JP2021137174A - 消臭用複合粒子とその製造方法、及び消臭剤 - Google Patents

消臭用複合粒子とその製造方法、及び消臭剤 Download PDF

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【課題】環境負荷の低い材料を用い悪臭を除去、抑制することができ、取り扱いが容易な消臭用複合粒子とその製造方法、及びその消臭用複合粒子を用いた消臭剤を提供する。【解決手段】少なくとも一種類のポリマーからなるコア粒子と、前記コア粒子の表面の少なくとも一部を覆う被覆層と、を有する複合粒子であって、前記被覆層は微細化セルロースからなり、前記コア粒子は消臭機能を有する材料を含む機能性成分を有し、好ましくは前記コア粒子と前記微細化セルロースとが結合して不可分の状態にある消臭用複合粒子とその製造方法、及びその消臭用複合粒子を用いた消臭剤とする。【選択図】図1

Description

本発明は、消臭用複合粒子とその製造方法、及び前記消臭用複合粒子を用いた消臭剤に関する。
近年、環境負荷の低い材料である木材中のセルロース繊維を、その構造の少なくとも一辺がナノメートルオーダーになるまで微細化し、新規な機能性材料として利用しようとする試みが活発に行われている。
例えば、特許文献1に示されるように、木材セルロースに対しブレンダーやグラインダーによる機械処理を繰り返すことで、微細化セルロース繊維、すなわちセルロースナノファイバー(以下、CNFとも称する)が得られることが開示されている。この方法で得られるCNFは、短軸径が10〜50nm、長軸径が1μmから10mmに及ぶことが報告されている。このCNFは、鋼鉄の1/5の軽さで5倍以上の強さを誇り、250m/g以上の膨大な比表面積を有することから、樹脂強化用フィラーや吸着剤としての利用が期待されている。
また、木材中のセルロース繊維を微細化しやすいように予め化学処理したのち、家庭用ミキサー程度の低エネルギー機械処理により微細化してCNFを製造する試みが活発に行われている。上記化学処理の方法は特に限定されないが、セルロース繊維にアニオン性官能基を導入して微細化しやすくする方法が好ましい。セルロース繊維にアニオン性官能基が導入されることによってセルロースミクロフィブリル構造間に浸透圧効果で溶媒が浸入しやすくなり、セルロース原料の微細化に要するエネルギーを大幅に減少することができる。
上記アニオン性官能基の導入方法としては特に限定されないが、例えば非特許文献1にはリン酸エステル化処理を用いて、セルロースの微細繊維表面を選択的にリン酸エステル化処理する方法が開示されている。また、特許文献2には、高濃度アルカリ水溶液中でセルロースをモノクロロ酢酸またはモノクロロ酢酸ナトリウムと反応させることによりカルボキシメチル化を行う方法が開示されている。また、オートクレーブ中でガス化したマレイン酸やフタル酸等の無水カルボン酸系化合物とセルロースを直接反応させてカルボキシ基を導入してもよい。
また、比較的安定なN−オキシル化合物である2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシラジカル(TEMPO)を触媒として用い、セルロースの微細繊維表面を選択的に酸化する方法も報告されている(例えば、特許文献3を参照)。TEMPOを触媒として用いる酸化反応(TEMPO酸化反応)は、水系、常温、常圧で進行する環境調和型の化学改質が可能であり、木材中のセルロースに適用した場合、結晶内部には反応が進行せず、結晶表面のセルロース分子鎖が持つアルコール性1級炭素のみを選択的にカルボキシ基へと変換することができる。
TEMPO酸化によって選択的に結晶表面に導入されたカルボキシ基同士の電離に伴う浸透圧効果により、溶媒中で一本一本のセルロースミクロフィブリル単位に分散させた、セルロースシングルナノファイバー(以下、CSNFとも称する)を得ることが可能となる。CSNFは表面のカルボキシ基に由来した高い分散安定性を示す。木材からTEMPO酸化反応によって得られる木材由来のCSNFは、短軸径が3nm前後、長軸径が数十nm〜数μmに及ぶ高アスペクト比を有する構造体であり、その水分散液および成形体は
高い透明性を有することが報告されている。また、特許文献4にはCSNF分散液を塗布乾燥して得られる積層膜が、ガスバリア性を有することが報告されている。
CNFの実用化に向けては、得られるCNF分散液の固形分濃度が0.1〜5質量%程度と低くなってしまうことが課題となっている。例えばCNF分散体を輸送しようとした場合、大量の溶媒を輸送するに等しいため輸送費の高騰を招き、事業性が著しく損なわれるという問題がある。また、樹脂強化用の添加剤として用いる際にも、固形分が低いことによる添加効率の悪化や、溶媒である水が樹脂と馴染まない場合には複合化が困難となるといった問題がある。また、含水状態で取り扱う場合、含水CNF分散体の腐敗の恐れもあるため、冷蔵保管や防腐処理などの対策が必要となり、コストが増加する恐れもある。
しかしながら、単純に熱乾燥などでCNF分散液の溶媒を除去してしまうと、CNF同士が凝集・角質化し、あるいは膜化してしまい、添加剤としての安定な機能発現が困難になってしまう。さらにCNF分散液の固形分濃度が低いため、乾燥による溶媒除去工程自体に多大なエネルギーがかかってしまうことも事業性を損なう一因となる。
このように、CNFを分散液の状態で取り扱うこと自体が事業性を損なう原因となるため、CNFを容易に取り扱うことができる新たな取り扱い様態を提供することが強く望まれている。
以上例示したように、カーボンニュートラル材料であるCNFまたはCSNFをはじめとする、微細化セルロースに新たな機能性を付与する高機能部材開発に関して様々な検討がなされている。
一方、近年ペットの飼育状況は変化してきており、かつては庭など屋外での飼育が一般的であったが、マンションの増加や住宅の密集化などにより、屋内においてペットを飼育する家庭が多くなっている。このため、ペットの排泄行為も室内で行われ、ペット用トイレの使用が一般的になっている。室内での排泄行為は排泄物の飛散やその臭いが問題となり、その対応物品が多く使用されている。ペット用トイレ砂や消臭スプレーなどがそれらにあたる。
トイレ砂としては、吸水性ポリマーやベントナイト粉末などを使用し、排泄物を吸収して固まるものや、吸収性に優れた塊状繊維や多孔質粒子などを使用し、排泄物を吸着させるものなどが用いられているが、いずれも臭気防止性には効果が薄く、その効果を補うために、消臭剤が併用されていることが多い。
消臭剤としては、消臭成分として、界面活性剤や多孔質無機微粒子などを含有した液状薬剤を異臭の発生源に直接噴霧したり、噴霧後ふき取りをすることで異臭の発生を抑制、除去することができる(例えば、特許文献5)。
しかしながら、界面活性剤が含まれていることで、フローリングなど床材によっては、塗装の剥がれや、染みの原因となるだけではなく、界面活性剤は環境汚染の一因として問題視されている。また無機微粒子による微細なキズの発生などが懸念されたり、無機微粒子の比重の大きさから液体に分散した際に、沈殿・凝集を起こしやすいという問題がある。
このように、環境負荷の低い、消臭性、分散性に優れた消臭用材料が強く望まれている。
特開2010−216021号公報 国際公開第2014/088072号 特開2008−001728号公報 国際公開第2013/042654号 特開2004−242516号公報
Noguchi Y,Homma I,Matsubara Y.Complete nanofabrillation of cellulose prepared by phosphorylation.ellulose.2017;24:1295.10.1007/s10570−017−1191−3
本発明はかかる事情を鑑みてなされたものであり、界面活性剤を使用することなく、環境負荷の低い材料を用い、悪臭を除去、抑制することができ、取り扱いが容易な新たな消臭用複合粒子、その消臭用複合粒子の製造方法、及びその消臭用複合粒子を用いた消臭剤を提供することを目的としている。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様に係る消臭用複合粒子は、少なくとも一種類のポリマーからなるコア粒子と、前記コア粒子の表面の少なくとも一部を覆う被覆層と、を有する複合粒子であって、前記被覆層は微細化セルロースからなり、前記コア粒子は消臭機能を有する材料を含む機能性成分を有することを特徴と消臭用複合粒子である。
本発明の消臭用複合粒子では、前記コア粒子と前記微細化セルロースとが結合して不可分の状態にあることが好ましい。
本発明の消臭用複合粒子では、前記コア粒子に含まれる少なくとも一種類の前記ポリマーが生分解性ポリマーであることが好ましい。
本発明の一態様に係る消臭用複合粒子の製造方法は、以下の第1〜第4工程を順次含む、ことを特徴とする消臭用複合粒子の製造方法である。
1)第1工程:セルロース原料を溶媒中で解繊して微細化セルロースの分散液を得る工程。
2)第2工程:少なくとも一種類の重合性モノマーまたはポリマーからなる液体に、少な
くとも一種類の消臭機能を有する材料を含む機能性成分を混合させた混合液を得る工
程。
3)第3工程:前記分散液中において、前記混合液の液滴の表面の少なくとも一部を、前
記微細化セルロースによる被覆層で覆った状態で、前記混合液の液滴をエマルション
化させる工程。
4)第4工程:前記混合液の液滴の表面の少なくとも一部を、前記微細化セルロースによ
る被覆層で覆った状態で、前記混合液の液滴を固体化してコア粒子とすることで前記
コア粒子と前記微細化セルロースとを不可分の状態にする工程。
本発明の消臭用複合粒子の製造方法は、前記第2工程における混合液は、重合開始剤を含む重合性モノマーからなる液体に、前記機能性成分を添加した混合液である、ことを特徴とする消臭用複合粒子の製造方法とすることができる。
本発明の消臭用複合粒子の製造方法は、前記第2工程における混合液は、常温にて固体であるポリマーを前記分散液に対し相溶性の低い溶媒で溶解し、前記機能性成分を添加した混合液である、ことを特徴とする消臭用複合粒子の製造方法とすることができる。
本発明の消臭用複合粒子の製造方法は、前記第2工程における混合液は、常温にて固体であるポリマーを流動性を持つ温度以上に加熱し融解し、前記機能性成分を添加した混合液である、ことを特徴とする消臭用複合粒子の製造方法とすることができる。
本発明の一態様に係る消臭剤は、本発明の消臭用複合粒子を含み、固形分率が80質量%以上の粉体状であることを特徴とする消臭剤である。
本発明の別の消臭剤は、本発明の消臭用複合粒子が分散溶媒に分散され、液体状であることを特徴とする消臭剤である。
本発明の別の消臭剤は、本発明の消臭用複合粒子が基材に配合され、粒状に成形されたチップ状であることを特徴とする消臭剤である。
本発明によれば、環境負荷の低い材料を用い、悪臭を除去、抑制することができ、取り扱いが容易な新たな消臭用複合粒子、その消臭用複合粒子の製造方法、及びその消臭用複合粒子を用いた消臭剤を提供することができる。
本発明の第一実施形態に係る、消臭用複合粒子の概略図である。 本発明の第二実施形態に係る、消臭用複合粒子の製造方法を説明するための概略図である。 実施例1で得られたCNFの水分散液の分光透過スペクトルを測定した結果を示す特性図である。 実施例1で得られたCNFの水分散液の定常粘弾性を、レオメーターを用いて測定した結果を示す特性図である。 実施例1で得られた消臭用複合粒子を、走査型電子顕微鏡によって観察した結果を示す写真画像である。 実施例1で得られた消臭用複合粒子を、走査型電子顕微鏡によって高倍率で観察した結果を示す写真画像である。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下に説明する各図において相互に対応する部分には同一符号を付し、重複部分においては後述での説明を適宜省略する。また、本実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、各部の材質、形状、構造、配置、寸法等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
[消臭用複合粒子]
図1は本発明の第一実施形態に係る、消臭用複合粒子4の概略図である。消臭用複合粒子4は、少なくとも一種類のポリマーからなるコア粒子3と、コア粒子3の表面の少なくとも一部を覆う被覆層2と、を有する複合粒子であって、被覆層2は微細化セルロース1よりなり、コア粒子3は消臭機能を有する材料を含む機能性成分を有することを特徴とする。また、コア粒子3とCNF1とが結合して不可分の状態にあることが好ましい。
前記「微細化セルロース」とは、繊維状セルロースを意味し、以下特に断らない限り、CSNFを含めCNFと総称する。
上記「不可分」とは、例えば消臭用複合粒子4を含む分散液を遠心分離処理して上澄みを除去し、さらに溶媒を加えて再分散することで消臭用複合粒子4を精製・洗浄する操作、あるいはメンブレンフィルターを用いたろ過洗浄によって繰り返し溶媒により洗浄する操作を繰り返した後であっても、CNF1とコア粒子3とが分離せず、CNF1によるコア粒子3の被覆状態が保たれることを意味する。
被覆状態の確認は、例えば、走査型電子顕微鏡による消臭用複合粒子4の表面観察により確認することができる。なお、消臭用複合粒子4においてCNF1とコア粒子3の結合メカニズムについては定かではないが、消臭用複合粒子4がCNF1によって安定化されたO/W型エマルションを鋳型として作製されるため、エマルション内部の液滴5にCNF1が接触した状態で液滴5が固体化するために、固体化後に得られる消臭用複合粒子4において、コア粒子3の表面に存在するCNF1の少なくとも一部がコア粒子3の内部に取り込まれた状態となることが予想される。
以上の理由により、物理的にCNF1が固体化後のコア粒子3に固定化されて、最終的にコア粒子3とCNF1とが不可分な状態に至ると推察される。
前記で、O/W型エマルションは、水中油滴型(Oil−in−Water)とも言われ、水を連続相とし、その中に油が油滴(油粒子)として分散しているものである。
また、消臭用複合粒子4はCNF1によって安定化されたO/W型エマルションを鋳型として作製されるため、消臭用複合粒子4の形状はO/W型エマルションに由来した真球状となることが特徴である。詳細には、真球状のコア粒子3の表面にCNF1からなる被覆層2が比較的均一な厚みで形成された様態となる。被覆層2の平均厚みは、例えば、消臭用複合粒子4を包埋樹脂で固定したものをミクロトームで切削して走査型電子顕微鏡観察を行い、画像中の消臭用複合粒子4の断面像における被覆層2の厚みを画像上で100箇所ランダムに測定し、平均値を取ることで算出できる。
また、消臭用複合粒子4は比較的揃った厚みの被覆層2で均一に被覆されていることが特徴であり、具体的には上述した被覆層2の厚みの値の変動係数は0.5以下となることが好ましく、0.4以下となることがより好ましい。CNF1を含む被覆層2の厚みの値の変動係数が0.5を超える場合には、例えば、消臭用複合粒子4の回収が困難となることがある。ここで、変動係数とは上記方法にて観察した消臭用複合粒子4の断面像における被覆層2の厚みを画面上で100箇所ランダムに測定した値の標準偏差を平均値で割った値である。
本発明の消臭用複合粒子4を構成するコア粒子3は消臭機能を有する材料を含む機能性成分を有する。消臭機能を有する材料としては、カテコール、4−メチルカテコール、5−メチルカテコール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾシノール、ハイドロキノン等のジフェノール類;4,4’−ビフェニルジオール、3,4’−ビフェニルジオール等のビフェニルジオール類;カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート等のカテキン類;ドーパ、ドーパミン、クロロゲン酸、コーヒー酸、パラクマル酸、チロシン等のカテコール誘導体。植物から抽出等した植物由来のポリフェノール;コーヒー、リンゴ、ぶどう、茶類(緑茶、焙じ茶、紅茶、ウーロン茶、マテ茶等)、柿、大豆、カカオ、ローズマリー、アロエ等の由来のものが挙げられる。
前記機能性成分は、さらに香料、殺菌剤の少なくとも一方を含むことが好ましい。コア
粒子3がこれらの材料を含む機能性成分を有することで、本発明の複合粒子は消臭効果に加え、芳香効果、殺菌効果などの機能を持つことができ、より悪臭の抑制効果が高まる。機能性成分は重合性モノマーまたはポリマーにそのまま混合してもよいが、混合が困難な場合は重合性モノマーまたはポリマーおよび機能性成分に親和性のある溶媒を用いて混合してもよい。また、機能性成分は重合性モノマーまたはポリマーに完全に相溶している必要はなく、重合性モノマーまたはポリマー内に分散している状態であってもよい。
香料としては、動植物等から抽出された天然香料、化学的に合成された合成香料、複数種類の香料を調合した調合香料がある。このうち天然香料としては例えばジャスミン、ローズ、カーネーション、ライラック、シクラメン、スズラン、バイオレット、ラベンダー、キンモクセイ等の花卉系、オレンジ、レモン、ライム等の柑橘系、シナモン、ナツメグ等の香辛料系、ヒノキ精油、ヒバ精油、スギ精油等の木材精油系等を挙げることができる。また合成香料としては例えばリモネン、ピネン、カンフェン等の炭化水素類、リナロール、ゲラニオール、メントール、シトロネロール、ベンジルアルコール等のアルコール類、シトラール、シトロネラール、ノナジエナール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド等のアルデヒド類、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、メチルノニルケトン、イロン、メントン等のケトン類、メチルアニソール、オイゲノール等のフェノール類、デカラクトン、ノニルラクトン、ウンデカラクトン等のラクトン類、酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、酢酸テルピニル、酢酸シトロネリル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸イソアミル、安息香酸ベンジル、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸エチル等のエステル類等が挙げられる。
殺菌剤としては、アンバム、硫黄、エクロメゾール、塩化トリフェニル錫、塩化トリプロピル錫、塩化ニッケル、塩化ベンザルコニウム、塩基性塩化銅、塩基性硫酸銅、キャプタン、グアニジン、グリセオフルビンン、クロラムフェニコール、酢酸トリフェニル錫、酢酸トリブチル錫、酢酸ニッケル、次亜塩素酸ナトリウム、ジクロゾリン、シクロヘキシミド、ジクロン、ジチアノン、ジネブ、ジメチルアンバム、ジラム、水酸化トリフェニル錫、ストレプトマイシン、セロサイジン、ダイホルタン、チアジアジン、チアベンダゾール、チオファネート、チオファネートメチル、トリアジン、ニトロスチレン、ノボビオシン、バリダマイシン、ヒドロキシイソキサゾール、ファーバム、フォルペット、プロピケル、プロピネブ、ベノミル、ポリオキシン、ポリカーバメート、ホルムアルデヒド、マンゼブ、マンネブ、メチラム、MAF、PCP等が挙げられる。
本発明の消臭用複合粒子4を構成するコア粒子3に含まれる少なくとも一種類の前記ポリマーが生分解性ポリマーであることが好ましい。生分解性とは微生物などにより消費され、炭酸ガスや水などに分解される性質である。本発明の被覆層2として用いられるCNF1も生分解性材料であり、コア粒子3も生分解性を持つことで、得られる消臭用複合粒子4は生分解性を持つ複合粒子となり、環境負荷を低減することが可能となる。具体的にはセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースアセテート誘導体、ポリ乳酸、乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリ乳酸類;ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート等の二塩基酸ポリエステル類、ポリカプロラクトン、カプロラクトンとヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリカプロラクトン類、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレートとヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリヒドロキシブチレート類、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ酪酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体等の脂肪族ポリエステル類、ポリアミノ酸類、ポリエステルポリカーボネート類、ロジン等の天然樹脂等が挙げられる。
[消臭用複合粒子の製造方法]
図2は本発明の第二実施形態に係る、消臭用複合粒子4の製造方法を説明するための概略図である。本発明の第二実施形態に係る、消臭用複合粒子4の製造方法は、第1工程)
セルロース原料を溶媒中で解繊してCNF1の分散液6を得る工程。第2工程)少なくとも一種類の重合性モノマーまたはポリマーからなる液体に、少なくとも一種類の消臭機能を有する材料を含む機能性成分を混合させた混合液を得る工程。第3工程)分散液6中において、混合液の液滴5の表面の少なくとも一部を、CNF1による被覆層2で覆った状態で、混合液の液滴5をエマルション化させる工程(図2(a)参照)。第4工程)混合液の液滴5の表面の少なくとも一部を、CNF1による被覆層2で覆った状態で、混合液の液滴5を固体化してコア粒子3とすることでコア粒子3とCNF1とを不可分の状態にする工程(図2(b)参照)。以上の第1〜第4工程を順次含む、ことを特徴とする。
以下、第1〜第4工程について、詳細に説明する。
<第1工程>
第1工程はセルロース原料を溶媒中で解繊してCNFの分散液を得る工程である。まず、各種セルロース原料を溶媒中に分散し、懸濁液とする。懸濁液中のセルロース原料の濃度としては0.1質量%以上10質量%未満が好ましい。懸濁液中のセルロース原料の濃度が0.1質量%未満であると、溶媒過多となり生産性を損なう傾向があるため好ましくない。また、懸濁液中のセルロース原料の濃度が10質量%以上になると、セルロース原料の解繊に伴い懸濁液が急激に増粘し、均一な解繊処理が困難となる傾向があるため好ましくない。
懸濁液作製に用いる溶媒としては、水を50質量%以上含むことが好ましい。懸濁液中の水の割合が50質量%未満になると、後述するセルロース原料を溶媒中で解繊してCNF分散液を得る工程において、CNF1の分散が阻害される傾向がある。また、水以外に含まれる溶媒としては親水性溶媒が好ましい。親水性溶媒については特に制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;テトラヒドロフラン等の環状エーテル類が好ましい。
必要に応じて、セルロースや生成するCNF1の分散性を上げるために、例えば、懸濁液のpH調整を行ってもよい。pH調整に用いられるアルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム水溶液などの有機アルカリなどが挙げられる。コストなどの面から水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
続いて、懸濁液に物理的解繊処理を施して、セルロース原料を微細化する。物理的解繊処理の方法としては特に限定されないが、例えば、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、グラインダー、ジューサーミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、ナノジナイザー、水中対向衝突などの機械的処理が挙げられる。このような物理的解繊処理を行うことで、懸濁液中のセルロースが微細化され、その構造の少なくとも一辺がナノメートルオーダーになるまで微細化されたセルロース(CNF)1の分散液を得ることができる。また、このときの物理的解繊処理の時間や回数により、得られるCNF1の数平均短軸径および数平均長軸径を調整することができる。
上記のようにして、その構造の少なくとも一辺がナノメートルオーダーになるまで微細化されたセルロース1の分散体(CNF分散液)が得られる。得られた分散体は、そのまま、または希釈、濃縮等を行って、後述するO/W型エマルションの安定化剤として用いることができる。
通常、CNF1は、ミクロフィブリル構造由来の繊維形状であるため、本実施形態の製
造方法に用いるCNF1としては、以下に示す範囲にある繊維形状のものが好ましい。すなわち、CNF1の形状としては、繊維状であることが好ましい。また、繊維状のCNF1は、短軸径において数平均短軸径が1nm以上1000nm以下であればよく、好ましくは2nm以上500nm以下である。
ここで、数平均短軸径が1nm未満では高結晶性の剛直なCNF繊維構造をとることができず、エマルションの安定化と、エマルションを鋳型とした重合反応とを実施することが困難となる傾向がある。一方、短軸径において数平均短軸径が1000nmを超えると、エマルションを安定化させるにはサイズが大きくなり過ぎるため、得られる複合粒子4のサイズや形状を制御することが困難となる傾向がある。
また、数平均長軸径においては特に制限はないが、50nm以上であり、数平均短軸径の5倍以上であることが好ましい。数平均長軸径が数平均短軸径の5倍未満であると、複合粒子のサイズや形状を十分に制御することが困難となる傾向があるために好ましくない。
なお、CNF繊維の数平均短軸径は、例えば、透過型電子顕微鏡観察および原子間力顕微鏡観察により100本の繊維の短軸径(最小径)を測定し、その平均値として求められる。一方、CNF繊維の数平均長軸径は、例えば、透過型電子顕微鏡観察および原子間力顕微鏡観察により100本の繊維の長軸径(最大径)を測定し、その平均値として求められる。
CNF1の原料として用いることができるセルロースの種類や結晶構造も特に限定されないが、ミクロフィブリル構造由来の繊維形状であることが好ましい。また、CNF1の結晶構造は、セルロースI型であることが好ましい。具体的には、セルロースI型結晶からなる原料としては、例えば、木材系天然セルロースに加えて、コットンリンター、竹、麻、バガス、ケナフ、バクテリアセルロース、ホヤセルロース、バロニアセルロースといった非木材系天然セルロースを用いることができる。さらには、セルロースII型結晶からなるレーヨン繊維、キュプラ繊維に代表される再生セルロースも用いることができる。
材料調達の容易さから、木材系天然セルロースを原料とすることが好ましい。木材系天然セルロースとしては、特に限定されず、例えば、針葉樹パルプや広葉樹パルプ、古紙パルプ、など、一般的にセルロースナノファイバーの製造に用いられるものを用いることができる。精製および微細化のしやすさから、針葉樹パルプが好ましい。
さらにCNF原料は化学改質されていることが好ましい。より具体的には、CNF原料の結晶表面にアニオン性官能基が導入されていることが好ましい。セルロース結晶表面にアニオン性官能基が導入されていることによって浸透圧効果でセルロース結晶間に溶媒が浸入しやすくなり、セルロース原料の微細化が進行しやすくなるためである。
セルロースの結晶表面に導入されるアニオン性官能基の種類や導入方法は特に限定されないが、カルボキシ基やリン酸基が好ましい。セルロース結晶表面への選択的な導入のしやすさから、カルボキシ基がより好ましい。
セルロースの繊維表面にカルボキシ基を導入する方法は、特に限定されない。具体的には、例えば、高濃度アルカリ水溶液中でセルロースをモノクロロ酢酸またはモノクロロ酢酸ナトリウムと反応させることによりカルボキシメチル化を行ってもよい。また、オートクレーブ中でガス化したマレイン酸やフタル酸等の無水カルボン酸系化合物とセルロースを直接反応させてカルボキシ基を導入してもよい。さらには、水系の比較的温和な条件で、可能な限り構造を保ちながら、アルコール性一級炭素の酸化に対する選択性が高い、TEMPOをはじめとするN−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いた手法を用いてもよい。カルボキシ基導入部位の選択性および環境負荷低減のためにはN−オキシル化合物を用いた酸化がより好ましい。
ここで、N−オキシル化合物としては、例えば、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシラジカル)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−エトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、等が挙げられる。そのなかでも、反応性が高いTEMPOが好ましい。N−オキシル化合物の使用量は、触媒としての量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して0.01〜5.0質量%程度である。
N−オキシル化合物を用いた酸化方法としては、例えば木材系天然セルロースを水中に分散させ、N−オキシル化合物の共存下で酸化処理する方法が挙げられる。このとき、N−オキシル化合物とともに、共酸化剤を併用することが好ましい。この場合、反応系内において、N−オキシル化合物が順次共酸化剤により酸化されてオキソアンモニウム塩が生成し、上記オキソアンモニウム塩によりセルロースが酸化される。この酸化処理によれば、温和な条件でも酸化反応が円滑に進行し、カルボキシ基の導入効率が向上する。酸化処理を温和な条件で行うと、セルロースの結晶構造を維持しやすい。
共酸化剤としては、例えば、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸や過ハロゲン酸、またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物、過酸化物など、酸化反応を推進することが可能であれば、いずれの酸化剤も用いることができる。入手の容易さや反応性から、次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。上記共酸化剤の使用量は、酸化反応を促進することができる量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して1〜200質量%程度である。
また、N−オキシル化合物および共酸化剤とともに、臭化物およびヨウ化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物をさらに併用してもよい。これにより、酸化反応を円滑に進行させることができ、カルボキシ基の導入効率を改善することができる。このような化合物としては、臭化ナトリウムまたは臭化リチウムが好ましく、コストや安定性から、臭化ナトリウムがより好ましい。化合物の使用量は、酸化反応を促進することができる量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して1〜50質量%程度である。
酸化反応の反応温度は、4℃以上80℃以下が好ましく、10℃以上70℃以下がより好ましい。酸化反応の反応温度が4℃未満であると、試薬の反応性が低下し反応時間が長くなってしまう傾向がある。酸化反応の反応温度が80℃を超えると副反応が促進して試料であるセルロースが低分子化して高結晶性の剛直なCNF繊維構造が崩壊し、O/W型エマルションの安定化剤として用いることが困難となる傾向がある。
また、酸化処理の反応時間は、反応温度、所望のカルボキシ基量等を考慮して適宜設定でき、特に限定されないが、通常、10分〜5時間程度である。
酸化反応時の反応系のpHは特に限定されないが、9〜11が好ましい。pHが9以上であると反応を効率良く進めることができる。pHが11を超えると副反応が進行し、試料であるセルロースの分解が促進されてしまうおそれがある。また、酸化処理においては、酸化が進行するにつれて、カルボキシ基が生成することにより系内のpHが低下してしまうため、酸化処理中、反応系のpHを9〜11に保つことが好ましい。反応系のpHを9〜11に保つ方法としては、例えば、pHの低下に応じてアルカリ水溶液を添加する方法が挙げられる。
アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム水溶液などの有機アルカリなどが挙げられる。コストなどの面から水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
N−オキシル化合物による酸化反応は、例えば、反応系にアルコールを添加することにより停止させることができる。このとき、反応系のpHは上記の範囲内に保つことが好ましい。 添加するアルコールとしては、例えば、反応をすばやく終了させるためメタノール、エタノール、プロパノールなどの低分子量のアルコールが好ましく、反応により生成される副産物の安全性などから、エタノールが特に好ましい。
酸化処理後の反応液は、そのまま微細化工程に供してもよいが、N−オキシル化合物等の触媒、不純物等を除去するために、反応液に含まれる酸化セルロースを回収し、洗浄液で洗浄することが好ましい。酸化セルロースの回収は、例えば、ガラスフィルターや20μm孔径のナイロンメッシュを用いたろ過等の公知の方法により実施できる。酸化セルロースの洗浄に用いる洗浄液としては純水が好ましい。
得られたTEMPO酸化セルロースに対し解繊処理を行うと、3nm前後の均一な繊維幅を有するセルロースシングルナノファイバー(CSNF)が得られる。CSNFを複合粒子5のCNF1の原料として用いると、その均一な構造に由来して、得られるO/W型エマルションの粒径も均一になりやすい。
以上のように、本実施形態で用いられるCNFは、セルロース原料を酸化する工程と、微細化して分散液化する工程と、によって得ることができる。また、CNFに導入するカルボキシ基の含有量としては、0.1mmol/g以上5.0mmol/g以下が好ましく、0.5mmol/g以上2.0mmol/g以下がより好ましい。
ここで、カルボキシ基量が0.1mmol/g未満であると、セルロースミクロフィブリル間に浸透圧効果による溶媒進入作用が働かないため、セルロースを微細化して均一に分散させることが困難となる傾向がある。また、カルボキシ基量が5.0mmol/gを超えると化学処理に伴う副反応によりセルロースミクロフィブリルが低分子化するため、高結晶性の剛直なCNF繊維構造をとることができず、O/W型エマルションの安定化剤として用いることが困難となる傾向がある。
<第2工程>
第2工程は、少なくとも一種類の重合性モノマーまたはポリマーからなる液体に、少なくとも一種類の消臭機能を有する材料を含む機能性成分を混合させた混合液を得る工程である。具体的には、後述の第3工程にて形成するエマルションの液滴5(図2(a)参照)となる混合液を得る工程であり、下記の第1例〜第3例の3通りの方法がある。
重合性モノマーまたはポリマーと機能性成分の混合比としては、重合性モノマーまたはポリマー/機能性成分の重量比で50/50〜95/5の範囲内であり、好ましくは70/30〜90/10の範囲内である。重合性モノマーまたはポリマー量が50より低い場合、複合粒子を形成することが困難となり、95より高い場合は、機能性成分の効果が弱くなってしまう。
(第2工程の第1例)
第2工程の第1例は、重合開始剤を含む重合性モノマーからなる液体に、前記機能性成
分を添加して混合液を得る方法である。
機能性成分と開始剤を含む重合性モノマーからなる混合液を得るために用いることのできる重合性モノマーとしては、ポリマーの単量体であって、その構造中に重合性の官能基を有し、常温で液体であって、水と完全に相溶せず、重合反応によってポリマー(高分子重合体)を形成でき、第3工程にてCNF分散液と混合した際にエマルション化できるもの、すなわち水と完全に相溶しないものであれば特に限定されない。
重合性モノマーは少なくとも一つの重合性官能基を有する。重合性官能基を一つ有する重合性モノマーは単官能モノマーとも称する。また、重合性官能基を二つ以上有する重合性モノマーは多官能モノマーとも称する。重合性モノマーの種類としては特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル系モノマー、ビニル系モノマーなどが挙げられる。また、エポキシ基やオキセタン構造などの環状エーテル構造を有する重合性モノマー(例えばε−カプロラクトン等、)を用いることも可能である。
なお、「(メタ)アクリレート」の表記は、「アクリレート」と「メタクリレート」との両方を含むこと示す。
単官能の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリールアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−アダマンタンおよびアダマンタンジオールから誘導される1価のモノ(メタ)アクリレートを有するアダマンチルアクリレートなどのアダマンタン誘導体モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2官能の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート化合物や、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物や、これら(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε−カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
単官能のビニル系モノマーとしては例えば、ビニルエーテル系、ビニルエステル系、芳香族ビニル系、特にスチレンおよびスチレン系モノマーなど、常温で水と相溶しない液体が好ましい。
単官能ビニル系モノマーのうち(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘプタフルオロデシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、単官能芳香族ビニル系モノマーとしては、スチレン、例えば、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロペニルトルエン、イソブチルトルエン、tert−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル、1,1−ジフェニルエチレンなどが挙げられる。
多官能のビニル系モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼンなどの不飽和結合を有する多官能基が挙げられる。常温で水と相溶しない液体が好ましい。
例えば多官能性ビニル系モノマーとしては、具体的には、(1)ジビニルベンゼン、1,2,4−トリビニルベンゼン、1,3,5−トリビニルベンゼン等のジビニル類、(2)エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサメチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジメタクリレート類、(3)トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリエチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート類、(4)エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ジプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ジブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキシレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2−ビス(4−アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジアクリレート類、(5)トリメチロールプロパントリアクリレート、トリエチロールエタントリアクリレート等のトリアクリレート類、(6)テトラメチロールメタンテトラアクリレート等のテトラアクリレート類、(7)その他に、例えばテトラメチレンビス(エチルフマレート)、ヘキサメチレンビス(アクリルアミド)、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートが挙げられる。
例えば官能性スチレン系モノマーとしては、具体的には、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルナフタレン、ジビニルキシレン、ジビニルビフェニル、ビス(ビニルフェニル)メタン、ビス(ビニルフェニル)エタン、ビス(ビニルフェニル)プロパン、ビス(ビニルフェニル)ブタン等が挙げられる。
また、これらの他にも重合性の官能基を少なくとも1つ以上有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等を使用することができ、特にその材料を限定しない。
上記重合性モノマーは単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、重合性モノマーには予め重合開始剤が含まれていてもよい。一般的な重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物やアゾ重合開始剤などのラジカル開始剤が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えばパーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシカーボネート、パーオキシエステルなどが挙げられる。
アゾ重合開始剤としては、例えばADVN,AIBNが挙げられる。
例えば2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(AMBN)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ADVN)、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(ACHN)、ジメチル−2,2−アゾビスイソブチレート(MAIB)、4,4−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)(ACVA)、1,1−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2−アゾビス(2−メチルブチルアミド)、2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルアミジノプロパン)二塩酸塩、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド、2,2−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)等が挙げられる。
第2工程において予め重合開始剤が含まれた状態の重合性モノマーを用いれば、O/W型エマルションを形成した際にエマルション粒子内部の重合性モノマー液滴5中に重合開始剤が含まれるため、後述の第4工程においてエマルション内部のモノマーを重合させる際に重合反応が進行しやすくなる。
第2工程において用いることができる重合性モノマーと重合開始剤の重量比については特に限定されないが、通常、重合性モノマー100質量部に対し、重合開始剤が0.1質量部以上であることが好ましい。重合性モノマーが0.1質量部未満となると重合反応が充分に進行せずに複合粒子4の収量が低下する傾向があるため好ましくない。
(第2工程の第2例)
第2工程の第2例は、常温にて固体であるポリマーを前記分散液に対し相溶性の低い溶媒で溶解し、前記機能性成分を添加して混合液を得る方法である。
常温にて固体であるポリマーを前記CNFの分散液への相溶性の低い溶媒で溶解したものに機能性成分を添加した混合液を得るために用いることのできるポリマーとしては、前述の重合性モノマーを重合させたポリマーが挙げられる。また、常温にて固体であるポリマーを溶解する溶媒としてはCNF分散液への相溶性が低い溶媒が好ましい。水への溶解度が高い場合、ポリマー相から水相へ溶媒が容易に溶解してしまうため、エマルション化が困難となる傾向がある。水への溶解性がない場合はポリマー相から溶媒が移動することができないため、複合粒子を得ることが極めて困難となる傾向がある。
また、ポリマーを溶解する溶媒は沸点が90℃以下であることが好ましい。沸点が90℃より高い場合、ポリマーを溶解する溶媒よりも先にCNF分散液が蒸発してしまい複合粒子を得ることが極めて困難となる傾向がある。ポリマーを溶解する溶媒としては、具体的にはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ベンゼンなどが挙げられる。
(第2工程の第3例)
第2工程の第3例は、常温にて固体であるポリマーを流動性を持つ温度以上に加熱し融解し、前記機能性成分を添加して混合液を得る方法である。
常温にて固体であるポリマーを流動性を持つ温度以上に加熱し融解させ、機能性成分と混合した混合液を得るために用いることのできるポリマーとしては、常温で固体であり、加熱することで流動性を持つものであり、流動性を持つ温度とは融点またはガラス転移温度である。添加するポリマーの融点またはガラス転移温度は40℃以上90℃以下のものが好ましい。
ポリマーの融点またはガラス転移温度が40℃未満である場合、常温で固体化することが難しいため、複合体を得ることが極めて困難となる傾向がある。また、ポリマーの融点またはガラス転移温度が90℃以上である場合、ポリマーが溶解するよりも、一緒に加熱するCNF分散液の溶媒である水が気化してしまいエマルション化することが困難となる傾向がある。
このため、本実施形態において使用できるポリマーとしては、具体的にはポリ‐S‐メチルヘプテン、ポリデセン、ポリビニルパルミテート、ポリビニルステアレート、cis‐1,4‐ポリクロロプレン、it cis‐1,4‐ポリ‐1,3ペンタジエン、it
trans‐1,4‐ポリ‐1,3ヘキサジエン、it trans‐1,4‐ポリ‐
1,3ヘプタジエン、it trans‐1,4‐ポリ‐1,3オクタジエン、ポリヘキサメチレンオキシド、ポリオクタメチレンオキシド、ポリブタジエンオキシド、ポリテトラメチレンスルフィド、ポリペンタメチレンスルフィド、ポリヘキサメチレンスルフィド、ポリメチレンチオテトラメチレンスルフィド、ポリエチレンチオテトラメチレンスルフィド、ポリトリメチレンジスルフィド、などが挙げられる。
<第3工程>
第3工程は、第1工程で得たCNFの分散液中において、第2工程で得た混合液の液滴の表面の少なくとも一部をCNFによる被覆層で覆った状態で、液滴をエマルション化させる工程である(図2(a)参照)。
より、具体的には第1工程で得られたCNF分散液に親和性のない第2工程で得られた混合液を添加し、混合液をCNF分散液中に液滴5として分散させ、液滴5の表面の少なくとも一部をCNF1によって被覆し、CNF1によって安定化されたO/W型エマルションを作製する工程である。
第3工程において用いることができるCNF分散液と混合液の重量比については特に限定されないが、CNF繊維100質量部に対し、混合液が1質量部以上50質量部以下であることが好ましい。混合液が1質量部未満となると消臭用複合粒子4の収量が低下する傾向があるため好ましくない。また、混合液が50質量部を超えると液滴5をCNF1で均一に被覆することが困難となる傾向があり好ましくない。
O/W型エマルションを作製する方法としては特に限定されないが、一般的な乳化処理、例えば各種ホモジナイザー処理や機械攪拌処理を用いることができ、具体的には高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、万能ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、グラインダー、ジューサーミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、ナノジナイザー、水中対向衝突、ペイントシェイカーなどの機械的処理が挙げられる。また、複数の機械的処理を組み合わせて用いてもよい。
例えば超音波ホモジナイザーを用いる場合、第1工程にて得られたCNF分散液に対し混合液を添加して混合溶媒とし、混合溶媒に超音波ホモジナイザーの先端を挿入して超音波処理を実施する。超音波ホモジナイザーの処理条件としては特に限定されないが、例えば周波数は20kHz以上が一般的であり、出力は10W/cm以上が一般的である。処理時間についても特に限定されないが、通常10秒から1時間程度である。
上記超音波処理により、CNF分散液中に液滴5が分散してエマルション化が進行し、さらに液滴5とCNF分散液の液/液界面に選択的にCNF1が吸着することで、液滴5がCNF1で被覆されO/W型エマルションとして安定した構造を形成する。このように、液/液界面に固体物が吸着して安定化したエマルションは、学術的には「ピッカリングエマルション」と呼称されている。前述のようにCNF繊維によってピッカリングエマルションが形成されるメカニズムは定かではないが、セルロースはその分子構造において水酸基に由来する親水性サイトと炭化水素基に由来する疎水性サイトとを有することから両親媒性を示すため、両親媒性に由来して疎水性モノマーと親水性溶媒の液/液界面に吸着すると考えられる。
O/W型エマルション構造は、例えば、光学顕微鏡観察により確認することができる。O/W型エマルションの粒径サイズは特に限定されないが、通常0.1μm〜1000μm程度である。
O/W型エマルション構造において、液滴5の表層に形成されたCNF層(被覆層2)
の厚みは特に限定されないが、通常3nm〜1000nm程度である。CNF層(被覆層2)の厚みは、例えばクライオTEMを用いて計測することができる。
<第4工程>
第4工程は、前記混合液の液滴5の表面の少なくとも一部をCNF1による被覆層2で覆った状態で液滴5を固体化してコア粒子3とすることで、コア粒子3の表面の少なくとも一部をCNF1で覆いコア粒子3とCNF1とを不可分の状態にする工程である(図2(b)参照)。
第2工程において、重合開始剤を含む重合性モノマーからなる液体に、前記機能性成分を添加して混合液を得る第1例の方法を用いた場合、重合性モノマーを重合する方法については特に限定されず、用いた重合性モノマーの種類および重合開始剤の種類によって適宜選択可能である。前述の重合性モノマーを重合する方法としては、例えば懸濁重合法が挙げられる。
具体的な懸濁重合の方法についても特に限定されず、公知の方法を用いて実施することができる。例えば第3工程で作製された、機能性成分と重合開始剤と重合性モノマーとを含有する液滴5がCNF1によって被覆され安定化したO/W型エマルションを攪拌しながら加熱することによって実施することができる。攪拌の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができ、具体的にはディスパーや攪拌子を用いることができる。
また、攪拌せずに加熱処理のみでもよい。また、加熱時の温度条件については重合性モノマーの種類および重合開始剤の種類によって適宜設定することが可能であるが、20度以上90度以下が好ましい。加熱時の温度が20度未満であると重合の反応速度が低下する傾向があるため好ましくなく、90度を超えるとCNF分散液が蒸発してしまう傾向があるため好ましくない。
重合反応に供する時間は重合性モノマーの種類および重合開始剤の種類によって適宜設定することが可能であるが、通常1時間〜24時間程度である。また、重合反応は電磁波の一種である紫外線照射処理によって実施してもよい。また、電磁波以外にも電子線などの粒子線を用いても良い。
第2工程において、常温にて固体であるポリマーを前記分散液に対し相溶性の低い溶媒で溶解し、前記機能性成分を添加して混合液を得る第2例の方法を用いたを用いた場合、エマルションを加熱し、ポリマーを溶解した溶媒を揮発させることでポリマーを固体化させることができる。加熱時の温度条件については溶解する溶媒の種類によって適宜設定することが可能であるが、溶媒の沸点以上90度以下が好ましい。加熱時の温度が溶媒の沸点未満であると溶媒が水相へ移動するのが遅くなり、90度を超えるとCNF分散液が蒸発してしまう傾向があるため好ましくない。
第2工程において、常温にて固体であるポリマーを流動性を持つ温度以上に加熱し融解し、前記機能性成分を添加して混合液を得る第3例の方法を用いたを用いた場合、エマルションを冷却し、ポリマーが流動性を持つ温度以下にすることでポリマーを固体化することができる。
前記までの工程により、表面の少なくとも一部がCNFで覆われ、かつCNF1と不可分の状態となったコア粒子3が分散溶媒中の分散体として得られる。さらに分散溶媒を除去することにより乾燥固形物としての消臭用複合粒子4が得られる(図2(c)参照)。
すなわち、固体化の反応終了直後の状態は、消臭用複合粒子4の分散液中に多量の水と消臭用複合粒子4の被覆層に形成に寄与していない遊離したCNF1が混在した状態とな
っている。そのため、作製した消臭用複合粒子4を回収・精製する必要がある。
回収・精製方法としては、遠心分離による洗浄またはろ過洗浄が好ましい。遠心分離による洗浄方法としては公知の方法を用いることができ、具体的には遠心分離によって消臭用複合粒子4を沈降させて上澄みを除去し、水・メタノール混合溶媒に再分散する操作を繰り返し、最終的に遠心分離によって得られた沈降物から残留溶媒を除去して消臭用複合粒子4を回収することができる。
ろ過洗浄についても公知の方法を用いることができ、例えば孔径0.1μmのPTFEメンブレンフィルターを用いて水とメタノールで吸引ろ過を繰り返し、最終的にメンブレンフィルター上に残留したペーストからさらに残留溶媒を除去して消臭用複合粒子4を回収することができる。
遠心分離法やろ過法によって余剰の溶媒を除去した後、さらにオーブンで熱乾燥することで乾燥固形物として得ることができる。この際、得られる乾燥固形物は膜状や凝集体状にはならず、肌理細やかな粉体として得られる。この理由としては定かではないが、通常、CNF分散液から溶媒を除去すると、CNF1同士が強固に凝集、膜化することが知られている。
一方、上記の消臭用複合粒子4を得る分散液の場合、CNF1がコア粒子3の表面に固定化された真球状の複合粒子であるため、溶媒を除去してもCNF1同士が凝集することはなく、複合粒子間の点と点で接するのみであるため、その乾燥固形物は肌理細やかな粉体として得られると考えられる。また、消臭用複合粒子4同士の凝集がないため、乾燥粉体として得られた消臭用複合粒子4を再び溶媒に再分散することも容易であり、再分散後もコア粒子3の表面に結合されたCNF1に由来した分散安定性を示す。
なお、消臭用複合粒子4の乾燥粉体は溶媒をほとんど含まず、さらに溶媒に再分散可能であることを特徴とする乾燥固形物である。具体的には固形分率を80質量%以上とすることができ、さらに90質量%以上とすることができ、さらに95質量%以上とすることができる。溶媒をほぼ除去することができるため、例えば、輸送費の削減、腐敗防止、添加率向上、樹脂との混練効率向上、といった観点から好ましい効果を得る。
なお、乾燥処理により固形分率を80質量%以上にした際、CNF1は吸湿しやすいため、空気中の水分を吸着して固形分率が経時的に低下する可能性がある。しかしながら、消臭用複合粒子4は乾燥粉体として容易に得られ、さらに再分散させ得ることが特徴である本発明の技術的思想を考慮すると、消臭用複合粒子4を含む乾燥粉体の固形分率を80質量%以上とする工程を含む乾燥固形物の製造方法により製造された消臭用複合粒子であれば、本発明の技術的範囲に含まれると言える。
以上のように、本発明の消臭用複合粒子の製造方法では、CNF1を用いたO/W型ピッカリングエマルションを形成させ、エマルション内部の液滴5を固体化させて固体のコア粒子3とすることで、コア粒子3とCNF1とが結合して不可分の状態にある消臭用複合粒子4を得ることができる。CNF1を用いることで界面活性剤等の添加物を用いることなく、液滴5を形成することが可能であり、分散性の高い消臭用複合粒子4を得ることができる。
[消臭剤]
得られた消臭性乾燥粉体はペットの排泄物やその周囲に直接振りかけることで、異臭または排泄物そのものを被覆層を構成するCNFに吸着し、内包される機能性成分により消臭されたり、香料により異臭を緩和させたり、殺菌剤により異臭の原因となる雑菌を死滅させることができる。また、粉体であるため排泄物に振りかけることで、排泄物が固体で
ある場合、排泄物表面をコーティングし、排泄物が液体の場合は、消臭用複合粒子の被覆層に吸収され、排泄物の処理がしやすくなる。
また、得られた消臭用複合粒子は溶剤に分散させることで消臭用液体として使用することができる。消臭用複合粒子を分散させる分散媒として用いることのできる溶剤としては水、または水に水溶性アルコール類などを添加した水性溶媒が好ましい。得られた消臭用液体をペットの排泄物などに噴霧し、拭き取るなどの処理をした際の揮発性を考慮すると、水と水溶性アルコールとの混合液が好ましく、水100質量部に対して、水溶性アルコール成分が30〜80質量部含むものが好ましい。
消臭液体において分散媒と消臭用複合粒子の混合比としては分散媒100質量部に対して、消臭用複合粒子が0.1〜30質量部であることが好ましい。
さらに、得られた消臭用複合粒子は基材に配合し、粒状に成形することで消臭用チップとして使用することができる。具体的には消臭用チップはペット用のトイレ砂として使用することができる。ペット用トイレ砂とは、ペットの排泄行為が行われる場所に設置しておくことで、トイレ砂上に排泄がなされ、トイレ砂と接触した排泄物をトイレ砂が吸収し、排泄物の処理をしやすくするものである。
消臭用チップを形成するために用いられる基材としては、パルプ繊維、木粉、ケナフ粉、おから等の植物系基材あるいはベントナイト、クレー、アタパルジャイト、セピオライト、ガレオナイト等の鉱物系基材などが挙げられる。これら基材のみでは排泄物を吸収するだけだが、基材に消臭用複合粒子を配合することで、消臭効果を付与することができる。また、消臭用複合粒子は有機系材料で構成されているため、基材が可燃性材料であれば焼却により処理することができ、基材が生分解性材料であればコア粒子を生分解性を持つポリマーにすることで、土に埋めても分解され土壌を汚すことがない。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の第一実施形態である消臭用複合粒子、第二実施形態である消臭用複合粒子の製造方法、及び消臭剤への適用において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の各例において、「%」は、特に断りのない限り、質量%(w/w%)を示す。
<実施例1>
[第1工程:CNF分散液を得る工程]
(木材セルロースのTEMPO酸化)
針葉樹クラフトパルプ70gを蒸留水3500gに懸濁し、蒸留水350gにTEMPOを0.7g、臭化ナトリウムを7g溶解させた溶液を加え、20℃まで冷却した。ここに2mol/L、密度1.15g/mLの次亜塩素酸ナトリウム水溶液450gを滴下により添加し、酸化反応を開始した。系内の温度は常に20℃に保ち、反応中のpHの低下は0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加することでpH10に保ち続けた。セルロースの重量に対して、水酸化ナトリウムの添加量の合計が3.50mmol/gに達した時点で、約100mLのエタノールを添加し反応を停止させた。その後、ガラスフィルターを用いて蒸留水によるろ過洗浄を繰り返し、酸化パルプを得た。
(酸化パルプのカルボキシ基量測定)
上記TEMPO酸化で得た酸化パルプおよび再酸化パルプを固形分重量で0.1g量りとり、1%濃度で水に分散させ、塩酸を加えてpHを2.5とした。その後0.5M水酸化ナトリウム水溶液を用いた電導度滴定法により、カルボキシ基量(mmol/g)を求めた。結果は1.6mmol/gであった。
(酸化パルプの解繊処理)
上記TEMPO酸化で得た酸化パルプ1gを99gの蒸留水に分散させ、ジューサーミキサーで30分間微細化処理し、CNF濃度1%のCNF水分散液を得た。CNF分散液を光路長1cmの石英セルに入れ、分光光度計(島津製作所社製、「UV−3600」)を用いて分光透過スペクトルの測定を行った結果を図3示す。図3から明らかなように、CNF水分散液は高い透明性を示した。
また、CNF水分散液に含まれるCNFの数平均短軸径は3nm、数平均長軸径は1110nmであった。さらに、レオメーターを用いて定常粘弾性測定を行った結果を図4に示す。図4から明らかなように、CNF分散液はチキソトロピック性を示した。
<第2工程:機能性成分を含む混合液を得る工程>
重合性モノマーであるジビニルベンゼン(以下、DVBとも称する)10gに対し、重合開始剤である2、2−アゾビス−2、4−ジメチルバレロニトリル(以下、ADVNとも称する)を1gと機能生成成分として消臭効果を持つカテキン(緑茶由来)を1g溶解させた。
<第3工程:O/W型エマルションを作製する工程>
次に、DVB/ADVN/カテキン混合液全量を、CNF濃度1%のCNF分散液40gに対し添加したところ、DVB/ADVN/カテキン混合液とCNF分散液はそれぞれ透明性の高い状態で2層に分離した。
次に、上記2層分離した状態の混合液における上層の液面から超音波ホモジナイザーのシャフトを挿入し、周波数24kHz、出力400Wの条件で、超音波ホモジナイザー処理を3分間行った。超音波ホモジナイザー処理後の混合液の外観は白濁した乳化液の様態であった。混合液一滴をスライドグラスに滴下し、カバーガラスで封入して光学顕微鏡で観察したところ、1〜数μm程度のエマルション液滴が無数に生成し、O/W型エマルションとして分散安定化している様子が確認された。
<第4工程:重合反応によりCNFで被覆された消臭用複合粒子を得る工程>
O/W型エマルション分散液を、ウォーターバスを用いて70℃の湯浴中に供し、攪拌子で攪拌しながら8時間処理し、重合反応を実施した。8時間処理後に上記分散液を室温まで冷却した。重合反応の前後で分散液の外観に変化はなかった。得られた分散液に対し、遠心力75,000g(gは重力加速度)で5分間処理したところ、沈降物を得た。デカンテーションにより上澄みを除去して沈降物を回収し、さらに孔径0.1μmのPTFEメンブレンフィルターを用いて、純水とメタノールで繰り返し洗浄した。
こうして得られた精製・回収物を1%濃度で再分散させ、粒度分布計(NANOTRAC UPA−EX150、日機装株式会社)を用いて粒径を評価したところ平均粒径2.1μmであった。次に精製・回収物を風乾し、さらに室温25度にて真空乾燥処理を24時間実施したところ、肌理細やかな乾燥粉体(消臭用複合粒子)を得た。
(走査型電子顕微鏡による形状観察)
得られた乾燥粉体を走査型電子顕微鏡にて観察した結果を図5および図6に示す。図5から明らかなように、O/W型エマルション液滴を鋳型として重合反応を実施したことにより、エマルション液滴の形状に由来した、真球状の消臭用複合粒子が無数に形成していることが確認された。さらに図6に示されるように、その表面は幅数nmのCNFによって均一に被覆されていることが確認された。
また、ろ過洗浄によって繰り返し洗浄したにも拘らず、消臭用複合粒子の表面は等しく
均一にCNF1によって被覆されていることから、本発明の消臭用複合粒子において、消臭用複合粒子内部のコア粒子3とCNF1であるCNFは結合していると考えられ、コア粒子3とCNF1とが不可分の状態にあることが示された。
(再分散性の評価)
消臭用複合粒子の乾燥粉体を1%の濃度で純水に添加し、攪拌子で再分散させたところ、容易に再分散し、凝集も見られなかった。また、粒度分布計を用いて粒径を評価したところ、平均粒径は乾燥前と同様に2.1μmとなり、粒度分布計のデータにおいても凝集を示すようなシグナルは存在しなかった。
以上のことから、消臭用複合粒子は、その表面がCNFで被覆されているにもかかわらず、乾燥によって膜化することなく粉体として得られ、かつ再分散性も良好であることが示された。
<実施例2>
実施例1の第2工程において、DVB10gの代わりにDVB7gと生分解性を有する化合物であるセルロースアセテートブチレート(以下、CABとも称する)3gを用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で、実施例2に係る消臭用複合粒子を作製し、同様に各種評価を実施した。
<実施例3>
実施例1の第1工程において、TEMPO酸化の代わりに、先行技術文献として挙げた非特許文献1に従いリン酸エステル化処理を行って得られたリン酸エステル化CNF分散液を用いたこと以外は実施例1と同様の条件で、実施例2に係る消臭用複合粒子を作製し、同様に各種評価を実施した。
<実施例4>
実施例1の第3工程において、コア粒子3を形成するポリマーとしてポリスチレン(以下、PSと称する)6gをジクロロメタン(沸点:39.6℃)4gに溶解させた。ポリスチレン/ジクロロメタン混合溶液全量を、実施例1にて使用したCNF分散液40gに対し添加した。
次に、上記混合液に対して実施例1と同様に周波数24kHz、出力400Wの条件で、超音波ホモジナイザー処理を3分間行い、O/W型エマルション分散液を得た。
次に、O/W型エマルション分散液を、ウォーターバスを用いて70℃の湯浴中に供し、攪拌子で攪拌しながら8時間処理し、ジクロロメタンを揮発させた。8時間処理後に上記分散液を実施例1と同様に処理を行い、乾燥粉体(消臭用複合粒子)を得た。
<実施例5>
実施例4の第3工程において、PSの代わりに生分解性を有する化合物であるポリカプロラクトン(以下、PCLとも称する)を、ジクロロメタンの代わりにクロロホルムをそれぞれ用いたこと以外は実施例4と同様の条件で、実施例5に係る消臭用複合粒子を作製し、同様に各種評価を実施した。
<実施例6>
実施例1の第3工程において、コア粒子3を形成するポリマーとしてポリヘキサメチレンオキシド(以下、PHMOとも称する。融点:58℃)10gを、実施例1にて使用したCNF分散液40gに対し添加した。
次に、上記混合液を、ウォーターバスを用いて80℃に加温し、PHMOを融解させた
後、実施例1と同様に周波数24kHz、出力400Wの条件で、超音波ホモジナイザー処理を3分間行い、O/W型エマルション分散液を得た。
次に、O/W型エマルション分散液を、室温まで冷却させた。最後に、上記分散液を実施例1と同様に処理を行い、乾燥粉体(消臭用複合粒子)を得た。
<実施例7>
実施例6の第3工程において、PHMOの代わりに、生分解性を有する化合物であるパラフィンワックス(以下、パラフィンと称する。融点:69℃)を用いたこと以外は実施例6と同様の条件で、実施例7に係る消臭用複合粒子を作製し、同様に各種評価を実施した。
<比較例1>
実施例1の第1工程において、CNF分散液の代わりに純水を用いたこと以外は実施例1と同様の条件で、比較例1に係る消臭用複合粒子の作製を試みた。
<比較例2>
実施例1の第1工程において、TEMPO酸化の代わりにカルボキシメチルセルロース(以下、CMCとも称する)水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様の条件で、比較例2に係る消臭用複合粒子の作製を試みた。
<比較例3>
実施例2の第1工程において、CNF分散液の代わりにポリビニルアルコール(以下、PVAとも称する)8%水溶液を用いたこと以外は実施例2と同様の条件で、比較例3に係る消臭用複合粒子の作製を試みた。
<比較例4>
本発明の複合粒子ではなく、市販のポリ乳酸微粒子(商品名トレパールPLA、東レ)を1%濃度で分散させた分散液を用いた以外は実施例1と同様の条件で、比較例4に係る消臭用複合粒子の作製を試みた。
<比較例5>
実施例5の第3工程において、クロロホルムの代わりにキシレン(沸点:144℃)を用いたこと以外は実施例5と同様の条件で、比較例5に係る消臭用複合粒子の作製を試みた。
<比較例6>
実施例6の第3工程において、PHMOの代わりにポリアクリル酸ブチル(ガラス転移温度:−54℃、融点:48℃)を用いたこと以外は実施例6と同様の条件で、比較例6に係る消臭用複合粒子の作製を試みた。
<比較例7>
実施例7の第3工程において、パラフィンの代わりにアミド系ワックス(商品名ITOHWAX−J630、融点:135℃、山桂産業、以下ITOWAXと称する)を用いたこと以外は実施例7と同様の条件で、比較例7に係る消臭用複合粒子の作製を試みた。
<比較例8>
実施例1の第1工程において、CNF分散液の代わりに、界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウム(以下、SLSとも称する)5%水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様の条件で、比較例8に係る消臭用複合粒子の作製を試みた。
[評価基準]
第3工程の可否については、以下のように判定した。
○:O/W型エマルションの形成が可能
×:O/W型エマルションの形成が不可能
また、第4工程の可否については、以下のように判定した。
○:第4工程のエマルション鋳型とした真球状の粒子が得られた
×:上記粒子は得られなかった
また、再分散性に関しては、以下のように判定した。
○:得られた消臭用複合粒子が溶媒(水)に、凝集することなく分散した
×:分散せずに凝集した
また、消臭性の評価に関しては500ml三角フラスコに消臭用複合粒子1gとアンモニア0.1gを入れ、フラスコに蓋をして、密閉した状態で2時間静置させた後、フラスコ内の匂いを嗅ぎ、消臭性の評価を行った。
○:フラスコ内からアンモニア臭を感じることができない
×:フラスコ内からアンモニア臭を感じることができる
また、界面活性剤使用の要否に関しては、以下のように判定した。
○:消臭用複合粒子の製造工程において、界面活性剤を使用しなかった
×:消臭用複合粒子の製造工程において、界面活性剤を使用した。
[評価結果]
以上の実施例1〜7、および比較例1〜8の評価結果について、表1にまとめて掲載する。なお、表1において、エマルションの安定化剤とは、第3工程においてO/W型エマルションを安定化させるために用いた添加剤のことであって、例えば本発明の第一実施形態におけるCNFが相当する。また、表1の比較例中の各セルにおける斜線表記は、各工程実施中に工程の遂行が不可能となり、その後の工程を実施していないことを示している。
Figure 2021137174
表1の評価結果において明らかなように、実施例1〜7では、CNFの種類(TEMPO酸化CNF、リン酸エステル化CNF)、またはコア粒子の種類に拠らず、消臭性及び分散性が付与された、作製時に界面活性剤が不要である消臭用複合粒子を作製可能であり、本発明における課題解決に奏功することが確認された。
一方、比較例1においては、第3工程の遂行が不可能であった。具体的には、超音波ホモジナイザー処理を実施してもモノマー層とCNF分散液層が2層分離したままの状態となり、O/W型エマルションの作製自体が不可能であった。
また、比較例2においては、第3工程におけるO/W型エマルションの形成は可能であった。これはCMCがCNFと同様に両親媒性を示したため、エマルションの安定化剤として機能したと考えられる。しかしながら、続く第4工程において重合反応を実施すると、エマルションが崩壊してしまい、O/W型エマルションを鋳型とした複合粒子を得ることができなかった。この理由としては定かではないが、CMCは水溶性であるため、重合反応中もエマルション形状を維持するための被覆層としては脆弱である可能性が高く、そのため重合反応中にエマルションが崩壊したと考えられる。
また、比較例3においては、第4工程において重合することができ、粉体として回収することができたが、得られた粉体は再分散性、消臭性ともに悪かった。
また、比較例4においては、類似の構成でCNFに被覆されていない市販のPLA微粒子を用いたが、走査型電子顕微鏡による形状観察により、微粒子表面にCNFが被覆している様子は観察できなかった。
また、比較例5においては、第3工程におけるO/W型エマルションの形成は可能であった。しかし、第4工程においてキシレンを除去するにあたり、CNF分散液に水を使用しているためにキシレンの沸点以上にすることができないため、液滴を固体化することができず、消臭用複合粒子を得ることができなかった。
また、比較例6においては、第3工程におけるO/W型エマルションの形成は可能であった。しかし、第4工程において室温まで冷却してもポリアクリル酸ブチルは凝固することがなく、液滴を固体化することができず、消臭用複合粒子を得ることができなかった。
また、比較例7においては、第3工程においてCNF分散液に使用している水の沸点よりも高温にすることができず、ITOWAXを融解させることができないため、O/W型エマルションの形成することができなかった。
また、比較例8においては、第4工程において重合することができ、粉体として回収することができたが、作製時に界面活性剤を使用しており、作製時に出た廃液は泡立ちが目立った。
以上説明したように、本発明の消臭用複合粒子は、作製時に界面活性剤を使用することなく、環境負荷の少ない材料を用いて作製が可能な、悪臭を除去、抑制することができる消臭用複合粒子である。
また、本発明の消臭用複合粒子を含む乾燥固形物は肌理細やかな粉体として得られ、粒子同士の凝集がない。このため、乾燥粉体として得られた消臭用複合粒子を再び溶媒に再分散することも容易であり、再分散後も消臭用複合粒子の表面に結合されたCNFの被覆層に由来した分散安定性を示す。
それ故、乾燥粉体、分散液、チップと様々な形態の消臭剤として使用することができ、取り扱いが容易な、分散性、消臭効果が高い消臭用複合粒子となる。
また、本実施形態に係る消臭用複合粒子の製造方法によれば、簡便な方法で提供することが可能な消臭用複合粒子の製造方法を提供することができる。
本発明の消臭用複合粒子はペットの排泄物による異臭の除去、抑制を目的としているが、他の異臭に対しても使用することができる。例えば、生ごみ臭、煙草臭、寝具・カーテンなどの布の臭い、部屋の生活臭、靴箱・ロッカーなどの臭い、下水や排水溝などの臭い、灯油などの油臭などが挙げられる。
1・・・微細化セルロース(セルロースナノファイバー)
2・・・被覆層
3・・・コア粒子
4・・・消臭用複合粒子
5・・・液滴
6・・・分散液

Claims (10)

  1. 少なくとも一種類のポリマーからなるコア粒子と、前記コア粒子の表面の少なくとも一部を覆う被覆層と、を有する複合粒子であって、
    前記被覆層は微細化セルロースからなり、
    前記コア粒子は消臭機能を有する材料を含む機能性成分を有する、ことを特徴とする消臭用複合粒子。
  2. 前記コア粒子と前記微細化セルロースとが結合して不可分の状態にある、ことを特徴とする請求項1に記載の消臭用複合粒子。
  3. 前記コア粒子に含まれる少なくとも一種類の前記ポリマーが生分解性ポリマーである、ことを特徴とする請求項1または2に記載の消臭用複合粒子。
  4. 以下の第1〜第4工程を順次含む、ことを特徴とする消臭用複合粒子の製造方法。
    1)第1工程:セルロース原料を溶媒中で解繊して微細化セルロースの分散液を得る工程。
    2)第2工程:少なくとも一種類の重合性モノマーまたはポリマーからなる液体に、少な
    くとも一種類の消臭機能を有する材料を含む機能性成分を混合させた混合液を得る工
    程。
    3)第3工程:前記分散液中において、前記混合液の液滴の表面の少なくとも一部を、前
    記微細化セルロースによる被覆層で覆った状態で、前記混合液の液滴をエマルション
    化させる工程。
    4)第4工程:前記混合液の液滴の表面の少なくとも一部を、前記微細化セルロースによ
    る被覆層で覆った状態で、前記混合液の液滴を固体化してコア粒子とすることで前記
    コア粒子と前記微細化セルロースとを不可分の状態にする工程。
  5. 前記第2工程における混合液は、重合開始剤を含む重合性モノマーからなる液体に、前記機能性成分を添加した混合液である、
    ことを特徴とする請求項4に記載の消臭用複合粒子の製造方法。
  6. 前記第2工程における混合液は、常温にて固体であるポリマーを前記分散液に対し相溶性の低い溶媒で溶解し、前記機能性成分を添加した混合液である、
    ことを特徴とする請求項4に記載の消臭用複合粒子の製造方法。
  7. 前記第2工程における混合液は、常温にて固体であるポリマーを流動性を持つ温度以上に加熱し融解し、前記機能性成分を添加した混合液である、
    ことを特徴とする請求項4に記載の消臭用複合粒子の製造方法。
  8. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の消臭用複合粒子を含み、固形分率が80質量%以上の粉体状であることを特徴とする消臭剤。
  9. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の消臭用複合粒子が分散溶媒に分散され、液体状であることを特徴とする消臭剤。
  10. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の消臭用複合粒子が基材に配合され、粒状に成形されたチップ状であることを特徴とする消臭剤。
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