JP2021139472A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】潤滑油に混入した異物が保持器と内輪及び外輪との隙間から転動体側に流れ込むことを抑制することが可能な転がり軸受を提供する。【解決手段】玉軸受1は、複数の転動体2と、複数の転動体2をそれぞれ保持する複数のポケット30が形成された環状の保持器3と、保持器3の内側に配置された内輪4と、保持器3の外側に配置された外輪5とを備え、内輪4及び外輪5と保持器3との間から複数の転動体2側に潤滑油が供給される。保持器3の第1の環状体31の軸方向一方側の端面31aには、異物Fを吸着する磁性体6が配設されている。【選択図】図2
Description
本発明は、転がり軸受に関する。
従来、油潤滑環境下で使用され、保持器に保持された複数の転動体が内輪と外輪との間で転動する転がり軸受は、転動体に供給される油量が少なすぎると転動体の接触部の潤滑を十分に確保できず、焼き付きなどのトラブルが発生するおそれがある一方、転動体に供給される油量が必要以上に多いと、潤滑油を撹拌することによる撹拌抵抗によって回転抵抗が増大してしまう。このため、本出願人は、特許文献1,2のものを提案している。
特許文献1に記載の転がり軸受(玉軸受)は、外輪及び内輪と、外輪と内輪の間に配置された複数の転動体(玉)と、複数の転動体を保持する環状の保持器とを備えている。保持器は、潤滑油が流入する側に設けられた円環部と、円環部から複数の転動体側へ延びる柱部とを有しており、円環部における軸方向外側の端面と外周面とが交差する角部が、外輪の側面の軸方向位置とほぼ等しい位置に形成されている。これにより、円環部の軸方向端面に沿って流れた潤滑油が遠心力によって角部から径方向外側に飛ばされた際、この潤滑油が外輪と保持器との隙間から複数の転動体側に流入することが抑制されている。
特許文献2に記載の転がり軸受(円錐ころ軸受)は、保持器の軸方向端面を遠心力によって外方に流動する潤滑油が保持器と外輪との隙間から複数の転動体側に流れ込む割合を低減するため、保持器の軸方向一端部における半径方向内寄りの領域に内周端部から半径方向外側に向かって軸方向内側に傾斜する内側傾斜面を形成し、半径方向外寄りの領域には、半径方向外側に向かって軸方向外側に傾斜する外側傾斜面を形成している。
特許文献1,2に記載のものでは、保持器と外輪との隙間から転動体側に流れ込む潤滑油が抑えられ、回転抵抗の増大を防ぎながらも焼き付き等のトラブルの発生を防ぐために必要な量の潤滑油を転動体に供給することが可能となるが、転がり軸受によって支持されるシャフトの回転が高速になると、例えば潤滑油を貯留するオイルパンの底部に沈んでいた金属粉等の異物が掻き上げられて潤滑油中に混入し、この異物が保持器と内輪及び外輪との間から転動体側に侵入しやすくなるおそれがある。
そこで、本発明は、潤滑油に混入した異物が保持器と内輪及び外輪との隙間から転動体側に流れ込むことを抑制することが可能な転がり軸受を提供することを目的とする。
本発明は、上記の目的を達成するため、複数の転動体と、前記複数の転動体をそれぞれ保持する複数のポケットが形成された環状の保持器と、前記保持器の内側に配置された内輪と、前記保持器の外側に配置された外輪とを備え、前記内輪及び前記外輪と前記保持器との間から前記複数の転動体側に潤滑油が供給される転がり軸受であって、前記保持器の軸方向端面に磁性体が配設されている、転がり軸受を提供する。
本発明に係る転がり軸受によれば、潤滑油に混入した異物が保持器と内輪及び外輪との隙間から転動体側に流れ込むことを抑制することが可能となる。
[実施の形態]
本発明の実施の形態について、図1及び図2を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。また、本実施の形態では、転がり軸受が自動車の駆動力を伝達するシャフトを支持する場合について説明するが、本発明に係る転がり軸受の適用対象はこれに限らない。
本発明の実施の形態について、図1及び図2を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。また、本実施の形態では、転がり軸受が自動車の駆動力を伝達するシャフトを支持する場合について説明するが、本発明に係る転がり軸受の適用対象はこれに限らない。
図1は、本発明の実施の形態に係る転がり軸受としての玉軸受1が用いられた駆動力配分装置100を示す断面図である。駆動力配分装置100は、玉軸受1と、玉軸受1によって支持される支持対象軸としてのピニオンギヤシャフト11と、玉軸受1と共にピニオンギヤシャフト11を支持する円錐ころ軸受12と、玉軸受1と円錐ころ軸受12との間に配置された間座13と、ピニオンギヤシャフト11の端部に相対回転不能に連結された連結部材としてのコンパニオンフランジ14と、コンパニオンフランジ14をピニオンギヤシャフト11に固定するボルト15と、ピニオンギヤシャフト11に噛み合わされたリングギヤ16と、リングギヤ16によって駆動力が入力されるディファレンシャル装置17と、シール181及びダストカバー182と、これらを収容するディファレンシャルキャリア19とを備えている。
ピニオンギヤシャフト11は、玉軸受1の中心軸線Cを中心として回転し、図略のエンジンの駆動力が伝達される駆動軸及びこの駆動軸に連結されたコンパニオンフランジ14から入力される駆動力をリングギヤ16に伝達する。以下、中心軸線Cに平行な方向を軸方向という。円錐ころ軸受12及び玉軸受1には、ボルト15の締め付けによって軸方向の予圧が付与されている。
ディファレンシャルキャリア19は、自動車の左右輪の間に配置され、ディファレンシャル装置17は、リングギヤ16に伝達された駆動力を左右の車輪に差動を許容して配分する。図1では、図面左右方向が車両前後方向にあたり、図面下側が鉛直方向の下方にあたる。また、図1では、右車輪に駆動力を伝達するドライブシャフト171の断面を図示している。ディファレンシャルキャリア19は、本体部191と、本体部191の下部を覆うカバー部192とを有しており、カバー部192内に潤滑油Lが貯留されるオイルパン193が形成されている。
オイルパン193の底部には、微細な異物Fが沈殿している。異物Fは、例えばピニオンギヤシャフト11とリングギヤ16との噛み合い部や、ディファレンシャル装置17内のピニオンギヤ及びサイドギヤの噛み合い部で発生した鉄粉である。
ピニオンギヤシャフト11は、玉軸受1及び円錐ころ軸受12によって支持される円柱状の軸部111と、軸部111の一端部に連続して設けられ、リングギヤ16に噛み合うギヤ部112とを一体に有している。ギヤ部112は、軸部111よりも大径であり、円錐ころ軸受12は、軸部111とギヤ部112との角部に配置されている。ピニオンギヤシャフト11のギヤ部112及びリングギヤ16は、ハイポイドギヤからなる。なお、図1では、ギヤ部112及びリングギヤ16の歯形の図示を省略している。
ディファレンシャルキャリア19の本体部191には、ピニオンギヤシャフト11のギヤ部112及びリングギヤ16を収容する第1収容部191aと、ピニオンギヤシャフト11の軸部111を収容する第2収容部191bと、リングギヤ16の回転によって掻き上げられた潤滑油Lを第1収容部191aから第2収容部191bに導く給油路191cとが設けられている。
給油路191cに導かれた潤滑油Lは、玉軸受1と円錐ころ軸受12との間から第2収容部191bに供給される。図1では、車両前進時におけるリングギヤ16の回転方向を矢印A1で示し、リングギヤ16の回転によって掻き上げられた潤滑油Lの移動方向を矢印A2で示している。コンパニオンフランジ14とディファレンシャルキャリア19の本体部191との間には、第2収容部191bからの潤滑油Lの漏出を防ぐためのシール181が配置されている。
また、ディファレンシャルキャリア19の本体部191には、過剰な潤滑油Lを第2収容部191bからオイルパン193に排出する第1排出孔191d及び第2の排出孔191eが形成されている。第1排出孔191dは、玉軸受1と円錐ころ軸受12との間に開口し、第2排出孔191eは、玉軸受1とシール181との間に開口している。円錐ころ軸受12は、内輪121及び外輪122と、複数の円錐ころ123と、複数の円錐ころ123を保持する保持器124とを有している。内輪121は、ピニオンギヤシャフト11のギヤ部112におけるギヤ背面112aに当接している。
玉軸受1は、複数の転動体2と、複数の転動体2を保持する環状の保持器3と、保持器3の内側に配置された内輪4と、保持器3の外側に配置された外輪5と、保持器3に取り付けられた磁性体6とを備えている。玉軸受1は、内輪4及び外輪5と保持器3との間から複数の転動体2側に潤滑油が供給される。本実施の形態では、転動体2が球状の玉である。内輪4は、ピニオンギヤシャフト11の軸部111に外嵌されている。次に、この玉軸受1の構成について詳細に説明する。
(玉軸受1の構成)
図2(a)は、図1における玉軸受1の周辺部を拡大して示す拡大図である。図2(b)は、玉軸受1を軸方向に沿って給油路191c側から見た側面図である。
図2(a)は、図1における玉軸受1の周辺部を拡大して示す拡大図である。図2(b)は、玉軸受1を軸方向に沿って給油路191c側から見た側面図である。
玉軸受1は、内輪4及び外輪5と転動体2との接触点を結んだ直線aが径方向に対して接触角θをもって傾斜したアンギュラ玉軸受である。内輪4がピニオンギヤシャフト11と共に回転すると、複数の転動体2が内輪4に形成された内輪軌道面4a及び外輪5に形成された外輪軌道面5aを転動する。また、この転動体2の転動に伴い、保持器3が内輪4よりも低い速度で内輪4と同方向に回転する。
転動体2、内輪4、及び外輪5は、例えば軸受鋼からなる。内輪4は、一方の側面4bが間座13に当接し、他方の側面4cがコンパニオンフランジ14に当接している。外輪5は、一方の側面5bがディファレンシャルキャリア19の本体部191に形成された環状突起191fに当接している。
保持器3は、例えば46ナイロンやポリフェニレンサルファイドあるいはポリアミド等の合成樹脂からなり、第1及び第2の環状体31,32と複数の柱33とを一体に有している。複数の柱33は、第1の環状体31と第2の環状体32とを連結し、複数の転動体2をそれぞれ収容する複数のポケット30を形成している。図2(a)では、複数の柱33のうち一つの柱33を破線で示している。第1の環状体31の外径は、第2の環状体32の外径よりも小さく、第1の環状体31の内径は、第2の環状体32の内径よりも小さく形成されている。
なお、保持器3としては、単一の環状体と、この環状体の一側面から軸方向に延びる複数の柱とを一体に有する冠形のものであってもよい。この場合、環状体が複数の転動体2の給油路191c側に配置される。
第1の環状体31は、複数のポケット30よりも給油路191c側に配置され、第2の環状体32は、複数のポケット30よりも第2排出孔191e側に配置されている。給油路191cから供給された潤滑油は、内輪4と外輪5との間に第1の環状体31側から流入し、第2の環状体32側から流出する。以下、第1の環状体31及びその周辺の構造を説明するにあたり、軸方向における複数のポケット30とは反対側(図2(a)〜(b)の左側)を軸方向一方側といい、複数のポケット30側(図2(a)〜(b)の右側)を軸方向他方側という。
保持器3の第1の環状体31には、磁力によって異物Fを吸着し、潤滑油に混入した異物Fが内輪4及び外輪5と保持器3との間から複数の転動体2側に侵入することを抑制するための磁性体6が配設されている。ここで、配設されているとは、保持器3と一体に回転するように第1の環状体31の表面に固定して配置されていることをいう。
本実施の形態では、磁性体6が着磁されたゴム磁石からなる。ゴム磁石は、磁性粉末がゴム等のバインダー材に混ぜ合わされて成形されたものであり、弾性を有している。磁性粉末の材料としては、例えばフェライト系、ネオジウム系、あるいはサマリウム系のものを用いることができる。バインダー材としては、例えばニトリルゴム系、フッ素ゴム系、あるいはシリコンゴム系のものを用いることができる。
本実施の形態では、磁性体6が、保持器3の第1の環状体31における軸方向一方側の端面31aの全体と、内径面31bの全体と、外径面31cの軸方向一方側の一部とを覆っている。第1の環状体31の内径面31bを覆う磁性体6は、内輪4における内輪軌道面4aよりも軸方向一方側の外径面4dに隙間を介して対向している。第1の環状体31の外径面31cの一部を覆う磁性体6は、外輪5における外輪軌道面5aよりも軸方向一方側の内径面5cに隙間を介して対向している。
また、本実施の形態では、磁性体6が保持器3と共に二色成型によって一体に成型されている。ただし、これに限らず、磁性体6が例えば接着により保持器3に配設されていてもよい。また、磁性体6として、金属系磁石やフェライト磁石等の硬質のものを用いてもよい。この場合、例えばインモールド成型によって磁性体6を保持器3と一体化することができる。
第1の環状体31の軸方向一方側の端面31aを覆う部分の磁性体6の表面には、保持器3の周方向に沿って延びる複数の凹部60及び凸部61が形成されている。本実施の形態では、6つの凸部61が同心円状に形成され、これらの凸部61の間に五つの凹部60が軸方向に窪むように形成されている。5つの凹部60のうち、径方向内側から二つ目の凹部60(以下、この凹部60を凹部60Aという)は、最も軸方向他方側に位置しており、他の凹部60は、凹部60Aから離れた位置にある凹部60ほど軸方向一方側に位置している。第1の環状体31の径方向における凹部60Aの位置は、第1の環状体31の径方向中央部よりも内側である。
磁性体6は、転動体2を磁化させないように、ポケット30の内面30a及びその周辺部を除く範囲に配設されている。より具体的には、ポケット30の内面30aと、第1の環状体31の軸方向他方側の端面31dと、外径面31cの軸方向他方側の一部には、磁性体6が配設されていない。これにより、転動体2が磁化することによって異物Fが転動体2に吸着されることが抑制されている。
なお、保持器3又は外輪5の構成により、転動体2を磁化する作用が抑えられるのであれば、第1の環状体31の外径面31cの全体に磁性体6を配設してもよい。また、第1の環状体31の内径面31bの全体を覆うように磁性体6を配設した場合に転動体2を磁化させるおそれがあれば、第1の環状体31の内径面31bの軸方向一方側の一部のみを覆うように磁性体6を配設することが望ましい。すなわち、磁性体6は、第1の環状体31の内径面31b及び外径面31cのそれぞれの少なくとも一部を覆うように配設されていればよい。
(実施の形態の効果)
以上説明した本実施の形態によれば、給油路191cから供給される潤滑油に異物Fが混入していても、異物Fが磁性体6に吸着され、内輪4及び外輪5と保持器3との間から異物Fが複数の転動体2側に侵入することを抑制することができる。
以上説明した本実施の形態によれば、給油路191cから供給される潤滑油に異物Fが混入していても、異物Fが磁性体6に吸着され、内輪4及び外輪5と保持器3との間から異物Fが複数の転動体2側に侵入することを抑制することができる。
また、本実施の形態では、第1の環状体31の軸方向一方側の端面31aを覆う部分の磁性体6の表面に保持器3の周方向に沿って延びる複数の凹部60及び凸部61が形成されているので、磁性体6の表面積が増大して異物Fを吸着しやすくなると共に、異物Fが保持器3の回転による遠心力を受けても凸部61を乗り越えて保持器3の径方向に移動しにくくなる。これにより、異物Fが外輪5と保持器3との間から複数の転動体2側に侵入することをより確実に抑制することができる。
またさらに、本実施の形態では、第1の環状体31の内径面31b及び外径面31cに磁性体6が配設されているので、内輪4と保持器3との間ならびに外輪5と保持器3の間に侵入した異物Fを磁性体6に吸着することができ、異物Fが内輪4及び外輪5と保持器3との間から複数の転動体2側に侵入することをより一層確実に抑制することができる。
[変形例]
次に、本発明の変形例について、図3乃至図5を参照して説明する。なお、図3乃至図5に示す玉軸受1A〜1Cでは、各構成部材について、図1及び図2に付した符号を援用することで重複した説明を省略する。
次に、本発明の変形例について、図3乃至図5を参照して説明する。なお、図3乃至図5に示す玉軸受1A〜1Cでは、各構成部材について、図1及び図2に付した符号を援用することで重複した説明を省略する。
図3(a)は、第1の変形例に係る玉軸受1Aを示す断面図である。図3(b)は、図3(a)の部分拡大図である。上記の実施の形態では、磁性体6が第1の環状体31の軸方向一方側の端面31aと内径面31b及び外径面31cにわたって配設された場合について説明したが、玉軸受1Aでは、磁性体6が第1の環状体31の軸方向一方側の端面31aを覆い、第1の環状体31の内径面31b及び外径面31cには設けられていない。
この変形例によれば、潤滑油に含まれる異物Fの量が多い場合でも、磁性体6に吸着された異物Fによる第1の環状体31と内輪4及び外輪5との間の詰まりの発生を抑制することができる。また、異物Fが磁力によって第1の環状体31の径方向内側及び径方向外側に吸着されないので、内輪4の外側及び外輪5の内側における潤滑油の流路を狭くすることができ、複数の転動体2側に流入する潤滑油の量を減らすことができることから、潤滑油の撹拌抵抗による回転抵抗の増大を抑制することができる。
図4(a)は、第2の変形例に係る玉軸受1Bを示す断面図である。図4(b)は、図4(a)の部分拡大図である。上記の実施の形態では、第1の環状体31の軸方向一方側の端面31aを覆う部分の磁性体6の表面に複数の凹部60及び凸部61が形成された場合について説明したが、玉軸受1Bでは、第1の環状体31の端面31aを覆う部分の磁性体6の表面が、径方向内側寄りの領域に形成された内側傾斜面6aと、内側傾斜面6aよりも径方向外側寄りの領域に形成された外側傾斜面6bとによって形成されている。内側傾斜面6aは、径方向外側に向かうに連れて軸方向他方側に傾斜しており、外側傾斜面6bは、径方向外側に向かうに連れて軸方向一方側に傾斜している。また、磁性体6は、上記の実施の形態と同様に、第1の環状体31の内径面31bの全体と、外径面31cの軸方向一方側の一部とを覆っている。
この変形例によっても、潤滑油に混入した異物Fが磁性体6に吸着されて内輪4及び外輪5と保持器3との間から複数の転動体2側に侵入することを抑制することができる。また、保持器3が高速で回転する場合には、潤滑油が遠心力によって内側傾斜面6a及び外側傾斜面6bに沿って円滑に径方向外方に流動し、保持器3と外輪5との間から複数の転動体2側に流入する潤滑油の量を減らすことができ、潤滑油の撹拌抵抗による回転抵抗の増大を抑制することができる。
図5(a)は、第3の変形例に係る玉軸受1Cを示す断面図である。図5(b)は、図5(a)の部分拡大図である。玉軸受1Cは、第2の変形例に係る玉軸受1Bにおいて、第1の環状体31の内径面31bの全体と、外径面31cの軸方向一方側の一部とを覆っていた磁性体6を省略したものである。この玉軸受1Cによれば、潤滑油に含まれる異物Fの量が多い場合でも、磁性体6に吸着された異物Fによる第1の環状体31と内輪4及び外輪5との間の詰まりの発生を抑制することができると共に、内輪4の外側及び外輪5の内側における潤滑油の流路を狭くして複数の転動体2側に流入する潤滑油の量を減らすことができ、潤滑油の撹拌抵抗による回転抵抗の増大を抑制することができる。
(付記)
以上、本発明を実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、この実施の形態及び変形例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
以上、本発明を実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、この実施の形態及び変形例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で、一部の構成を省略し、あるいは構成を追加もしくは置換して、適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記の実施の形態及び変形例では、本発明をアンギュラ玉軸受に適用した場合について説明したが、これに限らず、例えば接触角を有しない玉軸受や円筒ころ軸受、あるいは円錐ころ軸受に対しても、本発明を適用することが可能である。また、本発明に係る転がり軸受は、車両の駆動力配分装置において駆動力を伝達するシャフトを支持する用途に限らず、例えば車両のトランスミッションやトランスファ、あるいは産業機械等の様々な用途に用いることが可能である。
1,1A.1B,1C…玉軸受(転がり軸受) 2…転動体
3…保持器 30…ポケット
31…第1の円環部 31b…内径面
31c…外径面 33…柱
4…内輪 4d…外径面
5…外輪 5c…内径面
6…磁性体 60…凹部
61…凸部 F…異物
3…保持器 30…ポケット
31…第1の円環部 31b…内径面
31c…外径面 33…柱
4…内輪 4d…外径面
5…外輪 5c…内径面
6…磁性体 60…凹部
61…凸部 F…異物
Claims (6)
- 複数の転動体と、前記複数の転動体をそれぞれ保持する複数のポケットが形成された環状の保持器と、前記保持器の内側に配置された内輪と、前記保持器の外側に配置された外輪とを備え、前記内輪及び前記外輪と前記保持器との間から前記複数の転動体側に潤滑油が供給される転がり軸受であって、
前記保持器の軸方向端面に磁性体が配設されている、
転がり軸受。 - 前記保持器は、円環状に形成された環状体と、前記環状体から軸方向に延びて前記複数の転動体を保持する複数のポケットを形成する複数の柱とを有し、
前記環状体における前記複数のポケット側とは反対側の軸方向端面に前記磁性体が配設されている、
請求項1に記載の転がり軸受。 - 前記磁性体の表面に、前記保持器の周方向に沿って延びる複数の凹部及び凸部が形成されている、
請求項1又は2に記載の転がり軸受。 - 前記磁性体が前記保持器の外径面の少なくとも一部を覆うように配設されている、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の転がり軸受。 - 前記磁性体が前記保持器の内径面の少なくとも一部を覆うように配設されている、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の転がり軸受。 - 前記磁性体が、前記ポケットの内面及びその周辺部を除く範囲に配設されている、
請求項2に記載の転がり軸受。
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