JP2021138026A - 成形体及びスクリューキャップ - Google Patents

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Abstract

【課題】熱可塑性エラストマー層とポリエチレン層とが十分な融着強度を有する成形体、及び、この成形体を用いた、グリップ性に優れたスクリューキャップの提供。【解決手段】密度が0.910〜0.960g/cm3であるポリエチレンを含むスチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなる熱可塑性エラストマー層1Bと、その内側のポリエチレン層よりなる基材層とが融着した成形体、及びこの成形体からなるスクリューキャップ。【選択図】図1

Description

本発明は、熱可塑性エラストマー層とポリエチレン層とで構成される成形体、及びそれよりなるャップに関する。
従来、容器の内容物を封止するために、王冠状のキャップや、プルトップキャップ、スクリューキャップが用いられている。スクリューキャップは、王冠状のキャップやプルトップキャップといった非スクリューキャップよりも、密封性とリシール性に優れるため、特に繰り返し開け締めがなされる用途で好適に用いられている。
スクリューキャップの開栓のしやすさは、キャップの径、形状、ローレット加工の種類、材料等によって影響を受ける。一般に提供されているスクリューキャップは、金属、ポリプロピレン、ポリエチレン等の比較的滑りやすい材料から構成されている。内容物が牛乳などの乳飲料の場合には、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(容器包装関係)」(以下、「乳等省令」と称す。)に基づいて、ポリエチレンが使用されている。
従来、スクリューキャップのグリップ性を高め開栓しやすくする工夫として、スクリューキャップの外周面にローレット加工と呼ばれる凹凸状の表面加工を施したものが知られている。しかしながら、径の小さいキャップでは、ローレット加工だけでは十分な効果は得られず、開栓し難い場合があった。
グリップ性を高めるという観点で、特許文献1には、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーとポリオレフィンのブレンド、又はオレフィン系熱可塑性エラストマーとポリオレフィンのブレンドで構成してなるプラスチック製品において、スチレン系熱可塑性エラストマー又はオレフィン系熱可塑性エラストマーの割合を多くすることでプラスチック表面を滑りにくくすることができ、各種グリップとして使用できることが記載されている。
特開平11−5848号公報
上記の通り、特許文献1に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物やスチレン系熱可塑性エラストマー組成物を用いることにより、表面が滑りにくく、グリップ性に優れたスクリューキャップとすることができると考えられる。一方で、前述の通り、牛乳などの乳飲料のボトルキャップには、乳等省令に基づいて、ポリエチレンが好適とされている。
従って、スクリューキャップを、特許文献1に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物やスチレン系熱可塑性エラストマー組成物よりなる熱可塑性エラストマー層とポリエチレン層の積層構造とし、外側を熱可塑性エラストマー層とし内側をポリエチレン層とすることで、グリップ性と規格適合性を両立できると考えられる。
しかしながら、本発明者が特許文献1に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物やスチレン系熱可塑性エラストマー組成物と、ポリエチレンとの融着を試みたところ、これらは融着し難く、実用的なスクリューキャップを成形し得ないことが判明した。
なお、特許文献1には、「コスト節減のためには、表面部分のみをオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物やスチレン系熱可塑性エラストマー組成物で構成し、他の部分を汎用のプラスチックで構成してもよい。例えば、容器の内層部を汎用のプラスチック、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等で構成し、外層部をオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物やスチレン系熱可塑性エラストマー組成物で構成する。」旨の記載があり、熱可塑性エラストマー層とポリエチレン層との積層構造とすることが示唆されているが、スチレン系熱可塑性エラストマーとブレンドするポリオレフィンについては、「本発明に使用するポリオレフィンとしては、ポリエチレン又はポリプロピレン又はポリエチレン−プロピレンが挙げられ、その具体的な市販品の例としては、チッソ(株)から入手可能な「チッソポリプロ、グレード:XK6004」が挙げられる。」と記載されるのみで、ブレンドするポリエチレンの密度についての検討はなされておらず、具体的にポリエチレンをブレンドした例もない。また、特許文献1では、ポリエチレン層との融着性についての検討もなされていない。
本発明は、熱可塑性エラストマー層とポリエチレン層とを融着してなる成形体であって、熱可塑性エラストマー層とポリエチレン層とが十分な融着強度を有する成形体を提供することを課題とする。本発明はまた、この成形体を用いて、グリップ性と規格適合性を両立したスクリューキャップ等のキャップを提供することを課題とする。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の密度を有するポリエチレンを含むスチレン系熱可塑性エラストマー組成物を用いることで、熱可塑性エラストマー層とポリエチレン層とが十分な融着強度を有し、スクリューキャップとしてグリップ性と規格適合性の両立を図ることができることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は以下の特徴を有する。
[1] 密度が0.910〜0.960g/cmであるポリエチレンを含むスチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなる熱可塑性エラストマー層と、ポリエチレン層とが融着した成形体。
[2] 前記スチレン系熱可塑性エラストマー組成物のデュロ硬度Aが30〜90である、[1]に記載の成形体。
[3] 前記スチレン系熱可塑性エラストマー組成物が下記成分(A)〜(C)を含有する、[1]又は[2]に記載の成形体。
成分(A):直鎖状低密度ポリエチレンである前記密度が0.910〜0.960g/cmであるポリエチレン
成分(B):スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物
成分(C):炭化水素系ゴム用軟化剤
[4] 前記スチレン系熱可塑性エラストマー組成物が、前記成分(A)100質量部に対し、前記成分(B)を100〜300質量部含有する、[3]に記載の成形体。
[5] 前記スチレン系熱可塑性エラストマー組成物が、前記成分(A)100質量部に対し、前記成分(C)を200〜400質量部含有する、[3]又は[4]に記載の成形体。
[6] 前記スチレン系熱可塑性エラストマー組成物中の前記成分(B)の含有率が前記成分(B)と成分(C)の合計に対して35〜65質量%である、[3]〜[5]のいずれかに記載の成形体。
[7] 前記ポリエチレン層が高密度ポリエチレンよりなる、[1]〜[6]のいずれかに記載の成形体。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の成形体からなるキャップ。
[9] スクリューキャップである、[8]に記載のキャップ。
[10] 飲料容器用キャップである、[8]又は[9]に記載のキャップ。
本発明によれば、熱可塑性エラストマー層とポリエチレン層とが十分な融着強度で積層一体化された成形体が提供される。
本発明によれば、この成形体を用いて、ボトル内容物と接触する可能性のあるキャップ内面側はポリエチレン層よりなり、グリップ性のために滑り難さが求められる外面側は熱可塑性エラストマー層よりなり、グリップ性と規格適合性を両立したスクリューキャップ等のキャップを提供することができる。
図1は、スクリューキャップの一例を示す一部断面正面図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の成形体の好適な用途であるスクリューキャップは、例えば図1に示すような形状とされている。図1の通り、スクリューキャップ1の内周面には容器口部の螺条と螺合させて開け締めするための螺条1Aが刻設されている。スクリューキャップ1の外周面1Bには通常ローレット加工が施されている。
本発明では、キャップを開け締めする際に手で掴持するスクリューキャップ等のキャップの外周面を「グリップ部」と称す。また、このグリップ部を掴んで開け締めする際の開栓性又は閉栓性を「グリップ性」と称す。
本発明の成形体を図1のようなスクリューキャップに適用する場合、図1における外周面1Bを少なくとも後述の本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物よりなる本発明の熱可塑性エラストマー層とし、その内側をポリエチレン層よりなる基材部とすることが好ましい。
〔成形体〕
本発明の成形体は、密度が0.910〜0.960g/cmであるポリエチレンを含むスチレン系熱可塑性エラストマー組成物(以下、「本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物」と称す場合がある。)からなる熱可塑性エラストマー層(以下、「本発明の熱可塑性エラストマー層」と称す場合がある。)と、ポリエチレン層とが融着してなるものである。
[スチレン系熱可塑性エラストマー組成物]
<密度が0.910〜0.960g/cmであるポリエチレン>
本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物に含まれるポリエチレンは、JIS K7112に従って測定した密度が0.910〜0.960g/cmであることを特徴とする。本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物に含まれるポリエチレンの密度を上記範囲とすることで、滑り難く、キャップとしたときのグリップ性に優れるとともに、溶融状態でのポリエチレンとの再結晶化の促進によりポリエチレン層との融着強度を高めることができる。
本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物に含まれるポリエチレンの密度の下限は、0.915g/cm以上であることが好ましく、0.920g/cm以上であることがより好ましい。一方、その上限は、0.950g/cm以下であることが好ましく、0.940g/cm以下であることがより好ましい。
密度が0.910〜0.960g/cmであるポリエチレンとしては、公知のものが使用でき、エチレンの単独重合体であってもよく、エチレンとα−オレフィンやその他のビニル系化合物との共重合体であってもよい。
密度が0.910〜0.960g/cmであるポリエチレンの具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、低結晶性エチレン・1−ブテンランダム共重合体(EBM)、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体が挙げられる。
これらのうち、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンは、成形加工性の安定性や剥離強度の安定性を高めると共に、ポリエチレン層との融着強度を良好なものとするために有効である。
密度が0.910〜0.960g/cmであるポリエチレンのメルトフローレート(MFR)は、0.1g/10分以上であることが好ましく、0.5g/10分以上であることがより好ましく、100g/10分以下であることが好ましく、80g/10分以下であることがより好ましい。このポリエチレンのMFRが上記範囲であると、本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなる本発明の熱可塑性エラストマー層の成形外観と切断時引張応力が優れたものとなる傾向がある。ここで、ポリエチレンのMFRはJIS K6922に従い、温度190℃、荷重21.2N、10分の条件で測定された値である。
密度が0.910〜0.960g/cmであるポリエチレンは市販品として入手することができる。市販品としては、日本ポリエチレン社製「ノバテック(登録商標)」シリーズ、宇部丸善ポリエチレン株式会社製「ユメリットシリーズ」等から該当するものを適宜選択して用いることができる。
密度が0.910〜0.960g/cmであるポリエチレンは、1種のみを用いてもよく、物性や共重合成分組成、構造等の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
<スチレン系熱可塑性エラストマー>
本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物に含まれるスチレン系熱可塑性エラストマーは、ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも1個の重合体ブロックPと、共役ジエンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体、並びに該ブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体(水添ブロック共重合体)よりなる群から選ばれるブロック共重合体である。
重合体ブロックPは、ビニル芳香族化合物を主体とする単量体の重合体ブロックであり、一方、重合体ブロックQは、共役ジエンを主体とする単量体の重合体ブロックである。ここで「主体とする」とは、ブロック中の含有率が50モル%以上であることを意味する。
重合体ブロックPを構成する単量体のビニル芳香族化合物は限定されないが、スチレン、α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン誘導体が好ましい。これらの中でも、スチレンを主体とすることが好ましい。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。なお、当該重合体ブロックPには、ビニル芳香族化合物以外の単量体が原料として含まれていてもよい。
重合体ブロックQを構成する単量体は限定されないが、好ましくはブタジエン単独、イソプレン単独、ブタジエン及びイソプレンの混合物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。なお、重合体ブロックQには、ブタジエン及びイソプレン以外の単量体が原料として含まれていてもよい。
また、重合体ブロックQは、重合後に有する二重結合を水素添加した水素添加誘導体、即ち水添ブロック共重合体であってもよい。重合体ブロックQの水素添加率は限定されないが、50〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましい。重合体ブロックQを前記範囲で水素添加することにより、熱安定性、耐候安定性が向上する傾向にある。なお、重合体ブロックPが、原料としてジエン成分を用いた場合についても同様である。水素添加率は、13C−NMRにより測定することができる。
スチレン系熱可塑性エラストマーはスチレン単位含有率が8〜45質量%であることが好ましい。スチレン系熱可塑性エラストマーのスチレン単位含有率が上記下限以上であると、スチレン系熱可塑性エラストマー組成物からの炭化水素系ゴム用軟化剤のブリードアウトを抑制できる。一方、上記上限以下であると、スチレン系熱可塑性エラストマーの硬度が高くなりすぎることを抑制できる。スチレン系熱可塑性エラストマーのスチレン単位含有率は、より好ましくは10〜40質量%である。
「スチレン単位含有率」とはスチレン単位の含有率のみならず、スチレン単位の芳香環に水素原子以外の原子又は原子団が置換した構成単位の含有率も含む意味で用いられる。スチレン単位含有率は13C−NMRにより測定することができる。
スチレン系熱可塑性エラストマーにおける前記の重合体ブロックP及び重合体ブロックQを有する共重合体の化学構造は、直鎖状、分岐状、放射状等の何れであってもよいが、下記式(1)又は(2)で表されるブロック共重合体であることが好ましい。
更に、下記式(1)又は(2)で表されるブロック共重合体は、水素添加誘導体(水添ブロック共重合体)であることが好ましい。下記式(1)又は(2)で表される共重合体が水添ブロック共重合体であると、耐熱安定性、耐候安定性が良好となる傾向にある。
P−(Q−P) (1)
(P−Q) (2)
(式中、Pは重合体ブロックPを、Qは重合体ブロックQをそれぞれ表し、mは1〜5の整数を表し、nは1〜5の整数を表す。)
式(1)又は(2)においてm及びnは、ゴム的高分子体としての秩序−無秩序転移温度を下げる点では大きい方がよいが、製造のしやすさ及びコストの点では小さい方がよい。
なお、スチレン系熱可塑性エラストマーのブロック共重合体及び/又は水添ブロック共重合体(以下、まとめて「(水添)ブロック共重合体」と記す)としては、ゴム弾性に優れることから、式(2)で表される(水添)ブロック共重合体よりも式(1)で表される(水添)ブロック共重合体の方が好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマーの重量平均分子量の上限は限定されないが、通常700,000以下、好ましくは500,000以下、より好ましくは300,000以下である。また、スチレン系熱可塑性エラストマーの重量平均分子量の下限は限定されないが、通常40,000以上、好ましくは60,000以上、より好ましくは90,000以上である。スチレン系熱可塑性エラストマーの重量平均分子量を上記上限以下とすることで、成形性や成形品外観を良好に保持できる。また、重量平均分子量を上記下限以上とすることで、スチレン系熱可塑性エラストマー組成物から炭化水素系ゴム用軟化剤がブリードアウトすることを抑制でき、グリップ性を良好に保持できる。
なお、スチレン系熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと略記する場合がある)により下記条件で測定したポリスチレン換算の値である。
<ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)の測定条件>
機器 :東ソー株式会社製HLC−8120
カラム :東ソー株式会社製TSKgel Super H1000+H2000+H3000
検出器 :示差屈折率検出器(RI/内蔵)
溶媒 :テトラヒドロフラン
温度 :40℃
流速 :0.5mL/分
注入量 :10μL
濃度 :0.2質量%
較正試料:単分散ポリスチレン
較正法 :ポリスチレン換算
スチレン系熱可塑性エラストマーの製造方法は、上述の構造と物性が得られればどのような方法でもよく、特に限定されない。例えば、リチウム触媒等を用いて不活性溶媒中でブロック重合を行うことによって得ることができる。また、ブロック共重合体の水素添加(水添)には、不活性溶媒中で水添触媒の存在下で行う等の公知の方法を採用することができる。
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン・共役ジエンブロック共重合体及び又はその水素添加物が挙げられ、スチレン・共役ジエンブロック共重合体の共役ジエンがイソプレン、ブタジエンから選択される1種以上で構成される水素添加物が好適である。スチレン・共役ジエンブロック共重合体及び又はその水素添加物は必要に応じて極性基を有していてもよい。
スチレン・共役ジエンブロック共重合体及び又はその水素添加物としては、スチレン・ブタジエンブロック共重合体及び/又はその水素添加物、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物、スチレン・イソプレンブロック共重合体及び/又はその水素添加物、スチレン・ブタジエン・イソプレンブロック共重合体及び/又はその水素添加物、スチレン・イソプレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物等が挙げられる。
スチレン・ブタジエンブロック共重合体の水素添加物としては、スチレン・ブタジエン・ブチレン共重合体(SBB)、スチレン・エチレン・ブチレン共重合体(SEB)、スチレン・エチレン・ブチレン共重合体(SEB)等が挙げられる。
スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水素添加物としては、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(SEBS)が挙げられる。
スチレン・イソプレンブロック共重合体の水素添加物としては、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体(SEPS)等が挙げられる。
スチレン・イソプレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水素添加物としてはスチレン・エチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体(SEEPS)が挙げられる。
これらの中でも引張強度や圧縮永久歪の観点からスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水素添加物であるスチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(SEBS)、スチレン・イソプレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水素添加物であるスチレン・エチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体(SEEPS)が好ましい。これらは、全て水素添加されたものであっても、部分的に水素添加されたものであってもよい。
スチレン系熱可塑性エラストマーは、市販品を用いることも可能である。市販品としては、クレイトンポリマージャパン株式会社製「クレイトン(登録商標)」Gシリーズ、TSRC社製「TAIPOL(登録商標)」、「VECTOR(登録商標)」SEBSシリーズ、クラレ社製「セプトン(登録商標)」シリーズ等から該当するものを適宜選択して用いることができる。
スチレン系熱可塑性エラストマーは、1種のみを用いてもよく、物性やブロック構造、水添の有無等の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
<スチレン系熱可塑性エラストマー組成物の好適態様>
本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物は、グリップ性の観点から、ISO 7619−1で測定したデュロ硬度Aが30〜90であることが好ましい。デュロ硬度Aを30以上とすることで、キャップ開栓時に変形することなくグリップに適した柔らかさのグリップ部が得られる。デュロ硬度Aを90以下とすることで、適度な硬さのグリップ部とすることができ、キャップ開栓時に指が滑ることを抑制できる。
本発明の好適態様のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物は、下記成分(A)〜(C)を含有することが好ましい。
成分(A):密度が0.910〜0.960g/cmである直鎖状低密度ポリエチレン
成分(B):スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物
成分(C):炭化水素系ゴム用軟化剤
(成分(A))
成分(A)の密度が0.910〜0.960g/cmである直鎖状低密度ポリエチレンは、<密度が0.910〜0.960g/cmであるポリエチレン>の項で上述した直鎖状低密度ポリエチレンを用いることができる。
(成分(B))
成分(B)のスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物としては、<スチレン系熱可塑性エラストマー>の項で上述したスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物を用いることができる。
(成分(C))
成分(C)の炭化水素系ゴム用軟化剤は、スチレン系熱可塑性エラストマー組成物を軟化させグリップ性を向上させる。
成分(C)としては、炭化水素系オイル等のプロセスオイルが用いられる。炭化水素系オイルとしては、パラフィン系、ナフテン系等のプロセスオイルが用いられる。このうち、パラフィン系プロセスオイルは、本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物を効果的に軟化させるので好ましい。
成分(C)の炭化水素系ゴム用軟化剤は、市販品を用いることも可能である。市販品としてはJX日鉱日石エネルギー社製「日石ポリブテン(登録商標)」HVシリーズ、出光興産社製「ダイアナ(登録商標)プロセスオイル」PWシリーズ、三井化学社製「ルーカント(登録商標)」シリーズが挙げられ、これらの中から適宜選択して使用することができる。
成分(C)の炭化水素系ゴム用軟化剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(成分含有割合)
本発明の好適態様のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物において、成分(A)100質量部に対する成分(B)の含有量は100〜300質量部、特に120〜280質量部であることが好ましい。成分(B)の含有割合を上記範囲とすることで、良好なグリップ性が得られる。
また、成分(B)の含有率は、成分(B)と成分(C)の合計に対して35〜65質量%、特に40〜60質量%であることが好ましい。成分(B)の含有率を上記下限以上とすることで、熱可塑性エラストマー層から成分(C)の炭化水素系ゴム用軟化剤がブリードして成形体表面が滑りやすくなることを抑制でき、良好なグリップ性が得られる。成分(B)の含有率を上記上限以下とすることで、熱可塑性エラストマー組成物の硬度が高くなりすぎることを抑制でき、十分なグリップ性が得られる。
本発明の好適態様のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物において、成分(C)の含有量は、成分(A)100質量部に対して200〜400質量部、特に220〜380質量部であることが好ましい。成分(C)の含有量を上記範囲とすることで、良好なグリップ性が得られる。
(その他の成分)
本発明の好適態様のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて上記成分(A)〜(C)以外の他の成分が含まれていてもよい。
本発明の好適態様のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物が含有していてもよい他の成分としては、各種のブロッキング防止剤、シール性改良剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、結晶核剤、着色剤、成分(A),(B)以外の樹脂等が挙げられる。
ここで、酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン等のフェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤が挙げられる。このうちフェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤を用いる場合、その配合量は、成分(A)100質量部に対して、0.01〜3.0質量部が好ましく、より好ましくは0.05〜2.0質量部である。
本発明の好適態様のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物が含有し得る成分(A),(B)以外の樹脂としては、スチレン系熱可塑性エラストマー(成分(B)に該当するものを除く。)、成分(A)以外のポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスチレン樹脂、液晶樹脂、前記以外の各種エラストマー(成分(B)に該当するものを除く。)等が挙げられる。上記で挙げたその他の樹脂は1種のみを含有しても2種以上を含有してもよい。
本発明の好適態様のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物が成分(A),(B)以外の他の樹脂を含有する場合、成分(A)〜(C)を含有することによる効果を十分に得る上で、他の樹脂の含有量は、成分(A)〜(C)の合計100質量部に対して40質量部以下、特に30質量部以下であることが好ましい。
(熱可塑性エラストマー組成物の製造方法)
本発明の好適態様のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物は、上記成分(A)〜(C)、必要に応じて配合されるその他の成分を、公知の方法、例えば、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、タンブラーブレンダーで機械的に混合した後、公知の方法で機械的に溶融混練し、ダイから押し出すことにより、ペレット等の固形物として得られる。前記機械的溶融混練には、バンバリーミキサー、各種ニーダー、単軸又は二軸押出機等の一般的な溶融混練機を用いることができる。
[ポリエチレン層]
本発明の成形体のポリエチレン層はポリエチレンからなる。ポリエチレン層のポリエチレンとしては公知のものを用いることができるが、乳等省令への対応の観点から低圧重合法等の公知の方法により得られる高密度ポリエチレンが好ましい。
ポリエチレン層のポリエチレンのJIS K7112に従って測定した密度の下限は、ポリエチレン層を破壊されにくくする観点から0.940g/cm以上であることが好ましく、0.942g/cm以上であることが更に好ましい。一方、密度の上限は、熱可塑性エラストマー層を構成するスチレン系熱可塑性エラストマー組成物との融着強度の観点から0.970g/cm以下であることが好ましく、0.968g/cm以下であることが更に好ましい。
また、ポリエチレン層のポリエチレンのメルトフローレート(MFR)は、0.1g/10分以上であることが好ましく、0.5g/10分以上であることがより好ましく、100g/10分以下であることが好ましく、50g/10分以下であることがより好ましい。ポリエチレン層のポリエチレンのMFRが上記範囲であると、ポリエチレン層の成形外観と引張降伏応力が優れたものとなる傾向がある。ここで、ポリエチレンのMFRはJIS K6922に従い、温度190℃、荷重21.2N、10分の条件で測定された値である。
ポリエチレン層のポリエチレンとしては市販品を用いることも可能である。市販品としては、日本ポリエチレン社製「ノバテック(登録商標)」シリーズ、旭化成ケミカルズ社製「クレオレックス(登録商標)」シリーズ等が挙げられ、これらの中から該当品を適宜選択して使用することができる。
ポリエチレン層のポリエチレンは1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、本発明のポリエチレン層は、前述の本発明の好適態様のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物に含まれていてもよい添加剤として例示した添加剤やポリエチレン以外の樹脂が含まれていてもよいが、一般的には、乳等省令の対応からポリエチレンのみからなることが好ましい。
<成形体の製造方法>
本発明の成形体の製造方法には特に制限はないが、好ましくは、本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物のペレットとポリエチレン層を構成するポリエチレンとを射出成形機等を用いて射出成形することにより得ることができる。
例えば、キャップ状の成形体を製造する場合、まず、ポリエチレンを用いて射出成形機等で基材部を成形する。その後、別の金型にこの基材部をインサートし、その外周に本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物を通常160〜250℃、好ましくは180〜240℃で射出成形すると、ポリエチレンからなる基材部の外周面と、本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなるグリップ部の内周面とが熱融着してなるキャップ状成形体が得られる(インサート成形)。先に本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなるグリップ部を成形してグリップ部を金型にインサートしてから、ポリエチレンを射出成形してもよい。
また回転式二色成形、コアバック式二色成形等による射出成形でも同様の成形体を得ることができる。
[用途]
本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物は、グリップ性に優れたグリップ部を形成することができ、基材部のポリエチレンとの融着性にも優れるため、本発明の成形体はキャップに好適に用いられる。
キャップとしてはグリップ性を必要とするスクリューキャップが好ましい。スクリューキャップの形状、径、ローリング加工の種類は問わない。グリップ部と基材部とが融着したキャップにおいて、本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなるグリップ部は、基材部の側面などの外周や、基材部の外面の一部又は全部を被覆する形状であることがグリップ性の点から好ましい。グリップ部の厚みは、グリップ性の観点から0.1〜5mmが好ましい。
本発明の成形体よりなるキャップは、各種飲料、食品、医薬品、化粧品、トイレタリー品、日用品等のボトル用スクリューキャップ、スタンディングパウチ用スクリューキャップ、ツイストキャップ、プルトップキャップ、メス形キャップ等のキャップとして好適に用いることができる。
本発明の成形体よりなるキャップで封止する容器内の内容物は、液体、粉体、固体、ゲル状物質等問わないが、本発明のキャップは、特に乳、乳製品を内容物とする容器用のキャップとして好適である。
以下、実施例を用いて本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味を持つものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
[原材料]
以下の実施例及び比較例で使用した原材料を以下に示す。
<ポリエチレン層のポリエチレン>
日本ポリエチレン社製 商品名ノバテックHD(登録商標)HJ451
MFR:2.3g/10分
(測定条件:190℃、荷重21.2N(JIS K6922))
密度:0.955g/cm
<スチレン系熱可塑性エラストマー組成物>
成分(A):密度が0.910〜0.960g/cmである直鎖状低密度ポリエチレン
A−1:日本ポリエチレン社製 商品名ノバテックLL(登録商標)UJ990
MFR:35g/10分
(測定条件:190℃、荷重21.2N(JIS K6922))
密度:0.937g/cm
A−2:日本ポリエチレン社製 商品名ノバテックLL(登録商標)UJ480
MFR:30g/10分
(測定条件:190℃、荷重21.2N(JIS K6922))
密度:0.923g/cm
A−3:日本ポリエチレン社製 商品名ノバテックLL(登録商標)UJ580
MFR:20g/10分
(測定条件:190℃、荷重21.2N(JIS K6922))
密度:0.925g/cm
A−4:日本ポリエチレン社製 商品名ノバテックHD(登録商標)HJ451
MFR:2.3g/10分
(測定条件:190℃、荷重21.2N(JIS K6922))
密度:0.955g/cm
A−5:日本ポリエチレン社製 商品名ノバテックLD(登録商標)LJ802
MFR:22g/10分
(測定条件:190℃、荷重21.2N(JIS K6922))
密度:0.918g/cm
成分(a):ポリプロピレン(比較用)
a−1:日本ポリプロ社製 商品名ノバテックPP(登録商標)MA1B
MFR:21g/10分
(測定条件:230℃、荷重21.2N(JIS K7210))
密度:0.900g/cm
成分(B):スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体
B−1:TSRC社製 商品名TAIPOL(登録商標)6151
スチレン単位含有率:32質量%
重量平均分子量(Mw):246,000
成分(C):炭化水素系ゴム用軟化剤(炭化水素系オイル)
C−1:出光興産株式会社製 商品名ダイアナプロセスオイル(登録商標)PW90
[実施例1〜6、および比較例1]
<スチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなるペレットの作成>
表−1に記載の各原材料と配合量(質量部)で混合した。
得られた混合物100質量部と、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(BASFジャパン株式会社製イルガノックス(登録商標)1010)0.1質量部とを、圧縮比L/D33、シリンダ径45mmの二軸押出機に供給し、200℃で溶融混練し、ダイからストランド状に押出し後、カッティングしてスチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなるペレットを得た。
<単層シートの作成>
得られたペレットをインラインスクリュウタイプ射出成形機(東芝機械社製IS130GN)に供給し、射出圧力50MPa、シリンダ温度220℃、金型温度40℃の条件で射出成形して、肉厚2mmのスチレン系熱可塑性エラストマー組成物の単層シートを得た。この単層シートについて、下記(1)の方法でデュロ硬度Aを測定した。
<2層シートの作成>
ポリエチレン層用のポリエチレンであるノバテックHD(登録商標)HJ451をインラインスクリュウタイプ射出成形機(東芝機械社製IS130GN)に供給し、射出圧力50MPa、シリンダ温度220℃、金型温度40℃の条件で射出成形して、肉厚2mm、縦100mm、横100mmのポリエチレンからなる基材シートを得た。得られたシートの一方の面の端辺縁部においてシートの1/3の面積部分に銀粉入りのラッカースプレー(融着阻害物質)を塗布して乾燥させた。
このシートを、融着阻害物質の塗布部が樹脂の流動末端側になるように、かつこの塗布部面側が融着面となるように、厚み3mmの金型にインサートした。この金型に、スチレン系熱可塑性エラストマー組成物を220℃にて射出成形し、ポリエチレン基材シートとスチレン系熱可塑性エラストマー組成物よりなる熱可塑性エラストマー層とが融着した2層シートを作成した。
この2層シートはポリエチレンからなる肉厚2mmの基材シートと、肉厚1mmのスチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなる熱可塑性エラストマー層が積層一体化されてなる合計肉厚3mmの2層シートである。
得られた2層シートを用いて、下記(2)の方法で融着強度の評価を行った。
(1)デュロ硬度A
ISO 7619−1に基づき、得られたスチレン系熱可塑性エラストマー組成物の単層シートの硬度(タイプAデュロメータ)を測定した。スクリューキャップのグリップ部として用いるには、デュロ硬度A30以上、90以下であることが好ましい。
(2)融着強度
射出成形で得られた2層シートを23℃、50%の環境下で48時間以上状態調整を行った。その後、2層シートのスチレン系熱可塑性エラストマー組成物よりなる熱可塑性エラストマー層に、射出成形時の樹脂の流動方向に平行に25mm幅の切込みを3本入れ、引張試験機を用いて、23℃、50%の環境下で、前記融着阻害物質の塗布部から両シートを引き剥し、90度ピール試験(テストスピード200mm/分)を行い、融着強度を測定した。融着強度は10N/25mm以上であれば実用可能であり、20N/25mm以上であることが好ましい。
[参考例1]
前述のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物の単層シートの作成方法と同様に、ポリエチレン層用のポリエチレンであるノバテックHD(登録商標)HJ451を用いてポリエチレンの単層シートを作成し、この単層シートを用いて、上記(1)の方法でデュロ硬度Aを測定した。
[評価結果]
上記評価結果を表−1に示す。
Figure 2021138026
[考察]
実施例1〜6の成形体は、デュロ硬度A、融着強度のいずれの評価結果も良好であり、キャップ用成形体として好適であることがわかる。
一方、比較例1はスチレン系熱可塑性エラストマー組成物の成分(A)として密度が0.910〜0.960g/cmであるポリエチレンを用いなかったので融着強度が低かった。
参考例1のポリエチレンの単層シートは、デュロ硬度Aが100以上となり、滑りやすく、グリップ性が悪いと評価された。
1 スクリューキャップ

Claims (10)

  1. 密度が0.910〜0.960g/cmであるポリエチレンを含むスチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなる熱可塑性エラストマー層と、ポリエチレン層とが融着した成形体。
  2. 前記スチレン系熱可塑性エラストマー組成物のデュロ硬度Aが30〜90である、請求項1に記載の成形体。
  3. 前記スチレン系熱可塑性エラストマー組成物が下記成分(A)〜(C)を含有する、請求項1又は2に記載の成形体。
    成分(A):直鎖状低密度ポリエチレンである前記密度が0.910〜0.960g/cmであるポリエチレン
    成分(B):スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物
    成分(C):炭化水素系ゴム用軟化剤
  4. 前記スチレン系熱可塑性エラストマー組成物が、前記成分(A)100質量部に対し、前記成分(B)を100〜300質量部含有する、請求項3に記載の成形体。
  5. 前記スチレン系熱可塑性エラストマー組成物が、前記成分(A)100質量部に対し、前記成分(C)を200〜400質量部含有する、請求項3又は4に記載の成形体。
  6. 前記スチレン系熱可塑性エラストマー組成物中の前記成分(B)の含有率が前記成分(B)と成分(C)の合計に対して35〜65質量%である、請求項3〜5のいずれか一項に記載の成形体。
  7. 前記ポリエチレン層が高密度ポリエチレンよりなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の成形体。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の成形体からなるキャップ。
  9. スクリューキャップである、請求項8に記載のキャップ。
  10. 飲料容器用キャップである、請求項8又は9に記載のキャップ。
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