JP2021136253A - チップの製造方法 - Google Patents

チップの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021136253A
JP2021136253A JP2020028978A JP2020028978A JP2021136253A JP 2021136253 A JP2021136253 A JP 2021136253A JP 2020028978 A JP2020028978 A JP 2020028978A JP 2020028978 A JP2020028978 A JP 2020028978A JP 2021136253 A JP2021136253 A JP 2021136253A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wafer
modified
region
laser beam
modified layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2020028978A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7479755B2 (ja
Inventor
星一 佐井
Seiichi Sai
星一 佐井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Disco Corp
Original Assignee
Disco Abrasive Systems Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Disco Abrasive Systems Ltd filed Critical Disco Abrasive Systems Ltd
Priority to JP2020028978A priority Critical patent/JP7479755B2/ja
Priority to KR1020210013514A priority patent/KR20210108310A/ko
Priority to TW110105273A priority patent/TW202133255A/zh
Priority to CN202110196071.3A priority patent/CN113380608A/zh
Publication of JP2021136253A publication Critical patent/JP2021136253A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7479755B2 publication Critical patent/JP7479755B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L21/00Processes or apparatus adapted for the manufacture or treatment of semiconductor or solid state devices or of parts thereof
    • H01L21/02Manufacture or treatment of semiconductor devices or of parts thereof
    • H01L21/04Manufacture or treatment of semiconductor devices or of parts thereof the devices having potential barriers, e.g. a PN junction, depletion layer or carrier concentration layer
    • H01L21/18Manufacture or treatment of semiconductor devices or of parts thereof the devices having potential barriers, e.g. a PN junction, depletion layer or carrier concentration layer the devices having semiconductor bodies comprising elements of Group IV of the Periodic Table or AIIIBV compounds with or without impurities, e.g. doping materials
    • H01L21/26Bombardment with radiation
    • H01L21/263Bombardment with radiation with high-energy radiation
    • H01L21/268Bombardment with radiation with high-energy radiation using electromagnetic radiation, e.g. laser radiation
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K26/00Working by laser beam, e.g. welding, cutting or boring
    • B23K26/02Positioning or observing the workpiece, e.g. with respect to the point of impact; Aligning, aiming or focusing the laser beam
    • B23K26/06Shaping the laser beam, e.g. by masks or multi-focusing
    • B23K26/067Dividing the beam into multiple beams, e.g. multifocusing
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K26/00Working by laser beam, e.g. welding, cutting or boring
    • B23K26/50Working by transmitting the laser beam through or within the workpiece
    • B23K26/53Working by transmitting the laser beam through or within the workpiece for modifying or reforming the material inside the workpiece, e.g. for producing break initiation cracks
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L21/00Processes or apparatus adapted for the manufacture or treatment of semiconductor or solid state devices or of parts thereof
    • H01L21/70Manufacture or treatment of devices consisting of a plurality of solid state components formed in or on a common substrate or of parts thereof; Manufacture of integrated circuit devices or of parts thereof
    • H01L21/77Manufacture or treatment of devices consisting of a plurality of solid state components or integrated circuits formed in, or on, a common substrate
    • H01L21/78Manufacture or treatment of devices consisting of a plurality of solid state components or integrated circuits formed in, or on, a common substrate with subsequent division of the substrate into plural individual devices

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • High Energy & Nuclear Physics (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Plasma & Fusion (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Electromagnetism (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Dicing (AREA)
  • Laser Beam Processing (AREA)

Abstract

【課題】チップの品質低下を抑制することが可能なチップの製造方法を提供する。【解決手段】ウェーハを分割予定ラインに沿って複数のチップに分割するチップの製造方法であって、ウェーハの第1面側をチャックテーブルで保持してウェーハの第2面側を露出させるウェーハ保持工程と、ウェーハに対して透過性を有し、且つ、第1集光点及び第2集光点で集光するレーザービームを、第1集光点及び第2集光点がウェーハの内部に位置付けられるように、ウェーハの第2面側から照射することにより、第1集光点及び第2集光点が位置付けられた領域にそれぞれ改質領域を形成し、分割予定ラインに沿って配列された複数の改質領域を含む改質層を形成する改質層形成工程と、ウェーハに外力を付与して、ウェーハを分割予定ラインに沿って複数のチップに分割する分割工程と、を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、ウェーハを複数のチップに分割するチップの製造方法に関する。
デバイスチップの製造工程では、互いに交差する複数の分割予定ライン(ストリート)によって区画された複数の領域にそれぞれIC(Integrated Circuit)等のデバイスが形成されたウェーハが用いられる。このウェーハを分割予定ラインに沿って分割することにより、デバイスをそれぞれ備える複数のデバイスチップが製造される。
ウェーハの分割には主に、ウェーハを保持するチャックテーブルと、ウェーハを切削する円環状の切削ブレードが装着されるスピンドル(回転軸)とを備えた切削装置が用いられる。切削ブレードを回転させ、チャックテーブルによって保持されたウェーハに切り込ませることにより、ウェーハが分割予定ラインに沿って切断され、分割される。
一方、近年では、レーザー加工によってウェーハを分割する技術も着目されている。例えば、ウェーハに対して透過性を有するレーザービームをウェーハの内部で集光させ、ウェーハの内部に改質された層(改質層(変質層))を分割予定ラインに沿って形成する手法が提案されている(特許文献1参照)。ウェーハの改質層が形成された領域は、他の領域よりも脆くなる。そのため、改質層が形成されたウェーハに外力を付与すると、改質層を起点としてウェーハが分割される。
ただし、ウェーハの厚さ、材質等によっては、ウェーハに改質層を1層だけ形成して外力を付与しても、ウェーハが改質層を起点として適切に分割されないことがある。この場合には、ウェーハの厚さ方向に複数の改質層が各分割予定ラインに沿って形成される(特許文献2参照)。例えば、レーザービームの集光点の高さを段階的に変えながら、各分割予定ラインに沿ってレーザービームを複数回ずつ照射することによって、ウェーハに複数の改質層が形成される。
特開2004−179302号公報 特開2009−10105号公報
改質層の形成工程では、例えば、レーザービームの照射によって、ウェーハの内部に複数の改質された領域(改質領域)が分割予定ラインに沿って所定の間隔で形成される。この場合、改質層は、分割予定ラインに沿って配列された複数の改質領域を含む層に相当する。
改質領域が形成されると、その改質領域で亀裂(劈開面)が発生する。そして、改質領域から進展した亀裂が、次に改質領域が形成されるべき領域に達すると、その後に該領域にレーザービームが照射された際、亀裂によってレーザービームの乱反射が生じる。
ウェーハの内部でレーザービームの乱反射が生じると、レーザービームが照射された領域に改質領域が適切に形成されにくくなり、改質層がウェーハの分割の起点として十分に機能しなくなることがある。また、レーザービームの乱反射によって、改質領域で生じた亀裂が予期しない方向に放射状に進展したり、予想に反して長い亀裂が形成されたりしやすくなる。この不規則な亀裂によって、後の工程でウェーハを分割する際、ウェーハの破断が意図しない方向に誘導される恐れがある。
上記のように、改質領域の形成時にレーザービームの乱反射が生じると、ウェーハに外力を付与した際に、ウェーハが分割予定ラインに沿って適切に分割されにくくなる。その結果、ウェーハの分割時にチップが破損したり、チップの側面(分割面)に凹凸が形成されたりして、チップの品質が低下する恐れがある。
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、チップの品質低下を抑制することが可能なチップの製造方法の提供を目的とする。
本発明の一態様によれば、ウェーハを分割予定ラインに沿って複数のチップに分割するチップの製造方法であって、該ウェーハの第1面側をチャックテーブルで保持して該ウェーハの第2面側を露出させるウェーハ保持工程と、該ウェーハに対して透過性を有し、且つ、第1集光点及び第2集光点で集光するレーザービームを、該第1集光点及び該第2集光点が該ウェーハの内部に位置付けられるように、該ウェーハの該第2面側から照射することにより、該第1集光点及び該第2集光点が位置付けられた領域にそれぞれ改質領域を形成し、該分割予定ラインに沿って配列された複数の該改質領域を含む改質層を形成する改質層形成工程と、該ウェーハに外力を付与して、該ウェーハを該分割予定ラインに沿って複数の該チップに分割する分割工程と、を有し、改質層形成工程では、該第1集光点が位置付けられた領域に形成される該改質領域で発生した亀裂と、該第2集光点が位置付けられた領域に形成される該改質領域で発生した亀裂とが連結されるチップの製造方法が提供される。
なお、好ましくは、該改質層形成工程は、該レーザービームを該ウェーハの該第2面側から照射することにより、該分割予定ラインに沿って配列された複数の該改質領域を含む第1改質層を形成する第1改質層形成工程と、該レーザービームを該ウェーハの該第2面側から照射することにより、該分割予定ラインに沿って配列された複数の該改質領域を含む第2改質層を、該第1改質層よりも該ウェーハの該第1面側に形成する第2改質層形成工程と、を有する。
また、本発明の他の一態様によれば、ウェーハを分割予定ラインに沿って複数のチップに分割するチップの製造方法であって、該ウェーハの第1面側をチャックテーブルで保持して該ウェーハの第2面側を露出させるウェーハ保持工程と、該ウェーハに対して透過性を有し、且つ、第1集光点乃至第4集光点で集光するレーザービームを、該第1集光点及び該第2集光点が該ウェーハの内部の第1領域に位置付けられ、且つ、該第3集光点及び該第4集光点が該ウェーハの内部の該第1領域よりも該ウェーハの該第1面側に位置する第2領域に位置付けられるように、該ウェーハの該第2面側から照射することにより、該第1集光点乃至該第4集光点が位置付けられた領域にそれぞれ改質領域を形成し、該分割予定ラインに沿って配列された複数の該改質領域を含む第1改質層及び第2改質層を形成する改質層形成工程と、該ウェーハに外力を付与して、該ウェーハを該分割予定ラインに沿って複数の該チップに分割する分割工程と、を有し、改質層形成工程では、該第1集光点が位置付けられた領域に形成される該改質領域で発生した亀裂と、該第2集光点が位置付けられた領域に形成される該改質領域で発生した亀裂とが連結されるとともに、該第3集光点が位置付けられた領域に形成される該改質領域で発生した亀裂と、該第4集光点が位置付けられた領域に形成される該改質領域で発生した亀裂とが連結されるチップの製造方法が提供される。
本発明の一態様に係るチップの製造方法では、複数の集光点で集光するレーザービームがウェーハに照射されることにより、集光点が位置付けられた領域にそれぞれ改質領域が形成され、一の改質領域で発生した亀裂と他の改質領域で発生した亀裂とが連結される。
上記のチップの製造方法によれば、レーザービームの集光点をウェーハ内部の亀裂が形成されていない領域に位置付けて改質領域を形成しつつ、隣接する改質領域を連結させる亀裂を形成できる。これにより、レーザービームの乱反射が抑制され、改質層が適切に形成される。その結果、ウェーハが分割予定ラインに沿って分割されやすくなり、チップの品質低下が抑制される。
図1(A)はウェーハを示す斜視図であり、図1(B)は保護部材が貼付されたウェーハを示す斜視図である。 レーザー加工装置を示す一部断面正面図である。 レーザー照射ユニットの構成例を示す模式図である。 図4(A)はレーザービームが照射されるウェーハの一部を示す断面図であり、図4(B)は改質領域を示す断面図である。 図5(A)は2層目の改質層が形成されるウェーハの一部を示す断面図であり、図5(B)は複数の改質層が形成されたウェーハの一部を示す断面図である。 エキスパンドテープが貼付されたウェーハを示す斜視図である。 拡張装置を示す斜視図である。 図8(A)はウェーハを保持する拡張装置を示す断面図であり、図8(B)はエキスパンドテープを拡張する拡張装置を示す断面図である。 4つの集光点で集光するレーザービームを照射するレーザー照射ユニットを備えるレーザー加工装置を示す一部断面正面図である。 4つの集光点で集光するレーザービームが照射されるウェーハの一部を示す断面図である。 図11(A)は比較例に係るチップの側面を示す画像図であり、図11(B)は実施例に係るチップの側面を示す画像図である。
以下、添付図面を参照して本発明の一態様に係る実施形態を説明する。まず、本実施形態に係るチップの製造方法に用いることが可能なウェーハの構成例について説明する。図1(A)は、ウェーハ11を示す斜視図である。
ウェーハ11は、例えばシリコン等の材料を用いて円盤状に形成され、互いに概ね平行な表面(第1面)11aと裏面(第2面)11bとを備える。ウェーハ11は、互いに交差するように格子状に配列された複数の分割予定ライン(ストリート)13によって、複数の矩形状の領域に区画されている。
分割予定ライン13によって区画された複数の領域の表面11a側にはそれぞれ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等のデバイス15が形成されている。ウェーハ11を分割予定ライン13に沿って分割すると、デバイス15をそれぞれ備える複数のチップ(デバイスチップ)が得られる。
なお、ウェーハ11の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えばウェーハ11は、シリコン以外の半導体(GaAs、SiC、InP、GaN等)、サファイア、ガラス、セラミックス、樹脂、金属等でなる基板であってもよい。また、デバイス15の種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はなく、ウェーハ11にはデバイス15が形成されていなくてもよい。
ウェーハ11には、後の工程でウェーハ11を分割する際に分割の起点(分割のきっかけ)として機能する、分割起点が形成される。例えば、ウェーハ11に対してレーザー加工を施し、ウェーハ11の内部を分割予定ライン13に沿って改質(変質)させることによって、分割起点が形成される。
ウェーハ11内部の分割起点が形成された領域(改質された領域)は、ウェーハ11の他の領域よりも脆くなる。そのため、分割起点が形成されたウェーハ11に対して外力を付与すると、ウェーハ11が分割起点を起点として分割予定ライン13に沿って破断する。これにより、デバイス15をそれぞれ備える複数のデバイスチップが得られる。
レーザー加工によってウェーハ11に分割起点を形成する際には、例えば、ウェーハ11の裏面11b側からレーザービームが照射される。この場合には、ウェーハ11の表面11a側に保護部材17が貼付される。図1(B)は、保護部材17が貼付されたウェーハ11を示す斜視図である。
保護部材17としては、円形に形成されたフィルム状の基材と、基材上に設けられた粘着層(糊層)とを有するシート(テープ)を用いることができる。例えば、基材は、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタラート等の樹脂でなり、粘着層は、エポキシ系、アクリル系、又はゴム系の接着剤等でなる。また、粘着層には、紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化型の樹脂を用いてもよい。
例えば保護部材17は、ウェーハ11と概ね同径の円形に形成され、複数のデバイス15を覆うようにウェーハ11の表面11a側に貼付される。この保護部材17によって、複数のデバイス15が保護される。
分割起点の形成には、レーザービームの照射によってウェーハ11を加工するレーザー加工装置が用いられる。図2は、レーザー加工装置2を示す一部断面正面図である。レーザー加工装置2は、ウェーハ11を保持するチャックテーブル(保持テーブル)4と、レーザービーム8を照射するレーザー照射ユニット6とを備える。
チャックテーブル4には、モータ等の回転駆動源(不図示)と、ボールねじ式の移動機構(不図示)とが接続されている。回転駆動源は、チャックテーブル4をZ軸方向(鉛直方向、上下方向)に概ね平行な回転軸の周りで回転させる。また、移動機構は、チャックテーブル4をX軸方向(加工送り方向、第1水平方向)及びY軸方向(割り出し送り方向、第2水平方向)に沿って移動させる。
チャックテーブル4の上面は、ウェーハ11を保持する保持面4aを構成する。保持面4aは、X軸方向及びY軸方向と概ね平行な平坦面である。例えば保持面4aは、ウェーハ11の形状に対応して円形に形成される。ただし、保持面4aの形状はウェーハ11の形状等に応じて適宜変更できる。保持面4aは、チャックテーブル4の内部に形成された流路(不図示)及びバルブ(不図示)を介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。
チャックテーブル4の上方には、レーザー照射ユニット6が設けられている。レーザー照射ユニット6は、チャックテーブル4によって保持されたウェーハ11に向かってレーザービーム8を照射する。レーザービーム8の照射条件は、ウェーハ11のレーザービーム8が照射された領域に、多光子吸収によって改質されて変質した領域(改質領域(改質領域))が形成されるように設定される。
具体的には、レーザービーム8の波長は、レーザービーム8がウェーハ11に対して透過性を示すように設定される。そのため、レーザー照射ユニット6からウェーハ11には、少なくとも一部がウェーハ11を透過する(ウェーハ11に対して透過性を有する)レーザービーム8が照射される。また、レーザービーム8の他の照射条件(出力、パルス幅、スポット径、繰り返し周波数等)も、ウェーハ11に改質領域が形成されるように適宜設定される。
また、レーザー照射ユニット6は、レーザービーム8が少なくとも2以上の集光点(集光位置)で集光するように構成される。図2には、レーザービーム8が2つの集光点(集光位置)8a,8bで集光する例を示している。
図3は、レーザー照射ユニット6の構成例を示す模式図である。レーザー照射ユニット6は、レーザービームをパルス発振するレーザー発振器10を備える。レーザー発振器10としては、例えばYAGレーザー、YVOレーザー、YLFレーザー等が用いられる。レーザー発振器10からパルス発振されたレーザービーム8は、ミラー12で反射してレーザー分岐部14に入射し、レーザー分岐部14によって複数(図3では2つ)のビームに分岐される。その後、分岐されたレーザービーム8は、集光レンズ16によって所定の位置で集光される。
レーザー分岐部14の構成は、レーザービーム8を分岐可能であれば制限はない。例えばレーザー分岐部14は、LCOS-SLM(Liquid Crystal On Silicon - Spatial Light Modulator)、回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)等によって構成される。
図2に示すレーザー加工装置2を構成する構成要素(チャックテーブル4に連結された回転駆動源及び移動機構、レーザー照射ユニット6等)はそれぞれ、レーザー加工装置2の各構成要素の動作を制御する制御部(不図示)に接続されている。この制御部によって、チャックテーブル4の位置、レーザービーム8の照射条件等が制御される。
制御部は、例えばコンピュータによって構成され、レーザー加工装置2の稼働に必要な各種の処理(演算等)を行う処理部と、処理部による処理に用いられる各種の情報(データ、プログラム等)が記憶される記憶部とを含む。処理部は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含んで構成される。また、記憶部は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリによって構成される。
レーザー加工装置2でウェーハ11を加工する際は、まず、ウェーハ11をチャックテーブル4によって保持する(ウェーハ保持工程)。具体的には、ウェーハ11を、表面11a側(保護部材17側)が保持面4aに対向し裏面11b側が上方に露出するように、チャックテーブル4上に配置する。この状態で、保持面4aに吸引源の負圧を作用させると、ウェーハ11の表面11a側がチャックテーブル4によって吸引保持される。
次に、レーザービーム8をウェーハ11に照射し、ウェーハ11に改質層を形成する(改質層形成工程)。改質層形成工程では、まず、チャックテーブル4を回転させ、一の分割予定ライン13(図1(A)及び図1(B)参照)の長さ方向をX軸方向に合わせる。また、レーザービーム8の集光点8a,8bが一の分割予定ライン13の延長線上に配置されるように、チャックテーブル4のY軸方向における位置を調整する。
そして、レーザー照射ユニット6からレーザービーム8を照射しながら、チャックテーブル4をX軸方向に沿って移動させる(加工送り)。これにより、ウェーハ11を保持しているチャックテーブル4とレーザー照射ユニット6とがX軸方向に沿って相対的に移動し、レーザービーム8が一の分割予定ライン13に沿って走査される。このとき、レーザービーム8の集光点8a,8bは、チャックテーブル4の移動方向(図2の矢印Aで示す方向)と平行な方向に沿って隣接するように位置付けられる。
図4(A)は、レーザービーム8が照射されるウェーハ11の一部を示す断面図である。改質層形成工程では、レーザービーム8の集光点8a,8bが、分割予定ライン13(図1(A)及び図1(B)参照)に沿って隣接するように、ウェーハ11の内部に位置付けられる。そして、レーザービーム8をウェーハ11の裏面11b側から照射すると、ウェーハ11のレーザービーム8が照射された領域に改質領域(変質領域)19が形成される。この改質領域19は、多光子吸収によって改質されて変質した領域に相当する。
また、改質領域19が形成されると、改質領域19で亀裂(クラック)21(図4(B)参照)が発生し、改質領域19から放射状に進展する。この改質領域19及び亀裂21が、後の工程でウェーハ11を分割する際に分割起点として機能する。
ここで、ウェーハ11の集光点8a,8bが位置付けられた領域には、それぞれレーザービーム8が同時に照射され、改質領域19a,19bが同時に形成される。この改質領域19a,19bは、集光点8a,8b間の距離に応じた間隔で、分割予定ライン13(図1(A)及び図1(B)参照)に沿って形成される。
図4(B)は、改質領域19a,19bを示す断面図である。図4(B)には、ウェーハ11の集光点8a,8bが位置付けられた領域に形成された改質領域19a,19bと、改質領域19a,19bからそれぞれウェーハ11の厚さ方向(図4(B)の上下方向)及びウェーハ11の径方向(図4(B)の左右方向)に進展した亀裂(クラック)21a,21bとを示している。
集光点8a,8b間の距離は、改質領域19aから進展する亀裂21aと、改質領域19bから進展する亀裂21bとが連結されるように設定される。そのため、レーザービーム8の照射によって改質領域19a,19bを同時に形成すると、亀裂21aと亀裂21bとが連結され、改質領域19a,19bが亀裂21a,21bを介して連結される。その結果、ウェーハ11の内部に分割起点が分割予定ライン13に沿って連続的に形成される。例えば、集光点8a,8b間の距離は、3μm以上16μm以下、好ましくは4μm以上8μm以下に設定される。
そして、集光点8a,8bで集光するレーザービーム8を分割予定ライン13に沿って走査させると、一対の改質領域19a,19bが1組ずつ、分割予定ライン13に沿って順次形成される。その結果、ウェーハ11の内部には、分割予定ライン13に沿って配列された複数の改質領域19を含む改質層(変質層)23が形成される。
なお、各改質領域19a,19bは、直前に形成された改質領域19a,19bよりも、レーザービーム8の走査方向の前方側(チャックテーブル4の移動方向(図2の矢印A)の後方側)に形成される。そのため、新たな改質領域19a又は改質領域19bが、既にウェーハ11に形成されている他の改質領域19と同一の場所に重複して形成されることはない。
ここで、レーザービーム8が集光点8a,8bで同時に集光する際、集光点8bは集光点8aよりも、既にウェーハ11に形成されている他の改質領域19(特に、直前に形成された改質領域19b)から離れた位置に位置付けられる。そのため、集光点8bは、既にウェーハ11に形成されている他の改質領域19から進展した亀裂21が存在しない領域に位置付けられやすい。その結果、レーザービーム8が亀裂21の存在する領域で集光した場合に生じ得るレーザービーム8の乱反射が抑制される。
ウェーハ11の内部でのレーザービーム8の乱反射が抑制されると、改質領域19が意図した領域に形成されやすくなるとともに、亀裂21が予期しない方向に進展する現象や、予想に反して長い亀裂21が形成される現象が生じにくくなる。その結果、適切に形成された改質領域19を含み、且つ、不規則な亀裂21の発生が抑制された改質層23が、ウェーハ11に形成される。
なお、改質領域19aは、改質領域19aから進展する亀裂21aが、既にウェーハ11に形成されている他の改質領域19(特に、直前に形成された改質領域19b)から進展する亀裂21に連結される位置に形成されることが好ましい。これにより、異なるタイミングで形成された2組の改質領域19a,19bを、亀裂21を介して連結させることができ、ウェーハ11の内部に切れ目のない分割起点を形成することが可能となる。
また、レーザービーム8の集光点8aは、既にウェーハ11に形成されている他の改質領域19から進展した亀裂21が存在しない領域に位置付けられることが好ましい。これにより、レーザービーム8の乱反射がさらに抑制される。
レーザービーム8が照射される領域の間隔(改質領域19a同士の間隔、及び、改質領域19b同士の間隔に対応)は、チャックテーブル4の移動速度(加工送り速度)やレーザービーム8の繰り返し周波数を制御することによって調整できる。例えば、レーザービーム8が照射される領域の間隔は、6μm以上32μm以下、好ましくは8μm以上16μm以下に設定される。
そして、一の分割予定ライン13に沿って改質層23を形成した後、同様の手順を繰り返し、他の分割予定ライン13に沿って改質層23を形成する。これにより、全ての分割予定ライン13に沿って改質層23が格子状に形成されたウェーハ11が得られる。
ウェーハ11の改質層23が形成された領域は、ウェーハ11の他の領域よりも脆い。そのため、改質層23が形成されたウェーハ11に外力を付与すると、ウェーハ11が改質層23を起点として分割予定ライン13に沿って破断される。
なお、ウェーハ11の厚さ、材質等によっては、ウェーハ11の厚さ方向に複数の改質層23を形成することが好ましい。例えば、ウェーハ11が厚さ200μm以上のシリコンウェーハである場合等には、2層以上の改質層23を形成することにより、ウェーハ11が適切に分割されやすくなる。複数の改質層23を形成する場合は、既に改質層23が形成された分割予定ライン13に沿って、更に改質層23を形成する。
図5(A)は、複数の改質層23が形成されるウェーハ11の一部を示す断面図である。ウェーハ11に複数の改質層23を形成する場合には、まず、一の改質層23(第1改質層23)を形成し(第1改質層形成工程)、その後、他の改質層23(第2改質層23)を、第1改質層とは異なる領域に形成する(第2改質層形成工程)。
ここで、改質領域19から生じる亀裂21(図4(B)参照)は、レーザービーム8が入射する方向(裏面11b側)に向かって伸長しやすいことが確認されている。そのため、ウェーハ11に複数の改質層23を形成する場合は、ウェーハ11の裏面11b側から表面11a側に向かって順に改質層23を形成することが好ましい。
具体的には、第2改質層形成工程では、レーザービーム8の集光点8a,8bを、第1改質層23の形成時よりもウェーハ11の表面11a側(下面側)に位置付ける。そして、第1改質層23の形成時と同様の手順により、第2改質層23を第1改質層23よりもウェーハ11の表面11a側に形成する。
この場合、第1改質層23で生じた亀裂21が進展しにくい領域(ウェーハ11の表面11a側)に、第2改質層23を形成するためのレーザービーム8が集光される。これにより、レーザービーム8が亀裂21の存在する領域で集光されにくくなり、レーザービーム8の乱反射が抑制される。
また、第1改質層23は、前述の通り不規則な亀裂21が生じにくい条件で形成されている。そのため、第2改質層23の形成時、レーザービーム8が第1改質層23を介して第2改質層23が形成される領域に照射されても、第1改質層23においてレーザービーム8の予期しない反射が生じにくい。これにより、第2改質層23が適切に形成されやすくなる。
図5(B)は、複数の改質層23が形成されたウェーハ11の一部を示す断面図である。図5(B)に示すように、ウェーハ11に複数の改質層23を形成することにより、例えばウェーハ11が厚い場合であっても、ウェーハ11を適切に分割することが可能となる。なお、ウェーハ11に形成される改質層23の層数に制限はなく、ウェーハ11の厚さ、材質等に応じて適宜設定される。
次に、ウェーハ11に外力を付与して、ウェーハ11を分割予定ライン13に沿って複数のチップに分割する(分割工程)。例えば分割工程は、ウェーハ11をエキスパンドテープに貼付し、このエキスパンドテープを拡張することによって実施される。図6は、エキスパンドテープ25が貼付されたウェーハ11を示す斜視図である。
エキスパンドテープ25は、外力の付与によって拡張可能なテープ(エキスパンド性を有するテープ)である。例えばエキスパンドテープ25として、円形に形成されたフィルム状の基材と、基材上に設けられた粘着層(糊層)とを有するシートを用いることができる。基材及び粘着層の材料の例は、保護部材17(図1(B)参照)と同様である。ただし、エキスパンドテープ25は、エキスパンド性を有し、且つ、ウェーハ11に貼付可能であれば、その構造や材料に制限はない。
例えば、ウェーハ11よりも直径が大きい円形のエキスパンドテープ25が、ウェーハ11の裏面11b側に貼付される。また、エキスパンドテープ25の外周部は、金属等でなり中央部に円形の開口27aを備える環状のフレーム27に貼付される。なお、開口27aの直径はウェーハ11の直径よりも大きく、ウェーハ11は開口27aの内側に配置される。ウェーハ11及びフレーム27にエキスパンドテープ25が貼付されると、ウェーハ11がエキスパンドテープ25を介してフレーム27によって支持される。
その後、ウェーハ11の表面11a側から保護部材17を剥離する。これにより、ウェーハ11の表面11a側(デバイス15側)が露出する。この状態で、エキスパンドテープ25を半径方向外側に向かって引っ張って拡張すると、ウェーハ11に外力が付与され、ウェーハ11が複数のチップに分割される。
エキスパンドテープ25の拡張には、例えば、エキスパンドテープ25を拡張する拡張装置が用いられる。図7は、拡張装置(分割装置)22を示す斜視図である。拡張装置22は、エキスパンドテープ25を引っ張って拡張し、改質層23が形成されたウェーハ11を分割する。
拡張装置22は、ウェーハ11よりも直径が大きい円筒状のドラム24と、ウェーハ11を支持するフレーム27(図6参照)を保持するフレーム保持ユニット26とを備える。フレーム保持ユニット26は、フレーム27を支持する環状の支持台28を備える。支持台28は、ドラム24の上端部を囲むように設けられており、支持台28の上面の高さとドラム24の上端の高さとが概ね一致するように配置されている。
支持台28の外周部には、複数のクランプ30が固定されている。複数のクランプ30は、支持台28の周方向に沿って概ね等間隔に配置されており、支持台28上に配置されたフレーム27を把持して固定する。支持台28の上にフレーム27を配置し、複数のクランプ30でフレーム27を固定することにより、フレーム27がフレーム保持ユニット26によって保持される。
支持台28は、鉛直方向(上下方向)に沿って移動(昇降)する複数のロッド32によって支持されており、各ロッド32の下端部には、ロッド32を昇降させるエアシリンダ34が接続されている。なお、複数のエアシリンダ34は、環状のベース36に支持されている。エアシリンダ34でロッド32を下降させると、支持台28がフレーム27とともに下側に移動する。
分割工程では、まず、エアシリンダ34を作動させ、ドラム24の上端の高さと支持台28の上面の高さとが一致するように、支持台28の高さを調節する。そして、ウェーハ11を支持した状態のフレーム27(図6参照)を支持台28上に配置する。このときウェーハ11は、平面視でドラム24の外周の内側に配置される。その後、支持台28上に配置されたフレーム27を複数のクランプ30で固定する。
これにより、ウェーハ11がエキスパンドテープ25及びフレーム27を介してフレーム保持ユニット26によって保持される。図8(A)は、ウェーハ11を保持する拡張装置22を示す断面図である。なお、ウェーハ11には、分割予定ライン13(図1(A)参照)に沿って改質層23が格子状に形成されている。
次に、エアシリンダ34を作動させて支持台28を引き下げ、フレーム27を下側に移動させる。これにより、ドラム24の上端によって支持されたエキスパンドテープ25が、半径方向外側に引っ張られて拡張される。その結果、ウェーハ11には、ウェーハ11の半径方向外側に向かう外力が付与される。
図8(B)は、エキスパンドテープ25を拡張する拡張装置22を示す断面図である。エキスパンドテープ25の拡張によってウェーハ11に外力が付与されると、ウェーハ11は改質層23に沿って破断し、複数のチップ(デバイスチップ)29に分割される。すなわち、改質層23は分割起点として機能する。このようにして、ウェーハ11が分割され、チップ29が製造される。なお、ウェーハ11の分割後、各チップ29は、例えばコレット(不図示)によってピックアップされ、所定の基板(配線基板等)に実装される。
以上の通り、本実施形態に係るチップの製造方法では、集光点8a,8bで集光するレーザービーム8がウェーハ11に照射されることにより、集光点8a,8bが位置付けられた領域にそれぞれ改質領域19a,19bが形成され、改質領域19aで発生した亀裂21aと改質領域19bで発生した亀裂21bとが連結される。
上記のチップの製造方法によれば、レーザービーム8の集光点8a,8bをウェーハ11内部の亀裂21が形成されていない領域に位置付けて改質領域19a,19bを形成しつつ、隣接する改質領域19a,19bを連結させる亀裂を形成できる。これにより、レーザービーム8の乱反射が抑制され、改質層23が適切に形成される。その結果、ウェーハ11が分割予定ライン13に沿って分割されやすくなり、チップ29の品質低下が抑制される。
なお、上記の実施形態では、2つの集光点8a,8bでのみ集光するレーザービーム8を用いて改質層23を形成する例を説明したが、改質層23の形成に用いられるレーザービームの集光点の数は3以上であってもよい。この場合、改質領域19が3箇所以上で同時に形成されるとともに、隣接する改質領域19から進展する亀裂21が互いに連結される。
また、レーザービームが4以上の集光点で集光する場合には、ウェーハ11内部の異なる深さ位置にそれぞれ2以上の集光点を位置付けた状態で、レーザービームをウェーハ11に照射してもよい。この場合、2層以上の改質層23を同時進行で形成することが可能となる。
図9は、4つの集光点(集光位置)42a,42b,42c,42dで集光するレーザービーム42を照射するレーザー照射ユニット40を備えるレーザー加工装置2を示す一部断面正面図である。図9に示すように、レーザー照射ユニット40は、レーザービーム42を集光点42a,42b,42c,42dで集光させる。
レーザー照射ユニット40は、レーザー照射ユニット6(図3参照)と同様に構成できる。ただし、レーザー分岐部14は、レーザー発振器10から発振されたレーザービームを4つに分岐するように構成される。例えばレーザー分岐部14として、レーザービームを4つに分岐するLCOS-SLMが用いられる。
図9に示すように、レーザー照射ユニット40は、集光点42a,42bと集光点42c,42dとをウェーハ11内部の異なる深さ位置に位置付けた状態で、レーザービーム42を照射する。具体的には、集光点42a,42bはウェーハ11の内部の第1領域に位置付けられ、集光点42c,42dは該第1領域よりもウェーハ11の表面11a側に位置する第2領域に位置付けられる。そして、レーザービーム42をウェーハ11に照射することにより、ウェーハ11に2層の改質層23が同時進行で形成される。
図10は、4つの集光点42a,42b,42c,42dで集光するレーザービーム42が照射されるウェーハ11の一部を示す断面図である。例えば、集光点42a,42b,42c,42dは、分割予定ライン13(図1(A)参照)に沿って所定の間隔で位置付けられる。また、集光点42a,42bは、ウェーハ11内部のうち、1層目の改質層23を形成すべき領域(第1領域)に位置付けられる。さらに、集光点42c,42dは、ウェーハ11内部のうち、2層目の改質層23を形成すべき領域(第2領域)に位置付けられる。
この状態で、レーザービーム42をウェーハ11の裏面11b側に照射する。これにより、集光点42a,42bが位置付けられた領域で改質領域(変質領域)19a,19bが同時に形成されるとともに、集光点42c,42dが位置付けられた領域で改質領域(変質領域)19c,19dが同時に形成される。
なお、集光点42a,42bの間隔は、改質領域19aから生じた亀裂21と改質領域19bから生じた亀裂21とが連結されるように設定される。同様に、集光点42c,42dの間隔は、改質領域19cから生じた亀裂21と改質領域19dから生じた亀裂21とが連結されるように設定される。
そのため、改質領域19a,19b,19c,19dが形成されると、改質領域19a,19bで生じた亀裂が互いに連結されるとともに、改質領域19c,19dで生じた亀裂が互いに連結される(図4(B)参照)。集光点42a,42b間の距離と集光点42c,42d間の距離とはそれぞれ、例えば3μm以上16μm以下、好ましくは4μm以上8μm以下に設定される。
上記のように、集光点42a,42bと集光点42c,42dとをウェーハ11内部の異なる深さ位置に位置付けることにより、2層の改質層23を同時進行で形成できる。これにより、ウェーハ11に複数の改質層23を形成する場合において、工程の簡略化及び加工時間の短縮を図ることができる。
次に、本実施形態に係るチップの製造方法を用いて製造したチップを評価した結果について説明する。本評価では、従来のチップの製造方法によって得られたチップ(比較例)と、本実施形態に係るチップの製造方法によって得られたチップ(実施例)とを比較した。
比較例においては、シリコンウェーハ(直径200mm、厚さ300μm)の裏面側(上面側)から、1箇所で集光するレーザービーム(ナノ秒パルスレーザー)を照射することによって、改質層を形成した。そして、このシリコンウェーハに外力を付与し(図8(A)及び図8(B)参照)、シリコンウェーハを分割することにより、比較例に係るチップを製造した。
比較例に係るチップの製造工程では、レーザービームの集光点(1箇所)をシリコンウェーハの内部に位置付けた状態でレーザービームを走査することにより、複数の改質領域を含む改質層を各分割予定ラインに沿って形成した。その後、同様の工程を繰り返し、3層の改質層が形成されたシリコンウェーハを得た。
なお、比較例におけるレーザービームの照射条件は、以下の通り設定した。
レーザー発振器 :LD励起QスイッチNd:YVOレーザー
波長 :1342nm
出力 :1.2W
繰り返し周波数 :90kHz
スポット径 :3μm
加工送り速度 :340mm/s
一方、実施例においては、シリコンウェーハ(直径200mm、厚さ300μm)の裏面側(上面側)に、複数の箇所で集光するレーザービーム(ナノ秒パルスレーザー)を照射することによって、改質層を形成した。そして、このシリコンウェーハに外力を付与し(図8(A)及び図8(B)参照)、シリコンウェーハを分割することにより、実施例に係るチップを製造した。
実施例に係るチップの製造工程では、レーザービームの集光点(2箇所)をシリコンウェーハの内部の同一の深さに位置付けた状態でレーザービームを走査することにより、複数の改質領域を含む改質層を各分割予定ラインに沿って形成した(図4(A)等参照)。なお、シリコンウェーハの内部の同一の深さに位置付けられる2つの集光点の間隔は、改質領域から進展する亀裂の長さを考慮し、5μmに設定した。その後、同様の工程を繰り返し、7層の改質層が形成されたシリコンウェーハを得た。
なお、実施例におけるレーザービームの照射条件は、以下の通り設定した。
レーザー発振器 :LD励起QスイッチNd:YVOレーザー
波長 :1342nm
出力 :1.5W(分岐前)
繰り返し周波数 :60kHz
スポット径 :3μm
加工送り速度 :600mm/s
そして、上記の比較例に係るチップと実施例に係るチップとの側面(分割面)を観察した。図11(A)は比較例に係るチップ31の側面を示す画像図であり、図11(B)は実施例に係るチップ41の側面を示す画像図である。
比較例に係るチップ31の側面には、改質層(変質層)33と、改質層33から不規則に進展する多数の長い亀裂(クラック)35とが観察された。亀裂35は、特にチップ31の裏面側(上面側、レーザービームが照射された面側)に向かって長距離伝播していることが確認された。
前述の通り、チップ31の製造工程において1箇所で集光するレーザービームを走査させると、シリコンウェーハの内部でレーザービームの乱反射が生じ、改質層33が適切に形成されにくい。そして、改質層が適切に形成されていないシリコンウェーハは改質層に沿って破断しにくく、シリコンウェーハには分割の際に過度の外力が付与されやすい。その結果、チップ31の側面には図11(A)に示すような多数の亀裂35が形成され、チップ31の品質が低下するものと推察される。
また、2層目以降の改質層33を形成する際には、既に形成されている改質層33から進展する亀裂にレーザービームの集光点が位置付けられないように、改質層33の間隔が設定される。ここで、1箇所で集光するレーザービームの照射によって改質層33を形成する場合には、レーザービームの乱反射によって長い亀裂が形成されるため、改質層33の間隔が広く設定される。その結果、改質層33の間において、シリコンウェーハの破断が生じにくくなり、チップ31の側面には図11(A)に示すような分割痕37が残存しやすくなる。
一方、実施例に係るチップ41(図11(B))の側面には、改質層(変質層)43が観察された。しかしながら、改質層43の周辺には不規則に進展する長い亀裂が確認されず、高品質なチップ41が得られた。これは、改質層43の形成に複数の集光点で集光するレーザービームを用いたことにより、レーザービームの乱反射が抑制され、改質層43が意図した領域に適切に形成されるとともに亀裂の発生が抑制されたことに起因していると推察される。
また、改質層43から進展する亀裂が抑制されると、改質層43の間隔を狭くすることが可能になる。その結果、シリコンウェーハが適切に破断しやすくなり、図11(A)に示す分割痕37のような太い分割痕がチップ41に残存しにくくなる。
上記の通り、複数の集光点で集光するレーザービームの照射によってシリコンウェーハに改質層を形成すると、シリコンウェーハが適切に分割されやすくなり、チップの品質低下が抑制されることが確認された。
なお、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
11 ウェーハ
11a 表面(第1面)
11b 裏面(第2面)
13 分割予定ライン(ストリート)
15 デバイス
17 保護部材
19,19a,19b,19c,19d 改質領域(変質領域)
21,21a,21b 亀裂(クラック)
23 改質層(変質層)
25 エキスパンドテープ
27 フレーム
27a 開口
29 チップ(デバイスチップ)
31 チップ
33 改質層(変質層)
35 亀裂(クラック)
37 分割痕
41 チップ
43 改質層(変質層)
2 レーザー加工装置
4 チャックテーブル(保持テーブル)
4a 保持面
6 レーザー照射ユニット
8 レーザービーム
8a,8b 集光点(集光位置)
10 レーザー発振器
12 ミラー
14 レーザー分岐部
16 集光レンズ
22 拡張装置(分割装置)
24 ドラム
26 フレーム保持ユニット
28 支持台
30 クランプ
32 ロッド
34 エアシリンダ
36 ベース
40 レーザー照射ユニット
42 レーザービーム
42a,42b,42c,42d 集光点(集光位置)

Claims (3)

  1. ウェーハを分割予定ラインに沿って複数のチップに分割するチップの製造方法であって、
    該ウェーハの第1面側をチャックテーブルで保持して該ウェーハの第2面側を露出させるウェーハ保持工程と、
    該ウェーハに対して透過性を有し、且つ、第1集光点及び第2集光点で集光するレーザービームを、該第1集光点及び該第2集光点が該ウェーハの内部に位置付けられるように、該ウェーハの該第2面側から照射することにより、該第1集光点及び該第2集光点が位置付けられた領域にそれぞれ改質領域を形成し、該分割予定ラインに沿って配列された複数の該改質領域を含む改質層を形成する改質層形成工程と、
    該ウェーハに外力を付与して、該ウェーハを該分割予定ラインに沿って複数の該チップに分割する分割工程と、を有し、
    改質層形成工程では、該第1集光点が位置付けられた領域に形成される該改質領域で発生した亀裂と、該第2集光点が位置付けられた領域に形成される該改質領域で発生した亀裂とが連結されることを特徴とするチップの製造方法。
  2. 該改質層形成工程は、
    該レーザービームを該ウェーハの該第2面側から照射することにより、該分割予定ラインに沿って配列された複数の該改質領域を含む第1改質層を形成する第1改質層形成工程と、
    該レーザービームを該ウェーハの該第2面側から照射することにより、該分割予定ラインに沿って配列された複数の該改質領域を含む第2改質層を、該第1改質層よりも該ウェーハの該第1面側に形成する第2改質層形成工程と、を有することを特徴とする請求項1記載のチップの製造方法。
  3. ウェーハを分割予定ラインに沿って複数のチップに分割するチップの製造方法であって、
    該ウェーハの第1面側をチャックテーブルで保持して該ウェーハの第2面側を露出させるウェーハ保持工程と、
    該ウェーハに対して透過性を有し、且つ、第1集光点乃至第4集光点で集光するレーザービームを、該第1集光点及び該第2集光点が該ウェーハの内部の第1領域に位置付けられ、且つ、該第3集光点及び該第4集光点が該ウェーハの内部の該第1領域よりも該ウェーハの該第1面側に位置する第2領域に位置付けられるように、該ウェーハの該第2面側から照射することにより、該第1集光点乃至該第4集光点が位置付けられた領域にそれぞれ改質領域を形成し、該分割予定ラインに沿って配列された複数の該改質領域を含む第1改質層及び第2改質層を形成する改質層形成工程と、
    該ウェーハに外力を付与して、該ウェーハを該分割予定ラインに沿って複数の該チップに分割する分割工程と、を有し、
    改質層形成工程では、該第1集光点が位置付けられた領域に形成される該改質領域で発生した亀裂と、該第2集光点が位置付けられた領域に形成される該改質領域で発生した亀裂とが連結されるとともに、該第3集光点が位置付けられた領域に形成される該改質領域で発生した亀裂と、該第4集光点が位置付けられた領域に形成される該改質領域で発生した亀裂とが連結されることを特徴とするチップの製造方法。
JP2020028978A 2020-02-25 2020-02-25 チップの製造方法 Active JP7479755B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020028978A JP7479755B2 (ja) 2020-02-25 2020-02-25 チップの製造方法
KR1020210013514A KR20210108310A (ko) 2020-02-25 2021-01-29 칩의 제조 방법
TW110105273A TW202133255A (zh) 2020-02-25 2021-02-17 晶片的製造方法
CN202110196071.3A CN113380608A (zh) 2020-02-25 2021-02-22 芯片的制造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020028978A JP7479755B2 (ja) 2020-02-25 2020-02-25 チップの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021136253A true JP2021136253A (ja) 2021-09-13
JP7479755B2 JP7479755B2 (ja) 2024-05-09

Family

ID=77570589

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020028978A Active JP7479755B2 (ja) 2020-02-25 2020-02-25 チップの製造方法

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JP7479755B2 (ja)
KR (1) KR20210108310A (ja)
CN (1) CN113380608A (ja)
TW (1) TW202133255A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20240038594A (ko) 2022-09-16 2024-03-25 가부시기가이샤 디스코 칩의 제조 방법

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004179302A (ja) 2002-11-26 2004-06-24 Disco Abrasive Syst Ltd 半導体ウエーハの分割方法
TWI250910B (en) 2004-03-05 2006-03-11 Olympus Corp Apparatus for laser machining
JP5162163B2 (ja) 2007-06-27 2013-03-13 株式会社ディスコ ウェーハのレーザ加工方法
JP4478184B2 (ja) 2008-01-17 2010-06-09 株式会社レーザーシステム レーザ割断方法およびレーザ加工装置
JP4651731B2 (ja) 2009-07-29 2011-03-16 西進商事株式会社 レーザースクライブ加工方法
JP5446631B2 (ja) 2009-09-10 2014-03-19 アイシン精機株式会社 レーザ加工方法及びレーザ加工装置
JP2016111315A (ja) 2014-11-27 2016-06-20 株式会社東京精密 レーザー加工装置及びレーザー加工方法
JP2019176079A (ja) 2018-03-29 2019-10-10 株式会社東京精密 ウェーハ加工方法及びウェーハ加工装置
JP7123652B2 (ja) 2018-06-20 2022-08-23 株式会社ディスコ レーザー加工装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20240038594A (ko) 2022-09-16 2024-03-25 가부시기가이샤 디스코 칩의 제조 방법

Also Published As

Publication number Publication date
CN113380608A (zh) 2021-09-10
JP7479755B2 (ja) 2024-05-09
TW202133255A (zh) 2021-09-01
KR20210108310A (ko) 2021-09-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5162163B2 (ja) ウェーハのレーザ加工方法
JP2007173475A (ja) ウエーハの分割方法
JP5495695B2 (ja) ウエーハの加工方法
JP2006229021A (ja) ウエーハの分割方法
JP2008277414A (ja) ウエーハの分割方法
TWI697946B (zh) 晶圓的加工方法
JP2005209719A (ja) 半導体ウエーハの加工方法
JP2006032419A (ja) ウエーハのレーザー加工方法
JP2013089714A (ja) チップ形成方法
JP2009290052A (ja) ウエーハの分割方法
JP2005332841A (ja) ウエーハの分割方法
JP6045361B2 (ja) ウエーハの加工方法
JP2014072476A (ja) ウェーハの加工方法
JP2006073690A (ja) ウエーハの分割方法
JP2021136253A (ja) チップの製造方法
JP6953210B2 (ja) ウエーハの加工方法
JP2019033212A (ja) 分割方法
JP2008227276A (ja) ウエーハの分割方法
US10818554B2 (en) Laser processing method of wafer using plural laser beams
TWI685886B (zh) 晶圓的加工方法
JP2006024676A (ja) ウエーハの分割方法
JP7233816B2 (ja) ウェーハの加工方法
JP2008264805A (ja) レーザー加工装置およびウエーハの裏面に装着された接着フィルムのレーザー加工方法
JP2009018336A (ja) レーザ加工方法
JP2007227769A (ja) 半導体ウェハのダイシング方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221216

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20231031

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231107

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20240105

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240201

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240423

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240423

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7479755

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150