より好ましくは5〜20μmである。
また、正極活物質層15は、負極活物質層13について上述したのと同様に、必要に応じて、導電助剤、導電部材、バインダなどのその他の添加剤をさらに含む。
正極(正極活物質層)は、通常のスラリーを塗布(コーティング)する方法のほか、スパッタ法、蒸着法、CVD法、PVD法、イオンプレーティング法および溶射法のいずれかの方法によって形成することができる。
[電解質層]
本形態に係る非水電解質二次電池の電解質層は、セパレータに電解液が含浸されてなる構成を有する。
電解液(液体電解質)は、リチウムイオンのキャリヤーとしての機能を有する。電解液層を構成する電解液(液体電解質)は、有機溶媒にリチウム塩が溶解した形態を有する。用いられる有機溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、プロピオン酸メチル(MP)、酢酸メチル(MA)、ギ酸メチル(MF)、4−メチルジオキソラン(4MeDOL)、ジオキソラン(DOL)、2−メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン(DME)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、およびγ−ブチロラクトン(GBL)などが挙げられる。中でも、有機溶媒は、急速充電特性および出力特性をより向上できるとの観点から、好ましくは鎖状カーボネートであり、より好ましくはジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジメチルカーボネート(DMC)からなる群から選択される少なくとも1種であり、より好ましくはエチルメチルカーボネート(EMC)およびジメチルカーボネート(DMC)から選択される。
リチウム塩としては、Li(FSON(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド;LiFSI)、Li(CSON、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO等が挙げられる。中でも、リチウム塩は、電池出力および充放電サイクル特性の観点から、好ましくはLi(FSON(LiFSI)である。
電解液は、上述した成分以外の添加剤をさらに含有してもよい。かような化合物の具体例としては、例えば、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、フェニルビニレンカーボネート、ジフェニルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、ジエチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、1,2−ジビニルエチレンカーボネート、1−メチル−1−ビニルエチレンカーボネート、1−メチル−2−ビニルエチレンカーボネート、1−エチル−1−ビニルエチレンカーボネート、1−エチル−2−ビニルエチレンカーボネート、ビニルビニレンカーボネート、アリルエチレンカーボネート、ビニルオキシメチルエチレンカーボネート、アリルオキシメチルエチレンカーボネート、アクリルオキシメチルエチレンカーボネート、メタクリルオキシメチルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネート、プロパルギルエチレンカーボネート、エチニルオキシメチルエチレンカーボネート、プロパルギルオキシエチレンカーボネート、メチレンエチレンカーボネート、1,1−ジメチル−2−メチレンエチレンカーボネートなどが挙げられる。これらの添加剤は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。また、添加剤を電解液に使用する場合の使用量は、適宜調整することができる。
本形態に係る非水電解質二次電池は、電解液の粘性率が比較的大きい範囲に特定されている点に特徴の1つがある。すなわち、本形態に係る非水電解質二次電池は、粘度が高い電解液を用いることを特徴とするものである。具体的に、本形態に係る非水電解質二次電池に含まれる電解液の粘性率は、せん断速度10[s−1]において10[mPa・s]以上であり、かつ、せん断速度0.1[s−1]において300[mPa・s]以上である。
ここで一般に、電解液のような溶液の粘性率はせん断速度(流体の厚さ方向における流速の勾配)に応じて変化することが知られている。そして、比較的粘度が小さい溶液であれば、せん断速度が低下してもその粘性率はほとんど変化しない(ニュートン粘性)。これに対し、粘度が大きい溶液では、せん断速度の低下に応じて非線形性を示し、途中で急激に粘性率が上昇するパターンを示すようになる(非ニュートン粘性)。このため、本形態においては、まず、電池を構成する電解液の粘性率として従来着目されることもあった比較的せん断速度が大きい領域の代表値として、せん断速度が10[s−1]のときの粘性率を10[mPa・s]以上と規定している。そして、上述したような高粘度の電解液が示す非線形性をも考慮すべく、比較的せん断速度が小さい領域の代表値として、せん断速度が0.1[s−1]のときの粘性率についても300[mPa・s]以上であることが必要としたものである。このように、せん断速度が0.1[s−1]ときわめて小さい領域における電解液の粘性率に着目するということは、二次電池の技術分野においてはこれまでまったく検討がなされてこなかった。その意味で、本願発明は従来の技術とはまったく異なる技術的思想に基づき完成されたものであるということができる。なお、後述する比較例1〜2に示すように、上記の規定を満たすような(高粘度の)電解液を用いた場合に、詳細については後述する電解液と電極活物質層との間のキャピラリー数Caが本願所定の範囲から外れると、電解液の電極活物質の表面に対する濡れ性が低下してしまう。これに対し、後述する参考例1に示すように、上記の規定を満たさない(低粘度の)電解液を用いた場合には、上記キャピラリー数Caが本願所定の範囲から外れたとしても電解液の電極活物質の表面に対する濡れ性の低下は見られず、電池特性に及ぼす悪影響もほとんどないと考えられる。以上をまとめると、上述した電解液の粘性率に関する規定は、本願発明の課題が生じるための前提条件として位置付けることができるのである。
上述した電解液の粘性率の値について、せん断速度が10[s−1]のときの粘性率は必須に10[mPa・s]以上であるが、好ましくは20[mPa・s]以上であり、さらに好ましくは30[mPa・s]以上であり、特に好ましくは40[mPa・s]以上であり、最も好ましくは50[mPa・s]以上である。なお、せん断速度が10[s−1]のときの粘性率の上限値について特に制限はないが、通常は1×10[mPa・s]以下である。また、せん断速度が0.1[s−1]のときの粘性率は必須に300[mPa・s]以上であるが、好ましくは350[mPa・s]以上であり、さらに好ましくは400[mPa・s]以上であり、特に好ましくは450[mPa・s]以上であり、最も好ましくは500[mPa・s]以上である。なお、せん断速度が0.1[s−1]のときの粘性率の上限値について特に制限はないが、通常は1×1010[mPa・s]以下である。電解液の粘性率の値としては、後述する実施例の欄に記載の手法により測定した値を採用するものとする。また、電解液の粘性率の値は、電解液を構成する有機溶媒の種類や添加剤の種類または添加量を適宜選択することにより変化させることができる。さらに、電解液に含ませるリチウム塩の濃度を増加させることによっても、電解液の粘性率を上昇させることができる。なお、本形態において、電池のレート特性やサイクル耐久性といった電池特性を向上させるという観点から、電解液におけるリチウム塩の濃度は、好ましくは2.5mol/L以上であり、より好ましくは3.0mol/L以上であり、さらに好ましくは3.5mol/L以上であり、より好ましくは4.0mol/L以上であり、最も好ましくは4.5mol/L以上である。一方、電解液におけるリチウム塩の濃度の上限値について特に制限はないが、通常は6.0mol/L以下であればよい。
本形態に係る非水電解質二次電池のもう1つの特徴は、せん断速度10[s−1]における前記電解液と前記電極活物質層との間のキャピラリー数Caが1.5×10−7以上、2.0×10−6以下であるという点にある。
ここで、キャピラリー数Caとは、流体力学において定義され、毛管値とも称されるパラメータである。このキャピラリー数Caは、粘性力と異なる流体間の境界に作用する表面張力との比として定義され、多孔体への液体浸透性の指標となる。具体的に、キャピラリー数Caは、下記の式で表される。
Ca=μ×V/γ
式中、μは液体(ここでは、電解液)の粘性係数であり、Vは代表流速(=空孔中心の流速)であり、γは液体(電解液)の表面張力である。ここで、せん断速度vは、上記Vを用いてv=V/r(rは空孔(ここでは、電極活物質層の有する空孔)の空孔半径)と表されることから、キャピラリー数Caは、以下のように表現される。
Ca=μ×v×r/γ
上述したように、本発明者らの検討によれば、せん断速度(v)が10[s−1]のときの電解液と電極活物質層との間のキャピラリー数Caを所定の範囲内の値に制御することで、上記で定義される高粘度の電解液を用いた場合であっても電極活物質層への濡れ性を向上させることが可能であることを見出したのである。
具体的に、本形態に係る非水電解質二次電池において、せん断速度10[s−1]における電解液と電極活物質層との間のキャピラリー数Caは、1.5×10−7以上、2.0×10−6以下であることが必須である。また、電解液と電極活物質層との間の濡れ性をよりいっそう向上させるという観点から、このキャピラリー数Caは、好ましくは1.3×10−6以下である。また、他の実施形態において、キャピラリー数Caは、好ましくは1.7×10−7以上、8.5×10−7以下であり、さらに好ましくは4.2×10−7以上、7.7×10−7以下であり、特に好ましくは4.8×10−7以上、5.9×10−7以下である。なお、本形態に係る非水電解質二次電池においては、少なくとも1つの正極活物質層または少なくとも1つの負極活物質層が、電解液との間で上記所定のキャピラリー数Caの規定を満足していればよい。ただし、本発明の作用効果をよりいっそう向上させるという観点からは、電池を構成するすべての正極活物質層または電池を構成するすべての負極活物質層が、電解液との間で上記所定のキャピラリー数Caの規定を満足していることが好ましく、電池を構成するすべての正極活物質層および電池を構成するすべての負極活物質層が、電解液との間で上記所定のキャピラリー数Caの規定を満足していることが特に好ましい。
電解液と電極活物質層との間のキャピラリー数Caを上記所定の範囲内の値に制御することで、電解液と電極活物質層との濡れ性が向上するメカニズムは完全には明らかとはなっていない。ただし、以下のようなメカニズムが推定されている。すなわち、従来の非水電解質二次電池に用いられている1M程度の希薄な電解液であれば、電解液の粘度も低いことから、電極活物質層における細孔構造との関係を特に考慮しなくとも、空孔の奥深くまで電解液を浸透させることが可能であった。一方、高濃度の電解液のように電解液の粘度が高くなると、電解液が空孔の奥まで浸透しにくくなる。特に、空孔径が比較的大きい場合には電解液が浸透しなくなるという問題があることが判明した。これに対し、電解液と電極活物質層との間のキャピラリー数Caを上記の範囲内の値に制御することで、キャピラリー力による浸透現象が生じるようになる結果、高粘度の電解液であっても電極活物質層の空孔の奥深くまで浸透して空孔の壁面を濡らすことが可能となるものと推定されている。そして、このように高粘度の電解液が空孔の奥まで浸透することができれば、電極活物質と電解液との接触面積が増大し、電極反応がよりいっそう効率的に進行しやすくなり、電池性能の向上に寄与するものと考えられる。
なお、キャピラリー数Caを算出する際には、電解液の表面張力およびせん断速度10[s−1]のときの粘性率、電極活物質層の空孔半径(空孔直径(D50)の1/2)の値が必要であるが、これらの各種パラメータの値としては、後述する実施例の欄に記載の手法により測定した値を採用するものとする。ここで、キャピラリー数Caの値を変化させる手法としては、電解液の粘性率を変化させる手法や、電極活物質層の空孔半径を変化させる手法が挙げられる。そして、上述したように、電解液の粘性率の値は、電解液を構成する有機溶媒の種類や添加剤の種類または添加量を適宜選択することにより変化させることができる。一方、電極活物質層の空孔半径の値は、電極活物質層を製造する際に施すプレス処理の条件や処理回数を適宜選択することにより変化させることが可能である。
電極活物質層の空孔直径の値として、ここでは、後述する実施例の欄において測定している体積基準の50%累積径(D50)の値を採用するものとする。電解液と電極活物質層との間の濡れ性をよりいっそう向上させるという観点から、このD50の値は、好ましくは0.2〜1.0μmであり、より好ましくは0.5〜1.0μmであり、さらに好ましくは0.7〜0.9μmである。また、同様に後述する実施例の欄において測定している体積基準の10%累積径(D10)の値は、好ましくは0.01〜0.5μmであり、より好ましくは0.01〜0.3μmであり、さらに好ましくは0.01〜0.25μmであり、特に好ましくは0.01〜0.2μmである。また、電極活物質層の空孔率(この値も実施例に記載の手法で測定する)は、好ましくは20〜30%であり、より好ましくは22〜27%であり、さらに好ましくは24〜26%である。
本形態に係る非水電解質二次電池において、電解質層にはセパレータが用いられる。セパレータは、電解質を保持して正極と負極との間のリチウムイオン伝導性を確保する機能、および正極と負極との間の隔壁としての機能を有する。
セパレータの形態としては、例えば、上記電解液を吸収保持するポリマーや繊維からなる多孔性シートのセパレータや不織布セパレータ等を挙げることができる。
ポリマーないし繊維からなる多孔性シートのセパレータとしては、例えば、微多孔質(微多孔膜)を用いることができる。該ポリマーないし繊維からなる多孔性シートの具体的な形態としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン;これらを複数積層した積層体(例えば、PP/PE/PPの3層構造をした積層体など)、ポリイミド、アラミド、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)等の炭化水素系樹脂、ガラス繊維などからなる微多孔質(微多孔膜)セパレータが挙げられる。
微多孔質(微多孔膜)セパレータの厚みとして、使用用途により異なることから一義的に規定することはできない。1例を示せば、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)、燃料電池自動車(FCV)などのモータ駆動用二次電池などの用途においては、単層あるいは多層で4〜60μmであることが望ましい。前記微多孔質(微多孔膜)セパレータの微細孔径は、最大で1μm以下(通常、数十nm程度の孔径である)であることが望ましい。
不織布セパレータとしては、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステル;PP、PEなどのポリオレフィン;ポリイミド、アラミドなど従来公知のものを、単独または混合して用いる。また、不織布のかさ密度は、含浸させた高分子ゲル電解質により十分な電池特性が得られるものであればよく、特に制限されるべきものではない。さらに、不織布セパレータの厚さは、電解質層と同じであればよく、好ましくは5〜200μmであり、特に好ましくは10〜100μmである。
また、セパレータとしては多孔質基体に耐熱絶縁層が積層されたセパレータ(耐熱絶縁層付セパレータ)であることが好ましい。耐熱絶縁層は、無機粒子およびバインダを含むセラミック層である。耐熱絶縁層付セパレータは融点または熱軟化点が150℃以上、好ましくは200℃以上である耐熱性の高いものを用いる。耐熱絶縁層を有することによって、温度上昇の際に増大するセパレータの内部応力が緩和されるため熱収縮抑制効果が得られうる。その結果、電池の電極間ショートの誘発を防ぐことができるため、温度上昇による性能低下が起こりにくい電池構成になる。また、耐熱絶縁層を有することによって、耐熱絶縁層付セパレータの機械的強度が向上し、セパレータの破膜が起こりにくい。さらに、熱収縮抑制効果および機械的強度の高さから、電池の製造工程でセパレータがカールしにくくなる。
耐熱絶縁層における無機粒子は、耐熱絶縁層の機械的強度や熱収縮抑制効果に寄与する。無機粒子として使用される材料は特に制限されない。例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタンの酸化物(SiO、Al、ZrO、TiO)、水酸化物、および窒化物、ならびにこれらの複合体が挙げられる。これらの無機粒子は、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、マイカなどの鉱物資源由来のものであってもよいし、人工的に製造されたものであってもよい。また、これらの無機粒子は1種のみが単独で使用されてもよいし、2種以上が併用されてもよい。これらのうち、コストの観点から、シリカ(SiO)またはアルミナ(Al)を用いることが好ましく、アルミナ(Al)を用いることがより好ましい。
耐熱性粒子の目付けは、特に限定されるものではないが、5〜15g/mであることが好ましい。この範囲であれば、十分なイオン伝導性が得られ、また、耐熱強度を維持する点で好ましい。
耐熱絶縁層におけるバインダは、無機粒子どうしや、無機粒子と樹脂多孔質基体層とを接着させる役割を有する。当該バインダによって、耐熱絶縁層が安定に形成され、また多孔質基体層および耐熱絶縁層の間の剥離を防止される。
耐熱絶縁層に使用されるバインダは、特に制限はなく、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリロニトリル、セルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、アクリル酸メチルなどの化合物がバインダとして用いられうる。このうち、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アクリル酸メチル、またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いることが好ましい。これらの化合物は、1種のみが単独で使用されてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
耐熱絶縁層におけるバインダの含有量は、耐熱絶縁層100重量%に対して、2〜20重量%であることが好ましい。バインダの含有量が2重量%以上であると、耐熱絶縁層と多孔質基体層との間の剥離強度を高めることができ、セパレータの耐振動性を向上させることができる。一方、バインダの含有量が20重量%以下であると、無機粒子の隙間が適度に保たれるため、十分なリチウムイオン伝導性を確保することができる。
耐熱絶縁層付セパレータの熱収縮率は、150℃、2gf/cm条件下、1時間保持後にMD、TDともに10%以下であることが好ましい。このような耐熱性の高い材質を用いることで、発熱量が高くなり電池内部温度が150℃に達してもセパレータの収縮を有効に防止することができる。その結果、電池の電極間ショートの誘発を防ぐことができるため、温度上昇による性能低下が起こりにくい電池構成になる。
[正極集電板および負極集電板]
集電板(25、27)を構成する材料は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池用の集電板として従来用いられている公知の高導電性材料が用いられうる。集電板の構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましい。軽量、耐食性、高導電性の観点から、より好ましくはアルミニウム、銅であり、特に好ましくはアルミニウムである。なお、正極集電板25と負極集電板27とでは、同一の材料が用いられてもよいし、異なる材料が用いられてもよい。
[正極リードおよび負極リード]
また、図示は省略するが、集電体(11’、11”)と集電板(25、27)との間を正極リードや負極リードを介して電気的に接続してもよい。正極および負極リードの構成材料としては、公知のリチウムイオン二次電池において用いられる材料が同様に採用されうる。なお、外装から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆することが好ましい。
[電池外装材]
電池外装材としては、公知の金属缶ケースを用いることができるほか、図1および図2に示すように発電要素を覆うことができる、アルミニウムを含むラミネートフィルム29を用いた袋状のケースが用いられうる。該ラミネートフィルムには、例えば、PP、アルミニウム、ナイロンをこの順に積層してなる3層構造のラミネートフィルム等を用いることができるが、これらに何ら制限されるものではない。高出力化や冷却性能に優れ、EV、HEV用の大型機器用電池に好適に利用することができるという観点から、ラミネートフィルムが望ましい。また、外部から掛かる発電要素への群圧を容易に調整することができることから、外装体はアルミニウムを含むラミネートフィルムがより好ましい。
本形態に係る積層型二次電池は、複数の単電池層が並列に接続された構成を有することにより、高容量でサイクル耐久性に優れるものである。したがって、本形態に係る積層型二次電池は、EV、HEVの駆動用電源として好適に使用される。
[非水電解質二次電池の製造方法]
本形態に係る非水電解質二次電池の製造方法は、特に制限されないが、一例としては、まず、電極(正極および負極)を作製する。電極の作製方法としては、電極活物質スラリーを調製し、前記電極活物質スラリーを集電体の表面に塗工し、乾燥させた後にプレス処理を施することにより電極活物質層を作製するという手法が挙げられる。そして、得られた正極および負極をセパレータを介して積層し、外装体であるアルミラミネートフィルム等からなるパックの内部に入れる。その後、電解液を注液し、真空に封止することにより電池を作製することができる。
ここで、上述した形態に係る非水電解質二次電池を作製するためには、まず、電解液の粘性率を所定の範囲内の値に制御する必要がある。電解液の粘性率を制御するには、上述したように、電解液を構成する有機溶媒の種類や添加剤の種類または添加量を適宜選択すればよい。
一方、上述した形態に係る非水電解質二次電池を作製するためには、電解液と電極活物質層との間のキャピラリー数Caを所定の範囲内の値に制御する必要がある。キャピラリー数Caを制御するには、例えば、電極活物質層を作製する際のプレス処理の条件や処理回数を適宜選択すればよい。電極活物質層の作製の際にプレス処理を施すためのプレス手段としては、特に限定されず、例えば、カレンダーロール、平板プレス等が用いられうる。プレス圧についても特に限定されないが、通常は10〜30kN程度のプレス圧を採用すればよい。ここで、プレス圧を大きくしたり、プレス回数を増やしたりすると、乾燥した塗膜(電極活物質層の前駆体)に適度のクラックが発生し、空孔直径が比較的小さい空孔が多数生じることになる。その結果、キャピラリー数Caの式における空孔半径(r)の項が小さくなり、キャピラリー数Caの値も小さくなる。この場合、空孔直径が比較的小さい空孔が多数生じるものの、電極活物質層における空孔率の値はそれほど低下しない。したがって、本願発明におけるキャピラリー数Caの制御は、従来の技術における単なる空孔率の制御とはまったく異なる技術的思想に基づくものであるといえる。すなわち、本発明の他の形態によれば、上述した本発明の一形態に係る非水電解質二次電池を製造する方法もまた、提供される。当該製造方法は、前記電極における前記電極活物質層を作製する際に、電極活物質を含む電極活物質スラリーを集電体の表面に塗工し、乾燥させた後にプレス処理を施す工程を含む。そして、せん断速度10[s−1]における前記電解液と前記電極活物質層との間のキャピラリー数Caが1.5×10−7以上、2.0×10−6以下となるように、前記プレス処理のプレス圧またはプレス処理の回数を選択することを特徴とするものである。
なお、電極の作製時におけるプレス処理の回数については、プレス圧によっても変動しうるため一義的には規定しにくいが、好ましくは2〜7回であり、より好ましくは3〜5回である。
なお、発電要素には正極タブ、負極タブを溶接により接合する。必要に応じて、溶接後に余分なタブ等をトリミングにより除去するのが望ましい。接合方法としては特に制限されるものではないが、超音波溶接機にて行うのが、接合時に発熱(加熱)せず、極めて短時間で接合できるため、熱による電極活物質層(負極活物質層および正極活物質層)の劣化を防止できる点で優れている。この際、正極タブと、負極タブとは、同じ辺(同じ取出し側)で対向(対峙)するように配置することができる。これにより、各正極の正極タブを1つに束ねて1つの正極集電板として外装体から取り出すことができる。同様に各負極の負極タブを1つに束ねて1つの負極集電板として外装体から取り出すことができる。また、正極集電板(正極集電タブ)と、負極集電板(負極集電タブ)とが、反対の辺(異なる取出し辺)となるように配置してもよい。
また、発電要素を外装体で覆う方法は制限されず、従来公知の知見が適宜参照される。一例としては、発電要素を電池外装体に用いるラミネートフィルムで、上下から、正極集電板(正極集電タブ)と、負極集電板(負極集電タブ)を電池外装体の外部に取り出せるようにして、挟み込む。
次に、上下のラミネートフィルムの外周部(封止部)のうち3辺を熱圧着して封止する。外周部のうち3辺を熱圧着して封止することで、3辺封止体を得る。この際、正極集電板(正極集電タブ)、負極集電板(負極集電タブ)を取り出す辺の熱封止部は、封止しておくのが好ましい。これは、その後の注液時に、これらの正極集電板、負極集電板が開口部にあると、注液時に電解液が飛び散るなどする恐れがあるためである。
なお、上記においては、積層構造の電池の説明を行ったが、積層型に限定されず、電池の構成としては、角形、ペーパー型、円筒型、コイン型等、種々の形状を採用することができる。
続いて、注液装置にて3辺封止体の残る1辺の開口部より、3辺封止体内部に、電解液を注入する。これによりセパレータに電解質を含浸した電解質層が形成される。この際、電解質が3辺封止体内部の積層体、特にセパレータおよび電極活物質層にできるだけ早く含浸できるように、3辺封止体は、真空ポンプに連結された真空ボックスに収納することが好ましい。さらに、減圧して内部を高真空状態にした状態で注入を行うのが望ましい。注入後、3辺封止体を真空ボックスから取出し、いったん減圧を解除することが好ましく、大気圧に戻すことがより好ましい。本発明者らの検討によれば、このようにして減圧−減圧解除の工程を行うことにより、高粘度の電解液であっても電極活物質層の空孔の内部にまで十分に浸透させることが可能であることが見出されたのである。
最後に、3辺封止体の内部を再度高真空状態にして、残る1辺を封止する。このようにして、正極と負極とがセパレータを介して対向するように積層された単電池層を積層した、ラミネートタイプ(積層構造)の非水電解質二次電池を得ることができる。ただし、最初の高真空状態を維持したまま残る1辺を封止した場合であっても特に支障がなければ、上述した減圧−減圧解除の工程を行うことは必須ではない。
以上、非水電解質二次電池の一実施形態を説明したが、本発明は上述した実施形態において説明した構成のみに限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
例えば、本発明に係る非水電解質二次電池が適用される電池の種類として、集電体の一方の面に電気的に結合した正極活物質層と、集電体の反対側の面に電気的に結合した負極活物質層とを有する双極型電極を含む、双極型(バイポーラ型)の電池も挙げられる。
図3は、本発明に係る全固体リチウムイオン二次電池の一実施形態である双極型(バイポーラ型)の二次電池(以下、単に「双極型二次電池」とも称する)を模式的に表した断面図である。図3に示す双極型二次電池10bは、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素21が、電池外装体であるラミネートフィルム29の内部に封止された構造を有する。
図3に示すように、本形態の双極型二次電池10bの発電要素21は、集電体11の一方の面に電気的に結合した正極活物質層13が形成され、集電体11の反対側の面に電気的に結合した負極活物質層15が形成された複数の双極型電極23を有する。各双極型電極23は、固体電解質層17を介して積層されて発電要素21を形成する。なお、固体電解質層17は、固体電解質が層状に成形されてなる構成を有する。図3に示すように、一の双極型電極23の正極活物質層13と前記一の双極型電極23に隣接する他の双極型電極23の負極活物質層15との間に固体電解質層17が挟まれて配置されている。
隣接する正極活物質層13、固体電解質層17、および負極活物質層15は、一つの単電池層19を構成する。したがって、双極型二次電池10bは、単電池層19が積層されてなる構成を有するともいえる。なお、発電要素21の最外層に位置する正極側の最外層集電体11aには、片面のみに正極活物質層13が形成されている。また、発電要素21の最外層に位置する負極側の最外層集電体11bには、片面のみに負極活物質層15が形成されている。また、単電池層19の外周部にはシール部(絶縁層)31が配置されている。これにより、電解質層17からの電解液の漏れによる液絡を防止し、電池内で隣り合う集電体11どうしが接触したり、発電要素21における単電池層19の端部の僅かな不揃いなどに起因する短絡が起こったりするのを防止している。
シール部は、双極型二次電池(直列積層型電池)に特有の部材であり、電解質層からの電解液の漏れを防止する機能を有する。このほかにも、電池内で隣り合う集電体同士が接触したり、積層電極の端部の僅かな不ぞろいなどによる短絡が起こったりするのを防止することもできる。シール部の構成材料としては、特に制限されないが、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ゴム、ポリイミド等が用いられうる。これらのうち、耐蝕性、耐薬品性、製膜性、経済性などの観点からは、ポリオレフィン樹脂を用いることが好ましい。
さらに、図3に示す双極型二次電池10bでは、正極側の最外層集電体11aに隣接するように正極集電板(正極タブ)25が配置され、これが延長されて電池外装体であるラミネートフィルム29から導出している。一方、負極側の最外層集電体11bに隣接するように負極集電板(負極タブ)27が配置され、同様にこれが延長されてラミネートフィルム29から導出している。
なお、単電池層19の積層回数は、所望する電圧に応じて調節する。また、双極型二次電池10bでは、電池の厚みを極力薄くしても十分な出力が確保できれば、単電池層19の積層回数を少なくしてもよい。双極型二次電池10bでも、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、発電要素21を電池外装体であるラミネートフィルム29に減圧封入し、正極集電板25および負極集電板27をラミネートフィルム29の外部に取り出した構造とするのがよい。
[組電池]
組電池は、電池を複数個接続して構成した物である。詳しくは少なくとも2つ以上用いて、直列化あるいは並列化あるいはその両方で構成されるものである。直列、並列化することで容量および電圧を自由に調節することが可能になる。
電池が複数、直列にまたは並列に接続して装脱着可能な小型の組電池を形成することもできる。そして、この装脱着可能な小型の組電池をさらに複数、直列にまたは並列に接続して、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に適した大容量、大出力を持つ組電池(電池モジュール、電池パックなど)を形成することもできる。何個の電池を接続して組電池を作製するか、また、何段の小型組電池を積層して大容量の組電池を作製するかは、搭載される車両(電気自動車)の電池容量や出力に応じて決めればよい。
[車両]
電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池を車両に搭載することができる。本発明では、長期信頼性に優れた高寿命の電池を構成できることから、こうした電池を搭載するとEV走行距離の長いプラグインハイブリッド電気自動車や、一充電走行距離の長い電気自動車を構成できる。電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池を、例えば、自動車ならばハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車(いずれも四輪車(乗用車、トラック、バスなどの商用車、軽自動車など)のほか、二輪車(バイク)や三輪車を含む)に用いることにより高寿命で信頼性の高い自動車となるからである。ただし、用途が自動車に限定されるわけではなく、例えば、他の車両、例えば、電車などの移動体の各種電源であっても適用は可能であるし、無停電電源装置などの載置用電源として利用することも可能である。
以下、実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに何ら限定されるわけではない。
[実施例1]
<正極の作製>
正極活物質であるLiNi0.5Mn0.3Co0.2O(平均粒子径:15μm)95質量%、導電助剤であるカーボンナノチューブ2質量%、およびバインダであるポリフッ化ビニリデン3質量%からなる固形分を用意した。この固形分に対し、スラリー粘度調整溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を適量添加し、混合して、正極活物質スラリーを作製した。次に、得られた正極活物質スラリーを、集電体であるアルミニウム箔(厚み20μm)の片面に塗布し、乾燥させた。その後、得られた積層体を20kNのロールプレスを用いて圧縮する操作を5回行って、本実施例の正極を作製した。
このようにして得られた正極を構成する正極活物質層の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、ソフトウェア:Image−Pro Premier(Media Cybernetics製)を用いた画像解析によって空孔部分を円にフィッティングし、得られた空孔分布から、空孔直径の体積基準の50%累積径(D50)および10%累積径(D10)を算出した。その結果、本実施例の正極活物質層のD50は0.7μmであり、D10は0.2μmであった。また、上記の画像解析によって算出された正極活物質層の空孔率は24%であった。
<負極の作製>
負極活物質である黒鉛(平均粒子径:20μm)96質量%、導電助剤であるアセチレンブラック1質量%、並びにバインダであるスチレン−ブタジエンゴム(SBR)2質量%およびカルボキシメチルセルロース(CMC)1質量%からなる固形分を用意した。この固形分に対し、スラリー粘度調整溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を適量添加し、混合して、負極活物質スラリーを作製した。次に、得られた負極活物質スラリーを、集電体である銅箔(厚み20μm)の片面に塗布し、乾燥させた。このようにして、本実施例の負極を作製した。
<電解液の調製>
非水溶媒であるジメチルカーボネート(DMC)にリチウム塩であるLi(FSON(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド;LiFSI)を4mol/L(4M)の濃度で溶解させて、本実施例の電解液を調製した。
このようにして得られた電解液について、レオメーター:MCR302(アントンパール製)を用いて、せん断速度−粘性率特性を計測した。この際、せん断速度の計測範囲は0.01〜1000[s−1]とした。そして、得られたせん断速度−粘性率特性を示すグラフから、せん断速度が0.1[s−1]および10[s−1]のときの粘性率を読み取ったところ、それぞれ500[mPa・s]および51[mPa・s]であった。また、上記で得られた電解液の表面張力をJIS K2241:2017に規定されるリング法(輪環法)により測定したところ、30[mN/m]であった。
そして、上記で作製した正極を構成する正極活物質層の空孔半径(上記D50の1/2)の値と、上記で調製した電解液の粘性率および表面張力の値とから、せん断速度10[s−1]における電解液と正極活物質層との間のキャピラリー数Caを算出したところ、5.9×10−7であった。
<試験用セルの作製>
上記で得られた正極を12.4cm、負極を13.8cmのサイズに裁断した。そして、正極の集電体(アルミニウム箔)にはアルミニウム端子付きアルミニウム箔を積層した。一方、負極の集電体(銅箔)にはニッケル端子付き銅箔を積層した。
次いで、セパレータ(セルガード社製、セルガード(登録商標)3501、ポリプロピレン(PP)製)を正極および負極の電極活物質層側に挿入して、積層体とした。この積層体を外装体である熱融着型アルミラミネートフィルム(厚み150μm)に挟み、上記で調製した電解液を注入後、外装体の内部を真空まで減圧し、いったん減圧を解除して大気圧まで戻した後、再度真空まで減圧して封止することにより、正極活物質層と負極活物質層とがセパレータを介して対向するように積層された発電要素を有するパウチ型リチウムイオン電池(試験用セル)を作製した。
<試験用セルの評価(電気二重層容量(Cdl)の測定)>
上記で作製した試験用セルについて、充放電を実施する前に、電気化学インピーダンス(EIS)測定により、電極活物質層の質量あたりの電気二重層容量(Cdl)を測定した。なお、充放電の実施前にEIS測定を行う場合には、電極活物質表面にSEI被膜が形成されることによる影響を考慮する必要がない。したがって、測定される電気二重層容量(Cdl)の値は電解液と電極活物質の表面との接触面積の大きさを反映したものとなる。また、電気化学反応において電荷移動過程が律速する場合の等価回路から取得されるインピーダンスZは下記式で表される。よってここでは、EIS測定により取得されるインピーダンスZから下記式に基づいてCdlを測定した。結果を下記の表1に示す。なお、表1に示す電気二重層容量(Cdl)の値は、後述する参考例1における電気二重層容量(Cdl)の値を基準としたときの相対値である。
Z=R+R/(1+jωRdl
式中、Rは溶液抵抗であり、Rは電荷移動抵抗であり、Cdlは電気二重層容量であり、jは虚数単位であり、ωは角周波数(=2πf(fは周波数である))である。
[実施例2]
本実施例では、電解液におけるリチウム塩(LiFSI)の濃度を3.5mol/L(3.5M)としたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、電解液を調製した。当該電解液について、上記と同様の手法によりせん断速度−粘性率特性を計測したところ、せん断速度が0.1[s−1]および10[s−1]のときの粘性率はそれぞれ400[mPa・s]および26[mPa・s]であった。そして、当該電解液の表面張力は29[mN/m]であった。
上記電解液を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、本実施例のパウチ型リチウムイオン電池(試験用セル)を作製した。なお、せん断速度10[s−1]における電解液と正極活物質層との間のキャピラリー数Caは4.8×10−7と算出された。そして、得られた試験用セルについて、上記と同様の手法により、電気二重層容量(Cdl)を測定した。結果を下記の表1に示す。
[実施例3]
本実施例では、正極を作製する際のロールプレス処理の回数を3回としたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、正極を作製した。このようにして作製された正極を構成する正極活物質層の空孔分布から、空孔直径の体積基準の50%累積径(D50)および10%累積径(D10)を算出したところ、本実施例の正極活物質層の空孔直径のD50は0.9μmであり、D10は0.25μmであった。そして、当該正極活物質層の空孔率は26%であった。
上記正極を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、本実施例のパウチ型リチウムイオン電池(試験用セル)を作製した。なお、せん断速度10[s−1]における電解液と正極活物質層との間のキャピラリー数Caは7.7×10−7と算出された。そして、得られた試験用セルについて、上記と同様の手法により、電気二重層容量(Cdl)を測定した。結果を下記の表1に示す。
[比較例1]
本比較例では、正極を作製する際のロールプレス処理の回数を2回としたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、正極を作製した。このようにして作製された正極を構成する正極活物質層の空孔分布から、空孔直径の体積基準の50%累積径(D50)および10%累積径(D10)を算出したところ、本比較例の正極活物質層の空孔直径のD50は1.5μmであり、D10は0.35μmであった。そして、当該正極活物質層の空孔率は28%であった。
上記正極を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、本比較例のパウチ型リチウムイオン電池(試験用セル)を作製した。なお、せん断速度10[s−1]における電解液と正極活物質層との間のキャピラリー数Caは1.3×10−7と算出された。そして、得られた試験用セルについて、上記と同様の手法により、電気二重層容量(Cdl)を測定した。結果を下記の表1に示す。
[比較例2]
本比較例では、正極を作製する際のロールプレス処理の回数を1回としたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、正極を作製した。このようにして作製された正極を構成する正極活物質層の空孔分布から、空孔直径の体積基準の50%累積径(D50)および10%累積径(D10)を算出したところ、本比較例の正極活物質層の空孔直径のD50は4μmであり、D10は1.3μmであった。そして、当該正極活物質層の空孔率は40%であった。
上記正極を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、本比較例のパウチ型リチウムイオン電池(試験用セル)を作製した。なお、せん断速度10[s−1]における電解液と正極活物質層との間のキャピラリー数Caは3.4×10−6と算出された。そして、得られた試験用セルについて、上記と同様の手法により、電気二重層容量(Cdl)を測定した。結果を下記の表1に示す。
[参考例1]
本参考例では、電解液におけるリチウム塩(LiFSI)の濃度を2mol/L(2M)としたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、電解液を調製した。当該電解液について、上記と同様の手法によりせん断速度−粘性率特性を計測したところ、せん断速度が0.1[s−1]および10[s−1]のときの粘性率はそれぞれ50[mPa・s]および12[mPa・s]であった。そして、当該電解液の表面張力は30[mN/m]であった。
上記電解液を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、本参考例のパウチ型リチウムイオン電池(試験用セル)を作製した。なお、せん断速度10[s−1]における電解液と正極活物質層との間のキャピラリー数Caは5.9×10−8と算出された。そして、得られた試験用セルについて、上記と同様の手法により、電気二重層容量(Cdl)を測定した。結果を下記の表1に示す。なお、上述したように、表1に示す電気二重層容量(Cdl)の値は、本参考例における電気二重層容量(Cdl)の値を基準としたときの相対値である。
[参考例2]
本参考例では、電解液におけるリチウム塩(LiFSI)の濃度を2mol/L(2M)としたこと以外は、上述した比較例1と同様の手法により、本参考例のパウチ型リチウムイオン電池(試験用セル)を作製した。なお、本参考例では、せん断速度10[s−1]における電解液と正極活物質層との間のキャピラリー数Caは1.2×10−7と算出された。そして、得られた試験用セルについて、上記と同様の手法により、電気二重層容量(Cdl)の測定を試みた。しかしながら、本参考例の試験用セルでは電気二重層容量(Cdl)を測定することができなかった。これは、電解液がうまく正極活物質層内に浸透しなかったためであると考えられた。
Figure 2021144831
[実施例4]
本実施例では、正極を作製する際のロールプレス処理の圧力および回数を下記の表2に示すように変更したこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、正極を作製した。このようにして作製された正極を構成する正極活物質層の空孔分布から、空孔直径の体積基準の50%累積径(D50)を算出したところ、本実施例の正極活物質層の空孔直径のD50は1.0μmであった。
上記で作製した正極を構成する正極活物質層に、実施例1で調製した電解液を適量垂らして浸透させ、その状態で凍結させることにより観察試料を作製した。なお、せん断速度10[s−1]における電解液と正極活物質層との間のキャピラリー数Caは8.5×10−7と算出された。
このようにして作製された観察試料について、低温(−160〜−270℃)での観察を可能とする設備(クライオホルダーなど)を装着した透過型電子顕微鏡(TEM)を用いるクライオ電子顕微鏡法により観察を行い、正極活物質層の空孔内部への電解液の浸透状態を確認した。結果を下記の表2に示す。なお、電解液が空孔内部へ浸透していた場合は〇とし、浸透していなかった場合は×とした。
[実施例5]
本実施例では、正極を作製する際のロールプレス処理の圧力および回数を下記の表2に示すように変更したこと以外は、上述した実施例4と同様の手法により、正極を作製した。このようにして作製された正極を構成する正極活物質層の空孔分布から、空孔直径の体積基準の50%累積径(D50)を算出したところ、本実施例の正極活物質層の空孔直径のD50は0.5μmであった。
このようにして作製された正極を用いて、上記と同様の手法により観察試料を作製し、クライオ電子顕微鏡法による観察を行った。結果を下記の表2に示す。なお、せん断速度10[s−1]における電解液と正極活物質層との間のキャピラリー数Caは4.2×10−7と算出された。
[実施例6]
本実施例では、正極を作製する際のロールプレス処理の圧力および回数を下記の表2に示すように変更したこと以外は、上述した実施例4と同様の手法により、正極を作製した。このようにして作製された正極を構成する正極活物質層の空孔分布から、空孔直径の体積基準の50%累積径(D50)を算出したところ、本実施例の正極活物質層の空孔直径のD50は0.2μmであった。
このようにして作製された正極を用いて、上記と同様の手法により観察試料を作製し、クライオ電子顕微鏡法による観察を行った。結果を下記の表2に示す。なお、せん断速度10[s−1]における電解液と正極活物質層との間のキャピラリー数Caは1.7×10−7と算出された。
[比較例3]
本比較例では、正極を作製する際のロールプレス処理の圧力および回数を下記の表2に示すように変更したこと以外は、上述した実施例4と同様の手法により、正極を作製した。このようにして作製された正極を構成する正極活物質層の空孔分布から、空孔直径の体積基準の50%累積径(D50)を算出したところ、本実施例の正極活物質層の空孔直径のD50は5.0μmであった。
このようにして作製された正極を用いて、上記と同様の手法により観察試料を作製し、クライオ電子顕微鏡法による観察を行った。結果を下記の表2に示す。なお、せん断速度10[s−1]における電解液と正極活物質層との間のキャピラリー数Caは4.3×10−6と算出された。
[比較例4]
本比較例では、正極を作製する際のロールプレス処理の圧力および回数を下記の表2に示すように変更したこと以外は、上述した実施例4と同様の手法により、正極を作製した。このようにして作製された正極を構成する正極活物質層の空孔分布から、空孔直径の体積基準の50%累積径(D50)を算出したところ、本実施例の正極活物質層の空孔直径のD50は0.05μmであった。
このようにして作製された正極を用いて、上記と同様の手法により観察試料を作製し、クライオ電子顕微鏡法による観察を行った。結果を下記の表2に示す。なお、せん断速度10[s−1]における電解液と正極活物質層との間のキャピラリー数Caは4.3×10−8と算出された。
Figure 2021144831
表1に示す結果から、せん断速度10[s−1]における前記電解液と前記電極活物質層との間のキャピラリー数Caが1.5×10−7以上、2.0×10−6以下の範囲内の値である実施例1〜3では、粘度が高い電解液を用いた場合であっても、電気二重層容量(Cdl)の値の低下が抑制されていることがわかる。これに対し、粘度が高い電解液を用いているにもかかわらずキャピラリー数Caが上記の範囲を外れている比較例1〜2では、電気二重層容量(Cdl)の値の低下が確認された。したがって、本発明の構成とすることにより、電気二重層容量(Cdl)が低下するのを抑制することができることが示された。なお、電気二重層容量(Cdl)の値は、電極活物質層と電解液との濡れ性(さらに言えば、電極活物質層を構成する空孔内部への電解液の浸透性)の指標である。よって、電気二重層容量(Cdl)の低下を抑制できる本発明の構成によれば、電池特性のよりいっそうの向上もまた、期待できるのである。この事実は、表2において本発明の実施例においては正極活物質層の空孔内部への電解液の浸透が確認できたことによっても裏付けられるものである。
なお、粘度が高い電解液を用いていない参考例1では、キャピラリー数Caが本願所定の範囲を外れる場合であっても、電気二重層容量(Cdl)の低下は観察されなかった。これは、電気二重層容量(Cdl)の低下という課題が、粘度が高い電解液を用いた場合に特異的に生じることを裏付けるものである。
10a 積層型二次電池、
10b 双極型二次電池、
11 集電体、
11’ 正極集電体、
11” 負極集電体、
11a 正極側の最外層集電体、
11b 負極側の最外層集電体、
13 正極活物質層、
15 負極活物質層、
17 電解質層、
19 単電池層、
21 発電要素、
23 双極型電極、
25 正極集電板(正極タブ)、
27 負極集電板(負極タブ)、
29 ラミネートフィルム
31 シール部。

Claims (6)

  1. 電極活物質および電解液を含有する電極活物質層を含む電極を有する発電要素を備えた非水電解質二次電池であって、
    前記電解液の粘性率が、せん断速度10[s−1]において10[mPa・s]以上であり、かつ、せん断速度0.1[s−1]において300[mPa・s]以上であり、
    せん断速度10[s−1]における前記電解液と前記電極活物質層との間のキャピラリー数Caが1.5×10−7以上、2.0×10−6以下である、非水電解質二次電池。
  2. 前記キャピラリー数Caが1.3×10−6以下である、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記電極活物質層が有する空孔の空孔直径の体積基準の50%累積径(D50)が0.2〜1μmである、請求項1または2に記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記電解液における電解質の濃度が3.0mol/L以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
  5. 前記電極活物質層が有する空孔の空孔直径の10%累積径(D10)が0.01〜0.2μmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池の製造方法であって、
    前記電極における前記電極活物質層を作製する際に、電極活物質を含む電極活物質スラリーを集電体の表面に塗工し、乾燥させた後にプレス処理を施す工程を含み、
    せん断速度10[s−1]における前記電解液と前記電極活物質層との間のキャピラリー数Caが1.5×10−7以上、2.0×10−6以下となるように、前記プレス処理のプレス圧またはプレス処理の回数を選択することを特徴とする、非水電解質二次電池の製造方法。
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