JP2021138581A - セラミックス焼結体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】YAGと同程度の耐プラズマ性を有しかつ大型の半導体装置用の部材としての大型構造物にも適用できる破壊靱性を有するY2O3−Al2O3系のセラミックス焼結体およびその製造方法を提供する。【解決手段】半導体製造装置用セラミックス焼結体であって、Y3Al5O12(YAG)とYAlO3(YAP)の両方の結晶を含み、酸化物(Y2O3)換算でYが37.5mоl%より大きく39.0mоl%以下、酸化物(Al2O3)換算でAlが61.0mоl%以上62.5mоl%未満である。【選択図】図3

Description

本発明は、半導体装置用セラミックス焼結体およびその製造方法に関する。
従来から半導体装置用部材、特にプラズマ環境下で使用される部材として耐プラズマ性の良好なYAl12(YAG)焼結体が使用されていた。
特許文献1は、フッ素系や塩素系等の腐食性ガス或いはそのプラズマに曝される部位を、イットリア35〜80モル%、アルミナ20〜65モル%の組成比からなり、イットリアとYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)の両方の結晶相を主体として含む焼結体で構成された耐食性セラミック部材が開示されている。
また、特許文献2は、Y(イットリア)とAl(アルミナ)から合成されるガーネット構造の結晶からなる透光性セラミックスであって、10ppm以下のSi、Fe、Na、K、Ca、Mgを不可避不純物として含む99.99%以上の高純度Al粉末および10ppm以下のSi、Fe、Na、K、Ca、Mg、30ppm以下のDy、Ho、Er、Ybを不可避不純物として含む99.9%以上の高純度Y粉末を出発原料とし、原料となるYおよびAlの組成比を制御することでY、Al以外のあらゆる形態の金属元素の添加を必要としない透光性セラミックスが開示されている。また、このような高純度Y及びAl粉末を出発原料とし、出発原料をYが35.5%〜37.5%、Alが64.5%〜62.5%の範囲内の比率となるよう秤量し、成形したのち、減圧真空中で、1700℃以上の温度で2〜16時間の焼結を行うことで得られた焼結体は、相対密度約100%のYAG結晶単相から成る多結晶体であり、耐プラズマ光学窓として好適に利用できることが開示されている。
また、特許文献3は、金属成分としてAlと、希土類元素の内の少なくとも1種とを含み、主結晶相がAlと希土類元素の複合酸化物を主体とする焼結体からなり、Alおよび希土類元素以外の金属元素が500ppm以下、相対密度が98%以上、および前記主結晶相の結晶粒子の最大粒径が10μm以下であり、また周波数0.4MHz〜10GHzの範囲における誘電率が13以下、誘電損失が5×10−4以下である耐食性部材が開示されている。
また、特許文献4は、YAG系セラミックス原料であって、(1)Al及びYの含有量合計が99.6重量%以上であり、(2)Al及びYの含有比率が37.4〜47.4重量%及び62.6〜52.6重量%であって、(3)平均一次粒径0.03〜1.5μm、平均二次粒径0.2〜10μmであり、(4)BET比表面積が0.5〜20m/gであり、(5)結晶相がYAG相単相又はYAG相とYAlO相、YAl相及びAl相の少なくとも1種とを含む混合相から実質的に構成される原料およびその製造方法が開示されている。
また、特許文献5は、塩素系腐食ガス或いはそのプラズマに曝される部位が、周期律表3a族金属と、Al及び/又はSiを含む複合酸化物からなる耐食性部材が開示されている。
特開2000−159572号公報 特開2010−126430号公報 特開2001−151559号公報 特開2001−097768号公報 特開平11−157916号公報
YAGはAlなどに比べると耐プラズマ性は優れているものの緻密性、強度、および破壊靱性が低く、大型品の製作には不向きであった。そこで、YAGと同程度の耐プラズマ性を有しかつ大型の半導体装置用の部材としての大型構造物(例えば、基板載置面の直径が300mm以上800mm以下)にも適用できる破壊靱性を有するY−Al系のセラミックス焼結体が要望されていた。
しかしながら、特許文献1から5は、焼結体の耐プラズマ性が高いことや緻密であることには注目しているものの、いずれも、半導体製造装置用の大型の部材に適用するための破壊靭性は考慮していない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、YAGと同程度の耐プラズマ性を有しかつ大型の半導体装置用の部材としての大型構造物にも適用できる破壊靱性を有するY−Al系のセラミックス焼結体およびその製造方法を提供する事を目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明のセラミックス焼結体は、半導体製造装置用セラミックス焼結体であって、YAl12(YAG)とYAlO(YAP)の両方の結晶を含み、酸化物(Y)換算でYが37.5mоl%より大きく39.0mоl%以下、酸化物(Al)換算でAlが61.0mоl%以上62.5mоl%未満であることを特徴としている。
このように、YAGとYAPの両方の結晶を含み、上記範囲の組成によるセラミックス焼結体は、焼結体として緻密かつ耐プラズマ性が高くかつ高い破壊靱性を示す。そのため半導体製造装置用の大型の部材として好適に使用することができる。
(2)また、本発明のセラミックス焼結体は、半導体製造装置用セラミックス焼結体であって、YAl12(YAG)とYAlO(YAP)の両方の結晶を含み、酸化物(Y)換算でYが43.0mоl%以上50.0mоl%未満、酸化物(Al)換算でAlが50.0mоl%より大きく57.0mоl%以下であることを特徴としている。このように、YAGとYAPの両方の結晶を含み、上記範囲の組成によるセラミックス焼結体は、焼結体として緻密かつ耐プラズマ性が高くかつ破壊靱性が高くかつ高い相対密度を示す。そのため半導体製造装置用の大型の部材として好適に使用することができる。
(3)また、本発明のセラミックス焼結体は、YおよびAl以外の金属の含有量の合計が100ppm以下であることを特徴としている。このように、YおよびAl以外の金属の含有量が十分に小さいため、半導体製造装置用セラミックス焼結体の耐プラズマ性をより高くすることができる。
(4)また、本発明のセラミックス焼結体は、相対密度が95.0%以上であることを特徴としている。このように、相対密度が高いため、半導体製造装置用セラミックス焼結体の強度を高くすることができ、半導体製造装置用の大型の部材として好適に使用することができる。
(5)また、本発明のセラミックス焼結体の製造方法は、半導体製造装置用セラミックス焼結体の製造方法であって、焼成後の焼結体における酸化物(Y)換算でYが37.5mоl%より大きく39.0mоl%以下、酸化物(Al)換算でAlが61.0mоl%以上62.5mоl%未満の組成となるように、Yの酸化物の粉末およびAlの酸化物の粉末を秤量する工程と、前記秤量した粉末にバインダーを添加して混合する工程と、前記混合した粉末を造粒して造粒粉末を形成する工程と、前記造粒粉末を成形して成形体を形成する工程と、前記成形体を焼成する工程と、を含むことを特徴としている。これにより、YAGとYAPの両方の結晶を含み、上記範囲の組成によるセラミックス焼結体を製造することができる。このようなセラミックス焼結体は、焼結体として緻密かつ耐プラズマ性が高くかつ高い破壊靱性を示す。そのため半導体製造装置用の大型の部材として好適に使用することができる。
(6)また、本発明のセラミックス焼結体の製造方法は、半導体製造装置用セラミックス焼結体の製造方法であって、焼成後の焼結体における酸化物(Y)換算でYが43.0mоl%以上50.0mоl%未満、酸化物(Al)換算でAlが50.0mоl%より大きく57.0mоl%以下の組成となるように、Yの酸化物の粉末およびAlの酸化物の粉末を秤量する工程と、前記秤量した粉末にバインダーを添加して混合する工程と、前記混合した粉末を造粒して造粒粉末を形成する工程と、前記造粒粉末を成形して成形体を形成する工程と、前記成形体を焼成する工程と、を含むことを特徴としている。これにより、YAGとYAPの両方の結晶を含み、上記範囲の組成によるセラミックス焼結体を製造することができる。このようなセラミックス焼結体は、焼結体として緻密かつ耐プラズマ性が高くかつ破壊靱性が高くかつ高い相対密度を示す。そのため半導体製造装置用の大型の部材として好適に使用することができる。
本発明によれば、YAGと同程度の耐プラズマ性を有しかつ大型の半導体装置用の部材としての大型構造物にも適用できる破壊靱性を有するY−Al系のセラミックス焼結体を構成できる。また、その製造をすることができる。
実施例および比較例の組成割合、および各試験の結果を示す表である。 実施例および比較例の組成割合、および各試験の結果を示す表である。 実施例および比較例の試験片の相対密度を表すグラフである。 実施例および比較例の試験片の吸水率を表すグラフである。
次に、本発明の実施の形態について説明する。なお、第1の実施形態のセラミックス焼結体と第2の実施形態のセラミックス焼結体とは、酸化物換算の組成割合が異なる以外は、同様の特徴を有する。なお、本明細書において、Y−Al系のセラミックス焼結体とは、YAG、YAP、YAMのうちの1つまたは複数を含むセラミックス焼結体をいう。
[セラミックス焼結体の構成]
(第1の実施形態)
本発明のセラミックス焼結体は、YAl12(YAG)とYAlO(YAP)の両方の結晶を含む。YAGとYAPの両方の結晶を含むとは、XRD(X線回折装置)法によってYAGとYAPの両方の相が確認されることをいう。
このように、YAGとYAPの両方の結晶を一定程度含むことで、セラミックス焼結体に力が加わったときのクラックの進展に対して抵抗となり、強度および破壊靭性が高くなる。
また、本実施形態のセラミックス焼結体は、酸化物(Y)換算でYが37.5mоl%より大きく39.0mоl%以下、酸化物(Al)換算でAlが61.0mоl%以上62.5mоl%未満である。本発明のセラミックス焼結体は、Y、Al、およびO以外の元素の含有量が非常に少ないため、酸化物換算のYと酸化物換算のAlの合計は、100mоl%であるといってよい。この場合であっても、ごく微量の不純物を含むことは許される。例えば、本実施形態のセラミックス焼結体が、酸化物換算でYが38.0mоl%であるとき、酸化物換算でAlは62.0mоl%であるといってよい。
セラミックス焼結体の組成を、このような範囲内に制御することで、比較的大きなサイズのYAGの結晶の間に、小さなYAPの結晶が入り込む構造となり、緻密なセラミックス焼結体とすることができる。これにより、破壊靭性を高くすることができる。
セラミックス焼結体は、YおよびAl以外の金属の含有量の合計が100ppm以下であることが好ましい。このように、YおよびAl以外の金属の含有量の合計を十分に低減することで、セラミックス焼結体にYAGとYAP以外の結晶または金属が含まれる虞を十分に低減できる。セラミックス焼結体にYAGとYAP以外の結晶または金属が含まれる場合、そこからプラズマによる腐食が始まる虞が高まる。例えば、SiOが含まれる場合、フッ素系プラズマに対する耐食性が低くなる。なお、セラミックス焼結体は、金属に限らず、Y、Al、およびO以外の元素の含有量が低いほうが好ましい。
セラミックス焼結体におけるYおよびAlの酸化物換算の含有量、およびセラミックス焼結体に含まれるYおよびAl以外の金属の含有量は、WDX(Wavelength Dispersive X-ray spectroscopy:波長分散型X線分析)によって測定することができる。
セラミックス焼結体は、相対密度が95.0%以上であることが好ましく、95.0%を超えていることが好ましく、97.0%以上であることがより好ましく、98.0%以上であることがさらに好ましい。YAGとYAPの両方の結晶を含むセラミックス焼結体は、相対密度が高い方が強度および破壊靭性が高くなる傾向にある。セラミックス焼結体の相対密度は、以下の手順で求めることができる。
(1)XRD(X線回折装置)によってYAGおよびYAPの複合物からなっていることを確認する。
(2)WD−XRF(波長分散型蛍光X線分析装置)によって酸化物に換算した場合のAlとYのmol比を測定する。
(3)AlとYの2成分系相図よりそのmol比での理論密度をYAGおよびYAPの真密度データから比例配分して計算する。
(4)セラミックス焼結体のかさ密度を測定しそのmol比での理論密度の比を相対密度とする。
(第2の実施形態)
本実施形態のセラミックス焼結体は、酸化物換算の組成割合が第1の実施形態と異なる以外は、第1の実施形態と同様の特徴を有する。本実施形態のセラミックス焼結体は、酸化物(Y)換算でYが43.0mоl%以上50.0mоl%未満、酸化物(Al)換算でAlが50.0mоl%より大きく57.0mоl%以下である。例えば、本実施形態のセラミックス焼結体が、酸化物換算でYが45.0mоl%であるとき、酸化物換算でAlは55.0mоl%であるといってよい。本実施形態においても、ごく微量の不純物を含むことは許される。
セラミックス焼結体の組成を、このような範囲内に制御することで、比較的大きなサイズのYAPの結晶の間に、小さなYAGの結晶が入り込む構造となり、緻密なセラミックス焼結体とすることができる。これにより、破壊靭性を高くすることができる。
第1の実施形態または第2の実施形態の特徴を備えるセラミックス焼結体は、YAGと同程度の耐プラズマ性を有しかつ大型の半導体装置用の部材としての大型構造物にも適用できる破壊靱性を有する。
[セラミックス焼結体の製造方法]
まず、セラミックス焼結体の原料粉末として、Yの酸化物およびAlの酸化物を準備する。Yの酸化物はYであることが好ましく、Alの酸化物はAlであることが好ましいが、大気雰囲気での焼結後にYAGまたはYAPになる物質を用いてもよい。各粉末の純度は、99.9%以上であることが好ましく、99.99%以上であることがより好ましい。また、各粉末の平均粒径は、0.1μm以上2.0μm以下であることが好ましい。
次に、焼結後のセラミックス焼結体における酸化物換算で所定の組成割合の範囲に入るように、各粉末を秤量する。所定の組成割合の範囲とは、焼成後の焼結体における酸化物(Y)換算でYが37.5mоl%より大きく39.0mоl%以下、酸化物(Al)換算でAlが61.0mоl%以上62.5mоl%未満の組成となる第1の範囲、または焼成後の焼結体における酸化物(Y)換算でYが43.0mоl%以上50.0mоl%未満、酸化物(Al)換算でAlが50.0mоl%より大きく57.0mоl%以下の組成となる第2の範囲である。
次に、原料粉末を混合する。各粉末を、例えば、溶媒としてのPVAとともにボールミルへ投入し、粉砕および混合する。ボールミルは、例えば、アルミナボールを用いることができる。混合時間は、例えば20時間とすることができる。
次に、スラリーを乾燥および造粒する。スラリーから造粒粉末を得る方法としては、例えば、スラリーを湯煎しつつ乾燥させることによりスラリー中から溶媒を除去して粉体を得て、得られた粉体を篩に通す方法を挙げることができる。また、スプレードライヤーを使用することもできる。
次に、造粒粉末を成形する。得られた造粒粉末をプレス機によって成形して、成形体を得る。成形方法は、プレス成形、CIP、ホットプレス、HIP等を使用できる。また、成形圧力は、プレス成形の場合、例えば、98MPaとすることができる。
次に、成形体を焼成する。例えば、大気雰囲気下、1700℃の温度で1時間以上焼成することで、成形体を焼成し、焼結体を得ることができる。なお、焼成体を、HIPを用いて加圧し、緻密化する工程を設けてもよい。
このような工程により、YAGとYAPの両方の結晶を含み、組成割合が所定の範囲に入ったセラミックス焼結体を製造することができる。
[実施例および比較例]
(実施例および比較例の試験片の作製方法)
各試験片の所定の混合割合となるように、Y原料粉(純度99.9%、平均粒子径1μm)、およびAl原料粉(純度99.99%、平均粒子径0.5μm)を秤量した。次に、秤量した原料粉にバインダー(PVA)を2wt%添加して混合し、造粒した。その後、一軸プレス成形をし、大気雰囲気炉で1700℃、2時間焼成して試験片を準備した。各試験片のYおよびAlの混合割合は、作製されるセラミックス焼結体の酸化物換算の組成の割合と同一であり、図1または図2の表に示される通りである。図1および図2は、実施例および比較例の酸化物換算の組成および各試験の結果を示す表である。
(評価方法)
各試験片の相対密度、吸水率、強度、破壊靱性、および耐プラズマ性を以下の試験により測定し、評価した。
(相対密度)
XRDによって複合物からなっているかどうかを確認し、複合物からなっている場合、WD−XRFによって酸化物に換算した場合のそれぞれの酸化物のmol比を測定し、そのmol比での理論密度を算出した。そして、焼結体のかさ密度をアルキメデス法で測定して、理論密度から相対密度を算出した。単相であった場合、その酸化物の理論密度と測定したかさ密度から相対密度を算出した。相対密度が95%以上である試験片は、焼結体として緻密である。このように緻密でかつ破壊靭性が高い場合、大型の半導体製造装置用の部材として好適に使用できる。
(吸水率)
JIS C 2141(電気絶縁用セラミック材料試験方法)記載の吸水率測定方法に準拠して測定した。吸水率と相対密度は相関関係があり、吸水率が1.0以下であると、相対密度が95%以上であることが分かった。吸水率が大きいとそれだけ開気孔が存在し表面積が大きくなる。そのため、プラズマ環境下で長時間使用したときに悪影響がある。
(強度)
JIS R1601に準拠した4点曲げ試験を行なった。表中の値は、10点平均を示す。平均値が250MPa以上を良(〇)とし、200MPa以上250MPa未満を中間(△)、200MPa未満を不良(×)とした。
(破壊靱性)
JIS R1607に準拠したSEPB法によって測定した。4MPa・m0.5以上を良(〇)とし、2.5MPa・m0.5以上4MPa・m0.5未満を中間(△)、2.5MPa・m0.5未満を不良(×)とした。
(耐プラズマ性)
試験片の片面を鏡面研磨しその一部をポリイミドテープでマスクした後、真空チャンバ内の平行平板型のRIEエッチング装置内に試験片を載置し、CF+20%Oプラズマで10時間暴露し、耐食深さを測定した。耐食深さが、1μm以下のものを良(〇)、それより大きい場合を不良(×)とした。
(個々の試験片の評価)
試験片1は、酸化物(Y)換算でYが33.5mоl%、酸化物(Al)換算でAlが66.5mоl%の試験片である。試験片1は、YAG単相となる試験片2の混合割合と比較してAlが過剰であったため、YAGとAlの両方の結晶を含む。試験片1は、相対密度は高かったものの、耐プラズマ性が悪く、強度および破壊靭性は中程度であった。試験片1を比較例1とした。
試験片2は、酸化物(Y)換算でYが37.5mоl%、酸化物(Al)換算でAlが62.5mоl%の試験片である。なお、試験片2は、YAG単相である。試験片2は、相対密度が高く、耐プラズマ性は良であったものの、強度および破壊靭性は中間の値であった。試験片2を比較例2とした。
試験片3は、酸化物(Y)換算でYが37.6mоl%、酸化物(Al)換算でAlが62.4mоl%の試験片である。試験片3の混合割合は、YAG単相となる試験片2とYAP単相となる試験片15の混合割合の間であったため、YAGとYAPの両方の結晶を含む。なお、以下の試験片4から14も同様にYAGとYAPの両方の結晶を含む。試験片3は、相対密度が高く、強度、破壊靭性、および耐プラズマ性は、いずれも良であった。試験片3を実施例1とした。
試験片4は、酸化物(Y)換算でYが38.0mоl%、酸化物(Al)換算でAlが62.0mоl%の試験片である。試験片4は、相対密度が高く、強度、破壊靭性、および耐プラズマ性は、いずれも良であった。試験片4を実施例2とした。
試験片5は、酸化物(Y)換算でYが38.5mоl%、酸化物(Al)換算でAlが61.5mоl%の試験片である。試験片5は、相対密度が高く、強度、破壊靭性、および耐プラズマ性は、いずれも良であった。試験片5を実施例3とした。
試験片6は、酸化物(Y)換算でYが39.5mоl%、酸化物(Al)換算でAlが60.5mоl%の試験片である。試験片6は、試験片1から5と比較して相対密度が非常に小さくなった。また、強度、破壊靭性、および耐プラズマ性は、いずれも不良であった。試験片6を比較例3とした。
試験片7は、酸化物(Y)換算でYが41.5mоl%、酸化物(Al)換算でAlが58.5mоl%の試験片である。試験片7は、試験片1から5と比較して相対密度が非常に小さくなった。また、強度、破壊靭性、および耐プラズマ性は、いずれも不良であった。試験片7を比較例4とした。
試験片8は、酸化物(Y)換算でYが42.5mоl%、酸化物(Al)換算でAlが57.5mоl%の試験片である。なお、試験片8の混合割合は、YAGとYAPのいわゆる共晶点である。試験片8は、相対密度は試験片6および7と比較して大きくなった。また、強度、破壊靭性、および耐プラズマ性は、いずれも良であった。しかし、相対密度が比較的低く、吸水率が相対的に高くなった。理論上の共晶組成であっても実際の組織では均質な共晶組織として凝固していないことと関連していると推察されるが詳細は不明である。試験片8を比較例5とした。
試験片9は、酸化物(Y)換算でYが43.0mоl%、酸化物(Al)換算でAlが57.0mоl%の試験片である。試験片9は、相対密度が高く、強度、破壊靭性、および耐プラズマ性は、いずれも良であった。試験片9を実施例4とした。
試験片10は、酸化物(Y)換算でYが45.0mоl%、酸化物(Al)換算でAlが55.0mоl%の試験片である。試験片10は、相対密度が高く、強度、破壊靭性、および耐プラズマ性は、いずれも良であった。試験片10を実施例5とした。
試験片11は、酸化物(Y)換算でYが45.5mоl%、酸化物(Al)換算でAlが54.5mоl%の試験片である。試験片11は、相対密度が高く、強度、破壊靭性、および耐プラズマ性は、いずれも良であった。試験片11を実施例6とした。
試験片12は、酸化物(Y)換算でYが47.5mоl%、酸化物(Al)換算でAlが52.5mоl%の試験片である。試験片12は、相対密度が高く、強度、破壊靭性、および耐プラズマ性は、いずれも良であった。試験片12を実施例7とした。
試験片13は、酸化物(Y)換算でYが49.5mоl%、酸化物(Al)換算でAlが50.5mоl%の試験片である。試験片13は、相対密度が高く、強度、破壊靭性、および耐プラズマ性は、いずれも良であった。試験片13を実施例8とした。
試験片14は、酸化物(Y)換算でYが49.9mоl%、酸化物(Al)換算でAlが50.1mоl%の試験片である。試験片14は、相対密度が高く、強度、破壊靭性、および耐プラズマ性は、いずれも良であった。試験片14を実施例9とした。
試験片15は、酸化物(Y)換算でYが50.0mоl%、酸化物(Al)換算でAlが50.0mоl%の試験片である。なお、試験片15は、YAP単相である。試験片15は、相対密度は高かったものの、強度、破壊靭性、および耐プラズマ性は、いずれも不良であった。試験片15を比較例6とした。
(試験片全体の傾向)
上記の試験片1から15について、焼結体の酸化物(Y)換算のY組成を横軸に、相対密度および吸水率を縦軸にとってグラフに表した。図3は、実施例および比較例の試験片の相対密度を表すグラフである。図4は、実施例および比較例の試験片の吸水率を表すグラフである。
図3または図4のグラフから、焼結体の酸化物換算のY組成が37.5mоl%より大きく39.0mоl%以下の範囲、または43.0mоl%以上50.0mоl%未満の範囲に含まれた試験片は相対密度が高く、緻密になっていることが分かる。これらの試験片はいずれも強度、破壊靭性、および耐プラズマ性が良好であった。すなわち、YAGとYAPの両方の結晶を含み、組成割合が所定の範囲に入ったセラミックス焼結体は、YAGと同程度の耐食性を有するだけでなく、強度および破壊靭性の高いセラミックス焼結体であることが分かった。
このような結果になる理由の詳細は不明であるが、YAGとYAPのいわゆる共晶点となる組成割合よりもYAGが多くなる組成割合においては、YAGを主とする組織にYAP組織が一部形成され、これがクラックの伝播の抵抗になったものと推定される。また、YAGとYAPのいわゆる共晶点となる組成割合よりもYAPが多くなる組成割合においては、YAPを主とする組織にYAG組織が一部形成され、これがクラックの伝播の抵抗になったものと推定される。したがって、YAGとYAPのいわゆる共晶点となる組成割合に対して、YAGまたはYAPのいずれかが多くなる組成割合であることが焼結体の破壊靭性の強化にとって重要であると推察される。
なお、YAGとYAPのいわゆる共晶点となる組成割合に対して、YAPが多くなる組成割合である実施例4から9の中で、特に実施例5から7は、相対密度、強度、破壊靭性、および耐プラズマ性の値がいずれも優れた値を示した。すなわち、酸化物換算でYが45.0mоl%以上47.5mоl%以下であることが好ましいことが分かった。
(大型品の作製)
実施例1および実施例6と同一組成、同一条件で、直径600mm、厚み30mmのセラミックス焼結体を作製した。その後、外形加工を行った後、プラズマCVD装置に供使したところ、クラック等の不具合およびプラズマによるパーティクル発塵も抑制され良好に使用できることが確認された。
以上の結果によって、本発明のセラミックス焼結体は、YAGと同程度の耐食性を有するだけでなく、強度および破壊靭性の高いセラミックス焼結体であり、半導体製造装置用部材として好適に使用できることが分かった。また、本発明のセラミックス焼結体の製造方法は、YAGと同程度の耐食性を有するだけでなく、強度および破壊靭性の高いセラミックス焼結体を製造できることが分かった。
なお、本発明は、上記の実施態様に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更可能である。

Claims (6)

  1. 半導体製造装置用セラミックス焼結体であって、
    Al12(YAG)とYAlO(YAP)の両方の結晶を含み、
    酸化物(Y)換算でYが37.5mоl%より大きく39.0mоl%以下、酸化物(Al)換算でAlが61.0mоl%以上62.5mоl%未満であることを特徴とする半導体製造装置用セラミックス焼結体。
  2. 半導体製造装置用セラミックス焼結体であって、
    Al12(YAG)とYAlO(YAP)の両方の結晶を含み、
    酸化物(Y)換算でYが43.0mоl%以上50.0mоl%未満、酸化物(Al)換算でAlが50.0mоl%より大きく57.0mоl%以下であることを特徴とする半導体製造装置用セラミックス焼結体。
  3. YおよびAl以外の金属の含有量の合計が100ppm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体製造装置用セラミックス焼結体。
  4. 相対密度が95.0%以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の半導体製造装置用セラミックス焼結体。
  5. 半導体製造装置用セラミックス焼結体の製造方法であって、
    焼成後の焼結体における酸化物(Y)換算でYが37.5mоl%より大きく39.0mоl%以下、酸化物(Al)換算でAlが61.0mоl%以上62.5mоl%未満の組成となるように、Yの酸化物の粉末およびAlの酸化物の粉末を秤量する工程と、
    前記秤量した粉末にバインダーを添加して混合する工程と、
    前記混合した粉末を造粒して造粒粉末を形成する工程と、
    前記造粒粉末を成形して成形体を形成する工程と、
    前記成形体を焼成する工程と、を含むことを特徴とする半導体製造装置用セラミックス焼結体の製造方法。
  6. 半導体製造装置用セラミックス焼結体の製造方法であって、
    焼成後の焼結体における酸化物(Y)換算でYが43.0mоl%以上50.0mоl%未満、酸化物(Al)換算でAlが50.0mоl%より大きく57.0mоl%以下の組成となるように、Yの酸化物の粉末およびAlの酸化物の粉末を秤量する工程と、
    前記秤量した粉末にバインダーを添加して混合する工程と、
    前記混合した粉末を造粒して造粒粉末を形成する工程と、
    前記造粒粉末を成形して成形体を形成する工程と、
    前記成形体を焼成する工程と、を含むことを特徴とする半導体製造装置用セラミックス焼結体の製造方法。
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