JP2021138788A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】機械的強度と帯電防止性のバランスに優れる熱可塑性樹脂組成物を提供する。【解決手段】スチレン系樹脂とゴム粒子を含む熱可塑性樹脂100重量部に対して高分子型帯電防止剤を5重量部以上10重量部未満含む熱可塑性樹脂組成物であって、下記条件(1)〜(2)を満足する熱可塑性樹脂組成物。(1)ゴム粒子の含有量が、熱可塑性樹脂中10〜25重量%である。(2)射出成形して得られた縦150mm×横90mm×厚み2mmの成形品に分散しているゴム粒子の平均重心間距離が370nm〜1200nmである。【選択図】なし

Description

本発明は、機械的強度と帯電防止性のバランスに優れる熱可塑性樹脂組成物に関する。
ゴム強化スチレン系樹脂は、外観、機械的特性ならびに成形加工性に優れ、車両部品、電気製品など種々の分野にて利用されている。しかしながら、ゴム強化スチレン系樹脂は、電気絶縁性が高いため、摩擦等により帯電しやすく、埃等を引き付け外観の低下を招いてしまう。さらに、電子機器部品においては機器の動作不良、強いては機器の故障を引き起こす原因にもなる。そのため、帯電防止策として帯電防止剤を添加することが知られており、その中でも、帯電防止効果の持続性に優れる高分子型帯電防止剤の使用が提案されている(特許文献1〜3)。
しかしながら、高分子型帯電防止剤の添加部数が多く、帯電防止効果は満足できるものの、機械的強度については未だ満足できるものでない。
特開2009−173758号公報
特開2012−241153号公報
特開2016−210933号公報
本発明は、機械的強度と帯電防止性のバランスに優れる熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂組成物のゴム粒子の分散状態を規定することで、高分子型帯電防止剤の添加部数が抑えられ、上記課題を解消できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[2]で構成される。
[1]スチレン系樹脂とゴム粒子を含む熱可塑性樹脂100重量部に対して高分子型帯電防止剤を5重量部以上10重量部未満含む熱可塑性樹脂組成物であって、下記条件(1)〜(2)を満足する熱可塑性樹脂組成物。
(1)ゴム粒子の含有量が、熱可塑性樹脂中10〜25重量%である。
(2)射出成形して得られた縦150mm×横90mm×厚み2mmの成形品に分散しているゴム粒子の平均重心間距離が370〜1200nmである。
[2]ゴム粒子の重量平均粒子径が250〜1000nmであることを特徴とする[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
本発明によれば、機械的強度と帯電防止性のバランスに優れる熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明につき詳細に説明する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、スチレン系樹脂とゴム粒子と高分子型帯電防止剤を含むものである。
スチレン系樹脂は、芳香族ビニル系単量体を含む単量体成分を重合して得られるものである。
スチレン系樹脂を構成する芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、1種又は2種以上用いることができる。特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
さらに、スチレン系樹脂には、芳香族ビニル系単量体と共重合可能なその他の単量体が含まれていてもよく、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、マレイミド系単量体、アミド系単量体、不飽和カルボン酸系単量体、多官能性単量体等が挙げられ、1種又は2種以上用いることができる。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フマロニトリル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルフェニル、(メタ)アクリル酸(ジ)ブロモフェニル、(メタ)アクリル酸クロルフェニル等が挙げられる。
マレイミド系単量体としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
アミド系単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられる。
不飽和カルボン酸系単量体としては、(メタ)アクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸等が挙げられる。
多官能性単量体としては、ジビニルベンゼン、アリル( メタ) アクリレート、エチレングリコールジ( メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジシクロペンタジエンジ( メタ) アクリレート、トリメチロールプロパントリ( メタ) アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ( メタ)アクリレート、1 , 4 − ブタンジオールジ( メタ) アクリレート、1 , 6 − ヘキサンジオールジ( メタ) アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
スチレン系樹脂は、芳香族ビニル系単量体を含んでいればよいが、さらにシアン化ビニル系単量体を含んでいることが好ましい。芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体の比率については特に制限はないが、芳香族ビニル系単量体50〜90重量%、シアン化ビニル系単量体10〜50重量%であることが好ましく、芳香族ビニル系単量体60〜80重量%、シアン化ビニル系単量体20〜40重量%であることがより好ましい。
スチレン系樹脂の還元粘度に特に制限はないが、耐衝撃性、流動性などの物性バランスの観点から0.2〜1.5dl/gであることが好ましく、0.3〜1.0dl/gであることがより好ましい。
上記還元粘度は、下記式により求めることができる。
スチレン系樹脂を、N,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、0.4g/100mlの濃度の溶液とした後、キャノンフェンスケ型粘度管を用い30℃で測定した流下時間より還元粘度を求める。
ゴム粒子として特に制限はなく、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)等の共役ジエン系ゴム;エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン(エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン等)ゴム等のエチレン−プロピレン系ゴム;ポリブチルアクリレートゴム等のアクリル系ゴム;シリコーン系ゴム等を1種又は2種以上用いることができる。上記アクリル系ゴムには、コアシェル構造を有するゴムも含まれる。コアシェル構造を有するゴム(コア/シェルで記載)としては、例えば、共役ジエン系ゴム/アクリル系ゴム、シリコーン系ゴム/アクリル系ゴム、硬質重合体(ガラス転移温度が20℃以上)/アクリル系ゴム等が挙げられる。硬質重合体(ガラス転移温度が20℃以上)としては、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体から選ばれる1種以上を含有する単量体を重合してなる重合体等が挙げられる。上記の中でも、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、共役ジエン系ゴム/アクリル系ゴム、シリコーン系ゴム/アクリル系ゴム、硬質重合体(ガラス転移温度が20℃以上)/アクリル系ゴムが好ましい。硬質重合体のガラス転移温度は、FOXの式より算出することができる。
ゴム粒子の重量平均粒子径は、150〜1200nmであることが好ましく、200〜1100nmであることがより好ましく、250〜1000nmであることがさらに好ましい。ゴム粒子の重量平均粒子径が上記範囲であると帯電防止性と機械的強度のバランスに優れる傾向にある。
熱可塑性樹脂に含まれるゴム粒子は、ゴム粒子に芳香族ビニル系単量体を含む単量体をグラフト重合して得られるグラフト重合体として含まれることが好ましい。
グラフト重合体中のゴム粒子の含有量は、耐衝撃性、流動性などの物性バランスから、20〜80重量%であることが好ましく、40〜70重量%であることがより好ましい。
グラフト重合体を構成する芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、1種又は2種以上用いることができる。特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
さらに、グラフト重合させる単量体としては、芳香族ビニル系単量体と共重合可能なその他の単量体が含まれていてもよく、上述の段落0014〜0021に記載されたものを用いることができる。
グラフト重合体のグラフト率及びアセトン可溶分の還元粘度に特に制限はないが、耐衝撃性、流動性などの物性バランスの観点から、グラフト率は20〜150%であることが好ましく、30〜100%であることがより好ましく、35〜75%であることがさらに好ましい。アセトン可溶分の還元粘度は、0.2〜1.5dl/gであることが好ましく、0.3〜1.0dl/gであることがより好ましい。
上記グラフト率及びアセトン可溶分の還元粘度は、下記により求めることができる。
分別方法
三角フラスコにグラフト重合体を約2g、アセトンを60ml投入し、24時間浸漬させた。その後、遠心分離器を用いて15,000rpmで30分間、遠心分離することで可溶部と不溶部に分離する。不溶分は、真空乾燥により常温で一昼夜乾燥させることで得られる。可溶分は、アセトン可溶部をメタノールに沈殿させ、真空乾燥により常温で一昼夜乾燥させることで得られる。
グラフト率
グラフト率(%)=(X―Y)/Y×100
X:真空乾燥後のアセトン不溶分量(g)
Y:グラフト共重合体中のゴム状重合体量(g)
アセトン可溶分の還元粘度(dl/g)
アセトン可溶分をN,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、0.4g/100mlの濃度の溶液とした後、キャノンフェンスケ型粘度管を用い30℃で測定した流下時間より還元粘度を求める。
上記スチレン系樹脂及びゴム粒子の重合方法には特に制限はなく、公知の乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法およびこれらを組み合わせた方法により製造することができる。
本発明に用いる熱可塑性樹脂は、ゴム粒子を10〜25重量%含むものであり、12〜20重量%であることが好ましい。ゴム粒子の含有量が上記範囲であると帯電防止性と機械的強度のバランスに優れるものが得られる。
さらに、熱可塑性樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、スチレン系樹脂とゴム粒子以外のその他樹脂を含んでもよい。その他樹脂としては、例えばポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂等のポリエステル系樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド系樹脂等が挙げられる。
本発明に用いる高分子型帯電防止剤としては、オレフィン系ブロックと親水性ブロック(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなどのポリアルキレンオキシドなど)とのブロック共重合;ポリアミド−ポリエステルブロック共重合体、ポリアミド−ポリエーテルブロック共重合体などのポリアミドブロック共重合体などが挙げられる。
中でも帯電防止性の観点から、ポリアミド−ポリエーテルブロック共重合体が好ましく、市販品としては、例えば、ポリエーテルエステルアミドブロックポリマーである三洋化成工業株式会社製の「ペレスタット」、「ペレクトロン」シリーズが挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、スチレン系樹脂とゴム粒子を含む熱可塑性樹脂100重量部に対して、高分子型帯電防止剤を5重量部以上10重量部未満含むことが必要であり、6重量部以上9重量部以下であることが好ましく、6重量部以上7重量部以下であることがより好ましい。高分子型帯電防止剤の含有量が上記範囲であると帯電防止性と機械的強度のバランスに優れるものが得られる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、分散しているゴム粒子の平均重心間距離が370〜1200nmであることが必要であり、400〜1000nmであることが好ましく、450〜900nmであることがより好ましい。分散しているゴム粒子の平均重心間距離が上記範囲であると帯電防止性と機械的強度のバランスに優れるものが得られる。
分散しているゴム粒子の平均重心間距離は、下記の方法で求めたものである。
成形品をクライオミクロトームを用いて−85℃で切り出すことで、超薄切片を得た。得られた超薄切片を四酸化オスミニウムまたは四酸化ルテニウムで染色し、透過型電子顕微鏡JEM−1400(日本電子株式会社製)にて観察を行い、6000倍で写真撮影した。得られた写真を画像解析ソフトA像くん(旭化成エンジニアリング(株)製)を用いて画像解析し、ゴム粒子とゴム粒子の平均重心間距離を求めた。
さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、ヒンダードアミン系の光安定剤;ヒンダードフェノール系、含硫黄有機化合物系、含リン有機化合物系等の酸化防止剤;フェノール系、アクリレート系等の熱安定剤;ベンゾエート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系等の紫外線吸収剤;有機ニッケル系、高級脂肪酸アミド類等の滑剤;リン酸エステル類等の可塑剤;ポリブロモフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノール−A、臭素化エポキシオリゴマー、臭素化等の含ハロゲン系化合物;リン系化合物、三酸化アンチモン等の難燃剤・難燃助剤;臭気マスキング剤;カーボンブラック、酸化チタン等の顔料;染料等を添加することもできる。さらに、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスウール、炭素繊維、金属繊維等の補強剤や充填剤を添加することもできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述の成分を溶融混練することで得ることができる。溶融混練するためには、例えばロール、バンバリーミキサー、押出機、ニーダー等公知の混練機を用いることができる。
このようにして得られた熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、押出成形、圧縮成形、射出圧縮成形、ブロー成形等により成形され、種々の成形品を製造することができる。
以下に実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。なお、実施例中にて示す部および%は重量に基づくものである。
また、各実施例、比較例での各種測定は次の方法による。
[平均重心間距離]
各実施例及び比較例で得られたペレットを射出成形機(日本製鋼所製 J−150EP シリンダー温度:230℃ 金型温度:60℃、充填時間:2秒)で成形して、縦150mm×横90mm×厚み2mmの成形品を得た。得られた成形品をクライオミクロトームを用いて−85℃で切り出すことで、超薄切片を得た。得られた超薄切片を四酸化オスミニウムまたは四酸化ルテニウムで染色し、透過型電子顕微鏡JEM−1400(日本電子株式会社製)にて観察を行い、6000倍で写真撮影した。得られた写真を画像解析ソフトA像くん(旭化成エンジニアリング(株)製)を用いて画像解析し、ゴム粒子とゴム粒子の平均重心間距離を求めた。
[引張弾性率]
ISO 527−1に準拠し、引張速度20mm/分で測定し、下記基準で評価した。「〇」を引張弾性率は良好であるとした。
〇:1750MPa超
×:1750MPa以下
[帯電防止性]
各実施例及び比較例で得られたペレットを射出成形機(日本製鋼所製 J−150EP シリンダー温度:230℃ 金型温度:60℃、充填時間:2秒)で成形して、縦150mm×横90mm×厚み2mmの成形品を得た。得られた成形品を温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で、超絶縁計(SM8213:東亜ディーケーケー製)によりASTM D257に準拠して、表面固有抵抗値を測定し、下記基準で評価した。「〇」を帯電防止性は良好であるとした。
〇:10×1012Ω以下
×:10×1012Ω超
[ゴム粒子の重量平均粒子径]
各実施例及び比較例で得られたペレットを射出成形機(日本製鋼所製 J−150EP シリンダー温度:230℃ 金型温度:60℃、充填時間:2秒)で成形して、縦150mm×横90mm×厚み2mmの成形品を得た。得られた成形品をクライオミクロトームを用いて−85℃で切り出すことで、超薄切片を得た。得られた超薄切片を四酸化オスミニウムまたは四酸化ルテニウムで染色し、透過型電子顕微鏡JEM−1400(日本電子株式会社製)にて観察及び写真撮影した。得られた写真を画像解析ソフトA像くん(旭化成エンジニアリング(株)製)を用いて約1000個の粒子の面積を計測し、その円相当径(直径)を算出することで、ゴム粒子の重量平均粒子径を求めた。
<グラフト重合体(A−1)の製造>
ガラスリアクターに、凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(スチレン5重量%、ブタジエン95重量%、重量平均粒子径440nm)を固形分換算で60重量部仕込み、撹拌を開始させ、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し65℃に到達したところで、ブドウ糖0.06重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を脱イオン水10重量部に溶解した水溶液を添加した後に、70℃に昇温した。その後、アクリロニトリル10重量部、スチレン30重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.3部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部の混合液及びオレイン酸カリウム1.0重量部を脱イオン水20重量部に溶解した乳化剤水溶液を4時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持してグラフト共重合体ラテックスを得た。その後、塩析、脱水、乾燥し、グラフト共重合体(A−1)のパウダーを得た。得られたグラフト共重合体(A−1)のグラフト率は42%、アセトン可溶部の還元粘度は0.28dl/gであった。
また、上記凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックスの重量平均粒子径は下記のように求めた値である。
凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックスを四酸化オスミウムで染色し、乾燥後に透過型電子顕微鏡JEM−1400(日本電子株式会社製)にて観察及び写真撮影した。得られた写真を画像解析ソフトA像くん(旭化成エンジニアリング(株)製)を用いて約1000個の粒子の面積を計測し、その円相当径(直径)を算出することで、重量平均粒子径を求めた。
<架橋アクリル酸ブチルゴムラテックス(a−2)の製造>
窒素置換したガラスリアクターに、脱イオン水219重量部、スチレン10重量部、アクリル酸ブチル5重量部、メタクリル酸アリル0.035重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.15重量部(固形分換算)、過硫酸カリウム0.15重量部を仕込み、65℃で1時間反応させた。
その後、アクリル酸ブチル85重量部、メタクリル酸アリル0.60重量部の混合液及び脱イオン水24重量部にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.75重量部(固形分換算)を溶解した乳化剤水溶液を3時間かけて連続的に添加した。滴下後、3.5時間保持して、架橋アクリル酸ブチルゴムラテックス(a−2)を得た。
<グラフト共重合体(A−2)の製造>
窒素置換したガラスリアクターに、架橋アクリル酸ブチルゴムラテックス(a−2)50重量部(固形分換算)を仕込み窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し60℃に到達したところで、ブドウ糖0.40重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.025重量部及び硫酸第一鉄0.001重量部を脱イオン水9重量部に溶解した水溶液を添加した。65℃に到達後、アクリロニトリル13重量部、スチレン37重量部、tードデシルメルカプタン0.1重量部の混合液及び脱イオン水16重量部にオレイン酸カリウム1.0重量部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.27重量部を溶解した乳化剤水溶液を6時間かけて連続的に滴下した。滴下後、2時間保持してグラフト共重合体ラテックスを得た。その後、塩析、脱水、乾燥し、グラフト共重合体(A−2)のパウダーを得た。得られたグラフト共重合体(A−2)のグラフト率は55%、アセトン可溶部の還元粘度は0.45dl/gであった。
<共重合体(B)の製造>
公知の塊状重合法により、スチレン75重量部、アクリロニトリル25重量部からなる共重合体(B)を得た。上述の方法により、得られた共重合体(B)の還元粘度は0.61dl/gであった。
<高分子型帯電防止剤(C)>
三洋化成工業株式会社製「ペレクトロンAS」(ポリエーテルエステルアミドブロックポリマー)
<滑剤(D)>
エチレン・ビスステアリン酸アマイド:花王(株)製カオーワックスEB−FF
実施例1〜2および比較例1〜2
グラフト共重合体(A)、共重合体(B)、高分子型帯電防止剤(C)、滑剤(D)を表1記載の配合割合で混合した後、シリンダー温度230℃に設定したφ26mmの2軸押出機にて主スクリュー回転数300rpm、吐出量25kg/hrの条件で溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを用いて射出成形機(シリンダー温度230℃、金型温度60℃)にて物性測定用試験片を成形した。次いで、その試験片を用いて物性を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2021138788
表1から明らかなように、本発明の熱可塑性樹脂組成物を使用した実施例1、2は機械的強度と帯電防止性のバランスに優れるものが得られた。
比較例1は、高分子型帯電防止剤の配合量が本願規定範囲を超えるため、帯電防止性に優れるものの、機械的強度に劣るものであった。
比較例2は、ゴム粒子の平均重心間距離が本願規定範囲を満たさないため、機械的強度と帯電防止性のバランスに劣るものであった。
上記のとおり、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、機械的強度と帯電防止性のバランスに優れることから、例えば、電子機器部品、車両内装部品等、市場のニーズに合わせて多彩な用途に使用することができる。





Claims (2)

  1. スチレン系樹脂とゴム粒子を含む熱可塑性樹脂100重量部に対して高分子型帯電防止剤を5重量部以上10重量部未満含む熱可塑性樹脂組成物であって、下記条件(1)〜(2)を満足する熱可塑性樹脂組成物。
    (1)ゴム粒子の含有量が、熱可塑性樹脂中10〜25重量%である。
    (2)射出成形して得られた縦150mm×横90mm×厚み2mmの成形品に分散しているゴム粒子の平均重心間距離が370〜1200nmである。
  2. ゴム粒子の重量平均粒子径が250〜1000nmであることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。

















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