JP2021135156A - 流量測定装置 - Google Patents

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憲一 半田
克行 山本
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克行 山本
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秀之 中尾
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Abstract

【課題】流量測定装置において、塵埃の付着の影響を排除し、より精度のよい測定を可能とするとともに、使用環境の自由度を高めることを目的とする。【解決手段】流量測定装置(1)であって、測定対象流体を加熱する加熱部(113)と、加熱部を測定対象流体の流れ方向に挟んで配置された複数の温度検出部(111、112)と、温度検出部の出力値より測定対象流体の流量を算出する流量算出部(133)と、複数の温度検出部の各々の出力の関係に基づいて、温度検出部における塵埃または水滴の付着の程度を検知する検知部(135)と、を備える。【選択図】図8

Description

本発明は、流量測定装置に関する。
従来、ヒータおよびセンサを備え、流体の流れによって変化する温度分布をセンサが検知することにより、流体の流速又は流量を算出する測定装置が提案されていた。
また、主流路を流れる測定対象流体の流量を検出するための流量検出部と、測定対象流体を加熱する加熱部および測定対象流体の温度を検出する温度検出部を有し、測定対象流体の特性値を取得するための特性値取得部と、特性値取得部によって取得された測定対象流体の特性値を用いて、流量検出部から出力された検出信号に基づいて算出された測定対象流体の流量を補正する流量補正部とを備え、加熱部および温度検出部は、測定対象流体の流れ方向と直交する方向に並んで配置されており、特性値取得部は、加熱部の温度を変化させた前後における、温度検出部により検出された測定対象流体の温度の差により、特性値を取得する、流量測定装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
ここで、上述のような従来の熱式の流量測定装置では、時間の経過とともに、センサ表面に塵埃や結露による水滴が付着し、センサにより検出される温度分布が影響を受けることで、流量測定の特性が変化してしまう場合があった。そのため、流量測定装置の精度が低下したり、流量測定装置自体の使用環境が清浄気体の計測等に制限されるという不都合が生じる場合があった。
特開2017−129470号公報
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、流量測定装置において、塵埃および/または水滴付着の影響を排除し、より精度のよい測定を可能とするとともに、使用環境の自由度を高めることが可能な技術を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための本発明は、主流路を流れる測定対象流体の流量を検出する流量測定装置であって、
測定対象流体を加熱する加熱部と、
前記加熱部を前記測定対象流体の流れ方向に挟んで配置され、前記測定対象流体の温度を検出する複数の温度検出部と、
前記複数の温度検出部の出力値より測定対象流体の流量を算出する流量算出部と、
前記複数の温度検出部の各々の出力の関係に基づいて、前記温度検出部における塵埃または水滴の付着の程度を検知する検知部と、
を備えることを特徴とする、流量測定装置である。
本発明によれば、新たなセンサ等を追加することなく、温度検出部における塵埃や結露による水滴の付着の程度を検知することができる。
また、本発明においては、前記流量測定装置の周囲温度を測定する温度センサをさらに
備え、前記検知部は、前記複数の温度検出部の各々の出力の関係及び、前記温度センサにより測定された周囲温度に基づいて、前記温度検出部における塵埃または水滴の付着の程度を検知するようにしてもよい。
ここで、複数の温度検出部の各々の出力の関係は、塵埃や結露による水滴の付着の程度に加え、周囲温度の影響を受けることが分かっている。よって、流量測定装置の周囲温度を温度センサにより測定し、検知部が、複数の温度検出部の各々の出力の関係及び、温度センサにより測定された周囲温度に基づいて、温度検出部における塵埃または水滴の付着の程度を検知することで、より精度よく、塵埃の付着の程度を検知することが可能である。
また、本発明は、上記した流量測定装置と、
前記流量測定装置により測定した流量を表示する表示部と、
前記流量測定装置及び前記表示部を制御する統合制御部と、
を備える、流量測定ユニットであってもよい。
そうすれば、より容易または効率的に、高精度で使用環境の自由度の高いガスメータを製造することが可能になる。
また、本発明は、上記した流量測定装置と、
前記流量測定装置により測定した流量を表示する表示部と、
前記流量測定装置及び前記表示部を制御する統合制御部と、
前記流量測定装置、表示部、及び統合制御部に電力を供給する電源部と、
前記流量測定装置、表示部及び、統合制御部を収納可能な筐体と、
前記筐体の外部から前記流量測定装置の作動に関する設定が可能な操作部と、
を備える、ガスメータであってもよい。
これによれば、より高精度で、より使用環境の自由度が高いガスメータを提供することができる。
本発明によれば、流量測定装置において、塵埃や結露による推定の付着の影響の排除を可能とするとともに、使用環境の自由度を高めることが可能となる。
本発明の実施例1における流量測定装置の一例を示す分解斜視図である。 本発明の実施例1における流量測定装置の一例を示す断面図である。 本発明の実施例1における副流路部を示す平面図である。 本発明の実施例1におけるセンサ素子の一例を示す斜視図である。 本発明の実施例1におけるセンサ素子の仕組みを説明するための断面図である。 本発明の実施例1における流量検出部の概略構成を示す平面図である。 本発明の実施例1における物性値検出部の概略構成を示平面図である。 本発明の実施例1における回路基板の機能構成を示すブロック図である。 二つの温度検出部の出力の関係性に対する塵埃の影響について示す図である。 二つの温度検出部の出力の関係性に対する周囲温度の影響について示す図である。 本発明の実施例1における塵埃変動補正ルーチンのフローチャートである。 本発明の実施例2におけるガスメータの機能構成を示すブロック図である。
〔適用例〕
以下、本発明の適用例について、図面を参照しつつ説明する。本発明は例えば、図1に示すような熱式の流量測定装置1に適用される。流量測定装置1は、図2に示すように、主流路部2を流れる流体を分流し、その一部を流量検出部11に導いて、主流路部2の流体の流量と高い相関を有する、流量検出部11における流量を測定するものである。流量検出部11に用いられるセンサ素子は、図4に示すように、マイクロヒータ(加熱部)101を挟んで二つのサーモパイル102が配置された構成を有する。測定原理としては、図5に示すように、二つのサーモパイル102で検出される温度の検出値の差分と、その上を通過する流体の流量との間の相関関係を利用したものである。
また、流量測定装置1の機能ブロック図8に示すように、流量検出部11の出力は、回路基板5に配置されたCPU(Central Processing Unit)により実現される制御部13
の検出値取得部131に送信され、流量算出部133において最終的な出力としての流量が算出される。そして、上記のような熱式の流量測定装置においては、流量検出部11の温度検出部111及び112の表面への付着物(本適用例では塵埃を例示)により、流量算出部133から出力される流量の値が影響を受ける場合があった。
それに対し、本発明においては、図8に示すように、温度検出部111及び温度検出部112の出力の関係性に基づいて、塵埃検知部135によって塵埃の付着の程度を検知する。そして、補正値決定部136によって、温度検出部111及び温度検出部112の出力に基づいて、流量算出部133の出力値の補正値を決定する。そして、塵埃補正部137によって流量算出部133の出力値を補正する。これは、図9に示すように、温度検出部111及び112の出力の関係性と塵埃の付着の程度との間に相関があることに基づく。そして、より具体的には、温度検出部111及び112の各出力値の差分Ta−Tbの値と、流量算出部133の出力の補正値との間の関係をデータテーブル化して備えるようにし、補正値決定部136によって当該データテーブルから補正値を読み出して、塵埃補正部137によって流量算出部133の出力を補正することとした。これにより、塵埃による流量測定装置1の出力への影響を排除し、より精度の高い測定を可能とした。また、流量測定装置1の使用環境の自由度をより高くすることを可能とした。
なお、温度検出部111及び温度検出部112の出力の関係性は塵埃の付着の程度の他、周囲温度の影響を受ける場合がある。よって、本発明においては、周囲温度を測定する温度センサを独立して有するようにし、温度センサの測定値を用いて、温度検出部111及び温度検出部112の出力の関係性への周囲温度の影響を排除するようにしてもよい。
なお、本発明は上記のような熱式の流量測定装置1に適用してもよいし、流量測定装置1を備えた図12に示すようなガスメータ150に適用しても構わない。ガスメータ150は、流量測定装置1の他、表示部151、電源部152、操作部153、振動検出部154、遮断部155、ガスメータ制御部156、ガスメータ記憶部157、ガスメータ通信部158を備えている。
また、本発明は、図12において、流量測定装置1、表示部151、電源部152、振動検出部154、ガスメータ制御部156、ガスメータ記憶部157、ガスメータ通信部158をユニット化し、ガスメータ150を製造する際に組み込み容易とした、流量測定装置ユニット150aに適用しても構わない。
〔実施例1〕
以下では、本発明の実施例に係る流量測定装置について、図面を用いて、より詳細に説明する。なお、以下の実施例においては、塵埃の付着を検知する場合を例にとって説明を行うが、結露による水滴の付着を検知する場合についても同様である。よって、以下の実施例において結露による水滴の付着を検知する場合の説明は割愛する。
<装置構成>
図1は、本実施例に係る流量測定装置1の一例を示す分解斜視図である。図2は、流量測定装置1の一例を示す断面図である。流量測定装置1は、例えばガスメータや燃焼機器、自動車等の内燃機関、燃料電池、その他医療等の産業機器、組込機器に組み込まれ、流路を通過する流体の量を測定する。なお、図1及び図2の破線の矢印は、流体の流れる方向を例示している。
また、図1に示すように、本実施例に係る流量測定装置1は、主流路部2と、副流路部3と、シール4と、回路基板5と、カバー6とを備えている。図1及び図2に示すように、本実施例では、流量測定装置1は主流路部2から分岐した副流路部3を有する。また副流路部3には、流量検出部11と、物性値検出部12が備えられる。流量検出部11及び物性値検出部12は、マイクロヒータによって形成される加熱部とサーモパイルによって形成される温度検出部とを含む熱式のフローセンサによって構成されている。また、本実施例では、物性値検出部12を利用して流体の物性値を検出し、流量検出部11によって検出される流量を流体の物性値に基づいて補正するものとするが、流量測定装置1は、物性値検出部12を備えていなくてもよい。
主流路部2は、測定対象である流体の流路(以下、主流路ともいう)が長手方向に貫通した管状の部材である。図2に示すように、主流路部2の内周面には、流体の流れ方向に対して、上流側に流入口(第1流入口)34Aが形成され、下流側に流出口(第1流出口)35Aが形成されている。例えば主流路部2の軸方向の長さは約50mmであり、内周面の直径(主流路部2の内径)は約20mmであり、主流路部2の外径は約24mmであるが、主流路部2の寸法はこれらに限定されない。また、主流路部2には、流入口34Aと流出口35Aとの間にオリフィス21が設けられている。オリフィス21は、主流路部2においてその前後よりも内径が小さくなった抵抗体であり、オリフィス21の大きさによって副流路部3へ流入する流体の量を調整することができる。
図1及び図2においては、主流路から分岐した副流路を内部に含む部分である副流路部3は主流路部2の鉛直上方に設けられている。また、副流路部3内の副流路は、流入用流路34と、物性値検出用流路32と、流量検出用流路33と、流出用流路35とを含む。副流路部3には、主流路部2を流れる流体の一部が分岐して流入する。
流入用流路34は、主流路部2を流れる流体を流入させて、物性値検出用流路32および流量検出用流路33に分流させるための流路である。流入用流路34は、主流路部2における流体の流れ方向と垂直な方向に沿って形成されており、一端が流入口34Aに連通し、他端は物性値検出用流路32および流量検出用流路33に連通している。主流路部2を流れる流体の一部は、流入用流路34を介して、さらに物性値検出用流路32および流量検出用流路33に分流する。このような物性値検出用流路32及び流量検出用流路33には、主流路部2を流れる流体の量に応じた量の流体が流入する。したがって、流量検出部11は、主流路部2を流れる流体の量に応じた値を検出することができる。
図1に示すように、物性値検出用流路32は、主流路部2の鉛直上方に形成され、主流路部2と平行な方向に延在する、上側から見た断面が略コ字型の流路である。物性値検出用流路32は、その内部に、測定対象流体の物性値を検出するための物性値検出部12が
配置されている。物性値検出用流路32の一端は、流入用流路34を介して流入口34Aに連通しており、他端は、流出用流路35を介して流出口35Aに連通している。
流量検出用流路33も、主流路部2における流体の流れ方向と平行な方向に延在する、上側から見た断面が略コの字型の流路である。流量検出用流路33には、その内部に、流体の流量を検出するための流量検出部11が配置されている。また、流量検出用流路33の一端は、流入用流路34を介して流入口34Aに連通しており、他端は、流出用流路35を介して流出口35Aに連通している。なお、物性値検出部12、流量検出部11は、それぞれ回路基板5上に実装される。そして、回路基板5は、上部が開いた物性値検出用流路32、流量検出用流路33の上部を覆うと共に、物性値検出用流路32に物性値検出部12が位置し、流量検出用流路33に流量検出部11が位置するように配置される。
流出用流路35は、物性値検出用流路32および流量検出用流路33を通過した測定対象流体を、主流路部2に流出させるための流路である。流出用流路35は、主流路部2と垂直な方向に沿って形成されており、一端が流出口35Aに連通し、他端は物性値検出用流路32および流量検出用流路33に連通している。物性値検出用流路32および流量検出用流路33を通過した測定対象流体は、流出用流路35を介して、主流路部2に流出する。
本実施例では、上述のように、1つの流入口34Aから流入させた測定対象流体を、物性値検出用流路32および流量検出用流路33に分流させている。これにより、流量検出部11および物性値検出部12は、それぞれ温度、密度などの条件がほぼ等しい流体に基づいて、測定対象の流体の物性値や流量を検出することができる。なお、流量測定装置1は、副流路部3にシール4を嵌め込んだ後、回路基板5が配置され、さらにカバー6によって回路基板5を副流路部3に固定することで、副流路部3の内部の気密性を確保している。
図3は、図1に示される副流路部3の平面図である。図3に示すように、物性値検出用流路32と流量検出用流路33とは、流入用流路34と流出用流路35を結ぶ線(不図示)に対して対称に配置されている。また、矢印P及びQは、物性値検出用流路32および流量検出用流路33に分流する流体の流量の比率を模式的に表している。本実施例では、分流される流体の量がP対Qの割合になるように、物性値検出用流路32および流量検出用流路33の断面積が定められている。
実際に物性値検出用流路32および流量検出用流路33を流れる流体の量は、主流路部2を流れる流体の流量に応じて変動するが、通常の使用態様において、物性値検出用流路32を流れる流体の量は物性値検出部12の検出レンジ内の値となり、流量検出用流路33を流れる流体の量は流量検出部11の検出レンジ内の値となるように、主流路部2に対する副流路部3の大きさやオリフィス21の大きさ、物性値検出用流路32および流量検出用流路33の幅がそれぞれ設定されている。なお、物性値検出用流路32及び流量検出用流路33の幅は例示であり、図3に示す例には限定されない。
このように、流量測定装置1では、物性値検出用流路32および流量検出用流路33に分流する流体の流量を、それぞれの幅を調整することで個別に制御することが可能である。このため、物性値検出部12の検出レンジに応じて物性値検出用流路32を流れる流体の流量を制御し、流量検出部11の検出レンジに応じて流量検出用流路33を流れる流体の流量を制御することができる。
物性値検出用流路32および流量検出用流路33は、何れも上面視において略コ字型に形成された構成には限定されない。すなわち、物性値検出用流路32および流量検出用流
路33は、物性値検出用流路32および流量検出用流路33を通過する流体の流量が制御可能な幅(断面積)に設定されていれば、他の形状を採用するようにしてもよい。
また、物性値検出用流路32および流量検出用流路33において物性値検出部12、流量検出部11が配置される空間の形状を上面視において略正方形にしているが、本発明はこれに限定されない。物性値検出用流路32および流量検出用流路33の形状は、物性値検出部12または流量検出部11が配置可能であればよく、配置される物性値検出部12および流量検出部11の形状等に応じて決定することができる。
したがって、例えば、物性値検出用流路32の幅よりも、物性値検出部12のサイズが小さい場合には、物性値検出用流路32において物性値検出部12が配置される空間の幅を、物性値検出用流路32の他の部分の幅に一致させてもよい。すなわち、この場合は、物性値検出用流路32の長手方向に延在する部分は、幅がほぼ一定の形状になる。なお、流量検出用流路33についても同様である。
以上のように、物性値検出用流路32および流量検出用流路33を流れる流体の量は、主流路部2を流れる流体の量よりも少ないが、それぞれ主流路部2を流れる流体の量に応じて変化する。仮に流量検出部11や物性値検出部12を主流路部2に配置する場合は、主流路部2を流れる流体の量に応じて流量検出部11および物性値検出部12の規模を大きくする必要が生じるが、本実施形態では主流路部2から分岐する副流路部3を設けることにより、規模の小さい流量検出部11および物性値検出部12によって流体の流量を測定できるようにしている。
また、本実施例においては、物性値検出用流路32の断面積の方が流量検出用流路33の断面積よりも小さく、図3において矢印P及びQの大きさで表したように物性値検出用流路32を流れる流体の量の方が流量検出用流路33を流れる流体の量よりも少なくなっている。このように、流量検出部11を流れる流体の量よりも物性値検出部12を流れる流体の量の方を少なくすることにより、物性値検出部12が流体の物性値や温度を検出する際の流量の影響による誤差を小さくすることができる。
図4は、流量検出部11及び物性値検出部12に用いられるセンサ素子の一例を示す斜視図である。また、図5は、センサ素子の仕組みを説明するための断面図である。センサ素子100は、マイクロヒータ(加熱部ともいう)101と、マイクロヒータ101を挟んで対称に設けられた二つのサーモパイル(温度検出部ともいう)102とを備える。すなわち、マイクロヒータ101と二つのサーモパイル102とは、所定の方向に並ぶように配置されている。これらの上下には、図5に示すように絶縁薄膜103が形成され、マイクロヒータ101、サーモパイル102及び絶縁薄膜103はシリコン基台104上に設けられている。また、マイクロヒータ101及びサーモパイル102の下方のシリコン基台104には、エッチング等により形成されるキャビティ(空洞)105が設けられている。
マイクロヒータ101は、例えばポリシリコンで形成された抵抗である。図5においては、破線の楕円によって、マイクロヒータ101が発熱した場合の温度分布を模式的に示している。なお、破線が太いほど温度が高いことを示すものとする。流体の流れがない場合、図5(a)に示すようにマイクロヒータ101の周囲の温度分布はほぼ均等になる。一方、例えば図5(b)において破線の矢印で示す方向に流体が流れた場合、周囲の空気が移動するため、マイクロヒータ101の上流側よりも下流側の方が温度は高くなる。センサ素子100は、このようなヒータ熱の分布の偏りを利用して、流量を示す値を出力する。
センサ素子の出力電圧ΔVは、例えば次のような式(1)で表される。
Figure 2021135156

なお、Thはマイクロヒータ101の温度(サーモパイル102におけるマイクロヒータ101側の端部の温度)、Taはサーモパイル102におけるマイクロヒータ101から遠い側の端部の温度のうち低い方の温度(図5(a)では左側のサーモパイル102の左端の温度又は右側のサーモパイル102の右端の温度であり、図5(b)では上流側の端部である左側のサーモパイル102の左端の温度)、Vfは流速の平均値、A及びbは所定の定数である。
また、流量測定装置1の回路基板5は、IC(Integrated Circuit)等により実現される制御部(図示せず)を備え、流量検出部11の出力に基づいて流量を算出する。また、物性値検出部12の出力に基づいて所定の特性値を算出し、特性値を用いて流量を補正してもよい。
<流量検出部及び物性値検出部>
図6は、図1に示した流量検出部11の概略構成を示す平面図であり、図7は、図1に示した物性値検出部12の概略構成を示す平面図である。図6に示すように、流量検出部11は、測定対象の流体の温度を検出する第1サーモパイル(温度検出部ともいう)111および第2サーモパイル(温度検出部ともいう)112と、測定対象流体を加熱するマイクロヒータ(加熱部ともいう)113とを備えている。加熱部113と、温度検出部111および温度検出部112とは、流量検出部11内において、測定対象流体の流れ方向の矢印Pに沿って並べて配置されている。また、加熱部113、温度検出部111、および温度検出部112の形状は、平面視においてそれぞれ略矩形であり、各々の長手方向は測定対象流体の流れ方向の矢印Pと直交する。
温度検出部111および温度検出部112は、加熱部113の上流側に温度検出部112が配置され、下流側に温度検出部111が配置されて、加熱部113を挟んで対称な位置の温度を検出する。
流量測定装置1では、物性値検出部12および流量検出部11に、実質的に同一構造のセンサ素子100が用いられており、流体の流れ方向に対する配置角度を、センサ素子100の平面視上、90度異ならせて配置されている。これにより、同一構造のセンサ素子100を物性値検出部12及び流量検出部11に使用することができ、流量測定装置1の製造コストを抑制することができる。
一方、図7に示すように、物性値検出部12は、測定対象流体の温度を検出する第1サーモパイル(温度検出部ともいう。)121および第2サーモパイル(温度検出部ともいう。)122と、測定対象流体を加熱するマイクロヒータ(加熱部ともいう。)123とを備えている。加熱部123と、温度検出部121および温度検出部122とは、物性値検出部12内において、測定対象流体の流れ方向Qと直交する方向に並んで配置されている。また、加熱部123、温度検出部121、および温度検出部122の形状は、平面視においてそれぞれ略矩形であり、各々の長手方向は測定対象流体の流れ方向Qに沿っている。また、温度検出部121および温度検出部122は、加熱部123を挟んで左右対称に配置されており、加熱部123の両側の対称な位置の温度を検出する。したがって、温度検出部121および温度検出部122の測定値はほぼ同一であり、平均値を採用するようにしてもよいし、いずれか一方の値を採用するようにしてもよい。
ここで、流体の流れによって温度分布は下流側に偏るため、流れ方向と直交する方向の温度分布の変化は、流体の流れ方向の温度分布の変化に比べて小さい。このため、温度検出部121と、加熱部123と、温度検出部122とを、この順で測定対象流体の流れ方向と直交する方向に並べて配置することにより、温度分布の変化による温度検出部121および温度検出部122の出力特性の変化を低減することができる。したがって、流体の流れによる温度分布の変化の影響を低減して、物性値検出部12による検出精度を向上させることができる。
また、加熱部123の長手方向が測定対象流体の流れ方向に沿って配置されているため、加熱部123は測定対象流体の流れ方向の広範囲に亘って測定対象流体を加熱することが可能となる。このため、測定対象流体の流れによって温度分布が下流側に偏った場合であっても、温度検出部121および温度検出部122の出力特性の変化を低減することができる。同様に、流体温度を測定する場合においては、流速により生じる測定値の誤差を低減することができる。なお、流体温度は、温度検出部121および温度検出部122が検出した温度から、加熱部123による加熱での温度上昇分を減じて求めるようにしてもよいし、加熱部123が加熱を行わない状態で検出するようにしてもよい。物性値検出部12によれば、測定対象流体の流れによる温度分布の変化の影響を抑え、物性値及び流体温度の検出精度を向上させることができる。
さらに、温度検出部121および温度検出部122の長手方向が測定対象流体の流れ方向に沿って配置されているため、温度検出部121および温度検出部122は測定対象流体の流れ方向に亘って広範囲に温度を検出することが可能となる。このため、測定対象流体の流れによって温度分布が下流側に偏った場合であっても、温度検出部121および温度検出部122の出力特性の変化を低減することができる。したがって、測定対象流体の流れによる温度分布の変化の影響を低減して、物性値検出部12による検出精度を向上させることができる。
<機能構成>
図8は、流量測定装置1の機能構成の一例を示すブロック図である。流量測定装置1は、流量検出部11と、物性値検出部12と、制御部13と、通信部15とを備えている。流量検出部11は、温度検出部111と、温度検出部112とを備える。物性値検出部12は、温度検出部121と、温度検出部122とを備える。なお、図6に示した加熱部113及び図7に示した加熱部123は、図示を省略している。また、制御部13は、検出値取得部131と、特性値算出部132と、流量算出部133及び、塵埃検知部135、補正値決定部136、塵埃補正部137とを含む。
流量検出部11は、温度検出部111において検出された温度に応じた信号と温度検出部112において検出された温度に応じた信号を、制御部13の検出値取得部131に出力する。物性値検出部12は、温度検出部121において検出された温度に応じた信号を特性値算出部132に出力する。なお、物性値検出部12は、温度検出部121および温度検出部122において検出された温度に応じた信号の平均値を求め、特性値算出部132に出力するようにしてもよい。また、温度検出部121又は温度検出部122のいずれか一方を用いて温度に応じた信号を取得するようにしてもよい。
検出値取得部131は、所定の測定間隔で、流量検出部11における温度検出部111及び温度検出部112が出力する温度の検出値を取得し、温度検出部121及び温度検出部122の温度の検出値の差分を出力する。特性値算出部132は、物性値検出部12の温度検出部121及び温度検出部122の少なくともいずれかの検出値に基づいて特性値を算出する。なお、特性値算出部132は、物性値検出部12のマイクロヒータの温度を
変化させ、変化の前後において温度検出部121や温度検出部122が検出した測定対象流体の温度の差に所定の係数を乗じて特性値を算出するようにしてもよい。
流量算出部133は、検出値取得部131が出力した温度検出部111及び温度検出部112の検出値の差分に基づいて、流体の流量を算出する。このとき、流量算出部133は、物性値検出部12が算出した特性値を用いて流量を補正するようにしてもよい。通信部15は、制御部13において処理した情報を外部に対して無線または有線で送信し、外部から指令や設定値を無線または有線で受信し制御部13に伝達する。
ところで上記の流量測定装置1においては、流量検出部11の温度検出部111、温度検出部112は、測定対象である流体に常に触れているため、時間の経過とともに温度検出部111、温度検出部112の表面に塵埃が付着する場合がある。そのような場合には、流体と温度検出部111及び温度検出部112の間の熱伝導性が変化することで、温度検出部111及び温度検出部112の出力値の関係性が変化してしまう場合があった。これに対し、本実施例においては、塵埃検知部135によって、温度検出部111及び温度検出部112における塵埃の付着の度合いを検知する。また、補正値決定部136によって、流量算出部133の出力値を補正するための補正値を決定する。そして、塵埃補正部137によって、補正値決定部136によって決定された補正値を用いて、流量算出部133の出力値を補正する。以下、塵埃検知部135、補正値決定部136、塵埃補正部137の作用の詳細について説明する。
図9には、温度検出部111の出力値と、温度検出部112の出力値との関係性に対する塵埃の影響について示す。図9において、グラフの横軸は温度検出部111の出力値Ta、縦軸は温度検出部112の出力値Tbである。そして、図9において破線で示すのは周囲温度25℃における塵埃試験前のTaとTbの間の関係である。実線で示すのは周囲温度25℃における塵埃試験前のTaとTbの間の関係である。このように塵埃が温度検出部111、温度検出部112に付着することにより、温度検出部111の出力と温度検出部112の出力値の間の関係性が変化する。なお、例えば結露による水滴が温度検出部111、温度検出部112に付着した場合も、流体と温度検出部111及び温度検出部112の間の熱伝導性が同様に変化するので、温度検出部111及び温度検出部112の出力値の関係性は、図9と同様に変化してしまう。
なお、図10に示すように、温度検出部111の出力値Taと、温度検出部112の出力値Tbの間の関係性は、周囲温度によっても変化する。これについて、本実施例における流量測定装置1は、温度検出部111、112とは別に、周囲温度を検出可能な温度センサ16を有している。そして、温度センサ16の検出値に基づいて、温度検出部111の出力値Taと、温度検出部112の出力値Tbの間の関係性を補正する。これにより、より精度よく、塵埃の付着による温度検出部111の出力値Taと、温度検出部112の出力値Tbの間の関係性の変化を検出することが可能になっている。
そして、本実施例においては、上述の特性を利用して、温度検出部111及び温度検出部112への塵埃の付着の程度を検出することにした。より詳細には、温度検出部111の出力値Ta、温度検出部112の出力値Tb、周囲温度、塵埃の付着の程度の組合せを格納したデータテーブルを備えておき、温度検出部111の出力値Ta、温度検出部112の出力値Tb及び周囲温度の測定値に対応する塵埃の付着の程度をデータテーブルから読み出すことで、塵埃の付着の程度を検知する。
そして、温度検出部111及び温度検出部112への塵埃の付着の程度と、温度検出部111の出力と温度検出部112の出力の差分であるTa−Tbを補正すべき補正値との間には一定の関係があることが分かっている。よって、本実施例では、塵埃の付着の程度
と、補正値との関係を予めデータテーブルとして記憶しておくことで、塵埃の付着による流量算出部133の出力値の変化を補正することが可能となる。
図11には、本実施例における塵埃変動補正ルーチンのフローチャートを示す。本フローチャートは、制御部13に備えられた記憶装置(不図示)に格納されている。本ルーチンが実行されると、S101において、塵埃の付着の程度が検知される。より具体的には、上述のように、温度検出部111の出力値Ta、温度検出部112の出力値Tb、周囲温度及び、塵埃の付着の程度の組合せを格納したデータテーブルから、実際に得られた温度検出部111の出力値Ta、温度検出部112の出力値Tb及び周囲温度の測定値に対応する塵埃の付着の程度を読み出すことで検知する。S101の処理が終了するとS102に進む。
S102においては、S101で検知された塵埃の付着の程度から、補正量が決定される。より詳細には上述のように、塵埃の付着の程度と、補正値との関係を格納したテーブルから、S101で検知された塵埃の付着の程度に対応する補正値を読み出すことで、補正値FV1Dを決定する。S102の処理が終了するとS103に進む。
S103においては、FV1’=FV1+FV1Dなる演算によって、流量算出部133の出力値が補正される。S103の処理が終了すると本ルーチンが一旦、終了される。
以上、説明したとおり、本実施例に係る流量測定装置1においては、予め記憶されたデータテーブルと温度検出部111及び温度検出部112の出力値とから、塵埃の付着の程度を検出することができる。また、塵埃の付着影響を補正した流量を算出することが可能であり、流量測定装置1の精度を向上させることが可能である。なお、本実施例においては、塵埃の付着の程度を検出した後、補正値を決定し、算出された測定対象流体の流量を補正する例について説明したが、本発明は必ずしも補正を前提としない。塵埃の付着の程度を検知した後、検知結果(すなわち、塵埃の付着の程度に相当する信号)を出力のみしてもよいし、所定の警告処理を行うようにしてもよい。
〔実施例2〕
次に、実施例2として、実施例1に係る流量測定装置が組み込まれたガスメータ及び、流量測定装置ユニットについて説明する。本実施例は、実施例1に係る流量測定装置1を、ガスの使用量測定のためのガスメータに組み込んだ例である。図16は、流量測定装置1が組み込まれたガスメータ150の機能構成の一例を示すブロック図である。ガスメータ150は、流量測定装置1の他、表示部151、電源部152、操作部153、振動検出部154、遮断部155、統合制御部としてのガスメータ制御部156、ガスメータ記憶部157、ガスメータ通信部158を備えている。なお、操作部153を除き、これらの構成は筐体150b内に収納されている。
ここで、表示部151は、流量測定装置1によって測定・出力された流量に基づくガス使用量の他、日付、遮断処理の有無(後述)等が表示されるディスプレイであり、液晶表示板等が用いられてもよい。電源部152は、流量測定装置1及び、ガスメータ150の他の構成に対して電力を供給する部分で、アルカリ電池等のバッテリーで構成されてもよい。操作部153は、ガスメータ150の外部に設けられており、ガス契約者または検針者等が操作する部分である。例えば、ガスメータ150のリセット、時刻調整、表示・出力する項目の切換、後述する遮断状態の解除等の操作を行うことが可能としてもよい。
振動検出部154は、例えば加速度センサ(不図示)等を含み、ガスメータ150自身の振動を検出する。遮断部155は、ソレノイド等のアクチュエータと主流路部2を閉塞するバルブを有し、振動検出部154において閾値以上の振動が検出された場合には、地
震が発生したと判断して主流路部2を通過するガスを遮断する。ガスメータ制御部156は、流量測定装置1、表示部151、電源部152、操作部153、振動検出部154、遮断部155、ガスメータ記憶部157、ガスメータ通信部158と電気的に接続されており、各部の制御を行う。例えば、操作部153からの入力情報を受信し、入力情報に応じた指令を各部に送信する。また、振動検出部154において閾値以上の加速度信号が検出された場合には、遮断部155に遮断信号を送信する。ガスメータ記憶部157は、流量測定装置1や、振動検出部154からの出力を時系列で所定の期間に亘り記憶する部分であり、SRAMやDRAM等のメモリ素子により構成されてもよい。ガスメータ通信部158は、ガスメータ制御部156で処理する各情報を外部へ無線または有線で送信可能であり、外部からの指令や設定値を受信してガスメータ制御部156に伝達する。また、流量測定装置1が有する通信部15と通信することで、流量測定装置1の制御部13で処理する情報を受信し、また、流量測定装置1に対する制御信号や設定値を送信するようにしてもよい。
なお、ガスメータ150の構成のうち、例えば、流量測定装置1、表示部151、電源部152、振動検出部154、ガスメータ制御部156、ガスメータ記憶部157、ガスメータ通信部158をユニット化し、この流量測定装置ユニット150aに、操作部153、遮断部155を電気的に接続して、筐体150b内に組み込むことで、ガスメータ150を構成可能にしておいてもよい。このようにすることで、より効率的にガスメータ150を製造することが可能である。
なお、本実施例において、ガスメータ150、流量測定装置ユニット150aに属する構成は一例であり、ガスメータ150の機能や、製造上の条件に応じて変更が可能である。また、本発明に係る流量測定装置は、上記の実施例で示した構成には限定されない。例えば、上記の実施例における流量測定装置1は、物性値検出部12を備え、流体の物性値によって流量算出部133の出力値を補正することを前提としていたが、本発明は、この物性値検出部12を備えない流量測定装置に適用しても構わない。また、上記の実施例における流量測定装置1は、副流路を備える多流路タイプの流量測定装置1であったが、本発明は、主流路を流れる流体の流量を直接に測定する1流路タイプの流量測定装置に適用しても構わない。上記の実施例の構成は、本発明の課題や技術的思想を逸脱しない範囲で可能な限り組み合わせることができる。また、上記の実施例においては、上述のように本発明を塵埃の付着の程度を検知する場合について説明したが、本発明は、結露による水滴の付着の程度を検知する場合にも適用可能である。
なお、以下には本発明の構成要件と実施例の構成とを対比可能とするために、本発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
<発明1>
主流路(2)を流れる測定対象流体の流量を検出する流量測定装置(1)であって、
測定対象流体を加熱する加熱部(113)と、
前記加熱部を前記測定対象流体の流れ方向に挟んで配置され、前記測定対象流体の温度を検出する複数の温度検出部(111、112)と、
前記複数の温度検出部の出力値より測定対象流体の流量を算出する流量算出部(133)と、
前記複数の温度検出部の各々の出力の関係に基づいて、前記温度検出部における塵埃または水滴の付着の程度を検知する検知部(135)と、
を備えることを特徴とする、流量測定装置。
1 :流量測定装置
11 :流量検出部
111 :温度検出部
112 :温度検出部
113 :加熱部
12 :物性値検出部
121 :温度検出部
122 :温度検出部
123 :加熱部
13 :制御部
131 :検出値取得部
132 :特性値算出部
133 :流量算出部
135 :塵埃検知部
136 :補正値決定部
137 :塵埃補正部
15 :通信部
150 :ガスメータ
150a :流量測定装置ユニット

Claims (2)

  1. 主流路を流れる測定対象流体の流量を検出する流量測定装置であって、
    測定対象流体を加熱する加熱部と、
    前記加熱部を前記測定対象流体の流れ方向に挟んで配置され、前記測定対象流体の温度を検出する複数の温度検出部と、
    前記複数の温度検出部の出力値より測定対象流体の流量を算出する流量算出部と、
    前記複数の温度検出部の各々の出力の関係に基づいて、前記温度検出部における塵埃または水滴の付着の程度を検知する検知部と、
    を備えることを特徴とする、流量測定装置。
  2. 前記流量測定装置の周囲温度を測定する温度センサをさらに備え、
    前記検知部は、前記複数の温度検出部の各々の出力の関係及び、前記温度センサにより測定された周囲温度に基づいて、前記温度検出部における塵埃または水滴の付着の程度を検知することを特徴とする、請求項1に記載の流量測定装置。
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