以下、本発明の第1〜第5実施形態に係るエレベーターシステム及びエレベーター制御方法について、図1〜図14を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係るエレベーターシステムの構成について、図1を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るエレベーターシステムの構成例を示す概略構成図である。
図1に示すように、第1実施形態に係るエレベーターシステムは、複数台のエレベーター20と、複数のエレベーター20の運行を制御する群管理装置40と、利用者10の要求を処理するサービス要求装置100と、周辺監視装置200を備える。
エレベーター20は、かご22と、カウンターウェイト24と、主索26と、巻上機28を備える。主索26は、かご22と、カウンターウェイト24とに接続されている。また、かご22には、かごドア23が開閉可能に取り付けられている。巻上機28は、主索26を巻き上げたり巻降ろしたりすることで、かご22を上下方向に移動させる。これにより、エレベーター20は、利用者10に対して複数階のフロア12への移動サービスを提供する。なお、フロア12は、階、エレベーターホールと呼ぶこともある。
号機制御装置30は、群管理装置40の後述する運行制御部42からの指令に基づいて、巻上機28を制御する。また、号機制御装置30は、かご22に設けたかごドア23の開閉を制御する。
群管理装置40は、複数のエレベーター20を効率よく運行するための運行制御部42を有する。運行制御部42は、利用者10からのサービス要求に対するエレベーター20を割り当てる割当部44を有する。群管理装置40は、かご22の上下方向への移動及びかごドア23の開閉に関する指令を号機制御装置30に送信する。
サービス要求装置100は、利用者10に応じたサービスを処理するサービス処理部110を有する。サービス処理部110は、利用者10の要求応じた、かご呼びや、行先階の登録等を処理する。サービス要求装置100としては、例えば、行先階登録装置や、セキュリティゲート、顔認証ゲート、携帯端末連動ゲート等を挙げることができる。
周辺監視装置200は、利用者10を認識する少なくとも一つのセンサ210を有する。センサ210としては、例えば、画像センサ、ミリ波センサ、ToF(Time of Flight)センサ、LiDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)等を挙げることができる。また、周辺監視装置200は、挙動計測部220と、利用者追跡部230と、マッチング部240と、挙動解析部250とを有する。
挙動計測部220は、サービス要求装置100の周辺における、利用者10の挙動を計測する。利用者10の挙動は、例えば、センサ210によって検出される速度ベクトルや加速度ベクトルで計測することができる。利用者追跡部230は、利用者10の挙動を元に、利用者10を追跡する。マッチング部240は、サービス要求装置100によってサービスが確定した利用者10と、センサ210の検出結果と、を対応付ける。
挙動解析部250は、サービス要求装置100の周辺における利用者10の挙動を解析する。この挙動解析部250による挙動の解析は、上述の速度ベクトルや加速度ベクトルと、静的なサービス要求装置100の位置情報と、エレベーター20の位置情報と、を組み合わせて比較処理等によって実施する。
エレベーター20と、群管理装置40と、サービス要求装置100と、周辺監視装置200とは、通信路50で接続されており、各装置間においてデータの送受信が可能である。本例では、周辺監視装置200が、挙動計測部220、利用者追跡部230、マッチング部240、及び挙動解析部250を有する構成としているが、この構成に限定されない。例えば、上述の挙動計測部220、利用者追跡部230、マッチング部240、及び挙動解析部250は、サービス要求装置100、群管理装置40が有する構成であってもよい。
エレベーターシステムをこのような構成にすることで、サービス要求装置100においてかご呼びや行先階の登録を実施する前後の利用者の挙動を把握することができる。したがって、利用者10の挙動に応じた適切なサービスを提供できる。また、サービスを確定後に、利用者10のサービスを利用しない挙動を計測した場合に、確定したサービスをキャンセルすることができる。その結果、かごドア23の無駄な戸開時間を削除できるので、複数のエレベーター全体の運行の効率を向上することができる。
[各種装置のハードウェア構成]
次に、本発明の第1実施形態に係るエレベーターシステムを構成する各種装置(図1に示す号機制御装置30、群管理装置40、サービス要求装置、周辺監視装置200)のハードウェア構成例について、図2を参照して説明する。
図2は、本発明の第1実施形態に係るエレベーターシステムにおける各装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
ここでは、各種装置を総称してコントローラ1000と呼ぶ。コントローラ1000は、例えば、CPU(Central Processing Unit)1010と、メモリ1020と、記憶デバイス1030と、通信インターフェース(以下「I/F」と呼ぶ)1040と、センサI/F1050とを備える。各構成1010〜1050は、相互に通信可能なバス1060で接続されている。
CPU1010は、プログラムに記載されている処理を実行し、各種機能を実現する。CPU1010は、記憶デバイス1030からプログラムを読み出して実行する。メモリ1020は、CPU1010がプログラムを実行するために必要なデータを保持する。つまり、メモリ1020は、プログラムそのもの、該プログラムの処理することで生成される新たなデータを保持する。メモリ1020は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成される。
記憶デバイス1030は、プログラム、及び、プログラムを実行する際に、必要となるデータ等を記憶する。記憶デバイス1030は、例えば、フラッシュメモリ等の半導体デバイス、HDD(Hard Disk Drive)のような機器で構成される。通信I/F1040は、通信路50(図1参照)に接続されており、各種装置と通信を実行する。
通信I/F1030は、例えば、シリアル通信やLAN等で構成される。センサI/F1050は、センサ210(図1参照)に接続されて、そのセンサ210との通信を実行する。センサI/F1050は、例えば、GPIO(General Purpose Input Output)、CSI(Camera Serial Interface)等で構成される。
なお、通信I/F1040は、センサI/F1050を兼ねるものであってもよい。また、本発明に係る各種装置としては、コントローラ1000の上述した各要素をまとめたPLD(Programmable Logic Device)であってもよい。PLDとしては、例えば、FPGA(field programmable gate array)がある。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るエレベーターシステムの構成について、図3を参照して説明する。
図3は、本発明の第2実施形態に係るエレベーターシステムの構成図である。
図3に示す第2実施形態では、図1に示すサービス要求装置100としてセキュリティゲート120を適用する。また、第2実施形態は、利用者10の動作を検出するセンサ300を設ける。センサ300の検出領域は、セキュリティゲート120の利用者確認領域および出口側とする。このようなセンサ300としては、例えば、画像センサを挙げることができる。画像センサを用いることにより、利用者の認識と、利用者の識別と、利用者の動作の検出とを処理することができる。
セキュリティゲート120は、上述したコントローラ1000を有し、サービス処理部110による処理を実行する。利用者10は、ID(identification)カード130を携行している。IDカード130は、通信I/F132を有し、セキュリティゲート120も、通信I/F132を有している。したがって、IDカード130とセキュリティゲート120は、互いに通信が可能である。
セキュリティゲート120は、IDカード130に記憶されている利用者ID情報134を読み取り、その読み取り結果から、利用者10の通行の許可もしくは拒否を決定する。利用者10は、所定の読取領域124において、IDカード130を非接触もしくはタッチ動作をして、セキュリティゲート120に利用者認証処理を要求する。なお、利用者ID情報134は、各利用者10にそれぞれ付与されている。
セキュリティゲート120は、左右の筐体121,122と、筐体121,122間の通行を妨げることが可能なゲート機構123とを有する。筐体121には、利用者ID情報134を読み取る読取領域124と、割り当てたエレベーターの号機を報知する表示部126が設けられている。
ゲート機構123は、フラッパーゲート116を有している。図3に示すように、フラッパーゲート116は、開閉可能な2枚の板状部材からなり、利用者10の通行を妨げる閉鎖状態と、利用者10の通行を可能にする開放状態になる。セキュリティゲート120は、IDカード130から利用者ID情報134を読取り、利用者管理装置400に利用者ID情報134に対応する利用者10の通過許可もしくは通過拒否の判断を要求する。
利用者管理装置400は、データベース410と、利用者認証部420とを有する。データベース410は、利用者ID情報134と、予め登録してある該利用者の行先階情報136を管理する。利用者認証部420は、データベース410によって、利用者ID情報134に対応する利用者10の通過許可もしくは通過拒否を判断し、通過許可の場合には、行先階情報136を決定する。このような構成にすることで、利用者10がセキュリティゲート120を通過する際に行う利用者認証において、利用者10の行先階を決定することが可能となる。
セキュリティゲート120は、利用者ID情報134に対応する利用者10の通過許可が確定すると、サービス要求に相当する行先階情報136を、群管理装置40に送信する。群管理装置40の運行制御部42は、割当部44によって、当該サービス要求に割り当てるエレベーター20を決定する。群管理装置40は、割り当てたエレベーター20の号機番号を、セキュリティゲート120に送信する。
セキュリティゲート120は、割り当てられたエレベーター20の号機番号を受信し、その号機番号を表示部126に表示する。また、セキュリティゲート120は、利用者管理装置400が通過許可と判断した場合に、ゲート機構123のフラッパーゲート116を開放状態にする。一方、利用者管理装置400が通過拒否と判断した場合に、ゲート機構123を閉鎖状態にする。
周辺監視装置200は、センサ300の検出結果と、挙動計測部220と、利用者追跡部230とにより、セキュリティゲート120における利用者10の認証動作から、通過許可された利用者10のセキュリティゲート120からの退出後の動作を追跡する。利用者追跡部230は、認識した利用者10に識別子231を割り振り、その識別子231に相当する追跡対象の挙動の履歴232と、通行可否情報233とを追跡管理テーブル238として管理(更新)する。
前述のように、通過許可と判断した利用者10の場合には、マッチング部240によって、現在追跡している利用者10と、通過許可対象者との対応付けをして、通行可否情報233を「可」に設定する。なお、IDカード130は、通信I/F132と、利用者ID情報134とを有するデバイスあれば、どのような形状であっても構わない。IDカード130としては、例えば、スマートホン等の非接触型ID情報デバイスでもよい。
このような構成にすることで、認証して通過が許可された利用者10を追跡することができる。そして、追跡結果を元に、セキュリティゲート120における出口以降の利用者10の挙動を挙動解析部250によって判断(解析)できる。
[運行制御]
次に、第2実施形態に係るエレベーターの運行制御について、図4を参照して説明する。
図4は、第2実施形態に係るエレベーターシステムの運行制御を示すフローチャートの例である。
まず、周辺監視装置200は、挙動計測部220によって利用者10を認識し、利用者10の追跡を開始する(S100)。次に、利用者10は、セキュリティゲート120において、IDカード130を使用してユーザ認証処理を要求する(S101)。
次に、利用者管理装置400は、利用者10の認証を実施し、通過可否の判断をする(S102)。S102において、利用者管理装置400が通過拒否と判断した場合に、セキュリティゲート120は、ゲート機構123を閉鎖状態にする(S103)。S103の処理後、エレベーターシステムは、エレベーターを利用者10に割り当てる制御を終了する。
一方、S102において、利用者管理装置400が通過許可と判断した場合に、セキュリティゲート120のサービス処理部110(図1参照)は、利用者管理装置400から、利用者10の行先階情報136を取得する(S104)。利用者10の行先階情報136は、IDカード130の利用者ID情報134に対応付けられており、予めデータベース410に登録されている。
次に、周辺監視装置200のマッチング部240は、通過許可の利用者10と、追跡中の利用者をマッチングする(S105)。次に、セキュリティゲート120のサービス処理部110は、群管理装置40に行先階情報136をサービス要求として登録(呼び登録)する(S106)。
次に、群管理装置40における運行制御部42の割当部44は、行先階情報136を考慮して効率のよい運行を算出し、複数のエレベーターの中から少なくとも1つのエレベーター20を、通過許可の利用者10に割り当てる(S107)。そして、セキュリティゲート120は、割り当てられたエレベーターの号機を表示部126に表示する。これにより、利用者10は、割り当てられたエレベーターの号機を認識することができる。
次に、周辺監視装置200の利用者追跡部230は、通過許可の利用者10の挙動を計測する(S108)。次いで、セキュリティゲート120は、ゲート機構123を開放状態にする(S109)。次に、周辺監視装置200の挙動解析部250は、利用者10の挙動がエレベーター20に乗る挙動であるか否かを判定する(S110)。
挙動解析部250は、利用者10が、割り当てられたエレベーター20に向かう方向に進行している場合には乗る挙動(進行)であると判定することができる。一方、挙動解析部250は、利用者10が、割り当てられたエレベーター20に向かう方向とは別の方向に進行している場合には乗らない挙動(離脱)であると判定することができる。
S110において、挙動解析部250が、利用者10の挙動がエレベーター20に乗る挙動に相当する(進行)と判定した場合に、エレベーターシステムは、エレベーターを利用者10に割り当てる制御を終了する。すなわち、割り当てたエレベーター20の運行制御を継続する。
一方、S110において、挙動解析部250が、利用者10の挙動がエレベーター20に乗る挙動に相当しない(離脱)と判定した場合に、周辺監視装置200は、群管理装置40に呼び登録のキャンセル(呼び解除)を通知する(S111)。これにより、群管理装置40は、S106において実行した呼び登録を解除する。
以上のようなフローに基づいてエレベーターの運行制御を処理することにより、利用者10がセキュリティゲート120を通過した後に、割り当てられたエレベーター20に乗らない挙動を取った場合に、呼び登録をキャンセルすることができる。これにより、エレベーター20の戸開待機時間を削除することができると共に、利用者10に割り当てたエレベーター20を別の利用者が乗車するエレベーターとして利用することができる。その結果、エレベーターシステムの運行効率を向上させることができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係るエレベーターシステムの構成について、図5を参照して説明する。
図5は、本発明の第3実施形態に係るエレベーターシステムの構成図である。
第3実施形態に係るエレベーターシステムは、第2実施形態に係るエレベーターシステム(図3参照)と同様の構成を有している。第3実施形態に係るエレベーターシステムが、第2実施形態に係るエレベーターシステムと異なる部分は、センサ310、戸開延長割当部46、及び追跡管理テーブル239である。そのため、ここでは、センサ310、戸開延長割当部46、及び追跡管理テーブル239について説明し、第2実施形態と重複する構成についての説明を省略する。
第3実施形態に係るエレベーターシステムのセンサ310は、セキュリティゲート120の入口側、所定の読取領域124、及びセキュリティゲート120の出口から退出した利用者の動作を検出する。周辺監視装置200は、センサ310の検出結果と、挙動計測部220と、利用者追跡部230とにより、利用者の動作を追跡する。追跡範囲は、セキュリティゲート120の入口側から、セキュリティゲート120の出口から退出する動作以降に設定される。
第2実施形態において説明したように、利用者10を通過許可と判断した場合に、マッチング部240は、現在追跡している利用者10と、通過許可対象者との対応付けをする。利用者10の挙動は、速度ベクトルや加速度ベクトルで計測することができる。例えば、利用者10の歩行速度が、予め定められた所定速度よりも速い場合、或いは予め定められた所定加速度よりも大きい場合に、挙動解析部250は、利用者10は急いでいると判断する。
群管理装置40の運行制御部42は、割当部44と、戸開延長割当部46を有する。割当部44は、利用者10が急いでいない場合に、サービス要求に応じて割り当てるエレベーター20を決定する。すなわち、割当部44は、利用者が通常の歩行速度であれば乗ることができるエレベーター20を、通常の(急ぎでない)割当として決定する。
戸開延長割当部46は、利用者10が急いでいる場合に、サービス要求に応じて割り当てるエレベーター20を決定する。すなわち、戸開延長割当部46は、利用者が急ぐ歩行速度であれば、戸開延長を実施することで乗ることができるエレベーター20を、急ぎの割当として決定する。
戸開延長を実施することで乗ることができるエレベーターとしては、フロア12でかごドア23が戸開状態のエレベーター、かご22がフロア12に到着する直前のエレベーター、かごドア23が閉まりかけているエレベーター等が含まれる。なお、戸開延長割当部46は、利用者が急ぐ歩行速度であれば、戸開延長を実施せずに乗ることができるエレベーター20を、急ぎの割当として決定してもよい。この場合は、戸開延長時間として「0」を設定してもよい。
運行制御部42は、戸開延長割当部46によって割り当てられたエレベーター20に戸開延長させる。また、利用者追跡部230は、戸開延長割当部46によって割り当てられたエレベーター20を、急ぎ割当234として、追跡管理テーブル239で管理する。
なお、上述の「通常の歩行速度」は、上述の「急ぐ歩行速度」よりも遅い速度である。そして、「急ぐ歩行速度」は、本発明に係る「第1の歩行速度」の一具体例であり、「通常の歩行速度」は、本発明に係る「第2の歩行速度」の一具体例である。
エレベーター20のかご22には、スピーカー等の音声デバイスや、液晶表示装置等の表示デバイスが搭載されている場合が多い。割り当てられたエレベーター20のかごドア23を戸開延長した場合には、音声デバイス及び表示デバイスを用いて、かご22内にいる利用者10に戸開延長を行っている旨を報知することができる。例えば、音声デバイスの場合には「出発まで少々お待ちください」等のアナウンスを流し、表示デバイスの場合には「出発待機中」等のメッセージを表示することができる。
群管理装置40は、利用者10が急いでいる場合に割り当てられたエレベーター20の号機番号を、セキュリティゲート120に送信する。セキュリティゲート120は、利用者10が急いでいる場合に割り当てられたエレベーター20の号機番号を、急ぎ用エレベーターの号機番号として表示部126に表示する。
このような構成にすることで、認証された利用者10を追跡することができる。また、追跡結果を元にセキュリティゲート120の出口以降の利用者10の挙動を挙動解析部250によって判断し、その挙動に応じたエレベーターの運行制御を行うことができる。
本実施形態では、センサ310を、セキュリティゲート120の入口側、読取領域124、及び出口側の広範囲を計測領域とした。しかし、本発明は、このような広範囲な計測領域を有する1個のセンサ310を適用することに限定されない。本発明に係るエレベーターシステムとしては、入口用センサ310Aと、読取領域用センサ310B、出口用センサ310Cを設ける構成にしてもよい。また、入口側と読取領域の計測を兼ねるセンサ310Dと、出口用センサ310Cを設けるように、2つ以上のセンサを組み合わせて利用者10の挙動を計測してもよい。
このような構成にすることで、セキュリティゲート120の入口側から出口側、及び出口以降のすべての領域における利用者10の挙動を計測することが可能となる。これにより、セキュリティゲート120の入口側における利用者10の挙動と、セキュリティゲート120の出口側における利用者10の挙動から利用者10が急いでいるか否かを判断することができる。その結果、挙動解析部250の判断結果に応じて、エレベーター20の割当及び運行制御を実施することができ、運行制御の効率を向上させることができる。
[運行制御]
次に、第3実施形態に係るエレベーターの運行制御について、図6を参照して説明する。
図6は、第3実施形態に係るエレベーターシステムの運行制御を示すフローチャートの例である。
図6に示すように、戸開延長制御では、まず、周辺監視装置200は、挙動計測部220によって複数の利用者10を認識し、複数の利用者10の追跡を開始する(S200)。次に、利用者10は、セキュリティゲート120において、IDカード130を使用してユーザ認証処理を要求する(S201)。
次に、利用者管理装置400は、利用者10の認証を実施し、通過可否の判断をする(S202)。S202において、利用者管理装置400が通過拒否と判断した場合に、セキュリティゲート120は、ゲート機構123を閉鎖状態にする(S203)。S203の処理後、エレベーターシステムは、エレベーターを利用者10に割り当てる制御を終了する。
一方、S202において、利用者管理装置400が通過許可と判断した場合に、セキュリティゲート120のサービス処理部110(図1参照)は、利用者管理装置400から、利用者10の行先階情報136を取得する(S204)。利用者10の行先階情報136は、IDカード130の利用者ID情報134に対応付けられており、予めデータベース410に登録されている。
次に、周辺監視装置200のマッチング部240は、通過許可の利用者10と、追跡中の利用者をマッチングする(S205)。次に、周辺監視装置200の挙動解析部250は、マッチング以前の利用者10の挙動が「急いでいる」であるか否かを判定し、その判定結果をセキュリティゲート120に通知する(S206)。
利用者追跡部230は、例えば、速度ベクトルや加速度ベクトルで利用者10の挙動を処理することができる。挙動解析部250は、利用者10の速度ベクトルが、人が歩く場合の平均的な速度ベクトルよりも高い場合、或いは利用者10の加速度ベクトルが所定値よりも大きくなった場合に、利用者10が急いでいる(急ぐ歩行速度である)と判定する。また、挙動解析部250は、利用者10の速度ベクトルが、人が歩く場合の平均的な速度ベクトル以下である場合、或いは利用者10の加速度ベクトルが所定値以下である場合に、利用者10が急いでいない(通常の歩行速度である)と判定する。
S206において、挙動解析部250が、利用者10の挙動が「急いでいる」であると判定した場合に、セキュリティゲート120のサービス処理部110は、行先階情報136を急ぎのサービス要求として群管理装置40に登録(急ぎ呼び登録)する(S207)。また、セキュリティゲート120は、利用者10が入口側で急いでいたことを記憶する。
そして、群管理装置40の戸開延長割当部46は、後述の急ぎ呼び登録処理を行って、急ぎ呼び登録に対応できるエレベーター20がある否かを判断する。そして、急ぎ呼び登録に対応できるエレベーター20がある場合には、そのエレベーター20の戸開延長の処理を実行する(S208)。
急ぎ呼び登録に対応できるエレベーター20とは、戸開延長を行うことにより、急いでいる(急ぐ歩行速度の)利用者10が乗車可能なエレベーター20である。なお、急ぎ呼び登録に対応できるエレベーター20が無い場合は、戸開延長の処理を実行せずに、S209の処理に移行する。
S206において、挙動解析部250が、利用者10の挙動が「急いでいる」でない(普通)と判断した場合、又はS208の処理後、セキュリティゲート120のサービス処理部110は、行先階情報136を通常のサービス要求として群管理装置40に登録(呼び登録)する(S209)。
次に、群管理装置40における運行制御部42の割当部44は、行先階情報136を考慮して効率のよい運行を算出し、複数のエレベーターの中から少なくとも1つのエレベーター20を、通過許可の利用者10に割り当てる(S210)。そして、セキュリティゲート120は、呼び登録に対応するエレベーターの号機、及び急ぎ呼び登録に対応できるエレベーターの号機を表示部126に表示する。これにより、利用者10は、割り当てられたエレベーターの号機を認識することができる。
次に、周辺監視装置200の利用者追跡部230は、通過許可の利用者10の挙動を計測する(S211)。次いで、セキュリティゲート120は、ゲート機構123を開放状態にする(S212)。次に、周辺監視装置200の挙動解析部250は、利用者10の挙動が「急いでいる」であるか否かを判定する(S213)。
S213において、挙動解析部250が、利用者10の挙動が「急いでいる」でない(普通)と判定した場合、周辺監視装置200は、群管理装置40に急ぎ呼び登録のキャンセル(急ぎ呼び解除)を通知する(S214)。これにより、群管理装置40は、S207において実行した急ぎ呼び登録を解除する。
S213において、挙動解析部250が、利用者10の挙動が「急いでいる」であると判定した場合、又はS214の処理後、挙動解析部250は、利用者10の挙動がエレベーター20に乗る挙動であるか否かを判断する(S215)。
S215において、挙動解析部250が、利用者10の挙動がエレベーター20に乗る挙動に相当する(進行)と判定した場合に、エレベーターシステムは、エレベーターを利用者10に割り当てる制御を終了する。すなわち、割り当てたエレベーター20の運行制御を継続する。
なお、S213の処理時に利用者10が急いでいない場合は、S210の処理で割り当てた呼び登録に対応するエレベーターの運行制御が継続される。一方、S213の処理時に利用者10が急いでいる場合は、S208の処理で割り当てた急ぎ呼び登録に対応するエレベーターと、S210の処理で割り当てた呼び登録に対応するエレベーターの運行制御が継続される。
一方、S215において、挙動解析部250が、利用者10の挙動がエレベーター20に乗る挙動に相当しない(離脱)と判断した場合に、周辺監視装置200は、群管理装置40に呼び登録及び急ぎ呼び登録のキャンセル(呼び解除)を通知する(S216)。これにより、群管理装置40は、S209において実行した呼び登録、及びS207において実行した急ぎ呼び登録を解除する。
以上のようなフローに基づいてエレベーターの運行制御を処理することにより、利用者10がセキュリティゲート120を通過した後に、割り当てられたエレベーター20に乗らない挙動を取った場合に、呼び登録をキャンセルすることができる。これにより、エレベーター20の戸開待機時間を削除することができると共に、利用者10に割り当てたエレベーター20を別の利用者が乗車するエレベーターとして利用することができる。その結果、エレベーターシステムの運行効率を向上させることができる。
また、利用者10が急いでいると判断した場合には、急ぎ呼び登録に対応できるエレベーター20の戸開延長の処理を実行する。これにより、急いでいる利用者10が行先階に到着するまでの時間を短縮することができる。
さらに、急ぎ呼び登録に対応できるエレベーター20が戸開延長している場合に、そのエレベーター20のかご22内に設けられた戸閉ボタンが押されると、運行制御部42は、号機制御装置30を介して、戸開時間の延長に係る情報を報知させる。すなわち、号機制御装置30は、例えば、スピーカー等の音声デバイスを制御し、「戸開延長中です」というアナウンスを実行する。これにより、戸開延長されているエレベーター20に乗車している利用者に戸開延長していることを確実に認識させることができる。
なお、運行制御部42は、戸開延長するエレベーター20がある場合に、そのエレベーター20に対応する号機制御装置30を介して、戸開延長するエレベーターのかご22内に、戸開時間の延長に係る情報を報知してもよい。すなわち、戸閉ボタンの操作の有無に関わらず、戸開延長する、或いは戸開延長していることを報知してもよい。これにより、かごドア23が通常のタイミングで戸閉しなくても、戸開延長されているエレベーター20に乗車している利用者が疑問を抱かないようにすることができる。
[急ぎ呼び登録処理]
次に、群管理装置40が実行する急ぎ呼び登録処理について、図7を参照して説明する。
図7は、第3実施形態に係るエレベーターシステムの急ぎ呼び登録処理を示すフローチャートの例である。
群管理装置40は、周辺監視装置200から、利用者10の挙動情報を取得する。また、群管理装置40は、利用者管理装置400から、利用者10の行先階情報136を取得する。そして、群管理装置40は、急いでいる利用者10が、セキュリティゲート120から割り当てられたエレベーター20まで移動する場合に要する利用者移動時間を算出する(S300)。
次に、群管理装置40の戸開延長割当部46は、セキュリティゲート120が設置されたフロアに停車中且つ空いているかご22のエレベーター20を選択する(S301)。S301において、セキュリティゲート120が設置されたフロアに停車中且つ空いているかご22のエレベーター20が無い場合に、群管理装置40は、処理を後述のS304に移行する。
S301において、セキュリティゲート120が設置されたフロアに停車中且つ空いているかご22のエレベーター20がある場合に、戸開延長割当部46は、そのエレベーター20を選択し、エレベーター20の戸開残り時間と、利用者移動時間を比較する(S302)。
S302において戸開残り時間が利用者移動時間よりも短いと判断した場合に、戸開延長割当部46は、選択したエレベーター20を戸開延長の候補として記憶する(S303)。そして、候補となるエレベーター20が無くなるまでS301〜S303を繰り返す。なお、S302において戸開残り時間が利用者移動時間よりも長いと判断した場合に、戸開延長割当部46は、処理をS301に移行する。
S301において、候補となるエレベーター20が無いと判断した場合に、戸開延長割当部46は、戸開延長の候補のエレベーター20があるか否か判断する(S304)。S304において、戸開延長の候補のエレベーター20が無いと判断した場合に、戸開延長割当部46は、処理をS308に移行する。
S304において、戸開延長の候補のエレベーター20が有ると判断した場合に、戸開延長割当部46は、利用者移動時間から戸開延長の候補のエレベーター20における戸開残り時間を減算して、超過時間を算出する(S305)。次に、戸開延長割当部46は、超過時間と、予め定められた所定の延長可能時間との差を比較する(S306)。
S306において、超過時間が延長可能時間よりも長いと判断した場合に、戸開延長割当部46は、処理をS304に移行する。一方、S306において、超過時間が延長可能時間よりも短いと判断した場合に、比較対象にしたエレベーター20を戸開延長の候補として記憶する(S307)。そして、候補となるエレベーター20が無くなるまでS304〜S307を繰り返す。
S304において、戸開延長の候補のエレベーター20が無いと判断した場合に、戸開延長割当部46は、記憶された戸開延長の候補の中で、超過時間が最短であるエレベーター20を急ぎ呼び登録に対応できるエレベーター20として決定する(S308)。そして、急ぎ呼び登録に対応できるエレベーター20の超過時間を元にドア23の戸開を延長する。
なお、S308において、戸開延長の候補が1つも記憶されていない場合は、急ぎ呼び登録に対応できるエレベーター20が無いことを決定する。S308の処理後、群管理装置40は、急ぎ呼び登録処理を終了する。
このようなフローで処理することにより、利用者10が急いでいると判断した場合に、最短の戸開延長時間となるエレベーター20を、急ぎ呼び登録に対応できるエレベーター20として割り当てることができる。その結果、利用者10は、別のエレベーター20の到着を待たずに済むので、エレベーターシステム全体の平均待ち時間を短縮でき、運行効率を向上させることができる。
[エレベーター割当表示の例]
次に、本発明の第3実施形態に係るエレベーターシステムのエレベーター割当表示の例について、図8を参照して説明する。
図8は、第3実施形態に係るエレベーターシステムにおけるエレベーター割当表示の例を示す図である。
図8に示すように、セキュリティゲート120には、呼び登録したエレベーター20の号機番号を表示する表示部126を有している。なお、本実施形態では、号機番号を数字で表し、複数のエレベーター20の台数は6機としている。
図8Aは、通常の(急ぎでない)割当を、表示部126に数字を用いて表示した例である。図8Aに示すように、表示部126には、通常の(急ぎでない)呼び登録に対応するエレベーター20の号機「3」が表示される。なお、図8Aに示す表示例は、利用者10の挙動が「急いでいる」でない(普通)と判断した場合だけでなく、利用者10の挙動が「急いでいる」であると判断したが、急ぎ呼び登録に対応できるエレベーター20が無い場合に表示してもよい。
図8Bは、急ぎの割当と通常の(急ぎでない)割当とを、表示部126に文字を用いて表示した例である。図8Bに示すように、急ぎの割当情報と通常の割当情報は、上下に2段に分けて表示されている。急ぎ呼び登録に対応できるエレベーター20の号機「1」は、急ぎ呼び登録に対応する「急」という文字の横に表示される。また、通常の(急ぎでない)呼び登録に対応するエレベーター20の号機「3」は、通常の(急ぎでない)呼び登録に対応する「普」という文字の横に表示される。
図8Cは、急ぎの割当と通常の(急ぎでない)割当とを、表示部126にピクトグラムを用いて表示した例である。図8Cに示すように、急ぎの割当情報と通常の割当情報は、上下に2段に分けて表示されている。急ぎ呼び登録に対応できるエレベーター20の号機「1」は、急ぎ呼び登録に対応するピクトグラムの横に表示される。また、通常の(急ぎでない)呼び登録に対応するエレベーター20の号機「3」は、通常の(急ぎでない)呼び登録に対応するピクトグラムの横に表示される。
図8Dは、通常の(急ぎでない)割当を、表示部126に表示した例である。図8Dに示すように、表示部126には、複数のエレベーター20の全ての号機番号が表示され、通常の(急ぎでない)呼び登録に対応するエレベーター20の号機「3」の表示が、それ以外の号機番号の表示とは異なる色で表示される。
図8Eは、急ぎの割当と通常の(急ぎでない)割当とを、表示部126に文字を用いて表示した例である。図8Eに示すように、表示部126には、複数のエレベーター20の全ての号機番号が表示され、急ぎ呼び登録に対応できるエレベーター20の号機「1」が配置される領域には、急ぎ呼び登録に対応する「急」という文字が表示される。また、通常の(急ぎでない)呼び登録に対応するエレベーター20の号機「3」が配置される領域には、通常の(急ぎでない)呼び登録に対応する「普」という文字が表示される。
図8Fは、急ぎの割当と通常の(急ぎでない)割当とを、表示部126にピクトグラムを用いて表示した例である。図8Fに示すように、表示部126には、複数のエレベーター20の全ての号機番号が表示され、急ぎ呼び登録に対応できるエレベーター20の号機「1」が配置される領域には、急ぎ呼び登録に対応するピクトグラムが表示される。また、通常の(急ぎでない)呼び登録に対応するエレベーター20の号機「3」が配置される領域には、通常の(急ぎでない)呼び登録に対応するピクトグラムが表示される。
図8B、図8C、図8E、及び図8Fに示すように、本実施形態に係るセキュリティゲート120の表示部126は、利用者10の挙動に応じて決定された、急いでいる場合のエレベーター20の割当と、普通の場合のエレベーター20の割当とを、利用者10に提示することができる。これにより、利用者10は、乗車するエレベーター20を効率よく確認及び選択することができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係るエレベーターシステムの構成について、図9を参照して説明する。
図9は、本発明の第4実施形態に係るエレベーターシステムの構成図である。
第4実施形態に係るエレベーターシステムは、第3実施形態に係るエレベーターシステム(図5参照)と同様の構成を有している。第4実施形態に係るエレベーターシステムが、第3実施形態に係るエレベーターシステムと異なる部分は、サービス要求装置の他の具体例である顔認証ゲート500、及びセンサ320である。そのため、ここでは、顔認証ゲート500、及びセンサ320について説明し、第3実施形態と重複する構成についての説明を省略する。
図9に示すように、第4実施形態では、サービス要求装置として顔認証ゲート500を採用する。顔認証ゲート500は、上述したコントローラ1000を有し、サービス処理部110による処理を実行する。また、顔認証ゲート500は、左右の筐体121,122と、筐体121,122間の通行を妨げることが可能なゲート機構123とを有する。そして、筐体121には、割り当てたエレベーターの号機を報知する表示部126と、センサ320が設けられている。
センサ320は、顔認証ゲート500を通過する利用者10の顔を計測する。センサ320による利用者10の顔の計測は、筐体121、122の区間に設定された所定の認識領域で行う。また、センサ320は、顔認証ゲート500の入口側、筐体121、122の区間、及び顔認証ゲート500の出口から退出した利用者を認識する。このようなセンサ320としては、例えば、撮像範囲が広角の画像センサを適用することができる。
周辺監視装置200は、センサ320と、挙動計測部220と、利用者追跡部230とにより、利用者の動作を追跡する。追跡範囲は、セキュリティゲート120の入口側から、セキュリティゲート120の出口から退出する動作以降に設定される。
顔認証ゲート500は、顔認証装置510を有している。なお、顔認証装置510は、顔認証ゲート500とは別に設けてもよい。顔認証装置510は、利用者管理装置400と通信路54によって接続されている。そして、顔認証装置510は、顔認識部520と、データベース530とを有している。
顔認識部520は、センサ320の計測結果から、例えば、特徴量等を含む結果データを生成する。データベース530は、予め計測された利用者10の特徴量等を含む照合データ540と、各利用者10にそれぞれ付与された利用者ID情報134とを対応付けて記憶している。
顔認識部520は、生成した結果データと、データベース530の照合データ540とを照合して、利用者10を識別する。すなわち、利用者ID情報134を決定する。そして、顔認識部520は、識別結果である利用者ID情報134を利用者管理装置400に送信し、通行許可もしくは通行拒否の判断を要求する。
利用者管理装置400の利用者認証部420は、顔認証装置510から供給された利用者ID情報134とデータベース410に記憶されている利用者ID情報134とを照合する。顔認証装置510から供給された利用者ID情報134が、データベース410に記憶されている利用者ID情報134のいずれかと一致した場合に、利用者認証部420は、利用者10の通行許可を決定する。一方、顔認証装置510から供給された利用者ID情報134が、データベース410に記憶されている利用者ID情報134のいずれとも一致しない場合に、利用者認証部420は、利用者10の通行拒否を決定する。
利用者認証部420は、利用者10の通行許可を決定した場合に、利用者ID情報134に対応する行先階情報136を決定する。そして、セキュリティゲート120は、利用者管理装置400が利用者10の通過許可を決定した場合に、ゲート機構123のフラッパーゲート116を開放状態にする。一方、セキュリティゲート120は、利用者管理装置400が利用者10の通過拒否を決定した場合に、ゲート機構123を閉鎖状態にする。
このような構成にすることにより、利用者10が顔認証ゲート500を通過する際の利用者認証において、利用者10の行先階情報136を決定することが可能となる。また、前述した第1及び第2実施形態では、利用者10によるIDカード130のタッチ動作が必要である。しかし、本実施形態では、利用者10によるIDカード130のタッチ動作が必要無く、利用者10は、顔認識部520で識別されることにより、エレベーター20の呼び登録を自動的に行うことができる。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態に係るエレベーターシステムの構成について、図10を参照して説明する。
図10は、本発明の第5実施形態に係るエレベーターシステムの構成図である。
第5実施形態に係るエレベーターシステムは、第3実施形態に係るエレベーターシステム(図5参照)と同様の構成を有している。第5実施形態に係るエレベーターシステムが、第3実施形態に係るエレベーターシステムと異なる部分は、セキュリティゲート600、及び携帯端末330である。そのため、ここでは、セキュリティゲート600、及び携帯端末330について説明し、第3実施形態と重複する構成についての説明を省略する。
図9に示すように、第5実施形態では、各利用者10が携帯するスマートホン等の携帯端末330をセンサとして適用する。携帯端末330は、例えば、位置センサ、加速度センサ等を有し、利用者10の位置情報、速度ベクトル、及び加速度ベクトル等を検出可能である。また、携帯端末330は、利用者ID情報134を記憶している。
第5実施形態では、サービス要求装置としてセキュリティゲート600を採用する。セキュリティゲート600は、上述したコントローラ1000を有し、サービス処理部110による処理を実行する。また、セキュリティゲート600は、左右の筐体121,122と、筐体121,122間の通行を妨げることが可能なゲート機構123とを有する。そして、筐体121には、割り当てたエレベーターの号機を報知する表示部126が設けられている。
携帯端末330は、周辺監視装置200及び利用者管理装置400と無線通信56で接続されている。無線通信56を実現するには、基地局やアクセスポイント等の構成要素が必要である。しかし、本実施形態では、基地局やアクセスポイント等の構成要素の図示及び説明を省略する。なお、このような構成要素を活用することにより、携帯端末330の位置を計測することも可能である。
周辺監視装置200の挙動計測部220は、携帯端末330から供給された位置情報、速度ベクトル、及び加速度ベクトル等を元に、セキュリティゲート600の周辺における利用者10の挙動を計測する。なお、挙動計測部220は、セキュリティゲート600の筐体121、122間を通過している利用者10の挙動も計測することが可能である。
利用者管理装置400は、無線通信56を通じて、携帯端末330に記憶されている利用者ID情報134を受け取る。利用者管理装置400の利用者認証部420は、携帯端末330から供給された利用者ID情報134とデータベース410に記憶されている利用者ID情報134とを照合する。
携帯端末330に記憶されている利用者ID情報134が、データベース410に記憶されている利用者ID情報134のいずれかと一致した場合に、利用者認証部420は、利用者10の通行許可を決定する。一方、携帯端末330に記憶されている利用者ID情報134が、データベース410に記憶されている利用者ID情報134のいずれとも一致しない場合に、利用者認証部420は、利用者10の通行拒否を決定する。
利用者認証部420は、利用者10の通行許可を決定した場合に、利用者ID情報134に対応する行先階情報136を決定する。そして、セキュリティゲート120は、利用者管理装置400が利用者10の通過許可を決定した場合に、ゲート機構123のフラッパーゲート116を開放状態にする。一方、セキュリティゲート120は、利用者管理装置400が利用者10の通過拒否を決定した場合に、ゲート機構123を閉鎖状態にする。
前述した第4実施形態では、センサ320に利用者10の顔を正しく検出させるために、顔認証ゲート500を通過する場合に俯かない等の顔を向ける方向を注意する必要がある。しかし、本実施形態では、顔を向ける方向を注意する必要は無く、利用者10は、エレベーター20の呼び登録を無意識に実行させることができる。
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態に係るエレベーターシステムの構成について、図11を参照して説明する。
図11は、本発明の第6実施形態に係るエレベーターシステムの構成図である。
第6実施形態に係るエレベーターシステムは、第3実施形態に係るエレベーターシステム(図5参照)と同様の構成を有している。第6実施形態に係るエレベーターシステムが、第3実施形態に係るエレベーターシステムと異なる部分は、行先階登録装置700である。そのため、ここでは、行先階登録装置700について説明し、第3実施形態と重複する構成についての説明を省略する。
図11に示すように、第6実施形態では、サービス要求装置として行先階登録装置700を採用する。行先階登録装置700は、表示入力部710と、行先階決定部720とを備えている。表示入力部710は、利用者10が行先階を設定するための操作が可能な入力部と、群管理装置40から供給される情報を表示する表示部を有している。行先階決定部720は、利用者10による表示入力部710の操作に応じて行先階を決定する。
群管理装置40は、運行制御部42を有する。運行制御部42は、割当部44と、戸開延長割当部46とを有する。周辺監視装置200は、センサ310と接続されており、挙動計測部220と、利用者追跡部230と、マッチング部240と、挙動解析部250とを有する。マッチング部240は、行先階登録装置700において行先階を登録した人物と、利用者追跡部230で追跡している利用者10を対応づける。
センサ310は、行先階登録装置700の周辺領域を計測する。このセンサ310は、行先階登録装置700とは別の筐体に取り付けられていてもよく、また、行先階登録装置700に取り付けられていてもよい。
このような構成にすることにより、行先階登録装置700の周辺における利用者10の挙動を計測することができる。そして、利用者10の挙動から急いでいるか否かを判定し、利用者10が急いでいると判定した場合に戸開延長を行うことにより、効率よく運行制御を行うことができる。
また、行先階登録装置700を通過した後の利用者10の挙動からエレベーター20を利用する挙動であるか否かを判定し、呼び登録後に利用者10がエレベーター20を利用しないと判定した場合に、その呼び登録をキャンセルすることができる。その結果、エレベーターシステム全体の運行効率を向上させることができる。
[エレベーター割当表示の例]
次に、本発明の第6実施形態に係るエレベーターシステムのエレベーター割当表示の例について、図12を参照して説明する。
図12は、第6実施形態に係るエレベーターシステムにおけるエレベーター割当表示の例を示す図である。
図12に示す表示入力部710は、液晶表示装置や、有機EL(electro-luminescence)等の表示装置と、タッチパネルとを組み合わされて構成されている。なお、本実施形態では、号機番号をアルファベットで表し、複数のエレベーター20の台数は6機としている。
図12Aは、行先階入力時の表示入力部710の例を示す。行先階入力時の表示入力部710には、行先階を入力できるように、ボタンに相当する数字が表示されている。行先階決定部720は、利用者10がタッチする数字に応じて行先階を決定する。例えば、利用者が、「1」、「0」の順番に数字をタッチした場合に、行先階決定部720は、行先階を10階と決定する。また、利用者10が最上階より大きい数字をタッチした場合に、行先階決定部720は、行先階が決定できないため、エラーと決定する。行先階決定部720がエラーと決定した場合に、表示入力部710は、エラーに合わせた内容を表示する。
図12Bは、入力された行先階と割り当てられたエレベーター20を、表示入力部710に表示した例である。図12Bに示すように、表示入力部710には、利用者10が入力した行先階「10」と、通常の(急ぎでない)呼び登録に対応するエレベーター20の号機「C」が表示される。なお、図12Bに示す表示例は、利用者10の挙動が「急いでいる」でない(普通)と判断した場合だけでなく、利用者10の挙動が「急いでいる」であると判断したが、急ぎ呼び登録に対応できるエレベーター20が無い場合に表示してもよい。
図12Cは、急ぎの割当及び通常の(急ぎでない)割当を、表示入力部710にアルファベットを用いて表示した例である。図12Cに示すように、表示入力部710には、利用者10が入力した行先階「10」が表示される。また、急ぎ呼び登録に対応できるエレベーター20の号機「A」は、急ぎ呼び登録に対応する「急」という文字の横に表示される。さらに、通常の(急ぎでない)呼び登録に対応するエレベーター20の号機「C」は、通常の(急ぎでない)呼び登録に対応する「普」という文字の横に表示される。
図12Dは、急ぎの割当及び通常の(急ぎでない)割当を、表示入力部710にピクトグラムを用いて表示した例である。図12Dに示すように、表示入力部710には、利用者10が入力した行先階「10」が表示される。また、急ぎ呼び登録に対応できるエレベーター20の号機「A」は、急ぎ呼び登録に対応するピクトグラムの横に表示される。さらに、通常の(急ぎでない)呼び登録に対応するエレベーター20の号機「C」は、通常の(急ぎでない)呼び登録に対応するピクトグラムの横に表示される。
図12Eは、通常の(急ぎでない)割当を、表示入力部710に表示した例である。図12Eに示すように、表示入力部710には、利用者10が入力した行先階「10」が表示される。また、表示入力部710には、複数のエレベーター20の全ての号機が表示され、通常の(急ぎでない)呼び登録に対応するエレベーター20の号機「C」の表示が、それ以外の号機番号の表示とは異なる色で表示される。
図12Fは、急ぎの割当と通常の(急ぎでない)割当とを、表示入力部710に文字を用いて表示した例である。図12Fに示すように、表示入力部710には、利用者10が入力した行先階「10」が表示される。また、表示入力部710には、複数のエレベーター20の全ての号機が表示され、急ぎ呼び登録に対応できるエレベーター20の号機「A」が配置される領域には、急ぎ呼び登録に対応する「急」という文字が表示される。また、通常の(急ぎでない)呼び登録に対応するエレベーター20の号機「C」が配置される領域には、通常の(急ぎでない)呼び登録に対応する「普」という文字が表示される。
図12Gは、急ぎの割当と通常の(急ぎでない)割当とを、表示部126にピクトグラムを用いて表示した例である。図12Gに示すように、表示入力部710には、利用者10が入力した行先階「10」が表示される。また、表示入力部710には、複数のエレベーター20の全ての号機が表示され、急ぎ呼び登録に対応できるエレベーター20の号機「A」が配置される領域には、急ぎ呼び登録に対応するピクトグラムが表示される。また、通常の(急ぎでない)呼び登録に対応するエレベーター20の号機「C」が配置される領域には、通常の(急ぎでない)呼び登録に対応するピクトグラムが表示される。
このように、本実施形態では、割当部44及び戸開延長割当部46によって行われるエレベーター20の割当結果に応じて、行先階登録装置700の表示入力部710を変化させる。これにより、利用者10に割当結果を容易に明示することができる。
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態に係るエレベーターシステムの構成について、図13を参照して説明する。
図13は、本発明の第7実施形態に係るエレベーターシステムの構成図である。
第7実施形態に係るエレベーターシステムは、第1実施形態に係るエレベーターシステム(図1参照)と同様の構成を有している。第7実施形態に係るエレベーターシステムが、第1実施形態に係るエレベーターシステムと異なる部分は、利用状況確認装置800及び複数のセンサ810である。そのため、ここでは、利用状況確認装置800及び複数のセンサ810について説明し、第1実施形態と重複する構成についての説明を省略する。
第7実施形態では、サービス要求装置100からエレベーター20に乗車するまでの利用者10を確認できるように、複数のセンサ810を設けている。複数のセンサ810は、利用状況確認装置800に通信可能に接続されている。利用状況確認装置800は、第1実施形態に係る周辺監視装置200の計測範囲を拡張したものであり、挙動計測部220と、利用者追跡部230と、マッチング部240と、挙動解析部250と、乗車確認部260とを有している。
乗車確認部260は、利用者追跡部230により追跡中の利用者10の識別番号820と、利用者10に割り当てられたエレベーター20の号機番号830を管理する。挙動解析部250は、各エレベーター20が配置された領域の情報である領域情報を記憶しており、領域情報と利用者10の位置から、利用者10が乗車したエレベーター20を特定可能である。挙動解析部250は、例えば、各エレベーター20におけるかご22の床面積及び位置を領域情報として予め記憶しており、利用者10の位置が重なるかご22のエレベーター20に利用者10が乗車していると判断する。
[運行制御]
次に、第7実施形態に係るエレベーターの運行制御について、図14を参照して説明する。
図14は、第7実施形態に係るエレベーターシステムの乗車確認処理を示すフローチャートの例である。
まず、利用状況確認装置800の利用者追跡部230は、対象となる識別番号820に相当する利用者10の移動を追跡する(S400)。次に、乗車確認部260は、追跡している利用者10の位置と領域情報とに基づいて、利用者10が複数のエレベーター20のいずれかに乗車したか否かを判定する(S401)。
S510において、利用者10が複数のエレベーター20のいずれにも乗車していないと判定した場合に、利用者追跡部230は、追跡を再開する。一方、利用者10が複数のエレベーター20のいずれかに乗車したと判定した場合に、乗車確認部260は、利用者10に割り当てられたエレベーター20の号機番号と、利用者10が乗車したエレベーター20の号機番号が一致するか否かを判定する(S402)。
S402において、利用者10に割り当てられたエレベーター20の号機番号と、利用者10が乗車したエレベーター20の号機番号が一致すると判定した場合に、利用状況確認装置800は、利用者10に割り当てられたエレベーター20の戸閉を群管理装置40に依頼する(S403)。これにより、群管理装置40は、利用者10に割り当てたエレベーター20の戸閉を実施する。S403の処理後、利用状況確認装置800は、乗車確認処理を終了する。
一方、S402において、利用者10に割り当てられたエレベーター20の号機番号と、利用者10が乗車したエレベーター20の号機番号が一致しないと判定した場合に、利用状況確認装置800は、利用者10が割り当てられたエレベーター20へ移動するために要する移動時間に所定時間を加算して余裕時間を算出し、算出した余裕時間と、利用者10に割り当てられたエレベーター20の戸開残り時間とを比較する(S404)。
S404において、戸開残り時間が余裕時間よりも短くて余裕が無いと判定した場合に、利用状況確認装置800は、利用者10に割り当てられたエレベーター20の戸開延長を群管理装置40に依頼する(S405)。これにより、群管理装置40は、利用者10に割り当てたエレベーター20の余裕時間分の戸開延長を実施する。
S404において、戸開残り時間が余裕時間よりも長くて余裕が有ると判定した場合、又はS405の処理後、利用状況確認装置800は、割り当てられたエレベーター20Aとは異なるエレベーター20Bに乗車した旨を報知することを、異なるエレベーター20Bの号機制御装置30に依頼する(S406)。これにより、異なるエレベーター20Bの号機制御装置30は、割り当てられたエレベーター20Aとは異なるエレベーター20Bに乗車した旨を報知する。
号機制御装置30は、例えば、スピーカー等の音声デバイスを制御し、「A号機にお乗りください」というアナウンスを実行する。なお、「A」は、割り当てられたエレベーター20Aの号機番号である。また、号機制御装置30は、例えば、液晶表示装置等の表示デバイスを制御し、「A号機にお乗りください」というアラーム表示を実行する。
このような乗車確認処理を行うことにより、利用者10が複数のエレベーター20のうちの割り当てられたエレベーター20Aに乗車したか否かを把握することができる。そして、利用者10が、割り当てられたエレベーター20Aとは異なるエレベーター20Bに乗車した場合に、割り当てられたエレベーター20Aに乗車するように促すことができる。その結果、利用者10に割り当てたエレベーター20Aの運行制御を予定通りに実施する確率を高めることができる。
なお、本実施形態では、乗車確認部260が、利用者10が複数のエレベーター20のいずれかに乗車したか否かを判定した。しかし、本発明に係る乗車確認部としては、利用者10が複数のエレベーター20のいずれかに乗車する直前或いは乗車している途中であるか否かを判定してもよい。
この場合は、例えば、かごドア23によって開閉される開口部付近にセンサ810を配置し、乗車する動作を行う利用者10を検出する。そして、利用者10が割り当てられたエレベーター20Aとは異なるエレベーター20Bに乗車する直前或いは乗車している途中である場合に、余裕時間と戸開残り時間とを比較する。このとき、戸開残り時間が余裕時間よりも短くて余裕が無いと判定した場合は、戸開延長を群管理装置40に依頼する。また、割り当てられたエレベーター20Aに乗車する旨の報知を行う。
これにより、利用者10が、割り当てられたエレベーター20Aとは異なるエレベーター20Bに乗車する直前或いは乗車している途中である場合に、割り当てられたエレベーター20Aに乗車するように促すことができる。その結果、利用者10に割り当てたエレベーター20Aの運行制御を予定通りに実施する確率を高めることができる。また、利用者10が異なるエレベーター20Bに完全に乗車する前に号機確認を行うため、戸開延長の実施を削減することができる。
以上、本発明のエレベーターシステム及びエレベーター制御方法の実施形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明のエレベーターシステム及びエレベーター制御方法は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
また、上述した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。