JP2021076127A - 転がり軸受装置 - Google Patents

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昭人 鳥居
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【課題】潤滑油に混入した異物が保持器と外輪との隙間から転動体側に流れ込むことを抑制することが可能な転がり軸受装置を提供する。【解決手段】転がり軸受装置1は、環状部材2と、複数の転動体3と、複数の転動体3を保持する保持器4と、保持器4の内側に配置された内輪5と、保持器4の外側に配置された外輪6とを備え、保持器4の軸方向一端部における外周面と外輪6の内周面との隙間S1から複数の転動体3側に潤滑油Lが供給される。環状部材2には、保持器4の外周面に対向して開口し、保持器4の回転によって発生する遠心力により、保持器4の外周側における潤滑油Lの一部を径方向外方に導く油路21が形成されている。潤滑油Lと共に複数の油路21に流れ込んだ異物Fは、複数の排出溝22から第2収容部191b内に排出される。【選択図】図2

Description

本発明は、油潤滑環境下で使用される転がり軸受装置に関する。
従来、油潤滑環境下で使用され、保持器に保持された複数の転動体が内輪と外輪との間で転動する転がり軸受は、転動体に供給される油量が少なすぎると転動体の接触部の潤滑を十分に確保できず、焼き付きなどのトラブルが発生するおそれがある一方、転動体に供給される油量が必要以上に多いと、潤滑油を撹拌することによる撹拌抵抗によって回転抵抗が増大してしまう。このため、本出願人は、特許文献1のものを提案している。
特許文献1に記載の転がり軸受(円錐ころ軸受)は、保持器の軸方向端面を遠心力によって外方に流動する潤滑油が保持器と外輪との隙間から転動体側に流れ込む割合を低減するため、保持器の軸方向一端部における半径方向内寄りの領域に内周端部から半径方向外側に向かって軸方向内側に傾斜する内側傾斜面を形成し、半径方向外寄りの領域には、半径方向外側に向かって軸方向外側に傾斜する外側傾斜面を形成している。
特開2019−44975号公報
特許文献1に記載のものでは、保持器と外輪との隙間から転動体側に流れ込む潤滑油が抑えられ、回転抵抗の増大を防ぎながらも焼き付き等のトラブルの発生を防ぐために必要な量の潤滑油を転動体に供給することが可能となるが、転がり軸受によって支持されるシャフトの回転が高速になると、例えばオイルパンの底部に沈んでいた金属粉等の異物が掻き上げられて潤滑油中に混入し、この異物が保持器と外輪との間から侵入しやすくなるおそれがある。
そこで、本発明は、潤滑油に混入した異物が保持器と外輪との隙間から転動体側に流れ込むことを抑制することが可能な転がり軸受装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記の目的を達成するため、複数の転動体と、前記複数の転動体を保持する保持器と、前記保持器の内側に配置された内輪と、前記保持器の外側に配置された外輪とを備え、前記保持器の軸方向一端部における外周面と前記外輪の内周面との隙間から前記複数の転動体側に潤滑油が供給される転がり軸受装置であって、前記保持器の前記外周面に対向して開口し、前記保持器の回転によって発生する遠心力により、前記保持器の外周側における前記潤滑油の一部を径方向外方に導く油路が形成されている、転がり軸受装置を提供する。
本発明に係る転がり軸受によれば、潤滑油に混入した異物が保持器と外輪との隙間から転動体側に流れ込むことを抑制することが可能となる。
本発明の第1の実施の形態に係る転がり軸受装置が用いられた駆動力配分装置を示す断面図である。 図1における転がり軸受装置の周辺部を拡大して示す拡大図である。 図2の一部をさらに拡大して示す拡大図である。 (a)は、環状部材における外輪とは反対側の端面である背面を、(b)は、環状部材を径方向外方から見た外周面を、(c)は、環状部材における外輪との対向面を、(d)は、(c)のA−A線における環状部材の断面を、それぞれ示している。 環状部材の一部を示す斜視図である。 第1の実施の形態の作用を説明するために示す説明図である。 本発明の第2の実施の形態に係る転がり軸受装置を示す断面図である。 (a)は、第2の実施の形態に係る環状部材の外輪との対向面を示し、(b)は、第2の実施の形態に係る外輪の小径側の軸方向端面を示している。 本発明の第3の実施の形態に係る転がり軸受装置を示す断面図である。 (a)は、第3の実施の形態に係る外輪の端面を示し、(b)は、外輪の貫通孔に沿った断面を示している。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態について、図1乃至図6を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。また、本実施の形態では、転がり軸受装置が自動車の駆動力を伝達するシャフトを支持する場合について説明するが、本発明に係る転がり軸受装置の適用対象はこれに限らない。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る転がり軸受装置1が用いられた駆動力配分装置100を示す断面図である。駆動力配分装置100は、転がり軸受装置1と、転がり軸受装置1によって支持される支持対象軸としてのピニオンギヤシャフト11と、転がり軸受装置1と共にピニオンギヤシャフト11を支持する円錐ころ軸受12と、転がり軸受装置1と円錐ころ軸受12との間に配置された間座13と、円錐ころ軸受12に当接してピニオンギヤシャフト11の端部に相対回転不能に連結されたコンパニオンフランジ14と、コンパニオンフランジ14をピニオンギヤシャフト11に固定するボルト15と、ピニオンギヤシャフト11に噛み合わされたリングギヤ16と、リングギヤ16によって駆動力が入力されるディファレンシャル装置17と、シール181及びダストカバー182と、これらを収容するディファレンシャルキャリア19とを備えている。
ピニオンギヤシャフト11は、転がり軸受装置1の中心軸線Cを中心として回転し、図略のエンジンからプロペラシャフト及びコンパニオンフランジ14を介して伝達された駆動力をリングギヤ16に伝達する。以下、中心軸線Cに平行な方向を軸方向という。円錐ころ軸受12及び転がり軸受装置1には、ボルト15の締め付けによって軸方向の予圧が付与されている。
ディファレンシャルキャリア19は、自動車の後部に配置され、ディファレンシャル装置17は、リングギヤ16に伝達された駆動力を左右の後輪に差動を許容して配分する。図1では、図面左側が車両前方にあたり、図面下側が鉛直方向の下方にあたる。また、図1では、左後輪に駆動力を伝達するドライブシャフト171の断面を図示している。ディファレンシャルキャリア19は、本体部191と、本体部191の下部を覆うカバー部192とを有しており、カバー部192内に潤滑油Lが貯留されるオイルパン193が形成されている。
ピニオンギヤシャフト11は、転がり軸受装置1及び円錐ころ軸受12によって支持される円柱状の軸部111と、軸部111の一端部に連続して設けられ、リングギヤ16に噛み合うギヤ部112とを一体に有している。ギヤ部112は、軸部111よりも大径であり、転がり軸受装置1は、軸部111とギヤ部112との角部に配置されている。ピニオンギヤシャフト11のギヤ部112及びリングギヤ16は、ハイポイドギヤからなる。なお、図1では、ギヤ部112及びリングギヤ16の歯形の図示を省略している。
ディファレンシャルキャリア19の本体部191には、ピニオンギヤシャフト11のギヤ部112及びリングギヤ16を収容する第1収容部191aと、ピニオンギヤシャフト11の軸部111を収容する第2収容部191bと、リングギヤ16の回転によって掻き上げられた潤滑油Lを第1収容部191aから第2収容部191bに導く給油路191cとが設けられている。
給油路191cに導かれた潤滑油Lは、転がり軸受装置1と円錐ころ軸受12との間から第2収容部191bに供給される。図1では、車両前進時におけるリングギヤ16の回転方向を矢印Aで示し、リングギヤ16の回転によって掻き上げられた潤滑油Lの移動方向を矢印Aで示している。コンパニオンフランジ14とディファレンシャルキャリア19の本体部191との間には、第2収容部191bからの潤滑油Lの漏出を防ぐためのシール181が配置されている。
また、ディファレンシャルキャリア19の本体部191には、過剰な潤滑油Lを第2収容部191bからオイルパン193に排出する第1排出孔191d及び第2の排出孔191eが形成されている。第1排出孔191dは、転がり軸受装置1と円錐ころ軸受12との間に開口し、第2排出孔191eは、円錐ころ軸受12とシール181との間に開口している。円錐ころ軸受12は、内輪121及び外輪122と、複数の円錐ころ123と、複数の円錐ころ123を保持する保持器124とを有しており、円錐ころ軸受12を潤滑した潤滑油Lが第2排出孔191eから排出される。
またさらに、ディファレンシャルキャリア19の本体部191には、転がり軸受装置1を保持する保持穴190が、第1収容部191aにおける第2収容部191b側の端部に形成されている。保持穴190は、第2収容部191b側からコンパニオンフランジ14側に向かって軸方向に窪むように形成されている。
転がり軸受装置1は、軸受部10と、軸受部10に隣接して配置された環状部材2とを有している。軸受部10は、複数の転動体3と、複数の転動体3を保持する保持器4と、保持器4の内側に配置された内輪5と、保持器4の外側に配置された外輪6とを備えている。内輪5は、ピニオンギヤシャフト11の軸部111に外嵌され、外輪6は、保持穴190に内嵌されている。本実施の形態では、軸受部10が円錐ころ軸受として構成されており、転動体3が円錐ころからなる。次に、この転がり軸受装置1の構成について詳細に説明する。
図2は、図1における転がり軸受装置1の周辺部を拡大して示す拡大図である。図3は、図2の一部をさらに拡大して示す拡大図である。図4(a)は、環状部材2における外輪6とは反対側の端面である背面2aを、図4(b)は、環状部材2を径方向外方から見た外周面2bを、図4(c)は、環状部材2における外輪6との対向面2cを、図4(d)は、図4(c)のA−A線における環状部材2の断面を、それぞれ示している。図5は、環状部材2の一部を示す斜視図である。
転動体3は、軸受鋼からなり、部分円錐形状に形成されている。また、転動体3は、外周の転走面3aが円錐状に研磨加工されており、小径側の小端面3b及び大径側の大端面3cが平面状に形成されている。
保持器4は、ポリフェニレンサルファイドやポリアミド等の合成樹脂を射出成形することによって環状に形成されており、複数の転動体3を周方向等間隔に保持している。保持器4は、第1及び第2の円環部41,42と、第1及び第2の円環部41,42を連結する複数の柱43とを一体に有しており、第1の円環部41が転動体3の小端面3bに対向し、第2の円環部42が転動体3の大端面3cに対向している。
隣り合う2つの柱43と第1及び第2の円環部41,42によって囲まれた空間は、転動体3を自転可能に保持するポケット40となっている。柱43は、軸方向に対して傾斜しており、第1の円環部41の内径及び外径は、第2の円環部42の内径及び外径よりも小さく形成されている。内輪5がピニオンギヤシャフト11と共に回転すると、それぞれの転動体3がポケット40内で自転すると共に、中心軸線Cを中心として公転する。これに伴って、保持器4が内輪5と同方向に回転する。
内輪5は、ピニオンギヤシャフト11の軸部111の外周面111aに対向する内周面5aが円筒形状に形成されており、軸方向の両端面5b,5cが軸方向に対して垂直な平面状に形成されている。軸方向の両端面5b,5cのうち、転動体3の小端面3b側にあたる小径側の端面5bには間座13が当接しており、転動体3の大端面3c側にあたる大径側の端面5cは、ピニオンギヤシャフト11のギヤ部112に当接している。また、内輪5は、転動体3の小端面3bに対向する小つば51と、転動体3の大端面3cに対向する大つば52とを有しており、小つば51と大つば52との間に、転動体3が転走する内側軌道面5dが円錐状に形成されている。小つば51及び大つば52は、内側軌道面5dよりも径方向外方に突出している。
外輪6は、保持穴190の内周面190aに対向する外周面6aが円筒形状に形成されており、軸方向の両端面6b,6cが軸方向に対して垂直な平面状に形成されている。外輪6は、外周面6aが保持穴190の内周面190aに嵌合されている。外輪6の軸方向の両端面6b,6cのうち、転動体3の小端面3b側にあたる小径側の端面6bは、環状部材2の対向面2cに当接している。環状部材2の背面2aは、保持穴190の底面190bに当接している。
外輪6の内周には、転動体3が転走する外側軌道面6dが円錐状に形成されると共に、中心軸線Cに対して平行な円筒面6eが形成されている。円筒面6eは、外輪6の内径が最も小さい部分における外輪6の内周面であり、外側軌道面6dよりも端面6b側に形成されている。
保持器4の第1の円環部41は、外輪6の円筒面6eに対向する外周面41aと、内輪5の小つば51の外周面51aに対向する内周面41bとを有している。第1の円環部41の外周面41aは、保持器4の軸方向一端部における外周面に相当し、第1の円環部41の内周面41bは、保持器4の軸方向一端部における内周面に相当する。
第1の円環部41の外周面41aは、環状部材2の内周面2dにも対向している。第1の円環部41の外周面41aと、外輪6の円筒面6e及び環状部材2の内周面2dとは、互いに平行であり、第1の円環部41の外周面41aと外輪6の円筒面6eとの間、及び第1の円環部41の外周面41aと環状部材2の内周面2dとの間には、径方向の隙間S,Sがそれぞれ形成されている。
第1の円環部41の内周面41b及び小つば51の外周面51aは、中心軸線Cに対して平行である。第1の円環部41の内周面41bと小つば51の外周面51aとの間には、径方向の隙間Sが形成されている。隙間Sの径方向幅Dは、隙間S,Sの径方向幅D,Dよりも狭く形成されている。隙間Sの径方向幅Dと隙間Sの径方向幅Dとは同等である。
また、保持器4の第1の円環部41は、転動体3の小端面3bに対向する軸方向内側の内端面41cと、内端面41cの反対側にあたる軸方向外側の外端面41dとを有している。外端面41dは、径方向内側寄りの領域に形成された内側傾斜面41eと、内側傾斜面41eよりも径方向外側寄りの領域に形成された外側傾斜面41fとを有している。内側傾斜面41eは、第1の円環部41における内輪5側の内角部411から径方向外側に向かって軸方向内側に傾斜している。外側傾斜面41fは、内側傾斜面41e側から外輪6側の外角部412に向かって軸方向外側に傾斜している。
第1の円環部41は、内側傾斜面41eと内周面41bとが内角部411において鋭角に交差し、外側傾斜面41fと外周面41aとが外角部412において鋭角に交差している。内角部411は、内輪5の小径側の端面5bよりも軸方向内側(ポケット40側)に位置し、外角部412は、内輪5の小径側の端面5b及び外輪6の小径側の端面6bよりも軸方向外側に突出している。
内輪5は、ピニオンギヤシャフト11と一体に回転し、保持器4は、複数の転動体3の公転と共に内輪5よりも低速で非回転の外輪6に対して回転する。給油路191cから第2収容部191bに供給されて内輪5の小径側の端面5bに付着した潤滑油Lは、内輪5と共に回転しながら遠心力によって内輪5の小径側の端面5bを径方向外方に流動し、さらに保持器4の第1の円環部41の内側傾斜面41e及び外側傾斜面41fを遠心力によって径方向外方に流動し、第1の円環部41の外周側に到達する。
複数の転動体3には、第1の円環部41の外側に形成された隙間S及び隙間Sから潤滑油Lが供給されると共に、第1の円環部41の内側に形成された隙間Sから潤滑油Lが供給される。ただし、隙間Sの径方向幅Dが隙間S,Sの径方向幅D,Dよりも狭いこと、及び第1の円環部41の内角部411が内輪5の小径側の端面5bよりも軸方向内側に位置していることにより、隙間Sから複数の転動体3側に供給される潤滑油Lの量は、隙間S及び隙間Sから複数の転動体3側に供給される潤滑油Lの量よりも少ない。すなわち、複数の転動体3は、主として第1の円環部41の外周面41aと外輪6の円筒面6eとの隙間Sから供給される潤滑油Lによって潤滑される。
ところで、ピニオンギヤシャフト11及びリングギヤ16が高速で回転し、リングギヤ16によってオイルパン193から掻き上げられる潤滑油Lの量が増大すると、オイルパン193の底部に沈んでいた金属粉等の異物Fが掻き上げられて、複数の転動体3に供給される潤滑油中に混入しやすくなる。異物Fは、例えばピニオンギヤシャフト11のギヤ部112やリングギヤ16、あるいはディファレンシャル装置17で発生した摩耗粉である。なお、図1及び後述する図6では、異物Fの大きさを誇張して示している。
本実施の形態では、外輪6と軸方向に並んで配置された環状部材2によって、潤滑油Lに混入した異物Fが保持器4と外輪6との間から複数の転動体3側に流れ込むことを抑制している。環状部材2は、例えば鋼板をプレス加工して形成されている。次に、環状部材2の構成及び作用について詳細に説明する。
図4(c)に示すように、環状部材2における外輪6との対向面2cには、保持器4の第1の円環部41の外周面41aに対向して開口する複数の油路21が形成されている。本実施の形態では、複数の油路21が、外輪6との対向面2cに設けられた溝によって形成されており、図4(c)の図示例では24本の油路21が放射状に形成されている。複数の油路21は、保持器4の回転によって発生する遠心力により、保持器4における第1の円環部41の外周側における潤滑油Lの一部を外輪6の円筒面6eよりも径方向外方に導く。
また、環状部材2には、図4(a)及び(b)に示すように、対向面2cとは反対側の端面にあたる背面2aに複数の排出溝22が形成されると共に、複数の油路21と複数の排出溝22とを連通させる複数の連通路23が形成されている。本実施の形態では、複数の連通路23が、外周面2bに設けられた溝によって形成されている。図4(a)及び(b)の図示例では、背面2aに4本の排出溝22が放射状に形成されており、環状部材2の周方向における4本の排出溝22のそれぞれと同じ位置に、同じく4本の連通路23が形成されている。複数の油路21により径方向外方に導かれた潤滑油Lは、複数の連通路23を経て複数の排出溝22から排出される。
環状部材2は、外周面2bと対向面2c及び背面2aとの間の角部ならびに内周面2dと対向面2c及び背面2aとの間の角部の四隅が面取りされており、外周面2bと対向面2cとの間に第1面取り面2eが、外周面2bと背面2aとの間に第2面取り面2fが、内周面2dと対向面2cとの間に第3面取り面2gが、また内周面2dと背面2aとの間に第4面取り面2hが、それぞれ形成されている。
このうち、第1面取り面2eが形成された第1面取り部24は、複数の油路21及び複数の連通路23に連通して環状に形成されており、複数の油路21から導出された潤滑油Lが第1面取り部24を経て複数の連通路23に流入する。また、第2面取り面2fが形成された第2面取り部25は、複数の連通路23及び複数の排出溝22に連通して環状に形成されている。複数の連通路23から導出された潤滑油Lは、第2面取り部25を経て複数の排出溝22に流入する。
このように、本実施の形態では、連通路23及び排出溝22の本数よりも多い本数の油路21が環状部材2に形成されており、より多くの潤滑油Lを複数の油路21に導入しやすくなっている。ただし、油路21の本数は、連通路23及び排出溝22の本数と同じでもよく、連通路23及び排出溝22の本数よりも少なくてもよい。また、本実施の形態では、外輪6と並んで一つの環状部材2が配置されているが、外輪6と並んで複数の環状部材2を配置してもよい。
図6は、本実施の形態の作用を説明するために示す説明図である。図6に示すように、第1の円環部41の外周面41aと環状部材2の内周面2dとの間の隙間Sを通過した潤滑油Lは、第1の円環部41の外周面41aと外輪6の円筒面6eとの間の隙間Sと、複数の油路21とに分流されるが、潤滑油Lに異物Fが混入している場合、異物Fは、潤滑油Lよりも比重が大きいため、遠心力の影響をより受けやすい。これにより、複数の油路21に流れ込む潤滑油Lは、隙間Sに流れる潤滑油Lよりも異物Fの混入割合が大きい。このため、潤滑油Lに混入した異物Fが保持器4と外輪6との間から複数の転動体3側に流れ込むことが抑制される。潤滑油Lと共に複数の油路21に流れ込んだ異物Fは、複数の排出溝22から第2収容部191b内に排出され、さらに第1排出孔191dからオイルパン193に排出される。
以上のように、本実施の形態によれば、保持器4と外輪6との間から複数の転動体3側に潤滑油Lを供給しながらも、転動体3側に供給される潤滑油Lに含まれる異物Fの量を低減することができ、複数の転動体3を円滑に回転させることが可能となる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について、図7及び図8を参照して説明する。図7は、本発明の第2の実施の形態に係る転がり軸受装置1Aを示す断面図である。図8(a)は、第2の実施の形態に係る環状部材2Aの対向面2cを示し、図8(b)は、第2の実施の形態に係る外輪6Aの小径側の軸方向端面である端面6bを示している。図7及び図8(a),(b)において、第1の実施の形態で説明したものと共通する構成要素については、第1の実施の形態で用いた符号と同一の符号を付して重複した説明を省略する。
第1の実施の形態では、保持器4の回転によって発生する遠心力によって潤滑油Lを径方向外方に導く油路21が環状部材2に形成された場合について説明したが、本実施の形態では、第1の実施の形態における油路21の機能が、外輪6Aの端面6bに設けられた溝61によって実現される。すなわち、本実施の形態では、保持器4の回転によって発生する遠心力により保持器4の外周側における潤滑油Lの一部を外輪6Aの円筒面6eよりも径方向外方に導く油路が、外輪6Aの端面6bに設けられた溝61によって形成されている。
図8(b)に示すように、外輪6Aの端面6bには複数の溝61が形成されており、図8(b)の図示例では24本の溝61が放射状に形成されている。一方、図8(a)に示すように、環状部材2Aにおける保持器6Aとの対向面2cは、溝が形成されていない平坦面である。
外輪6Aの溝61は、環状部材2Aの第1面取り部24を介して環状部材2Aの連通路23に連通している。潤滑油Lと共に複数の溝61に流れ込んだ異物は、複数の排出溝22から第2収容部191b内に排出され、さらに第1排出孔191dからオイルパン193に排出される。これにより、本実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について、図9及び図10を参照して説明する。図9は、本発明の第3の実施の形態に係る転がり軸受装置1Bを示す断面図である。図10(a)は、第3の実施の形態に係る外輪6Bの端面6bを示し、図10(b)は、外輪6Bの後述する貫通孔62に沿った断面を示している。図9及び図10(a),(b)において、第1の実施の形態で説明したものと共通する構成要素については、第1の実施の形態で用いた符号と同一の符号を付して重複した説明を省略する。
転がり軸受装置1Bは、環状部材2を有しておらず、第1の実施の形態における油路21の機能が、外輪6Bを径方向に貫通する貫通孔62によって実現される。すなわち、本実施の形態では、保持器4の回転によって発生する遠心力により保持器4の外周側における潤滑油Lの一部を外輪6Bの円筒面6eよりも径方向外方に導く油路が、外輪6Bに設けられた貫通孔62によって形成されている。
図10(b)に示すように、外輪6Bには、複数の貫通孔62が形成されており、図10(b)の図示例では24本の貫通孔62が放射状に形成されている。また、外輪6Bの外周には、端面6b側の軸方向一端部に環状溝63が周方向全体に形成されており、環状溝63の底面63aと保持穴190の内周面190aとの間には、潤滑油Lが流動可能な隙間が形成される。それぞれの貫通孔62は、外輪6Bの円筒面6e及び環状溝63の底面63aに開口している。
また、本実施の形態では、外輪6Bの小径側の端面6bが保持穴190の底面190bに当接しており、この端面6bに複数の排出溝64が径方向に延びるように形成されている。それぞれの排出溝64は、環状溝63に連通すると共に、外輪6Bの円筒面6eに開口している。図10(a)の図示例では、端面6bに4本の排出溝64が放射状に形成されている。
保持器4の回転によって発生する遠心力によって潤滑油Lと共に複数の貫通孔62に流れ込んだ異物は、環状溝63を経て複数の排出溝64から第2収容部191b内に排出され、さらに第1排出孔191dからオイルパン193に排出される。これにより、本実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
(付記)
以上、本発明を第1乃至第3の実施の形態に基づいて説明したが、これらの実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記第1乃至第3の実施の形態では、本発明の転がり軸受装置1,1A,1Bを自動車の駆動力配分装置100に適用した場合について説明したが、これに限らず、本発明の転がり軸受装置を他の車載装置に適用してもよく、また自動車以外の例えば産業機械に本発明の転がり軸受装置を用いることも可能である。
1…転がり軸受装置 2…環状部材
21…油路 22…排出溝
23…連通路 2a…背面
2c…対向面 3…転動体
4…保持器 41…第1の円環部
41a…外周面 5…内輪
6…外輪 61…溝
62…貫通孔 6b…端面
6e…円筒面(外輪6の内周面) F…異物
L…潤滑油

Claims (7)

  1. 複数の転動体と、前記複数の転動体を保持する保持器と、前記保持器の内側に配置された内輪と、前記保持器の外側に配置された外輪とを備え、前記保持器の軸方向一端部における外周面と前記外輪の内周面との隙間から前記複数の転動体側に潤滑油が供給される転がり軸受装置であって、
    前記保持器の前記外周面に対向して開口し、前記保持器の回転によって発生する遠心力により、前記保持器の外周側における前記潤滑油の一部を径方向外方に導く油路が形成されている、
    転がり軸受装置。
  2. 前記外輪と軸方向に並んで配置された環状部材を備え、
    前記油路が、前記環状部材における前記外輪との対向面に設けられた溝によって形成された、
    請求項1に記載の転がり軸受装置。
  3. 前記環状部材には、前記対向面とは反対側の端面に排出溝が形成されると共に、前記油路と前記排出溝とを連通させる連通路が形成されており、
    前記油路により径方向外方に導かれた前記潤滑油が、前記連通路を経て前記排出溝から排出される、
    請求項2に記載の転がり軸受装置。
  4. 前記油路が、前記外輪の軸方向端面に設けられた溝によって形成された、
    請求項1に記載の転がり軸受装置。
  5. 前記外輪と軸方向に並んで配置された環状部材を備え、
    前記環状部材には、前記外輪との対向面とは反対側の端面に排出溝が形成されると共に、前記油路と前記排出溝とを連通させる連通路が形成されており、
    前記油路により径方向外方に導かれた前記潤滑油が、前記連通路を経て前記排出溝から排出される、
    請求項4に記載の転がり軸受装置。
  6. 前記油路が、前記外輪に設けられた貫通孔によって形成された、
    請求項1に記載の転がり軸受装置。
  7. 前記保持器の前記軸方向一端部における内周面と前記内輪との間に、前記保持器の前記軸方向一端部における外周面と前記外輪との間よりも狭い隙間が形成されている、
    請求項1乃至6の何れか1項に記載の転がり軸受。
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